説明

潜像担持体ユニット及び画像形成装置

【課題】「液リング現象」を原因とする不具合の発生を抑制できる潜像担持体ユニット及
び画像形成装置を提供すること
【解決手段】潜像が形成される感光体ドラム(潜像担持体)10と、潜像をトナー粒子と
キャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像ローラと、感光体ドラム10に当接して現
像ローラで現像された像をスクイーズする第1のスクイーズローラ(第1スクイーズロー
ラ)71と、第1のスクイーズローラ71でスクイーズされた像をスクイーズする第2の
スクイーズローラ(第2スクイーズローラ)73と、を備える。第2のスクイーズローラ
73の軸方向の幅は、第1スクイーズ71の前記軸方向の幅より大きい。また、第2のス
クイーズローラ71の前記幅は、現像ローラの軸方向の幅よりも大きいことが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潜像担持体ユニット及び画像形成装置に関し、トナー粒子とキャリア液とを含
む液体現像剤を用いる画像形成装置に対して好適に適用できる。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を用いる画像形成装置としては、例えば、潜像が形成される感光体ドラム(
潜像担持体)と、この潜像を液体現像剤で現像して感光体ドラムに像を形成する現像ロー
ラと、感光体ドラムの像を循環動する中間転写ベルト(転写媒体)に一次転写する一次転
写部材と、記録媒体を挟んだ状態で中間転写ベルトに当接して中間転写ベルトに転写され
た像を記録媒体に転写する二次転写ローラと、を備えるものが開示されている。この種の
画像形成装置の中には、感光体ドラムに複数の部材を当接させ、感光体ドラムから液体現
像剤中のキャリア液を除去するもの開示されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−91161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この画像形成装置のように、感光体ドラムに当接する部材(例えば、前
述のキャリア液を除去する部材等であって、以下、「当接部材」という。)を有している
ことが原因で以下のような不具合を生ずることがある。つまり、当接部材と感光体ドラム
との当接箇所に位置している液体現像剤が、当接部材の軸方向端部側に移動しようとする
挙動を示す。このため、感光体ドラムの回転軸方向に沿った端部側で液体現像剤がリング
状(像担持体の回転軸周りにリング状)に堆積する現象を生じ易い。尚、以下の説明にお
いて、この現象を「液リング現象」と称し、この「液体現像剤がリング状に堆積した部分
」を「液リング」と称する。
【0004】
かかる「液リング現象」を生ずると、画像形成装置の停止時等に液リングを構成する液
体現像剤が落下し、画像形成装置の機内を汚すという不具合を生ずる可能性がある。また
、画像形成装置が複数の作像部を備える所謂「カラー機」である場合、「所定の作像部の
感光体ドラムに生じた液リングを構成している液体現像剤」が、中間転写体を介して「他
の作像部の感光体ドラム」に移行し、液体現像剤の混色を生ずるという不具合が発生する
可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、画像形成装置において「液リング現象」を原因とする不具合の発生を
抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る潜像担持体ユニットは、潜像が形成される潜像担持体と、前
記潜像をトナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像ローラと、前記潜像
担持体に当接して前記現像ローラで現像された像をスクイーズする第1スクイーズローラ
と、前記潜像担持体に当接して前記第1スクイーズローラでスクイーズされた前記像をス
クイーズする第2スクイーズローラと、を備え、
前記第2スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第1スクイーズローラの前記軸方向の
幅より大きいことを特徴とする。
【0007】
この潜像担持体ユニットにおいて、前記第2スクイーズローラの前記幅は、前記現像ロ
ーラの軸方向の幅よりも大きくてもよい。また、前記第1スクイーズローラの前記幅は、
前記現像ローラの前記幅よりも大きくてもよい。
【0008】
更に、前記第1スクイーズローラと前記第2スクイーズローラとには前記液体現像剤の
帯電特性と同極性のバイアスが印加されるとともに、前記第2スクイーズローラに印加さ
れるバイアスの絶対値は、前記第1スクイーズローラに印加されるバイアスの絶対値より
も大きくてもよい。
ここで、「第2スクイーズに印加されるバイアスの絶対値が、第1スクイーズに印加さ
れるバイアスの絶対値よりも大きい」とは、「プラスに帯電したトナー粒子を含む液体現
像剤」を使用する場合には、所定の電位を基準にプラス方向に大きな電位差を示す場合を
指し、「マイナスに帯電したトナー粒子」を含む液体現像剤を使用する場合には、所定の
電位を基準にマイナス方向に大きな電位差を示す場合を指す。
【0009】
更に、前記潜像担持体を帯電する帯電部と、前記帯電部で帯電された前記潜像担持体を
露光して前記潜像を形成する露光部と、を備えるとともに、前記帯電部の前記軸方向の幅
は、前記第2スクイーズローラの前記幅よりも大きくてもよい。また、前記第2スクイー
ズローラでスクイーズされた前記像をスクイーズする第3スクイーズローラを備え、前記
第3スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第2スクイーズローラの前記幅より大ききく
てもよい。更に、前記像を前記転写媒体に転写した前記潜像担持体と当接して液体現像剤
を除去するクリーニングローラを備え、前記クリーニングローラの軸方向の幅は、前記第
1スクイーズローラの前記幅よりも大きくもよい。
【0010】
本発明の第2の態様に係る画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像
をトナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像ローラと、前記潜像担持体
に当接して前記現像ローラで現像された像をスクイーズする第1スクイーズローラと、前
記潜像担持体に当接して前記第1スクイーズローラでスクイーズされた前記像をスクイー
ズする第2スクイーズローラと、前記第2スクイーズローラでスクイーズされた像が転写
される転写媒体と、を備え、
前記第1スクイーズローラの軸方向の幅は、前記転写媒体の前記軸方向の幅よりも小さ
いとともに、前記第2スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第1スクイーズローラの前
記幅より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、画像形成装置において「液リング現象」を原因とする不具合の発生を
抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0013】
A.実施例1
先ず、図1〜図3を用いて実施例1の画像形成装置Aの基本構成について簡単に説明す
る。この画像形成装置Aは、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シア
ン(C)及びブラック(K)の計4個の作像部5Y、5M、5C、5Kと、中間転写ベル
ト80と、第1のローラ81と、第2のローラ82、二次転写ユニット90とを備えてい
る。また、各作像部5Y、5M、5C、5Kは、第1のローラ81と第2のローラ82と
の間において水平方向にこの順で並べられている。
【0014】
図2に示すように、各作像部5Y、5M、5C、5Kは、感光体ドラム10と、帯電部
材11と、露光ユニット12と、現像ユニット30と、スクイーズ装置70と、一次転写
ローラ51と、除電装置6と、クリーニング装置9と、を備えている。尚、一次転写ロー
ラ51と感光体ドラム10とは中間転写ベルト80(後述する。)を介して当接している
が、以下の説明においては、この一次転写ローラ51と感光体ドラム10とが当接する位
置を「一次転写位置」と称することがある。また、各作像部5Y、5M、5C、5Kにお
いて、その構成部材から一次転写ローラ51を除いたもの(感光体ドラム10、帯電部材
11、露光ユニット12、現像ユニット30、スクイーズ装置70、除電装置6及びクリ
ーニング装置9を備える構成部分)によって、感光体ユニットの具体例が構成される。
【0015】
各感光体ドラム10は、図3に示すように、ドラム本体10Aと、ドラム本体10Aの
軸心位置に配置された回転軸(金属製)10Bとを備えている。このうち、ドラム本体1
0Aは外周面に感光層が形成された略円筒形状に構成されている。また、この感光層はア
モルファスシリコン像担持体によって構成されている。そして、感光体ドラム10は、図
示しない駆動源(モータ等)によって回転軸10Bを回転駆動することで、所定方向(図
2の右回転方向)に回転する。
【0016】
図2に示すように、感光体ドラム10の外周面の周囲には、帯電部材11、露光ユニッ
ト12、現像ユニット30、スクイーズ装置70、一次転写ローラ51、除電装置6、及
びクリーニング装置9が、この順に(感光体ドラム10の回転方向に沿ってこの順に)配
置されている。そして、感光体ドラム10の外周部の軸方向幅L1(つまり、図3に示す
ように、ドラム本体10Aの外周部における回転軸10Bの軸方向に沿った幅)が「約3
90mm」とされている。
【0017】
ここで、感光体ドラム10等の「ドラム型の部材」や、後述する現像ローラ20等の「
ローラ型の部材」は、通常、本体部(ドラム本体やローラ本体)と、その軸心位置に配設
される回転軸とを備えるとともに、回転軸が本体部の両側面から突出する状態に配置され
る。そして、本発明の「ドラム型の部材の外周部の軸方向幅(軸方向の幅)や、ローラ型
の部材の外周部の軸方向幅(軸方向の幅)」とは、「本体部(ドラム本体やローラ本体)
の幅(軸心方向に沿った幅)」を指している。
【0018】
各帯電部材11はコロナ帯電器を用いて構成され、図示しない電源装置から液体現像剤
の帯電極性と同極性のバイアス(600V)が印加される。そして、各帯電部材11は、
それぞれ、対応する感光体ドラム10(ドラム本体10A)を帯電する。ここで、本実施
例の帯電部材11は、図5(a)に示すように、軸心方向に長尺な筒体で構成されるハウ
ス(ハウジング)11Aと、一対のワイヤカバー11B、11Cと、放電ワイヤ11Dと
を備えている。また、ハウス11Aは矩形枠状の縦断面が備えるとともに、軸心方向両端
に開口部を配置している。
【0019】
ワイヤカバー11B、11Cは、ハウス11Aの開口部を封止する部材であり、軸方向
中間部に段部を備えつつ略四角柱とされている。そして、段部より軸方向一端側に位置し
、断面積が小さな挿入部111をハウス11Aの開口部に挿入し、段部より軸方向他端側
に位置し、断面積が大きな露呈部112をハウス11A外に露呈させつつハウス11Aの
開口部を封止している。これにより、両ワイヤカバー11B、11Cの挿入部111側の
端面113、114は、ハウス11A内においてハウス11Aの軸心方向に対向している
。また、放電ワイヤ(例えば、直径;約30〜80μm、材質;チタン、タングステン、
ステンレス等の合金)11Dは、端部側をワイヤカバー11B、11Cで支持されつつ、
ハウス11Aの軸心方向に配設されている。
【0020】
この帯電部材11においては放電ワイヤ11Dのうちで、ハウス11A外方から視認可
能な部位の長さによって、感光体ドラム10に形成される帯電域Tの幅(以下、「帯電幅
」という。)T1が規制される(図4を参照)。つまり、放電ワイヤ11Dを感光体ドラ
ム10の回転軸10Bに略平行にした状態に配設され、この放電ワイヤ11Dにおいて端
面113、114間に露呈する部分11Eの幅T2によって帯電幅T1が規制される。こ
のとき、露呈する部分11Eは、感光体ドラム10の外周面のうちで、感光体ドラム10
の両側縁寄りを除く部位と対向しているため、帯電域Tは、この「両側縁寄りを除く部位
」に形成される。尚、各帯電部材11を、図5(b)に示すような帯電ローラ11Fによ
って構成することもできる。この帯電ローラ11Fはその軸心位置に配設される回転軸1
0Hを、感光体ドラム10の回転軸10Bと平行な状態としつつ、ドラム本体10Aの外
周面に当接する状態とされる。そして、帯電ローラ11Fの回転軸10H方向への幅T3
によって帯電幅T1が規制される。
【0021】
図2に示すように、各露光ユニット12は、感光体ドラム10の外周面の周囲のうちで
、帯電部材11と現像ユニット30との間の部位に配置されている。そして、それぞれ対
応する感光体ドラム10上にLEDヘッドやレーザ走査光学系等から光像を照射すること
によって潜像を形成する。尚、露光ユニット12によって露光部の具体例が構成される。
【0022】
図2に示すように、各現像ユニット30は、現像ローラ20と、現像ローラクリーニン
グ装置28と、各色(Y、M、C、K)の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31と、液体
現像剤を現像剤容器31から現像ローラ20に供給するための現像剤供給ローラ32と、
現像剤供給ローラ32に塗布された液体現像剤の量を規制するための規制ブレード38と
、を備えている。そして、現像ユニット30によって、感光体ドラム10に形成された潜
像が現像される。
【0023】
現像ローラ20は、図3に示すように、ローラ本体20Aと、ローラ本体20Aの軸心
位置に配置された回転軸(金属製)20Bとを備えている。この現像ローラ20は、回転
軸20Bを感光体ドラム10の回転軸10Bに平行な状態としつつ、感光体ドラム10の
外周面に当接する状態とされている。そして、現像ローラ20の外周部の軸方向幅L2(
つまり、ローラ本体20Aにおける回転軸20Bの軸方向に沿った幅)が「約366mm
」とされている。
【0024】
尚、本実施の形態においては、このように各現像剤容器31に収容される現像剤として
、トナー粒子(プラスに帯電したトナー粒子)およびキャリア液(不揮発性液体キャリア
)からなる液体現像剤を用いている。より具体的には、「Isopar(商標:エクソン
社製)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有
する揮発性液体現像剤」ではなく、「高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮
発性液体現像剤」である。すなわち、本実施の形態における液体現像剤は、熱可塑性樹脂
中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコーンオイ
ル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約2
5%とした高粘度(30〜10000mPa・S程度)の液体現像剤である。
【0025】
図2に示すように、スクイーズ装置70は現像ユニット30よりも感光体ドラム10の
回転方向に沿った下流側であって、前述の「一次転写位置」よりも上流側に配設され、感
光体ドラム10上の液体現像剤のうちの余剰分を回収する。このスクイーズ装置70は、
感光体ドラム10の回転方向に沿って、現像ユニット30の下流側に配設される第1のス
クイーズローラ(つまり、第1スクイーズローラ)71と、第1のスクイーズローラ71
の下流側に配設される第2のスクイーズローラ(つまり、第2スクイーズローラ)73と
、第1のスクイーズローラ71に当接する状態に配設される第1のクリーニングブレード
72と、第2のスクイーズローラ73に当接する状態に配設される第2のクリーニングブ
レード74と、回収容器(図示を省略)と、を備えている。
【0026】
第1のスクイーズローラ(直径;20mm)71及び第2のスクイーズローラ(直径;
20mm)73は、図3に示すように、何れもローラ本体(例えば、ウレタンゴム)71
A、73Aと、その軸心位置に配置された回転軸(金属製)71B、73Bとを備えてい
る。また、何れのスクイーズローラ71、73も、その回転軸71B、73Bを、感光体
ドラム10の回転軸10Bに平行な状態としつつ、感光体ドラム10の外周面に当接する
状態とされている。また、何れのローラ本体71A、73Aも、略円筒状の弾性体(肉厚
2.5mm、硬度;JIS−30°電気抵抗;250V印加時の体積抵抗値が10Ωc
m)によって構成され、回転軸71B、73Bの外周部に装着されている。但し、第1の
スクイーズローラ71の外周部の軸方向幅L31(つまり、ローラ本体71Aにおける回
転軸71Bの軸方向に沿った幅)が「約368mm」とされ、第2のスクイーズローラ7
3の外周部の軸方向幅L32(つまり、ローラ本体73Aにおける回転軸73Bの軸方向
に沿った幅)が、軸方向幅L31よりも長い「約374mm」とされている。また、両ス
クイーズローラ71、73には、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性
で、しかも、感光体ドラム10よりも低いバイアス(プラス400V)が印加される。
【0027】
両スクイーズローラ71、73は感光体ドラム10と摺接しつつ感光体ドラム10の回
転方向と逆方向に回転されて、感光体ドラム10上からの液体現像剤の除去を行う。また
、クリーニングブレード72、74はゴム等の弾性体を用いて構成され、対応するスクイ
ーズローラ71、73に押圧状態で当接され、スクイーズローラ71、73に残留する液
体現像剤を掻き落として除去する。更に、回収容器(図示を省略)は各クリーニングブレ
ード72、74が掻き落とした液体現像剤の回収を行う。
【0028】
図1に示すように、第1のローラ81と第2のローラ82は水平方向に所定の間隔をお
きつつ、転写ベルトユニット(図示を省略)に支持されている。また、中間転写ベルト8
0は無端状に構成され、第1のローラ81と第2のローラ82との間に張架され、駆動ロ
ーラを構成する第2のローラ82によって回転駆動されつつ第1のローラ81及び第2の
ローラ82の間を循環移動する。また、第1のローラ81の近傍には、2次転写ユニット
90(後述する。)による2次転写工程を経た後に、中間転写ベルト80に残存する液体
現像剤を除去するための中間転写ベルトクリーニング装置85が配設されている。尚、第
1のローラ81は中間転写ベルト80に張力を付与するためのテンションローラである。
また、中間転写ベルト80は転写媒体の具体例を構成するが、転写媒体としては、中間転
写ベルト80の他にローラを用いることもできる。
【0029】
中間転写ベルト80は導電性ポリイミドを用いて構成されるベルト(ベルト幅;370
mm、肉厚;0.08mm、電気抵抗;250V印加時の体積抵抗値が1010Ωcm、
表面抵抗が1011Ω/□)であり、その外周面によって像担持面(保持面でもある。)
80A(図2を参照)を構成する。但し、この中間転写ベルト80の代わりに、導電性ポ
リイミドを用いて構成される基材層(肉厚;80μm)と、ウレタンゴムを用いて構成さ
れる弾性層(肉厚;200μm、JIS−A30度)と、フッ素系樹脂(PFA等)若し
くはフッ素系ゴム等で構成されるコート層(肉厚;10um)と、をこの順に積層した弾
性中間転写ベルト(ベルト幅;370mm、肉厚;290um、全層の電気抵抗;体積抵
抗で1010Ωcm)を用いることもできる。また、図3に示すように、中間転写ベルト
80における「感光体ドラム10の軸心方向に沿った幅L4(つまり、感光体ドラム10
の回転軸10Bの軸方向に沿った幅)」が「約370mm」とされている。
【0030】
各一次転写ローラ(外径;30mm)51は所謂「バイアスローラ」であり、図2に示
すように、中間転写ベルト80を挟んだ状態で感光体ドラム10に当接している。また、
一次転写ローラ51は金属製の基体部と、略円筒状とされつつ基体部の外周部に装着され
た略円筒状の表層部(肉厚5.0mm、素材;ウレタンゴム、硬度;JIS−30°、電
気抵抗;250V印加時の体積抵抗値で10Ωcm)とを備える。この一次転写ローラ
51は付勢手段(バネ等)を用いて対応する感光体ドラム10の回転軸の方向に押圧され
、中間転写ベルト80に向かって一定の荷重(一次転写荷重;5kgf)を負荷している
。そして、各一次転写ローラ51にバイアスを印加すると、現像された感光体ドラム10
に付着した各色のトナー像が、中間転写ベルト80の像担持面80Aに転写され、中間転
写ベルト80の像担持面80Aにフルカラーのトナー像(フルカラーのトナー像や単色の
トナー像)が形成される。尚、「1次転写を行う部材」としては転写ローラのみでなく、
略円弧状に形成される電極板を備える部材を例示することもできる。
【0031】
図2に示すように、除電装置6と、クリーニング装置9は、1次転写位置の下流におい
て、感光体ドラム10の回転方向に沿ってこの順に配設されている。また、クリーニング
装置9は、「一次転写工程の際に中間転写ベルト80に移動せず感光体ドラム10に残存
する液体現像剤」を感光体ドラム10から除去するためのものである。
【0032】
図2に示すように、クリーニング装置9は、クリーニングブレード9Aと、このクリー
ニングブレード9Aを支持する支持部材9Bとを備えている。このうち、クリーニングブ
レード9Aは、平面形状が略矩形で薄肉の板状体(ウレタンゴム製)によって構成されて
いる。また、このクリーニングブレード9Aは、図6に示すように、表裏の関係で対向配
置されるとともに、面積が大きな2つの面9C、9Eと、これらの面9C、9Eを構成す
る端縁間に配設される4つの端面(9D、9F等)とを備える。そして、面積が大きな一
方の面(つまり、第1の面9C)と、1つの端面(つまり、第2の面9D)とで当接角部
9Kを構成している。また、面積が大きな他方の面9Eには支持部材9Bが接着されてい
る。
【0033】
このクリーニングブレード9Aは、当接角部9Kを感光体ドラム10の回転軸10Bに
平行な状態としつつ感光体ドラム10に当接させる。これにより、感光体ドラム10に残
存する液体現像剤を除去する。また、図3に示すように、当接角部9Kの幅L6(感光体
ドラム10の回転軸10Bの軸心方向に沿った幅)は「約380mm」とされている。尚
、本実施例と異なり、第1の面9Cにおける第2の面9D近傍を、感光体ドラム10に当
接させることで、感光体ドラム10に残存する液体現像剤を除去してもよい。
【0034】
図1に示すように、2次転写ユニット90は、中間転写ベルト80を挟んで第2のロー
ラ82と対向する状態に配置された2次転写ローラ91と、クリーニング装置92とを備
えている。そして、2次転写ローラ91を配置した転写位置において、中間転写ベルト8
0上に形成されるトナー像が、記録媒体搬送経路Vにて搬送される記録媒体(用紙、フィ
ルム、布等)88に転写される。そして、記録媒体88に転写されたトナー像を図示しな
い定着ユニットを用いて記録媒体88に定着させる。
【0035】
次に、各作像部5Y、5M、5C、5Kにおいて、当接し合う部材(感光体ドラム10
、現像ローラ20、スクイーズローラ71、中間転写ベルト80及びクリーニングブレー
ド9A)の配設態様と、幅の関係について、図3及び図4を用いて説明する。
【0036】
本実施例においては、図4に示すように、感光体ドラム10、現像ローラ20、スクイ
ーズローラ71、中間転写ベルト80及びクリーニングブレード9Aにおいて、幅方向に
沿った中心部が位置合わせされている。また、感光体ドラム10に設けられる帯電域T(
帯電幅T1)の幅方向に沿った中心部も、感光体ドラム10の幅方向に沿った中心部に位
置合わせされている。更に、帯電域T(帯電幅T1)の内側に形成される画像域Gの幅方
向に沿った中心部も、感光体ドラム10の幅方向に沿った中心部に位置合わせされている

【0037】
本実施例では、図3に示すように、現像ローラ20の外周部の軸方向幅L2、第1のス
クイーズローラ71の外周部の軸方向幅L31、第2のスクイーズローラ73の外周部の
軸方向幅L32、中間転写ベルト80の幅L4及びクリーニングブレード9Aの当接角部
9Kの幅L6は、感光体ドラム10の外周部の軸方向幅L1よりも小さくされている。ま
た、現像ローラ20の外周部の軸方向幅L2、第1のスクイーズローラ71の外周部の軸
方向幅L31、第2のスクイーズローラ73の外周部の軸方向幅L32及びクリーニング
ブレード9Aの当接角部9Kの幅L6は、この順に大きくされている。
【0038】
図4に示すように、現像ローラ20、第1のスクイーズローラ71及び第2のスクイー
ズローラ73を構成するローラ本体20A、71A、73Aの端部は、感光体ドラム10
に対して帯電域Tの内側であって、画像域Gの外側に位置する部位に当接している。また
、図3に示すように、クリーニングブレード9Aの当接角部9Kの幅L6は、感光体ドラ
ム10の外周部の軸方向幅L1よりも大きくされている。
【0039】
本画像形成装置Aでは、現像ローラ20から感光体ドラム10の外周面(ドラム本体1
0Aの外周面)に液体現像剤が供給されるが、その際、図7に示すように、感光体ドラム
10の外周部(ドラム本体10Aの外周部)のうちで現像ローラ20を構成するローラ本
体20Aの端部と当接する部位において、液リングR1が形成される可能性がある。そし
て、この液リングR1を形成する液体現像剤は、感光体ドラム10の回転に伴って第1の
スクイーズローラ71、第1のスクイーズローラ72の順に到達することになる。この場
合、現像ローラ20の外周部の軸方向幅L2よりも第1のスクイーズローラ71の外周部
の軸方向幅L31の方が大きくされ、第1のスクイーズローラ71の外周部の軸方向幅L
31よりも第2のスクイーズローラ73の外周部の軸方向幅L32の方が大きくされてい
る。
【0040】
そして、現像ローラ20から感光体ドラム10に付着した液リングR1を構成する液体
現像剤の内、正常に帯電しているトナー(固形分)は第1のスクイーズローラ71で回収
し、逆極性に帯電してしまっているトナー(固形分)や弱帯電で第1のスクイーズローラ
71で回収できなかったトナー(固形分)は、第1のスクイーズローラ71で感光体ドラ
ム10側に寄せられる。その後、第2のスクイーズローラ73でキャリア成分を除去して
高濃度化することで、液リングR1が、中間転写ベルト80に1次転写され難くなる。
【0041】
次に、本画像形成装置Aの性能を評価するために行った性能試験について説明する。こ
の性能試験はブラックの作像部5において転写効率を計算することによって行ったもので
ある。この「転写効率」は「X−Liteの光学測定」を用いて感光体ドラム10上の「
トナーの光学濃度の変化」を測定することによって計算したものである。具体的には、(
i)現像ユニット30から現像剤(ブラックの現像剤)を受け取り、更にスクイーズ装置
70を通過し、中間転写ベルト80にトナー像を転写する前の段階で、感光体ドラム10
の外周面のうちで、「非画像部」に付着しているトナーの光学濃度(以下、「転写前トナ
ーの光学濃度」という。)」と、(ii)中間転写ベルト80にトナー像を転写し、クリ
ーニング装置9に到達する前の段階において、感光体ドラム10の外周面に付着している
トナーの光学濃度(以下、「転写後トナーの光学濃度」という。)」と、を用いて計算し
たものである。
【0042】
より具体的には、次式を用いて感光体ドラム10から中間転写ベルト80への転写効率
を計算した。
転写効率[%]=
{(「転写前トナーの光学濃度」−「転写後トナーの光学濃度」)/(転写前トナーの
光学濃度)}×100
また、本性能試験は試験環境を「室温23℃」、「湿度65%」としつつ、1次転写ロ
ーラ51に印加するバイアス(V)を「−400V」として行われた。この性能試験の結
果を図8に記載する。
【0043】
この性能試験によると、例えば、「転写前トナーの光学濃度」が「40%」の場合には
、転写効率が「68%」となり、「転写前トナーの光学濃度」が「34%」の場合には、
転写効率が「84%」となり、「転写前トナーの光学濃度」が「28%」の場合には、転
写効率が「98%」となる。つまり、図8に示すように、この性能試験によると、「転写
前トナーの光学濃度」が高くなるに従って中間転写ベルト80への転写効率が低くなるこ
とが判る。
【0044】
本画像形成装置Aでは、現像ローラ20から感光体ドラム10に付着した液リングR1
を、中間転写ベルト80に対して転写され難くすることができる。従って、「各作像部5
Y、5M、5C、5Kで形成される液リングが、中間転写ベルト80を介して他の作像部
5Y、5M、5C、5Kに到達する事態」の発生を抑制することができる。このため、本
画像形成装置Aにおいては、液体現像剤の混色を生ずることを抑制できる。
【0045】
また、液リングR1を構成する液体現像剤は、スクイーズローラ71、73を通過する
ことでその分量が少なくされる。しかも、液リングR1が中間転写ベルト80に転写され
難い構成であるため、本画像形成装置Aの停止時等に、「液リングR1を構成する液体現
像剤が、感光体ドラム10や中間転写ベルト80が落下し、本画像形成装置Aの機内を汚
す事態」の発生を抑制することができる。
【0046】
更に、本画像形成装置Aでは、図3に示すように、クリーニングブレード9Aの当接角
部9Kの幅L6が、両スクイーズローラ71、73(ローラ本体71A、73A)の外周
部の軸方向幅L31、L32よりも大きくされている。しかも、「一次転写位置を通過し
た液リングR1を構成する液体現像剤」においては、その分量が少なくされるため、この
液体現像剤をこのクリーニングブレード9Aによって効率的に掻き取り、回収容器8Dに
よって効率的に回収することができる。
【0047】
B.実施例2
実施例2の画像形成装置は以下の点を除いて実施例1の画像形成装置Aと同様である。
この画像形成装置では、図9に示すように、第1のスクイーズローラ71に印加されるバ
イアス(プラス400V)よりも、第2のスクイーズローラ73に印加されるバイアス(
プラス450V)を高くした点を除いて実施例1の画像形成装置Aと同様である。尚、各
スクイーズローラ71、73に印加されるバイアスは、何れも感光体ドラム10に印加さ
れるバイアス(600V)よりも低くされている。
【0048】
実施例2によると、実施例1の効果に加えて以下の効果を得ることができる。つまり、
実施例2では、第1のスクイーズローラ71で印加されるバイアスより、第2のスクイー
ズローラ73に印加するバイアスを高くする。これにより、液リングR1を構成する液体
現像剤のうちで、第1のスクイーズローラ72で回収されなかったトナー(固形分)を感
光体ドラム10側に押し付けつつキャリアを除去して高濃度化することで、この液リング
R1が中間転写ベルト80に対して1次転写し難くなる。
【0049】
C.実施例3
実施例3の画像形成装置は以下の点を除いて実施例1の画像形成装置Aと同様である。
この画像形成装置では、図10に示すように、感光体ドラム10をクリーニングするため
のクリーニング装置として、クリーニング装置9の他に、ローラ式のクリーニング装置8
を備える点が実施例1の画像形成装置Aと異なっている。尚、実施例3において、除電装
置6と、ローラ式のクリーニング装置8と、クリーニング装置9は、1次転写位置の下流
において、感光体ドラム10の回転方向に沿ってこの順に配設されている。
【0050】
ローラ式のクリーニング装置8は、クリーニングローラ8Rと、クリーニングブレード
8Vとを備えている。このうち、クリーニングローラ8Rは、図11(b)に示すように
、ローラ本体(ゴム製)8Aと、その軸心位置に配置された回転軸(金属製)8Bとを備
えている。また、このクリーニングローラ8Rも、その回転軸8Bを、感光体ドラム10
の回転軸10Bに平行な状態としつつ、感光体ドラム10の外周面に当接する状態とされ
ている。
【0051】
このクリーニングローラ8Rは、図示しない駆動源(モータ等)によって駆動され、す
なわち感光体ドラム10と連れまわる方向に回転する。また、このクリーニングローラ8
Rは金属製の基体部と、略円筒状とされつつ基体部の外周部に装着された略円筒状の表層
部(肉厚2.5mm、素材;ウレタンゴム、硬度;JIS−30°、電気抵抗;250V
印加時の実抵抗値が10Ω)とを備え、図示しない電源装置から液体現像剤や感光体ド
ラム10の帯電極性とは異なる極性のバイアス(−400V)が印加される。更に、クリ
ーニングローラ8Rの外周部の軸方向幅L5が「約376mm」とされている。また、こ
のクリーニングローラ8Rは、図示しない付勢手段(バネ等)を用いて対応する感光体ド
ラム10の回転軸10Bの方向に押圧されている。
【0052】
実施例3では、図11(a)及び(b)に示すように、このクリーニングローラ8Rを
構成するローラ本体8Aを「略逆クラウン形状(略鼓形状)」に形成している。つまり、
ローラ本体8Aの直径は軸方向(回転軸8Bの軸心方向)に沿った端部(各端部の外径;
20.2mm)から軸方向に沿った中央部(軸方向に沿った真ん中の外径;20.0mm
)に向かって徐々に減少している。
【0053】
クリーニングブレード8Vは、クリーニングローラ8Rの外周面に当接しており、クリ
ーニングローラ8Rを用いて感光体ドラム10から除去された液体現像剤(主に、固形分
)を、クリーニングローラ8Rから掻き取る。そして、このクリーニングブレード8Vに
よって掻き取られた液体現像剤は、クリーニングブレード8Vの下方に配設された回収容
器8Dによって回収される。
【0054】
次に、図12を用いて、クリーニングローラ8Rのローラ本体8Aが感光体ドラム10
に当接して形成されるニップNについて説明する。
【0055】
実施例3では、ローラ本体8A(弾性体で構成)の方が、ドラム本体10A(例えば、
アルミ製)よりも弾性率が小さいため、両者が当接する際に、ローラ本体8Aがドラム本
体10Aの外形に倣うように圧縮変形する。このとき、ローラ本体8Aの外形が「略逆ク
ラウン形状(略鼓形状)」とされているため、図12(a)及び(b)に示すように、ニ
ップNは「略逆クラウン形状(略鼓形状)」の軸心位置を通過する縦断面の形状を呈する
こととなる。すなわち、ニップNの幅(ローラ本体8Aの周方向に沿った幅)は、感光体
ドラム10の回転軸10Bの方向に沿って、中心部で「最小幅(例えば、2.5mm)Z
1」となり、両端部で「最大幅(例えば、2.8mm)Z2」となるとともに、中心部と
端部との間では端部に近づくに従って徐々に拡大するように構成される。
【0056】
実施例3によると、実施例1の効果に加えて以下の効果を得ることができる。つまり、
実施例3では、クリーニングローラ8Rを構成するローラ本体8Aの外形が「略逆クラウ
ン形状」とされているため、一次転写位置を通過した後に感光体ドラム10に残存する液
体現像剤は、「ニップNの中心部に流れようとする挙動」を示す。例えば、図13(a)
に示すように、感光体ドラム10の外周部に、「両スクイーズローラ71、73でスクイ
ーズされた液リングR1、R2、R3」と、一次転写位置を通過後にも今なお残存する液
体現像剤Wとが存在しているものとする。この場合、液リングR1、R2を構成する液体
現像剤の膜厚は残存する液体現像剤Wの膜厚に比べて大きくなるが、図13(b)に示す
ように、液リングR1、R2、R3はニップNの上流部において中心部に流される。
【0057】
つまり、図13(b)に示すように、ローラ本体8Aがドラム本体10Aに当接して構
成されるニップNは「略逆クラウン形状(略鼓形状)の軸心位置を通過する縦断面」の形
状を呈している。このため、ニップNの縁部のうちで、回転する感光体ドラム10の外周
面が最初に当接する部位(以下、「ニップ入り口」という。)N1は、感光体ドラム10
の回転軸10Bの方向に沿った中心部で最も回転下流側となるような略円弧形状となる。
つまり、このニップ入り口N1は、感光体ドラム10の回転軸10Bの方向に沿って、中
心部で最も回転下流側の位置になり、両端部で最も回転上流側の位置になり、中心部と端
部との間では端部に近づくに従って徐々に回転上流側に移動するような略円弧を描くこと
となる。よって、感光体ドラム10に残存する液体現像剤(特に、固形分)は、液リング
R1、R2、R3を構成するものであるか、構成しないもの(例えば、液体現像剤W)で
あるかを問わずに、ニップNの上流部において「感光体ドラム10の回転軸10Bの方向
に沿った中央部側」に集められて回収される可能性が高くなる。尚、前述のように、クリ
ーニングローラ8Rによって回収された液体現像剤は、クリーニングブレード8Vによっ
て掻き取られた後、回収容器8Dによって回収される
【0058】
このように、実施例3によると、ローラ本体8Aの外形が「略逆クラウン形状」とされ
ているため、液リングR1、R2、R3を構成する液体現像剤や、感光体ドラム10の他
の部位に付着している液体現像剤が、クリーニングローラ8Rと接触することで、新たな
液リングが構成されることが抑制される。つまり、前述のように、感光体ドラム10に残
存する液体現像剤(特に、固形分)は、感光体ドラム10の回転軸10Bの方向に集めら
れるため、新たな液リングが構成されることが抑制される。
【0059】
しかも、実施例3の画像形成装置では、クリーニングローラ8Rの外周部の軸方向幅L
5が、中間転写ベルト80における「感光体ドラム10の軸心方向に沿った幅L4」より
もが大きくされている。このため、仮に、液リングが中間転写ベルト80を通じて、他の
作像部5Y、5M、5C、5Kから到達した場合においても、ローラ式のクリーニング装
置8によって除去することが容易である。従って、実施例3の画像形成装置では、各作像
部5Y、5M、5C、5Kにおいて、液リングの発生を抑制することができるとともに、
「画像形成装置の停止時等に液リングを構成する液体現像剤で機内を汚す事態」を生ずる
可能性を更に低くできる。
【0060】
D.実施例4
実施例4の画像形成装置は以下の点を除いて実施例1の画像形成装置Aと同様である。
この画像形成装置では、図14(a)に示すように、スクイーズ装置70が、第1のスク
イーズローラ71及び第2のスクイーズローラ73の他に、第3のスクイーズローラ(つ
まり、第3スクイーズローラ)75と、第3のスクイーズローラ75に当接する状態に配
設される第3のクリーニングブレード76とを備える点が、実施例1の画像形成装置Aと
異なっている。
【0061】
実施例のスクイーズ装置70においては、現像ユニット30と一次転写位置との間にお
いて、感光体ドラム10の回転方向に沿って第1のスクイーズローラ71と、第2のスク
イーズローラ73と、第3のスクイーズローラ75とがこの順に配設されている。また、
図14(b)に示すように、第3のスクイーズローラ(直径;20mm)75は、ローラ
本体(例えば、ウレタンゴム)75Aと、その軸心位置に配置された回転軸(金属製)7
5Bとを備えている。また、このスクイーズローラ75も、他のスクイーズローラ71、
73と同様に、その回転軸75Bを、感光体ドラム10の回転軸10Bに平行な状態とし
つつ、感光体ドラム10の外周面に当接する状態とされている。また、このローラ本体7
5Aも、略円筒状の弾性体(肉厚2.5mm、硬度;JIS−30°電気抵抗;250V
印加時の体積抵抗値が10Ωcm)によって構成され、回転軸75Bの外周部に装着さ
れている。
【0062】
但し、第3のスクイーズローラ75の外周部の軸方向幅L33(つまり、ローラ本体7
5Aにおける回転軸75Bの軸方向に沿った幅)が「約378mm」とされ、他のスクイ
ーズローラ71、73の外周部の軸方向幅L31、L32よりも長くされている。更に、
第3のスクイーズローラ75には、他のスクイーズローラ71、73と同一のバイアス(
400V)が印加されている。尚、クリーニングブレード76はゴム等の弾性体を用いて
構成され、スクイーズローラ75に押圧状態で当接され、スクイーズローラ75に残留す
る液体現像剤を掻き落として除去する。更に、回収容器(図示を省略)は各クリーニング
ブレード76が掻き落とした液体現像剤の回収も行う。
【0063】
実施例4によると、実施例1の効果に加えて以下の効果を得ることができる。つまり、
実施例4では、他のスクイーズローラ71、73よりも軸方向幅が大きい「第3のスクイ
ーズローラ75」が付加されている。このため、この第3のスクイーズローラ75で、液
リングR1、R2、R3を構成する液体現像剤から、キャリア成分を更に除去して、更に
高濃度化することで、液リングR1を中間転写ベルト80に対して、より1次転写され難
くなる。従って、実施例4の画像形成装置によると、「各作像部5Y、5M、5C、5K
で形成される液リングが、中間転写ベルト80を介して、他の作像部5Y、5M、5C、
5Kに到達する事態」の発生を更に抑制することができる。このため、本画像形成装置に
おいては、液体現像剤び混色を生ずることを更に抑制できる。
【0064】
尚、各実施例では、プラスに帯電したトナー粒子Tを含む液体現像剤を扱う場合を述べ
たが、本発明をマイナスに帯電したトナー粒子Tを含む液体現像剤を扱うにも適用できる
。この場合、実施例1においては、第1のスクイーズローラ71及び第2のスクイーズロ
ーラ73に印加されるバイアスを、例えば、「−400V」とする具体例を例示でき、実
施例2においては、第1のスクイーズローラ71に印加されるバイアスを、例えば「−4
00V」とし、第2のスクイーズローラ73に印加されるバイアスを、例えば、「−45
0V」とする具体例を例示することができる。更に、実施例4においては、第1のスクイ
ーズローラ71、第2のスクイーズローラ73及び第3のスクイーズローラ75に印加さ
れるバイアスを、例えば、「−400V」とする具体例を例示できる。また、実施例4の
変形例としては、第1のスクイーズローラ71に印加されるバイアスを、例えば「−40
0V」とし、第2のスクイーズローラ73に印加されるバイアスを、例えば、「−450
V」とし、第3のスクイーズローラ75に印加されるバイアスを、例えば、「−500V
」とする具体例を例示できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリ機の販売、施工、加工等を行
う分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1の画像形成装置を構成する主要構成要素を示す説明図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】感光体ドラム、現像ローラ、第1のスクイーズローラ、第2のスクイーズローラ、中間転写ベルト及びクリーニングブレードの配設態様と、幅の関係を示す説明図である。
【図4】感光体ドラム、現像ローラ、第1のスクイーズローラ、第2のスクイーズローラ、中間転写ベルト及びクリーニングブレードの配設態様と、幅の関係を示す説明図である。
【図5】(a)はクリーニングローラ及び感光体ドラムが当接して構成されるニップを示す模式的な斜視図であり、(b)はクリーニングローラ及び感光体ドラムが当接して構成されるニップを示す模式的な説明図である。
【図6】クリーニング装置を示す説明図である。
【図7】液リングを説明するための説明図である。
【図8】トナー濃度と転写効率の関係を示すグラフである。
【図9】実施例2の画像形成装置において、第1のスクイーズローラ及び第2のスクイーズローラを説明するための説明図である。
【図10】実施例3の画像形成装置を作像部を示す説明図である。
【図11】(a)はクリーニングローラの斜視図であり、(b)はクリーニングローラの縦断面図である。
【図12】(a)はクリーニングローラ及び感光体ドラムが当接して構成されるニップを示す模式的な斜視図であり、(b)はクリーニングローラ及び感光体ドラムが当接して構成されるニップを示す模式的な説明図である。
【図13】(a)及び(b)は液リングを説明するための説明図である。
【図14】(a)は実施例4においての画像形成装置を作像部を示す説明図であり、(b)は実施例4の画像形成装置において、第3のスクイーズローラを示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
9A;クリーニングブレード、10;感光体ドラム、20;現像ローラ、30;現像ユ
ニット(現像部)、70;スクイーズ装置、71;第1のスクイーズローラ、73;第2
のスクイーズローラ、75;第3のスクイーズローラ、80;中間転写ベルト(転写媒体
)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像をトナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像ローラと、
前記潜像担持体に当接して前記現像ローラで現像された像をスクイーズする第1スクイ
ーズローラと、
前記潜像担持体に当接して前記第1スクイーズローラでスクイーズされた前記像をスク
イーズする第2スクイーズローラと、を備え、
前記第2スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第1スクイーズローラの前記軸方向の
幅より大きいことを特徴とする潜像担持体ユニット。
【請求項2】
前記第2スクイーズローラの前記幅は、前記現像ローラの軸方向の幅よりも大きい請求
項1に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項3】
前記第1スクイーズローラの前記幅は、前記現像ローラの前記幅よりも大きい請求項1
又は2に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項4】
前記第1スクイーズローラと前記第2スクイーズローラとには前記液体現像剤の帯電特
性と同極性のバイアスが印加されるとともに、前記第2スクイーズローラに印加されるバ
イアスの絶対値は、前記第1スクイーズローラに印加されるバイアスの絶対値よりも大き
い請求項1乃至3の何れか1項に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項5】
前記潜像担持体を帯電する帯電部と、前記帯電部で帯電された前記潜像担持体を露光し
て前記潜像を形成する露光部と、を備えるとともに、
前記帯電部の前記軸方向の幅は、前記第2スクイーズローラの前記幅よりも大きい請求
項1乃至4の何れか1項に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項6】
前記第2スクイーズローラでスクイーズされた前記像をスクイーズする第3スクイーズ
ローラを備え、
前記第3スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第2スクイーズローラの前記幅より大
きい請求項1乃至5の何れか1項に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項7】
前記像を前記転写媒体に転写した前記潜像担持体と当接して液体現像剤を除去するクリ
ーニングローラを備え、
前記クリーニングローラの軸方向の幅は、前記第1スクイーズローラの前記幅よりも大
きい請求項1乃至6の何れか1項に記載の潜像担持体ユニット。
【請求項8】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像をトナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像ローラと、
前記潜像担持体に当接して前記現像ローラで現像された像をスクイーズする第1スクイ
ーズローラと、
前記潜像担持体に当接して前記第1スクイーズローラでスクイーズされた前記像をスク
イーズする第2スクイーズローラと、
前記第2スクイーズローラでスクイーズされた像が転写される転写媒体と、を備え、
前記第1スクイーズローラの軸方向の幅は、前記転写媒体の前記軸方向の幅よりも小さ
いとともに、
前記第2スクイーズローラの軸方向の幅は、前記第1スクイーズローラの前記幅より大
きいことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−145901(P2010−145901A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325109(P2008−325109)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】