説明

潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】電子写真方式における静電潜像を担持するための潜像担持体に付与される潤滑剤であって、潤滑性物質と、特定のアミン化合物とを含む潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式に好適な潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高画質化の要求に対して、画像形成に用いられるトナーは小粒径のものが多くなっている。前記小粒径のトナーを用いた画像形成装置では、クリーニングブレードの寸法精度、組み付け精度が十分でなく、クリーニングブレードが部分的に震動した場合に未転写残留トナーのすり抜けが激しくなり、高画質の画像形成を妨げることがある。そのため、安価で機構が簡単なクリーニング性に優れたゴムブレードを用いる方式が一般によく用いられているが、前記ゴムブレードは、潜像担持体に直接押し当てて、潜像担持体表面の残留物を除去するため、前記ゴムブレードと潜像担持体表面との摩擦により、前記潜像担持体表面が磨耗され、キズが生じることで、前記潜像担持体の寿命が短くなることがある。
【0003】
そこで、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性を目的として、潜像担持体の表面に潤滑剤を供給する方法が提案されており、例えば、第1〜第5の手法が知られている(特許文献1〜5参照)。
【0004】
前記第1の手法として、例えば、潤滑剤をクリーニングブレードやブラシなどによって均一に塗布して潤滑剤の皮膜を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、前記提案では、潤滑剤の塗布量が、少なすぎると、潜像担持体の磨耗、傷、ブレード劣化に対して充分な効果を発揮することができず、過剰であると、余剰な潤滑剤が潜像担持体上に蓄積されて像流れが生じ、余剰な潤滑剤が現像剤に混入し、現像剤の性能が落ちるという問題がある。
【0005】
前記第2の手法として、例えば、潤滑剤をトナーに外添することにより、潜像担持体とクリーニングブレード間の摩擦を低下させるとともに、残留トナーのクリーニング性を確保させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、前記提案では、トナー画像が形成された部分でのみ、潤滑剤が潜像担持体に塗布されるため、潜像担持体上で潤滑剤が塗布される部分が偏り、潜像担持体が偏磨耗するという問題、前記偏磨耗により、クリーニングブレードが振動し、耳障りな摩擦音やクリーニング不良が生じるという問題がある。
【0006】
前記第3の手法として、例えば、画像形成開始前にトナーが潜像担持体全面にトナーによる現像が行えるベタ画像を形成し、潜像担持体全面に潤滑剤が供給される方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、前記提案では、現像剤を大量に使用するため、廃トナーが大量に出てしまい環境負荷が非常に大きくなるという問題がある。
【0007】
前記第4の手法として、例えば、廃トナーを防止するために、潤滑剤の塗布量を規定し、金属石鹸のような潤滑剤により潜像担持体表面を覆うことで、帯電手段による放電エネルギーから潜像担持体表面を保護する方法が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、前記提案では、潤滑剤が放電エネルギーを吸収することがあり、潤滑剤の皮膜が劣化するという問題や、劣化した潤滑剤が潜像担持体表面に存在した状態で高温高湿環境下にさらされることにより、帯電器直下で著しい画像ボケが発生するという問題がある。これらの画像ボケが生じる原因について、明確な理由は分かっていないが、劣化した潤滑剤と空気中の水分、更に帯電器から発生する放電生成物が結合して表面が低抵抗化し、静電潜像が流れるために生じると考えられている。
また、特にラジカル重合性化合物が架橋した構造の架橋表面層を有する潜像担持体において、画像ボケが発生しやすいという問題があるが、劣化した潤滑剤が表面から除去されにくく、新しい潤滑剤と置換しにくいためではないかと考えられている。即ち、潤滑剤の塗布量を増加させたとしても、潜像担持体表面に付着している劣化した潤滑剤上に塗布されるため、劣化した潤滑剤の置換には効果がうすいと考えられており、実際、画像ボケがほとんど改善されないことが多く、逆に、潤滑剤の塗布量を減らすことで、多少は画像ボケが改善されるが、潜像担持体表面の摩耗も大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
前記第5の手法として、例えば、潤滑剤の劣化を防止するために、ヒンダードフェノールやヒンダードアミンといった酸化防止剤を潤滑剤中に含有させる方法が提案されている(特許文献5参照)。
しかしながら、前記提案では、潤滑剤の経年変質を抑制する効果は発揮されるものの、高温高湿環境下での画像ボケに対してはあまり有効ではないという問題がある。これは、酸化防止剤が放電エネルギーによって容易に反応し、酸化防止剤自体が劣化(酸化や分解)することで、放電生成物と容易に結合し、画像ボケが誘発されると考えられている。
また、これらの酸化防止剤は、経時でも徐々に酸化されてしまい、潜像担持体表面に塗布されても、放電による劣化を抑制する効果はほとんど発揮できず、このような状態では、放電によって劣化した潤滑剤と経時によって劣化した酸化防止剤のいずれもが画像ボケの要因となってしまう可能性があるとも考えられている。
【0009】
したがって、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置の開発が求められており、これらの画像形成装置の中でも、特に、ラジカル重合性化合物が架橋した構造の架橋表面層を有する高耐久な潜像担持体を用いた画像形成装置では、上記問題がより発生しやすく、速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、潤滑性物質と、後述の一般式(1)、(2)及び(3)の少なくともいずれかで表されるアミン化合物とを含む潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを用いることにより、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 電子写真方式における静電潜像を担持するための潜像担持体に付与される潤滑剤であって、潤滑性物質と、下記一般式(1)、(2)及び(3)の少なくともいずれかで表されるアミン化合物とを含むことを特徴とする潤滑剤である。
【化1】

ただし、前記一般式(1)、(2)及び(3)中、R及びRは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、置換又は無置換のアルキル基、及び置換又は無置換の芳香族炭化水素環基のいずれかを表し、RとRは、互いに結合して窒素原子を含む置換又は無置換の複素環基を形成してもよい。R、R及びRは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。Arは、置換又は無置換の芳香族炭化水素環基、及び置換又は無置換の芳香族複素環基のいずれかを表す。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。k、L及びmは、それぞれ0〜3の整数を表す。
<2> 潤滑性物質が、少なくとも脂肪酸金属塩を含む前記<1>に記載の潤滑剤である。
<3> アミン化合物が、下記構造式(1−1)及び(3−1)のいずれかで表される化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の潤滑剤である。
【化2】

<4> アミン化合物の含有量が、0.1質量%〜40質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<5> アミン化合物の含有量が、10質量%〜25質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<6> 固形状態である前記<1>から<5>のいずれかに記載の潤滑剤である。
<7> 静電潜像を担持するための潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電させるための帯電手段と、前記帯電された潜像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、前記潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、前記<1>から<6>のいずれかに記載の潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を前記潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
<8> 潜像担持体が、導電性支持体上に少なくとも感光層と、架橋表面層とをこの順に有してなり、前記架橋表面層が、少なくとも電荷輸送性構造を有する重合性化合物を用いて硬化形成される前記<7>に記載の画像形成装置である。
<9> 潜像担持体における架橋表面層が、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとを用いて硬化形成される前記<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである前記<9>に記載の画像形成装置である。
<11> 電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造を含む前記<9>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(4)及び(5)の少なくともいずれかで表される前記<11>に記載の画像形成装置である。
【化3】

ただし、前記一般式(4)及び(5)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR11(R11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)、ハロゲン化カルボニル基、及びCONR1213(R12及びR13は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)のいずれかを表す。Ar及びArは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Ar及びArは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有してもよいアリール基を表す。X10は、単結合、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、及びビニレン基のいずれかを表す。Zは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、及びアルキレンオキシカルボニル基のいずれかを表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。
<13> 電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(6)で表される前記<11>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【化4】

ただし、前記一般式(6)中、o、p及びqは、それぞれ0又は1の整数を表す。Raは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。Rb及びRcは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子以外の置換基であり、炭素数1〜6のアルキル基を表す。s及びtは、それぞれ0〜3の整数を表す。Zaは、単結合、メチレン基、エチレン基、及び下記構造式(a)、(b)及び(c)で表される二価基のいずれかを表す。
【化5】

<14> 電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの官能基である前記<9>から<13>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<15> 電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合性官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である前記<9>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<16> 架橋表面層が、フィラーを含む前記<8>から<15>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<17> 架橋表面層におけるフィラーが、無機フィラーである前記<16>に記載の画像形成装置である。
<18> 架橋表面層における無機フィラーが、金属酸化物である前記<17>に記載の画像形成装置である。
<19> 架橋表面層における金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物を含む前記<18>に記載の画像形成装置である。
<20> 帯電手段が、コロナ帯電器を有する前記<7>から<19>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<21> 複数色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する前記<7>から<20>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<22> タンデム型画像形成装置である前記<7>から<21>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<23> 転写手段が、中間転写体に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に担持されたトナー画像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有し、前記一次転写手段により、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、前記二次転写手段により、前記カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する前記<7>から<22>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<24> 静電潜像を担持するための潜像担持体と、前記潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、前記静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、前記潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、前記<1>から<6>のいずれかに記載の潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を前記潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段とを少なくとも1つ有し、画像形成装置本体に着脱可能とすることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来における諸問題を解決でき、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる潤滑剤、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置における潜像担持体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置における潜像担持体の他の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置における潜像担持体の他の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の画像形成装置における潜像担持体の他の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図5】図5は、水酸基を有する電荷輸送性物質の合成例として挙げた電荷輸送性ポリオール(D3−2)のIR測定データである。
【図6】図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布機構の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)の他の例を示す概略図である。
【図11】図11は、図10に示す画像形成装置の部分拡大の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(潤滑剤)
本発明における潤滑剤は、電子写真方式における静電潜像を担持するための潜像担持体に付与される潤滑剤であって、潤滑性物質と、アミン化合物とを含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
【0016】
<潤滑性物質>
前記潤滑性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸金属塩、カルナウバワックスのような天然ワックス、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系の樹脂、メラミンシアヌレート、窒化ホウ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、供給安定性や取り扱いの容易さの点で、固形状態の潤滑性物質が、好ましく、固形状態への形成のしやすさの点で、少なくとも脂肪酸金属塩を含むことが、より好ましい。
【0017】
前記潤滑性物質である脂肪酸金属塩の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、層間のすべりが起こりやすく、良好な潤滑性を発揮することができる点で、直鎖状の炭化水素を有する構造が、好ましい。
【0018】
前記潤滑性物質である脂肪酸金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、滑性が高く、耐候性に優れ、アミン化合物との混合物の取り扱いも容易である点で、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸の中から選択される少なくとも一種の脂肪酸と、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、リチウムの群から選択される少なくとも一種の金属とからなる脂肪酸金属塩が、好ましい。
【0019】
前記潤滑性物質である脂肪酸金属塩の溶融温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常70℃〜150℃の高温で溶解する。
【0020】
前記潤滑性物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜90質量%が好ましく、30質量%〜80質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%が特に好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、潜像担持体の表面の磨耗が大きくなり傷が発生することがあり、90質量%を超えると、画像ボケが発生することがある。一方、前記潤滑性物質の含有量が、特に好ましい範囲であると、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる。
【0021】
<アミン化合物>
前記アミン化合物は、下記一般式(1)、(2)及び(3)の少なくともいずれかで表されるアミン化合物である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化6】

ただし、前記一般式(1)、(2)及び(3)中、R及びRは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、置換又は無置換のアルキル基、及び置換又は無置換の芳香族炭化水素環基のいずれかを表し、RとRは、互いに結合して窒素原子を含む置換又は無置換の複素環基を形成してもよい。R、R及びRは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。Arは、置換又は無置換の芳香族炭化水素環基、及び置換又は無置換の芳香族複素環基のいずれかを表す。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。k、L及びmは、それぞれ0〜3の整数を表す。
【0022】
前記アミン化合物における一般式(1)、(2)及び(3)中のR、R、R、R及びRが有するアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ウンデカニル基などが挙げられる。
【0023】
前記アミン化合物における一般式(1)、(2)及び(3)中のR、R及びArが有する芳香族炭化水素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの芳香族炭化水素環の1価〜6価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0024】
前記アミン化合物における一般式(1)、(2)及び(3)中のR、R及びArが有する芳香族炭化水素環基の置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ウンデカニル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基、芳香環基などが挙げられる。
【0025】
前記アミン化合物における一般式(1)、(2)及び(3)中のR、Rが有する窒素原子を含む置換又は無置換の複素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、インドール、キノリンなどの芳香族複素環基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリニル基などが挙げられる。
【0026】
前記アミン化合物における一般式(1)、(2)及び(3)中のArが有する芳香族複素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなどの芳香族複素環の1価〜6価の芳香族複素環基などが挙げられる。
【0027】
前記アミン化合物における前記一般式(1)で表される化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れる点で、下記構造式(1−1)〜(1−15)で表すアミン化合物が、好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
【化7】

【0029】
【化8】

【0030】
前記アミン化合物における前記一般式(2)で表される化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れる点で、下記構造式(2−1)〜(2−14)で表すアミン化合物が、好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】
前記アミン化合物における前記一般式(3)で表される化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れる点で、下記構造式(3−1)〜(3−20)で表すアミン化合物が、好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
前記アミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れる点で、前記構造式(1−1)、(1−14)、(2−2)、(3−1)及び(3−5)で表されるアミン化合物が、より好ましく、前記構造式(1−1)及び(3−1)が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記アミン化合物としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0039】
前記アミン化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、10質量%〜25質量%が特に好ましい。前記アミン化合物の含有量が、0.1質量%未満であると、脂肪酸金属塩の分解を抑制する効果が小さく、画像ボケの発生を抑制できないことがあり、40質量%を超えると、潤滑剤の成分が不足し、潜像担持体表面の潤滑性が不十分となり、クリーニング不良を引き起こし、転写時の中抜けが起こりやすく、虫食い画像の発生することがあり、また、潤滑剤としての混合固形物がもろくなり、消費量が増大してしまうことがある。一方、前記アミン化合物の含有量が、特に好ましい範囲であると、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができる。
【0040】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化防止機能を向上させるために、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤が挙げられる。
【0041】
前記潤滑剤の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記脂肪酸金属塩と前記アミン化合物とを混合した状態で高温にし、溶解し、任意の金型に流し込んで冷却し、固化させることで、固形潤滑剤を調製する方法が挙げられる。
【0042】
前記潤滑剤の形状としては、潜像担持体表面に塗布することができ、電子写真特性を満たすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形状、液体状、粉体状、半練り状などが挙げられる。これらの中でも、画像形成装置への装着のしやすさや濶滑剤の調製のしやすさの点で、固形状であることが好ましい。
【0043】
本発明の潤滑剤は、潤滑剤付与手段に搭載されて前記潜像担持体の表面に付与される。即ち、潤滑剤付与工程において、潤滑剤付与手段を用いて前記潜像担持体上に潤滑剤を供給、塗布することによって、クリーニングブレードに対する潜像担持体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減し、優れた耐久性(耐摩耗性や耐キズ性など)を維持しつつ中抜けなどの異常画像の発生や、特に高温高湿環境下における画像ボケの発生を抑制し、高品質の画像を安定して提供することができる。
更に、本発明の潤滑剤が、潜像担持体表面に塗布されることで、トナーの離型性も向上し、クリーニングが困難な球形トナーのクリーニングを容易にし、クリーニングブレードと潜像担持体が摺擦するときに発生しやすいブレード鳴きやブレードエッジの摩耗などの不具合を解消することができる。
【0044】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持するための潜像担持体と、前記潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、帯電された潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、前記潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、前記潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を前記潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段とを有し、更に必要に応じて、その他の手段を有してなる。
【0045】
<潜像担持体>
前記潜像担持体は、光吸収波長域の広さ、及び吸収量の大きさ等の光学特性、高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、材料の選択範囲の広さ、製造の容易さ、低コスト、無毒性等の観点から、有機感光体(OPC)が好適に用いられる。
【0046】
前記潜像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と、架橋表面層とをこの順に有してなり、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
【0047】
<<導電性支持体>>
前記導電性支持体としては、導電性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電体又は導電処理をした絶縁体が好適であり、例えば、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属又はこれらの合金、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属、あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙などが挙げられる。
【0048】
前記導電性支持体の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、ドラム状、ベルト状などの形状が挙げられる。これらの中でも、内部に駆動ローラ、従動ローラを設ける必要があるなど装置が複雑化し、大型化する反面、レイアウトの自由度が増すという点で、ベルト状の導電性支持体が、好ましく、保護層を形成する場合は、保護層の可撓性が不足することがあり、表面にクラックとよばれる亀裂が入ること、及び前記クラックの発生により、粒状の地肌汚れが発生することを防止する点で、剛性の高いドラム状の導電性支持体が、好ましい。
【0049】
<<感光層>>
前記感光層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、積層型感光層、単層型感光層などが挙げられる。
【0050】
−複層型感光層−
前記複層型感光層は、少なくとも、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含む電荷発生層、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含む電荷輸送層を有してなり、更に必要に応じて、各層に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤などのその他の成分を含んでなる。
【0051】
−−電荷発生層−−
前記電荷発生層に含まれる電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン又はトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン又はナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記電荷発生層に含まれるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
【0053】
前記電荷発生層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記電荷発生層形成用塗工液を用いて、真空薄膜作製法、溶液分散系からのキャスティング法により、電荷発生層を形成する方法が挙げられる。前記真空薄膜作製法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷発生層形成用塗工液を用いて、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法などにより、電荷発生層を形成する方法が挙げられる。これらの真空薄膜作製法は、前記無機系材料又は有機系材料を用いて、良好に前記電荷発生層を形成することができる。前記キャスティング法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷発生層形成用塗工液を用いて、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより、電荷発生層を形成する方法が挙げられる。
【0054】
前記電荷発生層用塗工液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒中に前記電荷発生物質と、前記バインダー樹脂を分散、溶解して調製することができる。前記電荷発生物質として、有機顔料を用いる場合は、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いる分散方法や、高速液衝突分散方法などにより、前記有機溶媒に分散することができる。
【0055】
前記電荷発生層用塗工液の調製で用いられる有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塗工後の乾燥が容易である点で、沸点が40℃〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールが、好ましい。
【0056】
前記電荷発生層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記電荷発生層の厚みに応じて、電子写真特性、特に光感度が変化し、一般的に厚みが厚いほど光感度が高くなるため、要求される画像形成装置の仕様(スペック)に応じて好適な範囲に設定することが好ましく、電子写真方式の感光体として要求される感度を得るためには、前記電荷発生層の厚みが、0.01μm〜5μmであることが好ましく、0.05μm〜2μmであることがより好ましい。
【0057】
−−電荷輸送層−−
前記複層型感光層における電荷輸送層は、帯電電荷を保持させる目的を達成するために、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、少なくとも、正孔輸送物質、電荷輸送物質を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
【0058】
前記電荷輸送層に含まれる正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられ、電子供与性基を有する重合体として、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、特開平3−109406号公報に記載の電子供与性基を有する架橋重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物などが挙げられる。
【0060】
前記電荷輸送物質であるカルバゾール環を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0061】
前記電荷輸送物質であるヒドラゾン構造を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0062】
前記電荷輸送物質であるポリシリレン重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0063】
前記電荷輸送物質であるトリアリールアミン構造を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平5−40350号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0064】
前記電荷輸送層に含まれるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
【0065】
前記電荷輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、近年の高画質化の要求による電荷輸送層を薄膜化の観点、及び1,200dpi以上の高画質化を達成する観点から、5μm〜30μmがより好ましい。
【0066】
前記電荷輸送層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記電荷輸送物質、及び前記バインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成することができる。
【0067】
−単層型感光層−
前記単層型感光層は、少なくとも、前記電荷発生物質、前記電荷輸送物質、前記バインダー樹脂を含み、更に必要に応じて、前記その他の成分を含んでなる。
【0068】
前記単層型感光層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも、前記電荷発生物質、前記バインダー樹脂、及び前記電荷輸送物質、並びに必要に応じて可塑剤を、適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布、乾燥するというキャスティング法により形成する方法が挙げられる。
【0069】
前記単層型感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましい。前記単層型感光層の厚みが、5μm未満であると、帯電性が低下することがあり、100μmを超えると、感度の低下をもたらすことがある。
【0070】
<<架橋表面層>>
前記架橋表面層は、感光層の上に形成される層をいうが、前記積層型感光層を有する場合は、電荷輸送層、又は該電荷輸送層上に形成された保護層のこという場合、及び前記単層型感光層を有する場合は、前記感光層、又は該感光層上に形成された保護層のことをいう場合がある。
前記架橋表面層は、高い耐摩耗性と良好な静電特性を得る目的で、少なくとも、電荷輸送性構造を有する重合性化合物を含み、更に必要に応じて、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー、及びその他の成分を含んでなる。
【0071】
−電荷輸送性構造を有する重合性化合物−
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、及び縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有する。前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物であることが好ましく、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などのラジカル重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。
【0072】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物の具体例としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(D1−1)〜(D1−9)、(D2−1)〜(D2−7)及び(D3−1)〜(D3−6)で表される化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
【化14】

【0074】
【化15】

【0075】
【化16】

【0076】
【化17】

【0077】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れる点で、水酸基、ケトン基等の官能基を1官能以上有することが好ましく、前記構造式(D1−6)〜(D1−9)で表される化合物等の電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
−−電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物−−
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トリアリールアミン構造を有するものが好ましく、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される点で、下記一般式(4)及び(5)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
【0079】
【化18】

ただし、前記一般式(4)及び(5)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR11(R11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)、ハロゲン化カルボニル基、及びCONR1213(R12及びR13は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)のいずれかを表す。Ar及びArは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Ar及びArは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有してもよいアリール基を表す。X10は、単結合、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、及びビニレン基のいずれかを表す。Zは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、及びアルキレンオキシカルボニル基のいずれかを表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。
【0080】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のR10で示される置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。これらの中でも、水素原子、メチル基が、好ましい。
【0081】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArとしては、アリーレン基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述のAr、Arで表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
【0082】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArとしては、アリール基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基、複素環基などが挙げられ、置換基を有してもよい。
【0083】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArである縮合多環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものが好ましく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基などが挙げられる。
【0084】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArである非縮合環式炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基などが挙げられる。
【0085】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArである複素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基が挙げられる。
【0086】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArであるアリール基が有する置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、下記一般式(f)で表される置換基、アルキレンジオキシ基、アルキレンジチオ基、置換基を有してもよいスチリル基、置換基を有してもよいβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基などが挙げられる。
【0087】
【化19】

ただし、前記式(f)中、R15及びR16は、各々独立に水素原子、前記Ar及びArの置換基であるアルキル基と同じアルキル基、又はアリール基を表す。
【0088】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArのアリール基が有する置換基のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、C〜C12のアルキル基が好ましく、C〜Cのアルキル基がより好ましく、C〜Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基が特に好ましい。これらのアルキル基には、更に、フッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。これらの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基などが挙げられる。
【0089】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr及びArのアリール基が有する置換基のアルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(−OR14)で表されるアルコキシ基が挙げられる。なお、R14は前記Ar、Arの置換基であるアルキル基を表す。これらの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基などが挙げられる。
【0090】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr、Arのアリール基が有する置換基のアリールオキシ基におけるアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリールオキシ基のアリール基は、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基、ハロゲン原子を置換基として含有してもよい。これらの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
【0091】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr、Arのアリール基が有する置換基のメルカプト基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基などが挙げられる。これらの具体的としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基などが挙げられる。
【0092】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr、Arのアリール基が有する置換基の前記一般式(f)におけるアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基、ハロゲン原子を置換基として含有してもよい。これらのアリール基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基などが挙げられる。なお、前記一般式(f)におけるR15及びR16は共同で環を形成してもよい。
【0093】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のAr、Arのアリール基が有する置換基のアルキレンジオキシ基、アルキレンジチオ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンジオキシ基、メチレンジチオ基などが挙げられる。
【0094】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のX10としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単結合、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基などが挙げられる。
【0095】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のX10であるアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、C〜C12のアルキレン基が好ましく、C〜Cのアルキレン基がより好ましく、C〜Cの直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が特に好ましい。これらのアルキレン基には、更に、フッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基及びC〜Cのアルコキシ基のいずれかで置換されたフェニル基などを有していてもよい。前記アルキレン基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基などが挙げられる。
【0096】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のX10であるシクロアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C〜Cの環状アルキレン基が挙げられる。前記環状アルキレン基は置換基を有してもよく、環状アルキレン基の置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基などが挙げられる。これらの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基などが挙げられる。
【0097】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のX10であるアルキレンエーテル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、−CHCHO−基、−CHCHCHO−基、−(OCHCH−O−基、又は−(OCHCHCH−O−基などが挙げられる。なお、前記h、iは、それぞれ1〜4の整数を表す。また、前記アルキレンエーテル基のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
【0098】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のX10であるビニレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(g)、(h)で示される基などが挙げられる。
【0099】
【化20】

ただし、前記一般式(g)及び(h)中、R17は、水素原子、前記Ar、Arの置換基であるアルキル基と同じアルキル基、前記Ar、Arの置換基であるアリール基と同じアリール基を表す。aは、1又は2を表す。bは、1〜3を表す。
【0100】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のZとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0101】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のZであるアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
【0102】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のZであるアルキレンエーテル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
【0103】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)中のZであるアルキレンオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプロラクトン変性基が挙げられる。
【0104】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(4)及び(5)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。
【0105】
【化21】

ただし、前記一般式(6)中、o、p及びqは、それぞれ0又は1の整数を表す。Raは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。Rb及びRcは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子以外の置換基であり、炭素数1〜6のアルキル基を表す。s及びtは、それぞれ0〜3の整数を表す。Zaは、単結合、メチレン基、エチレン基、及び下記構造式(a)、(b)及び(c)で表される二価基のいずれかを表す。
【0106】
【化22】

【0107】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である一般式(6)中のRb、Rcの置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メチル基、エチル基が好ましい。
【0108】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を用いることにより、潜像担持体が、良好な電気的特性を有し、長期間にわたり高画質化を実現することができる。これは、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、架橋結合間にペンダント状に固定化することに起因する。これに対して、官能基を有さない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こりやすいため、感度の低下、残留電位の上昇など繰り返し使用における劣化が著しくなる場合が多く、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れることが多く、あまり好ましくない。
【0109】
前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である、前記一般式(4)及び前記一般式(5)、特に前記一般式(6)で表される化合物を用いた場合、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合により架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)に存在する。つまり、1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物が主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため、立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であることから、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。そのため、前記架橋表面層は、クラック等の発生がなくかつ電気特性に優れる。
【0110】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3540056号公報に開示された合成方法が挙げられる。下記に、前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物である前記構造式(D1−3)及び(D3−2)で表される化合物を例に挙げて、その合成例を示す。
【0111】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物(前記構造式(D1−3)で表される化合物)である4−ヒドロキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベン)の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)4−メトキシベンジルホスホン酸ジエチルを合成した後、これを用いて、(2)4−メトキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベンを合成し、これを用いて、目的物である(3)4−ヒドロキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベンを合成する方法が挙げられる。
【0112】
【化23】

【0113】
前記(1)における4−メトキシベンジルホスホン酸ジエチルの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4−メトキシベンジルクロリドと亜リン酸トリエチルを150℃で5時間反応させた後、減圧蒸留により、過剰な亜リン酸トリエチルと副生物のエチルクロリドを留去することにより合成する方法が挙げられる。
【0114】
前記(2)における4−メトキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベンの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、等モルの前記4−メトキシベンジルホスホン酸ジエチルと、4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンズアルデヒドとをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、水冷下撹拌しながら、tert−ブトキシカリウムを少しずつ添加し、室温で5時間撹拌後、水を添加して、酸性にして析出した目的物の粗収物を得て、シリカゲルによるカラムクロマトグラフにより精製することにより合成する方法が挙げられる。
【0115】
前記(3)における4−ヒドロキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベンの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記4−メトキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベンと二倍当量のナトリウムエタンチオラートとをN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、130℃で5時間反応させた後、冷却して水に開け、塩酸で中和し、酢酸エチルで目的物を抽出し、抽出液を水洗、乾燥、溶媒留去して得られる粗収物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフにより精製することにより合成する方法が挙げられる。
【0116】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物(前記構造式(D3−2)で表される化合物)である1、2−ジヒドロキシ−3−[4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベン−4−イルオキシ]プロパン)の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、かき混ぜ装置、温度計、冷却管、滴下漏斗をつけた反応容器に、前記4−ヒドロキシ−4’−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベン11.75g、グリシジルメタクリレート4.35g、トルエン8mLを入れ、90℃に昇温した後、トリエチルアミン0.16gを加え、95℃で8時間加熱撹拌した。その後、トルエン16mL、10%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、更に95℃で8時間加熱撹拌して、反応させ、前記反応終了後、酢酸エチルで希釈し、酸洗浄後水洗してから溶媒を留去して得られる粗収物19gをシリカゲルによるカラムクロマトグラフ(溶媒:酢酸エチル)により精製することにより合成する方法が挙げられる。なお、下記構造式(D3−2)で表される目的物1、2−ジヒドロキシ−3−[4‘−(ジ−p−トリルアミノ)スチルベン−4−イルオキシ]プロパン(OH当量:232.80、収量9.85g、黄色結晶、融点127〜128.7℃)のIR測定データを図5に示す。
【0117】
【化24】

【0118】
前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋表面層の電荷輸送性能を付与することを考慮して、架橋表面層全量に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮して、35質量%〜65質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがあり、80質量%を超えると、前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が低下して架橋結合密度の低下を招き、高い耐摩耗性が発揮されないことがある。
【0119】
−電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー−
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、及び縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、かつ、ラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーをいう。
【0120】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンオキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、エチレンオキシ変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシ変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、エチレンオキシ変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
【0121】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基(ラジカル重合性官能基)であれば何れでもよく、例えば、下記に示す、1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基などが挙げられる。
【0122】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である1−置換エチレン官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(d)で表される官能基が挙げられる。
【0123】
【化25】

ただし、前記一般式(d)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R)−基(Rは、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。)、又は−S−基を表す。
【0124】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)中のアリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
【0125】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)中のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
【0126】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)中のアラルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
【0127】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)中のアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0128】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)で表される官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
【0129】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である1,1−置換エチレン官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(e)で表される官能基が挙げられる。
【0130】
【化26】

ただし、前記一般式(e)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR基(Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は−CONR(R及びRは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)を表す。)Xは、上記式(d)のXと同一の置換基、単結合、及びアルキレン基を表す。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方が、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
【0131】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(e)中のアラルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジル、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられる。
【0132】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(e)中のアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0133】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(e)中のアルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
【0134】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(e)で表される官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
【0135】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基である前記一般式(d)、(e)中のX、X、Yにおける置換基に更に置換される置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0136】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。前記ラジカル重合性官能基であるアクリロイルオキシ基を3個以上有する化合物、及び前記ラジカル重合性官能基であるメタクリロイルオキシ基を3個以上有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、前記ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でもあってもよく、異なっていてもよい。
【0137】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が好ましい。前記割合が、250を超える場合、架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくない。
【0138】
前記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋表面層全量に対し、20質量%〜80質量%が好ましく、使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮して、35質量%〜65質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ、飛躍的な耐摩耗性向上が達成されないことがあり、80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じることがある。
【0139】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー微粒子が好適に挙げられ、表面処理剤、バインダー樹脂、溶媒、化矯正樹脂を含有させてもよく、塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与を目的として、1官能のラジカル重合性モノマー、2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどを含有させてもよい。また、硬化反応(架橋反応)を効率よく進行させることを目的として、重合開始剤を添加してもよく、応力緩和や接着性向上の目的として、可塑剤、レベリング剤、ラジカル反応性を有さない低分子電荷輸送物質などの添加剤を添加してもよい。
【0140】
−−フィラー微粒子−−
前記フィラー微粒子は、耐摩耗性を著しく向上し、潜像担持体の長寿命化が達成されること、及び架橋表面層に微細な凹凸が形成され、特にステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩からなる潤滑剤の塗布性が高くなり、クリーニング性や転写性が向上することを目的として、含有させることができる。
【0141】
前記フィラー微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機性フィラー材料、無機性フィラー材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機性フィラー材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末などの有機材料が挙げられる。
前記無機性フィラー材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。
これらの中でも、フィラーの硬度の点で、無機材料が好ましく、前記ラジカル重合性モノマーと前記ラジカル重合性化合物とを用いてなる3次元の網目構造を形成させた架橋性表面層の耐摩耗性が著しく向上する点で、金属酸化物無機フィラー微粒子が好ましく、金属酸化物が潜像担持体の静電特性への副作用が小さく良好に用いられる点で、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンが好ましく、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなどの微粒子も好ましい。
【0142】
前記フィラー微粒子の平均一次粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面層の光透過率や耐摩耗性の点で、0.01μm〜0.5μmが好ましい。前記平均一次粒径が、0.01μm未満であると、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こすことがあり、0.5μmを超えると、塗工液(分散液)中においてフィラーの沈降性が促進されたり、画像形成装置中での潜像担持体表面へのトナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
【0143】
前記フィラー微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高いほど耐摩耗性が高くなるので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合があるため、概ね全固形分に対して、5質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜30質量%以下がより好ましい。
【0144】
前記フィラー微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フィラーの分散性の点で、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが好ましい。なお、前記フィラーの分散性の低下は、残留電位上昇のような静電特性への悪影響を引き起こすだけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
【0145】
−−表面処理剤−−
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来用いられている表面処理剤を使用することができ、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、フィラーの分散性及び画像ボケの点で、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、及び高級脂肪酸、又はこれらとシランカップリング剤との混合処理剤、Al、TiO、ZrO、シリコーン、及びステアリン酸アルミニウム、又はこれらの混合処理剤がより好ましい。なお、前記シランカップリング剤は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
【0146】
前記表面処理剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、3質量%未満であると、フィラーの分散効果が得られないことがあり、30質量%を超えると、残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
【0147】
−−バインダー樹脂−−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、フィラー微粒子を分散させてなる架橋表面層(保護層)に用いられるものであり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0148】
−−溶媒−−
前記溶媒は、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有する電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを含有する塗工液の調製の際に使用されるものである。
【0149】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0150】
前記溶媒の希釈率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により、任意で決定する。
【0151】
前記溶媒の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート法などが挙げられる。
【0152】
−−架橋性樹脂−−
前記架橋性樹脂としては、表面の保護や高い耐摩耗性を達成させることができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0153】
−−1官能のラジカル重合性モノマー−−
前記1官能のラジカルモノマーとしては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
【0154】
−−2官能のラジカル重合性モノマー−−
前記2官能のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0155】
−−機能性モノマー−−
前記機能性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、及び特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート、メタクリレートなどが挙げられる。
【0156】
−−ラジカル重合性オリゴマー−−
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
【0157】
前記1官能のラジカル重合性モノマー、2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招くため、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
【0158】
−−重合開始剤−−
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
【0159】
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0160】
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などの光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記光重合開始剤は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどの光重合促進効果を有するものを単独、又は前記光重合開始剤と併用して用いることができる。
【0161】
前記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ラジカル重合性化合物とラジカル重合性モノマーとの総含有量100質量部に対し、0.5質量部〜40質量部が好ましく、1質量部〜20質量部がより好ましい。
【0162】
−−可塑剤−−
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般の樹脂に使用されるものが挙げられる。
【0163】
前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗工液の総固形分に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0164】
−−レベリング剤−−
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するオリゴマーなどが挙げられる。
【0165】
前記レベリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗工液の総固形分に対し、3質量%以下が適当である。
【0166】
<<架橋表面層の形成方法>>
前記架橋表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとを用いて、加熱硬化により、3次元の網目構造を形成させる方法が好ましい。前記材料として、官能基を有さない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させると、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下することがある。また、前記架橋表面層の形成に用いられる材料として、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は、複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため、硬化樹脂中に歪みが発生し、架橋表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生が頻発する場合がある。一方、前記材料として、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとを少なくとも含有する場合、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、前記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれるため、架橋度が非常に高い高硬度な表面層が得られ、より高い耐摩耗性が達成される。
【0167】
前記架橋表面層の形成における硬化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとを含む塗工液を塗布後、外部から光エネルギーを与えることにより硬化させる方法が挙げられる。
【0168】
前記架橋表面層の形成における硬化方法で用いられる光エネルギーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯、紫外光に発光波長をもつメタルハライドランプなどのUV照射光源が挙げられるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせて、可視光光源を使用することもできる。
【0169】
前記架橋表面層の形成における硬化の際のラジカル重合による架橋反応としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度によってその反応性が大きく影響を受けるため、光照射時の塗膜の表面温度が、20℃〜170℃に維持することが好ましい。なお、塗膜の表面温度制御手段は、前述の温度範囲を維持できれば何れの方法でもよいが、熱媒体を用いて温度を制御する方法が好ましい。
【0170】
前記架橋表面層の形成方法の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記架橋性樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合、前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物とイソシアネート化合物とを加熱硬化させる方法により、好適な架橋表面層が形成される。前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、イソシアネート化合物と架橋してウレタン結合を有する架橋層の形成や、シラノール化合物と架橋してシロキサン結合を有する架橋層の形成をすることができる。
【0171】
前記架橋表面層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜30μmが好ましく、2μm〜20μmがより好ましく、4μm〜15μmが特に好ましい。前記架橋表面層の厚みが、1μm未満であると、キャリア付着などが起こった場合の潜像担持体表面へのめりこみ量に対して膜厚が小さすぎるため、十分な耐久性を確保できないことが多く、30μmを超えると、残留電位の上昇などの不具合を発生させてしまうことがある。したがって、摩耗や傷に対する余裕度の確保と残留電位の発生が少なくなるような好適な膜厚で架橋表面層を形成する必要がある。
【0172】
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導電性支持体と前記感光層との間に、必要に応じて下引き層を設けてもよい。
【0173】
前記下引き層は、接着性の向上、モアレなどの防止、上層の塗工性改良、残留電位の低減などを目的として設けられる層である。
【0174】
前記下引き層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、主成分として樹脂を含む層が好適に挙げられ、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用してゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層、Alを陽極酸化した層、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法により設けた層などが挙げられる。
【0175】
前記下引き層に含まれる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂の上に、溶剤を用いて感光層を塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂が、好ましい。
【0176】
前記下引き層に含まれる耐溶解性の高い樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
【0177】
前記下引き層に含まれるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末などが挙げられる。
【0178】
前記下引き層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な溶媒を用いて慣用される塗工法によって形成することができる。
【0179】
前記下引き層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
【0180】
<潜像担持体の形成方法>
前記潜像担持体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、調製した塗工液をスプレー等により塗布、指触乾燥を経て、光照射により硬化させた後、残留溶媒低減のために、100℃〜150℃で、10分間〜30分間加熱することにより、形成する方法が挙げられる。
【0181】
前記潜像担持体の形成で用いる塗工液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとして3個のアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物として1個のアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物とを、7:3〜3:7の割合で混合して得られるアクリレート化合物の全量に対して、前記重合開始剤を3質量%〜20質量%添加し、前記溶媒を加えて塗工液を調製する方法が挙げられる。
【0182】
前記潜像担持体の形成で用いる塗工液の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂としてポリカーボネートを用い、スプレー塗工により架橋表面層を形成する場合は、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチルなどが好ましい。
【0183】
前記潜像担持体の形成で用いる塗工液の溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリレート化合物全量に対し、3倍量〜10倍量であることが好ましく、硬化し、作製された表面架橋層は、有機溶媒に対して、不溶であることが好ましい。なお、硬化が充分でない膜は、有機溶媒に対して、可溶であり、且つ架橋密度が低いため、機械的耐久性も低くなる。
【0184】
前記潜像担持体の形成をUV照射で用いるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタルハライドランプが挙げられる。
前記潜像担持体の形成をUV照射により行う際の照度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mW/cm〜1000mW/cmが好ましく、例えば、700mW/cmのUV光を照射する場合、硬化に際して、ドラムを回転して全ての面を均一に2分程度照射する。なお、このとき熱媒体を用いて、表面温度が高くなり過ぎないように制御する。
【0185】
前記潜像担持体の形成の際の硬化反応の促進方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱時やUV光照射時の雰囲気の酸素濃度を著しく低くすることにより硬化反応を促進する方法が好ましい。また、このときUV光照射時には、回転しつつUV光照射を受けるが、UV光が当たる部分だけでなく、UV光が当たらない部分も含めて、周りの雰囲気の酸素濃度を下げることがより好ましい。これによりラジカル重合反応時の酸素阻害を著しく低減できるため、より架橋密度が高い表面層を得ることができる。
【0186】
前記潜像担持体の形成の際にスプレー塗工を用いる場合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗工設備内も窒素で満たして酸素濃度を下げた雰囲気下で塗工し、指触乾燥を行うことが好ましい。
【0187】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、帯電手段により、本発明の画像形成装置に搭載した前記潜像担持体表面を帯電させる工程である。
前記帯電手段は、帯電器を備える帯電部材を用いて、前記潜像担持体の表面に電圧を印加することにより、前記潜像担持体の表面を一様に帯電させる手段である。
【0188】
前記帯電手段で用いられる帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した公知の非接触帯電器(コロナ帯電器)などが挙げられる。これらの中でも、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる点で、接触式の帯電器が好ましく、また、前記潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって潜像担持体表面を帯電する帯電器、前記潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置される帯電ローラに、直流及び交流電圧を重畳印加することで潜像担持体表面を帯電する帯電器が好ましく、コロナ帯電器がより好ましい。
【0189】
前記帯電手段で用いられる帯電部材の形状としては、特に制限はなく、画像形成装置の仕様や形態にあわせて適宜選択することができ、例えば、ローラ状、磁気ブラシ状、ファーブラシ状などが挙げられる。前記磁気ブラシとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子が挙げられ、前記磁気ブラシの支持体として、非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールが挙げられる。前記ファーブラシとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーブラシが挙げられ、前記ファーブラシの支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属や他の導電処理された芯金などが挙げられ、前記ファーブラシを前記支持体に巻き付けたり、張り付けたりすることで帯電器とすることができる。
【0190】
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、露光手段により、一様に帯電された潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する工程である。
前記露光手段は、一様に帯電された潜像担持体表面を、像様に露光する露光器により、露光して静電潜像の形成を行う手段である。
【0191】
前記露光手段で用いられる露光器としては、前記潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。なお、前記潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0192】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像(トナー画像)を形成する工程である。
前記現像手段は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像することにより、前記可視像を形成する手段である。
【0193】
前記現像手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー乃至現像剤のいずれかを該現像手段の内部に供給する供給手段と、前記現像手段に収容された前記トナー乃至現像剤のいずれかを該現像手段の外部に排出する排出手段とを有する現像器が、好ましい。
【0194】
前記現像手段で用いられる現像器としては、前記トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、乾式現像方式の現像器、湿式現像方式の現像器、単色用現像器、多色用現像器などが挙げられ、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に前記現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなる現像器が、好ましい。
【0195】
前記現像手段で用いられる現像剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一成分現像剤、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤などが挙げられる。これらの中でも、二成分現像剤が好ましい。
前記現像手段で用いられる現像剤に含まれるトナーとしては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂、着色剤、及び外添剤を少なくとも含むトナーが挙げられ、離型剤、帯電制御剤などを含むトナーが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含んでもよく、二色以上のトナー、フルカラートナーがより好ましい。
【0196】
前記現像手段で用いられる現像器の内部では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤が混合攪拌される際の摩擦により、前記トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。前記マグネットローラは、前記潜像担持体近傍に配置されているため、前記マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって前記潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記露光工程にて形成された静電潜像が該トナーにより現像されて該潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0197】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、転写帯電器を用いて前記潜像担持体を帯電する転写手段により、前記前記可視像を記録媒体に転写する工程である。
前記転写手段は、中間転写体に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に担持されたトナー画像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有し、前記一次転写手段により、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせて可視像(カラー画像)を形成し、前記二次転写手段により、前記可視像を記録媒体上に一括で二次転写する手段である。
【0198】
前記転写手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。
【0199】
前記転写手段で用いられる中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができるが、転写ベルトが好ましい。
【0200】
前記転写手段で用いられる転写器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0201】
前記転写手段で用いられる記録媒体としては、現像後の未定着像を転写することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、OHP用のPETベースなどが好適に挙げられる。
【0202】
<潤滑剤付与工程及び潤滑剤付与手段>
前記潤滑剤付与工程は、潤滑剤付与手段によって前記潜像担持体上に前記潤滑剤を供給して塗布することにより、クリーニングブレードに対する潜像担持体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減する工程である。
前記潤滑剤付与手段は、前記潤滑剤が潜像担持体表面に塗布されることで、クリーニングが困難な球形トナーのクリーニングを容易にし、クリーニングブレードと潜像担持体が摺擦するときに発生しやすいブレード鳴きやブレードエッジの摩耗といった不具合を解消することができる手段である。更に、トナーの離型性が向上して、中抜けなどの異常画像の発生を抑制することもできる。
【0203】
<その他の手段>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着手段、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
【0204】
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を、定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着部材と該定着部材を加熱する熱源を有するものが挙げられる。
前記定着手段で用いられる定着部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点、及び定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せが、好ましい。
【0205】
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記潜像担持体に対し除電バイアスを印加し、除電光を照射して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、前記潜像担持体の表面電荷を除電できれば、特に制限はなく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電バイアスを印可する帯電器や除電ランプなどが好適に挙げられる。
【0206】
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、前記潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどの公知のクリーナが好適に挙げられる。
【0207】
前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードの材質としては、前記摩擦係数の低い弾性体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性のウレタン樹脂が好ましく、耐摩耗性、耐オゾン性、耐汚染性の観点から、ウレタンエラストマーがより好ましい。なお、エラストマーにはゴムも含まれる。
【0208】
前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードの硬度(JIS−A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、65度〜85度が好ましい。
【0209】
前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.8mm〜3.0mmが好ましく、前記クリーニングブレードの突き出し量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3mm〜15mmであることが好ましく、前記クリーニングブレードにおける当接圧、当接角度、食い込み量などのその他の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。
【0210】
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段が挙げられる。
【0211】
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータなどの機器が挙げられる。
【0212】
ここで、本発明の画像形成装置について、図を参照して説明する。
図1〜4は、本発明の画像形成装置における潜像担持体の一例を示す概略図である。
図1は、本発明で好ましく用いられる潜像担持体の層構成例を示す模式断面図を示しており、潜像担持体における支持体201上に感光層202を設けた構成を有する。
図2は、本発明で好ましく用いられる潜像担持体の他の層構成例を示すものであり、感光層が電荷発生層(CGL)203と、電荷輸送層(CTL)204より構成される機能分離型タイプのものである。
図3は、本発明で好ましく用いられる潜像担持体の他の層構成例を示すものであり、支持体201と電荷発生層(CGL)203との間に下引き層205を入れ、下引き層205上に、機能分離型タイプの感光層を積層したタイプのものである。
図4は、本発明で好ましく用いられる潜像担持体の他の層構成例を示すものであり、電荷輸送層204の上に保護層206を積層したタイプのものである。
なお、本発明で好ましく用いられる潜像担持体は、支持体201上に感光層を少なくとも有していれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わないが、潜像担持体の表面層が架橋樹脂からなるものが好ましく、特に、少なくとも電荷輸送性構造を有する重合性化合物を用いて硬化形成された架橋表面層からなるものが好ましい。
【0213】
図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図6に示す画像形成装置は、ドラム状の潜像担持体1、帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ100、分離チャージャ111、クリーニング前チャージャ113、及び潜像担持体表面に潤滑剤を供給して塗布する潤滑剤塗布ユニット130から構成されている。
【0214】
図6に示す潜像担持体1の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、各種チャージャとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド ステート チャージャ)、接触配置、又はギャップテープや端部に段差を設けるなどの手段によって潜像担時体との間にギャップを有して近接配置された帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図示するような転写前チャージャ7と分離チャージャ111とを併用したものが効果的である。
【0215】
図6に示す画像露光部5、除電ランプ2等の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。かかる光源等は、図6に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、潜像担持体に光を照射することができる。
【0216】
図6に示す現像ユニット6により潜像担持体1上に現像されたトナー画像は、転写紙(記録媒体)9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、潜像担持体1上にトナーが残存する。このような残存トナーがクリーニングされずに、次の複写プロセスが行われる場合、帯電不良や露光による静電潜像形成時の不具合が発生してしまう。そのため、一般的にはクリーニング手段を用いて未転写残留トナーを除去する必要がある。
【0217】
図6に示すクリーニング手段としては、クリーニングブラシ114又はクリーニングブレード115単独又は組み合わせて行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。なお、符号8はレジストローラ、112は分離爪を示す。このような潜像担持体に当接するクリーニング手段は、トナー除去性能は高いが、当然のことながら、潜像担持体に機械的ハザードを与え、潜像担持体表面層の摩耗を引き起こす。
【0218】
図7は、潤滑剤付与手段の別の例を図示したものである。
図7では、棒状にした潤滑剤(固形物)119をクリーニングブラシ114に押し当てており、該クリーニングブラシ114が回転する際に潤滑剤を掻き取り、ブラシに付着した潤滑剤が潜像担持体の表面に塗布される仕組みとなっている。前記潤滑剤には前述の潤滑剤を用いる。図中、符号115はクリーニングブレードを示す。本発明に好適に用いられる保護層を有する潜像担持体は、架橋表面層の耐摩耗性が著しく高いため、表面に当接するクリーニング手段を有する画像形成装置においても、安定して良好な画像を出力することができる。
図7に示す潤滑剤付与手段をクリーニングユニット120に備えることで、ドラム周りのレイアウト設計が容易になったり、装置を簡略化することができるなどのメリットがある反面、クリーニングされたトナーに潤滑剤が多量に混入するためトナーリサイクルが困難になったり、ブラシのクリーニング効率が低下するなどの不具合が発生する場合もある。また、図示を省略しているが、潤滑剤付与手段を有した塗布ユニットをクリーニングユニットと別に独立して設けることで、上記不具合を解消することもできる。その場合、塗布ユニットは、クリーニングユニットの下流に設けることが好ましい。更に、塗布ユニットを複数箇所に設け、それらを同時、又は順次働かせることで、潤滑剤の塗布効率を高め、消費量をコントロールするなどの効果を持たせることができる。
【0219】
図8は、本発明による画像形成装置を用いた別のプロセスの例を示す概略図である。
図8に示す潜像担持体122は、駆動ローラ123により駆動され、帯電チャージャ129による帯電、像露光光源132による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ帯電器125を用いる転写、潤滑剤塗布ユニット130による潤滑剤付与、潤滑剤均しブレード131による潤滑剤塗布量均一化、クリーニングブラシ126によるクリーニング、除電光源128による除電が繰返し行われる。図中、符号124は転写ローラ、127は従動ローラを示す。
【0220】
図9は、本発明のフルカラー画像形成装置の概略構成図である。
図9に示す潜像担持体ドラム156は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ153によって一様帯電せしめられた後、図示しないレーザ光学装置から発せられるレーザ光(露光)Lの走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、潜像担持体ドラム156上にはイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。
【0221】
図9に示す潜像担持体ドラム156の左側には、リボルバ現像ユニット250が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を潜像担持体ドラム156に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを付着せしめて静電潜像を現像するものである。潜像担持体ドラム156上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成され、これらはリボルバ現像ユニット250の各現像器によって順次現像されてイエローのトナー画像、マゼンタのトナー画像、シアンのトナー画像、ブラックのトナー画像となる。
【0222】
図9において、前記現像位置よりも潜像担持体ドラム156の回転下流側に中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ159a、転写手段たる中間転写バイアスローラ157、二次転写バックアップローラ159b、ベルト駆動ローラ159cによって張架している中間転写ベルト158を、ベルト駆動ローラ159cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめる。潜像担持体ドラム156上で現像されたイエローのトナー画像、マゼンタのトナー画像、シアンのトナー画像、ブラックのトナー画像は、潜像担持ドラム156と中間転写ベルト158とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ157からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト158上に重ね合わせて一次転写されて、4色重ね合わせのトナー画像となる。このような中間転写ベルトを用いてトナー像を重ね合わせる中間転写方式は、電子写真感光体と中間転写体との相対的な位置決めが比較的容易でかつ正確に行えるため、色ずれに対して有利であることから、高画質なフルカラー画像を得るには有効な手段であるといえる。
【0223】
図9に示す回転に伴って中間転写ニップを通過した潜像担持体ドラム156表面は、ドラムクリーニングユニット155によって未転写残留トナーがクリーニングされる。このドラムクリーニングユニット155は、ファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシによって未転写残留トナーをクリーニングするものであるが、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラや、クリーニングブレードなどを単独又は組み合わせて用いるものであってもよい。なお、図9では、クリーニングユニット155を潤滑剤塗布部材としても用いている。
【0224】
図9に示す未転写残留トナーがクリーニングされた潜像担持体ドラム156表面は、除電ランプ154によって除電せしめられる。除電ランプ154には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
【0225】
図9に示す中間転写ユニットの下側には、転写搬送ベルト162と転写バイアスローラ163、駆動ローラ等各種ローラからなる転写ユニットが配設されており、これの図9中左側には、紙搬送ベルト164、定着ユニット165が配設されている。転写ユニットは、無端移動する転写ベルトは、図示しない移動手段によって、図9中上下方向に移動するようになっていてもよく、少なくとも、中間転写ベルト158上の1色トナー画像(イエロートナー画像)や、2色又は3色重ね合わせトナー画像が二次転写バイアスローラ163との対向位置を通過する際には、中間転写ベルト158に接触しない位置まで待避移動する。そして、中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー画像の先端が二次転写バイアスローラ163との対向位置に進入してくる前に、中間転写ベルト158との接触位置まで移動して二次転写ニップを形成する。一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体160を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対161は、記録媒体160を中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー画像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト158上の4色重ね合わせトナー画像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ163からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体160上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体160上にはフルカラー画像が形成される。そして、フルカラー画像が形成された記録媒体160は、転写搬送ベルト162によって紙搬送ベルト164に送られる。搬送ベルト164は、転写ユニットから受け取った記録媒体160を定着装置165内に送り込む。
【0226】
図9に示す定着装置165は、送り込まれた記録媒体160を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。記録媒体160上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて記録媒体160上に定着せしめられる。なお、図示を省略しているが、転写搬送ベルト162や紙搬送ベルト164には、記録媒体160を吸着させるためのバイアスが印加されていてもよい。また、記録媒体160を除電する紙記録媒体除電チャージャや、各ベルト(中間転写ベルト158、転写搬送ベルト162、搬送ベルト164)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されていてもよい。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット155と同様の構成のベルトクリーニングユニットを備えていてもよく、これによって中間転写ベルト158上の未転写残留トナーをクリーニングする。
【0227】
図10に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。また、図11は、図10に示す画像形成装置の部分拡大の一例を示す概略図である。
図10に示すタンデム画像形成装置は、画像形成装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
図10に示す画像形成装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラa(14)、支持ローラb(15)及び支持ローラc(16)に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラb(15)の近傍には、中間転写体50上の未転写残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラa(14)と支持ローラb(15)とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器170が配置されている。タンデム型現像器170の近傍には、露光装置21が配置されている。
【0228】
図10に示す中間転写体50における、タンデム型現像器170が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。なお、図10のタンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0229】
図10において、タンデム型現像器170を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台31上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0230】
図10において、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器170における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。図中、符号26は定着ベルト、27は加圧ローラ、51は手差しトレイ、52は分離ローラを示す。
【0231】
即ち、図10に示すタンデム型現像器170における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11に示すように、それぞれ、潜像担持体10(ブラック用潜像担持体10K、イエロー用潜像担持体10Y、マゼンタ用潜像担持体10M及びシアン用潜像担持体10C)と、該潜像担持体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記潜像担持体を露光(図11中、L)し、該潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器(一次転写帯電器)62と、潜像担持体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。
こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラa(14)、支持ローラb(15)及び支持ローラc(16)により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(複合転写像)が形成される。
【0232】
一方、図10に示す給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ110で搬送して画像形成装置本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ51上の記録媒体(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0233】
そして、図10に示す中間転写体50上に合成された合成カラー画像(複合転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録媒体(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(複合転写像)を記録媒体(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。図10中、符号26は定着ベルト、27は加圧ローラを示す。
【0234】
図10において、カラー画像が転写され形成された前記記録媒体(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(複合転写像)が該記録媒体(記録紙)上に定着される。その後、該記録媒体(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0235】
図10に示すタンデム方式による画像形成装置は、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。更に、図10のプリンタは中間転写方式も採用しており、本発明の電子写真感光体を搭載することで、色ずれの少ない高品質なフルカラー画像を非常に高速に、長期間繰返し、安定して出力することができる。
【0236】
なお、図11中、符号65は現像スリーブ、66は攪拌部、67は現像部、68は攪拌スクリュ、69は仕切り板、70は現像ケース、71はトナー濃度センサ、72は現像ローラ、73はドクタブレード、74は潤滑剤、75はクリーニングブレード、76はクリーニングブラシ、77は電界ローラ、78はスクレーバ、79は回収スクリュ、80はトナーリサイクル装置を示す。
【0237】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、前記画像形成装置本体に着脱可能であり、前記潜像担持体と、前記帯電手段と、前記潜像形成手段と、前記現像手段と、前記転写手段と、前記潜像担持体の表面に前記潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0238】
ここで、前記プロセスカートリッジについて、図を用いて詳細に説明する。図12は、本発明で用いられるプロセスカートリッジの一例を示す概略図を示すものである。
図12に示すように、本発明のプロセスカートリッジは、潜像担持体(電子写真感光体)101を内蔵し、帯電器102、現像手段104、クリーニング手段109を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。103は露光手段(潜像形成手段)、105は記録媒体、110は搬送ローラである。図12においては、潤滑剤付与手段を備えたクリーニングユニットとなっており、クリーニング手段109のクリーニングブラシ108に潤滑剤106を押し当てて、該クリーニングブラシによって潤滑剤を供給し、クリーニングブレード107が潤滑剤均しブレードを兼ねている。
【実施例】
【0239】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0240】
<合成例>
まず、実施例の潜像担持体を作製するため、電荷輸送性構造を有する重合性化合物を合成した。
【0241】
(合成例1)
電荷輸送性構造を有する重合性化合物として、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である下記構造式(D1−6)で表される化合物を合成した。前記電荷輸送性構造を有する重合性化合物は、例えば、特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
【化27】

【0242】
まず、下記構造式Aで表される化合物(メトキシ基置換トリアリールアミン化合物)113.85g(0.3mol)、及びヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)に、スルホラン240mLを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式(B)で表される化合物(ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物)を得た(白色結晶、収量:88.1g、収率:80.4%、融点:64.0℃〜66.0℃)。なお、得られた前記構造式Bで表される白色結晶の元素分析値を、計算値と併せて、表1に示す。
【化28】

【0243】
【表1】

【0244】
前記構造式Bで表される化合物(ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物)82.9g(0.227mol)を、テトラヒドロフラン400mLに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100mL)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液に水を注ぎ、トルエンにて抽出し、この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。そして、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルに、n−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして、前記電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物である前記構造式(D1−6)で表される化合物を得た(白色結晶、収量:80.73g、収率:84.8%、融点:117.5℃〜119.0℃)。なお、得られた前記構造式(D1−6)で表される化合物の白色結晶の元素分析値を、計算値と併せて、表2に示す。
【0245】
【表2】

【0246】
(合成例2)
電荷輸送性構造を有する重合性化合物として、電荷輸送性構造を有する2官能の重合性化合物である下記構造式(D2−4)で表される化合物を合成した。
まず、目的化合物の構造に必要な誘導体を用い、上記の合成例と同様の反応経路により、下記構造式(D2−3)(ヒドロキシαフェニルスチルベン誘導体({4−[2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ビニル]−フェニル}−ジ−p−トルイル−アミン)を合成した。
【化29】

【0247】
前記構造式(D2−3)で表される化合物33.9gと、炭酸カリウム35gとを撹拌装置の付いた反応容器に入れ、DMAc120mLと、ニトロベンゼン3mLとを加えて溶解させた。次いで2−ブロモエタノール70.5gを滴下注入し、100℃で18時間反応させた。その後、室温まで冷却し、不溶物を除き、トルエンで希釈し、トルエン溶液を食塩水及び水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。その後、濾過してトルエンを留去し、目的物の粗収物39.6gを得た。その後、シリカゲルを充填したカラムを用いジクロロメタン/酢酸エチル(20/1〜3/1)の混合溶媒を展開溶媒としたカラムクロマトにより精製し、さらにトルエン/シクロヘキサン(2/1)の混合溶媒にて二回再結晶精製し、前記電荷輸送性構造を有する2官能の重合性化合物である下記構造式(D2−4)で表される化合物(2−(4−{2−[4−(ジ−p−トルイル−アミノ)フェニル−]−1−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−ビニル}−フェノキシ)−エタノール)を得た(黄色結晶、OH当量:285.86、収量:22.3g、融点:178.5〜179.0℃)。
【化30】

【0248】
<潤滑剤の調製>
実施例1〜44、及び比較例1〜4は、表5に示す潤滑性物質及びアミン化合物を含む潤滑剤を、実施例45〜64は、表6に示す潤滑性物質及びアミン化合物を含む潤滑剤を調製した。各実施例及び比較例で用いた潤滑剤の調製について、以下に記載する。
【0249】
(実施例1)
<潤滑剤の調製>
まず、潤滑性物質としてステアリン酸亜鉛90質量部に、アミン化合物として前記構造式(1−1)で表される化合物10質量部を配合し、これらを140℃で攪拌しながら溶融した。140℃で予熱した幅8mm×深さ8mm×長さ500mmのキャビティを有するアルミ製金型のキャビティ内に、上記溶融液を注入した。注入後、予熱した断熱蓋を型上部に設置した。次いで、金型を室温の条件下に置き、金型温度が50℃になるまで放冷した。2時間後、金型から固化した成形品を取り出した。その後、成形品を、幅8mm×厚み11mm×長さ380mmの形状に加工し、画像形成装置(RICOH Pro C900、株式会社リコー製)に搭載可能な潤滑剤を得た。これを、画像形成装置(RICOH Pro C900、株式会社リコー製)に搭載されている潤滑剤塗布部材用板金(金属製支持体)に、既存の潤滑剤に替えて両面テープで接着した。なお、脂肪酸金属塩を溶融するために加熱する温度は、各脂肪酸金属塩の融点より、およそ15℃〜30℃高い温度とした。
【0250】
(実施例2〜64)
<潤滑剤の調製>
実施例1において、表5に記載の潤滑性物質、及びアミン化合物、並びにこれらの含有量としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜44の潤滑剤を調製し、表6に記載の潤滑性物質、及びアミン化合物、並びにこれらの含有量としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例45〜64の潤滑剤を調製した。
【0251】
(比較例1)
<潤滑剤の調製>
実施例1において、アミン化合物を含有させなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の潤滑剤を調製した。
【0252】
(比較例2〜4)
<潤滑剤の調製>
実施例1において、アミン化合物を表3に示す酸化防止剤に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2〜4の潤滑剤を調製した。
【0253】
【表3】

【0254】
<潜像担持体の作製>
実施例1〜44、及び比較例1〜4は、表5に示す潜像担持体を、実施例45〜64は、表6に示す潜像担持体を用いた。各実施例及び比較例で用いた潜像担持体の作製について、以下に記載する。また、潜像担持体の架橋表面層における組成を表4に示す。
【0255】
(製造例1)
<潜像担持体1の作製>
<<下引き層の形成>>
アルミニウム(Al)製支持体(外径100mmφ)に、下記組成の下引き層用塗工液を用いて、130℃で20分乾燥後の厚みが3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
−下引き層用塗工液の組成−
・アルキッド樹脂 6質量部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 4質量部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン 40質量部
(CR−EL、石原産業社製)
・メチルエチルケトン 50質量部
【0256】
<<電荷発生層の形成>>
上記形成した下引き層上に、下記組成の電荷発生層塗工液を用いて浸漬塗工し、90℃で20分加熱乾燥させ、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷発生層用塗工液の組成−
・Y型チタニルフタロシアニン 6質量部
・ブチラール樹脂 4質量部
(BX−1:積水化学工業社製)
・2−ブタノン 200質量部
【0257】
<<電荷輸送層の形成>>
この電荷発生層上に、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて浸積塗工し、135℃で20分加熱乾燥させ、厚み22μmの電荷輸送層を形成した。
−電荷輸送層用塗工液の組成−
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10質量部
・下記構造式(VI)の低分子電荷輸送物質 10質量部
・テトラヒドロフラン 80質量部
【化31】

【0258】
<<架橋表面層の形成>>
この電荷輸送層上に下記組成の架橋表面層用塗工液1を窒素気流中でスプレー塗工後、10分間窒素気流中に放置して指触乾燥を実施した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV光照射ブースにて、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:700mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で20分乾燥を加えて厚み8μmの架橋表面層を設けた。以上により、潜像担持体1を作製した。
−架橋表面層用塗工液1の組成−
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10質量部
(トリメチロールプロパントリアクリレート)
(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物 10質量部
(前記合成例1で合成した前記構造式(D1−6)で表される化合物)
・光重合開始剤 1質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・1%UV硬化型レベリング剤のテトラヒドロフラン溶液 5質量部
(アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートとの混合物)
(商品名:BYK−UV 3570、ビックケミー社製)
・テトラヒドロフラン 100質量部
【0259】
(製造例2)
<潜像担持体2の作製>
製造例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211、KAYARAD DPCA−60、日本化薬社製)に変更した以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体2を作製した。
【0260】
(製造例3)
<潜像担持体3の作製>
製造例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーをジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325、KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)に変更した以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体3を作製した。
【0261】
(製造例4)
<潜像担持体4の作製>
製造例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記構造式(D1−7)で表される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物10質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体4を作製した。
【化32】

【0262】
(製造例5)
<潜像担持体5の作製>
製造例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記構造式(D1−8)で表される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物10質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体5を作製した。
【化33】

【0263】
(製造例6)
<潜像担持体6の作製>
製造例1において、架橋表面層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を、下記構造式(D1−9)で表される電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物10質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体6を作製した。
【化34】

【0264】
(製造例7)
<潜像担持体7の作製>
製造例1において、前記架橋表面層用塗工液1を、架橋表面層用塗工液2に変更し、前記架橋表面層用塗工液2をスプレー塗工し、1分間自然乾燥した後、メタルハライドランプを用い、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:45秒の条件で光照射を行い、塗布膜を硬化させ、130℃で20分乾燥を加えて4μmの架橋表面層を設けたこと以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体7を作製した。
−架橋表面層用塗工液2の組成−
・フィラー(アルミナ微粒子) 3質量部
(平均一次粒径:0.3μm、住友化学工業社製)
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー 0.06質量部
(BYK−P104;BYKケミー社製)
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5質量部
(トリメチロールプロパントリアクリレート)
(SR−351、サートマー社製)
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5質量部
(ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート)
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬株式会社製)
・電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物 10質量部
(前記合成例1で合成した前記構造式(D1−6)で表される化合物)
・光重合開始剤 1質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 100質量部
【0265】
(製造例8)
<潜像担持体8の作製>
製造例7において、架橋表面層用塗工液に含有されるフィラーであるアルミナ微粒子を、シリカ微粒子(KMPX100、信越化学製)に変えた以外は、製造例7と同様にして、潜像担持体8を作製した。
【0266】
(製造例9)
<潜像担持体9の作製>
製造例7において、架橋表面層用塗工液に含有されるフィラーであるアルミナ微粒子を、酸化チタン微粒子(CR−97、石原産業製)に変えた以外は、製造例7と同様にして、潜像担持体9を作製した。
【0267】
(製造例10)
<潜像担持体10の作製>
製造例1において、前記架橋表面層用塗工液1を、表面層用塗工液3に変更し、前記表面層用塗工液3をスプレー塗工により電荷輸送層上に塗布し、150℃で20分乾燥して、5μmの表面層を設けたこと以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体10を作製した。
−表面層用塗工液3の組成−
・フィラー(アルミナ微粒子) 3質量部
(平均一次粒径;0.3μm、住友化学工業社製)
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー 0.06質量部
(BYK−P104、BYKケミー製)
・ポリカーボネート 10質量部
(Zポリカ、帝人化成社製)
・ジブチルヒドロキシトルエン(BHT) 0.06質量部
・酸化防止剤 0.20質量部
(サノールLS−2626、三共株式会社製)
・シクロヘキサノン 70質量部
・テトラヒドロフラン 230質量部
【0268】
(製造例11)
<潜像担持体11の作製>
製造例1において、前記架橋表面層用塗工液1を、架橋表面層用塗工液4に変更し、前記架橋表面層用塗工液4をスプレー塗工後、1分間自然乾燥し、その後、150℃で30分間加熱し、5μmの表面架橋層を設けたこと以外は、製造例1と同様にして、潜像担持体11を作製した。
−架橋表面層塗工液4−
・ポリオール 20質量部
(スチレン、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート
からなるスチレン−アクリル共重合体(固形分41質量%))
(LZR−170、藤倉化成社製)
・電荷輸送性構造を有する2官能の重合性化合物 20質量部
(前記合成例2で合成した前記構造式(D2−4)で表される化合物)
・イソシアネート 38質量部
(トリレンジイソシアネートのポリオールアダクト体(固形分75%))
(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 5質量部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・シクロヘキサノン 50質量部
・テトラヒドロフラン 200質量部
【0269】
【表4】

【0270】
<評価>
実施例1〜64、及び比較例1〜4の潤滑剤及び潜像担持体を、表5及び表6に示す組み合わせで用い、フルカラープリンタ(RICOH Pro C900、株式会社リコー製)の改造機のブラックステーションに搭載し、以下のようにして、画像ボケ、耐摩耗性、耐キズ性を評価した。実施例1〜44、及び比較例1〜4の結果を表5に、実施例45〜64の結果を表6に示す。
【0271】
−画像ボケ評価−
27℃で、85%RH環境下、画像面積率が5%であるブラック単色のテストチャートを5,000枚連続出力し、その後、画像形成装置本体の電源を切る。24時間経過した後、画像形成装置本体の電源を投入し、1,200dpi 2by2のブラック単色の全面ハーフトーン画像を出力し、画像ボケによるカスレの有無を、下記基準により、評価した。
[評価基準]
◎:画像ボケ発生せず。
○:帯電器直下にわずかに画像ボケが発生した。実用上はほとんど問題ないレベル。
△:帯電器直下とその周辺にわずかに画像ボケが発生したが、実用上許容できるレベル。
×:帯電器直下のみならず、画像形成装置奥側の周方向ほぼ全面に画像ボケが発生し、許容できないレベル。
【0272】
−耐キズ性評価−
耐摩耗性評価実施後の潜像担持体表面の、副走査方向(ドラム周方向)のスジ状のキズの有無を目視で観察し、下記基準により、評価した。キズが多いほど、潤滑剤の塗布性が良好でなく、潜像担持体表面の保護性が低いと考えられる。
[評価基準]
◎:キズが発生せずに、潤滑剤の塗布性が良好であるレベル。
○:わずかにキズが発生するレベル
△:キズが発生するが、実用上許容できるレベル。
×:キズが発生し、実用上許容できないレベル。
【0273】
−耐摩耗性評価−
25℃で、50%RH環境下、画像面積率が15%であるブラック単色のテストチャートを10万枚連続出力するランニング試験を行った。この、ランニング試験前後の感光層の厚みを、渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS;フィッシャー社製)で測定し、10万枚連続出力による感光層の摩耗量を算出した。なお、感光層の膜厚は、潜像担持体ドラムの任意の主走査方向(ドラム軸方向)に上端50mmの位置から10mm間隔で330mmまで測定した平均値とし、ランニング前後で同じ箇所が測定できるようにマーキングしておく。摩耗量が少ないほど、潤滑剤の塗布性が良好で、潜像担持体表面の保護性が高いと考えられる。
【0274】
【表5】

【0275】
本発明の構成とされた実施例1〜64の画像形成装置は、潤滑剤を塗布しつつ5,000枚の画像を作像下後、高温高湿環境下に24時間放置しても、画像ボケが発生しにくくなっていることがわかる。また、実施例1、9〜11、及び実施例23、31〜36を比較してみると、画像ボケ抑制とアミン化合物含有量が密接に関係している様子が観察できる。また、耐摩耗性や耐キズ性も、実使用上問題とはならないレベルを維持しており、アミン化合物を含有したことによる潤滑性への副作用も小さいことが確認できる。
これに対して、潤滑剤中にアミン化合物を含有しなかった比較例1、及び酸化防止剤1〜3を含有させた比較例2〜4の画像形成装置では、同様の評価において、画像ボケが発生した。この理由としては、放電生成物による潤滑性材料の劣化を抑制できなかったか、あるいは酸化防止剤自体が劣化してしまい、画像ボケの要因となってしまった可能性が考えられるが、いずれにしても、本発明の画像形成装置で確認された画像ボケ抑制効果は発揮されなかった。
なお、潤滑性物質として脂肪酸金属塩を含まない実施例21及び22では、形成時に、端部の削れが確認された。
【0276】
【表6】

【0277】
本発明の構成とされた実施例45〜49、54、及び実施例55〜59、64の画像形成装置は、潜像担持体の表面層の構成材料を変えても、画像ボケが発生しにくくなっている。また、実施例50〜53、及び実施例60〜63のように、表面層に微粒子を含有させることにより、潤滑剤の塗布性が高くなり、耐摩耗性が向上した潜像担持体を搭載した場合においても、画像ボケの副作用を極力抑制し、著しい耐摩耗性や耐キズ性を発揮していることがわかった。
【0278】
以上のように、本発明の潤滑剤を潜像担持体の表面に付与する画像形成装置とすることにより、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐久性を著しく向上させることができ、長期間にわたって、安定して、高画質な画像を出力できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0279】
本発明は、高温高湿環境下においても、画像ボケを発生することなく、潜像担持体の耐摩耗性、及び耐キズ性に優れ、長期間にわたって安定した高画質な画像を出力することができるため、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式に好適な画像形成装置、及びこれに用いられるプロセスカートリッジに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0280】
1 潜像担持体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙(記録媒体)
10 潜像担持体
10K ブラック用潜像担持体
10Y イエロー用潜像担持体
10M マゼンタ用潜像担持体
10C シアン用潜像担持体
14 支持ローラa
15 支持ローラb
16 支持ローラc
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光装置
22 二次転写装置
23 一対のローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
31 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器(一次転写帯電器)
63 潜像担持体クリーニング装置
64 除電器
65 現像スリーブ
66 攪拌部
67 現像部
68 攪拌スクリュ
69 仕切り板
70 現像ケース
71 トナー濃度センサ
72 現像ローラ
73 ドクタブレード
74 潤滑剤
75 クリーニングブレード
76 クリーニングブラシ
77 電界ローラ
78 スクレーバ
79 回収スクリュ
80 トナーリサイクル装置
100 転写チャージャ
101 潜像担持体(電子写真潜像担持体)
102 帯電器
103 露光手段(潜像形成手段)
104 現像手段
105 記録媒体
106 潤滑剤
107 クリーニングブレード
108 クリーニングブラシ
109 クリーニング手段
110 搬送ローラ
111 分離チャージャ
112 分離爪
113 クリーニング前チャージャ
114 クリーニングブラシ
115 クリーニングブレード
119 潤滑剤(固形物)
120 クリーニングユニット
122 潜像担持体
123 駆動ローラ
124 転写ローラ
125 転写チャージャ帯電器
126 クリーニングブラシ
127 従動ローラ
128 除電光源
129 帯電チャージャ
130 潤滑剤塗布ユニット
131 潤滑剤均しブレード
132 像露光光源
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
148 給紙路
150 画像形成装置本体
153 帯電チャージャ
154 除電ランプ
155 ドラムクリーニングユニット
156 潜像担持体ドラム
157 中間転写バイアスローラ
158 中間転写ベルト
159a 張架ローラ
159b 二次転写バックアップローラ
159c ベルト駆動ローラ
160 記録媒体
161 レジストローラ対
162 転写搬送ベルト
163 転写バイアスローラ
164 紙搬送ベルト
165 定着ユニット
170 タンデム型現像器
200 給紙テーブル
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層(CGL)
204 電荷輸送層(CTL)
205 下引き層
206 保護層
250 リボルバ現像ユニット
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
L レーザ光(露光)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0281】
【特許文献1】特開2000−162881号公報
【特許文献2】特開2002−229241号公報
【特許文献3】特開2003−241570号公報
【特許文献4】特開2008−139804号公報
【特許文献5】特開2004−258177号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式における静電潜像を担持するための潜像担持体に付与される潤滑剤であって、
潤滑性物質と、下記一般式(1)、(2)及び(3)の少なくともいずれかで表されるアミン化合物とを含むことを特徴とする潤滑剤。
【化1】

ただし、前記一般式(1)、(2)及び(3)中、R及びRは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、置換又は無置換のアルキル基、及び置換又は無置換の芳香族炭化水素環基のいずれかを表し、RとRは、互いに結合して窒素原子を含む置換又は無置換の複素環基を形成してもよい。R、R及びRは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。Arは、置換又は無置換の芳香族炭化水素環基、及び置換又は無置換の芳香族複素環基のいずれかを表す。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。k、L及びmは、それぞれ0〜3の整数を表す。
【請求項2】
潤滑性物質が、少なくとも脂肪酸金属塩を含む請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項3】
アミン化合物が、下記構造式(1−1)及び(3−1)のいずれかで表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の潤滑剤。
【化2】

【請求項4】
アミン化合物の含有量が、0.1質量%〜40質量%である請求項1から3のいずれかに記載の潤滑剤。
【請求項5】
アミン化合物の含有量が、10質量%〜25質量%である請求項1から3のいずれかに記載の潤滑剤。
【請求項6】
固形状態である請求項1から5のいずれかに記載の潤滑剤。
【請求項7】
静電潜像を担持するための潜像担持体と、
前記潜像担持体の表面を帯電させるための帯電手段と、
前記帯電された潜像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、
前記潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、
請求項1から6のいずれかに記載の潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を前記潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
潜像担持体が、導電性支持体上に少なくとも感光層と、架橋表面層とをこの順に有してなり、前記架橋表面層が、少なくとも電荷輸送性構造を有する重合性化合物を用いて硬化形成される請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
潜像担持体における架橋表面層が、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとを用いて硬化形成される請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造を含む請求項9から10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(4)及び(5)の少なくともいずれかで表される請求項11に記載の画像形成装置。
【化3】

ただし、前記一般式(4)及び(5)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR11(R11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)、ハロゲン化カルボニル基、及びCONR1213(R12及びR13は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)のいずれかを表す。Ar及びArは、互いに同一であってもよいし、異なってもよく、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。Ar及びArは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有してもよいアリール基を表す。X10は、単結合、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、及びビニレン基のいずれかを表す。Zは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルキレンエーテル基、及びアルキレンオキシカルボニル基のいずれかを表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。
【請求項13】
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(6)で表される請求項11から12のいずれかに記載の画像形成装置。
【化4】

ただし、前記一般式(6)中、o、p及びqは、それぞれ0又は1の整数を表す。Raは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。Rb及びRcは、互いに同一でもよいし、異なっていてもよく、水素原子以外の置換基であり、炭素数1〜6のアルキル基を表す。s及びtは、それぞれ0〜3の整数を表す。Zaは、単結合、メチレン基、エチレン基、及び下記構造式(a)、(b)及び(c)で表される二価基のいずれかを表す。
【化5】

【請求項14】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの官能基である請求項9から13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの重合性官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である請求項9から14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
架橋表面層が、フィラーを含む請求項8から15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
架橋表面層におけるフィラーが、無機フィラーである請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
架橋表面層における無機フィラーが、金属酸化物である請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
架橋表面層における金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物を含む請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
帯電手段が、コロナ帯電器を有する請求項7から19のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
複数色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する請求項7から20のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
タンデム型画像形成装置である請求項7から21のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項23】
転写手段が、中間転写体に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に担持されたトナー画像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有し、前記一次転写手段により、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、前記二次転写手段により、前記カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する請求項7から22のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項24】
静電潜像を担持するための潜像担持体と、
前記潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
前記静電潜像を現像してトナー画像を形成するための現像手段と、
前記潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写体に転写させる転写手段と、
請求項1から6のいずれかに記載の潤滑剤を搭載し、該潤滑剤を前記潜像担持体の表面に付与する潤滑剤付与手段と
を少なくとも1つ有し、画像形成装置本体に着脱可能とすることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−116996(P2012−116996A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269799(P2010−269799)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】