説明

潤滑剤組成物

潤滑剤組成物は、ディーゼルエンジンにおける使用に好適であり、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による分解に対して抵抗性がある。該組成物は、(A)基油と、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤と、(C)少なくとも1つの酸化防止剤とを含む。酸化防止剤(C)は、硫黄含有フェノール酸化防止剤、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤およびそれらの組合せからなる群から選択される。潤滑剤組成物は、1つの方法を使用して形成される。該方法において、(A)基油は、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有する。また、該方法において、潤滑剤組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含む潤滑剤組成物が測定された場合に、ASTM D 6186に従って測定された最終酸化値が(A)基油の初期酸化値以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般には、基油および2つの酸化防止剤を含む潤滑剤組成物に関する。より具体的には、潤滑剤組成物は、基油と、少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤と、少なくとも1つの硫黄含有フェノール酸化防止剤および/またはフェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤とを含む。
【0003】
関連技術の説明
潤滑剤組成物は、全般的に当該技術分野で周知であり、油性または水性組成物、すなわち大質量百分率の非極性化合物または大質量百分率の水を含む組成物に大別される。潤滑剤組成物は、典型的には、エンジン油、動力伝達システム油、ギヤ油、自動および手動トランスミッション液および油、作動油、工業用ギヤ油、タービン油、錆および酸化(R&O)抑制油、圧縮機油、抄紙機油等にさらに分類される。これらの組成物の各々は、特定の規格および設計要件を有する。しかしながら、ほとんどは、腐食および摩耗を最小限に抑え、熱的および物理的分解に抵抗し、酸化化合物および金属断片などの一般的な汚染物質の影響を最小限に抑えることが可能である。
【0004】
典型的には、性能特性を向上させるために安定剤が潤滑剤組成物に添加される。多くの場合、組成物およびその中に存在する様々な化合物の酸化分解を抑制するために酸化防止剤が利用される。ディーゼルエンジンでは、例えば、エンジンの燃焼室の高温および窒素酸化物の存在は、組成物の酸化を促進する傾向がある。実際、窒素酸化物は、酸化触媒として作用する。
【0005】
当該技術分野で良く認識されているように、バイオディーゼル燃料は、急速に重要な再生可能エネルギー源になりつつある。バイオディーゼル燃料を(希釈せずに)燃料自体として採用することができ、または従来の石油ディーゼル燃料と併用することができる。バイオディーゼル燃料の物理特性および化学安定性は、脂肪酸組成および含有量に左右される。植物油から誘導されるバイオディーゼル燃料は、飽和アルキル基より酸化しやすい不飽和アルキル基を含みがちである。その結果、バイオディーゼル燃料は、ディーゼルエンジンにおける酸化性副産物の生成および蓄積を伴う傾向がある。
【0006】
ディーゼル燃料を使用すると、典型的には、一定量の未消費(すなわち未燃焼)および/または酸化劣化燃料がピストンリングおよびシールを通って潤滑油溜に入る。この現象は、当該技術分野では「吹き抜け」として知られる。従来のディーゼル燃料およびバイオディーゼル燃料は、ともにこの現象を被りやすく、その結果として潤滑油溜に蓄積する傾向がある。従来のディーゼル燃料は、油溜に蓄積する傾向があるが、通常は蒸発するために蓄積しない。一方、バイオディーゼル燃料は、蒸留および沸騰温度が従来のディーゼル燃料より高いため、蒸発量が少ないことにより油溜に蓄積する傾向がある。場合によっては、バイオディーゼル燃料は、従来のディーゼル燃料が蒸発すると油溜の中で高濃度になる。このような理由により、バイオディーゼル燃料の酸化の結果として生成される酸化性副産物は、また、油溜において蓄積され、かつ/または高濃度になる。これらの酸化性副産物は、油溜を流れる潤滑剤組成物の性能に直接影響を及ぼす。多くの潤滑剤組成物は酸化防止剤を含むが、これらの酸化防止剤は、従来、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物を中和するのに不十分かつ無効である。その結果、潤滑剤組成物およびディーゼルエンジンの性能および耐久性が損なわれている。よって、バイオディーゼルの酸化性副産物による劣化に抵抗性がある改良型潤滑剤組成物を開発する機会が残されている。
【0007】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明の他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と合わせて検討しながら参照することによってその理解が深まるため、容易に理解されるであろう。
【0008】
図1は、ASTM D 6186による高荷重エンジン油(HDEO)の高圧示差走査熱分析(DSC)試験の結果を示す線グラフである。HDEOは、バイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成大豆メチルエステルおよび様々な質量百分率の実施例の酸化防止剤混合物A〜Eを含む。酸化誘導時間(分)が、HDEOに添加される混合物の質量百分率に対してプロットされている。図1に示される結果は、ASTM D 6186によるHDEO自体の初期酸化値以上のHDEO/バイオディーゼル組合せの最終酸化値を達成することに対する様々な混合物の効果が異なることを実証している。
【0009】
図2は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【0010】
図3は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【0011】
図4は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【0012】
図5は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成大豆メチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【0013】
図6は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図2と同様である。
【0014】
図7は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図3と同様である。
【0015】
図8は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図4と同様である。
【0016】
図9は、SAE 040793に記載されている手順による高負荷エンジン油(HDEO)の粘度試験の結果を示す線グラフである。HDEOは、バイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成大豆メチルエステルおよび様々な質量百分率の実施例の酸化防止剤混合物A〜Eを含む。HDEO/バイオディーゼル組合せの375%の粘度の増加を達成するのに必要な時間が、HDEOに添加される混合物の質量百分率に対してプロットされている。図9に示される結果は、SAE 040793による粘度を増加させるための時間数の増大に対する様々な混合物の効果が異なることを実証している。
【0017】
図10は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【0018】
図11は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【0019】
図12は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【0020】
図13は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成大豆メチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【0021】
図14は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図10と同様である。
【0022】
図15は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図11と同様である。
【0023】
図16は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図12と同様である。
【0024】
発明の概要および効果
本発明は、ディーゼルエンジンにおける使用に好適であり、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による分解に対して抵抗性がある潤滑剤組成物を提供する。潤滑剤組成物は、(A)基油と、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤と、(C)硫黄含有フェノール酸化防止剤、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの酸化防止剤とを含む。本発明は、また、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による分解に対する抵抗性を向上させることによって潤滑剤組成物の性能を向上させるための方法に関する。該方法は、(A)基油を用意する工程と、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤を用意する工程と、(C)少なくとも1つの酸化防止剤を用意する工程とを含む。該方法は、また、(A)と(B)と(C)とを混合して潤滑剤組成物を形成する工程を含む。該方法において、(A)基油は、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有する。加えて、該方法において、潤滑剤組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含む組成物が測定された場合に、ASTM D 6186に従って測定された最終酸化値が(A)基油の初期酸化値以上である。酸化防止剤(B)および(C)は、(A)基油および潤滑剤組成物全体を補助し、潤滑剤組成物がバイオディーゼル燃料の酸化性副産物による分解に抵抗することを可能にする。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、ディーゼルエンジンにおける使用に好適であり、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による分解に対して抵抗性がある潤滑剤組成物を提供する。様々な実施形態において、潤滑剤組成物は、さらに完全調合潤滑油、あるいは代替的にエンジン油と記載され得る。一実施形態において、「完全調合潤滑油」という用語は、最終的な商品油である全最終組成物を指す。この最終的な商品油は、例えば、洗剤、分散剤、酸化防止剤、消泡性添加剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、耐摩耗性添加剤、摩擦調節剤および他の慣例の添加剤を含むことができる。当該技術分野において、エンジン油は、以下に記載される基油および性能添加剤(以下に記載の(B)および(C)を含まない)を含むものと記載され得る。潤滑剤組成物は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されているものであってもよい。
【0026】
潤滑剤組成物(以降「組成物」と称する)は、(A)基油を、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤ならびに(C)硫黄含有フェノール酸化防止剤、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの酸化防止剤に加えて含む。(A)、(B)および(C)の各々を以下により詳細に記載する。
【0027】
基油:
基油は、特に限定されず、天然および合成潤滑油ならびにそれらの組合せなどの潤滑粘度の1つまたは複数の油として定義され得る。一実施形態において、基油は、さらに潤滑油として定義される。別の実施形態において、基油は、さらに潤滑粘度の油として定義される。さらに別の実施形態において、基油は、さらに、自動車およびトラックエンジン、二行程エンジン、航空ピストンエンジンならびに海上および鉄道ディーゼルエンジンを含む閃光着火および圧縮着火内燃機関のためのクランクケース潤滑油として定義される。あるいは、基油は、さらに、ガスエンジン、固定パワーエンジンおよびタービンに使用される油として定義され得る。基油は、さらに高または軽荷重エンジン油として定義され得る。一実施形態において、基油は、さらに高荷重ディーゼルエンジン油として定義される。あるいは、基油は、例えば、それぞれ全体が参考として本明細書で明示的に援用される、米国特許第6,787,663号およびU.S.2007/0197407に開示されている潤滑粘度の油または潤滑油として記載され得る。開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国出願第61/231,468号に記載されている基油であり得るとも考えられる。
【0028】
基油は、さらに基本原料油として定義され得る。あるいは、基油は、さらに、同じ製造者の規格を満たし、独自の処方、製造識別番号またはその両方によって識別される、(供給源または製造者の場所に無関係に)同じ規格に従って単一製造者によって製造される成分として定義され得る。蒸留、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化および再精製を含むが、それらに限定されない様々な異なる方法を使用して製造または誘導することができる。再精製原料は、典型的には、製造、混入または前の使用を通じて導入された材料を実質的に含まない。一実施形態において、基油は、さらに、当該技術分野で既知である基本原料スレートとして定義される。
【0029】
あるいは、基油を水素化分解、水素添加、水素化仕上、精製および再精製油またはそれらの混合物から誘導することができ、基油は、1つまたは複数の当該油を含むことができる。一実施形態において、基油は、さらに天然もしくは合成油および/またはそれらの組合せなどの潤滑粘度の油として定義される。天然油としては、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)、ならびにパラフィン、ナフテンまたはパラフィン−ナフテン混合油などの液体石油および溶媒処理もしくは酸処理ミネラル潤滑油が挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
様々な他の実施形態において、基油は、さらに、石炭またはシェールから誘導される油として定義され得る。好適な油の非限定的な例としては、重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、ポリ(1−ヘキサン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)およびそれらの混合物);アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラドデシルベンゼン、ジノニルベンゼンおよびジ(2−エチルヘキシル)−ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニルおよびアルキル化ポリフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびそれらの誘導体、類似体および相同体が挙げられる。
【0031】
さらに他の実施形態において、基油は、さらに、1つまたは複数の酸化アルキレンポリマーおよび共重合体、ならびに末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化または類似の反応によって変性されたそれらの誘導体を含むことができる合成油として定義され得る。典型的には、これらの合成油は、さらに反応して油を形成することができるポリオキシアルキレンポリマーを形成する酸化エチレンまたは酸化プロピレンの重合を介して製造される。例えば、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリールエーテル(例えば、平均分子量が1000であるメチルポリイソプロピレングリコールエーテル;分子量が500〜1000であるポリエチレングリコールのジフェニルエーテル;ならびに分子量が1000〜1500であるポリプロピレングリコールのジエチルエーテル)および/またはそれらのモノおよびポリカルボン酸エステル(例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3〜C8脂肪酸エステルまたはC13オキソ酸ジエステル)を利用することもできる。
【0032】
さらなる実施形態において、基油は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸およびアルケニルマロン酸)と様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテルおよびプロピレングリコール)とのエステルを含むことができる。これらのエステルの具体的な例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させることによって形成される錯体エステル、ならびにそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。基油として有用であるか、または基油に含まれるエステルとしては、C5からC12モノカルボン酸とポリオール、ならびにネオペンチルグリコール、トリメチルプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールなどのポリオールエステルとから形成されるエステルも挙げられる。
【0033】
あるいは、基油は、精製および/または再精製油、あるいはそれらの組合せとして記載され得る。未精製油は、典型的には、さらなる精製処理を行わずに天然または合成源から得られる。例えば、レトルト処理から直接得られるシェール油、蒸留から直接得られる石油、またはエステル化処理から直接得られ、さらなる処理を行わずに使用されるエステル油は、いずれも本発明に利用され得る。精製油は、典型的には、1つまたは複数の特性を向上させるために精製されていることを除いては未精製油と同様である。溶媒抽出、酸または塩基抽出、濾過、浸透濾過および類似の精製技術などの多くの当該精製技術が当業者に既知である。再精製油は、再生または再処理油としても知られており、消費添加剤および油分解生成物の除去に向けられる技術によってしばしば追加的に処理される。
【0034】
あるいは、基油は、アメリカ石油協会(API)基油互換可能指針に明記されている通りに記載され得る。換言すれば、基油は、さらに、5つの基油グループ、すなわちグループI(硫黄含有量が0.03質量%を超え、かつ/または90質量%未満が飽和し、粘度指数が80〜120である);グループII(硫黄含有量が0.03質量%以下であり、90質量%以上が飽和し、粘度指数が80〜120である);グループIII(硫黄含有量が0.03質量%以下であり、90質量%以上が飽和し、粘度指数が120以下である);グループIV(すべてがポリアルファオレフィン(PAO));およびグループV(グループI、II、IIIまたはIVに含まれない全ての他の基油)の1つまたは2つ以上の組合せとして記載され得る。一実施形態において、基油は、APIグループI、II、III、IV、Vおよびそれらの組合せからなる群から選択される。別の実施形態において、基油は、APIグループII、III、IVおよびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、基油は、さらに、APIグループII、IIIまたはIVの油として定義され、最大で約49.9質量%、典型的には最大で約40質量%、より典型的には最大で約30質量%、さらにより典型的には最大で約20質量%、さらにより典型的には最大で約10質量%、さらにより典型的には最大で約5質量%の潤滑油をAPIグループIまたはVの油として含む。水素処理、水素化仕上、水素異性化または他の品質向上処理によって製造された水素化グループIIおよびグループIIの基本原料が上記APIグループIIに含まれ得ることも考えられる。さらに、基油は、フィッシャー−トロプシュまたは気液GTL油を含むことができる。これらは、例えば、参考として本明細書で明示的に援用される、米国2008/0076687に開示されている。
【0035】
基油は、典型的には、組成物100質量部当たり70から99.9、80から99.9、90から99.9、75から95、80から90または85から95質量部の量で組成物に存在する。あるいは、基油は、組成物100質量部当たり70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99質量部を超える量で存在してもよい。いくつかの実施形態において、完全調合潤滑油(存在する希釈またはキャリヤー油を含む)における潤滑油の量は、約80から約99.5質量パーセント、例えば約85から約96質量パーセント、例えば約90から約95質量パーセントである。勿論、基油の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差があってもよい。
【0036】
(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤
(B)再び少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤を参照すると、この酸化防止剤は特に限定されない。一実施形態において、ジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化1】

[式中、
R’は、独立して、水素原子、1から18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、または7から14個の炭素原子を有するアラルキル基]を有するものとして定義される。様々な実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキル基は、2から17個、3から16個、4から15個、5から14個、6から13個、7から12個、8から11個または9から10個の炭素原子を有する。アルキル基は、分枝状であっても非分枝状であってもよく、さらに、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルまたはオクタデシル基として定義され得る。あるいは、R’は、偶数個の炭素原子もしくは奇数個の炭素原子またはその両方を有するアルキル基のブレンドを含むことができる。例えば、R’は、xおよびyが奇数または偶数であるCx/Cyアルキル基の混合物を含むことができる。あるいは、一方が奇数であり、他方が偶数であってもよい。様々な実施形態において、xおよびyは、2だけ異なる数字、例えば6および8、8および10、10および12、12および14、14および16、16および18、7および9、9および11、11および13、13および15または15および17である。R’は、それぞれが偶数または奇数個の炭素原子を含むことができる3つ以上のアルキル基を含むこともできる。
【0037】
アラルキル基は、さらに、ベンジル、アルファ−メチルベンジルまたはクミル基として定義され得る。様々な実施形態において、アラルキル基は、8から13、9から12または10から11個の炭素原子を有する。他の実施形態において、ジフェニルアミン酸化防止剤は、アルキル化ジフェニルアミン、例えばノニルかジフェニルアミンである。あるいは、ジフェニルアミン酸化防止剤は、例えば、全体が参考として本明細書で明示的に援用される、米国特許第4,824,601号に記載されているように、モル過剰のジイソブチレンでジフェニルアミンをアルキル化することによって製造されるオクチル化/ブチル化ジフェニルアミンであってもよい。一実施形態において、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、少なくとも1つのオクチル化/ブチル化ジフェニルアミン酸化防止剤を含むとともに、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含むものとして定義される。(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0038】
(C)硫黄含有フェノール酸化防止剤/フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤
硫黄含有フェノール酸化防止剤も特に限定されない。一実施形態において、硫黄含有フェノール酸化防止剤は、さらに、式:
【化2】

[式中、
xは、0から6の数字であり、
yは、2から20の数字であり、
Rは、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基である]を有するものとして定義される。好適なアルキル基の様々な非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル基が挙げられる。様々な実施形態において、xは、1から5、2から4または3から4の数字である。他の実施形態において、yは、3から19、4から18、5から17、6から16、7から15、8から14、9から13、10から12または11から12の数字である。
【0039】
一実施形態において、硫黄含有フェノール酸化防止剤は、さらに、全体が参考として本明細書で援用される、米国特許第3,441,575号および同第4,228,297号に記載されているように、硫黄を含むジ(低級)アルキルヒドロキシフェニルアルカノン酸のエステルとして定義される。具体的な例は、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
【0040】
フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤も特に限定されない。一実施形態において、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化3】

[式中、
1は、6から12個の炭素原子を有するアリール基、または6から20個の炭素原子を有し、それぞれ1から18個の炭素原子を有する1つ、2つもしくは3つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基によって置換されたアリール基である]を有するものとして定義される。様々な実施形態において、アリール基は、7から11個、8から10個または9から10個の炭素原子を有する。好適な非限定的な例としては、フェニル、ナフチルまたはビフェニル基が挙げられる。あるいは、アリール基は、7から19個、8から18個、9から17個、10から16個、11から15個、12から14個または12から13個の炭素原子を有することができる。1つ、2つまたは3つの直鎖または分枝鎖アルキル基は、R’に対して以上に記載されている通りであり得る。アルキル化フェニル−アルファ−ナフタリルアミン酸化防止剤は、参考として援用される、米国特許第5,160,647号における出発材料として記載される。特定の例は、オクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンである。フェニル−アルファ−ナフタリルアミン酸化防止剤および/または硫黄含有フェノール酸化防止剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0041】
一実施形態において、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、R’が独立して水素原子、1から18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、または7から14個の炭素原子を有するアラルキル基である前記式を有するものとして定義される。この同じ実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤を含み、硫黄含有フェノール酸化防止剤は、さらに、xが0から6の数字であり、yが2から20の数字であり、Rが1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基である前記式を有するものとして定義される。
【0042】
代替的な実施形態において、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、各R’が、独立して、水素原子、1から18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、または7から14個の炭素原子を有するアラルキル基である前記式を有するものとして定義される。本実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含み、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらに、R1が、6から12個の炭素原子を有するアリール基、または6から20個の炭素原子を有し、それぞれ1から18個の炭素原子を有する1つ、2つまたは3つの直鎖または分枝鎖アルキル基によって置換されたアリール基である前記式を有するものとして定義される。
【0043】
さらに別の実施形態において、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、少なくとも1つのオクチル化/ブチル化ジフェニルアミン酸化防止剤を含むものとして定義される。この同じ実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含み、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらにオクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンとして定義される。
【0044】
様々な実施形態において、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤および(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、それぞれ約9:1から約1:9の質量比で存在する。あるいは、(B)および(C)は、約(8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1または1:1)から約(1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2または1:1)の質量比で存在してもよい。他の実施形態において、質量比は、約8:2から約2:8、約7:3から約3:7、約6:4から約4:6または約1:1である。上記の比は、限定的でなく、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差があってもよい。
【0045】
さらに他の実施形態において、(B)と(C)の組合せは、組成物100質量部当たり約0.3から約7質量部、約0.9から約3.5質量部、約0.5から2質量部、約0.5から3質量部、または約2.1質量部未満の量で存在する。他の実施形態において、(B)と(C)の組合せは、バイオディーゼル燃料と組成物との組合せでなく、組成物の全質量に基づいて、約0.3、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5または約7質量パーセントの量で存在する。上記の量は、限定的でなく、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差があってもよい。
【0046】
一実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤およびフェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤の両方を含む。他の実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤を含む。さらに別の実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、実質的に硫黄含有フェノール酸化防止剤で構成される。さらなる実施形態において、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含まない。あるいは、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含むことができる。(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、実質的にフェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤で構成され得る。(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤を含まなくてもよい。
【0047】
添加剤:
該組成物は、様々な化学および/または物理特性を向上させるための1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。1つまたは複数の添加剤の非限定的な例としては、耐摩耗性添加剤、金属不活性化剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、洗剤および耐摩擦添加剤が挙げられる。当該組成物は、一般的にエンジン油と称する。
【0048】
耐摩耗性添加剤:
以上に最初に紹介した耐摩耗性添加剤は、特に限定されず、当該技術分野で既知のいずれかであってもよい。一実施形態において、耐摩耗性添加剤は、ZDDP、ジアルキル−ジチオリン酸亜鉛およびそれらの組合せからなる群から選択される。あるいは、耐摩耗性添加剤は、硫黄および/またはリンおよび/またはハロゲン含有化合物、例えば、硫化オレフィンおよび植物油、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、リン酸アルキル化トリフェニル、リン酸トリトリル、リン酸トリクレシル、塩素化パラフィン、二および三硫化アルキルおよびアリール、リン酸モノおよびジアルキルのアミン塩、メチルリン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの誘導体、3−[(ジイソプロポキシホスフィノチオイル)チオ]プロピオン酸エチル、チオリン酸トリフェニル(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエートおよびそれらの混合物(例えばトリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン3−オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5−トリス[イソオクチル2−アセテート]、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾールなどの2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、エトキシカルボニル−5−オクチルジチオカルバメートおよび/またはそれらの組合せを含むことができる。耐摩耗性添加剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0049】
耐摩耗性添加剤は、典型的には、組成物100質量部当たり0.1から20、0.5から15、1から10、5から10、5から15、5から20、0.1から1、0.1から0.5または0.1から1.5質量部の量で組成物に存在する。あるいは、耐摩耗性添加剤は、組成物100質量部当たり20質量部未満、15質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.5質量部未満または0.1質量部未満の量で存在してもよい。勿論、耐摩耗性添加剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差があってもよい。
【0050】
酸化防止剤:
上記の酸化防止剤に加えて、該組成物は、他の酸化防止剤を含むこともできる。好適な非限定的な酸化防止剤としては、アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロフェニル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0051】
好適な酸化防止剤の他の非限定的な例としては、アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびそれらの組合せが挙げられる。ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペートおよびそれらの組合せを利用することもできる。
【0052】
また、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドおよびそれらの組合せを使用することもできる。
【0053】
アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンおよびそれらの組合せを酸化防止剤として利用できることも考えられる。
【0054】
O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびそれらの組合せを利用することもできる。
【0055】
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロネート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびそれらの組合せも酸化防止剤としての使用に好適である。
【0056】
トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル 2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよびそれらの組合せを使用することもできる。
【0057】
酸化防止剤の好適であるが、非限定的な例としては、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびそれらの組合せが挙げられる。ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩およびそれらの組合せを利用することもできる。加えて、アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0058】
[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンおよびそれらの組合せとのエステルを使用することもできる。β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンおよびそれらの組合せとのエステルを使用することができる。13−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンおよびそれらの組合せとのエステルを使用することもできる。さらに、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキフェニル酢酸と、一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンおよびそれらの組合せとのエステルを利用することができる。
【0059】
好適な酸化防止剤のさらなる非限定的な例としては、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンなどの窒素を含むものが挙げられる。酸化防止剤の他の好適な非限定的な例としては、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチル−フェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[(4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル)アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノおよびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノおよびジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0060】
好適な酸化防止剤のさらなる非限定的な例としては、脂肪族もしくは芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸もしくはチオジ酢酸のエステル、またはジチオカルバミン酸もしくはジチオリン酸の塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,1トリチアトリデカンおよび2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカンおよびそれらの組合せが挙げられる。また、硫化脂肪エステル、硫化脂肪および硫化オレフィンならびにそれらの組合せを利用することができる。酸化防止剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0061】
1つまたは複数の酸化防止剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり0.1から2、0.5から2、1から2または1.5から2質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の酸化防止剤は、組成物100質量部当たり2質量部未満、1.5質量部未満、1質量部未満または0.5質量部未満であってもよい。勿論、1つまたは複数の酸化防止剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0062】
金属不活性化剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の金属不活性化剤を組成物に含めることができる。1つまたは複数の金属不活性化剤の好適な非限定的な例としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、例えば、4−または5−アルキルベンゾトリアゾール(例えばトルトリアゾール)およびその誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾールおよび5,5’−メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾールまたはトルトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トルトリアゾールおよび1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール;ならびに1−(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾールおよび1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トルトリアゾールなどのアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0063】
1つまたは複数の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、1,2,4−トリアゾールおよびその誘導体、例えば、3−アルキル(またはアリール)−1,2,4−トリアゾール、1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル−1,2,4−トリアゾールなどの1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基;1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾールなどのアルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール;ならびにアシル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール誘導体、例えば、4,4’−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)およびビス[(N−メチル)イミダゾール−2−イル]カルビノールオクチルエーテルおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0064】
1つまたは複数の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、硫黄含有複素環式化合物、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびそれらの誘導体;ならびに3,5−ビス[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,3,4−チアジアゾリン−2−オン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。1つまたは複数の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、アミノ化合物、例えば、サリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジンおよびそれらの塩、ならびにそれらの組合せが挙げられる。金属不活性化剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0065】
1つまたは複数の金属不活性化剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり0.01から0.1、0.05から0.01または0.07から0.1質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の金属不活性化剤は、組成物100質量部当たり0.1質量部未満、0.7質量部未満または0.5質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の金属不活性剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0066】
防錆剤および摩擦調節剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の防錆剤および/または摩擦調節剤を組成物に含めることができる。1つまたは複数の防錆剤および/または摩擦調節剤の好適な非限定的な例としては、有機酸、それらのエステル、金属塩、アミン塩および無水物、例えば、アルキルおよびアルケニルコハク酸ならびにそれらとアルコール、ジオールもしくはヒドロキシカルボン酸との部分エステル、アルキルおよびアルケニルコハク酸、4−ノニルフェノキシ酢酸、ドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸などのアルコキシおよびアルコキシエトキシカルボン酸、およびそれらのアミン塩の部分アミド、ならびにN−オレオイルサルコシン、モノオレイン酸ソルビタン、ナフテン酸鉛、無水アルケニルコハク酸、例えば無水ドデセニルコハク酸、2−カルボキシメチル−1−ドデシル−3−メチルグリセロールおよびそれらのアミン塩、ならびにそれらの組合せが挙げられる。1つまたは複数の防錆剤および/または摩擦調節剤のさらなる好適な非限定的な例としては、窒素含有化合物、例えば、第一級、第二級または第三級脂肪族または脂環式アミンおよび有機および無機酸のアミン塩、例えば、油可溶性カルボン酸アルキルアンモニウム、ならびに1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−(4−ノニルフェノキシ)プロパン−2−オール、ならびにそれらの組合せが挙げられる。1つまたは複数の防錆剤および/または摩擦調節剤のさらなる好適な非限定的な例としては、複素環式化合物、例えば、置換イミダゾリンおよびオキサゾリン、ならびに2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリン、リン含有化合物、例えば、リン酸部分エステルまたはホスホン酸部分エステルのアミン塩、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデンなどのモリブデン含有化合物ならびに他の硫黄およびリン含有誘導体、硫黄含有化合物、例えば、ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム、カルシウム石油スルホン酸塩、アルキルチオ置換脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステルおよびその塩、グリセロール誘導体、例えば、モノオレイン酸グリセロール、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2−ヒドロキシエチル)グリセロール、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)グリセロールおよび2−カルボキシアルキル−1,3−ジアルキルグリセロール、ならびにそれらの組合せが挙げられる。防錆剤および摩擦調節剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0067】
1つまたは複数の防錆剤および摩擦調節剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり0.05から0.5、0.01から0.2、0.05から0.2、0.1から0.2、0.15から0.2または0.02から0.2質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の防錆剤および摩擦調節剤は、組成物100質量部当たり0.5質量部未満、0.4質量部未満、0.3質量部未満、0.2質量部未満、0.1質量部未満、0.5質量部未満または0.1質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の防錆剤および摩擦調節剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0068】
粘度指数向上剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の粘度指数向上剤を組成物に含めることができる。1つまたは複数の粘度指数向上剤の好適な非限定的な例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマーおよびポリエーテル、ならびにそれらの組合せが挙げられる。粘度指数向上剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0069】
1つまたは複数の粘度指数向上剤は、組成物における量が特に限定されないが、組成物100質量部当たり1から1、2から8、3から7、4から6または4から5質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の粘度指数向上剤は、組成物100質量部当たり10、9、8、7、6、5、4、3、2または1質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の粘度指数向上剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0070】
流動点降下剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の流動点降下剤を組成物に含めることができる。流動点降下剤の好適な非限定的な例としては、ポリメタクリレートおよびアルキル化ナフタレン誘導体ならびにそれらの組合せが挙げられる。流動点降下剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0071】
1つまたは複数の流動点降下剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり0.1から1、0.5から1または0.7から1質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の流動点降下剤は、組成物100質量部当たり1質量部未満、0.7質量部未満または0.5質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の流動点降下剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0072】
分散剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の分散剤を組成物に含めることができる。1つまたは複数の分散剤の好適な非限定的な例としては、ポリブテニルコハク酸アミドまたはイミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体ならびに塩基性スルホン酸およびフェノール酸マグネシウム、カルシウムおよびバリウム、コハク酸エステルおよびアルキルフェノールアミン(マンニッヒ塩基)、ならびにそれらの組合せが挙げられる。分散剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0073】
1つまたは複数の分散剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり0.1から5、0.5から4.5、1から4、1.5から3.5、2から3、2.5から3質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の分散剤は、組成物100質量部当たり5、4.5、3.5、3、2.5、2、1.5または1質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の分散剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0074】
洗剤
様々な実施形態において、1つまたは複数の洗剤を組成物に含めることができる。1つまたは複数の洗剤の好適な非限定的な例としては、過塩基性または中性金属スルホン酸塩、石炭酸塩およびサリチル酸塩ならびにそれらの組合せが挙げられる。洗剤は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0075】
1つまたは複数の洗剤は、組成物における量が特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり1から5、0.5から4.5、1から4、1.5から3.5、2から3または2.5から3質量部の量で存在する。あるいは、1つまたは複数の洗剤は、組成物100質量部当たり5、4.5、3.5、3、2.5、2、1.5または1質量部未満の量で存在してもよい。1つまたは複数の洗剤の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0076】
様々な実施形態において、該組成物は、水を実質的に含まず、例えば、5、4、3、2または1質量パーセント未満の水を含む。あるいは、該組成物は、0.5もしくは0.1質量パーセント未満の水を含んでいてもよく、または水を含まなくてもよい。勿論、水の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0077】
本発明は、また、1つまたは複数の金属不活性化剤、1つまたは複数の酸化防止剤、1つまたは複数の耐摩耗性添加剤、および本発明の1つまたは複数のアルキルエーテルカルボン酸腐食防止剤を含む添加剤濃縮物パッケージを提供する。様々な実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、上記の1つまたは複数の追加的な添加剤を含むことができる。添加剤パッケージを組成物100質量部当たり0.1から1、0.2から0.9、0.3から0.8、0.4から0.7または0.5から0.6質量部の量で組成物に含めることができる。添加剤濃縮物パッケージの質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0078】
上記の化合物の一部が潤滑剤組成物中で相互作用し得るため、最終的な形の潤滑剤組成物の成分は、最初に添加または混合した成分と異なり得る。本発明の組成物をその意図する用途に採用することで形成される製品を含めて、それにより形成されるいくつかの製品は、容易に記載されないか、または記載可能でない。しかしながら、全ての当該改良法、反応生成物、および本発明の組成物をその意図する用途に採用することで形成される製品は、明示的に企図され、本明細書に含められる。本発明の様々な実施形態は、改良法、反応生成物、および上記の組成物を採用することにより形成される製品の1種または複数種を含む。
【0079】
バイオディーゼル燃料:
組成物は、バイオディーゼル燃料を含むことができる。あるいは、組成物をバイオディーゼル燃料で希釈することができる。「バイオディーゼル燃料で希釈される」という用語は、典型的には、潤滑剤組成物が少なくとも1質量パーセントのバイオディーゼル燃料を含むか、またはそれにより汚染されることを示す。組成物は、典型的には、ディーゼルエンジンの動作中の「吹き抜け」の結果としてバイオディーゼル燃料で汚染される。典型的には、エンジン油への燃料の希釈を容易に防止できない。一実施形態において、「で希釈される」という用語は、組成物が、ディーゼルエンジンの動作中にバイオディーゼル燃料で希釈されることを示す。
【0080】
成分(すなわち酸化防止剤(B)および(C))が、典型的にはバイオディーゼル燃料によるエンジン油の希釈に起因する負の影響を最小限にするという点で、組成物をバイオディーゼルによる希釈から保護する。典型的には、「希釈」という用語は、バイオディーゼル燃料による組成物の汚染を指す。希釈または汚染は、典型的には、組成物におけるバイオディーゼル燃料が約1質量パーセントのときに起こる。様々な実施形態において、組成物は、約1から50、約5から50、約10から約40、約10から30、約20から30、約5から30、約5から10、約5から15、約5から20、約5から25、約5から35、約5から40または約5から50質量パーセントのバイオディーゼル燃料で希釈または汚染される。バイオディーゼルの質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0081】
バイオディーゼル燃料は、典型的には、例えば、トリグリセリドを低級アルコール、例えばメタノールまたはエタノールとエステル交換することによって製造される低級アルキル脂肪酸エステルを含む。典型的なバイオディーゼル燃料は、菜種油または大豆油の脂肪酸メチルエステルである。バイオディーゼル燃料の供給源としては、植物および動物源があげられる。リサイクルされた調理油がバイオディーゼル燃料の供給源であってもよい。様々なタイプのバイオディーゼル燃料およびそれらの製造は、例えば、それぞれ参考として本明細書で援用される、米国特許第5,578,090号、同第5,713,965号、同第5,891,203号、同第6,015,440号、同第6,174,501号および同第6,398,707号に教示されている。バイオディーゼル燃料は、開示内容全体が参考として本明細書で明示的に援用される、2009年8月5日出願の米国仮出願第61/231,468号に記載されている通りであり得ることも考えられる。
【0082】
典型的には、バイオディーゼル燃料は、植物性または油性種子から誘導される12から22個の炭素原子の飽和および不飽和直鎖脂肪酸の混合物の低級アルキルエステルを含む。様々な実施形態において、「低級アルキルエステル」という用語は、C1〜C5エステル、特にメチルおよびエチルエステルを示す。飽和、一飽和および多不飽和C13〜C22脂肪酸のメチルエステルの混合物は、典型的には、「バイオディーゼル」または「脂肪酸メチルエステル」(FAME)と称する。
【0083】
大豆油、菜種油、トウモロコシ油、ヤシ油、ココナツ油またはヒマワリ油などの植物源に由来するバイオディーゼルは、典型的には、当該技術分野において第一世代のバイオディーゼル燃料と称する。第二世代のバイオディーゼル燃料は、典型的には、ジャトロファ、寒天、酵母、使用済調理油、動物脂(獣脂)またはヒマシ油などの非食物源に由来する。第三世代のバイオディーゼル燃料は、典型的には、木材/リグノセルロースまたはバイオマスなどのさらなる供給源に由来する。本発明のバイオディーゼル燃料は、前記タイプの1種または複数種を含むことができる。一実施形態において、バイオディーゼル燃料は、植物性または油性種子油の少なくとも1つの脂肪酸メチルエステルを含む。
【0084】
一実施形態において、バイオディーゼル燃料は、100質量%の低級アルキル脂肪酸エステルまたは従来の石油ディーゼル燃料と混合された低級アルキル脂肪酸エステルの組合せを含む。様々な代替的な実施形態において、バイオディーゼル燃料は、約2から約98質量パーセントの脂肪酸エステルおよび約98から約2質量パーセントの石油ディーゼル燃料を含む。一例において、バイオディーゼル燃料は、約10から約90質量パーセントの脂肪酸エステルおよび約90から約10質量パーセントのディーゼルを含む。別の例において、バイオディーゼル燃料は、約25から約75質量パーセントの脂肪酸エステルおよび約75から約25質量パーセントのディーゼル燃料を含む。本発明は、上記の量に限定されない。低級アルキル脂肪酸エステルおよび/またはディーゼル燃料の質量百分率は、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲であってもよく、かつ/または上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。
【0085】
一実施形態において、基油は、さらにAPIグループIIの基油として定義され、前記(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらにオクチル化/ブチル化ジフェニルアミンとして定義され、前記(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、オクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンを含み、(B)および(C)は、前記基油100質量部当たり約0.5から3質量部の合計量で存在する。
【0086】
潤滑剤組成物の形成方法
本発明は、また、組成物の性能を向上させる方法を提供する。該方法は、(A)基油を用意する工程と、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤を用意する工程と、(C)少なくとも1つの酸化防止剤を用意する工程と、(A)と(B)と(C)とを混合して潤滑剤組成物を形成する工程とを含む。
【0087】
ASTM D 6186による評価
該方法において、基油は、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有する。典型的には、この値は、(B)および(C)の不在下で測定される。より具体的には、基油は、設計および市販された当初の基油の元の状態(典型的には、市販されている基油には酸化防止剤(B)および(C)のいずれも含まれていないか、または他の外来添加剤が予め存在しない)を示す初期酸化値を測定するためのASTM D 6186に従って評価される。他の実施形態において、基油は、ASTM D 6186と併用して、またはその代わりにSAE 940793に従って評価することができる。SAE 940793の試験手順は、同じ題名のSAE文献に記載されている。望まれる場合は、初期酸化値を測定した後に、上記の1つまたは両方の方法を使用して中間酸化値を測定することができる。組成物がバイオディーゼル燃料で希釈されるか、またはそれを含む場合に中間酸化値を測定することができる。中間酸化値は、典型的には、分析目的でのみ測定される。組成物に添加するバイオディーゼル燃料の量は、特に限定されない。バイオディーゼル燃料は、酸化して酸化性副産物を形成する傾向があるため、中間酸化値は、初期酸化値より小さく、当該基油が使用され得るディーゼルエンジンに対して有害な劣化状態を示す。勿論、中間酸化値は、典型的には、使用ディーゼルエンジンにおいて測定されず、基油が使用エンジンにおいてそのような程度まで劣化されると、油の不良およびエンジンの損傷が生じ得るため、使用エンジンにおいて当該中間酸化値をもたらす条件を全面的に回避することが好ましい。このような状況を避けるために、早期の油交換が必要である。
【0088】
該方法に加えて、組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含む組成物が測定された場合に、ASTM D 6186に従って測定された最終酸化値が(A)基油の初期酸化値以上である。組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含むことに限定されず、典型的には、この量のバイオディーゼル燃料を含むときに評価されることが理解される。換言すれば、上記のように、組成物におけるバイオディーゼル燃料の量が異なり、6質量%を超え得る。典型的には、その量は、組成物100質量部当たり0.5から6、1から5.5、1.5から5、2から4.5、2.5から4または3から3.5質量部である。代替的な実施形態において、上記のように、バイオディーゼルは、組成物100質量部当たり約1から50、約5から50、約10から40、約10から30、約20から30、約5から30、約5から10、約5から15、約5から20、約5から25、約5から35、約5から40または約5から50質量部のバイオディーゼル燃料の量で存在してもよい。勿論、全体的にも部分的にも上記の範囲および値内の任意の値もしくは値の範囲を利用することができる。あるいは、バイオディーゼル燃料は、上記の値および/または値の範囲と±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%等の差がある量で存在してもよい。組成物におけるバイオディーゼル燃料の量が変わると、中間酸化値が変化する。典型的には、バイオディーゼル燃料の量が増加すると、中間酸化値が小さくなる。一実施形態において、組成物は、ディーゼルエンジンの潤滑油溜にてバイオディーゼル燃料で希釈される。
【0089】
初期酸化値を測定した後に、以上に最初に紹介した最終酸化値を、やはり以上に記載されている1つまたは両方の方法を使用して測定することができる。上記の組成物における同量のバイオディーゼル燃料を使用して、最終酸化値を測定することができる。換言すれば、中間値を測定しなくても、同量のバイオディーゼル燃料を使用して最終酸化値を測定することができる。一実施形態において、最終酸化値は、(A)、(B)および(C)に加えて、約6質量%までのバイオディーゼル燃料が組成物に存在する場合に測定される。本発明の酸化防止剤(B)および(C)が利用される場合は、組成物の最終酸化値は、(A)基油の初期酸化値以上になる傾向がある。これにより、本発明の酸化防止剤(B)および(C)は、バイオディーゼル燃料およびそれにより形成された酸化性副産物による劣化/希釈/それらの添加後であっても、少なくとも、基油の元来の品質を少なくともその最初の状態に回復させることが示される。最終酸化値が初期酸化値より大きい場合は、当該データは、本発明の酸化防止剤(B)および(C)が(バイオディーゼル燃料およびそれにより形成された酸化性副産物による劣化/希釈/それらの添加後であっても)基油の品質を、その最初の品質より良好かつ好適なレベルまで向上させることを示している。様々な実施形態において、最終酸化値は、初期酸化値の約(±)5、4、3、2または1パーセント内であり得ることが考えられる。
【0090】
一実施形態において、(A)基油は、(B)および(C)の不在下で測定され、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有し、潤滑剤組成物は、(A)、(B)および(C)ならびに約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含み、ASTM D 6186に従って測定された場合の最終酸化値を有し、潤滑剤組成物の最終酸化値は、(A)基油の初期酸化値以上である。関連実施形態において、組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり0.3から7質量部の(B)および(C)酸化防止剤を含む。代替的な関連実施形態において、組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり0.9から3.5質量部の(B)および(C)酸化防止剤を含む。別の関連実施形態において、組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり約2.1質量部未満の(B)および(C)酸化防止剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、ASTM D 6186による高荷重エンジン油(HDEO)の高圧示差走査熱分析(DSC)試験の結果を示す線グラフである。
【図2】図2は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【図3】図3は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【図4】図4は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【図5】図5は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成大豆メチルエステルで汚染されていることを除いては図1と同様である。
【図6】図6は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図2と同様である。
【図7】図7は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図3と同様である。
【図8】図8は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図4と同様である。
【図9】図9は、SAE 040793に記載されている手順による高負荷エンジン油(HDEO)の粘度試験の結果を示す線グラフである。
【図10】図10は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【図11】図11は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【図12】図12は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての2質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【図13】図13は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成大豆メチルエステルで汚染されていることを除いては図9と同様である。
【図14】図14は、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成菜種メチルエステルで汚染されていることを除いては図10と同様である。
【図15】図15は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ヤシメチルエステルで汚染されていることを除いては図11と同様である。
【図16】図16は、また、HDEOがバイオディーゼル燃料としての6質量%の熟成ココナツメチルエステルで汚染されていることを除いては図12と同様である。
【0092】
実施例
酸化防止剤の2つの混合物(混合物AおよびB)を本発明に従って形成する。3つの比較混合物(比較混合物C、DおよびE)も形成するが、それらは本発明を表すものではない。
【0093】
より具体的には、混合物Aは、オクチル化/ブチル化ジフェニルアミンとチオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]との80/20の質量比の混合物である。
【0094】
混合物Bは、オクチル化/ブチル化ジフェニルアミンとオクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンとの80/20の質量比の混合物である。
【0095】
比較混合物Cは、米国特許第5,503,759号の実施例1に従って製造されたジフェニルアミンとフェノチアジンとの混合物のジイソブチレン反応生成物である。
【0096】
比較混合物Dは、オクチル化/ブチル化ジフェニルアミンと3−(3,5−ジ−テトラブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチルエステルとの1/1の質量比の混合物である。
【0097】
比較混合物Eは、オクチル化/ブチル化ジフェニルアミンと4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)との1/1の質量比の混合物である。
【0098】
一般的手順
15W−40油(すなわち高負荷ディーゼルエンジン油:HDEO)をASTM D 6186およびSAE 940793に従って独立に評価して、最初に設計および市販された油の元来の状態を示す初期酸化値を測定する。この場合は、15W−40油を以上に紹介された一般的「基油」の一実施形態と記載することができる。続いて、15W−40油のサンプルを2または6質量%のそれぞれのタイプの熟成バイオディーゼル燃料(すなわち、大豆メチルエステル、菜種メチルエステル、ヤシメチルエステルまたはココナツメチルエステル)で汚染する。汚染後、サンプルを再びASTM D 6186およびSAE 940793に従って独立に評価して、中間酸化値を測定する。熟成バイオディーゼル燃料は、酸化して酸化性副産物を形成する傾向があるため、中間酸化値は、初期酸化値より小さく、当該15W−40油が使用され得るディーゼルエンジンに対して有害な劣化状態を示す。
【0099】
続いて、様々な量の混合物AおよびBならびに比較混合物C〜Eを15W−40油/バイオディーゼル燃料のサンプルと組み合わせて、それぞれが様々な量のそれぞれの混合物を含む(本発明の)組成物AおよびBならびに比較組成物C〜Eを形成する。形成後、これらの組成物をASTM D 6186およびSAE 940793に従って独立して評価し、最終酸化値を測定する。換言すれば、様々な量の混合物AおよびBならびに比較混合物C〜Eを15W−40油/バイオディーゼル燃料のサンプルに添加して、中間酸化値を少なくとも元来の状態まで高める。前記と異なる方法で、ASTM D 6186およびSAE 940793を利用して、組成物の最終酸化値が油自体の初期酸化値に等しいか、またはさらにそれを超える組成物の最終酸化値になるように使用する必要がある混合物の量を測定する。さらに前記と異なる方法で、これらの試験を使用して、15W−40油をその元来の状態、またはさらに元来/最初の状態より良好な状態に戻すためにどれくらいの量の混合物が必要であるかを判断する。元来/最初の状態よりさらに良好な状態は、初期酸化値より大きな最終酸化値によって示される。
【0100】
ASTM D 6186は、差圧走査熱分析(PDSC)による潤滑油の酸化誘発時間に対する標準試験法である。この方法では、少量の油をサンプルパンに秤量し、試験セルに入れる。細胞を特定の温度に加熱し、次いで酸素で加圧する。発熱反応が起こるまでセルを調整温度および圧力に保持する。挿入発生時間を測定し、特定の試験温度における15W−40油に対する酸化誘発時間として報告する。より具体的には、ASTM D 6186を150psiで実施し、それを用いて薄膜酸化を評価する。酸化誘発時間を、高差圧走査熱分析により200℃の等温条件で測定する。
【0101】
SAE 940793は、粘度増加試験(VIT)とも呼ばれ、SAE文献#940793に記載されている。この方法では、アセチルアセトン酸鉄(III)劣化触媒をガラス製酸化管内の30グラムの15W−40油に添加する。管を油槽にて160℃に加熱し、15W−40油に酸素を吹き込む。サンプルを定期的に取り出して、15W−40油の動粘度の増加を測定する。これらの測定値をプロットし、375%の粘度増加までの時間をグラフ内挿によって求める。より具体的には、粘度増加を測定するためにSAE 940793を実施し、可溶性鉄触媒を用いて160℃でバルク酸化試験を実施する。
【0102】
上記バイオディーゼルは、大豆油、菜種油、ヤシ油またはココナツ油のメチルエステルであり、それを15mL/分の空気流の下で110℃にて20時間熟成させる。この熟成を実施して、ディーゼルエンジンにおける燃焼時の酸化劣化をシミュレートする。
【0103】
以下の第1表は、様々なバイオディーゼル燃料を2または6質量パーセントで15W−40油に添加したときの15W−40油の最初のASTM D 6186値を取り戻すのに必要な混合物の質量百分率を示す。
【0104】
第1表
【表1】

【0105】
*混合物AおよびBは、1:1の比では液体でないため評価できないことから、1:1の比でなく80/20の質量比で利用されている。
【0106】
以下の第2表は、様々なバイオディーゼル燃料を2または6質量パーセントで15W−40油に添加したときの15W−40油の最初の粘度(VIT;SAE 0407930)を回復するのに必要な混合物の質量百分率を示す。
【0107】
第2表
【表2】

【0108】
示されるデータは、図1〜16の線グラフに示されるより大きなデータ集合の概要を表す。図1〜16の一部において、混合物Cは評価されていない。HDEOのメチルエステル汚染の一部は、酸化の影響に関しては比較的軽い。軽い影響を伴うメチルエステルは、それらの組成の不飽和度が小さいため酸化安定性がより高い傾向にある。その結果、これらのメチルエステルは、汚染に関しては実用上の問題がより小さい。これらのメチルエステルを含む15W−40油を、1質量%未満の混合物を使用してそれらの最初の状態に戻す。当該結果は、「<1」として上記の表に示されている。
【0109】
以上に示されているデータは、全般的に、6質量パーセントのバイオディーゼル燃料を15W−40油および本発明の混合物に添加する影響が、酸化誘発時間を約45分間短縮させることを示している。以上に示されているデータは、また、2質量パーセントのバイオディーゼル燃料を15W−40油および本発明の混合物に添加する影響が、酸化誘発時間を約24分間短縮させることを示している。そのデータは、また、6質量パーセントのバイオディーゼル燃料を15W−40油および本発明の混合物に添加する影響が、160℃で375%の粘度増加に達する時間を81時間短縮させることを示している。さらに、そのデータは、2質量パーセントのバイオディーゼル燃料を15W−40油および本発明の混合物に添加する影響が、160℃で375%の粘度増加に達する時間を70時間短縮させることを示している。よって、そのデータは、本発明の混合物が、バイオディーゼルで汚染されたエンジン油を酸化から保護することに優れることを明示している。
【0110】
添付の請求項は、添付の請求項の範囲内にある特定の実施形態の間で異なり得る詳細な説明に記載の明示的および特定の化合物、組成物または方法に限定されないことが理解される。本明細書において様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するために依存されるあらゆるマーカッシュグループに関して、全ての他のマーカッシュ構成要素から独立したそれぞれのマーカッシュグループの各構成要素から異なる特殊な、かつ/または期待外の結果を得ることができることが理解される。マーカッシュグループの各構成要素は、個別および/または統合的に依存することができ、添付の請求項の範囲内の具体的な実施形態に対する十分な裏づけを提供する。
【0111】
本発明の様々な実施形態を説明する上で依存されるあらゆる範囲および部分範囲は、独立して、かつ集合的に添付の請求項の範囲内にあり、当該値が本明細書に明示的に記載されていなくても、その中の全体的および/または部分的な値を含む全ての範囲について記載および企図することが理解される。列挙された範囲および部分範囲は、本発明の様々な実施形態を十分に説明して可能にし、当該範囲および部分範囲を該当する半分、三半分、四半分および五半分等にさらに描き出すことができる。その一例として、「0.1から0.9の」範囲を個別的および集合的に添付の請求項の範囲にある下の三半分、すなわち0.1から0.3、中間の三半分、すなわち0.4から0.6および上の三半分、すなわち0.7から0.9にさらに描き出すことができ、個別的および/または集合的に依存することができ、添付の請求項の範囲内の具体的な実施形態に対する十分な裏づけを提供する。加えて、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」および「を超えない」等の範囲を規定または修正する用語に関して、当該用語は、部分範囲および/または上限もしくは下限を含むことが理解される。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、本質的に、少なくとも10から35の部分範囲、少なくとも10から25の部分範囲および25から35の部分範囲等を含み、各部分範囲は、個別的および/または集合的に依存することができ、添付の請求項の範囲内の具体的な実施形態に対する十分な裏づけを提供する。最後に、開示された範囲内のここの数字は、依存することができ、添付の請求項の範囲内の具体的な実施形態に対する十分な裏付けを提供する。例えば、「1から9の」範囲は、依存することができ、添付の請求項の範囲内の具体的な実施形態に対する十分な裏付けを提供する3などの様々な個々の整数、4.1などの小数点(または端数)を含む個々の数字を含む。
【0112】
本発明を例示的に説明したが、使用された用語は、限定でなく説明の言葉の性質であることを意図することが理解される。上記の技術に鑑みて本発明の多くの修正および変更が可能であり、本発明を具体的に記載されている以外の方式で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンにおける使用に好適であり、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による劣化に抵抗性がある潤滑剤組成物であって、前記組成物は、
A.基油と、
B.少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤と、
C.硫黄含有フェノール酸化防止剤およびフェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤の両方と
を含み、前記フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化1】

[式中、
1は、6から12個の炭素原子を有するアリール基、または6から20個の炭素原子を有し、それぞれ1から18個の炭素原子を有する1つ、2つもしくは3つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基によって置換されたアリール基である]を有するものとして定義され、前記硫黄含有フェノール酸化防止剤は、さらに、式:
【化2】

[式中、
xは、0から6の数字であり、
yは、2から20の数字であり、
Rは、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基である]を有するものとして定義される潤滑剤組成物。
【請求項2】
ディーゼルエンジンにおける使用に好適であり、バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による劣化に抵抗性がある潤滑剤組成物であって、
A.基油と、
B.オクチル化/ブチル化ジフェニルアミン酸化防止剤を含む少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤と、
C.オクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンを含む少なくとも1つの酸化防止剤と
を含む前記組成物。
【請求項3】
前記(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤および前記(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、それぞれ互いに約9:1から約1:9の質量比で存在する請求項1または2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤および前記(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、前記基油100質量部当たり約0.3から7質量部の合計量で存在する請求項1から3までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤および前記(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、前記基油100質量部当たり約0.5から3質量部の合計量で存在する請求項1から3までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
バイオディーゼル燃料をさらに含む請求項1から3までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記バイオディーゼル燃料は、1から50質量パーセントの量で前記潤滑剤組成物に存在する請求項6に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
前記バイオディーゼル燃料は、植物性または油性種子油の少なくとも1つの脂肪酸メチルエステルを含む請求項6に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
脂肪酸メチルエステルは、さらに、大豆油脂肪酸メチルエステル、菜種油脂肪酸メチルエステル、ヤシ油脂肪酸メチルエステルまたはココナツ油脂肪酸メチルエステルとして定義される請求項8に記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
前記バイオディーゼル燃料は、さらに、第一、第二または第三世代のバイオディーゼル燃料として定義される請求項6から9までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
前記基油は、さらにAPIグループIIまたはグループIIIの基油として定義される請求項1から10までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
前記基油は、さらにAPIグループIIの基油として定義され、(B)および(C)は、前記基油100質量部当たり約0.5から3質量部の合計量で存在する請求項1から3までまたは6から11までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項13】
さらにバイオディーゼル燃料を前記潤滑剤組成物100質量部当たり0.5から6質量部の量で含む請求項1から5までまたは7から12までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
前記(A)基油は、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有し、前記潤滑剤組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含む組成物が測定された場合に、ASTM D 6186に従って測定された最終酸化値が前記(A)基油の初期酸化値以上である請求項1から13までのいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
前記潤滑剤組成物100質量部当たり0.3から7質量部の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項14に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
前記潤滑剤組成物100質量部当たり0.9から3.5質量部の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項14に記載の潤滑剤組成物。
【請求項17】
前記潤滑剤組成物100質量部当たり約2.1質量部未満の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項14に記載の潤滑剤組成物。
【請求項18】
バイオディーゼル燃料の酸化性副産物による劣化に対する抵抗性を向上させることによってディーゼルエンジンにおける使用に好適な潤滑剤組成物の性能を向上させる方法であって、潤滑剤組成物は(A)基油を含み、前記方法は、
i.(A)基油を用意する工程と、
ii.(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤を用意する工程と、
iii.硫黄含有フェノール酸化防止剤、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤およびそれらの組合せから選択される(C)少なくとも1つの酸化防止剤を用意する工程と、
iv.(A)と(B)と(C)とを混合して潤滑剤組成物を形成する工程と
を含み、
(A)基油は、ASTM D 6186に従って測定された初期酸化値を有し、
潤滑剤組成物は、約6質量%までのバイオディーゼル燃料を含む潤滑剤組成物が測定された場合に、ASTM D 6186に従って測定された最終酸化値が前記(A)基油の初期酸化値以上である前記方法。
【請求項19】
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり0.3から7質量部の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり0.9から3.5質量部の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物100質量部当たり約2.1質量部未満の前記(B)および(C)の酸化防止剤を含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
潤滑剤組成物は、ディーゼルエンジンの潤滑油溜においてバイオディーゼル燃料で希釈される請求項18から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤およびフェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤の両方を含む請求項18から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤を含む請求項18から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含む請求項18から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化3】

[式中、
1は、6から12個の炭素原子を有するアリール基、または6から20個の炭素原子を有し、それぞれ1から18個の炭素原子を有する1つ、2つもしくは3つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基によって置換されたアリール基である]を有するものとして定義される請求項18から23までまたは25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化4】

[式中、
各R’は、独立して、水素原子、1から18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、または7から14個の炭素原子を有するアラルキル基である]を有するものとして定義され、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、硫黄含有フェノール酸化防止剤を含み、硫黄含有フェノール酸化防止剤は、さらに、式:
【化5】

[式中、
xは、0から6の数字であり、
yは、2から20の数字であり、
Rは、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基である]を有するものとして定義される請求項18から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、少なくとも1つのオクチル化/ブチル化ジフェニルアミン酸化防止剤を含むとともに、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含むものとして定義される請求項18から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化6】

[式中、
各R’は、独立して、水素原子、1から18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、または7から14個の炭素原子を有するアラルキル基である]を有するものとして定義され、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含み、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらに、式:
【化7】

[式中、
1は、6から12個の炭素原子を有するアリール基、または6から20個の炭素原子を有し、それぞれ1から18個の炭素原子を有する1つ、2つもしくは3つの直鎖もしくは分枝鎖アルキル基によって置換されたアリール基である]を有するものとして定義される請求項18から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらに、少なくとも1つのオクチル化/ブチル化ジフェニルアミン酸化防止剤を含むものとして定義され、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤を含み、フェニル−アルファ−ナフチルアミン酸化防止剤は、さらにオクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンとして定義される請求項18から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
基油は、さらにAPIグループIIの基油として定義され、(B)少なくとも1つのジフェニルアミン酸化防止剤は、さらにオクチル化/ブチル化ジフェニルアミンとして定義され、(C)少なくとも1つの酸化防止剤は、オクチル化フェニル−アルファ−ナフチルアミンを含み、(B)および(C)は、基油100質量部当たり約0.5から3質量部の合計量で存在する請求項18から23までのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−501134(P2013−501134A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523959(P2012−523959)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044601
【国際公開番号】WO2011/017555
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】