説明

潤滑離型性表層形成用コーティング組成物および潤滑離型性表層の形成方法並びに金型

【課題】金型を構成する金属基体の作用面に、密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層を形成することのできるコーティング組成物を提供する。
【解決手段】潤滑離型性表層形成用コーティング組成物は、(A)炭化水素系オイル70〜90質量%およびシリコーンオイル5〜15質量%よりなるベースと、(B)ビニル基含有ポリシロキサン2.0〜8.0質量%およびアルキルトリアルコキシシラン2.0〜8.0質量%よりなる表層形成成分と、(C)揺変性付与剤とを含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、ガラス、樹脂、ゴムなどの材料を成型加工するための金属製金型(以下、単に「金型」という。)を構成する金属基体の作用面に潤滑離型性表層を形成するためのコーティング組成物、および潤滑離型性表層の形成方法並びに金型に関する。
【背景技術】
【0002】
金型を用いて行われる金属成型体や樹脂あるいはゴムなどの成型物の製造においては、通常、シリコーンオイルやシリコーングリースなどのシリコーン系化合物、あるいはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素系離型性材料を有機溶剤などに溶解または分散させてなる液状またはグリース状の離型剤を、金型における被成型材料との接触面である作用面にスプレー法などによって塗布し、次いで当該金型内に被成型材料を導入して成型操作を行い、その後、成型物を金型から分離することにより、製品が得られる。
【0003】
また、例えば、自動車用ハーネスの一端に金属製の電気端子部品を圧着変形加工して装着するためのプレス加工用金型、あるいはアルミニウムや亜鉛の成形のための金属ダイカスト用金型においては、その作用面における潤滑性および離型性(以下、「潤滑離型性」という。)が不十分であると、当該作用面が僅かな加工数のうちに変形したり、あるいは金属材料または金属材料部品と焼き付いたりするため、長い使用寿命を得ることができない。
【0004】
以上のように、金型による成型加工においては、用いられる金型の作用面が十分な離型性を有することが必要とされており、実際上、一定回数の成型操作毎に、あるいは毎回の成型操作毎に、離型剤を塗布することが必要とされている。
しかし、このような手法による成型加工においては、高い頻度で離型剤の塗布が必要なために生産性が低く、しかも得られる成型品に離型剤が付着して汚染されたものとなるため、後加工として成型物に塗装や接着を行う場合には、付着した離型剤を除去する工程が必要とされる、という問題点がある。
【0005】
このような問題に対処するために、金型の作用面に直接的に潤滑性あるいは離型性を付与することが検討されており、現在までに種々の潤滑離型性被膜を形成する技術が開発されてきた。例えば、金型の作用面に、シリコーン樹脂とフェニル基含有ポリオルガノシロキサンとを組み合わせてなる離型剤を用いて潤滑離型性被膜を形成する試みが提案されている。しかし、この方法によって形成される被膜は、金属基体に対する密着性および離型性が不十分であって、実用的なものではない。
【0006】
また、有機基を有するシラザン化合物とシロキサンとからなるオルガノシラザンシロキサンポリマーにより、金属基体の表面に固着した被膜を形成するシリコーン被膜形成型の離型剤も提案されている。しかし、この離型剤による被膜は、耐久性が十分ではなく、また離型性も満足できるものではない。
【0007】
更に、シリコーンマクロモノマー、架橋性モノマーおよびビニル系モノマーを共重合して得られるグラフトポリマーによる離型用コーティング剤が知られている。しかし、このコーティング剤による被膜は、離型性は十分であっても、その組成に起因して金属基体に対する親和性が低くて密着性が不十分であるうえ、均質な被膜を形成することが困難であり、しかも厳しい成型条件で使用される金型に対しては、耐熱性および耐久性が不十分である、という問題点がある。
【0008】
一方、撥水撥油性が高い硬化性フルオロシリコーンポリマー組成物も知られている。しかし、この組成物は、その硬化剤および溶剤として特殊なフッ素含有化合物を用いなければ硬化が不十分となって満足な性能を得ることができず、一方、そのような特殊なフッ素含有化合物を用いた場合には、得られる成型製品は高価なものとなるため、工業製品として実用的なものではない。
【0009】
また、一般に、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロアルキルエーテル基を有するシランカップリング剤を硬化性シリコーン組成物に添加することにより、撥水性、撥油性、離型性が向上された被膜を形成することも検討されているが、組成物の構成成分の相溶性が低く、均一な硬化被膜を形成することができなかったり、相溶性が高い場合には得られる撥水性、撥油性、離型性が不十分となり、また、金属基体に対する密着性も満足なものが得られていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、その目的は、フッ素系化合物を用いることなく、金型を構成する金属基体の作用面に、当該金属基体に対する密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層を形成することのできる潤滑離型性表層形成用コーティング組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、金型を構成する金属基体の作用面に、当該金属基体に対する密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層を形成することのできる潤滑離型性表層の形成方法を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、金属基体の作用面に、当該金属基体に対する密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層が形成されてなる金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物は、
(A)炭化水素系オイル70〜90質量%およびシリコーンオイル5〜15質量%よりなるベースと、
(B)ビニル基含有ポリシロキサン2.0〜8.0質量%およびアルキルトリアルコキシシラン2.0〜8.0質量%よりなる表層形成成分と、
(C)揺変性付与剤と
を含有してなることを特徴とする。
【0014】
本発明の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物においては、ベースの炭化水素系オイルが炭素数11〜13の石油留分であることが好ましい。
また、揺変性付与剤がシリカ微粉末よりなること、並びにその組成物全体に対する割合が0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
【0015】
本発明の潤滑離型性表層の形成方法は、金属材料加工用金型を構成する金属基体の作用面に、上記のコーティング組成物を塗布して潤滑離型性表層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の金型は、金属基体の作用面に、上記の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物による潤滑離型性表層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物によれば、金属基体よりなる金型の作用面に、当該金属基体に対する密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層を形成することができる。
【0018】
本発明の潤滑離型性表層の形成方法によれば、金属基体よりなる金型の作用面に、当該金属基体に対する密着性が高く、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れた潤滑離型性表層を形成することができるので、高い生産性で成型を行うことができると共に、長い使用寿命を有する金型を得ることができる。
【0019】
更に、本発明の金型によれば、高い生産性で成型を行うことができ、長い使用寿命を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物(以下、単に「コーティング組成物」ともいう。)は、金型を構成する金属基体の作用面に塗布されて潤滑離型性表層を形成するものである。
本発明の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物は、基本的に、(A)成分のベースと、(B)成分の表層形成成分と、(C)成分の揺変性付与剤とを含有する。
【0021】
(A)成分(ベース)
本発明のコーティング組成物における(A)成分のベースは、炭化水素系オイルとシリコーンオイルとよりなり、(B)成分の表層形成成分を溶解すると共に、(C)成分の揺変性付与剤を分散状態で含有する媒体である。
【0022】
(A1)炭化水素系オイル
ベースを構成する炭化水素系オイルとしては、例えば炭素数が11〜13の石油留分(ミネラルスピリット)を用いるのが好ましい。
組成物全体に対する炭化水素系オイルの割合は、通常70〜90質量%であり、75〜85質量%であることが好ましい。この炭化水素系オイルの割合が過大の場合には、得られるコーティング組成物は、十分な層厚の潤滑離型性表層を形成することが困難となり、あるいは当該コーティング組成物を塗布して形成される塗膜の乾燥に長時間を要することとなる。一方、炭化水素系オイルの割合が過小のコーティング組成物は、その流動性が低いものとなるため、金属基体に対する塗布において膜厚の均一な塗膜を形成することが困難となる。
【0023】
(A2)シリコーンオイル
上記の炭化水素系オイルと共にベースを構成するシリコーンオイルは、主としてジメチルポリシロキサンよりなるオイルである。このシリコーンオイルは、その一部が最終的に得られる表層に残留して当該表層に潤滑離型性を付与する作用を有する。
組成物全体に対するシリコーンオイルの割合は、通常5〜15質量%であり、7〜13質量%であることが好ましい。このシリコーンオイルの割合が過大の場合には、得られるコーティング組成物は、十分な厚みの潤滑離型性表層を形成することが困難となり、あるいは当該コーティング組成物を塗布して形成される塗膜の乾燥に長時間を要することとなる。一方、シリコーンオイルの割合が過小のコーティング組成物によれば、形成される表層に十分な潤滑離型性を得ることが困難となる。
【0024】
(B)成分(表層形成成分)
本発明のコーティング組成物における(B)成分は表層形成成分である。この表層形成成分は、(B1)ビニル基含有ポリシロキサンおよび(B2)アルキルトリアルコキシシランを必須成分とする。
【0025】
(B1)ビニル基含有ポリシロキサン
ビニル基含有ポリシロキサンは、その反応性によって金属基体に対する接着性が発揮されると共に、架橋反応することによって架橋重合体を生成し、それにより、耐熱性、耐圧性および耐久性の優れた表層を形成する成分である。
本発明に用いることのできるビニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、トリエトキシビニルシラン、その他のビニル基を含有するポリシロキサンを挙げることができる。
【0026】
本発明のコーティング組成物において、このビニル基含有ポリシロキサンの組成物全体に対する割合は2.0〜8.0質量%であり、4.0〜6.0質量%であることが好ましい。このビニル基含有ポリシロキサンの割合が過大の場合には、形成される表層の硬度が過度に高いものとなって、好適な潤滑離型性を得ることができない。
一方、このビニル基含有ポリシロキサンの割合が過小の場合には、得られるコーティング組成物は、十分に高い耐熱性、耐圧性および耐久性を有する表層を形成することができないものとなる。
【0027】
(B2)アルキルトリアルコキシシラン
アルキルトリアルコキシシランは、形成される表層において、その金属基体に対する密着性を発現する成分である。
本発明に用いられるアルキルトリアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、その他を挙げることができる。
【0028】
本発明において、アルキルトリアルコキシシランは、その2種以上を併用することが好ましく、特にケイ素原子に結合するアルキル基が炭素数5以下のアルキルトリアルコキシシランと、同じく6以上のアルキルトリアルコキシシランを併用することが好ましい。その場合における両アルキルトリアルコキシシランの割合は、質量で1:10〜10:1であり、好ましくは1:5〜5:1である。
【0029】
アルキルトリアルコキシシランの組成物全体に対する割合は2.0〜8.0質量%であり、4.0〜6.0質量%であることが好ましい。このアルキルトリアルコキシシランの割合が過大の場合には、形成される表層は、安定した潤滑離型性を有するものとならないために、摩擦による発熱が大きいものとなるおそれがある。
一方、このアルキルトリアルコキシシランの割合が過小の場合には、コーティング組成物は、金属基体に対して十分な密着性を発揮するものとならないおそれがある。
【0030】
(C)成分
本発明のコーティング組成物における(C)成分は揺変性(チキソトロピー)付与剤であり、具体的には平均粒子径が5〜15nmのシリカ微粉末が好ましく用いられる。
揺変性付与剤の組成物全体に対する割合は、得られるコーティング組成物が適度の揺変性を有する割合とされればよく、特に限定されるものではないが、通常0.01〜1.0質量%の範囲とされる。
【0031】
(D)成分(添加成分)
本発明のコーティング組成物には、必要に応じて、適宜の添加成分を含有させることができる。そのような添加成分の具体例としては、従来から知られている架橋促進剤、結合反応助剤、pH調整剤などを挙げることができる。
【0032】
〔コーティング組成物の調製〕
本発明のコーティング組成物は、(A)成分の炭化水素系オイルおよびシリコーンオイル、(B)成分のビニル基含有ポリシロキサンおよびアルキルトリアルコキシシラン、並びに(C)成分の揺変性付与剤を、各成分の組成物全体に対する割合が所定割合となる量比で、必要に応じて添加される(D)成分の添加成分と共に、添加混合することにより、調製することができる。
【0033】
〔潤滑離型性表層の形成〕
潤滑離型性表層は、対象となる金型を構成する金属基体の作用面に、上記のコーティング組成物を塗布して乾燥することにより、形成することができる。対象となる金型を形成する金属は特に限定されるものではないが、通常、鉄、鋼、ステンレスなどの鉄合金、アルミニウム合金、その他を挙げることができる。
【0034】
〔コーティング組成物の塗布〕
塗布方法は特に限定されるものではなく、最も簡単には、コーティング組成物を含浸させたスポンジなどの多孔性塗布材を被塗布面に対接擦過する方法を利用することができ、また、刷毛塗り法、スプレー法、浸漬法、その他の塗布方法を用いることができる。
コーティング組成物の塗布量は、最終的に得られる表層の厚みが乾燥後に10〜20nmとなる量とされるのが好ましい。
【0035】
〔硬化処理〕
塗布されたコーティング組成物は、乾燥されて硬化処理される。硬化処理は、乾燥された塗膜を加熱することにより行われるが、後述するように、この硬化処理は必須のものではない。硬化処理により、被塗布面に高い密着性で一体的に固着された潤滑離型性表層が形成され、当該表層は、その材質および含有されるシリコーンオイルによって高い潤滑離型性を有するものとなる。
【0036】
硬化処理における温度条件は、特に限定されるものではないが、160〜220℃の範囲であることが好ましい。この温度が低すぎる場合には、目的とする特性を有する表層を形成することができない場合があり、一方、この温度が高すぎる場合には、コーティング組成物の成分に熱劣化や熱分解が生じて、目的とする表層を形成することができない可能性がある。硬化処理の時間は10〜60分間の範囲であり、この硬化処理時間が過大であると、良好な表層を形成することができない可能性がある。
【0037】
上記の硬化処理が行われない場合であっても、金型の金属基体の作用面に形成された乾燥塗膜は、当該金型が成型加工に供されたときに、被成型材料と摩擦されることにより、機械化学的作用によって塗膜の硬化が進行するので、上記の硬化処理と同様の効果を得ることができる。
【0038】
〔潤滑離型性表層〕
以上のようにして、金属基体の作用面には、潤滑離型性表層が形成される。この表層はビニル基含有ポリシロキサンが架橋反応して形成される架橋重合体であり、その材質および当該表層に含有されるシリコーンオイルによって優れた耐熱性、耐圧性および耐久性を有するものであり、また、アルキルトリアルコキシシランの作用によって、金属基体の表面に高い密着性で一体的に固着したものとなる。
【0039】
〔金型〕
以上のようにして、金属基体の作用面に、上記のコーティング組成物による潤滑離型性表層が形成された金型が得られる。
この金型は、高い耐熱性、耐圧性および耐久性を有し、かつ、金属基体に高い密着性で固着された潤滑離型性表層を有することにより、離型剤を塗布する必要なしに、目的とする成型操作を繰り返し行うことができ、これにより、高い生産性で所期の成型を実行することができる。
なお、潤滑離型性表層を有する本発明の金型の使用において、離型剤や潤滑剤の使用が禁止されるものではない。
本発明が適用される金型は、プレス加工用金型、金属ダイカスト用金型などの種々のものであり、特に限定されるものではない。また、本発明の金型によって成型加工される被成型材料としては、例えばプレス加工用金型の場合には、黄銅、真鍮、ステンレス鋼、リン青銅などの各種の金属部材を挙げることができ、金属ダイカスト用金型の場合には、アルミニウム、亜鉛、その他の金属材料を挙げることができる。
【実施例】
【0040】
〈実施例1〉
(A)成分
ミネラルスピリット(炭素数11〜13のもの)80質量%およびジメチルポリシロキサンよりなるシリコーンオイル10質量%
(B)成分
トリエトキシビニルシラン4.9質量%およびメチルトリエトキシシラン5.0質量%
(C)成分
平均粒子径約10nmのシリカ微粉末0.1質量%
以上の成分材料を混合することにより、本発明のコーティング組成物Aを調製した。
【0041】
対象金型として、自動車用ハーネスの一端に金属製の電気端子部品を圧着変形加工して装着するためのプレス加工用金型を用い、その作用面に、上記のようにして得られたコーティング組成物Aをスポンジよりなる塗布材に含浸させて擦過させて塗布し、乾燥させることにより、乾燥膜厚が約15nmの塗膜を形成し、これを温度200℃で60分間加熱することにより硬化処理を行い、これにより、本発明の潤滑離型性表層を形成した。
【0042】
この潤滑離型性表層が形成された金属基体の個所における断面を電子顕微鏡で観察したところ、金属基体と潤滑離型性表層との境界が不明瞭であって、当該潤滑離型性表層が高い密着性で金属基体に固着していることが分かった。
【0043】
以上のようにして形成された潤滑離型性表層を有する金型を用いて、スズメッキされた黄銅製の電気端子部品を圧力4トンで繰り返し圧着変形加工する工程に供したところ、離型剤の供給をすることなしに、15500回までの加工が可能であった。
また、圧力を2トンに変更したこと以外は同様の条件で圧着変形加工を行ったところ、48000回までの加工が可能であった。
【0044】
一方、上記の潤滑離型性表層を形成せずに硬質クロムメッキを施した金型を用いたこと以外は同様の条件で圧着変形加工を行ったところ、約5000回で金型の作用面が変形し、それ以上の使用はできなかった。
そして、圧力を2トンに変更した場合には、15000回以上の使用はできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭化水素系オイル70〜90質量%およびシリコーンオイル5〜15質量%よりなるベースと、
(B)ビニル基含有ポリシロキサン2.0〜8.0質量%およびアルキルトリアルコキシシラン2.0〜8.0質量%よりなる表層形成成分と、
(C)揺変性付与剤と
を含有してなることを特徴とする潤滑離型性表層形成用コーティング組成物。
【請求項2】
ベースの炭化水素系オイルが炭素数11〜13の石油留分であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物。
【請求項3】
揺変性付与剤がシリカ微粉末よりなり、組成物全体に対する割合が0.01〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物。
【請求項4】
金型を構成する金属基体の作用面に、請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物を塗布して潤滑離型性表層を形成する工程を有することを特徴とする潤滑離型性表層の形成方法。
【請求項5】
金属基体の作用面に、請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の潤滑離型性表層形成用コーティング組成物による潤滑離型性表層が形成されていることを特徴とする金型。

【公開番号】特開2012−115841(P2012−115841A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264911(P2010−264911)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(510314792)株式会社エーワンテクニカ (1)
【Fターム(参考)】