説明

濃度定量装置、濃度定量方法

【課題】生体組織に含まれる被測定成分の濃度を、測定環境の温度変動に影響されることなく、高精度に、かつ迅速に測定を可能にする。
【解決手段】第一測定領域113aには、液体タンク(担持体)114の内面側に測定面が露呈するように、第一の温度センサー115aが形成されている。この第一の温度センサー115aは、液体タンク114内に注入される液体Qの温度T1を検出可能にする。また、第一測定領域113aには、液体タンク114の内面に出射面116aが露呈されるように、第一の入射部116が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織に含まれる被測定成分の濃度、特に皮膚に含まれるグルコースのの濃度定量に好適な濃度定量装置、および濃度定量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血糖値の測定は、指先などから採血を行い、血中のグルコースに対する酵素活性を測ることで行っていた。しかし、このような血糖値の測定方法は、指先などから血液を採取して測定しなければならず、採血に手間と痛みを伴うことや、血液を付着させる測定チップが必要なことから、採血を必要としない非侵襲型の血糖値の測定方法が望まれている。
【0003】
こうした、非侵襲型の血糖値の測定を実現する一例として、例えば、特許文献1に示す生体中のグルコース濃度の測定装置が知られている。一般的に、水溶液や含水率の高い試料の近赤外分光分析を行う場合、それらのスペクトルは水のスペクトル同様、温度変化にともなうスペクトルのシフトなどの変動が大きく、定量分析において温度の影響が無視できないことが知られている。特許文献1に示された測定装置では、グルコース濃度の測定に際しても対象とする組織の温度を温度制御手段により一定とすることで、より高い測定精度で目的成分の定量が可能になるようにしたものである。
【0004】
また、例えば、特許文献2に記載された低透過率のサンプル中における特定成分を検出するためのダブルビームフーリエ変換赤外分光法では、赤外分光分析において、被測定対象に対する参照物質として水を含む物質を配置することが示されている。これによって、より高い測定精度で目的成分の定量が可能になるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−299727号公報
【特許文献2】特表2003−535329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示された測定装置では、測定にあたって、被測定対象に対する参照物質がないため、測定値のずれを生じやすいという課題がある。また、微量成分の濃度を検出する場合、大きな吸光度測定値から微小吸光度を検出する必要があるため、精度を高めることが困難である。そして、高精度測定のためには大きなダイナミックレンジが必要となる。更に、測定面に温度調整手段を備えているが、例えば、生体組織中のグルコース濃度を測定する場合、測定に必要だと考えられる0.001℃オーダーでの温度制御精度の確保が困難であった。
【0007】
また、特許文献2に示された赤外分光分析方法では、被測定対象に対する参照物質を配置するものの、この参照物質と被測定対象の試料との間で温度が異なってしまった場合、温度変化によるスペクトルシフトの影響が測定誤差となってしまい、精度よく定量を行うことが困難であるという課題があった。
【0008】
本発明は、こうした課題に鑑みて成されたものであり、本発明の一態様は、生体組織に含まれる被測定成分の濃度を、測定環境の温度変動に影響されることなく、高精度に、かつ迅速に測定を可能にする濃度定量装置に関する。
【0009】
また、本発明の一態様は、生体組織に含まれる被測定成分の濃度を、測定環境の温度変動に影響されることなく、高精度に、かつ迅速に測定を可能にする濃度定量方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は次のような濃度定量装置および濃度定量方法を提供した。
すなわち、本発明の濃度定量装置は、液体を保持する担持体と、該担持体を構成し一面側が生体組織に密着される密着面、他面側が前記液体に接する接液面を成す調温板と、該担持体に向けて第一の入射光を入射させる第一の入射部と、該第一の入射部から前記液体を透過した参照光を受光する第一の受光部と、前記生体組織に向けて第二の入射光を入射させる第二の入射部と、該第二の入射部から前記生体組織を経た測定光を受光する第二の受光部と、前記液体の温度および前記生体組織の温度を検出する温度検出手段と、前記参照光の光強度および前記測定光の光強度に基づいて、前記液体の吸光度および前記生体組織の吸光度をそれぞれ検出する吸光度算出手段と、前記液体の吸光度を参照して前記生体組織の吸光度と比較し、前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する濃度算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
このような濃度定量装置によれば、液体を担持する担持体に、参照物質である液体を担持させ、この液体を透過させた参照光の吸光度を、測定対象である生体組織を後方散乱した測定光の吸光度に対して参照することによって、測定対象に含まれる液体、例えば水の影響を差し引いた正確な吸光度を得ることができる。
【0012】
しかも、担持体の少なくとも測定対象に接する部分には、熱伝導性に優れた調温板が形成され、この調温板を介して測定対象である生体組織の熱によって担持体の液体の温度を温めて、迅速に生体組織の温度と同じにすることができる。これにより、吸光度が温度に対して敏感に変動する液体であっても、参照物質である液体を測定対象である生体組織の温度と同じ(熱平衡状態)にしてから、吸光度を測定することによって、温度変動による生体組織中の液体の影響に起因する誤差を解消し、被測定物質の正確な濃度定量を行うことが可能になる。
【0013】
前記液体は水ないし成分構成が明らかな体液相当の液体であればよい。
また、前記液体は更に散乱特性を持つ液体であればよい。
また、前記調温板は、前記生体組織の体温と前記液体の液温とを熱交換させる熱伝導体から構成されればよい。
【0014】
前記担持体は、前記第一の入射部から入射した第一の入射光を前記第一の受光部に向けて反射させる反射体を更に備えていればよい。
また、複数の光源からなる光源ユニットを更に備えていればよい。
【0015】
前記担持体は、前記液体を加熱または冷却する温度調節手段を更に備えていればよい。
【0016】
また、光源と、該光源から照射された光を前記第一の入射部および前記第二の入射部に向けてそれぞれ分光させる分光手段とからなる光源ユニットを更に備えていればよい。
【0017】
前記第一の受光部に入射した参照光の光強度と、前記第二の受光部に入射した測定光の光強度とを共に測定する1つの受光素子を更に備えていればよい。
【0018】
前記第一の入射部から前記第一の受光部に至る前記参照光の光路長は、前記第二の入射部から前記第二の受光部に至る前記測定光の光路長と等しくなるように設定されればよい。
【0019】
本発明の濃度定量方法は、液体を保持する担持体と、該担持体を構成し一面側が生体組織に密着される密着面、他面側が前記液体に接する接液面を成す調温板と、該担持体に向けて第一の入射光を入射させる第一の入射部と、該第一の入射部から前記液体を透過した参照光を受光する第一の受光部と、前記生体組織に向けて第二の入射光を入射させる第二の入射部と、該第二の入射部から前記生体組織を経た測定光を受光する第二の受光部と、前記液体の温度および前記生体組織の温度を検出する温度検出手段と、前記参照光の光強度および前記測定光の光強度に基づいて、前記液体の吸光度および前記生体組織の吸光度をそれぞれ検出する吸光度算出手段と、前記液体の吸光度を参照して前記生体組織の吸光度と比較し、前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する濃度算出手段と、を備えたことを特徴とする濃度定量装置を用いた濃度定量方法であって、
前記測定光は、前記第二の入射光が前記生体組織内で後方散乱した光であり、前記生体組織の体温と前記液体の液温との差が0.1℃以内になるように温度を平衡させる工程と、前記参照光の光強度に基づいて前記液体の吸光度を測定する工程と、前記測定光の光強度に基づいて前記生体組織の吸光度を測定する工程と、前記液体の吸光度を参照値として用い、前記生体組織の吸光度から前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
前記第一の入射光および前記第二の入射光は、短時間パルス光を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】濃度定量装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1のA−A線に沿った本体部の断面図(a)、本体部を上から見たときの平面図(b)である。
【図3】濃度定量の大よその流れを示す構成図である。
【図4】人間の皮膚組織と入射光の後方散乱を示す模式図である。
【図5】生体組織(皮膚)の各層の伝搬光路長分布の一例を示すグラフである。
【図6】時間分解波形の一例を示すグラフである。
【図7】皮膚の主成分の吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】第二実施形態の濃度定量装置の構成図である。
【図9】第三実施形態の濃度定量装置の構成図である。
【図10】第四実施形態の濃度定量装置における本体部の断面図(a)、本体部を上から見たときの平面図(b)である。
【図11】第五実施形態の濃度定量装置における本体部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る濃度定量装置、および濃度定量方法の一実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0023】
[第一実施形態]
図1は、濃度定量装置の一例である血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
血糖値測定装置(濃度定量装置)100は、測定装置110、光源ユニット120、受光素子130、制御部140、演算ユニット150、濃度表示部160を備えている。
測定装置110は、例えば人体の腕部に装着して使用(測定)するものであり、本体部111と、この本体部111を被測定対象物質であるグルコースの測定時に、腕部に密着させて固定するバンド(固定部材)112とを備えている。
【0024】
本体部111は、例えば、外形全体が厚みの薄い略立方体を成す。本体部111は、中央付近から一方の側に第一測定領域113aが、また他方の側に第二測定領域113bが形成されている。
【0025】
図2(a)は、図1に示した本体部111におけるA−A線に沿った断面図である。また、図2(b)は、図1に示した本体部111を上から見たときの平面図である。
第一測定領域113aには、例えば液体(参照物質)Qを注入して保持可能な中空の液体タンク(担持体)114が形成されている。また、第一測定領域113aには、この液体タンク114内に液体(参照物質)Qを注入、または排出する開口部114aと、この開口部114aを塞ぐ栓114bとが備えられている。
【0026】
液体タンク(担持体)114を区画する壁面の内の底面側には、調温板170が形成されている。この調温板170は、一面側が測定時に被測定対象である生体組織、例えば人体の腕部Wの表面に密着される密着面170aを成し、他面側が液体(参照物質)Qに接する接液面170bを成す。こうした調温板170は、生体組織の体温と液体Qの液温とを効率よく熱交換させる熱伝導体、例えば、銅板、アルミニウム板などから形成されていればよい。
【0027】
第一測定領域113aには、液体タンク(担持体)114の内面側に測定面が露呈するように、第一の温度センサー115aが形成されている。この第一の温度センサー115aは、液体タンク114内に注入される液体Qの温度T1を検出可能にする。
【0028】
また、第一測定領域113aには、液体タンク114の内面に出射面116aが露呈されるように、第一の入射部116が形成されている。この第一の入射部116は、例えば透明な樹脂等からなる導光部材(ライトガイド)であればよい。こうした第一の入射部116は、光源ユニット120を構成する分光部(分光手段)121を介して光源122に光学的に接続される。分光部121と第一の入射部116との間は、例えば、光ファイバーによって接続されればよい。
【0029】
一方、第一測定領域113aには、液体タンク114の内面に入射面117aが露呈されるように、第一の受光部117が形成されている。この第一の受光部117は、入射面117aが、第一の入射部116の出射面116aと対面する位置に形成されている。これにより、出射面116aから出射された光は、本体部111の一面、例えば接液面170bに沿って進み、液体タンク114に担持された液体Qを透過して、対面する入射面117aに参照光L1として入射する。
【0030】
こうした第一の受光部117も、例えば透明な樹脂等からなる導光部材(ライトガイド)であればよい。第一の受光部117は、受光素子130に光学的に接続される。受光素子130と第一の受光部117との間は、例えば、光ファイバーによって接続されればよい。
【0031】
第二測定領域113bには、測定時にバンド(固定部材)112に固定される人体の腕部Wに接するように、本体部111の底面側111aに露呈された第二の温度センサー115bが形成されている。この第二の温度センサー115bは、測定対象の生体組織である腕部Wの表面温度(体温)T2を検出可能にする。こうした第二の温度センサー115b、および前述した第一の温度センサー115aから温度センサー115が構成される。
【0032】
また、第二測定領域113bには、本体部111の底面111aに出射面118aが露呈されるように、第二の入射部118が形成されている。この第二の入射部118は、例えば透明な樹脂等からなる導光部材(ライトガイド)であればよい。こうした第二の入射部118は、光源ユニット120を構成する分光部121を介して光源122に光学的に接続される。分光部121と第二の入射部118との間は、例えば、光ファイバーによって接続されればよい。
【0033】
一方、第二測定領域113bには、本体部111の底面111aに入射面119aが露呈されるように、第二の受光部119が形成されている。この第二の受光部119の入射面119aと、第二の入射部118の出射面118aとは、底面111aに沿って互いに同一面上広がるように形成されていればよく、出射面118aから出射された光は、測定対象の生体組織である腕部Wに入射し、後方散乱によって腕部Wから出射されて並列する入射面119aに測定光L2として入射する。
【0034】
こうした第二の受光部119も、例えば透明な樹脂等からなる導光部材(ライトガイド)であればよい。第二の受光部119は、受光素子130に光学的に接続される。受光素子130と第二の受光部117との間は、例えば、光ファイバーによって接続されればよい。
【0035】
再び図1を参照して、光源ユニット120は、光源122と、分光部(分光手段)121とを備えている。光源122は、例えば、特定波長の短時間パルス光を照射可能なレーザー光源であればよい。なお、ここで、短時間パルス光とは、パルス幅が100psec程度かそれ以下のパルス光を意味する。また、短時間パルス光として0.1psecから数psecの範囲のパルス幅を持つパルス光を用いても良い。
【0036】
分光部(分光手段)121は、例えば、光路切替デバイスから構成され、光源122から照射された光を、第一の入射部116、または第二の入射部118に向けて選択的に入射させるものであればよい。あるいは、プリズムやハーフミラーなど、光源122から照射された光を第一の入射部116および第二の入射部118に向けてそれぞれ分光させて入射させるるものであってもよい。
【0037】
受光素子130は、例えば、フォトダイオードからなり、第一の受光部117から出射された参照光L1や、第二の受光部119から出射された測定光L2のそれぞれの光強度に応じた光強度信号を制御部140に向けて送出する。
なお、第一の受光部117から出射された参照光L1、または第二の受光部119から出射された測定光L2を、制御部140からの制御に応じて選択的に受光する機構を更にを備えていてもよい。
【0038】
制御部140は、光源ユニット120、温度センサー115、受光素子130、および演算ユニット150と接続され、これらとの間で信号、制御情報等をやり取りする入出力回路からなる。
【0039】
演算ユニット150は、CPU、メモリー等からなり、一例としてパーソナルコンピューター(PC)であればよい。この演算ユニット150は、制御部140から出力される光強度情報や、予めメモリーに記憶させた参照データ等に基づいて、所定の手順で測定対象物の濃度を算出する。なお、こうした演算ユニット150の更に詳しい構成、および濃度算出の流れは後述する。
【0040】
濃度表示部160は、例えば、ディスプレイ、プリンターなどから構成されていればよい。こうした濃度表示部160は、演算ユニット150において算出された測定対象物の濃度を表示、ないし印刷する。
【0041】
分光部(分光手段)121は、例えば、回折格子から構成され、光源122から照射された光を、波長ごとに分けるものであればよい。分光部121にて選択された波長の光は、第一の入射部116、および第二の入射部118に向けて同時に入射させられる。
複数波長に対するデータ取得が必要な場合は、分光された異なる波長の光を順次、第一の入射部116、第二の入射部118に向けて入射させるとよい。
【0042】
なお、図1に示した血糖値測定装置(濃度定量装置)100の別な構成例として、光源ユニットを複数の光源、例えば2つの光源から構成してもよい。1つの光源から発せられた光は、第一の入射部116と第二の入射部118に同時に入射され、データ取得後に、2つ目の光源から発せられた光を第一の入射部116と第二の入射部118に同時に入射させデータ取得するとよい。これにより短時間パルス光を発する光源が単一波長の光を出射させる一般的なものであっても、互いに出射波長の異なる光源を複数組み合わせることによって、分光部(分光手段)121を設けなくても、簡易な構成で異なる波長光を第一と第二の入射部に入射させることができる。
【0043】
以上のような構成の本発明の血糖値測定装置(濃度定量装置)を用いた濃度定量方法、および血糖値測定装置の作用を詳述する。
まず、ユーザーは、血糖値の測定に先立って、血糖値測定装置100の本体部111に形成された液体タンク114の栓114bを開け、開口部114aを露呈させる。そして、この開口部114aから液体タンク114内に、参照物質となる液体、具体的に例示すれば水を満たした後、栓114bで開口部114aを塞ぐ。なお、この液体は、水以外にも、予め採取した体液、構成成分が明らかな体液に相当する液体、生理食塩水などであってもよいし、散乱特性を持つ液体であってもよい。
【0044】
次に、ユーザーは、本体部111の底面側111aを測定箇所、例えば腕部Wに密着させ、バンド(固定部材)112で本体部111を腕部に固定する。これにより、調温板170の密着面170aが腕部Wの表面に密着する。そして、密着面170aを腕部Wに密着させた状態で、所定の時間、具体的には、調温板170の密着面170aに接する腕部Wの体温と、調温板170の接液面170bに接する液体Qの液温とが、調温板170を介して熱交換され、液体Qの液温が体温と等しくなるまで加温、ないし冷却されるまで、待機する。
【0045】
このような液体Qの温度と腕部の体温は、待機期間中、常に温度センサー115によって測定される。具体的には、液体タンク114内の液体Qの温度を測定する温度センサー115a、および腕部Wの表面に密着して人体の体温(測定箇所である皮膚表面の温度)を測定する温度センサー115bからのそれぞれの温度信号が制御部140に連続的に入力される。そして、温度センサー115aからの温度信号と温度センサー115bからの温度信号とが所定の範囲で等しくなると、液体タンク114内の液体Qの温度が人体の体温によって温められ、液体Qの温度と皮膚表面の温度とが等しくなったと判断される。
【0046】
液体Qが皮膚表面の温度と等しくなると、次に、血糖値の測定(定量)工程に移行する。この測定工程では、被測定対象である皮膚に向けて短時間パルス光を照射してその吸光度を測定する工程(測定光を得る工程)と、参照物質である液体(水)に短時間パルス光を照射してその吸光度を測定する工程(参照光を得る工程)とを、所定の時間差で行う、または同時に行う。
【0047】
図3は、濃度定量の一例、即ち人体の腕部の皮膚に存在する体液中のグルコース濃度を、非侵襲で測定する大よその流れを示す構成図である。光源122から出射した光は、2つの光路に分かれる。そして、一方の光路では第二の入射部118から、測定対象である生体組織、即ち本体部111を固定した人体の腕部Wに入射する。
【0048】
図4に示すように、人間の皮膚組織は、表皮と、真皮と、皮下組織の3層によって形成されている。表皮は、最も外側にある厚さ0.2〜0.3mmの薄い層で、角質層、顆粒層、有棘層、底層等を含む。真皮は、表皮と皮下組織の間に存在する厚さ0.5〜2mmの層で、真皮内には神経、毛根、皮脂腺や汗腺、毛包、血管、リンパ管が存在する。皮下組織は、真皮の下にある厚さ1〜3mmの層で、大部分が皮下脂肪でできている。
【0049】
真皮内には毛細血管等が発達しており、血中グルコースに応じた物質移動が速やかに起こり、血中グルコース濃度(血糖値)に対して真皮中のグルコース濃度は追随して変化すると考えられている。そのため、血糖値測定装置100では、第二の入射部118から皮膚組織の表面に光(短時間パルス光)を照射し、皮膚組織内を透過、拡散して後方散乱された測定光L2を第二の受光部119を経て受光素子130で検出することによって、測定対象を透過した後の吸光度を測定する。
【0050】
一方、第一の入射部116からは、参照物質である液体Q、例えば水を満たした液体タンク114内に光(短時間パルス光)が入射する。そして、この液体Qを透過した参照光L1を第一の受光部117を経て受光素子130で検出することによって、水を透過した後の吸光度を測定する。
【0051】
こうして得られた生体組織で後方散乱した後の吸光度と、水を透過した後の吸光度から、皮膚組織内のグルコース濃度の算出が行われる。例えば、演算ユニット150は、測定対象吸光度算出部(吸光度算出手段)151と、濃度算出部(濃度算出手段)152とから構成される。測定対象吸光度算出部(吸光度算出手段)151では、参照物質である水に対する生体組織の吸光度を得る。生体組織の吸光度は、例えば以下に示す式(1)で求められる。
【0052】
【数1】

【0053】
但し、μ:=測定対象(腕部)の吸収係数、μa1,μa2,μan:測定対象の構成成分1,2,nの吸収係数、μaw:水の吸収係数、V,V,V:測定対象の構成成分1,2,nの濃度(体積分率)、l:測定対象の光路長平均値、d:水の光路長、Vwl:生体組織中の水の濃度(体積分率)。
【0054】
なお、式(1)は、測定対象の構成成分の吸収係数、水の吸収係数、測定対象の構成成分の濃度(体積分率)、生体組織中の水の濃度(体積分率)を、それぞれ測定対象の構成成分のモル吸光係数、水のモル吸光係数、測定対象の構成成分のモル濃度、生体組織中の水のモル濃度に、それぞれ置き換えることができる。
【0055】
参照光路に配置する水の光路長dは、測定対象の光路長平均値lと生体組織中の水の体積濃度Vwlを掛け合わせた値に近い値に設定しておくことが望ましい。なぜなら、得られる吸光度が小さくなり、生体組織の大部分を占める水の影響を小さくすることができ、精度の高い測定が可能となるからである。lは生体組織の散乱係数に応じてあらかじめモンテカルロ法などで計算し、Vは測定対象の平均的な値を用いてdを決めると良い。
【0056】
モンテカルロ法によるシミュレーションは、例えば以下のように行われる。
まず、照射する光のモデルを光子(光束)とし、当該光子を皮膚モデルに照射する計算を行う。皮膚モデルに照射された光子は、皮膚モデル内を移動する。このとき、光子は、次に進む点までの距離L及び方向θを乱数Rによって決定する。光子が次に進む点までの距離Lの計算は、以下の式(2)によって行う。
【0057】
【数2】

【0058】
但し、ln(A)は、Aの自然対数を示す。また、μは、皮膚モデルの第s層(表皮層、真皮層、皮下組織層の何れか)の散乱係数を示す。また、光子が次に進む点までの方向θの計算は、以下の式(3)によって行う。
【0059】
【数3】

【0060】
但し、gは、散乱角度のコサインの平均である非等方性パラメーターを示し、皮膚の非等方性パラメーターは、略0.9である。
こうした式(2)、式(3)の計算を単位時間毎に繰り返すことにより、出射面118aから入射面119aまでの光子の移動経路を算出することができる。そして、複数の光子について移動距離の算出を行えばよい。例えば、10個の光子について移動距離を算出する。
【0061】
図5は、生体組織(皮膚)の各層の伝搬光路長分布の一例を示すグラフである。
図5の横軸は光子の照射からの経過時間を示し、縦軸は光路長の対数表示を示している。ここでは、受光素子に到達した光子の各々の移動経路を、移動経路が通過する層毎に分類し、単位時間毎に到達した光子の移動経路の平均長を分類された層毎に算出することで、図4に示すような皮膚の各層の伝搬光路長分布が算出できる。
【0062】
図6は、時間分解波形の一例を示すグラフである。
図6の横軸は光子の照射からの経過時間を示し、縦軸は受光素子が検出した光子数を示している。単位時間毎に受光素子に到達した光子の個数を算出することで、図5に示すような皮膚モデルの時間分解波形が算出できる。
【0063】
こうした処理によって、複数の波長に対して、皮膚モデルの伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出する。この時、皮膚の主成分(水、たんぱく質、脂質、グルコース等)の吸収スペクトルの直交性が高くなる波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
【0064】
図7は、皮膚の主成分の吸収スペクトルを示すグラフである。
図7の横軸は照射する光の波長を示し、縦軸は吸収係数を示している。図6を参照すると、グルコースの吸収係数は、波長が1600nmのときに極大となり、水の吸収係数は、波長が1450nmのときに極大となる。そのため、例えば1450nm、1600nmといった皮膚の主成分の吸収スペクトルの直交性が高くなる波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
【0065】
そして、濃度算出部(濃度算出手段)152にて濃度を求める。濃度算出には、上述した式(1)を複数波長分だけ連立させて解くことで可能である。得られた生体組織中のグルコース濃度を、血糖値として濃度表示部160に表示、プリントする。
【0066】
なお、生体組織の濃度は、主成分回帰分析等の多変量解析などでも求めることができる。
【0067】
以上のように、本発明の濃度定量装置、濃度定量方法によれば、液体を担持する液体タンク(担持体)に、参照物質である液体(例えば水)を担持させ、この液体を透過させた参照光の吸光度を、測定対象である生体組織を後方散乱した測定光の吸光度に対して参照することによって、測定対象に含まれる液体、例えば水の影響を差し引いた正確な吸光度を得ることができる。
【0068】
しかも、液体タンク(担持体)の少なくとも測定対象に接する部分には、熱伝導性に優れた調温板が形成され、この調温板を介して測定対象である生体組織、例えば人体の体温によって液体タンク内の水の温度を温めて、迅速に生体組織の温度と同じにすることができる。水の吸収特性は温度に対して敏感に変動することが知られているが、本実施形態のように、参照物質である液体を測定対象である生体組織の温度と同じ(熱平衡状態)にしてから、吸光度を測定することによって、温度変動による生体組織中の水の影響に起因する誤差を解消し、被測定物質の正確な濃度定量を行うことが可能になる。
【0069】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態における血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
この第二実施形態では、前述した第一実施形態と比べて、参照光を受光する受光素子231と、測定光を受光する受光素子232をそれぞれ独立して形成している。また、演算ユニット250の構成として、測定対象吸収係数算出部251、体積分率算出部252、濃度単位変換部253、光路長情報記憶部(光路長情報測定部)254、および成分吸収情報記憶部255を備えている。
【0070】
このような第二実施形態の血糖値測定装置200では、測定対象である生体組織の後方散乱光を受光した測定光から、参照物質である水(液体)に対する測定対象の吸収係数を算出する。水の光路長dはlと等しく設定する。第一実施形態と同様にlはあらかじめモンテカルロ法などで計算することが可能である。l=dのとき、前述した式(1)は次に示す式(4)に置き換えられる。こうした式(4)を用いて複数の波長分の連立方程式を解く場合には、第一実施形態よりも波長データ式が1つ少なくて済み、濃度算出工程の手順(工程)を簡易にすることができる。
【0071】
【数4】

【0072】
[第三実施形態]
図9は、第三実施形態における血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
この第三実施形態では、参照光を受光する受光素子341と、測定光を受光する受光素子342をそれぞれ独立して形成している。また、演算ユニット350の構成として、水吸収係数算出部351、測定対象吸収係数算出部352、成分体積分率算出部353、濃度単位変換部354、光路長情報記憶部(光路長情報測定部)355、および成分吸収情報記憶部356を備えている。
【0073】
このような第三実施形態の血糖値測定装置300では、第一実施形態、第二実施形態と異なり、参照物質である水(液体)と測定対象である生体組織のそれぞれの吸収係数を個別に算出する。水の吸収係数の算出は、水を透過した参照光の受光素子341の信号から水の吸光度を算出し、水の光路長情報を用いることで計算する。
【0074】
また、測定対象(生体組織)の吸収係数の算出も同様に、生体組織の後方散乱光である測定光の受光素子342の信号から生体組織の吸光度を算出する。測定対象の吸収係数の算出は、時間分解計測を行うことによって対象内の一部分の吸収係数を得ることも可能である。水と測定対象の吸収係数が得られれば、成分濃度の算出は第一実施形態、第二実施形態と同様の方法によって行うことができる。
【0075】
[第四実施形態]
図10(a)は、第四実施形態における血糖値測定装置の本体部の構成を示す断面図である。また、図10(b)は、図10(a)に示した本体部を上から見たときの平面図である。
この第四実施形態では、血糖値測定装置500における本体部511の第一測定領域513aには、例えば液体(参照物質)Qを注入して保持可能な中空の液体タンク(担持体)514が形成されている。第一測定領域513aには、本体部511が測定対象である生体組織と接する底面側511aとは反対側を成す上面側511bにおいて、液体タンク514の内面に出射面516aが露呈されるように、第一の入射部516が形成されている。この第一の入射部516は、例えば光源に光学的に接続される。
【0076】
一方、この第一の入射部516に並ぶように、液体タンク514の内面に入射面517aが露呈される第一の受光部517が形成されている。この第一の受光部517は、受光素子に光学的に接続される。
【0077】
そして、本体部511の底面側511aである液体タンク514の底面には、出射面516aおよび入射面517aと対面するように、光学反射膜(反射体)530が形成されている。こうした構成によって、第一の入射部516の出射面516aから出射された光は、液体タンク514内に担持された液体(水)Qを透過して、光学反射膜(反射体)530に達する。そしてこの光学反射膜(反射体)530で光が反射され、この反射光が再び液体(水)Qを透過して、第一の受光部517の入射面517aに入射する。
【0078】
第一の入射部516は、光学反射膜(反射体)530で反射された光が第一の受光部517の入射面517aに正確に入射できるように、本体部511の底面側511aに対して予め所定の角度で光を照射するよう形成されていればよい。また、こうした光学反射膜(反射体)530は、調温板570の接液面570b側を光学反射面にすることで実現してもよい。
【0079】
なお、このような光学反射膜(反射体)を形成せずに、参照物質である液体(水)にイントラリビッドなどの散乱物質を混ぜることで散乱特性を持たせ、後方散乱する光を受光素子によって検出する構成であってもよい。
【0080】
[第五実施形態]
図11は、第四実施形態における血糖値測定装置の本体部の構成を示す断面図である。
この第五実施形態では、血糖値測定装置600における本体部611の第一測定領域613aには、例えば液体(参照物質)Qを注入して保持可能な中空の液体タンク(担持体)614が形成されている。液体タンク(担持体)614を区画する壁面の内の底面側には、調温板670が形成されている。本実施形態では、この調温板670は、ペルチェ素子から形成されている。ペルチェ素子は、例えば、上下の放熱板の間に、金属電極とp型半導体、およびn型半導体が交互に連結してなる。
【0081】
このようなペルチェ素子は、公知のように、2種類の金属の接合部に電流を流すと、一方の金属から他方の金属へ熱が移動するというペルチェ効果(Peltier effect)によって、直流電流を印加すると、一方の面が吸熱し、反対面に発熱が起こる。
【0082】
また、ペルチェ素子は、公知のように、一方の金属側と他方の金属側とで温度差がある場合、2種類の金属間に電位差が生じる(ゼーベック効果)。こうした作用を利用して、2種類の金属間の電位差を測定することで、温度差を検出することもできる。
【0083】
こうした効果を利用して、ペルチェ素子からなる調温板(温度検出手段、温度調節手段)670は、生体組織である人体の腕部Wの表面に密着される密着面670a側と、液体(参照物質)Qに接する接液面670b側との電位差を電位差検出手段675によって検出する。そして、密着面670a側と接液面670b側との間で電位差がある場合、調温板(温度検出手段、温度調節手段)670に繋がる回路を電圧印加手段676に切り替える。
【0084】
そして、電圧印加手段676から調温板(温度検出手段、温度調節手段)670に電圧を印加し、例えば、接液面670b側を加熱して、液体(参照物質)Qを温める。そして、随時、電圧検出手段675に切り替えて密着面670a側と接液面670b側との間の電位差を測定し、密着面670a側との間で電位差が無くなるまで接液面670b側を加熱すればよい。
【0085】
このように調温板670に温度検出手段と温度調節手段とを兼ねたペルチェ素子を用いることで、測定対象である生体組織と、液体(参照物質)との間で温度差がある場合でも、迅速にその温度差を解消して、温度変動の影響の無い正確な濃度定量を迅速に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0086】
100…濃度定量装置(血糖値測定装置)、114…液体タンク(担持体)、115…温度検出手段、116…第一の入射部、117…第一の受光部、118…第二の入射部、119…第二の受光部、151…測定対象吸光度算出部(吸光度算出手段)、152…濃度算出部(濃度算出手段)、170…調温板、170a…密着面、170b…接液面。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持する担持体と、該担持体を構成し一面側が生体組織に密着される密着面、他面側が前記液体に接する接液面を成す調温板と、該担持体に向けて第一の入射光を入射させる第一の入射部と、該第一の入射部から前記液体を透過した参照光を受光する第一の受光部と、
前記生体組織に向けて第二の入射光を入射させる第二の入射部と、該第二の入射部から前記生体組織を経た測定光を受光する第二の受光部と、
前記液体の温度および前記生体組織の温度を検出する温度検出手段と、
前記参照光の光強度および前記測定光の光強度に基づいて、前記液体の吸光度および前記生体組織の吸光度をそれぞれ検出する吸光度算出手段と、
前記液体の吸光度を参照して前記生体組織の吸光度と比較し、前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する濃度算出手段と、
を備えたことを特徴とする濃度定量装置。
【請求項2】
前記液体は散乱特性をもつ液体であることを特徴とする請求項1記載の濃度定量装置。
【請求項3】
前記液体は水ないし成分構成が明らかな体液相当の液体であることを特徴とする請求項2記載の濃度定量装置。
【請求項4】
前記調温板は、前記生体組織の体温と前記液体の液温とを熱交換させる熱伝導体からなることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項5】
前記担持体は、前記第一の入射部から入射した第一の入射光を前記第一の受光部に向けて反射させる反射体を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項6】
複数の光源からなる光源ユニットを更に備えたことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項7】
前記担持体は、前記液体を加熱または冷却する温度調節手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項8】
光源と、該光源から照射された光を前記第一の入射部および前記第二の入射部に向けてそれぞれ分光させる分光手段とからなる光源ユニットを更に備えたことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項9】
前記第一の受光部に入射した参照光の光強度と、前記第二の受光部に入射した測定光の光強度とを共に測定する1つの受光素子を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項10】
前記第一の入射部から前記第一の受光部に至る前記参照光の光路長は、前記第二の入射部から前記第二の受光部に至る前記測定光の光路長と等しくなるように設定されることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の濃度定量装置。
【請求項11】
液体を保持する担持体と、該担持体を構成し一面側が生体組織に密着される密着面、他面側が前記液体に接する接液面を成す調温板と、該担持体に向けて第一の入射光を入射させる第一の入射部と、該第一の入射部から前記液体を透過した参照光を受光する第一の受光部と、前記生体組織に向けて第二の入射光を入射させる第二の入射部と、該第二の入射部から前記生体組織を経た測定光を受光する第二の受光部と、前記液体の温度および前記生体組織の温度を検出する温度検出手段と、前記参照光の光強度および前記測定光の光強度に基づいて、前記液体の吸光度および前記生体組織の吸光度をそれぞれ検出する吸光度算出手段と、前記液体の吸光度を参照して前記生体組織の吸光度と比較し、前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する濃度算出手段と、を備えたことを特徴とする濃度定量装置を用いた濃度定量方法であって、
前記測定光は、前記第二の入射光が前記生体組織内で後方散乱した光であり、
前記生体組織の体温と前記液体の液温との差が0.1℃以内になるように温度を平衡させる工程と、
前記参照光の光強度に基づいて前記液体の吸光度を測定する工程と、
前記測定光の光強度に基づいて前記生体組織の吸光度を測定する工程と、
前記液体の吸光度を参照値として用い、前記生体組織の吸光度から前記生体組織に含まれる被測定成分の濃度を算出する工程と、
を備えていることを特徴とする濃度定量方法。
【請求項12】
前記第一の入射光および前記第二の入射光は、短時間パルス光を用いることを特徴とする請求項11記載の濃度定量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−506(P2013−506A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137316(P2011−137316)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】