説明

濃縮装置用マニフォールド

【課題】 複数の試料容器と真空排気装置とを確実に接続できるとともに、部品の分解、組立が容易で部品の洗浄を確実に行うことができ、また、容器個別の開閉も可能で、コンタミネーションも防止できる濃縮装置用マニフォールドを提供する。
【解決手段】 マニフォールド20は、マニフォールド管21と、該マニフォールド管21から複数個が分岐した継手部材22と、該継手部材22に着脱可能に取り付けられるチューブ連結管23及び該チューブ連結管23を開閉するニードル部材24を取り付けるためのニードル取付管25と、該チューブ連結管23及びニードル取付管25を継手部材22にそれぞれ固定するための一対の雄ねじ部材27及び雌ねじ部材28からなる固定部材26及び締結具である密着コイルバネ29とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮装置用マニフォールドに関し、詳しくは、濃縮対象となる試料を投入した複数の試料容器に接続した複数の真空排気用チューブを真空排気手段に接続するための濃縮装置用マニフォールドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイオキシンや環境ホルモン等の環境試料を分析する必要性が増加しており、これらの試料の分析に濃縮装置が用いられている。濃縮装置は、試料を投入した容器を振盪させるとともに加熱しながら真空引きすることによって試料の濃縮を行うものであって、複数の容器を使用する濃縮装置では、各容器の口部と真空排気装置に接続する配管とを、板状体の内部に連通孔を設けたマニフォールドを介して接続することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−536652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のマニフォールドの構造では、容器個別の開閉が困難であり、また、マニフォールド内の連通孔を経由した容器相互のコンタミネーションが発生しやすいという問題がある。さらに、準備段階でマニフォールドを閉じるまで容器が開口した状態となっているため、先に準備した容器内にゴミが混入する可能性が高いという問題もある。なお、試料を濃縮する機器として、ロータリーエバポレータも知られているが、試料の乾固を防ぐには常に監視しているする必要があり、また、1台で1試料しか濃縮できないため、複数の試料を濃縮する用途には適当ではない。
【0004】
そこで本発明は、複数の試料容器と真空排気装置とを確実に接続できるとともに、部品の分解、組立が容易で部品の洗浄を確実に行うことができ、また、容器個別の開閉も可能で、コンタミネーションも防止できる濃縮装置用マニフォールドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の濃縮装置用マニフォールドは、複数の試料容器にそれぞれ接続される複数の真空排気用チューブを真空排気手段に接続するための濃縮装置用マニフォールドであって、前記真空排気手段に接続されるマニフォールド管と、該マニフォールド管から複数個が分岐した継手部材と、該継手部材に着脱可能に取り付けられるチューブ連結管及び該チューブ連結管を開閉するニードル部材を取り付けるためのニードル取付管と、該チューブ連結管及びニードル取付管を前記継手部材にそれぞれ固定するための筒状の固定部材とを有し、前記継手部材は、マニフォールド管から分岐した分岐管部と、該分岐管部の先端から上下方向に分岐した同径の一対の接続管部とを有するT字状に形成されるとともに、前記接続管部の先端に同径の接続フランジをそれぞれ有しており、前記チューブ連結管は、前記接続管部に挿入される挿入管部と、該挿入管部の上部に設けられたフランジ部と、該フランジ部の上部に連設したチューブ連結部とを有し、前記ニードル取付管は、前記接続管部に挿入される挿入管部と、該挿入管部の下部に設けられたフランジ部と、該フランジ部の下部に連設した雄ねじ部とを有し、前記ニードル部材は、前記ニードル取付管及びチューブ連結管の内部に挿通可能で先端外面が円錐面に形成されたニードル管部と、該ニードル管部の下部に取り付けられて前記ニードル取付管の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部材とを有し、前記固定部材は、前記チューブ連結管及びニードル取付管を挿通可能な内径を有する筒状に形成されて互いに螺合可能な一対の雄ねじ部材及び雌ねじ部材を有し、雄ねじ部材の内周には前記フランジ部の反挿入管部側の面に係合する係合段部が設けられ、雌ねじ部材の挿入管部側内周には、内径が前記継手部材の接続フランジより僅かに大きな環状突部と、該環状突部の反挿入管部側に隣接して配置された締結具ガイド溝と、該ガイド溝内に締結具を挿入するための挿入口とが設けられており、前記チューブ連結管と上方に開口した接続管部とは、フランジ部の下方に環状シール材を装着した挿入管部を接続管部内に挿入するとともに前記雌ねじ部材の環状突部内に接続管部を挿通させた状態で、前記挿入口から密着コイルバネからなる締結具をガイド溝内に挿入し、チューブ連結部側から雄ねじ部材を雌ねじ部材に螺合して雌ねじ部材を上方に移動させることにより、前記接続フランジの下面と雌ねじ部材の環状突部とを前記締結具を介して係合させ、同時に、雄ねじ部材の係合段部でフランジ部上面を下方に押圧して該フランジ部下面と前記接続フランジ部上面とを前記環状シール材を介して密着させることにより組み付けられ、前記ニードル連結管と下方に開口した接続管部とは、フランジ部の上方に環状シール材を装着した挿入管部を接続管部内に挿入するとともに前記雌ねじ部材の環状突部内に接続管部を挿通させた状態で、前記挿入口から密着コイルバネからなる締結具をガイド溝内に挿入し、雄ねじ部側から雄ねじ部材を雌ねじ部材に螺合して雌ねじ部材を下方に移動させることにより、前記接続フランジの上面と雌ねじ部材の環状突部とを前記締結具を介して係合させ、同時に、雄ねじ部材の係合段部でフランジ部下面を上方に押圧して該フランジ部上面と前記接続フランジ部下面とを前記環状シール材を介して密着させることにより組み付けられ、前記ニードル部材は、ニードル管部を前記ニードル取付管内に挿入して雌ねじ部材をニードル取付管の雄ねじ部に螺合させた状態で組み付けられ。該雌ねじ部材が雄ねじ部の下部にあるときにはニードル管部先端がチューブ連結管から離れてチューブ連結管を開放した状態となり、該雌ねじ部材が雄ねじ部の最上部にあるときにはニードル管部先端がチューブ連結管内に進入してチューブ連結管を閉塞した状態となり、該雌ねじ部材が雄ねじ部の中間位置でチューブ連結管の開度を調節可能な状態となることを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の濃縮装置用マニフォールドは、前記マニフォールド管は、一端に前記真空排気手段との接続部が設けられ、他端に開閉コックが設けられていることを特徴とし、また、前記ニードル部材は、先端から下端部にわたる貫通孔が設けられるとともに、下端部に貫通孔を開閉する栓が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の濃縮装置用マニフォールドによれば、複数の試料容器にそれぞれ接続した真空排気用チューブを個別に真空排気手段に接続することができる。また、各試料容器毎に独立した状態で真空排気用チューブをマニフォールド管に接続するので、各ニードル部材を操作することによって、容器個別の開閉だけでなく開度調節も可能であり、しかも、コンタミネーションの発生を防止できる。さらに、準備段階で試料を投入した容器を順次接続することによって容器内へのゴミの侵入も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の一形態例を示す濃縮装置用マニフォールドの説明図、図2は濃縮装置用マニフォールドの正面図、図3は同じく平面図、図4は同じく側面図、図5は濃縮装置の正面図、図6は同じく平面図、図7は同じく側面図、図8はニードル部材がチューブ連結管を全開状態とした状態を示す断面図、図9はニードル部材がチューブ連結管を半開状態とした状態を示す断面図、図10はニードル部材がチューブ連結管を閉塞状態とした状態を示す断面図である。
【0009】
まず、図5乃至図7に示すように、濃縮装置は、濃縮装置本体11の上部に、複数の試料容器12を保持して振盪させる振盪部13及び試料容器12を加熱するための加熱部14を有している。各試料容器12の口部には容器キャップ15及びコネクタ16を介して真空排気用チューブ17の一端がそれぞれ接続されており、各真空排気用チューブ17の他端が、マニフォールド20を介して図示しない真空排気手段に接続されている。このマニフォールド20は、濃縮装置本体11の後部に設けた一対の支柱18に上下位置調節可能に支持された支持部材19により保持されている。
【0010】
各試料容器12内に投入した液体試料の濃縮操作は、振盪部13を作動させて試料容器12を振盪させるとともに、加熱部14に内蔵されたヒーターを制御して各試料容器12を所定の温度に加熱した状態で真空排気装置を作動させ、各試料容器12内の蒸気をチューブ17からマニフォールド20を介して真空排気することにより行われる。濃縮が進行すると試料容器12内の液量が次第に減少し、最終的には、試料容器12の底部に設けられた窪み12aに1ml程度残った状態となる。この段階でタイマーによって振盪、加熱及び真空排気を停止すれば、窪み12aに残った液はそれ以上蒸発しないので、窪み12a内の液が次の分析工程等に送られて所定の操作が行われる。
【0011】
図1乃至図4に示すように、前記マニフォールド20は、マニフォールド管21と、該マニフォールド管21から複数個が分岐した継手部材22と、該継手部材22に着脱可能に取り付けられるチューブ連結管23及び該チューブ連結管23を開閉するニードル部材24を取り付けるためのニードル取付管25と、該チューブ連結管23及びニードル取付管25を継手部材22にそれぞれ固定するための筒状の固定部材26とを有している。
【0012】
マニフォールド管21と継手部材22とは一体的に形成されており、マニフォールド管21の一端には前記真空排気手段との接続部となるガラスネジ21aが設けられ、他端にはガラステーパー21bを介して開閉コック21cが設けられている。また、継手部材22は、マニフォールド管21から法線方向に分岐した分岐管部22aと、該分岐管部22aの先端からT字状に分岐した同径の一対の接続管部22b、22cとを有しており、両接続管部22b、22cの先端には同径の接続フランジ22dが設けられている。この接続管部22b、22cは、マニフォールド管21を前記支持部材19のホルダ部19aに水平方向に保持させたときに、両接続管部22b、22cの軸線が上下方向を向くように配置される。
【0013】
前記チューブ連結管23は、上方が開口した上部側の接続管部22bに取り付けられるものであって、この接続管部22b内に挿入される挿入管部23aと、該挿入管部23aの上部に設けられたフランジ部23bと、該フランジ部23bの上部に連設したチューブ連結部23cとを有している。さらに、チューブ連結部23cの先端部外周にはチューブ抜止用の複数の環状突起23dが設けられ、フランジ部23b下部の挿入管部23aには、環状シール材23eが取り付けられている。
【0014】
前記ニードル取付管25は、下方が開口した下部側の接続管部22cに取り付けられるものであって、この接続管部22c内に挿入される挿入管部25aと、該挿入管部25aの下部に設けられたフランジ部25bと、該フランジ部25bの下部に連設した雄ねじ部25cとを有しており、フランジ部25b上部の挿入管部25aには、環状シール材25dが取り付けられている。
【0015】
前記ニードル部材24は、前記ニードル取付管25及びチューブ連結管23の内部に挿通可能な外径を有するとともに、先端外面が円錐面に形成されたニードル管部24aと、該ニードル管部24aの下部に取り付けられて前記ニードル取付管25の雄ねじ部25cに螺合する雌ねじ部材24bとを有しており、ニードル管部24aの下端部外面には、雌ねじ部材24bを径方向に貫通して設けられた止めネジ24cの先端が係合する係合孔24dが設けられている。また、ニードル管部24aの先端部と中間部とには、Oリング24e,24fがそれぞれ装着されており、下端部には、ニードル管部24a内に先端から下端部にわたって軸方向に設けられた貫通孔24gを開閉するための栓24hがガラステーパー及び袋ナット24iによって気密状態で設けられている。
【0016】
前記固定部材26は、互いに螺合可能な一対の雄ねじ部材27及び雌ねじ部材28と、締結具である密着コイルバネ29とを有している。雄ねじ部材27及び雌ねじ部材28は、チューブ連結管23及びニードル取付管35を挿通可能な内径を有する筒状に形成されており、雄ねじ部材27及び雌ねじ部材28は、接続管部22b、22c先端の接続フランジ22dをそれぞれ挟むようにして、雄ねじ部材27がチューブ連結管23やニードル取付管25の挿入管部23a,25aの反対側(反挿入管部側)に、雌ねじ部材28が挿入管部23a,25a側に装着される。
【0017】
雄ねじ部材27の挿入管部側内周には、チューブ連結管23のフランジ部23b及びニードル取付管25のフランジ部25bを収納可能な大径部27aと、チューブ連結管23の環状突起23dを挿通可能でフランジ部23b及びフランジ部25bより小径の小径部27bとが設けられ、大径部27aと小径部27bとの間にフランジ部23b,25bの上面に係合可能な係合段部27cが形成されている。
【0018】
雌ねじ部材28の内周には、挿入管部側から順に、内径が前記接続フランジ部22dより僅かに大きな環状突部28aと、該環状突部28aの反挿入管部側に隣接して配置された締結具ガイド溝28bと、該締結具ガイド溝28bの上部に設けられた雌ねじ部28cとが設けられており、締結具ガイド溝28bに対応する部分には、締結具ガイド溝28b内に前記密着コイルバネ29を挿入するための挿入口28dが設けられている。
【0019】
締結具ガイド溝28bは、接続管部22b、22cの外周面との間に密着コイルバネ29を挿入可能な内径を有するとともに、締結具ガイド溝28b内に密着コイルバネ29を挿入したときに、密着コイルバネ29の内周側が締結具ガイド溝28bから内方に突出し、突出した密着コイルバネ29が接続フランジ部22dの分岐管部22a側に係合するように形成されている。
【0020】
密着コイルバネ29は、金属細線をコイル状に密に巻回し、接続管部22b、22cの円周より十分に長く形成したものであって、締結具ガイド溝28bに沿って屈曲可能で、かつ、接続フランジ部22dに係合することによって雌ねじ部材27が雌ねじ部材28側に外れることを防止できる強度を有している。
【0021】
このような構成を有するマニフォールド20に各試料容器12を接続する手順の一例を説明する。マニフォールド管21は、ガラスネジ21aに真空排気手段(例えば真空ポンプ)に接続したホース等を接続するとともに、ガラステーパー21bに開閉コック21cを取り付けた状態で所定高さに位置調節した支持部材19に保持させる。
【0022】
継手部材22の上部側に位置する接続管部22bには、環状シール材23eを設けたチューブ連結管23の挿入管部23aを挿入するとともに、接続管部22bの外周部分に雌ねじ部材28を位置させた状態で、密着コイルバネ29を挿入口28dから締結具ガイド溝28b内に挿入する。このとき、密着コイルバネ29の挿入側は、接続管部22bの外周を一周した状態となり、基部側は挿入口28dから手で摘める程度に突出した状態となる。
【0023】
そして、チューブ連結管23の環状突起23d側から雌ねじ部材28を取り付け、雄ねじ部材27に螺合させて締め付けていく。これにより、雌ねじ部材28は上方に移動して環状突部28aが密着コイルバネ29を介して接続フランジ22dの下面に係合した状態となり、雄ねじ部材27は下方に移動して係合段部27cがチューブ連結管23のフランジ部23bの上面に係合してチューブ連結管23を下方に押圧し、フランジ部23bの下面と接続フランジ22dの上面とが、環状シール材23eを介して密着した状態となる。また、チューブ連結管23のチューブ連結部23cにチューブ17の一端を接続する。
【0024】
一方、継手部材22の下部側に位置する接続管部22cには、環状シール材25dを設けたニードル取付管25の挿入管部25aを下方から挿入するとともに、接続管部22cの外周部分に雌ねじ部材28を位置させ、密着コイルバネ29を挿入口28dから締結具ガイド溝28b内に挿入する。このとき、前記同様に、密着コイルバネ29の挿入側は、接続管部22bの外周を一周した状態となり、基部側は挿入口28dから手で摘める程度に突出した状態となる。
【0025】
さらに、ニードル取付管25の雄ねじ部25c側から雌ねじ部材28を取り付け、雄ねじ部材27に螺合させて締め付けていく。これにより、雌ねじ部材28は下方に移動して環状突部28aが密着コイルバネ29を介して接続フランジ22dの上面に係合した状態となり、雄ねじ部材27は上方に移動して係合段部27cがニードル取付管25のフランジ部25bの下面に係合してニードル取付管25を上方に押圧し、フランジ部25bの上面と接続フランジ22dの下面とが、環状シール材25dを介して密着した状態となる。
【0026】
また、ニードル部材24は、ニードル管部24aの下部に雌ねじ部材24bを止めネジ24cによって取り付けるとともに、下端部に栓24hを取り付け、ニードル管部24aをニードル取付管25内に下方から挿入して雌ねじ部材24bを雄ねじ部25cに螺合させる。このとき、図8に示すように、雌ねじ部材24bが雄ねじ部25cの下部にあるときには、ニードル管部24aの先端がチューブ連結管23から離れてチューブ連結管23が開放された状態となる。この状態では、Oリング24e,24fがニードル取付管25の内周面に当接してニードル管部24aとニードル取付管25との間をシールした状態となる。
【0027】
雌ねじ部材24bを雄ねじ部25cにねじ込んでいくと、ニードル管部24aが雌ねじ部材24bと共に回転しながら上昇し、ニードル管部24a先端の円錐面部がチューブ連結管23の下端開口内へ挿入され、図9に示すように、チューブ連結管23の下端開口が半開状態となる。すなわち、雄ねじ部25cの中間位置で雌ねじ部材24bのねじ込み量を調節することにより、チューブ連結管23の流路断面積を調節することが可能となる。雌ねじ部材24bを雄ねじ部25cの最上部にまでねじ込むと、図10に示すように、ニードル管部24aがチューブ連結管23内に進入し、下方のOリング24fはニードル取付管25との間をシールした状態を保持したまま、上方のOリング24eがチューブ連結管23の内周面に当接してチューブ連結管23を閉塞し、試料容器12とマニフォールド20との連通状態を遮断した状態となる。
【0028】
このようにしてマニフォールド20における各部材を組み付けるとともに、各継手部材22に接続した真空排気用チューブ17の他端を各試料容器12にそれぞれ接続することにより、複数の試料容器12が濃縮装置にセットされた状態となり、各試料容器12は、チューブ17を介して独立した状態でマニフォールド20に接続されることになる。さらに、試料を投入した試料容器12を順次接続していくことにより、試料容器12内にゴミが混入することもなくなる。
【0029】
また、濃縮装置の運転時に、試料容器12内の試料から多量の蒸気が発生するような場合には、該試料容器12に対応した雌ねじ部材24bを雄ねじ部25cにねじ込んでチューブ連結管23の開度を絞ることにより、試料からの蒸気の発生量を少なくすることができ、チューブ17内等での蒸気の凝縮を抑制することができる。
【0030】
特に、チューブ17におけるマニフォールド20への接続部が、上方に向いた接続管部22bに接続しているので、チューブ17やマニフォールド管21内で蒸気が凝縮しても、凝縮した液滴が他のチューブ17を逆流して他の試料容器12内に侵入することはなく、コンタミネーションの発生を防止できる。
【0031】
試料容器12内の試料の蒸発量に差がある場合、所定量まで濃縮操作が完了した試料容器12に対応した雌ねじ部材24bを雄ねじ部25cの最上部までねじ込んでチューブ連結管23とマニフォールド20との連通状態を遮断した後、ニードル管部24aに設けた栓24hを開くことにより、ニードル管部24a内の貫通孔24gを通して大気あるいは所定のガスを試料容器12内に流入させることにより、試料容器12内を大気圧に戻すことができるので、該試料容器12を濃縮装置から取り外すことができる。全ての試料容器12の濃縮操作を終了するときには、真空排気手段を停止した後、開閉コック21cを開いて系内に大気あるいは所定のガスを導入すればよい。
【0032】
なお、上述の接続手順は一例であって、この接続手順に限るものではなく、例えば、固定部材26の雄ねじ部材27と雌ねじ部材28とを軽く螺合させた仮組みした状態としておき、これにチューブ連結管23やニードル取付管25を挿通するとともに、これらを所定位置に配置して密着コイルバネ29を挿入した後、雄ねじ部材27と雌ねじ部材28とを締め付けるようにしてもよい。また、先にマニフォールド管21にチューブ連結管23やニードル取付管25を取り付けてから濃縮装置に組み付けてもよい。
【0033】
マニフォールド20の分解は、上記手順を逆にすることによって行うことができる。さらに、ニードル部材24によってチューブ連結管23を閉塞しておくことにより、濃縮装置に任意の数の試料容器12をセットすることができ、蒸気排出量の設定も容器個別に行えるので、濃縮操作を確実かつ効率よく行うことができる。また、雄ねじ部材27と雌ねじ部材28とを緩めて密着コイルバネ29を抜き取ることにより、真空排気用チューブ17を接続したままの状態でチューブ連結管23をマニフォールド20から取り外すことができるので、濃縮装置への試料容器12の着脱を容易に、かつ、迅速に行うことができる。さらに、各部材を分解することにより、それぞれ単純な形状となっているので、各部材の洗浄も容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一形態例を示す濃縮装置用マニフォールドの説明図である。
【図2】濃縮装置用マニフォールドの正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】濃縮装置の正面図である。
【図6】同じく平面図である。
【図7】同じく側面図である。
【図8】ニードル部材がチューブ連結管を全開状態とした状態を示す断面図である。
【図9】ニードル部材がチューブ連結管を半開状態とした状態を示す断面図である。
【図10】ニードル部材がチューブ連結管を閉塞状態とした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11…濃縮装置本体、12…試料容器、12a…窪み、13…振盪部、14…加熱部、15…容器キャップ、16…コネクタ、17…真空排気用チューブ、18…支柱、19…支持部材、19a…ホルダ部、20…マニフォールド、21…マニフォールド管、21a…ガラスネジ、21b…ガラステーパー、21c…開閉コック、22…継手部材、22a…分岐管部、22b、22c…接続管部、22d…接続フランジ、23…チューブ連結管、23a…挿入管部、23b…フランジ部、23c…チューブ連結部、23d…環状突起、23e…環状シール材、24…ニードル部材、24a…ニードル管部、24b…雌ねじ部材、24c…止めネジ、24d…係合孔、24e,24f…Oリング、24g…貫通孔、24h…栓、24i…袋ナット、25…ニードル取付管、25a…挿入管部、25b…フランジ部、25c…雄ねじ部、25d…環状シール材、26…固定部材、27…雄ねじ部材、27a…大径部、27b…小径部、27c…係合段部、28…雌ねじ部材、28a…環状突部、28b…締結具ガイド溝、28c…雌ねじ部、28d…挿入口、29…密着コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料容器にそれぞれ接続される複数の真空排気用チューブを真空排気手段に接続するための濃縮装置用マニフォールドであって、前記真空排気手段に接続されるマニフォールド管と、該マニフォールド管から複数個が分岐した継手部材と、該継手部材に着脱可能に取り付けられるチューブ連結管及び該チューブ連結管を開閉するニードル部材を取り付けるためのニードル取付管と、該チューブ連結管及びニードル取付管を前記継手部材にそれぞれ固定するための筒状の固定部材とを有し、前記継手部材は、マニフォールド管から分岐した分岐管部と、該分岐管部の先端から上下方向に分岐した同径の一対の接続管部とを有するT字状に形成されるとともに、前記接続管部の先端に同径の接続フランジをそれぞれ有しており、前記チューブ連結管は、前記接続管部に挿入される挿入管部と、該挿入管部の上部に設けられたフランジ部と、該フランジ部の上部に連設したチューブ連結部とを有し、前記ニードル取付管は、前記接続管部に挿入される挿入管部と、該挿入管部の下部に設けられたフランジ部と、該フランジ部の下部に連設した雄ねじ部とを有し、前記ニードル部材は、前記ニードル取付管及びチューブ連結管の内部に挿通可能で先端外面が円錐面に形成されたニードル管部と、該ニードル管部の下端部に取り付けられて前記ニードル取付管の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部材とを有し、前記固定部材は、前記チューブ連結管及びニードル取付管を挿通可能な内径を有する筒状に形成されて互いに螺合可能な一対の雄ねじ部材及び雌ねじ部材を有し、雄ねじ部材の内周には前記フランジ部の反挿入管部側の面に係合する係合段部が設けられ、雌ねじ部材の挿入管部側内周には、内径が前記継手部材の接続フランジより僅かに大きな環状突部と、該環状突部の反挿入管部側に隣接して配置された締結具ガイド溝と、該ガイド溝内に締結具を挿入するための挿入口とが設けられており、前記チューブ連結管と上方に開口した接続管部とは、フランジ部の下方に環状シール材を装着した挿入管部を接続管部内に挿入するとともに前記雌ねじ部材の環状突部内に接続管部を挿通させた状態で、前記挿入口から密着コイルバネからなる締結具をガイド溝内に挿入し、チューブ連結部側から雄ねじ部材を雌ねじ部材に螺合して雌ねじ部材を上方に移動させることにより、前記接続フランジの下面と雌ねじ部材の環状突部とを前記締結具を介して係合させ、同時に、雄ねじ部材の係合段部でフランジ部上面を下方に押圧して該フランジ部下面と前記接続フランジ部上面とを前記環状シール材を介して密着させることにより組み付けられ、前記ニードル連結管と下方に開口した接続管部とは、フランジ部の上方に環状シール材を装着した挿入管部を接続管部内に挿入するとともに前記雌ねじ部材の環状突部内に接続管部を挿通させた状態で、前記挿入口から密着コイルバネからなる締結具をガイド溝内に挿入し、雄ねじ部側から雄ねじ部材を雌ねじ部材に螺合して雌ねじ部材を下方に移動させることにより、前記接続フランジの上面と雌ねじ部材の環状突部とを前記締結具を介して係合させ、同時に、雄ねじ部材の係合段部でフランジ部下面を上方に押圧して該フランジ部上面と前記接続フランジ部下面とを前記環状シール材を介して密着させることにより組み付けられ、前記ニードル部材は、ニードル管部を前記ニードル取付管内に挿入して雌ねじ部材をニードル取付管の雄ねじ部に螺合させた状態で組み付けられ。該雌ねじ部材が雄ねじ部の下部にあるときにはニードル管部先端がチューブ連結管から離れてチューブ連結管を開放した状態となり、該雌ねじ部材が雄ねじ部の最上部にあるときにはニードル管部先端がチューブ連結管内に進入してチューブ連結管を閉塞した状態となり、該雌ねじ部材が雄ねじ部の中間位置でチューブ連結管の開度を調節可能な状態となることを特徴とする濃縮装置用マニフォールド。
【請求項2】
前記マニフォールド管は、一端に前記真空排気手段との接続部が設けられ、他端に開閉コックが設けられていることを特徴とする請求項1記載の濃縮装置用マニフォールド。
【請求項3】
前記ニードル部材は、先端から下端部にわたる貫通孔が設けられるとともに、下端部に貫通孔を開閉する栓が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の濃縮装置用マニフォールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−24648(P2007−24648A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206092(P2005−206092)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(591245543)東京理化器械株式会社 (36)
【Fターム(参考)】