炉内加熱ヒータ用碍子およびそれを用いた炉内加熱ヒータ
【課題】炉内加熱ヒータの1本当たりの出力を向上させ、かつ加熱線の各二重線部における折返し先端部での短絡を良好に防止する。
【解決手段】炉内加熱ヒータ1は、折返し先端部11aおよび二重線部11bを有する加熱線11を複数セット備える。各加熱線11の先端側には炉内加熱ヒータ用碍子12が配置される。碍子12は、各二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットSを有するベース板部12aを備える。ベース板部12aは、基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部11a同士が短絡しないように線挿通孔のセットSをセット毎に仕切る仕切り壁12cと、それら仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、折返し先端部11aのいずれもが保護管31(保護カバー)の内周面と短絡しないように線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切る外周壁12dとを一体に備える。
【解決手段】炉内加熱ヒータ1は、折返し先端部11aおよび二重線部11bを有する加熱線11を複数セット備える。各加熱線11の先端側には炉内加熱ヒータ用碍子12が配置される。碍子12は、各二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットSを有するベース板部12aを備える。ベース板部12aは、基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部11a同士が短絡しないように線挿通孔のセットSをセット毎に仕切る仕切り壁12cと、それら仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、折返し先端部11aのいずれもが保護管31(保護カバー)の内周面と短絡しないように線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切る外周壁12dとを一体に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内加熱ヒータ用碍子およびそれを用いた炉内加熱ヒータに関し、特に加熱線の先端側に配置される碍子、およびその碍子を用いた炉内加熱ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炉内加熱ヒータ用碍子として、例えば下記特許文献1に記載されているように、加熱線を螺旋状に巻いて形成した発熱コイル内に配置されるものが知られている。この特許文献1では、碍子の基部に板状の第1短絡防止体が複数設けられ、各第1短絡防止体の先端に板状の第2短絡防止体が設けられている。そして、碍子が発熱コイルのピッチ間を回転しつつ移動できるように、各第1短絡防止体の取り付け位置や形状が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−162943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような加熱線が螺旋状に巻かれた形態以外にも、加熱線が基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る形態とされ、そのような折返し形態からなる二重線部が複数セット設けられるものがある。通常、後者の形態の加熱線によると、前者の形態の加熱線に比べて有効発熱部の長さを長く設定できるので、より大きな出力(発熱量)を得ることが可能である。この場合、後者の形態の加熱線においては、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、碍子が加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置されることが多い。
【0005】
ところが、例えば図19に示すように、碍子130が複数配置される後者の形態では、加熱線110が通電による発熱で線膨張し、各二重線部110bにおける折返し先端部110a(ループ部分)が広がるように熱変形することがある。このため、隣り合う折返し先端部110a同士が接触することで、加熱線110が短絡し、断線してしまうという問題があった。
【0006】
特に、近年では、炉内加熱ヒータ(以下、単にヒータともいう)は消耗部品なので、設備コストの削減の観点から、ヒータの使用本数を減らしたいとの要請がある一方、その使用本数を減らした場合でも、ヒータ全体の出力は維持あるいは向上させたいとの要請もある。このような両要請を実現するためには、ヒータ1本当たりの出力を大きく設定する必要があり、加熱線を出来るだけ密に(有効発熱部の長さをより長く)配置する必要がある。しかしながら、加熱線を密に配置すればするほど、隣り合う折返し先端部同士が接触しやすくなるので、上記した問題が発生するおそれが高くなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上記した後者の形態の加熱線を用いて、ヒータ1本当たりの出力を向上させつつ、しかも加熱線の各二重線部における折返し先端部での短絡を良好に防止し得る炉内加熱ヒータ用碍子およびその碍子を用いた炉内加熱ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子であって、それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、線挿通孔のセットは、基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、ベース板部の、加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする。この場合、例えば仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、折返し先端部のいずれもが該ベース板部の外周上を基準線から離れる向きに超えないように仕切る外周壁が一体に形成されていると好適である。
【0009】
この炉内加熱ヒータ用碍子では、第1ピッチ円に沿って形成される第1線挿通孔と、第2ピッチ円に沿って形成される第2線挿通孔とにより線挿通孔のセットが構成されており、第2線挿通孔が第1線挿通孔間の部位に対応する位置に配置されている。すなわち、第1線挿通孔と第2線挿通孔を円周方向に沿って見た場合、両挿通孔は千鳥状に配置されるようになっている。このため、線挿通孔が1つのピッチ円に沿って等角度間隔で形成され、隣り合う一対の線挿通孔が線挿通孔の1セットを構成する従来の炉内加熱ヒータ用碍子に比べて、線挿通孔のセット数を増やすことができ、それに応じて加熱線の使用本数を増やすことができるので、ヒータの出力を向上させることができる。この場合、複数のセットの二重線部の任意の1セットが、仕切り壁の隣り合うもの同士の間に位置し、その仕切り壁の近傍で折り返されるようになる。つまり、ベース板部の「行き方向」の線挿通孔から先端側に出た線部分は、隣り合う仕切り壁の近傍で折り返され、ベース板部の「帰り方向」の線挿通孔を通過して基端側へ戻る。これらの仕切り壁によって、複数セットの二重線部同士がベース板部の線挿通孔より先端側に延び出た部分で接触すること(短絡)が防止される。つまり、通電による発熱で各二重線部の折返し先端部のループが広がるように熱変形しても、仕切り壁があるから、それに当たってそれ以上、隣の二重線部側へ寄ることが阻止され、短絡が防止される。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明は、基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子を備え、それら炉内加熱ヒータ用碍子の隣り合うもの同士が相互に連結可能とされ、連結状態にあるそれら複数の炉内加熱ヒータ用碍子が装着された碍子付き加熱線のアッセンブリの外側に、筒状の金属製の保護カバーが装着されてなる炉内加熱ヒータであって、それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、線挿通孔のセットは、基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、ベース板部の、加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
この炉内加熱ヒータでは、線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出している。このため、通電による発熱で各二重線の折返し先端部が中心の基準線から離れる向きに反り返るように熱変形しても、傾斜状の仕切り壁が存在するため、反り返るように熱変形する折返し先端部が、この傾斜状の仕切り壁に当たりやすくなって、保護カバーの内周面に接触すること(短絡)が防止される。
【0012】
この場合、例えば仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、折返し先端部のいずれもが保護カバーの内周面と短絡しないように線挿通孔のセットの全てと該保護カバーの内周面とを仕切る外周壁が一体に形成されていると好適である。
【0013】
上記した傾斜状の仕切り壁の存在により、各二重線の折返し先端部が中心の基準線から離れる向きに反り返るように熱変形しても、保護カバーの内周面に接触することが防止されるが、熱変形の態様によっては折返し先端部が仕切り壁の間のスペースに向かって延び出す場合がある。このような場合でも、筒状の外周壁の存在により、折返し先端部がこの筒状の外周壁に当たることで、保護カバーの内周面に接触することがほぼ確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る炉内加熱ヒータ用碍子およびそれを用いた炉内加熱ヒータを適用した加熱炉を概略的に示す説明図。
【図2】図1に示した炉内加熱ヒータの主要部を構成するヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリの斜視図。
【図3】図2に示した加熱線の斜視図。
【図4】図2に示した碍子12,13の連結状態を示す斜視図。
【図5】図2の部分拡大図。
【図6】図2に示した加熱線とヒータ端子とを接続する前の、加熱線同士の結線状態を示す正面図。
【図7】(a)は図2に示したヒータ端子の斜視図。(b)は碍子16,17等が介装された(a)のヒータ端子と図9の加熱線とを接続した状態を示す斜視図。
【図8】図2に示したヒータ本体の外側に装着される保護管の斜視図。
【図9】図2に示したヒータ本体と図11に示した保護管とを組み付けた状態を示す平面断面図(保護管のみ破断)。
【図10】(a)は碍子12の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)の底面図。(d)は(a)のA−A断面図。
【図11】(a)は碍子13の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)の底面図。
【図12】(a)は碍子14の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)のB−B断面図。
【図13】(a)は碍子15の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図14】(a)は碍子16の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図15】(a)は碍子17の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図16】加熱線の折返し先端部が発熱により線膨張した状態を示す説明図。
【図17】(a)は本発明の実施例2に係る碍子12’の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図18】本発明の変形例に係る碍子12’’の縦断面図。
【図19】従来の碍子を用いた場合において、加熱線の発熱による線膨張に起因して折返し先端部が断線した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a),1(b)は、本発明に係る炉内加熱ヒータ用碍子(以下、単に碍子という)12、およびその碍子12を用いた炉内加熱ヒータ1(加熱源)を適用した工業用熱処理設備としての加熱炉F1,F2を例示したものである。炉内加熱ヒータ1は、炉内の熱分布および熱処理効果の観点から、加熱炉F1のように垂直方向に複数設置される場合や、加熱炉F2のように水平方向に複数設置される場合がある。なお、本発明に係る碍子12および炉内加熱ヒータ1は、炉内への扉が一つである加熱炉に限らず、入口用と出口用の各扉が設けられている加熱炉(例えば、連続炉)に広く適用することができる。
【0017】
炉内加熱ヒータ1(図9参照)の主要部を構成するヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリ10は、図2および図3に示すように、加熱線(ヒータ素線)11、碍子12〜17、およびヒータ端子21を備えている。
【0018】
加熱線11は、線状の金属製の電熱素材(例えば、ニクロム製の電熱素材)を基端から先端に向かって直線状に延び出させ、先端側でU字状に折り返して再び基端側に直線状に戻すような折返し形態を1セットとするものであり、折返し先端部11aと二重線部11bとを有している。このような形態の加熱線11が複数セット使用されて、全体で一つの発熱体を構成している。
【0019】
この実施例1では、例えば8セットの加熱線11が使用されており、そのうち6セットの加熱線11Aは基端から先端までの全長(有効発熱部)がほぼ同じ長さに設定されている。残り2セットの加熱線11Bは、いずれも2本ある基端部の一方が他方に比べて所定長だけ長く設定されており、この長く設定された部位がヒータ端子21(図7参照)と溶接により接続されるリード部11c(溶接しろ)として機能するようになっている。
【0020】
碍子12〜15は、図2に示すように、加熱線11の先端側から基端側(ヒータ端子21側)に向かってこの順に装着されている。また、碍子16,17は、ヒータ端子21の基端側(加熱線11側)から先端側に向かってこの順に装着されている。最初に、碍子13〜17について説明する。
【0021】
碍子13は、図11に示すように、各セットの加熱線11における二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線(中心軸線)Lの周りの所定の角度間隔で有する略円板状(径方向外方に向かうに従って上面が低くなるように傾斜する形態)のベース板部13aを備えている。この実施例では、8セットの加熱線11に対応して、線挿通孔のセットが8セット設けられている。
【0022】
線挿通孔のセットは、基準線Lの周りの第1ピッチ円P1に沿って角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第1線挿通孔13a1と、第1ピッチ円P1に比べて小径の第2ピッチ円P2に沿って第1線挿通孔13a1間の部位に対応するように角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第2線挿通孔13a2とで構成されている。具体的には、第1線挿通孔13a1と第2線挿通孔13a2は、ベース板部13aを円周方向に沿って見た場合、千鳥状に配置されるようになっている。
【0023】
ベース板部13aには、各加熱線11の折返し先端部11a側に突出する連結基部13bが設けられている。連結基部13bは、基準線Lを中心軸線とする略円柱状(先端側が基端側に比べて若干量だけ先細りとなる形態)をなし、ベース板部13aの各線挿通孔13a2よりも径方向内側部位に一体形成されている。
【0024】
連結基部13bには、基準線Lを中心軸線とする円形かつ段付き状の挿通孔13b1が形成されている。挿通孔13b1は、補強のための芯棒や、温度検出のためのセンサを組み入れる等して適宜利用される。ベース板部13aには、挿通孔13b1に連通する正四角錐台状の凹部13a3が形成されている。連結基部13bの先端には、ベース板部13aの凹部13a3における底辺および高さ寸法を若干量だけ小さくした正四角錐台状の凸部13b2が形成されている。
【0025】
このように構成された碍子13は、図4に示すように、複数用いられ、任意の碍子13の凸部13b2が他の碍子13の凹部13a3に嵌合することで、複数の碍子13が基準線Lの方向に数珠繋ぎ状に連結される。この場合、凸部13b2および凹部13a3が正四角錐台状に形成されているので、各碍子13が連結された状態では、碍子13同士の基準線L回りの相対回転が防止されるようになっている。
【0026】
各碍子13の線挿通孔13a1には、図5に示すように、各加熱線11の二重線部11bが1本ずつ通り、各二重線部11bの基端部は、図2および図7(b)に示すように、最も基端側に近い位置に配置される碍子13のベース板部13aから突出した状態となる。この状態で、一方の加熱線11Bのリード部11cと他方の加熱線11Bのリード部11cとが、図6にて矢印で示すように、全加熱線11の二重線部11bを経由して直列に繋がるよう、所定の加熱線11A同士、所定の加熱線11Aと加熱線11Bとが、円柱状の結線部材19aで接続され、あるいは板状の結線部材19bで接続されている。
【0027】
碍子14は、図2および図12に示すように、円板状をなし、ベース基板部13aの線挿通孔13a1,13a2にそれぞれ対応する線挿通孔14a1,14a2と、基準線Lを中心軸線とする円形の貫通孔14bとを有している。碍子14は、各加熱線11Bのリード部11cのみを挿通させ(図7(b)参照)、線挿通孔14a1,14a2の形成されていない板面にて結線部材19a,19bの端面と当接することにより、碍子13側への配置位置が規定されるようになっている。
【0028】
碍子15は、図2および図13に示すように、碍子14とほぼ同じ大きさの円板状をなし、各加熱線11Bのリード部11cのみを挿通させる線挿通孔15aを有していて、碍子14の板面に当接した状態で配置される。
【0029】
碍子16は、図2および図14に示すように、碍子15とほぼ同じ大きさの円板状をなし、各ヒータ端子21のみを挿通させる線挿通孔16aを有していて(図7(b)参照)、各加熱線11Bのリード部11cにおける基端面に当接した状態で配置される。
【0030】
碍子17は、図2および図15に示すように、碍子15に比べて直径、厚さともに大きな小径部17aと大径部17bを有する二段の円柱状をなし、各ヒータ端子21のみを挿通させる線挿通孔17cを有している。
【0031】
ヒータ端子21は、図7(a)に示すように、直線棒状の非発熱体であり、その一端にて電源(例えば、交流電源)側の端子と結線するための端子板部21aを備えている。ヒータ端子21には、図7(b)に示すように、端子板部21a側から加熱線11Bのリード部11c側に向けて碍子17、断熱部材18(例えば、複数の丸状ブランケット)、碍子16がこの順に挿通され、基端部が碍子15の板面に当接した状態で加熱線11Bのリード部11cに溶接により接続される。
【0032】
上記の碍子12〜17、断熱部材18およびヒータ端子21が装着されたヒータ本体のアッセンブリ10(図2参照)の外側には、図8に示すような、保護カバーとしての円筒状の金属製(例えば、ステンレス製)の保護管(ラジアントチューブ)31が装着される。保護管31は、先端部にて底部31aを備え、基端部にて加熱炉F1,F2のフランジ部(図1参照)に固定するためのフランジ部31bを備えている。
【0033】
この実施例1では、例えば図9に示すように、上記碍子16を流用して、保護管31側の碍子として保護管31の底部31aに着座させた状態で、ヒータ本体のアッセンブリ10を保護管31内に組み込み、碍子12をその碍子16に接触させることにより、そのアッセンブリ10の保護管31内での先端位置を規定するようにしている。
【0034】
ヒータ本体のアッセンブリ10が保護管31内に組み込まれた状態では、碍子12〜16の外側面と保護管31の内周面との間に所定長の隙間が形成され、また、碍子17の小径部17aにおける外側面と保護管31の内周面との間に極僅かの隙間が形成されるとともに、大径部17bが保護管31のフランジ部31bに着座するようになっている。
【0035】
そして、上記のように構成された炉内加熱ヒータ1では、電源(図示省略)からヒータ端子21への通電により、加熱線11が発熱し、発生した熱が保護管31を経て外部へ放射されることとなる。
【0036】
ところで、この実施例1では、加熱線11の先端側に配置される碍子12が、図2および図10に示すように、碍子13に共通する形状と、共通しない形状との両形状を具備するように構成されている。具体的には、図10に示すように、各セットの加熱線11における二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットSを、基準線Lの周りの所定の角度間隔で有する略円板状のベース板部12aを備え、かつ各加熱線11の折返し先端部11a側に突出する連結基部12bを備える点において共通している。
【0037】
具体的には、線挿通孔のセットSは、基準線Lの周りの第1ピッチ円P1に沿って角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第1線挿通孔12a1と、第1ピッチ円P1に比べて小径の第2ピッチ円P2に沿って第1線挿通孔12a1間の部位に対応するように角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第2線挿通孔12a2とで構成されている。第1線挿通孔12a1と第2線挿通孔12a2は、ベース板部12aを円周方向に沿って見た場合、千鳥状に配置されている。
【0038】
また、連結基部12bは、碍子13の連結基部13bと同様、基準線Lを中心軸線とする略円柱状をなし、ベース板部12aの各線挿通孔12a2よりも径方向内側部位に一体形成されている。連結基部12bには、基準線Lを中心軸線とする円形かつ段付き状の挿通孔12b1が形成されており、ベース板部12aには、挿通孔12b1に連通する正四角錐台状の凹部12a3が形成されている。凹部12a3は、碍子13に形成された凹部13a3とほぼ同じ大きさに形成されており、基端側に配置される碍子13の凸部13b2と嵌まり合って連結状態となる。
【0039】
これに対して、ベース板部12aの各加熱線11の折返し先端部11a側には、仕切り壁12cと外周壁12dとが一体に形成されている点において、このような仕切り壁等のない碍子13と異なっている。また、碍子12の連結基部12bには、連結のための凸部が省略されている点において、連結基部13bに凸部13b2が形成されている碍子13と異なっている。
【0040】
仕切り壁12cは、図10(b)の図示下端にてベース板部12aに、内側端にて連結基部12bに接続され、基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出し、加熱線11の隣り合う折返し先端部11a同士が短絡しないように線挿通孔のセットSをセット毎に仕切っている。ここで、垂直面は、仕切り壁12c毎に規定されるものであり、任意の仕切り壁12cに対応する垂直面としては、例えばその仕切り壁12cの内側端と基準線Lを通るものを選ぶことができる。つまり、仕切り壁12cは、仕切り壁12c毎に同じ基準で規定された垂直面に対してそれぞれ傾斜している。
【0041】
外周壁12dは、仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、加熱線11の折返し先端部11aのいずれもがベース板部12aの外周上を基準線Lから離れる向きに超えないように仕切っている。つまり、外周壁12dは、加熱線11の折返し先端部11aのいずれもが保護管31の内周面と短絡しないようにベース板部12aの線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切っている。
【0042】
仕切り壁12cと外周壁12dは、ベース板部12aの板面からの高さ寸法が同じ長さに設定されている。この高さ寸法は、加熱線11の発熱時に折返し先端部11aが基準線Lの方向に向かって最大に線膨張した場合でも超えることのない長さ、すなわち加熱線11の線径が例えば5〜10mmであり、加熱線11の有効発熱部の長さが例えば1000〜1500mmであって、ベース板部12aの直径が90〜100mmであるとき、例えば15〜30mm程度となるように設定されている。
【0043】
上記のように構成された碍子12〜14を用いることにより、線挿通孔が1つのピッチ円に沿って等角度間隔で形成され、隣り合う一対の線挿通孔が線挿通孔の1セットを構成する従来の碍子に比べて、線挿通孔のセットS数を増やすことができ、それに応じて加熱線11の使用本数を増やすことができるので、炉内加熱ヒータ1の出力を向上させることができる。
【0044】
そして、碍子12を加熱線11の先端側に配置すると、図16にて破線で示すように、複数のセットの二重線部11bの任意の1セットが、仕切り壁12cの隣り合うもの同士の間に位置し、その仕切り壁12cの近傍で折り返されるようになる。つまり、碍子12のベース板部12aにおける「行き方向」の線挿通孔12a1(12a2)から先端側に出た線部分は、隣り合う仕切り壁12cの近傍で折り返され、ベース板部12aの「帰り方向」の線挿通孔12a2(12a1)を通過して基端側へ戻る。
【0045】
これらの仕切り壁12cによって、複数セットの二重線部11b同士がベース板部12aの線挿通孔12a1,12a2より先端側に延び出た部分で接触すること(短絡)が防止される。つまり、通電による発熱で各加熱線11の二重線部11bが異なる態様で線膨張し、あるいは折返し先端部11aのループが広がるように熱変形しようとしても、仕切り壁12cがあるから、それに当たってそれ以上、隣の折返し先端部11a側へ寄ることが阻止され、最終的には、図16にて二点鎖線で示すように、折返し先端部11aが基準線Lの方向に延び出すようになって、折返し先端部11a同士の短絡が防止される。
【0046】
また、上記のように構成された炉内加熱ヒータ1を用いると、通電による発熱で各加熱線11の二重線部11bにおける折返し先端部11aが基準線Lから離れる向きに反り返るように熱変形しようとしても、外周壁12dがあるから、それに当たってそれ以上、保護管31の内周面側へ寄ることが阻止され、最終的には、図16にて二点鎖線で示すように、折返し先端部11aが基準線Lの方向に延び出すようになって、保護管31の内周面に接触すること(短絡)が防止される。
【実施例2】
【0047】
上記実施例1においては、ベース板部12aに、仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切る外周壁12dを一体に形成したので、加熱線11の折返し先端部11aが仕切り壁12cの間のスペースに向かって延び出しても、円筒状の外周壁12dの存在により、折返し先端部11aがこの円筒状の外周壁12dに当たることで、保護管31の内周面に接触することをほぼ確実に防止できた。ただし、例えば図17の碍子12’に示すように、外周壁12dを省略してもよい。
【0048】
この実施例2のように外周壁12dを省略するようにしても、仕切り壁12cが基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出配置されているので、反り返るように熱変形する折返し先端部11aが、この傾斜状の仕切り壁12cに当たって、保護管31の内周面への接触には至らないことが十分に期待される。なお、図17に示した碍子12’において、外周壁12dが省略されている点を除けば、その他の構成は碍子12と同じであるため、碍子12と同じ機能を果たす部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0049】
(変形例)
碍子12,12’は、その先端側において他の碍子13等と連結されることがなく、単に保護管31側の碍子16等と接触できる形状であればよいので、上記実施例1,2では、連結基端部12bの先端に凸部を設けないように構成したが、碍子13を成形するための型を利用して、碍子12を成形することも可能である。したがって、この場合には、例えば図18に示すように、碍子12’’の連結基端部12bの先端に碍子13とほぼ同じ形状の凸部12b2が形成されるようになるが、このような碍子12’’を用いて炉内加熱ヒータを構成してもよい。なお、図18において、凸部12b2以外の構成は碍子12と同じである。
【0050】
上記実施例等においては、碍子12等と碍子13、または碍子13同士が四角錐台状の凹部12a3と凸部13b2との嵌合により、または凹部13a3と凸部13b2との嵌合により、基準線L回りの相互の相対回転が防止される構成とした。ただし、凹部、凸部は四角錐台状に限らず、例えば半月状であってもよい。
【0051】
また、碍子12等における線挿通孔のセット数は、ベース板部12aの大きさや加熱線11の線径等に応じて適宜変更可能である。
【0052】
さらに、碍子12等のベース板部12aは、円板形状に限らず、例えば正多角形状に形成してもよい。また、これに対応して保護管31を、例えば正多角形の筒状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
F1,F2 加熱炉
1 炉内加熱ヒータ
10 ヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリ
11,11A,11B 加熱線
11a 折返し先端部
11b 二重線部
11c リード部
12〜17 碍子
12a ベース板部
S 線挿通孔のセット
12a1 第1線挿通孔
12a2 第2線挿通孔
12a3 凹部
12b 連結基部
12b1 挿通孔
12c 仕切り壁
12d 外周壁
21 ヒータ端子
31 保護管
12’,12’’ 碍子
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内加熱ヒータ用碍子およびそれを用いた炉内加熱ヒータに関し、特に加熱線の先端側に配置される碍子、およびその碍子を用いた炉内加熱ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炉内加熱ヒータ用碍子として、例えば下記特許文献1に記載されているように、加熱線を螺旋状に巻いて形成した発熱コイル内に配置されるものが知られている。この特許文献1では、碍子の基部に板状の第1短絡防止体が複数設けられ、各第1短絡防止体の先端に板状の第2短絡防止体が設けられている。そして、碍子が発熱コイルのピッチ間を回転しつつ移動できるように、各第1短絡防止体の取り付け位置や形状が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−162943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような加熱線が螺旋状に巻かれた形態以外にも、加熱線が基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る形態とされ、そのような折返し形態からなる二重線部が複数セット設けられるものがある。通常、後者の形態の加熱線によると、前者の形態の加熱線に比べて有効発熱部の長さを長く設定できるので、より大きな出力(発熱量)を得ることが可能である。この場合、後者の形態の加熱線においては、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、碍子が加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置されることが多い。
【0005】
ところが、例えば図19に示すように、碍子130が複数配置される後者の形態では、加熱線110が通電による発熱で線膨張し、各二重線部110bにおける折返し先端部110a(ループ部分)が広がるように熱変形することがある。このため、隣り合う折返し先端部110a同士が接触することで、加熱線110が短絡し、断線してしまうという問題があった。
【0006】
特に、近年では、炉内加熱ヒータ(以下、単にヒータともいう)は消耗部品なので、設備コストの削減の観点から、ヒータの使用本数を減らしたいとの要請がある一方、その使用本数を減らした場合でも、ヒータ全体の出力は維持あるいは向上させたいとの要請もある。このような両要請を実現するためには、ヒータ1本当たりの出力を大きく設定する必要があり、加熱線を出来るだけ密に(有効発熱部の長さをより長く)配置する必要がある。しかしながら、加熱線を密に配置すればするほど、隣り合う折返し先端部同士が接触しやすくなるので、上記した問題が発生するおそれが高くなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上記した後者の形態の加熱線を用いて、ヒータ1本当たりの出力を向上させつつ、しかも加熱線の各二重線部における折返し先端部での短絡を良好に防止し得る炉内加熱ヒータ用碍子およびその碍子を用いた炉内加熱ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子であって、それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、線挿通孔のセットは、基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、ベース板部の、加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする。この場合、例えば仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、折返し先端部のいずれもが該ベース板部の外周上を基準線から離れる向きに超えないように仕切る外周壁が一体に形成されていると好適である。
【0009】
この炉内加熱ヒータ用碍子では、第1ピッチ円に沿って形成される第1線挿通孔と、第2ピッチ円に沿って形成される第2線挿通孔とにより線挿通孔のセットが構成されており、第2線挿通孔が第1線挿通孔間の部位に対応する位置に配置されている。すなわち、第1線挿通孔と第2線挿通孔を円周方向に沿って見た場合、両挿通孔は千鳥状に配置されるようになっている。このため、線挿通孔が1つのピッチ円に沿って等角度間隔で形成され、隣り合う一対の線挿通孔が線挿通孔の1セットを構成する従来の炉内加熱ヒータ用碍子に比べて、線挿通孔のセット数を増やすことができ、それに応じて加熱線の使用本数を増やすことができるので、ヒータの出力を向上させることができる。この場合、複数のセットの二重線部の任意の1セットが、仕切り壁の隣り合うもの同士の間に位置し、その仕切り壁の近傍で折り返されるようになる。つまり、ベース板部の「行き方向」の線挿通孔から先端側に出た線部分は、隣り合う仕切り壁の近傍で折り返され、ベース板部の「帰り方向」の線挿通孔を通過して基端側へ戻る。これらの仕切り壁によって、複数セットの二重線部同士がベース板部の線挿通孔より先端側に延び出た部分で接触すること(短絡)が防止される。つまり、通電による発熱で各二重線部の折返し先端部のループが広がるように熱変形しても、仕切り壁があるから、それに当たってそれ以上、隣の二重線部側へ寄ることが阻止され、短絡が防止される。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明は、基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、加熱線の基端から先端にかけて二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子を備え、それら炉内加熱ヒータ用碍子の隣り合うもの同士が相互に連結可能とされ、連結状態にあるそれら複数の炉内加熱ヒータ用碍子が装着された碍子付き加熱線のアッセンブリの外側に、筒状の金属製の保護カバーが装着されてなる炉内加熱ヒータであって、それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、線挿通孔のセットは、基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、ベース板部の、加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
この炉内加熱ヒータでは、線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出している。このため、通電による発熱で各二重線の折返し先端部が中心の基準線から離れる向きに反り返るように熱変形しても、傾斜状の仕切り壁が存在するため、反り返るように熱変形する折返し先端部が、この傾斜状の仕切り壁に当たりやすくなって、保護カバーの内周面に接触すること(短絡)が防止される。
【0012】
この場合、例えば仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、折返し先端部のいずれもが保護カバーの内周面と短絡しないように線挿通孔のセットの全てと該保護カバーの内周面とを仕切る外周壁が一体に形成されていると好適である。
【0013】
上記した傾斜状の仕切り壁の存在により、各二重線の折返し先端部が中心の基準線から離れる向きに反り返るように熱変形しても、保護カバーの内周面に接触することが防止されるが、熱変形の態様によっては折返し先端部が仕切り壁の間のスペースに向かって延び出す場合がある。このような場合でも、筒状の外周壁の存在により、折返し先端部がこの筒状の外周壁に当たることで、保護カバーの内周面に接触することがほぼ確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る炉内加熱ヒータ用碍子およびそれを用いた炉内加熱ヒータを適用した加熱炉を概略的に示す説明図。
【図2】図1に示した炉内加熱ヒータの主要部を構成するヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリの斜視図。
【図3】図2に示した加熱線の斜視図。
【図4】図2に示した碍子12,13の連結状態を示す斜視図。
【図5】図2の部分拡大図。
【図6】図2に示した加熱線とヒータ端子とを接続する前の、加熱線同士の結線状態を示す正面図。
【図7】(a)は図2に示したヒータ端子の斜視図。(b)は碍子16,17等が介装された(a)のヒータ端子と図9の加熱線とを接続した状態を示す斜視図。
【図8】図2に示したヒータ本体の外側に装着される保護管の斜視図。
【図9】図2に示したヒータ本体と図11に示した保護管とを組み付けた状態を示す平面断面図(保護管のみ破断)。
【図10】(a)は碍子12の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)の底面図。(d)は(a)のA−A断面図。
【図11】(a)は碍子13の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)の底面図。
【図12】(a)は碍子14の平面図。(b)は(a)の縦断面図。(c)は(a)のB−B断面図。
【図13】(a)は碍子15の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図14】(a)は碍子16の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図15】(a)は碍子17の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図16】加熱線の折返し先端部が発熱により線膨張した状態を示す説明図。
【図17】(a)は本発明の実施例2に係る碍子12’の平面図。(b)は(a)の縦断面図。
【図18】本発明の変形例に係る碍子12’’の縦断面図。
【図19】従来の碍子を用いた場合において、加熱線の発熱による線膨張に起因して折返し先端部が断線した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a),1(b)は、本発明に係る炉内加熱ヒータ用碍子(以下、単に碍子という)12、およびその碍子12を用いた炉内加熱ヒータ1(加熱源)を適用した工業用熱処理設備としての加熱炉F1,F2を例示したものである。炉内加熱ヒータ1は、炉内の熱分布および熱処理効果の観点から、加熱炉F1のように垂直方向に複数設置される場合や、加熱炉F2のように水平方向に複数設置される場合がある。なお、本発明に係る碍子12および炉内加熱ヒータ1は、炉内への扉が一つである加熱炉に限らず、入口用と出口用の各扉が設けられている加熱炉(例えば、連続炉)に広く適用することができる。
【0017】
炉内加熱ヒータ1(図9参照)の主要部を構成するヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリ10は、図2および図3に示すように、加熱線(ヒータ素線)11、碍子12〜17、およびヒータ端子21を備えている。
【0018】
加熱線11は、線状の金属製の電熱素材(例えば、ニクロム製の電熱素材)を基端から先端に向かって直線状に延び出させ、先端側でU字状に折り返して再び基端側に直線状に戻すような折返し形態を1セットとするものであり、折返し先端部11aと二重線部11bとを有している。このような形態の加熱線11が複数セット使用されて、全体で一つの発熱体を構成している。
【0019】
この実施例1では、例えば8セットの加熱線11が使用されており、そのうち6セットの加熱線11Aは基端から先端までの全長(有効発熱部)がほぼ同じ長さに設定されている。残り2セットの加熱線11Bは、いずれも2本ある基端部の一方が他方に比べて所定長だけ長く設定されており、この長く設定された部位がヒータ端子21(図7参照)と溶接により接続されるリード部11c(溶接しろ)として機能するようになっている。
【0020】
碍子12〜15は、図2に示すように、加熱線11の先端側から基端側(ヒータ端子21側)に向かってこの順に装着されている。また、碍子16,17は、ヒータ端子21の基端側(加熱線11側)から先端側に向かってこの順に装着されている。最初に、碍子13〜17について説明する。
【0021】
碍子13は、図11に示すように、各セットの加熱線11における二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線(中心軸線)Lの周りの所定の角度間隔で有する略円板状(径方向外方に向かうに従って上面が低くなるように傾斜する形態)のベース板部13aを備えている。この実施例では、8セットの加熱線11に対応して、線挿通孔のセットが8セット設けられている。
【0022】
線挿通孔のセットは、基準線Lの周りの第1ピッチ円P1に沿って角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第1線挿通孔13a1と、第1ピッチ円P1に比べて小径の第2ピッチ円P2に沿って第1線挿通孔13a1間の部位に対応するように角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第2線挿通孔13a2とで構成されている。具体的には、第1線挿通孔13a1と第2線挿通孔13a2は、ベース板部13aを円周方向に沿って見た場合、千鳥状に配置されるようになっている。
【0023】
ベース板部13aには、各加熱線11の折返し先端部11a側に突出する連結基部13bが設けられている。連結基部13bは、基準線Lを中心軸線とする略円柱状(先端側が基端側に比べて若干量だけ先細りとなる形態)をなし、ベース板部13aの各線挿通孔13a2よりも径方向内側部位に一体形成されている。
【0024】
連結基部13bには、基準線Lを中心軸線とする円形かつ段付き状の挿通孔13b1が形成されている。挿通孔13b1は、補強のための芯棒や、温度検出のためのセンサを組み入れる等して適宜利用される。ベース板部13aには、挿通孔13b1に連通する正四角錐台状の凹部13a3が形成されている。連結基部13bの先端には、ベース板部13aの凹部13a3における底辺および高さ寸法を若干量だけ小さくした正四角錐台状の凸部13b2が形成されている。
【0025】
このように構成された碍子13は、図4に示すように、複数用いられ、任意の碍子13の凸部13b2が他の碍子13の凹部13a3に嵌合することで、複数の碍子13が基準線Lの方向に数珠繋ぎ状に連結される。この場合、凸部13b2および凹部13a3が正四角錐台状に形成されているので、各碍子13が連結された状態では、碍子13同士の基準線L回りの相対回転が防止されるようになっている。
【0026】
各碍子13の線挿通孔13a1には、図5に示すように、各加熱線11の二重線部11bが1本ずつ通り、各二重線部11bの基端部は、図2および図7(b)に示すように、最も基端側に近い位置に配置される碍子13のベース板部13aから突出した状態となる。この状態で、一方の加熱線11Bのリード部11cと他方の加熱線11Bのリード部11cとが、図6にて矢印で示すように、全加熱線11の二重線部11bを経由して直列に繋がるよう、所定の加熱線11A同士、所定の加熱線11Aと加熱線11Bとが、円柱状の結線部材19aで接続され、あるいは板状の結線部材19bで接続されている。
【0027】
碍子14は、図2および図12に示すように、円板状をなし、ベース基板部13aの線挿通孔13a1,13a2にそれぞれ対応する線挿通孔14a1,14a2と、基準線Lを中心軸線とする円形の貫通孔14bとを有している。碍子14は、各加熱線11Bのリード部11cのみを挿通させ(図7(b)参照)、線挿通孔14a1,14a2の形成されていない板面にて結線部材19a,19bの端面と当接することにより、碍子13側への配置位置が規定されるようになっている。
【0028】
碍子15は、図2および図13に示すように、碍子14とほぼ同じ大きさの円板状をなし、各加熱線11Bのリード部11cのみを挿通させる線挿通孔15aを有していて、碍子14の板面に当接した状態で配置される。
【0029】
碍子16は、図2および図14に示すように、碍子15とほぼ同じ大きさの円板状をなし、各ヒータ端子21のみを挿通させる線挿通孔16aを有していて(図7(b)参照)、各加熱線11Bのリード部11cにおける基端面に当接した状態で配置される。
【0030】
碍子17は、図2および図15に示すように、碍子15に比べて直径、厚さともに大きな小径部17aと大径部17bを有する二段の円柱状をなし、各ヒータ端子21のみを挿通させる線挿通孔17cを有している。
【0031】
ヒータ端子21は、図7(a)に示すように、直線棒状の非発熱体であり、その一端にて電源(例えば、交流電源)側の端子と結線するための端子板部21aを備えている。ヒータ端子21には、図7(b)に示すように、端子板部21a側から加熱線11Bのリード部11c側に向けて碍子17、断熱部材18(例えば、複数の丸状ブランケット)、碍子16がこの順に挿通され、基端部が碍子15の板面に当接した状態で加熱線11Bのリード部11cに溶接により接続される。
【0032】
上記の碍子12〜17、断熱部材18およびヒータ端子21が装着されたヒータ本体のアッセンブリ10(図2参照)の外側には、図8に示すような、保護カバーとしての円筒状の金属製(例えば、ステンレス製)の保護管(ラジアントチューブ)31が装着される。保護管31は、先端部にて底部31aを備え、基端部にて加熱炉F1,F2のフランジ部(図1参照)に固定するためのフランジ部31bを備えている。
【0033】
この実施例1では、例えば図9に示すように、上記碍子16を流用して、保護管31側の碍子として保護管31の底部31aに着座させた状態で、ヒータ本体のアッセンブリ10を保護管31内に組み込み、碍子12をその碍子16に接触させることにより、そのアッセンブリ10の保護管31内での先端位置を規定するようにしている。
【0034】
ヒータ本体のアッセンブリ10が保護管31内に組み込まれた状態では、碍子12〜16の外側面と保護管31の内周面との間に所定長の隙間が形成され、また、碍子17の小径部17aにおける外側面と保護管31の内周面との間に極僅かの隙間が形成されるとともに、大径部17bが保護管31のフランジ部31bに着座するようになっている。
【0035】
そして、上記のように構成された炉内加熱ヒータ1では、電源(図示省略)からヒータ端子21への通電により、加熱線11が発熱し、発生した熱が保護管31を経て外部へ放射されることとなる。
【0036】
ところで、この実施例1では、加熱線11の先端側に配置される碍子12が、図2および図10に示すように、碍子13に共通する形状と、共通しない形状との両形状を具備するように構成されている。具体的には、図10に示すように、各セットの加熱線11における二重線部11bを1本ずつ通す線挿通孔のセットSを、基準線Lの周りの所定の角度間隔で有する略円板状のベース板部12aを備え、かつ各加熱線11の折返し先端部11a側に突出する連結基部12bを備える点において共通している。
【0037】
具体的には、線挿通孔のセットSは、基準線Lの周りの第1ピッチ円P1に沿って角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第1線挿通孔12a1と、第1ピッチ円P1に比べて小径の第2ピッチ円P2に沿って第1線挿通孔12a1間の部位に対応するように角度θ(=45度)の等角度間隔で形成される第2線挿通孔12a2とで構成されている。第1線挿通孔12a1と第2線挿通孔12a2は、ベース板部12aを円周方向に沿って見た場合、千鳥状に配置されている。
【0038】
また、連結基部12bは、碍子13の連結基部13bと同様、基準線Lを中心軸線とする略円柱状をなし、ベース板部12aの各線挿通孔12a2よりも径方向内側部位に一体形成されている。連結基部12bには、基準線Lを中心軸線とする円形かつ段付き状の挿通孔12b1が形成されており、ベース板部12aには、挿通孔12b1に連通する正四角錐台状の凹部12a3が形成されている。凹部12a3は、碍子13に形成された凹部13a3とほぼ同じ大きさに形成されており、基端側に配置される碍子13の凸部13b2と嵌まり合って連結状態となる。
【0039】
これに対して、ベース板部12aの各加熱線11の折返し先端部11a側には、仕切り壁12cと外周壁12dとが一体に形成されている点において、このような仕切り壁等のない碍子13と異なっている。また、碍子12の連結基部12bには、連結のための凸部が省略されている点において、連結基部13bに凸部13b2が形成されている碍子13と異なっている。
【0040】
仕切り壁12cは、図10(b)の図示下端にてベース板部12aに、内側端にて連結基部12bに接続され、基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出し、加熱線11の隣り合う折返し先端部11a同士が短絡しないように線挿通孔のセットSをセット毎に仕切っている。ここで、垂直面は、仕切り壁12c毎に規定されるものであり、任意の仕切り壁12cに対応する垂直面としては、例えばその仕切り壁12cの内側端と基準線Lを通るものを選ぶことができる。つまり、仕切り壁12cは、仕切り壁12c毎に同じ基準で規定された垂直面に対してそれぞれ傾斜している。
【0041】
外周壁12dは、仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、加熱線11の折返し先端部11aのいずれもがベース板部12aの外周上を基準線Lから離れる向きに超えないように仕切っている。つまり、外周壁12dは、加熱線11の折返し先端部11aのいずれもが保護管31の内周面と短絡しないようにベース板部12aの線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切っている。
【0042】
仕切り壁12cと外周壁12dは、ベース板部12aの板面からの高さ寸法が同じ長さに設定されている。この高さ寸法は、加熱線11の発熱時に折返し先端部11aが基準線Lの方向に向かって最大に線膨張した場合でも超えることのない長さ、すなわち加熱線11の線径が例えば5〜10mmであり、加熱線11の有効発熱部の長さが例えば1000〜1500mmであって、ベース板部12aの直径が90〜100mmであるとき、例えば15〜30mm程度となるように設定されている。
【0043】
上記のように構成された碍子12〜14を用いることにより、線挿通孔が1つのピッチ円に沿って等角度間隔で形成され、隣り合う一対の線挿通孔が線挿通孔の1セットを構成する従来の碍子に比べて、線挿通孔のセットS数を増やすことができ、それに応じて加熱線11の使用本数を増やすことができるので、炉内加熱ヒータ1の出力を向上させることができる。
【0044】
そして、碍子12を加熱線11の先端側に配置すると、図16にて破線で示すように、複数のセットの二重線部11bの任意の1セットが、仕切り壁12cの隣り合うもの同士の間に位置し、その仕切り壁12cの近傍で折り返されるようになる。つまり、碍子12のベース板部12aにおける「行き方向」の線挿通孔12a1(12a2)から先端側に出た線部分は、隣り合う仕切り壁12cの近傍で折り返され、ベース板部12aの「帰り方向」の線挿通孔12a2(12a1)を通過して基端側へ戻る。
【0045】
これらの仕切り壁12cによって、複数セットの二重線部11b同士がベース板部12aの線挿通孔12a1,12a2より先端側に延び出た部分で接触すること(短絡)が防止される。つまり、通電による発熱で各加熱線11の二重線部11bが異なる態様で線膨張し、あるいは折返し先端部11aのループが広がるように熱変形しようとしても、仕切り壁12cがあるから、それに当たってそれ以上、隣の折返し先端部11a側へ寄ることが阻止され、最終的には、図16にて二点鎖線で示すように、折返し先端部11aが基準線Lの方向に延び出すようになって、折返し先端部11a同士の短絡が防止される。
【0046】
また、上記のように構成された炉内加熱ヒータ1を用いると、通電による発熱で各加熱線11の二重線部11bにおける折返し先端部11aが基準線Lから離れる向きに反り返るように熱変形しようとしても、外周壁12dがあるから、それに当たってそれ以上、保護管31の内周面側へ寄ることが阻止され、最終的には、図16にて二点鎖線で示すように、折返し先端部11aが基準線Lの方向に延び出すようになって、保護管31の内周面に接触すること(短絡)が防止される。
【実施例2】
【0047】
上記実施例1においては、ベース板部12aに、仕切り壁12cの突出端を円筒状に繋ぎ、線挿通孔のセットSの全てと保護管31の内周面とを仕切る外周壁12dを一体に形成したので、加熱線11の折返し先端部11aが仕切り壁12cの間のスペースに向かって延び出しても、円筒状の外周壁12dの存在により、折返し先端部11aがこの円筒状の外周壁12dに当たることで、保護管31の内周面に接触することをほぼ確実に防止できた。ただし、例えば図17の碍子12’に示すように、外周壁12dを省略してもよい。
【0048】
この実施例2のように外周壁12dを省略するようにしても、仕切り壁12cが基準線Lを含む垂直面に対して傾斜状に突出配置されているので、反り返るように熱変形する折返し先端部11aが、この傾斜状の仕切り壁12cに当たって、保護管31の内周面への接触には至らないことが十分に期待される。なお、図17に示した碍子12’において、外周壁12dが省略されている点を除けば、その他の構成は碍子12と同じであるため、碍子12と同じ機能を果たす部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0049】
(変形例)
碍子12,12’は、その先端側において他の碍子13等と連結されることがなく、単に保護管31側の碍子16等と接触できる形状であればよいので、上記実施例1,2では、連結基端部12bの先端に凸部を設けないように構成したが、碍子13を成形するための型を利用して、碍子12を成形することも可能である。したがって、この場合には、例えば図18に示すように、碍子12’’の連結基端部12bの先端に碍子13とほぼ同じ形状の凸部12b2が形成されるようになるが、このような碍子12’’を用いて炉内加熱ヒータを構成してもよい。なお、図18において、凸部12b2以外の構成は碍子12と同じである。
【0050】
上記実施例等においては、碍子12等と碍子13、または碍子13同士が四角錐台状の凹部12a3と凸部13b2との嵌合により、または凹部13a3と凸部13b2との嵌合により、基準線L回りの相互の相対回転が防止される構成とした。ただし、凹部、凸部は四角錐台状に限らず、例えば半月状であってもよい。
【0051】
また、碍子12等における線挿通孔のセット数は、ベース板部12aの大きさや加熱線11の線径等に応じて適宜変更可能である。
【0052】
さらに、碍子12等のベース板部12aは、円板形状に限らず、例えば正多角形状に形成してもよい。また、これに対応して保護管31を、例えば正多角形の筒状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
F1,F2 加熱炉
1 炉内加熱ヒータ
10 ヒータ本体(碍子付き加熱線)のアッセンブリ
11,11A,11B 加熱線
11a 折返し先端部
11b 二重線部
11c リード部
12〜17 碍子
12a ベース板部
S 線挿通孔のセット
12a1 第1線挿通孔
12a2 第2線挿通孔
12a3 凹部
12b 連結基部
12b1 挿通孔
12c 仕切り壁
12d 外周壁
21 ヒータ端子
31 保護管
12’,12’’ 碍子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、前記加熱線の基端から先端にかけて前記二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子であって、
それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、前記各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、
前記線挿通孔のセットは、前記基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、前記第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って前記第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、
前記ベース板部の、前記加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、前記基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように前記線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする炉内加熱ヒータ用碍子。
【請求項2】
前記仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、前記折返し先端部のいずれもが該ベース板部の外周上を前記基準線から離れる向きに超えないように仕切る外周壁が一体に形成されている請求項1に記載の炉内加熱ヒータ用碍子。
【請求項3】
基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、前記加熱線の基端から先端にかけて前記二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子を備え、
それら炉内加熱ヒータ用碍子の隣り合うもの同士が相互に連結可能とされ、連結状態にあるそれら複数の炉内加熱ヒータ用碍子が装着された碍子付き加熱線のアッセンブリの外側に、筒状の金属製の保護カバーが装着されてなる炉内加熱ヒータであって、
それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、前記各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、
前記線挿通孔のセットは、前記基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、前記第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って前記第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、
前記ベース板部の、前記加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、前記基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように前記線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする炉内加熱ヒータ。
【請求項4】
前記仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、前記折返し先端部のいずれもが前記保護カバーの内周面と短絡しないように前記線挿通孔のセットの全てと該保護カバーの内周面とを仕切る外周壁が一体に形成されている請求項3に記載の炉内加熱ヒータ。
【請求項1】
基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、前記加熱線の基端から先端にかけて前記二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子であって、
それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、前記各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、
前記線挿通孔のセットは、前記基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、前記第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って前記第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、
前記ベース板部の、前記加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、前記基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように前記線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする炉内加熱ヒータ用碍子。
【請求項2】
前記仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、前記折返し先端部のいずれもが該ベース板部の外周上を前記基準線から離れる向きに超えないように仕切る外周壁が一体に形成されている請求項1に記載の炉内加熱ヒータ用碍子。
【請求項3】
基端から先端に向かって延び、先端側で折り返されて再び基端側に戻る加熱線の折返し形態からなる二重線部が複数セットあり、各セットの二重線部同士、および隣り合う各二重線部のセット同士の短絡を防止するために、前記加熱線の基端から先端にかけて前記二重線部の各加熱線を単独で通過させるように複数配置される炉内加熱ヒータ用碍子を備え、
それら炉内加熱ヒータ用碍子の隣り合うもの同士が相互に連結可能とされ、連結状態にあるそれら複数の炉内加熱ヒータ用碍子が装着された碍子付き加熱線のアッセンブリの外側に、筒状の金属製の保護カバーが装着されてなる炉内加熱ヒータであって、
それら複数の炉内加熱ヒータ用碍子のうち、先端部に配置される碍子は、前記各セットの二重線部を1本ずつ通す線挿通孔のセットを、基準線の周りに所定の角度間隔で有するベース板部を備えており、
前記線挿通孔のセットは、前記基準線の周りの第1ピッチ円に沿って前記角度間隔で形成される第1線挿通孔と、前記第1ピッチ円に比べて小径の第2ピッチ円に沿って前記第1線挿通孔間の部位に対応するように前記角度間隔で形成される第2線挿通孔とで構成されており、
前記ベース板部の、前記加熱線の各二重線部における折返し先端部側には、前記基準線を含む垂直面に対して傾斜状に突出し、隣り合う折返し先端部同士が短絡しないように前記線挿通孔のセットをセット毎に仕切る仕切り壁が一体に形成されていることを特徴とする炉内加熱ヒータ。
【請求項4】
前記仕切り壁の突出端を筒状に繋ぎ、前記折返し先端部のいずれもが前記保護カバーの内周面と短絡しないように前記線挿通孔のセットの全てと該保護カバーの内周面とを仕切る外周壁が一体に形成されている請求項3に記載の炉内加熱ヒータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−29029(P2011−29029A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174451(P2009−174451)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【特許番号】特許第4401432号(P4401432)
【特許公報発行日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(596174341)ミクニ機工株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【特許番号】特許第4401432号(P4401432)
【特許公報発行日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(596174341)ミクニ機工株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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