説明

炊飯器

【課題】米計量、水計量などの計量部を一箇所とし、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】炊飯器本体50の収納部52に着脱自在に収納される鍋51と、収納部52を開閉自在に覆う蓋60と、鍋51を加熱する加熱手段55と、収納部52において鍋51を受けてその内部の米と水の量を計量する計量装置(鍋受け筒58)と、蓋60に設けられ鍋内への米と水の少なくとも一方の供給路となる通路部75と、通路部75に臨むとともに計量装置による計量結果に基づき米と水の少なくとも一方の供給を制御する供給装置64、66とを備えたものである。これによって、米計量、水計量などを炊飯器の計量機能を用いて行うことができ、計量部が一箇所になり、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋内に米と水の少なくとも一方を自動供給して自動炊飯が行える炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、無洗米の貯留庫と、計量器と、給水装置と、炊飯器とを備え、炊飯量入力部に炊飯量を入力しスタートスイッチを操作すると、炊飯量に対応する水量が炊飯器に供給され、その後、計量器によって計量された無洗米が供給される構成である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3735055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、炊飯器、米の貯留庫、米計量器、給水装置の水計量部(水の流量センサー、電磁開閉バルブ)が独立して設けてあり、全体として大型化し、家庭用の炊飯器に応用することができないという課題がある。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、米計量、水計量などの計量部を一箇所とし、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記収納部において鍋を受けてその内部の米と水の量を計量する計量装置と、前記蓋に設けられ鍋内への米と水の少なくとも一方の供給路となる通路部と、前記通路部に臨むとともに計量装置による計量結果に基づき米と水の少なくとも一方の供給を制御する供給装置とを備えたものである。
【0006】
これによって、米計量、水計量などを炊飯器の計量機能を用いて行うことができ、計量部が一箇所になり、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器は、米計量、水計量などの計量部を一箇所とし、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、炊飯器本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記収納部において鍋を受けてその内部の米と水の量を計量する計量装置と、前記蓋に設けられ鍋内への米と水の少なくとも一方の供給路となる通路部と、前記通路部に臨むとともに計量装置による計量結果に基づき米と水の少なくとも一方の供給を制御する供給装置とを備えた炊飯器とすることにより、米計量、水計量などを炊飯器の計量機能を用いて行うことができ、計量部が一箇所になり、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、供給装置と連通して水貯留タンクを設置し、鍋内へ水のみを供給するようにしたことにより、米は予め計量して鍋内に入れておき、水のみを計量しながら供給することができ、より小型化することができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、水の供給装置と連通して設置する水貯留タンクに水改質手段を設けたことにより、供給する水を炊飯に適したイオンを含む水に改質し、または、カルキなどの水中の不純物を除去することによって、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明において、炊飯器本体の操作部により供給装置の動作を操作可能としたことにより、炊飯器本体の操作部を操作するだけで、米や水の鍋への移送、計量、炊き上げを全自動で行うことができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1の発明において、通路部の鍋内への出口に供給される米と水の拡散手段を設けたことにより、米や水を鍋に移送したとき、米の表面をならし、ご飯が均一に炊き上がるものである。
【0013】
第6の発明は、特に、第2の発明において、通路部の鍋内への出口に水の拡散手段を設けたことにより、予め米を入れた鍋に水を供給するとき、米の表面をならし、ご飯が均一に炊き上がるものである。
【0014】
第7の発明は、特に、第1または第2の発明において、炊飯器本体には鍋を加振する加振動装置を備えたことにより、鍋に入れた米の表面をならし、ご飯が均一に炊き上がるものである。
【0015】
第8の発明は、特に、第1または第2の発明において、炊飯器本体には鍋内へ過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生装置を備えたことにより、過熱蒸気により蒸らし工程でご飯に高熱量を加えて澱粉の糊化を促進し、粘りと甘みのあるご飯を提供することができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第1または第2の発明において、収納部を開閉自在に覆う蓋には加圧装置を備え、炊飯を圧力式としたことにより、省スペースで小型の圧力式炊飯器を提供することができる。
【0017】
第10の発明は、特に、第1の発明において、通路部を蓋に対して着脱自在としたことにより、通路部のメンテナンスが容易に行え、通路部を清潔に保つことができる。
【0018】
第11の発明は、特に、第2の発明において、通路部を蓋に対して着脱自在としたことにより、給水の通路部のメンテナンスが容易に行え、清水を供給することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態)
図は、本発明の実施のけ痛いにおける炊飯器を示している。
【0021】
図1、図2に示すように、炊飯器本体50は、その収納部52にステンレススチール、鉄など磁性体によって形成される鍋51が着脱自在に収納されている。また、収納部52を開閉自在に覆う蓋60が設置されている。炊飯器本体50の収納部52は、上方の上枠53と下方のコイルベース54とから構成される。鍋51は、上端開口部の外側にせり出したフランジ51aを有し、フランジ51aを上枠53の上端から浮き上がった状態で載置することにより、収納部52に着脱自在に収納される。同時に、鍋51は収納された時に、収納部52との間に隙間を有する。コイルベース54の鍋51に対向する部分に鍋51を誘導加熱する誘導加熱コイルなどの加熱手段55が配設される。加熱手段55を誘導加熱コイルで構成する場合は、誘導加熱コイルは鍋51の底部中心の略真下に中心を有する巻線とする。コイルベース54の一部には鍋51に振動を与える鍋加振動装置79を設けている。
【0022】
炊飯器本体50の収納部52底部には歪みセンサーを貼付した起歪体56と起歪体56を固定する固定台57と起歪体56のもう一方の端部に固定し、鍋51の重量を受ける鍋受け筒58からなる計量装置を備えている。この計量装置は、収納部52において鍋51を鍋受け筒58で受けてその内部の米と水の量を計量するものである。
【0023】
鍋受け筒58内には、温度検知手段59が設けられ、コイルバネで付勢されており、鍋51を鍋受け筒58上に載置すると、温度検知手段59が鍋51の底面に当接する。炊飯器本体50の後方には支持フレーム61が配置され、支持フレーム61には米貯留タンク62、水貯留タンク63が着脱自在に設置される。水貯留タンク63内には水改質用薬剤などをケースに納めた水改質手段63aが設置されている。米貯留タンク62は米の供給装置64上に着脱自在に載置する。米の供給装置64は下方に米供給口65を有する。水貯留タンク63は水の供給装置66上に載置され、下方に水供給口67を有する。米の供給装置64と水の供給装置66はそれぞれ炊飯器本体50の制御装置と連結し、制御装置のマイクロコンピューターで制御される。具体的には、前記計量装置による計量結果に基づき米や水の供給を制御する。
【0024】
蓋60はヒンジ68を中心に回動する構成で、蓋60の先端のフック69と炊飯器本体50に設けた尾錠70が係合して蓋60は炊飯器本体50を覆った状態を保持する。尾錠70はスライド軸71の先端に取り付けられ、スライド軸71はギアードモータ72、クランク円板73、連結棒74で構成される尾錠70の上下機構に連結している。蓋60の米供給口65、水供給口67が臨む箇所には、鍋51内への米や水の供給路となる通路部75が設置されている。通路部75の上端は漏斗状に広がり、中間部に回転式の仕切り弁76がある。
【0025】
図3に示すように、通路部75は蓋60に対して着脱自在で、通路部75を蓋60に装着したとき、仕切り弁76の軸の先端部76aは駆動モータ77の駆動軸77aと係合する。図1、図2に戻り、通路部75の鍋51内への出口には、米、水を分散させる略円錐形の拡散手段78を設けている。
【0026】
ここで、図4に示すように、米貯留タンク62を無くして水貯留タンク63だけの構成にすると、予め鍋51に無洗米を入れておくだけで、設定時間に設定硬さのご飯を炊くことができる、より小型の構成の炊飯器を提供することができる。
【0027】
また、図5に示すように、炊飯器本体50の後方にはヒータ80bを備えた水容器80を備え、水容器80で発生した蒸気は水容器80の出口80aから蓋60中の連通管81を通じて内蓋60aに設けた蒸気加熱室82へ至る。蒸気加熱室82は内蓋60aの内部に設けた加熱手段60bによって加熱され、発生した過熱蒸気は蒸気加熱室82の蒸気口83から鍋51内へ噴出する。連通管81の先端には連結パッキン81aを備え、蓋60を閉じた状態で連結パッキン81aと水容器80が連結する。これらにより過熱蒸気発生手段を構成している。
【0028】
また、図6に示すように、蓋60内に、鋼球84と鋼球84を移動させ蒸気穴を塞ぐ電磁ソレノイド85から成る加圧装置と、安全弁86とを備えることによって、省スペースで小型の圧力式炊飯器を提供することができる。
【0029】
なお、図1に示す制御基板87にはマイクロコンピューター(図示しない)が搭載されている。炊飯器本体50の操作部88からの入力により、マイクロコンピューターはソフトウエアにより、加熱手段55の誘導加熱コイルに交番磁界を発生させるための電流の制御、尾錠70の上下操作、仕切り弁76の作動、米の供給装置64と水の供給装置66の作動、ヒータ80bと蒸気加熱室82の作動制御などを行う。
【0030】
次に、上記構成の炊飯器についてその動作を説明する。
【0031】
まず、通常の炊飯器のように蓋60を開き空の鍋51を炊飯器本体50にセットし、図1に示すように、米貯留タンク62、水貯留タンク63の設定された位置に置く。そして、米貯留タンク62、水貯留タンク63にそれぞれ無洗米、水を入れて、支持フレーム61に設置する。ついで、炊飯量、ご飯の硬さ、炊飯完了時間を操作部88で設定して開始ボタンを押す。炊飯開始時間になると、ギアードモータ72が作動し、クランク円板73が半回転して連結棒74を介してスライド軸71が上昇し、スライド軸71の上端の尾錠70がフック69と係合した状態で上昇し、図2に示すように蓋60が半開き状態になる。
【0032】
この時、内蓋60aに設けたパッキン60cの押さえがなくなり、鍋51は鍋受け筒58に載置された状態になり、計量を行う状態になる。ついで、蓋60の通路部75の仕切り弁76が開き、米貯留タンク62の無洗米が米の供給装置64によって鍋51中に供給され計量装置で設定量を計量すると供給がストップされる。米の供給時、無洗米は略円錐形の拡散手段78によってほぼ均一に鍋51に溜まる。ついで、水貯留タンク63の水が水の供給装置66によって鍋51に供給され計量装置で設定量を計量すると供給がストップされる。この時も、略円錐形の拡散手段78によってほぼ均一に米の上に注がれる。給米、給水が終わると、蓋60の通路部75の仕切り弁76が閉じ、尾錠70がフック69と係合した状態で下降し、図1の状態に戻り、蓋60が閉じて炊飯が開始する。炊飯開始前に鍋加振動装置79を作動して、鍋51に振動を与えると更に、米の面を均一にできる。
【0033】
炊飯完了後は、尾錠70とフック69との係合を外すことにより、通常の炊飯器と同様、蓋60を開けてご飯を茶碗によそうことができるものである。
【0034】
ここで、図1に示すように、水貯留タンク63内に水改質手段3aを設けておくことによって、水のペーハーを調節したり、水中の不純物を吸着したりすることによって、よりおいしいご飯を炊き上げることができる。
【0035】
また、図5に示すように、炊飯の蒸らし工程で過熱蒸気を蒸気口83から鍋51内へ噴出すると、過熱蒸気によりご飯に高熱量を加えて澱粉の糊化を促進し、粘りと甘みのあるご飯を提供することができる。
【0036】
また、図6に示すように、蓋60内に加圧装置を備え、炊飯中に電磁ソレノイド85が作動し、鋼球84が内蓋の蒸気穴を塞ぐと、鍋51内の圧力が上昇し、圧力炊飯を行うことによって短時間で炊飯することができる。
【0037】
また、通路部75は蓋60に着脱自在であり、外して容易に洗浄が可能で、通路部75を常に清潔に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、米計量、水計量などの計量部を一箇所とし、省スペースで小型の家庭用の炊飯器を提供することができるので、家庭用はもちろんのこと、業務用の炊飯器としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の計量時の状態を示す断面図
【図3】同炊飯器の通路部の分解斜視図
【図4】同炊飯器の他の一例を示す断面図
【図5】同炊飯器の他の二例を示す断面図
【図6】同炊飯器の他の三例を示す断面図
【符号の説明】
【0040】
50 炊飯器本体
51 鍋
52 収納部
55 加熱手段
58 鍋受け筒(計量装置)
60 蓋
62 米貯留タンク
63 水貯留タンク
64 米の供給装置
66 水の供給装置
75 通路部
76 仕切り弁
78 拡散手段
79 鍋加振動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の収納部に着脱自在に収納される鍋と、前記収納部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記収納部において鍋を受けてその内部の米と水の量を計量する計量装置と、前記蓋に設けられ鍋内への米と水の少なくとも一方の供給路となる通路部と、前記通路部に臨むとともに計量装置による計量結果に基づき米と水の少なくとも一方の供給を制御する供給装置とを備えた炊飯器。
【請求項2】
供給装置と連通して水貯留タンクを設置し、鍋内へ水のみを供給するようにした請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
供給装置と連通して設置する水貯留タンクに水改質手段を設けた請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
炊飯器本体の操作部により供給装置の動作を操作可能とした請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
通路部の鍋内への出口に供給される米と水の拡散手段を設けた請求項1に記載の炊飯器。
【請求項6】
通路部の鍋内への出口に水の拡散手段を設けた請求項2に記載の炊飯器。
【請求項7】
炊飯器本体には鍋を加振する加振動装置を備えた請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項8】
炊飯器本体には鍋内へ過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生装置を備えた請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項9】
収納部を開閉自在に覆う蓋には加圧装置を備え、炊飯を圧力式とした請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項10】
通路部を蓋に対して着脱自在とした請求項1に記載の炊飯器。
【請求項11】
通路部を蓋に対して着脱自在とした請求項2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−244565(P2007−244565A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70594(P2006−70594)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】