説明

炊飯器

【課題】 季節の変移による米質の変化に合わせて、お好み炊飯ができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】 被炊飯物が投入される鍋7と、この鍋が収容される開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体2と、各種炊飯メニューを記憶した記憶手段と、各種炊飯メニューを表示する表示パネルと、炊飯メニューの選択及び各種設定の変更等を行う操作手段と、所定の炊飯工程を実行する制御装置と、を備え、記憶手段には、予め四季に対応した四季ごとの炊飯条件及び被炊飯物の炊き上がりにおけるユーザーの味好みを複数に区分し各区分ごとにレベル分けした炊飯条件を記憶しておき、前記選択手段により四季炊きメニューが選択されたときに、制御装置24は、操作手段により設定された四季炊飯条件を基にして、操作手段により設定されたこだわり炊飯条件にしたがって、このレベルの炊飯条件を算出して前記炊飯工程を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、さらに詳しくは四季に合わせてユーザーのお好みの炊飯ができる炊飯メニューを備えた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電気炊飯器は、一般家庭において必需品となっており、種々タイプの炊飯器が開発されている。近年の炊飯器は、マイクロコンピュータが組み込まれて、記憶手段に種々の炊飯メニューを記憶しておき、ユーザーが好みに応じたメニューを選択きるようになっている。炊飯メニューには、様々なものが開発されている。これらの炊飯メニューは、通常、米に水を吸水させる吸水工程、フルパワーで加熱する立上加熱工程、沸騰状態を維持する沸騰維持工程、及び炊き上がったご飯を蒸らす蒸らし工程などの一連の工程で炊飯するものとなっている。
【0003】
ところが、米は、四季の変移によって米質が変化している。その米質は、その年の最初に収穫された新米、収穫から月日が経って次年に収穫されるまでの間の米、さらにそれより古い米などで異なっている。そこで、これらの米質の異なる米を、同じ炊飯工程で炊飯すると、炊き上がったご飯は、米質によってその硬さや香りなどが変化してしまって美味しく炊き上がらないことがある。また、一方で、ユーザーの好みが多様化し、ご飯の硬さ、粘り及び甘みなどをユーザーの好みに合わせて炊飯できる炊飯器が要求されている。そこで、このような課題を解決するために種々タイプの炊飯器が開発されてきている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に開示された炊飯ジャーは、記憶手段に予め米質に対応した炊飯シーケンスを記憶しておき、使用者が炊飯する米に対応した炊飯シーケンスを選択できるようにしたものである。この炊飯シーケンスは、基本となる基本炊飯シーケンス、新米を炊飯する炊飯シーケンス及び古米を炊飯する炊飯シーケンスとなっている。また、収穫された米は、その米質が四季の変移によっても変化するので、夏を基準にして、その前後で吸水工程の吸水時間を変更するようにした炊飯器が下記特許文献2に開示されている。また、ご飯の硬さを柔らかめ、少し柔らかめ、ふつう、少し硬め、硬めの何れかに設定して炊飯できるようにした炊飯器が下記特許文献3に開示されている。さらに、下記特許文献4に開示された炊飯器は、甘みのあるご飯を炊飯できるようにしたものである。さらにまた、下記特許文献5に開示された炊飯器は、ユーザーの個々の好みに合わせた炊飯ができるようにしたものである。具体的には、吸水・昇温・炊き上げ・蒸らしの各工程ごとの加熱条件にしたがって炊飯加熱運転を制御する運転制御手段を備えた炊飯器において、加熱条件変更スイッチと、各工程ごとの加熱条件を予め設定された標準加熱条件から加熱条件変更スイッチの操作に応じてユーザーが加熱条件に変更する加熱条件変更手段とを設け、ユーザーが個々の好みに適合した炊飯が設定できるようにしたものである。
【特許文献1】特開平6−133849号公報(図3、段落〔0015〕〜〔0020〕)
【特許文献2】特許第2914224号公報(図10、段落〔0063〕〜〔0063〕)
【特許文献3】特公平7−102183号公報(図2a、特許請求の範囲(請求項1))
【特許文献4】特開2004−344570号公報(図6、段落〔0041〕〜〔0044〕)
【特許文献5】特開2001−87130号公報(図1、図4、段落〔0042〕〜〔0046〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された炊飯ジャーによれば、新米及び古米などの米質に対応した炊飯シーケンスを選択して炊飯することができ、上記特許文献2に開示された炊飯器によれば、夏を基準にしてその前後で吸水時間を変更するので、それぞれの区分に対応したご飯を炊き上げることができる。また、上記特許文献3に開示された炊飯器によれば、ご飯の硬さを調節して炊き分けることができ、上記特許文献4に開示された炊飯器によれば、甘みのあるご飯を炊くことができる。さらに、上記特許文献5の炊飯器によれば、各炊飯工程での加熱条件を標準の加熱条件としたときに、この標準炊き上げ状態に満足できない場合でも、各工程での加熱条件をユーザー自らが適宜変更することによって、ユーザーの好みにより合致した加熱条件を求めて炊き分けることができる。
【0006】
したがって、これらの炊飯器によって炊き上げたご飯は、大半のユーザーに満足感を与えることができるものとなっている。
【0007】
しかし近年は、ユーザーが更なる美味しさを要求し、その美味しさも様々なものに多様化してきている。また、収穫された米は季節によってその米質が変化し、一般に、新米は柔らかくしかも粘りが多く、また夏場の米は硬く、ぱさつき気味になるので、1年を通して同じようなご飯に仕上げることが難しくなっている。さらに、その炊き上がりも、硬さの調節だけでなく、その他の好み、例えば甘み、粘り、旨み、香り、弾力性、つやなども求められている。
【0008】
そこで本発明は、このような従来技術の課題を解決し、しかも近年のユーザー要求に応えることができるようにしたものであって、本発明の目的は、季節の変移による米質の変化に合わせて、お好み炊飯、例えば新米は粘りを抑えて硬めに、夏場のものは柔らかめで粘りのあるものとし、しかも各季節ごとにご飯の甘み、粘り、硬さを選択ができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載の炊飯器は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収容される開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、各種炊飯メニューを記憶した記憶手段と、各種炊飯メニューを表示する表示パネルと、該炊飯メニューの選択及び各種設定の変更等を行う操作手段と、所定の炊飯工程を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置により、前記炊飯メニューにしたがって、前記加熱手段を制御して前記鍋内の被炊飯物に所定量の水分を吸水させる吸水工程と、該吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、該被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、該沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程と、を含む炊飯工程を実行する炊飯器において、前記記憶手段には、予め四季に対応した四季炊飯条件及び被炊飯物の炊き上がりにおけるユーザーの味好みを複数に区分し各区分ごとにレベル分けしたこだわり炊飯条件を記憶しておき、前記操作手段により四季炊きメニューが選択されたときに、前記制御装置は、前記操作手段により設定された前記四季炊飯条件を基にして、前記操作手段により設定された前記こだわり炊飯条件にしたがって、該レベルの炊飯条件を算出して前記炊飯工程を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記四季炊飯条件は、前記吸水工程における吸水温度を冬季を基準にして、春季及び夏季は高く秋季は低くし、吸水時間は冬季を基準にして、春季及び夏季は長く秋季は短くし、前記沸騰維持工程における沸騰維持電力は冬季を基準にして、春季及び夏季は小さく秋季は高く設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記制御装置は、被炊飯物の炊き上がり時におけるユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを複数段階にレベル分けして入力できるこだわり炊飯メニュー画面を前記表示パネルに表示させる表示手段と、前記こだわり炊飯メニュー画面において前記操作手段により設定された区分及びレベルにしたがって前記炊飯工程における炊飯条件を算出する条件算出手段と、を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の炊飯器において、前記制御装置は、それぞれのレベルごとに少なくとも前記吸水工程における吸水温度・時間及び前記沸騰維持工程における沸騰維持電力をそれぞれ所定値に設定して、該設定された味好みのそれぞれのレベルに対応した値に基づいて前記条件算出手段により吸水温度・時間及び沸騰維持電力をそれぞれ算出し、これらの算出値によって前記炊飯工程を実行することを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の炊飯器において、前記複数に区分された味好みは、被炊飯物の甘み、粘り及び硬さであり、これらの甘み、粘り及び硬さは少なくとも3レベル以上に分割されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の炊飯器は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収容される開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記蓋体に装着されて前記鍋内の内圧を調整する圧力弁と、前記圧力弁を制御する圧力弁開放機構と、各種炊飯メニューを記憶した記憶手段と、各種炊飯メニューを表示する表示パネルと、該炊飯メニューの選択及び各種設定の変更等を行う操作手段と、所定の炊飯工程を実行する制御装置と、を備え、該制御装置により、前記炊飯メニューにしたがって、前記加熱手段を制御して前記鍋内の被炊飯物に所定量の水分を吸水させる吸水工程と、該吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、該被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、該沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程と、を含む炊飯工程を実行する炊飯器において、前記記憶手段には、予め四季に対応した四季炊飯条件及び被炊飯物の炊き上がりにおけるユーザーの味好みを複数に区分し各区分ごとにレベル分けしたこだわり炊飯条件を記憶しておき、前記操作手段により四季炊きメニューが選択されたときに、前記制御装置は、前記操作手段により設定された前記四季炊飯条件を基にして、前記操作手段により設定された前記こだわり炊飯条件にしたがって、該レベルの炊飯条件を算出して前記炊飯工程を実行することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の炊飯器において、前記四季炊飯条件は、前記吸水工程における吸水温度を冬季を基準にして、春季及び夏季は高く秋季は低くし、吸水時間は冬季を基準にして、春季及び夏季は長く秋季は短くし、前記沸騰維持工程における沸騰維持電力は冬季を基準にして、春季及び夏季は小さく秋季は高く設定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項6に記載の炊飯器において、前記制御装置は、被炊飯物の炊き上がり時におけるユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを複数段階にレベル分けして入力できるこだわり炊飯メニュー画面を前記表示パネルに表示させる表示手段と、前記こだわり炊飯メニュー画面において前記操作手段により設定された区分及びレベルにしたがって前記炊飯工程における炊飯条件を算出する条件算出手段と、を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8に記載の炊飯器において、前記制御装置は、それぞれのレベルごとに少なくとも前記吸水工程における吸水温度・時間及び前記沸騰維持工程における沸騰維持電力をそれぞれ所定値に設定して、該設定された味好みのそれぞれのレベルに対応した値に基づいて前記条件算出手段により吸水温度・時間及び沸騰維持電力をそれぞれ算出し、これらの算出値によって前記炊飯工程を実行することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の炊飯器において、前記複数に区分された味好みは、被炊飯物の甘み、粘り及び硬さであり、これらの甘み、粘り及び硬さは少なくとも3レベル以上に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1、2の発明によれば、四季に対応したお好みの炊飯ができる。すなわち、収穫された米は季節の変移によってその米質が変化し、一般に、新米は柔らかくしかも粘りが多く、また夏場の米は硬く、ぱさつき気味になりがちになるが、この発明によれば、季節の米質の変化に合わせて、新米は粘りを抑えて硬めに、夏場のものは柔らかめで粘りのあるものにし、同時に季節ごとにお好みの炊飯が可能になる。
【0020】
請求項3の発明によれば、表示パネルに表示画面からお好みの区分及びレベルを簡単に設定できる。
【0021】
請求項4の発明によれば、従来技術で採用されている硬さ乃至甘みの制御は、それぞれ単独に所定の硬さ又は甘みになるように炊き上げるもので、炊き上がったご飯は、この硬さ又は甘み以外において如何なる状態で炊き上がっているかが把握できず、また、硬さ以外はレベル分けされないので、美味しいご飯を望むユーザー好みの要求に応じられないが、この発明のこだわり炊飯における条件は、設定された味好みレベルに応じて、その都度、味好みごとの吸水温度・時間及び沸騰維持電力を算出して、この算出値に基づいて炊飯するので、ユーザーのきめ細かな要求に応じた炊飯が可能となる。
【0022】
請求項5の発明によれば、ユーザーは好みの味好みを複数レベルにレベル分けして設定して炊飯ができる。これらの甘み、粘り及び硬さをそれぞれ3レベル以上、例えば甘みを、甘い、ふつう、甘み控えめに、粘りを、粘りめ、ふつう、あっさり、更に、硬さを、硬め、ふつう、柔らかめ、などに分けてお好みの炊飯ができる。
【0023】
請求項6〜10の発明によれば、圧力式の炊飯器において、請求項1〜5の発明において示したものと同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための炊飯器を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0025】
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る炊飯器の構造を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る炊飯器の正面図、図2は図1の炊飯器の外ケース等を省略した縦断面図、図3は図2の圧力弁開放機構を拡大した拡大断面図、図4(a)は図1の表示部分の拡大図、図4(b)はこだわり炊飯メニュー画面、図5は制御装置の制御ブロック図である。
【0026】
炊飯器1は、図1及び図2に示すように、被炊飯物が投入される鍋7と、上方にこの鍋7が収容される開口部及び内部にこの鍋7を加熱し被炊飯物を加熱する加熱手段5を有する炊飯器本体(以下、本体という)2と、この本体2の一側に枢支されて開口部を覆い閉塞状態に係止する係止機構を有する蓋体10と、この蓋体10に装着されて鍋7内の内圧を調整する圧力弁13と、この圧力弁を制御する圧力弁開放機構18と、各種の炊飯メニューを表示して選択する表示操作部25と、選択された炊飯メニューにより加熱手段5及び圧力弁開放機構18を制御する制御装置24と、を備えている。
【0027】
本体2は、図1及び図2に示すように、有底箱状の外部ケース3と、この外部ケース3に収容されその中に鍋7が収容される内部ケース4とからなり、外部ケース3と内部ケース4との間に隙間が形成され、この隙間に制御装置24を構成する制御回路基板等(図示省略)が配設されている。内部ケース4は、その底部4a及び側部4bに加熱手段5、底部4aに鍋底温度を検出するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ6が設けられている。加熱手段5には、ドーナツ状に巻装した電磁誘導コイルが使用されている。鍋7は、図2に示すように、水及び米からなる所定量の被炊飯物が投入される比較的深底の容器からなり、アルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。
【0028】
蓋体10は、図2に示すように、鍋7の開口部を閉蓋する内蓋11と、本体2の開口部全体を閉蓋する外蓋12等とで構成されている。この蓋体10は、一端が本体2の一端に枢支され、他端が本体の他端に係止機構により係止されるようになっている。内蓋11上部には、圧力弁13とこの圧力弁13を開放させる圧力弁開放機構18が設けられている。圧力弁13は、図3に示すように、所定径の弁孔14が形成された弁座15と、この弁孔14を塞ぐように弁座15上に載置される金属製のボール16と、このボール16の移動を規制しボール16を弁座15上に保持するカバー17(図3参照)とで構成されている。
【0029】
また、圧力弁開放機構18は、電磁コイルが巻回されたシリンダ19aと、このシリンダ19a内を電磁コイルの励磁により摺動してボール16を移動させるプランジャ19bと、プランジャの先端に装着されたバネ及び作動棹20とで構成されている。
【0030】
圧力弁開放機構18は、制御装置24により制御される。すなわち、制御装置24からの指令に基づいて電磁コイルが励磁されると、プランジャ19bがシリンダ19aから飛出してボール16に衝突し、このボール16を横方向に押し出す。この押し出しにより、ボール16は弁孔14上から移動されて、弁孔14を強制的に開放させる。また、この開放状態において、電磁コイルへの励磁がストップされると、プランジャ19bがシリンダ19a内にばね力により引き戻され、この引っ込みにより、プランジャ19bがボール16を横方向に押す力がなくなり、ボール16は弁孔14上に戻り、弁孔14がボール16により閉塞される。
【0031】
外蓋12には、内蓋11と外蓋12との間の空間と大気とを連通する蒸気口21が設けられている。また、内蓋11には、鍋内の圧力が所定圧力以上の異常圧力に上昇したときに、鍋内の蒸気を蒸気口21を介して外部に逃がすための安全弁22が設けられている。また、この内蓋7には、蒸気温度センサ23(図3参照)が取り付けられている。
【0032】
本体2の前面壁には、各種の炊飯メニューが表示され、この表示されたメニューから所定のメニュー等を設定する複数個の操作釦等を備えた表示操作部25が設けられている。
【0033】
この表示操作部25は、図1に示すように、各種の炊飯選択メニュー及び時刻等が表示される表示パネル8と、この表示パネル8の左右及び下方に複数個の操作釦が配設されている。ここで述べる操作釦は、炊飯器を作動させる炊飯スタート釦3a、炊飯予約をする予約釦3b、炊飯等の設定を取消す切釦3c、米を選択するお米選択釦3d、炊飯メニューを選択するメニュー釦3e、コースを選択するコース釦3f、及び表示パネル8に表示されたメニュー等を選択・決定する十字シフトキー9となっている。
【0034】
これらの操作釦は、押し釦式のスイッチを構成する釦あるいはキーであって、この釦或いはキーを押圧することにより、それぞれのスイッチ(図示省略)が作動されるようになっている。これらの操作釦3a〜3fのうち、メニュー釦3eは、各種炊飯メニューを表示パネル8に表示させるもので、この釦を押圧すると、ふつう、かため、やわらか、おかゆ、すしめし、カレー用、炊込みおこわ、もちもちなどの炊飯メニューが表示される。また、お米選択釦3dは、米の種類を選定するもので、例えば白米、無洗米、玄米、発芽玄米等の何れかを選択するものである。更に、コース釦3fは、うまみ保温、おやすみ保温及びクリーニング等を選択するものである。また、十字シフトキー9は、表示パネル8に表示された種々のメニューから所定のメニューを選択するもので、表示された炊飯メニュー、例えば、ふつう、かため、やわらか、おかゆ、すしめし、カレー用、炊込みおこわ、もちもち、四季炊き(春、夏、秋、冬)等から十字シフトキー9を操作してカーソル(点滅表示)を上下及び左右に移動させて選択するものである。表示パネル8に表示される春、夏、秋、冬は、四季の変移を示したものである。表示パネル8には、例えば図4(a)に示す画面が表示される。この表示パネル8には、図4(b)に示すうに、こだわり設定を行う甘み、粘り及び硬さが表示され、それぞれのレベルが設定できるようになっている。
【0035】
制御装置24は、図5に示すように、CPU、ROM、RAMなどが搭載された回路基板からなるハードウェアを備え、炊飯/スタート釦3a、メニュー選択釦3e、炊飯予約釦3b及び取消/保温釦3c、鍋底温度センサ6、十字シフトキー9、蒸気センサ23などにそれぞれ接続され、これらの釦及びセンサからの信号がCPUに入力されるようになっている。また、CPUには、所定時間を計時する各種のタイマー及びROM、RAMが接続されている。また、出力部(ドライバ)には、ヒータ(IHコイル)5、圧力弁開放機構(ソレノイド)19a’、および表示パネル8などが接続されている。ROMには、各種の炊飯メニューおよびこのメニューを実行するプログラムが収納されている。
【0036】
次に、図6を参照して、各炊飯メニューに共通する炊飯工程の概要を説明する。なお、図6は炊飯工程における鍋内の温度及び圧力弁の開閉パターを示した説明図である。
【0037】
共通する炊飯工程は、所定の吸水温度及び時間で米に所定量の水を吸水させる吸水工程Iと、この吸水後に被炊飯物を沸騰温度まで昇温加熱する立上加熱工程IIと、所定の沸騰維持電力で所定時間沸騰状態に維持する沸騰維持工程IIIと、この沸騰維持終了後に炊飯されたご飯を所定時間蒸らす追い炊き工程IVと、を有している。
【0038】
これらの炊飯工程I〜IVのうち、沸騰維持工程III及び追炊き工程IVにおいて、圧力弁13の開放制御が行われる。沸騰維持工程IIIにおける圧力弁13の開放制御は、立上加熱工程IIで鍋7内が沸騰温度に達した後に、圧力弁13の開閉回数及び閉時間の長短により、3つの開閉パターンA、B、Cに分かれている。開閉パターンAは、立上加熱工程II後に、所定時間、例えば2〜6秒単位で所定回数、例えば4回の開閉を行い、その後、圧力弁13を閉じ、この閉状態を追い炊き後まで継続するパターンで弁閉鎖時間が最も長いものである。また、開閉パターンBは、2〜6秒単位で4〜8回の開閉を行った後に圧力弁13を閉じ、この閉状態を鍋内の水分がなくなり温度が最高値、すなわち炊飯切り温度まで継続するパターンである。更に、開閉パターンCは、2〜6秒単位で4回の開閉を行い、その後は、圧力弁31が開放状態とするもので、弁の閉時間が最も短いパターンである。また、各開閉パターンA、B、Cは追炊き工程IVの後半にも圧力弁を閉成する。これらの開閉パターンA〜Cは、主にこだわり炊飯メニューにおいて、甘み、粘り、硬さ制御の際に設定される。また、この開閉パターン制御は制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させることにより行われる。
【0039】
各種炊飯メニューは、この炊飯工程により炊飯される。しかしながら、米は、四季の変移によってその米質が変化するので、これまでの炊飯工程によって炊飯すると、お好みのご飯に炊き上がらない。
【0040】
そこで、四季の変移による米質の変化及びこの米質の異なる米を従来の炊飯工程で炊飯したときのご飯の性状を説明する
収穫された米は、収穫直後の秋の新米、それから少し月日が経った冬の米、春の米及び夏の米でそれぞれ米質が変化し、この変化した四季の米を炊飯すると、四季によりその性状、例えば硬さ、硬軟性、付着力、粘着性、咀嚼性、弾力性、バランス度、凝集性及び持続性などが異なったものとなる。なお、図7は四季によって米質が変化し、この変化した四季の米を炊飯したときの性状の一部を示したグラフである。
(i)硬さ;この硬さをその度合いでみると、図7(a)のA1グラフに示すように、収穫期10月の新米を炊いたご飯が最も低く、その後、冬季、春季及び夏季に向かって徐々に上昇し、次年の9月頃に最も高い値となる。したがって、この新米を通常の炊飯工程で炊くと、柔らかく水っぽいものとなる。
(ii)粘着性;粘着性は、ご飯の粘りつく性質が離れまいとする度合いとして捉えると、図7(b)のB1グラフに示すように、冬季2月頃のご飯が最も高く、次いで、10頃の新米が続き、他の季節はこれらの季節に比べて低くなっている。したがって、冬季及び新米が粘着性が高いものとなる。なお、発明者は、硬さ及び粘着性の他に、付着力、咀嚼性、弾力性、バランス度、凝集性及び持続性なども検証したので、図示はしないが、その結果の概要を説明する。
(iii)柔軟性;この柔軟性を噛み応えとして捉えると、冬季2月頃のご飯が最も柔軟性があり、春季、夏季及び秋季のものは冬季より柔軟性が低くなる。したがって、冬季頃のご飯は柔軟性が最も高く、噛み応えがあるものとなり、他の季節のご飯は冬季のものに比べて、柔軟性が低いものとなる。
(iv)付着力;この付着力を付着する性質の度合いとして捉えると、冬季2月頃のご飯が最も高く、その後、次第に低下し、10月の新米も高くなく11月の米が最も低い値となる。したがって、冬季2月頃のご飯が付着力が最も高く、他の季節のご飯は冬季のものに比べて付着力が低下したものとなる。
(v)咀嚼性;この咀嚼性を「コシ」のよさの度合いで捉えると、冬季2月頃のご飯が最も高く、11頃のご飯が最も低く、他の季節のご飯は、これらの間になっている。したがって、冬季のご飯が咀嚼性が最も高く、コシの強いものとなる。反対に11月頃の米が最もコシが弱くなっている。
(vi)バランス度;このバランス度を硬さに対する粘りの度合いで捉えると、新米と冬季2月頃のご飯が高く、他の季節のご飯がこれに続いている。したがって、新米及び冬季のご飯のバランス度が高く、硬さに対する粘りのバランスがとれている。他の季節の米は新米及び冬季のものに比べて、バランス度が低くなっている。
(vii)弾力性;この弾性力をご飯のもつ弾力の性質の度合い、或は元の形に戻ろうとする力の度合いとして捉えると、冬季2月頃の米が最も高く、10月の新米がそれに続いている。頃の米が最も低い値になっている。したがって冬季の米及び新米が弾力性が高く、弾力性があり、11月頃の米が最も弾力性が低いものとなる。
(viii)凝集性;この凝集性を歯で噛んだときにより近い感覚で捉えると、10月の新米及び冬季2月頃の米が最も高く、11月及び6月頃の米が低くなっている。したがって、新米及び冬季の米が凝集性、すなわち歯で噛んだときにより近い感覚のものとなる。
(ix)持続性;この持続性を粘りが保たれる度合いとして捉えると、10月から2月頃までの米が他の季節のものより高く、6頃の米が低くなる。したがって、10月から2月頃までの米が持続性、すなわち粘りがあるものとなる。
【0041】
このように、収穫後の米は、その性状が季節の変移によって変化するので、これまでの炊飯工程で炊飯すると、その硬さ、硬軟性、付着力、粘着性、咀嚼性、弾力性、バランス度、凝集性及び持続性などで好みの炊きあがりにならない。そのため、この米質の異なる米、例えば新米を炊くと、柔らかく、粘りが多いご飯となり、一方、夏場の米を炊くと硬く、ぱさつき気味のご飯となって、ユーザーの好みに合致しないことがある。一方、冬季2月頃の米は、硬軟性、付着力、粘着性、咀嚼性、弾力性、バランス度、凝集性及び持続性などが高くなるので、他の季節に比べて、美味しく炊きあきあがる。そこで、この四季炊きでは、冬季に合わせて、例えば新米は粘りを抑えて硬めに、一方、夏場は粘りがあり柔らかめにして、1年を通して同じようなご飯に仕上がるようにする。例えば、(i)に示す硬さは図7(a)のA2グラフ、(ii)に示す粘着性は図7(b)のB2グラフの特性のものにする。
【0042】
次に、図8〜図10を参照して四季炊きの炊飯工程の条件設定について説明する。なお、図8及び図9は、春、夏、秋及び冬季の炊飯工程における鍋底温度、弁の開閉を示した説明図、図10は四季ごとの炊飯条件の設定値を纏めた図である。
【0043】
四季を春、夏、秋及び冬季に分けて、それぞれの炊飯工程における条件が設定される。春季は、図8(a)に示すように、吸水工程における吸水温度XがX1(例えば60℃)、吸水時間TKがTK1(16分)、沸騰維持電力KがK1(93%)に設定されて、この設定値に基づいて炊飯される。同様に、夏季は、図8(b)に示すように、吸水温度XがX2(60℃)、吸水時間TKがTK1(20分)、沸騰維持電力KがK2(85%)に設定され、秋季は、図9(a)に示すように、吸水温度XがX3(53℃)、吸水時間TKがTK3(8分)、沸騰維持電力KがK3(110%)に設定される。冬季は、図9(b)に示すように、吸水温度XがX4(58℃)、吸水時間TKがTK4(12分)、沸騰維持電力KがK4(100%)に設定される。そして、これらの設定条件において、春、夏、秋及び冬季における各設定値は、以下の関係に設定される。春、夏、秋及び冬季の吸水温度Xは、X3<X4<X1=X2に、吸水時間TKは、TK3<TK4<TK1<TK2に、沸騰維持電力Kは、K2<K1<K4<K3に設定される。これらの条件設定により、冬季を基準にしたものとなり、例えば新米は粘りを抑えて硬めに、一方、夏場は粘りがあり柔らかめにして、1年を通して同じようなご飯に炊き上げることができる。
【0044】
次に、図11を参照して、こだわり炊飯の条件設定について説明する。なお、図11(a)は好み区分とレベルを説明する説明図、図11(b)は甘み、粘り及び硬さの各レベルの組み合わせを示す図、図12は甘み、粘り及び硬さと、吸水温度、吸水温度及び沸騰維持電力などの関係を説明する説明図である。
【0045】
こだわり炊飯メニューが選択されると、表示パネル8に、甘み、粘り及び硬さがそれぞれ3段階にレベル分けして入力できる画面が表示される。図4(b)は、このこだわり炊飯メニュー画面を示している。図4(b)の画面は、甘み、粘り及び硬さを段階レベルの数字1〜3に星印をマークして好み炊飯を設定するものである。この画面を使用して、甘み、粘り及び硬さの設定は、十字シフトキー9により左右上下操作により甘み、粘り及び硬さごとにレベルが設定される。この設定は、例えば甘みに2個の星印、粘りに1個の星印、硬さに3個の星印マークで設定される。この星印マークは、十字シフトキーの左右方向キーを押圧することにより行われる。また、甘み、粘り及び硬さの変更は、このキーの上下方向キーを押圧することにより変更される。それぞれの星印は、甘み2個、粘り1個、硬さ3個となり、これらの星印数により、後述する炊飯パターン「213」が設定される。この表示パネル8によれば、極めて簡単に甘み、粘り及び硬さのレベルを設定できる。
【0046】
このこだわり炊飯は、ユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを更に複数段階にレベル分けして、炊飯時にユーザーがこれらの区分及びレベルから所定のものを選定できるようになっている。ユーザーの味好みは、図11(a)に示すように、ご飯の甘み、粘り及び硬さの3つに区分し、更にこの区分はそれぞれが3段階のレベルに細分化されている。このうち、甘みは、レベル3の甘い、レベル2のふつう、及びレベル1の甘さ控えめの3段階にレベル分けされている。これらのレベル分けは、炊き上げたご飯のブドウ糖及びショ糖の値(mg/ご飯乾物100g)で決められる。この計測は、液体クロマトグラフが使用される。また粘りは、レベル3の粘りめ、レベル2のふつう、及びレベル1のあっさりの3段階にレベル分けされる。このレベル分けは、粘着性(N・mm)の値で決められる。この計測には、レオメーターが使用される。更に硬さは、レベル3の硬い、レベル2のふつう、及びレベル1の柔らかめの3段階にレベル分けされる。このレベル分けは、硬さ(N)の値で決められる。この計測には、同じくレオメーターが使用される。この3段階にレベル分けされた甘み、粘り及び硬さは、こだわり炊飯時に選択・組み合わされる。図11(b)は、この組み合わせパターンを示している。
【0047】
この甘み、粘り及び硬さをそれぞれ3段階レベルに分けて、それらを組み合わせると、図11(b)に示すように、正四角形の立方体で表すことができる。すなわち、この図11(b)は、3次元座標軸X、Y、Zにおいて、X軸に甘み、Y軸に硬さ、Z軸に粘りをとり、更にX、Y、Z軸を1〜3にレベル分けしてプロットしたものである。そして、この図における三桁の数字は、甘み、硬さ及び粘りの組み合わせを表し、この三桁の数字のうち、3桁目は粘り、2桁目は甘み、1桁目は硬さとなっている。例えば、三桁の数字「113」は、粘りレベル1、甘みレベル1、硬さレベル3となり、この炊飯パターン「113」によって炊き上がったご飯は、甘みと粘りが少なく、硬いご飯、いわゆる硬めのあっさりしたご飯となる。その逆は、数字「331」のパターンとなる。
【0048】
したがって、味好みを甘み、粘り及び硬さの3区分に分け、更にそれぞれを3段階にレベル分けすると、これらの組み合わせの合計は、27通りとなり、この27通りの炊飯パターンで炊飯ができる。四季炊きと合わせると27(通り)×4(四季)で108通りの炊飯ができる。したがって、四季炊きとこだわり炊き、とを組み合わせると、四季炊きの選定で、新米は粘りを抑えて硬めに、一方、夏季の米は粘りがあり柔らかめに炊き上がり、更に、こだわり炊きで、四季に対応した甘み、粘り及び硬さを設定して炊飯することができる。
【0049】
この27通りの炊き分けは、炊飯工程における吸水温度及び吸水時間、沸騰維持電力、弁の開閉回数の制御、及び追炊き時の切温度等を所定値に設定することにより行われる。
【0050】
以下、この吸水温度、沸騰維持電力、吸水時間等と、甘み、粘り及び硬さ制御との関係を主に図12を参照して説明する。なお、上記「四季炊き」では、吸水温度を「X」、吸水時間を「TK」、及び沸騰維持電力を「K」の符号を使用して説明したが、こだわり炊飯においては、吸水温度を「T」、吸水時間を「H」及び沸騰維持電力を「P」の符号を使用して説明する。
【0051】
図12において、吸水温度T(℃)は、吸水工程における吸水温度であって、甘みレベル1〜3に対しては、それぞれ温度a1〜a3が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さと関連して重みwaが付けられている。これらの温度a1〜a3は、レベル2(ふつう)の温度a2を基準にして、レベル1の温度a1は低く、レベル3の温度a5は高くしてある。レベル2(ふつう)の温度a2は、四季炊きの吸水温度X1〜X4に設定される。したがって、たとえば、四季炊きで春季が選定されてこだわり炊飯されるときは、レベル2の吸水温度a2にはX1が設定され、同様にして、夏、秋及び冬は、吸水温度X2、X3及びX4がそれぞれ設定される。すなわち、甘み設定における吸水温度a2は、四季(春、夏、秋及び冬)に対応してそれぞれの吸水温度はX1〜X4となる。
【0052】
また、粘りレベル1〜3に対しては、それぞれの吸水温度b1〜b3が設定され、これらの値は、他の甘み、硬さと関連して重みwbが付けられている。これらの温度b1〜b3は、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は高く、レベル3は低くしてある。そして、レベル2の吸水温度b2は四季(春、夏、秋及び冬)に対応してそれぞれの吸水温度はX1〜X4に設定される。
【0053】
更に、硬さレベル1〜3に対しては、それぞれの吸水温度c1〜c3が設定され、これらの値は、他の甘み、粘りと関連して重みwcが付けられている。これらの吸水温度c1〜c3は、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は高く、レベル3は低くしてある。レベル2の吸水温度c2は四季(春、夏、秋及び冬)に対応してそれぞれの吸水温度はX1〜X4に設定される。そして、これらの甘み重みwa、粘り重みwb、及び硬さ重みwcの合計値は100%であり、これらの関係は、wb>wc>waとしてある。この関係から吸水温度は、粘りに最も寄与し、その寄与度は硬さ、甘みの順になり、この吸水温度の高低により、米の吸水率が変わり、その結果、炊き上がり時の粘りがコントロールされることになる。
【0054】
弁の開閉Vは、沸騰維持工程における圧力弁の開閉パターンを示すものであって、甘み、粘り及び硬さのそれぞれのレベル1〜3に対して、それぞれ前記の開閉パターンA〜C(図6参照)が設定され、これらの値は、それぞれ重みw1、w2、w3が付けられている。そして、これら甘み重みw1、粘り重みw2、及び硬さ重みw3の合計値は100%であり、これらの関係は、w3>w2>w1としてある。この関係から弁の開閉において、開閉パターンの相違、すなわち弁の閉時間の長さは、硬さに最も寄与し、その寄与度は粘り、甘みの順になっている。
【0055】
沸騰維持電力Pは、沸騰維持工程において鍋内の被炊飯物を沸騰状態に加熱維持するために供給される電力であって、甘みレベル1〜3に対しては、それぞれ電力d1〜d3が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwdが付けられている。これらの電力d1〜d3は、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は高く、レベル3は低くしてある。レベル2の沸騰維持電力d2は四季(春、夏、秋及び冬)に対応してそれぞれの吸水温度はK1〜K4に設定される。同様に、粘り及び硬さのレベル1〜3も、それぞれe1〜e3、f1〜f3に設定され、レベル2のe2、f2は四季(春、夏、秋及び冬)に対応してそれぞれの吸水温度はK1〜K4に設定される。そして、甘み重みwd、粘り重みwe、及び硬さ重みwfの合計値は100%であり、これらの関係は、wd>wf>weとしてある。この関係から沸騰維持電力は、甘みに最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になる。したがって、沸騰維持電力を変化させると、被炊飯物が沸騰している時間が変わり、その沸騰時間の長短により、甘みの度合いをコントロールできる。すなわち、沸騰時間を長くすると、甘みが多くなり、短くすると甘みは少なくなる。
【0056】
吸水時間Hは、甘み、粘り及び硬さのそれぞれのレベル1〜3に対して、それぞれ時間n1〜n3、o1〜o3、p1〜p3が設定され、これらの時間は、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は短く、レベル3は長くしてある。これらの値は、重みwn、wo、wpが付けられている。これらの甘み重みwn、粘り重みwo、及び硬さ重みwpの合計値は100%であり、これらの関係は、wp>wn>woとしてある。この関係から吸水時間は、硬さに最も寄与し、その寄与度は甘み、粘りの順になる。また、レベル2(ふつう)の温度n2、o2、p2には四季炊きのTK1〜TK4が設定される。したがって、この吸水時間の長短により、硬さをコントロールできる。すなわち、吸水時間を長くすると、柔らかくなり、短くすると硬くなる。
【0057】
切温度CTは、炊飯工程において、鍋内の水分が枯渇して昇温された状態で沸騰維持電力を切断する炊飯切温度であって、甘み、粘り及び硬さのそれぞれのレベル1〜3に対して、切温度g1〜g3、h1〜h3、i1〜i3が設定され、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は低く、レベル3は高くしてある。そして、これらの甘み重みwg、粘り重みwh、及び硬さ重みwiの合計値は100%であり、これらの関係は、wg>wh>wiとしてある。この関係から切温度は、甘みに最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になっている。したがって、この切温度は、甘みをコントロールする要因として効果を発揮する。また、この切温度は、その温度を変えると、香りをコントロールできる。その結果、切温度が高いと香りが多く、香ばしいものとなり、切温度が低いと香りが少なくなる。
【0058】
追炊きCOは、蒸し工程における追い炊き時間(図6参照)であって、甘み、粘り及び硬さそれぞれのレベル1〜3に対して、追い炊き時間j1〜j3、k1〜k3、m1〜m3が設定され、レベル2(ふつう)を基準にして、レベル1は低く、レベル3は高くしてある。そして、これらの甘み重みwj、粘り重みwk、及び硬さ重みwmの合計値は100%であり、これらの関係は、wj>wm>wkとしてある。この関係から追炊き時間は、甘み最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になっている。したがって、この追い炊き時間は甘みをコントロールする要因として効果を発揮する。
【0059】
甘み、粘り及び硬さの制御は、上記の吸水温度、沸騰維持電力、吸水温度等を各レベル1〜3ごとに所定値に設定することによって行われるが、以下に、これらの値に基づいた幾つかの炊飯パターン例を説明する。例えば、炊飯パターン「113」が選択されると、この炊飯パターンを実行するために、制御装置はこのパターンの吸水温度T113、沸騰維持電力P113、及び吸水時間H113等を次の計算式によりそれぞれ算出する。すなわち、
吸水温度T113=a1×wa+b1×wb+c3×wc ・・・・(式1)
沸騰維持電力P113=d1×wd+e1×we+f3×wf ・・・・(式2)
弁の開閉V113=C×w1+C×w2+C×w3 ・・・・(式3)
切温度CT113=g1×wg+h1×wh+i3×wi ・・・・(式4)
追炊きCO113=j1×wj+k1×wk+m3×wm ・・・・(式5)
吸水時間H113=n1×wn+o1×wo+p1×wp ・・・・(式6)
をそれぞれ算出する。この算出結果から、炊飯パターン「113」の炊飯は、吸水温度T113、沸騰維持電力P113、及び吸水時間H113等に基づいて行われる。この炊飯パターン「113」により、炊き上がったご飯は、甘みと粘りが少なく、硬いご飯、いわゆる硬めのあっさりしたものとなる。
【0060】
また、別の炊飯パターン「331」が選択されると、制御装置は、吸水温度T331、沸騰維持電力P331、吸水時間H331等を算出する。この際の式は上記(式1)〜(式6)と同様であり、例えば吸水温度T331は、a3×wa+b3×wb+c1×wc、沸騰維持電力P331は、d3×wd+e3×we+f1×wf、吸水時間H331は、j3×wj+k3×wk+m1×wmであり、同様にして弁の開閉V311、切温度CT311及び追炊きCO331を算出する。そして、この算出結果に基づいて、炊飯パターン「331」の炊飯が行われる。
【0061】
次に、図13〜図17を参照して、四季におけるこだわり炊飯メニューの炊飯工程を説明する。
【0062】
まず、炊飯の開始に際し、ユーザーにより所定量の水と白米が投入された鍋7が内部ケース4内に収容され、蓋体10が閉められる(S101)。次いで、表示操作部25により炊飯メニューが選択される(S102)。ここで四季炊きメニューが選択されると(S103でYes)、S104に移り四季炊きの設定処理がなされる。なお、四季炊きメニューが選択されない場合(S103でNo)には、その他の炊飯工程に移行して炊飯を行う。このその他の炊飯工程については本発明とは直接関連しないので説明を省略する。
【0063】
S104に示す四季炊きの設定処理は、図16に示すように、先ず制御装置24内のカレンダーを参照(S201)して現在の暦が四季の何れに該当するかを認識し、現在の暦に基づく四季表示をデフォルト表示として四季設定画面を表示させる(S202)。この表示画面が表示されたとき、何らの変更も行わずにスタート釦3aが押下されると(S203でYes)、現在の暦に基づく四季設定を反映して四季炊き条件を確定する(S204)。また、スタート釦3aが押下されずに(S203でNo)、十字シフトキー9の左右方向キーが押下された場合(S205でYes)には四季設定を選択・変更し(S206)、この変更の後スタート釦3aが押下された場合(S207でYes)には、選択・変更された四季設定を反映して四季炊き条件を確定する(S208)。この四季炊き条件を確定することにより、炊飯工程における吸水温度、吸水時間、沸騰維持電力などが設定されることになる。なお、この設定値は図10に示す表から選定されることになる。
【0064】
次いで、上述の工程によって確定した四季炊き条件に基づいて、こだわり設定処理が行われる(S105)。このこだわり設定処理は、図17に示すように、先ずデフォルト表示で表示パネル8にこだわり設定画面の表示が行われる(S301)。なお、このこだわり設定画面のデフォルト表示としては、例えば粘り、甘み、硬さの3つパラメータそれぞれをレベル2として表示する。ここで、炊飯スタート釦3aが押圧されると(S302でYes)、制御装置24はデフォルト表示として表示された設定値で炊飯を行うものと認識し、このこだわり設定値に対応した前記(式1)〜(式6)に対応する数値を条件算出手段(図示省略)で算出してこだわり炊飯条件を確定し、炊飯を開始(S303)してこだわり設定処理を完了する。
【0065】
こだわり設定画面が表示された際(S301)に、スタート釦3aが押下されることなく(S302でNo)十字シフトキー9のいずれかが押圧されると、こだわり設定値の変更が行われる。詳しくは、十字シフトキー9のうち上下方向キーが押圧されると(S304でYes)、甘み、粘り及び硬さの各パラメータの選択操作を行うことができ(S305)、左右方向キーが押圧されると(S306でYes)、上下方向キーにより選択されたパラメータのレベルを変更することができるようになっている(S307)。このこだわり設定値の変更が完了すると、炊飯スタート釦3aが押圧され(S309)ることになり、このスタート釦3aの押下により、制御装置24は選択された設定値での炊飯を行うものと認識し、このこだわり設定値に対応した前記(式1)〜(式6)に対応する数値を条件算出手段(図示省略)で算出してこだわり炊飯条件を確定し、炊飯を開始(S309)してこだわり設定処理を完了する。
【0066】
なお、制御装置24側において、上記S303〜S308において選択・変更されたこだわり設定値を記憶装置(図示省略)内に記憶して次回からのこだわり設定処理の際にデフォルト表示できるようにするとより使い勝手が向上するので好ましい。
【0067】
このこだわり設定処理が完了すると、制御装置24は炊飯工程を開始する。炊飯工程が開始されると、内部ケース4の外底壁と外側壁とに取り付けられた加熱手段5に高周波電流が印加され、鍋7に渦電流が発生してこの鍋が加熱され、被炊飯物の加熱が開始される(S106)。次に、制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動せしめ、圧力弁13を強制的に開状態にし(S107)、吸水工程Iが実行される(S108)。この吸水工程Iが開始されると、吸水タイマー(図示せず)が吸水時間ST1の計時を開始し(S109)、次いで鍋底温度センサ6により鍋底温度SK1が計測される(S110)。この鍋底温度SK1の計測は所定の温度に達するまで行われるがこの温度はこだわり設定処理が行われた際に設定されたこだわり設定値を参照して上記(式1)で示した式を用いて算出される。鍋底温度SK1が吸水温度X(X=T111、T112…T333)に達したことを確認すると(S111でYes)、制御装置24により加熱手段5の加熱量を制御して被炊飯物を所定温度に保持しつつ(S112)、吸水時間ST1の計測が継続して行われる。この吸水工程Iは、予め設定された吸水時間ST1、詳しくは(式6)で示した式を用いて算出された吸水時間TK(TK=H111、H112…H333)の間行われる。
【0068】
設定された吸水時間TKが経過すると(S113でYes)、立上加熱工程IIに移行する(S114)。この立上加熱工程IIは、短時間で沸騰状態になるように加熱手段5を全加熱(フルパワー加熱)するとともに、制御装置24により、圧力弁開放機構18を作動させてプランジャ19aを引き戻すことでボール16により圧力弁14を閉鎖させる。つまり、ボール16が自重により弁孔14上に転げて弁孔14を塞ぎ、圧力弁14を閉鎖状態とする(S115)。この状態においては、鍋7内の圧力は弁孔14を介してボール16を押し上げ得る圧力に上昇するまで昇圧される。したがって、このときの鍋内の圧力は、ボール16の重さ及び弁孔14の大きさを設定することにより適宜定めることができる。
【0069】
この立上加熱工程IIでは、蒸気温度SK2を蒸気温度センサ23により計測する(S116)。そしてこの蒸気温度SK2が所定温度Yに達すると(S117でYes)、被炊飯物が沸騰現象を起こす温度になり、立上加熱工程IIが終了する。このときの鍋内の圧力は、圧力弁13により制御され、大気圧以上の所定圧力、例えば約1.2気圧となる。そして、次に沸騰維持工程IIIが開始される(S118)。
【0070】
沸騰維持工程IIIに移行すると、図14に示すように、鍋7内の圧力が大気圧以上の所定圧力、すなわち約1.2気圧となり、被炊飯物はこの加圧された圧力に対応する飽和温度で沸騰するようになる。なお、このとき供給される電力は(式3)に示した式を用いて算出された沸騰維持電力P(P=P111、P112…P333)である。この沸騰維持電力Pは沸騰時間を可変させる。
【0071】
また、沸騰維持工程IIIに入ると、直ちに制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動させることで圧力弁13の強制的な開動作が行われる(S119)。またこの開動作の際には、加熱手段5の加熱を停止して(S120)、圧力弁13の強制的開動作を所定時間、例えば4秒間継続する(S121)。この強制的開作動により、鍋7内の加圧状態の圧力が大気圧近傍まで低下する。
【0072】
このように沸騰維持工程IIIにおいて、鍋7内の圧力を加圧された所定沸騰圧力(約1.2気圧)から一気に大気圧近傍まで低下させると、鍋7内は激しい突沸状態となる。この突沸状態になると、鍋内に泡が発生し、この泡によって被炊飯物が攪拌される。この結果、被炊飯物が均一に加熱され、炊き上げられることになる。
【0073】
圧力弁13を強制的に開放する所定時間は、1回目の圧力弁13の強制的開動作により鍋7内の圧力が略大気圧に戻るよう程度の時間(すなわち4秒程度)に定められている。圧力弁13の強制的に開放する時間をこのように設定することにより、最大限の攪拌エネルギーを得ることができるようにしている。また、圧力弁13の強制的な開放を上記所定時間(4秒間)行うと、圧力弁開放機構18を作動させて再び圧力弁を閉状態とし(S122)、所定時間、例えば28秒間再び加熱する(S123、S124)。なお、この加熱時間(28秒間)は、鍋7内の圧力が前述の所定圧力(約1.2気圧)まで回復するのに必要な時間である。また、この時間は、予め実験的に求められる。
【0074】
この圧力弁開放機構による圧力弁13の強制的開放は複数回繰り返される。このとき、こだわり設定により、(式2)に示した式を用いて算出された弁開閉V(V=V111、V112…V333)が弁開閉パターンBである場合は(S125でYes)、圧力弁開閉が6回既に行われたかが検出され(S127)、未だ6回圧力弁開閉動作が行われていない場合には上述したS119に戻り、既に行われている際には圧力弁13を閉状態としたままS130以降の処理に移行する。また、弁開閉Vが弁開閉パターンBではない場合には圧力弁開閉が4回行われたか否かが検出され(S126)、未だ4回圧力弁開閉動作が行われていない場合には上述したS119に戻り、既に行われている際には弁開閉Vが弁開閉パターンCであるか否かを判別する(S128)。この判別により弁開閉パターンCでない場合、すなわち弁開閉パターンAである場合には圧力弁13を閉状態としたままS130以降の処理に移行し、弁開閉パターンCである場合には圧力弁13を開状態とした後(S129)S130以降の処理に移行する。なお、この沸騰維持工程IIIにおいて時間が経過すると、鍋7内の残水量が減少し、圧力変動幅が小さくなり、突沸現象が弱くなる。このため、圧力弁13の強制的な開放は沸騰維持工程IIIの初期段階に集中させると効果的である。
【0075】
圧力弁13を複数回開放する操作を終えると、圧力弁開放機構18による圧力弁13の強制的開放が停止される。そして、加熱手段5による加熱を継続し(S130)、鍋底温度SK3を計測する(S131)。そして、鍋底温度SK3が所定温度、詳しくは(式4)に示した式で算出された切温度Z(Z=CT111、CT112…CT333)に達すると(S132でYes)、鍋7内の水が枯れて強制ドライアップが終了したと判断されるので、加熱手段5による加熱作用を停止する(S133)。
【0076】
続いて、図15に示すように、蒸らし工程IVを開始し、先ず蒸らし1工程に移行させ、蒸らし時間ST2の計時を開始する(S134)。所定の蒸らし時間ST2が所定時間、例えば4分経過すると(S135)、(式2)に示した式を用いて算出された弁開閉Vが開閉パターンCであるか否かが検出され(S136)、弁開閉パターンCである場合は圧力弁13は既に開状態であるのでそのまま追炊き工程に移行し、弁開閉パターンCでない場合、つまりは弁開閉パターンAあるいはBである場合は圧力弁13を開状態とした後(S137)追炊き工程に移行する。この追炊き工程に入ると、加熱手段5により再加熱して米の表面に付着した水を蒸発させると共に、追炊き(再加熱)時間ST3の計測を行う(S138)。そして、所定の追炊き時間ST3、詳しくは(式5)に示した式により算出した追炊き(時間)CO(CO=CO111、CO112…CO333)が経過すると(S139でYes)、加熱手段5による加熱動作を停止し、蒸らし2工程に移行し、蒸らし時間ST4を計時する(S140)。そして、蒸らし時間ST4が所定時間、例えば5分経つと(S141)、炊飯を終了し(S142)、保温工程に移行し(S143)、一連の炊飯工程を終了する。
【0077】
なお、この実施形態では、味好みを、甘み、粘り及び硬さに区分けし、更にそれぞれを3段階にレベル分けしているが、更に細区分化・細レベル化してもよい。更に、他の味好み、例えば香り、旨み、弾力性、つや等の味好みにし、これらを細区分化・細レベル化してもよい。また、鍋内の圧力は、圧力弁及びこの圧力弁開放機構により調整したが、このような機構を設けない圧力式で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る炊飯器の正面図である。
【図2】図2は図1の炊飯器の外ケース等が省略された縦断面図である。
【図3】図3は図2の圧力弁開放機構を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】図4(a)は図1の表示部分の拡大図、図4(b)はこだわり炊飯メニュー画面を示した図である。
【図5】図5は制御装置の制御ブロック図である。
【図6】図6は本発明の実施形態に係る炊飯器の炊飯工程を示す図である。
【図7】図7は四季によって米質が変化し、この変化した四季の米を炊飯したときの性状の一部を示したグラフである。
【図8】図8は春及び夏季の炊飯工程における鍋底温度、弁の開閉を示した説明図である。
【図9】図9は秋及び冬季の炊飯工程における鍋底温度、弁の開閉を示した説明図である。
【図10】図10は四季ごとの炊飯条件の設定値を纏めた図である。
【図11】図11(a)は好み区分とレベルを説明する説明図、図11(b)は甘み、粘り及び硬さの各レベルの組み合わせを示す図である。
【図12】図12は甘み、粘り及び硬さと、吸水温度、吸水時間及び沸騰維持電力などの関係を説明する説明図である。
【図13】図13は本発明の実施形態に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。
【図14】図14は本発明の実施形態に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。
【図15】図15は本発明の実施形態に係る炊飯器の炊飯工程を示すフローチャートである。
【図16】図16は四季設定処理の変更処理工程を示すフローチャートである。
【図17】図17はこだわり設定処理の変更処理工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 炊飯器
2 本体
3 外部ケース
3a 前面壁
4 内部ケース
5 加熱手段
6 鍋底温度センサ
7 鍋
10 蓋体
11 内蓋
12 外蓋
13 圧力弁
14 弁孔
15 弁座
16 ボール
17 カバー
18 圧力弁開放機構
19a シリンダ
19b プランジャ
20 作動棹
21 蒸気口
22 安全弁
24 制御装置
25 表示操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収容される開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、各種炊飯メニューを記憶した記憶手段と、各種炊飯メニューを表示する表示パネルと、該炊飯メニューの選択及び各種設定の変更等を行う操作手段と、所定の炊飯工程を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置により、前記炊飯メニューにしたがって、前記加熱手段を制御して前記鍋内の被炊飯物に所定量の水分を吸水させる吸水工程と、該吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、該被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、該沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程と、を含む炊飯工程を実行する炊飯器において、前記記憶手段には、予め四季に対応した四季炊飯条件及び被炊飯物の炊き上がりにおけるユーザーの味好みを複数に区分し各区分ごとにレベル分けしたこだわり炊飯条件を記憶しておき、前記操作手段により四季炊きメニューが選択されたときに、前記制御装置は、前記操作手段により設定された前記四季炊飯条件を基にして、前記操作手段により設定された前記こだわり炊飯条件にしたがって、該レベルの炊飯条件を算出して前記炊飯工程を実行することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記四季炊飯条件は、前記吸水工程における吸水温度を冬季を基準にして、春季及び夏季は高く秋季は低くし、吸水時間は冬季を基準にして、春季及び夏季は長く秋季は短くし、前記沸騰維持工程における沸騰維持電力は冬季を基準にして、春季及び夏季は小さく秋季は高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記制御装置は、被炊飯物の炊き上がり時におけるユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを複数段階にレベル分けして入力できるこだわり炊飯メニュー画面を前記表示パネルに表示させる表示手段と、前記こだわり炊飯メニュー画面において前記操作手段により設定された区分及びレベルにしたがって前記炊飯工程における炊飯条件を算出する条件算出手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御装置は、それぞれのレベルごとに少なくとも前記吸水工程における吸水温度・時間及び前記沸騰維持工程における沸騰維持電力をそれぞれ所定値に設定して、該設定された味好みのそれぞれのレベルに対応した値に基づいて前記条件算出手段により吸水温度・時間及び沸騰維持電力をそれぞれ算出し、これらの算出値によって前記炊飯工程を実行することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記複数に区分された味好みは、被炊飯物の甘み、粘り及び硬さであり、これらの甘み、粘り及び硬さは少なくとも3レベル以上に分割されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の炊飯器。
【請求項6】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収容される開口部及び鍋内の被炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記蓋体に装着されて前記鍋内の内圧を調整する圧力弁と、前記圧力弁を制御する圧力弁開放機構と、各種炊飯メニューを記憶した記憶手段と、各種炊飯メニューを表示する表示パネルと、該炊飯メニューの選択及び各種設定の変更等を行う操作手段と、所定の炊飯工程を実行する制御装置と、を備え、該制御装置により、前記炊飯メニューにしたがって、前記加熱手段を制御して前記鍋内の被炊飯物に所定量の水分を吸水させる吸水工程と、該吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、該被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、該沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程と、を含む炊飯工程を実行する炊飯器において、前記記憶手段には、予め四季に対応した四季炊飯条件及び被炊飯物の炊き上がりにおけるユーザーの味好みを複数に区分し各区分ごとにレベル分けしたこだわり炊飯条件を記憶しておき、前記操作手段により四季炊きメニューが選択されたときに、前記制御装置は、前記操作手段により設定された前記四季炊飯条件を基にして、前記操作手段により設定された前記こだわり炊飯条件にしたがって、該レベルの炊飯条件を算出して前記炊飯工程を実行することを特徴とする炊飯器。
【請求項7】
前記四季炊飯条件は、前記吸水工程における吸水温度を冬季を基準にして、春季及び夏季は高く秋季は低くし、吸水時間は冬季を基準にして、春季及び夏季は長く秋季は短くし、前記沸騰維持工程における沸騰維持電力は冬季を基準にして、春季及び夏季は小さく秋季は高く設定されていることを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記制御装置は、被炊飯物の炊き上がり時におけるユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを複数段階にレベル分けして入力できるこだわり炊飯メニュー画面を前記表示パネルに表示させる表示手段と、前記こだわり炊飯メニュー画面において前記操作手段により設定された区分及びレベルにしたがって前記炊飯工程における炊飯条件を算出する条件算出手段と、を有していることを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記制御装置は、それぞれのレベルごとに少なくとも前記吸水工程における吸水温度・時間及び前記沸騰維持工程における沸騰維持電力をそれぞれ所定値に設定して、該設定された味好みのそれぞれのレベルに対応した値に基づいて前記条件算出手段により吸水温度・時間及び沸騰維持電力をそれぞれ算出し、これらの算出値によって前記炊飯工程を実行することを特徴とする請求項8に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記複数に区分された味好みは、被炊飯物の甘み、粘り及び硬さであり、これらの甘み、粘り及び硬さは少なくとも3レベル以上に分割されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−185(P2009−185A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162158(P2007−162158)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】