説明

炊飯器

【課題】炊飯時に鍋の底面,側面あるいは蓋加熱板の加熱するか否かを使用者が選択できてエネルギーの消費を抑えた炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯器本体1に着脱自在に収納する鍋3と、この鍋3を加熱する鍋加熱部4と、鍋3の上面開口部を覆う蓋9と、鍋上方側面を加熱する鍋側面加熱部11とを備え、使用者が炊飯時に鍋上方側面を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器とすることにより、使用者の意志で鍋上方側面の加熱をしないで炊飯したい場合に、エネルギーの消費を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭などにおいて使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、例えば、図8に示されるような構成であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8において、101は本体ケースで下面には支持脚102を有する底板103が固着されている。104は耐熱性を有するプラスチックスによって構成された保護枠で、上部周縁部に設けられたつば部105が本体ケース101の上面に固着されている。106は保護枠104の下底部に装着された底面加熱用誘導コイル、107は保護枠104の下方側部に設置された側面加熱用誘導コイルで、保護枠104に収容された磁性金属層をもった鍋108を前記底面加熱用誘導コイル106とによって加熱し、鍋108内の米と水との内容物を加熱調理するものである。109は保護枠104の底面の中心に設けられた貫通孔に装着された温度センサ、110はつまみ111を有する蓋体で、保護枠104の上端部のつば部105上に着脱自在に載置されており、耐熱性を有するプラスチックスによって構成された内カバー112を断熱材113を介して固着している。114は内カバー112にピン120によって着脱自在に装着された内蓋で、その周縁部は鍋108のつば部に載置し、鍋108を覆蓋するものである。115は保護枠104のつば部105の内面に設置された本体側上部誘導コイルで本体ケース101内の電源部に接続されている。116は本体側上部誘導コイル115によって励磁される蓋体側誘導コイルで蓋体10内の本体側誘導コイル15に対向する部分に装着されており、この蓋体側誘導コイル16に励起された電流が蓋加熱用ヒーター118を発熱させ加熱板117を加熱する。
【特許文献1】特許第2988050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成の炊飯器では、底面加熱用誘導コイル106、側面加熱用誘導コイル117、蓋加熱用ヒーター118はあらかじめマイクロコンピューターに記憶された炊飯プログラムにより、制御されて炊飯工程のそれぞれの工程で制御されているので、鍋108の底面、側面からの加熱、あるいは加熱板117の加熱が使用者の意志にかかわらず行われてしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯時に鍋の底面、側面あるいは加熱板の加熱するか否かを使用者の意志で選択できる炊飯器を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋上方側面を加熱する鍋側面加熱部とを備え、使用者が炊飯時に前記鍋上方側面を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けたものである。
【0007】
これによって、使用者が、例えば少量の米の炊飯をする場合、炊き上がったごはんは鍋上方にはないことがわかるので鍋上方側面の加熱は不要と判断して鍋上方側面の加熱をしないことを選択でき、エネルギーの消費を抑えた炊飯器を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、使用者が鍋上方側面の加熱をしないで炊飯したい場合に、エネルギーの消費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋上方側面を加熱する鍋側面加熱部とを備え、使用者が炊飯時に前記鍋上方側面を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器とすることにより、使用者の意志で鍋上方の加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者はそれを選択し余分なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0010】
第2の発明は、炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、蓋加熱板を加熱する蓋加熱部とを備え、使用者が炊飯時に前記蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器とすることにより、使用者の意志で蓋加熱板の加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者はそれを選択しエネルギーの消費を抑えることができる。
【0011】
第3の発明は、炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板とを備え、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程からなる炊飯工程のうち、吸水工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器とすることにより、使用者の意志で吸水工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱しないで炊飯したい場合に、使用者はそれを選択しエネルギーの消費を抑えることができる。
【0012】
第4の発明は、炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板とを備え、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程からなる炊飯工程のうち、むらし工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器とすることにより、使用者の意志でむらし工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱しないで炊飯したい場合に、使用者はそれを選択しエネルギーの消費を抑えることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の断面を示すものである。
【0015】
図1において、炊飯器の炊飯器本体1は有底筒状の鍋収納部2を有し、着脱自在に鍋3を収納する。鍋収納部2の底部には鍋加熱手段である鍋加熱部4が設けられている。5は鍋温度検知部で、鍋3の底面と当接するよう構成されている。制御部6は炊飯器の動作を制御する。炊飯器本体1の上部は炊飯器本体1の後部に設けたヒンジ軸7にて軸支されて開閉自在な蓋8で覆われている。蓋8には蓋加熱板9が設けてある。蓋加熱板9の鍋3と対向した面には蓋加熱手段である蓋加熱部10がある。蓋8内部に蓋温度検知部11を配置し、鍋3内部の沸騰を検知するよう構成している。
【0016】
鍋収納部2の上方には鍋3の上方側面を加熱する鍋側面加熱部11がある。蓋8には外部からLCD15を可視可能にし、外部から各操作ボタン16を押すことができる操作パネル17とが設けられている。操作ボタン16の一部には、その操作がONされていると
きに点灯あるいは点滅するLED18が設けられている。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1における炊飯器の操作パネル17を示すものである。LCD15は選択された炊飯コースや炊き上がりまでの時間などを表示する。
【0018】
16aは炊飯を開始するときに操作する炊飯ボタン、18aは炊飯ボタンの近傍に位置し、炊飯ボタンが押された時に点灯して炊飯中であることを示す炊飯LED、18bは炊飯が終了して保温になった時に点灯する保温LEDである。
【0019】
16cは使用者が炊飯時に鍋上方側面を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタンで、コース選択ボタン16cを押す毎に、LCD15の表示が切り替わる。コース選択ボタンを押して「炊飯全工程」「側面加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「炊飯全工程」「側面加熱なし」が点灯表示になって、鍋上方側面を加熱しない炊飯プログラムを選択できる。
【0020】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
使用者は米と水を鍋2に入れ、炊飯器本体1の所定の状態にセットする。ここで、使用者が、例えば少量の米の炊飯をするとき、炊き上がったごはんは鍋上方にはないことがわかるので鍋上方側面の加熱は不要と判断して鍋上方側面の加熱をしないことを選択したい場合に、操作パネル17のコース選択ボタン16cを押して、LCD15の表示を切り替える。「炊飯全工程」「側面加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「炊飯全工程」「側面加熱なし」が点灯表示になる。炊飯ボタン16aを押すとあらかじめ制御部10に設定している炊飯の全ての工程で鍋3の上方側面を加熱する鍋側面加熱部11に通電しない炊飯を開始する。
【0022】
炊飯工程は、米に飽和状態になるまで吸水させる吸水工程と、鍋3内を沸騰させる炊き上げ工程と、米の糊化を促進させる沸騰維持工程と、鍋3内に余分な水分がなくなった後、ごはんを均一な状態になじませるむらし工程の連続により構成されている。
【0023】
まず、吸水工程が実行される。ここでは、鍋温度検知手段5により鍋3内の温度が約50℃を維持するように鍋加熱部4の火力を制御する。水温が約50℃の場合、約20分で米の吸水が飽和状態に達するため、ここでは制御部10が吸水工程開始から20分を計測すると、吸水工程を終了し、次工程の炊き上げ工程に移行する。
【0024】
炊き上げ工程では、短時間で一気に鍋3内を沸騰させるように鍋加熱部4の火力を制御する。ここでは、最短時間で沸騰させるために、炊飯器の最大火力を用い、連続して加熱する。これにより、対流の勢いを止めることなく加熱できるため、米粒表面の組織を壊すことなく熱が米に伝わる。つまり、間欠方式による加熱の場合に発生する、水流の緩急による負荷で米表面の組織を破壊したり、弱い火力で長時間かけて加熱する場合に発生する、水が米表面のでんぷんをふやけさせて煮溶かしたりするということがなく、粒の溶け崩れのないしっかりしたごはんを炊き上げることができる。蓋温度検知部11が90℃を検知した時点で鍋3内が沸騰したとみなし、次工程の沸騰維持工程に移行する。
【0025】
沸騰維持工程では、最大火力の連続加熱になるように鍋加熱部4を制御することで、米の糊化を促進させる。
【0026】
この沸騰維持工程において、使用者が「炊飯全工程」「側面加熱なし」を選択しなかった場合には、鍋側面加熱部11に通電し、鍋側面上部をも加熱するが、使用者が「炊飯全工程」「側面加熱なし」を選択しているので、鍋側面加熱部11に通電しない。
【0027】
鍋温度検知部5が一定時間以上鍋3の底部に水分がないことを検知して沸騰維持工程を終了し、次工程のむらし工程に移行する。
【0028】
むらし工程は、余分な水分をごはんに吸水させ、さらに水分分布を均一にし、ふっくらと仕上げる工程であり、沸騰維持工程より弱い火力で鍋加熱部4による鍋3の加熱をつづけ、むらし工程開始時からの時間が15分になった時点で炊飯が完了する。
【0029】
このむらし工程においても、使用者が「炊飯全工程」「側面加熱なし」を選択しなかった場合には、鍋側面加熱部11に通電し、鍋側面上部をも加熱するが、使用者が「炊飯全工程」「側面加熱なし」を選択しているので、鍋側面加熱部11に通電しない。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては、使用者の意志で鍋上方の加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者が炊飯時に鍋上方側面を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタン16c、決定ボタン16dを炊飯前に押すだけで、鍋上方側面を加熱しないで炊飯するので、使用者はエネルギーの消費を抑えることができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、炊飯の全ての工程で鍋側面上部を加熱しない選択をしたが、それぞれの工程で鍋側面加熱部11に通電しない選択ができるようにあらかじめ制御部6を設定することにより、使用者の選択の巾が広くなり使い勝手のよい炊飯器を提供することができる。
【0032】
図3は炊飯工程の内のむらし工程で鍋側面上部を加熱しない選択をした場合の操作パネル17のLCD15の表示例で、この場合にはむらし工程で、鍋側面加熱部11に通電しないで炊飯することができる。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における炊飯器の構成は実施の形態1と操作パネル17のコース選択ボタン16cを押した時のLCD15の表示以外は同様であるので重複する説明は省略する。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態2における炊飯器の操作パネル17を示すものである。16cは使用者が炊飯時に蓋加熱板を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタンで、コース選択ボタン16cを押す毎に、LCD15の表示が切り替わる。コース選択ボタンを押して「炊飯全工程」「蓋加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「炊飯全工程」「蓋加熱なし」が点灯表示になって、蓋加熱板9を加熱しない炊飯プログラムを選択できる。
【0035】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0036】
使用者は米と水を鍋2に入れ、炊飯器本体1の所定の状態にセットする。ここで、使用者が、例えば少量の米の炊飯をするとき、炊き上がったごはんは少ないので、蓋加熱板9からの距離がある。よって、蓋加熱板9の加熱はごはんの美味しさへの効果は少なく、蓋加熱板9の加熱は不要と判断して蓋加熱板9の加熱をしないことを選択したい場合に、操作パネル17のコース選択ボタン16cを押して、LCD15の表示を切り替える。「炊飯全工程」「蓋加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「炊飯全工程」「蓋加熱なし」が点灯表示になる。炊飯ボタン16aを押すとあらかじめ制御部10に設定している炊飯の全ての工程で鍋3の上方側面を加熱する蓋加熱部10に通電しない炊飯を開始する。
【0037】
炊飯工程は、米に飽和状態になるまで吸水させる吸水工程と、鍋3内を沸騰させる炊き上げ工程と、米の糊化を促進させる沸騰維持工程と、鍋3内に余分な水分がなくなった後、ごはんを均一な状態になじませるむらし工程の連続により構成されている。
【0038】
まず、吸水工程が実行される。ここでは、鍋温度検知手段5により鍋3内の温度が約50℃を維持するように鍋加熱部4の火力を制御する。水温が約50℃の場合、約20分で米の吸水が飽和状態に達するため、ここでは制御部10が吸水工程開始から20分を計測すると、吸水工程を終了し、次工程の炊き上げ工程に移行する。
【0039】
炊き上げ工程では、短時間で一気に鍋3内を沸騰させるように鍋加熱部4の火力を制御する。ここでは、最短時間で沸騰させるために、炊飯器の最大火力を用い、連続して加熱する。これにより、対流の勢いを止めることなく加熱できるため、米粒表面の組織を壊すことなく熱が米に伝わる。つまり、間欠方式による加熱の場合に発生する、水流の緩急による負荷で米表面の組織を破壊したり、弱い火力で長時間かけて加熱する場合に発生する、水が米表面のでんぷんをふやけさせて煮溶かしたりするということがなく、粒の溶け崩れのないしっかりしたごはんを炊き上げることができる。蓋温度検知部11が90℃を検知した時点で鍋3内が沸騰したとみなし、次工程の沸騰維持工程に移行する。
【0040】
沸騰維持工程では、最大火力の連続加熱になるように鍋加熱部4を制御することで、米の糊化を促進させる。
【0041】
この沸騰維持工程において、使用者が「炊飯全工程」「蓋加熱なし」を選択しなかった場合には、蓋加熱部10に通電し、蓋加熱板9をも加熱するが、使用者が「炊飯全工程」「蓋加熱なし」を選択しているので、蓋加熱部10に通電しない。
【0042】
鍋温度検知部5が一定時間以上鍋3の底部に水分がないことを検知して沸騰維持工程を終了し、次工程のむらし工程に移行する。
【0043】
むらし工程は、余分な水分をごはんに吸水させ、さらに水分分布を均一にし、ふっくらと仕上げる工程であり、沸騰維持工程より弱い火力で鍋加熱部4による鍋3の加熱をつづけ、むらし工程開始時からの時間が15分になった時点で炊飯が完了する。
【0044】
このむらし工程においても、使用者が「炊飯全工程」「蓋加熱なし」を選択しなかった場合には、蓋加熱部10に通電し、蓋加熱板9をも加熱するが、使用者が「炊飯全工程」「側面加熱なし」を選択しているので、蓋加熱部10に通電しない。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、使用者の意志で蓋加熱板の加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者が炊飯時に蓋加熱板9を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタン16c、決定ボタン16dを炊飯前に押すだけで、蓋加熱板を加熱しないで炊飯するので、使用者はエネルギーの消費を抑えることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、炊飯の全ての工程で蓋加熱板を加熱しない選択をしたが、それぞれの工程で蓋加熱部10に通電しない選択ができるようにあらかじめ制御部6を設定することにより、使用者の選択の巾が広くなり使い勝手のよい炊飯器を提供することができる。
【0047】
図5は炊飯工程の内のむらし工程で蓋加熱板9を加熱しない選択をした場合の操作パネル17のLCD15の表示例で、この場合にはむらし工程で、蓋加熱部10に通電しないで炊飯することができる。
【0048】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における炊飯器の構成は実施の形態1と操作パネル17のコース選択ボタン16cを押した時のLCD15の表示以外は同様であるので重複する説明は省略する。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態3における炊飯器の操作パネル17を示すものである。
【0050】
16cは使用者が炊飯の吸水工程において鍋3や蓋加熱板9を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタンで、コース選択ボタン16cを押す毎に、LCD15の表示が切り替わる。コース選択ボタンを押して「吸水工程」「全加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「吸水工程」「全加熱なし」が点灯表示になって、吸水工程において鍋加熱部4、蓋加熱部9、鍋側面加熱部11に通電しない炊飯プログラムを選択できる。
【0051】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0052】
使用者は米と水を鍋2に入れ、炊飯器本体1の所定の状態にセットする。ここで、使用者が、炊き上がってほしい時間まで1時間以上あるとき、吸水工程で熱を加えて水温を50°まで上昇させずとも常温の水に米を30分浸水させることによって、米の吸水を飽和状態にすることができるので、吸水工程での加熱は不要と判断して、吸水工程での全ての加熱をしないことを選択したい場合に、操作パネル17のコース選択ボタン16cを押して、LCD15の表示を切り替える。「吸水工程」「全加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「吸水工程」「全加熱なし」が点灯表示になる。炊飯ボタン16aを押すとあらかじめ制御部10に設定している吸水工程で鍋加熱部4、蓋加熱部9、鍋側面加熱部11に通電しない炊飯を開始する。
【0053】
炊飯工程は、米に飽和状態になるまで吸水させる吸水工程と、鍋3内を沸騰させる炊き上げ工程と、米の糊化を促進させる沸騰維持工程と、鍋3内に余分な水分がなくなった後、ごはんを均一な状態になじませるむらし工程の連続により構成されている。
【0054】
まず、吸水工程が実行される。ここでは、常温の水に約30分浸水することによって米の吸水が飽和状態に達するため、制御部10が吸水工程開始から30分を計測すると、吸水工程を終了し、次工程の炊き上げ工程に移行する。
【0055】
炊き上げ工程では、短時間で一気に鍋3内を沸騰させるように鍋加熱部4の火力を制御する。ここでは、最短時間で沸騰させるために、炊飯器の最大火力を用い、連続して加熱する。これにより、対流の勢いを止めることなく加熱できるため、米粒表面の組織を壊すことなく熱が米に伝わる。つまり、間欠方式による加熱の場合に発生する、水流の緩急による負荷で米表面の組織を破壊したり、弱い火力で長時間かけて加熱する場合に発生する、水が米表面のでんぷんをふやけさせて煮溶かしたりするということがなく、粒の溶け崩れのないしっかりしたごはんを炊き上げることができる。蓋温度検知部11が90℃を検知した時点で鍋3内が沸騰したとみなし、次工程の沸騰維持工程に移行する。
【0056】
沸騰維持工程では、最大火力の連続加熱になるように鍋加熱部4を制御することで、米の糊化を促進させる。
【0057】
鍋温度検知部5が一定時間以上鍋3の底部に水分がないことを検知して沸騰維持工程を終了し、次工程のむらし工程に移行する。
【0058】
むらし工程は、余分な水分をごはんに吸水させ、さらに水分分布を均一にし、ふっくら
と仕上げる工程であり、沸騰維持工程より弱い火力で鍋加熱部4による鍋3の加熱をつづけ、むらし工程開始時からの時間が15分になった時点で炊飯が完了する。
【0059】
以上のように、本実施の形態においては、使用者の意志で吸水工程における加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者が吸水工程で加熱するか否かを選択できるコース選択ボタン16c、決定ボタン16dを炊飯前に押すだけで、吸水工程で鍋3,蓋加熱板9を加熱しないで炊飯するので、使用者はエネルギーの消費を抑えることができる。
【0060】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における炊飯器の構成は実施の形態1と操作パネル17のコース選択ボタン16cを押した時のLCD15の表示以外は同様であるので重複する説明は省略する。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態1における炊飯器の操作パネル17を示すものである。16cは使用者が炊飯のむらし工程において鍋3や蓋加熱板9を加熱するか否かを選択できるコース選択ボタンで、コース選択ボタン16cを押す毎に、LCD15の表示が切り替わる。コース選択ボタンを押して「むらし工程」「全加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「むらし工程」「全加熱なし」が点灯表示になって、むらし工程において鍋加熱部4、蓋加熱部9、鍋側面加熱部11に通電しない炊飯プログラムを選択できる。
【0062】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0063】
使用者は米と水を鍋2に入れ、炊飯器本体1の所定の状態にセットする。ここで、使用者が、むらし工程での加熱をせずとも、それまでの炊き上げ工程や沸騰維持工程における加熱の余熱で余分な水分をごはんに吸水させ、ふっくらと仕上がるのでむらし工程での加熱は不要と判断して、むらし工程での全ての加熱をしないことを選択したい場合に、操作パネル17のコース選択ボタン16cを押して、LCD15の表示を切り替える。「むらし工程」「全加熱なし」が点滅表示になった時に、決定ボタン16dを押すと、「むらし工程」「全加熱なし」が点灯表示になる。炊飯ボタン16aを押すとあらかじめ制御部10に設定しているむらし工程で鍋加熱部4、蓋加熱部9、鍋側面加熱部11に通電しない炊飯を開始する。
【0064】
炊飯工程は、米に飽和状態になるまで吸水させる吸水工程と、鍋3内を沸騰させる炊き上げ工程と、米の糊化を促進させる沸騰維持工程と、鍋3内に余分な水分がなくなった後、ごはんを均一な状態になじませるむらし工程の連続により構成されている。
【0065】
まず、吸水工程が実行される。ここでは、鍋温度検知手段5により鍋3内の温度が約50℃を維持するように鍋加熱部4の火力を制御する。水温が約50℃の場合、約20分で米の吸水が飽和状態に達するため、ここでは制御部10が吸水工程開始から20分を計測すると、吸水工程を終了し、次工程の炊き上げ工程に移行する。
【0066】
炊き上げ工程では、短時間で一気に鍋3内を沸騰させるように鍋加熱部4の火力を制御する。ここでは、最短時間で沸騰させるために、炊飯器の最大火力を用い、連続して加熱する。これにより、対流の勢いを止めることなく加熱できるため、米粒表面の組織を壊すことなく熱が米に伝わる。つまり、間欠方式による加熱の場合に発生する、水流の緩急による負荷で米表面の組織を破壊したり、弱い火力で長時間かけて加熱する場合に発生する、水が米表面のでんぷんをふやけさせて煮溶かしたりするということがなく、粒の溶け崩れのないしっかりしたごはんを炊き上げることができる。蓋温度検知部11が90℃を検知した時点で鍋3内が沸騰したとみなし、次工程の沸騰維持工程に移行する。
【0067】
沸騰維持工程では、最大火力の連続加熱になるように鍋加熱部4を制御することで、米の糊化を促進させる。
【0068】
鍋温度検知部5が一定時間以上鍋3の底部に水分がないことを検知して沸騰維持工程を終了し、次工程のむらし工程に移行する。
【0069】
むらし工程では、鍋加熱部4、蓋加熱部9、鍋側面加熱部11に通電せず、炊き上げ工程や沸騰維持工程における加熱の余熱で余分な水分をごはんに吸水させる。制御部10がむらし工程開始から20分を計測した時点で炊飯が完了する。
【0070】
以上のように、本実施の形態においては、使用者の意志でむらし工程における加熱をしないで炊飯したい場合に、使用者がむらし工程で加熱するか否かを選択できるコース選択ボタン16c、決定ボタン16dを炊飯前に押すだけで、むらし工程で鍋3,蓋加熱板9を加熱しないで炊飯するので、使用者はエネルギーの消費を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、鍋の底面,側面あるいは蓋加熱板の加熱するか否かを使用者が容易に選択できるので、エネルギーの消費を抑えることが可能となるので、家庭用および業務用の炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器における操作パネルの表示の平面図
【図3】同炊飯器における操作パネルの別表示の平面図
【図4】本発明の実施の形態2における操作パネルの表示の平面図
【図5】同炊飯器における操作パネルの別表示の平面図
【図6】本発明の実施の形態3における操作パネルの表示の平面図
【図7】本発明の実施の形態4における操作パネルの表示の平面図
【図8】従来の炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0073】
1 炊飯器本体
3 鍋
4 鍋加熱部
8 蓋
9 蓋加熱板
10 蓋加熱部
11 鍋側面加熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋上方側面を加熱する鍋側面加熱部とを備え、使用者が炊飯時に前記鍋上方側面を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器。
【請求項2】
炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、蓋加熱板を加熱する蓋加熱部とを備え、使用者が炊飯時に前記蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器。
【請求項3】
炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板とを備え、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程からなる炊飯工程のうち、吸水工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器。
【請求項4】
炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱部と、前記鍋の上面開口部を覆う蓋と、鍋内を上方から加熱する蓋加熱板とを備え、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、むらし工程からなる炊飯工程のうち、むらし工程において、使用者が鍋,蓋加熱板を加熱するか否かを選択できる選択手段を設けた炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94254(P2010−94254A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267003(P2008−267003)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】