炊飯器
【課題】炊飯の初期工程で正確に炊飯量を判定し、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることができる炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器100は、制御装置9が、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を加熱し、釜2の側面を加熱しているときに得られる検出温度を利用することで釜2内の炊飯量を判定する。
【解決手段】炊飯器100は、制御装置9が、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を加熱し、釜2の側面を加熱しているときに得られる検出温度を利用することで釜2内の炊飯量を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセンサーを水位に対応して配置し、炊飯量判定、炊飯制御を行うようにした炊飯器が存在している。そのようなものとして、「炊飯器本体1と、内釜2と、加熱手段としてのコイル5と、内釜2の底面に接触して内釜の底面温度を測定する第1の温度検出器となる底センサ13と、内釜2の側面に接触して内釜2の側面温度を検出する第2温度検出器としての側面センサ25、及び第3温度検出器としての側面センサ26とを備えている。各センサの検出信号を制御部22に伝達させ、各検出情報に基づいて、内釜2に入れられた水と米からなる炊飯量を検出する。この炊飯量検出手段の検出結果より制御部22は加熱コイル5を制御するようになっている。」という技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−23851号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器では、内釜の側面温度の上昇が遅く、炊飯量を判定するまでに時間を要してしまっていた。そのため、特許文献1に記載の炊飯器では、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた制御に対しての更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、炊飯の初期工程で迅速かつ正確に炊飯量を判定し、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることができる炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、釜と、前記釜を収納する釜収納部を備えた炊飯器本体と、前記炊飯器本体に設けられ、前記釜を加熱する炊飯用加熱手段と、前記釜の側面の一部に対向するように設けられ、前記釜を加熱する炊飯量検知用加熱手段と、前記釜の最大炊飯量に相当する第1の水位と前記釜の最小炊飯量に相当する第2の水位との間の側面の一部に対向するように前記炊飯器本体に設けられ、前記釜の前記第1の水位と前記第2の水位との間から放射された赤外線を受光し、該赤外線に基づいて温度を検出する赤外線温度センサーと、前記炊飯用加熱手段及び炊飯量検知用加熱手段を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて前記釜内の炊飯量を判定するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、炊飯量検知用加熱手段により釜の側面を加熱し、釜の側面を加熱しているときに赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて釜内の炊飯量を判定するので、迅速かつ正確に炊飯量を判定することが可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の構成を概略的に示す側面断面模式図である。
【図2】本実施の形態に係る炊飯器の要部断面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る炊飯器の赤外線温度センサーの温度検知範囲を模式的に示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係る炊飯器の釜内における炊飯量の違いによる赤外線温度センサーの温度検知を説明するための模式図である。
【図5】本実施の形態に係る炊飯器の釜内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過後の釜の側面の温度分布を模式的に示す模式図である。
【図6】本実施の形態に係る炊飯器の釜内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過するまでの釜の側面の温度変化を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る炊飯器100の構成を概略的に示す側面断面模式図である。図1に基づいて、炊飯器100の構成について説明する。この炊飯器100は、被加熱物(米や水等)を入れた釜2を釜加熱装置5で加熱することで被加熱物を炊きあげるものである。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る炊飯器100は、内部に釜収納部1aが形成された炊飯器本体1と、上面に開口部2bを有し、釜収納部1aに収納され、誘導加熱により発熱する磁性体の金属を含む有底円筒形状の釜2と、炊飯器本体1の上面に設けられた開口部1kを開閉可能に覆う蓋本体3と、蓋本体3の内側(釜2の開口部2bを覆う側)に着脱自在に取り付けられて、釜2の開口部2bを密閉可能な略円盤状の内蓋4と、釜2を外面から誘導加熱する釜加熱装置5と、を有している。
【0012】
炊飯器本体1の釜収納部1aは、炊飯器本体1の開口部1kの内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、釜2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。よって、炊飯器本体1は、釜収納部1aを構成している上枠1b及びコイルベース1cと、外殻1fと、を備えていることになる。
【0013】
コイルベース1cの外周面には、釜加熱装置5の一部を構成する炊飯用加熱手段としての底内コイル5aと、底外コイル5bと、炊飯量検知用加熱手段としての側面加熱ヒーター5cと、が取り付けられている。底内コイル5aは、コイルベース1cを介して釜2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、釜2の底部を加熱する。底外コイル5bは、コイルベース1cを介して釜2の底部のコーナー部に対向するように配置されており、釜2のコーナー部を加熱する。側面加熱ヒーター5cは、コイルベース1cを介して釜2の側面の最大炊飯量に相当する水位(第1の水位)と最小炊飯量に相当する水位(第2の水位)のほぼ中間付近に対向するように配置されており、釜2の側面を加熱する。
【0014】
炊飯器本体1の内部には、赤外線温度センサー6と、各部及び各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御装置9と、が設けられている。赤外線温度センサー6は、側面加熱ヒーター5c(炊飯量検知用加熱手段)に対向するように配置されている。制御装置9は、制御基板に実装されたマイクロコンピューター及び制御回路を備え、炊飯器100を構成する各部の駆動制御を行うものである。つまり、制御装置9は、内蓋温度センサー10及び赤外線温度センサー6の検知情報と、操作ボタン19への入力に基づいて、予め内蔵されたプログラムにより釜加熱装置5と内蓋加熱装置11の動作、停止制御を行うようになっている。
【0015】
蓋本体3は、ヒンジ軸45を介して炊飯器本体1に取り付けられており、開口部1kを開閉自在である。この蓋本体3には、蓋温度検知装置の一例である内蓋温度センサー10と、内蓋加熱コイルからなる内蓋加熱装置11と、ヒンジ軸45と、蒸気筒14と、が設けられている。
【0016】
内蓋温度センサー10は、たとえばサーミスタからなり、内蓋4の温度を検出して制御装置9に出力するものである。内蓋加熱装置11は、蓋本体3内に設置され、制御装置9の制御により、内蓋4を誘導加熱するものである。ヒンジ軸45は蓋本体3の開閉軸であり、ヒンジ軸45の両端部は、炊飯器本体1の上枠1bに回動自在に取り付けられている。また、蓋本体3は、ヒンジ軸45の近傍に設けられた回動バネ12により、開成方向に付勢されている。蒸気筒14は、蓋本体3に着脱自在に取り付けられており、内蓋4の蒸気口4aから出てきた釜2内の蒸気を炊飯器100の外部に放出するものである。
【0017】
内蓋4の一部は、内蓋加熱装置11による誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されている。また、内蓋4には、釜2内の蒸気を釜2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4a(たとえば、開口面積が0.5cm2 )を設けている。内蓋4の外周部の釜2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるとき、釜2と密接する略環状の内蓋パッキン13が取り付けられている。内蓋パッキン13は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0018】
炊飯器本体1の上面のヒンジ軸45近傍には溝17が設けられている。外気温が非常に低い場合などでは、炊飯が終了した後で蓋本体3を開けた際に、内蓋4の釜2側に付着した水滴が落下する場合があるが、溝17は、この水滴が落下する範囲に設けられており、水滴を受ける機能を有する。
【0019】
蓋本体3には、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を表示する表示装置18と、炊飯の開始、取り消し、予約などを実行するための操作ボタン19が搭載されている。操作ボタン19に対して操作が行われると、制御装置9に内蔵された炊飯プログラムが実行され、釜加熱装置5、内蓋加熱装置11を、炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施する。
【0020】
炊飯器本体1には、炊飯器を運搬するためのハンドル20が設けられている。ハンドル20は、炊飯器本体1の側面上部の略前後中央に軸支されており、ハンドル20の回転方向は、蓋本体3の回動方向と略同一である。運搬時には、ハンドル20を回転させて、ハンドル20がハンドル20の軸支点(図示せず)のほぼ直上に位置するようにハンドル20を持ち上げ、使用者はハンドル20のみを持って炊飯器100を運搬することが可能となる。
【0021】
また、ハンドル20を、炊飯器本体1が置かれている床面と略水平方向で支持するヒンジカバー21が設けられており、炊飯器100を運搬しない場合には、ヒンジカバー21の上にハンドル20を載置することで蓋本体3の開閉の邪魔にならないようになっている。ヒンジカバー21は、炊飯器本体1の後部に取り付けられており、蓋本体3の回動支点となるヒンジ軸45を炊飯器外から隠して、水滴や異物がヒンジに付着しないようにするとともに、ハンドル20がそれ以上下方に回転しないように支持する役割も果たしている。
【0022】
なお、図示は省略しているが、炊飯器本体1の前壁上部(図1の紙面左側上部)には、蓋本体3のフックに係合可能なフックが設けられているものとする。炊飯器本体1の前壁上部に設けられているフックとコイルベース1cとの間にはバネが設けられ、炊飯器本体1の前壁上部に設けられているフックは、そのバネにより前方(図1の紙面左側)に付勢されている。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る炊飯器100の要部断面模式図であり、赤外線温度センサー6の近傍を示している。図3は、本実施の形態に係る炊飯器100の赤外線温度センサー6の温度検知範囲を模式的に示す模式図である。図2及び図3に基づいて、赤外線温度センサー6の温度検知について説明する。
【0024】
図2において、赤外線温度センサー6は、釜2から放射される赤外線を受光する受光素子を有している。赤外線温度センサー6は、最大炊飯量に相当する水位(後述する図4に示す線(ア))と最小炊飯量に相当する水位(後述する図4に示す線(イ))との間の側面の一部に対向するように設けられ、これらの水位に挟まれた範囲から放射された赤外線を受光するようになっている。赤外線温度センサー6の受光素子が赤外線を検知する範囲である視野角は、図中太線の内側の角度Bで示す範囲内である。赤外線温度センサー6は、受光素子が受光した赤外線量に応じた温度情報を出力する。たとえば、赤外線温度センサー6は、受光素子を複数設けたり、受光素子を可動させたりすることで、角度Bで示す範囲を温度検知範囲としている。
【0025】
また、コイルベース1cの壁部の一部には、開口部40が開口形成されている。開口部40は、釜2から放射される赤外線を赤外線温度センサー6が受光するために設けられたものであり、コイルベース1cの壁部のうち釜2の温度を反映する部位、つまり受光範囲となる部位に設けられている。本実施の形態では、釜収納部1aに釜2が収納されたときに赤外線温度センサー6と対向する位置に開口部40が設けられている。
【0026】
炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cは、コイルベース1cに固定されている。また、側面加熱ヒーター5cには、図3に示すように赤外線温度センサー6の温度検知範囲に含まれないように穴部8が形成されており、赤外線温度センサー6で釜2の温度が検出できるように構成されている。この穴部8は、コイルベース1cの壁部のうち釜2の温度を反映する部位に形成された開口部40に対向する位置に設けられている。図3では、穴部8の形状を円形状とした状態を例に示したが、これに限定するものではなく、赤外線温度センサー6の温度検知範囲の形状に合わせたものであれば、円形状でなくても、たとえば矩形状であってもよい。
【0027】
また、図2では、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの外側に固定させた場合を例に示したが、側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの内側に固定してもよい。側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの内側に固定することにより、釜2の温度上昇が早くなり、炊飯量を判定するまでの時間を短縮することができる。
【0028】
さらに、図2では、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cと赤外線温度センサー6とを対向配置させた場合を例に示したが、側面加熱ヒーター5cと赤外線温度センサー6とを対向配置させなくてもよい。つまり、赤外線温度センサー6の受光範囲を加熱できる位置に側面加熱ヒーター5cが設置されていればよいのである。この場合、側面加熱ヒーター5cに穴部8を形成しなくてもよい。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0030】
まず、使用者が、釜2内に所定の米と水をセットし、表示装置18に表示された炊飯メニューを操作ボタン19で選択し、炊飯開始ボタンを押下することで、炊飯量判定工程が開始され、炊飯量判定後、炊飯工程が開始される。ここで、炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、釜2を釜加熱装置5により一気に加熱し、釜2内の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、釜2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程において米の糊化を進めて炊飯する。
【0031】
制御装置9は、赤外線温度センサー6で検知された釜2の温度から炊飯量(米と水の量)を判定し、赤外線温度センサー6で検知された釜2の温度及び炊飯量に応じて最適に釜加熱装置5を制御し、予め決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。炊飯プログラムは、米の種類などによって複数のコースが準備されている。そして、蒸らし工程が終了すると、自動的に保温工程へと移行して炊き上がったご飯の温度が低下しないようにし、使用者がいつでも温かいご飯を食べられるようになっている。
【0032】
次に、炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
図4は、釜2内における炊飯量の違いによる赤外線温度センサー6の温度検知を説明するための模式図である。図5は、釜2内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過後(たとえば5分経過後)の釜2の側面の温度分布を模式的に示す模式図である。図6は、釜2内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過(たとえば5分経過)するまでの釜2の側面の温度変化を模式的に示す模式図である。図4〜図6では、(a)が最小炊飯量を、(b)が最大炊飯量を、(c)がそれ以外(たとえば中間炊飯量)を、それぞれ示している。また、赤外線温度センサー6の検知範囲をαとβで表している(αが下方、βが上方)。なお、図5及び図6に示す内容はデータとして不揮発性メモリーなどの記憶手段に格納しておくとよい。
【0033】
炊飯開始が指示されると、まず炊飯量判定工程が始まる。制御装置9は、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cにより釜2を加熱し、赤外線温度センサー6によって釜2の温度を検知する。つまり、制御装置9は、炊飯工程が始まる前の炊飯量判定工程において、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面、赤外線温度センサー6の温度検知範囲に相当する部分における側面を加熱する。
【0034】
赤外線温度センサー6は、最大炊飯量に相当する水位(図4に示す線(ア))と最小炊飯量に相当する水位(図4に示す線(イ))との中間の位置(図4に示す線(ウ))の延長線上に配置されている。したがって、最小炊飯量のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物(米及び水)がない状態である。最大炊飯量のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物がある状態である。それ以外のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物がない状態と被加熱物がある状態とが混在する状態である。
【0035】
すなわち、炊飯器100では、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を加熱することにより、釜2の側面を加熱しているときに赤外線温度センサー6から得られる検出温度に基づいて炊飯量の判定を行っている。炊飯器100は、赤外線温度センサー6の受光範囲の全部に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲の全部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲の一部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用して釜2内の炊飯量を判定するものである。換言すれば、赤外線温度センサー6の受光範囲と被加熱物の上面(つまり水面)との位置関係によって得られる検出温度が異なることを利用して釜2内の炊飯量を判定するものである。
【0036】
よって、炊飯器100によれば、被加熱物が受光範囲にあるかどうかによって少なくとも最大炊飯量と最小炊飯量と中間炊飯量とを区別することが可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
【0037】
図5(a)、(b)から、最小炊飯量、最大炊飯量のとき、α〜βの検知範囲での温度分布はほぼ一定になることがわかる(図5(a)に示すT1、図5(b)に示すT2)。また、その温度レベルは、最小炊飯量>最大炊飯量となる(T1>T2)。一方、図5(c)から、炊飯量がそれ以外(たとえば、中間炊飯量)のとき、温度分布は非一様となり、被加熱物のあるα側が低く、被加熱物のないβ側が高い温度分布になることがわかる。そこで、制御装置9は、所定時間が経過するまでの温度分布を計測し、その温度分布から炊飯量を判定するようになっている。なお、赤外線温度センサー6の受光素子を上下方向に複数備えることによっても温度分布を計測することができる。この場合、制御装置9は、所定時間が経過するまでの温度分布を計測するのではなく、複数の受光素子から得られる検出温度から温度分布を計測すればよい。
【0038】
図5(a)のような温度分布が計測された場合には最小炊飯量、図5(b)のような温度分布が計測された場合には最大炊飯量、図5(c)のような温度分布が計測された場合には中間炊飯量であると判定できる。つまり、炊飯器100では、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで、所定時間が経過するまでの温度分布が顕著に区別でき、その温度分布を正確に計測することで炊飯量の検知の精度を向上させているのである。したがって、炊飯器100によれば、炊飯の早い段階で炊飯量を検知できるので、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0039】
図6(a)、(b)から、最小炊飯量、最大炊飯量のとき、αとβの位置でほぼ同じような挙動、つまり温度変化を示し、時間経過とともに温度が上昇することがわかる。また、その温度勾配は、最小炊飯量のときは、最大炊飯量のときよりも大きくなる。一方、図6(c)から、炊飯量がそれ以外(たとえば中間炊飯量)のとき、αとβの位置ではそれぞれ異なる挙動を示し、αでの温度上昇よりもβでの温度上昇が早い傾向になることがわかる。そこで、制御装置9は、所定時間経過後の温度を計測し、その大小、つまり温度変化から炊飯量を判定するようになっている。
【0040】
図6(a)のような温度変化が計測された場合には最小炊飯量、図6(b)のような温度変化が計測された場合には最大炊飯量、図6(c)のような温度変化が計測された場合には中間炊飯量であると判定できる。つまり、炊飯器100では、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで、所定時間経過後の温度変化を顕著に大きくでき、その温度変化を正確に計測することで炊飯量の検知の精度を向上させているのである。したがって、炊飯器100によれば、炊飯の早い段階で炊飯量を検知できるので、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0041】
なお、図6では、温度が時間とともに直線的に上昇するような例を模式的に示したが、実際は、外部のノイズ、温度などの影響を受け、複雑な挙動を示す。また、炊飯量に応じた温度上昇パターンから、マハラノビス・タグチ(MT)法を用いて炊飯量を判定してもよい。MT法を用いることにより、より精度の高い検知を行うことができる。MT法とは、多変量の総合指標としてマハラノビスの距離を使って、診断、予測、監視などを行なう多変量解析手法の一つである。MT法を用いることによって、外部のノイズ、温度などの影響を受け、複雑な挙動を示した場合でも、炊飯の早い段階で炊飯量を検知することができ、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0042】
以上のように、炊飯器100によれば、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用し、所定時間経過後の釜2の側面の温度分布、及び/または、所定時間経過までの釜2の側面の温度変化から炊飯量を判定することができる。すなわち、炊飯器100では、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を迅速に加熱して、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで正しい炊飯量を判定し、炊飯量に合った制御を行うことにより、炊飯量の多少にかかわらずおいしいご飯を炊き上げることが可能になっている。そして、制御装置9は、炊飯量判定工程が終わると、炊飯工程を開始する。
【0043】
炊飯工程では、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御装置9は、炊飯用加熱手段である底内コイル5aにより釜2の加熱を開始し、釜2内の水の温度を赤外線温度センサー6によって検知しながら、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。米は、糊化が始まらない温度範囲のうち最も高い温度であって、さらにその温度が一定時間(例えば30分〜2時間)継続されることで吸水率が向上しやすい。開口部40及び穴部8を通して釜2から放射される赤外線を受光する赤外線温度センサー6は、より正確に釜2の壁面の温度を検出することができる。赤外線温度センサー6は、釜2の壁面の温度をほぼ正確に検出できるので、制御装置9は、釜2の温度が上がりすぎないよう、釜2の温度を米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整することができる。
【0044】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御装置9は、釜加熱装置5を動作させて釜2を急速に加熱し、釜2内の水を沸騰状態とする。釜2内の水が徐々に少なくなると、釜2の温度は100℃を超えて上昇し続ける。そして、赤外線温度センサー6が約130℃を検知すると、制御装置9は、釜2内の水がなくなったと判断し、釜加熱装置5による加熱を停止する。
【0045】
蒸らし工程では、釜2内にはほとんど水は残留しておらず、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、釜2内を、高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。この際、制御装置9は、内蓋温度センサー10で釜2の上部空間の温度を検知しながら、内蓋加熱装置11を動作させて、米に対して熱を与え続け、糊化の進展を促進させる。
【0046】
以上のように、本実施の形態の炊飯器100は、赤外線温度センサー6の温度検知範囲に開口部40及び穴部8を形成したので、赤外線温度センサー6がより正確に釜2の温度を検出することができる。よって、炊飯器100によれば、炊飯工程が始まる前の炊飯量判定工程において、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cにより、釜2の側面を迅速に加熱して、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用して利用し、正確に温度検知することにより、炊飯の初期工程で正しい炊飯量を判定することができる。したがって、炊飯器100では、炊飯量に合った制御を行うことができ、炊飯量の多少にかかわらずおいしいご飯を炊き上げることが可能になっている。
【0047】
なお、炊飯量検知用加熱手段として使用した側面加熱ヒーター5cは、炊飯量判定工程に限らず、炊飯工程や炊飯後の保温時にも使用することが可能である。これにより、複数箇所を同時に加熱することが可能となり、炊飯時や保温時の温度ムラを抑えることが可能となり、炊きムラのないおいしいご飯を炊き上げることができる。また、炊飯量判定工程において、釜2を加熱したことにより上昇した水温の情報を制御装置9に取り込むことにより、さらに精度の高い炊飯量判定が可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 炊飯器本体、1a 釜収納部、1b 上枠、1c コイルベース、1f 外殻、1k 開口部、2 釜、2b 開口部、3 蓋本体、4 内蓋、4a 蒸気口、5 釜加熱装置、5a 底内コイル、5b 底外コイル、5c 側面加熱ヒーター、6 赤外線温度センサー、8 穴部、9 制御装置、10 内蓋温度センサー、11 内蓋加熱装置、12 回動バネ、13 内蓋パッキン、14 蒸気筒、17 溝、18 表示装置、19 操作ボタン、20 ハンドル、21 ヒンジカバー、40 開口部、45 ヒンジ軸、100 炊飯器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセンサーを水位に対応して配置し、炊飯量判定、炊飯制御を行うようにした炊飯器が存在している。そのようなものとして、「炊飯器本体1と、内釜2と、加熱手段としてのコイル5と、内釜2の底面に接触して内釜の底面温度を測定する第1の温度検出器となる底センサ13と、内釜2の側面に接触して内釜2の側面温度を検出する第2温度検出器としての側面センサ25、及び第3温度検出器としての側面センサ26とを備えている。各センサの検出信号を制御部22に伝達させ、各検出情報に基づいて、内釜2に入れられた水と米からなる炊飯量を検出する。この炊飯量検出手段の検出結果より制御部22は加熱コイル5を制御するようになっている。」という技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−23851号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器では、内釜の側面温度の上昇が遅く、炊飯量を判定するまでに時間を要してしまっていた。そのため、特許文献1に記載の炊飯器では、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた制御に対しての更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、炊飯の初期工程で迅速かつ正確に炊飯量を判定し、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることができる炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、釜と、前記釜を収納する釜収納部を備えた炊飯器本体と、前記炊飯器本体に設けられ、前記釜を加熱する炊飯用加熱手段と、前記釜の側面の一部に対向するように設けられ、前記釜を加熱する炊飯量検知用加熱手段と、前記釜の最大炊飯量に相当する第1の水位と前記釜の最小炊飯量に相当する第2の水位との間の側面の一部に対向するように前記炊飯器本体に設けられ、前記釜の前記第1の水位と前記第2の水位との間から放射された赤外線を受光し、該赤外線に基づいて温度を検出する赤外線温度センサーと、前記炊飯用加熱手段及び炊飯量検知用加熱手段を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて前記釜内の炊飯量を判定するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、炊飯量検知用加熱手段により釜の側面を加熱し、釜の側面を加熱しているときに赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて釜内の炊飯量を判定するので、迅速かつ正確に炊飯量を判定することが可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の構成を概略的に示す側面断面模式図である。
【図2】本実施の形態に係る炊飯器の要部断面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る炊飯器の赤外線温度センサーの温度検知範囲を模式的に示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係る炊飯器の釜内における炊飯量の違いによる赤外線温度センサーの温度検知を説明するための模式図である。
【図5】本実施の形態に係る炊飯器の釜内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過後の釜の側面の温度分布を模式的に示す模式図である。
【図6】本実施の形態に係る炊飯器の釜内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過するまでの釜の側面の温度変化を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る炊飯器100の構成を概略的に示す側面断面模式図である。図1に基づいて、炊飯器100の構成について説明する。この炊飯器100は、被加熱物(米や水等)を入れた釜2を釜加熱装置5で加熱することで被加熱物を炊きあげるものである。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る炊飯器100は、内部に釜収納部1aが形成された炊飯器本体1と、上面に開口部2bを有し、釜収納部1aに収納され、誘導加熱により発熱する磁性体の金属を含む有底円筒形状の釜2と、炊飯器本体1の上面に設けられた開口部1kを開閉可能に覆う蓋本体3と、蓋本体3の内側(釜2の開口部2bを覆う側)に着脱自在に取り付けられて、釜2の開口部2bを密閉可能な略円盤状の内蓋4と、釜2を外面から誘導加熱する釜加熱装置5と、を有している。
【0012】
炊飯器本体1の釜収納部1aは、炊飯器本体1の開口部1kの内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、釜2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。よって、炊飯器本体1は、釜収納部1aを構成している上枠1b及びコイルベース1cと、外殻1fと、を備えていることになる。
【0013】
コイルベース1cの外周面には、釜加熱装置5の一部を構成する炊飯用加熱手段としての底内コイル5aと、底外コイル5bと、炊飯量検知用加熱手段としての側面加熱ヒーター5cと、が取り付けられている。底内コイル5aは、コイルベース1cを介して釜2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、釜2の底部を加熱する。底外コイル5bは、コイルベース1cを介して釜2の底部のコーナー部に対向するように配置されており、釜2のコーナー部を加熱する。側面加熱ヒーター5cは、コイルベース1cを介して釜2の側面の最大炊飯量に相当する水位(第1の水位)と最小炊飯量に相当する水位(第2の水位)のほぼ中間付近に対向するように配置されており、釜2の側面を加熱する。
【0014】
炊飯器本体1の内部には、赤外線温度センサー6と、各部及び各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御装置9と、が設けられている。赤外線温度センサー6は、側面加熱ヒーター5c(炊飯量検知用加熱手段)に対向するように配置されている。制御装置9は、制御基板に実装されたマイクロコンピューター及び制御回路を備え、炊飯器100を構成する各部の駆動制御を行うものである。つまり、制御装置9は、内蓋温度センサー10及び赤外線温度センサー6の検知情報と、操作ボタン19への入力に基づいて、予め内蔵されたプログラムにより釜加熱装置5と内蓋加熱装置11の動作、停止制御を行うようになっている。
【0015】
蓋本体3は、ヒンジ軸45を介して炊飯器本体1に取り付けられており、開口部1kを開閉自在である。この蓋本体3には、蓋温度検知装置の一例である内蓋温度センサー10と、内蓋加熱コイルからなる内蓋加熱装置11と、ヒンジ軸45と、蒸気筒14と、が設けられている。
【0016】
内蓋温度センサー10は、たとえばサーミスタからなり、内蓋4の温度を検出して制御装置9に出力するものである。内蓋加熱装置11は、蓋本体3内に設置され、制御装置9の制御により、内蓋4を誘導加熱するものである。ヒンジ軸45は蓋本体3の開閉軸であり、ヒンジ軸45の両端部は、炊飯器本体1の上枠1bに回動自在に取り付けられている。また、蓋本体3は、ヒンジ軸45の近傍に設けられた回動バネ12により、開成方向に付勢されている。蒸気筒14は、蓋本体3に着脱自在に取り付けられており、内蓋4の蒸気口4aから出てきた釜2内の蒸気を炊飯器100の外部に放出するものである。
【0017】
内蓋4の一部は、内蓋加熱装置11による誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されている。また、内蓋4には、釜2内の蒸気を釜2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4a(たとえば、開口面積が0.5cm2 )を設けている。内蓋4の外周部の釜2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるとき、釜2と密接する略環状の内蓋パッキン13が取り付けられている。内蓋パッキン13は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0018】
炊飯器本体1の上面のヒンジ軸45近傍には溝17が設けられている。外気温が非常に低い場合などでは、炊飯が終了した後で蓋本体3を開けた際に、内蓋4の釜2側に付着した水滴が落下する場合があるが、溝17は、この水滴が落下する範囲に設けられており、水滴を受ける機能を有する。
【0019】
蓋本体3には、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を表示する表示装置18と、炊飯の開始、取り消し、予約などを実行するための操作ボタン19が搭載されている。操作ボタン19に対して操作が行われると、制御装置9に内蔵された炊飯プログラムが実行され、釜加熱装置5、内蓋加熱装置11を、炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施する。
【0020】
炊飯器本体1には、炊飯器を運搬するためのハンドル20が設けられている。ハンドル20は、炊飯器本体1の側面上部の略前後中央に軸支されており、ハンドル20の回転方向は、蓋本体3の回動方向と略同一である。運搬時には、ハンドル20を回転させて、ハンドル20がハンドル20の軸支点(図示せず)のほぼ直上に位置するようにハンドル20を持ち上げ、使用者はハンドル20のみを持って炊飯器100を運搬することが可能となる。
【0021】
また、ハンドル20を、炊飯器本体1が置かれている床面と略水平方向で支持するヒンジカバー21が設けられており、炊飯器100を運搬しない場合には、ヒンジカバー21の上にハンドル20を載置することで蓋本体3の開閉の邪魔にならないようになっている。ヒンジカバー21は、炊飯器本体1の後部に取り付けられており、蓋本体3の回動支点となるヒンジ軸45を炊飯器外から隠して、水滴や異物がヒンジに付着しないようにするとともに、ハンドル20がそれ以上下方に回転しないように支持する役割も果たしている。
【0022】
なお、図示は省略しているが、炊飯器本体1の前壁上部(図1の紙面左側上部)には、蓋本体3のフックに係合可能なフックが設けられているものとする。炊飯器本体1の前壁上部に設けられているフックとコイルベース1cとの間にはバネが設けられ、炊飯器本体1の前壁上部に設けられているフックは、そのバネにより前方(図1の紙面左側)に付勢されている。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る炊飯器100の要部断面模式図であり、赤外線温度センサー6の近傍を示している。図3は、本実施の形態に係る炊飯器100の赤外線温度センサー6の温度検知範囲を模式的に示す模式図である。図2及び図3に基づいて、赤外線温度センサー6の温度検知について説明する。
【0024】
図2において、赤外線温度センサー6は、釜2から放射される赤外線を受光する受光素子を有している。赤外線温度センサー6は、最大炊飯量に相当する水位(後述する図4に示す線(ア))と最小炊飯量に相当する水位(後述する図4に示す線(イ))との間の側面の一部に対向するように設けられ、これらの水位に挟まれた範囲から放射された赤外線を受光するようになっている。赤外線温度センサー6の受光素子が赤外線を検知する範囲である視野角は、図中太線の内側の角度Bで示す範囲内である。赤外線温度センサー6は、受光素子が受光した赤外線量に応じた温度情報を出力する。たとえば、赤外線温度センサー6は、受光素子を複数設けたり、受光素子を可動させたりすることで、角度Bで示す範囲を温度検知範囲としている。
【0025】
また、コイルベース1cの壁部の一部には、開口部40が開口形成されている。開口部40は、釜2から放射される赤外線を赤外線温度センサー6が受光するために設けられたものであり、コイルベース1cの壁部のうち釜2の温度を反映する部位、つまり受光範囲となる部位に設けられている。本実施の形態では、釜収納部1aに釜2が収納されたときに赤外線温度センサー6と対向する位置に開口部40が設けられている。
【0026】
炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cは、コイルベース1cに固定されている。また、側面加熱ヒーター5cには、図3に示すように赤外線温度センサー6の温度検知範囲に含まれないように穴部8が形成されており、赤外線温度センサー6で釜2の温度が検出できるように構成されている。この穴部8は、コイルベース1cの壁部のうち釜2の温度を反映する部位に形成された開口部40に対向する位置に設けられている。図3では、穴部8の形状を円形状とした状態を例に示したが、これに限定するものではなく、赤外線温度センサー6の温度検知範囲の形状に合わせたものであれば、円形状でなくても、たとえば矩形状であってもよい。
【0027】
また、図2では、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの外側に固定させた場合を例に示したが、側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの内側に固定してもよい。側面加熱ヒーター5cをコイルベース1cの内側に固定することにより、釜2の温度上昇が早くなり、炊飯量を判定するまでの時間を短縮することができる。
【0028】
さらに、図2では、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cと赤外線温度センサー6とを対向配置させた場合を例に示したが、側面加熱ヒーター5cと赤外線温度センサー6とを対向配置させなくてもよい。つまり、赤外線温度センサー6の受光範囲を加熱できる位置に側面加熱ヒーター5cが設置されていればよいのである。この場合、側面加熱ヒーター5cに穴部8を形成しなくてもよい。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0030】
まず、使用者が、釜2内に所定の米と水をセットし、表示装置18に表示された炊飯メニューを操作ボタン19で選択し、炊飯開始ボタンを押下することで、炊飯量判定工程が開始され、炊飯量判定後、炊飯工程が開始される。ここで、炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、釜2を釜加熱装置5により一気に加熱し、釜2内の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、釜2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程において米の糊化を進めて炊飯する。
【0031】
制御装置9は、赤外線温度センサー6で検知された釜2の温度から炊飯量(米と水の量)を判定し、赤外線温度センサー6で検知された釜2の温度及び炊飯量に応じて最適に釜加熱装置5を制御し、予め決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。炊飯プログラムは、米の種類などによって複数のコースが準備されている。そして、蒸らし工程が終了すると、自動的に保温工程へと移行して炊き上がったご飯の温度が低下しないようにし、使用者がいつでも温かいご飯を食べられるようになっている。
【0032】
次に、炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
図4は、釜2内における炊飯量の違いによる赤外線温度センサー6の温度検知を説明するための模式図である。図5は、釜2内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過後(たとえば5分経過後)の釜2の側面の温度分布を模式的に示す模式図である。図6は、釜2内の炊飯量を相違させた状態のそれぞれの所定時間経過(たとえば5分経過)するまでの釜2の側面の温度変化を模式的に示す模式図である。図4〜図6では、(a)が最小炊飯量を、(b)が最大炊飯量を、(c)がそれ以外(たとえば中間炊飯量)を、それぞれ示している。また、赤外線温度センサー6の検知範囲をαとβで表している(αが下方、βが上方)。なお、図5及び図6に示す内容はデータとして不揮発性メモリーなどの記憶手段に格納しておくとよい。
【0033】
炊飯開始が指示されると、まず炊飯量判定工程が始まる。制御装置9は、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cにより釜2を加熱し、赤外線温度センサー6によって釜2の温度を検知する。つまり、制御装置9は、炊飯工程が始まる前の炊飯量判定工程において、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面、赤外線温度センサー6の温度検知範囲に相当する部分における側面を加熱する。
【0034】
赤外線温度センサー6は、最大炊飯量に相当する水位(図4に示す線(ア))と最小炊飯量に相当する水位(図4に示す線(イ))との中間の位置(図4に示す線(ウ))の延長線上に配置されている。したがって、最小炊飯量のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物(米及び水)がない状態である。最大炊飯量のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物がある状態である。それ以外のときは、赤外線温度センサー6の温度検知範囲には、被加熱物がない状態と被加熱物がある状態とが混在する状態である。
【0035】
すなわち、炊飯器100では、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を加熱することにより、釜2の側面を加熱しているときに赤外線温度センサー6から得られる検出温度に基づいて炊飯量の判定を行っている。炊飯器100は、赤外線温度センサー6の受光範囲の全部に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲の全部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲の一部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用して釜2内の炊飯量を判定するものである。換言すれば、赤外線温度センサー6の受光範囲と被加熱物の上面(つまり水面)との位置関係によって得られる検出温度が異なることを利用して釜2内の炊飯量を判定するものである。
【0036】
よって、炊飯器100によれば、被加熱物が受光範囲にあるかどうかによって少なくとも最大炊飯量と最小炊飯量と中間炊飯量とを区別することが可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯に炊き上げることが可能となる。
【0037】
図5(a)、(b)から、最小炊飯量、最大炊飯量のとき、α〜βの検知範囲での温度分布はほぼ一定になることがわかる(図5(a)に示すT1、図5(b)に示すT2)。また、その温度レベルは、最小炊飯量>最大炊飯量となる(T1>T2)。一方、図5(c)から、炊飯量がそれ以外(たとえば、中間炊飯量)のとき、温度分布は非一様となり、被加熱物のあるα側が低く、被加熱物のないβ側が高い温度分布になることがわかる。そこで、制御装置9は、所定時間が経過するまでの温度分布を計測し、その温度分布から炊飯量を判定するようになっている。なお、赤外線温度センサー6の受光素子を上下方向に複数備えることによっても温度分布を計測することができる。この場合、制御装置9は、所定時間が経過するまでの温度分布を計測するのではなく、複数の受光素子から得られる検出温度から温度分布を計測すればよい。
【0038】
図5(a)のような温度分布が計測された場合には最小炊飯量、図5(b)のような温度分布が計測された場合には最大炊飯量、図5(c)のような温度分布が計測された場合には中間炊飯量であると判定できる。つまり、炊飯器100では、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで、所定時間が経過するまでの温度分布が顕著に区別でき、その温度分布を正確に計測することで炊飯量の検知の精度を向上させているのである。したがって、炊飯器100によれば、炊飯の早い段階で炊飯量を検知できるので、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0039】
図6(a)、(b)から、最小炊飯量、最大炊飯量のとき、αとβの位置でほぼ同じような挙動、つまり温度変化を示し、時間経過とともに温度が上昇することがわかる。また、その温度勾配は、最小炊飯量のときは、最大炊飯量のときよりも大きくなる。一方、図6(c)から、炊飯量がそれ以外(たとえば中間炊飯量)のとき、αとβの位置ではそれぞれ異なる挙動を示し、αでの温度上昇よりもβでの温度上昇が早い傾向になることがわかる。そこで、制御装置9は、所定時間経過後の温度を計測し、その大小、つまり温度変化から炊飯量を判定するようになっている。
【0040】
図6(a)のような温度変化が計測された場合には最小炊飯量、図6(b)のような温度変化が計測された場合には最大炊飯量、図6(c)のような温度変化が計測された場合には中間炊飯量であると判定できる。つまり、炊飯器100では、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで、所定時間経過後の温度変化を顕著に大きくでき、その温度変化を正確に計測することで炊飯量の検知の精度を向上させているのである。したがって、炊飯器100によれば、炊飯の早い段階で炊飯量を検知できるので、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0041】
なお、図6では、温度が時間とともに直線的に上昇するような例を模式的に示したが、実際は、外部のノイズ、温度などの影響を受け、複雑な挙動を示す。また、炊飯量に応じた温度上昇パターンから、マハラノビス・タグチ(MT)法を用いて炊飯量を判定してもよい。MT法を用いることにより、より精度の高い検知を行うことができる。MT法とは、多変量の総合指標としてマハラノビスの距離を使って、診断、予測、監視などを行なう多変量解析手法の一つである。MT法を用いることによって、外部のノイズ、温度などの影響を受け、複雑な挙動を示した場合でも、炊飯の早い段階で炊飯量を検知することができ、炊飯の初期工程から炊飯量に応じた加熱制御が可能となり、炊飯量の多少にかかわらず、おいしいご飯を炊き上げることができる。
【0042】
以上のように、炊飯器100によれば、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用し、所定時間経過後の釜2の側面の温度分布、及び/または、所定時間経過までの釜2の側面の温度変化から炊飯量を判定することができる。すなわち、炊飯器100では、側面加熱ヒーター5cにより釜2の側面を迅速に加熱して、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用することで正しい炊飯量を判定し、炊飯量に合った制御を行うことにより、炊飯量の多少にかかわらずおいしいご飯を炊き上げることが可能になっている。そして、制御装置9は、炊飯量判定工程が終わると、炊飯工程を開始する。
【0043】
炊飯工程では、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御装置9は、炊飯用加熱手段である底内コイル5aにより釜2の加熱を開始し、釜2内の水の温度を赤外線温度センサー6によって検知しながら、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。米は、糊化が始まらない温度範囲のうち最も高い温度であって、さらにその温度が一定時間(例えば30分〜2時間)継続されることで吸水率が向上しやすい。開口部40及び穴部8を通して釜2から放射される赤外線を受光する赤外線温度センサー6は、より正確に釜2の壁面の温度を検出することができる。赤外線温度センサー6は、釜2の壁面の温度をほぼ正確に検出できるので、制御装置9は、釜2の温度が上がりすぎないよう、釜2の温度を米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整することができる。
【0044】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御装置9は、釜加熱装置5を動作させて釜2を急速に加熱し、釜2内の水を沸騰状態とする。釜2内の水が徐々に少なくなると、釜2の温度は100℃を超えて上昇し続ける。そして、赤外線温度センサー6が約130℃を検知すると、制御装置9は、釜2内の水がなくなったと判断し、釜加熱装置5による加熱を停止する。
【0045】
蒸らし工程では、釜2内にはほとんど水は残留しておらず、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、釜2内を、高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。この際、制御装置9は、内蓋温度センサー10で釜2の上部空間の温度を検知しながら、内蓋加熱装置11を動作させて、米に対して熱を与え続け、糊化の進展を促進させる。
【0046】
以上のように、本実施の形態の炊飯器100は、赤外線温度センサー6の温度検知範囲に開口部40及び穴部8を形成したので、赤外線温度センサー6がより正確に釜2の温度を検出することができる。よって、炊飯器100によれば、炊飯工程が始まる前の炊飯量判定工程において、炊飯量検知用加熱手段である側面加熱ヒーター5cにより、釜2の側面を迅速に加熱して、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、赤外線温度センサー6の受光範囲に被加熱物があるときに得られる検出温度と、の違いを利用して利用し、正確に温度検知することにより、炊飯の初期工程で正しい炊飯量を判定することができる。したがって、炊飯器100では、炊飯量に合った制御を行うことができ、炊飯量の多少にかかわらずおいしいご飯を炊き上げることが可能になっている。
【0047】
なお、炊飯量検知用加熱手段として使用した側面加熱ヒーター5cは、炊飯量判定工程に限らず、炊飯工程や炊飯後の保温時にも使用することが可能である。これにより、複数箇所を同時に加熱することが可能となり、炊飯時や保温時の温度ムラを抑えることが可能となり、炊きムラのないおいしいご飯を炊き上げることができる。また、炊飯量判定工程において、釜2を加熱したことにより上昇した水温の情報を制御装置9に取り込むことにより、さらに精度の高い炊飯量判定が可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 炊飯器本体、1a 釜収納部、1b 上枠、1c コイルベース、1f 外殻、1k 開口部、2 釜、2b 開口部、3 蓋本体、4 内蓋、4a 蒸気口、5 釜加熱装置、5a 底内コイル、5b 底外コイル、5c 側面加熱ヒーター、6 赤外線温度センサー、8 穴部、9 制御装置、10 内蓋温度センサー、11 内蓋加熱装置、12 回動バネ、13 内蓋パッキン、14 蒸気筒、17 溝、18 表示装置、19 操作ボタン、20 ハンドル、21 ヒンジカバー、40 開口部、45 ヒンジ軸、100 炊飯器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釜と、
前記釜を収納する釜収納部を備えた炊飯器本体と、
前記炊飯器本体に設けられ、前記釜を加熱する炊飯用加熱手段と、
前記釜の側面の一部に対向するように設けられ、前記釜を加熱する炊飯量検知用加熱手段と、
前記釜の最大炊飯量に相当する第1の水位と前記釜の最小炊飯量に相当する第2の水位との間の側面の一部に対向するように前記炊飯器本体に設けられ、前記釜の前記第1の水位と前記第2の水位との間から放射された赤外線を受光し、該赤外線に基づいて温度を検出する赤外線温度センサーと、
前記炊飯用加熱手段及び炊飯量検知用加熱手段を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記赤外線温度センサーの対向位置に前記炊飯量検知用加熱手段を設け、
前記赤外線温度センサーの受光範囲となる部分における前記釜収納部の壁面に開口部を設け、
前記開口部に対向する位置における前記炊飯量検知用加熱手段に穴部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲の全部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲の一部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、
の違いに基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記赤外線温度センサーから得られる検出温度から計測した温度分布に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段による前記釜の側面の加熱開始から所定時間経過した後に前記赤外線温度センサーから得られる検出温度の変化に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記炊飯量検知用加熱手段は、
前記釜の最大炊飯量に相当する前記第1の水位と、前記釜の最小炊飯量に相当する前記第2の水位と、の中間位置を含めたその近傍を加熱する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記赤外線温度センサーの対向位置から離れた位置に前記炊飯量検知用加熱手段を設け、
前記赤外線温度センサーの受光範囲となる部分における前記釜収納部の壁面に開口部を設けた
ことを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記制御装置は、
炊飯工程に入る前に前記釜内の炊飯量の判定を行う
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記炊飯量検知用加熱手段は、
炊飯時又は保温時にも使用される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項1】
釜と、
前記釜を収納する釜収納部を備えた炊飯器本体と、
前記炊飯器本体に設けられ、前記釜を加熱する炊飯用加熱手段と、
前記釜の側面の一部に対向するように設けられ、前記釜を加熱する炊飯量検知用加熱手段と、
前記釜の最大炊飯量に相当する第1の水位と前記釜の最小炊飯量に相当する第2の水位との間の側面の一部に対向するように前記炊飯器本体に設けられ、前記釜の前記第1の水位と前記第2の水位との間から放射された赤外線を受光し、該赤外線に基づいて温度を検出する赤外線温度センサーと、
前記炊飯用加熱手段及び炊飯量検知用加熱手段を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーから得られる検出温度に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記赤外線温度センサーの対向位置に前記炊飯量検知用加熱手段を設け、
前記赤外線温度センサーの受光範囲となる部分における前記釜収納部の壁面に開口部を設け、
前記開口部に対向する位置における前記炊飯量検知用加熱手段に穴部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲に被加熱物がないときに得られる検出温度と、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲の全部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、
前記炊飯量検知用加熱手段により前記釜の側面を加熱し、前記釜の側面を加熱しているときに前記赤外線温度センサーの受光範囲の一部に被加熱物があるときに得られる検出温度と、
の違いに基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記赤外線温度センサーから得られる検出温度から計測した温度分布に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記炊飯量検知用加熱手段による前記釜の側面の加熱開始から所定時間経過した後に前記赤外線温度センサーから得られる検出温度の変化に基づいて前記釜内の炊飯量を判定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記炊飯量検知用加熱手段は、
前記釜の最大炊飯量に相当する前記第1の水位と、前記釜の最小炊飯量に相当する前記第2の水位と、の中間位置を含めたその近傍を加熱する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記赤外線温度センサーの対向位置から離れた位置に前記炊飯量検知用加熱手段を設け、
前記赤外線温度センサーの受光範囲となる部分における前記釜収納部の壁面に開口部を設けた
ことを特徴とする請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記制御装置は、
炊飯工程に入る前に前記釜内の炊飯量の判定を行う
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記炊飯量検知用加熱手段は、
炊飯時又は保温時にも使用される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−81590(P2013−81590A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222833(P2011−222833)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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