説明

炊飯補助具

【課題】炊飯器で炊くご飯のおいしさを一層増大するように改良した炊飯補助具を提供する。
【解決手段】容器本体1aと蓋1bとからなり、容器本体1aの少なくとも底部と蓋1bとに多数の小孔2を貫通するように設けた炊飯補助具1である。容器本体1aの底部を内側に窪んだ凹形状にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯補助具に関し、さらに詳しくは、炊飯器で炊くご飯のおいしさを一層増大するように改良した炊飯補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おいしいご飯の炊き方は多くの人が挑戦してきた課題であり、多数の方法が提案されている。これらの多数の方法のうち、特に図5に示す炊飯補助具を利用する炊飯方法は、新聞などで紹介されてから注目され、多くの利用者が増えている(非特許文献1、2等)。
【0003】
この図5に示す炊飯補助具11はセミックス(磁器)製で、底部が半球状に外側に突出した容器本体11aと蓋11bとからなり、その容器本体11aの底部および蓋11bにそれぞれ多数の小孔12が設けられている。洗米した米を入れて水を張った炊飯器10の上部に、この炊飯補助具11を載せて炊飯を行うと、炊飯器10の内部に発生した水蒸気が容器本体11aの底部の小孔12から内部に侵入し、高圧の飽和水蒸気になって蓋11bの小孔12から上部空間に噴出して、再び米飯内に侵入する動作を繰り返すため、炊きあがったご飯に所謂カニ穴ができ米粒が立ち、おねばが出てモチモチになり、旨味、甘味が増大したおいしいご飯が出来るというものである。
【0004】
上記炊飯補助具によるご飯の旨味増加の効果は多くの利用者が評価しているところであるが、本発明者は、更にこの炊飯補助具によるおいしい旨味を増大させる改良を検討した結果、以下に説明するように、カニ穴の発生や米粒の立ち上がりを一層増加させて、ご飯のおいしい旨味を更に増加させる炊飯補助具を発明するに至った。
【非特許文献1】日本経済新聞(九州版)、2005年1月25日発行
【非特許文献2】読売新聞(長崎版)、2005年3月9日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、炊飯器に炊飯補助具を入れて炊くご飯のおいしさを一層増大するように改良した炊飯補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明による炊飯補助具は、容器本体と蓋とからなり、該容器本体の少なくとも底部と前記蓋とに多数の小孔を設けた炊飯補助具において、前記容器本体の底部を内側に窪んだ凹形状にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯補助具によれば、容器本体の底部を内側に窪んだ凹形状にしたので、容器本体の底部が外側に突出した従来の炊飯補助具に比べて、炊飯器内に発生する蒸気を大量に容器本体の底部に効率よく取り込んで集めることができる。その結果、この大量の水蒸気が加熱加圧されて炊飯容器内を繰り返し循環して、カニ穴の発生や米粒の立ち上がりを一層増加するため、更に旨味、甘味、おねばが出て、モチモチの食感を増大したご飯を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図に示す本発明の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態からなる炊飯補助具を示す。炊飯補助具1は、セラミックス製の容器本体1aと、この容器本体1aの開口部を開閉するセラミックス製の蓋1bとから構成されている。容器本体1aの底部は内側に半球状に窪んでおり、また蓋1bは外側に半球状に突出している。この容器本体1aの凹形状の底部と凸形状の蓋1bとにそれぞれ多数の小孔2が貫通するように設けられている。
【0009】
小孔2の断面形状は、内側から外側に径が縮小するようにすることが好ましく、最も小さくなった部分で米粒が入り込まない程度の大きさにする。具体的には、1〜3mm程度にするとよい。また、容器本体1aの底部は外側に突出しないように、図示のように内側に窪んだ形状にする。その深さDとしては、1〜30mm、好ましくは2〜30mm程度にするとよい。深さDを1mm以上にすることにより、ご飯のおいしい旨味を一層顕著にすることができる。しかし、30mmよりも深くなりすぎると、容器本体1aの内部容積が小さくなるため、本発明による効果が低減する。
【0010】
図3は、上記炊飯補助具を使用する炊飯方法を例示したものである。
洗米した米を入れて水を張った炊飯器10の中央部に上記炊飯補助具1を載せ、次いで炊飯器10に蓋をしたのちガスコンロ20の上に懸ける。ガスコンロ20の加熱により内部の水が沸騰すると、水蒸気が炊飯補助具1の容器本体1aの底部の窪んだ部分に効率よく大量に集められ、小孔2から炊飯補助具1の内部に侵入する。この炊飯補助具1内で水蒸気は加熱され、効率よく高圧の飽和水蒸気になって蓋1bの小孔2から上部空間に噴出したのち炊飯器内の周辺部から米飯内に循環するように侵入し、再び容器本体1aの底部の窪みに入り、以後これを繰り返す。
【0011】
上記のように大量の飽和水蒸気の循環が効率よく行われるため、泡立ちが炊飯器の中央部だけでなく外周部にも一段と激しく発生し、多数のカニ穴が発生すると共に、多数の米粒が立った状態になり、お米の澱粉の糊化が効率よく促進される。したがって、炊きあがったご飯は旨味や甘味を増大しておいしいご飯になる。また、炊飯補助具がセラミックス製である場合は、加熱により遠赤外線を放射するため、玄米のように外皮が硬い米であっても、柔らかい旨味の増したおいしいご飯に炊き上げることができる。
【0012】
本発明において、炊飯補助具の構成材料は、セラミックス(磁器)が好ましいが、金属製やガラス製であってもよい。図2は金属で構成された炊飯補助具1を例示したものである。図1と同様に、容器本体1aと蓋1bから構成され、かつ容器本体1aの底部が内側に半球状に窪み、この容器本体1aの凹形状の底部と蓋1bとにそれぞれ多数の小孔2が設けられている。
【0013】
炊飯補助具1が金属製やガラス製である場合には、図2に示すように、必要により内側にセラミックス製の成形体3を入れるとよい。セラミックス製の成形体3を入れることにより、セラミックスから放射する遠赤外線を利用して、外皮の硬い玄米などでも柔らかく炊くことができる。セラミックス製の成形体3としては、図示の例のような多数のボール体にするほか、多数の穴を設けた板状体にしたり、或いはリング体にしたりすることができる。容器本体1aと蓋1bを金属で構成する場合の金属材料としては、ステンレスなどの鋼が好ましいが、熱伝導性が高い銅や真鍮なども好ましく使用することができる。小孔2の大きさや容器本体1aの底部の深さDは、上述したセラミックス製の場合と同じでよい。
【0014】
本発明において、容器本体1aの小孔2は、少なくとも底部に対して設ける必要があるが、底部以外に側壁に設けるようにしてもよい。
【0015】
炊飯補助具1の蓋1bには、容器本体1aの開口部に嵌合するときの位置決めのため位置決めフランジ4が設けられている。図1や図2に示す実施形態では、この位置決めフランジ4が1周にわたり連続して環状に設けられているが、これを図4に示すように、円周方向の途中に隙間を設けて間欠的な配置にしてもよい。このように位置決めフランジ4を間欠配置した蓋1bを、別の調理補助手段として鍋底や釜底に伏せるように配置し、食材の煮炊きや揚げ物を行うと、蓋1bと鍋底又は釜底との間に隙間が開口状態になっているため、煮炊きの場合は隙間内で沸騰した水蒸気が、また揚げ物の場合は油が蓋1b内を通して噴出することによりエネルギー利用率を向上し、さらに煮炊きむら、煮崩れ、揚げ物の酸化などを防止することができる。
【0016】
本発明の炊飯補助具を利用するときに使用するときの炊飯器は、特に限定されるものではない。鍋および釜のいずれであってもよく、また、金属製、陶磁器製、ガラス製のいずれであってもよい。また、ガス炊飯器、電気炊飯器のいずれでもよい。
【実施例】
【0017】
玄米3合を炊飯するにあたり、図1に示すように容器本体の底部を内側に窪ませた炊飯補助具を使用した場合(実施例)と、図5に示すように容器本体の底部を外側に凸状にした炊飯補助具を使用した場合(比較例)とについて、同一の水量と加熱条件で炊飯を行った。
【0018】
両者の炊きあがり後の炊飯補助具の状態を見ると、実施例の方は比較例に比べて炊飯補助具がご飯の中へ深く埋没した状態になっており、これから炊飯中の泡立ちや対流が比較例よりも激しいことがわかる。また、それぞれカニ穴の発生数と米粒の立ち具合とを観察したところ、カニ穴の発生数は、実施例は比較例の約2倍も多かった。また、米粒の立ち具合は、実施例の方がはるかに直立状になっていた。両者のご飯を5人のパネラーに試食してもらったところ、5人とも、実施例のご飯の方が比較例に比べておいしい旨味が向上しているとの判定を得た。
【0019】
また、両方のご飯について、それぞれ米粒を半分に割って断面を観察すると、比較例の米粒は芯部に1〜2mmほどの透明感があったが、実施例のご飯の米粒には透明感が全く存在していなかった。炊飯補助具を使用せずに炊飯したご飯では、芯部の透明感が更に大きくあらわれており、これがボソボソ感になっているので、このことから、実施例のご飯が比較例に比べておいしい旨味が向上しているのは、この透明感の有無が関係しているものと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の炊飯補助具の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の炊飯補助具の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の炊飯補助具を使用する炊飯例を示す説明図である。
【図4】(A),(B)は本発明の炊飯補助具を構成する蓋を例示し、それぞれ(A)は側面図、(B)は底面図である。
【図5】従来の炊飯補助具を使用する炊飯例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 炊飯補助具
1a 容器本体
1b 蓋
2 小孔
10 炊飯器
20 ガスコンロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋とからなり、該容器本体の少なくとも底部と前記蓋とに多数の小孔を設けた炊飯補助具において、前記容器本体の底部を内側に窪んだ凹形状にした炊飯補助具。
【請求項2】
前記凹状に窪ませた形状を半球状にした請求項1に記載の炊飯補助具。
【請求項3】
前記容器本体と蓋がセラミックスからなる請求項1又は2に記載の炊飯補助具。
【請求項4】
前記容器本体と蓋が金属又はガラスからなり、内側にセラミックスの成形物を収納した請求項1又は2に記載の炊飯補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−289288(P2007−289288A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118414(P2006−118414)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(397025635)
【Fターム(参考)】