説明

炎症および神経障害性疼痛を処置するための、ニトロン化合物、同化合物を含有する薬学的化合物ならびに方法

ニトロン化合物およびこのような化合物を含有する薬学的組成物が開示される。このニトロン化合物は、ニトロン官能基とニトロンアリール環との間を結合する1つ〜6つの付加的な炭素を有する。この開示される組成物は、関節炎のような哺乳類における炎症に関与する状態および無痛覚症、ならびに外傷性の脳創傷および急性脊髄傷害のような神経障害性疼痛および外傷のための治療剤として有用である。本発明は、記載される処置のためのこの化合物および組成物の使用、そして適切な場合、そのような処置のための薬学的組成物の調製のための化合物の使用に及ぶ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、ニトロン化合物ならびにヒトを含む哺乳類における炎症に関与する状態および神経障害性疼痛の処置のための治療剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(技術水準)
関節炎および関連する炎症疾患状態は、100種を超える異なる形態で生じ、これらとしては、関節リウマチ(RA)、変形性関節炎(OA)、強直性脊椎炎および全身性エリテマトーデス(SLE)が挙げられる。関節炎のほとんどの形態が、いくつかの型の慢性的な炎症型により特徴付けられる。例えば、RAは、代表的に、関節および/または内部器官の内層の慢性的炎症が伴う。このような慢性的な炎症は、通常、それら患部の関節において疼痛および腫脹を引き起こし、結果として、軟骨、骨、腱、靭帯などに損傷を与え得、最終的には変形および身体障害を導く。
【0003】
神経障害性疼痛は、広く研究されている慢性的な疼痛に分類される。神経障害性疼痛は、末梢系の損傷の後に末梢神経および/または中枢神経が過感受性となる場合に生じる。この最初の損傷は、外傷性身体損傷ならびに糖尿、帯状ヘルペス、AIDS/HIV、梅毒および種々の他の自己免疫疾患のような全身性疾患を含む、広範な種々の原因から生じ得る。
【0004】
このクラスの疼痛症候群の例としては、ヘルペス後の神経痛、神経炎、側頭下顎の疾患、筋膜の疼痛、背部の疼痛、および炎症状態により誘導される疼痛が挙げられる。神経障害性疼痛は、全ての身体の領域において生じ得る。例えば、それは歯の領域から起こり得る。それは、罹患した身体領域においてしばしば神経障害性の痛覚過敏を引き起こす、火傷損傷を患う領域において起こり得る。神経障害性疼痛はまた、その急性期で神経内炎症を伴う神経痛から生じ、これによって、一次求心性軸索への損傷を引き起こし得る。神経障害性疼痛はまた、糖尿病性状態(糖尿病性神経症)からも誘導され得る。長い神経における一次求心性軸索の神経障害は、糖尿病患者において見出される。侵害受容器の過感受性が、結果として起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、所望されない副作用を生じることなく、関節炎および他の炎症に関与する状態を効果的に治療する、新しいクラスの治療化合物が必要とされている。さらに、関節炎のような関節疾患に関連する疼痛を治療することが必要とされ、そして関節炎存在下、関節炎非存在下ならびに外傷性の脳創傷および急性脊髄損傷のような状態において存在し得る神経障害性疼痛を治療することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、したがって、これらの状態を処置するための「ニトロン」と呼ばれる化合物の使用に関する。第一の局面において、本発明はアリール置換ニトロン化合物群の開発および開示に関し、この化合物は、アリール基とニトロン官能基との間に、本明細書に定義されるように少なくとも一つのスペーサーもしくはリンカーであるZを有し、そしてこの化合物は、治療剤としての有用性が証明される。より具体的には、本発明のニトロン化合物は、約1個〜約6個の長さの炭素原子を含むZにより定義される。
【0007】
より一般的には、ニトロンは高度に連結されたコア構造
【0008】
【化3】

【0009】
を有する化合物である。
【0010】
特定のニトロンは、公知の化合物である。フェニル−tert−ブチルニトロン(PBN)は、スピントラッピング剤として周知である。薬剤としてのその使用もまた、提案されている。ある範囲の芳香族環置換基および(置換を有するもしくは置換を有しない)アルキルN−置換基もしくはアリールN−置換基を有するPBNアナログもまた、開示されている。これらの物質は、フェニルもしくは他のアリール環が、特徴的なニトロンコア構造
【0011】
【化4】

【0012】
の炭素に直接隣接する点で、本発明のニトロンとは異なる。
【0013】
このように、本発明の一つの実施形態は、少なくともPh−Z−C(R)=N(=O)−を有するニトロン化合物に関し、ここで、Phは、置換もしくは非置換アリール部分を示し、かつZは、アリール部分とニトロン炭素との間に共有結合さした1個〜6個の長さの炭素原子の飽和脂肪族炭素鎖であり、ただし:
Zが−CH−CH−であって、RがHであって、かつPhが非置換アリールである場合、ニトロンのN原子は、t−ブチルもしくはメチルとのどちらとも連結されない;
Zが−CH−であって、RがHであって、Phが4−N(CH、4−OCH、H、および4−CHからなる群から選択される置換を有する置換アリールである場合、ニトロンのN原子はメチルに連結されない;
Zが−CH−であって、RがHであって、Phが3,5−ジ−t−ブチル、3,4−(OCHO)−およびHからなる群から選択される置換を有する置換アリールである場合、ニトロンのN原子はt−ブチルに連結されない;
Zが−CH−であって、RがCHであって、かつPhが非置換アリールである場合、ニトロンのN原子はメチルにも非置換フェニルにも連結されない;
Zが−CH−であって、RがHであって、かつPhが非置換アリールである場合、ニトロンのN原子は非置換フェニルに連結されない;
Zが−CH(CH)−であって、RがHであって、かつPhが非置換アリールである場合、ニトロンのN原子はメチルにも、シクロヘキシルにも非置換フェニルにも連結されない;
Zが−CH(CH)−であって、RがHであって、かつPhが2,5−ジメトキシ、および2,5−ジメチルからなる群から選択される置換を有する置換アリールである場合、ニトロンのN原子はシクロヘキシルに連結されない;そして
Zが−CH−(CH−であって、RがHであって、かつPhが非置換アリールである場合、ニトロンのN原子はシクロヘキシルに連結されない。より具体的には、Zは直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり得、そして例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、もしくはイソプロピレンを含み得る。
【0014】
本発明のさらなる局面において、ニトロン化合物は式に関して定義される。このように、ニトロン化合物は、式I
【0015】
【化5】

【0016】
により定義され得、ここで:
(i)nは、1〜6にわたる値の整数であり;
(ii)各Rは、以下から独立して選択され:
水素、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、
ハロ、ハロアルキル、
ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシル、アシル、カルボキシレート、カルボキシル、アルカノイルオキシ、
ニトレート、ニトライト、ニトリル、シアネート、イソシアネート、一級アミノ、二級アミノ、三級アミノ、アジド、カルボキサミド、アシルアミノ、
チオール、スルホニル、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、スルホンアミド、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、
酸素複素環、窒素複素環および硫黄複素環;
(iii)R、RおよびRは、水素、アルキルおよびシクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;そして
(iv)Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキレン、シクロアルケニル、アリールおよびアラルキルから選択され、
ただし:
a)nが1もしくは2であって、かつRがt−ブチルもしくはメチルである場合、R、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
b)nが1であって、かついくつかのRが4−ジメチルアミノ、4−メチルもしくは4−メトキシであって、残りのRが水素であって、かつRがメチルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
c)nが1であって、かついくつかのRが3,5−ジ−tert−ブチルであって、残りのRが水素であって、かつRがtert−ブチルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
d)nが1であって、かつRがtert−ブチルもしくはフェニルであって、かつRがメチルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
e)nが1であって、かつRがメチルもしくはフェニルであって、Rがメチルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
f)nが1であって、かつRおよびRがどちらもメチルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
g)nが1であって、Rがメチルであって、かつRがシクロヘキシルもしくはフェニルである場合、R、RおよびRは全てが水素というわけではない;
h)nが1であって、いくつかのRが2,5−ジメチルもしくは2,5−ジメトキシであって、残りのRが水素であって、かつRがシクロヘキシルである場合、RおよびRは全てが水素というわけではない;そして
i)nが4であって、かつRがシクロヘキシルである場合、R、R、RおよびRは全てが水素というわけではない。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明は式Iの化合物に関し、
【0018】
【化6】

【0019】
ここで、nが1であって、かつ以下の単位がキラル中心である;
【0020】
【化7】

【0021】
本発明のニトロン化合物の上記の定義は、文献における特定の開示を考慮する。文献は、式Iの少数のニトロンを明らかにし、かつ化学中間体としてのこれらの使用および他の同様の非薬学的応用におけるこれらの使用を教示する。この物質は、以下の表Iにおいて式Iとの関係の観点から示される。
【0022】
【表1】

【0023】
このように上記に定義される新しい化合物は、表Iに含まれる構造を考慮し、そしてこれらを除外する。
【0024】
上記に記載するように、本発明のある局面は、薬学的物質としてニトロン化合物を用いる。ニトロン化合物は、それらのニトロンコアとそれらのフェニル環との間のアルキレン架橋において存在し得る、1個〜6個のさらなる炭素原子を有するものとして広く定義される。これらのニトロンは、哺乳類における炎症および炎症に関連する疼痛を軽減するための治療剤として、有用である。さらに、これらのニトロン化合物は、神経障害性疼痛、ならびに外傷性の脳創傷および急性骨髄傷害のような状態を処置するための治療剤として有用である。特に、本発明のニトロンは、関節炎、炎症に関連する他の状態、および神経障害性疼痛の処置のために有用である。したがって、本発明はまた、組成物の調製のための本発明のニトロン化合物の使用も含み、そして特に、このような薬学的組成物が、上記に記載される状態、および本明細書において述べられるような他の状態の処置のために、本明細書中において本発明の一つの局面として列挙される。
【0025】
したがって、さらなる局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア、および活性成分として少なくとも一つのニトロン化合物を含有する薬学的組成物を含み、このニトロン化合物は、少なくともPh−Z−C(R)=N(=O)−を含み、ここで、Phは、置換もしくは非置換アリール部分を示し、かつZは、アリール分子とニトロン炭素との間に共有結合される1個〜6個の長さの炭素原子の飽和脂肪族炭素鎖である。本発明はまた、炎症および神経障害性疼痛のような状態、外傷性の脳創傷および急性骨髄傷害のような状態、ならびに本明細書に列挙される他の状態の処置のための、本発明のこの局面の薬学的組成物の使用も含む。
【0026】
本発明の薬学的組成物はまた、式に関しても定義され得、このように、薬学的に受容可能なキャリアおよび活性成分として一つ以上の式Iの化合物を含有し得る:
【0027】
【化8】

【0028】
式Iにおいて:
(i)nが1〜6にわたる値の整数であり;
(ii)各Rが、以下から独立して選択され:
水素、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、
ハロ、ハロアルキル、
ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシル、アシル、カルボキシレート、カルボキシル、アルカノイルオキシ、
ニトレート、ニトライト、ニトリル、シアネート、イソシアネート、一級アミノ、二級アミノ、三級アミノ、アジド、カルボキサミド、アシルアミノ、
チオール、スルホニル、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、スルホンアミド、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、
酸素複素環、窒素複素環および硫黄複素環;
(iii)R、RおよびRが、水素、アルキルおよびシクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;そして
(iv)Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキレン、シクロアルケニル、アリールおよびアラルキルから選択される。
【0029】
したがって、別の局面において、本発明は、炎症に関連する状態を有する哺乳類を処置するための方法に関し、この方法は、薬学的に受容可能なキャリアおよび本明細書において定義されるような、少なくとも一つのニトロン化合物の効果的な炎症軽減量を含有する薬学的組成物を、哺乳類に投与する工程を包含する。対応して、本発明は、このような炎症に関連する状態の処置のための薬学的組成物の使用に及び、この状態は、非限定的な実施例により以下に記載される。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、炎症に関連すると考えられる状態ならびに上記の方法および本発明の薬学的組成物の使用に準ずるものにおいて処置される状態としては、慢性関節リウマチ;変形性関節炎;強直性脊椎炎;全身性エリテマトーデス;乾癬関節炎;とりわけ、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)のようなニューロン細胞死その他を含み得る神経変性疾患;などが挙げられる。さらに、本発明の化合物は、関節炎に関連する疼痛の処置ならびに神経障害性疼痛、外傷性の脳創傷および急性骨髄損傷の処置において、有用である。
【0031】
本発明の方法および対応する使用は、したがって、神経障害性疼痛を処置するもしくは防止する効果的な用量の本発明の薬学的組成物を投与することによる、ヒトを含む哺乳類における神経障害性疼痛の処置もしくは防止に及ぶ。同様に、本発明は脳創傷もしくは骨髄障害を処置する効果的な用量の本薬学的組成物を哺乳類に投与する工程を包含することによる、哺乳類の脳または骨髄の外傷性の障害の処置を含む。
【0032】
本発明の他の局面、ならびに関連する目的および利点は、以下の実例となる図面とともに以下の記載の概要から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的のために、式Iに関して記載されるニトロン化合物のような本発明のニトロン化合物が、従来のニトロン命名法を用いて命名され、すなわち、炭素−窒素二重結合(C=N)の炭素原子がC位置で示され、炭素−窒素二重結合の窒素原子上の置換基がN接頭辞で示される。
【0034】
いくつかの場合において、本発明のニトロンは、一つ以上のキラル中心を含み得る。代表的に、このような化合物は、ラセミ体混合物として調製される。しかし、所望される場合は、このような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体に富む混合物として、調製もしくは単離され得る。式Iのアルキルニトロンの全てのこのような立体異性体(および立体異性体に富む混合物)は、本発明の範囲に含まれる。純粋な立体異性体(もしくは立体異性体に富む混合物)は、例えば、当該分野において周知の光学的に活性な出発物質もしくは立体選択的な試薬を用いて調製され得る。代替的に、このような化合物のラセミ体混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分割され得る。
【0035】
さらに、本発明のニトロン化合物の全ての幾何異性体は、本発明の範囲内に含まれ、例えば、ニトロン官能基の炭素−窒素二重結合の全ての異性体(すなわち、E異性体およびZ異性体)が挙げられる。
【0036】
(定義)
本発明のニトロン、薬学的組成物および方法について記載する場合、別に特定されなければ、以下の用語は以下の意味を有する。
【0037】
「アシル」は、Rが水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルもしくはシクロアルキルである−C(O)R基をいう。
【0038】
「アルカノイルアミド」もしくは「アシルアミノ」は、各Rが独立して水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルもしくはシクロアルキルである−NRC(O)R基をいう。
【0039】
「アルカノイルオキシ」もしくは「アシルオキシ」は、Rが水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルもしくはシクロアルキルである−OC(O)R基をいう。
【0040】
「アルケニル」は、一価の分枝もしくは非分枝の不飽和炭化水素基であって、好ましくは2個〜10個の炭素原子を、より好ましくは2個〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1箇所の、好ましくは1〜2箇所の炭素−炭素不飽和二重結合を有する、炭化水素基をいう。好ましいアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)などが挙げられる。
【0041】
「アルコキシ」もしくは「アルコキシル」は、Rがアルキルである−OR基をいう。好ましいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピル、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0042】
「アルキル」は、一価の分枝もしくは非分枝の飽和炭化水素基であって、好ましくは1個〜約10個の炭素原子を、より好ましくは1個〜8個の炭素原子を、さらにより好ましくは1個〜6個の炭素原子を有する、炭化水素基をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどのような基により例示される。用語「低級アルキル」は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。
【0043】
「アルキレン」は、二価の分枝もしくは非分枝の飽和炭化水素基であって、好ましくは1個〜10個の炭素原子を有し、アリール環とニトロン基との間のスペーサーを定義するために使用される場合は、1個〜6個の炭素原子を有する、炭化水素基をいう。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などのような基により例示される。
【0044】
「アルキニル」は、一価の分枝もしくは非分枝の不飽和炭化水素基であって、好ましくは2〜10個の炭素原子およびより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1箇所および好ましくは1〜2箇所の炭素−炭素不飽和三重結合を有する、炭化水素基をいう。好ましいアルキニル基としては、エチニル、プロパルジルなどが挙げられる。
【0045】
「アミノ」は、−NH基をいう。「置換アミノ」は、一つまでのRが水素であって、かつ少なくとも一つのRがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキルから独立して選択される−N(R)基、ならびに両方のR基が連結されアルキレン基を形成する−N(R)基をいう。一つのRが非水素である場合、これは「二級」アミノであり、両方のRが非水素である場合、これは「三級」アミノである。
【0046】
「アミノカルボニル」もしくは「カルボキサミド」は、各Rが独立して水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルである−C(O)NRR基もしくはR基が連結されアルキレン基を形成する−C(O)NRR基をいう。
【0047】
「アリール」は、6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基であって、単環(例えばフェニル)もしくは多重縮合環(例えば、ナフチルもしくはアントリル)を有する、芳香族炭素環式基をいう。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0048】
「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子の環状アルキル基であって、必要に応じて1〜3個のアルキル基により置換され得る一つの環式環または多重縮合環もしくは多重架橋環を有する、環状アルキル基をいう。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなどのような単環構造またはアダマンタニル基のような多重環もしくは架橋環構造が挙げられる。用語「低級シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基をいう。
【0049】
「シクロアルケニル」は、4〜10個の炭素原子の環状アルケニルであって、一つの環式環ならびに必要に応じて1〜3個のアルキル基により置換され得る少なくとも一つの内部不飽和点を有する、環状アルケニル基を示す。適切なシクロアルケニル基の例としては、例えば、シクロペント−3−エニル、シクロヘキソ−2−エニル、シクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。
【0050】
「ハロ」もしくは「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。好ましいハロ基はフルオロもしくはクロロのどちらかである。
【0051】
「ヒドロキシル」は、−OH基をいう。
【0052】
「ニトライト」は、−NO基をいう。
【0053】
「ニトロ」または「ニトレート」は、−NO基をいう。
【0054】
「チオアルコキシ」は、Rがアルキルである−SR基をいう。
【0055】
「チオアリールオキシ」は、Rがアリールである−SR基をいう。
【0056】
「チオール」は、−SH基をいう。
【0057】
「アルカリール」は、一つ以上のアルキル置換基を有するアリール基をいう。
【0058】
「アラルキル」は、アリール置換基を有するアルキル基をいう。
【0059】
「アラルケニル」は、アリール置換基を有するアルケニル基をいう。
【0060】
「アラルキニル」は、アリール置換基を有するアルキニル基をいう。
【0061】
「ハロアルキル」は、一つ以上のハロ置換基を有するアルキル基をいう。
【0062】
「ヒドロキシアルキル」は、一つ以上のヒドロキシ置換基を有するアルキル基をいう。
【0063】
「アルコキシアルコキシル」は、Rがアルキルもしくはアルキレンであり得る−O−R−O−R構造において二つ以上のエーテル酸素を有するポリエーテル基をいう。
【0064】
「アルキルスルホネート」は、Rがアルキル、シクロアルキルもしくはアラルキルである−S(O)−R基を示す。
【0065】
「アリールスルホネート」は、Rがアリールである−S(O)−R基をいう。
【0066】
「スルホンアミド」は、一つもしくは両方の水素がアルキルスルホネート基および/もしくはアリールスルホネート基により置換されているアミノ基をいう。
【0067】
「スルホニル」は、−SOH基をいう。
【0068】
「イソシアネート」は、−NCO基をいう。
【0069】
「シアネート」は、−OCN基をいう。
【0070】
「アジド」は、−N=N=N基をいう。
【0071】
「カルバルコキシ」もしくは「カルボキシレート」は、Rがアルキルである−C(O)OR基をいう。
【0072】
「カルボキシル」は、−COH基をいう。
【0073】
「ニトリル」は、−C≡N基をいう。
【0074】
「薬学的に受容可能な塩」は、その生物学的特性を保持し、かつ生物学的にも別の点でも所望されないことがない、本発明の化合物の任意の塩をいう。このような塩は、当該分野で周知の種々の有機的および無機的な対イオンに由来し得、これらとしては、例示として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられ;そしてこの分子が塩基性官能基を含む場合は、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシレート、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの様な有機的酸もしくは無機酸の塩である。用語「薬学的に受容可能なカチオン」は、酸性官能基の薬学的に受容可能なカチオン対イオンをいう。このようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどにより例示される。
【0075】
(ニトロン)
特定の一連のニトロンは、Zが1〜6個の炭素原子の飽和脂肪族炭素鎖であって、Z、RおよびPhについて特定の値を有するPh−Z−C(R)=N(=O)−構造またはR基として水素およびアルキル、アルコキシ、アルコキシアルコキシル、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、スルホンアミド、スルホニル、アシル、およびアリールから選択される0〜3の非水素が挙げられる式Iのいずれかを有する物質であり、両方の改変物は、本明細書中上記で、本発明の化合物に関して定義されたとおりである。
【0076】
式Iに関して、特定の一連のR基としては、水素、2−ヒドロキシ、3−ヒドロキシ、4−ヒドロキシ、2−スルホニル、2,4−ジスルホニル、4−メチル、4−イソプロピル、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ、3,5−ジ−t−Bu−4−ヒドロキシ、および3,5−ジ−t−Bu−4−メトキシメトキシが挙げられる。
【0077】
特定のニトロンはまた、nが1〜4である式Iの化合物を含む。さらなる特定のニトロンは、nが2〜4である化合物を含む。
【0078】
本発明の好ましいニトロンは、n=1かつR、RおよびRが全て水素であるかもしくは二つが水素で一つが低級アルキル基である式Iの物質;ならびにn=2もしくは3かつR、RおよびRが全て水素ならびに二つまでが低級アルキルである式Iの物質である。ニトロンの中でも特に好ましいのは、RおよびRが表IIに示されるように選択されるニトロンである。
【0079】
【表2】

【0080】
したがって、その組成物の別の局面において、本発明は、図9にもまた示される以下の個々の化合物の各々に関する。
【0081】
化合物1 N−tert−ブチル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン
化合物2 N−tert−ブチル−C−{2−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]エチル}ニトロン
化合物3 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物4 N−tert−ブチル−C−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物5 N−tert−ブチル−C−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]ニトロン
化合物6 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロポキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物7 N−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物8 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]エチル]ニトロン
化合物9 N−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物10 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル) エチル]ニトロン
化合物11 N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフイミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物12 N−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン
化合物13 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロピルフェニル)−1−メチルエチル]ニトロン
化合物14 N−tert−ブチル−C−(4−フェニルプロピル)ニトロン
化合物15 N−tert−ブチル−C−[1−(4−tert−ブチルベンジル)−エチル]ニトロン
化合物16 N−tert−ブチル−C−[1−メチル−2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物17 N−tert−ブチル−C−フェニルメチルニトロン
化合物18 N−シクロヘキシル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン
化合物19 N−tert−ブチル−C−[4−フェニルブチル]ニトロン
化合物20 N−tert−ブチル−C−[1−(フェニル)エチル]ニトロン
化合物21 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物22 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ニトロン
化合物23 N−tert−ブチル−C−[4−(メトキシ−フェニル)プロピル]ニトロン、およびこれらの薬学的に受容可能な塩。
【0082】
(一般的合成手順)
本発明のニトロンは、以下の一般的方法および手順を用いて、容易に入手可能な出発物質から調製され得る。代表的もしくは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、別に記載されなければ、他のプロセス条件もまた用いられ得ることが認められる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物質もしくは溶媒により変化し得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順により、当業者によって決定され得る。
【0083】
さらに、当業者にとって明らかなように、特定の官能基が所望されない反応をするのを保護するために、従来の保護基が必要であり得る。特定の官能基のための適切な保護基ならびに保護および脱保護のための適切な条件は、当該分野において周知である。例えば、多くの保護基、ならびにそれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第2版、Wiley、New York、1991およびそれらに引用される参考文献に記載される。
【0084】
合成の好ましい方法において、本発明のニトロンは、n、R、R、RおよびRが上記に定義される、式IIのカルボニル化合物:
【0085】
【化9】

【0086】
をRが上記に定義される、式IIIのヒドロキシルアミン:
【0087】
【化10】

【0088】
とカップリングすることにより調製される。ヒドロキシルアミンは、通常、酸性塩として存在する。
【0089】
このカップリング反応は、代表的に、カルボニル化合物IIを、少なくとも1当量、好ましくは約1.1当量〜約2当量のヒドロキシルアミンIIIと、メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどのような不活性極性溶媒中で接触させる工程により実施される。この反応は、好ましくは、約0℃〜約100℃の温度で、約1時間〜約48時間実施される。必要に応じて、塩酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、シリカゲルなどのような酸の触媒量が、この反応に使用され得る。式IIにおけるRが−C(O)Rである場合、少なくとも2当量のヒドロキシルアミンIIIがこの反応に用いられる。反応が完了すると、式Iのニトロンは、沈殿、クロマトグラフィー分離、濾過、蒸留、昇華などを含む通常の方法により回収される。
【0090】
式IIIのヒドロキシルアミン化合物は、通常の手順により公知の化合物から調製され得る、公知の化合物である。代表的に、式IIIのヒドロキシルアミン化合物は、活性化亜鉛/酢酸、活性化亜鉛/塩化アンモニウムもしくはアルミニウム/水銀アマルガムのような適切な還元剤を用いて、対応するニトロ化合物(すなわち、Rが上記に定義される、R−NO)を還元する工程により調製される。この反応は、代表的に、約15℃〜約100℃にわたる温度で、約0.5時間〜約12時間、好ましくは約2時間〜6時間、亜鉛試薬の場合はアルコール/水混合物のような、もしくはアルミニウムアマルガムの場合はエーテル/水混合物のような水性反応溶媒中で実施される。脂肪族ニトロ化合物も、(それらの塩の形態で)テトラヒドロフラン中で、ボランを用いてヒドロキシルアミンに還元され得る。いくつかのヒドロキシルアミンは、限定された安定性しか有しないので、このような化合物は、通常、式IIのカルボニル化合物との反応の直前に調製される。
【0091】
本発明における使用のための好ましいヒドロキシルアミンとしては、N−イソプロピルヒドロキシルアミン、N−n−プロピルヒドロキシルアミン、N−n−ブチルヒドロキシルアミン、N−tert−ブチルヒドロキシルアミン、N−シクロヘキシルヒドロキシルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
(薬学的組成物)
薬剤として用いられる場合、本発明のニトロンは、代表的に、薬学的組成物の形態で投与される。このような組成物は、薬学分野において周知の手順を用いて調製され得、少なくとも一つの活性な化合物を含有し得る。
【0093】
一般に、本発明の化合物は、薬学的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、代表的に、関連する状況に照らして医師により決定され、関連する状況としては、処置されるべき状態、投与経路の選択、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などが挙げられる。
【0094】
本発明の薬学的組成物は、例示として、経口経路、局所経路、直腸経路、経皮経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、鼻腔内経路などを含むいずれかの適切な経路により投与され得る。意図された送達の経路に依存して、本発明の化合物は、好ましくは、経口組成物、局所組成物もしくは注射可能組成物のいずれかとして処方される。
【0095】
経口投与のための薬学的組成物は、バルク液体溶液もしくはバルク液体懸濁剤、またはバルク粉末の形態を取り得る。しかし、より一般的には、このような組成物は、正確な投与を容易にする単位投与形態において示される。用語「単位投与形態」は、ヒト被験体および他の哺乳動物のための、単位の投薬量として適切な物理的に分離した単位を言い、各単位は、適切な薬学的賦形剤と共に、所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性物質を含有する。代表的な単位投与形態としては、液体組成物の前もって充填され、前もって測定されたアンプルもしくはシリンジ、または固体組成物の場合は、丸剤、錠剤、カプセル剤などが挙げられる。このような組成物において、ニトロン化合物は、通常少ない成分(約0.1重量%〜約50重量%もしくは好ましくは、約1重量%〜40重量%)であり、残りは、種々のビヒクルもしくはキャリアであり、そして加工助剤が、所望の投与形態を形成するための補助となる。
【0096】
経口投与に適切な液体形態は、緩衝液を有する適切な水系もしくは非水系のビヒクル、懸濁剤および分配剤、着色剤、芳香剤などを含み得る。固体形態は、例えば、以下の成分のいずれかもしくは同様の特徴の化合物を含み得る:微結晶セルロース、トラガカントもしくはゼラチンのような、結合剤;デンプンもしくはラクトースのような、賦形剤;アルギン酸、Primogelもしくはコーンスターチのような、崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような、滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような、滑沢剤;スクロースもしくはサッカリンのような、甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ風味剤のような、風味剤。
【0097】
局所組成物は、代表的に、通常約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%に及ぶ量の活性な成分を含む局所的な軟膏もしくはクリームとして処方される。軟膏として処方される場合、活性成分は代表的にパラフィン軟膏基剤もしくは水混合性のいずれかの軟膏基剤と組み合わされる。代替的に、活性成分は、例えば、水中油クリーム基剤とともにクリームに処方され得る。このような局所処方は当該分野において周知であり、そして一般に、活性成分もしくは処方物の皮膚透過または安定性の促進のための付加的な成分を含有する。このような公知の局所処方物および成分の全てが本発明の範囲に含まれる。
【0098】
本発明の化合物および組成物はまた、経皮デバイスにより投与され得る。したがって、局所投与は、貯留性もしくは多孔性の膜型様式または固体マトリックス様式のどちらかのパッチを用いて成し遂げられ得る。同様に、化合物および組成物は、肺への送達のために調製および処方され得、当該分野において周知の方法で吸入のために適合された形態において調製され得る。
【0099】
注入可能な組成物は、代表的に、注入可能な滅菌食塩水もしくはリン酸塩緩衝化食塩水または当該分野において公知の他の注入可能なキャリアに基づく。上記のように、このような組成物におけるアルキルニトロン化合物は、代表的に少量成分であり、しばしば、約0.05重量%〜約2重量%であり、残りは注入可能なキャリアなどである。
【0100】
上記に記載される経口投与および局所投与可能な組成物のための成分もしくは注入可能な組成物のための成分は、単に代表的なものにすぎない。他の物質および製造技術などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、Mark Publishing Company、Easton、Pennsylvania、18042のパート8に記載され、本明細書中に参考として援用される。
【0101】
本発明の化合物はまた、代表的徐放性形態においてもしくは徐放性薬物送達系により投与され得る。徐放性物質の記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて援用される物質において見出され得る。
【0102】
以下の処方の例は代表的な本発明の薬学的組成物を示す。しかし、本発明は、以下の薬学的な組成物に限定されない。
【0103】
(処方物1−錠剤)
式Iの化合物を、乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤と約1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加する。錠剤プレス機において、混合物を240mg〜270mgの錠剤(錠剤一つにつき80mg〜90mgの活性ニトロン化合物)に成形する。
【0104】
(処方物2−カプセル剤)
式Iの化合物を、乾燥粉末としてデンプン希釈剤と約1:1の重量比で混合する。混合物を250mgのカプセル剤(カプセル剤一つにつき125mgの活性ニトロン化合物)に充填する。
【0105】
(処方物3−液体)
式Iの化合物(125mg)、スクロース(1.75g)およびキサンタンガム(4mg)を混和し、No.10メッシュU.S.シーブに通し、そして次に前もって作製した微晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)との水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、香味剤、および染料を水で希釈し、添加し攪拌する。その後、十分な水を添加し、全量を5mlとする。
【0106】
(処方物4−注入)
式Iの化合物を注入可能な緩衝化滅菌食塩水性媒質に溶解し、約5mg/mlの濃度とする。
【0107】
(処方5−軟膏)
ステアリルアルコール(250g)および白色ワセリン(250g)を約75℃で融解し、そして次に式Iの化合物(50g)、メチルパラベン(0.25g)、プロピルパラベン(0.15g)、ラウリル硫酸ナトリウム(10g)、およびプロピレングリコール(120g)を水(約370g)中に溶解した混合物を添加し、結果として生じる混合物を固化するまで攪拌する。
【0108】
(化合物の有効性)
本発明の化合物および薬学的組成物は、ヒトを含む哺乳類において、炎症に関連する状態、慢性疼痛症候群、全身性疼痛症候群、神経障害性疼痛および中枢神経系に対する急性の損傷のような急性の外傷性の傷害を含む、疼痛状態を処置するための治療剤としての使用を見出す。したがって、上記のように、本発明は、本明細書中に記載の状態の処置のための本化合物および薬学的組成物の使用、ならびにこのような処置のためのこのような薬学的組成物の調製のための本化合物の使用に及ぶ。
【0109】
神経障害性疼痛の定義に含められる疼痛状態の以下のより完全な列挙は、PAIN MANAGEMENT、Rochelle WagnerおよびRobert R.Myersにおいて見出され得る。
【0110】
(神経障害性疼痛の例および原因)
(末梢神経障害)
エントラップメントニューロパシー
神経切断(手術を含む)
カウザルギー
切断痛および断端痛
神経腫
単神経障害後の疼痛
(他の単神経障害)
糖尿病性単神経障害
悪性神経/叢浸潤
叢照射
虚血性照射
結合組織疾患(慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎)
(多発性神経障害)
糖尿病性多発性神経障害
アルコール性多発性神経障害
栄養性多発性神経障害
アミロイド
ファブリー病
化学物質性(例えば、抗癌治療)多発性神経障害
特発性多発性神経障害
AIDS神経障害
(神経節根および脊髄神経節)
椎間板ヘルニア/圧迫
疱疹後神経痛もしくは三叉神経神経痛
クモ膜炎
神経根引き抜き損傷
腫瘍圧迫
手術性神経根切断
(脊髄)
外傷、相互作用、半側切断
(リッサウアー路切断)
空洞
多発性硬化症
腫瘍圧迫
動静脈先天異常
悪液質(Dyscraphism)
ビタミンB12欠乏症
脊髄内出血
梅毒性脊髄炎
交連脊髄切開
(脳幹)
ヴァレンベルグ症候群
多発性硬化症
結核腫
腫瘍
空洞
(視床)
梗塞
腫瘍
主な感覚核における手術性損傷
出血
(コリカル/サブコリカル(Corrical/subcorrical))
梗塞
外傷
腫瘍
動静脈先天異常
本発明のアルキルニトロン化合物および薬学的組成物により処置され得る炎症関連状態の中には、関節炎の種々の形態があり、これらとしては、慢性関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎などが挙げられるが、これらに限定されない。他の炎症関連状態としては、例示として、炎症性腸疾患(IBD)、敗血症性ショック、らい性結節性紅斑、敗血症、ブドウ膜炎、成人呼吸促進症候群(ARDS)、器官拒絶反応、神経炎症状態、心臓炎症状態などが挙げられる。上記のように、原因として炎症に関連していると考えられる特定の状態としては、神経変性疾患が挙げられ、これは、それらの顕著な特徴の内に、同時に生じる神経炎症および神経細胞死を有する。したがって、アルツハイマー病、パーキンソン病およびALSのような状態は、本明細書中で、このような疾患の非限定的な代表的な例として提供される。
【0111】
関節炎のような長期間の状態の処置のためには、処置のためのレジメンは、多くの月もしくは多くの年に及び得、したがって、患者の便宜および患者が許容するために、経口投与が好まれる。経口投与により、一日あたり1〜5経口投与、そして特に2〜4経口投与、そして代表的には3経口投与が代表的なレジメンである。これらの投与様式を用いて、各投与は、約0.1mg/kg〜約20mg/kgのニトロンを提供し、好ましい用量は、各提供が、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、そして特に約1mg/kg〜約5mg/kgである。
【0112】
本発明の化合物は、唯一の活性な物質として投与され得、もしくは、それらはシクロオキシゲナーゼ阻害物質、5−リポキシゲナーゼ阻害物質、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、末梢性の鎮痛剤(例えば、ゾメピラック、ジフルニゾル(diflunisol)など)、および他の活性なニトロン誘導体と組み合わせて投与され得る。
【0113】
慢性神経障害性疼痛のような長期間の状態の処置のためには、処置のためのレジメンは多くの月もしくは多くの年に及び得、したがって、患者の便宜および患者が許容するために経口投与が好まれる。経口投与では、一日あたり1〜5経口用量、そして特に2〜4経口用量、そして代表的には3経口用量が代表的なレジメンである。これらの投与様式を用いて、各用量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kgのニトロンを提供し、好ましい用量は、各々が、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、そして特に約1mg/kg〜約5mg/kgを提供する。
【0114】
本ニトロン化合物は、唯一の活性な物質として投与され得るか、もしくは、それらはオピオイド鎮痛剤のような他の活性な鎮痛剤と組み合わせて投与され得る。
【0115】
以下の合成実施例および生物学的実施例は、本発明を説明するために提供され、いかなる様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。
【実施例】
【0116】
以下の実施例において、以下の略語は以下の意味を有する。以下に定義されない略語は、それらの一般に受容される意味を有する。
【0117】
dec = 分解物
dHO = 蒸留水
ELISA = 酵素結合免疫測定法
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
g = グラム
h = 時間
ip = 腹腔内
L = リットル
MAPキナーゼ = マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ
min = 分
M = モーラー
MeOH = メタノール
mg = ミリグラム
ml = ミリリットル
mmol = ミリモル
m.p. = 融点
N = 正常
po = 口を介して、経口
q = カルテット
quint. = クウィンテット
s = シングレット
t = トリプレット
THF = テトラヒドロフラン
tlc = 薄層クロマトグラフィー
μg = マイクログラム
μL = マイクロリットル
UV = 紫外線
rt = 室温。
【0118】
以下の実施例において、全ての温度は(別に示されなければ)セ氏温度である。実施例1〜実施例23は種々のニトロンの合成を記載し;そして実施例I〜実施例Vはこのような化合物の試験を記載する。
【0119】
(実施例1)
N−tert−ブチル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン(化合物1)
3−フェニルプロピオンアルデヒド(10.0g、74.5mmol、1.0当量)とベンゼン(150ml)との混合物に、クロロホルム(25ml)を透明な液体が得られるまで添加した。この透明な液体にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(7.31g、82.0mmol、1.1(当量)を添加し、結果として生じた混合物を、窒素およびDean−Starkトラップ下で22時間還流した。冷却すると油状物質が分離した。この油状物質を分離し、そしてフラッシュクロマトグラフィーにより生成物を精製し、N−tert−ブチル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン(7.31g、45.1%)を明るい色の油状物質として得た:H NMR(CDOD)
δ7.30−7.27(m,2H,Ar−H),7.23−7.19(m,3H,Ar−H),6.80(t,1H,Ar−H),2.77−2.62(m,4H,2CH2),1.46(S,9H,t−Bu)。
【0120】
(実施例2)
N−tert−ブチル−C−{2−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]エチル}ニトロン(化合物2)
a.3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(化合物2)
THF(300ml)中のLiAlH(8.37g、220.6mmol、1.5当量)懸濁液に、THF(50ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(25.0g、150mmol、1当量)溶液を室温で滴下し、混合物を60℃で2時間攪拌した。この反応混合物を1N HClで酸性にし、水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、水、飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥させ、そして真空中で濃縮し、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノールを白色固体(15.95g、69.9%)として得た。
【0121】
b.3−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]−1−プロパノール
DMF(50ml)中のNaH(0.70g、29.2mmol、1.1当量)懸濁液に、窒素気流下で、DMF(150ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(4.0g、26.3mmol、1.0当量)溶液を室温で滴下し、そして結果として生じた混合物を15分間攪拌した。クロロメチルメチルエーテル(2.22g、26.3mmol、1.0当量)をこの混合物に滴下し、そしてこの混合物を室温で2時間攪拌した。この反応混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。この抽出物を水で洗浄し、MgSOによって乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残査をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:1)により精製し、3−[4−(メトキシメトキシフェニル)]−1−プロパノール(3.66g、70.9%)を無色油状物質として得た:H NMR(CDOD)δ7.21(d,2H),6.95(d,2H),5.15(s,2H),3.67(t,2H),3.47(s,3H),2.66(t,2H),1.86(q,2H)。
【0122】
c.3−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]−1−プロピオナール
CHCl(50ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(3.66g、18.0mmol、1.0当量)溶液と、CHCl(100ml)中のピリジニウムクロロクロメート(6.03g、28.0mmol、1.5当量)の混合物に室温で添加し、そしてこの混合物を3.5時間攪拌した。この反応混合物をヘキサン(150ml)で希釈し、シリカゲル(60g)を通して濾過した。このシリカゲルをヘキサンとEtOAc(1:1、200ml)との混合物で溶出した。次に、合わせた濾液を真空中で濃縮した。残査をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:1)で精製し、3−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]プロピオナール(3.22g、89.2%)を無色油状物質として得た:H NMR(CDOD)δ9.81(t,1H),7.11(d,2H),6.95(d,2H),5.15(s,2H),3.47(s,3H),2.94−2.88(m,2H),2.78−2.72(m,2H)。
【0123】
d.N−tert−ブチル−C−{2−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]エチル}ニトロン
3−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]プロピオナール(1.62g、8.34mmol、1.0当量)およびメタノール(50ml)の混合物に、N−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.93g、10.43mmol、1.25当量)を添加し、続いて10滴の濃HClを添加した。この混合物を室温で18時間攪拌した。次に、この混合物を真空中で濃縮し、明るい色の油状物質を得た。残査油状物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)続いてEtOAcにより精製し、表題化合物(0.87g、39.4%)を明るい色の油序湯物質として得た:H NMR(CDCl)δ7.12(d,2H),6.94(d,2H),6.80(t,1H),5.60(s,2H),3.48(s,3H),2.81−2.79(m,4H),1.46(s,9H)。
【0124】
(実施例3)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン(化合物3)
a.3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパナール
[(メトキシメトキシ)フェニル]−1−プロピオナール(1.60g、8.24mmol、1.0当量)とTHF(50ml)との混合物に、12M HCl(6.8ml)を添加し、次に混合物を室温で2時間攪拌した。水(50ml)をこの混合物に添加し、そして混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水、NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして濃縮し、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロピオナールを油状物質(0.92g、74.2%)として得た。
【0125】
b.N−tert−ブチル−C−[2−(4−ヒドロキシフェニル)]ニトロン
3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロピオナール(1.02g、6.60mmol、1.0当量)とメタノール(50ml)との混合物に、N−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.71g、7.26mmol、1.1当量)および濃HCl(5滴)を添加した。次に、この混合物を室温で15時間攪拌し、続いて19時間還流した。真空中での濃縮により、固体および油状物質を得、これらを、フラッシュクロマログラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)により、次に、EtOAcにより精製し、融点143.5℃の白色固体を得た:H NMR(CDOD)δ7.20(t,J=5.32,1H),7.03(d,J=8.66,2H),6.69(d,J=8.66,2H),2.79−2.69(m,4H),1.43(s,9H)。
【0126】
(実施例4)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン(化合物4)
3−(4−メトキシフェニル)−1−プロピオナール(10.00g、60.9mmol、1.0当量)およびメタノール(150ml)の溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(6.51g、73.0mmol、1.2当量)を添加し、結果として生じた混合物を窒素気流下6時間還流した。この反応混合物を真空中で濃縮し、油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)で精製し、N−tert−ブチル−C−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン(7.13g、49.8%)を茶色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ7.13(d,2H),6.86−6.77(m,3H),3.79(s,3H),2.82−2.79(m,4H),1.46(s,9H)。
【0127】
(実施例5)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]エチルニトロン(化合物5)
a.3−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]−1−プロピオナール
3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロピオナール(1.70g、11.3mmol、1.0当量)とCHCl(30.0ml)との溶液に、ピリジニウム−p−トルエンスルホネート(63.2mg、0.25mmol)を添加した。勢いよく攪拌しながら、CHCl(20ml)中の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(3.1ml)溶液を滴下し、そしてこの混合物を室温で1.5時間攪拌した。次に、この混合物をブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして真空中で濃縮して明るい色の油状物質(2.5g、97.0%)を得た。H NMR(CDCl)δ9.81(t,1H),7.12−7.08(d,2H),6.99−6.96(d,2H),5.38(t,1H),4.07−3.86(m,1H),3.61−3.56(m,2H),2.93−2.88(m,2H),2.77−2.74(m,2H),2.00−1.85(m,4H),1.67−1.60(m,5H)。
【0128】
b.N−tert−ブチル−C−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]エチルニトロン
メタノール(50ml)中の3−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]−1−プロピオナール(2.50g、11.1mmol、1.0当量)混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.13g、12.7mmol、1.1当量)を添加し、そして次に室温で18時間攪拌した。この混合物を真空中で濃縮し、表題ニトロン(0.760g、22.42%)を融点68−70℃の白色固体として得た。H NMR(CDCl)δ7.10(d,2H),6.98(d,2H),6.79(t,1H),5.38(t,1H),3.92−3.88(m,1H),3.62−3.58(m,1H),2.82−2.74(m,4H),1.88−1.62(m,7H),1.46(s,9H)。
【0129】
(実施例6)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロポキシフェニル)エチル]ニトロン(化合物6)
a.3−[4−(2−イソプロポキシ)フェニル]−1−プロパノール
DMF(100ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(3.00g、18.8mmol、1当量)溶液にNaH(0.45g、18.8mmol、1当量)を室温で少しずつ添加し、そして結果として生じた混合物を15分間攪拌した。2−ヨードプロパン(1.88ml、18.8mmol、1当量)を室温で混合物に滴下し、この混合物を2.5時間攪拌した、この反応混合物を次に水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。この抽出物を水で洗浄し、MgSOによって乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残査をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:1)で精製し、3−[4−(2−イソプロポキシ)フェニル]−1−プロパノール(1.52g、41.6%)を得た。H NMR(CDCl)δ6.80(d,J=8.6,2H),4.53−4.46(m,1H),3.69−3.65(t,J=6.4,2H),2.67−2.61(t,J=6.7,2H),1.33(s,3H),1.31(s,3H)。
【0130】
b.3−[4−(2−プロポキシ)フェニル]−1−プロピオナール
(10ml)中の3−[4−プロポキシ)フェニル]−1−プロパノール(1.52g、7.8mmol、1.0当量)溶液を、CHCl(100ml)中のピリジニウムクロロクロメート(2.53g、11.7mmol、1.5当量)混合物に室温で添加し、そしてこの混合物を3.5時間攪拌した。この反応混合物をヘキサン(100ml)で希釈し、そしてシリカゲル(20g)を通して濾過した。このシリカゲルを、ヘキサンとEtOAc(1:1)の混合物で溶出した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、表題化合物(1.38g、92.0%)を淡黄色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ9.81(t,1H),7.08(d,2H),6.81(d,2H),4.55−4.46(m,1H),2.92−2.87(m,2H),2.77−2.71(m,2H),1.33(s,3H),1.31(s,3H)。
【0131】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−プロポキシフェニル)エチル]ニトロン
メタノール(50ml)中の3−[4−(2−プロポキシ)フェニル−1−ピロピオナール(1.38g、7.2mmol、1.0当量)溶液に、N−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.77g、8.6mmol、1.2当量)および3滴の濃HClを添加し、そして混合物を17時間還流した。この混合物を真空中で濃縮し、表題のニトロン(1.70g、89.5%)を融点71〜72℃の淡黄色固体として得た。H NMR(DMSOd)δ6.81(d,2H),4.59−4.50(q,1H),2.71−2.68(m,2H),2.56−2.50(m,2H),1.34(s,9H),1.24−1.21(2s,6H)。
【0132】
(実施例7)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン(化合物7)
a.3−(4−エトキシフェニル)−1−プロパノール
DMF(100ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(3.00g、19.7mmol、1当量)溶液にNaH(0.45g、18.8mmol、0.95当量)を室温で少しずつ添加し、そして結果として生じた混合物を15分間攪拌した。ヨードエタン(13.7ml、20.0mmol、1当量)を滴下し、そしてこの混合物を2.5時間攪拌した。この反応混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。この抽出物を水で洗浄し、MgSOによって乾燥させ、そして真空中で濃縮して表題化合物(2.90g、81.7%)を得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0133】
b.3−(4−エトキシフェニル)−1−プロピオナール
CHCl(50ml)中の3−(4−エトキシフェニル)−1−プロパノール(2.90g、16.1mmol、1.0当量)溶液をCHCl(150ml)中のピリジニウムクロロクロメート(5.21g、24.2mmol、1.5当量)懸濁液に室温で添加し、そして混合物を3.5時間攪拌した。この反応混合物をヘキサン(100ml)で洗浄し、シリカゲル(60g)を通して濾過した。このシリカゲルをヘキサンとEtOAcの混合物(1:1)で溶出した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、3−(4−エトキシフェニル)−1−プロピオナール(2.51g、87.50%)を淡黄色油状物質として得た:H NMR(CDCl)δ9.81(t,1H),7.08(d,2H),6.81(d,2H),4.03(q,2H),2.88(m,2H),2.74(m,2H),1.40(t,3H)。
【0134】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン
メタノール(100ml)中の3−(4−エトキシ)フェニル−1−プロピオナール(2.51g,14.0mmol,1.0当量)溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.38,15.5mmol,1.1当量)、濃HCl(5滴)を添加し、そして混合物を22時間還流した。この混合物を真空中で濃縮して油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、2:1)により精製してN−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン(1.44g,40.9%)を融点54℃〜57℃の黄色固体として得た。H NMR(DMSO−d)δ7.11(J=8.4,2H),6.97(t,J=5.6,1H),6.83(d,J=8.4,2H),3.97(q,2H),2.72(t,2H),2.57−2.50(m,2H),1.34(s,9H),1.30(t,3H)。
【0135】
(実施例8)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]エチル]ニトロン(化合物8)
a.3−[(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]−1−プロパノール
EtOAc(30ml)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール(3.30g,21.7mmol,1.0当量)溶液にトリエチルアミン(3.8ml,27.1mmol,1.25当量)を添加し、そしてこの混合物を15分間攪拌した。ベンゼンスルホニルクロライド(2.96ml,23.2mmol,1.07当量)を次に滴下し、そして混合物を3日間攪拌した。反応混合物を5%KI溶液(100ml,pH=7.0)中に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を5%KI溶液、NaHCO、ブラインで洗浄し、そしてMgSOによって乾燥した。この抽出物の濃縮により油状物質を得、これをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 2:1)により精製し、表題化合物(3.20g,50.5%)を油状物質として得た:H NMR(CDCl)δ7.85(d,2H),7.68(d,1H),7.53(d,2H),7.10(d,2H),6.85(d,2H),3.64(t,2H),2.67(t,2H),1.89−1.81(m,2H)。
【0136】
b.3−[(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]−1−プロピオナール
CHCl(50ml)中の3−(4−ベンゼンスルホニルフェニル)−1−プロパノール(3.20g,10.9mmol,1.0当量)溶液をCHCl(150ml)中のピリジニウムクロロクロメート(3.52g,16.4mmol,1.5当量)懸濁液に添加し、そしてこの混合物を18時間、室温で攪拌した。この反応混合物をヘキサン(100ml)で洗浄し、そしてシリカゲル(60g)を通して濾過した。このシリカゲルをヘキサンとEtOAc(1:1)の混合物により溶出した。合わせた濾液を真空中で濃縮し、表題化合物(3.16g,99.50%)を淡黄色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ9.68(t,1H),7.84(t,3H),7.67(t,2H),7.20(d,2H),6.90(d,2H),4.03(q,2H),2.85−2.71(m,3H),2.52−2.50(m,3H)。
【0137】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]エチル]ニトロン
メタノール(150ml)中の3−[(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]−1−プロピオナール(3.16g,10.9mmol,1.0当量)溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.07g,12.0mmol,1.1当量)を添加し、そしてこの混合物を20時間還流した。この混合物を真空中で濃縮して油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:1)により精製し、表題のニトロン(2.57g,65,2%)をオフホワイトの油状物質として得た:H NMR(CDCl)δ7.81(d,2H),7.65(t,1H),7.55−7.46(t,2H),7.11(t,2H),6.89(d,2H),6.77(d,1H),2.83−2.73(m,4H),1.46(t,9H)。
【0138】
(実施例9)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン(化合物9)
a.N−(4−ヨードフェニル)アセトアミド
4−ヨードアニリン(20.00g,90.0mmol,1.0当量)、トリエチルアミン(38.4ml,274mmol,3.0当量)、およびCHCl(200ml)の混合物を0℃に冷却した。無水酢酸(26.0ml,270mmol,3.0当量)を滴下した。この反応混合物を0℃で10分間攪拌し、そして室温で2時間攪拌した。真空中で揮発性物質を除去し、そして固体残渣を30mlの熱CHClに溶解した。この溶液をフリーザー中に72時間放置した。分離した固体を濾過し、そして真空中で乾燥してN−(4−ヨードフェニル)アセトアミド(20.35g,86.6%)を得た。H NMR(CDCl)δ7.58−7.28(d,2H),7.25−7.23(d,2H),2.15(s,3H)。
【0139】
b.3−(4’−アセトアミドフェニル)−1−プロパナール
N−(4−ヨードフェニル)アセトアミド(10.8g,42mmol,1.0当量)およびDMF(50.0ml)の混合物にテトラブチルアンモニウムクロライド(11.7g,42mmol,1.0当量)、NaHCO(8.7g,105mmol)、およびアリルアルコール(4.2ml,63mmol,1.5当量)を添加し、そしてこの混合物を10分間攪拌した。結果として生じた混合物にPdCl(1.21g,9.6mmol,0.23当量)を添加し、そしてこの混合物を窒素気流存在下、45時間攪拌した。結果として生じた混合物をEtOAc(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を5%HCl、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 70:30)により精製し、3−(4’−アセトアミドフェニル)−1−プロパナール(1.92g,23.1%)を得、これをそのまま次の工程において使用した。
【0140】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン
トルエン(200ml)中の3−[(4−アセトアミドフェニル]−1−プロピオナール(1.92g,10.0mmol,1.0当量)溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.07g,12.0mmol,1.2当量)、p−トルエンスルホン酸(結晶数個)を添加し、そしてこの混合物を窒素気流存在下およびDean−Starkトラップ存在下、25時間還流した。この混合物を真空中で濃縮して油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 70:30)により精製し、続いてEtOAc中の5%メタノールによりカラムを洗浄してN−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン(0.770g,29.4%)をベージュ色固体として得た:H NMR(CDOD)δ7.71(d,1H,J=8.4),7.46(d,2H),7.24−7.16(m,3H),2.85−2.72(m,4H),2.10(s,3H),1.43(s,9H)。
【0141】
(実施例10)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)エチル]ニトロン(化合物10)
a.4−ベンゼンスルホンアミド−1−ヨードベンゼン
4−ヨードアニリン(10.00g,45.7mmol,1.0当量)、トリエチルアミン(6.36ml,45.7mmol,1.0当量)およびCHCl(200ml)の混合物を0℃に冷却した。ベンゼンスルホニルクロライド(5.85ml,45.7mmol,1.0当量)を滴下した。この反応混合物を3時間、室温で攪拌し、そして次に真空中で濃縮して白色固体(8.45g,51.5%)を得、これを乾燥してそのまま次の工程において使用した。
【0142】
b.3−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)−1−プロピオナール
DMF(50.0ml)中の4−ベンゼンスルホンアミド−1−ヨードベンゼン(8.45g,23.5mmol,1.0当量)の混合物にテトラブチルアンモニウムクロライド(6.54g,23.5mmol,1.0当量)、NaHCO(4.94g,58.8mmol)、およびアリルアルコール(2.05ml,35.3mmol,1.5当量)を添加し、そしてこの混合物を10分間攪拌した。結果として生じた混合物にPdCl(0.95g,5.4mmol,0.23当量)を添加し、そしてこの混合物を窒素気流存在下、70時間攪拌した。結果として生じた混合物をEtOAcにより抽出した。合わせた抽出物を5%HCl、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして真空中で濃縮して油状物質を得た。残査をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製して3−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)−1−プロピオナール(4.00g,58.8%)を淡黄色油状物質として得、これをそのまま次の工程において使用した。
【0143】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)エチル]ニトロン
メタノール(50ml)中の3−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)−1−プロピオナール(1.04g,3.59mmol,1.0当量)溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.35g,3.95mmol,1.1当量)を添加し、そしてこの混合物を18時間還流した。この混合物を真空中で濃縮して彩黄色固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製してN−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)エチル]ニトロン(0.830g,64.3%)を融点160℃のベージュ色固体として得た:H NMR(CDOD)δ7.73(d,1H),7.56−7.36(m,3H),6.99(d,4H),6.80(t,1H),2.78−2.64(m,4H),1.46(s,9H)。
【0144】
(実施例11)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフィミドフェニル)エチル]ニトロン(化合物11)
a.4−(N,N−ジベンゼンスルフィミド)−1−ヨードベンゼン
4−ヨードアニリン(10.00g,45.7mmol,1.0当量)およびトリエチルアミン(19.1ml.137mmol,3.0当量)およびCHCl(200ml)の混合物を0℃に冷却した。ベンゼンスルホニルクロライド(17.3ml,135mmol,3.0当量)を滴下した。この反応混合物を2時間、室温で攪拌した。結果として生じた混合物を真空中で濃縮して黄色固体を得た。この固体にEtOAc(200ml)を添加し、そして白色不溶固体を得た。この白色固体を水の補助によりCHClに溶解した。有機層をNaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして真空中で濃縮して4−(N,N−ジベンゼンスルフィミド)−1−ヨードベンゼン(16.51g,72.35%)を白色固体として得た:H NMR(CDCl)δ7.93−7.90(m,4H),7.70−7.65(m,4H),7.57−7.52(m,4H),6.75−6.71(m,2H)。
【0145】
b.3−[(4−(N,N−ジベンゼンスルフィミド)フェニル]−1−プロピオナール
DMF(50.0ml)中の4−(N,N−ジベンゼンスルフィミド)−1−ヨードベンゼン(10.0g,20.0mmol,1.0当量)溶液にテトラブチルアンモニウムクロライド(5.57g,20.0mmol,1.0当量)、NaHCO(4.20g,50.0mmol)、およびアリルアルコール(1.74g,30.0mmol,1.5当量)を添加し、そして混合物を10分間攪拌した。結果として生じた混合物にPdCl(0.81g,4.6mmol,0.23当量)を添加し、そしてこの混合物を次に窒素気流存在下、70時間攪拌した。結果として生じた混合物をEtOAcにより抽出し、そして合わせた抽出物を5%HCl、ブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥し、そして真空中で濃縮して固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製して3−[(4−(N,N−ジベンゼンスルフィミド)フェニル]−1−プロピオナール(7.24g,84.3%)を白色固体として得た。H NMR(CDCl)δ9.82(s,1H),7.92(d,2H),7.69−7.64(m,2H),7.56−7.51(m,4H),7.16(d,2H),6.93(d,2H),2.99−2.78(m,4H)。
【0146】
c.N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフィミドフェニル)エチル]ニトロン
3−[(4−N,N−ジベンゼンスルフィミド)フェニル]−1−プロピオナール(2.00g,4.0mmol,1.0当量)およびメタノール(100ml)の溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.40g,4.5mmol,1.1当量)を添加し、そして結果として生じた混合物を18時間攪拌した。この混合物を真空中で濃縮して白色ガラス状固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=(1:1)、次にEtOAc)により精製し、N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフィミドフェニル)エチル]ニトロン(1.42g,71.0%)を融点44℃〜47℃のオフホワイトの固体として得た:H NMR(CDOD)δ7.86−7.59(m,10H),7.26−7.20(m,3H),6.92(d,2H),2.96−2.72(m,4H),1.43(s,9H)。
【0147】
(実施例12)
N−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン(化合物12)
a.6−フェニル−1−ヘキサナール
CHCl(10ml)中の6−フェニルヘキサノール(5.00g,28.0mmol,1当量)溶液をCHCl(100ml)中のピリジニウムクロロクロメート(9.07g,42.1mmol,1.5当量)溶液に室温で添加し、そして混合物を3.5時間攪拌した。この反応混合物をヘキサンで希釈し、そしてシリカゲル(20g)を通して濾過した。このシリカゲルをヘキサンとEtOAcの混合物(1:1)により溶出した。合わせた濾液を真空中で濃縮して6−フェニル−1−ヘキソナールを無色油状物質として得、これをそのまま次の工程において使用した。H NMR(CDCl)δ9.75(t,1H),7.28−7.14(m,5H),2.61(t,2H),2.44−2.38(m,2H),1.71−1.58(m,5H),1.42−1.30(m,2H)。
【0148】
b.N−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン
メタノール(50ml)中の6−フェニル−1−ヘキサナール(4.93g,28.0mmol,1当量)溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(3.00g,33.6mmol,1.2当量)を添加し、そしてこの混合物を4時間、室温で攪拌した。この混合物の濃縮により、明るい色の油状物質を得、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)により精製してN−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン(4.39g,89.0%)を無色油状物質として得た:H NMR(CDOD)δ7.28−7.11(m,6H),2.66−2.24(m,4H),1.72−1.24(m,15H)。
【0149】
(実施例13)
N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロピルフェニル)−1−メチルエチル]ニトロン(化合物13)
[2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド](3.0g,15.8mmol,1.0当量)、N−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.76g,19.7mmol,1.3当量)およびトルエン(60ml)の混合物にp−TsOH(50mg)を添加し、そしてこの混合物を18時間、室温で攪拌した。低圧下での溶媒の除去により、固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製してN−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロピルフェニル)−1−メチルエチル]ニトロン(1.04g,25.18%)を白色固体として得た:H NMR(CDCl)δ7.12(d,J=1.0,4H),6.63(d,J=7.2,1H),3.47−3.31(m,1H),2.89−2.80(m,2H),2.71−2.63(dd,1H),1.44(s,9H),1.25(d,J=6.9,3H)。
【0150】
(実施例14)
N−tert−ブチル−C−(4−フェニルプロピル)ニトロン(化合物14)
3−フェニルブチルアルデヒド(10.0g,67.5mmol,1.0当量)およびベンゼン(150ml)およびシリカゲル(5g)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(7.22g,81.0mmol,1.2当量)を添加し、そしてこの混合物を18時間、室温で攪拌した。この混合物を濾過し、そしてこの濾液を真空中で濃縮してN−tert−ブチル−C−(4−フェニルプロピル)ニトロン(13.74g,92.80%)を淡黄色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ7.33−7.19(m,5H),6.65(t,1H),3.18−3.04(m,1H),2.90−2.65(m,2H),1.40(s,9H),1.34−1.32(d,3H)。
【0151】
(実施例15)
N−tert−ブチル−C−[1−(4−tert−ブチルフェニル)プロピル]ニトロン(化合物15)
3−(4−tert−ブチルフェニル)−ブチルアルデヒド(10.0ml,46.5mmol,1.0当量)およびメタノール(100ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(4.97g,55.8mmol,1.2当量)、濃HCl(10滴)を添加し、そしてこの混合物を20時間、室温で攪拌した。この混合物を濾過し、そして真空中で濃縮してN−tert−ブチル−C−[1−(4−ブチルベンジル)エチル]ニトロン(12.30g,96.00%)を無色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ7.30−7.27(d,2H),7.13−7.10(d,2H),6.55−6.62(d,1H),3.47−3.33(m,1H),2.87−2.64(m,2H),1.44(s,9H),1.87−1.06(d,3H)。
【0152】
(実施例16)
N−tert−ブチル−C−[1−2−(4−メトキシフェニル)メチルエチル]ニトロン(化合物16)
Canthoxal(5.0ml,30.5mmol,1.0当量)およびベンゼン(200ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(4.97g,55.8mmol,1.2当量)、シリカゲル(10g)を添加し、そしてこの混合物を次に17時間、室温で攪拌した。この混合物を濾過し、そして濾液を真空中で濃縮して無色油状物質を得た。この生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製して表題化合物(5.12g,83.10%)を無色油状物質として得た。H NMR(CDCl)δ7.12−7.08(d,2H),6.84−6.80(d,2H),6.63−6.61(d,1H),3.78(s,3H),3.42−3.28(m,1H),2.86−2.79(dd,1H),2.68−2.60(dd,1H),1.45(s,9H),1.07−1.05(d,3H)。
【0153】
(実施例17)
N−tert−ブチル−C−フェニルメチルニトロン(化合物17)
フェニルアセトアルデヒド(1.20g,10.00mmol)およびクロロホルム(50ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.07g,12.00mmol)を添加し、続いて濃HCl5滴を添加した。この混合物を18時間、室温で攪拌した。この混合物を真空中で濃縮して油状物質を得た。この残査をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)、続いてEtOAcにより精製して表題化合物を白色固体として得た:収率:80%、融点143℃:H NMR(CDCl)δ7.38(m,5H),6.90(s,1H),4.95(dd,2H),1.25(s,9H)。
【0154】
(実施例18)
N−シクロヘキシル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン(化合物18)
3−フェニルプロピオンアルデヒド(5.0g,37.3mmol,1.0当量)およびCHCl(150ml)の混合物にN−シクロヘキシルヒドロキシルアミン(4.30g,41.0mmol,1.1当量)およびp−TsOH(数個の結晶)を添加し、そして結果として生じた混合物を22時間、窒素気流存在下で還流した。溶媒を除去することにより油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)により精製してN−シクロヘキシル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン(6.41g,74.4%)を融点97.2℃の白色固体として得た:H NMR(CDCl)δ7.33−7.19(m,5H),6.69−6.65(t,1H,Ar−H),3.67−3.56(m,1H),2.91−2.78(m,4H),1.97−1.63(m,7H),1.37−1.10(m,3H)。
【0155】
(実施例19)
N−tert−ブチル−C−[4−フェニルブチル]ニトロン(化合物19)
5−フェニルペンタナール(1.62g,10mmol.1.0当量)およびメタノール(50ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.93g,10.43mmol,1.25当量)を添加し、続いて濃HClを10滴添加した。この混合物を18時間、室温で攪拌した。この混合物を真空中で濃縮して明るい色の油状物質を得た。この残査油状物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)、続いてEtOAcにより精製して表題化合物を明るい色の油状物質として得た:収率:39%:H NMR(CDCl)δ7.20(m,5H),6.94(d,1H),2.50(m,4H),1.60(m,4H),1.46(s,9H)。
【0156】
(実施例20)
N−tert−ブチル−C−[1−(フェニル)エチル]ニトロン(化合物20)
2−フェニルプロピオナール(1.34g,10mmol,1.0当量)およびメタノール(50ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(0.93g,10.43mmol,1.25当量)を添加し、続いて濃HClを10滴添加した。この混合物を18時間、室温で攪拌した。この混合物を真空中で濃縮して明るい色の油状物質を得た。この残査油状物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)、続いてEtOAcにより精製して表題化合物を固体として得た。収率:71%、融点56℃:H NMR(DMSOd)δ7.30(s,5H),7.15(s,1H),4.12(m,1H),1.30(s,3H),1.48(s,9H)。
【0157】
(実施例21)
N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)エチル]ニトロン(化合物21)
3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオナール(2.00g,7.62mmol,1.0当量)およびメタノール(50ml)の混合物にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(1.02g,11.44mmol,1.25当量)を添加し、続いて濃HClを10滴添加した。この混合物を18時間、室温で攪拌した。この混合物を真空中で濃縮して白色固体を得た。この残査をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)、続いてEtOAcにより精製して表題化合物(1.96g,80%)を白色固体として得た:収率:80%、融点149℃:H NMR(CDCl)δ6.97(s,2H),6.84(s,1H),2.75(m,4H),1.45(s,9H),1.40(s,18H)。
【0158】
(実施例22)
N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ニトロン(化合物22)
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−1−エタナール(1.50g,2.41mmol)およびメタノール(50ml)の溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(280mg,3.14mmol)を添加し、そして結果として生じた混合物を6時間、窒素気流存在下で攪拌した。この反応混合物を真空中で濃縮して油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)により精製してN−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ニトロンを固体として得た。:収率:31%、融点124℃、H NMR(CDCl)δ7.00(s,2H),6.96(m,1H),3.75(d,2H),1.51(s,9H),1.41(s,18H)。
【0159】
(実施例23)
N−tert−ブチル−C−[(4−メトキシフェニル)プロピル]ニトロン(化合物23)
4−(4−メトキシフェニル)−1−ブタナール(0.43g,2.41mmol)およびメタノール(50ml)の溶液にN−tert−ブチルヒドロキシルアミン(280mg,3.41mmol)を添加し、そして結果として生じた混合物を6時間、窒素気流存在下で還流した。この反応混合物を真空中で濃縮して油状物質を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1)により精製して表題化合物を固体として得た:収率:53%、H NMR(CDCl)δ7.1(m,2H),6.81(m,2H),6.70(m,1H),3.80(s,3H),2.70−2.45(m,4H),1.84−1.75(m,2H),1.42(s,9H)。
【0160】
(実施例I)
(鎮痛試験)
以下の研究の目的は、末梢神経障害の慢性収縮障害(CCI)ラットモデルにおいて試験化合物が鎮痛活性を有する否かを決定することであった。神経障害ラットを、PBN、および他の試験化合物もしくはビヒクルとして1.0%MC中の2.5%DMSOにより試験し、そして侵害受容応答を評価するために低温異痛アッセイにおいて試験した。
【0161】
(実験設計)
低温異痛アッセイの1週間前に、CCIラットを以下のように準備した。雄Sprague Dawleyラット(158−224g)の右坐骨神経を、無菌状態下、ゆるく結さつした。低温異痛応答を観察するために、ラットを低温の水浴(2−4℃、深さ2.5cm)に置くことにより足を引っ込める潜伏期応答を決定した。これらの条件下で、正常ラットは痛みを示さず、もしくはその足を引っ込めない。右肢に神経障害を与えられたラットは、神経障害側(右後ろ肢)の過度の引っ込め応答を示す。低温異痛アッセイのために、二つの低温に対する投与前潜伏時間を記録した。終点は、過度に水から足を出すこととした。一貫した神経障害応答を示さないラットは、この研究から排除した。残りのラットを処置群に分割した。各薬物の投与前に、各ラットについて二つの別々の潜伏期を得た。図1に示される第一の研究において、ラットに、ビヒクル中の懸濁液として化合物1(30mg/kg、経口投与)もしくはPBN(100mg/kg、経口投与)またはビヒクルのみ(1mg/kg、経口投与)を投与した。図2として示される第二の研究において、化合物1の3つの異なる用量(10,30,100mg/kg、経口投与)をCCIラットに投与した。両方の研究において、電子タイマーを用いて水面よりも上に結さつされた足を引っ込める潜伏期を記録した。試験者は試験する時点で動物の処置群を知らされていなかった。
【0162】
いずれの実験においても潜伏期の最大時間は20秒であった。一組みにされた群(投与前と投与後の比較)について、Wilcoxon検定および一組にされない群の間には、Dunn事後(post hoc)検定と一緒にKruskal−Wallis検定を用いて、統計的な有意性を評価した。p<0.05の確率を統計学的に有意であると見なした。
【0163】
(実施例II)
(アジュバントアッセイ)
この実施例において、ラットにおける、式Iの化合物のアジュバント誘導性のフットパッド水腫を軽減する能力を証明する。このアッセイは慢性的な炎症のモデルである。例えば、B.M.Weichman、「Rat Adjuvant Arthritis:A Model of Chronic Inflammation」、Pharmacological Methods in the Control of Inflammation、363−380(1989)およびそこに引用される参考を参照。
【0164】
このアッセイにおいて、ペントバルビタールナトリウム(50mg/ml)の30mg/kgの腹腔内注射によって、180g〜220gの間の体重の雄Lewisラットを軽く麻酔した。鉱油中に懸濁された、乾燥されたMycobacterium butyrium(Difco、20mg/ml)を皮下の尾の付け根の両側に注射した(50μL)。足根関節の角の5mm上に、両後ろ足に線を入れ墨した。アジュバント注射の日(0日目)および14日目に、体積変動測定器(Ugo Basile)を用いた体積置換によって、この線の下の足の体積を測定した。14日目に、足の体積の平均±SDに等しい足の体積を有する動物を、ランダムに処置群とした。±1 SDを越えたラットは、この実験には使用しなかった。一方の群には、経口経路によりビヒクル(1%メチルセルロース)を与え、そして他方の群には、インドメタシン(1%メチルセルロース中に懸濁された3mg/kg)を与えた。投与は14日目に開始し、そしてアジュバントの注射後21日目の最終の評価まで継続した。アジュバントも試験化合物も受けなかった別の群もまた、コントロールとしてモニタリングした。21日目の足の体積を、0日目の値から引いた場合、この群は、ラットの成長に起因するわずかな正の体積の増加を有する。公知の抗炎症化合物であるインドメタシン(3mg/kg、経口投与)は、ビヒクルコントロールと比較して足の体積を有意に減少させた。足の体積を、ビヒクルコントール群と比較して少なくとも約30%減少させる化合物は、この試験において、効果的であると考えられた。代表的な結果を図3に示す。
【0165】
(実施例III)
(コラーゲン関節炎アッセイ)
この実施例において、ラットにおける、式Iの化合物のコラーゲンフットパッド水腫を軽減する能力を証明する。このアッセイは、抗炎症薬物候補を選別および評価するために一般的に使用される。例えば、Larssonら、Arthritis&Rheumatism、33:693−701、1990およびそこに引用される参考を参照。
【0166】
これらの実験において、CremerらによるJ.of Immunology、149:1045−1053、1992に記載されるように、雌DAラット(7〜8週齢)をウシ鼻中隔由来II型コラーゲンで免疫した。コラーゲンを溶解し、そしてフロイント不完全アジュバント(incomplete Freund’s adjuvant)と共に投与した。その投与の前にコラーゲンが変性することを回避するために、調製の間に溶液を低温に保つなどの標準的な注意を払った。ラットを、0日目に、尾の付け根に免疫した。投与は10日目に開始し、ラットの足の重量および体積を21日目に測定した。21日目の足の重量および/もしくは体積と比較することにより、関節炎を評価した。コントロールと比較して足の重量もしくは足の体積を少なくとも約30%減少させる化合物もまた、このアッセイにおいて効果的であると考えられた。代表的な結果を図4に示す。
【0167】
(アッセイ結果)
上記のアッセイにおいて試験された式Iの各化合物は、鎮痛、アジュバントおよび/もしくはコラーゲンアッセイにおいて効果的であることが見出された。例えば、N−tert−ブチル−C−(2−フェニルエチル)ニトロンは、疼痛末梢神経障害のモデルにおいて、10mg/kg、経口投与で、有意に活性であった。さらに、それはラットコラーゲンモデルにおいて有意に活性であった。N−tert−ブチルフェニルニトロン(PBN)のような密接に関連する構造が上記のアッセイにおいて不活性もしくはほぼ不活性であることから、これらの知見は、全体として予測されなかったものである。PBNは、上記の全てのアッセイにおいて試験され、そして完全に不活性であることが見出された。
【0168】
さらに、化合物Iは、全歩行スコアを減少させることにより(図4参照)、コラーゲン関節炎アッセイにおいて有意な活性を示した。この活性は、このモデルにおける疼痛の軽減に関連し、そしてこの一連の化合物が、関節炎における鎮痛活性および抗炎症活性を有することを示す。したがって、化合物1のような化合物は、抗炎症活性および鎮痛活性の両方を有する。
【0169】
(実施例IV)
本発明のニトロン化合物の鎮痛効果の研究のために、タキソールモデルを用いた。以下の実施例は、化合物14の、神経障害性疼痛に対する活性のこの試験の結果を示す。この実施例において従うプロトコルを、以下に記載する。
【0170】
a.タキソール誘導性神経障害疼痛モデル
タキソールは、癌患者の処置のための化学療法剤である。タキソール化学療法下の癌患者は、重篤な機械的異痛の症状を伴う神経障害性疼痛を生じ得、そのため軽い接触(正常な状態では無害な刺激)が痛みとなる。タキソールは、微小管安定物質としての機能のために、β−チューブリンと相互作用することが示されている。最近の研究により、タキソールが、小グリア細胞においてTNF−α放出に関与することが示されている。一つの臨床的に関連性のあるモデルとして、タキソール誘導性神経性疼痛が、マウスおよびラットにおいて発生した。末梢感覚神経系における、直径の小さな閾値の高い侵害受容器のC線維は、完全にではないにしても、広く、タキソール誘導性神経障害性疼痛モデルにおいて影響を受けると考えられている。
【0171】
この一連の実験において、5週齢、雄C57B1/6マウスをCharles Riverから購入し、South San FranciscoのRenovis動物施設で飼育した。マウスを、Plexiglasで作製した2インチ×2.5インチ×3.5インチ(W、H、およびL)寸法の網目の金属支持体を有する囲いにおいて、一週間養成した。機械的刺激に対する応答のベースラインを、フォン・フレイフィラメント(0.6g=3.84mN)を用いて測定した。通常、ベースライン応答は0〜40%の間である。
【0172】
50% Cremophor ELおよび50%アルコール中にタキソールを溶解し(1mg/ml)、そして新たに生理食塩水で希釈し、10% Cremophor EL、10%アルコール中、0.2mg/mlの最終濃度にした。マウスに、1mg/kg体重、腹腔内投与により、毎日タキソールを投与し、同時にコントロール群の動物にビヒクル(生理食塩水中、10% Cremophor ELおよび10%アルコール)を与えた。
【0173】
このタキソールの毎日の投与を受けた動物は、神経障害性疼痛を生じる。この機械的異痛を、タキソール投与後7日目、8日目もしくは14日目に測定した。
【0174】
b.化合物14の溶液の調製
200mgの量の化合物14(実施例14)を0.4mlの100%DMSOに溶解して500mg/mlの濃度を得、そして使用まで4℃に維持した。脱イオン化蒸留水にメチルセルロースを溶解して、1%の濃度を得た。化合物の懸濁液(2.5%DMSO(v/v)および1%メチルセルロース中に10mgの化合物)を作製するために、新たに調製されたメチルセルロースを使用した。動物に投与する前に、懸濁液を、30秒につき5秒間の間隔をおいて、6分間超音波処理した。
【0175】
c.化合物投与および行動測定
50mg/kg(体重)の量の化合物もしくはビヒクル(2.5%DMSOおよび1%メチルセルロース)、100μl/20g(体重)を、ランダムな盲検様式で、栄養飼育手順を介して動物に与えた。次に、アッセイのための囲いに動物を置いた。投与後の種々の時間に、フォン・フレイフィラメント(0.6g=3.84mN)により機械的異痛を測定した。化合物の投与の結果は、図5に示す。
【0176】
d.化合物14は、神経障害性疼痛モデルにおける機械的異痛を阻害する
図5を参照すると、タキソール(または偽処置)による神経障害性疼痛の誘導の前に、動物群におけるベースラインを、25+/−4%(n=24、±SEM)として測定し、この神経障害性疼痛の誘導においては、治験の百分率として、フォン・フレイフィラメント(0.6g=3.84mN)により応答が測定され、引っ込めの応答を、そのフィラメントでプローブした後に観察する。パーセンテージが高くなるほど、推測される疼痛も大きい。
【0177】
神経障害性疼痛を誘導するために、16匹の動物をタキソールで毎日処置した。機械的異痛を8日目にアッセイした;平均引っ込め応答を、81±5%(n=16、±SEM)として測定した。偽動物を作製するために、16匹の動物を該当するビヒクルで処置した。次に、タキソール動物および偽動物を、薬物試験対ビヒクル試験の各8匹の二つの群に、ランダムに分離した。薬物もしくはビヒクルコントロールの投与1時間後、6時間後、24時間後、および72時間後に、フォン・フレイフィラメントプローブへの引っ込め応答を測定し、そして各動物について平均した。図5は、薬物投与もしくはビヒクル投与前の応答に対する、平均引っ込めパーセンテージにおけるこれらの時点での変化を示す(エラーバーはSEMを反映する)。負の値は、推測される疼痛における減少を反映する。
【0178】
(実施例V)
a.さらなる化合物の神経障害性疼痛試験
この一連の実験において、本発明のさらなる化合物を、神経障害性疼痛の処置における可能な活性のために試験した。この試験は、特に、実施例IVで使用されるタキソール誘導性の神経障害性疼痛モデル、ラットを用いる脊髄神経結さつモデル(Chungモデル)を含んだ。各試験は、以下で議論する。
【0179】
b.タキソール誘導神経障害性疼痛モデル
マウス神経障害性疼痛研究のために、C57B1/6系統、5週齢の雄マウスを、Charles River、San Diego、CAから得た。総数120匹のマウスを、研究に使用した。1ケージにつき4匹のマウスを、(Renovis、Inc、South San Francisco施設において)12時間明るくし、かつ12時間暗くするサイクルの標準の条件で飼育した。ラット神経障害性疼痛研究のために、180g〜200gにわたる体重の雄Sprague−Dawleyラットを、Harlanから得た。総数42匹のラットを、この研究に使用した。1ケージにつき3匹のラットを、(Renovis、Inc.、Redwood City施設において)12時間明るくし、かつ12時間暗くするサイクルの標準の条件で飼育した。
【0180】
フォン・フレイフィラメントセットを、Stoelingから購入した。機械的異痛試験のために、特別注文された[2.5インチ×2.5インチ×3インチ(W×H×L)の寸法の]マウス囲いおよび[3.5インチ×4インチ×10インチ(W×H×L)の寸法の]ラット囲いを、IITCから得た。
【0181】
以下のように、腹腔内投与のためにタキソールを調製した。タキソール誘導性神経障害性疼痛マウスモデルのために、1mgのタキソールを50%のCremophor EL/50%の無水EtOH(体積/体積)に溶解し、そして暗所で3日間以下、4℃で維持した。投与前に、タキソール溶液を生理食塩水により希釈し(Cremophor EL/EtOH(50:50)中の1mgのタキソール溶液1体積を、生理食塩水4体積に添加)、10%のCremophor EL、10%のEtOHおよび80%の生理食塩水中、0.2mg/mlのタキソールを得た。1mg/kg(体重)の用量を与えるために、マウスの体重20gにつき100μLのタキソール溶液を、腹腔内投与によりマウスに投与した。
【0182】
タキソール誘導性神経障害性疼痛ラットモデルのために、5mgのタキソールを50%のCremophor EL/50%の無水EtOH(体積/体積)に溶解し、そして暗所で3日間以下、4℃で維持した。投与前に、タキソール溶液を生理食塩水により希釈し(Cremophor EL/EtOH(50:50)中の1mgのタキソール溶液1体積を、生理食塩水4体積に混合)、10%のCremophor EL、10%のEtOHおよび80%の生理食塩水中、1mg/mlのタキソールを得た。1mg/kg(体重)の用量を与えるために、ラットモデルに基づく体重200gにつき200μLのタキソール溶液を、腹腔内投与により各ラットに投与した。
【0183】
c.試験のための化合物の処方物の調製
ラットにおけるニトロン化合物の経口栄養飼育のためのメチルセルロール処方物を、以下のように調製した。1%のメチルセルロースを水中に溶解し、そして4℃に維持した。12サイクルの超音波処理(各サイクルは、30秒連続し、5秒間氷上で間隔をおく)により、50mg/mlおよび20mg/mlの化合物/1%メチルセルロース懸濁液を作製した。体重1kgにつき50mg/mlの化合物もしくは20mg/mlの化合物のいずれか1mlを、経口栄養飼育(経口投与)を介してラットに投与し、50mg/kg(体重)もしくは20mg/kg(体重)のいずれかの用量を得た。1%メチルセルロースの同じ対応する体積を、ビヒクルコントロールとして使用した。
【0184】
化合物14および化合物23を、腹腔内投与のために以下のように調製した。注射前に、250mg/mlの各試験されるべき各化合物を、氷上での短期間の超音波処理により、Cremophor EL/アルコール(90:10)(体積:体積)の混合物にそれぞれ溶解し、続いて生理食塩水溶液(9%Cremophor EL;1%EtOHおよび90%生理食塩水)にさらに10倍に希釈することにより、最終濃度25mg/mlを得た。1ml/kg(体重)の化合物溶液を腹腔内投与によりラットに投与し、25mg/kgの用量を得た。
【0185】
c.マウスにおけるタキソール誘導性神経障害性疼痛モデル
したがって、ベースラインの測定前に、一週間、朝に、一日あたり一時間、囲いにおいてC57B1/6雄マウスを前処理(養成)した。機械的刺激に対するベースライン応答を、0.6g重量(フォン・フレイ数 3.84)のフォン・フレイフィラメントを用いて測定した。その後すぐに、上記で示されるように、フォン・フレイフィラメントをマウスの右後ろ足の播種領域に適用した。足の引っ込めの頻度を、応答の百分率として計算し、ここで、百分率の上昇もしくはより高い百分率は、痛みが多いことを示し、百分率の減少もしくはより低い百分率は、痛みが少ないことを示す。
【0186】
雄成熟マウスのC57B1/6系統による実験に基づいて、応答の40%以下のベースラインを有する動物をさらなる研究に含み、同時に、自発性の機械的異痛として知られるこの特別な刺激の強制に対して、40%より大きい足の引っ込め応答を有するマウスを、これらの研究から除外した。足の引っ込め行動は、刺激した足をなめること、足を勢いよくふるわせること、および害のない機械的刺激の適用の際の能動的回避を含む。自発性の機械的異痛を有しないそれらのマウスのために、前の節に示されるように、マウスに毎日、週に5日、一週間より長い期間にわたってタキソールを投与した。
【0187】
一般的に、毎日、1mg/kg(体重)のタキソールの腹腔内投与により処置されたマウスは、9日目およびそれ以降に、比較的安定な機械的異痛、神経障害性疼痛を生じる。化合物の投与前、0.6gのフォン・フレイフィラメントに対するマウスの応答を、連続する2日にわたって朝に測定した。機械的異痛として計数された、60%以上のこの特定のフォン・フレイフィラメント刺激に対する足の引っ込め応答を有するマウスのみを、後の化合物試験に含めた。
【0188】
d.結果
8つのニトロン化合物(化合物1、4,6、7、14、15および21)を、マウスにおけるタキソール誘導性神経障害性疼痛モデルにおいて、50mg/kg(体重)、単回投与で試験し、そして機械的異痛を、投与後1時間、6時間、24時間、48時間もしくは72時間に測定した。化合物1は、投与後1時間で鎮痛効果を示した。化合物14は、投与後1時間〜投与後24時間まで、機械的異痛の有意な軽減を示した。異なる用量もしくは処方物、異なるモデルもしくは異なる生物、または実際のヒトの疾患の場合のように、これらのデータは、この後者の群の化合物による鎮痛活性の論証を排除しないが、試験された他の化合物は、50mg/kgで経口栄養飼育を介して、タキソール誘導性疼痛マウスに有意な鎮痛効果を示さなかった。
【0189】
化合物1および化合物14の効果を証明する結果を、図6および図7に記載し、そして全ての化合物の結果の要旨を、以下の表IIIの最初の8列に示す。この表の最後の2列は、以下の実施例VIに記載のChungモデルにおける化合物1および化合物14の試験の結果を示す。
【0190】
【表3】

【0191】
(実施例VI)
a.脊髄神経結さつ(Chung)モデルにおける神経障害性疼痛試験
180〜200gの体重の、Harlan由来の雄Sprague−Dawleyラットを用いた。それらを、標準の飼育条件で飼育し、そしてベースラインの測定の前に1週間養成した。ラットを、上記の実施例Vに記載する方法で、タキソールの腹腔内投与により調製した。脊髄神経結さつ手術を、Kim&Chung(Kim,S.O.、およびChung,J.M、An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in rat.Pain.1992;50:355−363)により記載されるように行った。
【0192】
神経障害性疼痛の発達を、50%閾値の測定を用いて、フォン・フレイフィラメントを用いて測定した。連続する2日の測定について、7g以下の足の引っ込め閾値を示したラットのみを、薬物試験に含んだ。一般的に言われるように、脊髄神経結さつモデルラットにおける機械的異痛は、1〜4gの足の引っ込め閾値の範囲に入った。この試験の結果を、図8に記載し、そして表IIIの最後の2列に要約する。
【0193】
b.結果
二つの化合物、化合物14および化合物23を、ラットにおけるChungモデルにおいて、25mg/kg、単回腹腔内投与で試験した。両方の化合物が、コントロールを上回る有意な鎮痛効果を示し、そして化合物の一回の投与について長期間にわたってこのような効果を維持した。これらの結果はさらに、本発明の化合物、そして本明細書中で教示される対応する薬学的組成物の治療活性を強める。
【0194】
先の記載から、本発明の組成物および方法における種々の改変および変化は、当業者に想起される。添付の請求の範囲内に現れる全てのこのような改変は、そこに含まれるものとして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】CCIラットの化合物1による処置が、低温異痛アッセイにおける潜伏期を上昇させることを示すグラフ。低温刺激に対し潜伏期を示す慢性収縮傷害(CCI)ラットを、ビヒクル、化合物1(30mg/kg、経口内投与)もしくはPBN(100mg/kg、経口投与)により処置した。投与90分後に、再び動物を試験した。投与前および投与後の平均スコアを示す。30mg/kgの化合物1による処置の投与90分後、有意により高い潜伏期スコアが記録された(投与前スコアに対してp<0.05、Wilcoxon検定)。Kruskal−Wallis検定は、30mg/kgの化合物1により処置された動物において、ビヒクル(n=11)を上回る有意な投与後潜伏期スコアを示した(投与後のビヒクルに対してp<0.05、n=10、Dunn’s事後検定)。同一の条件下、同じアッセイにおいて、N−tert−ブチルフェニルニトロン(PBN)は完全に不活性であった。
【図2】CCIラットの化合物1による処置が、慢性収縮傷害(CCI)の低温異痛アッセイにおける潜伏期を上昇させることを示すグラフ。低温刺激に対し潜伏期を示すラットを、ビヒクルおよび異なる濃度の化合物1(10、30、100mg/kg、経口投与)により処置した。投与90分後に、再び動物を試験した。投与前および投与後の平均スコアを示す。10、30、および100mg/kgの化合物1による処置は、投与前スコアより上に潜伏時間を有意に上昇させた(投与前スコアに対してp<0.05、Wilcoxon検定)。Kruskal−Wallis検定は、30mg/kg(投与後のビヒクルに対してp<0.05、n=10、Dunn’s事後検定)および100mg/kg(投与後のビヒクルに対してp<0.01、n=10、Dunn’s事後検定)の化合物1により処置された動物において、ビヒクル(n=10)を上回る有意な投与後潜伏期スコアを示した。
【図3】上記のラットコラーゲンアッセイにおける、試験化合物による処置後の前足体積の差異を示すグラフ。このモデルにおける、N−tert−ブチルフェニルニトロン(PBN)と比較して予想外の化合物1の活性に留意されたい。PBNは、このモデルにおいて100mg/kgで試験した場合、不活性である。
【図4】ラットコラーゲンモデルにおいて、化合物1が鎮痛剤として活性を有することを示すグラフ。この研究において、疼痛の指標として歩行スコアの総和を測定した。このモデルにおいて、歩行スコアは疼痛と関係することが公知である。歩行スコアの総和の低下は、疼痛からの解放を示す。
【図5】ラットモデルにおいて、化合物14がタキソール誘導性疼痛の防止活性を有することを示すグラフ。
【図6】タキソール誘導性の神経障害性疼痛モデルの機械的疼痛への化合物1の鎮痛効果を示すグラフ。
【図7】化合物14がタキソール誘導性の神経障害性疼痛モデルにおいて機械的異痛を阻害することを示すグラフ。
【図8】Chungモデルにおいて化合物14および23が機械的異痛を減弱することを示すグラフ。
【図9】実施例において作製される本発明のいくつかの化合物を示す一連の構造式。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
【化1】


の化合物であって、ここで:
(i)nが1〜6に及ぶ値の整数であり;
(ii)各Rが、以下:
水素、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、
ハロ、ハロアルキル、
ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシル、アシル、カルボキシレート、カルボキシル、アルカノイルオキシ、
ニトレート、ニトライト、ニトリル、シアネート、イソシアネート、一級アミノ、二級アミノ、三級アミノ、アジド、カルボキシアミド、アシルアミノ
チオール、スルホニル、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、スルホンアミド、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、
酸素複素環、窒素複素環および硫黄複素環
から独立して選択され;
(iii)R、RおよびRが、水素、アルキルおよびシクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;そして
(iv)Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキレン、シクロアルケニル、アリールおよびアラルキルから選択され、
ただし、
a)nが1もしくは2であって、かつRがt−ブチルもしくはメチルである場合、R、R、RおよびRは、全てが水素ではなく;
b)nが1であり、かつRが、4−ジメチルアミノ、4−メチルもしくは4−メトキシであって、その残りのRが水素であり、かつRがメチルである場合、R、RおよびRは、全てが水素ではない;
c)nが1であって、かつRが、3,5−ジ−tert−ブチルであって、その残りのRが水素であり、かつRがtert−ブチルである場合、R、RおよびRは、全てが水素ではなく;
d)nが1であって、かつRがtert−ブチルもしくはフェニルであって、かつRがメチルである場合、R、RおよびRは、全てが水素ではない;
e)nが1であって、かつRがメチルもしくはフェニルであって、Rがメチルである場合、R、RおよびRは全てが水素ではなく;
f)nが1であって、かつRおよびRがどちらもメチルである場合、R、RおよびRは、全てが水素ではなく;
g)nが1であって、Rがメチルであり、かつRがシクロヘキシルもしくはフェニルである場合、R、RおよびRは、全てが水素ではなく;
h)nが1であって、Rが2,5−ジメチルもしくは2,5−ジメトキシであって、その残りのRが、水素であり、かつRがシクロヘキシルである場合、RおよびRは、全てが水素ではなく;そして
i)nが4であって、かつRがシクロヘキシルである場合、R、R、RおよびRは全てが水素ではなく、化合物。
【請求項2】
前記R基が、水素ならびにアルキル、アルコキシ、アルコキシアルコキシル、ヒドロキシル、アミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、スルホニル、スルホネート、スルホンアミド、アシルおよびアリールから選択される0〜3つまでの非水素を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、1〜5つのハロゲンを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
nが1〜4の値を有する整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
n=1であり、かつR、RおよびRがともに全て水素であるか、または二つの水素と一つの低級アルキルである、請求項1に記載の化合物;ならびに
n=2もしくは3であり、かつR、RおよびRが全て水素ならびに二つまで低級アルキルである、物質。
【請求項6】
n=1であり、かつR、RおよびRがともに全て水素もしくは二つの水素と一つの低級アルキルである、請求項2に記載の化合物;ならびにn=2もしくは3であり、かつR、RおよびRが全て水素ならびに二つまで低級アルキルである物質。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物であって、
およびRが以下:
【表1A−1】


【表1A−2】


からなる基から選択される、化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、以下:
化合物2 N−tert−ブチル−C−{2−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]エチル}ニトロン
化合物3 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物4 N−tert−ブチル−C−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物5 N−tert−ブチル−C−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]ニトロン
化合物6 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロポキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物7 N−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物8 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]エチル]ニトロン
化合物9 N−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物10 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物11 N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフィミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物12 N−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン
化合物13 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロピルフェニル)−1−メチルエチル]ニトロン
化合物14 N−tert−ブチル−C−(4−フェニルプロピル)ニトロン
化合物15 N−tert−ブチル−C−[1−(4−tert−ブチルベンジル)−エチル]ニトロン
化合物16 N−tert−ブチル−C−[1−メチル−2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物18 N−シクロヘキシル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン
化合物19 N−tert−ブチル−C−[4−フェニルブチル]ニトロン
化合物21 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物22 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ニトロン
化合物23 N−tert−ブチル−C−[4−(メトキシ−フェニル)プロピル]ニトロン
からなる群から選択される、
化合物および薬学的に受容可能なそれらの塩。
【請求項9】
少なくともPh−Z−C(R)=N(=O)−を有するニトロン化合物であって、
ここで、Phが、置換アリール部分または非置換アリール部分を示し、かつZが、該アリール部分とニトロン炭素との間で共有結合される長さにして1〜6個の炭素原子の飽和脂肪族炭素鎖である、化合物であって、
Zが、−CH−CH−であり、RがHであり、かつ、Phが非置換アリールである場合に、該ニトロンのN原子は、t−ブチルまたはメチルに結合しておらず;
Zが、−CH−であり、RがHであり、Phが、置換アリールであって、その置換が4−N(CH、4−OCH、Hおよび4−CHからなる群より選択される場合に、該ニトロンのN原子は、メチルに結合しておらず;
Zが、−CH−であり、RがHであり、Phが置換アリールであって、その置換が、3,5−ジ−t−ブチル、3,4−(OCHO)−およびHからなる群より選択され、該ニトロンのN原子は、t-ブチルに結合しておらず;
Zが−CH−であり、RがCHであり、Phが非置換アリールである場合に、該ニトロンのN原子が、メチルまたは非置換フェニルに結合しておらず;
Zが−CH−であり、RがHであり、Phが非置換アリールである場合に、該ニトロンのN原子が、非置換フェニルに結合しておらず:
Zが、−CH(CH)−であり、RがHであり、そして、Phが置換アリールである場合に、該ニトロンのN原子が、メチル、シクロヘキシル、または非置換フェニルに結合しておらず;
Zが、−CH(CH)−であり、RがHであり、そして、Phが置換アリールであり、該置換が、2,5−ジメトキシ、および2,5−ジメチルからなる群より選択され、該ニトロンのN原子は、シクロヘキシルに結合しておらず;そして
Zが、-CH−(CH−であり、RがHであり、そして、Phが非置換アリールである場合に、該ニトロンのN原子は、シクロヘキシルに結合していない、
ニトロン化合物。
【請求項10】
Zが直鎖アルキレンである、請求項9に記載のニトロン化合物。
【請求項11】
Zが分枝鎖アルキレンである、請求項9に記載のニトロン化合物。
【請求項12】
Zがメチレンである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項13】
Zがエチレンである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項14】
Zがn−プロピレンである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項15】
Zがn−ブチレンである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項16】
Zがイソプロピレンである、請求項11に記載のニトロン化合物。
【請求項17】
前記ニトロン窒素が低級アルキルに結合している、請求項9に記載のニトロン化合物。
【請求項18】
前記低級アルキルがメチルである、請求項17に記載のニトロン化合物。
【請求項19】
前記低級アルキルがtert−ブチルである、請求項17に記載のニトロン化合物。
【請求項20】
前記アリール部分がフェニルである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項21】
前記アリール部分が、一つまたは二つの低級アルキルで置換されるフェニル基である、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項22】
前記アリール部分が、一つもしくは二つの低級アルキルおよび一つのヒドロキシルで置換されるフェニルである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項23】
前記アリール部分が、一つもしくは二つのアルコキシルで置換されるフェニルである、請求項10に記載のニトロン化合物。
【請求項24】
薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリアおよび活性成分として以下の式I:
【化2】


の一つ以上の化合物を含有し、
ここで:
(i)nが1〜6に及ぶ値の整数であり;
(ii)各Rが、以下:
水素、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、
ハロ、ハロアルキル、
ヒドロキシル、アルコキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシル、アシル、カルボキシレート、カルボキシル、アルカノイルオキシ、
ニトレート、ニトライト、ニトリル、シアネート、イソシアネート、一級アミノ、二級アミノ、三級アミノ、アジド、カルボキシアミド、アシルアミノ、
チオール、スルホニル、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、スルホンアミド、チオアリールオキシ、チオアルコキシ、
酸素複素環、窒素複素環および硫黄複素環
から独立して選択され;
(iii)R、RおよびRが、水素、アルキルおよびシクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;そして
(iv)Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキレン、シクロアルケニル、アリールおよびアラルキルから選択される、
薬学的組成物。
【請求項25】
前記R基が、水素、ならびにアルキル、アルコキシ、アルコキシアルコキシル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、スルホニル、スルホネート、スルホンアミド、アシルおよびアリールから選択される0〜3つの非水素を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
nが1〜4の値を有する整数である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
n=1であり、かつR、RおよびRがともに全て水素であるか、または二つの水素と一つの低級アルキルである、請求項24に記載の組成物;ならびにn=2もしくは3であり、かつR、RおよびRが、全て水素であり、そして、二つまで低級アルキルである、物質。
【請求項28】
n=1であり、かつR、RおよびRがともに全て水素であるかもしくは二つの水素と一つの低級アルキルである、請求項24に記載の組成物;ならびにn=2もしくは3であり、かつR、RおよびRが全て水素ならびに二つまで低級アルキルである物質。
【請求項29】
請求項27に記載の組成物であって、 RおよびRが、以下:
【表2A】


からなる基から選択される、組成物。
【請求項30】
薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリアおよび活性成分として以下:
化合物1 N−tert−ブチル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン
化合物2 N−tert−ブチル−C−{2−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]エチル}ニトロン
化合物3 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ヒドロキシフェニル]エチル]ニトロン
化合物4 N−tert−ブチル−C−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物5 N−tert−ブチル−C−[4−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)フェニル]ニトロン
化合物6 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロポキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物7 N−tert−ブチル−C−[2−(4−エトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物8 N−tert−ブチル−C−[2−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]エチル]ニトロン
化合物9 N−tert−ブチル−C−[2−(4−アセトアミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物10 N−tert−ブチル−C−[2−(4−ベンゼンスルホンアミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物11 N−tert−ブチル−C−[2−(4−N,N−ジベンゼンスルフィミドフェニル)エチル]ニトロン
化合物12 N−tert−ブチル−C−(5−フェニルペンチル)ニトロン
化合物13 N−tert−ブチル−C−[2−(4−イソプロピルフェニル)−1−メチルエチル]ニトロン
化合物14 N−tert−ブチル−C−(4−フェニルプロピル)ニトロン
化合物15 N−tert−ブチル−C−[1−(4−tert−ブチルベンジル)−エチル]ニトロン
化合物16 N−tert−ブチル−C−[1−メチル−2−(4−メトキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物17 N−tert−ブチル−C−フェニルメチルニトロン
化合物18 N−シクロヘキシル−C−(2−フェニルエチル)ニトロン
化合物19 N−tert−ブチル−C−[4−フェニルブチル]ニトロン
化合物20 N−tert−ブチル−C−[1−(フェニル)エチル]ニトロン
化合物21 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ニトロン
化合物22 N−tert−ブチル−C−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ニトロン
化合物23 N−tert−ブチル−C−[4−(メトキシ−フェニル)プロピル]ニトロン、
および薬学的に受容可能なそれらの塩
からなる群より選択される一つ以上の化合物
を含有する、薬学的組成物。
【請求項31】
薬学的キャリアおよび活性成分として少なくとも一つのニトロン化合物を含有する薬学的組成物であって、該ニトロン化合物が、少なくともPh−Z−C(R)=N(=O)−を有するニトロン化合物であって、Phが置換アリール部分もしくは非置換アリール部分を示し、かつZが該アリール部分とニトロン炭素との媒介として共有結合される1〜6個の長さの炭素原子の飽和脂肪族炭素鎖である、薬学的組成物。
【請求項32】
Zが直鎖アルキレンである、請求項31に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
Zが分枝鎖アルキレンである、請求項31に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
Zがメチレンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
Zがエチレンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
Zがn−プロピレンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
Zがn−ブチレンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
Zがイソプロピレンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記キャリアが注入可能なキャリアである、請求項24〜38のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記組成物が、固体キャリアである、請求項24〜38のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記組成物が、単位用量形態である、請求項24〜38のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項42】
哺乳動物における炎症を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下:
炎症の治療有効量または予防有効量である請求項24〜41のいずれかに記載の薬学的組成物を該哺乳動物に投与する工程
を包含する、方法。
【請求項43】
哺乳動物における神経障害性疼痛を処置または予防するための方法であって、該方法は、
神経障害性疼痛の治療有効量または予防有効量の、請求項24〜41のいずれかに記載の薬学的組成物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項44】
哺乳動物の脳または脊髄に対する外傷性損傷を処置するための方法であって、脳または脊髄の外傷性損傷の治療有効量の請求項24〜41のいずれかに記載の薬学的組成物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項45】
前記哺乳動物がヒトである、請求項42〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
炎症および/または神経障害性疼痛および/または外傷性脳損傷の、哺乳動物における処置もしくは予防のための、請求項24〜41のいずれかに記載の薬学的組成物の使用。
【請求項47】
炎症および/または神経障害性疼痛および/または外傷性脳損傷の、哺乳動物における処置もしくは予防のための組成物を調製するための、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項48】
炎症および/または神経障害性疼痛および/または外傷性脳損傷の、哺乳動物における処置もしくは予防のための組成物を調製するための、請求項10〜23のいずれかに記載の化合物の使用。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−511488(P2006−511488A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545410(P2004−545410)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/032883
【国際公開番号】WO2004/034999
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505140384)レノビス, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】