説明

炎症性またはアレルギー性疾患の処置のためのピペリジン−アセトアミド誘導体

CCR3の作用によって介在される疾患の処置に有用な、式


〔RおよびRは独立して、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルキル、ハロゲンまたは5もしくは6個の環員を有し、そしてN、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換ヘテロシクリルで1回以上置換された(C6−18)アリールまたは(C6−18)アリール(C1−6)アルキルである〕
の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジン−4−アクリルアミド、例えば記載の式の化合物、および医薬としてのその使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
1つの局面において、本発明は式
【化1】

〔RおよびRは独立して、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルキル、ハロゲンまたは5もしくは6個の環員を有し、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換ヘテロシクリルで1回以上置換された(C6−18)アリールまたは(C6−18)アリール(C1−6)アルキルである〕
の化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
他の局面において、本発明はRおよびRが独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲンまたは5個の環員を有し、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換ヘテロシクリルで1回以上置換されたフェニルまたはフェニル(C1−4)アルキルである、式(I)の化合物を提供する。
【0004】
他の局面において、本発明はRがメチルまたはフルオロで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルであり、
がメチル、フルオロまたは1−メチル−テトラゾール−5−イルで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルである、式(I)の化合物を提供する。
【0005】
本明細書においてそうでないことが定義されていない限り、
− アルキルは(C1−6)アルキル、例えば(C1−4)アルキル、例えばメチルを含む;
− アルコキシは(C1−6)アルコキシ、例えば(C1−4)アルコキシ、例えばメトキシを含む;
− アリールは所望により(C6−18)アリール、例えばフェニルと縮合していてもよい(C6−18)アリール、例えばフェニルを含む;
− アリール−アルキルは(C6−18)アリール(C1−6)アルキル、例えばフェニル(C1−6)アルキル、例えばフェニル−メチル(ベンジル)またはフェニル−エチル(フェネチル)を含む;
− ヘテロシクリルは、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子;例えばNを有する5または6員芳香族性または非芳香環系、例えばテトラゾリル、好ましくは1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルを含む;
− ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ、例えばフルオロを含む;
− ハロアルキルは、ハロ(C1−6)アルキル、例えばハロ(C1−4)アルキル(ここでハロは1個以上のハロゲン、好ましくはトリフルオロメチル)を含む;
【0006】
あらゆる基は、非置換であるか、または置換されていてもよく、例えば有機化学の分野で常套の基、例えばハロゲン、ハロアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルカルボニルアミノ、アミノアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、アミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、5もしくは6個の環員を有し、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有するヘテロシクリル;(C1−4)アルキルヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは5もしくは6個の環員を有し、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む);ヒドロキシ(C1−4)アルキルヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは5もしくは6個の環員を有し、N、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む);カルボキシル、(C1−4)アルキルカルボニルオキシ、アミノ(C1−4)−アルキルカルボニルオキシから選択される基で置換されていてもよい。
【0007】
式(I)の化合物において、定義の置換基1個ずつが、互いに独立して定義の置換基の好ましい置換基であってよい。
【0008】
式(I)の化合物において、好ましくはRはメチルまたはフルオロで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルであり、Rは上記定義のとおりである。
式(I)の化合物において、好ましくはRはメチル、フルオロまたは1−メチル−テトラゾール−5−イルで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルであり、Rは上記定義のとおりである。
【0009】
他の局面において、本発明は次から選択される化合物を提供する:
− N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2−[1−(3−メチル−4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2−[1−(3,4−ジメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−[1−(3−メチル−4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−[1−(3,4−ジメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミド
− 2−[1−(4−フルオロ−3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アセトアミド
− 2−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アセトアミド
− 2−[1−(4−フルオロ−3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アセトアミド
【0010】
− 2−[1−(3,4−ジメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アセトアミド
− 2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド
− 2−[1−(4−フルオロ−3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド
− 2−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド
− 2−[1−(3、4−ジメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−N−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミド
− N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミド
− N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミド
− 2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−N−[3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−アセトアミド。
【0011】
上記化合物に使用した命名法は、ソフトウェア“ISIS draw, Version 2.5”を用いて得られる命名法による。
【0012】
本発明によって使用されるか、または提供される化合物を、本明細書において、「本発明の化合物」と称する。本発明の化合物はあらゆる形態の化合物、例えば遊離形、塩形、溶媒和物形および塩の溶媒和物形の化合物を含む。
【0013】
他の局面において、本発明は塩形の本発明の化合物を提供する。
【0014】
好ましくはかかる塩には薬学的に許容される塩が含まれるが、例えば製造/単離/精製の目的で薬学的に許容されない塩を含む。
本発明の化合物の塩は、金属塩または酸付加塩を含む。金属塩は例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含み;酸付加塩は式(I)の化合物と酸、例えばフマル酸水素、フマル酸、ナフタリン−1,5−スルホン酸、塩酸、重塩酸;好ましくは塩酸との塩を含む。
【0015】
遊離形の本発明の化合物を対応する塩形の化合物に変換することができ;また塩形の本発明の化合物を対応する遊離形の化合物に変換することもできる。遊離形または塩形、および溶媒和物形の本発明の化合物は、対応する非溶媒和物形の遊離形または塩形の化合物に変換することができ;また非溶媒和物形の遊離形または塩形の本発明の化合物を対応する遊離形または塩形、および溶媒和物形の化合物に変換することもできる。
【0016】
本発明の化合物は純粋な異性体;例えば光学異性体、ジアステレオマー、cis/trans異性体またはそれらの混合物の形態で存在していてもよい。本発明の化合物は、例えば不斉炭素原子を含んでいてもよく、したがってエナンチオマーまたはジアステレオマー、およびそれらの混合物、例えばラセミ体の形態で存在していてもよい。何れかの不斉炭素原子は、(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置、好ましくは(R)−または(S)−立体配置で存在していてもよい。
【0017】
適切に、例えば常套の方法に従って、または例えばそれに準じて、異性体混合物を分離して純粋な異性体を得ることができる。本発明は何れかの異性体形態および何れかの異性体の混合物の本発明の化合物を含む。
【0018】
本発明はまた、互変異性体が存在し得るとき、式(I)の化合物の互変異性体も含む。
【0019】
他の局面において、本発明は式(I)の化合物の製造方法であって、次の工程
【化2】

〔式中、Protは保護基、例えばBocである〕
で化合物を製造して、得られた式(I)の化合物を反応混合物から単離することを含む。
経路a)を用いるとき、例えばEtN、KJ、CHCNの存在下、適切な温度で、適切な時間該反応を行う。
経路b)を用いるとき、例えばNaBH(OAc)、THF、DIEAの存在下、適切な温度で、適切な時間該反応を行う。
【0020】
中間体(出発物質)に官能基が存在するとき、これは所望により保護された形態であってよく、あるいは塩形成基が存在する時、これは塩形であってもよい。所望により存在する保護基は、適切な段階で、例えば常套の方法に従って、または例えばそれに準じて除去され得る。
そうして得た式(I)の化合物を他の式(I)の化合物に変換することができ、または例えば遊離形で得られた式(I)の化合物を式(I)の化合物の塩に変換することができ、また塩形で得られた式(I)の化合物を遊離形の式(I)の化合物に変換することができる。
【0021】
上記反応は適切に、例えば常套の方法に準じて実施され得る。
【0022】
中間体(出発物質)は既知であるか、または常套の方法または本明細書に記載の方法に従って、または例えばそれらに準じて製造することができる。
【0023】
本明細書に記載の何れかの化合物、例えば本発明の化合物および式Iまたは式Iの中間体が、適切に、例えば常套の方法に従って、または例えばそれに準じて、あるいは本明細書に記載のとおりに製造され得る。
【0024】
本発明の化合物、例えば式(I)の化合物は薬理学的活性を示し、したがって医薬として有用である。例えば、式(I)の化合物は、例えばCCR3によって介在される疾患の処置用医薬の製造のために有用である。
【0025】
本発明の化合物はCCR3受容体アンタゴニストとして作用し、それによって炎症細胞、特に好酸球の浸潤および活性化を阻害してアレルギー性応答を阻害する。本発明の化合物の阻害特性は、下記アッセイによって示され得る:
【0026】
このアッセイにおいて、ヒトエオタキシンとヒトCCR3の結合に対する本発明の化合物の効果を測定する。WGAと細胞表面糖タンパク質の糖残基間の特異的相互作用を介して、コムギ胚芽凝集素(WGA)ポリビニルトルイジン(PVT)SPAビーズ(Amershamから入手可能)でヒトCCR3を発現する組換え細胞を捕捉する。[125I]−ヒトエオタキシン(Amershamから入手可能)は、[125I]−ヒトエオタキシンをSPAビーズと近接させるCCR3受容体と特異的に結合する。[125I]−ヒトエオタキシンから放出されるa−粒子は、その近接によって、ビーズ内のフルオロフォアを励起して、光を生じる。溶液中の遊離[125I]−ヒトエオタキシンはシンチラントと近接せず、したがって光を生じない。したがって、シンチレーション・カウントは、試験化合物がエオタキシンとCCR3の結合をどの程度阻害するかの尺度である。
【0027】
アッセイバッファーの製造:5.96g HEPESおよび7.0g 塩化ナトリウムを蒸留水に溶解させ、1M CaCl水溶液(1ml)と1M MgCl水溶液(5ml)を加える。NaOHでpHを7.6に調節し、蒸留水を用いて最終体積1Lとする。該溶液に5gウシ血清アルブミンと0.1g NaNを溶解させ、得られたバッファーを4℃で保存する。使用する日にバッファー50mlあたり、Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット(Boehringerから入手可能)を1個加える。
【0028】
均質化バッファーの製造:蒸留水にTris塩基(2.42g)を溶解させ、HClで該溶液のpHを7.6に調節する。蒸留水で得られた溶液を希釈して最終体積1Lとする。得られたバッファーを4℃で保存する。使用する日にバッファー50mlあたり、Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテルタブレットを1個加える。
【0029】
膜の製造:酵素を含まない細胞解離バッファーを用いて組織培養フラスコからコンフルエントな安定的にCCR3を発現するラット好塩基性白血病(RBL−2H3)細胞を分離し、リン酸緩衝化食塩水に懸濁する。該細胞を遠心分離し(800g、5分)、得たペレットを氷冷均質化バッファーに再懸濁し(均質化バッファー1ml/細胞1グラムを用いる)、氷上で30分間インキュベートする。氷上、ガラス乳鉢と乳棒で10ストロークで、細胞をホモジナイズする。ホモジネートを遠心分離し(800g、5分、4℃)、得た上清を遠心分離し(48,000g、30分、4℃)、得たペレットを10%(v/v)グリセロールを含む均質化バッファーに再溶解させる。Bradford(Anal. Biochem. (1976) 72:248)法で膜調製物のタンパク質含有量を概算し、アリコートをスナップ凍結して−80℃で保存する。
【0030】
最終体積250μl/Optiplate(商標)マイクロプレート(Canberra Packard)のウェルで該アッセイを実施する。マイクロプレートの選択したウェルに5%DMSOを含む試験化合物のアッセイバッファー溶液(濃度0.01nM〜10μM)50μlを加える。全結合を測定するために、他の選択ウェルに5%DMSOを含むアッセイバッファー50μlを加える。非特異的結合を測定するために、さらに選択したウェルに5%DMSOを含む100nM ヒトエオタキシン(R&D Systems)のアッセイバッファー溶液50μlを加える。全ウェルに5%DMSOを含む濃度250pM(最終濃度50pM/ウェルとなる)の[125I]−ヒトエオタキシン(Amersham)のアッセイバッファー溶液50μl、アッセイバッファー中WGA−PVT SPAビーズ50μl(最終濃度1.0mgビーズ/ウェルとなる)およびアッセイバッファー中濃度100μgタンパク質の膜調製物100μl(最終濃度10μgタンパク質/ウェルとなる)を加える。室温で4時間、該プレートをインキュベートする。TopSeal-S(商標)シーリングテープ(Canberra Packard)を用い、製造業者の指示に従ってプレートを密封する。Canberra Packard TopCount(商標)シンチレーションカウンターを用いて、各ウェルを1分間、得られたシンチレーションを計測する。常套の方法で、50%阻害を生じる試験化合物の濃度(IC50)を濃度−阻害曲線から決定する。
【0031】
下記本発明の実施例化合物は一般に、上記アッセイにおいて1μM未満のIC50を有し、例えば実施例17の化合物は約0.2μMのIC50値を有する。
【0032】
大部分の実施例化合物は、アルファ−1アドレナリン受容体の結合阻害に対してCCR3結合の阻害に選択性を示す。
【0033】
アルファ−1アドレナリン受容体の結合に対する本発明の化合物の阻害特性は下記アッセイにおいて測定され得る:
雄Sprague-Dawleyラット(175−200g)の大脳皮質を取り出して、氷冷0.32M ショ糖(1mM MgCl二水和物および1mM KHPOを含む)10倍体積中、ガラス/テフロンホモジナイザーでホモジナイズする。1000×gで15分間、膜を遠心分離し、ペレットを除去し、遠心分離を反復する。上清をプールし、18,000×gで15分間遠心分離する。ペレットに水10倍体積での浸透圧ショックを与え、氷上で30分間静置する。39,000×gで20分間懸濁液を遠心分離し、20mM Trisを含むKrebs-Henseleit バッファー pH7.4(1.17mM MgS0無水、4.69mM KCl、0.7mM KHPO無水、0.11M NaCl、11mM D−グルコースおよび25mM NaHCO)に再懸濁し、−20℃で2日間静置する。20−23℃で膜を解凍し、Krebs-Henseleit バッファーで3回、18,000×gで15分間遠心分離して洗浄し、4℃で一夜静置し、3回洗浄を反復する。ガラス/テフロンホモジナイザーで同じバッファーに最終ペレットを125ml/100膜でホモジナイズする。サンプルを採取し、タンパク質濃度を測定して(標準としてガンマグロブリンを用いたBradfordアッセイを使用する)、残余を等分し、−80℃で保存する。
【0034】
得られた膜を放射性リガンド結合アッセイに供する。[125I]−HEAT(Amersham)(40pM、K:58.9±18.7pM)、ラベルなしの試験化合物および膜(57.1μg/ml)を含み、最終体積250μl(50mM Tris−baseおよび0.9%(w/v)NaCl、pH7.4を含むアッセイバッファー)とする96ウェルプレートを用いて、該アッセイを3連で実施する。37℃で60分間該プレートをインキュベートし、その後Whatman(商標)GF/C 96ウェルフィルタープレートで急速真空濾過を実施する。Brandel Cellハーベスター(Gaithersburg, MD)を用いて各プレートを10ml 氷冷アッセイバッファーで3回洗浄する。50℃で3時間該プレートを乾燥させた後、各ウェルに40μl Microscint 20を加え、室温でさらに20分間該プレートをインキュベートし、Packard TopCount NXT(商標)シンチレーションカウンターで残留放射活性を定量する。
【0035】
最初に試験化合物の原液を100% DMSOに溶解させ、アッセイバッファーで必要な濃度に希釈して、1%(v/v)DMSOを得る。50%阻害が生じる試験化合物の濃度(IC50)は、濃度−阻害曲線から常套の方法で決定される。
【0036】
CCR3の結合阻害に関して、本発明の化合物はCCR3によって介在される状態、特に炎症性またはアレルギー性状態の処置に有用である。本発明の処置は、対処的または予防的であってよい。
【0037】
したがって、本発明の化合物は例えば組織損傷、気管支過活動、リモデリングまたは疾患進行を引き起こす炎症性または閉塞性気道疾患の処置に有用である。本発明が適用され得る炎症性または閉塞性気道疾患には、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息のいずれをも含むあらゆるタイプまたは起源の喘息、軽度の喘息、中度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘導性喘息、職業性喘息および細菌もしくはウイルス感染によって誘発される喘息が含まれる。喘息の処置は、例えば喘鳴症状を示し、そして「喘鳴小児」と診断されたもしくは診断される可能性があり、主要な医学的関心事項として確立された患者カテゴリーであり、そして現在ではしばしば初期または早期喘息と定義される4または5歳未満の対象の処置を含むことが理解される。(簡便上、この特定の喘息状態を「小児喘鳴症候群」と称する。)
【0038】
喘息の処置における予防効果は、例えば急性喘息の症状発作または気管支収縮発作の頻度または重症度の減少、肺機能の改善または気道過反応性の改善によって示される。これはさらに、他の対症療法、すなわち症状発作が起きたとき、その低減または阻止のためのまたはそれを意図する治療において必要とされる、例えば抗炎症剤(例えばコルチコステロイド)または気管支拡張剤を減量することによって示され得る。喘息の予防効果は、特に、「モーニング・ディッピング(morning dipping)」の傾向がある対象において明確であり得る。「モーニング・ディッピング」は、実質的な割合の喘息において共通であり、例えば朝およそ4〜6時、すなわち喘息の症状治療の直前の投与から通常実質的に離れた時点での喘息発症によって特徴付けられる喘息症候群と理解される。
【0039】
他の炎症性または閉塞性気道疾患および本発明が適用可能である状態には、急性肺損傷(ALI)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患、気道疾患もしくは肺疾患(COPD、COADもしくはCOLD)、例えば慢性気管支炎もしくはそれに関連する呼吸困難、肺気腫、ならびに他の薬剤療法、特に他の吸入薬剤療法の結果としての気道過活動の増悪が含まれる。本発明はまた、例えば急性、アラキン酸性、カタル性、クループ性、慢性もしくは結核性気管支炎を含むあらゆるタイプまたは起源の気管支炎の処置に適用可能である。本発明を適用可能なさらなる炎症性または閉塞性気道疾患には、気管支拡張症、あらゆるタイプおよび起源の塵肺症(炎症性、通常職業性肺疾患、これはしばしば慢性または急性であろうと、気道閉塞を伴い、粉塵のくり返し吸入によって発症する)、例えばアルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、嚢胞性線維症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症が含まれる。
【0040】
特に好酸球活性化の阻害に関連する抗炎症性活性に注目すると、本発明の化合物は、好酸球関連障害、例えば好酸球増加、特に気道の好酸球関連障害(例えば、肺組織の病的好酸球性浸潤)、例えば気道および/または肺に作用するような好酸球過増加、ならびに例えば、Loeffler症候群、好酸球性肺炎、寄生(特に後生動物)侵入(熱帯性好酸球増加を含む)、気管支肺のアスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(Churg-Strauss症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬剤反応によって引き起こされる気道の好酸球関連障害の処置に有用である。
【0041】
また、本発明の化合物は、皮膚の炎症性またはアレルギー性状態、例えば乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、じんま疹、類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡(pemphisus)、後天性表皮水疱症、および他の炎症性またはアレルギー性皮膚状態の処置にも有用である。
【0042】
本発明の化合物は、他の疾患または状態、特に炎症性要素を有する疾患または状態の処置、例えば眼の疾患および状態、例えば結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎、アレルギー性鼻炎、例えば萎縮性、慢性もしくは季節性鼻炎を含む鼻に作用する疾患、胃腸管の炎症性状態、例えば炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎またはクローン病、骨および関節の疾患、例えばリウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎および全身性硬化症、ならびに他の疾患、例えば嚢胞性線維症、肺高血圧、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、糖尿病(I型)、重症筋無力症、高IgE症候群、および急性および慢性同種移植片拒絶反応、および他の疾患、例えば心臓、腎臓、肝臓、肺または骨髄の移植後の処置に使用することもできる。
【0043】
炎症性状態、例えば炎症性気道疾患の阻害における本発明の化合物の有効性は、気道炎症または他の炎症性状態の動物モデル、例えばマウスまたはラットモデルにおいて、例えばSzarka et al, J. Immunol. Methods (1997) 202:49-57; Renzi et al, Am. Rev. Respir. Dis. (1993) 148:932-939; Tsuyuki et al., J. Clin. Invest. (1995) 96:2924-2931;およびCernadas et al (1999) Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 20:1-8に記載のとおりに示され得る。
【0044】
本発明の化合物はまた、他の薬剤物質、例えば抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤との組合せにおいて、特に閉塞性または炎症性気道疾患、例えば上記のものの処置において、例えばかかる薬剤の治療活性増強剤として、またはかかる薬剤の必要投与量または潜在的副作用を減少させる手段として使用するための共薬剤としても有用である。本発明の化合物は他の薬剤物質と固定された医薬組成物に混合するか、または他の薬剤物質と別個に、前に、同時にまたは後に投与することができる。
【0045】
かかる抗炎症剤には、ステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ベクラメタゾン、フルチカゾン、シクレソニドもしくはモメンタゾン、またはWO 02/88167、WO 02/12266、WO 02/100879、WO 04/039827 または WO 02/00679に記載のステロイド、特に実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のもの;LTB4アンタゴニスト、例えばUS 5451700に記載のもの、あるいはLY293111、CGS025019C、CP−195543、SC−53228、BIIL284、ONO4057およびSB209247;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカストおよびザフィルルカスト;ドーパミン受容体アンタゴニスト、例えばカベルゴリン、ブロモクリプチン、ロピニロールおよび4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]−アミノ]エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロンおよびその薬学的に許容される塩(塩酸塩はViozan(登録商標)である−AstraZeneca);PDE4阻害剤、例えばシロミラスト(Ariflo(登録商標)GSK)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering-Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(商標)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(Tanabe)、KW−4490(Kyowa Hakko Kogyo)、WO 92/19594、WO 93/19749、WO 93/19750、WO 93/19751、WO 99/16766、WO 01/13953、WO 03/104204、WO 03/104205、WO 04/000814、WO 04/000839およびWO 04/005258、WO 04018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/018431、WO 04/018449、WO 04/018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/019944、WO 04/019945およびWO 04/045607、WO 04/037805、ならびにWO 98/18796およびWO 03/39544に記載のもの;A2aアゴニスト、例えばEP 409595A2、EP 1052264、EP 1241176、WO 94/17090、WO 96/02543、WO 96/02553、WO 98/28319、WO 99/24449、WO 99/24450、WO 99/24451、WO 99/38877、WO 99/41267、WO 99/67263、WO 99/67264、WO 99/67265、WO 99/67266、 WO 00/23457、WO 00/77018、WO 00/78774、 WO 01/23399、WO 01/27130、WO 01/27131、WO 01/60835、WO 01/94368、 WO 02/00676、WO 02/22630、WO 02/96462、WO 03/086408、WO 04/039762、WO 04/039766、WO 04/045618、WO 04/046083に記載のもの;およびA2bアンタゴニスト、例えばWO 02/42298に記載のものが含まれる。
【0046】
かかる気管支拡張剤には、抗コリン作動性または抗ムスカリン薬剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、CHF4226(Chiesi)およびグリコピロレート、あるいはWO 01/04118、WO 02/51841、WO 02/53564、WO 03/00840、WO 03/87094、WO 04/05285、WO 02/00652、WO 03/53966、EP 424021、US 5171744、US 3714357、US 5171744、WO 03/33495およびWO 04/018422に記載のもの;およびベータ(β)−2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、フェノテロール、プロカテロール、特にフォルモテロールおよびその薬学的に許容される塩、ならびにWO 00/75114(出典明示により本明細書の一部とする)の式(I)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)、好ましくはその実施例の化合物、特に式
【化3】

の化合物およびその薬学的に許容される塩、ならびにWO 04/16601(出典明示により本明細書の一部とする)の式(I)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)が含まれる。さらに好適なβ−2−アドレナリン受容体アゴニストは、JP 05025045、US 2002/0055651、WO 93/18007、WO 99/64035、WO 01/42193、WO 01/83462、WO 02/066422、WO 02/070490、WO 02/076933、WO 03/24439、WO 03/72539、WO 03/42160、WO 03/91204、WO 03/42164、WO 03/99764、WO 04/11416、WO 04/16578、WO 04/22547、WO 04/32921、WO 04/33412、WO 04/37773、WO 04/37807、WO 04/39762、WO 04/39766、WO 04/45618およびWO 04/46083に記載のもののような化合物を含む。
【0047】
かかる共治療的抗ヒスタミン剤には、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、クレマスチンフマレート、プロメタジン、ロラチジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクチバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジン、ならびにJP 2004107299、WO 03/99807および WO 04/26841に記載のものが含まれる。
【0048】
本発明の化合物と1種以上のステロイド、ベータ−2−アゴニスト、PDE4阻害剤またはLTD4アンタゴニストの組合せを、例えばCOPDまたは糖に喘息の処置に使用することができる。本発明の化合物と抗コリンまたは抗ムスカリン剤、PDE4阻害剤、ドーパミン受容体アゴニストまたはLTD4アンタゴニストの組合せを、例えば喘息または特にCOPDの処置に用いることもできる。
【0049】
本発明の化合物と抗炎症剤の他の有用な組合せ剤は、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えばCCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering-PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D、Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミン−イウムクロライド(TAK−770)、およびUS 6166037(特にクレーム18および19)、WO 00/66558(特にクレーム8)、WO 00/66559(特にクレーム9)、WO 04/018425およびWO 04/026873に記載のCCR−5アンタゴニストとのものである。
【0050】
上記の通り、本発明はまた、CCR3によって介在される状態、例えば炎症性またはアレルギー性状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置方法であって、それを必要とする対象、特にヒト対象に、上記遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0051】
他の局面において本発明は、CCR3によって介在される状態、例えば炎症性またはアレルギー性状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬の製造のための、上記遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0052】
本発明の化合物を、何れかの適切な経路、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で;非経腸的に、例えば静脈内に;例えば炎症性または閉塞性気道疾患の処置において吸入によって;例えばアレルギー性鼻炎の処置において鼻腔内に;例えばアトピー性皮膚炎の処置において皮膚に局所的に;または例えば炎症性腸疾患の処置において直腸に、投与することができる。
【0053】
さらなる局面において本発明はまた、有効成分として遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。該組成物は上記の抗炎症性気管支拡張剤または抗ヒスタミン剤のような共治療化合物を含んでいてもよい。かかる組成物を、常套の希釈剤または賦形剤、および製剤分野で既知の技術を用いて製造することができる。したがって、経口投与形態には錠剤およびカプセル剤が含まれる。局所投与製剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達システム、例えばパッチの形態を取り得る。吸入用組成物は、エアロゾルまたは他の噴霧化製剤、または乾燥粉末製剤を含み得る。
【0054】
組成物がエアロゾル製剤を含むとき、好ましくは、例えばヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)プロペラント、例えばHFA134aまたはHFA227、またはこれらの混合物を含み、そして当該技術分野において既知の1種以上の共溶媒、例えばエタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエート、および/または1種以上の増量剤、例えばラクトースを含んでいてもよい。組成物が乾燥粉末製剤を含むとき、好ましくは、例えば10ミクロン以下の粒子径を有する式(I)の化合物を、所望により所望の粒度分布を有する希釈剤または担体、例えばラクトース、および湿気による製品品質低下に対する保護を補助する化合物、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。組成物が噴霧製剤を含むとき、好ましくは例えば、水、共溶媒、例えばエタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤であり得る安定化剤を含むビークルに溶解または懸濁させた式(I)の化合物を含む。
【0055】
本発明は:
(A)吸入形態、例えばエアロゾルまたは他の噴霧化組成物、あるいは吸入微粒子、例えば微粉化形態における本発明の化合物;
(B)吸入形態の本発明の化合物を含む吸入医薬;
(C)吸入形態の本発明の化合物を、吸入デバイスと共に含む医薬品;および
(D)吸入形態の本発明の化合物を含む吸入デバイス
を含む。
【0056】
本発明の実施において使用する本発明の化合物の投与量は、例えば処置する具体的な状態、所望の効果および投与形態に依存して、当然変化する。一般に、吸入によって投与するための好適な1日用量は0.01〜30mg/kg/日のオーダーであるが、経口投与について好適な1日用量は0.01〜100mg/kgのオーダーである。
【実施例】
【0057】
下記実施例において、全ての温度は℃である。
下記略語を使用する:
aq. 水性
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
EtOAc 酢酸エチル
NMM N−メチル−モルホリン
PPA 1−プロパンリン酸環状無水物
RT 室温
sat. 飽和
THF テトラヒドロフラン
【0058】
実施例
実施例1:
4−フルオロ−ベンズアルデヒド、NaBH(OAc)およびDIEAのTHF溶液にN−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−ピペリジン−4−イリデン−アセトアミドヒドロクロライドを加える。周囲温度で18時間得られた混合物を撹拌し、真空下で濃縮する。得られた残渣をEtOAc中に取り、NaHCO飽和水溶液を加え、得られた層を分離する。得られた水相をEtOAcで2回抽出し、合併した有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルのクロマトグラフ(溶離剤:EtOAc)に付す。N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イリデン]−アセトアミドを得る。
mp.83−85℃。
【0059】
下記式(I)の化合物を実施例1に準じて製造する:
【表1】

【表2】

【0060】
実施例17:
N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミド
a)4−[(3,4−ジフルオロ−ベンジルカルバモイル)−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert.ブチルエステル
4−カルボキシ−メチレン−ピペリジン−1−カルボン酸 tert.ブチルエステル、3,4−ジフルオロ−ベンジルアミン、DMAPおよびNMMの20ml CHCl溶液にPPA(DMF中50%溶液)を加える。RTで18時間得られた反応混合物を撹拌し、真空下で蒸発させ、得られた残渣をEtOAc中に取り、0.1N HClおよび塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させる。得られた溶液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフ(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル=2:1)に付す。4−[(3,4−ジフルオロ−ベンジルカルバモイル)−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert.ブチルエステルを得る。
mp.102−105℃、MS:389(MNa+)、365(M−H)
【0061】
b)N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−ピペリジン−4−イリデン−アセトアミドヒドロクロライド
4−[(3,4−ジフルオロベンジルカルバモイル)−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸 tert.ブチルエステルのCHCl溶液に2M HClのジエチルエーテル溶液を加える。RTで18時間得られた混合物を撹拌し、沈殿を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−ピペリジン−4−イリデン−アセトアミドヒドロクロライドを得る。
mp.43−45℃、MS:267(MH+)
【0062】
c)N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミド
CHClとEtNにN−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−ピペリジン−4−イリデン−アセトアミドヒドロ塩酸塩を溶解させる。4−フルオロフェネチルブロマイドおよびKIを加える。得られた混合物を4時間還流し、RTに冷却し、真空下で蒸発させ、EtOAc中に取り、NaHCO飽和溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させる。得られた溶液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル=1:1)に付す。N−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2−{1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−4−イリデン}−アセトアミドを得る。
mp.117−120℃、MS:389(MH+)、411(MNa+)、387(M−H)
【0063】
下記式(I)の化合物を実施例17に準じて製造する:
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔RおよびRは独立して、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルキル、ハロゲンまたは5もしくは6個の環員を有し、そしてN、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換ヘテロシクリルで1回以上置換された(C6−18)アリールまたは(C6−18)アリール(C1−6)アルキルである〕
の化合物。
【請求項2】
およびRが独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲンまたは5個の環員を有し、そしてN、O、Sから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換ヘテロシクリルで1回以上置換されたフェニルまたはフェニル(C1−4)アルキルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
がメチルまたはフルオロで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルであり、
がメチル、フルオロまたは1−メチル−テトラゾール−5−イルで1または2回置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルである、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
塩形の請求項1〜3の何れかに記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための、請求項1〜4の何れかに記載の化合物。
【請求項6】
CCR3によって介在される疾患の処置用医薬の製造のための、請求項1〜4の何れかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかに記載の化合物と、少なくとも1種の医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
さらに他の薬学的活性剤を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
CCR3によって介在される疾患を処置する方法であって、かかる処置を必要とする対象に、有効量の請求項1〜4の何れかに記載の式(I)の化合物を投与することを含む方法。
【請求項10】
疾患が炎症性またはアレルギー性疾患、特に炎症性または閉塞性気道疾患である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜4の何れかに記載の式(I)の化合物を他の薬学的活性剤と同時または逐次的に投与する、請求項9または10に記載の方法。

【公表番号】特表2010−516798(P2010−516798A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547664(P2009−547664)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051011
【国際公開番号】WO2008/092844
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】