説明

炭化装置

【課題】木チップ、木皮、家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材チップ、その他の材料を炭化物に変換する炭化装置において、ホッパーからの乾留ガスの拡散等の安全性の問題解決と熱効率の改善を行なう。
【解決手段】 炭材供給機構、排気ガス排出路をそれぞれ備えた炭化炉内に、加熱室と炭化筒を設けてなる構成であって、加熱室と炭化筒とを連通路を介して連通し、また加熱室に加熱部を設け、炭化炉に吊下した撹拌羽根を供えた撹拌軸を炭化筒に垂下し、撹拌軸内を貫通するワイヤの上部を炭化炉の捲装手段に設け、このワイヤの下部に開閉具を吊下し、開閉具で炭化筒の開閉口を開閉する炭化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木チップ、木皮、家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材チップ、その他の材料を炭化物に変換する炭化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材の燃焼処理による方法おいては、この燃焼時に発生する二酸化炭素の量が年々増加の一途を辿っており、問題化している。この問題改良の一環として、この種の家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材を、脱水・固形化して廃材チップ(チップ形状)に変換し、この廃材チップを炭化処理により炭化物として有効利用する方法(炭化処理方式)が採用されつつある。所謂、廃材チップの炭化装置である。この炭化装置は、その後、種々の改良を行うことで、新たな問題となっている住宅廃材、間伐材、又は家庭用木質ゴミ等の木質廃材の炭化処理に採用されつつある。そして、この木質廃材を有効に炭化処理するには、前述の家庭用ゴミ等の廃材と同様にチップ化する方法が効率的であることが理解される状況となりつつある。
【0003】
そして、従来の炭化処理方式では、バッチ炉が主体であって処理能率(処理能力)が悪く、また処理量の向上が望めないことと、この処理能率が処理対象となるゴミの種類によって不安定になり問題である。そして、ゴミの炭化物がスポンジ状になってその断熱作用により熱効率が悪く、ダイオキシンの発生が見られる等の問題点があった。一方炭化炉においては、この炉内温度が高温になると、炭素の存在化での金属炉材の浸炭腐食も問題となることが考えられる。この炭化処理方式の改良案として、連続炉方式といわれているロータリー炉が開発された。しかし、この連続炉方式は前述の問題点を改良するには適する反面、例えば、炉の大型化を招来すること、また設備が膨大となる等の設備面と、連続運転方式であって、かつ乾留ガスの処理能力・処理結果が十分でないこと等よりして、一部でダイオキシンを含むダストの飛散が問題となるケースが考えられる。
【0004】
そして、この種の連続炉は、社会が要求する処理能率を達成し、また所定の処理量が望めること等よりして有益であり、また連続炉に関する従来の文献(先行文献)を挙げられる。この文献は、特開2003−300049の「ゴミ処理方法および装置」である(文献(1)とする)。この文献(1)の内容は、縦型の加熱塔内にゴミを上部より投入し、この加熱塔内に充填したゴミを外部より加熱して順次に乾燥、炭化処理して生成した炭化物を、加熱塔の底部の排出口より連続的に排出する構成であり、前記加熱塔内の乾燥及び/又は炭化処理中におけるスポンジ状のゴミ炭化物を撹拌すること、加熱塔内の乾燥及び/又は炭化処理中のゴミから発生する乾留ガスを回収して加熱用の補助燃料として使用することを特徴とするものであって、各種のゴミを安定かつ能率良く処理すること、また熱効率が良くて安価なゴミ処理方法および装置を提供することにある。
【0005】
また前記従来技術及び/又は文献(1)等においても問題となる炭化物、材料(鋳物砂)排出用の排出口に関しは、この炭化物等の詰まり(ブリッジ)問題の解消が必須条件である。しかし、この条件を満足するには十分でない。そして、この必須条件を確保するための解消策として、次の文献が挙げられる。この文献は、特開2002−361404の「砂投入バケットと充填砂の充填方法」である(文献(2))。その内容は、従来の充填砂の排出方法の課題、即ち、円筒状保形金物を羽口れんが孔の孔縁に配置した状態で充填砂をノズル孔へ充填する際におけるその充填高さを制御し、かつそれぞれの操業条件に応じて充填高さを制御することで充填砂の焼結厚みを変化さ得ることと、焼結層のブリッジングによる不開孔を防止することであって、この文献(2)は、溶融金属容器のノズル孔の周縁部に保形筒を置くとともに、このノズル孔へ充填砂を充填する砂投入バケットであって、タンクは保持スタンドに上下方向に移動可能に設け、またこのタンクには投入口、排出口及び保形筒掴みを備え、さらにこの保持スタンドにはタンクの排出口を開閉するストッパーと保形筒掴みを開閉するための開閉部材を備え、タンクの上下方向の相対移動によって、排出口と保形筒掴みをそれぞれ開閉できることを特徴とするものであって、溶融金属容器に充填砂を充填する際に、充填砂を自動的に投入できる構造の砂投入バケット及びこれを利用した充填砂の充填方法を提供するにある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−300049
【0007】
【特許文献2】特開2002−361404
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記文献(1)の発明は、連続式であるが、ゴミ投入装置(ホッパー)と加熱炉との境界及び/又は遮断が十分でなく、乾留ガスの逆流によるホッパーでの火災の危険性と、乾留ガスの拡散の危険性が指摘でき、安全性と燃焼効率の向上等の面において課題を抱えている。
【0009】
次に文献(2)の発明は、タンクの下方に形成した漏斗状の排出口を、略逆台形のストッパーを介して開閉する構成であり、鋳物砂の充填及び/又は排出においてはさして問題となる構造とは考えられない。しかし、この構造では、炭化物の生成と、この炭化物を確実に排出し、また炭化筒内で発生するブリッジを確実に回避するためには、極めて困難と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、木チップ、木皮、家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材チップ、その他の材料(主としてチップ化された廃材、即ち、廃材チップ)等を間欠式で、連続的に炭化物に変換する炭化装置を提供することを主目的とし、この目的を達成するために、廃材チップを間欠式に供給し、この供給時に乾留ガスの逆流を防止し、廃材チップへの着火防止を図りつつ、この乾留ガスを加熱室にリターンし、熱効率を確保することと、また炭化筒に供給された廃材チップの確実な撹拌と、輻射熱との熱交換を介して炭化の促進と、高品質の炭化物を生成すること、そして、炭化筒で生成された炭化物を開口から炉外に排出すること等を意図する。
【0011】
また請求項1の発明は、炭化筒に供給された廃材チップを、この炭化筒に滞留させて炭化の促進と、高品質の炭化物を生成すること、また炭化筒内の廃材チップの撹拌を介して熱交換の促進を図ること等を意図する。
【0012】
さらに請求項1の発明は、炭化筒で生成された乾留ガスを略100%加熱室に還流し、この加熱室で完全燃焼し、熱源の有効利用と、燃料消費量の効率化等を図ることを意図する。
【0013】
請求項1は、炭材供給機構を上方の一方側に、また排気ガス排出路を下方の接線方向にそれぞれ備えた炭化炉内に、加熱室と、この加熱室に囲繞されるように上下部を開放した炭化筒とを設けてなる構成であって、
前記加熱室と炭化筒とを連通路を介して連通し、また前記加熱室にバーナ等の加熱部を設け、前記炭化炉の上部より吊下した回転自在の撹拌軸を前記炭化筒に垂下し、この撹拌軸に間欠式に撹拌羽根を設け、またこの撹拌軸内を貫通するワイヤの上部を前記炭化炉の捲装手段に設けるとともに、その下部を炭化筒の下部に至らしめ、このワイヤの下部に開閉具を吊下し、この開閉具を介して前記炭化筒の下部に設けた開口を開閉し、この開口の下部に排出機構を設ける構成とした炭化装置である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な排気ガス排出路と二次燃焼室の構造を提供することを意図する。
【0015】
請求項2は、請求項1の排気ガス排出路に二次燃焼室を形成し、この二次燃焼室内に送風ユニット及び/又は燃焼エア供給管・吸引エア供給管等を付設する構成とした炭化装置である。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な撹拌軸を提供し、またこの撹拌軸の清掃の容易化と、交換の容易な撹拌軸を提供すること等を意図する。
【0017】
請求項3は、請求項1の撹拌軸は、炭化炉に設けた耐熱手段を経由して延設し、この延設した上端に連結用フランジを設け、この連結用フランジは前記炭化炉に開閉自在に設けてなるタワーフレームに軸承した連結軸に連結可能とし、またこの連結軸に設けた歯車にチェーンを介して駆動部に連繋し、この駆動部を前記タワーフレームに設ける構成とした炭化装置である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な炭材供給機構を提供し、またこの炭材供給機構の提供を介して乾留ガスの逆流防止と、この逆流に基づくトラブル、例えば、廃材チップへの着火防止を図ること、そして、この加熱室における熱効率を確保するとともに、熱交換を介して炭化の促進と、高品質の炭化物を生成すること等を意図する。
【0019】
請求項4は、請求項1に記載の炭材供給機構(廃材チップ供給機構)は、ホッパーと、このホッパーの収歛口に設けたこの収歛口と相似形の中間チャンバーと、この中間チャンバーの駆動を司る第一のシリンダーと、またこの中間チャンバーの移動端に設けた当該中間チャンバーの開閉を司るシャッターと、このシャッターの下部に設けた当該シャッターに連通する連通口を供えた供給路と、この供給路内を移動するピストン形の摺動チャンバーと、この摺動チャンバーを可動する第三のシリンダーとで構成した炭化装置である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な中間チャンバー及び/又は摺動チャンバーを提供すること等を意図する。
【0021】
請求項5は、請求項4に記載の中間チャンバーの容積に対して、摺動チャンバーの容積を大きくする構成とした炭化装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、炭材供給機構を上方の一方側に、また排気ガス排出路を下方の接線方向にそれぞれ備えた炭化炉内に、加熱室と、加熱室に囲繞されるように上下部を開放した炭化筒とを設けてなる構成であって、
加熱室と炭化筒とを連通路を介して連通し、また加熱室にバーナ等の加熱部を設け、炭化炉の上部より吊下した回転自在の撹拌軸を前記炭化筒に垂下し、撹拌軸に間欠式に撹拌羽根を設け、また撹拌軸内を貫通するワイヤの上部を炭化炉の捲装手段に設けるとともに、その下部を炭化筒の下部に至らしめ、ワイヤの下部に開閉具を吊下し、開閉具を介して炭化筒の下部に設けた開口を開閉し、開口の下部に排出機構を設ける炭化装置である。
【0023】
従って、請求項1は、木チップ、木皮、家庭用ゴミ・製紙スラッジ・汚泥・野菜クズ等の廃材チップ、その他の材料等を間欠式で、連続的に炭化物に変換する炭化装置を提供することを主目的とする。この目的を達成するために、廃材チップを間欠式に供給し、この供給時に乾留ガスの逆流を防止し、廃材チップへの着火防止を図りつつ、この乾留ガスを加熱室にリターンし、優れた熱効率が確保できることと、また炭化筒に供給された廃材チップの確実な撹拌と、輻射熱との熱交換を介して炭化の促進と、高品質の炭化物が生成できること、そして、炭化筒で生成された炭化物を開口から炉外に排出できること等の特徴がある。
【0024】
また請求項1は、炭化筒に供給された廃材チップを、この炭化筒に滞留させて炭化の促進と、高品質の炭化物が生成できること、また炭化筒内の廃材チップの撹拌を介して熱交換の促進が図れること等の特徴がある。
【0025】
さらに請求項1は、炭化筒で生成された乾留ガスを略100%加熱室に還流し、この加熱室で完全燃焼し、熱源の有効利用と、燃料消費量の効率化等が図れること等の特徴がある。
【0026】
請求項2発明は、請求項1の排気ガス排出路に二次燃焼室を形成し、二次燃焼室内に送風ユニット及び/又は燃焼エア供給管・吸引エア供給管等を付設する炭化装置である。
【0027】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な排気ガス排出路と二次燃焼室の構造を提供できること等の特徴がある。
【0028】
請求項3の発明は、請求項1の撹拌軸は、炭化炉に設けた耐熱手段を経由して延設し、この延設した上端に連結用フランジを設け、この連結用フランジは前記炭化炉に開閉自在に設けてなるタワーフレームに軸承した連結軸に連結可能とし、またこの連結軸に設けた歯車にチェーンを介して駆動部に連繋し、この駆動部を前記タワーフレームに設ける構成とした炭化装置である。
【0029】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な撹拌軸を提供し、またこの撹拌軸の清掃の容易化と、交換の容易な撹拌軸を提供できる等の特徴がある。
【0030】
請求項4の発明は、請求項1に記載の炭材供給機構は、ホッパーと、ホッパーの収歛口に設けた収歛口と相似形の中間チャンバーと、中間チャンバーの駆動を司る第一のシリンダーと、また中間チャンバーの移動端に設けた中間チャンバーの開閉を司るシャッターと、シャッターの下部に設けたシャッターに連通する連通口を供えた供給路と、供給路内を移動するピストン形の摺動チャンバーと、摺動チャンバーを可動する第三のシリンダーとでなる炭化装置である。
【0031】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な炭材供給機構を提供し、またこの炭材供給機構の提供を介して乾留ガスの逆流防止と、この逆流に基づくトラブル、例えば、廃材チップへの着火防止が図れること、そして、この加熱室における熱効率を確保するとともに、熱交換を介して炭化の促進と、高品質の炭化物を生成できること等の特徴がある。
【0032】
請求項5の発明は、請求項4に記載の中間チャンバーの容積に対して、摺動チャンバーの容積を大きくする炭化装置である。
【0033】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な中間チャンバー及び/又は摺動チャンバーを提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の態様(形態)を説明する。
【0035】
先ず図面の説明をすると、図1は炭化装置に付設されたフレーム、屋根、柵(図示せず)等の必要機材を含めて示した全体正面図、図2は図1の要部の断面図、図3は図1の要部の平面図、図4は図1に示した加熱室、炭化筒、撹拌軸等の要部を示した断面図、図5は図1の全体側面図、図6は図4に示した炭化筒、撹拌軸等の要部を示した拡大断面図、図7は図4に示した炭化筒、撹拌軸の要部を示した拡大断面図、図8は炭材供給機構の全体を示した拡大正面図、図9は図8の背面図、図10は図8の平面図、図11は図8の左側面図、図12は図8の右側面図、図13は炭化炉の上方に設けたタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した一部欠截の拡大断面図、図14は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大平面図、図15は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大左側面図、図16は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大右側面図である。
【0036】
本発明は、フレームAに設けた耐熱及び/又は耐火構造の炭化炉Cと、この炭化炉Cの上方の一方側に設けた炭材供給機構B(廃材チップ供給機構)と、またこの炭化炉Cの下方の接線方向に設けた排気ガス排出路D(乾留ガス排出路)と、この排気ガス排出路Dに連設した耐熱及び/又は耐火構造の排気ガス二次燃焼室E(乾留ガス二次燃焼室)と、前記炭化炉Cの上方に設けたタワーフレームFとを主構成要素とする。以下、個別に説明する。
【0037】
炭化炉Cは、下方本体部C1と収斂された上方筒部C2とで構成し、この下方本体部C1には加熱室1と、この加熱室1に囲繞された炭化筒2とを設け、またこの下方本体部C1にはバーナ3と炭化筒2用の開口部4、並びに排気ガス排出路4とを設ける。そして、この炭化筒2の開口200と前記加熱室1とは、開口部4及び/又は連通路201を介して連通されており、炭化筒2からの乾留ガスの略全部を加熱室1に送り、バーナ3を介して再燃焼して熱風に変換し、この熱風との熱交換で炭化筒2に投入された廃材チップW1を炭化する。この乾留ガスの再燃焼で、燃料の節約と、二酸化炭素の発生回避及び/又は量の削減化等を図る。またこの炭化筒2には筒状の撹拌軸5が吊下(垂下)されており、この撹拌軸5には間欠式に撹拌羽根500が設けられている。この撹拌羽根500は、廃材チップW1及び/又は炭化物Wの撹拌と流下とを図り、この廃材チップW1及び/又は炭化物Wを炭化筒2の壁面への移動を介して熱交換の促進が図れる可能があり有益である。また撹拌羽根500を間欠式に設けることで、炭化筒2内に存在する廃材チップW1及び/又は炭化物Wの滞留時間の確保と、炭化の効率化等が図れる。尚、この撹拌軸5は炭化筒2の上方に延設されており、その上部は筒外に至り、その上部端には連結用フランジ501が設けられている。またこの炭化筒2の開口部202と炭化炉Cの閉口部C3との間にはホッパー形状の排出口6を着脱自在に設ける。そして、この排出口6(炭化筒2の下部に設けた開口)には円錐形状のダンパー7(開閉具)を設け、このダンパー7の降下で閉塞し、その上昇で開放する構造となっている。そして、このダンパー7の降下・上昇はワイヤ8(チェーン等の懸架手段であれば採用できる)で操作する。従って、このワイヤ8の一端はダンパー7に固止されている。またこのワイヤ8は撹拌軸5内を貫通し、他端がタワーフレームFに設けた捲装手段9(巻取り装置)に捲装されていることから、この捲装手段9の操作で、弛緩(巻戻し)又は緊張(巻取り)される。このワイヤ8の弛緩又は緊張で、ダンパー7が降下・上昇する構造である。尚、炭化炉Cは、下方本体部C1から収斂部を介して上方筒部C2を形成する構成とすることで、炭化筒2からの乾留ガスの上方筒部C2への容易な排気と、所望する乾留ガスを加熱室1に流下できる利点がある。図中600は排出口6を受ける台座である。
【0038】
尚、この炭化炉Cの開口部C3には、炭化物冷却室G(水冷式が簡便でよいが、空冷式等も有り得る)と搬送用コンベヤHが設けられている。図中G1は炭化物冷却室Gの開閉蓋を示す。この炭化物冷却室Gで連脚した炭化物Wは、搬送用コンベヤHで所定のヤード及び/又は容器等に送られる。
【0039】
この炭化炉Cの接線方向に設けた排気ガス排出路D(乾留ガス排出路)には排気ガス二次燃焼室Eが連通されていることから、前述の如く、加熱室1に至った乾留ガスを複数のバーナ3で熱風とし、この熱風で熱交換し、働き終えた排気ガスは、排気ガス排出路D(炭化炉Cの接線方向に設けた排気ガス排出路D)より排気ガス二次燃焼室Eに導かれ、導入した空気中の雰囲気下で二次燃焼される。この二次燃焼した略無臭及び/又は略無色・無害状態となった最終の排気ガスは、煙突10を介して空気中に拡散される。従って、乾留ガスの有効利用と、公害の回避が図れる。また前記働き終えた排気ガスを、接線方向に設けた排気ガス排出路Dに確実、スムーズに送風できる。
【0040】
炭材供給機構Bは、上部筒部C2に突出した導入管C20に連通するフレームA1に偏倚して設けた供給路11と、この供給路11内を略密着状態で移動(摺動移動)する摺動チャンバー12と、この摺動チャンバー12を可動する第三のシリンダー13と、前記フレームA1に移動可能に設けた中間チャンバー14と、この中間チャンバー14の開放底部140を一定の箇所で隠蔽するフレームA1に設けた底板15と、前記中間チャンバー14の開口140を開閉するシャッター16と、前記シャッター16を可動する第二のシリンダー17と、また前記中間チャンバー14を可動する第一のシリンダー18と、さらにこの中間チャンバー14に廃材チップW1を供給するホッパー19とで構成されている。従って、ホッパー19に供給された廃材チップW1はホッパー19の一部を兼用する中間チャンバー14に導入される。この中間チャンバー14の開放底部140は、ホッパー19と連通し、ホッパー14の一部となる位置関係(フレームA1の中心位置「図10の破線で示した位置」)においては、底板15により閉塞されている。従って、この中間チャンバー14には、ホッパー14内の廃材チップW1が収容(充填)されている。この廃材チップW1の充填状態で、第一のシリンダー18を可動し、当該中間チャンバー14が移動端に達した段階で、前記底板15に設けた開口150に位置することから、この中間チャンバー14の開放底部140は開放状態となり、廃材チップW1は摺動チャンバー12に落込まれる(フレームA1の左端位置「図12の破線で示した位置」)。そして、中間チャンバー14の容積に対して、摺動チャンバー12の容積を大きくし、廃材チップW1をこの摺動チャンバー12に山なりに落込む構造となっている。尚、この炭材供給機構Bは、上方筒部C2に存在する乾留ガスの逆流を防止するために、摺動チャンバー12を供給路11に略密着状態に収容するとともに、シャッター16及び/又は中間チャンバー14を介して防止する構造である。尚、この逆流防止は、乾留ガスの効率的な利用が図れること、乾留ガスの温度低下等を回避できること等の特徴がある。また摺動チャンバー12が上方筒部C2に至り、収容する廃材チップW1を炭化筒2に落込む状態では、中間チャンバー14は、ホッパー19の直下にあり(フレームA1の中心位置)、この供給路11及び/又は開口150とは離間されるとともに、この炭化筒2とは完全に離間されている。従って、ホッパー19内の廃材チップW1への着火は全くなく安全である。また爆発等の危険性を回避できる特徴がある。尚、この炭材供給機構Bは、一例であり、簡易な構造では図示しないがスクリューコンベア方式、落下方式、バケット供給方式等の採用も可能である。
【0041】
タワーフレームFは、炭化炉Cの上方に取付け、取外し自在又は可動自在に設け、前記撹拌軸5の取付け、取外しの際に、この炭化炉Cから一時的に離間できる構成となっている。このタワーフレームFには、数段の区画板F1〜Fn等を介して第一のスペース21〜第三のスペース21nに区画する。そして、この第一のスペース21〜第三のスペース21nには、回転自在の連結軸22を垂設する。この連結軸22の垂設は、区画板F1、F2に設けた各軸受け23〜23nを介して確保する。そして、この連結軸22に設けたスプロケット24は懸架したチェーン25及び/又はモータ26を介して回転される。尚、連結軸22の下端に設けた被連結用フランジ220には、前述の撹拌軸5に設けた連結用フランジ501が合体され、かつ緊締具(図示せず)により固止される。これにより、撹拌軸5は連結軸22と同時に回転する。そして、この連結軸22にはダンパー7を吊下するワイヤ8が貫設されている。このワイヤ8はタワーフレームFに設けた滑車27を経由して捲装手段9に捲装されている。この構成により、捲装手段9の操作(駆動)で、ワイヤ8を弛緩又は緊張し、ダンパー7の降下・上昇を図るとともに、排出口6を開閉する。尚、前記撹拌軸5及び/又は撹拌はね500の修理又は交換等の際において、この撹拌軸5を取外す場合には、連結用フランジ501と被連結用フランジ220との合体を開放し、タワーフレームFを炭化炉Cより取外して離間する。このタワーフレームFの離間で、この炭化炉Cの上方筒部C2が開放されるので、この撹拌軸5を炭化炉Cより引抜いた後において、修理及び/又は交換を図ることが可能となる。尚、図中28は断熱手段の一例である石綿ケース、29は同様に一例である断熱ファイバーを示す。
【0042】
尚、図中Iは屋根、Jは送風機ユニット、Kはエア供給管をそれぞれ示す。
【0043】
次に本発明の炭化装置の作用を概述すると、ホッパー19に供給された廃材チップW1は、ホッパー19の収歛口を経由して中間チャンバー14(収斂口と相似形のチャンバー)に導入された後、この廃材チップW1が充填された中間チャンバー14は、第一のシリンダー18により、移動端に達した段階で、底板15に設けた開口150を介して摺動チャンバー12に山なりに落込む構造となっている。この落込まれた廃材チップW1は、当該摺動チャンバー12が第三のシリンダー13により押圧されることで、供給路11を前進し、その前進端に達した段階で、炭化炉Cの上方筒部C2に至る。この摺動チャンバー12の前面及び/又は先端底部より炭化筒2内に廃材チップW1を投入する。この炭化筒2内に投入された廃材チップW1は、撹拌羽根500で解されながら(団子状にならず)下方に向かって順次送込まれる。この送込まれる過程で炭化されるとともに、この廃材チップW1は炭化筒2の周壁部に導かれて、乾留ガス(熱風)との熱交換を介して効率よく、かつ高温(略700℃〜850℃)雰囲気の中で炭化される。従って、炭化物Wは、高品質で、火力が強く、また脱臭、吸着性が優れた物性を備えており、本来の炭と略同程度の物性を備えている。そして、本発明では、従来の炭化装置では不可能であった物性を備えた炭化物Wを製造できる。
【0044】
尚、この炭化筒2で発生した乾留ガスは、連通路201を介して略全部を加熱室1に送り、バーナ3を介して再燃焼して熱風に変換し、前述の如く、この熱風との熱交換で炭化筒2に投入された廃材チップW1を炭化する。この炭化筒2で生成された炭化物Wは、炭化筒2の下方に至り、排出口6に達した後、この排出口6を閉塞するダンパー7の開放により落下し炭化物冷却室Gに送られる。その後、搬送用コンベヤHで所定の箇所に搬送、収容等する。尚、加熱室1で生成された熱風は、熱交換用として利用された後(働きを終えた乾留ガス)、排気ガス排出路Dより排気ガス二次燃焼室Eに導かれて、二次燃焼される。この二次燃焼された排気ガスは、煙突10を介して空気中に拡散される。以上で説明した廃材チップW1の供給と、炭化物Wの排出は間欠式に行われるが、炭化装置は連続式に稼働される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は炭化装置に付設されたフレーム、屋根等の必要機材を含めて示した全体正面図
【図2】図2は図1の要部の断面図
【図3】図3は図1の要部の平面図
【図4】図4は図1に示した加熱室、炭化筒、撹拌軸等の要部を示した断面図
【図5】図5は図1の全体側面図
【図6】図6は図4に示した炭化筒、撹拌軸等の要部を示した拡大断面図
【図7】図7は図4に示した炭化筒、撹拌軸の要部を示した拡大断面図
【図8】図8は炭材供給機構の全体を示した拡大正面図
【図9】図9は図8の背面図
【図10】図10は図8の平面図
【図11】図11は図8の左側面図
【図12】図12は図8の右側面図
【図13】図13は炭化炉の上方に設けたタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した一部欠截の拡大断面図
【図14】図14は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大平面図
【図15】図15は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大左側面図
【図16】図16は図13に示したタワーフレームと連結軸、駆動部、ワイヤ等を示した拡大右側面図
【符号の説明】
【0046】
A フレーム
A1 フレーム
B 炭材供給機構
C 炭化炉
C1 下方本体部
C2 上方筒部
C3 開口部
C20 導入管
D 排気ガス排出路
E 排気ガス二次燃焼室
F タワーフレーム
F1〜Fn 区画板
G 炭化物冷却室
G1 開閉蓋
H 搬送用コンベヤ
I 屋根
J 送風ユニット
K エア供給管
W 炭化物
W1 廃材チップ
1 加熱室
2 炭化筒
200 開口
201 連通路
202 開口部
3 バーナ
4 開口部
5 撹拌軸
500 撹拌羽根
501 連結用フランジ
6 排出口
600 台座
7 ダンパー
8 ワイヤ
9 捲装手段
10 煙突
11 供給路
12 摺動チャンバー
13 第三のシリンダー
14 中間チャンバー
140 開放底部
15 底板
150 開口
16 シャッター
17 第二のシリンダー
18 第一のシリンダー
19 ホッパー
21〜21n 第一のスペース〜第三のスペース
22 連結軸
220 被連結用フランジ
23〜23n 軸受け
24 スプロケット
25 チェーン
26 モータ
27 滑車
28 石綿ケース
29 断熱ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭材供給機構を上方の一方側に、また排気ガス排出路を下方の接線方向にそれぞれ備えた炭化炉内に、加熱室と、この加熱室に囲繞されるように上下部を開放した炭化筒とを設けてなる構成であって、
前記加熱室と炭化筒とを連通路を介して連通し、また前記加熱室にバーナ等の加熱部を設け、前記炭化炉の上部より吊下した回転自在の撹拌軸を前記炭化筒に垂下し、この撹拌軸に間欠式に撹拌羽根を設け、またこの撹拌軸内を貫通するワイヤの上部を前記炭化炉の捲装手段に設けるとともに、その下部を炭化筒の下部に至らしめ、このワイヤの下部に開閉具を吊下し、この開閉具を介して前記炭化筒の下部に設けた開口を開閉し、この開口の下部に排出機構を設ける構成とした炭化装置。
【請求項2】
請求項1の排気ガス排出路に二次燃焼室を形成し、この二次燃焼室内に送風ユニット及び/又は燃焼エア供給管・吸引エア供給管等を付設する構成とした炭化装置。
【請求項3】
請求項1の撹拌軸は、炭化炉に設けた耐熱手段を経由して延設し、この延設した上端に連結用フランジを設け、この連結用フランジは前記炭化炉に開閉自在に設けてなるタワーフレームに軸承した連結軸に連結可能とし、またこの連結軸に設けた歯車にチェーンを介して駆動部に連繋し、この駆動部を前記タワーフレームに設ける構成とした炭化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の炭材供給機構は、ホッパーと、このホッパーの収歛口に設けたこの収歛口と相似形の中間チャンバーと、この中間チャンバーの駆動を司る第一のシリンダーと、またこの中間チャンバーの移動端に設けた当該中間チャンバーの開閉を司るシャッターと、このシャッターの下部に設けた当該シャッターに連通する連通口を供えた供給路と、この供給路内を移動するピストン形の摺動チャンバーと、この摺動チャンバーを可動する第三のシリンダーとで構成した炭化装置。
【請求項5】
請求項4に記載の中間チャンバーの容積に対して、摺動チャンバーの容積を大きくする構成とした炭化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−219597(P2006−219597A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34967(P2005−34967)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(501175786)
【出願人】(505053408)
【Fターム(参考)】