説明

炭素系ナノ構造体のレイヤーバイレイヤーアセンブリーおよびそのエネルギー貯蔵デバイスおよびエネルギー生成デバイス

本明細書に記載される実施形態は一般に、炭素系ナノ構造体および関連構造体のレイヤーバイレイヤーアセンブリーおよび/または官能基化に関連する方法、組成物、物品、およびデバイスに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、表面(10)上に炭素系ナノ構造体(14,18)のアセンブリーを形成するための方法を提供する。炭素系ナノ構造体アセンブリーは、特性の増強、例えば、炭素系ナノ構造体(例えば、カーボンナノチューブ)の配置の改善、ならびに/または電子伝導率および/もしくはイオン伝導率の増強、ならびに/または他の有用な特徴の増強などを示すことができる。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体の表面への官能基の結合に起因して、特性の改善を観察することができる。本明細書に記載される方法を使用して、炭素系ナノ構造体アセンブリーの形成を制御することによって、特性が増強された構造体を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願)
本願は、2008年8月15日に出願された米国仮特許出願第61/089,406号(Shao−Hornらによる「Layer−By−Layer Assemblies of Carbon−Based Nanostructures and their Applications in Energy Storage and Generation Devices」と題されている)の利益を主張し、この仮特許出願の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は一般に、炭素系ナノ構造体、より具体的には、炭素系ナノ構造体のレイヤーバイレイヤーアセンブリーおよび/または官能基化に関連する方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のエネルギー源およびエネルギー貯蔵方法の持続可能性が疑問になってくるにつれて、最近の研究は、新規のエネルギー変換デバイスおよびエネルギー貯蔵デバイスの開発に目を向けてきている。炭素系ナノ構造体、例えばグラファイト、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどは、その独特の機械的特性および電子特性によりこの分野で注目を集めている。例えば、カーボンナノチューブは、高い電子移動度を示すことができ、様々なエネルギー変換デバイス(例えば、とりわけ、光電池、燃料電池、バッテリー、およびスーパーキャパシタ)の電極の製造においてこれらを潜在的に有用にしている。炭素系ナノ構造体は、高導電率、優れた化学的および機械的安定性、ならびに大表面積などを含む、そのような用途に望ましくなり得るいくつかの物理的性質を有する。しかし、炭素系ナノ構造体同士間の強いファンデルワールス相互作用のために、溶液からの炭素系ナノ構造体の沈殿を制御することは、困難となる場合があり、性能の低い構造の形成をもたらすことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、方法の改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は一般に、炭素系ナノ構造体のレイヤーバイレイヤーアセンブリーおよび/または官能基化のための組成物および方法に関する。本発明の主題は、いくつかの場合では、相関製品、特定の問題に対する代替の解決策、および/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用を伴う。
【0006】
一態様では、本発明は、ある方法を対象とする。一組の実施形態では、この方法は、炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体を提供するステップであって、第1の流体中の炭素系ナノ構造体は、正に帯電した官能基を含むステップと;炭素系ナノ構造体を含有する第2の流体を提供するステップであって、第2の流体中の炭素系ナノ構造体は、負に帯電した官能基を含むステップと;基板の表面の第1の部分を第1の流体に曝し、第1の基板表面部分の近傍で、第1のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップと;第1の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、基板の表面の第2の部分を、第2の流体に別個に曝し、第2の基板表面部分の近傍で、第2のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップとを含む。
【0007】
一組の実施形態では、この方法は、電極1立方センチメートル当たり少なくとも約300ファラドの、電極における電気容量を実現するために、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用するステップを含む。一組の実施形態では、この方法は、電極1リットル当たり少なくとも約400ワット時の、電極におけるエネルギー密度を実現するために、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用するステップを含む。一組の実施形態では、この方法は、電極1グラム当たり少なくとも約400ファラドの、電極における電気容量を実現するために、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用するステップを含む。一組の実施形態では、この方法は、電極1キログラム当たり少なくとも約500ワット時の、電極における比エネルギーを実現するために、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用するステップを含む。
【0008】
一態様では、本発明は、ある組成物を対象とする。一組の実施形態では、この組成物は、炭素系ナノ構造体を含み、組成物の体積を画定し、炭素系ナノ構造体のそれぞれは、ナノ構造体の体積を画定する、厚さが少なくとも約10ナノメートルである電極を含み、ナノ構造体の体積の合計は、組成物の体積の少なくとも約60%を画定する。
【0009】
一態様では、本発明は、あるデバイスを対象とする。一組の実施形態では、このデバイスは、電極1立方センチメートル当たり少なくとも約300ファラドの、電極における電気容量を実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備える。一組の実施形態では、このデバイスは、電極1リットル当たり少なくとも約400ワット時の、電極におけるエネルギー密度を実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備える。一組の実施形態では、このデバイスは、電極1グラム当たり少なくとも約400ファラドの、電極における電気容量を実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備える。一組の実施形態では、このデバイスは、電極1キログラム当たり少なくとも約500ワット時の、電極における比エネルギーを実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備える。一組の実施形態では、このデバイスは、充電ステップの間にデバイスに入力されるエネルギーの少なくとも約60%を、デバイス内に貯蔵されるエネルギーに変換することができる電極を備え、充電ステップは、1秒以内に容量の少なくとも50%をデバイスに充電するように実施される。一組の実施形態では、このデバイスは、放電ステップの間に、充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%を電気に変換することができる電極を備え、放電ステップは、1秒以内にデバイスの容量の少なくとも50%が放電されるように実施される。一組の実施形態では、このデバイスは、充電ステップの間にデバイスに入力されるエネルギーの少なくとも約60%を、デバイス内に貯蔵されるエネルギーに変換することができる電極を備え、充電ステップは、電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で実施される。一組の実施形態では、このデバイスは、放電ステップの間に、充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%を電気に変換することができる電極を備え、放電ステップは、電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で実施される。
【0010】
本発明の他の態様、実施形態および特徴は、添付図面とともに考慮されるとき、以下の詳細な説明から明らかとなる。添付の図面は概略図であり、縮尺にして描くように意図されていない。明確さの目的のために、図解が当業者に本発明を理解させるのに必要ではない場合、あらゆる構成要素が図面ごとに標識されているわけではなく、本発明の各実施形態のあらゆる構成要素が示されているわけでもない。参照により本明細書に組み込まれているすべての特許出願および特許は、その全体が参照により組み込まれている。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が支配する。
【0011】
本発明の限定されない実施例は、添付の図面を参照して例として記載され、これらの図面は、概略図であり、縮尺にして描くように意図されていない。図面において、例示される各同一またはほぼ同一の構成要素は、1つの数字で一般に表されている。明確さの目的のために、図解が当業者に本発明を理解させるのに必要ではない場合、あらゆる構成要素が図面ごとに標識されているわけではなく、本発明の各実施形態のあらゆる構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1A〜1Eは、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを作製する方法の模式図を示す図である。
【図2−1】図2A〜2Dは、一組の実施形態による、(A)官能基化されたMWNTのX線光電子分光法(XPS)スペクトル、(B)MWNT−COOHのO1s領域(2時間の酸化)、(C)500℃でH処理する前後のLBL−MWNT電極のサイクリックボルタモグラムデータ;および(D)500℃でH処理する前後のLBL−MWNT電極のXPS C 1sスペクトルを含む図である。
【図2−2】図2A〜2Dは、一組の実施形態による、(A)官能基化されたMWNTのX線光電子分光法(XPS)スペクトル、(B)MWNT−COOHのO1s領域(2時間の酸化)、(C)500℃でH処理する前後のLBL−MWNT電極のサイクリックボルタモグラムデータ;および(D)500℃でH処理する前後のLBL−MWNT電極のXPS C 1sスペクトルを含む図である。
【図3】図3A〜3Bは、一組の実施形態による、溶液中に懸濁された炭素系ナノ構造体の写真を含む図である。
【図4A】図4A〜4Cは、(A)二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロット、(B)pHの関数としてのゼータ電位、および(C)一組の実施形態による二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロットを含む図である。
【図4B】図4A〜4Cは、(A)二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロット、(B)pHの関数としてのゼータ電位、および(C)一組の実施形態による二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロットを含む図である。
【図4C】図4A〜4Cは、(A)二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロット、(B)pHの関数としてのゼータ電位、および(C)一組の実施形態による二重層の数に対する炭素系ナノ構造の膜の厚さのプロットを含む図である。
【図5】図5は、一組の実施形態による様々な炭素系ナノ構造膜の写真を含む図である。
【図6】図6A〜6Bは、一組の実施形態による、様々なpH条件で沈着された炭素系ナノ構造体のアセンブリーの原子間力顕微鏡法(AFM)高さ像を含む図である。
【図7】図7A〜7Cは、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの走査電子顕微鏡法(SEM)像を含む図である。
【図8】図8A〜8Fは、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの写真を含む図である。
【図9】図9は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーのN1s領域のXPSスペクトルを含む図である。
【図10】図10は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーについての二重層の数の関数としてのシート抵抗のプロットを含む図である。
【図11】図11は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーについてのサイクリックボルタモグラムを含む図である。
【図12】図12は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーについての、膜厚の関数としての積算電荷のプロットを含む図である。
【図13】図13は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの表面上のPtのTEM顕微鏡写真を含む図である。
【図14】図14は、一組の実施形態による、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの表面上のPtのTEM顕微鏡写真を含む図である。
【図15】図15は、一組の実施形態による、二重層の数の関数としての厚さおよび透過率のプロットを含む図である。
【図16】図16は、一組の実施形態による、厚さの関数としての質量のプロットを含む図である。
【図17】図17は、一組の実施形態による、電気試験化学試験セットアップを略述する模式図を含む図である。
【図18−1】図18A〜18Dは、一組の実施形態による、デバイス性能のプロットを含む図である。
【図18−2】図18A〜18Dは、一組の実施形態による、デバイス性能のプロットを含む図である。
【図19】図19A〜19Bは、一組の実施形態による、O1sおよびN1sスペクトルを含む図である。
【図20】図20は、一組の実施形態による、例示的な電極の組成物を略述する表を含む図である。
【図21】図21は、一組の実施形態による、電極のHRTEM像を含む図である。
【図22−1】図22A〜22Dは、一組の実施形態による、デバイスの性能のプロットを含む図である。
【図22−2】図22A〜22Dは、一組の実施形態による、デバイスの性能のプロットを含む図である。
【図23】図23は、一組の実施形態による、Cレートの関数としての容量保持のプロットを含む図である。
【図24】図24は、一組の実施形態による、比出力の関数としての比エネルギーのプロットである。
【図25】図25は、二重層の数の関数としての厚さの例示的プロットを含む図である。
【図26】図26A〜26Bは、一組の実施形態による、電気化学電池の複数のサイクルにわたる様々な性能パラメータのプロットを含む図である。
【図27】図27A〜27Bは、一組の実施形態による、比電流密度(specific current density)の関数としての充電および放電電圧のプロットを含む図である。
【図28】図28A〜28Bは、一組の実施形態による、様々な厚さのLBL電極について得られたラゴンプロットを含む図である。
【図29A】図29A〜29Cは、LTO対電極が使用された一組の実施形態による、(AおよびB)比電流密度の関数としての充電および放電電圧、ならびに(C)充電サイクルの関数としての比電流密度のプロットを含む図である。
【図29B】図29A〜29Cは、LTO対電極が使用された一組の実施形態による、(AおよびB)比電流密度の関数としての充電および放電電圧、ならびに(C)充電サイクルの関数としての比電流密度のプロットを含む図である。
【図29C】図29A〜29Cは、LTO対電極が使用された一組の実施形態による、(AおよびB)比電流密度の関数としての充電および放電電圧、ならびに(C)充電サイクルの関数としての比電流密度のプロットを含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される実施形態は一般に、炭素系ナノ構造体および関連構造体のレイヤーバイレイヤーアセンブリーおよび/または官能基化に関連する方法、組成物、物品、およびデバイスに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、表面上に炭素系ナノ構造体のアセンブリーを形成するための方法を提供する。炭素系ナノ構造体アセンブリーは、特性の増強、例えば、炭素系ナノ構造体(例えば、カーボンナノチューブ)の配置の改善、ならびに/または電子伝導率および/もしくはイオン伝導率の増強、ならびに/または他の有用な特徴の増強などを示すことができる。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体の表面への官能基の結合に少なくとも部分的に起因して、特性の改善を観察することができる。本明細書に記載される方法を使用して、炭素系ナノ構造体アセンブリーの形成を制御することによって、特性が増強された構造体を作製することができる。
【0014】
本明細書に記載される実施形態は、特性の増強を示すことができるデバイスを伴うこともできる。例えば、本明細書に記載されるデバイスは、高電気容量(単位体積当たりおよび/または単位質量当たり)、高エネルギー密度、および/または高比エネルギーを実現することができる場合がある。本発明の炭素系ナノ構造体アセンブリーは、アセンブリーのイオンを伝導する容量を維持しながら、アセンブリーの電子を伝導する能力を改善することができる特徴および/または構成要素を含むことができる。本明細書に記載される炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、様々なデバイス、例えば、センサー、トランジスタ、光起電力デバイス(例えば、光電池)、電極、半導体、高強度ポリマー材料、透明導電体、バリア物質、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、コンデンサー)、およびエネルギー生成デバイス(例えば、光起電力デバイス、燃料電池、電気化学電池など)において有用となり得る。このデバイスは、高出力用途、例えば、動力工具およびハイブリッド車などを含めた様々な用途において使用することができる。
【0015】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、以前の方法と比べて、薄膜の容易な沈着を可能にする炭素系ナノ構造体を加工するための方法を有利に提供する。いくつかの実施形態では、以前の方法と比較して、溶液中の炭素系ナノ構造体の沈殿または凝集のレベルを低減することができる。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、流体内で同様の電荷を有する炭素系ナノ構造体は、対象とする時間スケールにわたって、著しい量の凝集が起こり得る前に互いに反発すると考えられる。そのような方法で炭素系ナノ構造体を沈着する能力は、いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを組み込むデバイスにおける性能の改善に導くことができる。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「レイヤーバイレイヤー」(LBL)アセンブリーは、多層状構造を形成するための薄膜製造技法を指し、この技法では、基板の表面の1つまたは複数の部分が、1つまたは複数の流体(例えば、溶液)に繰り返し、連続して曝され、各流体は、基板上に形成される物質を含有する。一般に、このプロセスは、基板表面の部分上に共形薄膜を生成する。いくつかの場合では、基板の表面の1つまたは複数の部分を、相補的に官能基化された物質を含有する流体(例えば、水溶液)に交互様式で曝し、それによって、相補的に官能基化された物質の交互層を有する多層構造を形成することができる。LBLアセンブリー技法は、様々なナノ物質を含む、高度に調製可能な機能的な超薄膜の作製を可能にする。
【0017】
一態様では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを形成する方法が記載されている。本明細書で使用する場合、「炭素系ナノ構造体」は、少なくとも約30質量%の炭素を含み、平均最大断面寸法が約1000nm以下である構造を含む構造を含む。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体は、少なくとも約40質量%、少なくとも約50質量%、少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約90質量%、または少なくとも約95質量%、またはそれ以上の炭素を含むことができる。本明細書で使用する場合、「最大断面寸法」は、測定することができる、個々の構造の2つの対向する境界の間の最大距離を指す。一組の実施形態(embodiements)では、炭素系ナノ構造体は、炭素原子の少なくとも5つの芳香環のネットワークを有する粒子、ロッド、チューブなどである。これらの縮合環炭素系ナノ構造体は一般に、芳香環などの環の縮合ネットワークを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、またはいくつかの場合では、少なくとも50の芳香環の縮合ネットワークを含む。炭素系ナノ構造体は、実質的に平面であっても、実質的に非平面であってもよく、または平面部分もしくは非平面部分を含むことができる。炭素系ナノ構造体は、縮合ネットワークが終端する境界を場合により含むことができる。例えば、1枚のグラファイトは、縮合ネットワークが終端する境界を含む平面の炭素含有分子であり、一方フラーレンは、そのような境界がない非平面炭素系ナノ構造体である。いくつかの場合では、境界は、水素原子で置換することができる。いくつかの場合では、境界は、酸素原子を含む基(例えば、ヒドロキシル)で置換することができる。他の場合では、境界は、本明細書に記載されるように置換することができる。用語「縮合ネットワーク」は、例えば、2つのフェニル環が単結合によって結合され、縮合されていないビフェニル基を含まない場合がある。いくつかの場合では、縮合ネットワークは、炭素原子を実質的に含むことができる。いくつかの場合では、縮合ネットワークは、炭素原子およびヘテロ原子を含むことができる。炭素系ナノ構造体のいくつかの例には、グラフェン、カーボンナノチューブ(例えば、単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)、多重壁カーボンナノチューブ(MWNT))、フラーレンなどが含まれる。
【0018】
いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体は、直径がナノメートルの桁であり、長さがミクロンの桁(例えば、数十ミクロン、数百ミクロンなど)である伸長した化学構造を含むことができ、10、100、1000、10,000を超える、またはそれ以上のアスペクト比をもたらす。いくつかの場合では、ナノ構造体は、1μm未満、100nm未満、50nm、25nm未満、10nm未満、またはいくつかの場合では、1nm未満の直径を有することができる。例えば、カーボンナノチューブなどの炭素系ナノ構造体は、円柱状または疑似円柱状の形状を有することができる。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「炭素系ナノ構造体のアセンブリー」は、複数の相互接続した炭素系ナノ構造体を指す。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体は、例えば、共有結合(例えば、炭素−炭素、炭素−酸素、酸素−ケイ素、硫黄−硫黄、リン−窒素、炭素−窒素、金属−酸素、または他の共有結合)、イオン結合、水素結合(例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオールおよび/または同様の官能基の間の)、供与結合(例えば、金属イオンと単座または多座配位子との錯体化またはキレート化)などを含めた結合を介して相互接続することができる。相互作用は、場合によっては、例えば、ファンデルワールス相互作用、または生体分子などの分子対の結合事象も含むことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体の約2%以下、約5%以下、約10%以下、または約20%以下は、炭素、炭素に共有結合した官能基、および/または炭素にイオン結合したイオン以外の実体を含むことができる。
【0020】
一組の実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、基板の表面の第1の部分を、帯電した炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体に曝し(第1の基板表面部分の近傍で、第1のセットの炭素系ナノ構造体の沈着をもたらす)、第1の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、基板の表面の第2の部分を、逆に帯電した炭素系ナノ構造体を含有する第2の流体に別個に曝すことによって(第2の基板表面部分の近傍で、第2のセットの炭素系ナノ構造体の沈着をもたらす)形成される。本明細書で使用する場合、別個にという用語は、基板の表面の部分が、異なる時間に異なる流体(例えば、第1の流体、第2の流体など)に曝されることを意味する。例えば、基板の表面の第1の部分を、第1の流体に曝し、第2の流体にも接触していないように第1の流体との接触から離すことができ、引き続いて第2の部分を第2の流体に曝すことができる。別の例として、第1の流体および第2の流体は、基板の表面全体にわたって順次(例えば、連続的なプロセスとして)、流体同士間の実質的な混合を伴うことなく流すことができる。
【0021】
図1は、形成の様々な状態における炭素系ナノ構造体のアセンブリーの略図を含む。いくつかの場合では、アセンブリーは、基板10の上に形成される(図1A)。基板(例えば、アセンブリーが形成される基板の表面の部分、基板全体など)は、例えば、とりわけ、金属(例えば、アルミニウム、鋼、銅、金、タングステンなど)、半導体(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、GaNなど)、ポリマーを含めた任意の適当な物質を含むことができる。いくつかの場合では、基板物質は、これが帯電した炭素系ナノ構造体を含有する流体への曝露に耐えることができるように選択することができる。
【0022】
アセンブリーは、広範囲の表面積を有する基板表面の部分にわたって形成することができる。いくつかの場合では、この方法は、大きい表面積、すなわち、数cmまたはそれ以上にわたって、カーボンナノチューブの容易で急速な沈着を可能にすることができる。いくつかの場合では、カーボンナノチューブのアセンブリーは、1cm、10cm、100cm、1000cm、またはそれ以上の表面積にわたって形成することができる。いくつかの場合では、この方法はまた、100ミクロン以下、50ミクロン以下、10ミクロン以下、またはいくつかの場合では、5ミクロン以下を含めた小さい表面積にわたって、カーボンナノチューブアセンブリーの形成を可能にすることができる。
【0023】
基板は、任意の適当な厚さを有するように選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板または任意のその部分は、約10ミクロン、約100ミクロン、約500ミクロン、約1000ミクロン、約10mm、もしくは約100mmの厚さ、またはそれ以上の厚さとすることができる。基板は、特定の用途において使用するのに適した任意の形状を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板は、円形ウエハーまたは長方形プレートを含むことができる。いくつかの実施形態では、基板は、例えば、孔の複合ネットワークを含む固体などの3次元形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板は、実質的に平らとすることができ、一方、他の実施形態では、表面は、1つまたは複数の平坦でない表面を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、基板の表面の1つまたは複数の部分は、1つまたは複数の流体(例えば、帯電した炭素系ナノ粒子を含有する流体)に曝すことができる。本明細書で使用する場合、用語「流体」は一般に、流れる傾向があり、その容器の輪郭に一致する傾向のある物質、すなわち、液体、気体、粘弾性流体などを指す。一般に、流体は、静的な剪断応力に耐えることができない物質であり、剪断応力が印加されると、流体は、連続する永続的な歪みを受ける。流体は、流れを可能にする任意の適当な粘度を有することができる。流体はとりわけ、溶液、懸濁液、またはエマルジョンの一部であってもよい。流体が溶媒を含む場合では、例えば、水性溶媒または有機溶媒などの任意の適当な溶媒を使用することができる。本発明において使用するのに適した溶媒の例として、水、メタノール(methonol)、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、ブタノン、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、トルエンなど)、ジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、成分の実質的に均一な混合物を形成するため、軽微な成分(例えば、溶液中の溶解した塩、懸濁液中の炭素系ナノ構造体など)の実質的に不変の濃度を実現するため、かつ/または塩の沈殿、もしくは構造体(例えば、炭素系ナノ構造体)の凝集を低減するために、流体を撹拌することが有利となり得る。いくつかの実施形態では、流体は、担体流体を含む(例えば、流体が懸濁液を含む場合において)。例えば、上記の可能な溶媒として述べた流体のいずれかなどの任意の適当な担体流体を使用することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、基板の表面の第1の部分は、帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体に曝すことができる。第1の流体は、負に帯電した、または正に帯電した官能基のいずれかを含む炭素系ナノ構造体を含有することができる。いくつかの場合では、第1の流体は、炭素系ナノ構造体が懸濁された担体流体を含むことができる。図1Bに示したように、基板の表面の第1の部分を第1の流体に曝すことにより、第1の基板表面部分の近傍で、正に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体14の層12が沈着する。いくつかの実施形態では、負に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体を、第1の層として沈着することができる。基板の表面の第1の部分は、任意の適当な量の時間、第1の流体に曝すことができる。いくつかの実施形態では、基板の表面の第1の部分は、約12時間未満、約5時間未満、約1時間未満、または約30分未満、第1の流体に曝すことができる。いくつかの場合では、基板の表面の第1の部分は、第1の流体に複数回(例えば、2回、3回、3回超など)曝すことができる。
【0026】
第1の流体に曝した後、第1の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、基板の表面の第2の部分を、帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体を含有する第2の流体に曝すことができる。いくつかの実施形態では、第1の基板表面部分および第2の基板表面部分(および/または後続の基板表面部分)は重なっていてもよい。いくつかの場合では、第1および/または第2(および/または後続)の基板表面部分の少なくとも約20%、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上が、他方(および/または後続の表面部分)と重なっていてもよい。いくつかの実施形態では、任意の基板表面部分と任意の他の基板表面部分の間でほとんど重なっていない場合がある。いくつかの場合では、第2の流体は、炭素系ナノ構造体が懸濁されている担体流体を含むことができる。第1の流体が第1の担体流体を含み、第2の流体が第2の担体流体を含む場合、第1および第2の担体流体は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の流体は、第1の流体中の炭素系ナノ構造体と比べて逆に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体を含有することができる。図1Cに示したように、第2の流体中に基板の表面の第2の部分を曝すことにより、第2の基板表面部分の近傍で、負に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体18の層16が沈着する。層12および16(反対の電荷の)は、二重層20を形成する。述べたように、いくつかの実施形態では、正に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体を最初に沈着させることができる。基板の表面の第2の部分(および/または任意の後続の表面部分)は、任意の回数で、任意の適当な量の時間、第2の流体(および/または任意の後続の流体)に曝すことができる。
【0027】
場合によっては、第1および/または第2の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、基板の表面の第3の部分を、最初の2つの層12および16を沈着させた後で、第1の流体に曝すことができ、第3の基板表面部分の近傍で、炭素系ナノ構造体の第3の層が沈着する。図1Dに示したように、最初の2つの層を沈着させた後に、基板の表面の第3の部分を第1の流体に曝すことにより、正に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体14の層22が形成する。第1、第2および/または第3基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、基板の表面の第4の部分を第2の流体に引き続いて曝すことにより、炭素系ナノ構造体の第4の層を形成することができる。図1Eに例示した一組の実施形態では、これにより、負に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体18の層24が形成する。図1Eでは、層22および24は、二重層26を形成する。
【0028】
図1A〜1E(すべての図面と同様に)は、概略図であり、縮尺にして描くように意図されていないことに注意すべきである。炭素系ナノ構造体の最長の寸法は、このセットの図解において基板に対して、かつ互いに実質的に平行であるように示されているが、ナノ構造体(nanostrucutres)は、基板および/または他のナノ構造体に対して任意の方向に配向することができる。さらに、層および二重層は、図1A〜1Eにおいて、異なった、分離された実体のように例示されているが、層および/または二重層は、いくつかの場合では、混ざっていてもよい。いくつかの場合では、例えば、層および/または二重層は、個々の層および/または二重層が、アセンブリー後に顕微鏡観察で目に見えない程度に混ざっている場合がある。ナノ構造体が混ざっている炭素系ナノ構造体の例示的な膜は、図7Cに示されており、これは後により詳細に説明される。
【0029】
いくつかの実施形態では、相補的に官能基化された物質を含有する2つの流体の間で、基板の表面の部分を交互に曝すのではなく、基板の表面の部分を、第3、第4、第5および/またはそれ以上の流体に曝すことができる。第3、第4、第5などの流体は、第1および/または第2の流体中のナノ構造体および/または実体と異なる官能基化された炭素系ナノ構造体および/または他の実体(例えば、溶質、担体流体など)を含有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、追加の流体は、ポリマー、チタニアナノ粒子、粘土ナノ粒子などを含有することができる。製造プロセスにそのような流体を組み込むことにより、例えば、炭素系ナノ構造物質の層同士間に層状の容量性構造を形成することを可能にすることができる。別の例として、追加の流体は、様々な機能性(例えば、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの表面上でのタンパク質受容体の組込み)を有する炭素系ナノ構造の層の使用を可能にすることができる。
【0030】
任意の数の層または二重層(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも約10、少なくとも約100、少なくとも約1000など)を、第1および第2(またはいくつかの場合では、第3、第4、第5など)の流体中で、基板の表面の部分の曝露を任意の回数続けて実施することによって形成することができる。基板の表面の部分上に形成される層または二重層のいずれも、任意の適当な厚さとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、層または二重層のいずれも、少なくとも約10ナノメートル、少なくとも約100ナノメートル、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、またはそれ以上の厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、薄層または二重層を形成することが有利となり得る。場合によっては、層または二重層のいずれも、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、約100ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、またはそれより薄くすることができる。炭素系ナノ構造体の1つまたは複数の層および/または二重層の膜(例えば、図1Eにおける30)も、任意の適当な厚さ(例えば、少なくとも約10ナノメートル、少なくとも約100ナノメートル、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約500ミクロン、少なくとも約1000ミクロン、またはそれ以上の厚さ)、または薄さ(約1000ミクロン未満、約500ミクロン未満、約100ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、約100ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、またはそれ以下の薄さ)を有することができる。
【0031】
いくつかの場合では、ナノ構造体でコーティングされる基板は、本明細書に記載されるようなレイヤーバイレイヤー法の使用の前、すなわち、炭素系ナノ構造体を含有する流体に基板の表面の部分を曝す前に処理される。この処理は、特定の流体または物質との基板の表面の部分の適合性を増強するために、1つまたは複数の化学試薬に曝すことを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、基板の表面の部分は、炭素系ナノ構造体を含有する流体への曝露(例えば、炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体への第1の曝露)の前に浄化することができる。例えば、基板の表面の部分は、例えば、ピラニア溶液(HSO/H)などの洗浄溶液に曝すことができる。いくつかの実施形態では、基板の表面の部分は、酸素プラズマに曝さらすことができる。いくつかの実施形態では、基板の表面の部分の洗浄により、基板の表面の部分上に官能基化された表面を形成することができる。いくつかの実施形態では、基板の表面の部分は、炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体中に最初に曝す前、および/または炭素系ナノ構造体を含有する流体に引き続いて曝す前に、例えば脱イオン水ですすぐことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリー(例えば、1つまたは複数の層、1つまたは複数の二重層、膜など)は、それが形成した後(例えば、基板の表面の部分上に沈着した後、および/または基板の表面の部分から剥離した後)に加熱(例えばアニール)することができる。加熱ステップは、いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体同士間の架橋を導くことができる。いくつかの場合では、アセンブリーの加熱により、アセンブリーの1つまたは複数の特性の変化(例えば、増加または減少)を生じさせることができる。アセンブリーを加熱すると変化し得るアセンブリーの特性の例には、それだけに限らないが、シート抵抗、厚さ、引張強度、弾性、および/または展性が含まれる。アセンブリーは、任意の温度に、任意の持続時間加熱することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アセンブリーは、少なくとも約50℃、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、少なくとも約500℃に、またはそれ以上高く加熱される。いくつかの場合では、アセンブリーは、約1分間、約5分間、約15分間、約30分間、約1時間、約2時間、約12時間、約24時間、またはそれ以上長く加熱される。本明細書に記載される加熱温度および時間は、アセンブリーまたは他のデバイスを、明言した温度に明言した時間曝すことを意味し、必ずしもアセンブリー全体のすべての部分を、明言した温度に明言した時間到達させるわけではない。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを加熱することにより、炭素系ナノ構造体の表面に酸素化された種(例えば、C−O結合など)を生成させることができる。
【0033】
上述したように、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、1つまたは複数の追加の成分を含むことができる。例えば、アセンブリーは、ポリマー、金属、ナノ粒子、触媒、染料、安定剤、結合剤などを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、1つまたは複数の追加の成分を実質的に含まなくてもよい(例えば、アセンブリーは、結合剤を実質的に含まなくてもよい)。
【0034】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を適切に官能基化することによって、炭素系ナノ構造体および/または炭素系ナノ構造体のアセンブリーに所望の特徴(例えば、表面特性)を付与することができる。例えば、炭素系ナノ構造体は、官能基化または誘導体化することによって、炭素系ナノ構造体アセンブリーの形成を改善または促進することができる化合物、官能基、原子、または物質を含めることができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体は、別の炭素系ナノ構造体と特異的に相互作用することによって共有結合を形成することができる官能基を含むことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体は、特性、例えば、懸濁液媒質との適合性(例えば、水溶性、水安定性)、または表面(例えば、基板の表面の部分、基板上に形成される層の表面の部分)に対する親和性などを変更または改善することができる化合物、原子、または物質を含むことができる。例えば、親水性種は、炭素系ナノ構造体に付随することによって、炭素系ナノ構造体により大きな親水性をもたらすことができる。親水性種は、例えば、アミン、チオール、アルコール、カルボン酸およびカルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリエチレングリコールの誘導体を含むことができる。炭素系ナノ構造体は、分析物を結合することができる(例えば、結合の形成を介して、生体分子の対の間の相互作用を介して)官能基、例えば、生物学的または化学的な分子も含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、帯電した炭素系ナノ構造体を合成するための方法を提供する。帯電した炭素系ナノ構造体は、いくつかの場合では、ナノ構造体を置換または官能基化することによって合成することができる。本明細書で使用する場合、用語「置換された」および「官能基化された」は、当技術分野におけるその通常の意味が与えられ、新しい官能基(例えば、原子または化学基)が種に結合されるように変更された(例えば、反応した)種を指す。いくつかの場合では、官能基は、炭素系ナノ構造体の少なくとも1つの原子への結合を形成することができる。いくつかの場合では、官能基は、炭素系ナノ構造体に既に結合した別の基、例えば、水素原子などを置換することができる。いくつかの場合では、官能基(例えば、環)は、炭素系ナノ構造体の少なくとも2つの原子を介して炭素系ナノ構造体に縮合することができる。本発明の方法は、広範囲の原子または化学基を使用して、炭素系ナノ構造体の官能基化を可能にすることができる。いくつかの場合では、本発明は、複数の基の官能基化および/または炭素系ナノ構造体上の選択された位置での官能基化を可能にすることができる。
【0036】
いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体は、官能基化されることによって、1つまたは複数の負に帯電した原子もしくは基、またはこれらの前駆体を含んで、負に帯電した炭素系ナノ構造体を生じる。負に帯電した基、またはこれらの前駆体の例として、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル基などが挙げられる。例として、負に帯電した炭素系ナノ構造体は、酸素含有基(例えば、とりわけ、カルボキシル基、カルボニル基、フェノール基、およびスルホン酸基)を導入することによって合成することができる。炭素系ナノ構造体は、例えば、それだけに限らないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含めた酸(例えば、強酸)にナノ構造体を曝すことによって、負に帯電した官能基を用いて官能基化することができる。
【0037】
いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体は、官能基化されることによって、1つまたは複数の正に帯電した原子もしくは基、またはこれらの前駆体を含んで、正に帯電した炭素系ナノ構造体を生じる。正に帯電した炭素系ナノ構造体は、例えば、アミン基(例えば、1級、2級および/または3級アミン)を導入することによって合成することができる。炭素系ナノ構造体は、例えば、NH(CHNHにナノ構造体を曝すことによって、正電荷をもつ官能基(例えば、アミン基)を用いて官能基化することができる。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体は、正電荷をもつ官能基(例えば、アミン基)を用いてナノ構造体を官能基化する前に、酸素含有基(例えば、カルボキシル基など)を用いて最初に官能基化してもよい。
【0038】
本明細書に記載される炭素系ナノ構造体は、追加の官能基と炭素系ナノ構造体の間の中間連結として先に置換される官能基を使用することによって、先に置換される官能基を導入した後に、追加の官能基を用いて官能基化することができる。結合させることができる追加の官能基の例には、それだけに限らないが、とりわけ、ピリジル基、ピロール(pyrolles)、アニリン、共役ポリマー前駆体が含まれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、帯電した炭素系ナノ構造体を含有する任意の流体のpHを制御することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの場合では、層、二重層、および/またはアセンブリーの厚さは、pH(例えば、炭素系ナノ構造体を含有する流体の)を制御することによって制御することができる。いくつかの実施形態では、層、二重層、および/またはアセンブリーの厚さは、少なくとも1つの流体曝露ステップの間に比較的低いpHで正に帯電した炭素系ナノ粒子を含有する流体を維持することによって増加させることができる。いくつかの実施形態では、層、二重層、および/またはアセンブリーの厚さは、少なくとも1つの流体曝露ステップの間に比較的低いpHで負に帯電した炭素系ナノ粒子を含有する流体を維持することによって増加させることができる。炭素系ナノ構造体を含有する任意の流体(例えば、第1の流体、第2の流体など)は、任意の流体曝露ステップの間、任意の望ましいpHで維持することができる。いくつかの場合では、流体(例えば、第1の流体、第2の流体など)は、任意の流体曝露ステップの間、約1、約1.5、約2.5、約3.5、約4.5、約6.0、または約7.0のpHで維持することができる。いくつかの実施形態では、流体(例えば、第1の流体、第2の流体など)のpHは、約1と約7の間、約2と約6の間、または約2.5と約4.5とすることができる。
【0040】
本明細書に記載される方法を使用して、炭素系ナノ構造体を含む組成物は、特定の用途に合わせるために、任意のサイズ、形状、厚さ、または他の寸法で作製することができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、これらが形成される基板の表面の部分から取り出すことができる。ナノ構造体の取り出しは、アセンブリーおよび/またはアセンブリーが成長する基板の表面の部分への、機械的ツール、機械的もしくは超音波振動、化学試薬、熱、または他の外部エネルギー源の適用を含むことができる。いくつかの場合では、アセンブリーは、例えば、アセンブリーを水に曝すことによって剥離することができる。これは、いくつかの場合では、アセンブリーが成長する基板の表面の部分から、アセンブリーを膨潤および層状剥離させることができる。いくつかの実施形態では、基板の表面の部分、および/または基板とアセンブリーの間の結合を、選択的にエッチングすることができる。場合によっては、アセンブリーは、基板の表面の部分から引き離すことができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、受け入れ基板のいずれかの部分にナノ構造体を結合させることなく、バルクで取り出し(例えば、剥離し)、収集することができ、このナノ構造体は、成長基板から取り出した後、その元のまたは「アズグロウン」の配向および構造(例えば、層のアセンブリーとして)のままであることができる。
【0041】
別の態様では、炭素系ナノ構造体を含む物品、組成物、およびデバイスが記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される物品、組成物、およびデバイスは、上記に略述したレイヤーバイレイヤーアセンブリープロセスによって形成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、炭素系ナノ構造体同士の間に比較的少ない空隙体積を有することができる。炭素系ナノ構造体を含む組成物は、組成物の体積を画定することができる一方で、炭素系ナノ構造体のそれぞれは、ナノ構造体の体積を画定することができ、このナノ構造体の体積は、いくらかの空隙空間、例えば、ナノチューブ内に画定される空間を含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の体積の合計は、組成物の体積の少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%を画定する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の体積の合計は、組成物の体積の約60%と約90%の間で画定する。
【0043】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、結合剤および/または他の非炭素物質を実質的に含まない場合があり、炭素系ナノ構造体の高充填密度をもたらす。いくつかの実施形態では、炭素は、アセンブリー中の固体の質量の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を規定する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される物品、組成物、およびデバイスは、1つまたは複数の性能測定基準を実現することができる場合がある。例えば、1つまたは複数の性能測定基準(例えば、所定の電気容量、エネルギー密度、比エネルギー、出力、充電効率、放電効率など、または互いに協調したこれらの任意の組合せ)を実現することができるデバイスの構成要素(例えば、1つまたは複数の電極)は、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含むことができる。一例として、いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、スーパーキャパシタ挙動を示すことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、電極1立方センチメートル当たり、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、または少なくとも約450ファラドの、電極における電気容量を実現することができる場合がある。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、電極1グラム当たり、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、または少なくとも約550ファラドの、電極における電気容量を実現することができる場合がある。別の例として、場合によっては、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、電極1リットル当たり、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、または少なくとも約750ワット時の、電極におけるエネルギー密度を実現することができる場合がある。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、電極1キログラム当たり、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約850、または少なくとも約900ワット時の、電極における比エネルギーを実現することができる場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、デバイス1立方センチメートル当たり、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、または少なくとも約150ファラドの、電極における電気容量を実現することができる場合がある。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、デバイス1グラム当たり、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約160、または少なくとも約185ファラドの、電極における電気容量を実現することができる場合がある。別の例として、場合によっては、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、デバイス1リットル当たり、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約225、または少なくとも約250ワット時の、電極におけるエネルギー密度を実現することができる場合がある。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、デバイス1キログラム当たり、少なくとも約175、少なくとも約200、少なくとも約225、少なくとも約250、少なくとも約275、または少なくとも約300ワット時の、電極における比エネルギーを実現することができる場合がある。当業者は、どんな構成要素が、上述したデバイスの体積または質量の中に含められるかが分かるであろう。本明細書に記載されるデバイスの体積および質量として、いくつかの実施形態では、稼働電解槽、稼働電気化学電池、稼働コンデンサーなどの体積または質量を挙げることができる。非限定例として、電気化学電池の場合では、デバイスの体積または質量は、電極、対電極、電解質、およびデバイスパッケージの体積または質量を含むことができる。デバイスの体積または質量に含まれない場合のある構成要素の例として、それだけに限らないが、デバイスパッケージの外側の配線、デバイスを収容するのに使用されるパッケージの外側の構成要素などが含まれる。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される物品、組成物、およびデバイスは、可視光(例えば、550nmの光、380〜750nmの範囲内の波長の任意の100nmの範囲)に対して透明であるように十分に薄い炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含むことができる。いくつかの実施形態では、25の二重層の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約25%を透過することができる。いくつかの実施形態では、20の二重層の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%を透過することができる。いくつかの実施形態では、15の二重層の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%を透過することができる。いくつかの実施形態では、10の二重層の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%を透過することができる。いくつかの場合では、5の二重層の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%を透過することができる。場合によっては、単層状の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%を透過することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、厚さが最大約250nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%を透過することができる。いくつかの実施形態では、厚さが最大約200nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%を透過することができる。いくつかの実施形態では、厚さが最大約150nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%を透過することができる。いくつかの実施形態では、厚さが最大約100nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%を透過することができる。いくつかの場合では、厚さが最大約50nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%を透過することができる。場合によっては、厚さが最大約10nmの炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、入射可視光の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%を透過することができる。炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、本明細書に記載されるアセンブリー、組成物、ならびにデバイスに関連する、性能測定基準(例えば、上記に略述した電気容量、エネルギー密度、比エネルギー測定基準など、および/もしくは以下に記載される供給出力、充電速度、放電速度、低エネルギー損失、複数の充電/放電サイクルにわたる特性の保持など)、ならびに/または物質特性(例えば、炭素系ナノ構造体同士間の低空隙体積、結合剤を含まないことなど)のいずれかと協調して、上述した二重層の厚さならびに/または数の関数として、透過率特性を示すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、速い充電および/または放電速度を示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、約1秒以内、約10秒以内、約30秒以内、約1分以内、約5分以内、約10分以内、約30分以内、約1時間内、約2時間以内、または約6時間以内に、所定の容量(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%)に充電することができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、約1秒以内、約10秒以内、約30秒以内、約1分以内、約5分以内、約10分以内、約30分以内、約1時間内、または約2時間以内に、その容量の所定の割合(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%)を放電することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、高出力アウトプットを供給することができる場合がある。いくつかの場合では、本明細書に記載されるデバイスは、電極1キログラム当たり少なくとも約100W、電極1キログラム当たり少なくとも約1kW、電極1キログラム当たり少なくとも約10kW、電極1キログラム当たり少なくとも約30kW、電極1キログラム当たり少なくとも約300kW、またはそれ以上の割合で電極において出力を供給することができる場合がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、電極1リットル当たり少なくとも約80W、電極1リットル当たり少なくとも約800W、電極1リットル当たり少なくとも約8kW、電極1リットル当たり少なくとも約25kW、電極1リットル当たり250kW、またはそれ以上の割合で電極において出力を供給することができる場合がある。炭素系ナノ構造体を含むデバイスは、本明細書に記載されるアセンブリー、組成物、およびデバイスに関連する性能測定基準および/または物質特性のいずれかと協調して、上述した出力アウトプットを供給することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスの充電および/または放電の間のエネルギー損失(例えば、損失熱として)の量は、比較的低くなり得る。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、充電する間にデバイスに入力されるエネルギーの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%を、充電後にデバイス内に貯蔵されるエネルギーに変換することができる。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、充電後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%を、放電する間に電気に変換することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、高速でデバイスの充電および/または放電をする間に、少量のエネルギーが失われる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスに入力され、かつ/またはデバイス内に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%を変換することができる一方で、デバイスは、上述した任意の速度で充電および/または放電される(例えば、わずか1秒以内に、充電および/または放電されるデバイスの容量の少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%)。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスに入力され、かつ/またはデバイス内に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%を変換することができる一方で、デバイスは、上記に略述した任意の割合(例えば、電極の単位質量当たりおよび/または単位体積当たり)で出力を供給する。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体を含むデバイスは、本明細書に記載されるアセンブリー、組成物、およびデバイスに関連する性能測定基準および/または物質特性のいずれかと協調して、充電および/または放電する間、低いエネルギー損失を示すことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスは、サイクルを繰り返した後、一貫した電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーを示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを10回交互に充電および放電した後、このデバイスは、10回目のサイクルの最後で、デバイスの最初の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーの、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーを示すことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを100回交互に充電および放電した後、このデバイスは、100回目のサイクルの最後で、デバイスの最初の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーの、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーを示すことができる。いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを1000回交互に充電および放電した後、このデバイスは、1000回目のサイクルの最後で、デバイスの最初の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーの、少なくとも約50%、少なくとも約65%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の電気容量、エネルギー密度、および/または比エネルギーを示すことができる。
【0053】
炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、それだけに限らないが、センサー、トランジスタ、光起電力デバイス、電極、半導体、高強度ポリマー物質、透明導電体、バリア物質、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、コンデンサー)、および/またはエネルギー生成デバイス(例えば、光起電力デバイス、燃料電池、電気化学電池など)を含めた様々なデバイスに組み込むことができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含む1つまたは複数の電極を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、炭素系ナノ構造体を含む正および/または負の電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)を備えることができる。本明細書に記載されるデバイスは、本明細書に記載される物質特性の1つまたは複数を有するアセンブリーおよび/または組成物を含むと同時に、本明細書に記載される性能測定基準の任意の1つまたは複数を実現することができる場合がある。
【0054】
いくつかの実施形態では、官能基化された炭素系ナノ構造体を含む組成物および/またはデバイスは、より低い程度に官能基化された炭素系ナノ構造体を含む組成物および/もしくはデバイス、または実質的に官能基化されていないものと比べて、特性(例えば、上述した性能測定基準および/または物質特性の任意の1つまたは複数)の増強を示すことができる。いくつかの場合では、高い割合の、例えば、窒素および/または酸素を含む炭素系ナノ構造体を含むデバイスは、特性の増強を示すことができる。
【0055】
炭素系ナノ構造体(例えば、個々の炭素系ナノ構造体、炭素系ナノ構造体のアセンブリーおよび/または組成物など)は、製造プロセスにおける様々な時点で官能基化することができる。例えば、デバイスは、レイヤーバイレイヤープロセスにおいて、官能基を結合させて、溶液中で官能基化され、沈着される炭素系ナノ構造体を含むことができる。場合によっては、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、これらがアセンブルおよび/または沈着された後(例えば、アニーリングステップ、酸化ステップ、化学的処理ステップなどの間に)官能基化することができる。例えば、いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、炉内で加熱することができ、炉内でアセンブリーは酸素に曝され、ナノ構造体の表面上に炭素−酸素結合を形成する。別の具体例として、酸素を含む官能基は、1つまたは複数の酸(例えば、塩酸、硫酸など)にアセンブリーを曝すことによって、炭素系ナノ構造体のアセンブリーに結合させることができる。なおさらなる例として、窒素を含む官能基は、NH(CHNHにアセンブリーを曝すことによって、炭素系ナノ構造体のアセンブリーに結合させることができる。
【0056】
比較的高い量の酸素および/または窒素を含む炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含むデバイスは、いくつかの実施形態では、性能の増強をもたらすことができる。いくつかの場合では、酸素は、アセンブリー中の固体の質量の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約58%を規定する。場合によっては、窒素は、アセンブリー中の固体の質量の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約54%を規定する。
【0057】
いくつかの実施形態では、官能基化された炭素系ナノ構造体を含むアセンブリーは、イオンを含む流体に曝すことができる。官能基は、陽イオンおよび/または陰イオンと相互作用することができ、イオンは、任意の酸化状態であってもよい。いくつかの場合では、官能基は、プロトン交換、電子交換、または他のイオン交換を介してイオンと相互作用することができる。イオンは、炭素系ナノ構造体の任意の原子(例えば、C、O、Nなど)と相互作用することができる。官能基化された炭素系ナノ構造体と相互作用することができるイオンの例として、それだけに限らないが、Li、Pt2+、Pt4+、V2+、V3+、PF、Cl、または任意の他の適当なイオンを挙げることができる。いくつかの実施形態において、官能基化された炭素系ナノ構造体とイオンの間で起こり得る相互作用の一般的な例は、
【0058】
【数1】

のように例示することができ、式中、[CBNS]は任意の炭素系ナノ構造体を表し、[X]は任意の陽イオンを表し、[Y]は任意の陰イオンを表す。
【0059】
いくつかの実施形態では、イオンと相互作用する官能基化された炭素系ナノ構造体を含む組成物および/またはデバイスは、より低い程度にイオンと相互作用する官能基化された炭素系ナノ構造体を含む組成物および/もしくはデバイス、または実質的にイオンと相互作用しないものと比べて、特性(例えば、任意の上述した性能測定基準および/または物質特性)の増強を示すことができる。
【0060】
例として、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、電気化学電池内に組み込むことができる(例えば、1つまたは複数の電極として)。電気化学電池は、例えば、水性または非水性電解質を含むことができる。例として、いくつかの場合では、電池の1つまたは複数の電極は、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含むことができる。いくつかの場合では、電池の電解質が、1つまたは複数の電解質イオンを含む場合、この1つまたは複数の電解質イオンは、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含む1つまたは複数の電極(例えば、正電極)と相互作用することができる。1つまたは複数の電解質イオン(正および/または負)は、例えば、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの表面上に化学吸着することができる。この化学吸着プロセスは、いくつかの場合では、電池の充電および/または放電の間、可逆性となり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電解質イオン(正および/または負)は、炭素系ナノ構造体のアセンブリー中にインターカレートすることができる。このインターカレーションプロセスは、いくつかの場合では電池の充電および/または放電の間、実質的に不可逆性となり得る。いくつかの場合では、例えば、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの構造上の損傷のために、インターカレーションがまったく起こらない条件下で電池を作動させることが望ましい場合があり、この損傷は、いくつかの実施形態では、イオンが中にインターカレートするときに起こり得る。炭素系ナノ構造体のアセンブリーへの電解質イオンの化学吸着および/またはインターカレーションは、いくつかの場合では、電気化学電池の性能の増強(例えば、より高い比エネルギー、エネルギー密度、電気容量など)に導くことができる。
【0061】
電気化学電池または電解槽は、炭素系ナノ構造体を含む電極の反対側に使用される任意の適当な対電極を備えることができる。いくつかの実施形態では、対電極は、リチウムを含むことができる。例えば、対電極は、リチウム金属またはリチウム系化合物(例えば、LiTi12(LTO))を含むことができる。電気化学電池は、任意の適当な電圧で作動させることができる。いくつかの実施形態では、電気化学電池は、比較的低い電圧(例えば、約10ボルト未満、約5ボルト未満、約1ボルト未満、約0ボルトと約8ボルトの間、または約1.5ボルトと約4.5ボルトの間)で作動させることができる。
【0062】
具体例として、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを、電解質がLiイオンを含む電気化学電池中に組み込むことができる。場合によっては、Liイオンは、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの表面上に化学吸着することができる。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、Liイオンは、負に帯電した原子(例えば、酸素原子)および/または官能基(例えば、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル基、アニーリングの間に生成される酸素化された種など)と反応することができる。
【0063】
別の例として、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを、電解質がPFイオンを含む電気化学電池中に組み込むことができる。場合によっては、PFイオンは、炭素系ナノ構造体のアセンブリー中にインターカレートすることができる。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、PFイオンは、正に帯電した原子および/または官能基(例えば、アミンなど)と反応することができる。
【0064】
一組の実施形態では、電気化学電池は、炭素系ナノ構造体のアセンブリーを含む正電極を備える。この組の実施形態の電気化学電池の電解質は、溶液中に溶解したLiPF塩を含むことによって、LiイオンおよびPFイオンを形成する。いくつかの場合では、Liイオンは、比較的低い動作電圧(例えば、最大3Vまで)で、正電極内の炭素系のナノ構造体のアセンブリー表面上に可逆的に化学吸着することができる。場合によっては、比較的低い動作電圧で、正電極中にインターカレートするPFイオンは、実質的にまったくない。この組の実施形態では、PFイオンは、比較的高い動作電圧(例えば、3V超)で、正電極中に実質的に不可逆的にインターカレートする場合がある。いくつかの場合では、比較的高い動作電圧で、正電極上に化学吸着するLiイオンは実質的にまったくない。
【0065】
いくつかの場合では、最初の充電/放電サイクルの間のPFイオンのインターカレーションは(これは、いくつかの場合では、実質的に非可逆性となり得る)、後続の充電サイクルの間に貯蔵されるエネルギー量を低減する場合がある。いくつかの実施形態では、最初の充電/放電サイクルの間のPFイオンのインターカレーションは、後続放電サイクルの間のエネルギー放電の割合を低減する場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される炭素系ナノ構造体アセンブリーは、触媒(例えば、エネルギー変換デバイス用電極触媒)のインサイチュ合成のためのマトリックスおよび/または基板として使用することができる。いくつかの実施形態では、触媒金属前駆体を、アセンブリー内の帯電した炭素系ナノ構造体に結合させることができる。いくつかの場合では、固定された前駆体は、インサイチュで還元され得る。具体例として、負に帯電したPt前駆体(例えば、PtCl2−)を、正に帯電した炭素系ナノチューブ構造体(例えば、正電荷をもつMWNT薄膜内のアミン基)に結合させることができる。次いでPt前駆体は、例えば、300℃で、Hガスを流すことによって還元され、Pt粒子を生成することができる。図13〜14は、(a)低拡大率および(b)高拡大率での、MWNT薄膜上に合成されたPtナノ粒子のTEM像を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、カーボンナノチューブを含むことができる。本明細書に記載されるように、用語「カーボンナノチューブ」は、芳香環の縮合ネットワークを含む、実質的に円柱状の分子を指す。いくつかの場合では、カーボンナノチューブは、巻かれて継ぎ目のない円柱状の構造になった1枚のグラファイトに類似している場合がある。カーボンナノチューブは、主に六員環を含むが、いくつかの場合では、カーボンナノチューブは、六員環以外の環も含むことができることが理解されるべきである。一般に、カーボンナノチューブの少なくとも1つの端はキャッピングされている、すなわち(i.e.)曲線状または非平面の芳香族基でキャッピングされている場合がある。カーボンナノチューブは、ナノメートルの桁の直径、およびミリメートルの桁の長さを有し、100、1000、10,000超、またはそれ以上のアスペクト比をもたらしている。用語「カーボンナノチューブ」は、単一壁ナノチューブ(SWNT)、多重壁ナノチューブ(MWNT)(例えば、同心カーボンナノチューブ)、これらの無機誘導体などを含む。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブは、単一壁カーボンナノチューブである。いくつかの場合では、カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブ(例えば、二重壁カーボンナノチューブ)である。いくつかの場合では、カーボンナノチューブは、金属特性および/または半導体特性を示すことができる。
【0068】
いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、大きい表面積(例えば、200nm超)にわたって実質的に均一な厚さを有することができる。「実質的に均一な」厚さを有する物質は、物質の平均厚さから10%未満、5%未満、またはいくつかの場合では、2%未満逸脱する厚さを有する物質を指すことができる。いくつかの場合では、この物質は、少なくとも200nmの表面積にわたって実質的に均一な厚さを有することができる。いくつかの場合では、この物質は、少なくとも約1000nm、少なくとも約0.1平方ミクロン、少なくとも1平方ミクロン、少なくとも1mm、少なくとも1cm、またはいくつかの場合では、それ以上の表面積にわたって実質的に均一な厚さを有することができる。いくつかの場合では、炭素系ナノ構造体の1つまたは複数の層は、これらが、基板の表面の部分を共形にコーティングするように形成することができる。
【0069】
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を例示するように意図されており、本発明の完全な範囲を例示しない。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
この実施例では、レイヤーバイレイヤー(LBL)アセンブリー法を使用して作り出される、化学的に修飾された多重壁カーボンナノチューブ(MWNT)を説明する。さらに、エネルギー貯蔵および変換デバイスにおいて使用するために、MWNT薄膜を分析した。負および正に帯電したMWNT溶液の安定分散系は、MWNTの表面官能基化によって実現し、MWNTを静電相互作用に基づいてLBLによって自己組織化することを可能にした。MWNT薄膜の厚さおよび表面トポロジーは、溶液のpHに依存した。原子間力顕微鏡法(AFM)、走査電子顕微鏡法(SEM)、および膨張実験を使用することによって、MWNT薄膜の表面トポロジーおよび内側構造は、物理的な絡み合いを可能にする、相互接続されたランダムネットワークを構成することを実証した。シート抵抗およびサイクリックボルタンメトリー測定は、MWNT薄膜は、電極構造について広い設計範囲を有する有望な電極物質となり得ることを示した。
【0071】
MWNTの表面官能基化
LBLシステム用のMWNTを生成するために、その外側表面を化学的に官能基化することによって負および正に帯電したMWNTを作り出した。負に帯電したMWNTは、攻撃的な酸(HSO/HNO)を用いて酸化することによって調製し、この酸は、MWNTの壁に酸素含有基(例えば、カルボキシル基、カルボニル基、およびフェノール基)を導入した。MWNTの表面上のカルボン酸基(COOH)は、水溶液中でカルボン酸塩陰イオン(COO)として存在し、負に帯電したMWNT(MWNT−COOH)を生じさせている。正に帯電したMWNTは、COOH官能基化MWNTからアミド結合を形成することにより、アミン基(NH)を導入することによって調製した。MWNTの表面上のアミン基は、アンモニウム陽イオン(NH)に変形し、正に帯電したMWNT(MWNT−NH)を作り出す。
【0072】
始めに、従来のCVD法によって調製されたMWNTをNANOLABから購入した(95%の純度、長さ1〜5ミクロン、外径15±5nm)。濃縮されたHSO/HNO(3/1 v/v、それぞれ96%および70%)中で、70℃でMWNTを還流することによって、カルボン酸官能基化MWNT(MWNT−COOH)を調製し、次いで、ナイロン膜フィルター(0.2ミクロン)を使用して、脱イオン水で数回洗浄した。乾燥した、カルボキシル化されたMWNTを、SOClを用いて70℃で12時間還流することによって塩素化した。いずれの残っているSOClも蒸発させた後、アミン官能基化MWNT(MWNT−NH)を、脱水トルエン中で、70℃で24時間、NH(CHNHと反応させることによって得た。エタノールおよび脱イオン水で数回洗浄した後、MWNT−NHを、乾燥器内で粉末形態として調製した。
【0073】
MWNT薄膜のレイヤーバイレイヤーアセンブリー
乾燥したMWNT−COOHおよびMWNT−NH粉末を、Milli−Q水(18MΩ.cm)中で、数時間超音波処理することによって安定な分散系を形成した。Milli−Q水に対して数日間これらの溶液を透析にかけることによって、官能基化の間の副生物および残留物を除去した。溶液の濃度(0.5mg/ml)およびpHは、透析後に正確に調整し、得られた溶液を短時間超音波処理した後、LBLアセンブリーを行った。MWNT膜は、様々な基板上に改良型Carl Zeiss DS50プログラマブルスライドステイナーを用いて作製した。薄い平型磁気撹拌機をMWNT溶液の下に据え付けて、LBLプロセスの間、MWNT懸濁液を循環させた。
【0074】
基板をMWNT−NH溶液中に30分間最初に浸漬し、次いでMilli−Q水の3つの浴にそれぞれ2分、1分、および1分間浸漬した。次に、基板をMWNT−COOH溶液に30分間曝し、Milli−Q水の3つの浴中で、それぞれ2分、1分、および1分間洗浄した。このサイクルにより、MWNT−NHおよびMWNT−COOHの1つの二重層が生成し、(MWNT−NH/MWNT−COOH)と表した。このサイクルを繰り返すことによって、MWNT薄膜の所望の数の二重層を生成した。
【0075】
表面を官能基化されたMWNT:XPSおよびゼータ電位の結果
図2Aに示したように、X線光電子放出分光法(XPS)元素分析を実施することによって、MWNT上の表面の官能基をプローブした。単色化(monochoromatized)Al KαX線源を有するKratos Axis Ultra XPS計測器(Kratos Analytical、Manchester)を使用した。試料基板に対する取り出し角は、90°であった。Shirley型バックグラウンド差し引きの後、光電子放出スペクトルの曲線フィッティングを実施した。未処理のMWNTについて、284.5eVを中心とするsp混成炭素からの非対称C1sピークが生成した。参照としてこの非対称ピークを使用して、すべての他のピークを、ガウシアン−ローレンツィアン関数によってフィッティングした。XPS結合エネルギーに対する実験的不確定度は、±0.1eVであった。C 1s、O 1s、およびN 1sのピークをスケール変更するのに使用した相対的感度因子は、それぞれ、0.278、0.780、および0.477であった。
【0076】
表面酸化によって導入されるO1sシグナルは、COOH官能基化MWNTおよびアミン官能基化MWNT上ではっきりと観察された。NH官能基化MWNTのみがN1sシグナルを示し、アミド結合の形成および1級アミン基の導入に成功したことを示した。酸化時間を1時間から2時間に増やした際のO1sシグナルのピーク強度の増大によって示されるように、表面官能基の量は、酸化時間によって制御することができる。図2Bに示したように、カルボキシ(533.33eV)、カルボニル(531.70eV)、およびフェノール(529.84eV)基に起因する3つのピークに対して、O1sスペクトルをフィッティングした。2時間酸化した後、MWNT−COOHは、MWNT同士間の静電気的反発によって、水中で安定な分散を示した(図3A)。しかし、わずか1時間の酸化の後では、負電荷の数は、MWNT同士間のファンデルワールス相互作用による重力沈殿を防止するのに十分多くなかった。MWNT−NHは、数回超音波処理した後、水中で安定な分散系を生成した。濃縮および希釈アミン官能基化MWNT溶液の例も図3Bに示す。希釈MWNTの場合では、数日間沈殿はまったくなかったが、少量の沈殿物が、濃縮MWNT溶液中で数日後に観察された。この結果は、おそらくMWNT−NH同士間の相対的に弱い静電気的反発のために、正に帯電したMWNTの沈殿速度は、負に帯電したMWNTよりはるかに速いことを示した。
【0077】
4体積%のHおよび96体積%のArに、500℃で10時間曝す前後のLBL−MWNTの性能を比較することによって、LBL−MWNTの高エネルギー貯蔵密度に対する表面の酸素官能基および窒素官能基の寄与をさらに調査した。図2Cに示したように、LBL−MWNT電極の重量電流および重量電気容量(gravimetric current and capacitance)値は、H処理後に相当(約40%)減少した。XPS C 1sスペクトル分析は、このH処理ステップは、MWNT上の表面の酸素官能基および窒素官能基の量を減少させたことを示した。図2Dに示したように、284.5eVおよび285.2eVの2つのピークに対して、それぞれspおよびsp混成炭素原子をフィッティングした。285.9±0.1eVを中心とするC−NまたはC−O、286.7±0.1eVのカルボニルC=O基、および288.4±0.1eVのアミドN−C=OまたはカルボキシCOOR基中の炭素原子に割り当てられたより高い結合エネルギーの明確なピークの強度は、H処理後に大いに(約70%)低減した。したがって、この実験は、表面の酸素および窒素官能基の酸化還元は、非水系におけるLBL−MWNT電極の大きな重量電気容量に寄与し得るというさらなる証拠を提供する。
【0078】
MWNTの表面電荷は、安定なコロイド分散系を作り出し、引き続いてLBL組織化膜(LBL-assembled film)の品質を制御することにおいて重要な要因となり得る。安定性に対するMWNT分散系の表面電荷の効果を調査するために、pHの関数としてのゼータ電位を測定した。図4Bに示したように、pHが減少するとMWNT−COOHのゼータ電位は減少し、これは、MWNTのイオン化の程度も減少するためである。一方、MWNT−NHのゼータ電位は、pHが増加するにつれて減少し、これは、MWNTのイオン化の程度が減少したためである。この挙動は、弱い高分子電解質、例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)およびポリ(アリルアミンヒドロクロリド)(PAH)などで観察されたものと同様であった。したがって、MWNTは、静電相互作用によって多層膜中に直接組み込むことができると考えられ、得られるLBL膜の厚さおよび形態は、弱い高分子電解質を使用して行うことができるように、アセンブリーのpHを変更することによって制御することができることも予期された。長い時間スケール(例えば、数日)での溶液中のMWNTの遅い沈殿の効果を除外するために、平型撹拌機を据え付けることによって、基板上に層形成しながらMWNT溶液を循環させた。これにより、基板上に均一な、優れた品質のMWNT薄膜を生成することが可能になった。
【0079】
図4Aは、二重層の数の関数としての様々なpH条件下でのMWNT薄膜の成長挙動を例示する。比較の便宜上、以下の表示法を今後採用する:pH2.5でMWNT−NHおよびpH3.5でMWNT−COOHから組織化したMWNT膜は、pH2.5(+)/3.5(−)と表す。MWNT−COOHのpHを2.5から4.5まで変更した一方で、MWNT−NHのpHを2.5に固定し、表面電荷は十分であった。MWNT膜の二重層あたりの厚さは、MWNT−COOHのpHが減少するにつれて増加した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、pH4.5から2.5で厚さが増加するのは、pH4.5からpH2.5で、カルボン酸官能基化MWNTの電荷が著しく減少し、したがって各二重層についての電荷の平衡を保つために、負に帯電したMWNTのより多くの吸着を必要とするためであった可能性がある。この仮説は、ゼータ電位測定によって支持される(図4B)。正に帯電したMWNTのpHの変化の関数としての(負に帯電したMWNTの一定のpHを維持しながら)厚さの変化を相対的に測定した。その結果を図4Cに示す。図4Cは、正に帯電したMWNT溶液のpHが減少するにつれて厚さが増加するが、この厚さの増加は、図4Aにおいて観察された増加ほど大きくなかったことを示す。
【0080】
炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、場合によっては、可視光に対して少なくとも部分的に透明であった。図15は、一組の実施形態についての、二重層の数の関数としての、炭素系ナノ構造体のアセンブリーの厚さおよび炭素系ナノ構造体を通過する550nmの電磁放射線の透過率のプロットを含む。このプロットから、炭素系ナノ構造体のアセンブリーは、波長550nmの光を50%超透過することができたことが分かる。
【0081】
図5は、pH2.5(+)/4.5(−)からのSiウエハー上のMWNT薄膜の代表的なデジタル写真画像を含む。図5から、各膜は、その厚さに対応する特徴的な反射色を有することが分かる。
【0082】
表面を官能基化したLBL MWNTの微細構造および膨張挙動
原子間力顕微鏡(AFM)および走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、MWNT薄膜の表面形態および内側構造を調査した。図6は、漸増数の二重層とともに、異なるpH条件で組織化したMWNT薄膜のトラッピングモードAFM像を示す。すべてのAFM像は、平均直径が約15±5nmであった個々のMWNTを含む相互接続されたネットワーク構造を有したMWNT薄膜をはっきりと示した。二乗平均平方根(RMS)粗さは、二重層の数とともに増大した。同様の挙動が異なるpH条件について早期において観察されたが、pH2.5(+)/2.5(−)からのアセンブリーは、他のpH条件下でのアセンブリーと比べて、9の二重層から15の二重層で、RMS粗さの急峻な増大を生じた。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、これは、pH2.5でのMWNT−COOHの表面電荷密度が不十分であり、大量のMWNTの緩い吸着をもたらし、相対的により粗い表面を生じるためである場合がある。対照的に、より高いpHでのMWNT−COOHのアセンブリーは、相対的に均一で高密度に充填されたMWNTネットワーク構造を示す。(pH2.5(+)/3.5(−)の条件下で作製したMWNTの画像は、pH2.5(+)/4.5(−)の条件下で作製したMWNTのトポグラフィーと類似しているため、ここでは省略した)。
【0083】
個々のMWNTを用いて織られたMWNT薄膜の多孔質ネットワーク構造を、上方視点のSEMを使用して観察した(図7A)。図7Aの拡大は、MWNT同士間のナノスケールの孔を示す。これはMWNT薄膜が、イオンおよび電子伝導性チャネルの混合をもたらすため、MWNT薄膜を、電極構造において使用するのに相対的により適したものにできる。MWNT薄膜の断面図(図7B)は、シリコンウエハー上のMWNTの共形で均一なコーティングを示す。これは、MWNTは、幾何的な制約を伴うことなく、様々な基板形状に適用することができることを示す。興味深いことに、図7Bの拡大における膜は、膜内のほとんどのMWNTは、基板と平行ではなく、しかしむしろ傾いており、垂直ならびに水平方向に配向した要素と相互貫通する構造を形成していることを示す。図7Cは、傾斜して膜を切断することによって作り出された中間の図を含み、膜の内部構造をよりはっきりと示している。MWNTは、本質的に高い導電率および表面積を有するので、これらの多孔質ネットワーク構造は、速い電子およびイオン伝導性チャネルを提供することができる。これは、エネルギー変換および貯蔵デバイスのための理想的なマトリックス構造を設計する方法についての手がかりをもたらし得る。
【0084】
水中でのMWNT薄膜の時間依存性膨張挙動も調査した。Si基板上にpH2.5(+)/4.5(−)で組織化したMWNT薄膜(厚さ約156±6nm)を、脱イオン水中に浸漬した。膜の中心領域に小さいブリスターが直ちに形成した。次いでこのブリスターは、急速に成長および合体して大きいブリスターを形成し、その境界は、基板の縁部に到達した(図8A〜Dに示したように)。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、水中(pH約6.0)でNH(NH+)基のイオン化の程度が増大し、COOH(COO−)基のイオン化の程度が減少することによって誘導された電荷の不均衡により、膜内で負電荷のMWNT同士間の静電気的反発があった可能性がある。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、膜が水中で膨張したとき、膜は、その厚さまで自由に拡大することができるが、基板によって束縛されているために横方向に拘束された可能性がある。これは、横方向に歪みを作り出した可能性がある。結果として、膜内の過剰の歪みエネルギーを解放するために、ブリスターの生成および基板からの膜の層状剥離が始まった可能性がある。これは、歪みエネルギーが膜と基板の間の接着エネルギーより大きい任意の箇所で開始した可能性がある。個々のMWNTはかなり弾性であったが、その剛性のために、その構造の変化を実現することが困難であった。個々のMWNTの大きいアスペクト比およびしなやかな構造のために、膜内に物理的な絡み合いが存在した。これは、膨張プロセスの間のMWNTの粘性流れを導いた。MWNTの粘性流れの間のエネルギーの散逸は、膜内で歪みエネルギーを解放する機構と同様となり得る。水を添加した後、基板を振盪した後、独立のMWNT膜を単離した。図8Eは、膜を膨張させ、引き続いて基板から層状剥離した後の独立のMWNT薄膜の写真を含む。図に示したように、膜の構造上の完全性は維持された。
【0085】
機械的な完全性を増大させるために、MWNT薄膜を熱処理した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、熱処理は、MWNT薄膜の架橋を誘導した可能性があり、これは例えば、NH基とCOO基の間のアミド結合を作り出した可能性がある。熱処理前後のN1s領域のXPSピーク(図9に示した)は、熱処理後にアンモニウムピークが著しく減少したことを示し、帯電したアンモニウム基からアミド結合が形成したことを示す。図8Fは、架橋された後は、MWNT薄膜は、膨張に対して耐性であり、水中でその元の形状を保存したことを示す。一例では、真空中で、150℃で12時間、およびH中で、300℃で2時間、MWNT電極の連続した熱処理を実施することによって、機械的安定性を増大させた。この例における熱処理の間に、MWNT電極の厚さが約10%減少し、これにより、より密接に充填されたMWNTネットワーク構造が生じた。
【0086】
MWNT電極の密度は、図16に示した、厚さに対する質量のプロットの傾きによって求めた場合、熱処理後に約0.83g/cmであると求められた。この例では、測定質量は、水晶微量天秤(Masscal G1 QCM/HCC)を使用して求め、厚さは、Tencor P−10表面形状測定装置を使用して求めた。各MWNT電極の厚さは、表面形状測定装置を使用して、各電極上の少なくとも3つの異なる位置での厚さを平均することによって求めた。各電極の体積は、平均厚さに電極の幾何的面積を乗じることによって求め、密度を使用して質量に変換した。
【0087】
MWNT電極の多孔度は、約30%であると推定された。多孔度は、MWNT粉末の密度(約1.2g/cm)を電極密度(0.83g/cm)と比較することによって計算した。
【0088】
表面を官能基化したLBL MWNTの電子抵抗
二重層の数の関数としてのMWNT薄膜のシート抵抗を、4点プローブによって測定した。図10は、ガラス基板上にpH2.5(+)/3.5(−)で組織化したMWNT薄膜について行った測定結果を含む。調製したままの試料のシート抵抗は、高い値を示した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、これは、MWNTの外側表面上のsp2結合の破壊および表面官能基の形成によるものであった可能性がある。シート抵抗は、二重層の数の増加とともに減少した。真空中で、150℃でMWNT薄膜を化学的に架橋すると、シート抵抗は半分に減少した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、これは、アミド結合を通じた電子の流れの促進によって説明することができる。水素雰囲気中で、300℃で2時間熱処理した後、MWNT薄膜のシート抵抗はさらに減少し、調製したままの試料と比較して平均で82%の低減を示した。熱処理の間の厚さの減少(約10%)を考慮して、熱処理したMWNT薄膜の正規化された導電率は、調製したままのMWNT薄膜と比較して約6倍大きかった。導電率のさらなる増大は、熱処理の温度をさらに上昇させることによって実現することができるが、厚さ圧縮の効果も考慮されるべきである。要約すると、これらの結果は、熱処理後のMWNT薄膜は、導電率ならびに機械的な完全性を増大させることができることを示した。
【0089】
LBL−MWNT電極の電気化学的特性
二重層の数の関数としての熱処理したMWNT薄膜のサイクリックボルタモグラムを図11に示す。これらの測定について使用した試料は、ITOコートガラス上に形成した0.7cm×2cmの薄膜であった。膜をpH2.5(+)/3.5(−)で組織化し、1.0MのHSO溶液中に浸漬した。厚さ依存性ボルタンメトリー曲線は、高いスキャン速度(約100mV/s)で形状が矩形であり、炭素物質の一般的なコンデンサー挙動の共通の特徴であった。MWNT薄膜電極上で吸着および脱着したイオンからの積算した表面電荷を、図12に示したように膜厚の関数としてプロットした。プロットの線形性は、電極の電気容量の正確な制御は、二重層の数を制御することによって実現できることを示す。LBLアセンブリーは、二重層の数とともに増減する高度に制御可能な膜厚を提供するので、この目的に特によく適することができる。
【0090】
別の組の実験では、LBL−MWNT電極の電気化学的特性を検査した。LBL−MWNT電極は、実施例1で略述したものと同様の技法を使用して形成した。図17は、この組の実験において使用した電気化学試験セットアップの模式図を含む。試験は、2電極電気化学電池(Tomcell Co. Ltd.、日本)を使用することによって実施した。ITOガラス(0.7cm×1.5cm)上のLBL多重壁カーボンナノチューブ(LBL−MWNT)電極を正電極として使用する一方で、リチウム金属を負電極として使用した。AlホイルをLBL−MWNT電極の片側に取り付け、電池への導線として使用した。2枚の微孔性膜(Celgard 2500、CelgardInc.、米国)を分離器として使用した。電解質溶液は、炭酸エチレン(EC)および炭酸ジメチル(DMC)(体積で3/7、3.5ppmのHO不純物;KishidaChem., Corp. Ltd.、日本)中に溶解した1mol/LのLiPFを含んでいた。バックグラウンド電流を最小限にするために、許容できる湿りを実現するのに適切な最小量の電解質溶液を使用して分離器を湿らせた。室温でSolartron 4170を使用して、リチウム電池のサイクリックボルタンメトリーおよび定電流測定を実施した。
【0091】
ITOコートガラス上のMWNTの電気化学的特性を検査した。結果を図18A〜18Dに示す。遅いスキャンのサイクリックボルタンメトリーを、Li金属負電極に対して1.5〜4.5Vの電圧範囲で1mV/sで測定した(図18A)。電流の絶対値は20μA未満であったので、リチウム負電極での分極は最小であると考えられた。電極の厚さが増加するにつれて電流は増加した。陽極スキャンおよび陰極スキャンにおいて電流ピークが観察された。さらに、陽極および陰極スキャンの両方について、それぞれ4.5Vおよび1.5V付近で急峻な電流増加が観察された。全体の容量(および/または電気容量)は、この電位範囲において観察された電流を積分することによって160mAh/g(平均として210F/g)であると計算された。これらの値は、MWNTを含めた従来の炭素物質についての報告値に基づくと異常に高かった。電気容量のすべてが、LBL−MWNTと電解質溶液の間の異質な界面での電気化学二重層充電に由来したと仮定する場合、単位面積あたりの比電気容量は、従来のMWNTの観察された表面積(約400×10cm/g)に基づいて100μF/cmであると計算された。従来の観測値は、平面電極について20〜30μF/cmであるので、この値は、電極表面単独での電気化学二重層充電によるものではない可能性がある。
【0092】
炭素物質としてのこの異常な容量の起源を研究するために、サイクリックボルタンメトリーをより高いスキャン速度(5〜500mV/s、図18Bに示した)で実施した。1mV/sの速度で観察された同様のピークが、500mV/sで依然として存在した一方で、4.5および1.5V付近のピークは、電流密度が増加するにつれて不明確になった。これらの結果は、いくつかの可逆性の酸化還元反応が、3V付近で観察される電流ピークの原因となっていることを示した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、したがって、炭素物質としてのこの大きな容量は、電気的な二重層充電だけでなく、比較的速い動態を伴った可逆性の酸化還元反応(言い換えれば、いわゆる「疑似電気容量」)にも由来した可能性がある。
【0093】
LBL−MWNTの電気化学的特性は、一定電流測定によってさらに検査した。図18Cは、Li金属に対して1.5〜4.5Vの電圧範囲における、10μAの割合でのLBL−MWNT試料の充電および放電曲線を示す。表面形状測定装置によって測定した試料の厚さは、100nm、200nm、および400nmであった。図18Cで分かるように、容量は、試料の厚さの増加とともにほとんど直線的に増大した。充電および放電曲線の線形プロファイルは、従来の電気化学コンデンサーと類似していたが、詳細な分析により、固有の特徴はまったく異なっている場合があることが明らかになった。図18Dは、0.25〜127A/gに対応する10〜5,000μAの一定電流でのLi/LBL−MWNT電池の充電/放電速度容量を例示する。各充電/放電測定の前に電池をそれぞれ、4.5Vの一定電圧で充電および放電し、1.5Vで30分間放電した。200mAh/gの放電容量を10μAで約45分間得た。放電している間、電池は、3秒未満という短い時間で、5,000μAで容量の約40%を出力することができた。放電曲線の傾きはほとんど線形であり、これから電気容量は、約400F/gであると計算された。充電動態は、放電動態と同様であるように思われた。電池は、20秒以内に容量の約60%を貯蔵することができた。
【0094】
LBL−MWNT電極についての高い容量の起源
CNTの基礎面(または外側の面)の化学的官能基化をLBLアセンブリーに利用したので、基礎面上の官能性基は、サイクリックボルタモグラムから立証されていた可能性があるように、酸化還元反応に関与していた可能性があると考えられた。試料の化学修飾された基礎面の性質を理解するために、熱処理後のMWNT電極のX線光電子放出スペクトルを収集した。O 1sおよびN 1sスペクトルを図19A〜Bに示し、原子組成を図20に示す。熱処理後のMWNT電極の原子組成(図20)は、C=84.45%、O=11.81%、およびN=3.74%であり、表面官能基化によってMWNT中にかなりの量の酸素基および窒素基が導入されたことを示した。熱処理後に存在していると考えられる酸素誘導体および窒素誘導体の例は、カルボニル基(531.75eV)およびアミド基(400.19eV)であると考えられた。酸素誘導体および窒素誘導体は、水性および非水性電解質の両方における酸化還元反応による疑似電気容量の一因となり得る;いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、MWNT電極の高い容量の一部は、これらの誘導体の存在によるものである場合がある。熱処理後のMWNT電極の表面構造を、HRTEM(JEOL 2010F電子顕微鏡)像によって調査し(図21)、これにより、グラフェンシート上の外側シートの欠陥および非晶質コーティングの形成が示された。これらは、表面官能基化の間の強い酸化によって誘導された可能性がある。MWNTの表面上の横方向欠陥は、PFイオンの挿入および抽出を促進し、電解質に利用可能な界面面積を増加させた可能性がある。
【0095】
固有の電気化学二重層電気容量を検査し、総電気容量から疑似電気容量を区別するために、サイクリックボルタンメトリー(voltammetery)を1mol/LのHSO中で行い、結果を標準水素電極(SHE)に基づく同様の電位範囲を使用して非水系から得たものと比較した。検査した電位範囲は、LiPF EC/DMC溶液中で、1mol/LでのLi金属に対する3.00〜4.25Vの範囲と対照的に、1mol/LのHSO中のSHE(この場合RHEと同じ)に対して0〜1.23Vであった。電気容量は、10mV/sで、HSO中で200F/gであり、非水系中で、10mV/sで、190F/gであると計算された。LBL−MWNTと電解質溶液の間の異質な界面は、LBL−MWNTにおける3次元経路および均一な孔サイズ分布により特に大きかった可能性がある。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、体積当たりの高い電気容量は、例えば、他の要因の中でも、MWNTの高密度化、イオン輸送のための相互接続された多孔質ネットワークの形成、および/またはMWNTの表面上の酸素誘導体およびアミン誘導体の間の疑似電気容量の存在を含めたいくつかの要因に関係していた可能性がある。スキャン速度の増加とともに電気容量が減少するという知見は、例えば、以下の式(式中、MWNTは、多重壁ナノチューブ構造を表す)などの疑似誘導電流の電荷移動反応の存在を支持することができる:
【0096】
【数2】

3.00〜4.25Vの電圧で得られた電気容量(および/または容量)は、より広い電位範囲で得られたものより相当に小さかった(図18A〜B)。この電位範囲に対する容量の依存性を、1mV/sでの遅いスキャンのサイクリックボルタンメトリーによってさらに研究した。結果を図22Aに示す。陽極のカットオフ電位を4.2Vに固定し、陰極のカットオフ電位を3.0Vから1.5Vに負にシフトしたとき、3.0〜4.2Vの範囲で陽極をスキャンしている間に電流はおおよそ2倍になり、一方陰極の電流は、同じ電位範囲でほとんど同一であった。さらに、陽極のカットオフ電位を4.2Vから4.5/4.8Vに正にシフトしたとき、陽極の電流に対して、4.2Vより上で大きな勾配が得られ、陰極電流は、引き続くサイクルについて4V未満で増加した。いずれの理論によっても束縛されることを望まないが、これらの結果は、この炭素物質の大きな容量は、(a)電気化学二重層充電(b)Liに対して3V未満での還元プロセスおよび/または(c)Liに対して4.2V超での酸化プロセスに部分的に由来したという概念を支持することができる。系内で起こった可能性のある還元プロセスの例として、MWNT上の表面酸素が還元される場合があり、例えば、酸素の電荷を補償するために、正に帯電したLiイオンが吸着される場合がある。反応例を以下のように示す:
【0097】
【数3】

式中、C=Oは、MWNTの基礎面でのカルボニル基を示す。カルボニル基は、3.0Vから1.8Vへの傾斜した電圧プロファイルを用いて還元され、可逆的に酸化され得る。式(6)の放電(還元反応)動態は、適度に速い。しかし、充電(酸化)反応は、放電プロセスより相対的に遅くなり得、より大きい分極を必要とする場合があり、エネルギー損失の原因となっている。
【0098】
系内で起こった可能性のある酸化プロセスの例には、表面でのアミド基へのPF陰イオンの吸着および/またはMWNT層中へのPFのインターカレーションが含まれる。両方ともファラデー反応である。前者の場合について、以下の反応が起こった可能性がある:
【0099】
【数4】

さらに、MWNTの基礎面は、図21に関係して論じた方法によって部分的に破損した可能性がある。これらの破損は、破損した基礎面へのPFの吸着、破損した基礎面からのPFのインターカレーションを可能にし、試料の容量をさらに増大させた可能性がある。図22Aで分かるように、PFの吸着/インターカレーションの反応は一般に、エネルギー的に非可逆性の反応である。
【0100】
図22Bは、10μAの一定電流での充電/放電容量に対する充電電位依存性を示す。充電電位を4.2から4.5/4.8Vに上げたとき、容量は、170mAh/gから、450/600F/gに対応する240/350mAh/gに増大した。放電プロセスの間に、2つの異なる還元プロセス、すなわちPFの脱離およびカルボニル基へのLiの吸着が同時に起こり得る。さらに、高い電圧まで充電すると、さらなるPFの吸着および/またはインターカレーションが促進され、より高い容量が導かれる。様々な電位範囲を用いたサイクル性(cycleability)も検査した。結果を図22C〜Dに示す。
【0101】
図23は、4.2V、4.5V、および4.8Vでの速度容量を例示する。図24は、4.2V、4.5V、および4.8Vでの、比エネルギー対比出力のプロット(ラゴンプロット)である。高電圧、電解質分解の1つの欠点は、いくつかの場合では、デバイスのサイクル性の低下である場合がある。
【0102】
(実施例2)
この実施例では、比較的厚い(例えば、1ミクロンまたはそれ以上の厚さ)LBL−MWNT電極の性能を説明する。この実施例における電極は、実施例1において略述した同様の技法を使用して作製した。二重層の数の関数としてのこれらの電極の厚さを図25に示す。比較的薄い電極と同様に、厚さは、二重層の数とともに直線的に変化した。さらに、比較的厚い電極は、図26A〜26Bに例示したように、1000サイクルにわたって一貫した性能を示した。
【0103】
図27A〜27Bは、対電極としてLiを使用して、1.5V〜4.5Vの電圧範囲にわたって、広範囲の比電流密度にわたって得られた、それぞれ1.5ミクロン(A)および3.0ミクロン(B)のLBL−MWNT電極についての充電および放電電圧のプロットを含む。約1.5ミクロンを超える厚さを有する電極について、速度容量は、より薄い電極と比べてわずかに低かった。しかし、観察された厚さ依存性速度容量は、必ずしもLBL−MWNT電極の特徴ではない場合があると考えられる。むしろ、速度容量は、2電極測定において使用したリチウムホイル負電極(LBL−MWNT電極と比べて電極面積がはるかに小さかった)の遅い動態によって制限された可能性がある。電池装置およびITOコートガラスからのバックグラウンド電流は、約0.2ミクロン以上の厚さのLBL−MWNT電極のバックグラウンド電流と比較して無視できることが見出されたことに注意すべきである。
【0104】
(実施例3)
この実施例では、リチウム系化合物を含むLBL−MWNT電極の性能を説明する。完全にリチウム化されたLiTi12(LTO)複合電極も、LBL−MWNT電極に対する対電極として調査した。LTOは、LiCO(Alfa Aesar、99.998%)およびTiO(Anataze、MTI Corporation、99.99%、粒径:5〜10nm)を用いて、固体状態法を使用して調製した。LiCOとTiOを均一に混合し(LiとTiの重量比は、4.2/5.0であった)、この混合物を、乾燥空気中で、600℃で1時間予熱した。予熱処理からの生成物を再粉砕し、ペレット化し、次いで乾燥空気中で、最大850℃に再加熱した。電極を作製するために、80wt%のLTOを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中の10wt%のSUPER−P(登録商標)カーボンブラックおよび10wt%のフッ化ポリビニリデン(PVdF)と混合した。この混合物をドクターブレードでアルミホイル上にキャストし、これを、真空乾燥器内で、60℃で2時間、次いで110℃で12時間乾燥させた。面積2.36cm(平均重量:9.24mg)を有するLTO電極を、Li金属を使用してプレリチウム化した後、MWNT電極とともに電気化学的試験を行った。0.2C(35mA/g)で、リチウム化と脱リチウム化を数回繰り返すことによってLTOをプレコンディショニングした後、全容量の約70%でリチウム化を停止し、LTO/MWNT電池において使用した。
【0105】
図28A〜28Bは、リチウムおよびLTO対電極に対するLBL−MWNT電極の性能を略述するラゴンプロットを含む。LBL−MWNT電極の体積エネルギー密度は、より低い質量密度(複合LiCoO電極について約4.0g/cmに対して、LBL−MWNTについて約0.8g/cm)のために、LiFePOおよびLiCoO電極の体積エネルギー密度の約2分の1〜約5分の1であった。LTO/MWNT電池は、より低い電池電圧のためにより低い電極重量エネルギーおよび出力を示したが、図29A〜29Cに例示したように、速度容量、重量容量(gravimetric capacity)、および容量保持は、Li負電極を使用する電池と同等であった。実用的なデバイスのパッケージされた重量エネルギー密度を、電極のそれのおおよそ1/3に関連付ける周知の経験則を使用して、LTO/MWNT貯蔵デバイスは、約50Wh/kgを出力することができると推定した。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書に記載および例示してきたが、当業者は、本明細書に記載された機能を実施し、かつ/あるいは結果および/または1つもしくは複数の利点を得るために、様々な他の手段および/または構造を容易に想定するであろう。そのような変形および/または改変のそれぞれは、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、物質、および構成は、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、物質、および/または構成は、本発明の教示が使用される具体的な1つまたは複数の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、日常程度の実験を使用して、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単に例として提示されており、添付の特許請求の範囲およびこれらに対する均等物の範囲内で、具体的に記載し、主張したのと別の方法で本発明を実践することができることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載されたそれぞれ個々の特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法を対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法の任意の組合せは、そのような特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法が相互に矛盾していない場合、本発明の範囲内に含められる。
【0107】
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、反対に明らかに示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0108】
語句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、そのように等位接続された要素、すなわち、いくつかの場合では接続的に存在し、他の場合では選言的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。他の要素も、反対に明らかに示されていない限り、具体的に特定された要素に関係しても無関係であっても、「および/または」の節によって具体的に特定された要素以外に場合により存在することができる。したがって非限定例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない言語とともに使用される場合、一実施形態では、Bを含まないA(場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、Aを含まないB(場合によりA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(場合により他の要素を含む);などを指すことができる。
【0109】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、「または」は、上記に定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」あるいは「および/または」は、包括的である、すなわち、要素の数あるいはリストの少なくとも1つであるが、2つ以上も含み、場合により、追加のリストにない項目も含むと解釈されるものとする。「のうちのただ1つ」、もしくは「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲において使用する場合、「からなる」などの、反対に明らかに示された用語のみ、要素の数またはリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、用語「または」は、本明細書で使用する場合、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちのただ1つ」、または「のうちの正確に1つ」などが前に付くときのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方でない」)を示すと解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲において使用する場合、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0110】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、1つまたは複数の要素のリストに関して、語句「少なくとも1つの」は、要素のリスト内の要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙された各要素およびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含まず、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外しないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つの」が言及する要素のリスト内に具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素と関係しても無関係であっても、場合により存在し得ることを可能にする。したがって、非限定例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bは存在しないで、1つを超えるAを場合により含めた少なくとも1つのA(かつ場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、Aは存在しないで、1つを超えるBを場合により含めた少なくとも1つのB(かつ場合によりA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、1つを超えるAを場合により含めた少なくとも1つのA、および1つを超えるBを場合により含めた少なくとも1つのB(かつ場合により他の要素を含む);などを指すことができる。
【0111】
特許請求の範囲、ならびに上記明細書において、すべての移行句、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」などは、制限がない、すなわち、それだけに限らないが、を含むことを意味すると理解されるべきである。移行句「からなる」および「から本質的になる」のみが、米国特許局の特許審査便覧、セクション2111.03.に示されているように、それぞれ閉じた移行句または半ば閉じた移行句であるものとする。
【図1A)】

【図1B)】

【図1C)】

【図1D)】

【図1E)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を形成する方法であって、
炭素系ナノ構造体を含有する第1の流体を提供するステップであって、該第1の流体中の該炭素系ナノ構造体は、正に帯電した官能基を含むステップと;
炭素系ナノ構造体を含有する第2の流体を提供するステップであって、該第2の流体中の該炭素系ナノ構造体は、負に帯電した官能基を含むステップと;
基板の表面の第1部分を該第1の流体に曝し、該第1の基板表面部分の近傍で、第1のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップと;
該第1の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、該基板の表面の第2の部分を、該第2の流体に別個に曝し、該第2の基板表面部分の近傍で、第2のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記基板がシリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板がガラスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板がポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板が平面である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板が非平面である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記正に帯電した官能基がアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アミンがNH(CHNHを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記負に帯電した官能基がカルボキシル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の流体のpHが約2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の流体のpHが約4.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の流体のpHが約2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の流体のpHが約4.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の流体のpHが約1と約7の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の流体のpHが約2と約6の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の流体のpHが約2.5と約4.5の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の流体のpHが約1と約7の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の流体のpHが約2と約6の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の流体のpHが約2.5と約4.5の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記基板の表面の前記第2の部分を前記第2の流体に曝した後で、前記第1および/または第2の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、前記基板の表面の第3の部分を、前記第1の流体に別個に曝し、前記第3の基板表面部分の近傍で、第3のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記基板の表面の前記第2の部分を前記第2の流体に曝した後で、前記第1および/または第2の基板表面部分と同じであっても異なっていてもよい、前記基板の表面の第3の部分を、炭素系ナノ構造体を含有する第3の流体であって、前記第3の流体中の前記炭素系ナノ構造体は、負に帯電した官能基を含む流体に別個に曝し、前記第3の基板表面部分の近傍で、第3のセットの炭素系ナノ構造体を沈着させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記基板の前記表面から前記炭素系ナノ構造体を分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記分離するステップが、アセンブリーを水に曝すステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記第1および/または第2のセットの炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記カーボンナノチューブが多重壁カーボンナノチューブを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の流体が、正に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体が懸濁される第1の担体流体を含み、前記第2の流体が、負に帯電した官能基を含む炭素系ナノ構造体が懸濁される第2の担体流体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2の担体流体が同じである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1および第2の担体流体が異なる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記炭素系ナノ構造体が、約10ミクロンの長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記炭素系ナノ構造体が、1ミクロンと5ミクロンの間の長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用して、前記電極1立方センチメートル当たり少なくとも約300ファラドの、前記電極における電気容量を実現するステップを含む方法。
【請求項32】
前記デバイスがエネルギー貯蔵デバイスである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記エネルギー貯蔵デバイスがコンデンサーを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記エネルギー貯蔵デバイスが燃料電池を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記エネルギー貯蔵デバイスが光電池を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電気化学電池を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記デバイスを使用して、前記電極1立方センチメートル当たり少なくとも約400ファラドの、前記電極における電気容量を実現する、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記デバイスを使用して、前記電極1立方センチメートル当たり少なくとも約450ファラドの、前記電極における電気容量を実現する、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記デバイスが、前記炭素系ナノ構造体の前記表面上に化学吸着されるリチウムをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
前記デバイスが、約0ボルトと約8ボルトの間の電圧で作動される、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用して、前記電極1リットル当たり少なくとも約400ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現するステップを含む方法。
【請求項46】
前記デバイスが、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で、前記電極において出力を供給する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記デバイスがエネルギー貯蔵デバイスを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記エネルギー貯蔵デバイスがコンデンサーを備える、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記エネルギー貯蔵デバイスが燃料電池を備える、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記エネルギー貯蔵デバイスが光電池を備える、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電気化学電池を備える、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記デバイスを使用して、前記電極1リットル当たり、少なくとも約500ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現する、請求項45に記載の方法。
【請求項57】
前記デバイスを使用して、前記電極1リットル当たり、少なくとも約600ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現する、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記デバイスを使用して、前記電極1リットル当たり、少なくとも約700ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現する、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
前記デバイスを使用して、前記電極1リットル当たり、少なくとも約750ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現する、請求項45に記載の方法。
【請求項60】
前記デバイスが、前記炭素系ナノ構造体の前記表面上に化学吸着されるリチウムをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項61】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約15%を透過することができる、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約20%を透過することができる、請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約30%を透過することができる、請求項45に記載の方法。
【請求項64】
前記デバイスが、炭素系ナノ構造体を含む第2の電極をさらに備える、請求項45に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の電極が負電極であり、前記第2の電極が正電極である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の電極が正電極であり、前記第2の電極が負電極である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記デバイスが、約0ボルトと約8ボルトの間の電圧で作動される、請求項45に記載の方法。
【請求項68】
炭素系ナノ構造体を含み、組成物の体積を画定し、該炭素系ナノ構造体のそれぞれは、ナノ構造体の体積を画定する、厚さが少なくとも約10ナノメートルである電極であって、該ナノ構造体の該体積の合計は、該組成物の体積の少なくとも約60%を画定する電極。
【請求項69】
前記組成物が結合剤を実質的に含まない、請求項68に記載の電極。
【請求項70】
前記組成物がエネルギー貯蔵デバイスの一部である、請求項68に記載の電極。
【請求項71】
前記エネルギー貯蔵デバイスがコンデンサーを備える、請求項70に記載の電極。
【請求項72】
前記エネルギー貯蔵デバイスが燃料電池を備える、請求項70に記載の電極。
【請求項73】
前記エネルギー貯蔵デバイスが光電池を備える、請求項70に記載の電極。
【請求項74】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電気化学電池を備える、請求項70に記載の電極。
【請求項75】
炭素が、前記組成物中の固体の質量の少なくとも約50%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項76】
前記炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項68に記載の電極。
【請求項77】
前記組成物が、レイヤーバイレイヤー技法を使用して作製される、請求項68に記載の電極。
【請求項78】
前記組成物が金属原子をさらに含む、請求項68に記載の電極。
【請求項79】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の少なくとも約65%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項80】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の少なくとも約70%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項81】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の少なくとも約75%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項82】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の少なくとも約80%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項83】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の少なくとも約85%を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項84】
前記ナノ構造体の前記体積の合計が、前記組成物の前記体積の約60%と約90%の間を画定する、請求項68に記載の電極。
【請求項85】
前記組成物が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約15%を透過することができる、請求項68に記載の電極。
【請求項86】
前記組成物が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約20%を透過することができる、請求項68に記載の電極。
【請求項87】
前記組成物が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約30%を透過することができる、請求項68に記載の電極。
【請求項88】
電極1立方センチメートル当たり少なくとも約300ファラドの、該電極における電気容量を実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイス。
【請求項89】
前記電極が結合剤を実質的に含まない、請求項88に記載のデバイス。
【請求項90】
エネルギー貯蔵デバイスである、請求項88に記載のデバイス。
【請求項91】
前記エネルギー貯蔵デバイスがコンデンサーを備える、請求項90に記載のデバイス。
【請求項92】
前記エネルギー貯蔵デバイスが燃料電池を備える、請求項90に記載のデバイス。
【請求項93】
前記エネルギー貯蔵デバイスが光電池を備える、請求項90に記載のデバイス。
【請求項94】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電気化学電池を備える、請求項90に記載のデバイス。
【請求項95】
炭素が、アセンブリー中の固体の質量の少なくとも約50%を画定する、請求項88に記載のデバイス。
【請求項96】
前記炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項88に記載のデバイス。
【請求項97】
前記電極が、レイヤーバイレイヤー技法を使用して作製される、請求項88に記載のデバイス。
【請求項98】
水性電解質をさらに含む、請求項88に記載のデバイス。
【請求項99】
非水性電解質をさらに含む、請求項88に記載のデバイス。
【請求項100】
前記電極が薄膜を含む、請求項88に記載のデバイス。
【請求項101】
前記薄膜が少なくとも約1ミクロンの厚さである、請求項100に記載のデバイス。
【請求項102】
前記薄膜が少なくとも約10ミクロンの厚さである、請求項100に記載のデバイス。
【請求項103】
前記膜が約100ナノメートル未満の厚さである、請求項100に記載のデバイス。
【請求項104】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項88に記載のデバイス。
【請求項105】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項88に記載のデバイス。
【請求項106】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項88に記載のデバイス。
【請求項107】
前記電極1立方センチメートル当たり少なくとも約400ファラドの、前記電極における電気容量を実現することができる、請求項88に記載のデバイス。
【請求項108】
前記電極1立方センチメートル当たり少なくとも約450ファラドの、前記電極における電気容量を実現することができる、請求項88に記載のデバイス。
【請求項109】
前記炭素系ナノ構造体の前記表面上に化学吸着されるリチウムをさらに含む、請求項88に記載のデバイス。
【請求項110】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約15%を透過することができる、請求項88に記載のデバイス。
【請求項111】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約20%を透過することができる、請求項88に記載のデバイス。
【請求項112】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約30%を透過することができる、請求項88に記載のデバイス。
【請求項113】
炭素系ナノ構造体を含む第2の電極をさらに備える、請求項88に記載のデバイス。
【請求項114】
前記第1の電極が負電極であり、前記第2の電極が正電極である、請求項113に記載のデバイス。
【請求項115】
前記第1の電極が正電極であり、前記第2の電極が負電極である、請求項113に記載のデバイス。
【請求項116】
電極1リットル当たり少なくとも約400ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現することができる、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイス。
【請求項117】
前記デバイスが、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で前記電極において出力を供給しながら、前記エネルギー密度が実現される、請求項116に記載のデバイス。
【請求項118】
前記電極が結合剤を実質的に含まない、請求項116に記載のデバイス。
【請求項119】
エネルギー貯蔵デバイスである、請求項116に記載のデバイス。
【請求項120】
前記エネルギー貯蔵デバイスがコンデンサーを備える、請求項119に記載のデバイス。
【請求項121】
前記エネルギー貯蔵デバイスが燃料電池を備える、請求項119に記載のデバイス。
【請求項122】
前記エネルギー貯蔵デバイスが光電池を備える、請求項119に記載のデバイス。
【請求項123】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電気化学電池を備える、請求項119に記載のデバイス。
【請求項124】
炭素が、アセンブリー中の固体の質量の少なくとも約50%を画定する、請求項116に記載のデバイス。
【請求項125】
前記炭素系ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項116に記載のデバイス。
【請求項126】
前記電極が、レイヤーバイレイヤー技法を使用して作製される、請求項116に記載のデバイス。
【請求項127】
水性電解質をさらに含む、請求項116に記載のデバイス。
【請求項128】
非水性電解質をさらに含む、請求項116に記載のデバイス。
【請求項129】
前記電極が薄膜を含む、請求項116に記載のデバイス。
【請求項130】
前記薄膜が少なくとも約1ミクロンの厚さである、請求項129に記載のデバイス。
【請求項131】
前記薄膜が少なくとも約10ミクロンの厚さである、請求項129に記載のデバイス。
【請求項132】
前記膜が、約100ナノメートル未満の厚さである、請求項129に記載のデバイス。
【請求項133】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項116に記載のデバイス。
【請求項134】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項116に記載のデバイス。
【請求項135】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初のエネルギー密度の少なくとも約50%のエネルギー密度を示す、請求項116に記載のデバイス。
【請求項136】
前記電極1リットル当たり少なくとも約500ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項137】
前記電極1リットル当たり少なくとも約600ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項138】
前記電極1リットル当たり少なくとも約700ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項139】
前記電極1リットル当たり少なくとも約750ワット時の、前記電極におけるエネルギー密度を実現することができる、請求項116に記載のデバイス
【請求項140】
前記炭素系ナノ構造体の前記表面上に化学吸着されるリチウムをさらに含む、請求項116に記載のデバイス。
【請求項141】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約15%を透過することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項142】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約20%を透過することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項143】
前記電極が、約500〜約600nmの範囲内の入射可視光の少なくとも約30%を透過することができる、請求項116に記載のデバイス。
【請求項144】
炭素系ナノ構造体を含む第2の電極をさらに備える、請求項116に記載のデバイス。
【請求項145】
電極1グラム当たり少なくとも約400ファラドの、前記電極における電気容量を実現することができる炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイス。
【請求項146】
前記電極1グラム当たり少なくとも約500ファラドの、前記電極における電気容量を実現することができる、請求項145に記載のデバイス。
【請求項147】
前記電極1グラム当たり少なくとも約550ファラドの、前記電極における電気容量を実現することができる、請求項145に記載のデバイス
【請求項148】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項145に記載のデバイス。
【請求項149】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項145に記載のデバイス。
【請求項150】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の電気容量の少なくとも約50%の電気容量を示す、請求項145に記載のデバイス。
【請求項151】
前記電極が結合剤を実質的に含まない、請求項145に記載のデバイス。
【請求項152】
炭素系ナノ構造体を含む第2の電極をさらに備える、請求項145に記載のデバイス。
【請求項153】
電極1キログラム当たり少なくとも約500ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイス。
【請求項154】
前記デバイスが、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で前記電極において出力を供給しながら、前記エネルギー密度が実現される、請求項153に記載のデバイス。
【請求項155】
前記電極1キログラム当たり少なくとも約600ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、請求項153に記載のデバイス。
【請求項156】
前記電極1キログラム当たり少なくとも約700ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、請求項153に記載のデバイス。
【請求項157】
前記電極1キログラム当たり少なくとも約800ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、請求項153に記載のデバイス。
【請求項158】
前記電極1キログラム当たり少なくとも約850ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、請求項153に記載のデバイス。
【請求項159】
前記電極1キログラム当たり少なくとも約900ワット時の、前記電極における比エネルギーを実現することができる、請求項153に記載のデバイス。
【請求項160】
前記デバイスを10回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記10回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の比エネルギーの少なくとも約50%の比エネルギーを示す、請求項153に記載のデバイス。
【請求項161】
前記デバイスを100回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記100回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の比エネルギーの少なくとも約50%の比エネルギーを示す、請求項153に記載のデバイス。
【請求項162】
前記デバイスを1000回交互に充電および放電した後、前記デバイスが、前記1000回目のサイクルの最後で、前記デバイスの最初の比エネルギーの少なくとも約50%の比エネルギーを示す、請求項153に記載のデバイス。
【請求項163】
前記電極が結合剤を実質的に含まない、請求項153に記載のデバイス。
【請求項164】
炭素系ナノ構造体を含む第2の電極をさらに備える、請求項153に記載のデバイス。
【請求項165】
炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用して、該電極1グラム当たり少なくとも約400ファラドの、該電極における電気容量を実現するステップを含む方法。
【請求項166】
前記デバイスが、約1ボルトと約8ボルトの間の電圧で作動される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
炭素系ナノ構造体を含む電極を備えるデバイスを使用して、該電極1キログラム当たり少なくとも約500ワット時の、該電極における比エネルギーを実現するステップを含む方法。
【請求項168】
前記デバイスが、約1ボルトと約8ボルトの間の電圧で作動されながら、前記比エネルギーが実現される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記デバイスが、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で前記電極において出力を供給しながら、前記比エネルギーが実現される、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
デバイスであって、充電ステップの間に該デバイスに入力されるエネルギーの少なくとも約60%を、前記デバイス内に貯蔵されるエネルギーに変換することができる電極を備え、前記充電ステップは、1秒以内に容量の少なくとも約50%を前記デバイスに充電するように実施されるデバイス。
【請求項171】
前記デバイスに入力されるエネルギーの少なくとも70%を変換することができる、請求項170に記載のデバイス。
【請求項172】
前記デバイスに入力されるエネルギーの少なくとも75%を変換することができる、請求項170に記載のデバイス。
【請求項173】
前記デバイスに入力されるエネルギーの少なくとも80%を変換することができる、請求項170に記載のデバイス。
【請求項174】
前記電極が炭素系ナノ構造体を含む、請求項170に記載のデバイス。
【請求項175】
放電ステップの間に、充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%を電気に変換することができる電極を備えるデバイスであって、前記放電ステップは、1秒以内に前記デバイスの容量の少なくとも約50%が放電されるように実施されるデバイス。
【請求項176】
充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約70%を変換することができる、請求項175に記載のデバイス。
【請求項177】
充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約75%を変換することができる、請求項175に記載のデバイス。
【請求項178】
充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約80%を変換することができる、請求項175に記載のデバイス。
【請求項179】
デバイスであって、充電ステップの間に前記デバイスに入力されるエネルギーの少なくとも約60%を、前記デバイス内に貯蔵されるエネルギーに変換することができる電極を備え、前記充電ステップは、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で実施されるデバイス。
【請求項180】
放電ステップの間に、充電ステップ後に貯蔵されるエネルギーの少なくとも約60%を電気に変換することができる電極を備えるデバイスであって、前記放電ステップは、前記電極1キログラム当たり少なくとも約1kWの割合で実施されるデバイス。

【図2−1】
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【図2−2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−500450(P2012−500450A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523006(P2011−523006)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/004682
【国際公開番号】WO2010/019272
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】