説明

炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受

【課題】超臨界状態の炭酸ガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性の高い炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】単列円筒ころ軸受は、外周面に軌道面を有する内輪1と、内輪1の軌道面に対向する軌道面を内周面に有する外輪2と、これらの軌道面間に転動自在に配された複数の転動体3と、これらの軌道面間に転動体3を保持する保持器4と、を備えている。保持器4は、ガラス転移温度が80℃以上である熱可塑性樹脂と強化繊維材とを含有する樹脂組成物で構成されており、この強化繊維材の含有量は樹脂組成物の15質量%以上45質量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受(以降においては、炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受と記すこともある)に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機や冷凍機に使用されるコンプレッサにおいては、環境に配慮して、自然冷媒への切り替えが進んでいる。自然冷媒の一つである炭酸ガスは、オゾン破壊係数がゼロ、地球温暖化係数が1と、環境に極めて優しい。よって、炭酸ガスコンプレッサの用途は、業務用大型冷凍冷蔵システム,ヒートポンプ式高効率給湯機,LEV(low emission vehicle)用密閉式カーエアコンディショナー等にも広まりつつある。
炭酸ガスは樹脂材料を化学的に劣化させることがないので、炭酸ガスコンプレッサに組み込まれる転がり軸受には、使用環境温度及び摺動性を考慮して、ガラス繊維を強化繊維材として含有するポリアミド66樹脂組成物からなる保持器が組み込まれている場合が多い。
【特許文献1】特開2002−242940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、炭酸ガスは、臨界温度31℃、臨界圧力7.39MPa(72.8気圧)を超える領域では超臨界状態となることから、炭酸ガスコンプレッサに組み込まれた転がり軸受も超臨界状態の炭酸ガスに晒されると思われる。超臨界状態の炭酸ガスは、樹脂に対して非常に高い浸透性を有するとともに、物質を溶解させる高い溶解性を有している。そのため、熱安定剤等の添加剤を含有するポリアミド66樹脂組成物からなる保持器は、超臨界状態の炭酸ガスによって、添加剤が徐々に抽出されていくと考えられる。
【0004】
また、この抽出現象は、樹脂の分子が活発に動きやすくなるガラス転移温度以上の温度でより顕著に起こりやすいことから、炭酸ガスコンプレッサの実使用温度の上限である80℃以下にガラス転移温度が存在するポリアミド66(Tg66℃)では、含有する添加剤が徐々に抽出され、樹脂組成物の物性(添加剤が熱安定剤である場合は耐熱性)が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、超臨界状態の炭酸ガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性の高い炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、炭酸ガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、前記保持器は、ガラス転移温度が80℃以上である熱可塑性樹脂と強化繊維材とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記強化繊維材の含有量は前記樹脂組成物の15質量%以上45質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受は、請求項1に記載の炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受において、前記樹脂組成物が熱安定剤を含有していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受は、超臨界状態の炭酸ガスに晒されても性能低下がほとんど無く信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である単列円筒ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。
図1の単列円筒ころ軸受は、外周面に軌道面を有する内輪1と、内輪1の軌道面に対向する軌道面を内周面に有する外輪2と、これらの軌道面間に転動自在に配された複数の転動体(円筒ころ)3と、これらの軌道面間に転動体3を保持する保持器4と、を備えている。
【0008】
保持器4は、ガラス転移温度が80℃以上である熱可塑性樹脂と強化繊維材とを含有する樹脂組成物で構成されており、この強化繊維材の含有量は樹脂組成物の15質量%以上45質量%以下である。
樹脂組成物には熱安定剤等の添加剤が添加されているが、炭酸ガスコンプレッサの実使用温度の上限である80℃以上のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂と強化繊維材とを含有する樹脂組成物で保持器4が構成されているので、炭酸ガスコンプレッサの作動時に超臨界状態の炭酸ガスに晒されても、添加剤の保持器4からの抽出が生じにくい。よって、樹脂組成物の物性(添加剤が熱安定剤である場合は耐熱性)がほとんど低下しないので、この単列円筒ころ軸受は性能低下がほとんど無く信頼性が高い。
【0009】
熱可塑性樹脂としては、PA6T/6I(ガラス転移温度125℃),PA6T/DT(ガラス転移温度141℃),PA9T(ガラス転移温度125℃),PA6T/M−5T(ガラス転移温度135℃),PPS(ガラス転移温度85℃),PEEK(ガラス転移温度143℃)が好ましい。これらの中でも、120℃以上のガラス転移温度を有するものがより好ましい。保持器の材料として一般的に使用されているPA66(ガラス転移温度66℃),PA46(ガラス転移温度78℃)は、ガラス転移温度が80℃未満であるため好ましくない。
【0010】
PA6T/6Iは、ヘキサメチレンジアミン(HMD)とテレフタル酸(TPA)との縮合体であるPA6T部分と、HMDとイソフタル酸(IPA)との縮合体であるPA6I部分とからなるポリアミドである。また、PA6T/DTは、HMDとTPAとの縮合体であるPA6T部分と、2−メチルペンタンメチレンジアミン(2−MPMD)とTPAとの縮合体であるPADT部分とからなるポリアミドである。
さらに、PA9Tは、ノナンジアミン(ND)とTPAとの縮合体である。さらに、PA6T/M−5Tは、HMDとTPAとの縮合体であるPA6T部分と、メチレンペンタジアミン(MPD)とTPAとの縮合体であるPAM−5T部分とからなるポリアミドである。
【0011】
PA6T/6I,PA6T/DT,PA6T/M−5Tは変性PA6Tに分類され、この変性PA6Tの中にはPA6T/66もあるが、PA6T/66はガラス転移温度が85℃であるため、ガラス転移温度が120℃以上である前記3種のポリアミドの方がより好ましい。なお、PA6T/66は、HMDとTPAとの縮合体であるPA6T部分と、HMDとアジピン酸との縮合体であるPA66部分とからなるポリアミドである。
【0012】
また、PPS(ポリフェニレンスルフィド)とPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は優れた耐熱性を有しているため、耐熱性を向上させるための熱安定剤を添加しなくてもよい。よって、超臨界状態の炭酸ガスに晒されても、熱安定剤の抽出による耐熱性の低下が生じないので、特に好適である。PPSとしては、直鎖状のL−PPSが靱性が高いため好適である。PPS,PEEK以外の半芳香族ポリアミドは、分子構造中にベンゼン環を有しているためPA66,PA46等の脂肪族ポリアミドと比べると耐熱性は高いものの、耐熱性を維持するために微量の熱安定剤を添加することが好ましい。
【0013】
なお、超臨界状態の炭酸ガスは、熱可塑性樹脂の非晶部に浸透する性質を有することから、結晶部分がない非晶性樹脂に対して可塑剤のような作用を及ぼし、機械的強度を低下させるおそれがある。よって、ガラス転移温度が80℃以上と高く、耐熱性が優れていても、非晶性樹脂よりも結晶性樹脂の方が好ましい。このような非晶性樹脂としては、ポリフェニルスルホン(PPSU、ガラス転移温度220℃),ポリエーテルスルホン(PES、ガラス転移温度220℃),ポリスルホン(PSF、ガラス転移温度185℃)があげられる。
【0014】
熱可塑性樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、強化繊維材を含有する状態で射出成形可能な溶融粘度となる分子量が好ましく、具体的には、数平均分子量で13000以上30000以下とすることが好ましい。数平均分子量が13000未満であると、衝撃強度等の機械的強度が低くなるため実用性が低くなる。一方、数平均分子量が30000超過であると、強化繊維材を含有させた場合に溶融粘度が高くなりすぎるため、保持器を精度良く射出成形で製造することが難しくなる。このような不都合がより生じにくくするためには、数平均分子量で18000以上26000以下とすることがより好ましい。
【0015】
次に、樹脂組成物に使用される強化繊維材について説明する。強化繊維材の種類は特に限定されるものではないが、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。そして、強化繊維材の含有量は、樹脂組成物の15質量%以上45質量%以下とする必要がある。15質量%未満であると、樹脂組成物の機械的強度が低くなり、保持器の性能が不十分となるおそれがある。一方、45質量%超過であると、溶融粘度が高くなりすぎるため、保持器の成形性が低下するおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、強化繊維材の含有量は、樹脂組成物の15質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
【0016】
ガラス繊維の種類は特に限定されるものではなく、樹脂の強化繊維材として従来用いられていたものを問題なく使用できる。例えば、断面形状が円形且つ平均繊維径が10μm以上13μm以下のもので、樹脂との接着性を考慮して、カップリング剤(例えばシランカップリング剤)で表面処理されているものである。ただし、より高い機械的強度を保持器に付与し、転がり軸受の信頼性を向上させるためには、断面形状が円形且つ平均繊維径が6μm以上8μm以下のものや、異形断面を有するものがより好ましい。
【0017】
前者の細いガラス繊維は、前記従来のガラス繊維と比べると、樹脂中に同一の質量比で含有させた場合に、樹脂の極性部分(例えばポリアミドの場合はアミド結合)に作用するガラス繊維の本数が多くなる。よって、樹脂組成物の引張強度,衝撃強度等の機械的強度が高くなる。また、含有されるガラス繊維の本数が多くなることによって、ガラス繊維全体の表面積が大きくなるので、それに伴ってガラス繊維の表面に吸着しているカップリング剤の量も増加し、樹脂の極性部分への作用点も増える。
【0018】
また、後者の異形断面のガラス繊維としては、断面形状が繭形又は長円形で、異形比(横と縦の比)が1.5以上5以下のものがあげられる。異形比が1.5未満であると、機械的強度を向上させる作用が低くなり、5超過であると、扁平形状が大きすぎてガラス繊維を安定して製造することが困難となる。このような不都合がより生じにくくするためには、異形比が2以上4以下のものがより好ましい。
異形断面のガラス繊維の短径は、5μm以上12μm以下であることが好ましい。短径が5μm未満であると、製造時に破損する場合が多く、低コストで安定した品質を有するガラス繊維を製造することが難しくなるおそれがある。一方、短径が12μm超過であると、異形断面を考えると径が太すぎて、成形品中でガラス繊維の分散不良が発生するおそれがある。
【0019】
異形断面を有するガラス繊維は、繊維一本一本の強度が強いので、樹脂組成物の成形時に破損しにくい。そのため、断面形状が円形のガラス繊維に比べて、成形後のガラス繊維の長さが長くなる。それにより、樹脂中に同一の質量比で含有させた場合に、引張強さ,衝撃強度等の機械的強度が高くなる。また、異形断面を有することにより、ガラス繊維の長手方向の補強効果に加えて、長手方向と直交する方向の補強効果も若干得られるため、成形品の異方性が低下する。それにより、ガラス繊維の配向による引張強度,寸法変化のバラツキが小さくなるため、均一な物性を要求される保持器の材料として最適である。そして、保持器の内外径の真円度が向上するとともに、表面にヒケが生じにくくなる。さらに、異形断面を有するガラス繊維は、断面が扁平形状であるため、成形品の表面で荷重を受ける確率が高くなり、保持器が部分的に高面圧になるような用途で使用されても摩耗が発生しにくい。
【0020】
また、ガラス繊維は、熱可塑性樹脂との接着性を向上させるために、カップリング剤で表面処理されていることが好ましい。カップリング剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、片末端にエポキシ基,アミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤や、エポキシ系,ウレタン系,アクリル系等のサイジング剤があげられる。熱可塑性樹脂がポリアミドである場合は、片末端にエポキシ基,アミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤は、ポリアミドのアミド結合に作用してガラス繊維の補強効果を向上させる。
【0021】
強化繊維材としてガラス繊維とともに炭素繊維も使用可能であるが、その種類は特に限定されるものではなく、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が使用可能である。上記2種類の炭素繊維の中では、PAN系炭素繊維の方がより高強度化が達成できるので、より好適である。炭素繊維の平均繊維径は、6μm以上8μm以下が好ましい。そして、エポキシ系,ウレタン系,ポリイミド系等のサイジング剤で表面処理されたものが、補強効果に優れるため好ましい。
なお、強化繊維材の一部を、チタン酸カリウムウィスカー等のウィスカー状物に置き換えてもよい。
【0022】
また、樹脂組成物には、熱安定剤以外にも種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば着色剤があげられる。さらに、樹脂組成物には、耐衝撃性を向上させるために、ゴム状物質やタフ化剤を添加してもよい。ゴム状物質としては、酸変性エチレンプロピレン非共役ジエンゴム(EPDM)等があげられる。タフ化剤としては、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3モル%以上20モル%以下含有するエチレン系共重合体があげられる。
【0023】
なお、本実施形態においては、炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受の例として単列の円筒ころ軸受をあげて説明したが、複列の円筒ころ軸受にも本発明を適用可能であることは勿論である。また、本発明は、円筒ころ軸受以外の他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0024】
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。熱可塑性樹脂と強化繊維材とからなる樹脂組成物(組成は表1を参照)を射出成形して、呼び番号NU308の円筒ころ軸受に使用される保持器を製造した。
【0025】
【表1】

【0026】
ここで、実施例1〜4及び比較例1の保持器に使用した熱可塑性樹脂及び強化繊維材について説明する。実施例1の場合は、熱可塑性樹脂がL−PPSで、強化繊維材がガラス繊維である。このL−PPSは、クレハ株式会社製のフォートロンKPS T2020であり、熱安定剤は含んでいない。また、このガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が13μmである。そして、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とエポキシ系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0027】
実施例2の場合は、熱可塑性樹脂がPEEKで、強化繊維材が炭素繊維である。このPEEKは、ビクトレックス・エムシー社製のPEEK450CA30であり、熱安定剤は含んでいない。また、この炭素繊維は、PAN系の炭素繊維であり、平均繊維径が7〜8μmである。そして、ポリイミド系サイジング剤による表面処理が施されている。
実施例3の場合は、熱可塑性樹脂がPA9Tで、強化繊維材がガラス繊維である。このPA9Tは、クラレ株式会社製のジェネスタG1300A−M31であり、銅系の熱安定剤を含んでいる。また、このガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が13μmである。そして、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0028】
実施例4の場合は、熱可塑性樹脂がPA6T/6Iで、強化繊維材がガラス繊維である。このPA6T/6Iは、三井化学株式会社製のアーレンAE4200であり、銅系の熱安定剤を含んでいる。また、このガラス繊維は、日東紡績株式会社製のCSG3PA−820であり、断面形状が長円形で短径7μm、異形比4である。そして、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
【0029】
比較例1の場合は、熱可塑性樹脂がPA66で、強化繊維材がガラス繊維である。このPA66は、BASF社製のウルトラミッドA3HG5であり、アミン系の熱安定剤を含んでいる。また、このガラス繊維は、断面形状が円形で平均繊維径が10μmである。そして、アミノ系シランカップリング剤による表面処理とウレタン系サイジング剤による表面処理とが施されている。
この保持器を超臨界状態の炭酸ガス中に2000時間浸漬した後に、円環強度を測定した。なお、超臨界状態の炭酸ガスの温度は100℃であり、圧力は10MPaである。円環強度の測定結果を表1に示す。なお、表1に記載の円環強度は、超臨界状態の炭酸ガスへの浸漬を行っていない保持器の絶乾状態での円環強度を100とした場合の相対値で示してある。
【0030】
比較例1の保持器は、熱可塑性樹脂としてガラス転移温度が80℃未満のPA66を用いており、熱安定剤を含むことにより耐熱性を維持しているが、超臨界状態の炭酸ガスに浸漬することにより熱安定剤が抽出されたため、機械的強度が低下した。これに対して実施例1〜4の保持器は、熱可塑性樹脂として高いガラス転移温度を有するものか、又は、熱安定剤を含んでいないものを用いたので、超臨界状態の炭酸ガスに浸漬しても機械的強度がほとんど低下しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受の一実施形態である単列円筒ころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 内輪
2 外輪
3 転動体
4 保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を保持する保持器と、を備え、炭酸ガスを冷媒として使用するコンプレッサに組み込まれる転がり軸受において、
前記保持器は、ガラス転移温度が80℃以上である熱可塑性樹脂と強化繊維材とを含有する樹脂組成物で構成されており、前記強化繊維材の含有量は前記樹脂組成物の15質量%以上45質量%以下であることを特徴とする炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受。
【請求項2】
前記樹脂組成物が熱安定剤を含有していないことを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガスコンプレッサ用転がり軸受。

【図1】
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【公開番号】特開2009−97644(P2009−97644A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270562(P2007−270562)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】