説明

無人搬送車および搬送システム

【課題】 基板の大型化、積載量の増大に対応可能な無人搬送台車の、走行機構と、クリーンルーム床パネルにダメージを与えない走行輪機構。
【解決手段】 無人搬送車に操舵機構と、駆動機構を有する2列配置の走行輪を設け、略正方形で、単一形状の床パネル部材に対し、無人搬送車の走行輪間ピッチ寸法を、床パネル部材辺の寸法より、大きいかまたは小さな寸法とし、床パネル部材に当接する各走行輪位置を走行輪毎に相互に違えることで、床面のたわみに起因して形成される凹凸の緩和を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示床パネル、プラズマディスプレー、半導体集積回路などの製造工程における基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示床パネル生産工場の製造工程におけるガラス基板の搬送には、無人搬送台車が用いられる。無人搬送台車はバッテリー駆動で、誘導線上をシステムコントローラの指示を受け、カセットに収納されたガラス基板を積載し製造装置間や、製造装置とストッカ間の搬送を行う。
無人搬送台車は通常3ないし4つの走行輪を有し、床面であるグレーチング上を走行する。例えば図11に示す無人搬送台車の場合(特許文献1)、台車本体45の上部に移載ロボット46が搭載され、基板の収納されたカセット47の移載を行う。台車本体45下部には4つの走行輪3が設けられ、4つの走行輪の一部はモータ駆動される駆動輪であり、駆動輪以外の走行輪は従動輪となる。また、無人搬送台車の走行面となる床パネル40には、無人搬送台車の走行輪3により床パネル40(グレーチング)に加わる荷重以上の耐荷重を有するものが選定される。
なお、全方位移動台車の例では(特許文献2、特許文献3)6つの走行輪を有する搬送台車や、4つの走行輪がそれぞれ独立した操舵機構を有する例もある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−43296
【特許文献2】特開平5−69795
【特許文献3】特開平8−202448
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示床パネル生産工場において、生産能力の向上は至上命令であり、使用するガラス基板サイズは拡大の一途を辿る。第六世代液晶用ガラス基板サイズは1.5m×1.8mであったが、第7世代では1.7m×2.0mと更なる大型化が図られている。
一方、搬送台車には積載可能なガラス基板枚数の増強や、搬送速度のスピードアップ、更には、運行管理方法の改良など様々なアプローチが求められる。本発明はこのうちガラス基板サイズの大型化、基板積載可能枚数の増加に伴う無人搬送台車総重量の増大の結果新たな問題として顕在化した下記課題に関する。
【0005】
無人搬送台車重量は、走行走行輪に支えられ、走行輪はさらに床パネル部材に支えられる。床パネル部材の構造は、通常図8に示す構成をなす。床パネル部材の耐荷重には最大保証値があり、システム設計においてはこの保証値を越えた荷重が床パネルに負荷されてはならない。
【0006】
床パネル部材は通常正方形であり、撓み量はパネル中央に荷重が負荷されたとき最大になる。従って、無人搬送台車の走行輪間隔が、床パネル部材の寸法の整数倍数であると、無人搬送台車の進行方向と、床パネルの並び方向が一致した場合、1つの走行輪がパネルの中央に位置すると、他の走行輪も全てパネルの中央に位置する。即ち床面に形成される凹凸を考える上で走行輪間隔寸法と床パネル部材寸法との関係は重要なポイントとなる。
【0007】
無人搬送台車の大型化、高重量化、積載する被搬送物の高重量化に対応するため、無人搬送台車の走行輪は大型化、高強度化または、走行輪数の多数化などの対策が必要となる。このうち、走行輪数を多数化する対策を採った場合、意図した方向に正確に操舵する操舵技術が重要な要素技術となる。しかし、クリーンルーム内で使用される無人搬送台車で本目的に対応できる従来技術はない。
【0008】
無人搬送台車の重量増大により、従来問題にならなかった床パネル部材の撓み、床パネル部材突き合せ部の段差などが床面に凹凸を形成し、無人搬送台走行上の問題として顕在化する。即ち走行中、走行輪に負荷される荷重は走行輪毎にばらつき、極端な場合、床面から浮き上がり荷重の掛らない走行輪が存在する一方、逆に異常に高い荷重が負荷される走行輪の存在する瞬間もあり得る。
【0009】
床面の凹凸に起因して、駆動輪に異常な高荷重が負荷される場合、平均的負荷荷重を想定して装着された駆動モータではトルク不足を来たし、最悪走行輪駆動不能に陥る。走行輪の駆動不能に至らないまでも、回転速度は著しく低下し、高速搬送の要求に答えられない。
【0010】
走行輪が床パネル部材に当接する場合、剛性の高い走行輪程、床パネルと走行輪の接触面積は小さく、荷重負荷は集中化する。しかし、安全面から床パネル部材1枚当りに負荷される荷重は同じであっても、小面積に集中的に荷重が負荷されるより、広い面積に均等荷重が負荷される方が耐荷重、撓みに対し安全である。従来技術ではこの点に対する配慮がない。
【0011】
無人搬送台車は製造装置、保管装置のポートで停止し、移載装置のロボットアームを働かせ荷物の移載を行う。ロボットアームがガラス基板カセットを保持し、移動させるに伴い荷重点も移動し、走行輪に負荷される荷重も変動する。このロボットアームによるガラス基板カセット移載では、走行輪に負荷される荷重変動パターンは定型化されており、高荷重が負荷される走行輪、及びこの走行輪が当接する床パネル位置は一義的に決まる。また、この高荷重が負荷される床パネルは、他の床パネルに比べ早期に寿命に達する。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0012】
請求項1に記載の無人搬送車は、必要に応じ空気流通孔を設けた長方形ないし、正方形形状の床パネル部材を敷き詰め、形成されたクリーンルーム床面上を走行する無人搬送車であって、ガラス基板等物品の搬送と移載を行う。
この時、無人搬送車の重量は無人搬送車に設けられた5以上の走行輪により支えられ、さらに、この走行輪の荷重は床パネルに支えられる。
一方、床パネルには耐荷重に上限があり、これを越えた使用では破損に到る。当然、床パネルに負荷される荷重は、床パネル部材の耐荷重保証値以下であって、小さい程安全である。
本発明によれば、車体重量が大きい場合であっても、走行輪数を5以上に適正化することで、容易に1の走行輪に負荷される負荷荷重を、床パネルの保証耐荷重以下に調整できる。
具体的には無人搬送台が、最大重量の被積載物を積載した場合を想定し、各走行輪に負荷される荷重が略同一となる様走行輪を配置し、床パネルに負荷される荷重の均一化を図る。
また、5以上の走行輪を装備する無人搬送車の各走行輪を、それぞれ異なる床パネルに当接させて配置し、床パネルに負荷される荷重の一層の均一化を図ることで、特定床パネルに対し、異常な高荷重が負荷されるのを避け、床パネルに対する走行輪配置として最も安全な配置を実現している。
【0013】
請求項2は、請求項1に記載の無人搬送車であって、正方形または長方形で単一形状の床パネル部材の敷き詰められたクリーンルーム床面上を走行する場合、無人搬送車の各走行輪が当接する各床パネル部材の各床パネル上の当接位置が、各走行輪毎に相互に異なっているので、各走行輪の負荷荷重が同一であっても、各走行輪の位置する各床パネルの撓み量は相互に異なり、床パネルに形成される凹凸を確率化することにより小さくでき、高速搬送に好適である。

【0014】
請求項3は請求項2に記載の無人搬送車であって、無人搬送車長手方向に2列に配置された走行輪構成を有する。それぞれの列は略直線で、3以上の走行輪が等間隔に設けられている。
無人搬送車は略正方形で、単一形状の床パネル部材を一様に敷き詰めたクリーンルーム床面上を走行する。
前記2列に配置された各走行輪の各走行輪間隔ピッチ寸法は、前記略正方形形状の床パネル部材辺の寸法より大きいかまたは小さな寸法であるので、床パネル部材の辺寸法と一致することは無い。ただし、各走行輪間隔ピッチ寸法が床パネル部材辺の寸法の整数倍の場合は実質的に意味をなさず適用しない。また、前記走行輪間ピッチ寸法が前記床パネル部材辺の寸法より小さい場合は、同一床パネル部材に同時に2つの走行輪が当接することの無い走行輪間ピッチ寸法としているので、各床パネル上の当接位置は、各走行輪毎に相互に異なる。
【0015】
一方、前記2列の走行輪の列間隔は、床パネル部材辺の寸法長さ以上としている。ただし、この場合も2列の走行輪の列間隔が床パネル部材辺の寸法長さの整数倍の場合は実質的意味がなく適用はしない。
以上により、無人搬送車各走行輪の各床パネルとの当接位置は、各走行輪毎に相互に異なり、床パネルに形成される凹凸は小さく、高速搬送に好適な走行輪配置となっている。
【0016】
請求項4に記載の5以上の走行輪を有する無人搬送車は、意図した方向に正確に操舵することが要求される場合において、駆動機構を有する駆動輪を駆動させ走行すると同時に、コントローラにより、全ての走行輪が個々に有する操舵機構のステア角度制御機構を個別に制御することで、直進、横行、斜行、旋回などの操舵走行を自在かつ、高精度に遂行できる。
【0017】
請求項5に記載の5以上の走行輪を有する無人搬送車は、意図した方向に正確に操舵することが要求される場合において、全ての走行輪に装備された駆動機構を動作させ走行すると同時に、コントローラにより、全ての走行輪が個々に有する操舵機構のステア角度制御機構を個別に制御することで、直進、横行、斜行、旋回などの操舵走行を自在かつ、高精度に遂行できる。
【0018】
請求項6に記載の無人搬送車は走行輪の車軸の両端が、板バネなどのバネ部材に支持され、該バネ部材はさらに無人搬送車本体に固定され、結果的に走行輪は無人搬送車本体に弾性支持される効果を有し、走行時床面の凹凸に対し弾性的に追従でき、走行輪の浮上がりや接触ムラを緩和できる。これにより、特定の床パネルに高荷重を負荷し、破損に至らしめる危険を回避出来ると同時に、無人搬送車に積載した被搬送物に対する振動抑制効果も合せもつ。
【0019】
請求項7に記載の無人搬送車の駆動輪駆動モータは、板バネなどのバネ部材に支持され、該バネ部材はさらに無人搬送車本体に固定されるので、走行輪は無人搬送車本体に弾性支持される効果を有する。しかも、駆動輪以外の走行輪は板バネによる弾性支持ではないので、駆動輪が床面を押す力は板バネの弾性力により一定値として一意的に決まる。
無人搬送車の走行に必要な推進力は、この板バネの弾性力が床面を押す力に駆動輪が打ち勝って走行輪を回転させる力で、駆動モータに要求される回転トルクはこの走行輪を回転させるトルクである。
従って、駆動輪駆動モータを板バネ部材に支持する方法では、駆動モータに必要な回転トルクは、板バネが床面を押す力であって一定となり、無人搬送車の積載荷物重量や、床面の凹凸に影響されず、駆動に必要な最小トルクの駆動モータを使用してもトルク不足による停止や、回転速度の減少による搬送速度の低下は生じない。
【0020】
請求項8に記載の無人搬送車は、同一軸に複数個の走行輪が並列配置されて1つの走行輪が構成されているので、通常の単輪と比較した場合、床パネル部材1枚当りに負荷される荷重は同じであっても、単輪に比べ広い面積で床パネルに当接し安全性が確保される。
【0021】
請求項9に記載の床パネル部材は、無人搬送車が停止し、荷物の移載作業を実施する箇所の床面に敷設される床パネル部材である。
無人搬送車の荷物移載作業では、被積載物の移動に伴い特定走行輪に荷重が集中し易く、この特定走行輪に当接する床パネル部材には高荷重が負荷される。
しかし、請求項7に記載の床パネル部材は、荷物の移載作業を実施する箇所以外の箇所に敷設される床パネルより小サイズであるため、無人搬送車の1の走行輪が当接する床パネル部材は複数である。従って1の走行輪が1の床パネル部材のみに当接する場合はなく。荷重負荷の分散化が図れ、床パネルの破損等に対する安全が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明に関する第1の実施形態を図1,図2および図8を参照しながら説明する。
図1は無人搬送台車の正面図、図2は無人搬送台車走行輪配置図である。
図1に示す無人搬送車1は走行方向に長い直方体形状をなし、車体フレーム30、走行輪ユニット8、移載ロボットユニット5、コントローラ17により構成され、車体フレーム30には上段棚25、下段棚34が設けられている。
中央部に設置された移載ロボットユニット5は、ロボット支持アングル16にロボット固定ボルト19により固定されている。また、ロボット支持アングル16は、垂直方向駆動テーブル9に固定されており、垂直方向駆動テーブル9は図示されていないボールネジにより上下に駆動される。
【0023】
上段棚25、下段棚34と2段に設けられた棚には、ガラス基板の収納されたカセットが載置される。また、上段棚25と下段棚34にはそれぞれカセット載置有無の確認用リミットスイッチ23、24がそれぞれ2個づつ対角位置に設けられる。リミットスイッチ23、24を対角位置に設置する意味は、単にカセット有無を検知するだけでなく、該リミットスイッチにより、カセットの位置ズレも検知する為である。例えば、2個のリミットスイッチのうち1個だけがスイッチONの信号を出力している場合、カセットは正規位置よりずれて載置されており、正規位置に置き直す必要がある。
【0024】
フレーム30の前後、両面には緊急時など、台車をマニュアル操作するため、走行前面操作パネル28と、走行後ろ面操作パネル29が設けられている。これにより、一方のパネル操作困難な場所に無人搬送車が乗り入れても、他方の操作パネルで操作が可能である。
【0025】
ロボット支持アングル16上に固定されている移載ロボットユニット5は、ロボット本体22とこの上に取付けられた回転テーブル21、さらに1段目アーム15、2段目アーム14、さらにその上部に設けられたテーブル20で構成される。ロボットの回転動作は回転テーブル21で行なわれ、アームの伸縮は1段目アーム15、2段目アーム14、および最上段のテーブル20にて行なわれる。垂直方向の上下運動は垂直方向駆動テーブル9により行なわれる。
【0026】
垂直方向駆動テーブル9の上段棚25と、下段棚34に相当する高さ位置には、上段透過センサ27と、下段透過センサ32が設置されており、移載ロボットと一体に上下動する遮光板26が、前記上段透過センサ27又は下段透過センサ32を遮る時、これらセンサから出力されるパルス波形により、垂直方向におけるロボットの位置が検出される。
【0027】
基本的には、カセットが載置された棚でロボットアームは回転できず、カセットが載置されていない棚部のみにて回転させる方法を採る。具体的には、カセット有無を検出する上段リミットスイッチ23と、下段リミットスイッチ24の出力をチェックし、上段透過センサと下段透過センサの出力を監視しながら、垂直方向駆動テーブル9を駆動させ、カセットの載置されていない棚位置までロボット支持アングル16を移動させる。カセットが載置されていない棚位置にロボット支持アングルが到達した時点で垂直方向駆動テーブル9を停止させ、回転が必要な場合は適宜回転動作を実施する。
【0028】
走行輪ユニット8は下部フレーム35、操舵機構51、駆動輪7、車輪軸支持部材56から構成され、下部フレーム35の下面に取付けられる。走行輪ユニット8を構成する走行輪は全て操舵機構と駆動機構を有している。駆動機構を有する駆動輪は、例えば特開平5−308766にある様なアウターロータ型の駆動モータのアウター側外周にタイヤを設けた走行輪が使用される。
【0029】
無人搬送台車1の走行する床は、図8に示すように工場建屋のコンクリート基礎であるスラブ48上にパネル支柱50を配置し、このパネル支柱50上に辺寸法L1×L2で、空気流通孔65を有する床パネル40を敷き詰めたものである。パネル支柱50は位置決め突起41、受け台42、支柱43、支柱台44から構成され、スラブ48上に支柱台44を下面にして立て、受け台42上に床パネル40を乗せる、この時床パネル40の四隅に設けられた窪みに受け台42上の突起41を勘合させて位置決めする。パネル支柱50および床パネル40はクリーンルーム床全面に隙間無く、密に敷き詰められるので、パネル支柱50が倒れることは無い。
【0030】
次ぎに無人搬送台車1の走行輪配置と床パネル40の敷設状況の関係について図2を用い説明する。図2の太い実線は12枚の床パネル40を示し、点線は各床パネル40を縦方向に4分割、横方向に4分割する仮想線を示す。図2は12枚の床パネル40上に位置する無人搬送台車1の車輪位置を示している。
無人搬送台車1は2列に配置された駆動輪7を有し、第1の駆動輪列は5の駆動輪7−a1〜7−e1で構成され、第2の駆動輪列は5の駆動輪7−a2〜7−e2で構成される、また、無人搬送台車1は12の床パネル40−a1〜40−f1及び、40−a2〜40−f2上に位置する。
【0031】
床パネル40の横方向の長さをL1、縦方向の長さをL2とする。また無人搬送台車1の走行輪間隔をP1とし、また走行輪幅をWとすると、P1は次の関係を満たしている。
P1>√(L1*L1+L2*L2)+ W −(式1)
また走行輪並び方向に垂直な方向の走行輪間隔をP2とするとP2は次の関係を満たす。
P2>√(L1*L1+L2*L2)+ W −(式2)
上記式1及び式2の関係から、無人搬送台車1が床に敷き詰められた床パネル40上を走行する場合、1の床パネル40上に同時に2つの走行輪が乗ることは無い。
また、走行輪間隔P1は無人搬送台車1が最大重量の被積載物を搭載したとき、各走行輪に負荷される荷重が略均等になる寸法にしている。従って本発明により、最大限の安全性が確保される。
【0032】
床パネル40の形状について、以上辺の長さL1と辺の長さL2が異なる長方形として説明したが、慣用的に床パネル形状は正方形で、L1=L2である。図2では、床パネル40が正方形、即ちL1=L2=Lで、無人搬送台車1が矢印方向に走行し、進行方向と床パネル40の配列方向が一致し、7−a1〜7−e1の第1列目の各走行輪間隔はP1=(1+1/4)・L、また、第2列目の各走行輪7−a2〜7−e2の各走行輪間隔も同様にP1=(1+1/4)・L、第1列目の走行輪列と第2列目の走行輪列の間隔はP2=(1+1/2)・Lである。従って撓み量最大となる床パネル中央で当接する走行輪は、10の内7−b1と7−b2の2つであり、他は撓みの少ない位置での当接となっていおり、全体として床面に形成される凹凸は緩和される。
【0033】
次に、走行輪ユニット8の詳細機能説明図3を用いて行う。
アウター58の外周にタイヤ59を設けたアウターロータ型の駆動モータのアウターが床パネル40に当接し、走行輪を構成する。アウターロータ軸57は軸支持部材56に支持され、軸支持部材56は操舵機構51の回転軸52と一体化され、操舵機構51は無人搬送台車の下部フレーム35に固定される。操舵機構51はステアリングモータで構成され、ステアリング回転角度に応じてステアリングモータの回転軸52が回転し、走行輪のステアリング角度が設定される。
実施例1の無人搬送台車1は、8の走行輪ユニット8が、全て操舵機構と駆動機構を合せ有している。従って、全ての操舵機構を同時に統一して制御することで走行輪が多数であっても直進、横行、斜行、旋回など操舵走行を自在かつ、高精度に遂行できる。
【0034】
次に第2の実施例を図4を用い説明する。
第2の実施例の基本構成は図1の第1の実施例に類似する。従って同一個所には同一符号を用いており、説明も特筆すべき相違点のみとする。
第2の実施例の特徴は走行輪と、走行輪の下部フレーム35への支持方法にある。
無人搬送台車1の8の走行輪は全て板バネ11を介して車体の下部フレーム35に取付けられている。従って走行輪は無人搬送車本体に弾性支持され、走行時床面の凹凸に対し弾性的に追従し、走行輪の浮上がりや接触ムラを緩和できる。これにより、一部の床パネルに高荷重を負荷し、破損に至らしめる危険が回避される。
【0035】
図9は床パネル40上を移動する無人搬送台車1の走行輪の状況を示しており、9−Aは正面図、9−Bは側面図である。床パネル40は無人搬送台車1の車輪3との当接部で撓み、窪みを生じ、当接部以外の周辺部は逆に盛り上がる。撓みにより形成される窪みはパネル支柱50間の中央部が最大で、走行輪の位置は最も低い位置となる。この位置から無人搬送台車1が矢印方向に走行すると、走行輪はパネル支柱50の直上で最高の高さ位置に達し、更に走行すると次の床パネル中央で再び最小高さとなる。このように床パネル40の変形により無人搬送台車1は最高高さ位置と最小高さ位置とを交互に経ながら走行し、結果的に高低差Hの凹凸面を走行すると同じになる。
一方4の無人搬送台車1の10の走行輪は全て板バネ11を介し車体の下部フレーム35に取付けられ、しかも、各走行輪に負荷される荷重は、最大重量の被積載物重量の積載時を想定し、荷重の均一化が図られている。各走行輪が床面を押す力は、板バネ11の弾性力と一致し、床面に多少の凹凸のある場合でも略一定に保持される。従って床面の凹凸に対し、走行輪の浮き上りや、有害となる荷重変動が生じることもない。
【0036】
次に第3の実施例を図5,6を用い説明する。
第3の実施例の基本構成は図1の第1の実施例に類似する。第1の実施例の実施例と同一個所には同一符号を用い、説明も特筆すべき相違点のみとする。
無人搬送車の駆動輪7は図6に示すようにアウター58と、アウターロータ軸57により構成される。アウターローター60の外周にタイヤ59が設けられた駆動輪を、軸支持部材56に固定し、結合部材55で板バネ54に取付けている。板バネ54−c、54−b、54−aは板バネ保持部材53に支持され、板バネ保持部材53はさらに操舵機構51の回転軸52に固定されている。また操舵機構51はフランジ部で無人搬送車本体の下部フレーム35に固定される。従って駆動輪7はバネにより無人搬送車本体に弾性支持され、駆動輪以外の従動輪10は、板バネによる弾性支持はない。また、駆動輪が床面を押す力は常に板バネ11の弾性力により一定値となり一意的に決まる。
無人搬送車の走行に必要な推進力は、駆動輪7がこの板バネの弾性力で床面を押す力に打ち勝って走行輪を回転させる力と等価で、駆動輪7のアウターローターモータに要求される回転トルクはこの走行輪を回転させるトルクとなる。
従って、駆動モータに必要な回転トルクは、板バネが床面を押す力であって一定であり、無人搬送車の被積載物重量や、床面の凹凸に影響されず、無人搬送車を駆動させるに必要な最小トルクの駆動モータを使用してもトルク不足による停止や、回転速度の減少による搬送速度の低下は生じない。
【0037】
次に第4の実施例を図7を用い説明する。
図7は第4の実施例に於ける走行輪配置で、図4の実施例2をベースとしている。実施例2と同一個所には同一符号を用いており、説明も特筆すべき相違点のみとする。
8の走行輪のうち、外側に位置する4つの走行輪は、車軸12に2つの走行輪38、38が並列配置され、2つの走行輪で1の走行輪が構成される複合輪である。複合輪は単輪と比較した場合、単輪に比べ広い面積で床パネル部材に当接し、また当接面積が広い分、複数の床パネル部材に当接する可能性も高く、安全性が確保される。
図7は外側に位置する4つの走行輪のみ複合輪としたが、内側に位置する4つの走行輪も含め、全ての走行輪を複合輪とすることも可能であり、また、1の走行輪を2以上の複数の走行輪により構成することも可能である。
【0038】
次に第5の実施例を図10により説明する。
図10は無人搬送台車1が液晶製造装置4にアクセスし、搬送して来たカセットを液晶製造装置の入出ポート61に載置する状況を示している。液晶ガラス基板の収納されたカセットの重量は1トン以上になる場合もある。走行輪3-2に注目し、カセット6の移載に伴い走行輪3-2に負荷される荷重の時間変化は次になる。
ガラス基板49の収納されたカセット6が無人搬送台車1内部にある時点では、走行輪3-2に付加される荷重は走行輪3-1とほぼ同じである。移載ロボット5がロボット本体22上の回転テーブル21を旋回させ、2段目アーム14、1段目アーム15、テーブル20を徐々に伸ばし、テーブル先端が無人搬送台車1の側面からの最大遠隔点に達したとき、走行輪3-2に最大荷重が負荷される。図10では、走行輪3-2が当接する部位は、他部位の床パネルの約1/4サイズの床パネル40−a、40−bが敷設されており、これにより走行輪3-2は2枚の床パネル40−a、40−bに当接し、床パネル部材1枚当りの負荷荷重の低減を図り、床パネルの破損等に対する安全を確保している。なお本実施例では、床パネル40−a、40−bのサイズを他部位の床パネルの約1/4の大きさとしたが、無人搬送台車の走行輪が複数のパネルで当接できる構成であれば、床パネル40−a、40−bのサイズはこれより大であっても、小であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
床がグレーチン構造を採るクリーンルームにおいて、大型ガラス基板を用いて液晶表示装置を生産する製造工場のガラス基板を収納したカセットを、無人搬送装置で搬送する無人搬送装置分野。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】無人搬送台車第1の実施例正面図
【図2】無人搬送台車走行輪配置図
【図3】操舵機構、駆動機構を有する走行輪正面図
【図4】無人搬送台車第2の実施例正面図
【図5】無人搬送台車第3の実施例正面図
【図6】バネ機構と操舵機構、駆動機構を有する走行輪正面図
【図7】第4の実施例に於ける走行輪配置図
【図8】床パネル敷設方法
【図9】走行輪による床パネルの変形
【図10】液晶製造装置への液晶カセットの移載
【図11】従来技術の無人搬送台車
【符号の説明】
【0041】
1. 人搬送台車
2.
走行輪
5.移載ロボットユニット
7.駆動輪
8.走行輪ユニット
10.従動輪
11.板バネ
12.車軸
30.車体フレーム
40.床パネル
50.パネル支柱
51.操舵機構
53.板バネ保持部材
54.板バネ
57.アウターロータ軸
58.アウター
59.タイヤ
60.アウターローター
65.通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じ空気流通孔を設けた正方形または、長方形で単一形状の床パネル部材を一様に敷き詰めて、形成されたクリーンルーム床面上を走行し、ガラス基板等の物品の搬送と移載を行う無人搬送台車であって、荷重を支え走行することを目的に配設された少なくとも5以上の走行輪を有し、前記走行輪が異なる床パネル上に位置するよう配置されたことを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
請求項1に記載の無人搬送車であって、正方形または長方形で単一形状の床パネル部材に対し、前記無人搬送車の各走行輪が当接する場合において、前記各走行輪が床パネル部材に対し、当接する各床パネル上の当接位置が、各走行輪毎に相互に異なる位置となる様、前記各走行輪が配置されることを特徴とする無人搬送車。
【請求項3】
請求項2に記載の無人搬送車であって、2列に配置された走行輪構成を有し、各2列が3以上の等間隔に配置された走行輪で構成され、
略正方形で単一形状の床パネル部材を一様に敷き詰めて、形成されたクリーンルーム床面上を走行し、
前記走行輪間ピッチ寸法が、前記略正方形形状の床パネル部材辺の寸法より、大きいかまたは小さな寸法であって、前記走行輪間ピッチ寸法が、前記床パネル部材辺の寸法より小さい場合は、同一床パネル部材に同時に2つの走行輪が当接することがなく、
前記2列の走行輪の列間隔が、パネル部材辺の寸法長さより大きいことを特徴とする無人搬送車。
【請求項4】
請求項1ないし、請求項3に記載の無人搬送車であって、全ての走行輪が操舵機構を個別に有し、かつ、少なくとも1つ以上の走行輪が、駆動機構を合せ有する無人搬送車。
【請求項5】
請求項1ないし、請求項3に記載の無人搬送車であって、全ての走行輪が、操舵機構と駆動機構の両機構を個別に有する無人搬送車。
【請求項6】
請求項1ないし、請求項3に記載の無人搬送車の走行走行輪軸支持機構であって、板バネなどのバネ部材を介して走行輪車軸が、無人搬送車本体に弾性支持された無人搬送車。
【請求項7】
請求項1ないし、請求項3に記載の無人搬送車の走行輪であって、少なくとも1つ以上の駆動輪、と少なくとも1つ以上の従動輪から構成され、駆動機構を有する駆動輪が、該駆動輪の床面への押し付け荷重が、略一定となるバネ部材と操舵機構を介して、搬送台車本体フレームに取付けられた無人搬送車。
【請求項8】
請求項1ないし、請求項7に記載の無人搬送車の走行輪であって、1つの走行輪が、同一軸に複数個並列配置された走行輪によって構成された走行輪を有する無人搬送車。
【請求項9】
請求項1ないし、請求項8に記載の無人搬送車の走行するクリーンルーム床に敷設され、必要に応じ空気流通孔が設けられた長方形ないし正方形形状の床パネル部材であって、
無人搬送車が停止し、荷物の移載作業を実施する場所の床面に敷設する箇所の床パネルサイズを、無人搬送車が停止し、荷物の移載作業を実施する場所以外の箇所の床面に敷設する床パネル部材より、小サイズとした搬送システム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じ空気流通孔を設けた正方形または、長方形で単一形状のグレーチング床部材を一様に敷き詰めて、形成されたクリーンルーム床面上を走行し、荷重を支え走行することを目的に配設された少なくとも5以上の走行輪を有するガラス基板等の物品の搬送と移載を行う無人搬送台車であっ
記走行輪が異なるグレーチング床部材上に位置するよう配置されされたことを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
請求項1に記載の無人搬送車であって、正方形または長方形で単一形状のグレーチング床部材に対し、前記無人搬送車の各走行輪が当接する場合において、前記各走行輪がグレーチング床部材に対し、当接する各グレーチング床部材上の当接位置が、各走行輪毎に相互に異なる位置となる様、前記各走行輪が配置されることを特徴とする無人搬送車。
【請求項3】
請求項2に記載の無人搬送車であって、2列に配置された走行輪構成を有し、各2列が3以上の等間隔に配置された走行輪で構成され、
略正方形で単一形状のグレーチング床部材を一様に敷き詰めて、形成された前記クリーンルーム床面上を走行し、
前記走行輪間ピッチ寸法が、略正方形形状の前記グレーチング床部材辺の寸法より、大きいかまたは小さな寸法であって、前記走行輪間ピッチ寸法が、前記グレーチング床部材辺の寸法より小さい場合は、同一グレーチング床部材に同時に2つの走行輪が当接することがなく、
前記2列の走行輪の列間隔が、前記グレーチング床部材辺の寸法長さより大きいことを特徴とする無人搬送車。
【請求項4】
請求項1ないし、請求項3のいずれかに記載の無人搬送車であって、全ての走行輪が操舵機構を個別に有し、かつ、少なくとも1つ以上の走行輪が、駆動機構を合せ有する無人搬送車。
【請求項5】
請求項1ないし、請求項3のいずれかに記載の無人搬送車であって、全ての走行輪が、操舵機構と駆動機構の両機構を個別に有する無人搬送車。
【請求項6】
請求項1ないし、請求項3のいずれかに記載の無人搬送車の走行走行輪軸支持機構であって、板バネなどのバネ部材を介して走行輪車軸が、無人搬送車本体に弾性支持された無人搬送車。
【請求項7】
請求項1ないし、請求項3のいずれかに記載の無人搬送車の走行輪であって、少なくとも1つ以上の駆動輪、と少なくとも1つ以上の従動輪から構成され、駆動機構を有する駆動輪が、該駆動輪の床面への押し付け荷重が、略一定となるバネ部材と操舵機構を介して、搬送台車本体フレームに取付けられた無人搬送車。
【請求項8】
請求項1ないし、請求項7のいずれかに記載の無人搬送車の走行輪であって、1つの走行輪が、同一軸に複数個並列配置された走行輪によって構成された走行輪を有する無人搬送車。
【請求項9】
請求項1ないし、請求項8のいずれかに記載の無人搬送車の走行するクリーンルーム床に敷設され、必要に応じ空気流通孔が設けられた長方形ないし正方形形状の床パネル部材であって、
無人搬送車が停止し、荷物の移載作業を実施する場所の床面に敷設する箇所の床パネルサイズを、無人搬送車が停止し、荷物の移載作業を実施する場所以外の箇所の床面に敷設する床パネル部材より、小サイズとした搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−1335(P2006−1335A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177918(P2004−177918)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】