説明

無人搬送車の横行姿勢制御装置及び横行姿勢制御方法

【課題】装置を複雑化することなく、また製造コストを安価に抑えることができる無人搬送車の横行姿勢制御装置及び横行姿勢制御方法を提供する。
【解決手段】車両の前側に設けられた駆動ユニットと後側に設けられた駆動ユニットとが異なる軌道を移動する横行モードを有する無人搬送車の横行姿勢制御装置であって、車両が正しい姿勢であるときは前側の駆動ユニットと後側の駆動ユニットとが同時に通過するように軌道に設けられたチェックポイントを、前側の駆動ユニットと後側の駆動ユニットとが通過する時間差に基づいて車両の横行状態を推定する横行状態推定手段(S2)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無人搬送車の横行姿勢を補正する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より工場などにおいて物流の自動化を目的とした自走式の無人搬送車(Automated Guided Vehicle;AGV)が種々提案されている。たとえば、前後の駆動ユニットが2本の平行な軌道をそれぞれ移動する横行モードを有する無人搬送車なども開発されている。このような無人搬送車では、横行中に、車輪がスリップしたり、何らかの外的衝撃を受けたりして、2つの駆動ユニットの走行速度が一致しないことがある。このような状態では、走行に支障を来すことがあるので、たとえば特許文献1では、駆動ユニットの回転中心軸にロータリエンコーダ等のセンシング機器を設けて駆動ユニットと車体との角度関係を検出することで、車体姿勢を検知して、車体姿勢が崩れないようにフィードバック制御していた。
【特許文献1】特開平8−272443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなセンシング機器は高価であり、無人搬送車の製造コストが上昇してしまう。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、装置を複雑化することなく、また製造コストを安価に抑えることができる無人搬送車の横行姿勢補正装置及び横行姿勢補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明は、2つの駆動ユニットが異なる軌道を移動する横行モードを有する無人搬送車の横行姿勢補正装置であって、2つの駆動ユニットのうち先行する駆動ユニット(11−1)がチェックポイントを通過してから後行する駆動ユニット(11−2)がチェックポイントを通過するまでの時間差に基づいて、横行状態を検出する横行状態検出手段(S2)と、前記横行状態に基づいて、後行ユニットのスピードアップ又は先行ユニットのスピードダウンの補正方針を設定する方針設定手段(S4)と、前記設定した補正方針に基づいて後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンする補正制御手段(S6,S7)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの駆動ユニットがチェックポイントを通過する時間差に基づいて横行状態を検出し、その横行状態に応じて後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンして横行姿勢を補正するようにしたので、ロータリエンコーダのように高価なセンシング機器を用いなくても、無人搬送車の横行姿勢を補正することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による走行モード切替制御装置を適用する無人搬送車の一例を示す図であり、図1(A)は側面図、図1(B)は駆動ユニットを上方から透視した平面図である。
【0009】
車体10の下部に2つの駆動ユニット(第1駆動ユニット11−1,第2駆動ユニット11−2)と、4つのキャスタ12と、が配置されている。第1駆動ユニット11−1及び第2駆動ユニット11−2は基本的には同構造である。そこで特に区別する必要がないときは駆動ユニット11として説明する。
【0010】
駆動ユニット11は、駆動輪11aと、軌道検出センサ11bと、マーカ検出センサ11cと、を備える。
【0011】
各駆動輪11aにはそれぞれ個別の駆動モータが連設されている。左右2つの駆動輪11aが同方向に回転すれば、前進又は後進する。なお回転速度に位相差をつければカーブ走行も可能である。2つの駆動輪11aが互いに逆方向に差動回転すれば支軸11dの回りに旋回し、方向転換可能である。
【0012】
軌道検出センサ11bは、床面に敷設された軌道を検出する。軌道検出センサ11bは、たとえば磁気センサである。本実施形態では軌道検出センサ11bは、駆動ユニット11の前側及び後側に3つずつ並べられている。駆動ユニット11は、軌道検出センサ11bで軌道を常時検出するように走行する。
【0013】
マーカ検出センサ11cは、軌道付近に敷設されたマーカを検出する。本実施形態では、特にチェックポイントに設けられたチェックマーカ21を検出する。マーカ検出センサ11cは、たとえば磁気センサである。前進方向側の第1駆動ユニット11−1に設けられたマーカ検出センサ11c−1は、第1駆動ユニット11−1の後側であって軌道検出センサ11bの外側に配置されている。マーカ検出センサ11c−1は、通常の前後進モードや横行モードでマーカも検出する。マーカ検出センサ11c−1は、速度切り替えや走行モードの切り替え等のコマンドのマーカや停止/一時停止等のコマンドのマーカをも検出可能である。後側の第2駆動ユニット11−2に設けられたマーカ検出センサ11c−2は、第2駆動ユニット11−2の前側であって軌道検出センサ11bの外側に配置されている。マーカ検出センサ11c−2は、横行モードでマーカを検出し、通常の前後進モードではマーカを検出しない。マーカ検出センサ11c−2は、停止/一時停止等のコマンドのマーカを検出可能であるが速度切り替えや走行モードの切り替え等のコマンドは検出しない。
【0014】
キャスタ12は、車両の重量を支え、車両の移動方向に追従して方向転換する。
【0015】
図2は、無人搬送車が走行するときの駆動ユニットの状態を示す図であり、図2(A)は前後進モード状態、図2(B)は横行モード状態である。
【0016】
前後進モードでは、第1駆動ユニット11−1及び第2駆動ユニット11−2の駆動輪11aが車体10と並行向きである。前後進モードでは、第1駆動ユニット11−1及び第2駆動ユニット11−2が1本の軌道20に沿って走行する。進行方向前方の軌道検出センサ11bが、床面に敷設された軌道20を検出する。なお図2では動作中のセンサを黒塗りした。
【0017】
横行モードでは、第1駆動ユニット11−1及び第2駆動ユニット11−2の駆動輪11aが車体10と直交向きである。横行モードでは、第1駆動ユニット11−1及び第2駆動ユニット11−2が別の軌道に沿って走行する。すなわち、第1駆動ユニット11−1が軌道20−1に沿って走行する。第2駆動ユニット11−2が軌道20−2に沿って走行する。
【0018】
ここで本発明の理解が容易になるように、発明のポイントについて説明する。従来装置では、複数の駆動ユニットが異なる軌道を移動する横行モードで無人搬送車が走行するときに、軌道の状態によって駆動輪がスリップしたり、何らかの外的衝撃を受けたりして、2つの駆動ユニットの走行速度が一致しないことがある。このようなときは、図3に示すように、無人搬送車の車体の姿勢が斜めのまま横行することとなってしまう。そして横行モードから前後進モードへの切り替え時に軌道から外れてしまう可能性がある。そこで従来は、駆動ユニットの回転中心軸にロータリエンコーダ等のセンシング機器を設けて駆動ユニットと車体との角度関係を検出することで、車体姿勢を検知して、車体姿勢が崩れないように各駆動ユニットの速度を制御していた。しかしながら、このようなセンシング機器は高価であり、無人搬送車の製造コストが上昇してしまう。
【0019】
そこで本件発明者らは、横行軌道の途中にチェックポイント(チェックマーカ)を設け、2つの駆動ユニットのうち先行する駆動ユニットがチェックポイントを通過してから後行する駆動ユニットがチェックポイントを通過するまでの時間差に基づいて、横行状態を検出するようにした。そして、後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンすることで、横行姿勢を補正するようにした。本件発明者らは、このような簡易な方法で無人搬送車の横行姿勢を補正することに着想したのである。以下ではこのような技術思想を実現する具体的な装置/方法について説明する。
【0020】
図4は、本発明による横行姿勢補正装置のメインフローチャートである。
【0021】
コントローラは横行モード中に以下の処理を微小時間(たとえば10ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。
【0022】
ステップS1においてコントローラは、横行状態を検出済か否かを判定する。未検出のうちはステップS2へ処理を移行し、検出済であればステップS3へ処理を移行する。
【0023】
ステップS2においてコントローラは、横行状態を検出する。具体的な内容は後述する。
【0024】
ステップS3においてコントローラは、補正方針が設定済みか否かを判定する。設定していなければステップS4へ処理を移行し、設定済みであればステップS5へ処理を移行する。
【0025】
ステップS4においてコントローラは、補正方針を設定する。具体的な内容は後述する。
【0026】
ステップS5においてコントローラは、設定されている補正方針が後行ユニットのスピードアップであるか否かを判定する。後行ユニットのスピードアップであればステップS6へ処理を移行し、そうでなければステップS7へ処理を移行する。
【0027】
ステップS6においてコントローラは、後行ユニットをスピードアップして姿勢補正する。具体的な内容は後述する。
【0028】
ステップS7においてコントローラは、先行ユニットをスピードダウンして姿勢補正する。具体的な内容は後述する。
【0029】
図5は、本発明による横行状態検出ルーチンを示すフローチャートである。
【0030】
ステップS21においてコントローラは、先行ユニットがチェックポイント(チェックマーカ)を検出したか否かを判定する。検出するまでは一旦処理を抜け、検出したらステップS22へ処理を移行する。
【0031】
ステップS22においてコントローラは、先行ユニットがチェックポイント(チェックマーカ)を検出してからの経過時間をカウントアップする。なお上述のようにフローチャートは一定時間毎に流れるので、カウンタをインクリメントすることで経過時間が分かる。
【0032】
ステップS23においてコントローラは、後行ユニットがチェックポイント(チェックマーカ)を検出したか否かを判定する。検出するまでは一旦処理を抜け、検出したらステップS24へ処理を移行する。
【0033】
ステップS24においてコントローラは、先行ユニットがチェックポイント(チェックマーカ)を検出してから後行ユニットがチェックポイント(チェックマーカ)を検出するまでの時間差Δtを求める。
【0034】
ステップS25においてコントローラは、時間差Δtに基づいて、先行ユニットと後行ユニットとの距離差Dを次式(1)から求める。なおVaは駆動ユニットの設定速度である。
【0035】
【数1】

【0036】
図6は、本発明による補正方針設定ルーチンを示すフローチャートである。
【0037】
ステップS41においてコントローラは、後行ユニットをスピードアップして補正することが可能であるか否かを判定する。先行ユニットを一定スピードに維持しつつ、後行ユニットをスピードアップして補正できれば、補正制御しても台車は遅れず、タクトタイムが延びることがない。したがって後行ユニットをスピードアップして補正することが望ましい。しかしながら距離差Dが大きければ、後行ユニットをスピードアップするときには、既に先行ユニットが後行ユニットよりも距離Dだけ先に進んでおり、それだけ補正エリア(補正するための軌道長)が短くなってしまう。したがって、後行ユニットが先行ユニットに追いつくための十分な補正エリア(補正するための軌道長)があれば、ステップS42に処理を移行して補正方針として後行ユニットのスピードアップを設定する。十分な補正エリア(補正するための軌道長)がなければ、ステップS43に処理を移行して補正方針として先行ユニットのスピードダウンを設定する。
【0038】
なお十分な長さであるか否かは、もともとの補正エリア(補正するための軌道長)を長く確保できているか否かが重要であるが、さらに後行ユニットのスピードアップ可能度合(すなわち実現可能な加速度)によっても変わる。後行ユニットを急加速/急減速できるのであれば、もともとの補正エリア(補正するための軌道長)は短くても十分である。後行ユニットを急加速/急減速できるか否かは、駆動ユニットの出力(モータ出力)に対する積載重量によって変わる。したがって積載重量が軽ければ後行ユニットを急加速/急減速できる。また後行ユニットを急加速/急減速できるか否かは、積載バランスによっても変わる。したがって、台車(上屋)が低かったり、積載物が低いなどであって、低重心であれば、後行ユニットを急加速/急減速しやすい。以上のような特性はあらかじめ実験を通じて設定しておきコントローラのROMに格納しておけばよい。
【0039】
図7は、本発明による後行ユニットスピードアップ補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0040】
ステップS61においてコントローラは、後行ユニットをスピードアップする。
【0041】
ステップS62においてコントローラは、後行ユニットが目標速度Vbに到達したか否かを判定する。なお速度Vbは先行ユニットの速度Va(すなわち駆動ユニットの設定速度Va)よりも速い速度であって、後行ユニットのスピードアップ可能度合(すなわち実現可能な加速度)に基づいてあらかじめ設定されている。到達するまでは一旦処理を抜け、到達したらステップS63へ処理を移行する。
【0042】
ステップS63においてコントローラは、後行ユニットを速度Vbに維持する。
【0043】
ステップS64においてコントローラは、後行ユニットが速度Vbを維持してから所定時間がしたか否かを判定する。時間が経過するまでは一旦処理を抜け、時間が経過したらステップS65へ処理を移行する。
【0044】
ステップS65においてコントローラは、後行ユニットをスピードダウンする。
【0045】
ステップS66においてコントローラは、後行ユニットが目標速度Va(すなわち先行ユニットと同じ速度)に到達したか否かを判定する。到達するまでは一旦処理を抜け、到達したらステップS67へ処理を移行する。
【0046】
ステップS67においてコントローラは、補正制御を完了する。
【0047】
図8は、本発明による先行ユニットスピードダウン補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0048】
ステップS71においてコントローラは、先行ユニットをスピードダウンする。
【0049】
ステップS72においてコントローラは、先行ユニットが目標速度Vcに到達したか否かを判定する。なお速度Vcは後行ユニットの速度Va(すなわち駆動ユニットの設定速度Va)よりも遅い速度であって、先行ユニットのスピードダウン可能度合(すなわち実現可能な減速度)に基づいてあらかじめ設定されている。たとえば速度Vcをゼロとすれば先行ユニットが停止するので、補正エリア(補正するための軌道長)を非常に短くできる。速度Vcに到達するまでは一旦処理を抜け、到達したらステップS73へ処理を移行する。
【0050】
ステップS73においてコントローラは、先行ユニットを速度Vcで維持する。
【0051】
ステップS74においてコントローラは、先行ユニットが速度Vcを維持してから所定時間がしたか否かを判定する。時間が経過するまでは一旦処理を抜け、時間が経過したらステップS75へ処理を移行する。
【0052】
ステップS75においてコントローラは、先行ユニットをスピードアップする。
【0053】
ステップS76においてコントローラは、先行ユニットが目標速度Va(すなわち後行ユニットと同じ速度)に到達したか否かを判定する。到達するまでは一旦処理を抜け、到達したらステップS77へ処理を移行する。
【0054】
ステップS77においてコントローラは、補正制御を完了する。
【0055】
図9は、本発明による横行姿勢補正装置を実行したときの無人搬送車(駆動ユニット)の走行状態を説明する図である。なお以下では上述のフローチャートとの対応が分かりやすくするために、フローチャートのステップ番号にSを付して併記する。
【0056】
図9(A)に示すように、横行モード中に第2駆動ユニット11−2がスリップするなどして、第1駆動ユニット11−1に遅れることがある。この状態では、横行状態を未検出であるので、フローチャートにおいて、ステップS1→S2→S21と処理が繰り返される。
【0057】
図9(B)に示すように、先行する第1駆動ユニット11−1がチェックポイント(チェックマーカ21−1)を検出したら、フローチャートにおいて、ステップS21→S22→S23と処理が流れ、後行する第2駆動ユニット11−2がチェックポイント(チェックマーカ21−2)を検出するまで、ステップS1→S2→S21→S22→S23と処理が繰り返される。
【0058】
図9(C)に示すように、後行する第2駆動ユニット11−2がチェックポイント(チェックマーカ21−2)を検出したら、フローチャートにおいて、ステップS23→S24と処理が流れ、時間差Δtが求められ(ステップS24)、先行ユニットと後行ユニットとの距離差Dが求められる(ステップS25)。
【0059】
次サイクルでは、ステップS1→S3→S4と処理が流れ、後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)をスピードアップして補正できるか否かが判定される(ステップS41)。ここでは補正方針として後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)のスピードアップを設定する(ステップS42)。
【0060】
次サイクルでは、ステップS1→S3→S5→S6→S61→S62と処理が流れ、後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)が速度Vbに達するまで、ステップS1→S3→S5→S6→S61→S62と処理が繰り返されて後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)がスピードアップする。
【0061】
後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)が速度Vbに達したら、フローチャートにおいて、ステップS62→S63と処理が流れ、後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)の速度Vbが維持される。このときの状態が図9(D)に示されている。
【0062】
この状態で所定時間が経過するまでは、ステップS1→S3→S5→S6→S61→S62→S63→S64と処理が流れ、時間が経過したらステップS64→S65と処理が流れる。このときの状態が図9(E)に示されている。
【0063】
そして後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)が速度Vaに達するまで、ステップS1→S3→S5→S6→S61→S62→S63→S64→S65→S66と処理が繰り返されて後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)がスピードダウンする。後行ユニット(第2駆動ユニット11−2)が速度Vaに達したら、フローチャートにおいて、ステップS66→S67と処理が流れて補正処理が完了する(ステップS67)。このときの状態が図9(F)に示されている。
【0064】
このように本実施形態によれば、2つの駆動ユニットのうち先行する駆動ユニットがチェックポイントを通過してから後行する駆動ユニットがチェックポイントを通過するまでの時間差に基づいて、横行状態を検出し、それに基づいて後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンするので、ロータリエンコーダのように高価なセンシング機器を用いなくても、無人搬送車の横行姿勢を補正することができる。
【0065】
また可能な限り、先行ユニットを一定スピードに維持しつつ、後行ユニットをスピードアップして補正するようにしたので、補正制御しても台車は遅れず、タクトタイムの遅延を防止できる。そのような補正が可能か否かは、後行ユニットのスピードアップ可能度合(すなわち実現可能な加速度)によって変わる。後行ユニットを急加速/急減速できるのであれば、そのような補正が可能になりやすい。後行ユニットを急加速/急減速できるか否かは、駆動ユニットの出力(モータ出力)に対する積載重量によって変わる。したがって積載重量が軽ければ後行ユニットを急加速/急減速できる。また後行ユニットを急加速/急減速できるか否かは、積載バランスによっても変わる。したがって、台車(上屋)が低かったり、積載物が低いなどであって、低重心であれば、後行ユニットを急加速/急減速しやすい。このように積載重量や積載バランスに基づいて、後行ユニットのスピードアップによる補正が可能か否かを判定するようにしたので、より正確に判定することができるのである。
【0066】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による走行モード切替制御装置を適用する無人搬送車の一例を示す図である。
【図2】無人搬送車が走行するときの駆動ユニットの状態を示す図である。
【図3】無人搬送車横行モードでの問題点を説明する図である。
【図4】本発明による横行姿勢補正装置のメインフローチャートである。
【図5】本発明による横行状態検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明による補正方針設定ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明による後行ユニットスピードアップ補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明による先行ユニットスピードダウン補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明による横行姿勢補正装置を実行したときの無人搬送車(駆動ユニット)の走行状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
1 無人搬送車(AGV)
10 車体
11 駆動ユニット
ステップS2 横行状態検出手段/横行状態検出工程
ステップS4 方針設定手段/方針設定工程
ステップS6,S7 補正制御手段/補正制御工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの駆動ユニットが異なる軌道を移動する横行モードを有する無人搬送車の横行姿勢補正装置であって、
2つの駆動ユニットのうち先行する駆動ユニットがチェックポイントを通過してから後行する駆動ユニットがチェックポイントを通過するまでの時間差に基づいて、横行状態を検出する横行状態検出手段と、
前記横行状態に基づいて、後行ユニットのスピードアップ又は先行ユニットのスピードダウンの補正方針を設定する方針設定手段と、
前記設定した補正方針に基づいて後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンする補正制御手段と、
を有する無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項2】
前記方針設定手段は、後行ユニットのスピードアップを先行ユニットのスピードアップに対して優先的に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項3】
前記方針設定手段は、補正エリアの長さに応じて、後行ユニットのスピードアップか先行ユニットのスピードダウンのいずれかを設定する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項4】
前記方針設定手段は、積載重量に応じて、後行ユニットのスピードアップか先行ユニットのスピードダウンのいずれかを設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項5】
前記方針設定手段は、無人搬送車の重心位置に応じて、後行ユニットのスピードアップか先行ユニットのスピードダウンのいずれかを設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項6】
前記方針設定手段が補正方針として先行ユニットのスピードダウンを設定した場合は、
前記補正制御手段は、先行ユニットが停止するまでスピードダウンする、
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の無人搬送車の横行姿勢補正装置。
【請求項7】
2つの駆動ユニットが異なる軌道を移動する横行モードを有する無人搬送車の横行姿勢補正方法であって、
2つの駆動ユニットのうち先行する駆動ユニットがチェックポイントを通過してから後行する駆動ユニットがチェックポイントを通過するまでの時間差に基づいて、横行状態を検出する横行状態検出工程と、
前記横行状態に基づいて、後行ユニットのスピードアップ又は先行ユニットのスピードダウンの補正方針を設定する方針設定工程と、
前記設定した補正方針に基づいて後行ユニットをスピードアップ又は先行ユニットをスピードダウンする補正制御工程と、
を有する無人搬送車の横行姿勢補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−230238(P2009−230238A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72040(P2008−72040)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(508079304)愛知機械テクノシステム株式会社 (12)
【Fターム(参考)】