説明

無人搬送車

【課題】横行走行時における車体のねじれを修正することができる無人搬送車を提供すること。
【解決手段】無人搬送車1によれば、比較的長い距離を横行走行する場合でも、一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)が直進用誘導体Xを検知する度に、車体2を直進用誘導体Xに対し平行に近づけることができる。よって、例えば、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRの僅かな速度差や路面Gの状態に影響を受けることで、車体2の前後における走行進度のバランスが崩れ、車体2が直進用誘導体Xに対し傾斜した(ねじれた)場合でも、その車体2の傾斜(ねじれ)を修正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車に関し、特に、横行走行時における車体のねじれを修正することができる無人搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等の生産現場において、人件費削減を図るべく自動化が強く要請されている。そこで、加工品や組立品等を別の工程に搬送するため、様々なタイプの無人搬送車が利用されている。例えば、特開2000−330635号公報には、前後進ガイドセンサ25,26と、横行ガイドセンサ27,28とを備えた無人搬送車11が開示されている。この無人搬送車11は、走行路12に敷設された前後進ガイドライン13を前後進ガイドセンサ25,26により検出して、走行路12上を前後進ガイドライン13に沿って前後進走行すると共に、走行路12に敷設された横行ガイドライン15を横行ガイドセンサ27,28により検出して、走行路12上を横行ガイドライン15に沿って横行走行する。
【特許文献1】特開2000−330635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、鉄鋼関連や造船関連の産業分野においても、上述したような無人搬送車が利用されている。しかしながら、このような産業分野で扱われる搬送物は大型であるため、各工程の作業スペースが大規模となり、その分、搬送物を別の工程に搬送する際の搬送距離が長くなる。このため、特に無人搬送車が横行走行する場合には、各駆動輪の僅かな速度差や路面の状態に影響を受けることで、車体前後における走行進度のバランスが崩れ、横行走行方向に対して車体がねじれるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、横行走行時における車体のねじれを修正することができる無人搬送車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を解決するために請求項1記載の無人搬送車は、直進用誘導体と横行用誘導体とが交差して敷設された路面を、前記直進用誘導体に誘導され前後進走行すると共に、前記横行用誘導体に誘導され横行走行するものであって、車体と、その車体を支持する複数の駆動輪と、それら複数の駆動輪の全部または一部にそれぞれ回転駆動力を付与する回転駆動手段と、前記車体の前後方向少なくとも2箇所に配設され前記直進用誘導体を検知する一対の検知手段と、前記横行用誘導体に誘導され横行走行する場合に、前記一対の検知手段の内の一方または他方の検知手段が前記直進用誘導体を検知してから前記一対の検知手段の内の他方または一方の検知手段が前記直進用誘導体を検知するまでの差を計測する差計測手段と、その差計測手段により計測された差に基づいて、前記直進用誘導体に対する前記車体の傾斜状態を算出する傾斜状態算出手段と、その傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態に基づいて、前記回転駆動手段の駆動状態を制御して、前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更する回転駆動力変更手段とを備え、その回転駆動力変更手段により前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更して、前記車体を前記直進用誘導体に対し平行に近づけるように前記車体の傾斜状態を修正する。
【0006】
請求項2記載の無人搬送車は、請求項1記載の無人搬送車において、前記差計測手段により計測される差は、時間間隔である。
【0007】
請求項3記載の無人搬送車は、請求項1又は2に記載の無人搬送車において、前記車体の傾斜状態のしきい値を記憶するしきい値記憶手段と、前記傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態が前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいか否かを判断するしきい値判断手段とを備え、そのしきい値判断手段により、前記傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態が前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいと判断された場合に、前記回転駆動力変更手段を実行する。
【0008】
請求項4記載の無人搬送車は、請求項1から3のいずれかに記載の無人搬送車において、車速を検出する車速検出手段を備え、前記傾斜状態算出手段は、前記差計測手段により計測された差と、前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて、前記直進用誘導体に対する前記車体の傾斜量を算出するものであり、前記回転駆動力変更手段は、その傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜量と、前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて、前記回転駆動手段の駆動状態を制御して、前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の無人搬送車によれば、横行用誘導体に誘導され横行走行する場合、差計測手段により、一対の検知手段の内の一方または他方の検知手段が直進用誘導体を検知してから一対の検知手段の内の他方または一方の検知手段が直進用誘導体を検知するまでの差が計測される。この差計測手段で計測された差に基づいて、傾斜状態算出手段により、直進用誘導体に対する車体の傾斜状態が算出され、更に、その傾斜状態算出手段で算出された直進用誘導体に対する車体の傾斜状態に基づいて、回転駆動力変更手段により、回転駆動手段の駆動状態が制御され、複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力が変更される。これにより、直進用誘導体に対して車体が平行に近づくように車体の傾斜状態が修正される。
【0010】
よって、比較的長い距離を横行走行する場合でも、一対の検知手段が直進用誘導体を検知する度に、車体を直進用誘導体に対し平行に近づけることができる。従って、例えば、各駆動輪の僅かな速度差や路面の状態に影響を受けることで、車体前後における走行進度のバランスが崩れ、車体が直進用誘導体に対し傾斜した(ねじれた)場合でも、その車体の傾斜(ねじれ)を修正することができるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の無人搬送車によれば、請求項1記載の無人搬送車の奏する効果に加え、差計測手段により計測される差は時間間隔であるので、簡単な構成で差を計測することができるという効果がある。更に、構成の簡略化を図ることができれば、その分、無人搬送車のコスト低減を図ることができるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の無人搬送車によれば、請求項1又は2に記載の無人搬送車の奏する効果に加え、しきい値判断手段により、傾斜状態算出手段で算出された車体の傾斜状態がしきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいか否かが判断される。そして、そのしきい値判断手段により、傾斜状態算出手段で算出された車体の傾斜状態がしきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいと判断された場合に、回転駆動力変更手段が実行される。よって、傾斜状態算出手段で算出された車体の傾斜状態がしきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも小さい場合、即ち車体の直進用誘導体に対する傾斜(ねじれ)が小さい場合には、その車体の傾斜(ねじれ)を修正しないので、車体の挙動を滑らかにすることができるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の無人搬送車によれば、請求項1から3のいずれかに記載の無人搬送車の奏する効果に加え、傾斜状態算出手段により、差計測手段で計測された差と車速検出手段で検出された車速とに基づいて、直進用誘導体に対する車体の傾斜量として、即ち、車体前側と車体後側との差が距離として算出される。また、回転駆動力変更手段により、その傾斜状態算出手段で算出された車体の傾斜量と、車速検出手段により検出された車速とに基づいて、前記回転駆動手段の駆動状態が制御され、複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力が変更される。よって、車体の傾斜(ねじれ)を正確に修正することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における無人搬送車1を上面から視た模式図である。なお、図1では、発明の理解を容易にするために、無人搬送車1の4個の駆動輪3(3LF,3LR,3RF,3RR)と、直進用センサ4(4a,4b)と、横行用センサ5(5a,5b)とのみを図示している。
【0015】
まず、図1を参照して、無人搬送車1について説明する。無人搬送車1は、例えば工場等の生産現場において加工品や組立品等を別の作業スペースに搬送するための搬送車両であり、図1に示すように、車体2と、その車体2を支持する4個の駆動輪3(左の前輪3LF、左の後輪3LR、右の前輪3RF及び右の後輪3RR)と、一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)と、一対の横行用センサ5(第1センサ5a及び第2センサ5b)とを主に備えて構成されている。この無人搬送車1は、路面Gに敷設された直進用誘導体X(図2参照)に誘導され前後進走行する一方、横行用誘導体Y(図2参照)に誘導され横行走行すると共に、横行走行する場合には、一対の直進用センサ4により直進用誘導体Xをそれぞれ検知することで、その直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜(ねじれ)を修正することができるように構成されている(図5参照)。
【0016】
駆動輪3は、無人搬送車1が走行するための走行装置であり、図1に示すように、一対の車輪3aと、それら一対の車輪3aをそれぞれ連結する車軸3bとを主に備えて構成されている。また、本実施形態における無人搬送車1では、図1に示すように、4個の駆動輪3を備え、それら4個の駆動輪3が左の前輪3LF、左の後輪3LR、右の前輪3RF及び右の後輪3RRとして構成されるように、車体2にそれぞれ操舵自在に配設されている。これら4個の駆動輪3は、後述する回転駆動装置76(図3参照)によりそれぞれ独立して回転駆動されると共に、後述する操舵駆動装置77(図3参照)によりそれぞれ独立して操舵駆動される。これにより、無人搬送車1は、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRを同一の操舵角に保って走行することができるので、前後進走行や横行走行を行うことができる。なお、回転駆動装置76及び操舵駆動装置77の詳細構成については、図3を参照して後に説明する。
【0017】
直進用センサ4は、直進用誘導体X(図2参照)を検知するためのセンサであり、磁性体から構成された直進用誘導体Xの磁気を検知する磁気センサとして構成されている。また本実施形態における無人搬送車1では、図1に示すように、車体2の前後方向(図1左右方向)2箇所に第1センサ4aと第2センサ4bとを備え、それら第1センサ4aと第2センサ4bとを結んだ直線L1が車体2の左右方向(図1上下方向)に対する中心線O1と平行になるように、中心線O1から等間隔でそれぞれ配設されている。
【0018】
横行用センサ5は、横行用誘導体Y(図2参照)を検知するためのセンサであり、直進用センサ4と同様に、磁性体から構成された直進用誘導体Yの磁気を検知する磁気センサとして構成されている。また本実施形態における無人搬送車1では、図1に示すように、車体2の左右方向(図1上下方向)2箇所に第1センサ5aと第2センサ5bとを備え、それら第1センサ5aと第2センサ5bとを結んだ直線L2が車体2の前後方向(図1左右方向)に対する中心線O2と平行になるように、中心線O2から等間隔でそれぞれ配設されている。
【0019】
ここで、図2を参照して、無人搬送車1の前後進走行および横行走行について説明する。図2は、路面Gを横行走行する無人搬送車1を上面から視た模式図である。
【0020】
図2に示すように、無人搬送車1が走行する路面Gには、磁性体から構成された複数の直進用誘導体Xと横行用誘導体Yとが交差して敷設されると共に、それら複数の直進用誘導体X及び横行用誘導体Yのそれぞれが路面Gの基準位置から何番目に位置するものであるのかといったID情報を記憶したIDタグが、複数の直進用誘導体X及び横行用誘導体Yの1つ1つに対応して設けられている。
【0021】
無人搬送車1が前後進走行する場合には、直進用センサ4により直進用誘導体Xの磁気を検知することで、その直進用誘導体Xに誘導されるように各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRが操舵駆動装置77(図3参照)によりそれぞれ独立して操舵駆動されると共に、予め設定された車速で走行するように各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRが回転駆動装置76(図3参照)によりそれぞれ独立して回転駆動される。これにより、無人搬送車1は、路面Gを直進用誘導体Xに誘導され矢印F又は矢印B方向に前後進走行することができる。
【0022】
また、本実施形態における無人搬送車1では、上述したように一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)を備えているので、それら一対の直進用センサ4の内のいずれか一方の直進用センサ(第1センサ4a又は第2センサ4b)が直進用誘導体Xを検知できない場合でも、いずれか他方の直進用センサ(第2センサ4b又は第1センサ4a)により無人搬送車1を誘導することができる。よって、無人搬送車1が走行不能になる恐れを低減することができる。
【0023】
一方、無人搬送車1が横行走行する場合には、図2に示すように、横行用センサ5により横行用誘導体Yの磁気を検知することで、その横行用誘導体Yに誘導されるように各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRが操舵駆動装置77(図3参照)によりそれぞれ独立して操舵駆動されると共に、予め設定された車速で走行するように各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRが回転駆動装置76(図3参照)によりそれぞれ独立して回転駆動される。これにより、無人搬送車1は、路面Gを横行用誘導体Yに誘導され矢印L又は矢印R方向に横行走行することができる。
【0024】
また、本実施形態における無人搬送車1では、上述したように一対の横行用センサ5(第1センサ5a及び第2センサ5b)を備えているので、それら一対の横行用センサ5の内のいずれか一方の横行用センサ(第1センサ5a又は第2センサ5b)が横行用誘導体Yを検知できない場合でも、いずれか他方の横行用センサ(第2センサ5b又は第1センサ5a)により無人搬送車1を誘導することができる。よって、無人搬送車1が走行不能になる恐れを低減することができる。
【0025】
次に、図3を参照して、無人搬送車1の電気的構成について説明する。図3は、無人搬送車1の電気的構成を示したブロック図である。制御装置70は、無人搬送車1の各部を制御するための制御装置であり、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらがバスライン74を介して入出力ポート75にそれぞれ接続されている。また、入出力ポート75には、回転駆動装置76、操舵駆動装置77、直進用センサ装置78、横行用センサ装置79、回転数検出装置80、誘導体情報取得装置81及び他の入出力装置82等の複数の装置が接続されている。
【0026】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、フリーランニングカウンタ71aが設けられている。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図4に図示される姿勢制御処理)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。このROM72には、車両データメモリ72a、誘導体データメモリ72b及び、しきい値メモリ72c等の各種メモリが設けられている。
【0027】
車両データメモリ72aには、車体2の基準位置に対する各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RR(図1参照)のそれぞれの位置座標、車体2の基準位置に対する各センサ4a,4b,5a,5b(図1参照)のそれぞれの位置座標および車輪3aの直径といった無人搬送車1の車両データが記憶されている。
【0028】
誘導体データメモリ72bには、路面Gの基準位置からそれぞれの直進用誘導体X及び横行用誘導体Yまでの距離といった直進用誘導体X及び横行用誘導体Yの位置情報が、路面Gに敷設された全ての直進用誘導体X及び横行用誘導体Yに対して記憶されている。CPU71は、誘導体データメモリ72bに記憶された直進用誘導体X及び横行用誘導体Yの位置情報から、路面Gに敷設された全ての直進用誘導体X及び横行用誘導体Yのそれぞれの間隔を算出することができる。この誘導体データメモリ72bに記憶された直進用誘導体Xの位置情報は、図4に図示される姿勢制御処理において、S7の処理を実行する際にCPU71により読み出され、その結果、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数がそれぞれ算出される。
【0029】
しきい値メモリ72cには、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量S(図5参照)の許容値が記憶されている。このしきい値メモリ72cに記憶された直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量Sの許容値は、図4に図示される姿勢制御処理において、S6の処理を実行する際にCPU71により読み出され、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量Sがしきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも大きいか否かが判断される。その結果、車体2の傾斜量Sが許容値よりも大きい場合には車体2の傾斜を修正する一方、小さい場合には車体2の傾斜(ねじれ)を修正しないので、車体2の挙動を滑らかにすることができる。
【0030】
RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。このRAM73には、計時メモリ73a等の各種メモリが設けられている。
【0031】
計時メモリ73aは、フリーランニングカウンタ71aでカウントされた値から算出される時間間隔を記憶するためのメモリである。この計時メモリ73aに記憶された時間間隔は、図4に図示される姿勢制御処理において、S5の処理を実行する際にCPU71により読み出され、その結果、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量S(図5(a)参照)が算出される。
【0032】
回転駆動装置76は、駆動輪3(図1参照)を回転駆動するための装置であり、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRにそれぞれ回転駆動力を付与する4個の回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRと、それら各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRをCPU71からの命令に基づいて独立して駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを備えている。CPU71が各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRをそれぞれ独立して駆動制御することで、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRをそれぞれ独立して回転駆動する。なお、本実施形態における無人搬送車1では、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRが油圧モータで構成されている。
【0033】
操舵駆動装置77は、駆動輪3(図1参照)を操舵駆動するための装置であり、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRにそれぞれ操舵駆動力を付与する4個の操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRと、それら各操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRをCPU71からの命令に基づいて独立して駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを備えている。CPU71が各操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRをそれぞれ独立して駆動制御することで、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRをそれぞれ独立して操舵駆動する。なお、本実施形態における無人搬送車1では、各操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRが油圧モータで構成されている。
【0034】
直進用センサ装置78は、直進用誘導体X(図2参照)を検知すると共に、その検知結果をCPU71に出力するための装置であり、車体2に配設される一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)と、それら一対の直進用センサ4の検知結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
【0035】
横行用センサ装置79は、横行用誘導体Y(図2参照)を検知すると共に、その検知結果をCPU71に出力するための装置であり、車体2に配設される一対の横行用センサ5(第1センサ5a及び第2センサ5b)と、それら一対の横行用センサ5の検知結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
【0036】
回転数検出装置80は、駆動輪3(図1参照)の回転数を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRの回転数をそれぞれ検出する4個の回転センサ80LF,80LR,80RF,80RRと、それら各回転センサ80LF,80LR,80RF,80RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。なお、本実施形態における無人搬送車1では、各回転センサ80LF,80LR,80RF,80RRが各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRにそれぞれ設けられ、車軸3b(図1参照)に形成された凸部(図示せず)を光学的に検出するピックアップを備えた光学ピックアップ式のセンサとして構成されている。
【0037】
CPU71は、回転数検出装置80から入力された各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRのそれぞれの回転数を平均化し、その平均化した回転数と車両データメモリ72aに記憶された車輪3aの直径とから無人搬送車1の車速を算出することができる。
【0038】
誘導体情報取得装置81は、路面Gに設けられたIDタグからID情報を取得すると共に、その取得したID情報をCPU71に出力するための装置であり、IDタグからID情報を取得する情報取得センサと、その情報取得センサにより取得したID情報を処理してCPU71に出力する処理回路(いずれも図示せず)とを備えている。なお、本実施形態における無人搬送車1では、情報取得センサがIDタグに記憶されたID情報を電磁誘導にて読み取るRFIDとして構成されている。
【0039】
CPU71は、この誘導体情報取得装置81によりIDタグに記憶されたID情報を読み取ることで、無人搬送車1の現在位置、例えば、路面Gの基準位置から何番目に位置する横行用誘導体Yに誘導され横行走行しているのかを知ることができる。これにより、CPU71は、誘導体データメモリ72bに記憶された横行用誘導体Yの位置情報から、無人搬送車1が次に横切る直進用誘導体Xまでの距離を知ることができる。
【0040】
次に、図4を参照して、制御装置70で実行される処理について説明する。図4は、姿勢制御処理を示すフローチャートである。ここで、図4の説明においては、図5を適宜参照して説明する。図5は、路面Gを横行走行する無人搬送車1を上面から視た模式図であり、(a)は、車体2が直進用誘導体Xに対し傾斜した状態が、(b)は、その車体2の傾斜が修正された状態が、それぞれ図示されている。なお、図5では、理解を容易とするため、第1センサ4a及び第2センサ4bと、左の前輪3LF及び左の後輪3LRとが模式的に図示されている。
【0041】
図4に示す姿勢制御処理は、無人搬送車1が横行用誘導体Yに誘導され横行走行する場合に、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜(ねじれ)を修正するための処理である。この姿勢制御処理は、制御装置70の電源が投入されている間、CPU71により繰り返し実行される。
【0042】
CPU71は、姿勢制御処理に関し、まず、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの一方がn番目の直進用誘導体Xn(図5参照)を検知したか否かを判断する(S1)。
【0043】
ここで、上述したように、誘導体情報取得装置81でIDタグに記憶されたID情報を読み取ることにより無人搬送車1の現在位置を知ることができるので、走行方法が前後進走行から横行走行に切り替わった場合に、次に横切る直進用誘導体Xが路面Gの基準位置から何番目に位置する直進用誘導体Xであるのかを知ることができる。これにより、S1の処理で検知すべきn番目の直進誘導体Xnが路面Gに敷設された複数の直進用誘導体Xの内のどの直進用誘導体Xであるのかを把握することができる。
【0044】
S1の処理の結果、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a及び第2センサ4bのいずれもn番目の直進用誘導体Xnを検知していないと判断される場合、即ち、直進用センサ4が直進用誘導体Xnを検知していない場合には(S1:No)、この姿勢制御処理を終了する。
【0045】
一方、S1の処理の結果、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの一方がn番目の直進用誘導体Xnを検知したと判断される場合には(S1:Yes)、計時を開始する(S2)。即ち、S2の処理時におけるフリーランニングカウンタ71aのカウント値を読み込む。
【0046】
S2の処理後、一対の直進用センサ4の内、S1の処理で直進用誘導体Xnを検知していない方の第1センサ4a又は第2センサ4bがn番目の直進用誘導体Xnを検知したか否かを判断する(S3)。その結果、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方がn番目の直進用誘導体Xnを検知していないと判断される場合には(S3:No)、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方がn番目の直進用誘導体Xnを検知したと判断されるまで、S3の処理を繰り返し実行する。
【0047】
一方、S3の処理の結果、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方がn番目の直進用誘導体Xnを検知したと判断される場合には(S3:Yes)、S2の処理で開始した計時を終了する。即ち、S4の処理時におけるフリーランニングカウンタ71aのカウント値を読み出し、S2の処理時に読み込んだカウント値との差をとり、その結果を計時メモリ73aに書き込む(S4)。つまり、計時メモリ73aに記憶されるのは、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの一方が直進用誘導体Xn(図5参照)を検知してから、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方が直進用誘導体Xnを検知するまでの時間間隔となる。
【0048】
S4の処理後、計時メモリ73aに記憶された時間と、無人搬送車1の車速とに基づいて、直進用誘導体Xnに対する車体2の傾斜量S(図5(a)参照)を算出する(S5)。なお、無人搬送車1の車速は、上述したように、回転数検出装置80から入力された各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRのそれぞれの回転数を平均化し、その平均化した回転数と車両データメモリ72aに記憶された車輪3aの直径とから算出される。
【0049】
その後、S5の処理で算出した直進用誘導体Xnに対する車体2の傾斜量Sがしきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも大きいか否かを判断する(S6)。その結果、S5の処理で算出した直進用誘導体Xnに対する車体2の傾斜量Sがしきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも小さいと判断される場合には(S6:No)、車体2の直進用誘導体Xnに対する傾斜(ねじれ)が小さいということであるので、S7及びS8の処理をスキップし、nをn+1とすることで(S9)、次のn+1番目の直進用誘導体Xn+1(図5参照)を直進用センサ4により検知する場合に備えて、この姿勢制御処理を終了する。
【0050】
一方、S5の処理で算出した直進用誘導体Xnに対する車体2の傾斜量Sがしきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも大きいと判断される場合には(S6:Yes)、無人搬送車1がn+1番目の直進用誘導体Xn+1に到達するまでに車体2の傾斜(ねじれ)が修正されるように、S5の処理で算出した直進用誘導体Xnに対する車体2の傾斜量Sと無人搬送車1の車速とに基づいて、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数をそれぞれ算出する(S7)。
【0051】
ここで、図5を参照して、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数の算出方法について具体的に説明する。図5(a)に示すように、まず、CPU71は、車両データメモリ72aに記憶された車体2の基準位置に対する各駆動輪3LF,3LRのそれぞれの位置座標と、車体2の基準位置に対する各センサ4a,4bのそれぞれの位置座標とに基づいて、直進用誘導体Xnに対する左の前輪3LFの傾斜量S1及び左の後輪3LRの傾斜量S2をそれぞれ算出する。
【0052】
次いで、誘導体データメモリ72bに記憶された直進用誘導体Xの位置情報から、直進用誘導体Xnから直進用誘導体Xn+1までの距離Dを算出し、その算出した直進用誘導体Xnから直進用誘導体Xn+1までの距離Dと無人搬送車1の車速Vとから、無人搬送車1がn+1番目の直進用誘導体Xn+1に到達するまでの時間を算出する。
【0053】
そして、その算出したn+1番目の直進用誘導体Xn+1に到達するまでの時間の間に、左の前輪3LFが距離D1(距離D+傾斜量S1)を走行するように、回転モータ76Lの回転数を算出すると共に、左の後輪3LRが距離D2(距離D−傾斜量S2)を走行するように、回転モータ76LRの回転数を算出する。なお、本実施形態における無人搬送車1では、右の前輪3RFに回転駆動力を付与する回転モータ76RFの回転数が左の前輪3LFに回転駆動力を付与する回転モータ76LFと、右の後輪3RRに回転駆動力を付与する回転モータ76RRの回転数が左の後輪3LRに回転駆動力を付与する回転モータ76LRとが、それぞれ同一回転数となるように各回転モータ76RF,76RRの回転数を算出する。
【0054】
図4に戻って説明する。S7の処理後、算出した各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数に基づいて、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRをそれぞれ駆動制御すると共に(S8)、nをn+1とすることで(S9)、次のn+1番目の直進用誘導体Xn+1(図5参照)を直進用センサ4により検知する場合に備えて、この姿勢制御処理を終了する。なお、本実施形態における無人搬送車1では、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRが油圧モータで構成されているので、油圧の増減により、それら各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの駆動制御を行う。
【0055】
これにより、無人搬送車1が比較的長い距離を横行走行する場合でも、一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)が直進用誘導体Xを検知する度に、車体2を直進用誘導体Xに対し平行に近づけることができる(図5(b)参照)。よって、例えば、各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRの僅かな速度差や路面Gの状態に影響を受けることで、車体2の前後における走行進度のバランスが崩れ、車体2が直進用誘導体Xに対し傾斜した(ねじれた)場合でも、その車体2の傾斜(ねじれ)を修正することができる。
【0056】
なお、図4に示すフローチャート(姿勢制御処理)において、請求項1記載の差計測手段としてはS4の処理が、請求項1記載の傾斜状態算出手段としてはS5の処理が、請求項1記載の回転駆動力変更手段としてはS7の処理が、請求項3記載のしきい値判断手段としてはS6の処理が、それぞれ該当する。
【0057】
上述したように、本実施形態における無人搬送車1によれば、差計測手段(S4)により計測される差は時間間隔であるので、簡単な構成で差を計測することができる。更に、構成の簡略化を図ることができれば、その分、無人搬送車1のコスト低減を図ることができる。
【0058】
また、しきい値判断手段(S6)により、傾斜状態算出手段(S5)で算出した車体2の傾斜量Sが、しきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも大きいと判断された場合に、回転駆動力変更手段(S7)が実行される。よって、傾斜状態算出手段(S5)で算出した車体2の傾斜量Sが、しきい値メモリ72cに記憶された許容値よりも小さい場合、即ち車体2の直進用誘導体Xに対する傾斜(ねじれ)が小さい場合には、その車体2の傾斜(ねじれ)を修正しないので、車体2の挙動を滑らかにすることができる。
【0059】
また、傾斜状態算出手段(S5)により、差計測手段(S4)で計測された差(時間間隔)と無人搬送車1の車速とに基づいて、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量Sとして、即ち、車体2の前側と車体2の後側との差が距離として算出される。よって、車体2の傾斜(ねじれ)を正確に修正することができる。
【0060】
また、一対の直進用センサ4(第1センサ4a及び第2センサ4b)が、無人搬送車1を直進用誘導体Xに誘導するための役割と、車体2の直進用誘導体Xに対する傾斜量を算出するための役割とを兼用する構成としたので、部品点数が低減し、無人搬送車1のコスト削減を図ることができる。
【0061】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0062】
例えば、上記実施形態では、駆動輪3が4個の場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば駆動輪3を6個や8個、或いはそれ以上で構成しても良い。この場合には、それら全ての駆動輪3の位置座標を車両データメモリ72aに記憶すると共に、その車両データメモリ72aに記憶された各駆動輪3の位置座標に基づいて、直進用誘導体Xに対する各駆動輪3の傾斜量をそれぞれ算出することで、車体2の傾斜(ねじれ)を修正する。
【0063】
また、上記実施形態では、4個の駆動輪3の全てが回転駆動装置76により回転駆動される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば4個の駆動輪3の内のいずれか2個の駆動輪3のみを回転駆動装置76により回転駆動するように構成しても良い。この場合には、それら回転駆動装置76により回転駆動される2個の駆動輪3の位置座標のみを車両データメモリ72aに記憶すると共に、その車両データメモリ72aに記憶された各駆動輪3の位置座標に基づいて、直進用誘導体Xに対する各駆動輪3の傾斜量をそれぞれ算出することで、車体2の傾斜(ねじれ)を修正する。これにより、無人搬送車1のコスト削減を図ることができると共に、消費エネルギーや制御コストの削減を図ることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、直進用誘導体X及び横行用誘導体Yに設けられた標識体のID情報を誘導体情報取得装置81により読み取ることで無人搬送車1の現在位置を知る場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えばGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を備えて構成しても良い。これにより、走行路GにIDタグが設けられていない場合でも、無人搬送車1の現在位置を知ることができるので、使用場所が制限されず、利便性の向上を図ることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、車両データメモリ72aに車輪3aの直径を記憶する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、RAM73に車輪3aの直径を記憶するためのメモリを設け、そのメモリに車輪3aの直径を他の入出力装置82から直接入力するように構成しても良い。これにより、車輪3aの損耗を考慮することができるので、その分、高精度に車体2の傾斜(ねじれ)を修正することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量Sの許容値を、しきい値メモリ72cに記憶する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、計時メモリ73aに記憶された時間間隔の許容値を、しきい値メモリ72cに記憶するように構成しても良い。これにより、しきい値判断手段(S6)を実行するために直進用誘導体Xに対する車体2の傾斜量Sを算出する必要がないので、制御負担を軽減させることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、差計測手段(S4)として、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの一方が直進用誘導体Xnを検知してから一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方が直進用誘導体Xnを検知するまでの時間間隔を計測する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの一方が直進用誘導体Xnを検知した時点での各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数と、一対の直進用センサ4の内の第1センサ4a又は第2センサ4bの他方が直進用誘導体Xnを検知した時点での各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数との回転数の差を計測するように構成しても良い。この場合には、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数の差に基づいて、車体2の傾斜(ねじれ)を修正する。
【0068】
また、上記実施形態では、無人搬送車1が直進用誘導体Xn+1に到達するまでの時間の間に、直進用誘導体Xnに対する各駆動輪3LF,3LR,3RF,3RRの傾斜量を修正する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば所定の距離に到達するまでの間に、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数の差を修正するように構成しても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、車両データメモリ72aに記憶された車体2の基準位置に対する各駆動輪3LF,3LRのそれぞれの位置座標および車体2の基準位置に対する各センサ4a,4bのそれぞれの位置座標とに基づいて、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数をそれぞれ算出し、4個の駆動輪3の全ての回転数を変更する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、4個の駆動輪3の内の一部の駆動輪3のみの回転数を変更するように、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの回転数をそれぞれ算出するように構成しても良い。これにより、消費エネルギーの削減を図ることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RR及び各操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRがそれぞれ油圧モータで構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RR及び各操舵モータ77LF,77LR,77RF,77RRを電動サーボモータで構成しても良い。なお、各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRを電動サーボモータで構成した場合には、速度指令の増減により、それら各回転モータ76LF,76LR,76RF,76RRの駆動制御を行う。
【0071】
また、上記実施形態では、各回転センサ80LF,80LR,80RF,80RRが光学ピックアップ式のセンサで構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車軸3bにレゾルバを取り付けて構成しても良い。これにより、車軸3bの凸部が不要となるので、部品コストが低減し、無人搬送車1のコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態における無人搬送車を上面から視た模式図である。
【図2】路面を横行走行する無人搬送車を上面から視た模式図である。
【図3】無人搬送車の電気的構成を示したブロック図である。
【図4】姿勢制御処理を示すフローチャートである。
【図5】路面を横行走行する無人搬送車を上面から視た模式図であり、(a)は、車体が直進用誘導体に対して傾斜した状態が、(b)は、その車体の傾斜が修正された状態が、それぞれ図示されている。
【符号の説明】
【0073】
1 無人搬送車
2 車体
3LF,3LR,3RF,3RR 複数の駆動輪
4 一対の直進用センサ(一対の検知手段)
4a 第1センサ(一対の検知手段の内の一方または他方)
4b 第2センサ(一対の検知手段の内の他方または一方)
72c しきい値メモリ(しきい値記憶手段)
76 回転駆動装置(回転駆動手段)
76LF,76LR,76RF,76RR 回転モータ(回転駆動手段の一部)
80 回転数検出装置(車速検出手段)
80LF,80LR,80RF,80RR 回転センサ(車速検出手段の一部)
G 路面
X 直進用誘導体
Y 横行用誘導体
S4 差計測手段
S5 傾斜状態算出手段
S6 しきい値判断手段
S7 回転駆動力変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直進用誘導体と横行用誘導体とが交差して敷設された路面を、前記直進用誘導体に誘導され前後進走行すると共に、前記横行用誘導体に誘導され横行走行する無人搬送車において、
車体と、
その車体を支持する複数の駆動輪と、
それら複数の駆動輪の全部または一部にそれぞれ回転駆動力を付与する回転駆動手段と、
前記車体の前後方向少なくとも2箇所に配設され前記直進用誘導体を検知する一対の検知手段と、
前記横行用誘導体に誘導され横行走行する場合に、前記一対の検知手段の内の一方または他方の検知手段が前記直進用誘導体を検知してから前記一対の検知手段の内の他方または一方の検知手段が前記直進用誘導体を検知するまでの差を計測する差計測手段と、
その差計測手段により計測された差に基づいて、前記直進用誘導体に対する前記車体の傾斜状態を算出する傾斜状態算出手段と、
その傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態に基づいて、前記回転駆動手段の駆動状態を制御して、前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更する回転駆動力変更手段とを備え、
その回転駆動力変更手段により前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更して、前記車体を前記直進用誘導体に対し平行に近づけるように前記車体の傾斜状態を修正することを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
前記差計測手段により計測される差は、時間間隔であることを特徴とする請求項1記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記車体の傾斜状態のしきい値を記憶するしきい値記憶手段と、
前記傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態が前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいか否かを判断するしきい値判断手段とを備え、
そのしきい値判断手段により、前記傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜状態が前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値よりも大きいと判断された場合に、前記回転駆動力変更手段を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
車速を検出する車速検出手段を備え、
前記傾斜状態算出手段は、前記差計測手段により計測された差と、前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて、前記直進用誘導体に対する前記車体の傾斜量を算出するものであり、
前記回転駆動力変更手段は、その傾斜状態算出手段により算出された前記車体の傾斜量と、前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて、前記回転駆動手段の駆動状態を制御して、前記複数の駆動輪の内の少なくとも一部の駆動輪に付与する回転駆動力を変更するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無人搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−328442(P2007−328442A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157641(P2006−157641)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】