説明

無線システム、無線装置及びそれらに用いる光検出補正制御方法並びにそのプログラム

【課題】 データ伝送効率を向上させ、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定可能な無線システムを提供する。
【解決手段】 無線基地局1において、光モジュール13のO/E部13bは光ファイバ100bからの光信号を逆光電変換させ、直並列/並直列変換器12の直並列変換器12bはO/E部13bで電気変換された信号をパラレル化させる。ベースバンド信号処理部11は直並列変換器12bでパラレル化されたデータの処理を行う。この時、光検出補正回路14のLOS検出レベル可変素子部14bは上り回線の断線または光受信信号のレベル低下発生時にアサートさせるLOS信号101とコントローラ14aの制御とに応じて、外付け抵抗等でLOS信号101の検出レベルを可変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線システム、無線装置及びそれらに用いる光検出補正制御方法並びにそのプログラムに関し、特に光検出機能を具備した無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線装置としては、無線基地局と、移動端末との間で無線通信が行われる複数の無線中継装置(送受信機)とを光ファイバを介して相互通信可能に接続したものがあり、このような接続方法を採ることで、1つの無線基地局に複数の通信エリアが設定可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のような無線装置においては、上り回線または下り回線の回線品質を監視するために、受信段にて回線断または光量の低下を検出するLOS_ERR検出信号と、エラーレートの悪化を検出する同期ERR信号とを設けている。
【0004】
これらLOS_ERR検出信号及び同期ERR信号のどちらか一方でもエラーが発生した場合には、上位装置へのデータ転送を停止させる、またはデータを再送させるか等の処理を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−165975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の無線装置では、個々の光モジュールの特性によって、LOS検出レベルのばらつきが存在するため、仮にLOS検出レベルの感度が高めに設定されていた場合、本来、要求されるエラーレートをクリアしているにもかかわらず、LOS信号がアサートされてERRになり、データ伝送効率が低下してしまう可能性がある。
【0007】
また、従来の無線装置では、光モジュールのマルチベンダ化を考慮した場合、光モジュールの特性も異なり、さらにLOS検出レベルの感度がばらつく可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、データ伝送効率を向上させることができ、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができる無線システム、無線装置及びそれらに用いる光検出補正制御方法並びにそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による無線システムは、受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムであって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する可変手段と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する制御手段とを備えている。
【0010】
本発明による無線装置は、受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置であって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する可変手段と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する制御手段とを備えている。
【0011】
本発明による光検出補正制御方法は、受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムの光検出補正制御方法であって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する第1のステップと、その検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する第2のステップと、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する第3のステップとを備えている。
【0012】
本発明による光検出補正制御方法のプログラムは、受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムの光検出補正制御方法のプログラムであって、コンピュータに、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する処理と、その検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する処理と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する処理とを実行させている。
【0013】
すなわち、本発明の無線システムは、光検出補正回路を搭載した無線システムにおいて、無線基地局と遠方に張り出されている送受信機との間で、光回線の品質向上に関係した制御方法を提供するものである。
【0014】
より具体的に説明すると、本発明の無線システムでは、無線基地局の光モジュールに受信する上り回線において、同期エラー検出器にてエラーが発生せずに伝送データに問題がない場合、光回線断または光量の低下等を検出するLOS検出部のLOS信号のエラーが発生した時、光モジュールに外付けされているLOS検出レベル可変素子部をコントローラで制御し、LOS検出部の検出レベルを任意に可変させた後、LOS信号のエラーが解除された場合に限り、上位装置に伝送データの出力を許可させている。
【0015】
このようにして、本発明の無線システムでは、LOS信号のエラーによる伝送データの出力停止を回避することが可能となり、データ伝送効率を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の無線システムでは、同期エラー未発生時に、LOS_ERRになってしまう場合においても、LOS検出レベルをコントローラで任意に可変させ、LOS_ERRが解除された場合に限り、上位装置へのデータ伝送を許可させている。
【0017】
これによって、本発明の無線システムでは、光モジュール特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが高めに設定されていた場合、本来、同期エラーが発生していないにもかかわらず、LOS信号がアサートされてERRになるところ、LOS検出レベルの可変にて、LOS_ERRが解除される場合があるので、データ伝送効率を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の無線システムでは、光モジュール特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが低めに設定されていた場合、LOS検出レベルの可変にて、LOS検出がアサートされないままであれば光伝送系データの不良、LOS検出ERRが発生したならば光モジュール送信パワー劣化等と障害の切り分けを行うことが可能となるので、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の無線システムは、以下に述べるような構成及び動作とすることで、データ伝送効率を向上させることができ、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態による無線システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態による無線システムは上位装置(図示せず)とデータのアクセスを行う無線基地局1と、携帯電話機等の無線端末(図示せず)とデータの送受信を行う送受信機2との間を光ファイバ100a,100bにて中継して構成されている。
【0021】
無線基地局1はベースバンド信号処理部11と、直並列/並直列変換器12と、光モジュール13と、光検出補正回路14とから構成されている。直並列/並直列変換器12は並直列変換器12aと直並列変換器12bとからなり、光モジュール13はE/O(電気/光変換)部13aとO/E(光/電気変換)部13bとからなり、光検出補正回路14はコントローラ14aとLOS(ロス)検出レベル可変素子部14bとからなっている。
【0022】
送受信機2は光モジュール21と、直並列/並直列変換器22と、信号処理部23と、無線部24とから構成されている。光モジュール21はO/E部21aとE/O部21bとからなり、直並列/並直列変換器22は直並列変換器22aと並直列変換器22bとからなっている。
【0023】
無線基地局1において、ベースバンド信号処理部11は下り回線においてデータ多重分離等を行い、パラレルデータを出力する。直並列/並直列変換器12の並直列変換器12aはベースバンド信号処理部11からのパラレルデータをシリアルに変換させ、光モジュール13のE/O部13aは並直列変換器12aからのシリアルデータを光電変換させ、光ファイバ100aを通して送受信機2に送る。
【0024】
送受信機2において、光モジュール21のO/E部21aは光ファイバ100aからの光信号を逆光電変換させ、直並列/並直列変換器22の直並列変換器22aはO/E部21aからの信号のシリアル/パラレル変換を行う。信号処理部23はデータの多重分離等を行い、無線部24はA/D(アナログ/ディジタル)変換や増幅等を行う。
【0025】
また、送受信機2において、無線部24は上り回線においてアンテナからの受信データをD/A(ディジタル/アナログ)変換等の処理を行い、信号処理部23は無線部24からのデータの多重分離等を行い、直並列/並直列変換器22の並直列変換器22bは信号処理部23からのパラレルデータのシリアル変換を行う。光モジュール21のE/O部21bは並直列変換器22bでシリアル化されたデータを光電変換させ、光ファイバ100bを通して無線基地局1に送る。
【0026】
無線基地局1において、光モジュール13のO/E部13bは光ファイバ100bからの光信号を逆光電変換させ、直並列/並直列変換器12の直並列変換器12bはO/E部13bで電気変換された信号をパラレル化させる。ベースバンド信号処理部11は直並列変換器12bでパラレル化されたデータの処理を行う。
【0027】
この時、光検出補正回路14のLOS検出レベル可変素子部14bは上り回線の断線または光受信信号のレベル低下発生時にアサートさせるLOS信号101とコントローラ14aの制御とに応じて、図示せぬ外付け抵抗等でLOS信号101の検出レベルを可変させる。
【0028】
これによって、本発明の実施の形態では、光モジュール13の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが高めに設定されていた場合、本来、同期エラーが発生していないにもかかわらず、LOS信号がアサートされてERR(エラー)になるところ、LOS検出レベルの可変にてLOS_ERRが解除される場合があるので、データ伝送効率を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の実施の形態では、光モジュール13の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが低めに設定されていた場合、LOS検出レベルの可変にて、LOS検出がアサートされないままであれば光伝送系データの不良、LOS検出ERRが発生したならば光モジュール送信パワー劣化等と障害の切り分けを行うことができるので、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができる。
【0030】
ここで、LOS_ERR検出信号は受信段にて回線断または光量の低下を検出した時に出力され、同期ERR信号はエラーレートの悪化を検出した時に出力される。
【実施例1】
【0031】
図2は本発明の一実施例による無線基地局の詳細な構成を示すブロック図である。図2において、無線基地局1はベースバンド信号処理部11と、直並列/並直列変換器12と、光モジュール13と、光検出補正回路14とから構成されている。尚、本発明の一実施例による無線システムは図1に示す本発明の実施の形態による無線システムと同様の構成となっている。
【0032】
ベースバンド信号処理部11は受信バッファデータ11aと、同期エラー検出器11bとを備え、光モジュール13はE/O部13aと、O/E部13bと、LOS検出部13cとを備えている。
【0033】
光検出補正回路14はコントローラ14aと、LOS検出レベル可変素子部14bと、ERR(エラー)報告格納部14cとを備え、ベースバンド信号処理部11の受信バッファデータ11a及び同期エラー検出器11bと、光モジュール13のLOS検出部13cとを加えて構成されている。コントローラ14aはDATA_ON/OFF制御部141aと、LOS検出レベル変更指令部142aとを備えている。
【0034】
DATA_ON/OFF制御部141aは上り回線の断線または光量の低下等を検出するLOS検出部13cからのLOS信号101と、直並列/並直列変換器12の出力の回線品質を監視する同期エラー検出器11bからのER信号102と、それらのLOS信号101及びER信号102から受信バッファデータ格納部11aから上位装置へ出力停止を行うか否かを判断する。LOS検出レベル変更指令部142aはDATA_ON/OFF制御部141aの判断を基にLOS検出レベル可変部14bにてLOS検出レベルを可変させる。ERR報告格納部14cはコントローラ14aからのERR報告を格納する。
【0035】
本実施例では、無線基地局1の光モジュール13に受信する上り回線において、同期エラー検出器11bにてエラーが発生せず、伝送データに問題がない場合に、光回線断または光量の低下等を検出するLOS検出部13cのLOS信号101のエラーが発生した時、光モジュール13に外付けされているLOS検出レベル可変素子部14bをコントローラ14aで制御し、LOS検出部13cの検出レベルを任意で可変させた後、LOS信号101のエラーが解除された場合に限り、上位装置に伝送データの出力を許可させている。これによって、本実施例では、LOS信号101のエラーによる伝送データの出力停止を回避することができ、データ伝送効率を向上させることができる。
【0036】
図3は本発明の一実施例による無線システムの光検出補正制御方法の処理を示すフローチャートである。これら図1〜図3を参照して本発明の一実施例による無線システムの光検出補正制御方法について説明する。尚、この光検出補正制御方法はコンピュータ[例えば、CPU(中央処理装置)等]においてメモリ等に格納されるプログラムを実行することでも実現可能である。
【0037】
本実施例では同期エラー未発生時に、LOS_ERRになってしまう場合においても、LOS検出レベルをコントローラ14aの制御で任意に可変させ、それによってLOS_ERRが解除された場合に限り、上位装置へのデータ伝送を許可している。
【0038】
まず、本発明の一実施例による無線システムの装置電源がON(リセット含む)すると(図3ステップS1)、光検出補正回路14は通常運用モードになり、DATA_ON/OFF制御部141aにてLOS_ERR発生と同期ERR発生とを監視する(図3ステップS2)。以下の説明では、LOS_ERR発生またはERR発生の場合にH、それらが発生しない場合にLとする。
【0039】
LOS_ERR:L、同期ERR:Lの場合、光検出補正回路14は通常モードになる(図3ステップS3)。それ以外の場合にはLOS_ERRまたは同期ERRが発生するため、コントローラ14aはDATA_ON/OFF制御部141aをOFFに設定し(図3ステップS4)、受信バッファデータ格納部11aからの出力を停止する(図3ステップS5)。
【0040】
LOS_ERR:H、同期ERR:Lの場合、光検出補正回路14は光モジュール13のばらつきによって、LOS検出部13cの検出レベルが高い可能性があることから、LOS検出レベルの可変を低い方向にi回実行し(図3ステップS6)、LOS_ERR解除(最大n回)されるまでLOS検出レベルの可変を行う(図3ステップS7)。n>iで、LOS_ERR:Hのままであれば、光検出補正回路14はLOS検出レベルの可変へのフィードバックを繰り返す。
【0041】
n≧iで、LOS_ERR:Lに変更になれば、光検出補正回路14は回線品質に問題ないと判断するため、DATA_ON/OFF制御部141aをONに設定し(図3ステップS8)、受信バッファデータ格納部11aからの出力停止を解除し(図3ステップS9)、通常モードに切り替わる(図3ステップS3)。n=iで、LOS_ERR:Hのままであれば、光検出補正回路14はLOS検出部13cの不良とする(図3ステップS10)。
【0042】
光検出補正回路14は受信バッファデータ格納部11aからの出力を停止した後に(図3ステップS5)、LOS_ERR:L、同期ERR:Hの場合には、回線品質の劣化が明白であり、不具合の切り分けを実行するために、まず、LOS検出レベルの可変を高い方向にi回実行し(図3ステップS6)、LOS_ERR発生(最大n回)されるまで行う(図3ステップS11)。
【0043】
n>iで、LOS_ERR:Lのままであれば、光検出補正回路14はLOS検出レベルの可変へのフィードバックを繰り返す。n≧iで、LOS_ERR:Hに変更になれば、光検出補正回路14は光モジュール13のばらつきでLOS検出部13cの検出レベルが低い設定の可能性があるため、光モジュール13の送信パワー劣化をERR報告格納部14cに報告する(図3ステップS12)。
【0044】
n=iで、LOS_ERR:Lのままであれば、光検出補正回路14は光伝送データの不良またはLOS検出部13cの故障をERR報告格納部14cに報告する(図3ステップS13)。光検出補正回路14は受信バッファデータ格納部11aからの出力を停止した後に(図3ステップS5)、LOS_ERR:H、同期ERR:Hの場合、光回線断または光モジュール13の送信パワー劣化をERR報告格納部14cに報告する(図3ステップS14)。
【0045】
このように、本実施例では、光モジュール13の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが高めに設定されていた場合、本来、同期エラーが発生していないにもかかわらず、LOS信号がアサートされERRになるところ、LOS検出レベルの可変にて、LOS_ERRが解除される場合があるので、データ伝送効率を向上させることができる。
【0046】
また、本実施例では、光モジュール13の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが低めに設定されていた場合、LOS検出レベルの可変にてLOS検出がアサートされないままであれば光伝送系データの不良とし、LOS検出ERRが発生したならば光モジュール13の送信パワー劣化等として障害の切り分けができるので、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができる。
【実施例2】
【0047】
図4は本発明の他の実施例による送受信機の構成を示す図である。図4において、送受信機2は光モジュール21と、直並列/並直列変換器22と、信号処理部23と、無線部24と、LOS検出レベル可変素子部25と、コントローラ26と、ERR報告格納部27とから構成されている。本発明の一実施例では無線基地局1で光検出補正制御を実施しているが、本実施例では送受信機2で光検出補正制御を実施している。尚、本発明の他の実施例による無線システムは図1に示す本発明の実施の形態による無線システムと同様の構成となっている。
【0048】
光モジュール21はO/E部21aと、E/O部21bと、LOS検出部21cとを備え、信号処理部23は同期エラー検出器23aと、受信バッファデータ23bと、送信バッファデータ23cとを備え、コントローラ26はDATA_ON/OFF制御部26aと、LOS検出レベル変更指令部26bとを備えている。
【0049】
DATA_ON/OFF制御部26aは下り回線の断線または光量の低下等を検出するLOS検出部21cからのLOS信号201と、回線品質を監視する同期エラー検出器23aからのER信号202とから受信バッファデータ格納部23bから無線部24へ出力停止を行うか否かを判断する。LOS検出レベル変更指令部26bはそのDATA_ON/OFF制御部26aの判断を基にLOS検出レベル可変素子部25にてLOS検出レベルを可変させる。ERR報告格納部27はコントローラ26からのERR報告を格納する。
【0050】
上り回線において、送信バッファデータ格納部23cは無線部10からの信号にERR報告格納部27に格納されているERR報告の内容を多重させる。LOS検出レベル可変部21cは光モジュール21の外付け回路として配線されている。
【0051】
このように、本実施例では、光モジュール21の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが高めに設定されていた場合、本来、同期エラーが発生していないにもかかわらず、LOS信号がアサートされERRになるところ、LOS検出レベルの可変にて、LOS_ERRが解除される場合があるので、データ伝送効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施例では、光モジュール21の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが低めに設定されていた場合、LOS検出レベルの可変にてLOS検出がアサートされないままであれば光伝送系データの不良とし、LOS検出ERRが発生したならば光モジュール21の送信パワー劣化等として障害の切り分けができるので、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができる。
【実施例3】
【0053】
図5は本発明の別の実施例による無線システムの構成を示すブロック図である。図5において、本発明の別の実施例による無線システムはデージーチェーンを利用した構成となっている。すなわち、送受信機2a及び送受信機2bは光ファイバ100A,100Bを通して無線基地局1にデージーチェーンで接続されており、本実施例では送受信機2a,2bのLOS検出にて光検出補正制御を行っている。
【0054】
図6は図5の送受信機2aの詳細な構成を示すブロック図である。図6において、送受信機2aは信号処理部23に多重部23dを設け、分離部28と光モジュール29と信号処理部30と直並列/並直列変換器31とを追加した以外は図4に示す本発明の他の実施例と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の他の実施例と同様である。
【0055】
光モジュール29はE/O部29aと、O/E部29bと、LOS検出部29cとを備え、信号処理部30は同期エラー検出器30aと、受信バッファデータ30bとを備えている。
【0056】
コントローラ26は下り回線のLOS検出部21cまたは送受信機2bより上り回線を検出するLOS検出部29cからのLOS信号201,203と、回線品質を監視する同期エラー検出器23aまたは同期エラー検出器30aからのER信号202,204とを基に、エラー発生時に受信バッファデータ格納部23bまたは受信バッファデータ格納部30bからの出力を停止させる。LOS検出レベル可変素子部25はコントローラ26からの制御に応じてLOS検出レベルを可変させる。
【0057】
信号処理部23の多重部23dは上り回線において、無線部10からの信号に信号処理部30からのデータを多重する。分離部28は光モジュール21からの下り回線において、信号処理部23への出力と光モジュール29への出力とに分離する。
【0058】
このように、本実施例では、光モジュール21,29の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが高めに設定されていた場合、本来、同期エラーが発生していないにもかかわらず、LOS信号がアサートされERRになるところ、LOS検出レベルの可変にて、LOS_ERRが解除される場合があるので、データ伝送効率を向上させることができる。
【0059】
また、本実施例では、光モジュール21,29の特性及びLOS検出レベル等のばらつきによってLOS検出レベルが低めに設定されていた場合、LOS検出レベルの可変にてLOS検出がアサートされないままであれば光伝送系データの不良とし、LOS検出ERRが発生したならば光モジュール21,29の送信パワー劣化等として障害の切り分けができるので、同期エラー発生時におけるエラー要因を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態による無線システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による無線基地局の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例による無線システムの光検出補正制御方法の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施例による送受信機の構成を示す図である。
【図5】本発明の別の実施例による無線システムの構成を示すブロック図である。
【図6】図5の送受信機2aの詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 無線基地局
2,2a,2b 送受信機
11 ベースバンド信号処理部
11a,23b,30b 受信バッファデータ
11b,23a,30a 同期エラー検出器
12,22,31 直並列/並直列変換器
12a,22b 並直列変換器
12b,22a 直並列変換器
13,21,29 光モジュール
13a,21b,29a E/O部
13b,21a,29b O/E部
13c,21c,29c LOS検出部
14 光検出補正回路
14a,26 コントローラ
14b,25 LOS検出レベル可変素子部
14c,27 ERR報告格納部
23,30 信号処理部
23c 送信バッファデータ格納部
24 無線部
100a,100b,
100A,100B 光ファイバ
141a DATA_ON/OFF制御部
142a LOS検出レベル変更指令部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムであって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する可変手段と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する制御手段とを有することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記可変手段は、前記同期エラー未発生時に前記LOS_ERRが発生した場合に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させることを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記可変手段は、前記同期エラー発生時に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させてエラー要因の切り分けを行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の無線システム。
【請求項4】
前記検出手段と前記可変手段と前記制御手段とを前記無線装置及び前記無線装置に接続される送受信部の受信段の少なくとも一方に配設したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の無線システム。
【請求項5】
前記検出手段と前記可変手段と前記制御手段とを前記無線装置及び前記無線装置にデージーチェーン接続される送受信部の受信段の少なくとも一方に配設したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の無線システム。
【請求項6】
受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置であって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する可変手段と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する制御手段とを有することを特徴とする無線装置。
【請求項7】
前記可変手段は、前記同期エラー未発生時に前記LOS_ERRが発生した場合に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させることを特徴とする請求項6記載の無線装置。
【請求項8】
前記可変手段は、前記同期エラー発生時に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させてエラー要因の切り分けを行うことを特徴とする請求項6または請求項7記載の無線装置。
【請求項9】
受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムの光検出補正制御方法であって、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する第1のステップと、その検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する第2のステップと、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する第3のステップとを有することを特徴とする光検出補正制御方法。
【請求項10】
前記第2のステップは、前記同期エラー未発生時に前記LOS_ERRが発生した場合に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させることを特徴とする請求項9記載の光検出補正制御方法。
【請求項11】
前記第2のステップは、前記同期エラー発生時に前記LOS_ERRの検出レベルを可変させてエラー要因の切り分けを行うことを特徴とする請求項9または請求項10記載の光検出補正制御方法。
【請求項12】
前記第1から第3のステップを、前記無線装置及び前記無線装置に接続される送受信部の受信段の少なくとも一方の側に含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の光検出補正制御方法。
【請求項13】
前記第1から第3のステップを、前記無線装置及び前記無線装置にデージーチェーン接続される送受信部の受信段の少なくとも一方の側に含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の光検出補正制御方法。
【請求項14】
受信段にて回線断及び光量の低下の少なくともいずれかを検出するLOS_ERRと、エラーレートの悪化を検出する同期エラーとを検出可能な光検出機能を搭載する無線装置を含む無線システムの光検出補正制御方法のプログラムであって、コンピュータに、前記LOS_ERR及び前記同期エラーの発生の有無を検出する処理と、その検出結果に応じて前記LOS_ERRの検出レベルを可変する処理と、前記検出レベルの可変によって前記LOS_ERRが解除された時にデータ伝送を許可する処理とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−80704(P2006−80704A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260390(P2004−260390)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】