無線タグ付き下げ札および無線タグ付き下げ札発行装置
【課題】 商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札およびこの無線タグつき下げ札を発行する装置を提供する。
【解決手段】 無線タグ付き下げ札1において、台紙10を第1の台紙部13と第2の台紙部14とから構成する。第1の台紙部13と第2の台紙部14とは複数の折り曲げ部11、12の間に形成された第3の台紙部15を介して連続して形成されている。第1の台紙部13には、無線タグ20が取り付けられている。無線タグ付き下げ札1を商品に取り付けて積層させると、第3の台紙部15により、無線タグ20が取り付けられた第1の台紙部13と、商品に接する第2の台紙部14との間が、所定の距離離間される。これにより、上下方向に複数の無線タグ付き下げ札が積層された場合でも、読み取り精度の低下を抑制できる。
【解決手段】 無線タグ付き下げ札1において、台紙10を第1の台紙部13と第2の台紙部14とから構成する。第1の台紙部13と第2の台紙部14とは複数の折り曲げ部11、12の間に形成された第3の台紙部15を介して連続して形成されている。第1の台紙部13には、無線タグ20が取り付けられている。無線タグ付き下げ札1を商品に取り付けて積層させると、第3の台紙部15により、無線タグ20が取り付けられた第1の台紙部13と、商品に接する第2の台紙部14との間が、所定の距離離間される。これにより、上下方向に複数の無線タグ付き下げ札が積層された場合でも、読み取り精度の低下を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を用いて無線タグのICチップ内に記憶した各種情報の読み取りを行うRFID技術を応用した発明であり、特に、商品の販売あるいは在庫の管理に利用される、商品などに取り付けられる下げ札に無線タグを取り付けた無線タグ付き下げ札と、その無線タグ付き下げ札を発行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを活用することによりリアルタイムで商品在庫を把握し、顧客サービスと顧客満足を向上させる取り組みが活発化している。
【0003】
例えば、百貨店業界、アパレル業界では、実用化に向けた実証実験を行っており、経済産業省平成16年度エネルギー使用合理化電子タグシステム開発事業 百貨店業界・アパレル業界における電子タグ実証実験報告書(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/tag/01_report.pdf)p.226〜231にあるとおり、UHF帯の無線タグを使用した場合、商品が積層された状態では無線タグの読み取り性能が大きく低下することが知られている。
【0004】
一方、上述した無線タグを商品に添付するための無線タグ付き下げ札の形態としては、価格等の製品情報やバーコードが印字されたラベル用紙にICタグラベルを貼り付けてなる商品ラベル(特許文献1参照)や、表示札に固定用の糸状体を括りつけ、この糸状体を束ねるための糸止め部材にRFIDタグを内蔵してなる商品ラベル(特許文献2参照)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような各形態の無線タグ付き下げ札では、例えば、薄手のシャツなどに取り付けて段ボール箱に入れるなどして積層すると、無線タグ同士の距離(タグ間ピッチ)が小さくなるため無線タグのアンテナ性能が低下しやすくなり、無線タグリーダを用いた読み取り枚数の精度が下がるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札およびこの無線タグつき下げ札を発行する装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の無線タグ付き下げ札によれば、台紙と、アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、前記台紙は、前記無線タグのアンテナ部が配置される第1の台紙部と、複数の折り曲げ箇所を介して前記第1の台紙部と連続して形成される第2の台紙部とを備え、前記複数の折り曲げ箇所により、前記第1の台紙部と前記第2の台紙部とが所定距離離間して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札およびこの無線タグつき下げ札を発行する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る無線タグ付き下げ札の全体構成を示す図。
【図2】図1の無線タグ付き下げ札に取り付けられた無線タグの性質を説明する図。
【図3】図1の無線タグ付き下げ札が商品に取り付けられて、流通の過程で使用される際の動作を説明する図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る無線タグ付き下げ札の全体構成を示す図。
【図5】図4の無線タグ付き下げ札が、衣服に取り付けられて、段ボール箱に梱包された状態で読み取りされる状況を示す図。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る無線タグ付き下げ札発行装置の全体構成を示す図。
【図7】図6の無線タグ付き下げ札発行装置の機能ブロック図。
【図8】図6の無線タグ付き下げ札発行装置に使用される連続台紙の一部を示す図。
【図9】図6の無線タグ付き下げ札発行装置を構成する折り曲げ機構の構成を示す図。
【図10】図9の折り曲げ機構の動作を説明する図。
【図11】図6の無線タグ付き下げ札発行装置の制御の流れを示す図。
【図12】図1に示す無線タグ付き下げ札の元となる連続台紙を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第一の実施形態を説明する。なお、以下では、実施の一例として、無線タグ付き下げ札がアパレルサプライチェーン管理に使用される例に関して説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る無線タグ付き下げ札1の構成図である。この無線タグ付き下げ札1は、例えばセーターやシャツなどの衣類商品に取り付けて、商品の各種情報(例えば、服の色、サイズ、材質、価格、ブランド、製造国、管理ナンバー、バーコード、等)を買い物客に対して明示するための物であり、衣類商品に取り付けるための図1(b)に示すごとく紐2を通す穴3を有した台紙10と、この台紙10に一体に取り付けられる無線タグ20とから構成されている。
【0012】
台紙10は、略矩形の形状を有し、表面(図1(a)に表示されている面の裏側面)には、ブランド等が識別できるようなデザインが印刷されており、裏面(図1(a)において表示されている面)には、上述したような、商品に関する各種情報が印刷されている。
【0013】
また、台紙10は、略中央部の2箇所に所定の距離離れて形成された折り曲げ部11、12を有している。この折り曲げ部11、12は、台紙10の長手方向と直交する方向に延びて形成されており、台紙10は、この折り曲げ部11、12を境界として、図1(b)に示すように、前述の表面が外側、裏面が内側となるように折り曲げられる。そして、図1(a)において右側には第1の台紙部13が、左側には第2の台紙部14がそれぞれ形成される。さらに、台紙10のうち、上記2箇所の折り曲げ部11、12に挟まれる部分には、前述の紐2を通す穴3が設けられた第3の台紙部15が形成される。
【0014】
無線タグ20は、一般に周知の構成を持っており、例えば商品の識別情報を予め記憶した図示しない記憶部ならびに無線タグリーダとの通信を制御する通信制御部を有するICチップ21と、無線タグリーダとの交信を行うためのアンテナ22とから構成されており、台紙10の第1の台紙部13の裏面に取り付けられる。本実施形態における無線タグ20は、この分野でよく知られているバッテリ等の電源を有しないパッシブタイプを使用しており、無線タグリーダからの連続波を整流して電源として利用している。また、無線タグリーダとの通信に利用する無線周波数帯としては、UHF帯(860MHz帯〜960MHz帯)を利用している。このUHF帯を利用する無線タグは、他の周波数帯を利用するパッシブタイプの無線タグと比較して、長距離(約5m程度)の範囲に亘って無線タグリーダとの間で通信が可能であるという特徴を有している。
【0015】
ここで、UHF周波数帯を利用する無線タグの、積層状態下における性質について説明する。UHF周波数帯を利用する無線タグを積層状態とした場合、互いの無線タグ間の距離が小さくなる程、読み取り可能な距離が低下する傾向にあることが、実験により確かめられている。この原因について、前述の「経済産業省平成16年度エネルギー使用合理化電子タグシステム開発事業 百貨店業界・アパレル業界における電子タグ実証実験報告書」のP.227では、次のように考察している。この考察について、図2を用いて説明する。図2(a)は、折り曲げ部を有さない、換言すれば、従来の無線タグ付き下げ札200を積層した状態を示し、図2(b)は、本発明の無線タグ付き下げ札1を積層した状態を示す。また、図2(c)(d)は、図2(a)(b)の状態において、リーダが発信する読み取り電波と無線タグとの関係を説明するための概念図であり、説明の容易化のため、無線タグの大きさは実際よりも誇張して示している。なお、図2(a)は図2(c)に対応し、図2(b)は図2(d)に対応している。
【0016】
図2(a)(c)に示すように、UHF周波数帯を利用する無線タグにおいては、アンテナ配置面201がそれぞれ略平行となるように積層させた状態で、リーダ210の図示しないアンテナ部により無線タグのアンテナ配置面201と正対する方向から読み取り電波(図2中の矢印)を照射させた場合、リーダ210側に近い無線タグ202が電波を反射してしまい、リーダ210からより離れた位置となるにつれて、(即ち、無線タグ202→206となるにつれて、)読み取り精度が低下する。
【0017】
しかしながら、図2(b)(d)に示すように、それぞれの無線タグ207〜209を離間して積層させた状態で、読み取り電波を照射した場合は、電波の一部が回折して下流の無線タグに到達し易く、離間させた距離(換言すれば、タグ間ピッチ)に比例して、読み取り精度の低下が緩和される。
【0018】
以上のような考察から、同上資料では、UHF周波数帯の無線タグを積層状態下において使用する場合、できるだけタグ間ピッチを大きく取ることが、読み取り精度の低下を軽減することに対し有効であると結論付けている。
【0019】
また、図2(c)(d)中の矢印211に示すように、無線タグのアンテナは一面201と正対する方向ではなく、側面方向から読み取り電波を照射した場合、正対方向からの読み取り距離とほぼ同様、あるいは若干短縮した読み取り距離で読み取りが可能であることを、実験により確認している。(同上資料)
【0020】
また、本出願人は、UHF周波数帯を利用する無線タグの読み取り性能が、積層状態下において低下する原因として、上述の資料とは別に、独自の研究の結果から次のように考察している。即ち、図2(c)において、各無線タグ202〜206のアンテナ同士が近づきすぎると、アンテナのインピーダンスに変化が生じる。この変化により、アンテナが読み取り電波を受けても正常に動作せず、ICチップへの電力供給が不可能となり、読み取りに支障を及ぼすものである。この原因に対する手段として、本出願人は、上述の資料と同様に、無線タグの積層の際、タグ間ピッチを大きく取ることで、インピーダンスの変化が防止でき、読み取り精度の低下を軽減することに対し有効であるという結論に至っている。
【0021】
上述したように、UHF周波数帯を利用する無線タグの読み取り性能低下の原因としては「読み取り電波の反射」と「アンテナのインピーダンスの変化」の2つの考察が為されているが、いずれの考察においても、前記無線タグ間の離間距離(タグ間ピッチ)をできるだけ大きくとることが、読み取り精度の低下を軽減させることに対し有効であると結論付けられ、実験においても実証されている。
【0022】
従って、第3の台紙部15を設け、図1(b)に示すように台紙10を折り曲げた状態において、第1の台紙部13と第2の台紙部14との間に所定の間隙を形成させることで、結果として、後述する図3の状態のように、衣服30とともに無線タグ付き下げ札が積層されて箱詰めされた場合でも、前述の図2(b)のように、お互いの無線タグ間ピッチは所定の間隔を有することになり、リーダ210による読み取り精度の低下を緩和することに貢献する。
【0023】
次に、本発明の無線タグ付き下げ札1が商品に取り付けられた状態において、流通過程で使用される際の動作を、図3を用いて説明する。
【0024】
図3は、縫製工場等で衣服30が縫製され、衣服30に本発明の無線タグ付下げ札1が取り付けられ、検針された後、段ボール箱31に箱詰めされ出荷される状況を示す摸式図である。
【0025】
図3において、40は出荷管理システムであり、この出荷管理システム40は、無線タグを読み取るための無線タグリーダ41と、この無線タグリーダ41と接続されるとともに、これを制御するコンピュータ42とから構成されている。無線タグリーダ41は、例えば、無線タグとの通信の制御を行う通信制御部等を有する周知の構成を有しており、その上面43に設けたアンテナ(図示せず)から上方に向けて電波を発信し、この電波を受信した無線タグからの反射信号(応答信号)を読み取るような読み取り方向となるよう、設置されている。
【0026】
また、前述の段ボール箱31には、無線タグ20が取り付けられている第1台紙部13が図3の上下方向において積層するよう、無線タグ付き下げ札1が取り付けられた商品の衣服30が、複数箱詰めされている。また、その側面には、識別情報(コンテナコード)を記録した無線タグ付ラベル44が貼り付けられている。コンピュータ42は、箱詰めされた複数の衣服にとりつけられている複数の無線タグ付下げ札の情報(商品識別情報)と、無線タグ付ラベル44の識別情報(コンテナコード)とを予め紐付けて記憶している。
【0027】
出荷の際、商品が梱包された段ボール箱31は、移動台45に載置され、図23の左側から右側に向けて運搬される。移動台45上の段ボール箱31が無線タグリーダ41の上方に差し掛かる際、複数の衣服30それぞれに取り付けられた、複数の無線タグ付き下げ札1の無線タグ20は、図3における矢印方向46に向けて無線タグリーダ41から発信される電波を受信する。
【0028】
この際、段ボール箱31内において無線タグ付き下げ札1に取り付けられた複数の無線タグ20は、第3の台紙部15により互いのタグ間ピッチが充分に確保されていることから、読み取り精度の低下を抑えることが可能となる。
【0029】
この読み取りの結果、個々の無線タグ付き下げ札1の無線タグ20に記憶されている商品識別情報と、段ボール箱31に貼られた無線タグ付ラベル44に記憶されたコンテナコードとが、コンピュータ42上で紐付けられた情報と照合されることで、段ボール箱の中身(出荷される服)が全て揃っていることが確認される。
【0030】
以上説明したように、本発明の第一の実施形態によれば、無線タグ付き下げ札1の台紙10を、台紙10の中間部に形成された複数の折り曲げ箇所11、12において折り曲げることにより第3の台紙部15を形成し、この第3の台紙部15により第1の台紙部13と第2の台紙部14とを所定距離以上離間する構成とした。従って、この台紙10の例えば前述のごとく第1の台紙部13裏面に無線タグ20を貼付して無線タグ付き下げ札1を構成し、この下げ札1を取り付けた衣服を複数積層して段ボール箱等に収納し、この状態で無線タグ20のアンテナ配置面と正対する方向(換言すれば、積層方向)から、無線タグリーダにより読み取り電波を照射した場合でも、読み取り精度の低下を抑えることが可能となる。
【0031】
なお、本発明は、上述した第一の実施形態には制約されない。折り曲げ部11、12は、無線タグ20が取り付けられた第1の台紙部13と、第2の台紙部14とを、所定の間隔をおいて保持させる機能を有するものであれば、その形態や形成方法は他の態様でもよい。例えば、上述の実施形態では、第1の台紙部13、第2の台紙部14、第3の台紙部15は、一体の台紙10により構成されているが、それぞれ別構成として各台紙部材を接合してもよい。また、第3の台紙部15に第1、第2の台紙部13、14よりもより強度を強くするための補強をしてもよい。さらに、折り曲げ部11、12に、容易に折り曲げられるよう、ミシン目等を設けるなどの加工を施してもよい。
【0032】
(第二の実施形態)
次に、図4、図5を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、前述した第一の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
この第二の実施形態が前述した第一の実施形態と相違する点は、無線タグ付き下げ札の無線タグ取り付け位置にあり、その趣意は、商品が積層状態にあったとしても、無線タグのアンテナ配置面は、積層状態となりにくいようにすることにある。
【0033】
図4(a)に示すように、第二の実施形態の無線タグ20は、第3の台紙部15の裏面に取り付けられ、図4(b)に示すように、折り曲げ部11、12において折り曲げられる。このように構成することにより、無線タグ20は、各台紙部により構成される空間側(台紙の内側)に位置する。さらに、第1、第2の台紙部13、14の少なくとも一方の面積(A13またはA14)が、第3の台紙部15の面積A15よりも大きい関係となるよう(即ち、面積A13>面積A15、または、面積A14>面積A15)に形成されている。
【0034】
図5(a)は、図4(b)のような折り曲げ状態に構成された複数の無線タグ付き下げ札1が、それぞれ商品である複数の衣服30に取り付けられて、段ボール箱31に梱包され、移動台45に載置されて、出荷管理システム40を通過する際の様子を示し、図5(b)は、図5(a)の状態における段ボール箱31内の無線タグの状態を示す。また、矢印46は無線タグリーダ41の読み取り電波の方向を示している。
【0035】
第二の実施形態における無線タグ付き下げ札1は、第1、第2の台紙部13、14に無線タグを配置するのを避け、第3の台紙部15に無線タグを配置するとともに、面積A15<面積A13またはA12という構成としたことから、図5(b)に示すように、商品である衣服30が積層された場合において、第3の台紙部15側よりも、第1または第2の台紙部13、14側の方が商品と接し易くなる。その結果、アンテナ配置面は、商品の積層方向と対向する方向にはなり難く、沿う方向となり易くなる。
【0036】
以上説明したように、第二の実施形態によれば、第3の台紙部15に無線タグ20を配置するとともに、第1、第2の台紙部13、14の面積の少なくとも一方を、第3の台紙部15の面積よりも大きくしたので、商品を積層した場合においても、下げ札1に取り付けた無線タグ20は積層しにくくなる。矢印46で示す商品の積層方向から読み取り電波を照射した場合においても、読み取り精度の低下を抑制することが出来るという効果を奏する。
【0037】
(第三の実施形態)
次に、図6〜図12を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。
第三の実施形態は、上述の第一、第二の実施形態の無線タグ付き下げ札を発行するための発行装置に関する発明である。
【0038】
図6は、本発明の発行装置の全体構成を示す図であり、図7は、機能ブロック図である。
図6および図7中、符号50は無線タグ付き下げ札発行装置を示しており、この発行装置50は、ラベル用紙保持軸51と、台紙搬送機構60(台紙搬送手段)と、位置センサ52と、無線タグ書き込み/読み出し装置53(無線タグ書き込み手段)と、印字機構70(印字手段)と、カッター機構55(台紙切断手段)と、折り曲げ機構80(台紙折り曲げ手段)と、これらを制御する制御部90と、この制御部90に接続される台紙搬送用モータ56および外部I/F57とから構成されている。
【0039】
上記各構成の機能および動作について、台紙の搬送順序に従い詳細に説明する。
ラベル用紙保持軸51は、連続台紙100を回転自在に保持するものである。この連続台紙100は、複数の台紙が一体に連続して巻き取られているもので、図1、図4の無線タグ付き下げ札の元となるものである。図8に示すように、各台紙には、無線タグ101が予め前述のように貼付されている(図4(a)およびその説明を参照)とともに、無線タグ101の上方の台紙部分には、下げ札に紐2(図1、図4参照)を通すための穴102が穿けられている。また、一の台紙と他の台紙との境界となる箇所には、個々の台紙を識別するための印103が、連続台紙100の搬送方向下流側に印字されている。
【0040】
図6に示すように、台紙搬送機構60は、プラテンローラ61と、搬送ローラ62と、前述の台紙搬送用モータ56とから構成されている。ローラ61、62は、台紙搬送用モータ56(図7参照)の駆動力により回転し、ラベル用紙保持軸51から引き出された連続台紙100を下流側に搬送する機能を有している。
【0041】
位置センサ52は、例えば光学的に位置検出を行うセンサで、台紙搬送機構60により搬送されてきた連続台紙100の印103を検出するためのものであり、検出結果は、制御部90に出力される。なお、この位置センサ52による位置検出の方法としては、磁気的あるいは機械的に位置を検出するセンサでも良く、印103に替えて、前述の紐通し用の穴102を検出する方法としてもよい。
【0042】
無線タグ書き込み/読み出し装置53は、位置センサ52の下流側に位置し、内部にリーダライタアンテナを備え、連続台紙100に埋め込まれた無線タグ101と無線通信を実行し、図示しない無線タグのメモリ部に対して商品情報の書き込みを行う。
【0043】
印字機構70は、連続台紙100に、商品の各種情報(例えば、服の色、サイズ、材質、価格、ブランド、製造国、管理ナンバー、等)をそのままあるいは機械読取可能なバーコードに変換して書き込むためのものである。本実施の形態では、例えば、熱転写型プリンタの態様をなしており、インクを含有させたインクリボン71と、インクリボン71を加熱して紙に転写するサーマルヘッド72と、インクリボン71を巻き取る巻き取り軸72とから構成されている。サーマルヘッド72は、インクリボン71を介して前記プラテンローラ61と所定距離離間して対向している。印字状態では、例えば、ヘッド72は、リボン71と台紙100を介してローラ61に所定の圧力で接触し、台紙に印字を行う。印字機構70は、上記の熱転写型の他に、インクジェット型のプリンタを用いても良い。
【0044】
後述する制御部90のCPU91は、外部I/F57を介して入力された印字データに基づき、サーマルヘッド72を通電加熱して、インクリボン71のインクを溶融又は昇華することで連続台紙100に対する印字を行う。
また、印字機構70は、インクリボン71を台紙搬送用モータ56からの駆動力により回転駆動させ、使用済みのインクリボン71を巻き取り軸57で巻き取るようにしている。
【0045】
カッター機構55は、印字機構70にて印字され搬送されて来た連続台紙100を、個々の台紙(図1、図4参照)に切断分離するためのものである。
【0046】
次に、図9、図10を参照して、折り曲げ機構80について説明する。
図9は折り曲げ機構80の構成を説明する構成図であり、図10は折り曲げ機構80の動作を説明する動作図である。
折り曲げ機構80は、ガイドレール部81と、台紙ガイド材82と、モータ保持板83と、台紙折り曲げ用モータ84と、当て板85と、偏心カム86とから構成されている。
【0047】
ガイドレール部81は、折り曲げ機構80を構成する各部材のうち、当て板85を上下スライド可能となるよう支持する支柱の機能を有しており、図9において、左右一対のガイドレール81a、81bとから構成されている。各ガイドレール81a、81bは、互いに対向して設置されており、対向面には、当て板85をスライド可能とするための溝81cが形成され、この溝81cには図示しないスライドレールが設けられている。
【0048】
台紙ガイド材82は、前述のカッター機構55により切断されて、更に台紙搬送機構60により搬送されてきた台紙を案内するためのものであり、間に台紙が通過可能な隙間を有する上下一対のガイド材82a、82bとから構成されている。これらガイド材82a、82bは、図10に示すように、その左右両側部が、ガイドレール部81における台紙搬送上流側外面に固定支持されている。
【0049】
モータ保持板83は、台紙ガイド材82の下方の位置となるよう、ガイドレール部81における台紙搬送上流側外面に固定支持されており、当て板85を駆動するための台紙折り曲げ用モータ84を支持する機能を有している。当て板85に支持された台紙折り曲げ用モータ84は、回転軸の先端が偏心カム86に接続されている。
【0050】
当て板85は、台紙ガイド材82の隙間を通過して搬送されてきた台紙を折り曲げるためのものであり、折り曲げ機構80における中心的機能を有する。この当て板85は、当て板本体85aと、当て板本体85aの略中央部に設けられた偏心カム収納部85bと、当て板本体85aの上部に設けられた当接部85cとから構成されている。
【0051】
当て板本体85aは、左右両側部がガイドレール部81のガイドレールにより支持可能に形成され、ガイドレールに沿って上下方向に移動可能となっている。偏心カム収納部85bは、台紙折り曲げ用モータ84の回転軸先端に取り付けられた偏心カム86が偏心回転を自在に行えるよう、偏心カム86を収納するためのものであり、この収納状態において偏心カム86が偏心回転する範囲に亘って穴が形成されている。また、偏心カム86の外面とこの穴の内面には、偏心カム86の動作が確実に当て板85に伝達するよう、図示しない伝達機構が施されている。この偏心カム収納部85bに収納された偏心カム86が、台紙折り曲げ用モータ84の回転運動を上下運動に変換することにより、当て板85は、前述のようにガイドレールに沿って鉛直上下方向に往復運動可能となる。
【0052】
当接部85cは、当て板85による台紙の折り曲げ動作の際、実際に台紙と当接する部分であり、台紙と当接する際に台紙を傷めることのないよう、当て板本体85aの上端部を基準として、台紙の搬送方向に向けて傾斜して設けられている。
【0053】
図7に示すように、制御部90は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU91を備えている。CPU91には、データを固定的に記憶保存するROM92と、可変データを書き換え自在に記憶して、ワークエリアとして使用されるRAM93とがバス接続されている。
【0054】
制御部90は、外部I/F57を介して入力される印字データに基いて、上述した各構成、即ち、無線タグ書き込み/読み出し部53、印字機構70、台紙搬送機構60、カッター機構55、折り曲げ機構80等を制御する。
【0055】
続いて、図6〜図11を参照しながら発行装置50による下げ札の発行方法について説明する。
【0056】
まず、CPU91は、位置センサ52が台紙の開始位置を示す印103を検出するまで台紙搬送用モータ56を駆動して、連続台紙100から伸びる台紙を台紙搬送機構60により送り出す。印103検出後、台紙上の無線タグ101が無線タグ書き込み/読み出し装置53の上に到達する距離だけ台紙を送り出して台紙の位置を合わせる(ST1)。
【0057】
続いて、CPU91は、無線タグ書き込み/読み出し装置53を用いて台紙上の無線タグと通信を実行し、無線タグ101に商品情報を書き込む(ST2)。この書き込みの後に、書き込みが成功したかどうか判断するために、書き込みの終わった無線タグと再度通信を行い、書き込んだ情報の読み出しを行う。無線タグ101への商品情報の書き込みが成功すると(ST3のYes)、CPU91は、連続台紙100を送り出しつつ印字機構70を用いて商品情報を当該台紙に印字する(ST4)。商品情報を印字後、CPU91は、台紙搬送用モータ56を駆動して所要長さ(即ち、台紙ガイド材82の隙間を図8に示す連続台紙100が略P1距離分通過した長さ)だけ連続台紙100を搬送して、台紙搬送用モータ56を停止あるいは駆動力を切断し台紙の送りを停止し、折り曲げ機構80を用いて台紙を折り曲げる(ST5)。台紙折り曲げ用モータ84の駆動力を偏心カム86に伝達し、偏心カム86を一回転させる。この回転によって、当て板85が図10に示すように、一対のガイドレール部81に沿ってカム86の偏心量だけ上下動し、台紙を折り曲げる。ここで、図8に示す台紙の場合、更に、連続台紙100を略P2距離分搬送し、再度上述の動作により折り曲げを行う。台紙を折り曲げた後、CPU91はカッター機構55を用いて連続台紙100を1つの下げ札単位に切断し(ST6)、無線タグ付下げ札が完成する。切断された台紙は、搬送ローラ62により搬送され、発行装置から排出される。この一連の動作を無線タグ付き下げ札の必要枚数が得られるまで繰り返し実行する。
【0058】
また、ST3において無線タグ101への商品情報書き込みが失敗した場合(ST3のNo)、CPU91は、印字機構70を駆動して、当該台紙にタグ不良を示す内容のエラーパターンを印字し(ST7)、その後、折り曲げ機構80にて当該台紙を折り曲げることなく、カッター機構55を用いて切断し、下げ札発行を終了する。
【0059】
なお、上述した第3の実施形態では、図4の無線タグ付き下げ札1の元となる連続台紙として、図8に示す連続台紙100を用いて説明したが、図12に示す連続台紙110を用いることで、図1の無線タグ付き下げ札を発行することが可能となる。
この場合、ST5を実行の際に連続台紙110を搬送させる所要距離は、図8に示す連続台紙100の実施態様とは異なり、それぞれ、P3、P4となるが、それ以外の制御は連続台紙100の場合と同様である。
【0060】
以上説明したように、本発明の第三の実施形態によれば、発行装置50を構成する台紙搬送機構60、折り曲げ機構80、カッター機構55をそれぞれ制御して、折り曲げ機構80により折り曲げ動作を行った後、所要距離分、連続台紙100を搬送した後、再び折り曲げ動作を行い、その後にカッター機構55により下げ札を切り分けるようにしたので、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札を発行することが可能となる。
【0061】
なお、この第三の実施態様では、図11に示す工程(ST3)で、無線タグ101へのデータの書き込みが失敗した場合に、当該台紙にタグ不良を示すエラーパターンを印字し、台紙を折り曲げることなく、カッター機構にて当該不良の台紙を切断し、発行装置から排出した。
このように、書き込みを失敗した不良の下げ札については、折り曲げることなくそのまま排出するようにしたことから、発行装置50により発行された複数の正常な無線タグ付き下げ札から、不良の下げ札を分別して取り除く作業を行う際、エラーパターン印字を視認して不良を判別するのに加え、下げ札の形状からも不良を判別することが可能となるので、不良下げ札の判別精度が向上するという効果を奏する。
なお、本発明は、上述した各実施形態には制約されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、適宜、変更してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 … 無線タグ付き下げ札
10 … 台紙
11、12 … 折り曲げ部
13 … 第1の台紙部
14 … 第2の台紙部
15 … 第3の台紙部
20 … 無線タグ
22 … アンテナ
50 … 発行装置(無線タグ付き下げ札発行装置)
53 … 無線タグ書き込み装置(無線タグ書き込み手段)
55 … カッター機構(台紙切断手段)
60 … 台紙搬送機構(台紙搬送手段)
70 … 印字機構(印字手段)
80 … 折り曲げ機構(台紙折り曲げ手段)
100、110 … 連続台紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2007−41833公報
【特許文献2】特開2006−78980公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を用いて無線タグのICチップ内に記憶した各種情報の読み取りを行うRFID技術を応用した発明であり、特に、商品の販売あるいは在庫の管理に利用される、商品などに取り付けられる下げ札に無線タグを取り付けた無線タグ付き下げ札と、その無線タグ付き下げ札を発行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線タグを活用することによりリアルタイムで商品在庫を把握し、顧客サービスと顧客満足を向上させる取り組みが活発化している。
【0003】
例えば、百貨店業界、アパレル業界では、実用化に向けた実証実験を行っており、経済産業省平成16年度エネルギー使用合理化電子タグシステム開発事業 百貨店業界・アパレル業界における電子タグ実証実験報告書(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/tag/01_report.pdf)p.226〜231にあるとおり、UHF帯の無線タグを使用した場合、商品が積層された状態では無線タグの読み取り性能が大きく低下することが知られている。
【0004】
一方、上述した無線タグを商品に添付するための無線タグ付き下げ札の形態としては、価格等の製品情報やバーコードが印字されたラベル用紙にICタグラベルを貼り付けてなる商品ラベル(特許文献1参照)や、表示札に固定用の糸状体を括りつけ、この糸状体を束ねるための糸止め部材にRFIDタグを内蔵してなる商品ラベル(特許文献2参照)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような各形態の無線タグ付き下げ札では、例えば、薄手のシャツなどに取り付けて段ボール箱に入れるなどして積層すると、無線タグ同士の距離(タグ間ピッチ)が小さくなるため無線タグのアンテナ性能が低下しやすくなり、無線タグリーダを用いた読み取り枚数の精度が下がるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札およびこの無線タグつき下げ札を発行する装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の無線タグ付き下げ札によれば、台紙と、アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、前記台紙は、前記無線タグのアンテナ部が配置される第1の台紙部と、複数の折り曲げ箇所を介して前記第1の台紙部と連続して形成される第2の台紙部とを備え、前記複数の折り曲げ箇所により、前記第1の台紙部と前記第2の台紙部とが所定距離離間して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札およびこの無線タグつき下げ札を発行する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る無線タグ付き下げ札の全体構成を示す図。
【図2】図1の無線タグ付き下げ札に取り付けられた無線タグの性質を説明する図。
【図3】図1の無線タグ付き下げ札が商品に取り付けられて、流通の過程で使用される際の動作を説明する図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る無線タグ付き下げ札の全体構成を示す図。
【図5】図4の無線タグ付き下げ札が、衣服に取り付けられて、段ボール箱に梱包された状態で読み取りされる状況を示す図。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る無線タグ付き下げ札発行装置の全体構成を示す図。
【図7】図6の無線タグ付き下げ札発行装置の機能ブロック図。
【図8】図6の無線タグ付き下げ札発行装置に使用される連続台紙の一部を示す図。
【図9】図6の無線タグ付き下げ札発行装置を構成する折り曲げ機構の構成を示す図。
【図10】図9の折り曲げ機構の動作を説明する図。
【図11】図6の無線タグ付き下げ札発行装置の制御の流れを示す図。
【図12】図1に示す無線タグ付き下げ札の元となる連続台紙を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第一の実施形態を説明する。なお、以下では、実施の一例として、無線タグ付き下げ札がアパレルサプライチェーン管理に使用される例に関して説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る無線タグ付き下げ札1の構成図である。この無線タグ付き下げ札1は、例えばセーターやシャツなどの衣類商品に取り付けて、商品の各種情報(例えば、服の色、サイズ、材質、価格、ブランド、製造国、管理ナンバー、バーコード、等)を買い物客に対して明示するための物であり、衣類商品に取り付けるための図1(b)に示すごとく紐2を通す穴3を有した台紙10と、この台紙10に一体に取り付けられる無線タグ20とから構成されている。
【0012】
台紙10は、略矩形の形状を有し、表面(図1(a)に表示されている面の裏側面)には、ブランド等が識別できるようなデザインが印刷されており、裏面(図1(a)において表示されている面)には、上述したような、商品に関する各種情報が印刷されている。
【0013】
また、台紙10は、略中央部の2箇所に所定の距離離れて形成された折り曲げ部11、12を有している。この折り曲げ部11、12は、台紙10の長手方向と直交する方向に延びて形成されており、台紙10は、この折り曲げ部11、12を境界として、図1(b)に示すように、前述の表面が外側、裏面が内側となるように折り曲げられる。そして、図1(a)において右側には第1の台紙部13が、左側には第2の台紙部14がそれぞれ形成される。さらに、台紙10のうち、上記2箇所の折り曲げ部11、12に挟まれる部分には、前述の紐2を通す穴3が設けられた第3の台紙部15が形成される。
【0014】
無線タグ20は、一般に周知の構成を持っており、例えば商品の識別情報を予め記憶した図示しない記憶部ならびに無線タグリーダとの通信を制御する通信制御部を有するICチップ21と、無線タグリーダとの交信を行うためのアンテナ22とから構成されており、台紙10の第1の台紙部13の裏面に取り付けられる。本実施形態における無線タグ20は、この分野でよく知られているバッテリ等の電源を有しないパッシブタイプを使用しており、無線タグリーダからの連続波を整流して電源として利用している。また、無線タグリーダとの通信に利用する無線周波数帯としては、UHF帯(860MHz帯〜960MHz帯)を利用している。このUHF帯を利用する無線タグは、他の周波数帯を利用するパッシブタイプの無線タグと比較して、長距離(約5m程度)の範囲に亘って無線タグリーダとの間で通信が可能であるという特徴を有している。
【0015】
ここで、UHF周波数帯を利用する無線タグの、積層状態下における性質について説明する。UHF周波数帯を利用する無線タグを積層状態とした場合、互いの無線タグ間の距離が小さくなる程、読み取り可能な距離が低下する傾向にあることが、実験により確かめられている。この原因について、前述の「経済産業省平成16年度エネルギー使用合理化電子タグシステム開発事業 百貨店業界・アパレル業界における電子タグ実証実験報告書」のP.227では、次のように考察している。この考察について、図2を用いて説明する。図2(a)は、折り曲げ部を有さない、換言すれば、従来の無線タグ付き下げ札200を積層した状態を示し、図2(b)は、本発明の無線タグ付き下げ札1を積層した状態を示す。また、図2(c)(d)は、図2(a)(b)の状態において、リーダが発信する読み取り電波と無線タグとの関係を説明するための概念図であり、説明の容易化のため、無線タグの大きさは実際よりも誇張して示している。なお、図2(a)は図2(c)に対応し、図2(b)は図2(d)に対応している。
【0016】
図2(a)(c)に示すように、UHF周波数帯を利用する無線タグにおいては、アンテナ配置面201がそれぞれ略平行となるように積層させた状態で、リーダ210の図示しないアンテナ部により無線タグのアンテナ配置面201と正対する方向から読み取り電波(図2中の矢印)を照射させた場合、リーダ210側に近い無線タグ202が電波を反射してしまい、リーダ210からより離れた位置となるにつれて、(即ち、無線タグ202→206となるにつれて、)読み取り精度が低下する。
【0017】
しかしながら、図2(b)(d)に示すように、それぞれの無線タグ207〜209を離間して積層させた状態で、読み取り電波を照射した場合は、電波の一部が回折して下流の無線タグに到達し易く、離間させた距離(換言すれば、タグ間ピッチ)に比例して、読み取り精度の低下が緩和される。
【0018】
以上のような考察から、同上資料では、UHF周波数帯の無線タグを積層状態下において使用する場合、できるだけタグ間ピッチを大きく取ることが、読み取り精度の低下を軽減することに対し有効であると結論付けている。
【0019】
また、図2(c)(d)中の矢印211に示すように、無線タグのアンテナは一面201と正対する方向ではなく、側面方向から読み取り電波を照射した場合、正対方向からの読み取り距離とほぼ同様、あるいは若干短縮した読み取り距離で読み取りが可能であることを、実験により確認している。(同上資料)
【0020】
また、本出願人は、UHF周波数帯を利用する無線タグの読み取り性能が、積層状態下において低下する原因として、上述の資料とは別に、独自の研究の結果から次のように考察している。即ち、図2(c)において、各無線タグ202〜206のアンテナ同士が近づきすぎると、アンテナのインピーダンスに変化が生じる。この変化により、アンテナが読み取り電波を受けても正常に動作せず、ICチップへの電力供給が不可能となり、読み取りに支障を及ぼすものである。この原因に対する手段として、本出願人は、上述の資料と同様に、無線タグの積層の際、タグ間ピッチを大きく取ることで、インピーダンスの変化が防止でき、読み取り精度の低下を軽減することに対し有効であるという結論に至っている。
【0021】
上述したように、UHF周波数帯を利用する無線タグの読み取り性能低下の原因としては「読み取り電波の反射」と「アンテナのインピーダンスの変化」の2つの考察が為されているが、いずれの考察においても、前記無線タグ間の離間距離(タグ間ピッチ)をできるだけ大きくとることが、読み取り精度の低下を軽減させることに対し有効であると結論付けられ、実験においても実証されている。
【0022】
従って、第3の台紙部15を設け、図1(b)に示すように台紙10を折り曲げた状態において、第1の台紙部13と第2の台紙部14との間に所定の間隙を形成させることで、結果として、後述する図3の状態のように、衣服30とともに無線タグ付き下げ札が積層されて箱詰めされた場合でも、前述の図2(b)のように、お互いの無線タグ間ピッチは所定の間隔を有することになり、リーダ210による読み取り精度の低下を緩和することに貢献する。
【0023】
次に、本発明の無線タグ付き下げ札1が商品に取り付けられた状態において、流通過程で使用される際の動作を、図3を用いて説明する。
【0024】
図3は、縫製工場等で衣服30が縫製され、衣服30に本発明の無線タグ付下げ札1が取り付けられ、検針された後、段ボール箱31に箱詰めされ出荷される状況を示す摸式図である。
【0025】
図3において、40は出荷管理システムであり、この出荷管理システム40は、無線タグを読み取るための無線タグリーダ41と、この無線タグリーダ41と接続されるとともに、これを制御するコンピュータ42とから構成されている。無線タグリーダ41は、例えば、無線タグとの通信の制御を行う通信制御部等を有する周知の構成を有しており、その上面43に設けたアンテナ(図示せず)から上方に向けて電波を発信し、この電波を受信した無線タグからの反射信号(応答信号)を読み取るような読み取り方向となるよう、設置されている。
【0026】
また、前述の段ボール箱31には、無線タグ20が取り付けられている第1台紙部13が図3の上下方向において積層するよう、無線タグ付き下げ札1が取り付けられた商品の衣服30が、複数箱詰めされている。また、その側面には、識別情報(コンテナコード)を記録した無線タグ付ラベル44が貼り付けられている。コンピュータ42は、箱詰めされた複数の衣服にとりつけられている複数の無線タグ付下げ札の情報(商品識別情報)と、無線タグ付ラベル44の識別情報(コンテナコード)とを予め紐付けて記憶している。
【0027】
出荷の際、商品が梱包された段ボール箱31は、移動台45に載置され、図23の左側から右側に向けて運搬される。移動台45上の段ボール箱31が無線タグリーダ41の上方に差し掛かる際、複数の衣服30それぞれに取り付けられた、複数の無線タグ付き下げ札1の無線タグ20は、図3における矢印方向46に向けて無線タグリーダ41から発信される電波を受信する。
【0028】
この際、段ボール箱31内において無線タグ付き下げ札1に取り付けられた複数の無線タグ20は、第3の台紙部15により互いのタグ間ピッチが充分に確保されていることから、読み取り精度の低下を抑えることが可能となる。
【0029】
この読み取りの結果、個々の無線タグ付き下げ札1の無線タグ20に記憶されている商品識別情報と、段ボール箱31に貼られた無線タグ付ラベル44に記憶されたコンテナコードとが、コンピュータ42上で紐付けられた情報と照合されることで、段ボール箱の中身(出荷される服)が全て揃っていることが確認される。
【0030】
以上説明したように、本発明の第一の実施形態によれば、無線タグ付き下げ札1の台紙10を、台紙10の中間部に形成された複数の折り曲げ箇所11、12において折り曲げることにより第3の台紙部15を形成し、この第3の台紙部15により第1の台紙部13と第2の台紙部14とを所定距離以上離間する構成とした。従って、この台紙10の例えば前述のごとく第1の台紙部13裏面に無線タグ20を貼付して無線タグ付き下げ札1を構成し、この下げ札1を取り付けた衣服を複数積層して段ボール箱等に収納し、この状態で無線タグ20のアンテナ配置面と正対する方向(換言すれば、積層方向)から、無線タグリーダにより読み取り電波を照射した場合でも、読み取り精度の低下を抑えることが可能となる。
【0031】
なお、本発明は、上述した第一の実施形態には制約されない。折り曲げ部11、12は、無線タグ20が取り付けられた第1の台紙部13と、第2の台紙部14とを、所定の間隔をおいて保持させる機能を有するものであれば、その形態や形成方法は他の態様でもよい。例えば、上述の実施形態では、第1の台紙部13、第2の台紙部14、第3の台紙部15は、一体の台紙10により構成されているが、それぞれ別構成として各台紙部材を接合してもよい。また、第3の台紙部15に第1、第2の台紙部13、14よりもより強度を強くするための補強をしてもよい。さらに、折り曲げ部11、12に、容易に折り曲げられるよう、ミシン目等を設けるなどの加工を施してもよい。
【0032】
(第二の実施形態)
次に、図4、図5を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、前述した第一の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
この第二の実施形態が前述した第一の実施形態と相違する点は、無線タグ付き下げ札の無線タグ取り付け位置にあり、その趣意は、商品が積層状態にあったとしても、無線タグのアンテナ配置面は、積層状態となりにくいようにすることにある。
【0033】
図4(a)に示すように、第二の実施形態の無線タグ20は、第3の台紙部15の裏面に取り付けられ、図4(b)に示すように、折り曲げ部11、12において折り曲げられる。このように構成することにより、無線タグ20は、各台紙部により構成される空間側(台紙の内側)に位置する。さらに、第1、第2の台紙部13、14の少なくとも一方の面積(A13またはA14)が、第3の台紙部15の面積A15よりも大きい関係となるよう(即ち、面積A13>面積A15、または、面積A14>面積A15)に形成されている。
【0034】
図5(a)は、図4(b)のような折り曲げ状態に構成された複数の無線タグ付き下げ札1が、それぞれ商品である複数の衣服30に取り付けられて、段ボール箱31に梱包され、移動台45に載置されて、出荷管理システム40を通過する際の様子を示し、図5(b)は、図5(a)の状態における段ボール箱31内の無線タグの状態を示す。また、矢印46は無線タグリーダ41の読み取り電波の方向を示している。
【0035】
第二の実施形態における無線タグ付き下げ札1は、第1、第2の台紙部13、14に無線タグを配置するのを避け、第3の台紙部15に無線タグを配置するとともに、面積A15<面積A13またはA12という構成としたことから、図5(b)に示すように、商品である衣服30が積層された場合において、第3の台紙部15側よりも、第1または第2の台紙部13、14側の方が商品と接し易くなる。その結果、アンテナ配置面は、商品の積層方向と対向する方向にはなり難く、沿う方向となり易くなる。
【0036】
以上説明したように、第二の実施形態によれば、第3の台紙部15に無線タグ20を配置するとともに、第1、第2の台紙部13、14の面積の少なくとも一方を、第3の台紙部15の面積よりも大きくしたので、商品を積層した場合においても、下げ札1に取り付けた無線タグ20は積層しにくくなる。矢印46で示す商品の積層方向から読み取り電波を照射した場合においても、読み取り精度の低下を抑制することが出来るという効果を奏する。
【0037】
(第三の実施形態)
次に、図6〜図12を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。
第三の実施形態は、上述の第一、第二の実施形態の無線タグ付き下げ札を発行するための発行装置に関する発明である。
【0038】
図6は、本発明の発行装置の全体構成を示す図であり、図7は、機能ブロック図である。
図6および図7中、符号50は無線タグ付き下げ札発行装置を示しており、この発行装置50は、ラベル用紙保持軸51と、台紙搬送機構60(台紙搬送手段)と、位置センサ52と、無線タグ書き込み/読み出し装置53(無線タグ書き込み手段)と、印字機構70(印字手段)と、カッター機構55(台紙切断手段)と、折り曲げ機構80(台紙折り曲げ手段)と、これらを制御する制御部90と、この制御部90に接続される台紙搬送用モータ56および外部I/F57とから構成されている。
【0039】
上記各構成の機能および動作について、台紙の搬送順序に従い詳細に説明する。
ラベル用紙保持軸51は、連続台紙100を回転自在に保持するものである。この連続台紙100は、複数の台紙が一体に連続して巻き取られているもので、図1、図4の無線タグ付き下げ札の元となるものである。図8に示すように、各台紙には、無線タグ101が予め前述のように貼付されている(図4(a)およびその説明を参照)とともに、無線タグ101の上方の台紙部分には、下げ札に紐2(図1、図4参照)を通すための穴102が穿けられている。また、一の台紙と他の台紙との境界となる箇所には、個々の台紙を識別するための印103が、連続台紙100の搬送方向下流側に印字されている。
【0040】
図6に示すように、台紙搬送機構60は、プラテンローラ61と、搬送ローラ62と、前述の台紙搬送用モータ56とから構成されている。ローラ61、62は、台紙搬送用モータ56(図7参照)の駆動力により回転し、ラベル用紙保持軸51から引き出された連続台紙100を下流側に搬送する機能を有している。
【0041】
位置センサ52は、例えば光学的に位置検出を行うセンサで、台紙搬送機構60により搬送されてきた連続台紙100の印103を検出するためのものであり、検出結果は、制御部90に出力される。なお、この位置センサ52による位置検出の方法としては、磁気的あるいは機械的に位置を検出するセンサでも良く、印103に替えて、前述の紐通し用の穴102を検出する方法としてもよい。
【0042】
無線タグ書き込み/読み出し装置53は、位置センサ52の下流側に位置し、内部にリーダライタアンテナを備え、連続台紙100に埋め込まれた無線タグ101と無線通信を実行し、図示しない無線タグのメモリ部に対して商品情報の書き込みを行う。
【0043】
印字機構70は、連続台紙100に、商品の各種情報(例えば、服の色、サイズ、材質、価格、ブランド、製造国、管理ナンバー、等)をそのままあるいは機械読取可能なバーコードに変換して書き込むためのものである。本実施の形態では、例えば、熱転写型プリンタの態様をなしており、インクを含有させたインクリボン71と、インクリボン71を加熱して紙に転写するサーマルヘッド72と、インクリボン71を巻き取る巻き取り軸72とから構成されている。サーマルヘッド72は、インクリボン71を介して前記プラテンローラ61と所定距離離間して対向している。印字状態では、例えば、ヘッド72は、リボン71と台紙100を介してローラ61に所定の圧力で接触し、台紙に印字を行う。印字機構70は、上記の熱転写型の他に、インクジェット型のプリンタを用いても良い。
【0044】
後述する制御部90のCPU91は、外部I/F57を介して入力された印字データに基づき、サーマルヘッド72を通電加熱して、インクリボン71のインクを溶融又は昇華することで連続台紙100に対する印字を行う。
また、印字機構70は、インクリボン71を台紙搬送用モータ56からの駆動力により回転駆動させ、使用済みのインクリボン71を巻き取り軸57で巻き取るようにしている。
【0045】
カッター機構55は、印字機構70にて印字され搬送されて来た連続台紙100を、個々の台紙(図1、図4参照)に切断分離するためのものである。
【0046】
次に、図9、図10を参照して、折り曲げ機構80について説明する。
図9は折り曲げ機構80の構成を説明する構成図であり、図10は折り曲げ機構80の動作を説明する動作図である。
折り曲げ機構80は、ガイドレール部81と、台紙ガイド材82と、モータ保持板83と、台紙折り曲げ用モータ84と、当て板85と、偏心カム86とから構成されている。
【0047】
ガイドレール部81は、折り曲げ機構80を構成する各部材のうち、当て板85を上下スライド可能となるよう支持する支柱の機能を有しており、図9において、左右一対のガイドレール81a、81bとから構成されている。各ガイドレール81a、81bは、互いに対向して設置されており、対向面には、当て板85をスライド可能とするための溝81cが形成され、この溝81cには図示しないスライドレールが設けられている。
【0048】
台紙ガイド材82は、前述のカッター機構55により切断されて、更に台紙搬送機構60により搬送されてきた台紙を案内するためのものであり、間に台紙が通過可能な隙間を有する上下一対のガイド材82a、82bとから構成されている。これらガイド材82a、82bは、図10に示すように、その左右両側部が、ガイドレール部81における台紙搬送上流側外面に固定支持されている。
【0049】
モータ保持板83は、台紙ガイド材82の下方の位置となるよう、ガイドレール部81における台紙搬送上流側外面に固定支持されており、当て板85を駆動するための台紙折り曲げ用モータ84を支持する機能を有している。当て板85に支持された台紙折り曲げ用モータ84は、回転軸の先端が偏心カム86に接続されている。
【0050】
当て板85は、台紙ガイド材82の隙間を通過して搬送されてきた台紙を折り曲げるためのものであり、折り曲げ機構80における中心的機能を有する。この当て板85は、当て板本体85aと、当て板本体85aの略中央部に設けられた偏心カム収納部85bと、当て板本体85aの上部に設けられた当接部85cとから構成されている。
【0051】
当て板本体85aは、左右両側部がガイドレール部81のガイドレールにより支持可能に形成され、ガイドレールに沿って上下方向に移動可能となっている。偏心カム収納部85bは、台紙折り曲げ用モータ84の回転軸先端に取り付けられた偏心カム86が偏心回転を自在に行えるよう、偏心カム86を収納するためのものであり、この収納状態において偏心カム86が偏心回転する範囲に亘って穴が形成されている。また、偏心カム86の外面とこの穴の内面には、偏心カム86の動作が確実に当て板85に伝達するよう、図示しない伝達機構が施されている。この偏心カム収納部85bに収納された偏心カム86が、台紙折り曲げ用モータ84の回転運動を上下運動に変換することにより、当て板85は、前述のようにガイドレールに沿って鉛直上下方向に往復運動可能となる。
【0052】
当接部85cは、当て板85による台紙の折り曲げ動作の際、実際に台紙と当接する部分であり、台紙と当接する際に台紙を傷めることのないよう、当て板本体85aの上端部を基準として、台紙の搬送方向に向けて傾斜して設けられている。
【0053】
図7に示すように、制御部90は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU91を備えている。CPU91には、データを固定的に記憶保存するROM92と、可変データを書き換え自在に記憶して、ワークエリアとして使用されるRAM93とがバス接続されている。
【0054】
制御部90は、外部I/F57を介して入力される印字データに基いて、上述した各構成、即ち、無線タグ書き込み/読み出し部53、印字機構70、台紙搬送機構60、カッター機構55、折り曲げ機構80等を制御する。
【0055】
続いて、図6〜図11を参照しながら発行装置50による下げ札の発行方法について説明する。
【0056】
まず、CPU91は、位置センサ52が台紙の開始位置を示す印103を検出するまで台紙搬送用モータ56を駆動して、連続台紙100から伸びる台紙を台紙搬送機構60により送り出す。印103検出後、台紙上の無線タグ101が無線タグ書き込み/読み出し装置53の上に到達する距離だけ台紙を送り出して台紙の位置を合わせる(ST1)。
【0057】
続いて、CPU91は、無線タグ書き込み/読み出し装置53を用いて台紙上の無線タグと通信を実行し、無線タグ101に商品情報を書き込む(ST2)。この書き込みの後に、書き込みが成功したかどうか判断するために、書き込みの終わった無線タグと再度通信を行い、書き込んだ情報の読み出しを行う。無線タグ101への商品情報の書き込みが成功すると(ST3のYes)、CPU91は、連続台紙100を送り出しつつ印字機構70を用いて商品情報を当該台紙に印字する(ST4)。商品情報を印字後、CPU91は、台紙搬送用モータ56を駆動して所要長さ(即ち、台紙ガイド材82の隙間を図8に示す連続台紙100が略P1距離分通過した長さ)だけ連続台紙100を搬送して、台紙搬送用モータ56を停止あるいは駆動力を切断し台紙の送りを停止し、折り曲げ機構80を用いて台紙を折り曲げる(ST5)。台紙折り曲げ用モータ84の駆動力を偏心カム86に伝達し、偏心カム86を一回転させる。この回転によって、当て板85が図10に示すように、一対のガイドレール部81に沿ってカム86の偏心量だけ上下動し、台紙を折り曲げる。ここで、図8に示す台紙の場合、更に、連続台紙100を略P2距離分搬送し、再度上述の動作により折り曲げを行う。台紙を折り曲げた後、CPU91はカッター機構55を用いて連続台紙100を1つの下げ札単位に切断し(ST6)、無線タグ付下げ札が完成する。切断された台紙は、搬送ローラ62により搬送され、発行装置から排出される。この一連の動作を無線タグ付き下げ札の必要枚数が得られるまで繰り返し実行する。
【0058】
また、ST3において無線タグ101への商品情報書き込みが失敗した場合(ST3のNo)、CPU91は、印字機構70を駆動して、当該台紙にタグ不良を示す内容のエラーパターンを印字し(ST7)、その後、折り曲げ機構80にて当該台紙を折り曲げることなく、カッター機構55を用いて切断し、下げ札発行を終了する。
【0059】
なお、上述した第3の実施形態では、図4の無線タグ付き下げ札1の元となる連続台紙として、図8に示す連続台紙100を用いて説明したが、図12に示す連続台紙110を用いることで、図1の無線タグ付き下げ札を発行することが可能となる。
この場合、ST5を実行の際に連続台紙110を搬送させる所要距離は、図8に示す連続台紙100の実施態様とは異なり、それぞれ、P3、P4となるが、それ以外の制御は連続台紙100の場合と同様である。
【0060】
以上説明したように、本発明の第三の実施形態によれば、発行装置50を構成する台紙搬送機構60、折り曲げ機構80、カッター機構55をそれぞれ制御して、折り曲げ機構80により折り曲げ動作を行った後、所要距離分、連続台紙100を搬送した後、再び折り曲げ動作を行い、その後にカッター機構55により下げ札を切り分けるようにしたので、商品に取り付けられて積層された状態においても、読み取り精度が低下しにくい無線タグ付き下げ札を発行することが可能となる。
【0061】
なお、この第三の実施態様では、図11に示す工程(ST3)で、無線タグ101へのデータの書き込みが失敗した場合に、当該台紙にタグ不良を示すエラーパターンを印字し、台紙を折り曲げることなく、カッター機構にて当該不良の台紙を切断し、発行装置から排出した。
このように、書き込みを失敗した不良の下げ札については、折り曲げることなくそのまま排出するようにしたことから、発行装置50により発行された複数の正常な無線タグ付き下げ札から、不良の下げ札を分別して取り除く作業を行う際、エラーパターン印字を視認して不良を判別するのに加え、下げ札の形状からも不良を判別することが可能となるので、不良下げ札の判別精度が向上するという効果を奏する。
なお、本発明は、上述した各実施形態には制約されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、適宜、変更してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 … 無線タグ付き下げ札
10 … 台紙
11、12 … 折り曲げ部
13 … 第1の台紙部
14 … 第2の台紙部
15 … 第3の台紙部
20 … 無線タグ
22 … アンテナ
50 … 発行装置(無線タグ付き下げ札発行装置)
53 … 無線タグ書き込み装置(無線タグ書き込み手段)
55 … カッター機構(台紙切断手段)
60 … 台紙搬送機構(台紙搬送手段)
70 … 印字機構(印字手段)
80 … 折り曲げ機構(台紙折り曲げ手段)
100、110 … 連続台紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2007−41833公報
【特許文献2】特開2006−78980公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、
アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、
前記台紙は、
前記無線タグのアンテナ部が配置される第1の台紙部と、
複数の折り曲げ箇所を介して前記第1の台紙部と連続して形成される第2の台紙部とを備え、
前記複数の折り曲げ箇所により、前記第1の台紙部と前記第2の台紙部とが折り曲げ可能でかつ所定距離離間して形成されている
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札。
【請求項2】
台紙と、
アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、
前記台紙は、
第1の台紙部と、第2の台紙部と、第1の台紙部と第2の台紙部を連結する第3の台紙部からなり、
前記無線タグのアンテナは、第3の台紙部に配置されており、
前記台紙は、第3の台紙部を挟んで第1の台紙部と第2の台紙部が同じ方向に折り曲げ可能である
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札。
【請求項3】
前記第1の台紙部の面積または前記第2の台紙部の面積の少なくとも一方は、
前記第3の台紙部の面積よりも大きい
ことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の無線タグ付き下げ札。
【請求項4】
無線タグが取り付けられた連続台紙を搬送する台紙搬送手段と、
前記無線タグにタグ識別情報を書き込む無線タグ書き込み手段と、
前記連続台紙を折り曲げる台紙折り曲げ手段と
前記連続台紙から、前記無線タグを有する下げ札単位の台紙を分離する台紙切断手段とを備え、
前記台紙折り曲げ手段は、前記台紙切断手段により分離される前記下げ札単位の台紙に、複数の折り曲げ部が形成されるよう、前記連続台紙を複数回折り曲げる
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項5】
前記連続台紙に情報を所定の箇所に印字する印字手段を備え、
印字手段は、無線タグ書き込み手段により識別情報を無線タグに書き込んだ後で、且つ、前記台紙折り曲げ手段により台紙を折り曲げる前に、当該識別情報を書き込んだ無線タグを有する台紙に印字する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項6】
無線タグが取り付けられた連続台紙を搬送する台紙搬送手段と、
前記無線タグにタグ識別情報を書き込む無線タグ書き込み手段と、
前記連続台紙を折り曲げる台紙折り曲げ手段と、
前記連続台紙から前記無線タグを有する下げ札単位の台紙を切り分ける台紙切断手段とを備え、
前記無線タグ書き込み手段が前記無線タグへの情報の書き込みに失敗した場合、台紙を折り曲げずに切断して排出する
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項7】
前記連続台紙に情報を所定の箇所に印字する印字手段を備え、
印字手段は、前記無線タグ書き込み手段が無線タグへの識別情報の書き込みに失敗した場合には、当該台紙にエラー表示を印字することを特徴とする請求項6に記載の無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項1】
台紙と、
アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、
前記台紙は、
前記無線タグのアンテナ部が配置される第1の台紙部と、
複数の折り曲げ箇所を介して前記第1の台紙部と連続して形成される第2の台紙部とを備え、
前記複数の折り曲げ箇所により、前記第1の台紙部と前記第2の台紙部とが折り曲げ可能でかつ所定距離離間して形成されている
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札。
【請求項2】
台紙と、
アンテナ部を備えるとともにUHF帯の無線周波数帯を利用して通信を行う無線タグとから構成される無線タグ付き下げ札であって、
前記台紙は、
第1の台紙部と、第2の台紙部と、第1の台紙部と第2の台紙部を連結する第3の台紙部からなり、
前記無線タグのアンテナは、第3の台紙部に配置されており、
前記台紙は、第3の台紙部を挟んで第1の台紙部と第2の台紙部が同じ方向に折り曲げ可能である
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札。
【請求項3】
前記第1の台紙部の面積または前記第2の台紙部の面積の少なくとも一方は、
前記第3の台紙部の面積よりも大きい
ことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の無線タグ付き下げ札。
【請求項4】
無線タグが取り付けられた連続台紙を搬送する台紙搬送手段と、
前記無線タグにタグ識別情報を書き込む無線タグ書き込み手段と、
前記連続台紙を折り曲げる台紙折り曲げ手段と
前記連続台紙から、前記無線タグを有する下げ札単位の台紙を分離する台紙切断手段とを備え、
前記台紙折り曲げ手段は、前記台紙切断手段により分離される前記下げ札単位の台紙に、複数の折り曲げ部が形成されるよう、前記連続台紙を複数回折り曲げる
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項5】
前記連続台紙に情報を所定の箇所に印字する印字手段を備え、
印字手段は、無線タグ書き込み手段により識別情報を無線タグに書き込んだ後で、且つ、前記台紙折り曲げ手段により台紙を折り曲げる前に、当該識別情報を書き込んだ無線タグを有する台紙に印字する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項6】
無線タグが取り付けられた連続台紙を搬送する台紙搬送手段と、
前記無線タグにタグ識別情報を書き込む無線タグ書き込み手段と、
前記連続台紙を折り曲げる台紙折り曲げ手段と、
前記連続台紙から前記無線タグを有する下げ札単位の台紙を切り分ける台紙切断手段とを備え、
前記無線タグ書き込み手段が前記無線タグへの情報の書き込みに失敗した場合、台紙を折り曲げずに切断して排出する
ことを特徴とする無線タグ付き下げ札発行装置。
【請求項7】
前記連続台紙に情報を所定の箇所に印字する印字手段を備え、
印字手段は、前記無線タグ書き込み手段が無線タグへの識別情報の書き込みに失敗した場合には、当該台紙にエラー表示を印字することを特徴とする請求項6に記載の無線タグ付き下げ札発行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−53867(P2011−53867A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201461(P2009−201461)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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