説明

無線タグ情報隠蔽方法、無線タグ装置、及び無線タグ情報隠蔽システム

【課題】第三者による無線タグに記録されたタグ情報の解読を防止する。
【解決手段】無線タグ20aの第1タグ情報は、無線タグ装置30に記録されたキーコードを用いて暗号化する。無線タグ20bの第2タグ情報は、暗号化されていない第1タグ情報を用いて暗号化する。復号化するときには、無線タグ20aの第1タグ情報をキーコードを用いて復号化し、その復号情報を用いて無線タグ20bの第2タグ情報を復号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ情報隠蔽方法、無線タグ装置、及び無線タグ情報隠蔽システムに係り、特に第三者の無線傍受によるタグ情報の流出を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
外部通信装置との間で無線通信を行うことにより、タグ情報を送受信する無線タグ(Radio Frequency Identification Tag)では、無線タグ装置との間で無線通信を行う際にタグ情報を読み取られる危険性がある。この危険性に対し、タグ情報を暗号化して送信する様々な技術がある。例えば特許文献1には、複数のICタグがある場合に、第1のICタグ1内に記録されるデータを第2のICタグ2に記録されたデータを用いて暗号化及び復号化することにより、タグ情報を隠蔽する技術が開示されている。特許文献2には、非接触ICタグに固有のIDを用いた暗号化及び復号化技術が開示されている。特許文献3には、タグに格納されている情報を許可された範囲でのみ読取れるようにする技術が開示されている。また、特許文献4には、商品に添付された非接触識別タグが取り外されたことを検知すると該非接触識別タグの機能を変更することにより非接触識別タグへのアクセスに対するセキュリティを強化する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−92625号公報
【特許文献2】特開2005−100205号公報
【特許文献3】特開2005−135251号公報
【特許文献4】特開2005−165621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生産工場などで製品の製造履歴を無線タグに書き込む際には、無線タグを添付した物品が順次一の作業現場に送られる。このとき、無線タグ毎に異なる種類のキーを用いてタグ情報を暗号化及び復号化するためには、その都度無線タグ装置に格納されたキーを変更する必要があり、手間がかかるという問題がある。また、一つの製品又は商品に複数の無線タグを取り付ける場合、個々の無線タグ毎にキーを用意しなければならないとすると多くのキーが必要となり、そのキーの管理が煩雑になる。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、容易に無線タグのタグ情報を異なるキーで暗号化及び復号化し、更にキーの管理のより簡易に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る無線タグ情報隠蔽方法は、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽方法であって、前記第1タグ情報を前記キーデータ記録部に記録されたキーコードを用いて暗号化するステップと、暗号化されていない前記第1タグ情報を用いて前記第2無線タグに書き込むべき第2タグ情報を暗号化するステップと、を含むことを特徴とする。
【0006】
これにより、タグ情報を暗号化したキーデータを記録した無線タグ装置を用いてタグ情報を受信しない限り、タグ情報を解読することができず、第三者により無線傍受されたとしてもタグ情報の流出を防ぐことができる。また、複数の無線タグがある場合に、一つのキーコードを用いて複数の無線タグのタグ情報を暗号化することができ、無線タグと同数のキーコードを用意する必要がない。
【0007】
また、本発明に係る無線タグ情報隠蔽方法は、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽方法であって、前記キーデータ記録部から前記キーデータを読み出すステップと、前記キーデータを用いて暗号化された第1タグ情報を、前記読み出したキーデータを用いて復号化するステップと、前記第1タグ情報を暗号化用のキーデータとして用いることにより暗号化された第2タグ情報を、前記復号化された第1タグ情報を用いて復号化するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
これにより、第1タグ情報はキーコードを用いて暗号化し、第2タグ情報は、暗号化されていない第1タグ情報を用いて暗号化しているため、キーコードと、無線タグ情報の復号化順序がわからなければどの無線タグの情報も読み取ることができず、セキュリティの強化を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る無線タグ装置は、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部であって、前記第1無線タグに書き込むべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部を備えたアンテナ部と、前記アンテナ部が受信した電波に基づく電気信号により前記第1タグ情報及び前記第2無線タグに記録された第2タグ情報を読み取るリーダ部と、を備え、前記リーダ部は、前記第1タグ情報を前記キーデータに基づいて暗号化し、かつ、前記暗号化された第1無線タグ情報を、前記キーデータを用いて復号化する第1暗号化・復号化演算部と、暗号化されていない前記第1タグ情報を暗号化用のキーとして第2タグ情報を暗号化し、かつ前記第1暗号化・復号化演算部が復号化して得た第1タグ情報を用いて前記暗号化された第2タグ情報を復号化する第2暗号化・復号化演算部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記第1暗号化・復号化演算部と第2暗号化・復号化演算部とは、同一の処理ユニットにより構成しても良いし、別の処理ユニットにより構成してもよい。
【0011】
これにより、タグ情報を暗号化したキーデータを記録した無線タグ装置を用いてタグ情報を受信しない限り、タグ情報を解読することができず、第三者により無線傍受されたとしてもタグ情報の流出を防ぐことができる。また、複数の無線タグがある場合に、一つのキーコードを用いて複数の無線タグのタグ情報を暗号化することができ、無線タグと同数のキーコードを用意する必要がない。更に、第1タグ情報はキーコードを用いて暗号化し、第2タグ情報は、暗号化されていない第1タグ情報を用いて暗号化しているため、キーコードと、無線タグ情報の復号化順序がわからなければどの無線タグの情報も読み取ることができず、セキュリティの強化を図ることができる。
【0012】
また、前記アンテナ部と前記リーダ部とは別体に構成され、電気的に接続されるように構成してもよい。
【0013】
これにより、キーデータを記憶したアンテナ部の可搬性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る無線タグ装置は、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信する無線タグ装置用アンテナであって、前記第1無線タグに書き込むべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部を備えた無線タグ装置用アンテナに接続するためのリーダ接続部と、前記無線タグ装置用アンテナが受信した電波に基づく電気信号により前記第1タグ情報及び前記第2無線タグに記録された第2タグ情報を読み取るリーダ部と、を備え、前記リーダ部は、前記第1タグ情報を前記キーデータに基づいて暗号化し、かつ、前記暗号化された第1タグ情報を、前記キーデータを用いて復号化する第1暗号化・復号化演算部と、暗号化されていない前記第1タグ情報を暗号化用のキーとして第2タグ情報を暗号化し、かつ前記第1暗号化・復号化演算部が復号化して得た第1タグ情報を用いて前記暗号化された第2タグ情報を復号化する第2暗号化・復号化演算部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、キーデータを記録したアンテナを取り替えることができ、異なるキーデータにより暗号化された無線タグのタグ情報を一の無線タグ装置により読み取ることができる。
【0016】
また、前記キーデータは、前記無線タグ装置に接続されたコンピュータ装置により書き込まれてもよい。
【0017】
これにより、キーデータをコンピュータ装置で管理することができる。
【0018】
また、本発明に係る無線タグ情報隠蔽システムは、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽システムであって、前記第1タグ情報を前記キーデータ記録部に記録されたキーコードを用いて暗号化する手段と、暗号化されていない前記第1タグ情報を用いて前記第2無線タグに書き込むべき第2タグ情報を暗号化する手段と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る無線タグ情報隠蔽システムは、第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽システムであって、前記キーデータ記録部から前記キーデータを読み出す手段と、前記キーデータにより暗号化された第1タグ情報を前記読み出したキーデータを用いて復号化する手段と、前記暗号化されていない第1タグ情報を用いて暗号化された第2タグ情報を、前記復号化された第1タグ情報を用いて復号化する手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容易に無線タグのタグ情報を異なるキーで暗号化及び復号化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面に従って本発明に係る無線タグ情報隠蔽方法、無線タグ装置、及び無線タグ情報隠蔽システムの好ましい実施の形態について詳説する。
【0022】
<第1実施形態>
[システムの概略構成]
図1は、本発明に係る無線タグ通信システム1の全体構成を示す概念図である。本実施形態に係る無線タグ通信システム1は、カメラ10の製造履歴を管理するため、カメラ10の生産現場で使用されるシステムである。カメラ10に貼付された三つの無線タグ20a、20b,20c(以下「20a〜c」と記載する。)と、無線タグ20a〜cのタグ情報の書き込み及び読み取りを行う無線タグ装置30と、無線タグ装置30に接続され、暗号化及び復号化を行うためのキーコードを入力するコンピュータ装置60とを備える。無線タグ装置30とコンピュータ装置60とは、LANを介して接続しても良い。
【0023】
無線タグ20a〜cには、カメラ10の製造履歴情報をタグ情報として書き込む。例えば、無線タグ20aには、カメラ10に搭載するメイン基盤に関する情報を書き込み、無線タグ20bには、カメラ10に搭載する特殊ユニット、例えばCCD、レンズなどに関する情報を書き込み、無線タグ20cには、カメラ10の外装に関する情報を書き込む。図1では、カメラ10に三つの無線タグ20a〜cを添付したが、無線タグの個数は複数あればよく、三つに限らない。
【0024】
無線タグ装置30は、無縁タグ20a〜cと電波の送受信を行うアンテナ部40と、無線タグ20a〜cにタグ情報を書き込んだり、アンテナ部40が受信した電波に基づく電気信号によりタグ情報を読み取ったりするリーダ・ライタ部50と、を備える。本実施形態にかかる無線タグ装置30は、アンテナ部40とリーダ・ライタ部50とを別体に構成し、アンテナ部40の接続端子43と、リーダ・ライタ部50の接続端子51aと、を電気的に接続可能に構成するが、アンテナ部40とリーダ・ライタ部50とを一体に構成しても良い。アンテナ部40の大きさは、無線タグ20a〜cとの送受信を行う距離(電波の出力)及び指向性に依存するが、近距離であれば公知のバーコードリーダ程度の大きさで構成される。
【0025】
次に図2に基づいて、無線タグ通信システム1の構成について説明する。図2は、無線タグ通信システム1の機能を説明するためのブロック図である。
【0026】
無線タグ20aは、その無線タグ20aをそれぞれに固有に識別するためのID情報と、ユーザが所望する情報とを記録するメモリ部21と、無線タグ20a〜cの動作を制御する制御部22と、制御部22がメモリ部21から読み取ったデジタル信号をアナログ信号に変換するための変調部23と、無線タグ20aのアンテナ25が受信した電波をアナログ信号からデジタル信号に変換するための復調部24と、無線タグ20を駆動するための電力を生成する電源生成部26とを備える。無線タグ20aがアクティブ型である場合には、電源生成部26は、電池を内蔵して構成し、パッシブ型である場合には、アンテナ25が受信した電波の搬送波を電力として利用する機能を備えて構成される。上記メモリ部21は、ID情報を記録するIDエリア21aとユーザが所望するタグ情報を記録するユーザエリア21bとを備える。無線タグ20b,cは、上記無線タグ20aと同様の構成であるため説明を省略する。
【0027】
無線タグ装置30のアンテナ部40は、無線タグ20a〜cとの間で電波の送受信を行うためのアンテナ41と、無線タグ20のタグ情報を暗号化及び復号化するためのキーコードを記録するためのメモリ部42と、リーダ・ライタ部50に接続するためのインターフェース(I/F)部43と、を備える。リーダ・ライタ部50に接続するためのインターフェース(I/F)部51a及びLANやコンピュータ装置60と接続するためのI/F部51bと、I/F部51aを介して受信したアンテナ部40からのアナログ信号を増幅するための受信増幅部52と、アナログ信号をデジタル信号に変換するための復調部53と、無線タグ20a〜cに記録可能なタグ情報をコンピュータ装置60が取り扱える情報に変換処理(プロトコル変換)したり、その逆の処理をしたりするデータ変換部54と、アンテナ部40からメモリ部42に記録されたキーコードを取得して暗号化及び復号化処理を行う暗号化・復号化演算部55と、データ変換部54のデータをデジタル信号からアナログ信号に変換する変調部56と、アナログ信号を無線通信するために増幅する送信増幅部57と、リーダ・ライタ部50の動作を制御する制御部58と、無線タグ20にタグ情報を書き込むための書込部59を備える。これにより、コンピュータ装置60においてキーコードを管理することができる。
【0028】
[処理の流れ]
図3に基づいて本実施形態に係る無線タグ情報隠蔽方法の動作を説明する。図3は、無線タグ情報隠蔽方法の動作を説明するための概念図である。以下、無線タグ20aに書き込むべきタグ情報を「第1タグ情報」といい、無線タグ20b書き込むべきタグ情報を「第2タグ情報」といい、無線タグ20cに書き込むべきタグ情報を「第3タグ情報」という。図1の例では、第1タグ情報がメイン基盤に関する情報であり、第2タグ情報が特殊ユニットに関する情報であり、第3タグ情報が外装に関する情報である。
【0029】
図3(a)は、無線タグ20a〜cにタググ情報を暗号化して書き込むときの処理を示す。
【0030】
第1暗号化処理では、無線タグ装置30のアンテナ部40に備えられたメモリ部42に格納されたキーコードを用いて、第1タグ情報を暗号化する。そして、上述のキーコードを用いて暗号化された第1タグ情報を無線タグ20aに書き込む。
【0031】
第2暗号化処理では、暗号化する前の第1タグ情報を用いて第2タグ情報を暗号化する。そして、暗号化された第2タグ情報を無線タグ20bに書き込む。
【0032】
第3暗号化処理では、第2暗号化処理と同様に、暗号化する前の第1二タグ情報を用いて第3タグ情報を暗号化する。そして、暗号化された第3タグ情報を無線タグ20cに書き込む。
【0033】
このように、最初に書き込まれる第1タグ情報は、無線タグ装置30に記録されたキーコードを用いて暗号化するが、その次に書き込まれる第2、第3タグ情報は、その直前に書き込まれる第1、第2タグ情報を暗号化キーとして用いることにより暗号化処理される。
【0034】
次に、図3(b)は、無線タグ20a〜cにタググ情報を読み出して復号化する処理を示す。
【0035】
第1復号化処理では、無線タグ装置30のアンテナ部40に備えられたメモリ部42に格納されたキーコードと、無線タグ20から受信した暗号化されたた第1タグ情報を読み取る。暗号化する。そして、上述のキーコードを用いて暗号化された第1タグ情報を復号化する。
【0036】
第2復号化処理では、第1復号化処理により得られた無線タグ20aの復号情報(暗号化する前の第1タグ情報に相当する)を復号化キーとして、無線タグ20bから受信した暗号化され第2タグ情報を復号化する。
【0037】
同様に、第3復号化処理では、第2復号化処理と同様に、第2復号化処理により得られた無線タグ20bの復号情報(暗号化する前の第2タグ情報に相当する)を復号化キーとして、無線タグ20cから受信した暗号化され第3タグ情報を復号化する。
【0038】
このように、最初に復号化する第1タグ情報は、無線タグ装置30に記録されたキーコードを用いて復号化するが、その次に復号化する第2、第3タグ情報は、その直前の復号化処理により得られた復号情報を復号キーとして用いることにより、複数の無線タグ20a〜cがある場合に、所定の復号化順序に沿って復号化処理を進めなければタグ情報を読み取ることができず、セキュリティの向上を図ることができる。
【0039】
図4に基づいて暗号化処理の流れを説明する。図4は、暗号化処理の流れを示すフローチャートであって、図4(a)は、暗号化処理の全体の流れを示すフローチャート、図4(b)は、第1暗号化処理を示すフローチャート、図4(c)は、第2暗号化処理を示すフローチャート、図4(d)は、第3暗号化処理を示すフローチャートである。
【0040】
S1では第1暗号化処理が行われる。
【0041】
S101では、無線タグ装置30の暗号化・復号化演算部55は、メモリ部21からキーコードを読み出す(S101)。
【0042】
S102では、キーコードを基に暗号化・復号化部55がタグ情報を暗号化する(S102)。
【0043】
コンピュータ装置60は、各無線タグ20a〜cに固有のID情報と、各無線タグ20a〜cに書き込まれる第1〜3タグ情報とを対応づけて管理する。更にコンピュータ装置60には、無線タグ20a〜cを暗号化及び復号化する際の順序を管理情報として格納しておくことが望ましい。この管理情報は、無線タグ20a〜cには記録することなく、コンピュータ装置60のみが格納しておく。これにより、コンピュータ装置60にアクセスできない第三者が、無線タグ20a〜cの暗号化及び復号化順序を知ることを防ぐことができる。
【0044】
無線タグ装置30の制御部58は、I/F部51bを介して接続されたコンピュータ装置60から第1タグ情報を受信し、暗号化・復号化演算部55にその第1タグ情報を送出する。暗号化・復号化演算部55は、第1タグ情報をメモリ部42から取得したキーコードを用いて暗号化する。
【0045】
S103では、無線タグ装置30が、書込部59により無線タグ20aに暗号化された第1タグ情報を書き込む(S103)。暗号化された第1タグ情報は、無線タグ20aのメモリ部21のユーザエリア21bに書き込まれる。
【0046】
S2では第2暗号化処理が行われる。
【0047】
S201では、無線タグ装置30がコンピュータ装置60から第1タグ情報を取得する(S201)。
【0048】
S202では、第1タグ情報を基に暗号化・復号化部55が第2タグ情報を暗号化する(S202)。無線タグ装置30の制御部58は、I/F部51bを介して接続されたコンピュータ装置60から第2タグ情報を受信し、暗号化・復号化演算部55に第2タグ情報を送出する。暗号化・復号化演算部55は、第1タグ情報を用いてその第2タグ情報を暗号化する。
【0049】
S203では、無線タグ装置30が、書込部59により無線タグ20bに暗号化されたタグ情報を書き込む(S203)。暗号化されたタグ情報は、無線タグ20bのメモリ部21のユーザエリア21bに書き込まれる。
【0050】
S3では第3暗号化処理が行われる。
【0051】
S301では、無線タグ装置30がコンピュータ装置60から第2タグ情報を取得し(S301)、S302では、第2タグ情報を基に暗号化・復号化部55が第3タグ情報を暗号化する(S302)。S303では、無線タグ装置30が、書込部59により無線タグ20cに暗号化された第3タグ情報を書き込む(S303)。暗号化されたタグ情報は、無線タグ20cのメモリ部21のユーザエリア21bに書き込まれる。
【0052】
上記実施形態では、無線タグ装置30は、コンピュータ装置60から取得した第1タグ情報により無線タグ20bに書き込まれるべき第2タグ情報を暗号化するとしたが、暗号化・復号化演算部55が、無線タグ20aの第1タグ情報を暗号化するために使用したキーコードを読み込んで、無線タグ20aの第1タグ情報を復号化することにより第1タグ情報を取得してもよい。同様に、第3タグ情報を暗号化する際に使用する第2タグ情報は、無線タグ20bから受信した暗号化された第2タグ情報を復号化して得てもよい。
【0053】
図5に基づいて復号化処理の流れを説明する。図5は、復号化処理の流れを示すフローチャートであって、図5(a)は、復号化処理の全体を示すフローチャート、図5(b)は、第1復号化処理を示すフローチャート、図5(c)は、第2復号化処理を示すフローチャート、図5(d)は、第3復号化処理を示すフローチャートである。
【0054】
S4では、第1復号化処理が行われる(S4)。
【0055】
S401では、無線タグ装置30の制御部58が、アンテナ部40に内蔵されたメモリ部42に記録されたキーコードを読み込む(S401)。
【0056】
S402では、無線タグ装置30が無線タグ20aから無線タグ20aのメモリ部21に記録された暗号化された第1タグ情報を無線受信する(S402)。
【0057】
S403では、暗号化・復号化演算部55がS401で読み込んだキーコードを用いてS405で受信した第1タグ情報を復号化する(S406)。
【0058】
S5では、第2復号化処理が行われる(S5)。
【0059】
S501では、無線タグ装置30は、無線タグ20bから暗号化された第2タグ情報を受信する(S501)。
【0060】
S502では、無線タグ装置30の暗号化・復号化演算部55が、S403において無線タグ20aの復号化処理した結果得られた復号情報(暗号化する前の第1タグ情報に相当)を復号化キーとして、S501で受信した第2タグ情報を復号化する(S502)。
【0061】
S6では、第3復号化処理が行われる(S6)。
【0062】
S601では、無線タグ装置30は、無線タグ20cから暗号化された第3タグ情報を受信する(S601)。
【0063】
S602では、無線タグ装置30の暗号化・復号化演算部55が、S502において無線タグ20bの復号化処理した結果得られた復号情報(暗号化する前の第2タグ情報に相当)を復号化キーとして、S601で受信した第3タグ情報を復号化する(S602)。
【0064】
本実施の形態によれば、無線タグ20a〜cと無線タグ装置30との間で送受信されるタグ情報が暗号化されるため、無線傍受された場合にも第三者が解読することを防ぐことができる。また、復号化する場合には、無線タグ20a〜cの正しい復号化順序によらなければ復号化をすることができない。そして、第1の復号化処理で使用する復号化キーは、無線タグ装置30のアンテナ部40に記録され、かつ復号化順序は管理情報であって無線タグ20a〜cには記録されていないため、第三者によるタグ情報の解読をより困難にすることができる。
【0065】
また、無線タグ20a〜cに記録されるタグ情報を暗号化及び拭く復号化するにあたり一つのキーコードを用いればよく、無線タグの個数ほどにはキーコードを用意する必要がない。そのため、キーコードの管理が容易になる。
【0066】
更に、暗号化及び復号化に使用されるキーコードを、アンテナ部40のメモリ42に記録させることにより、同機種、同機能を有するアンテナを備えた無線タグ装置30であっても無線タグ20のタグ情報の暗号化に使用されたアンテナでなければタグ情報を復号化することができず、第三者による解読をより防ぐことができる。また、リーダ・ライタ部50と、アンテナ部40とは分離可能であるため、アンテナ部40の可搬性を向上させることができる。その結果、アンテナ部40を他のリーダ・ライタ部50に接続することにより、タグ情報の暗号化・及び復号化を行うことができる。
【0067】
上記実施の形態では、S2においてタグ情報の暗号化を無線タグ装置30の暗号化・復号化演算部55が行ったが、暗号化・復号化演算部55を実現するアプリケーションプログラムをコンピュータ装置60にインストールし、コンピュータ装置60でタグ情報を暗号化及び復号化してもよい。
【0068】
この場合、S1で無線タグ装置30の制御部58がメモリ部42から読み込んだキーコードをI/F部51bを介してコンピュータ装置60に出力する。コンピュータ装置60は、インストールされた暗号化・復号化プログラムにより、無線タグ20に書き込むべきタグ情報を暗号化する。暗号化されたタグ情報は、コンピュータ装置60から無線タグ装置30に出力される。無線タグ装置30の制御部58は、I/F部51bを介して暗号化されたタグ情報を受信し、書込部59がそのタグ情報を無線タグ20に書き込む。これにより、暗号化されたタグ情報を無線タグ20に書き込むことができる。復号化する場合には、無線タグ20からアンテナ41が受信した電波に基づく電気信号をI/F部51bを介してコンピュータ装置60に出力する。コンピュータ装置60は、インストールされた暗号化・復号化プログラムにより、メモリ部42に記録されたキーコードを用いて復号化を行う。これにより、タグ情報を復号化して解読することができる。
【0069】
また、無線タグ20にタグ情報を書き込む処理は、上記実施形態では書込部59が行ったが、無線タグ20の制御部22が行っても良い。この場合、無線タグ装置30の制御部は、無線タグ20に書き込むべき暗号化されたタグ情報を変調部56によりアナログ信号に変換し、送信増幅部57がそのアナログ信号を電波で送信するために増幅する。増幅された信号は、I/F部51a、I/F部43を介してアンテナ41から電波により無線タグ20に送信される。無線タグ20のアンテナ25は、その電波を受信し、復調部24がアナログ信号からデジタル信号に変換し、制御部22がメモリ部21のユーザエリア21bに記録する。これにより、書込部59によらずタグ情報を無線タグ20に書き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】無線タグ通信システム1の全体構成を示す概念図
【図2】無線タグ通信システム1の機能を説明するためのブロック図
【図3】無線タグ情報隠蔽方法の動作を説明するための概念図
【図4】暗号化処理の流れを示すフローチャート
【図5】復号化処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0071】
1:無線タグ通信システム10:カメラ、20:無線タグ、30:無線タグ装置、40:アンテナ部、50:リーダ・ライタ部、60:コンピュータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽方法であって、
前記第1タグ情報を前記キーデータ記録部に記録されたキーコードを用いて暗号化するステップと、
暗号化されていない前記第1タグ情報を用いて前記第2無線タグに書き込むべき第2タグ情報を暗号化するステップと、
を含むことを特徴とする無線タグ情報隠蔽方法。
【請求項2】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽方法であって、
前記キーデータ記録部から前記キーデータを読み出すステップと、
前記キーデータを用いて暗号化された第1タグ情報を、前記読み出したキーデータを用いて復号化するステップと、
前記第1タグ情報を暗号化用のキーデータとして用いることにより暗号化された第2タグ情報を、前記復号化された第1タグ情報を用いて復号化するステップと、
を含むことを特徴とする無線タグ情報隠蔽方法。
【請求項3】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部であって、前記第1無線タグに書き込むべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部を備えたアンテナ部と、
前記アンテナ部が受信した電波に基づく電気信号により前記第1タグ情報及び前記第2無線タグに記録された第2タグ情報を読み取るリーダ部と、を備え、
前記リーダ部は、前記第1タグ情報を前記キーデータに基づいて暗号化し、かつ、前記暗号化された第1無線タグ情報を、前記キーデータを用いて復号化する第1暗号化・復号化演算部と、
暗号化されていない前記第1タグ情報を暗号化用のキーとして第2タグ情報を暗号化し、かつ前記第1暗号化・復号化演算部が復号化して得た第1タグ情報を用いて前記暗号化された第2タグ情報を復号化する第2暗号化・復号化演算部と、
を備えることを特徴とする無線タグ装置。
【請求項4】
前記アンテナ部と前記リーダ部とは別体に構成され、電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線タグ装置。
【請求項5】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信する無線タグ装置用アンテナであって、前記第1無線タグに書き込むべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部を備えた無線タグ装置用アンテナに接続するためのリーダ接続部と、
前記無線タグ装置用アンテナが受信した電波に基づく電気信号により前記第1タグ情報及び前記第2無線タグに記録された第2タグ情報を読み取るリーダ部と、を備え、
前記リーダ部は、前記第1タグ情報を前記キーデータに基づいて暗号化し、かつ、前記暗号化された第1タグ情報を、前記キーデータを用いて復号化する第1暗号化・復号化演算部と、
暗号化されていない前記第1タグ情報を暗号化用のキーとして第2タグ情報を暗号化し、かつ前記第1暗号化・復号化演算部が復号化して得た第1タグ情報を用いて前記暗号化された第2タグ情報を復号化する第2暗号化・復号化演算部と、
を備えることを特徴とする無線タグ装置。
【請求項6】
前記キーデータは、前記無線タグ装置に接続されたコンピュータ装置により書き込まれる、
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れか一つに記載の無線タグ装置。
【請求項7】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽システムであって、
前記第1タグ情報を前記キーデータ記録部に記録されたキーコードを用いて暗号化する手段と、
暗号化されていない前記第1タグ情報を用いて前記第2無線タグに書き込むべき第2タグ情報を暗号化する手段と、
を含むことを特徴とする無線タグ情報隠蔽システム。
【請求項8】
第1無線タグ及び第2無線タグとの間で電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に備えられ、前記第1無線タグに記録すべき第1タグ情報を暗号化及び復号化するためのキーデータを記録したキーデータ記録部と、を備えた無線タグ装置を用いた無線タグ情報隠蔽システムであって、
前記キーデータ記録部から前記キーデータを読み出す手段と、
前記キーデータにより暗号化された第1タグ情報を前記読み出したキーデータを用いて復号化する手段と、
前記暗号化されていない第1タグ情報を用いて暗号化された第2タグ情報を、前記復号化された第1タグ情報を用いて復号化する手段と、
を含むことを特徴とする無線タグ情報隠蔽システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−94873(P2007−94873A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285113(P2005−285113)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】