無線タグ通信システム
【課題】 通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムを提供する。
【解決手段】 送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う基準タグ16を無線タグ通信システム10の通信領域である室18内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置12は、無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48を有し、それら送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、前記基準タグ16との間の通信結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグ16との間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。
【解決手段】 送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う基準タグ16を無線タグ通信システム10の通信領域である室18内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置12は、無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48を有し、それら送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、前記基準タグ16との間の通信結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグ16との間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信装置において、通信対象である無線タグとの間の通信の指向性を変化させる技術が知られている。例えば、特許文献1に記載された無線装置がそれである。この無線装置によれば、複数のアンテナ素子を含むアレイアンテナと、それら複数のアンテナ素子により受信される受信信号それぞれにウェイトを乗算するアダプティブ処理部とを、備えていることから、そのアダプティブ処理部において上記受信信号に適当なウェイトを乗算することで、上記アレイアンテナによる受信指向性を好適に定めることができ、通信対象である無線タグとの間で好適な通信を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−283411号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術は、前記指向性の制御に関する正確な範囲(有効通信範囲)を把握できるものではなかったことから、斯かる指向性を無線タグが存在し得ない不必要な方向にまで振る必要があり、通信に余分な時間及び電力がかかるという弊害があった。このため、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて無線タグから返信される返信信号を受信してその無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムであって、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、その指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、その指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグとの間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。すなわち、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記指向性制御部により通信指向性を変化させて前記基準タグの存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグとの間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部を有するものであり、前記指向性制御部は、その有効通信範囲判定部の判定結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものである。このようにすれば、前記通信指向性の制御に関する複数の有効通信範囲、無効通信範囲を把握することができ、その制御範囲を更に好適に設定することができる。
【0010】
また、好適には、前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグを位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部は、それら複数の基準タグの存在する間の範囲を前記無線タグとの間の有効通信範囲として判定するものである。このようにすれば、前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0011】
また、好適には、前記基準タグは、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものである。このようにすれば、前記基準タグに記憶された境界条件情報を読み出すことにより前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0012】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部を有するものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0013】
また、好適には、前記送信信号出力判定部は、前記無線タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものである。このようにすれば、前記無線タグとの間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0014】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部を有し、前記送信信号出力判定部は、その送信出力可変部を介して前記無線タグ又は基準タグへ送信する送信信号の出力を制御するものである。このようにすれば、前記無線タグ又は基準タグとの間で情報の通信を行うための電力を実用的な態様で制御することができる。
【0015】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信結果を記憶するためのメモリ部を有するものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0016】
また、好適には、前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を記憶し得るものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0017】
また、好適には、前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ毎に複数記憶し得るものである。このようにすれば、前記複数の基準タグにより複合的に或いは分割的に前記有効通信範囲が定められる場合であっても、それら複数の基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0018】
また、好適には、前記メモリ部は、前記送信信号出力判定部の判定結果を記憶し得るものである。このようにすれば、過去の通信において前記メモリ部に記憶された設定を読み出すことにより前記基準タグ又は無線タグとの間で情報の通信を行うための電力を通信開始から可及的に抑えることができる。
【0019】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナを備えたものである。このようにすれば、前記基準タグ又は無線タグとの間の通信指向性を実用的な態様で制御することができる。
【0020】
また、好適には、前記アレイアンテナは、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子から成る複数の円偏波アンテナユニットを有するものである。このようにすれば、円偏波を用いることで前記アレイアンテナと前記基準タグ又は無線タグとの相対位置関係によらずに感度の安定した通信を実現できる。
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ通信システム10を説明する図である。この図1に示すように、本実施例の無線タグ通信システム10は、無線タグ通信装置12及びその無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ14から構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。
【0023】
上記無線タグ通信システム10は、例えば、通信領域である室18内に存在する無線タグ14を管理するためのシステムであり、上記無線タグ通信装置10は、例えば、その室18の天井18cに位置固定に設けられている。また、上記無線タグ14は、その室18内に設置(保管)される物品20に関する情報を書き込まれた上でその物品20に貼り付けられ、上記室18内におけるその物品20の移動やその室18からの持ち出し等を管理するために用いられる。また、上記無線タグ14と同様に後述する図8に示す無線タグ回路84を備え、上記質問波Frに応じて所定の応答波Frを返信することで上記無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う単数乃至は複数(図1では2つ)基準タグ16a、16b(以下、特に区別しない場合には単に基準タグ16と称する)を通信領域である室18内に位置固定に備えている。
【0024】
上記基準タグ16は、上記無線タグ通信装置12による指向性制御の基準(境界)を定めるためのものであり、図1に示すように、上記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する上記室18の床の隅に位置固定に設けられている。上記無線タグ通信装置12は、図11のフローチャート等を用いて後述するように、上記基準タグ16との間の通信結果に基づき上記有効通信範囲を判定し、その判定された有効通信範囲に応じて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御する。また、上記基準タグ16は、好適には、その基準タグ16に含まれる無線タグ回路素子84に備えられたメモリ部96に上記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものであり、上記無線タグ通信装置12は、その基準タグ16に記憶された境界条件情報を読み出すことにより上記有効通信範囲を判定し得るものである。この態様では、上記基準タグ16は、必ずしも上記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する位置に設けられなくともよい。
【0025】
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記無線タグ通信装置12は、上記無線タグ14への送信信号に対応するコマンドビット列を生成するコマンドビット列生成部24と、そのコマンドビット列生成部24から出力されたディジタル信号をFSK方式で符号化するFSK符号化部26と、そのFSK符号化部26により符号化された信号をAM方式で変調して送信メモリ部30に供給(記憶)するAM変調部28と、その送信メモリ部30に記憶された送信信号を随時読み出して所定の送信ウェイト(送信PAAウェイト)を掛算する送信PAA(Phased Array Antenna)処理部である送信ウェイト掛算部32と、その送信ウェイト掛算部32において掛算される送信ウェイトを制御する送信PAAウェイト制御部34とを、備えている。
【0026】
また、前記無線タグ14に向けて送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じてその無線タグ14から返信される返信信号を受信するための送受信共用の複数(図2では3つ)のアレイアンテナ36a、36b、36c(以下、特に区別しない場合には単にアレイアンテナ36と称する)と、所定の局発信号を出力する局部発振器38と、その局部発振器38から出力される局発信号に応じて上記送信ウェイト掛算部32から出力される送信信号をアップコンバートして出力すると共に、上記局部発振器38から出力される局発信号に応じて上記アレイアンテナ36により受信される受信信号をそれぞれダウンコンバートして受信メモリ部44に供給(記憶)する複数(図3では6つ)の高周波送受信部40a、40b、40c、40d、40e(以下、特に区別しない場合には単に高周波送受信部40と称する)と、それら高周波送受信部40を上記複数のアレイアンテナ36のうち何れかに選択的に接続することにより、それら高周波送受信部40の出力をその選択されたアレイアンテナ36に供給すると共に、そのアレイアンテナ36により受信された受信信号を上記複数の高周波送受信部40に供給するアンテナ選択部42とを、備えている。
【0027】
また、上記受信メモリ部44に記憶された受信信号を随時読み出して所定の受信ウェイト(受信PAAウェイト)を掛算する受信PAA処理部である受信ウェイト掛算部46と、その受信ウェイト掛算部46において掛算される受信ウェイトを制御する受信PAAウェイト制御部48と、上記受信ウェイト掛算部46から出力される受信信号をAM方式で復調してAM復調波を検出するAM復調部50と、そのAM復調部50により復調されたAM復調波をFSK方式で復号するFSK復号部52と、そのFSK復号部52により復号された復号信号を解釈して前記無線タグ14又は基準タグ16の変調に関する情報信号を読み出す返答ビット列解釈部54と、指向性制御部である前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により通信指向性を変化させて前記基準タグ16の存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグ14との間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部56と、前記無線タグ14や基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部58とを、備えている。また、上記受信メモリ部44は、上記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果をも記憶し得るものであり、更に好適には、上記有効通信範囲判定部56の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ16毎に複数記憶し得るものである。
【0028】
図3は、前記アレイアンテナ36の構成を概略的に示す図であり、図4は、そのアレイアンテナ36を構成する前記室18の天井18cと平行に設けられる棒状アンテナ素子62pの軸方向から視た正面図である。これらの図に示すように、前記アレイアンテナ36は、前記室18の天井18cと平行に配設された棒状アンテナ素子62p及びその棒状アンテナ素子62pに直交するように配設された棒状アンテナ素子62vから成る複数(図3及び図4では5つ)の円偏波アンテナユニット60a、60b、60c、60d、60e(以下、特に区別しない場合には単にアンテナユニット60と称する)を有するものであり、それらアンテナユニット60は、図4に示すように上記棒状アンテナ素子62pが所定の円周上に45°間隔で並ぶように配設されている。また、アンテナユニット60b、60c、60dから前記アレイアンテナ36aが、アンテナユニット60a、60b、60cから前記アレイアンテナ36bが、アンテナユニット60c、60d、60eから前記アレイアンテナ36cがそれぞれ構成されている。そして、前記高周波送受信部40aが上記アンテナユニット60a、60b、60cの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40bが上記アンテナユニット60a、60b、60cの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記高周波送受信部40cが上記アンテナユニット60b、60c、60dの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40dが上記アンテナユニット60b、60c、60dの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記高周波送受信部40eが上記アンテナユニット60c、60d、60eの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40fが上記アンテナユニット60c、60d、60eの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記アンテナ選択部42を介してそれぞれ選択的に接続されるようになっている。
【0029】
図5は、前記送信ウェイト掛算部32の構成を詳しく説明する図である。この図5に示すように、前記送信ウェイト掛算部32は、前記送信メモリ部30から読み出される送信信号に前記送信PAAウェイト制御部34から供給される送信PAAウェイトをそれぞれ掛け合わせて各高周波送受信部40に供給する複数(図5では6つ)の掛算器64a、64b、64c、64d、64e、64f(以下、特に区別しない場合には単に掛算器64と称する)を備えている。ここで、上記掛算器64b、64d、64fに供給されるPAAウェイトは、前記棒状アンテナ素子62pに対応して位相が90°ずらされた値とされる。また、上記掛算器64aが高周波送受信部40aに、掛算器64bが高周波送受信部40bに、掛算器64cが高周波送受信部40cに、掛算器64dが高周波送受信部40dに、掛算器64eが高周波送受信部40eに、掛算器64fが高周波送受信部40fに、それぞれ対応しており、各掛算器64からの出力が対応する高周波送受信部40に供給されるようになっている。
【0030】
図6は、前記高周波送受信部40の構成を詳しく説明する図である。この図6に示すように、前記高周波送受信部40は、前記送信ウェイト掛算部32から供給される送信信号をアナログ信号に変換する送信信号D/A変換器66と、その送信信号D/A変換器66によりアナログ変換された送信信号の周波数を前記局部発振器38から出力される局発信号の周波数だけ高くするアップコンバータ68と、そのアップコンバータ68によりアップコンバートされた送信信号を増幅する可変アンプである送信信号増幅器70と、その送信信号増幅器70から出力される送信信号を前記アンテナ選択部42に供給すると共に、そのアンテナ選択部42から供給される受信信号を受信信号増幅部74に供給する方向性結合器72と、その方向性結合器72から供給される受信信号を増幅する受信信号増幅器74と、その受信信号増幅器74から出力される受信信号の周波数を前記局部発振器38から出力される局発信号の周波数だけ低くするダウンコンバータ76と、そのダウンコンバータ76によりダウンコンバートされた受信信号をディジタル信号に変換して前記受信メモリ部44に供給する受信信号A/D変換器78とを、備えている。ここで、上記送信信号増幅器70は、前記送信信号出力判定部58から供給される指令に従い前記送信信号の出力を変更する送信出力可変部として機能する。
【0031】
図7は、前記受信ウェイト掛算部46の構成を詳しく説明する図である。この図7に示すように、前記受信ウェイト掛算部46は、前記受信メモリ部44から読み出される受信信号ぞれぞれに所定の受信PAAウェイトを掛け合わせる複数(図7では6つ)の掛算器80a、80b、80c、80d、80e、80f(以下、特に区別しない場合には単に掛算器80と称する)と、それら掛算器80から出力される信号を合成して前記AM復調部50に供給する合成器82とを、備えている。ここで、ここで、上記掛算器80b、80d、80fに供給されるPAAウェイトは、前記棒状アンテナ素子62pに対応して位相が90°ずらされた値とされる。また、上記掛算器86aが高周波送受信部40aに、掛算器86bが高周波送受信部40bに、掛算器86cが高周波送受信部40cに、掛算器86dが高周波送受信部40dに、掛算器86eが高周波送受信部40eに、掛算器86fが高周波送受信部40fに、それぞれ対応している。
【0032】
図8は、前記無線タグ14及び基準タグ16に備えられた無線タグ回路素子84の構成を説明する図である。この図8に示すように、上記無線タグ回路素子84は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部86と、そのアンテナ部86により受信された信号を処理するためのIC回路部88とを、備えて構成されている。そのIC回路部88は、上記アンテナ部86により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fcを整流する整流部90と、その整流部90により整流された質問波Fcのエネルギを蓄積するための電源部92と、上記アンテナ部86により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部100に供給するクロック抽出部94と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部96と、上記アンテナ部86に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部98と、上記整流部90、クロック抽出部94、及び変復調部98等を介して前記無線タグ回路素子84の作動を制御するための制御部100とを、機能的に含んでいる。この制御部100は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部96に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部86により受信された質問波Fcを上記変復調部98において上記メモリ部96に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部86から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0033】
ここで、前記無線タグ通信装置12に備えられた送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、その無線タグ通信装置12による前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する指向性制御部として機能するものであり、好適には、前記基準タグ16との間で通信を行った際の前記有効通信範囲判定部56の判定結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものである。例えば、図1に示すように最大指向性方向θを変化させつつ前記基準タグ16a及び16bの存在する位置を検出し、それら基準タグ16の存在する間の範囲を前記無線タグ14との間の有効通信範囲として判定する。また、この指向性制御に際して、前記アンテナ選択部42は、上記指向性方向θに応じて前記アレイアンテナ36a、36b、36cのうち何れか適切なアレイアンテナ36を選択し、そのアレイアンテナ36により前記無線タグ14又は基準タグ16との間で送受信が行われるように回路を切り換える。前記基準タグ16a、16bは、前記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する前記室18の隅(その床における指向性方向θの振幅方向に関する外縁)に位置固定に設けられたものであり、前記無線タグ14が貼り付けられた物品20は、その室18において前記基準タグ16a、16bの間に置かれることが想定されることから、前記無線タグ通信装置12は最大指向性方向θを制御するにあたり、前記有効通信範囲判定部56の判定結果である有効通信範囲を振ればそれで済むのである。なお、前記無線タグ通信装置12の最大指向性方向が3次元的に制御され得るものである場合には、前記室18の床における四隅乃至は四方の壁等に前記基準タグ16がそれぞれ位置固定に設けられ、前記無線タグ通信装置12は、それら基準タグ16との間の通信結果に基づいて複合的に有効通信範囲を判定する。
【0034】
また、前記送信信号出力判定部58は、前記基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する。具体的には、前記AM復調部50から十分な検波出力が得られる(或いは、FSK復号部52において復号を行い得る)実質的に最小の大きさの送信信号となるように各高周波送受信部40における送信信号増幅器70の設定(増幅率)を制御する。前記基準タグ16は位置固定に設けられたものであるため、斯かる処理を一度実行しておけば次回からの制御においてもその設定を利用することができる。このため、前記送信信号出力判定部58の判定結果を前記受信メモリ部44等に前記基準タグ16毎に記憶するのが好ましい。また、前記送信信号出力判定部58は、前記基準タグ16の場合と同様に前記無線タグ14との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する。前記無線タグ14は前記物品20に追従して移動するものであるが、その物品20が床や棚に設置される場合すなわち前記無線タグ通信装置12との相対距離が予め想定される場合には、斯かる処理を一度実行しておけば次回からの制御においてもその設定を利用することができる。このため、前記送信信号出力判定部58の判定結果を前記受信メモリ部44等に指向性角度θ毎に記憶するのが好ましい。
【0035】
図9は、前記無線タグ通信装置12によるRFID(Radio Frequency Identification)制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0036】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、PAA(Phased Array Antenna)制御範囲設定モードすなわち前記無線タグ14との間の有効通信範囲の設定が行われるか否かが判断される。このS1の判断が肯定される場合には、前記有効通信範囲判定部56の動作に対応するSAにおいて、図10に示すPAA制御範囲設定処理が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が否定される場合には、SBにおいて、図12に示す通常タグ検索処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0037】
図10は、図9に示すRFID制御の一部であるPAA制御範囲設定処理について説明するフローチャートである。この図10に示す制御では、先ず、SA1において、第1サーチ範囲制御用の基準タグ16との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SA2において、SA1にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SA3において、θlastの初期値が−70°に、θstepの初期値が−10°にそれぞれ設定される。次に、SCにおいて、第1サーチ範囲に関して図11に示す範囲設定処理が実行される。次に、SA4において、第1制御範囲角度θ1がSCにて求められた角度θとされる。次に、SA5において、第2サーチ範囲制御用の基準タグ16との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SA6において、SA5にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SA7において、θlastの初期値が70°に、θstepの初期値が10°にそれぞれ設定される。次に、SCにおいて、第2サーチ範囲に関して図11に示す範囲設定処理が実行される。次に、SA8において、第2制御範囲角度θ2がSCにて求められた角度θとされた後、図9に示すメインルーチンに復帰させられる。
【0038】
図11は、図10に示すPAA制御範囲設定処理の一部である範囲設定処理について説明するフローチャートである。この図11に示す制御では、先ず、SC1において、θの初期値が0°に設定される。次に、SC2において、θが−70°乃至−30°の第1角度範囲、−20°乃至20°の第2角度範囲、及び30°乃至70°の第3角度範囲のうち何れの角度範囲に含まれるかが判断される。このSC2において、θが第1角度範囲である−70°乃至−30°に含まれると判断される場合には、SC3において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36bが選択され、SC4において、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに実際に設定される値に対応する角度であるθ′がθ+45°とされた後、SC9以下の処理が実行される。また、SC2において、θが第2角度範囲である−20°乃至20°に含まれると判断される場合には、SC5において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36aが選択され、SC6において、上記角度θ′がθと同値とされた後、SC9以下の処理が実行される。また、SC2において、θが第3角度範囲である30°乃至70°に含まれると判断される場合には、SC7において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36cが選択され、SC8において、上記角度θ′がθ−45°とされた後、SC9以下の処理が実行される。
【0039】
SC9の処理では、SC4、SC6、又はSC8にて設定されたθ′に対応する送受信ウェイトが前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに設定される。次に、SC10において、前記送信メモリ部30に記憶された送信信号が読み出され、SC9にて設定された送信PAAウェイトが前記送信ウェイト掛算部32において掛け合わされた後、前記高周波送受信部40等を介してSC3、SC5、又はSC7にて選択されたアレイアンテナ36から送信される。次に、SC11において、SC10にて送信された送信信号に応じて前記基準タグ16から返信された返信信号が受信され、前記高周波送受信部40等を介して前記受信メモリ部44に記憶される。次に、SC12において、前記受信メモリ部44から受信信号が読み出され、SC9にて設定された受信PAAウェイトが前記受信ウェイト掛算部46において掛け合わされた後、受信信号が合成される。次に、SC13において、SC12にて合成された合成信号が前記AM復調部50においてAM方式にて復調される。次に、SC14において、SC13にて復調された復調信号が前記FSK復号部52においてFSK方式にて復号される。
【0040】
次に、SC15において、SC14にて復号された復号データが正常であるか否かが判断される。このSC15の判断が肯定される場合には、前記送信信号出力判定部58の動作に対応するSC16において、前記FSK復号部52において復号を行い得る実質的に最小の大きさの送信信号を送信するための電力が算出され、前記受信メモリ部44に記憶された後、図10に示すPAA制御範囲設定処理に復帰させられるが、SC15の判断が否定される場合には、SC17において、前記角度θにθstepが加算されて前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの値が更新された後、SC18において、θがθlast+θstepに等しいか否かが判断される。このSC18の判断が否定される場合には、SC2以下の処理が再び実行されるが、SC18の判断が肯定される場合には、SC19において、サーチ範囲に制御用タグである前記基準タグ16が存在しないと判断された後、エラー終了させられる。
【0041】
図12は、図9に示すRFID制御の一部である通常タグ検索処理について説明するフローチャートである。この図12に示す制御では、先ず、SB1において、検索対象である無線タグ14との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SB2において、SB1にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SB3において、最大指向性方向を示す角度θを第1制御範囲角度θ1として前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの初期値が設定される。次に、SB4において、θが−70°乃至−30°の第1角度範囲、−20°乃至20°の第2角度範囲、及び30°乃至70°の第3角度範囲のうち何れの角度範囲に含まれるかが判断される。このSB4において、θが第1角度範囲である−70°乃至−30°に含まれると判断される場合には、SB5において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36bが選択され、SB6において、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに実際に設定される値に対応する角度であるθ′がθ+45°とされた後、SB11以下の処理が実行される。また、SB4において、θが第2角度範囲である−20°乃至20°に含まれると判断される場合には、SB7において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36aが選択され、SB8において、上記角度θ′がθと同値とされた後、SB11以下の処理が実行される。また、SB4において、θが第3角度範囲である30°乃至70°に含まれると判断される場合には、SB9において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36cが選択され、SB10において、上記角度θ′がθ−45°とされた後、SB11以下の処理が実行される。
【0042】
SB11の処理では、SB6、SB8、又はSB10にて設定されたθ′に対応する送受信ウェイトが前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに設定される。次に、SB12において、前記送信メモリ部30に記憶された送信信号が読み出され、SB11にて設定された送信PAAウェイトが前記送信ウェイト掛算部32において掛け合わされた後、前記高周波送受信部40等を介してSB5、SB7、又はSB9にて選択されたアレイアンテナ36から送信される。次に、SB13において、SB12にて送信された送信信号に応じて前記無線タグ14から返信された返信信号が受信され、前記高周波送受信部40等を介して前記受信メモリ部44に記憶される。次に、SB14において、前記受信メモリ部44から受信信号が読み出され、SB11にて設定された受信PAAウェイトが前記受信ウェイト掛算部46において掛け合わされた後、受信信号が合成される。次に、SB15において、SB14にて合成された合成信号が前記AM復調部50においてAM方式にて復調される。次に、SB16において、SB15にて復調された復調信号が前記FSK復号部52においてFSK方式にて復号される。
【0043】
次に、SB17において、SB16にて復号された復号データが正常であるか否かが判断される。このSB17の判断が肯定される場合には、SB18において、前記無線タグ14が発見されてその無線タグ14からの情報が読み出された後、図9に示すRFID制御に復帰させられるが、SB17の判断が否定される場合には、SB19において、θに10°が加算されて前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの値が更新された後、SB20において、θが第2制御範囲角度θ2よりも大きいか否かが判断される。このSB20の判断が否定される場合には、SB4以下の処理が再び実行されるが、SB20の判断が肯定される場合には、SB21において、有効通信範囲内に前記無線タグ14は発見できなかったと判断されて、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SB3、SB11、SB19、SC9、及びSC17等が前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48の動作に対応する。
【0044】
このように、本実施例によれば、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う基準タグ16を前記無線タグ通信システム10の通信領域である室18内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する指向性制御部である前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48(SB3、SB11、SB19、SC9、及びSC17)を有し、それら送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、前記基準タグ16との間の通信結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグ16との間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。すなわち、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システム10を提供することができる。
【0045】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により通信指向性を変化させて前記基準タグ16の存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグ14との間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部56(SA)を有するものであり、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、その有効通信範囲判定部56の判定結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであるため、前記通信指向性の制御に関する複数の有効通信範囲、無効通信範囲を把握することができ、その制御範囲を更に好適に設定することができる。
【0046】
また、前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグ16を位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部56は、それら複数の基準タグ16の存在する間の範囲を前記無線タグ14との間の有効通信範囲として判定するものであるため、前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0047】
また、前記基準タグ16は、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものであるため、その基準タグ16に記憶された境界条件情報を読み出すことにより前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0048】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部58(SC16)を有するものであるため、前記基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0049】
また、前記送信信号出力判定部58は、前記無線タグ14との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものであるため、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0050】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部として機能する送信信号増幅器70を有し、前記送信信号出力判定部58は、その送信信号増幅器70を介して前記無線タグ14又は基準タグ16へ送信する送信信号の出力を制御するものであるため、それら無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を実用的な態様で制御することができる。
【0051】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記基準タグ16との間の通信結果を記憶するための受信メモリ部44を有するものであるため、前記基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0052】
また、前記受信メモリ部44は、前記有効通信範囲判定部56の判定結果を記憶し得るものであるため、前記基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0053】
また、前記受信メモリ部44は、前記有効通信範囲判定部56の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ16毎に複数記憶し得るものであるため、前記複数の基準タグ16により複合的に或いは分割的に前記有効通信範囲が定められる場合であっても、それら複数の基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0054】
また、前記受信メモリ部44は、前記送信信号出力判定部58の判定結果を記憶し得るものであるため、過去の通信において前記受信メモリ部44に記憶された設定を読み出すことにより前記無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を通信開始から可及的に抑えることができる。
【0055】
また、前記無線タグ通信装置12は、複数の棒状アンテナ素子62を有するアレイアンテナ36を備えたものであるため、前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を実用的な態様で制御することができる。
【0056】
また、前記アレイアンテナ36は、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子62p、62vから成る複数の円偏波アンテナユニット60を有するものであるため、円偏波を用いることで前記アレイアンテナ36と前記無線タグ14又は基準タグ16との相対位置関係によらずに感度の安定した通信を実現できる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0058】
図13は、前述の実施例における無線タグ通信システム10に基準タグ16を追加して設けた構成を説明する図である。この図13に示す無線タグ通信システム10では、前述した図1に示す基準タグ16a、16bに加え、前記室18の床におけるそれら基準タグ16a、16bの間に基準タグ16c、16d、16e、16fが位置固定に設けられている。斯かる構成では、上記基準タグ16a及び16cの存在する間の範囲を第1有効通信範囲、基準タグ16d及び16cの存在する間の範囲を第2有効通信範囲、基準タグ16f及び16bの存在する間の範囲を第3有効通信範囲というように、前記無線タグ14との間の有効通信範囲を分割的に判定することができる。例えば、上記基準タグ16c及び16dの存在する間や基準タグ16e及び16fの存在する間に柱等があってその範囲内に前記物品20を置くことができない場合、斯かる範囲をサーチすることは余分な時間及び電力の消費となるが、このように前記無線タグ14との間の有効通信範囲を分割的に判定することで、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0059】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34、受信PAAウェイト制御部48、有効通信範囲判定部56、及び送信信号出力判定部58等をそれぞれ個別の制御装置として備えたものであったが、例えば、それらと等価な制御機能をDSP(Digital Signal Processor)等の所定の制御装置に機能的に備えたものであっても構わない。また、それら制御機能による処理は、ディジタル信号処理であるとアナログ信号処理であるとを問わない。
【0060】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34により送信指向性を制御すると共に、前記受信PAAウェイト制御部48により受信指向性を制御するものであったが、何れか一方の指向性制御のみを行うものであっても構わず、そのような構成においても本発明の一応の効果は得られる。
【0061】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性の制御を行うものであったが、例えば、機械的に方向を変更し得るアンテナを備えたアンテナユニットを用いて、そのアンテナの方向を変更することによって最大指向性方向の制御を行うものであってもよい。また、前記無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行い得るアンテナであれば円偏波アレイアンテナに限られないことは言うまでもなく、設計に応じて様々なアンテナが適宜選択されて用いられる。
【0062】
また、前述の実施例において、前記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果は、何れも前記受信メモリ部44に記憶されるものであったが、例えば、前記送信信号出力判定部58の判定結果は前記送信メモリ部30に記憶されるものであっても当然に構わない。また、前記受信メモリ部44とは別に前記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果を記憶するためのメモリ部が設けられたものであってもよい。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ通信システムを説明する図である。
【図2】図1の無線タグ通信システムに備えられた無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図2の無線タグ通信装置に備えられたアレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【図4】図3のアレイアンテナを構成する図1の室の天井と平行に設けられる棒状アンテナ素子の軸方向からそのアレイアンテナを視た正面図である。
【図5】図2の無線タグ通信装置に備えられた送信ウェイト掛算部の構成を詳しく説明する図である。
【図6】図2の無線タグ通信装置に備えられた高周波送受信部の構成を詳しく説明する図である。
【図7】図2の無線タグ通信装置に備えられた受信ウェイト掛算部の構成を詳しく説明する図である。
【図8】図1の無線タグ通信システムの通信対象である無線タグ及び基準タグに備えられた無線タグ回路素子の構成を説明する図である。
【図9】図2の無線タグ通信装置によるRFID制御の要部を説明するフローチャートである。
【図10】図9に示すRFID制御の一部であるPAA制御範囲設定処理について説明するフローチャートである。
【図11】図10に示すPAA制御範囲設定処理の一部である範囲設定処理について説明するフローチャートである。
【図12】図9に示すRFID制御の一部である通常タグ検索処理について説明するフローチャートである。
【図13】図1に示す無線タグ通信システムに基準タグを追加して設けた構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
10:無線タグ通信システム
12:無線タグ通信装置
14:無線タグ
16:基準タグ
18:室(通信領域)
34:送信PAAウェイト制御部(指向性制御部)
36:アレイアンテナ
44:受信メモリ部
48:受信PAAウェイト制御部(指向性制御部)
56:有効通信範囲判定部
58:送信信号出力判定部
60:円偏波アンテナユニット
62:棒状アンテナ素子
70:送信信号増幅器(送信出力可変部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信装置において、通信対象である無線タグとの間の通信の指向性を変化させる技術が知られている。例えば、特許文献1に記載された無線装置がそれである。この無線装置によれば、複数のアンテナ素子を含むアレイアンテナと、それら複数のアンテナ素子により受信される受信信号それぞれにウェイトを乗算するアダプティブ処理部とを、備えていることから、そのアダプティブ処理部において上記受信信号に適当なウェイトを乗算することで、上記アレイアンテナによる受信指向性を好適に定めることができ、通信対象である無線タグとの間で好適な通信を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−283411号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術は、前記指向性の制御に関する正確な範囲(有効通信範囲)を把握できるものではなかったことから、斯かる指向性を無線タグが存在し得ない不必要な方向にまで振る必要があり、通信に余分な時間及び電力がかかるという弊害があった。このため、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて無線タグから返信される返信信号を受信してその無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムであって、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、その指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、その指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグとの間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。すなわち、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記指向性制御部により通信指向性を変化させて前記基準タグの存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグとの間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部を有するものであり、前記指向性制御部は、その有効通信範囲判定部の判定結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものである。このようにすれば、前記通信指向性の制御に関する複数の有効通信範囲、無効通信範囲を把握することができ、その制御範囲を更に好適に設定することができる。
【0010】
また、好適には、前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグを位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部は、それら複数の基準タグの存在する間の範囲を前記無線タグとの間の有効通信範囲として判定するものである。このようにすれば、前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0011】
また、好適には、前記基準タグは、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものである。このようにすれば、前記基準タグに記憶された境界条件情報を読み出すことにより前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0012】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部を有するものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0013】
また、好適には、前記送信信号出力判定部は、前記無線タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものである。このようにすれば、前記無線タグとの間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0014】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部を有し、前記送信信号出力判定部は、その送信出力可変部を介して前記無線タグ又は基準タグへ送信する送信信号の出力を制御するものである。このようにすれば、前記無線タグ又は基準タグとの間で情報の通信を行うための電力を実用的な態様で制御することができる。
【0015】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信結果を記憶するためのメモリ部を有するものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0016】
また、好適には、前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を記憶し得るものである。このようにすれば、前記基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0017】
また、好適には、前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ毎に複数記憶し得るものである。このようにすれば、前記複数の基準タグにより複合的に或いは分割的に前記有効通信範囲が定められる場合であっても、それら複数の基準タグとの間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記メモリ部に記憶し、そのメモリ部に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0018】
また、好適には、前記メモリ部は、前記送信信号出力判定部の判定結果を記憶し得るものである。このようにすれば、過去の通信において前記メモリ部に記憶された設定を読み出すことにより前記基準タグ又は無線タグとの間で情報の通信を行うための電力を通信開始から可及的に抑えることができる。
【0019】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナを備えたものである。このようにすれば、前記基準タグ又は無線タグとの間の通信指向性を実用的な態様で制御することができる。
【0020】
また、好適には、前記アレイアンテナは、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子から成る複数の円偏波アンテナユニットを有するものである。このようにすれば、円偏波を用いることで前記アレイアンテナと前記基準タグ又は無線タグとの相対位置関係によらずに感度の安定した通信を実現できる。
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ通信システム10を説明する図である。この図1に示すように、本実施例の無線タグ通信システム10は、無線タグ通信装置12及びその無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ14から構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。
【0023】
上記無線タグ通信システム10は、例えば、通信領域である室18内に存在する無線タグ14を管理するためのシステムであり、上記無線タグ通信装置10は、例えば、その室18の天井18cに位置固定に設けられている。また、上記無線タグ14は、その室18内に設置(保管)される物品20に関する情報を書き込まれた上でその物品20に貼り付けられ、上記室18内におけるその物品20の移動やその室18からの持ち出し等を管理するために用いられる。また、上記無線タグ14と同様に後述する図8に示す無線タグ回路84を備え、上記質問波Frに応じて所定の応答波Frを返信することで上記無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う単数乃至は複数(図1では2つ)基準タグ16a、16b(以下、特に区別しない場合には単に基準タグ16と称する)を通信領域である室18内に位置固定に備えている。
【0024】
上記基準タグ16は、上記無線タグ通信装置12による指向性制御の基準(境界)を定めるためのものであり、図1に示すように、上記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する上記室18の床の隅に位置固定に設けられている。上記無線タグ通信装置12は、図11のフローチャート等を用いて後述するように、上記基準タグ16との間の通信結果に基づき上記有効通信範囲を判定し、その判定された有効通信範囲に応じて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御する。また、上記基準タグ16は、好適には、その基準タグ16に含まれる無線タグ回路素子84に備えられたメモリ部96に上記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものであり、上記無線タグ通信装置12は、その基準タグ16に記憶された境界条件情報を読み出すことにより上記有効通信範囲を判定し得るものである。この態様では、上記基準タグ16は、必ずしも上記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する位置に設けられなくともよい。
【0025】
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記無線タグ通信装置12は、上記無線タグ14への送信信号に対応するコマンドビット列を生成するコマンドビット列生成部24と、そのコマンドビット列生成部24から出力されたディジタル信号をFSK方式で符号化するFSK符号化部26と、そのFSK符号化部26により符号化された信号をAM方式で変調して送信メモリ部30に供給(記憶)するAM変調部28と、その送信メモリ部30に記憶された送信信号を随時読み出して所定の送信ウェイト(送信PAAウェイト)を掛算する送信PAA(Phased Array Antenna)処理部である送信ウェイト掛算部32と、その送信ウェイト掛算部32において掛算される送信ウェイトを制御する送信PAAウェイト制御部34とを、備えている。
【0026】
また、前記無線タグ14に向けて送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じてその無線タグ14から返信される返信信号を受信するための送受信共用の複数(図2では3つ)のアレイアンテナ36a、36b、36c(以下、特に区別しない場合には単にアレイアンテナ36と称する)と、所定の局発信号を出力する局部発振器38と、その局部発振器38から出力される局発信号に応じて上記送信ウェイト掛算部32から出力される送信信号をアップコンバートして出力すると共に、上記局部発振器38から出力される局発信号に応じて上記アレイアンテナ36により受信される受信信号をそれぞれダウンコンバートして受信メモリ部44に供給(記憶)する複数(図3では6つ)の高周波送受信部40a、40b、40c、40d、40e(以下、特に区別しない場合には単に高周波送受信部40と称する)と、それら高周波送受信部40を上記複数のアレイアンテナ36のうち何れかに選択的に接続することにより、それら高周波送受信部40の出力をその選択されたアレイアンテナ36に供給すると共に、そのアレイアンテナ36により受信された受信信号を上記複数の高周波送受信部40に供給するアンテナ選択部42とを、備えている。
【0027】
また、上記受信メモリ部44に記憶された受信信号を随時読み出して所定の受信ウェイト(受信PAAウェイト)を掛算する受信PAA処理部である受信ウェイト掛算部46と、その受信ウェイト掛算部46において掛算される受信ウェイトを制御する受信PAAウェイト制御部48と、上記受信ウェイト掛算部46から出力される受信信号をAM方式で復調してAM復調波を検出するAM復調部50と、そのAM復調部50により復調されたAM復調波をFSK方式で復号するFSK復号部52と、そのFSK復号部52により復号された復号信号を解釈して前記無線タグ14又は基準タグ16の変調に関する情報信号を読み出す返答ビット列解釈部54と、指向性制御部である前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により通信指向性を変化させて前記基準タグ16の存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグ14との間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部56と、前記無線タグ14や基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部58とを、備えている。また、上記受信メモリ部44は、上記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果をも記憶し得るものであり、更に好適には、上記有効通信範囲判定部56の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ16毎に複数記憶し得るものである。
【0028】
図3は、前記アレイアンテナ36の構成を概略的に示す図であり、図4は、そのアレイアンテナ36を構成する前記室18の天井18cと平行に設けられる棒状アンテナ素子62pの軸方向から視た正面図である。これらの図に示すように、前記アレイアンテナ36は、前記室18の天井18cと平行に配設された棒状アンテナ素子62p及びその棒状アンテナ素子62pに直交するように配設された棒状アンテナ素子62vから成る複数(図3及び図4では5つ)の円偏波アンテナユニット60a、60b、60c、60d、60e(以下、特に区別しない場合には単にアンテナユニット60と称する)を有するものであり、それらアンテナユニット60は、図4に示すように上記棒状アンテナ素子62pが所定の円周上に45°間隔で並ぶように配設されている。また、アンテナユニット60b、60c、60dから前記アレイアンテナ36aが、アンテナユニット60a、60b、60cから前記アレイアンテナ36bが、アンテナユニット60c、60d、60eから前記アレイアンテナ36cがそれぞれ構成されている。そして、前記高周波送受信部40aが上記アンテナユニット60a、60b、60cの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40bが上記アンテナユニット60a、60b、60cの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記高周波送受信部40cが上記アンテナユニット60b、60c、60dの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40dが上記アンテナユニット60b、60c、60dの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記高周波送受信部40eが上記アンテナユニット60c、60d、60eの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62pと、前記高周波送受信部40fが上記アンテナユニット60c、60d、60eの何れかに含まれる棒状アンテナ素子62vと、前記アンテナ選択部42を介してそれぞれ選択的に接続されるようになっている。
【0029】
図5は、前記送信ウェイト掛算部32の構成を詳しく説明する図である。この図5に示すように、前記送信ウェイト掛算部32は、前記送信メモリ部30から読み出される送信信号に前記送信PAAウェイト制御部34から供給される送信PAAウェイトをそれぞれ掛け合わせて各高周波送受信部40に供給する複数(図5では6つ)の掛算器64a、64b、64c、64d、64e、64f(以下、特に区別しない場合には単に掛算器64と称する)を備えている。ここで、上記掛算器64b、64d、64fに供給されるPAAウェイトは、前記棒状アンテナ素子62pに対応して位相が90°ずらされた値とされる。また、上記掛算器64aが高周波送受信部40aに、掛算器64bが高周波送受信部40bに、掛算器64cが高周波送受信部40cに、掛算器64dが高周波送受信部40dに、掛算器64eが高周波送受信部40eに、掛算器64fが高周波送受信部40fに、それぞれ対応しており、各掛算器64からの出力が対応する高周波送受信部40に供給されるようになっている。
【0030】
図6は、前記高周波送受信部40の構成を詳しく説明する図である。この図6に示すように、前記高周波送受信部40は、前記送信ウェイト掛算部32から供給される送信信号をアナログ信号に変換する送信信号D/A変換器66と、その送信信号D/A変換器66によりアナログ変換された送信信号の周波数を前記局部発振器38から出力される局発信号の周波数だけ高くするアップコンバータ68と、そのアップコンバータ68によりアップコンバートされた送信信号を増幅する可変アンプである送信信号増幅器70と、その送信信号増幅器70から出力される送信信号を前記アンテナ選択部42に供給すると共に、そのアンテナ選択部42から供給される受信信号を受信信号増幅部74に供給する方向性結合器72と、その方向性結合器72から供給される受信信号を増幅する受信信号増幅器74と、その受信信号増幅器74から出力される受信信号の周波数を前記局部発振器38から出力される局発信号の周波数だけ低くするダウンコンバータ76と、そのダウンコンバータ76によりダウンコンバートされた受信信号をディジタル信号に変換して前記受信メモリ部44に供給する受信信号A/D変換器78とを、備えている。ここで、上記送信信号増幅器70は、前記送信信号出力判定部58から供給される指令に従い前記送信信号の出力を変更する送信出力可変部として機能する。
【0031】
図7は、前記受信ウェイト掛算部46の構成を詳しく説明する図である。この図7に示すように、前記受信ウェイト掛算部46は、前記受信メモリ部44から読み出される受信信号ぞれぞれに所定の受信PAAウェイトを掛け合わせる複数(図7では6つ)の掛算器80a、80b、80c、80d、80e、80f(以下、特に区別しない場合には単に掛算器80と称する)と、それら掛算器80から出力される信号を合成して前記AM復調部50に供給する合成器82とを、備えている。ここで、ここで、上記掛算器80b、80d、80fに供給されるPAAウェイトは、前記棒状アンテナ素子62pに対応して位相が90°ずらされた値とされる。また、上記掛算器86aが高周波送受信部40aに、掛算器86bが高周波送受信部40bに、掛算器86cが高周波送受信部40cに、掛算器86dが高周波送受信部40dに、掛算器86eが高周波送受信部40eに、掛算器86fが高周波送受信部40fに、それぞれ対応している。
【0032】
図8は、前記無線タグ14及び基準タグ16に備えられた無線タグ回路素子84の構成を説明する図である。この図8に示すように、上記無線タグ回路素子84は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部86と、そのアンテナ部86により受信された信号を処理するためのIC回路部88とを、備えて構成されている。そのIC回路部88は、上記アンテナ部86により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fcを整流する整流部90と、その整流部90により整流された質問波Fcのエネルギを蓄積するための電源部92と、上記アンテナ部86により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部100に供給するクロック抽出部94と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部96と、上記アンテナ部86に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部98と、上記整流部90、クロック抽出部94、及び変復調部98等を介して前記無線タグ回路素子84の作動を制御するための制御部100とを、機能的に含んでいる。この制御部100は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部96に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部86により受信された質問波Fcを上記変復調部98において上記メモリ部96に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部86から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0033】
ここで、前記無線タグ通信装置12に備えられた送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、その無線タグ通信装置12による前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する指向性制御部として機能するものであり、好適には、前記基準タグ16との間で通信を行った際の前記有効通信範囲判定部56の判定結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものである。例えば、図1に示すように最大指向性方向θを変化させつつ前記基準タグ16a及び16bの存在する位置を検出し、それら基準タグ16の存在する間の範囲を前記無線タグ14との間の有効通信範囲として判定する。また、この指向性制御に際して、前記アンテナ選択部42は、上記指向性方向θに応じて前記アレイアンテナ36a、36b、36cのうち何れか適切なアレイアンテナ36を選択し、そのアレイアンテナ36により前記無線タグ14又は基準タグ16との間で送受信が行われるように回路を切り換える。前記基準タグ16a、16bは、前記無線タグ通信装置12の有効通信範囲の外縁に相当する前記室18の隅(その床における指向性方向θの振幅方向に関する外縁)に位置固定に設けられたものであり、前記無線タグ14が貼り付けられた物品20は、その室18において前記基準タグ16a、16bの間に置かれることが想定されることから、前記無線タグ通信装置12は最大指向性方向θを制御するにあたり、前記有効通信範囲判定部56の判定結果である有効通信範囲を振ればそれで済むのである。なお、前記無線タグ通信装置12の最大指向性方向が3次元的に制御され得るものである場合には、前記室18の床における四隅乃至は四方の壁等に前記基準タグ16がそれぞれ位置固定に設けられ、前記無線タグ通信装置12は、それら基準タグ16との間の通信結果に基づいて複合的に有効通信範囲を判定する。
【0034】
また、前記送信信号出力判定部58は、前記基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する。具体的には、前記AM復調部50から十分な検波出力が得られる(或いは、FSK復号部52において復号を行い得る)実質的に最小の大きさの送信信号となるように各高周波送受信部40における送信信号増幅器70の設定(増幅率)を制御する。前記基準タグ16は位置固定に設けられたものであるため、斯かる処理を一度実行しておけば次回からの制御においてもその設定を利用することができる。このため、前記送信信号出力判定部58の判定結果を前記受信メモリ部44等に前記基準タグ16毎に記憶するのが好ましい。また、前記送信信号出力判定部58は、前記基準タグ16の場合と同様に前記無線タグ14との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する。前記無線タグ14は前記物品20に追従して移動するものであるが、その物品20が床や棚に設置される場合すなわち前記無線タグ通信装置12との相対距離が予め想定される場合には、斯かる処理を一度実行しておけば次回からの制御においてもその設定を利用することができる。このため、前記送信信号出力判定部58の判定結果を前記受信メモリ部44等に指向性角度θ毎に記憶するのが好ましい。
【0035】
図9は、前記無線タグ通信装置12によるRFID(Radio Frequency Identification)制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0036】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、PAA(Phased Array Antenna)制御範囲設定モードすなわち前記無線タグ14との間の有効通信範囲の設定が行われるか否かが判断される。このS1の判断が肯定される場合には、前記有効通信範囲判定部56の動作に対応するSAにおいて、図10に示すPAA制御範囲設定処理が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が否定される場合には、SBにおいて、図12に示す通常タグ検索処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0037】
図10は、図9に示すRFID制御の一部であるPAA制御範囲設定処理について説明するフローチャートである。この図10に示す制御では、先ず、SA1において、第1サーチ範囲制御用の基準タグ16との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SA2において、SA1にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SA3において、θlastの初期値が−70°に、θstepの初期値が−10°にそれぞれ設定される。次に、SCにおいて、第1サーチ範囲に関して図11に示す範囲設定処理が実行される。次に、SA4において、第1制御範囲角度θ1がSCにて求められた角度θとされる。次に、SA5において、第2サーチ範囲制御用の基準タグ16との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SA6において、SA5にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SA7において、θlastの初期値が70°に、θstepの初期値が10°にそれぞれ設定される。次に、SCにおいて、第2サーチ範囲に関して図11に示す範囲設定処理が実行される。次に、SA8において、第2制御範囲角度θ2がSCにて求められた角度θとされた後、図9に示すメインルーチンに復帰させられる。
【0038】
図11は、図10に示すPAA制御範囲設定処理の一部である範囲設定処理について説明するフローチャートである。この図11に示す制御では、先ず、SC1において、θの初期値が0°に設定される。次に、SC2において、θが−70°乃至−30°の第1角度範囲、−20°乃至20°の第2角度範囲、及び30°乃至70°の第3角度範囲のうち何れの角度範囲に含まれるかが判断される。このSC2において、θが第1角度範囲である−70°乃至−30°に含まれると判断される場合には、SC3において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36bが選択され、SC4において、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに実際に設定される値に対応する角度であるθ′がθ+45°とされた後、SC9以下の処理が実行される。また、SC2において、θが第2角度範囲である−20°乃至20°に含まれると判断される場合には、SC5において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36aが選択され、SC6において、上記角度θ′がθと同値とされた後、SC9以下の処理が実行される。また、SC2において、θが第3角度範囲である30°乃至70°に含まれると判断される場合には、SC7において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36cが選択され、SC8において、上記角度θ′がθ−45°とされた後、SC9以下の処理が実行される。
【0039】
SC9の処理では、SC4、SC6、又はSC8にて設定されたθ′に対応する送受信ウェイトが前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに設定される。次に、SC10において、前記送信メモリ部30に記憶された送信信号が読み出され、SC9にて設定された送信PAAウェイトが前記送信ウェイト掛算部32において掛け合わされた後、前記高周波送受信部40等を介してSC3、SC5、又はSC7にて選択されたアレイアンテナ36から送信される。次に、SC11において、SC10にて送信された送信信号に応じて前記基準タグ16から返信された返信信号が受信され、前記高周波送受信部40等を介して前記受信メモリ部44に記憶される。次に、SC12において、前記受信メモリ部44から受信信号が読み出され、SC9にて設定された受信PAAウェイトが前記受信ウェイト掛算部46において掛け合わされた後、受信信号が合成される。次に、SC13において、SC12にて合成された合成信号が前記AM復調部50においてAM方式にて復調される。次に、SC14において、SC13にて復調された復調信号が前記FSK復号部52においてFSK方式にて復号される。
【0040】
次に、SC15において、SC14にて復号された復号データが正常であるか否かが判断される。このSC15の判断が肯定される場合には、前記送信信号出力判定部58の動作に対応するSC16において、前記FSK復号部52において復号を行い得る実質的に最小の大きさの送信信号を送信するための電力が算出され、前記受信メモリ部44に記憶された後、図10に示すPAA制御範囲設定処理に復帰させられるが、SC15の判断が否定される場合には、SC17において、前記角度θにθstepが加算されて前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの値が更新された後、SC18において、θがθlast+θstepに等しいか否かが判断される。このSC18の判断が否定される場合には、SC2以下の処理が再び実行されるが、SC18の判断が肯定される場合には、SC19において、サーチ範囲に制御用タグである前記基準タグ16が存在しないと判断された後、エラー終了させられる。
【0041】
図12は、図9に示すRFID制御の一部である通常タグ検索処理について説明するフローチャートである。この図12に示す制御では、先ず、SB1において、検索対象である無線タグ14との間で通信を行うためのコマンドビット列が前記コマンドビット列生成部24により生成され、前記FSK符号化部26によりFSK方式にて符号化される。次に、SB2において、SB1にて符号化されたコマンドビット列により前記AM変調部28にてAM方式の変調が行われ、その変調された信号が前記送信メモリ部30に記憶される。次に、SB3において、最大指向性方向を示す角度θを第1制御範囲角度θ1として前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの初期値が設定される。次に、SB4において、θが−70°乃至−30°の第1角度範囲、−20°乃至20°の第2角度範囲、及び30°乃至70°の第3角度範囲のうち何れの角度範囲に含まれるかが判断される。このSB4において、θが第1角度範囲である−70°乃至−30°に含まれると判断される場合には、SB5において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36bが選択され、SB6において、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに実際に設定される値に対応する角度であるθ′がθ+45°とされた後、SB11以下の処理が実行される。また、SB4において、θが第2角度範囲である−20°乃至20°に含まれると判断される場合には、SB7において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36aが選択され、SB8において、上記角度θ′がθと同値とされた後、SB11以下の処理が実行される。また、SB4において、θが第3角度範囲である30°乃至70°に含まれると判断される場合には、SB9において、前記アンテナ選択部42により前記アレイアンテナ36cが選択され、SB10において、上記角度θ′がθ−45°とされた後、SB11以下の処理が実行される。
【0042】
SB11の処理では、SB6、SB8、又はSB10にて設定されたθ′に対応する送受信ウェイトが前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタに設定される。次に、SB12において、前記送信メモリ部30に記憶された送信信号が読み出され、SB11にて設定された送信PAAウェイトが前記送信ウェイト掛算部32において掛け合わされた後、前記高周波送受信部40等を介してSB5、SB7、又はSB9にて選択されたアレイアンテナ36から送信される。次に、SB13において、SB12にて送信された送信信号に応じて前記無線タグ14から返信された返信信号が受信され、前記高周波送受信部40等を介して前記受信メモリ部44に記憶される。次に、SB14において、前記受信メモリ部44から受信信号が読み出され、SB11にて設定された受信PAAウェイトが前記受信ウェイト掛算部46において掛け合わされた後、受信信号が合成される。次に、SB15において、SB14にて合成された合成信号が前記AM復調部50においてAM方式にて復調される。次に、SB16において、SB15にて復調された復調信号が前記FSK復号部52においてFSK方式にて復号される。
【0043】
次に、SB17において、SB16にて復号された復号データが正常であるか否かが判断される。このSB17の判断が肯定される場合には、SB18において、前記無線タグ14が発見されてその無線タグ14からの情報が読み出された後、図9に示すRFID制御に復帰させられるが、SB17の判断が否定される場合には、SB19において、θに10°が加算されて前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48のウェイトレジスタの値が更新された後、SB20において、θが第2制御範囲角度θ2よりも大きいか否かが判断される。このSB20の判断が否定される場合には、SB4以下の処理が再び実行されるが、SB20の判断が肯定される場合には、SB21において、有効通信範囲内に前記無線タグ14は発見できなかったと判断されて、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SB3、SB11、SB19、SC9、及びSC17等が前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48の動作に対応する。
【0044】
このように、本実施例によれば、前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置12との間で情報の通信を行う基準タグ16を前記無線タグ通信システム10の通信領域である室18内に位置固定に備え、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を制御する指向性制御部である前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48(SB3、SB11、SB19、SC9、及びSC17)を有し、それら送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、前記基準タグ16との間の通信結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであることから、予め所定位置に配設された基準タグ16との間で情報の通信を行うことにより前記通信指向性の制御に関する範囲を得ることができる。すなわち、通信指向性の制御範囲を好適に設定し得る無線タグ通信システム10を提供することができる。
【0045】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により通信指向性を変化させて前記基準タグ16の存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグ14との間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部56(SA)を有するものであり、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48は、その有効通信範囲判定部56の判定結果に基づいて前記無線タグ14との間の通信指向性を制御するものであるため、前記通信指向性の制御に関する複数の有効通信範囲、無効通信範囲を把握することができ、その制御範囲を更に好適に設定することができる。
【0046】
また、前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグ16を位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部56は、それら複数の基準タグ16の存在する間の範囲を前記無線タグ14との間の有効通信範囲として判定するものであるため、前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0047】
また、前記基準タグ16は、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものであるため、その基準タグ16に記憶された境界条件情報を読み出すことにより前記通信指向性の制御範囲を実用的な態様で設定することができる。
【0048】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記基準タグ16との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部58(SC16)を有するものであるため、前記基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0049】
また、前記送信信号出力判定部58は、前記無線タグ14との間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものであるため、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0050】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部として機能する送信信号増幅器70を有し、前記送信信号出力判定部58は、その送信信号増幅器70を介して前記無線タグ14又は基準タグ16へ送信する送信信号の出力を制御するものであるため、それら無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を実用的な態様で制御することができる。
【0051】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記基準タグ16との間の通信結果を記憶するための受信メモリ部44を有するものであるため、前記基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0052】
また、前記受信メモリ部44は、前記有効通信範囲判定部56の判定結果を記憶し得るものであるため、前記基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0053】
また、前記受信メモリ部44は、前記有効通信範囲判定部56の判定結果をその判定の基準とされた前記基準タグ16毎に複数記憶し得るものであるため、前記複数の基準タグ16により複合的に或いは分割的に前記有効通信範囲が定められる場合であっても、それら複数の基準タグ16との間で必要にして十分な回数の通信を行ってその通信結果を前記受信メモリ部44に記憶し、その受信メモリ部44に記憶された情報を適宜読み出すことにより通信指向性の制御範囲を好適に設定することができる。
【0054】
また、前記受信メモリ部44は、前記送信信号出力判定部58の判定結果を記憶し得るものであるため、過去の通信において前記受信メモリ部44に記憶された設定を読み出すことにより前記無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行うための電力を通信開始から可及的に抑えることができる。
【0055】
また、前記無線タグ通信装置12は、複数の棒状アンテナ素子62を有するアレイアンテナ36を備えたものであるため、前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性を実用的な態様で制御することができる。
【0056】
また、前記アレイアンテナ36は、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子62p、62vから成る複数の円偏波アンテナユニット60を有するものであるため、円偏波を用いることで前記アレイアンテナ36と前記無線タグ14又は基準タグ16との相対位置関係によらずに感度の安定した通信を実現できる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0058】
図13は、前述の実施例における無線タグ通信システム10に基準タグ16を追加して設けた構成を説明する図である。この図13に示す無線タグ通信システム10では、前述した図1に示す基準タグ16a、16bに加え、前記室18の床におけるそれら基準タグ16a、16bの間に基準タグ16c、16d、16e、16fが位置固定に設けられている。斯かる構成では、上記基準タグ16a及び16cの存在する間の範囲を第1有効通信範囲、基準タグ16d及び16cの存在する間の範囲を第2有効通信範囲、基準タグ16f及び16bの存在する間の範囲を第3有効通信範囲というように、前記無線タグ14との間の有効通信範囲を分割的に判定することができる。例えば、上記基準タグ16c及び16dの存在する間や基準タグ16e及び16fの存在する間に柱等があってその範囲内に前記物品20を置くことができない場合、斯かる範囲をサーチすることは余分な時間及び電力の消費となるが、このように前記無線タグ14との間の有効通信範囲を分割的に判定することで、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うための電力を可及的に抑えることができる。
【0059】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34、受信PAAウェイト制御部48、有効通信範囲判定部56、及び送信信号出力判定部58等をそれぞれ個別の制御装置として備えたものであったが、例えば、それらと等価な制御機能をDSP(Digital Signal Processor)等の所定の制御装置に機能的に備えたものであっても構わない。また、それら制御機能による処理は、ディジタル信号処理であるとアナログ信号処理であるとを問わない。
【0060】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34により送信指向性を制御すると共に、前記受信PAAウェイト制御部48により受信指向性を制御するものであったが、何れか一方の指向性制御のみを行うものであっても構わず、そのような構成においても本発明の一応の効果は得られる。
【0061】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記送信PAAウェイト制御部34及び受信PAAウェイト制御部48により前記無線タグ14又は基準タグ16との間の通信指向性の制御を行うものであったが、例えば、機械的に方向を変更し得るアンテナを備えたアンテナユニットを用いて、そのアンテナの方向を変更することによって最大指向性方向の制御を行うものであってもよい。また、前記無線タグ14又は基準タグ16との間で情報の通信を行い得るアンテナであれば円偏波アレイアンテナに限られないことは言うまでもなく、設計に応じて様々なアンテナが適宜選択されて用いられる。
【0062】
また、前述の実施例において、前記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果は、何れも前記受信メモリ部44に記憶されるものであったが、例えば、前記送信信号出力判定部58の判定結果は前記送信メモリ部30に記憶されるものであっても当然に構わない。また、前記受信メモリ部44とは別に前記有効通信範囲判定部56及び送信信号出力判定部58の判定結果を記憶するためのメモリ部が設けられたものであってもよい。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ通信システムを説明する図である。
【図2】図1の無線タグ通信システムに備えられた無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図2の無線タグ通信装置に備えられたアレイアンテナの構成を概略的に示す図である。
【図4】図3のアレイアンテナを構成する図1の室の天井と平行に設けられる棒状アンテナ素子の軸方向からそのアレイアンテナを視た正面図である。
【図5】図2の無線タグ通信装置に備えられた送信ウェイト掛算部の構成を詳しく説明する図である。
【図6】図2の無線タグ通信装置に備えられた高周波送受信部の構成を詳しく説明する図である。
【図7】図2の無線タグ通信装置に備えられた受信ウェイト掛算部の構成を詳しく説明する図である。
【図8】図1の無線タグ通信システムの通信対象である無線タグ及び基準タグに備えられた無線タグ回路素子の構成を説明する図である。
【図9】図2の無線タグ通信装置によるRFID制御の要部を説明するフローチャートである。
【図10】図9に示すRFID制御の一部であるPAA制御範囲設定処理について説明するフローチャートである。
【図11】図10に示すPAA制御範囲設定処理の一部である範囲設定処理について説明するフローチャートである。
【図12】図9に示すRFID制御の一部である通常タグ検索処理について説明するフローチャートである。
【図13】図1に示す無線タグ通信システムに基準タグを追加して設けた構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
10:無線タグ通信システム
12:無線タグ通信装置
14:無線タグ
16:基準タグ
18:室(通信領域)
34:送信PAAウェイト制御部(指向性制御部)
36:アレイアンテナ
44:受信メモリ部
48:受信PAAウェイト制御部(指向性制御部)
56:有効通信範囲判定部
58:送信信号出力判定部
60:円偏波アンテナユニット
62:棒状アンテナ素子
70:送信信号増幅器(送信出力可変部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、該送信信号に応じて無線タグから返信される返信信号を受信して該無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムであって、
前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、
前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、該指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものであることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項2】
前記無線タグ通信装置は、前記指向性制御部により通信指向性を変化させて前記基準タグの存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグとの間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部を有するものであり、前記指向性制御部は、該有効通信範囲判定部の判定結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものである請求項1の無線タグ通信システム。
【請求項3】
前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグを位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部は、それら複数の基準タグの存在する間の範囲を前記無線タグとの間の有効通信範囲として判定するものである請求項2の無線タグ通信システム。
【請求項4】
前記基準タグは、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものである請求項2又は3の無線タグ通信システム。
【請求項5】
前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部を有するものである請求項1から4の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項6】
前記送信信号出力判定部は、前記無線タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものである請求項5の無線タグ通信システム。
【請求項7】
前記無線タグ通信装置は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部を有し、前記送信信号出力判定部は、該送信出力可変部を介して前記無線タグ又は基準タグへ送信する送信信号の出力を制御するものである請求項5又は6の無線タグ通信システム。
【請求項8】
前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信結果を記憶するためのメモリ部を有するものである請求項1から7の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項9】
前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を記憶し得るものである請求項8の無線タグ通信システム。
【請求項10】
前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を該判定の基準とされた前記基準タグ毎に複数記憶し得るものである請求項9の無線タグ通信システム。
【請求項11】
前記メモリ部は、前記送信信号出力判定部の判定結果を記憶し得るものである請求項8から10の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項12】
前記無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナを備えたものである請求項1から11の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項13】
前記アレイアンテナは、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子から成る複数の円偏波アンテナユニットを有するものである請求項12の無線タグ通信システム。
【請求項1】
無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、該送信信号に応じて無線タグから返信される返信信号を受信して該無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムであって、
前記送信信号に応じて所定の返信信号を返信することで前記無線タグ通信装置との間で情報の通信を行う基準タグを前記無線タグ通信システムの通信領域内に位置固定に備え、
前記無線タグ通信装置は、前記無線タグ又は基準タグとの間の通信指向性を制御する指向性制御部を有し、該指向性制御部は、前記基準タグとの間の通信結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものであることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項2】
前記無線タグ通信装置は、前記指向性制御部により通信指向性を変化させて前記基準タグの存在する位置を検出することにより予め定められた前記無線タグとの間の有効通信範囲を判定する有効通信範囲判定部を有するものであり、前記指向性制御部は、該有効通信範囲判定部の判定結果に基づいて前記無線タグとの間の通信指向性を制御するものである請求項1の無線タグ通信システム。
【請求項3】
前記有効通信範囲の外縁に相当する位置に複数の前記基準タグを位置固定に備え、前記有効通信範囲判定部は、それら複数の基準タグの存在する間の範囲を前記無線タグとの間の有効通信範囲として判定するものである請求項2の無線タグ通信システム。
【請求項4】
前記基準タグは、前記有効通信範囲の境界条件を示す境界条件情報を記憶するものである請求項2又は3の無線タグ通信システム。
【請求項5】
前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定する送信信号出力判定部を有するものである請求項1から4の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項6】
前記送信信号出力判定部は、前記無線タグとの間の通信が成立し得る最小の大きさの前記送信信号を送信するための出力を判定し得るものである請求項5の無線タグ通信システム。
【請求項7】
前記無線タグ通信装置は、前記送信信号の出力を変更するための送信出力可変部を有し、前記送信信号出力判定部は、該送信出力可変部を介して前記無線タグ又は基準タグへ送信する送信信号の出力を制御するものである請求項5又は6の無線タグ通信システム。
【請求項8】
前記無線タグ通信装置は、前記基準タグとの間の通信結果を記憶するためのメモリ部を有するものである請求項1から7の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項9】
前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を記憶し得るものである請求項8の無線タグ通信システム。
【請求項10】
前記メモリ部は、前記有効通信範囲判定部の判定結果を該判定の基準とされた前記基準タグ毎に複数記憶し得るものである請求項9の無線タグ通信システム。
【請求項11】
前記メモリ部は、前記送信信号出力判定部の判定結果を記憶し得るものである請求項8から10の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項12】
前記無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナを備えたものである請求項1から11の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項13】
前記アレイアンテナは、それぞれ互いに直交する1対の棒状アンテナ素子から成る複数の円偏波アンテナユニットを有するものである請求項12の無線タグ通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−319710(P2006−319710A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140822(P2005−140822)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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