説明

無線中継通信システム、無線通信システム、移動局装置データベース、基地局装置、無線局装置、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体

【課題】複雑なアドホックネットワークシステムを導入せずに、現状のLTE規格に規定されている無線アクセス方法、通信プロトコルを利用して、移動局装置の送受信信号を中継することを可能とする。
【解決手段】基地局装置12a、移動局装置10a、無線局装置11aにより構成される無線中継通信システムにおいて、無線局装置11aが、移動局装置10aの1つとして基地局装置12aと通信を行う移動局装置モードと、基地局装置12aと移動局装置10aの通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替制御信号を受信し、モード切替制御信号により移動局装置モードへのモードの切り替えが指示された場合に、移動局装置10aの1つとして基地局装置12aと通信を行い、モード切替制御信号により中継局装置モードへのモードの切り替えが指示された場合に、基地局装置12aと移動局装置10aの通信を中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継通信システム、無線通信システム、移動局装置データベース、基地局装置、無線局装置、集積回路、コンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワークの進化(以下、「Long Term Evolution(LTE)」、または、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (EUTRA)」と称する。)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project: 3GPP)において検討されている。
【0003】
LTEでは、基地局装置から移動局装置への無線通信である下り回線DL(Downlink)の通信方式として、マルチキャリア送信である直交周波数分割多重OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が用いられる。
【0004】
また、移動局装置から基地局装置への無線通信である上り回線UL(Uplink)の通信方式として、シングルキャリア送信であるSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。
【0005】
(LTEの無線フレーム(Radio Frame)の構成)
LTEの無線フレーム構成は、それぞれType1のFDD(Frequency Division Duplex)モード、及びType2のTDD(Time Division Duplex)モードに分類されている。
【0006】
2つのモードでは、1つの無線フレームが10個のサブフレームにより構成され、1つのサブフレームが2つのスロットにより構成される。1つのサブフレームには、複数の物理リソースブロックPRB(Physical Resource Block)が構成され、1つの物理リソースブロックPRBには、周波数軸方向に12個のOFDMサブキャリアSC(Sub-carrier)が構成され、時間軸方向に複数のOFDMシンボルの集合である1つのスロットが構成される。
【0007】
周波数軸方向には複数の物理リソースブロックPRBが連続して配置される。1つの物理リソースブロックPRBには、複数のリソースエレメントRE(Resource Element)が含まれる。1つのリソースエレメントREは、周波数軸の1つのOFDMサブキャリアSCと時間軸の1つのOFDMシンボルにより構成されている。その詳細は、例えば、非特許文献1などに記載されているため、ここではその説明を省略する。
【0008】
(LTEの中継技術)
LTEでは、サービスエリアの拡大、ホットスポットのサポート及び電波不良エリア対策などのために、中継技術が導入されている。図17は、LTEの中継技術について説明する図である。
【0009】
図17に示すように、移動局装置UE(User Equipment)1a〜1cは中継ノードRN(Relay Node)と呼ばれる中継局装置2a〜2cと通信し、中継局装置2a〜2cは親基地局装置DeNB(Doner eNodeB)3aと通信する。
【0010】
中継局装置2a〜2cは無線バックホール回線(Unインターフェース)4a〜4cを経由して親基地局装置3aに無線接続され、移動局装置1a〜1cは無線アクセス回線(Uuインターフェース)5a〜5cを経由して中継局装置2a〜2cに接続する。
【0011】
親基地局装置3aは複数の中継局装置2a〜2cに中継接続を提供するだけではなく、中継接続を経由せずに移動局装置1dと無線アクセス回線5dを経由して直接通信することもできる。その詳細は、例えば、非特許文献2、3に記載されているため、ここではその説明を省略する。
【0012】
(LTE物理チャネルの構成)
図18は、LTE物理チャンネルの構成について示す図である。図18に示すように、基地局装置3aと移動局装置1dとは、無線アクセス回線5dにより接続される。無線アクセス回線5dには、複数のLTEの物理チャネルが含まれる。
【0013】
LTE物理チャネルは、基地局装置3aから移動局装置1dへの情報送信に用いられる下り回線における物理下り回線チャネルと、移動局装置から基地局装置への情報送信に用いられる上り回線における物理上り回線チャネルがある。
【0014】
物理下り回線チャネルには、下り回線参照信号DLRS(Downlink Reference Signals)、同期シグナルSS(Synchronization Signals)、物理報知チャネルPBCH(Physical Broadcast Channel)、物理下り回線制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)、物理下り回線共用チャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、物理マルチキャストチャネルPMCH(Physical Multicast Channel)、物理制御フォーマットインディケータチャネルPCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、及び、物理HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)インディケータチャネルPHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)が含まれる。
【0015】
物理上り回線チャネルには、上り回線参照信号ULRS(Uplink Reference Signals)、物理上り回線制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)、物理上り回線共用チャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、及び、物理ランダムアクセスチャネルPRACH(Physical Random Access Channel)が含まれる。各物理チャネルの詳細構成と機能は、例えば、非特許文献2や他のLTE仕様書に記載されているため、ここではそれらの説明を省略する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211 V10.1.0. Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation (Release 10). [online]. 3rd Generation Partnership Project, 2011. [retrieved on 2011-08-05]. Retrieved from the Internet: <URL: http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36211.htm>.
【非特許文献2】3GPP TS 36.300 V10.3.0. Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 10). [online]. 3rd Generation Partnership Project, 2011. [retrieved on 2011-08-05]. Retrieved from the Internet: <URL: http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36300.htm>.
【非特許文献3】3GPP TS 36.216 V10.2.0. Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer for relaying operation (Release 10). [online]. 3rd Generation Partnership Project, 2011. [retrieved on 2011-08-05]. Retrieved from the Internet: <URL: http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36216.htm>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
移動通信ネットワークでは、災害時に輻輳が発生するという問題がある。それだけでなく、停電や通信設備が破壊されて通信が途絶したり、基地局装置が停波状態となって、通信が途絶するエリアが生じたりすることもある。このような場合、何らかの手段で、移動局装置が外部と通信を行うことを可能とする通信継続エリアを設置することが要望される。
【0018】
また、基地局装置のサービスエリアが点在する山岳地帯、人口過疎地帯などにおいてサービスエリアエッジの無線電波が弱かったり、気候により電波減衰が増加したり、周辺電波の干渉が発生したりするなどの影響で、無線電波が不安定となることがある。例えば、悪天候によって山岳事故などが発生した場合、サービスエリアエッジにおいて臨時に通信を確保することを可能とするサービス拡大エリアを増設することが要望される。
【0019】
また、基地局装置のサービスエリア内であってもビルの内部やビルの陰、地下などでは無線電波が弱かったり、気候により電波減衰が増加したり、周辺電波の干渉が発生したり、特定エリアにおけるユーザ数が急増したりするなどの影響で、無線電波が不安定となることがある。このような場合も、電波の品質を改善した電波改善エリアを確保することが要望される。
【0020】
また、サービスエリアエッジにおいてイベントが開催されており、ユーザ数が増加したような場合、隣接基地局装置に対する干渉が増加することがある。このような場合も、干渉を低減するよう要求する隣接基地局装置からの通知に対して、干渉を低減した干渉低減エリアを設置することが要望される。
【0021】
上記のような問題に対して、アドホックネットワークを利用することが検討されている。アドホックネットワークとは、通信インフラを利用せず、端末相互が通信し合うことで形成されるネットワークである。
【0022】
上記の通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアにおいてアドホックネットワークを構築し、アドホックネットワークを経由して、各エリアにおける移動局装置と基地局装置との間の通信を中継することにより、無線接続の維持が可能となる。
【0023】
そして現在、各サービスエリアから他の移動局装置を経由して、基地局装置と接続できる通信経路をどうやって見つけるか、各サービスエリア内にある移動局装置の位置管理をどうするか、各移動局装置の相互連携機能、中継機能をどう実現するかが検討課題となっている。
【0024】
本発明は、上記課題に鑑み、複雑なアドホックネットワークシステムを導入せずに、現状のLTE規格に規定されている無線アクセス方法、通信プロトコルを利用して、通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアを設置することにより、移動局装置の送受信信号を中継することを可能とする無線中継通信システム、無線通信システム、移動局装置データベース、基地局装置、無線局装置、集積回路、コンピュータプログラム、および、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムであって、前記無線局装置は、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替制御信号を受信し、該モード切替制御信号により前記移動局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記モード切替制御信号により前記中継局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継することを特徴とする。
【0026】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記基地局装置は、前記モード切替制御信号を前記無線局装置に送信し、前記無線局装置は、前記基地局装置により送信された前記モード切替制御信号を受信することを特徴とする。
【0027】
本発明の第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記無線局装置は、前記基地局装置以外の外部装置により送信された前記モード切替制御信号、または、ユーザにより入力された前記モード切替制御信号を受信することを特徴とする。
【0028】
本発明の第4の技術手段は、第2の技術手段において、前記無線局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードとの間でモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記モード切替能力情報に基づいて、前記無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする。
【0029】
本発明の第5の技術手段は、第2の技術手段において、前記無線局装置は、該無線局装置の位置を示す位置情報を前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記位置情報に基づいて前記無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする。
【0030】
本発明の第6の技術手段は、第2の技術手段において、前記基地局装置は、該基地局装置と前記移動局装置との間の通信を可能とするエリアを決定し、前記エリア内にある前記移動局装置との間の通信を中継する無線局装置を選択し、選択した無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする。
【0031】
本発明の第7の技術手段は、ネットワーク制御部、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線通信システムであって、前記ネットワーク制御部は、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる無線局装置を選択し、該無線局装置を管理する前記基地局装置に中継局装置設置要求信号を送信し、前記基地局装置は、該中継局装置設置要求信号を受信した場合、前記ネットワーク制御部により選択された無線局装置に対して、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードから、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードに前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を送信し、前記無線局装置は、前記モード切替制御信号により前記中継局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継することを特徴とする。
【0032】
本発明の第8の技術手段は、基地局装置と移動局装置の通信の中継管理に用いられる移動局装置データベースであって、前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替能力が各移動局装置にあるか否かを示すモード切替能力情報と、各移動局装置の位置情報とを記憶し、前記中継を行う移動局装置は、前記モード切替能力情報と前記位置情報とに基づいて決定されることを特徴とする。
【0033】
本発明の第9の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置であって、前記移動局装置の1つとして前記無線局装置に前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記無線局装置に前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御部を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の第10の技術手段は、第9の技術手段において、前記基地局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記無線局装置から受信し、前記モード切替制御部は、前記モード切替能力情報に基づいて、前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする。
【0035】
本発明の第11の技術手段は、第9の技術手段において、前記基地局装置は、前記無線局装置の位置を示す位置情報を受信し、前記モード切替制御部は、前記位置情報に基づいて、前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする。
【0036】
本発明の第12の技術手段は、第9の技術手段において、前記モード切替制御部は、前記基地局装置と前記移動局装置との間の通信を可能とするエリアを決定し、該エリア内にある前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする。
【0037】
本発明の第13の技術手段は、第9〜第12のいずれかの技術手段において、前記基地局装置は、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を前記無線局装置に送信することを特徴とする。
【0038】
本発明の第14の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置であって、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替処理部と、前記移動局装置モードにおいては前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記中継局装置モードにおいては前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0039】
本発明の第15の技術手段は、第14の技術手段において、前記無線局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記基地局装置に送信することを特徴とする。
【0040】
本発明の第16の技術手段は、第14の技術手段において、前記無線局装置は、前記無線局装置の位置を示す位置情報を前記基地局装置に送信することを特徴とする。
【0041】
本発明の第17の技術手段は、第14〜第16のいずれかの技術手段において、前記無線局装置は、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を前記基地局装置から受信し、前記モード切替処理部は、前記モード切替制御信号に基づいて、前記モードを切り替えることを特徴とする。
【0042】
本発明の第18の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置が備える集積回路であって、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御部を備えることを特徴とする。
【0043】
本発明の第19の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置が備える集積回路であって、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかに、モードを切り替えるモード切替処理部と、前記移動局装置モードにおいては前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記中継局装置モードにおいては前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0044】
本発明の第20の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置の制御を行うコンピュータプログラムであって、前記移動局装置の1つとして前記無線局装置に前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記無線局装置に前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0045】
本発明の第21の技術手段は、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置の制御を行うコンピュータプログラムであって、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0046】
本発明の第22の技術手段は、上記コンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、必要とされる通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアを設置することができるようになり、基地局装置と移動局装置との間の送受信信号を中継することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。
【図2】本発明に係る無線中継通信システムによる中継エリアを形成する一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るFDDモードの無線局装置の構成の一例を示す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るTDDモードの無線局装置の構成の一例を示す概念図である。
【図6】基地局装置におけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】無線局装置におけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】FDDモードの中継システムにおける上り回線および下り回線の無線フレーム構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る中継システムの中継処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。
【図11】基地局装置におけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る無線中継通信システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る無線局装置のFDDモードにおける構成の一例を示す概念図である。
【図15】無線局装置におけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。
【図17】LTEの中継技術について説明する図である。
【図18】LTE物理チャンネルの構成について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、3GPP規格において分類されている中継局装置の種別について説明する。
【0050】
(中継局装置の種別)
3GPP規格では、中継局装置をType1とType2とに分類している。Type1の中継局装置は、基地局装置と異なる物理層固有のセル番号PIC(Physical Cell ID)、同期信号(Synchronization Signals)とリファレンス信号(Reference Signals)を送信する。移動局装置は、スケジューリング情報とHARQ フィードバックを中継局装置から直接受け取り、移動局装置の制御チャネルを中継局装置に送信する。Type1中継局装置は、移動局装置からは基地局装置eNB(eNodeB)のように見える。
【0051】
一方、Type2中継局装置は固有のセル番号を持たないため、移動局装置は、基地局装置から送信された信号と中継局装置から送信された信号の違いを見分けることができない。この構成では、基地局装置から制御情報を送信し、中継局装置を経由してデータを送信することが可能であるが、3GPPではこの点に関して継続審議中である。
【0052】
また、中継局装置は、レイヤに基づき、レイヤ1中継局装置、レイヤ2中継局装置、レイヤ3中継局装置に分類することができる。
【0053】
レイヤ1中継局装置は、基地局装置からの下り回線受信RF(Radio Frequency)信号を電力増幅して移動局装置に送信するAF(Amplifier and Forward)型中継局装置である。レイヤ2中継局装置は、基地局装置からの下り回線RF信号を復調・復号後、再度符号化・変調を行い、移動局装置に送信するDF(Decode and Forward)型中継局装置である。レイヤ3中継局装置は、基地局装置からの下り回線RF信号の復調・復号処理に加えて、ユーザデータを再生してから再度無線でユーザデータ伝送を行うための処理を行い、符号化・変調後に移動局装置に送信する中継局装置である。Type1中継局装置、Type2中継局装置は、レイヤ2中継局装置またはレイヤ3中継局装置である。
【0054】
(第1の実施形態)
(無線中継通信システムの構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。この無線中継通信システムは、移動局装置10a〜10d、無線局装置11a、基地局装置12a、および無線通信システムのネットワーク制御部であるMME/S−GW(Mobility Management Entity/Serving Gateway)部13を備える。
【0055】
移動局装置10a〜10dは、従来の移動局装置UE(User Equipment)である。移動局装置10cは、無線アクセス回線(Uuインターフェース)を経由して基地局装置12aに接続している。
【0056】
この無線アクセス回線(Uuインターフェース)には、図18に示したように、複数の下り回線物理チャネルあるいは信号、すなわち、DLRS、SS、PBCH、PDCCH、PDSCH、PCFICH、PHICHと、複数の上り回線物理チャネルあるいは信号、すなわち、ULRS、PUCCH、PUSCH、PRACHとが含まれる。
【0057】
基地局装置12aのサービスエリア内にある移動局装置10cと基地局装置12aは、LTEの仕様書に規定されている無線アクセス回線形式、通信プロトコル及びシグナリングプロシージャで動作する。一方、本発明の第1の実施形態に係る無線局装置11aは、従来の移動局装置UE機能と中継局装置RN機能の両方を備えており、中継局装置RN機能により移動局装置10a、10b、10dと基地局装置12aとの間の通信を中継する。
【0058】
(基地局装置の構成)
図2は、本発明に係る無線中継通信システムによる中継エリアを形成する第1例を示す図である。この無線中継通信システムは、移動局装置10a〜10d、無線局装置11a〜11d、基地局装置12a〜12cおよびMME/S−GW部13を備える。
【0059】
通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアを設置する場合、図1、図2に示した基地局装置12aは、移動局装置モードと中継局装置モードの切り替えを制御するモード切替制御部12a2を用いて、無線局装置11a〜11dの移動局装置モードと中継局装置モードの間でのモードの切り替えの要否を判断する。モード切替制御部12a2については、後に詳しく説明する。
【0060】
そして、基地局装置12aは、移動局装置モードから中継局装置モードへのモードの切り替えが必要と判断されたとき、無線局装置11a〜11dに移動局装置モードから中継局装置モードへのモードの切り替えを制御するモード切替制御信号を無線局装置11a〜11dに送信する。
【0061】
無線局装置11a〜11dは移動局装置モードと中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替処理部11a8を用いて、移動局装置モードから中継局装置モードにモードを切り替え、中継局モードの初期接続手順を通じ、基地局装置12aに再接続する。
【0062】
基地局装置12aは、図1に示したように、中継局装置モードに切り替わった無線局装置11a〜11dに対して親基地局装置となり、無線バックホール回線(Unインターフェース)14a〜14dを経由して、無線局装置11a〜11dとの接続を確立する。
【0063】
そして、無線局装置11a〜11dは、移動局装置10a〜10dの無線アクセス回線(Uuインターフェース)15a〜15dを中継する。これにより、無線局装置11a〜11dは、必要に応じて、通信継続エリア、サービス拡大エリア、干渉低減エリア、または、電波改善エリアを形成する。
【0064】
無線バックホール回線(Unインターフェース)14a〜14dには、図18で説明した複数の下り回線物理チャネルあるいは信号(DLRS、SS、PBCH、PDCCH、PDSCH、PCFICH、PHICH)、複数の上り回線物理チャネルあるいは信号(ULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH)以外に、後述する中継局用物理下り回線制御チャネルR−PDCCH(Relay-Physical Downlink Control Channel)が含まれる。
【0065】
つぎに、基地局装置12a〜12dの構成について説明する。なお、基地局装置12a〜12dはすべて同じ構成を含んでいるので、ここでは、基地局装置12aの構成について説明する。
【0066】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置12aの構成の一例を示す概念図である。基地局装置12aは、インターフェース部12a1、上位レイヤ処理部12a2、物理チャネル抽出部12a3、多重部12a4、送信部12a5、送信アンテナ部12a6、受信アンテナ部12a7、受信部12a8、多重分離部12a9、物理チャネル生成部12a10、制御部12a11を備える。
【0067】
物理チャネル抽出部12a3は、ULRS(Uplink Reference Signals)抽出部12a3、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)抽出部12a3、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)抽出部12a3、PRACH(Physical Random Access Channel)抽出部12a3を備える。
【0068】
また、物理チャネル生成部12a10は、DLRS(Downlink Reference Signals)生成部12a10、SS(Synchronization Signals)生成部12a10、PBCH(Physical Broadcast Channel)生成部12a10、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)生成部12a10、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)生成部12a10、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)生成部12a10、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)生成部12a10、R−PDCCH(Relay Physical Downlink Control Channel)生成部12a10を備える。
【0069】
インターフェース部12a1は、MME/S−GW部13に接続し、ユーザデータ及び制御データを送受信する。
【0070】
上位レイヤ処理部12a2は、インターフェース部12a1を通じて、MME/S−GW部13に接続し、上位レイヤのユーザデータおよび制御データの生成処理および抽出処理を行う。また、上位レイヤ処理部12a2は、各種の通信プロトコルおよびプロシージャ処理を行う。
【0071】
上位レイヤ処理部12a2は、移動局装置モードと中継局装置モードの間におけるモードの切り替えを制御するモード切替制御部12a2を備える。モード切替制御部12a2は、無線局装置11a〜11dについて、移動局装置モードから中継局装置モードへのモードの切り替えの要否を判断する。
【0072】
そして、モード切替制御部12a2は、中継局装置モードへの切り替えが必要と判断したとき、モード切替制御信号を、物理下り回線共用チャネルPDSCHを通じて、RRC(Radio Resource Control)シグナリングにより、無線局装置11a〜11dに送信する。このモード切替制御信号については、後に詳しく説明する。
【0073】
DLRS生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力された制御データを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した参照信号データを生成し、生成した参照信号データを多重部12a4に出力する。
【0074】
SS生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力されたセル番号PICに応じて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したプライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルデータを生成し、生成したプライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルデータを多重部12a4に出力する。
【0075】
PBCH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力された、セル内の移動局装置で共通に用いられるパラメータ(報知情報、システム情報)を用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した上位レイヤの報知データ生成し、生成した報知データを多重部12a4に出力する。
【0076】
PDCCH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力されたページングデータ、ユーザデータ、上り回線ユーザデータに関連するHARQ(Hybrid automatic repeat request)データの無線リソース割り当て情報、上り回線スケジューリング許可(Uplink Scheduling Grant)などのPDCCHデータを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した上位レイヤの下り回線制御データを生成し、生成した下り回線制御データを多重部12a4に出力する。
【0077】
PDSCH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力されたユーザデータ、制御データ、ページングデータなどを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した上位レイヤの下り回線共有データを生成し、生成した下り回線共有データを多重部12a4に出力する。
【0078】
PCFICH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力されたPDCCHが占めるOFDMシンボル数のデータを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した上位レイヤの物理制御フォーマットインディケータチャネルPCFICHデータを生成し、生成した物理制御フォーマットインディケータチャネルPCFICHデータを多重部12a4に出力する。
【0079】
PHICH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力された上り回線ユーザデータに対するHARQのACK/NACKデータを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した物理HARQインディケータチャネルPHICHデータを生成し、生成した物理HARQインディケータチャネルPHICHデータを多重部12a4に出力する。
【0080】
R−PDCCH生成部12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力された中継局装置の制御データを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した上位レイヤの物理下り回線制御チャネルR―PDCCHデータを生成し、生成した物理下り回線制御チャネルR―PDCCHデータを多重部12a4に出力する。そして、基地局装置12aは、所管の中継局装置に対して、制御データを送信する。
【0081】
上記の各下り回線物理チャネル生成部12a10〜12a10は、上位レイヤ処理部12a2から出力されたユーザデータ、制御データに対して、スクランブリング処理(Scrambling Processing)、変調処理(Modulation Processing)、レイヤマッピング処理(Layer Mapping Processing)、プリコーディング処理(Precoding Processing)を行っている。これらの処理の詳細は、非特許文献1などのLTEの仕様書に規定されているため、ここではその説明を省略する。
【0082】
多重部12a4は、上記の各下り回線物理チャネル生成部12a10〜12a10から送られてきた各所定位置のリソースエレメントREまたはリソースブロックRBに対応した各下り回線物理チャネルデータに対して、リソースエレメントマッピング処理(Resource Element Mapping Processing)を行い、さらに高速逆フーリエ変換IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)、ガードインターバルGI(Guard Interval)の挿入、ディジタルアナログ変換DAC(Digital-Analog Conversion)を行ってOFDMアナログ信号を生成し、OFDMアナログ信号を送信部12a5に出力する。
【0083】
送信部12a5は、多重部12a4から出力されたOFDMアナログ信号に対し、帯域幅制限などのフィルタ処理、直交変調処理を行って所定のRF信号を生成し、さらにRF信号を所定の出力電力に増幅して送信アンテナ部12a6に出力する。
【0084】
なお、図3には、1つの送信アンテナ部12a6および1つの送信部12a5を示したが、各下り回線物理チャネル生成部12a10〜12a10のレイヤマッピング処理に応じて、複数の送信アンテナ部および複数の送信部を備えることとしてもよい。
【0085】
受信部12a8は、受信アンテナ部12a7から所定の上り回線物理チャネルのRF信号を受信し、増幅、周波数変換、フィルタ処理、直交復調処理などを行い、その結果得られた上り回線物理チャネル信号を多重分解部12a9に出力する。
【0086】
なお、図3には、1つの受信アンテナ部12a7および1つの受信部12a8を示したが、後述する各上り回線物理チャネル生成部12a3〜12a3のレイヤマッピング処理に応じて、複数の受信アンテナ部および複数の受信部を備えることとしてもよい。
【0087】
また、図3には、送信アンテナ部12a6と受信アンテナ部12a7とを別々に示したが、FDDモードの基地局装置12aではアンテナ共用器DUP(Diplexer)を、TDDモードの基地局装置12aではアンテナ切替部SW(Switch)を用いることにより、1つの共用アンテナを使用することもできる。
【0088】
多重分解部12a9は、移動局装置10a〜10dから受信した上り回線物理チャネル信号に対してアナログディジタル変換ADC(Analog-Digital Conversion)を行い、さらにOFDMシンボルタイミング検出、ガードインターバルGI除去、高速フーリエ変換FFT(Fast Fourier Transform)を行ってベースバンドデータを生成し、生成したベースバンドデータを各上り回線物理チャネル抽出部12a3〜12a3に出力する。
【0089】
ULRS抽出部12a3は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したサウンディングリファレンスシグナルSRS(Sounding Reference Signal)データを抽出し、抽出したサウンディングリファレンスシグナルSRSデータを上位レイヤ処理部12a2に出力する。
【0090】
そして、上位レイヤ処理部12a2は、サウンディングリファレンスシグナルSRSのデータから上り回線チャネルのOFDMシンボルタイミングの推定、上り回線無線伝搬路状況の推定を行い、PDCCHを通じて、上り回線無線リソースのスケジューリング(リソースの割り当てや変調方式、符号化率の決定など)を行う。
【0091】
PUCCH抽出部12a3は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理上り回線制御チャネルPUCCHデータを抽出し、抽出した物理上り回線制御チャネルPUCCHデータを上位レイヤ処理部12a2に出力する。
【0092】
上り回線制御チャネルPUCCHデータには、移動局装置の下り回線チャネル状態情報CSI(Channel Statement Information)や、チャネル品質識別子CQI(Channel Quality Indication)、プレコーディングマトリックス識別子PMI(Precoding Matrix Indicator)、ランク識別子RI(Rank Indicator)が含まれる。
【0093】
また、上り回線制御チャネルPUCCHデータには、下り回線トランスポートブロックに対するHARQにおけるACK/NACKを示す情報、移動局装置が上り回線データを送信するためのリソースの割り当てを要求するスケジューリング要求などの情報が含まれる。そして、上位レイヤ処理部12a2は、各種の通信プロトコルおよびプロシージャ処理を行う。
【0094】
PUSCH抽出部12a3は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理上り共用制御チャネルPUSCHデータを抽出し、抽出した物理上り共用制御チャネルPUSCHデータを上位レイヤ処理部12a2に出力する。上り回線共用チャネルPUSCHデータには、主に上り回線のユーザデータと上り回線制御データ、下り回線の受信品質やACK/NACKなどの制御データが含まれる。
【0095】
PRACH抽出部12a3は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータを抽出し、抽出した物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータを上位レイヤ処理部12a2に出力する。
【0096】
物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータには、移動局装置の上り回線制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上り回線送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求などの情報が含まれる。そして、上位レイヤ処理部により、各種の通信プロトコルおよびプロシージャ処理が行われる。
【0097】
上記の各上り回線物理チャネル抽出部12a3〜12a3は、復調処理(Demodulation Processing)、復号処理(Decoding Processing)、ディスクランブリング処理(Descrambling Processing)などを行っている。これらの処理の詳細は、LTEの仕様書に規定されているため、ここではその説明を省略する。
【0098】
制御部12a11は、各ブロックの制御を行う。例えば、制御部12a11は、各ブロックのタイミング制御、オンオフ制御、上り回線無線伝搬路状況の測定、上りおよび下り回線の無線リソーススケジューリング、所定の通信プロトコルおよびプロシージャの処理などを行う。
【0099】
なお、ここでは、基地局装置12aが、OFDM信号の送受信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基地局装置12aは、回路ブロックの機能変更により、無線局装置11aによりSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で送信された上り回線信号、すなわち、図1に示した上り無線バックホール回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号を、SC−FDMA方式で受信してもよい。
【0100】
例えば、基地局装置12aは、上り周波数帯域連続のSC−FDMA信号、または上り周波数帯域非連続のSC−FDMA(Clustered Discrete Fourier Transform Spread OFDM)信号を用いて、物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号を受信してもよい。また、図3に示した基地局装置12aの構成は、FDDモード、またはTDDモード、またはFDD/TDDのデュアルモードのいずれに対応するものであってもよい。
【0101】
(無線局装置の構成)
つぎに、無線局装置11a〜11dの構成について説明する。なお、無線局装置11a〜11dはすべて同じ構成を含んでいるので、ここでは、無線局装置11aの構成について説明する。
【0102】
本発明の第1の実施形態に係る無線局装置11aは、従来の移動局装置におけるUE(User Equipment)機能と中継局装置におけるRN(Relay Node)機能の両方を備えている。図4は、本発明の第1の実施形態に係るFDDモードの無線局装置11aの構成の一例を示す概念図である。
【0103】
FDDモードの無線局装置11aは、送受信アンテナ部11a1、11a1、アンテナ共用器11a2、11a2、受信部11a3、11a3、送信部11a4、11a4、制御部11a5、多重分離部11a6、物理チャネル抽出部11a7、上位レイヤ処理部11a8、物理チャネル生成部11a9、多重部11a10を備える。
【0104】
物理チャネル抽出部11a7は、ULRS(Uplink Reference Signals)抽出部11a7、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)抽出部11a7、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)抽出部11a7、PRACH(Physical Random Access Channel)抽出部11a7、DLRS(Downlink Reference Signals)抽出部11a7、SS(Synchronization Signals)抽出部11a7、PBCH(Physical Broadcast Channel)抽出部11a7、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)抽出部11a7、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)抽出部11a7、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)抽出部11a710、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)抽出部11a711、R−PDCCH(Relay Physical Downlink Control Channel)抽出部11a712を備える。
【0105】
物理チャネル生成部11a9は、ULRS(Uplink Reference Signals)生成部11a9、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)生成部11a9、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)生成部11a9、PRACH(Physical Random Access Channel)生成部11a9、DLRS(Downlink Reference Signals)生成部11a9、SS(Synchronization Signals)生成部11a9、PBCH(Physical Broadcast Channel)生成部11a9、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)生成部11a9、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)生成部11a9、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)生成部11a910、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)生成部11a911を備える。
【0106】
送受信アンテナ部11a1は、図1に示した従来の移動局装置10a〜10dに対する無線信号の送信、および、移動局装置10a〜10dからの無線信号の受信に用いられる。
【0107】
送受信アンテナ部11a1が移動局装置10a〜10dから受信した受信信号は、アンテナ共用器11a2に入力され、一方、アンテナ共用器11a2から出力された移動局装置10a〜10dに対する送信信号は、送受信アンテナ部11a1から送信される。
【0108】
受信部11a3は、アンテナ共用器11a2により出力された移動局装置10a〜10dの上り回線信号、すなわち、図1に示した移動局装置10a〜10dと無線局装置11aの間の上り無線アクセス回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACHの信号(FDDモードの中心周波数f1)を受信し、受信した各信号に対して増幅、周波数変換処理、直交復調処理、フィルタ処理などを行って多重分離部11a6に出力する。
【0109】
送受信アンテナ11a1は、図1に示した基地局装置12aへの無線信号の送信、および、基地局装置12aからの無線信号の受信に用いられる。送受信アンテナ11a1が基地局装置12aから受信した受信信号は、アンテナ共用器11a2に入力され、一方、アンテナ共用器11a2から出力された基地局装置12aに対する送信信号は、送受信アンテナ部11a1から送信される。
【0110】
受信部11a3は、アンテナ共用器11a2により出力された基地局装置12aの下り回線信号、すなわち、図1に示した無線局装置11aと基地局装置12aの間の下りバックホール回線の物理チャネルDLRS、SS、PBCH、PDCCH、PDSCH、PCFICH、PHICH、R−PDCCHの信号(FDDモードの中心周波数f2)を受信し、各信号に対して増幅、周波数変換処理、直交復調処理、フィルタ処理などを行って多重分離部11a6に出力する。
【0111】
多重分離部11a6は、移動局装置10a〜10dおよび/または基地局装置12aからの信号に対して、アナログディジタル変換ADC(Analog-Digital Conversion)を行い、さらに各無線フレーム信号のOFDMシンボルタイミング検出、ガードインターバルGI除去、高速フーリエ変換FFT(Fast Fourier Transform)を行ってベースバンドデータを生成し、生成したベースバンドデータを各物理チャネル抽出部11a7〜11a712に出力する。
【0112】
ULRS抽出部11a7、PUCCH抽出部11a7、PUSCH抽出部11a7、およびPRACH抽出部11a7は、それぞれ図3に示した基地局装置12aのULRS抽出部12a3、PUCCH抽出部12a3、PUSCH抽出部12a3、およびPRACH抽出部12a3と同様のものであるため、説明を省略する。
【0113】
DLRS抽出部11a7は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したセル固有参照信号CRS(Cell Specific Reference Signals)データを抽出し、抽出したセル固有参照信号CRSデータを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0114】
そして、上位レイヤ処理部11a8は、セル固有参照信号CRSのデータから基地局装置12aからの下り回線チャネルのOFDMシンボルタイミングの推定、下り回線無線伝搬路状況の推定、また他の周辺基地局装置の電波状況測定などを行う。
【0115】
SS抽出部11a7は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したプライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルデータを抽出し、抽出したプライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルデータを上位レイヤ処理部11a8に出力する。そして、上位レイヤ処理部11a8は、同期プロシージャにより、基地局装置12aのセル番号PICを識別する。
【0116】
PBCH抽出部11a7は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した上位レイヤの報知データを抽出し、抽出した報知データを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0117】
PDCCH抽出部11a7は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したページングデータ、ユーザデータ、上り回線ユーザデータに関連するHARQ(Hybrid automatic repeat request)データの無線リソース割り当て情報、上り回線スケジューリング許可(Uplink Scheduling Grant)などのPDCCHデータを抽出し、抽出したPDCCHデータを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0118】
PDSCH抽出部11a7は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントRBに対応したユーザデータ、制御データ、ページングデータなどを抽出し、抽出したユーザデータ、制御データ、ページングデータなどを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0119】
PCFICH抽出部11a710は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したPDCCHが占めるOFDMシンボル数のデータを抽出し、抽出したOFDMシンボル数のデータを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0120】
PHICH抽出部11a711は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応した上り回線ユーザデータに対するHARQのACK/NACKデータを抽出し、抽出したACK/NACKデータを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0121】
R−PDCCH抽出部11a712は、ベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントRBに対応した中継局装置の制御データを抽出し、抽出した制御データを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0122】
上記の各物理チャネル抽出部11a7〜11a712は、復調処理(Demodulation Processing)、復号処理(Decoding Processing)、ディスクランブリング処理(Descrambling Processing)などを行っている。これらの処理の詳細は、LTEの仕様書に規定されているため、ここではその説明を省略する。
【0123】
上位レイヤ処理部11a8は、アプリケーション処理部(図示せず)などと連携して、上位レイヤのユーザデータ及び制御データの生成処理および抽出処理を行う。また、上位レイヤ処理部11a8は、各種の通信プロトコルおよびプロシージャ処理を行う。
【0124】
上位レイヤ処理部11a8は、移動局装置モードと中継局装置モードの切り替えを制御するモード切替処理部11a8を備える。そして、モード切替処理部11a8は、基地局装置12aの物理下り回線共用チャネルPDSCHを通じて、RRC(Radio Resource Control)シグナリング信号に含まれるモード切替制御信号を受信した場合、無線局装置11aのモードを移動局装置モードから中継局装置モードに切り替える。モード切替制御信号については、後に詳しく説明する。
【0125】
ULRS生成部11a9は、上位レイヤ処理部11a8から出力された制御データを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントREに対応したサウンディングリファレンスシグナルSRS(Sounding Reference Signal)データを生成し、生成したサウンディングリファレンスシグナルSRSデータを多重部11a10に出力する。
【0126】
PUCCH生成部11a9は、上位レイヤ処理部11a8から出力された上位レイヤの上り回線制御データを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理上り回線制御チャネルPUCCHデータを生成し、生成した物理上り回線制御チャネルPUCCHデータを多重部11a10に出力する。
【0127】
PUSCH生成部11a9は、上位レイヤ処理部11a8から出力された上位レイヤの上り回線共用データを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理上り回線共用制御チャネルPUSCHデータを生成し、生成した物理上り回線共用制御チャネルPUSCHデータを多重部11a10に出力する。
【0128】
PRACH生成部11a9は、上位レイヤ処理部11a8から出力された物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータを用いて、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースブロックRBに対応した物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータを生成し、生成した物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータを多重部11a10に出力する。
【0129】
DLRS生成部11a9、SS生成部11a9、PBCH生成部11a9、PDCCH生成部11a9、PDSCH生成部11a9、PCFICH生成部11a910、およびPHICH生成部11a911はそれぞれ、図3に示した基地局装置12aにおけるDLRS生成部12a10、SS生成部12a10、PBCH生成部12a10、PDCCH生成部12a10、PDSCH生成部12a10、PCFICH生成部12a10、およびPHICH生成部12a10と同様のものであるため、説明を省略する。
【0130】
上記の各物理チャネル生成部11a9〜11a912は、上位レイヤ処理部11a8からのユーザデータ、制御データに対して、スクランブリング処理(Scrambling Processing)、変調処理(Modulation Processing)、レイヤマッピング処理(Layer Mapping Processing)、プリコーディング処理(Precoding Processing)を行っている。これらの処理の詳細は、非特許文献1などのLTEの仕様書に規定されているため、ここではその説明を省略する。
【0131】
多重部11a10は、上記の各上り回線物理チャネル生成部から送られてきた各所定位置のリソースエレメントREまたはリソースブロックRBに対応した各下り回線物理チャネルデータに対して、リソースエレメントマッピング処理(Resource Element Mapping Processing)を行い、さらに高速逆フーリエ変換IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)、ガードインターバルGI(Guard Interval)の挿入、ディジタルアナログ変換DAC(Digital-Analog Conversion)を行ってOFDMアナログ信号を生成し、生成したOFDMアナログ信号を、移動局装置10a〜10dおよび/または基地局装置12aへの送信信号として送信部11a4、11a4に出力する。
【0132】
送信部11a4は、多重部11a10から出力された移動局装置10a〜10dの下り回線信号、すなわち、図1に示した移動局装置10a〜10dと無線局装置11aの間の下り無線アクセス回線の物理チャネルDLRS、SS、PBCH、PDCCH、PDSCH、PCFICH、PHICHのOFDMアナログ信号に対し、帯域幅制限などのフィルタ処理、直交変調処理を行って所定のRF信号に変換し、さらにRF信号を所定の出力電力に増幅してアンテナ共用器11a2に送る(FDDモードの中心周波数f2)。
【0133】
送信部11a4は、多重部11a10から出力された基地局装置12aの上り回線信号、すなわち、図1に示した無線局装置11aと基地局装置12aの間の上りバックホール回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACHのOFDMアナログ信号に対し、帯域幅制限などのフィルタ処理、直交変調処理を行って所定のRF信号に変換し、さらにRF信号を所定の出力電力に増幅してアンテナ共用器11a2に送る(FDDモードの中心周波数f1)。
【0134】
制御部11a5は、各ブロックの制御を行う。例えば、制御部11a5は、各ブロックのタイミング制御、オンオフ制御、上り回線無線伝搬路状況の測定、無線リソーススケジューリング、所定の通信プロトコル及びプロシージャの処理などを行う。
【0135】
なお、ここでは、無線局装置11aが、OFDM信号の送受信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、無線局装置11aは、回路ブロックの機能変更により、移動局装置10a〜10dの上り回線信号、すなわち、図1に示した移動局装置10a〜10dと無線局装置11aの間の上り無線アクセス回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号、および、無線局装置11aの上り回線信号、すなわち、図1に示した無線局装置11aと基地局装置12aの間の上り無線アクセス回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号を、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で送受信してもよい。
【0136】
例えば、無線局装置11aは、上り連続のSC−FDMA信号、または非連続のSC−FDMA(Clustered Discrete Fourier Transform Spread OFDM)信号を用いて、移動局装置10a〜10dと無線局装置11aの間の上り無線アクセス回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号、および、無線局装置11aと基地局装置12aの間の上り無線アクセス回線の物理チャネルULRS、PUCCH、PUSCH、PRACH信号を送受信してもよい。
【0137】
つぎに、本発明の第1の実施形態に係るTDDモードの無線局装置11aの構成について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係るTDDモードの無線局装置11aの構成の一例を示す概念図である。
【0138】
TDDモードの無線局装置11aは、送受信アンテナ部11a11、アンテナ切替部11a12を除いて、図4に一例を示したFDDモードの無線局装置11aの構成と同様のものであるため、詳細な説明を省略する。
【0139】
送受信アンテナ11a11は、時分割方式による無線信号の送受信、具体的には、図1に示した移動局装置10a〜10dに対する無線信号(TDDモードの中心周波数f1)の送信、移動局装置10a〜10dからの無線信号(TDDモードの中心周波数f1)の受信、または、基地局装置12aに対する無線信号(TDDモードの中心周波数f1)の送信、基地局装置12aからの無線信号(TDDモードの中心周波数f1)の受信に用いられる。
【0140】
送受信アンテナ11a11が移動局装置10a〜10d、または、基地局装置12aから受信した受信信号は、アンテナ切替部11a12に入力され、一方、アンテナ切替部11a12から出力された送信信号は、送受信アンテナ11a11から送信される。
【0141】
アンテナ切替部11a11は、制御部11a5から出力される制御信号により、送受信アンテナ11a11と接続する処理部を、受信部11a3と送信部11a4との間で切り替える。
【0142】
(基地局装置におけるモード切替処理の処理手順)
つぎに、基地局装置12aにおけるモード切替処理の処理手順について説明する。図6は、基地局装置12aにおけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0143】
図3に示したように基地局装置12aの上位レイヤ処理部12a2は、移動局装置モードと中継局装置モードとの間でモードの切り替えを行うモード切替制御部12a2を備える。このモード切替制御部12a2は、集積回路などのハードウェアで、および/または、プロセッサによりコンピュータプログラムが実行されることによって構成される。また、無線局装置11a〜11dを含む無線中継システムの一例が、図2に示されている。
【0144】
(図6のステップS10について)
まず、基地局装置12aの上位レイヤ処理部12a2が備えるモード切替制御部12a2は、中継局装置の設置を要求する中継局装置設置要求信号をMME/S−GW部13から受信したか否かを判定する。
【0145】
中継局装置設置要求信号を受信していない場合(ステップS10においてNOの場合)、ステップS10に戻り、モード切替制御部12a2は、継続的に中継局装置設置要求信号を受信したか否かを判定する。中継局装置設置要求信号を受信した場合(ステップS10においてYESの場合)、ステップS11の処理が実行される。
【0146】
MME/S−GW部13は、基地局装置12aに通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアを設置させるため、中継局装置の設置を要求する中継局装置設置要求信号を送信する。基地局装置12aのインターフェース部12a1は、図1に示したように、基地局装置12aとMME/S−GW部13間のインターフェース(S1)16aを経由して、MME/S−GW部13により送信された中継局装置設置要求信号をMME/S−GW部13から受信する。
【0147】
中継局装置設置要求信号には、信号番号(Signaling ID)、移動局装置番号(UEテンポラリーID)など情報が含まれている。モード切替制御部12a2は、信号番号を識別し、中継局装置設置要求信号の有無を判断する。
【0148】
例えば、地震や津波が発生した場合、MME/S−GW部13は、地震/津波発生情報、基地局装置12cの故障情報を外部装置から受信し、それらの情報に含まれる位置情報から、通信継続エリアを設置すべき位置を決定する。具体的には、MME/S−GW部13は、地震/津波が発生した位置の情報や、故障した基地局装置12cの位置の情報を外部装置から受信し、その位置を通信継続エリアを設置すべき位置として決定する。
【0149】
つぎに、MME/S−GW部13は、予め移動局装置(無線局装置を含む)データベースに登録された無線局装置のモード切替能力情報(無線局装置が移動局装置モードと中継局装置モードとの間でモードを切り替える能力があるか否かを示す情報)、および移動局装置データベースに登録・管理された無線局装置の位置情報などにより、中継局装置モードで動作可能で、通信継続エリアを設置すべき位置に適した位置に存在する無線局装置11aを選択する。
【0150】
そして、MME/S−GW部13は、選択された無線局装置11aが待ち受けモード(RRC_IDLE Mode)の状態か、または、無線接続モード(RRC_CONNECTED Mode)の状態かを判断し、待ち受けモードの状態である場合、発呼処理を行って、無線局装置11aを無線接続モードに遷移させ、無線局装置11aが無線接続モードの状態である場合、その無線局装置11aの通信を管理する基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0151】
また、MME/S−GW部13は、図2に示したサービス拡大エリアが構成できるように、基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。例えば、MME/S−GW部13は、まず、気象条件の変化の情報、事件・事故の情報、警察・消防・救助の出動要請の情報などを外部装置から受信し、それらの情報に含まれる位置情報から、サービス拡大エリアを設置すべき位置を決定する。具体的には、MME/S−GW部13は、気象条件が変化した位置の情報や、事件・事故が発生した位置の情報、警察・消防・救助の出動要請があった位置の情報を外部装置から受信し、その位置をサービス拡大エリアを設置すべき位置として決定する。
【0152】
つぎに、MME/S−GW部13は、予め移動局装置データベースに登録された無線局装置のモード切替能力情報、および移動局装置データベースに登録・管理された無線局装置の位置情報などにより、中継局装置モードで動作可能で、サービス拡大エリアを設置すべき位置に適した位置に存在する無線局装置11bを選択する。
【0153】
さらに、MME/S−GW部13は、選択された無線局装置11bが待ち受けモードか否かを判断する。具体的には、MME/S−GW部13は、移動局装置データベースから、選択された無線局装置11bが待ち受けモードの状態か、または、無線接続モードの状態かを判断し、待ち受けモードの状態である場合、発呼処理を行って、無線局装置11bを無線接続モードに遷移させ、無線局装置11bが無線接続モードの状態である場合、その無線局装置11bの通信を管理する基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0154】
また、MME/S−GW部10は、図2に示した干渉低減エリアが構成できるように、基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。例えば、MME/S−GW部13は、基地局装置12bにより送信された干渉報告などの情報を受信し、その情報に含まれる位置情報から、干渉低減エリアを設置すべき位置を決定する。具体的には、MME/S−GW部13は、干渉が発生している位置の情報を基地局装置12bから受信し、その位置を干渉低減エリアを設置すべき位置として決定する。
【0155】
つぎに、MME/S−GW部13は、予め移動局装置データベースに登録された無線局装置のモード切替能力情報、および移動局装置データベースに登録・管理された無線局装置の位置情報などにより、中継局装置モードで動作可能で、干渉低減エリアを設置すべき位置に適した位置に存在する無線局装置11cを選択する。
【0156】
さらに、MME/S−GW部13は、移動局装置データベースから、選択された無線局装置11cが待ち受けモードの状態か、または、無線接続モードの状態かを判断し、待ち受けモードの状態である場合、発呼処理を行って、無線局装置11cを無線接続モードに遷移させ、無線局装置11cが無線接続モードの状態である場合、無線局装置11cに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0157】
また、MME/S−GW部10は、図2に示した電波改善エリアが構成できるように、基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。例えば、MME/S−GW部13は、まず基地局装置12aのサービスエリア内にある複数の移動局装置10c、10dの再接続要求、通信品質などの情報を基地局装置12aから受信し、それらの情報に含まれる位置情報から、電波改善エリアを設置すべき位置を決定する。具体的には、MME/S−GW部13は、再接続要求を行った移動局装置10c、10d、または、通信品質が所定のレベルよりも低い移動局装置10c、10dの位置の情報を基地局装置12aから受信し、その位置を電波改善エリアを設置すべき位置として決定する。
【0158】
つぎに、MME/S−GW部13は、予め移動局装置データベースに登録された無線局装置のモード切替能力情報、および移動局装置データベースに登録・管理された無線局装置の位置情報などにより、中継局装置モードで動作可能で、電波改善エリアを設置すべき位置に適した位置に存在する無線局装置11dを選択する。
【0159】
さらに、MME/S−GW部13は、移動局装置データベースから、選択された無線局装置11dが待ち受けモードの状態か、または、無線接続モードの状態かを判断し、待ち受けモードの状態である場合、発呼処理を行って、無線局装置11dを無線接続モードに遷移させ、無線局装置11dが無線接続モードの状態である場合、その無線局装置11dの通信を管理する基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0160】
(図6のステップS11について)
モード切替制御部12a2は、中継局装置設置要求信号を受信した場合(ステップS11においてYESの場合)、モード切替制御信号を生成する。具体的には、モード切替制御部12a2は、MME/S−GW部13により送信されたネットワーク制御信号を復号し、復号した制御信号から信号番号(Signaling ID)を抽出し、その信号番号が中継局装置設置要求信号に対応する番号であれば、中継局装置設置要求信号から移動局装置番号(UEテンポラリーID)を抽出する。
【0161】
そして、モード切替制御部12a2は、移動局装置番号により特定され、無線接続モードにある無線局装置11a〜11dに対して送信するモード切替制御信号を生成する。例えば、モード切替制御部12a2は、モード切替制御信号の形式として、LTE仕様書(TS35.331)に規定されているRRCメッセージの1つであるRRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに、モード切替制御信号を追加したものを用いる。
【0162】
モード切替制御信号には、例えば、モード切替オン/オフを示す1ビット(または符号化された複数のビット)、および/または、中継局番号RNID(RN Indication)を示すビット列が含まれる。
【0163】
例えば、
-- ASN1START
Max-RN-Id INTEGER :: = 64 -- 最大の中継局番号RNID
RRCConnectionReconfiguration ::= SEQUENCE {
・・・・・・
RN-ModeENUMERATED {true}, -- モード切替オン(true)/オフ
RN-Indication INTEGER (1..Max-RN-Id), -- 中継局番号RNID
}
-- ASN1STOP
に示したように、抽象構文記法ASN(Abstract Syntax Notation)による記述されているRRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージにモード切替制御信号のRN-ModeとRN-Indicationメッセージを追加する。
【0164】
モード切替制御信号は、上位レイヤ処理部12a8により実行されるASNエンコードプロセスにより、RRC接続再構成メッセージとともに符号化されて情報ビット列が生成され、PDSCH生成部12a10に入力される。
【0165】
(図6のステップS12について)
そして、基地局装置12aは、選択された無線局装置11a〜11dに対して、モード切替制御信号を送信する。例えば、基地局装置12aは、無線局装置11a〜11dに対して、モード切替制御信号を含むRRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージを送信する。
【0166】
具体的には、基地局装置12aのPDSCH生成部12a10に入力されたRRC接続再構成メッセージの情報ビット列に対して、スクランブリング処理、変調処理、レイヤマッピング処理、プリコーディング処理が行われ、多重部12a4により各所定位置のリソースエレメントREまたはリソースブロックRBに対応した下り回線物理チャネルPDSCHにマッピングされ、送信部12a5を通じて情報ビット列が無線局装置11a〜11dに送信される。
【0167】
(図6のステップS13について)
その後、モード切替制御部12a2は、選択された無線局装置11a〜11dから、モード切替確認信号を受信したか否かを判定する。例えば、モード切替確認信号の形式として、LTE仕様書(TS36.331)に規定されているRRCメッセージの1つであるRRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを利用することが可能である。
【0168】
モード切替確認信号を受信していない場合(ステップS13においてNOの場合)、ステップS12に戻り、送信部12a5は、モード切替制御信号を再送する。モード切替確認信号を受信した場合(ステップS13においてYESの場合)、ステップS14の処理が実行される。
【0169】
(図6のステップS14について)
モード切替確認信号を受信した後、モード切替制御部12a2は、無線局装置11a〜11dからの中継局装置モードの初期接続に対して、物理報知チャネルPBCHを通じて、MBSFN(Multicast/Broadcast Single Frequency Network)用のサブフレーム構成情報などの中継局モードの構成情報を無線局装置11a〜11dに送信し、無線局装置11a〜11dを中継局装置モードに設定する。中継局装置モードの初期接続については、後に詳しく説明する。
【0170】
なお、ここでは、モード切替制御信号の形式として、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージにモード切替制御信号、例えばRN-ModeとRN-Indicationメッセージを追加したものを利用し、また、モード切替確認信号の形式として、RRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを利用したが、他のRRCメッセージ、または他のレイヤの制御シグナリングを利用してもよい。
【0171】
また、中継局装置設置要求信号については、MME/S−GW部13からの独自の信号形式として一例を記述したが、中継局装置設置要求信号は、S1インターフェースの他の信号、または無線局装置11a〜11dへの発呼信号(ページング信号)に含まれることとしてもよい。
【0172】
(無線局装置におけるモード切替処理の処理手順)
つぎに、無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順について説明する。図7は、無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0173】
図4に示したように、無線局装置11aの上位レイヤ処理部11a8には、モード切替処理部11a8が含まれている。このモード切替処理部11a8は、集積回路などのハードウェアで、および/または、プロセッサによりコンピュータプログラムが実行されることによって構成される。
【0174】
(図7のステップS20について)
まず、無線局装置11aの上位レイヤ処理部11a8のモード切替処理部11a8は、最初に電源がオンになった後、セルサーチ手順(Cell Search Procedure)、通常の移動局装置のランダムアクセス手順(Random Access Procedure)、アタッチ手順(UE Attach Procedure)などの移動局装置モード初期接続手順を実行し、移動局モード(通常の移動局装置)として、待ち受けモードに遷移する。
【0175】
(図7のステップS21について)
モード切替処理部11a8は、LTE仕様書(TS36.3311)に規定されている移動局装置能力伝送手順(UE Capability Transfer)を用いて、基地局装置12aおよびMME/S−GW部13に移動局装置モード/中継局装置モードの切り替えが可能であることを示すモード切替能力情報を含むモード切替能力信号を送信する。
【0176】
モード切替処理部11a8は、モード切替能力信号の形式として、LTE仕様書(TS36.331)に規定されているRRCメッセージの1つである移動局装置能力(UE Capability Information, またはUE EUTRA Capability Information)メッセージに、モード切替能力情報を追加したものを用いる。
【0177】
モード切替能力情報には、例えば、モード切替能力の有無を示す1ビット(または符号化された複数のビット)、またはモード切替能力パラメータに関連する複数の情報ビットが含まれる。
【0178】
例えば、
-- ASN1START
UE-EUTRA-Capability ::= SEQUENCE {
・・・・・・
RN-Capalibity ENUMERATED { supported }, -- モード切替能力あり
}
-- ASN1STOP
に示したように、抽象構文記法ASN(Abstract Syntax Notation)による記述されている移動局装置能力(UE EUTRA Capability Information)メッセージにモード切替能力信号、例えばRN-Capabilityメッセージを追加する。
【0179】
モード切替能力情報が追加された移動局装置能力メッセージは、上位レイヤ処理部11a8により実行されるASNエンコーダプロセスにより情報ビット列に変換され、モード切替能力信号として、PUSCH生成部11a9に入力される。
【0180】
そして、PUSCH生成部11a9に入力されたモード切替能力信号に対して、スクランブリング処理、変調処理、レイヤマッピング処理、プリコーディング処理が行われ、多重部11a10により各所定位置のリソースエレメントREまたはリソースブロックRBに対応した下り回線物理チャネルPUSCHにマッピングされ、送信部11a4を通じて基地局装置12aおよびMME/S−GW部13に送信される。そして、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13は、所有する移動局装置データベースに移動局装置能力情報を登録・管理する。
【0181】
(図7のステップS22について)
そして、モード切替処理部11a8は、固定された無線局装置11aの位置情報(位置固定の無線局装置11aの場合)、あるいは移動する無線局装置11aの位置情報(GPS内蔵の無線局装置11aの場合、あるいは他の測位装置が内蔵され、測位方法が実装されている無線局装置11aの場合)を、RRCメッセージ、NAS(Non Access Stratum)メッセージ、またはアプリケーションデータを用いて基地局装置12aおよびMME/S−GW部13に送信する。
【0182】
ここで、モード切替処理部11a8は、位置情報の送信を、一時に、定期的に、あるいは基地局装置12aまたはMME/S−GW部13により要求されたときに、予めに定義された位置情報伝送手順に従って送信する。そして、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13は、所有する移動局装置データベースに無線局装置11aの位置情報を登録する。
【0183】
(図7のステップS23について)
その後、モード切替処理部11a8は、基地局装置12aから送信された下り回線物理チャネルPDSCHの信号から、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージを抽出し、モード切替制御信号、例えばRN-ModeとRN-Indicationメッセージから、モード切替オン/オフの1ビット(または符号化された複数のビット)、および/または、中継局番号RNID(RN Indication)を示すビット列を抽出することにより、基地局装置12aからモード切替制御信号を受信したか否かを判定する。
【0184】
例えば、図4に示した無線局装置(FDDモード)11aは、バックホール回線(FDDモード、送信バンド中心周波数f1、受信バンド中心周波数f2)の送受信アンテナ部11a1、受信部11a3、多重分離部11a6を経由して、下り回線物理チャネル信号を受信し、物理チャネルPDSCHのベースバンドデータを抽出して、ベースバンドデータをPDSCH抽出部11a7に出力する。
【0185】
PDSCH抽出部11a7は、復調処理、復号処理、ディスクランブリング処理などを行い、PDSCHのベースバンドデータから、所定の規則に基づき、各所定位置のリソースエレメントRBに対応した制御データを抽出し、抽出した制御データを上位レイヤ処理部11a8に出力する。
【0186】
上位レイヤ処理部11a8は、上位レイヤ処理部11a8により実行されるASNディコーダプロセスにより、制御データからRRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージを復号し、情報ビット列を抽出し、情報ビット列を上位レイヤ処理部11a8が備えるモード切替処理部11a8に出力する。
【0187】
モード切替処理部11a8は、モード切替制御信号として、例えばRN-ModeとRN-Indicationメッセージから、モード切り替えオンオフの1ビット(または符号化された複数のビット)、および/または中継局番号RNIDのビット列を抽出し、モード切替制御信号の有無を判断する。
【0188】
モード切替制御信号を受信していない場合(ステップS23においてNOの場合)、ステップS23に戻り、モード切替処理部11a8は、基地局装置12aからモード切替制御信号を受信したか否かの判定を再度行う。モード切替制御信号を受信した場合(ステップS23においてYESの場合)、ステップS24の処理が実行される。
【0189】
(図7のステップS24について)
モード切替処理部11a8は、モード切替制御信号を含むRRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージを受信した後、LTE仕様書(TS36.331)に規定されているRRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを、モード切替確認信号として基地局装置12aに送信する。
【0190】
(図7のステップS25について)
そして、モード切替処理部11a8は、モード切替制御信号から抽出した中継局番号RNID、または予め登録されていた中継局番号RNIDを用いて、LTE仕様書(TS36.300, TS23.401, TS36.331)に規定されている中継局装置アタッチ手順(RN Attach Procedure)、中継局装置スタートアップ手順(RN Startup Procedure)、RRC接続確立手順(RRC Connection Establishment Procedure)などの中継局モードの初期接続手順に従い、基地局装置12aと中継局モードの初期接続を行う。
【0191】
(図7のステップS26について)
その後、制御部11a5は、中継局モードの初期接続手順により、基地局装置12aから中継局モードの構成情報を受信し、物理報知チャネルPBCHに含まれるMBSFN用のサブフレーム構成情報などの中継局モードの構成情報を用いて、無線局装置11aのハードウェアおよびソフトウェアを再構築する。そして、無線局装置11aは、中継局モードで動作し、移動局装置の無線信号を基地局装置12aに、また、基地局装置12aの無線信号を移動局装置に中継する。
【0192】
具体的には、モード切替処理部11a8は、中継局モードの構成情報を受信し、制御部11a5に移動局装置モードから中継局装置モードへのモードの切り替えを指示するモード切替制御信号を出力する。制御部11a5は、中継局装置モードに関連するブロックを動作させる。
【0193】
例えば、図4に示した受信部11a3、ULRS抽出部11a7、PUCCH抽出部11a7、PUSCH抽出部11a7、PRACH抽出部11a7、および送信部11a4、DLRS生成部11a9、SS生成部11a9、PBCH生成部11a9、PDCCH生成部11a9、PDSCH生成部11a9、PCFICH生成部11a910、PHICH生成部11a911を動作させる。
【0194】
また、制御部11a5は、基地局装置12aから受信したMBSFN用のサブフレーム構成情報に基づいて、図8に示した中継システムフレーム構成が得られるように、受信部11a3、11a3、送信部11a4、11a4、多重分離部11a6、多重部11a10、各物理チャネル抽出部11a7〜11a712および各物理チャネル生成部11a9〜11a911の動作タイミングなどを制御する。
【0195】
図8は、FDDモードの中継システムにおける上り回線および下り回線の無線フレーム構成の一例を示す図である。基地局装置12aは、モード切替制御信号を、図8に示す物理下り回線共用チャネルPDSCHを用いて、無線局装置11aに送信する。また、無線局装置11aは、モード切替能力信号を、図8に示す物理上り回線共用チャネルPUSCHを用いて、基地局装置12aに送信する。
【0196】
また、図1に示したように、基地局装置12aは、物理報知チャネルPBCHを通じて、MBSFN用のサブフレーム構成情報を送信する。例えば、基地局装置12aは、図8に示したように、下り回線サブフレーム番号4にMBSFNサブフレームを割り当て、その割り当て情報を移動局装置10cおよび無線局装置11aに報知する。
【0197】
移動局装置10cは、報知されたMBSFNサブフレームの割り当て情報により、MBSFNサブフレームを無視する(受信しない)。無線局装置11aは、MBSFNサブフレームを利用して、基地局装置12aからの中継データを受信する。そして、無線局装置11aは、MBSFNサブフレーム以外のサブフレームを無視する(受信しない)。
【0198】
なお、図8に示す中継システムフレームのその他の構成および無線局装置11aの中継局モード動作の詳細は、LTE仕様書において規定された中継システムフレーム構成および中継局装置RNの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、図5に示したTDDモードの無線局装置11aの中継局モード動作もLTE仕様書において規定された中継局装置RNの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0199】
また、ここでは、モード切替制御信号の形式として、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに、モード切替制御信号を追加したものを利用し、また、モード切替確認信号の形式として、RRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを利用したが、他のRRCメッセージ、または他のレイヤの制御シグナリングを利用してもよい。
【0200】
また、ここでは、図4に示したFDDモードの無線局装置11aの動作について説明したが、図5に示したTDDモードの無線局装置11aも、TDDモードの基地局装置12aの動作に対応して同様に動作するので、詳細な説明を省略する。
【0201】
(中継システムの中継処理の処理手順)
つぎに、本発明の第1の実施形態に係る中継システムの中継処理の処理手順について説明する。図9は、本発明の第1の実施形態に係る中継システムの中継処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。ここでは、図6、図7を参照しながら、中継エリア構成処理の一例について説明する。
【0202】
(図9の手順P10について)
無線局装置11aの制御部11a5は、無線局装置11aの電源がオンになった後、無線局装置11aのハードウェアおよび/またはソフトウェアを再構築して、無線局装置11aを移動局装置モードで動作させる。
【0203】
そして、無線局装置11aは、移動局装置アタッチ手順(UE Attach Procedure)、移動局装置スタートアップ手順(UE Startup Procedure)、RRC接続確立手順(RRC Connection Establishment Procedure)などの移動局装置モードの初期接続手順に従い、基地局装置12aと移動局装置モードの初期接続を行う。
【0204】
基地局装置12aおよびMME/S−GW部13は、無線局装置11aを普通の移動局装置として扱い、初期接続手順に従い、種々の処理を行う。移動局装置モードの初期接続手順が完了後、無線局装置11aは、発呼、着呼が可能となり、待ち受けモードまたは無線接続モードに遷移することができる。
【0205】
(図9の手順P11について)
無線局装置11aは、図7のステップS21で説明したように、移動局装置能力(UE Capability Information, またはUE EUTRA Capability Information)メッセージに、モード切替能力情報を追加する。
【0206】
モード切替能力情報を含む移動局装置能力メッセージは、上位レイヤ処理部11a8により実行されるASNエンコーダプロセスにより情報ビット列に変換され、移動局装置能力伝送手順(UE Capability Transfer)を用いて、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13に送信される。
【0207】
移動局装置能力伝送手順の終了後、モード切替能力情報を含む移動局装置能力情報は、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13の移動局装置データベースに登録される。
【0208】
(図9の手順12について)
無線局装置11aは、図7のステップS22で説明したように、無線局装置11aの位置情報を送信する。無線局装置11aは、固定された無線局装置11aの位置情報(位置固定の無線局装置11aの場合)、あるいは移動する無線局装置11aの位置情報(GPS内蔵の無線局装置11aの場合、あるいは他の測位装置が内蔵され、測位方法が実装されている無線局装置11aの場合)を、RRCメッセージ、NAS(Non Access Stratum)メッセージ、またはアプリケーションデータを用いて、予めに定義された位置情報伝送手順に従い、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13に送信する。
【0209】
ここで、無線局装置11aは、位置情報の送信を、一時に、定期的に、あるいは基地局装置12aまたはMME/S−GW部13により要求されたときに、予めに定義された位置情報伝送手順に従って送信する。そして、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13は、所有する移動局装置データベースに無線局装置11aの位置情報を登録し、移動局装置データベースを更新する。移動局装置データベースは、例えば、表1のように構成することができる。
【0210】
【表1】

基地局装置番号 CGI:Cell Global Identity
表1において、モード切替能力がある移動局装置が、無線局装置に相当する。
【0211】
(図9の手順13について)
そして、MME/S−GW部13は、図6のステップS10で説明したように、さまざまな情報に基づいて、通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアの位置を決定し、予め移動局装置データベースに登録・管理された移動局装置番号、無線接続状態、無線局装置のモード切替能力情報および無線局装置の位置情報などにより、中継局装置モードで動作可能で、通信継続エリアを設置すべき位置に適した位置に存在する無線局装置11aを選択する。そして、MME/S−GW部13は、基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0212】
例えば、MME/S−GW部13は、表1のモード切替能力および位置情報から移動局装置番号101の無線局装置11aを選ぶ。無線局装置11aが待ち受けモード(RRC_IDLE Mode)のため、MME/S−GW部13は、無線局装置11aに対して発呼処理を行って、無線局装置11aを無線接続モードに遷移させ、その無線局装置11aの通信を管理する基地局装置12aに中継局装置設置要求信号を送信する。
【0213】
(図9の手順14について)
その後、基地局装置12aは、図6のステップS2で説明したように、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに、モード切替制御信号を追加する。モード切替制御信号を含むRRC接続再構成メッセージは、上位レイヤ処理部12a2により実行されるASN(Abstract Syntax Notation)エンコーダプロセスにより符号化されて情報ビット列が生成され、RRC接続再構成手順(RRC Connection Reconfiguration Procedure)により、無線局装置11aに送信される。
【0214】
また無線局装置11aは、RRC接続再構成メッセージを正常に受信した場合、図7のステップS24で説明したように、モード切替制御信号を含むRRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを基地局装置12aに送信する。
【0215】
(図9の手順15について)
無線局装置11aは、図7のステップS25で説明したように、モード切替制御信号から抽出した中継局番号RNID、または予め登録されていた中継局番号RNIDを用いて、中継局装置アタッチ手順(RN Attach Procedure)、中継局装置スタートアップ手順(RN Startup Procedure)、RRC接続確立手順(RRC Connection Establishment Procedure)などの中継局モードの初期接続手順に従い、基地局装置12aおよびMME/S−GW部13と中継局モードの初期接続を行う。
【0216】
(図9の手順16について)
無線局装置11aは、図7のステップS26で説明したように、基地局装置12aから中継局モードの構成情報を受信し、MBSFN用のサブフレーム構成情報などの中継局モードの構成情報を用いて、無線局装置11aのハードウェアおよび/またはソフトウェアを再構築する。
【0217】
そして、無線局装置11aは、中継局モードで動作し、図1に一例を示した移動局装置10a、10b、10dの無線信号を基地局装置12aに中継し、また、基地局装置12aの無線信号を移動局装置10a、10b、10dに中継する。
【0218】
(本発明の第1の実施形態の効果)
本発明の第1の実施形態に係る基地局装置12a、および無線局装置11a〜11dにより、図2のような種々の状況に応じて、中継エリアを追加することができる。例えば、通信継続エリアの追加により、通信不通の基地局装置の代わりに基地局装置12aが通信を継続することができる。
【0219】
また、サービス拡大エリアの追加により、既存の基地局装置のサービスエリアを拡大し、ユーザの要求、社会の要求を満足することができる。また、干渉低減エリアの追加により、隣接する基地局装置に対する干渉を低減し、システム通信容量を拡大することができ、さらに移動局装置10cの送信電力を低減し、電池消費を抑えることができる。また、電波改善エリアの追加により、無線電波が不安定となることを抑制できる。
【0220】
また、基地局装置12aは、モード切替制御信号を無線局装置11a〜11dに送信し、無線局装置11a〜11dは、基地局装置12aにより送信されたモード切替制御信号を受信するので、無線局装置11a〜11dを中継局装置モードに効果的に切り替えることができる。
【0221】
また、無線局装置11a〜11dは、移動局装置モードと中継局装置モードとの間でモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を基地局装置12aに送信し、基地局装置12aは、モード切替能力情報に基づいて、モードを切り替えることが可能である無線局装置11a〜11dを選択し、選択した無線局装置11a〜11dにモード切替制御信号を送信するので、モードの切り替えが可能な無線局装置11a〜11dに適切にモードの切替指示を送信することができる。
【0222】
また、無線局装置11a〜11dは、無線局装置11a〜11dの位置を示す位置情報を基地局装置12aに送信し、基地局装置12aは、その位置情報に基づいて無線局装置11a〜11dを選択し、選択した無線局装置11a〜11dにモード切替制御信号を送信することとしたので、無線電波の中継位置を適切に設定することができる。
【0223】
また、基地局装置12aは、移動局装置10a〜10dと基地局装置12aとの間の通信を可能とするエリアを決定し、エリア内にある移動局装置10a〜10dとの間の通信を中継する無線局装置11a〜11dを選択し、選択した無線局装置11a〜11dにモード切替制御信号を送信するので、無線電波の中継を行う無線局装置11a〜11dを適切に設定することができる。
【0224】
また、基地局装置12aおよび/またはMME/S−GW部13は、移動局装置のモード切替能力情報および位置情報が登録・管理されている移動局装置データベースを保有しているため、図2のような種々の状況に応じて、無線局装置を選択し、中継エリアを適切に追加することができる。
【0225】
(第2の実施形態)
(無線中継通信システムの構成)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。この無線中継通信システムは、移動局装置10a〜10d、無線局装置11a、基地局装置12a、12b、および無線通信システムのネットワーク制御部であるMME/S−GW(Mobility Management Entity/Serving Gateway)部13を備える。
【0226】
以下に説明するように、第2の実施形態では、MME/S−GW部13からの中継局装置設置要求信号が不要で、基地局装置12aは状況を判断して、モード切替制御信号を無線局装置11aに送信する。
【0227】
本発明の第2の実施形態に係る基地局装置12a、12bの構成、無線局装置11a〜11d(FDD/TDDモード)の構成、およびこれらの装置を含む無線中継通信システムの構成は、図2、図3、図4に示した構成と同様であるので、ここでは基地局装置12aおよび無線局装置11aの構成についての説明を省略する。
【0228】
(基地局装置におけるモード切替処理の処理手順)
図11は、基地局装置12aにおけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図3に示したように、基地局装置12aの上位レイヤ処理部12a2は、移動局装置モードと中継局装置モードの間でモードの切り替えを制御するモード切替制御部12a2を備える。
【0229】
モード切替制御部12a2は、集積回路などのハードウェアで、および/または、プロセッサによりコンピュータプログラムが実行されることによって構成される。また、第2の実施形態における無線中継システムの一例として、図10に示した無線中継システムが挙げられる。
【0230】
(図11のステップS30について)
まず、基地局装置12aの上位レイヤ処理部12a2のモード切替制御部12a2は、周辺の基地局装置(例えば、基地局装置12b)またはMME/S−GW部13からさまざまな情報を受信し、中継局装置設置の要否を判断する。
【0231】
具体的には、基地局装置12aに通信継続エリア、サービス拡大エリア、電波改善エリア、または干渉低減エリアを設置するため、インターフェース部12a1は、図10に示したように、基地局装置12aとMME/S−GW部13との間のインターフェース(S1)16aを経由して、または基地局装置12aと基地局装置12bとの間のインターフェース(X1)17aを経由して、MME/S−GW部13、または基地局装置12bから、さまざまな情報を受信する。
【0232】
そして、モード切替制御部12a2は、例えば、基地局装置12bまたはMME/S−GW部13から、地震/津波発生情報、基地局装置12cの故障情報を受信した場合、通信継続エリア設置のために中継局装置の設置が必要と判断する。
【0233】
また、モード切替制御部12a2は、例えば、基地局装置12bまたはMME/S−GW部13から、気象条件の変化の情報、事件・事故の情報、警察、消防、救助の出動要請の情報などを受信した場合、サービス拡大エリア設置のために中継局装置の設置が必要と判断する。
【0234】
また、モード切替制御部12a2は、基地局装置12bまたはMME/S−GW部13から、基地局装置12bの干渉報告などの情報を受信した場合、干渉低減エリア設置のために中継局装置の設置が必要と判断する。
【0235】
また、モード切替制御部12a2は、基地局装置12aのサービスエリア内にある複数の移動局装置の再接続要求、通信品質などの情報を受信し、再接続要求が多い、あるいは通信品質が低下している場合、電波改善エリア設置のために中継局装置の設置が必要と判断する。
【0236】
中継局装置の設置が必要でない場合(ステップS30においてNOの場合)、ステップ30に戻り、モード切替制御部12a2は、継続的に情報を受信し、中継局装置の設置の要否を判断する。中継局装置の設置が必要である場合(ステップS30においてYESの場合)、ステップS31の処理が実行される。
【0237】
(図11のステップS31について)
モード切替制御部12a2は、中継局装置の設置が必要である場合(ステップS30においてYESの場合)、自装置(基地局装置12a)に備えられた移動局装置データベース、またはMME/S−GW部13の移動局装置データベースにアクセスし、設置予定の中継エリアにある無線局装置を選択する。そして、モード切替制御部12a2は、選択した無線局装置に対して送信するモード切替制御信号を生成する。
【0238】
例えば、モード切替制御部12a2は、故障した基地局装置12cの固有物理セル番号PCI、または基地局装置番号CGI(Cell Global Identity)により、基地局装置12cのサービスエリアに隣接する自装置(基地局装置12a)のサービスエリアに通信継続エリアの設置が必要であると判断し、移動局装置データベースを用いて、設置が必要であると判断した通信継続エリアにある無線接続モードの無線局装置11aを選択する。そして、モード切替制御部12a2は、選択した無線局装置11aに対して送信するモード切替制御信号を生成する。
【0239】
なお、モード切替制御部12a2は、基地局装置12aが把握していない待ち受けモード中の無線局装置に対して、MME/S−GW部13を通じて発呼することにより、無線局装置を無線接続モードに遷移させ、その後その無線局装置を選択することとしてもよい。
【0240】
モード切替制御信号の生成方法は、図6のステップS11で説明した方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、ステップS32〜ステップS34は、図6のステップS12〜ステップS14と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0241】
(無線局装置におけるモード切替処理の処理手順)
本発明の第2の実施形態に係る無線局装置11aのモード切替処理部11a8が行うモード切替処理の処理手順は、図7で説明した処理手順と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0242】
(無線中継通信システムの中継処理の処理手順)
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る無線中継通信システムの処理手順について説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る無線中継通信システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。ここでは、図7、図11を参照しながら、中継エリア構成の一例について説明する。
【0243】
(図12の手順P20、手順P21、手順P22について)
図12の手順P20、手順P21、手順P22は、図9に示した手順P10、手順P11、手順P12と同様であるため、詳細な説明を省略する。ただし、基地局装置12aおよびMME/S−GW部13は、それぞれ自装置(基地局装置12aおよびMME/S−GW部13)が把握できる無線局装置のサービスエリア内の存在状況に応じて、それぞれが備える移動局装置データベースを更新・管理する。
【0244】
(図12の手順P23について)
基地局装置12aは、図11のステップS30で説明したように、周辺の基地局装置(例えば基地局装置12b)またはMME/S−GW部13からさまざまな情報を受信し、中継局装置の設置の要否を判断する。
【0245】
そして、中継局装置の設置が必要である場合、図11のステップS31で説明したように、自装置(基地局装置12a)に備えられた移動局装置データベース、またはMME/S−GW部13に備えられた移動局装置データベースにアクセスし、設置予定の中継エリアにある無線局装置を選択する。そして、基地局装置12aは、選択した無線局装置に対して送信するモード切替制御信号を生成する。
【0246】
例えば、基地局装置12aは、故障した基地局装置12cの固有物理セル番号PCI、または基地局装置番号CGI(Cell Global Identity)により、基地局装置12cのサービスエリアに隣接する自装置(基地局装置12a)のサービスエリアに通信継続エリアの設置が必要であると判断し、移動局装置データベースを用いて、設置が必要であると判断した通信継続エリアにある無線接続モードの無線局装置11aを選択する。
【0247】
なお、基地局装置12aは、基地局装置12aが把握していない待ち受けモード中の無線局装置に対して、MME/S−GW部13を通じて発呼することにより、無線局装置を無線接続モードに遷移させ、その後無線局装置を選択することとしてもよい。そして、基地局装置12aは、選択した無線局装置11aに対して送信するモード切替制御信号を生成する。
【0248】
そして、基地局装置12aは、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージに、モード切替制御信号を追加する。モード切替制御信号を含むRRC接続再構成メッセージは、上位レイヤ処理部12a2により実行されるASN(Abstract Syntax Notation)エンコーダプロセスにより符号化されて情報ビット列が生成され、RRC接続再構成手順(RRC Connection Reconfiguration Procedure)により、無線局装置11aに送信される。
【0249】
また、無線局装置11aは、RRC接続再構成メッセージを正常に受信した場合、図7のステップS24で説明したように、モード切替確認信号としてRRC接続再構成確認(RRC Connection Reconfiguration Complete)メッセージを基地局装置12aに送信する。
【0250】
(図12の手順P24、手順P25について)
手順P24、手順P25は、図9に示した手順P15、手順P16と同様のものであるため、詳細な説明を省略する。
【0251】
(本発明の第2の実施形態の効果)
本発明の第2の実施形態に係る基地局装置12a、および無線局装置11a〜11dにより、図2のような種々の状況に応じて、中継エリアを追加することができる。例えば、通信継続エリアの追加により、通信不通の基地局装置の代わりに基地局装置12aが通信を継続することができる。
【0252】
また、サービス拡大エリアの追加により、既存の基地局装置のサービスエリアを拡大し、ユーザの要求、社会の要求を満足することができる。また、干渉低減エリアの追加により、隣接する基地局装置に対する干渉を低減し、システム通信容量を拡大することができ、さらに移動局装置10cの送信電力を低減し、電池消費を抑えることができる。また、電波改善エリアの追加により、無線電波が不安定となることを抑制できる。
【0253】
(第3の実施形態)
(無線中継通信システムの構成)
図13は、本発明の第3の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。この無線中継通信システムは、移動局装置10a〜10d、無線局装置11a、基地局装置12aを備える。この無線中継通信システムでは、図1に示した無線局装置11aによるモード切替能力信号の送信と、基地局装置12aによるモード切替制御信号の送信が不要となる。
【0254】
本発明の第3の実施形態に係る基地局装置12aの構成、無線局装置11a〜11d(FDD/TDDモード)の構成、およびこれらの装置を含む中継システムの構成は、基地局装置12aにモード切替制御部12a2が不要となる点を除いて、第1の実施形態の各構成と同じである。
【0255】
また、第3の実施形態に係る無線中継通信システムは、図2に示した無線中継通信システムと同様に、図13に示した移動局装置10a〜10d、無線局装置11a、基地局装置12aの他に、MME/S−GW部13を備える。
【0256】
(基地局装置の構成)
本発明の第3の実施形態に係る基地局装置12aの構成は、図3に一例を示した構成からモード切替制御部12a2を除いたものであり、他の構成は図3の構成と同様であるので、ここではその説明を省略する。この基地局装置12aは、LTE仕様書に規定された中継局装置対応の基地局装置である。
【0257】
(無線局装置の構成)
図14は、本発明の第3の実施形態に係る無線局装置11aのFDDモードにおける構成の一例を示す概念図である。この無線局装置11aの構成は、無線部11a13、外部接続部11a14、入力・表示部11a15を除いて、図4に一例を示した無線局装置11aの構成と同様のものであるが、上位レイヤ処理部11a8が備えるモード切替処理部11a8の動作が異なる。
【0258】
ここでは、図4に示した機能ブロックと同じ部分の説明を省略し、無線部11a13、外部接続部11a14、入力・表示部11a15、およびモード切替処理部11a8について説明する。
【0259】
無線部11a13は、無線局装置11aに内蔵された無線インターフェースである。無線部11a13は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth、アマチュア無線、市町村緊急無線、その他の無線通信を受信する無線通信受信装置、または地上デジタル放送、ラジオ放送を受信する放送受信装置、緊急速報を受信する緊急速報受信装置などにより構成することができる。
【0260】
無線部11a13が、無線LANによる無線通信を受信する無線通信受信装置である場合、無線部11a13は、アドホックモードあるいはインフラクチャモードで外部装置と無線で接続することができる。そして、無線部11a13は、さまざまな外部装置から、さまざまな形式のモード切替制御信号を受信する。
【0261】
また、外部接続部11a14は、外部装置と有線接続するためのインターフェース変換部であり、外部装置と専用線、電話回線、LAN回線などで接続する。外部接続部11a14もさまざまな外部装置から、さまざまな形式のモード切替制御信号を受信することができる。
【0262】
また、入力・表示部11a15は、無線局装置11aのユーザインターフェースであり、無線局装置11aの内蔵のアプリケーションプロセッサ(図示せず)により、ユーザによる入力、例えばキー入力、タッチパネル入力などの処理を行い、ユーザに提示する情報を表示する。入力・表示部11a15は、ユーザから、さまざまな形式のモード切替制御信号の入力を受け付けることができる。
【0263】
そして、上位レイヤ処理部11a8が備えるモード切替処理部11a8は、無線部11a13、外部接続部11a14、または入力・表示部11a15からモード切替制御信号を受信する。
【0264】
図13の例において、移動局装置モードにある無線局装置11aは、モード切替制御信号を受信した場合、中継局モードにモードが切り替わり、移動局装置10a、10b、10dと基地局装置12aとの間の通信を中継する処理を行う。
【0265】
(無線局装置におけるモード切替処理の処理手順)
つぎに、無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順について説明する。図15は、無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0266】
なお、無線局装置11aの上位レイヤ処理部11a8には、図14に示したように、モード切替処理部11a8が含まれている。このモード切替処理部11a8は、集積回路などのハードウェアで、および/または、プロセッサによりコンピュータプログラムが実行されることによって構成される。
【0267】
(図15のステップS40について)
まず、無線局装置11aの上位レイヤ処理部11a8が備えるモード切替処理部11a8は、移動局装置モード初期接続手順を実行し、移動局モード(通常の移動局装置)として、待ち受けモードに遷移する。ステップS40は、図7に示したステップS20と同様の処理のため、詳細な説明を省略する。
【0268】
(図15のステップS41について)
モード切替処理部11a8は、無線部11a13、外部接続部11a14、または入力・表示部11a15からモード切替制御信号を受信したか否かを判定する。そして、モード切替制御信号を受信していない場合(ステップS41においてNOの場合)、ステップS41に戻り、モード切替処理部11a8は、モード切替制御信号を受信したか否かの判定を再度行う。モード切替制御信号を受信した場合(ステップS41においてYESの場合)、ステップS42の処理が実行される。
【0269】
(図15のステップS42、ステップS43について)
ステップS42、ステップS43は、それぞれ図7のステップS25、ステップS26と同様のものであるため、説明を省略する。
【0270】
(本発明の第3の実施形態の効果)
本発明の第3の実施形態に係る基地局装置12a、および無線局装置11a〜11cにより、学校、公民館など防災拠点などにおいて、周辺の基地局装置の配置、中継局装置のカバーエリアなどを考慮して、事前に計画的に無線局装置11a〜11cを設置し、災害時、放送信号、防災無線信号、防災拠点間の専用線などを利用して、または、ユーザや管理者などの手動入力により、自主的な判断に基づいて、図2に示したものと同様の緊急中継システムを構築することができる。
【0271】
また、無線局装置11a〜11cは、通常は拠点の通信手段として移動局装置モードで動作し、緊急時に中継局装置モードで動作することができる。また、基地局装置の変更や、機能追加の必要がなく、LTE仕様書に規定された中継局装置対応の基地局装置を利用することができ、さらにシステム構築のコストダウンに繋がる。
【0272】
また、図2に示したように、山岳地帯に設置された無線局装置11cは、天候不良などによる電波環境劣化の場合、外部装置の制御信号、または手動制御により臨時の中継システムを構築し、サービス拡大エリアにおいて、移動局装置10cと基地局装置12aとの間の無線通信を中継することができる。また、外部装置の制御信号、または手動制御により電波改善エリア、干渉低減エリアを構築し、移動局装置10c、10dの送信電力を低減し、電池消費を抑えることができる。
【0273】
また、無線局装置11a〜11cは、基地局装置以外の外部装置からモード切替制御信号を受信するので、さまざまな情報源を利用して、効果的に中継局モードに切り替わることができる。
【0274】
(第4の実施形態)
(無線中継通信システムの構成)
図16は、本発明の第4の実施形態に係る無線中継通信システムの構成の一例を示す概念図である。この無線中継通信システムは、移動局装置10a、10b、無線局装置11a、11b、基地局装置12a、および無線通信システムのネットワーク制御部であるMME/S−GW部13を備える。
【0275】
移動局装置10bにより送受信される無線信号は無線局装置11a、11bを介して、基地局装置12aに中継される。無線局装置11a、11bのモード切替制御は、本発明の第1〜3の実施形態において説明したモード切替制御、またはそれらを組み合わせたものを利用する。
【0276】
(基地局装置の構成)
本発明の第4の実施形態に係る基地局装置12aの構成は、本発明の第1〜3の実施形態における基地局装置12aの構成の何れか1つを利用する。例えば、ここでは、図3に示した構成と同様の構成を用いることとし、その説明を省略する。
【0277】
(無線局装置の構成)
本発明の第4の実施形態に係る無線局装置11a、11bの構成は、本発明の第1〜3の実施形態における基地局装置12aの構成に対応したものとする。具体的には、上位レイヤ処理部11a8は、モード切替処理部11a8を備える以外に、図3に示した基地局装置12aのモード切替制御部12a2も備えている。なお、上位レイヤ処理部11a8を除いて、他の構成は図4、図5、または図14に示した構成と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0278】
(無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順)
本発明の第4の実施形態に係る無線局装置11aにおけるモード切替処理の処理手順は、本発明の第1〜3の実施形態における基地局装置12aの構成に対応した処理手順を利用するため、詳細な説明を省略する。
【0279】
無線局装置11aは、中継局装置モードに切替えた場合、移動局装置10a、無線局装置11bの無線信号を基地局装置12aに中継するため、移動局装置10a、無線局装置11bからは無線局装置11aは基地局装置eNBのように見える。
【0280】
無線局装置11aの上位レイヤ処理部11a8が備えるモード切替制御部12a2は、本発明の第1、第2の実施形態で説明したように動作し、図8に示す物理下り回線共用チャネルPDSCHを用いて、無線局装置11bにモード切替制御信号を送信する。
【0281】
例えば、無線局装置11aのモード切替処理部12a2は、図8に示したような無線局装置11aに報知された第1のMBSFNサブフレームの情報をもとに、第1のMBSFNサブフレームの下り回線サブフレーム番号とは異なる下り回線サブフレーム番号に第2のMBSFNサブフレームを割り当て、その割り当て情報を物理報知チャネルPBCHを通じて移動局装置10bおよび無線局装置11bに送信する。
【0282】
移動局装置10bは、報知された第2のMBSFNサブフレームの割り当て情報により、MBSFNサブフレームを無視する(受信しない)。無線局装置11bは、第2のMBSFNサブフレームを利用して、無線局装置11aからの中継データを受信する。そして、無線局装置11bは、第2のMBSFNサブフレーム以外のサブフレームを無視する(受信しない)。また、無線局装置11aは、第1のMBSFNサブフレームを利用して、基地局装置12aからの中継データを受信する。そして、無線局装置11aは、第1および第2のMBSFNサブフレーム以外のサブフレームを無視する(受信しない)。
【0283】
無線局装置11bが移動局装置モードから中継局装置モードに切替わった場合、無線局装置11bの中継局装置モードの初期接続および中継局装置モード動作のステップは、それぞれ図7のステップS25、ステップS26と同様のものであるため、説明を省略する。
【0284】
(本発明の第4の実施形態の効果)
本発明の第4の実施形態に係る基地局装置12a、および無線局装置11a、11bなどの複数の無線局装置の連結により、図16のような通信継続エリアを追加することができる。例えば、複数の通信継続エリアの追加により、通信不通の基地局装置12b、12cの代わりに基地局装置12aが通信を継続することができる。
【0285】
また、本発明の第4の実施形態に係る基地局装置12a、および無線局装置11a、11bなどの複数の無線局装置の連結で、複数のサービス拡大エリアを追加することにより、既存の基地局装置のサービスエリアを拡大し、ユーザの要求、社会の要求を満足することができる。
【0286】
以上説明した本発明の第1〜第3の実施形態の各処理は、集積回路に各処理を実行する機能を実装し、制御することによっても実現することができる。そして、そのような集積回路を基地局装置12a〜12cに実装することにより、第1〜第3の実施形態に係る基地局装置の動作を実現することができる。また、本発明の集積回路を無線局装置11a〜11dに実装することにより、第1〜第3の実施形態に係る無線局装置の動作を実現することができる。
【0287】
また、本発明の実施形態の各処理をコンピュータプログラムで実現してもよい。このコンピュータプログラムは、第1〜第3の実施形態における基地局装置12a〜12cおよび無線局装置11a〜11dで実行され、第1〜第3の実施形態の各処理を実現するようにCPU等を制御するコンピュータプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。
【0288】
そして、これらの装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種の書き換え可能なROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出され、修正・書き込みが行なわれる。
【0289】
コンピュータプログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0290】
また、CPUにより読み出されたコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態の各処理が実現されるだけでなく、そのコンピュータプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明が実現される場合もある。
【0291】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にコンピュータプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。
【0292】
また、上述した第1〜第3の実施形態における無線局装置11a〜11dおよび基地局装置12a〜12cの一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。無線局装置11a〜11dおよび基地局装置12a〜12cの各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0293】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0294】
1a〜1d,10a〜10d…移動局装置、2a〜2c…中継局装置、3a,12a〜12c…基地局装置、4a〜4c,14a〜14d…無線バックホール回線、5a〜5d,15a〜15d…無線アクセス回線、11a〜11d…無線局装置、11a1、11a1…送受信アンテナ部、11a2、11a2…アンテナ共用器、11a3、11a3…受信部、11a4、11a4…送信部、11a5…制御部、11a6…多重部分離部、11a7…物理チャネル抽出部、11a7…ULRS(Uplink Reference Signals)抽出部、11a7…PUCCH(Physical Uplink Control Channel)抽出部、11a7…PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)抽出部、11a7…PRACH(Physical Random Access Channel)抽出部、11a7…DLRS(Downlink Reference Signals)抽出部、11a7…SS(Synchronization Signals)抽出部、11a7…PBCH(Physical Broadcast Channel)抽出部、11a7…PDCCH(Physical Downlink Control Channel)抽出部、11a7…PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)抽出部、11a710…PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)抽出部、11a711…PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)抽出部、11a712…R−PDCCH(Relay Physical Downlink Control Channel)抽出部、11a8…上位レイヤ処理部、11a8…モード切替処理部、11a9…物理チャネル生成部、11a9…ULRS(Uplink Reference Signals)生成部、11a9…PUCCH(Physical Uplink Control Channel)生成部、11a9…PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)生成部、11a9…PRACH(Physical Random Access Channel)生成部、11a9…DLRS(Downlink Reference Signals)生成部、11a9…SS(Synchronization Signals)生成部、11a9…PBCH(Physical Broadcast Channel)生成部、11a9…PDCCH(Physical Downlink Control Channel)生成部、11a9…PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)生成部、11a910…PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)生成部、11a911…PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)生成部、11a10…多重部、12a1…インターフェース部、12a2…上位レイヤ処理部、12a2…モード切替制御部、12a3…物理チャネル抽出部、12a3…ULRS(Uplink Reference Signals)抽出部、12a3…PUCCH(Physical Uplink Control Channel)抽出部、12a3…PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)抽出部、12a3…PRACH(Physical Random Access Channel)抽出部、12a4…多重部、12a5…送信部、12a6…送信アンテナ部、12a7…受信アンテナ部、12a8…受信部、12a9…多重分離部、12a10…物理チャネル生成部、12a10…DLRS(Downlink Reference Signals)生成部、12a10…SS(Synchronization Signals)生成部、12a10…PBCH(Physical Broadcast Channel)生成部、12a10…PDCCH(Physical Downlink Control Channel)生成部、12a10…PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)生成部、12a10…PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)生成部、12a10…PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)生成部、12a10…R−PDCCH(Relay Physical Downlink Control Channel)生成部、12a11…制御部、13…MME/S−GW部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムであって、
前記無線局装置は、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替制御信号を受信し、該モード切替制御信号により前記移動局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記モード切替制御信号により前記中継局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継することを特徴とする無線中継通信システム。
【請求項2】
前記基地局装置は、前記モード切替制御信号を前記無線局装置に送信し、前記無線局装置は、前記基地局装置により送信された前記モード切替制御信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の無線中継通信システム。
【請求項3】
前記無線局装置は、前記基地局装置以外の外部装置により送信された前記モード切替制御信号、または、ユーザにより入力された前記モード切替制御信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の無線中継通信システム。
【請求項4】
前記無線局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードとの間でモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記モード切替能力情報に基づいて、前記無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の無線中継通信システム。
【請求項5】
前記無線局装置は、該無線局装置の位置を示す位置情報を前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記位置情報に基づいて前記無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の無線中継通信システム。
【請求項6】
前記基地局装置は、該基地局装置と前記移動局装置との間の通信を可能とするエリアを決定し、前記エリア内にある前記移動局装置との間の通信を中継する無線局装置を選択し、選択した無線局装置に前記モード切替制御信号を送信することを特徴とする請求項2に記載の無線中継通信システム。
【請求項7】
ネットワーク制御部、基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線通信システムであって、
前記ネットワーク制御部は、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる無線局装置を選択し、該無線局装置を管理する前記基地局装置に中継局装置設置要求信号を送信し、
前記基地局装置は、該中継局装置設置要求信号を受信した場合、前記ネットワーク制御部により選択された無線局装置に対して、前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードから、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードに前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を送信し、
前記無線局装置は、前記モード切替制御信号により前記中継局装置モードへの前記モードの切り替えが指示された場合に、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
基地局装置と移動局装置の通信の中継管理に用いられる移動局装置データベースであって、
前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替能力が各移動局装置にあるか否かを示すモード切替能力情報と、各移動局装置の位置情報とを記憶し、
前記中継を行う移動局装置は、前記モード切替能力情報と前記位置情報とに基づいて決定されることを特徴とする移動局装置データベース。
【請求項9】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置であって、
前記移動局装置の1つとして前記無線局装置に前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記無線局装置に前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御部を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
前記基地局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記無線局装置から受信し、前記モード切替制御部は、前記モード切替能力情報に基づいて、前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記基地局装置は、前記無線局装置の位置を示す位置情報を受信し、前記モード切替制御部は、前記位置情報に基づいて、前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記モード切替制御部は、前記基地局装置と前記移動局装置との間の通信を可能とするエリアを決定し、該エリア内にある前記無線局装置のモードを切り替えることを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記基地局装置は、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を前記無線局装置に送信することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項14】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置であって、
前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えるモード切替処理部と、
前記移動局装置モードにおいては前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記中継局装置モードにおいては前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する制御部と、
を備えることを特徴とする無線局装置。
【請求項15】
前記無線局装置は、前記移動局装置モードと前記中継局装置モードのいずれかにモードを切り替えることが可能であることを示すモード切替能力情報を前記基地局装置に送信することを特徴とする請求項14に記載の無線局装置。
【請求項16】
前記無線局装置は、前記無線局装置の位置を示す位置情報を前記基地局装置に送信することを特徴とする請求項14に記載の無線局装置。
【請求項17】
前記無線局装置は、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御信号を前記基地局装置から受信し、前記モード切替処理部は、前記モード切替制御信号に基づいて、前記モードを切り替えることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の無線局装置。
【請求項18】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置が備える集積回路であって、
前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御部を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項19】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置が備える集積回路であって、
前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかに、モードを切り替えるモード切替処理部と、
前記移動局装置モードにおいては前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行い、前記中継局装置モードにおいては前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する制御部と、
を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項20】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの基地局装置の制御を行うコンピュータプログラムであって、
前記移動局装置の1つとして前記無線局装置に前記基地局装置と通信を行わせる移動局装置モードと、前記無線局装置に前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継させる中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替制御ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項21】
基地局装置、移動局装置、無線局装置により構成される無線中継通信システムの無線局装置の制御を行うコンピュータプログラムであって、
前記移動局装置の1つとして前記基地局装置と通信を行う移動局装置モードと、前記基地局装置と前記移動局装置の通信を中継する中継局装置モードのいずれかに、前記無線局装置のモードを切り替えるモード切替処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−51540(P2013−51540A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188139(P2011−188139)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】