説明

無線信号観測による位置推定

【課題】電子機器の位置を推定するための方法および装置を提供する。
【解決手段】方法は、推定されるべき位置において機器によって検出される少なくとも1台の無線送信機の識別情報を含む観測を受信するステップと、観測をレコードの集合の内容と比較するステップと、観測とレコードとの間の個々の第1および第2の適合を検出するステップと、対応する位置を検索するステップとを含む。方法は、第1の適合および第2の適合の品質特性と、個々のレコードの供給源の指標とにより、第1の位置推定値および第2の位置推定値の少なくとも1つに基づいて電子機器の位置を推定するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器によりその近傍において検出可能な無線信号の観測と、それらの信号の(1台または複数の)送信機の識別情報とに基づいて機器の位置を推定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、測位システムして機能する位置ビーコンデータベースを提供することが提案されている。ビーコンがWiFi(WLAN)アクセスポイント(AP)である場合、そのようなデータベースは、APのMACアドレス、APの既知の、または推定される位置、および、おそらくは、APの電力プロファイル、すなわち、APの周りの様々な位置において何の信号強度が期待され得るかを含む。このデータベースには、普通、いわゆる「ウォードライブ(war−drive)」を実行し、既知の位置において、観測されるAPの識別情報およびAP信号強度の測定、ならびに、おそらくは、他の信号データ(ドップラー、誤り率など)を収集することによってデータが投入される(populated)。APが検出される位置は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)受信機によって決定され得る。
【0003】
対象となるエリアを網羅的に横断する「ウォードライブ」を実行するという負担のために、データベースを構築する責任は情報寄与者の間で分担されるのが普通であり、情報寄与者は通常、私的個人の愛好家である。このような状況では、データサンプルが最も頻繁に訪問される道や場所に大きく偏る傾向が生じる。このいわゆる「幹線バイアス(arterial bias)」により、推論されるAP位置に系統的誤差が導入される。
【0004】
データベースはユーザが位置決定を必要とするときに使用される。位置を見つけるプロセスは、先行技術によれば、通常、以下の通りである。
(i)観測可能なAPを、各APの信号強度および他の信号データと共に走査する。
(ii)データベースにおいてこれらのAPの位置および、おそらくは、電力プロファイルに関する参照データを検索する。
(iii)推定されるユーザ位置を導出する。
【0005】
しかし、この手法は大量のデータ解析を必要とする。各APの位置が推定され、または推測されることを可能にするのに十分なサンプルデータが収集されなければ、この手法は位置を決定するのに役立てることができない。ゆえに、AP信号の検出に関連するデータ集合が小さいと、信頼性をもって使用することができない。
【0006】
国際公開第2010/015854号パンフレットには、無線ビーコンベースの測位システムを使ってGPS測位受信機を増強する携帯式ナビゲーション機器が開示されている。この機器は、無線環境に関する観測をインテリジェントに収集し、そのため、GPS衛星が利用できないときに、位置を推定するのに使用することのできる無線ビーコンの独自のデータベースを有する。本質的に、例えば、機器がGPSを受信することができなくなる可能性があると予期するときに無線環境をサンプリングすることにより、この携帯式ナビゲーション機器は独自の選択的「ウォードライブ」を実行する。国際公開第2010/015854号パンフレットには、機器によって行われる観測の独自の個別データベースは、他のユーザ/機器と共有され得ることが開示されている。しかし、国際公開第2010/015854号パンフレットでは、位置推定値を計算するときには、可能な限り、共有データではなく個別に収集されたデータを使用すべきであると教示している。というのは、ユーザ自身の機器によって収集される観測は、当該ユーザの通常の地理的移動と大きな関連性を有する可能性が高いからである。国際公開第2010/015854号パンフレットの機器は、各無線ビーコンの位置を推測する必要はない。すなわち、この機器は、ビーコンが観測された位置を機器の参照位置として使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電子機器の位置を推定する方法であって、
推定されるべき位置にて機器によって検出された少なくとも1台の無線送信機の識別情報を含む観測を受信するステップと、
観測を複数のレコードと比較するステップであって、前記複数のレコードのそれぞれが1台または複数の無線送信機の識別情報と対応位置とを含み、前記位置は1台または複数の送信機が検出された位置または位置の集合に基づくステップと、
観測と、対応する第1の位置を含む第1のレコードとの間の第1の適合(match)を検出するステップと、
第1の適合の品質特性を決定するステップと、
第1のレコードの供給源に関する第1の指標を設定するステップと、
観測と、対応する第2の位置を含む第2のレコードとの間の第2の適合を検出するステップと、
第2の適合の品質特性を決定するステップと、
第1の指標とは異なる、第2のレコードの供給源に関する第2の指標を設定するステップと、
第1の指標、第1の適合の品質特性、第2の指標および第2の適合の品質特性に応じて、第1および第2の位置の少なくとも1つに基づいて電子機器の位置を推定するステップと
を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の発明者らは、国際公開第2010/015854号パンフレットによって提案されているものより洗練された方法で、異なる機器によって行われた観測を組み合わせることが有利であることを確認した。
【0009】
実施形態によれば、方法は、各適合の品質を、個々の適合されたレコードの起源の指標と共に考慮する。言い換えると、推定される位置は、各適合がどれほど良好であるかと、そのレコードに寄与した(1台または複数の)機器の特性の両方に依存するものになる。本発明の発明者らは、位置を推定する際に複数の(適合する)レコードが利用できるときには、機器の属性および機器がレコードを作成した内部コンテキストを、適合の品質と一緒に考慮すべきであることを確認した。レコードの供給源は、寄与する機器がレコードを作成したときの機器のプロパティ、構成、または状態によって示され得る。内部コンテキストおよびプロパティの重要な側面は、寄与者の固有の属性(例えば、責任を負う機器、ユーザ、またはソフトウェアの属性など)を調べることにより取り込むことができる。方法は、利用可能な情報を可能な最大限まで利用させることができる。適合の品質は、結果として得られる位置推定値のある一定の信頼度を示すことができる。同様に、レコード内のデータの供給源も、そのデータが、そこから電子機器の位置を推定するための適切な、または関連性を有する開始点であることのある一定の信用度を示すことができる。方法では両方の種類の情報を組み合わせ、それによって、特に2つの異なる種類の情報が矛盾する場合に、より正確な位置推定値を生成することを可能にし得る。
【0010】
このコンテキストでは、2つの異なる種類の情報間の「矛盾」は、一方の種類がある手順を示唆し、他方の種類が別の手順を示唆するときに生じる。例えば、2つのレコードの供給源だけが考慮される場合、普通は、別の機器によって生成されたレコードよりも同じ機器によって生成されたレコードを使用しようとするはずである。しかし、後者のレコードについての適合の品質の方がはるかに高く、同じ機器の適合ではなくこの適合を信頼すべきであることが示唆される場合もある。これが、品質特性と供給源の指標との矛盾の一例である。
【0011】
レコードの集合に含まれる位置情報は、多くの場合、不完全であったり、誤りを含んでいたりする。この原因には、観測数の不足、不完全な地理的範囲(すなわち、あるエリアにおいて観測が行われていない)、再現性の欠如(例えば、送信機が移動した、活性化された、または非活性化されたなどのため)が含まれ得る。同様に、レコードに記憶された位置の正確さに関しては常にある程度の不確実性も生じる(例えば、測定誤差のためなど)。
【0012】
本発明は、この限られた不完全な情報を最適に利用することにより位置推定の正確さを改善しようと試みる。
【0013】
レコードの供給源の指標は暗黙的とすることも、明示的とすることもできる。例えば、レコード自身がその供給源(レコードの生成に責任を負う機器の識別情報など)を明示的に識別してもよい。あるいは、レコードの供給源は、レコードの記憶のされ方またはレコードの獲得のされ方において暗示してもよい。例えば、電子機器は内蔵データ記憶手段を有してもよく、電子機器は自身による無線送信機の以前の観測を含むレコードを内蔵データ記憶手段に記憶する。これらのレコードの供給源を設定するのにラベルは不要である。というのは、内蔵データ記憶内のどんなレコードも機器自身によって生成されたことが暗黙的に知られているからである。要約すると、本方法は、レコードをその供給源に従って区別する。しかし、供給源は多種多様な方法で設定することができる。
【0014】
実施形態によっては、第1のレコードは第1のデータベースに記憶され、第2のレコードは第2のデータベースに記憶される。したがって、レコードの供給源の指標は、そのレコードが見つかるデータベースの指標を含み得る。第2のデータベースは、好ましくは、共有データベースであり、各機器の無線環境の観測を共有する機器グループによって使用される。第1のデータベースは個別データベースとすることができ、電子機器によって機器自身の無線環境の観測の履歴を記憶するのに使用される。よって各データベースにはレコードの様々な供給源に従ってデータが投入される。第1のデータベースは1つの供給源、または供給源の集合に関連するレコードを含み、第2のデータベースは別の供給源または供給源の集合に関連するレコードを含む。したがって、適合の検索元であるデータベースの識別情報を示すことは、レコードの供給源を示すことと等しい。
【0015】
本発明の方法は、その場合、第1のデータベース内の観測レコード(例えば、機器自身によって生成された観測など)を、他の機器によって共有される観測(第2のデータベース)とインテリジェントに統合することを可能にする。この方法は、利用可能なデータを一層最適に使用することを可能にする。というのは、位置推定値は、(国際公開第2010/015854号パンフレットで提案されているように)レコードがどのデータベースから検索されたかに基づいてブラインド選択を行うのではなく、各適合の特性を考慮に入れるからである。品質特性は適合の特異性(または独自性)を評価することができる。例えば、この特性は、適合の正当性または地理的正確さに関する確実性または不確実性の相対的度合いを捕えることができる。
【0016】
本明細書において、「データベース」という語は、複数のレコードを含む集合を意味するために使用される。データベースを構成するレコードの集合は、物理的にグループ化されていても、論理的にグループ化されていてもよい。よって例えば、2つの異なるデータベースが、(論理的に)別個のレコードの部分集合として同じ物理記憶装置に記憶されていてもよい。あるいは、2つのデータベースが別個の物理データベースとして異なる記憶装置に記憶されていてもよい。一般に、データベースは、ローカルで記憶およびアクセスが行われてもよいし、リモートで記憶およびアクセスが行われても(すなわち、同じ機器から行われても、異なる機器間で行われても)よい。
【0017】
第1のデータベースは、好ましくは、同じ機器の、個人用または専用のデータベースとすることができる。言い換えると、第1のデータベース内の各レコードは1台または複数の無線送信機の識別情報を含むことができ、対応する位置は、その1台または複数の送信機が、その位置を推定すべき電子機器によって検出された位置に基づくものとすることができる。その場合、第1のデータベースは、個別機器の使用パターンに合わせて固有にカスタマイズされる。というのは、第1のデータベースは、本質的に、1つの観測集合、すなわち、機器自身によって収集された観測だけしか含まないからである。そのようなデータベースは当該機器のみの地理的移動の履歴を表す。
【0018】
実施形態によっては、レコードと関連付けられる位置は、1台または複数の無線送信機が検出された位置と全く同じ位置であることに留意されたい。別の実施形態によっては、レコードに記憶される位置は、送信機が検出された正確な位置と異なっていてもよい。例えば、ユーザ機器が異なる位置において所定の送信機を繰り返し検出する場合、レコードはこれらの位置の平均値である位置を含み得る。別の例では、レコードは、送信機自身の位置の推定値である位置を含んでいてもよく、その場合、送信機位置の推定値は、機器が送信機の信号を検出した1つまたは複数の位置から推測されたものである。これらの例のどちらにおいても、レコードに記憶される位置は、送信機が検出された特定の位置のいずれとも同一ではないが、にもかかわらずこれらに基づくものである。
【0019】
レコードが複数の送信機の識別情報を含む場合には、これらの送信機すべてが単一の機器により、単一の場所と時間において観測されたものである必要はない。互いに関連性のない観測がより少数のレコードへと集約されてもよい。例えば、ある機器が送信機T1を位置P1において観測し、別の機器が送信機T2を近接した位置P2において観測する場合、これは、位置Pと関連付けられた識別情報{T1,T2}を含むレコードによって表されてもよい。ここで、PはP1および/またはP2に基づく。レコードに記憶された位置Pは、P1とP2の平均値とすることもよいし、P1および/またはP2の量子化バージョンでもよく、他の何らかの方法でP1および/またはP2に基づくものでもよい。
【0020】
共有される第2のデータベースに寄与する機器のグループは、好ましくは、個別機器を含むことができる。あるいは、第2のデータベースは、個別機器が属するグループ内の機器を使って構築されてもよいが、その場合には、グループ内の他の機器によって提供されたレコードだけが当該個別機器によって使用される(例えば、個別機器自身のレコードはすでに第1のデータベースにおいて考慮されているため、それらのレコードを第2のデータベースにおいて複製する必要がない)。
【0021】
ある実施形態では、第1と第2両方のデータベースが、複数の異なる機器によって生成されたレコードが投入される共有データベースである。任意選択で、第1のデータベースの内容は、より小さい、より限定的な、またはより特異なグループに対応し、第2のデータベースの内容は、より幅広い、より大きい、またはより特異性の低いグループに対応していてもよい。第1のデータベースと関連付けられるより特異なグループは、その位置を推定すべき電子機器の観測との関連性がより大きくなるように選択される。
【0022】
より一般的には、第1および第2のデータベースは、単に、異なるレコード集合を含むだけでもよく、その場合、異なる集合は、問題となる電子機器の観測に対して異なる関連性を有する(または有するものと期待される)ものである。
【0023】
問題となる電子機器の観測に対する関連性は、通常、類似のハードウェアで構築された機器、類似のソフトウェアを実行する機器、類似の方法で使用される機器といった、その電子機器と共通のある属性を有する寄与者機器(もしくは機器のユーザ)のグループ、または(すでに説明したような)類似の移動パターンを有するユーザによって設定される。したがって、適合したレコードの供給源の指標は、レコードが、これらのいずれか1つの点において問題となる電子機器と類似する機器に由来することを示し得る。
【0024】
グループは、それがより選択的であるほど(訪れる位置および/または機器のプロパティに関して)より特異であり、そのため、類似のそのような機器のレコードに基づく位置推定値が機器の実際の位置に密接に対応する可能性がより高い。
【0025】
グループは、それがより一般的であるほど、当該グループのレコード間での適合の可能性がより高い(すなわち、所定の無線送信機または送信機の集合が以前に確認されている可能性がより高い)。したがって、位置推定値につながり得る情報がある可能性がより高く、当該位置推定値がより多くの観測に基づくものであり、したがって潜在的により正確である可能性が高い。しかし、そのような共有の、または一般的なデータに基づく正確な推定値は、特定の個別機器については、そのプロパティまたは使用法が異なるために、不正確であり、誤解を招くものである可能性もある。
【0026】
観測と個々の第1および第2のレコードとの間の第1および第2の適合は、ユニークである(すなわち、完全に適合している)場合もあり、部分(ユニークでない)適合である場合もある。(観測において)複数の送信機が検出される際に部分適合が判定されるが、送信機識別情報の一部だけが所定のレコードと適合する場合に判定され得るはずである。逆に、1台または複数の送信機が検出されるが、それらの送信機だけを含む(他の送信機を含まない)レコードが見つからない場合もある。あるいは、検出された単一の送信機について部分適合を定義することもできるはずであり、その場合、送信機の識別情報は記憶されたレコード内の単一の送信機の識別情報に限られた範囲内で適合する。
【0027】
適合の品質特性を適合の供給源と併せて考慮すれば、レコードに記憶された情報をより巧妙に組み合わせることが可能になり、位置推定値を計算するときに、利用可能な知識をより十分に利用することができる。異なるレコードを慎重に考慮することにより、機器の位置を推論するための最善の手法についての推測を引き出すことができる。これにより位置推定の精度の改善を導き出すことができる。
【0028】
第1および第2の指標の少なくとも1つが個々の適合するレコードにラベルを含んでいてもよい。
【0029】
各適合が、対応する適合したレコードが属するデータベース(またはデータベースの種類)を示すラベル、すなわち、そのレコードに寄与した供給源を示すラベルと一緒に検索されてもよい。このことは、すべてのレコードが単一の統合されたデータベースに記憶され、各レコードに、そのレコードが関連付けられている機器、ソフトウェア、ユーザ名、または(その他の中の)グループの指標で注釈が付けられる実施態様を円滑に行わせることを補助する。好都合なラベルの別の例には、機器の通し番号、製造者コード、モデル型番、ソフトウェアのバージョン番号が含まれ得る。その場合、方法は、2つのデータベースに2つの別々の問い合わせを行うのではなく、単に、観測を単一の統合されたデータベースの内容と比較するだけでよい。このデータベースにおいて見つかるすべての適合が検索される。しかし、各適合と関連付けられたラベルは、電子機器の位置を推定するときに、それらに異なる処理を施すことを可能にする。この場合、各レコードと関連付けられたラベルは、たとえすべてのレコードが同じ物理データベースに記憶され得る場合でさえも、別々の論理データベースが定義されることを可能にする。実際、この実施態様は、レコードを独立のデータベースに記憶するよりも多くの柔軟性を有し得る。というのは、各データベースの定義(すなわち、データベースへのレコードの割当て)またはどのデータ供給源を使用すべきかの選択を、単に、各ラベルの解釈法を調整するたけで変更することができるからである。例えば、各レコードが、当該レコードに関与したユーザ機器の識別情報を示すラベルを含む場合には、当該電子機器と同じユーザ機器ラベルを有する(適合する)レコードだけを選択することにより第1のデータベースを定義することができるはずである。
【0030】
方法はさらに、観測を第2の共有データベースの内容と比較するステップの前に、第2の共有データベースを、複数の可能な共有データベースの中から選択するステップを含んでいてもよい。換言すれば、方法は、比較を実行する前に、観測が比較されるべきレコードの集合を選択するステップを含み得る。この選択は、レコードの供給源の指標に従って行われ得る。
【0031】
加えて選択は、外部情報(すなわち、供給源に関する情報以外の情報)に従って行われてもよく、それによれば、異なる状況に応じて異なるレコードの集合が選択され得る。この外部情報は、日付、曜日、時刻といった時間のコンテキストに関する情報を含んでいてもよい。これをさらに円滑化するために、レコードはさらに、レコードが生成された状況に関するそのような「外部」コンテキスト情報を提供するデータ、例えば、観測が行われた時刻を示すタイムスタンプアノテーションなどを含んでいてもよい。その場合には、レコードを選択するために、この情報を現在の観測の外部コンテキストに関する情報と比較することができる。
【0032】
この場合、一方の供給源の指標と、他方の時間のコンテキストとの間で区別をつけることができる。供給源の指標は、レコードが生成された「内部の」または「固有の」コンテキストを表し、寄与者に特有のもの、すなわち、機器、ユーザ、ソフトウェアアプリケーションなどを記述する特有の情報である。時間のコンテキストは、寄与の「外部の」または「外来の」コンテキストの一部、すなわち、すべての機器に共通の情報であり、時間および周囲温度のような環境属性などを含む。
【0033】
一例では、第2のデータベースは、電子機器のユーザの会社の同僚と関連付けられたレコードを選択することによって定義することができる。しかし、別の場合には、第2のデータベースは、電子機器のユーザの家族および友人と関連付けられたレコードを選択することによって定義することもできるはずである。この柔軟性は、異なるグループからの地理的データが異なる目的で所定のユーザに適していることを認識する。
【0034】
一般に、各適合の品質特性は、現在観測されている識別情報の集合と適合するレコードに見出される識別情報との間の類似性に依存する。
【0035】
第1の適合および第2の適合の品質特性は、適合がどれほど特異であるかの尺度を含むことができ、好ましくは、観測に含まれる少なくとも1つの識別情報の集合と適合するレコードに含まれる1つまたは複数の識別情報の集合との間の類似性の度合い、および適合によって示される地理的精度の度合いのうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
地理的精度の度合いは、少なくとも一部は、(観測とレコードの間の)適合する異なる送信機の数に基づくものとすることができる。一般に、検出される送信機の数が大きいほど、位置推定値は正確である。というのは、観測されるすべての送信機のカバレージパターン間の共通部分にその機器が位置することを意味するためである。これに加えて、または代替として、地理的精度の度合いは、個々の送信機の地理的カバレージの程度の知識に基づくものとすることもできる。例えば、セルラーネットワークにおけるマイクロセルまたはピコセルの検出は、マクロセルの検出よりも地理的精度が高いことを意味する。
【0037】
本発明の発明者らが確認しているように、適合の特異性の差を利用して、異なるデータベースからの適合がどのようにして組み合わされるかをより精密に制御することができる。たとえ対応するレコードの供給源と問題となる電子機器との関連性があまり大きくない場合でさえも、より特異的な適合が好ましい可能性がある。同様に、2つのデータベースを使用する一実施態様では、2つのデータベースのうちのより一般的なものに含まれるより特異的な適合が、より個別化されたデータベースを使用するという選択に優先される可能性もある。
【0038】
各送信機の識別情報は、階層の一連のレベルが連続的により限定される地理的エリアに対応するような階層構造を有していてもよく、適合の特異性の尺度を、観測における少なくとも1台の送信機の階層的識別情報と、適合するレコードの1台または複数の送信機の階層的識別情報との間の類似性の度合いに基づくものとすることもできる。
【0039】
階層的識別情報の一例が、GSMなどのセルラー電話システムのセルグローバル識別(CGI:Cell Global Identification)である。これは、国、ネットワーク、エリア、および最後に個別セル識別情報を示す1組のコード番号で構成される。完全な、またはユニークな適合であるためには、同じセルラー基地局が検出されなければならない。すなわちこの場合には、観測とデータベースレコードとの間で識別情報のあらゆる要素が適合する。しかし、特定の地理的領域内のすべての基地局は同じエリアについてのコード(LAC:Local Area Code)を共有する。したがって、同じLACを有する基地局の検出は部分適合を生じさせる。また、異なるセル識別情報(CI:Cell Identity)およびLACを有するが同じ国内(MCC:Mobile Country Code)にある基地局の検出も部分適合であるが、エリア適合ほど特異ではない。というのは、これは、観測された基地局が、データベースレコードにおいて参照される基地局と同じ国内に位置することを示すにすぎないからである。このようにして、適合する階層的識別情報の要素の数を使って適合の特異性を判定することができる。
【0040】
一般に、レコードの供給源の指標は、無線環境の観測を行うことにより当該レコードを生成した(または当該レコードをこのようにして生成させた)個人、ハードウェア、またはソフトウェアを示し得る。同様にこの指標は、そのような個人、ハードウェア機器、またはソフトウェアアプリケーションが属する関連エンティティのグループまたはクラスも示し得る。言い換えると、レコードの供給源または起源の指標は、誰または何が当該レコードを作成したかに関する情報である。観測を行わせるソフトウェアは、観測を行う機器上で走っているソフトウェアとすることもでき、(例えば「シンクライアント」型の機器の場合などには)機器が接続されているネットワークサービスとすることもできる。
【0041】
供給源の第1および第2の指標の少なくとも1つは、1台または複数の機器の識別情報、および、1つまたは複数のソフトウェアプログラムの少なくとも1つである。上記の1台または複数の機器の識別情報は、その位置もしくは位置の集合において1台もしくは複数の送信機を検出したことによりレコードに寄与したものである。上記の1つまたは複数のソフトウェアプログラムは、上記1台もしくは複数の機器をレコードに寄与させたもの、および、1または複数の機器もしくはソフトウェアプログラムが属するグループに寄与させたものである。ここでのグループとは、好ましくは、上記1または複数の機器もしくはソフトウェアプログラムの種類、および上記1または複数の機器もしくはソフトウェアプログラムが関連付けられているユーザの少なくとも1つを示し得る。
【0042】
これらはレコードの供給源の指標を設定するための異なる手法を提供する。前述のように、供給源の指標は、暗黙的に決定されても、明示的に決定されてもよい。指標が、レコードが由来する機器、ソフトウェアアプリケーション、またはユーザのグループを示すとき、当該グループは、好ましくは、問題となる電子機器と共通の属性を有する。これは、電子機器の位置を推定するときにより大きな関連性を有するグループのレコードをもたらすはずである。すなわち、グループの1つまたは複数のメンバが特定の位置にあるときに所定の無線送信機の集合を観測した場合には、電子機器が同じ送信機の集合を観測するときには、例えば、機器は当該グループの各機器と物理的もしくは電気的に類似したものであり、または類似した方法で使用されるため、同じ場所にある可能性が高い。
【0043】
したがって、機器のグループは、機器の種類によって、またはユーザの種類によって特徴付けられてもよい。したがって、寄与する機器の識別情報を知っていること、または機器が属するグループの指標を有していることは、機器の地理的使用パターンまたは機器が当該レコードにどのように提供したか(例えば、機器がどのようにして送信機を検出したかや、機器がどのようにしてその位置を観測したかなど)に影響を及ぼした可能性のある機器のプロパティに関する何かを知っていることの代用とすることができる。
【0044】
ソフトウェアアプリケーションのグループは、ソフトウェア提供者によって、またはその目的によって特徴付けられてもよいはずである。例えば、業務関連のソフトウェアアプリケーションの集合がまとめてグループ化されてもよく、ゲームおよびメディアのアプリケーションで別のグループを形成してもよい。
【0045】
本発明の発明者らは、異なる機器、ユーザおよびグループが異なる位置から同じ送信機を観測し得ることを確認している。しかし、同じ個人、または同じグループのメンバは同じ位置から同じ送信機を観測する可能性がより高い。これは、特定の供給源から提供されるレコードの関連性が意味するものの一例である。前述の例では、関連性が生じるのは、機器が類似の地理的パターンで使用されるからである。また関連性は別の点で、例えば、機器の物理的または電気的属性の類似性により生じることもある。この関連性の局面を以下でさらに詳細に説明する。
【0046】
第1の指標は、任意選択で、第1のレコードの供給源が電子機器自身であることを示し、好ましくは、第2の指標は、第2のレコードの供給源がある限定された機器グループの中の1台または複数の機器であることを示す。
【0047】
この場合、第1のレコードは同じ機器のレコードであり、第2のレコードは別の機器によって共有されるレコードである。他方の機器は、好ましくは、ある限定された機器グループのうちの1台であり、そのレコードは問題となる電子機器の位置を計算する際により大きな関連性を有すると期待される。
【0048】
第1および第2の指標は、任意選択で、第1のレコードが、第2のレコードの供給源より当該電子機器により密接に関連する供給源に由来することを示唆する。第2の適合が第1の適合より特異である場合には、電子機器の位置の推定は第2の位置に優先的に基づくものであり、そうでない場合には、推定は第1の位置に優先的に基づくものである。
【0049】
第1の適合が第2の適合より正確である場合、または2つの適合が同等に正確であると判断される場合には、最終的な位置推定値は第1の位置に優先的に基づくものになる。言い換えると、それ以外がすべて等しければ、(より密接に関連する供給源に対応する)第1の位置が最終的な位置推定値により大きな影響を及ぼすことになる。それとは逆に、(関連性がより小さい供給源に基づくものである)第2の適合が第1の適合より特異である場合には、第2の位置推定値が最終的な位置推定値を決定づけることが妥当と考えられる。これは、適合の特異性とその供給源とを併せて考察するための、単純ではあるが、有益かつ一般的な1つの解決法(heuristic)を提供する。
【0050】
電子機器の位置を推定するステップは、第1の位置と第2の位置の線形結合を含んでいても、非線形結合を含んでいてもよい。
【0051】
各適合に対応する位置には、適合の特異性の尺度と、適合するレコードの起源の指標(例えばレコードが由来するデータベースなど)の両方に基づく優先順位が割り当てられてもよい。その場合、電子機器の位置を推定するステップは、最高の優先順位を有する位置推定値を選択するステップを含むことができる。これは、非線形の結合方法の一例である。
【0052】
あるいは、各適合に対応する位置には、適合の特異性の尺度と供給源の指標の両方に基づく重みが割り当てられてもよい。その場合、電子機器の位置を推定するステップは、割り当てられた重みに従って位置推定値の加重平均値を計算するステップを含むことができる。これは、線形の結合方法の一例である。
【0053】
供給源機器と電子機器とが、ほぼ推定されるべき位置と同じ位置についてのデータベースレコードを提供しており、および/または、当該電子機器とほぼ同様の手法で観測を行うことによってデータベースレコードを提供していると期待される関連機器のグループの一部である場合には、第1および第2の指標は、第1のレコードが当該電子機器に相対的により密接に関連する供給源に由来することを、示唆し得る。
【0054】
第1の事例では、機器のグループは共通の目的を有し得る。例えば、ある一団の宅配便車両と関連付けられた追跡機器のグループは、その顧客の所在地ならびに託送貨物の発送元および送付先を繰り返し訪れる可能性が高くなる。
【0055】
第2の事例では、機器のグループは共通の構成要素を有していてもよく、類似の手法で使用されてもよい。機器のグループは、同じ物理的種類またはフォームファクタのものとしてもよいし、同じ物理的または電気的プロパティを有してもよいし、類似のボディに梱包されていてもよい。
【0056】
例えば、特定の製造者のすべての携帯式ナビゲーション機器は、信号測定を行うために、同じアンテナ、無線チップセット、またはソフトウェア計算を使用し得る。信号観測はすべて同様に行われるため、これらの機器のうちの1台によって行われる観測は、別の製造者の機器によって提供されるレコードと比べて、同じグループの別の機器によって提供されるレコードと適合する可能性がより高い。これはより正確な適合を、したがってより良い位置推定をもたらすはずである。
【0057】
これは、「ウォードライブ」を実行する異なるユーザによって生成されている先行技術の公知の無線ビーコンデータベースと対照的である。それらのデータベースにおいては、各寄与者は、較正も制御もなしで異なるハードウェアを使って必要な信号測定を行っており、そのために、データに未知の変動が生じ得る。本発明の実施形態は、可能な場合には、類似の機器のレコードを使用することにより、そのような変動の影響を軽減することができる。
【0058】
別の例では、すべてのラップトップ機器を1つのグループに割り当てることができ、すべての移動電話機器を別のグループの割り当てることができる。これらの機器は異なる特性方向(characteristic orientations)において使用され、異なるフォームファクタを有するため、これらの機器が行う信号観測は相互に異なるものとなり得る。同様に、これらの機器は異なる場所において使用され得る(例えば、移動電話は映画館や劇場において電源が入れられる場合もあり、ノート型コンピュータは使用される可能性が低いなど)。加えて、これら異なる種類の機器は、すでに説明したように、異なるハードウェアおよびソフトウェア構成要素を有し得る。
【0059】
第1のデータベース内のレコードが第2のデータベース内のレコードより大きい関連性を有すると期待されるように、第1のレコードが由来する機器のクラスは第2のレコードが由来するより広い機器のクラスよりも厳しく定義されていてもよい。あるいは、第1および第2のデータベースは、別の理由なしに、または異なる点で、同等の関連性を有することが期待されてもよい。
【0060】
あるいは、機器の特定のグループまたは下位グループと関連付けられているのではなく、第2のレコードは汎用的であってもよい。すなわち、第2のレコードは利用可能な任意の機器からの任意の観測データを含んでいてもよい。
【0061】
方法はさらに、第3のレコードとの第3の適合を検出するステップを含んでいてもよい。この場合には、第3の適合の供給源は問題となる電子機器に関連しない機器とすることができる。第1および第2のデータベースを使用する実施態様のコンテキストにおいて、第3の適合が第3のデータベースに含まれていてもよい。第3のデータベースは、任意の機器によって提供されるレコードを含むという点において、グローバル(すなわち普遍的または汎用的)でもよい。すなわち、第1および第2のデータベースが選択されたレコードだけを含み得るのに対し、第3のデータベースは特定の機器または特定の機器グループに限定されず、利用可能なすべてのレコードを含んでいてよい。したがって、第1から第3のデータベースは漸進的に大規模に、かつ/またはより広範囲になり得る。
【0062】
異なる製造者またはサービス提供者は独自のデータベースを実施し得ることに留意されたい。この場合、2つの異なる提供者は2つの異なる汎用的または「普遍的」データベースを提供し得る。これは言葉の矛盾とみなすべきではない。というのは、各データベースは一方の提供者だけに特有のレコードを含むため、どちらのデータベースも厳密には普遍的ではないが、これらのデータベースは、それぞれの提供者によって区別なく提供されるすべてのデータを組み込んでいるという点でやはり汎用的なデータベースだからである。
【0063】
方法はさらに、同じ供給源の指標を有するレコードとの複数の適合を検出するステップを含んでいてもよく、電子機器の位置を推定するステップは、複数の適合のそれぞれの品質特性に応じて、対応する複数の位置推定値のうちの少なくとも1つに基づくものとすることができる。
【0064】
これにより方法は、利用可能なときには、同じ供給源からの複数の適合を使用するように拡張される。
【0065】
方法はさらに、複数のレコードにデータを提出するステップを含んでいてもよく、データは、観測、電子機器の位置の推定値、および、好ましくは、電子機器、電子機器の種類、または機器が属する機器グループのうちの少なくとも1つを識別するラベルを含む。
【0066】
これによりレコードの集合を構築させ、または更新させることが可能になる。位置の推定値は、前述のように、無線信号の観測によって計算され得る。あるいは、推定値は、他の手段によって獲得されてもよい。好ましくは、GPS位置決定といった信頼できる位置の推定値が、レコードの正確さを保証するために使用される。
【0067】
観測される無線送信機の種類によっては、特定の位置における信号環境は時間の経過と共に変化し得る。例えば、セルラー基地局は、再構成され、追加され、または削除され得る。無線LAN(WLAN/WiFi)ホットスポットは、時刻に応じて電源がオン/オフされることもあり、ある場所から別の場所に移動されることもある。そのような場合には、フィールド内の機器によって提供される更新を、当該レコードの集合が正確さを保つように役立てることができる。
【0068】
提出データにラベルが含まれる場合、これは後で、データがどのように最善に使用され得るか特定するのに使用することができる。機器によって提出されたデータは、例えば、当該機器自身の観測だけからなるデータベースを構築するのに使用されてもよい。同様に、ラベルがあることにより、その観測を特定の共有データベースを構築するのに使用する必要がある機器グループの定義が容易かつ柔軟なものにできる。
【0069】
当業者には明らかなように、機器からデータを提出するたびにレベルを送信する必要があるとは限らない。例えば、リモートのデータベースと通信する場合には、冗長性を低減するために、機器は、最初のハンドシェークまたは構成段階においてデータベースにそのラベルを登録してもよい。その場合、同じ機器のからの後続の提出には同じラベルが割り当てられるはずである。これにより、ラベルの反復が回避され、機器とデータベースの間の通信リンクの帯域幅を低減することができる。
【0070】
ラベルは位置の観測および/または推定値と一緒に提出されても、別々に提出されてもよい。例えば、ラベルは、別個の構成フェーズにおいて、異なるインターフェースを介して提供されることもできるはずである。例えば、ユーザがサーバコンピュータに別個に接続し、観測データが提出された日付または時刻とは異なる日付または時刻にデータの各ユーザの部分にラベル付けしてもよい。
【0071】
1台の機器が複数のラベル、例えば、個別ラベルと、機器が属するグループに関連する1つまたは複数のラベルを有していてもよい。機器は、コンテキストに従って、レコードを提出するために異なるラベルを使用してもよい。例えば、機器が企業の仮想私設ネットワーク(VPN:Virtual Private Network)に接続されている間に行われる観測は、「仕事」ラベルと共に記憶することができ、機器が映画を見たり、音楽を聴いたりするのに使用されている間に記録される観測は「娯楽」ラベルと関連付けることができるはずである。
【0072】
また、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合には、前述のような方法のすべてのステップを実行するように構成されたコンピュータ・プログラム・コード手段を含むコンピュータプログラムも提供され、そのようなコンピュータプログラムはコンピュータ可読媒体上で実施される。
【0073】
本発明の別の態様によれば、携帯機器であって、
推定されるべき位置にて携帯機器によって検出可能な少なくとも1台の無線送信機の識別情報を観測するように構成された無線受信機と、
観測される識別情報を、複数のレコードと比較されるべき問い合わせとして発行するように動作する問い合わせプロセッサを備え、
複数のレコードのそれぞれは、1台または複数の無線送信機の識別情報と、それら1台または複数の送信機が検出された位置または位置の集合に基づく対応する位置と、を含み、
この問い合せプロセッサは、問い合わせに応答して、観測とレコードのうちの第1のレコードとの間の第1の適合の結果を受け取るように動作し、
第1の適合の結果は、
第1のレコードの供給源の第1の指標、および
第1のレコードに対応する位置である第1の位置推定値
を含み、
また、この問い合わせプロセッサは、問い合わせに応答して、観測とレコードのうちの第2のレコードとの間の第2の適合の結果を受け取るように動作し、
第2の適合の結果は、
第1の指標とは異なる第2のレコードの供給源の第2の指標、および
第2のレコードに対応する位置である第2の位置推定値
を含み、
さらに、この問い合わせプロセッサは、第1の適合および第2の適合の品質特性を決定するように構成されており、
当該携帯機器は、さらに、第1の指標、第1の適合の品質特性、第2の指標および第2の適合の品質特性に応じて、第1の位置推定値および第2の位置推定値の少なくとも1つに基づいて携帯機器の位置を推定するように構成された位置推定器と、を備える携帯機器が提供される。
【0074】
携帯機器は個人用ナビゲーション機器とすることができる。しかしこの機器は、測位機能を実施することが求められる他の任意の種類の機器とすることもできるはずである。これには、例えば、移動電話、車両または荷物追跡機器、または、携帯式コンピュータなどが含まれ得る。
【0075】
携帯機器はさらに、複数のレコードの全部または一部を記憶するための内蔵メモリを備えていてもよい。
【0076】
内蔵メモリに記憶されるレコードは、例えば、機器自身によって生成されたレコードなどとすることができる。また機器は、第2の共有データベースからの共有レコード(あるいは、第3のデータベース)といった、より幅広いレコードの集合の全部または一部を記憶するように構成されていてもよい。任意選択で、マスタデータベースがリモートで記憶されていてもよく、機器は、間欠的に、または周期的に更新をデータベースにダウンロードするように構成されていてもよい。
【0077】
次に本発明を、例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態による位置を推定する方法を示す流れ図である。
【図2】第2の実施形態による方法を示す流れ図である。
【図3】第3の実施形態による方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態による装置を示す図である。
【図5】複数の無線送信機の識別情報を含む観測と部分的に適合するデータベースレコードとの可能な関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下の例示的実施形態においては、本発明を、第1および第2のデータベースにおけるレコードの記憶を参照して説明する。しかし、すでに説明したように、本発明はそのような実施形態だけに限定されるものではない。第1および第2のデータベースからのレコードの検索は、単に、レコードを本方法において適切に使用することができるようにレコードの供給源の指標を設定する適切な一手法にすぎない。
【0080】
次に、図1を参照して本発明の第1の実施形態による方法を説明する。この方法ではまず、観測を受信する(10)。観測は、推定することが求められる位置において、ユーザ機器によって検出される1台または複数の無線送信機の識別情報を含む。観測は、第1のデータベースの内容と比較される(20)。このデータベースは複数のレコードを含み、各レコードは、異なる時間に検出された1台または複数の送信機の識別情報と、検出が行われた既知の位置とを含む。よって、データベース内の各レコードは、現在受信されている観測に近似するが、関連付けられた位置を有する観測を含む。
【0081】
方法は、現在受信されている観測と第1のデータベース内のレコードのうちの1つとの間の第1の適合を検出する(30)。データベースに記憶された対応する位置は、適合の特性に関する追加情報と一緒に検索される。当然ながら、第1のデータベース内の複数のレコードが観測と適合する場合には、複数の適合がこのようにして検索され得る。
【0082】
また観測は、同様に、第2のデータベースの内容とも比較される22。これにより(少なくとも)第2の適合が得られ(32)、第2の適合についての関連付けられた位置と適合特性も検索される。図1に示すように、個々のデータベースとの比較(20)、(22)およびマッチング(30)、(32)は並行して実行されるが、これは必須ではない。また同様に、第3の適合を得るために観測を第3のデータベースと比較することもできる。
【0083】
検索された適合の検索された特性を使って、方法は、ユーザ機器の位置を推定するために適合のうちの1つを選択する(50)。この実施形態では、観測に関して各適合がどれほど特異であるか判定するために評価される(40)、(42)。位置推定に使用するための適合の選択は、特異性と、適合が見つかったデータベースの両方に依存する。
【0084】
第1のデータベースは、ユーザ機器自身によって行われた以前の観測を含む。第2のデータベースは、ユーザ機器が属するグループ内の他の機器によって行われた観測を含む。第3のデータベースはグローバルデータベースであり、観測を行った機器が現在のユーザ機器と類似性または関係を有していたかどうかにかかわらず、利用可能なすべてのレコードを含む。このようにして、第1から第3までのデータベースは次第により包括的なものになるが、現在のユーザ機器の必要への関連性は潜在的により低くなる。
【0085】
この例では、機器は小荷物に添付された追跡機器である。3つのデータベースは以下のように定義される。
【0086】
1.機器(すなわち、問題となる特定の荷物)のすべての以前の位置、
2.(同じ配送会社の)すべての荷物位置、
3.配送会社が利用可能なすべての位置(例えば、荷物ラベル、配送車両、スタッフなどを含む)。
【0087】
当業者には明らかなように、さらに別のレベル(データベース)を定義することもできるはずである。一般性の中間的なレベルは、ある一定のサイズのすべての荷物の位置を含む、第2のデータベースのより特異なバージョンを含んでいてもよいであろう。最も一般的なレベルでは、位置サービス提供者が利用可能なすべてのレコードを含むさらに別のデータベースを定義することができるはずである。これは、他の種類のユーザの位置と同様に他の配送会社の位置を含むはずである。以下の説明では、一般性を犠牲にすることなく、前述のような3つのデータベース(またはデータベースのレベル)を考察する。
【0088】
この実施形態において、電子機器は、GSM(Global System for Mobile Communications)基地局といったセルラー電話基地局を観測する。各基地局(BS)はセルグローバル識別(CGI)を送信する。この構成は以下の通りである。
{[MCC][MNC][LAC][CI]}
モバイル・ネットワーク・コード(MNC:Mobile Network Code)が、モバイル国別コード(MCC:Mobile Country Code)と組み合わされて、GSM、CDMA、iDEN、TETRAまたはUMTSの各公有移動網を使用する移動電話事業者を一意に識別するのに使用される。(この識別システムはいくつかの衛星移動網にも適用される。)各ネットワーク内では、1組の位置エリアが、決められた2オクテット番号である共通の位置エリアコード(LAC:Location Area Code)によって識別される。セル識別情報(CI:Cell Identity)は、位置エリア内のセルを識別し、やはり決められた2オクテット番号である。したがって、完全なCGIはセルをグローバルに識別する。
【0089】
現在受信されている観測は、セルレベルでデータベース内のレコードに適合し、基地局のCGIが完全に適合する場合もあり、部分的に適合し、階層的識別子の一部のみが適合する場合もある。部分適合は、適合するMCCだけを含むこともあり、適合するMCCとLACを含むこともある。(CGIが適合するレベルに関して)適合がより完全であるほど、観測はより地理的に特異である。
【0090】
第1のデータベース内のレコードは機器位置を設定するのに最も関連性が大きく、または有用であるものと仮定する。すなわち、ユーザ機器の位置の履歴は、他の機器の位置の履歴より関連性が大きい。しかし、機器が新しい位置へ最初に移動するとき、第1のデータベースには適合がないか、部分適合だけがあることもある。この実施形態によれば、(CGIに関しての)適合の特異性は、以下に示すような結合優先順位の表を使用することにより(データベースに関して)その起源と組み合わされる。
【0091】
【表1】

【0092】
この表に示すように、最高優先順位(1)は、個別データベース(第1のデータベース)から検索されたセルレベルの適合に割り当てられる。この場合、機器は以前に正確に同じ基地局を確認したことがあり、当該データベースレコードに対応する位置が、機器の現在位置を推定するのに使用されるべきである。次の2つの優先順位(2、3)は、それぞれ、第2および第3のデータベース(グループ、すべて)から検索されたセル特有の適合である。セルに限定された適合が3つのデータベースのいずれにおいても見つからない場合には、次に高い優先順位が第1の(個別)データベース内のエリアレベルの適合に与えられる。これは、機器が以前に同じMCC、MCCおよびLACを有する基地局を確認したことがあり、したがって、同じ領域内にあることを意味する。結果として得られる位置推定値は、セル特有の適合ほど正確ではない可能性がある。しかし、この不正確さは、少なくとも最初は、限定的なものとみなされ得る。例えば、この状況が最初に生じ得るのは、機器が、それが認識する第1のセルから出て、認識されてはいないが同じLACを共有する第2の隣接するセルに入るときである。この実施形態によれば、機器の位置は、当該基地局が観測された第1のセル内の位置として報告されることになる。というのは、これが当該セルについてデータベースに記憶されている位置だからである。この推定値の誤りは、1つのセルのサイズ程度のものになる。これは、通常、汎用的な位置推定値が使用された場合、例えば、同じLACを含む(他の機器による)すべての観測の重心に基づく場合、あるいはセルラーネットワークごとのLACによって包含される領域の事前知識に基づく場合よりもはるかに正確なものになる。このようにして、この実施形態は、個別機器の移動パターンにより大きな関連性を有する改善された位置推定値を提供することができる。
【0093】
LACが現在の機器によって観測されていない場合、第2のデータベースは別の機器によって生成されたレコードとの適合を返した可能性もある。第2のデータベースは、(その位置が推定されている)現在の機器に関連する機器をカバーしているため、非常に関連性の大きい結果をもたらす可能性もある。現在の例では、同じ配送会社によって運ばれた別の荷物が以前に同じLACを観測した可能性がある。その別の荷物が現在の荷物と同じ軌道をたどっていた場合、位置推定値は非常に正確であることが判明することになる。このようにして、本実施形態は、可能な限り最善の位置推定値が提供されるように情報の使用に優先順位を付ける。
【0094】
前述の第1の実施形態では、位置推定値は、優先順位に基づいて適合を選択することによる、適合するレコードの位置推定値の非線形結合に基づくものであった。
【0095】
次に、図2を参照して、第2の実施形態による方法を説明する。この実施形態では、位置推定値は位置推定値の重み付き線形結合に基づくものである。図2に示すように、この方法のステップは、観測を受信するステップ(10)、データベースと比較するステップ(20)、(22)、適合を獲得するステップ(30)、(32)、および各適合がどれほど特異であるか評価するステップ(40)、(42)に関しては、第1の実施形態のステップと同一である。位置を推定するステップ(55)は異なる。
【0096】
前述の結合優先順位の表の代わりに、第2の実施形態では以下のような重みの表を使用する。
【0097】
【表2】

【0098】
その場合、適合は、対応する位置の加重平均値を使って組み合わされる。よって例えば、第2の(グループ)データベース内のレコードとの、セル特有の(厳密な)適合は重み3をもたらす。一方、LACの範囲までにすぎない、同じデータベース内の部分適合は重み1をもたらす。ゆえに、位置推定値は優先的にセルに限定された適合に基づくものになる。というのは、セルに限定された適合には、適合するレコードが対応する位置の平均値(例えば重心など)を計算するときに3倍大きく重み付けされるからである。地理的マッチングは不確実であり、無線送信機は不規則な、変化するカバレージパターンを有する可能性がある。このために、重み付き平均によって計算される位置推定値は、この実施形態の場合と同様に、推定される位置がデータベース内の複数のレコードに基づくものであるため、さらなるロバスト性および/または安定性を提供し得る。また、重みを使用すると、異なる種類の情報に等しい影響を与えることが可能になる。例えば、上記表では、第1の(個別)データベース内の適合するLACに、第2の(共有、グループ)データベース内の適合するセルと同じ重みが与えられる。
【0099】
図3に、本発明の第3の実施形態による方法を示す。この実施形態は、試行錯誤的な(heuristic)規則を使い、利用可能な情報に基づいて、どのようにして位置を推定すべきか決定する。前述の最初の2つの実施形態と同様に、この方法は、適合の品質と、適合が由来するデータベースの両方を考慮する。この実施形態によれば、図3の方法は、携帯式のパーソナルナビゲーション機器(PND:Personal Navigation Device)上で実行され、このブロック図が図4に示されている。
【0100】
ステップ101で、機器100は、無線環境の探測を行って、そこからの信号が受信される送信機を検出し、識別する。この観測には無線受信機110が使用される。結果として得られる検出無線送信機の識別情報はプロセッサ120に提供される。
【0101】
プロセッサは、識別情報の集合を使って、機器によって以前に行われた無線観測のレコードを(観測が行われた対応する位置と併せて)記憶している第1の内蔵データベース130に問い合わせる(201)。プロセッサは、第1のデータベース130に適合が存在するかどうか判定する(301)。そうである場合、方法は続いて、この適合がどれほど特異であるか評価する(401)。これは、最初の2つの実施形態の場合と同様に行うことができる。すなわち、観測された送信機のCGIがデータベースに記憶されたCGIに適合する度合いが考慮される。プロセッサは、適合が十分に特異であるかどうか、例えば、適合が、正確に同じCGIを有する唯一のセルに限定された適合であるかどうかなどを判断する46。そうである場合、この第1の適合が機器の位置を推定するために選択される(511)。
【0102】
第1の適合が(例えば、LACの範囲までしか適合しないために)十分に特異ではないとみなされる場合には、プロセッサ120は、第2の別個のデータベース140に問い合わせを発行する(221)。この例では、第2のデータベース140は、リモート中央サーバに記憶された汎用の共有データベースである。PNDは、WLAN、GPRS、UMTS接続といった無線データ接続を使ってサーバ140と通信する。プロセッサは、適合(以下では第2の適合という)が中央データベース140から受信されるかどうかチェックする(321)。そうである場合、プロセッサはこの適合の特異性を評価する(421)。ここでプロセッサは、2つの適合、すなわち各データベースから1つずつを、各適合がどれほど特異であるかの関連付けられた指標と共に利用することができる。各適合の特異性を比較することにより、プロセッサは、PNDの位置を推定するための基礎としてどの適合を使用すべきか選択する(501)。この選択は、第1の実施形態について前述したような優先順位の表の使用を伴い得る。
【0103】
ステップ301で、第1の(内蔵、カスタム)データベースにおいて第1の適合が見つからない場合、方法は同様のステップ221に進み、そこで第2の共有データベースに問い合わせる。321で共有データベースからの第2の適合がない場合、どのデータベースにも適合するレコードが見つからないため、方法は終了する。321で第2の適合が見つかった場合、この適合がPNDの位置を推定するのに使用される(521)。本方法のこの分岐では第1の適合が見つかっていないため、第2の適合の特異性を評価する必要も、位置推定のために適合を選択する必要もない。
【0104】
この実施形態の方法は、2つのデータベースのどちらかまたは両方からの単一の適合を参照して説明されている。しかし、当業者はもはや、どのようにしてこの方法を各データベース内に複数の適合がある事例に拡張することができるか容易に理解するであろう。
【0105】
また、第3の実施形態のPND100はGPS受信機150も備える。これは、無線受信機110とともに、内蔵データベースメモリ130および共有中央データベース140にもデータを書き出すのに使用される。GPS衛星受信が利用できるとき、機器はGPS受信機150を使ってその位置を測定することができる。同時に、無線受信機110は付近の無線送信機からの信号も検出し、それらを識別する。識別情報および位置は相互に関連付けられ、データベース130に記憶される。機器が次に中央の共有データベース140に接続するときには、新しいレコードをそのデータベースにアップロードすることができる。共有データベース内の新しいレコードには、それを提出した特定のPND100を識別するラベルで注釈を付けることができる。これは、各PNDが、位置推定のために中央データベース140を使用するときに、他のPNDのレコードだけにアクセスすることを可能にする。
【0106】
この実施形態の一変形では、内蔵データベース130が省かれ、すべてのレコードが共有データベース140に記憶される。この変形では、第1のカスタムデータベースは共有データベース内のレコードの論理部分集合、すなわち、同じPND100によって提出されたようにラベル付けされているレコードで構成される。この場合、PNDは、問い合わせとして、要求を行う特定のPND(および/またはそのPNDが属するグループ)を識別するラベルとともに現在の観測をデータベースサーバ140に送信することができる。このラベルは、サーバが、各論理データベースを構成するのに適するレコードを選択することを可能にする。
【0107】
別の変形では、共有データベース140の一部または全部がPND100のメモリ130に記憶され得る。これは、PND100が、共有データベースに問い合わせようとする都度リモートサーバ140へのデータ接続を確立しなくてもよいことを意味する。好ましくは、共有データベースへの更新は、PND内蔵メモリ130に周期的にダウンロードされ、あるいは配信される。
【0108】
データベースは時間の経過と共に発展することが期待される。よって、最初に、位置、およびそれらの位置から観測可能な送信機が書き出されたデータベースを提供する必要はない。また、データベースの発展は、例えば送信機の出現および消失のような無線環境の変化にシステムが適応するのにも役立つ。以下の利用シナリオでこれらの点を例示する。
【0109】
事例1.初期段階において、ユーザが他のどんなユーザも以前に訪れたことのないエリアに入るときに、
−共有データベースは、複数の異なる個別ユーザではあるがユーザ間でのオーバーラップがあまりないユーザのデータからなる。というのは、各ユーザは異なる移動を行い、異なる場所において、位置推定サービスを使用してデータベースにレコードを提出するからである。
−その場合、個々の利用位置においては、共有/集約データベースと個別ユーザの個人データベースとの間にはほとんど違いが生じない。
−その場合、個別ユーザの反復利用は優先順位が高く、重みの高い結果をもたらすが、いずれにせよ、この段階においては、限られたデータしか利用できないため、これは位置推定値にはほとんど影響を及ぼさない。
【0110】
事例2.中期的には、限られた数ではあるが、徐々に増加するユーザからの疎データベースが生じ、おそらく機器が新しいエリアに入るときに、システムはユーザがどこにいるかに関する手がかりを求める。
−どんな情報も受け入れる。
−機器が以前に情報のいずれかを確認したことがある場合には、どんな適合でも、たとえ単一のセル識別情報またはLACに関するものでさえ、ユーザが、おそらくは、この信号が以前に確認されたときと同じ場所にいることを示し、これが最善の位置の推定値である。
−機器からの情報の適合がない場合には、グループ共有または汎用集約データベースからの適合が(どんな利用可能な情報の正確さに対してであれ)、行われ得る、かつ、使用すべき最善のものである。
【0111】
事例3.長期的には、多くの情報が(おそらくは矛盾する情報でさえも)利用可能になる。
−同時の複数のセル記述子の報告との適合は、かなり限定された地理的エリアに対応する可能性が高く、そのため、適合は比較的正確になる。これは、データベースレコードが、機器自身の個別データベースではなく、共有または集約データベース内の別のユーザに由来する場合でさえも当てはまる。
−そのため、別の機器に由来するレコードとの集約的汎用的適合の方が、観測された基地局の部分集合を含む個別の適合や、適合するLACと比べて好ましい可能性がある。
−ユーザ自身の機器からの複数の以前の観測との唯一の適合があればさらに良いはずである。
【0112】
上記の実施形態では、機器の位置を突き止めるのに使用される無線送信機として、セルラー基地局の例を使用している。基地局はCGIを使って識別される。しかし、念のために、セルラー基地局は他の方法で識別されてもよいことを指摘しておく。また、各基地局は独自の基地局識別情報コード(BSIC:Base Station Identity Code)も有する。このコードはブロードキャストチャネル上で常に送信され、そのため、モバイルステーション(MS:Mobile Station)は基地局を区別することができる。BSICは3ビットのネットワーク・カラー・コード(NCC:Network Colour Code)と3ビットの基地局カラーコード(BCC:Base station Colour Code)とで構成される。NCCは、MSがアクセスすることを許可されるBSを容易に判定することができるように、各ネットワーク事業者に割り当てられている。所定の位置からアクセス可能な異なる提供者のNCCは異なっていなければならない。これは、複数の国における提供者のBSにアクセス可能な国境近くの位置を含む。各基地局のBCCはネットワーク事業者によって割り当てられる。それらは、どの隣接する基地局も等しいBCCをもたず、よって、等しいBSICをもたないように選択される。この結果として、所定のBSICを観測すると、特定のセルのグローバルに一意の識別子ではないが、可能な位置の集合が、同じNCCおよびBCCを有する有限数のセルまで低減される。複数の基地局のBSICを検出することができる場合、これらを使って可能な集合をさらに狭めることができる。十分な数のBSICが検出されれば、一実施形態による方法は、可能な範囲を、データベースの一方または他方に含まれる唯一の適合まで狭めることができる可能性がある。この唯一の適合が個別またはグループのデータベースに由来するものと仮定すると、たとえ理論的には世界に同一のBSICの集合が観測され得る他の位置があり得るとしても、現在の位置がデータベースレコードに記憶された位置に対応すると推測するのに十分な理由が生じる。
【0113】
当然ながら、当業者は理解するように、別の実施形態によれば、他の種類の送信機を使って機器の位置を特定することもできる。例えば、WLAN(「WiFi」)アクセスポイント(AP:Access Point)は、セルラー基地局と同様に、適切な無線ビーコンとして働くことができる。あらゆるAPは、APと通信するWLANクライアントによって探索され得る一意の媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)アドレスを有する。したがって、この例では、図4の無線受信機110はWLANインターフェースになるはずである。他の適切な種類のビーコンにはFM無線送信機が含まれ、FM無線送信機は通常、無線データシステム(RDS:Radio Data System)または別の類似の規格に従ってディジタル局識別情報を送信する。同様に、他の多くの地上および衛星放送も、別の実施形態において使用できるはずの識別情報を含む。原則として、その供給源を識別することができ、有限な地理的エリアにおいて受信可能である限りにおいて、(あらゆる種類の電磁波、および音響振動といった他の自由空間伝搬信号を含む)任意の無線信号を使用することができるはずである。
【0114】
多くの場合、単一の位置から、任意の所定の種類の複数の無線送信機を観測することが可能である。この場合には、観測されるビーコンの集合とデータベースに記憶された識別情報の集合との間の類似性の集合論的尺度を計算することが有益となり得る。この尺度は、CGIといった階層的識別子についての上記の特異性の尺度の代わりに、またはこれに加えて使用することができる。
【0115】
そのような尺度の一例が、WLAN AP MACアドレスのコンテキストにおいて、国際公開第2009/141660号パンフレットに記載されている。念のために、以下で図5を参照してこの方法を概説する。図5には、5つのベン図が示されている。各ベン図は、観測Oとデータベースに記憶されたレコードRnとの比較を示すものである。いずれの場合も、いくつかの共通のMACアドレスcnがあり、共通のMACアドレcnは、データベースレコードと観測の両方で、言い換えると、2つの集合の共通部分に生じるアドレスである。また、観測されるがデータベースには存在しないいくつかの余分なMACアドレスsnもあり、データベースには存在するが観測からは見つからないいくつかの不明なMACアドレスmnもある。
【0116】
レコードごとにスコアを計算することができる。以下のように重み付けを適用することができる。
−共通のMACアドレスの数は正の方向に重く評価する。
−余分なMACアドレスの数は負の方向に下向きに(weakly)カウントする。
−不明なMACアドレスの数は負の方向に下向きにカウントする。
【0117】
これにより、図5に、s1〜s5、c1〜c5、およびm1〜m5(s=余分、c=共通、m=不明)として示すデータ変数の集合が得られる。下の括弧内の数字は対応する要素数である。上記例での最善の適合は(左から右へ)1番目と2番目の例になるはずである。というのは、これらは2つの共通のMACアドレス(c1=c2=2)を有し、これに対して余分2、不明0をカウントするからである(c1=c2=2、s1=s2=2、m1=m2=0)。5番目の例は僅差で2位であり、同数の共通のMACアドレスと余分なMACアドレスとを有するが、これに対して下向きにカウントされる1つの不明なMACアドレスを有する。
【0118】
電子機器の位置を推定するときに、本発明の一実施形態による方法または装置は、複数の異なるデータベースからの情報を考慮に入れることができる。この情報は、データが由来する特定のデータベース、および、電子機器によって行われた観測がデータベースの内容と適合する度合いの両方に依存するように組み合わせられ得る。これは、あるデータベースのメンバであったレコードが今度は異なるデータベースに割り当てられるように再編される場合に、データベースレコードの一部が異なる位置の推定値が生成され得ることを意味する。
【0119】
図面および以上の説明においては本発明を詳細に例示し、説明したが、そのような例示および説明は、限定のためではなく例示のためのものとみなすべきである。すなわち、本発明は開示の実施形態だけに限定されるものではない。
【0120】
例えば、本発明は、その位置を推定すべき電子機器による観測の一部として追加の測定が行われる一実施形態において使用することが可能である。これら追加の測定には、信号強度測定、信号対雑音比の測定、または、誤り率が含まれ得る。そのような測定は、電子機器と無線送信機との間のどちらの方向の通信にも適用することができるはずである。例えば、観測は、無線送信機のそれぞれから機器において受信される信号についての信号強度プロファイルの測定を含んでいても、電子機器から各送信機において受信される信号についての強度の測定を含んでいても、その両方でもよいはずである。当然ながら、後者の場合には、通常、信号強度を測定する送信機と、位置推定方法の残りの部分を実施する機器との間で何らかの通信が必要になる。
【0121】
同様に、観測が比較されるレコードが(1台または複数の送信機の集合の識別情報および関連付けられた位置に加えて)対応する信号強度測定を含んでいてもよい。これにより、さらに洗練された電子機器の位置を推定する手法が可能になり得る。例えば、送信機自身の位置が知られている場合、所定の送信機の信号強度が相対的に高ければ、電子機器は送信機の比較的近くにあると想定することができる。別の例として、適合の品質特性は、現在の観測の(送信機の識別情報に加えて)信号強度測定が所定のレコードにどれほど類似しているかの尺度を含むこともできるはずである。
【0122】
当業者には明らかなように、実施形態は幅広い範囲の物理構成として実施することができる。実施形態によっては、電子機器は、無線環境をサンプリングして可視の無線送信機の識別情報を判定し、次いでこの観測をリモートサーバに送信する。次いでサーバは位置推定方法の残りの部分を実施する。すべてのデータベースはこのリモートサーバにおいて記憶され得る。位置が決定された後で、サーバは電子機器に応答して(例えばパーソナルナビゲーション用途では)推定される位置を提供することもでき、あるいはサーバは、単に、(追跡用途では)機器の最新の位置をログに追加するだけでもよい。そのような実施形態により、非常に単純かつ低電力の携帯機器の使用が可能になる。サーバとの通信は、無線データ通信リンクを介してリアルタイムで行われてもよく、あるいは観測は、ある期間にわたって電子機器上に直接記憶され、後でサーバにアップロードされてもよい。後者の実施態様は、また、単に、時間の経過と共に、それが検出する無線送信機を記録するだけの基本的な電子機器を使った、オフラインの追跡用途を円滑に行わせる。サーバに転送された後で、観測は、機器の移動の履歴を提供するように処理することができる。
【0123】
実際、電子機器が送信機自身の識別情報を判定することができることは不可欠ではない。機器はただ単に、対象とする特定の周波数帯において受信可能な任意の信号を含む短いセグメントを受信し、ディジタル化し、記憶することもできるはずである。これを行うように適合された機器の例には、無線周波数(RF)チューナ、ダウンコンバージョン段、アナログ/ディジタル変換器、およびディジタル化された中間周波数(IF:Intermediate Frequency)またはベースバンド信号サンプルを記憶するためのメモリが含まれ得る。そのような無線環境のスナップショットを後で処理して、その信号がスナップショット内に存在する送信機の識別情報を抽出することもできるはずである。当然ながら、必要なスナップショットの長さは、対象となる送信機の種類に応じて(例えば、送信機が識別情報の指標を送信する頻度に応じて)変動するはずである。
【0124】
前述の実施形態において説明したように、方法のより多くの部分が携帯ナビゲーション機器によって実行されるように、本発明を実施することも可能である。極端な場合、すべてのデータおよび処理が携帯機器に置かれてもよい。
【0125】
方法への1つの可能な改善が、時間依存データベースの使用である。無線ビーコン測位のための時間依存データベースの使用は、国際公開第2009/141642号パンフレットに記載されている。その方法によれば、各観測が行われる時刻が記録される。次いで、観測を無線環境の参照レコードと比較するときに、観測の時刻とほぼ同じ期間と関連付けられたレコードを使用することができる。これは、無線環境が時間の経過と共に変化することを反映するものである。位置推定用に観測が処理されるときの最も正確な結果のために、方法は、好ましくは、観測を、その観測が行われた時刻における環境の履歴レコードと比較する必要がある。
【0126】
同じ洞察を、本発明の方法に適用し、これと組み合わせることができる。レコードはさらに、レコードが生成された時刻の指標を含んでいてもよい。その場合方法は、(第1および第2のレコードの供給源の指標および適合の品質特性に加えて)第1および第2のレコードの生成の時刻に依存して位置を推定するステップを含み得る。例えば、各適合と関連付けられる位置には、処理される観測へのその時間的近接性に従って、より高く重み付けされ、または優先順位が付けられ得る。リアルタイムの位置推定では、これにより、推定値はより新しいレコードに優先的に基づくものになる。オフラインの位置推定(例えば観測が記憶され、後で処理される場合など)では、これにより、推定値は観測の時刻近くに生成された履歴レコードに優先的に基づくものになる。
【0127】
一実施形態では、これは、(前述のような)優先順位の結合表に、観測とレコードとの時間差との直接的関係を有する値と掛け合わせることにより実施され得る。時間差が大きいほど、倍率も大きくなる。最高の優先順位は表の最低値の数に割り当てられるため、時間差が大きいほど適合の優先順位が低くなる。
【0128】
別の実施形態では、(前述のような)重みの結合表に、時間差と反比例する値と掛け合わせることができる。よって、時間差が大きいほど重みが低くなる。
【0129】
観測とレコードとの間の時間的近接性の考察は、前述のような、データの異なる供給源にどのように優先順位を付けるべきかのコンテキスト判定に加えて行うことができることに留意されたい。
【0130】
前述の各実施形態では、PNDまたは小荷物の荷物追跡機器の例を示した。しかし、本発明は、好都合なことに、さらに幅広い種類の機器を用いて適用することができる。例えば、写真が撮影される位置を判定するために、カメラに無線信号の測定を行う装備を備えることもできるはずである。それに対応して、カメラユーザのための共有データベースが、写真を撮影するための一般的な位置を示すはずである。これは、共有データベースの種類を機器の使用パターンまたは種類に適応させることの利益を強調するものである。
【0131】
以上で考察した実施形態では、機器の識別情報または種類の指標は、特定の製品または製造者を識別するコードのようなラベルとすることができる。しかし、実施形態によっては、この指標は、同様に、機器またはソフトウェアアプリケーションの特定のパラメータを含むこともできるはずである。例えば、アンテナのサイズや利得、あるいは受信機の感度といったパラメータによって、機器が識別されてもよいはずである。
【0132】
また、レコードの供給源を別の方法で特徴付けることもできる。例えば、機器のユーザまたは使用を、最大移動速度によって特徴付けることもできるはずである。これは、ゴルフ、ウォーキング、ランニング、サイクリング、ドライブといった特定の活動と関連付けられた測位機器を区別するのに適し得るはずである。これらのパラメータはいずれも機器のグループをクラスタ化するのに役立つ基準を形成することができる。
【0133】
また、供給源の指標は、レコードの作成を行うハードウェアまたはソフトウェアの構成または動作モードの詳細を含んでいてもよい。このように、特定の機器の供給源の指標は、使用法によって変化し得る。例えば、供給源の指標は、特定のソフトウェアアプリケーションが実行されているときに、または携帯機器が自身の内蔵電池によって電力供給されるのではなく電源に接続されて使用されるときに、変更され得る。
【0134】
例えば、機器が自動車の電源アダプタ(自動車アダプタ)といった特定の電源に接続されているときなど、供給源の他の詳細指標を想定することもできる。この動作モードでは、機器は電力供給される機器のグループのメンバであり、他の車両機器と共通の位置を有する。そのようなグループの典型的な位置は、(車内にあるときには)道路沿いや駐車場内である。これと対照的に、同じ機器が幹線(mains)電源に接続されているときには、より可能性の高い位置は、自宅内やオフィス内といった屋内である。一方、機器がその内蔵電池を使用しているときには、ユーザについての、グループに集められる典型的な位置は様々であり、例えば、市街を歩きまわる、ショッピングモール内、コーヒーショップ、劇場、空港を歩いているなどである。
【0135】
図面、本開示、および添付の特許請求の範囲を検討すれば、特許請求される発明を実施するに際して、当業者は、開示の実施形態への他の変形を理解し、実施することができる。特許請求の範囲において、「comprising」(備える)という語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞の「a」または「an」は複数を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他の装置が特許請求の範囲に記載される複数の項目の機能を果たしてもよい。単に、いくつかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけでは、それはこれらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、またはその一部として供給される光記憶媒体や固体素子媒体といった適切な媒体上で記憶され/配信されてもよく、また、インターネットや、他の有線または無線通信システムを介してなど、別の形で配信されてもよい。特許請求の範囲に含まれる参照符号はその範囲を限定するものと解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の位置を推定する方法であって、
推定されるべき前記位置にて、前記機器によって検出された少なくとも1台の無線送信機の識別情報を含む観測を受信するステップと、
前記観測を複数のレコードと比較するステップであって、前記複数のレコードのそれぞれは、1台または複数の無線送信機の識別情報と対応位置とを含み、前記位置は、前記1台または複数の送信機が検出された位置または位置の集合に基づくステップと、
前記観測と、対応する第1の位置を含む第1のレコードと、の間の第1の適合を検出するステップと、
前記第1の適合の品質特性を決定するステップと、
前記第1のレコードの供給源の第1の指標を決定するステップと、
前記観測と、対応する第2の位置を含む第2のレコードと、の間の第2の適合を検出するステップと、
前記第2の適合の品質特性を決定するステップと、
前記第1の指標とは異なる、前記第2のレコードの供給源の第2の指標を決定するステップと、
前記第1の指標、前記第1の適合の前記品質特性、前記第2の指標および前記第2の適合の前記品質特性に応じて、前記第1および第2の位置の少なくとも1つに基づいて前記電子機器の前記位置を推定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1および第2の適合の前記品質特性は、各適合がどれほど特異であるかの尺度を含み、好ましくは、
前記観測に含まれる少なくとも1つの識別情報の集合と、前記適合するレコードに含まれる1つまたは複数の識別情報の集合と、の間の類似性の程度、および
前記適合によって示される地理的精度の程度、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各送信機の前記識別情報は、階層構造を有し、この階層の一連のレベルは連続的により限定される地理的エリアに対応し、
前記適合の特異性の前記尺度は、前記観測に含まれる前記少なくとも1台の送信機の前記階層的識別情報と、前記適合するレコードに含まれる前記1台または複数の送信機の前記階層的識別情報と、の間の前記類似性の程度に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
供給源の前記第1および第2の指標の少なくとも1つは、
前記位置または位置の集合にて、前記1台または複数の送信機を検出したことによって、前記レコードに寄与した1台または複数の機器の識別情報、
前記1台または複数の機器を前記レコードに寄与させた1つまたは複数のソフトウェアプログラムの識別情報、ならびに
前記1台もしくは複数の機器または前記1つもしくは複数のソフトウェアプログラムが属するグループ、の少なくとも1つを示し、
前記グループは、好ましくは、
前記1台もしくは複数の機器または前記1つまたは複数のソフトウェアプログラムの種類、および
前記1台もしくは複数の機器または前記1つまたは複数のソフトウェアプログラムが関連付けられているユーザまたはユーザグループ、の少なくとも1つと関連付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の指標は、前記第1のレコードの供給源が前記電子機器自身であることを示し、好ましくは、
前記第2の指標は、前記第2のレコードの供給源が限定された機器グループの中の1台または複数の機器であることを示す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の指標の少なくとも1つは、前記それぞれの適合するレコード内にラベルを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2の指標は、前記第1のレコードが、前記第2のレコードの供給源よりも前記電子機器により密接に関連する供給源に由来することを示唆し、
前記第2の適合が前記第1の適合よりも特異である場合には、前記電子機器の前記位置の推定は前記第2の位置に優先的に基づき、
そうでない場合には、前記推定は前記第1の位置に優先的に基づく、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電子機器の前記位置を推定する前記ステップは、前記第1および第2の位置の線形または非線形の結合を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各適合に対応する前記位置に優先順位が割り当てられ、
各優先順位は、
前記適合の前記品質特性と、
前記対応するレコードの供給源の前記指標と、
の両方に基づき、
前記電子機器の前記位置を推定する前記ステップは、最も高い優先順位を有する前記位置を選択するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各適合に対応する前記位置に重みが割り当てられ、
各重みは、
前記適合の前記品質特性と、
前記対応するレコードの供給源の前記指標と、
の両方に基づき、
前記電子機器の前記位置を推定する前記ステップは、前記割り当てられた重みにしたがって前記位置の重み付き平均値を計算するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のレコードにデータを提出するステップをさらに備え、
前記データは、
前記観測と、
前記電子機器の前記位置の推定値と、好ましくは、
前記電子機器、前記電子機器の種類、または前記電子機器が属する機器グループの少なくとも1つを識別するラベルと、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ上で実行されるときに、請求項1から11のいずれか一項に記載のすべての前記ステップを実行するように構成されたコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータ可読媒体上に実装された請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
携帯機器であって、
推定されるべき位置にて、当該機器によって検出可能な少なくとも1台の無線送信機の識別情報を観測するように構成された無線受信機と、
前記観測される識別情報を、複数のレコードと比較されるべき問い合わせとして発行するように動作する問合せプロセッサと、を備え、
前記複数のレコードのそれぞれは、1台または複数の無線送信機の識別情報と対応位置とを含み、前記位置は、前記1台または複数の送信機が検出された位置または位置の集合に基づき、
前記問い合わせプロセッサは、前記問い合わせに応答して、前記観測と、前記レコードのうちの第1のレコードと、の間の第1の適合の結果を受け取るように動作可能であり、
前記第1の適合の結果は、
前記第1のレコードの供給源の第1の指標、および
前記第1のレコードに対応する位置である第1の位置推定値
を含み、
前記問い合わせプロセッサは、また、前記問い合わせに応答して、前記観測と、前記レコードのうちの第2のレコードと、の間の第2の適合の結果を受け取るように動作可能であり、
前記第2の適合の結果は、
前記第1の指標とは異なる、前記第2のレコードの供給源の第2の指標、および
前記第2のレコードに対応する位置である第2の位置推定値
を含み、
前記問い合わせプロセッサは、さらに、前記第1の適合および前記第2の適合の品質特性を決定するように構成されており、
当該携帯機器は、さらに、前記第1の指標、前記第1の適合の前記品質特性、前記第2の指標および前記第2の適合の前記品質特性に応じて、前記第1の位置推定値および前記第2の位置推定値の少なくとも1つに基づいて前記携帯機器の前記位置を推定するように構成された位置推定器を備える携帯機器。
【請求項15】
前記複数のレコードの全部または一部を記憶する内蔵メモリをさらに備える請求項14に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−150105(P2012−150105A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−277857(P2011−277857)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510112671)ユー‐ブロックス、アクチエンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】U−BLOX A.G.
【Fターム(参考)】