無線周波数識別タグを含む物体の成形方法
インサート成形プロセスまたはインモールド加飾プロセスによって、例えば容器などの物体に無線周波数識別タグを取り付ける方法。このような方法は、を例えば容器などの物体に無線周波数識別タグを取り付ける製造プロセスを簡素化するために利用することができる。成形プロセスは、例えば射出成形、ブロー成型、加圧成形、トランスファ成形、および回転成形などの、従来の成形プロセスであってもよい。しかしながら、従来の成形プロセスは、成型品を形成する前に無線周波数識別タグをモールドの空洞に挿入することによって、修正される。修正された成形プロセスの結果、成型品のポリマ材によって封入された無線周波数識別タグを有する成型品ができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数識別タグを物品に取り付ける方法に関し、より具体的には、診断器機での使用に適した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療診断の分野では、容器の識別は一般的にバーコードラベルによって達成されている。バーコードラベルは、容器の表面への印刷または貼付を必要とする。バーコードラベルは読み取られるために遮るもののない光路を必要とし、これが容器とバーコードリーダの両方の設計を難しくしている。バーコードラベルは鮮明である必要があり、すなわち印刷品質が十分でなければならず、ラベルには湿気および低温での保管に起因する霜などの異物があってはならない。バーコードラベルには一般的に、限られたスペースしかなく、その結果バーコードラベルに書き込むことができる情報は非常に限定されてしまう。バーコードラベルは剥がして再利用することができるので、偽造問題にもつながる。バーコードラベルは、水分の結露または低温のため容器から剥離する可能性もある。
【0003】
医療診断の分野において、サプライチェーンの管理のための食品医薬品局(FDA)の規制に準拠するために、無線周波数識別タグおよび無線周波数識別タグを使用したデータ取得システムによる容器の識別を利用することができる。
【0004】
無線周波数識別タグは、アクティブ、セミパッシブ、およびパッシブ無線周波数識別タグに分類することができる。3つのタイプの無線周波数識別タグの主な違いは、電源の性質にある。パッシブ無線周波数識別タグはいかなる内蔵型電源も必要としない。パッシブ無線周波数識別タグは、マイクロチップおよびアンテナを含む。受信した無線周波数信号によってアンテナの中に誘導される微弱な電流が、マイクロチップに応答を送信させるのに十分な電力を供給する。図1は、マイクロチップおよびアンテナを有する代表的な無線周波数識別タグを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線周波数識別タグを利用するための最も重大な障害は、価格が高いことである。無線周波数識別タグに関連するマイクロチップの価格は、一般的な診断用製品の価格と比較して高い。マイクロチップは、大量生産しない限り高額である。しかも、無線周波数識別タグをはずして別の無線周波数識別タグを取り付けなおすことによって、偽造が可能である。無線周波数識別タグを容器に取り付けた結果、凹凸のある表面および粗く見える表面になるので、容器の外見も問題になる。さらに別の問題は、無線周波数識別タグの容器からの剥離である。最後に、アンテナ接点上のチップの配置に内在する難しさのため、無線周波数識別タグアセンブリの廃棄率は高い。
【0006】
米国特許第6,294,998号明細書は、均一外形を有する無線周波数識別タグを開示している。無線周波数識別回路およびアンテナの存在にもかかわらず、圧縮性マスク層またはカットアウトマスク層が均一外形を提供する。均一外形は、明瞭な重ね刷りを可能にし、無線周波数識別トランスポンダの視覚的検出を妨げる。この無線周波数識別タグは、容器からの剥離に対して非常に弱い。米国特許第6,429,831号明細書は、電気接続パッドを形成する第一導電材料、接続パッドを取り囲む誘電材料、および誘電材料上に蒸着され、接続パッドと電気的に接続されるアンテナを形成する第二導電材料を有する積層ラベルを開示している。膨張可能な材料の層が、接続パッドを取り囲む保護空洞を形成する。ICチップが保護空洞に収まり、アンテナに接続される。この無線周波数識別タグは、容器からの剥離に対して非常に弱い。米国特許第6,548,006号明細書は、少なくとも2つのモールド部を有するモールドと、ハンドリングシステムと所定のモールド部との間で物品を搬送するために、モールドが開放位置にあるときにモールド部の間に挿入されるようになっている、ハンドリングシステムとを含むプラスチック材料射出成形機械を開示している。装置は、摩耗しやすく頻繁な微調整を必要とする、多くの可動部品を有する。米国特許第6,957,777号明細書は、モールドで形成されたプラスチック製品に取り付けられ、柔らかい回路基板、保護層、および接着層を含む検出装置によって識別可能な、ラベルを開示している。柔らかい回路基板は、無線周波数識別装置(RFID)を備える外層を有する。保護層は透明で、RFIDを保護し、無線検出装置によって送信される信号によってRFIDが識別されるように、柔らかい回路基板の外面上に接着されている。接着層は、複合材料でできており、柔らかい回路基板の内面およびRFIDも保護するために、内層に接着されている。ラベルは射出成形プロセスでプラスチック製品に取り付けられ、検出装置によってラベルが取り付けられた物体を識別するために広く利用可能することができる。サブアセンブリをモールド内に配置するロボットハンドリングシステムの費用と並んで、3層サブアセンブリを用意する費用も高くなることが予想される。米国特許第7,176,796号明細書は、キャップ本体を含み、偽造防止および識別能力を備える封止キャップと、識別信号を発生する信号発信装置を備える識別チップと、破壊装置とを開示し、キャップ本体が信号発信装置と電気的に接続して比較的広い領域のアンテナとしての役割を果たし、キャップ取り外し後に破壊装置が発信能力を破壊し、その結果識別チップが取り外されて再利用されるのを防止することを特徴とする。無線周波数識別タグは、容器のキャップ上になければならない。米国特許出願公開第2006/0174470号明細書は、識別チップ、タグコイル、ハウジング、およびキャップを含む、貼り替え防止(transfer resistant)RFIDタグを開示している。識別チップは、タグコイルに2つの配線で電気的に接続されている。第一の量のボンディング化合物は、識別チップの表面積よりも僅かに広い表面に塗布される。第二の量のボンディング化合物は、ハウジングの端面積よりも僅かに広い表面に塗布される。ハウジングの一端が、第二の量のボンディング化合物に取り付けられる。次いで識別チップが第一の量のボンディング化合物に取り付けられる。タグコイルとハウジングのもう一方の端の上に、キャップが嵌められる。誰かがRFIDタグを1つの面から別の面へ移そうとすると、取り外し中に2つの配線または識別チップが破壊される。改ざんが発生すると、無線周波数識別タグに接続されている配線が破壊され、装置が使えなくなる。米国特許出願公開第2007/0098942号明細書は、ポリを展延可能にするために、ガラス熱温度を僅かに下回る温度まで加熱される、機械方向に連続的に移動しているポリシートを開示している。回路(例えば、RFIDチップ、EASチップ、トランスポンダ、IC)がポリシート上に配置され、好ましくは回路を損傷せずにポリに回路を押し込む耐熱性の柔らかい(例えばゴム製)ローラで、ポリシート内に埋め込まれる。回路との導電連絡のため、回路の接続点(例えば導電性バンプ)に合わせるために、導電片または線がポリシートの表面または内部に取り付けられてもよい。
【0007】
インモールド加飾は、従来技術において知られている。例えば、米国特許第4,643,789号明細書、4,650,533号明細書、2006/0188595号明細書、3,292,209号明細書、6,117,384号明細書参照。
【0008】
費用を削減し、無線周波数識別タグの偽造の危険性を削減し、無線周波数識別タグの外観を改善するような方法で、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、インサート成形プロセスまたはインモールド加飾プロセスによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける方法を提供する。このような方法は、例えば容器などの物体に無線周波数識別タグを取り付ける製造プロセスを簡素化するために利用することができる。
【0010】
成形プロセスは、例えば射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファ成形、および回転成形などの、従来の成形プロセスであってもよい。しかしながら、従来の成形プロセスは、成型品を形成する前に無線周波数識別タグをモールドの空洞に挿入することによって、修正される。修正された成形プロセスの結果、成型品のポリマ材によって封入された無線周波数識別タグを有する成型品ができる。
【0011】
一態様において、プロセスは:
(a)接着剤被覆複合フィルムのロールを提供するステップであって、接着剤被覆複合フィルムはポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面はポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナの層の1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(b)無線周波数識別タグを保持するために、熱成形によって形成される部分を接着剤被覆複合フィルムから形成するステップと、
(c)熱成形部から剥離ライナの層を除去するステップと、
(d)複数の無線周波数識別タグを含むロールを提供するステップであって、各無線周波数識別タグの1つの主要面が保護フィルムの層の1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(e)熱成形部の放射線硬化性接着剤の層に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、
(f)ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、放射線硬化プロセスによって無線周波数識別タグを定着するステップと、
(g)ポリマ裏材、1つの無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、切断装置によってステップ(f)のアセンブリを切断するステップと、
(h)例えば容器などの物品をモールドで成形し、例えば容器などの成型品にモールドの中で無線周波数識別タグを取り付けるステップと、
(i)無線周波数識別タグが取り付けられる、例えば容器などの成型品をモールドから剥離するステップとを含む。
【0012】
上記のプロセスは、無線周波数識別タグを保持するために一部分を熱成形するステップと、熱成形部に塗布された放射線硬化性接着剤に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、放射線硬化ステップによって無線周波数識別タグを定着するステップと、切断装置によって無線周波数識別タグをウェブから切断するステップと、インサート成形ステップによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを利用する。
【0013】
本発明の方法、すなわちインサート成形ステップを組み込んだウェブプロセスによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける利点は、費用の削減、無線周波数識別タグ偽造の危険性の削減、および無線周波数識別タグの外観の改善を含むが、これらに限定されない。特に、マイクロチップとアンテナを含むアセンブリは、例えば容器自体の物品自体を用意するために使用されるポリマ材によって保護されているので、無線周波数識別タグの剥離の可能性が減少する。従来の無線周波数識別タグは、損傷を受けやすく、改ざんもされやすい。本明細書に記載の方法は、成形プロセスによって、例えば容器などの物品を形成するステップと、成形プロセス中に、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを統合できるようにし、それによって例えば容器などの物品が成形またはその他の手段によって形成された後に、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップを排除する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】無線周波数識別タグの拡大上面図である。
【図2】無線周波数識別タグを保持する容器の斜視図である。
【図3】図2に示される容器の立面側面図である。
【図4】図2に示される容器の底面図である。
【図5】図2、図3、および図4に示される無線周波数識別タグを保持する容器を用意するのに適した装置を示す模式図である。
【図6】インサート射出成形によって図2、図3、および図4に示される無線周波数識別タグを保持する容器を形成するのに適した装置を示す模式図である。
【図7】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムを用意するのに適した装置を示す模式図である。
【図8】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムの層の立面側面を示す模式図である。
【図9A】切断ステーションに進入する直前のウェブを斜視的に示す模式図である。
【図9B】切断ステーションを離れた直後のウェブを斜視的に示す模式図である。
【図10】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムの層の立面側面を示す模式図である。剥離ライナは除去されているが、無線周波数識別タグおよび保護フィルムが追加されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される「無線周波数識別」またはRFIDという表現は、例えば生体標本の容器および生体サンプルを分析するための試薬の容器など、物体を自動的に識別するために無線波を使用する技術の総称である。最も一般的な識別方法は、物体を識別するシリアル番号、および、おそらく物体またはその内容物に関する他の情報をアンテナに取り付けられたマイクロチップに記憶させることである。マイクロチップおよびアンテナは、合わせて無線周波数識別トランスポンダまたは無線周波数識別タグと呼ばれる。アンテナは、マイクロチップが識別情報およびその他の情報を無線周波数識別リーダに送信できるようにする。無線周波数識別リーダは、無線周波数識別タグから反射して戻ってきた無線波をその後それを利用可能なコンピュータに送られることができるデジタル情報に変換する。
【0016】
本明細書で使用される「無線周波数識別システム」という表現は、アンテナを備えるマイクロチップで構成される無線周波数識別タグ、およびアンテナを備える無線周波数識別質問器または無線周波数識別リーダを含むシステムを意味する。無線周波数識別リーダは電磁波を発信する。タグアンテナは、これらの波を受信するように調整されている。パッシブ無線周波数識別タグは、リーダによって作られた場から電力を引き出し、それを使ってマイクロチップの回路に電力を供給する。次いでマイクロチップは、パッシブ無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダに送り返す波を変調し、そこで無線周波数識別リーダによって受信された波をデジタルデータに変換する。
【0017】
本明細書で使用される無線周波数識別タグのマイクロチップは、「読み書きマイクロチップ」、「読み出し専用マイクロチップ」、または「ライトワンス型マイクロチップ」であってもよい。読み書きマイクロチップの場合、無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダの範囲内にあるとき、情報が無線周波数識別タグに追加されたり、または既存の情報が上書きされたりすることが可能である。読み書きマイクロチップは通常、上書きされることの出来ないシリアル番号を有する。無線周波数識別タグが取り付けられる製品に関する追加情報を保存するために、データの追加ブロックが使用されてもよい。これらの無線周波数識別タグは、データの上書きを防止するためにロックされることも、専有データの開示または患者のプライバシーを侵害するデータの開示を防止するために暗号化されることも、可能である。読み出し専用マイクロチップは、製造プロセスで保存された情報を有する。書き込まれた情報は決して変更することができない。ライトワンス型マイクロチップは、一旦書き込まれたシリアル番号を有し、その情報は後に上書きされることはできない。
【0018】
本明細書で使用される「アクティブ無線周波数識別タグ」という表現は、送信器、および自身の電源、一般的には電池を有する。電源は、マイクロチップの回路を動作させ、無線周波数識別リーダに信号をブロードキャストするために使用される。「パッシブ無線周波数識別タグ」には電池がない。その代わり、パッシブ無線周波数識別タグは無線周波数識別リーダから電力を引き出し、無線周波数識別リーダはタグのアンテナに電流を誘導する電磁波を発信する。「セミパッシブタグ」は、マイクロチップの回路を動作させるために電池を使用するが、無線周波数識別リーダから電力を引き出すことによって通信する。上記いずれのタイプの無線周波数識別タグも、本発明のシステムで使用することができる。
【0019】
本明細書で使用される「熱成形」という用語は、熱可塑性シートまたはフィルムの製造プロセスを意味する。シートまたはフィルムは、赤外線、天然ガス、またはその他のヒータの間で成形温度まで加熱される。次いで温度制御された片面モールドの上または中へ向かって引き伸ばされる。少量生産にはエポキシ、木材、および構造発泡体の加工が使用されることもあるが、鋳造または機械加工されたアルミニウムが最も一般的な成型材料である。シートは冷却されるまで成形面に対して保持される。形成された部分はその後、シートから切り取られる。切り取られた材料は通常再研磨され、未使用プラスチックと混合され、再処理されて使用可能なシートになる。
【0020】
本明細書で使用される「真空成形」という表現は、熱成形の簡略版を意味し、これによってプラスチックのシートが成形温度まで加熱され、片面モールドの上または中に向かって引き伸ばされ、成形面とシートとの間を真空にすることによってモールドに対して保持される。通常、モールドの設計には抜き勾配がなければならず、例えば少なくとも3°であり、そうでなければ形成されたプラスチックとモールドの剥離は非常に難しい。真空成形での使用に適した材料は、従来の熱可塑性プラスチックであり、最も一般的で容易なのはポリプロピレン、ポリエチレン、テレフタレート、およびポリスチレンである。
【0021】
本明細書で使用される「加圧成形」という表現は、シートを押してモールドの形状にする、圧力を加えることを除いて、真空成形と似たプロセスを意味する。加圧成形はより細かい造作をして、真空成形ではそれほど容易に造作できない織り目加工表面、アンダーカット、および鋭角を可能にするので、このプロセスは、主に様式および美的資質を要する部品に使用される。
【0022】
本明細書で使用される「ドレープ成形」という表現は、プラスチックのシートが加熱され、一般的には雄モールド上に引き伸ばされるプロセスを意味する。次に、モールドの形状に応じて、重力のみによって材料をモールドに引き寄せるか、または一般的には、シートをモールドに引き入れるために真空にするが、これは部品の内側をより細かく装飾する。
【0023】
本明細書で使用される「インサート成形」という表現は、永久機械ボンディングの方法を意味し、この方法は、基板をモールド内に配置し、挿入された基板の全てまたは一部を第二液または溶融プラスチックで被覆するステップを含む。高粘度ポリマ融解物の射出中に、挿入された基板が目的の位置から決してずれないように、注意する必要がある。本明細書で使用される「インモールド加飾」、「インモールドラベリング」などという表現は、物体がモールド内で形成されている間にプラスチック物体にラベル付けまたは加飾を施すプロセスを指す。このプロセスにおいて、ラベルまたはアップリケが開いたモールドの中に配置され、真空ポート、静電吸引、またはその他の適切な手段によって、所望の位置に保持される。モールドが閉じられ、溶融プラスチック樹脂はモールド内に押し出され、射出され、またはその他の同等の方法によって導入され、そこで物体の形状に適合する。高温のプラスチックはラベルを包み込み、成形物体の一部となる。
【0024】
本明細書で使用される「リール」という用語は、軸を中心に回転し、ロープ、テープ、またはその他の可撓性材料を巻き取るために使用される、シリンダ、スプール、またはフレームなどの装置を意味する。本明細書で使用される「ロール」という用語は、例えばテープのロールなど、円筒形に巻き上げられたものを意味する。本明細書で使用される「ローラ」という用語は、例えばローラスケートのローラのように、スポークのない小さな車輪を意味する。本明細書で使用される「埋め込む」という用語は、母材の中に封じ込めることを意味する。本明細書で使用される「定着する」という用語は、安定して変化しない形状にすることを意味する。本明細書で使用される「ダイカット装置」という表現は、シート、金属、ボール紙、またはその他の材料に成形穴を打ち抜くか、切断するか、または成形する部品を有する機械を意味する。「レーザ切断機」という表現は、材料を切断するためにレーザを使用する機械を意味する。レーザ切断は、コンピュータによって、高出力レーザの出力を切断する材料に向けることによってなされる。材料はその後、融解するか、燃焼するか、気化するか、またはガス噴射によって吹き飛ばされ、高品質表面仕上げのエッジを残す。本明細書で使用される「フィルム」という用語は、プラスチックなどの、薄く、一般的に可撓性の、シートを意味する。本明細書で使用される「接着剤被覆複合フィルム」という表現は、ポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面はポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナの層の1つの主要面と対面接触している、多層物品を意味する。本明細書で使用される「ウェブ」という用語は、製造のプロセスの、または様々な作業ステーションに供給される際のポリマ材または紙の連続した大型ロールを意味する。
【0025】
図1は、マイクロチップ12およびアンテナ14を有する無線周波数識別タグ10を示す。図2、図3、および図4は、無線周波数識別タグ10を取り付けることができる容器の様々な図を示す。容器16は、本体18、首20、および口22を含む。容器16は、閉鎖部(図示せず)を有することもできる。図4に示すように、無線周波数識別タグ10は、容器16の本体18の底24に取り付けられている。本明細書に記載の使用に適した容器は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,074,615号明細書および6,555,062号明細書に示されている。
【0026】
図5を参照すると、装置30は、接着剤被覆複合フィルム34のロールを保持するためのリール32と、熱成形ステップの前に接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるための加熱ステーション36と、成形装置の部品の形状と一致する部分「TP」を形成するための熱成形ステーション38と、剥離ライナを巻き取るための巻き取りリール40と、無線周波数識別タグのロール44を保持するためのリール42と、無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に送るステーション46と、放射線硬化性接着剤を少なくとも部分的に硬化させるための放射線硬化箱48と、熱成形ステーション38で用意された熱成形部「TP」に取り付けられた無線周波数識別タグを含むアセンブリを切断するための切断ステーション50と、所望のポリマ材をモールドに導入する前に無線周波数識別タグをモールドの中に配置するためのインサート成形ステーション52と、無線周波数識別タグおよび熱成形部「TP」を含む切断アセンブリをモールド内に搬送するための搬送ベルト54と、廃棄材をウェブから巻き取るためのリール56とを含む。装置30に沿った様々な位置で、ウェブの処理中に、例えば接着剤被覆複合フィルム34などのウェブの支持を提供する必要に応じて、ピンチローラ60、62の対が配置されている。また、ウェブの処理中に、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルム34の向きを変更する必要に応じて、ローラ64、66、58が配置されている。また、ウェブの処理中に、例えば接着剤被覆複合フィルムなどのウェブを誘導または位置合わせするために、誘導および/またはアライメントシステム(図示せず)を採用することができる。さらに、ウェブの処理中に、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルムの向きを変更するために、追加ローラ(図示せず)を採用することができる。装置30の上記の部品の全ては市販されており、ポリマ材からの容器成形の当業者には知られている。
【0027】
加熱ステーション36の特定の性質は、重要ではない。本明細書での使用に適した加熱ステーションの代表例は、ハロゲン加熱、赤外線加熱、触媒加熱、ガス加熱、または伝導加熱を採用することができる加熱ステーションを含むが、これに限定されない。熱成形ステーション38の特定の性質は、重要ではない。本明細書での使用に適した熱成形ステーションの代表例は、真空成形、加圧成形、またはドレープ成形を採用することができる熱成形ステーションを含むが、これに限定されない。熱成形部が最終的な容器製品の部品となることは、留意すべきである。再び図5を参照すると、熱成形ステーション38としての使用に適した装置は当該技術分野において知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.16,John Wiley&Sons,Inc.(1989),807〜832ページに記載されている。熱成形ステップの前に接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるための加熱ステーション36は、好ましくは赤外線ヒータを含む。本明細書での使用に好適な熱成形プロセスは、真空成形、加圧成形、およびドレープ成形を含む。熱成形ステーション38の機能は、完成品の所望の形状と一致するような方法で熱成形部「TP」を形成することである。
【0028】
放射線硬化箱48は、放射線硬化性接着剤を硬化させるのに適した紫外線のいずれかの光源を利用できることが好ましい。例えば、参照により本明細書に組み込まれるRadiation Curing:Science and Technology,S.Peter Pappas編、Plenum Press(New York:1992)333〜398ページ参照。資本コストが低く、市場で広く入手できるため、紫外線放射が好ましい。本明細書での使用に適した紫外線放射源の代表例は、高輝度紫外線ランプ、キセノンランプを含む。その他のタイプの放射も使用することができる。紫外線放射以外の放射タイプの例は、電子ビーム放射を含むが、これに限定されない。放射線硬化箱48は、例えばいずれもDymax Corporation,Torrington CTから市販されている、DYMAX5000 UV Curing Flood Lamp System、DYMAX UV Light Curing Conveyor Systemsなど、市販の紫外線放射硬化ステーションであってもよい。いずれも参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月19日発行のDYMAX(R)CorporationカタログLIT220および2007年3月8日発行のDYMAX(R)CorporationカタログLIT012B参照。
【0029】
切断ステーション50は、個々の無線周波数識別タグをウェブから切断するための自動切断装置を含む。切断ステーション50の切断機構の速度は、成形プロセスの速度と同期している。切断ステーション50は、ウェブ処理を取り扱うことができる従来のダイカットステーションであってもよい。ダイの形状は、モールドおよび所望の完成品の形状に応じて、四角形(正方形を含む)、円形、楕円形などであってもよい。自動化ダイカット装置は、当業者には知られている。本明細書での使用に適したダイカット装置の代表例は、フラットベッドダイカット装置およびロータリダイカット装置を含む。本明細書に記載の方法での使用に適したダイカット装置は、Brady Corporation,Milwaukee Wisconsinから市販されている。ダイカット装置の代わりにレーザ切断機を使用することもできる。あるいは、切断操作をバッチ処理として、成形操作で利用できるように、無線周波数識別タグをロールで供給するのではなくマガジンで保存するようにしてもよい。
【0030】
インサート成形ステーション52は、射出成形、加圧成形、トランスファ成形、反応射出成形、押し出しブロー成型、射出ブロー成型などの成形プロセスを採用することができる。射出成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,John Wiley&Sons,Inc.(1987),102〜138ページに記載されている。加圧成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページに記載されている。トランスファ成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページに記載されている。反応射出成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.14,John Wiley&Sons,Inc.(1988),72〜100ページに記載されている。押し出しブロー成型は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。射出ブロー成型は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。挿入ステップは、無線周波数識別タグを保持する挿入された熱成形部「TP」を安定させるために、真空または静電力を必要とする可能性がある。搬送ベルト54は、無線周波数識別タグおよび熱成形部「TP」を含むダイカットアセンブリをモールドの中に移動させる一手段に過ぎない。搬送ベルト54の代替として、上記ダイカットアセンブリをモールドに移動させるために、ロボットシステムを使用することができる。
【0031】
図6は、インサート成形ステーション52において実行可能なインサート成形プロセスでの使用に適合可能な成型機械を示す。射出成型機械70は、射出部72および型締部74の2つの基本部分を含む。異なる射出成形機械は、射出部および型締部の両方が異なる。射出成形機械の名前は、一般的には使用される射出部のタイプに基づいている。以下の説明は、参照により本明細書に組み込まれる、インターネット:<URL:http://plastics.inwiki.org/Injection_molding_machine>から取得されたInjection Molding Machine(オンライン)(2007年12月13日取得)を出典とする。
【0032】
射出部72は、ポリマまたは樹脂を融解し、ポリマまたは樹脂融解物をモールド76の中に射出する。モールド76は、第一半モールド76aおよび第二半モールド76bを含む。モールド76は、ラム送りでもネジ送りでもよい。射出ラムは、溶融材料をモールド76の半モールド76a、76bの空洞に押し込むために、溶融したポリマまたは樹脂材料に圧力を印加するラムまたはネジである。往復ネジは、最も一般的なタイプの射出ラムである。本明細書に記載の設計は、ポリマまたは樹脂を融解および射出するのに、同じバレルを使用する。供給ホッパ78は、往復ネジ80に供給される成形材料「M」の供給物を保持する容器である。供給ホッパ78はバレル82の上に位置し、供給スロート78aが供給ホッパ78とバレル82とを接続している。代替装置(図示せず)は、ポリマまたは樹脂を可塑化および射出するために、個別のバレルを使用する。この代替装置は、ネジ式事前可塑化機械、または二段階機械と呼ばれる。この代替装置では、第一段階でポリマまたは樹脂ペレットが供給ホッパからバレルに供給され、そこでポリマまたは樹脂を押し出してポリマまたは樹脂を融解するためにネジを使用する。第一段階のこのバレルは第二段階でバレルを供給し、後者のバレルは溶融ポリマまたは樹脂をモールド内に射出するためにプランジャを使用する。旧式の機械は、ポリマまたは樹脂を融解および射出するために、1つのプランジャ駆動バレルを使用していた。これらの旧式機械は、プランジャ式射出成形機械と称される。バレル82は、供給ホッパ78からネジを通じて送られるポリマまたは樹脂を融解する主要部品であり、ポリマまたは樹脂を適温まで加熱できるような構造になっている。バンドヒータ84は、5カ所で温度を制御することができるが、これはバレル82の外側に取り付けられている。融解したポリマまたは樹脂は、バレルヘッド、遮断ノズル、およびワンタッチノズル86を通過してモールド76に供給される。軸受け箱92の中に配置されている油圧モータ90はギア94でネジ80を回転させ、融解したポリマまたは樹脂はネジ80の先端で測定される。ポリマまたは樹脂の特性あるいは製品のタイプに従って、適切な速度および圧力でポリマまたは樹脂を射出するのに必要な力を供給する射出シリンダには、多くのタイプがある。図6に示されるモデルは、二重シリンダタイプを採用している。射出シリンダ88は、シリンダ本体96、ピストン98、およびピストン加圧部100を含む。射出シリンダ88は、空気または油圧エネルギー源102の補助を受けて作動する。
【0033】
型締部74は、モールド76の半モールド76a、76bを結合させ、モールド76の半モールド76a、76bを自動的に開閉し、モールド76から完成部品を取り出す。型締部74の機構は、例えば機械式、油圧式、または油圧機械式など、いくつかの設計とすることができる。射出モールドには、主に2つのタイプがある:コールドランナ(2枚板および3枚板設計)とホットランナ−より一般的なランナレスモールド−である。射出プラテン104、106は、モールド76の半モールド76a、76bが取り付けられる、成形機械の剛板である。通常、2つのプラテン104、106が使用され、1つのプラテン104は固定され、もう1つのプラテン106は可動であって、モールド76を開閉するために油圧シリンダ108によって油圧で作動可能である。プラテン104、106は、モールド76の半モールド76a、76bを実装する位置を提供する。プラテン104、106は、締め具(図示せず)を使用してモールド76の半モールド76a、76bを実装することができるネジ穴(図示せず)を含む。型締シリンダ110は、空気または油圧エネルギー源112の補助を受けて型締を達成する装置である。型締シリンダ110は、円筒形本体114、ピストン116、およびピストン加圧部118を有する。2つのタイロッド120a、120bは、固定プラテン104と可動プラテン106との間に配置されている。2つのタイロッド120c、120dは、可動プラテン106と型締シリンダ110の支持体122との間に配置されている。
【0034】
搬送ベルト54の目的は、個別の無線周波数識別タグを含む切断アセンブリをインサート成形ステーション52のモールド空洞に移動させることである。個別の無線周波数識別タグを含む切断アセンブリをインサート成形ステーション52の適切な位置に導入するために、アライメントシステム(図示せず)を使用することができる。
【0035】
ここで図8を参照すると、接着剤被覆複合フィルム34のロールは、2つの主要面を有するポリマ裏材130を含む。ポリマ裏材130の1つの主要面には、2つの主要面を有する放射線硬化性接着剤132の層がある。剥離ライナ134の層が、放射線硬化性接着剤132の層の1つの主要面を覆っている。従って、放射線硬化性接着剤132の層は、ポリマ裏材130の1つの主要面と剥離ライナ134の層の1つの主要面との間に位置し、それによって放射線硬化性接着剤132の層の1つの主要面はポリマ裏材130の1つの主要面と接触し、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナ134の層の1つの主要面と接触している。剥離ライナ134の機能は、接着剤被覆複合フィルム34がロール状になっているときに固着を防止することである。接着剤被覆複合フィルム34は、適切な放射線硬化性接着剤およびポリマ裏材用の適切な材料を選択することに注意して、当業者によって製造され得る。
【0036】
放射線硬化性接着剤132の層を保持するポリマ裏材130に適した材料は、例えばナイロン6およびナイロン66、ポリビニリデンフルオライド、および2つ以上の下記ポリマ材を含む共有押し出しまたは積層フィルムなど、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドを含むが、これらに限定されない。ポリマ裏材の厚みは、通常は約0.05mmから約0.20mmの範囲であって、好ましくは約0.10mmから0.15mmの範囲である。ポリプロピレンは、Exxon Mobile CorporationからExxonMobil PP9852E1の製品記号で、またはBasell PolyolefinsからPro−fax HL783Hの製品記号で市販されている。ポリエチレンテレフタレートは、DuPont Teijin FilmsからMylar(R)814およびMylar(R)813の商品名で市販されている。ポリスチレンは、The Dow Chemical CompanyからTrycite(TM)フィルムの商品名で市販されている。ナイロンは、Honeywell International Inc.からHoneywell Capran(R)526の商品名で市販されている。ポリカーボネートは、Bayer Material Scienece LLCから、Makrofol(R)DE1−1の商品名で市販されている。上記のポリマに適した代用品であるポリクロロトリフルオロエチレンは、Honeywell International Inc.から、Aclar(R)の商品名で市販されている。ポリマ裏材は、接着剤の層を少なくとも部分的に硬化させるために十分な放射エネルギーが接着剤の層に到達できるように、紫外線放射に対して透明でなければならない。ポリマ裏材は成形プロセス中にモールド壁に接触するがモールド壁の温度は通常60℃未満なので、高温に対する抵抗は重要ではない。
【0037】
放射線硬化性接着剤132は好ましくは、例えば紫外線硬化性アクリル酸系接着剤または紫外線硬化性エポキシ接着剤などの紫外線硬化性接着剤である。紫外線硬化性接着剤の粘度は、約10,000から約100,000cp、好ましくは約20,000から約50,000cpの範囲とすることができる。これらの範囲は、接着剤被覆複合フィルム34のロールからの接着剤の浸出を防止するために選択されている。あるいは、放射線硬化性接着剤は、硬化に熱および紫外線放射を利用する、二重硬化システムであってもよい。本発明での使用に適した市販の放射線硬化性接着剤は、Master Bond Inc.,Hackensack,NJから市販されているMaster Bond UV10TKまたはMaster Bond UV21、Dymax Corporation,Torrington CTから市販されている、DYMAX1191−M医療用プラスチック接着剤またはDYMAX3069プラスチック接着剤を含むが、これらに限定されない。本発明での使用に適した市販されている二重硬化の放射線硬化性接着剤は、Master Bond Inc.,Hackensack,NJから市販されているMaster Bond UV15−7DC(二重硬化)を含むが、これに限定されない。紫外線硬化性接着剤の被覆厚は、約10g/m2から約60g/m2の範囲とすることができる。
【0038】
本明細書に記載の方法の接着剤被覆複合フィルム34の剥離ライナ134に適した材料は、一般的に以下のいずれかのライナ材料の被覆として塗布されるシリコーンを含む:クラフト紙、クレー紙、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン。ライナは、2つ以上の上記ライナ材料を含む共有押し出しまたは積層フィルムでできていてもよい。エンボス形状の上記のライナ材料は、本明細書での使用に適した剥離ライナを用意するのにも適している。本明細書に記載のプロセス向けに好ましい材料は、低コストのため、シリコーンで被覆されたクラフト紙である。
【0039】
熱可塑性フィルムでできた剥離ライナの厚みは、約0.01mmから約0.15mmの範囲とすることができ、好ましくは約0.07mmから約0.12mmの範囲とすることができる。紙製の剥離ライナの厚みは、基本重量約50lbから約120lb、好ましくは約60lbから約90lbの範囲とすることができる。本明細書に記載のプロセスでの使用に適した市販の剥離ライナは、Adhesives Research,Inc.,Glen Rock,PAから入手可能な70lbポリマ被覆クラフト剥離紙、または3M,St.Paul,MNから入手可能な3M(TM)83lb紙製医療用剥離ライナ1361である。
【0040】
図7は、接着剤被覆複合フィルム34のロールを用意するのに適した装置を示す。装置140は、ポリマ裏材130のロールを保持するためのリール142と、ポリマ裏材130の1つの主要面上に放射線硬化性接着剤132の層を被覆するための被覆ステーション144と、放射線硬化性接着剤132の層を部分的に硬化させるための加熱ステーション146と、剥離ライナ134のロールを保持するためのリール148と、接着剤被覆複合フィルム34のロールを巻き取るための巻き取りリール150とを含む。ポリマ裏材130の層および放射線硬化性接着剤132の層を含むアセンブリに剥離ライナ134の層を積層するために、一対のピンチローラ152、154が配置されてもよい。接着剤被覆複合フィルム34を巻き取りリール150に誘導するために、別のローラ156が使用されてもよい。
【0041】
接着剤被覆複合フィルム34のロールを用意するためには、2層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤132の層がポリマ裏材130の1つの主要面上に被覆される。放射線硬化性接着剤132の層は、搬送ロール被覆プロセスによってポリマ裏材の主要面に付着させることができる。搬送ロール被覆プロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、インターネット:<URL:http://www.schaeferco.com/about_rollcoaters.html>から取得されたABOUT ROLL COATERS(オンライン)(2007年12月13日取得)に記載されている。放射線硬化性接着剤は、紫外線放射によって硬化される能力があることが好ましい。紫外線硬化性接着剤は、二重作用硬化システムを有することができ、または高粘度紫外線硬化性接着剤とすることができる。紫外線硬化性接着剤は、通常は赤外線ヒータによって、熱で部分的に硬化され、後に紫外線放射によって完全に硬化されることが可能である。
【0042】
放射線硬化性接着剤132の層を損傷および固着(すなわち付着)から保護するために、剥離ライナ134の層が放射線硬化性接着剤132の1つの主要面上に付着される。図8に示されるように、接着剤被覆複合フィルム34は、ポリマ裏材130、放射線硬化性接着剤132の層、および剥離ライナ134の層を含む、3層構造である。接着剤被覆複合フィルム34は、次の処理領域、すなわち図5に示される処理領域に搬送されることができ、連続操作をなすために次の処理領域に連結されることができる。
【0043】
無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に搬送するためのステーション46で、無線周波数識別タグは熱成形部「TP」に取り付けられる。ステーション46は、保護フィルム166の層に貼り付けられる無線周波数識別タグ164のロール44、および無線周波数識別タグ164と保護フィルム166の層とのアセンブリを熱成形部「TP」上の放射線硬化性接着剤132の層に積層するための一対のピンチローラ168、170を含む。
【0044】
無線周波数識別タグ用の保護フィルム166の層に適した材料は、ポリイミド、液晶性ポリマ(LCP)、ポリフェニルスルファイド(PPS)を含むが、これらに限定されない。無線周波数識別タグ用の保護ベースフィルムとしての使用に適した市販の材料は、E.I duPont Nemours and Companyから市販されている、Kapton(R)PSTポリイミド(13または25μm厚)、Rogers Corporation,Rogers CTから市販されている、Vectra(R)A−950液晶性ポリマ(50μm厚)、Toray Resin Company,Troy MIから市販されているTorelina(R)ポリフェニルスルファイドフィルム(12または25μm厚)を含む。無線周波数識別タグ用保護フィルムは、最高250℃までの温度に耐えられることが好ましい。
【0045】
本明細書での使用に適した無線周波数識別タグは、Avery Dennison Corporation,Pasadena,CAから市販されている。製品識別番号は、AD−811およびAD−812 RFIDインレーを含む。これらの無線周波数識別タグは、パッシブ無線周波数識別タグである。サイズはおよそ1インチ×1インチである。これらの無線周波数識別タグのパラメータは以下の通りである:
AD−811(最適周波数帯域ETSI(865から868MHz))
AD−812(最適周波数帯域FCC(902から928MHz))
プロトコル:ISO/IEC18000−6CおよびEPCクラス1Gen2
【0046】
無線周波数識別タグの形状は重要ではないが、無線周波数識別タグおよび接着剤被覆複合フィルム(剥離ライナを除く)を含むアセンブリは、切断機によって切断しやすいことが好ましい。従って、無線周波数識別タグは、正方形を含む四角形、円形、楕円形であることが好ましい。
【0047】
成形工程は、例えば押し出しブロー成型、射出ブロー成型、射出成形、反応射出成形、加圧成形、トランスファ成形など、従来の成形工程であってもよい。これらのプロセスは、いずれも既に参照により本明細書に組み込まれている、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,John Wiley&Sons,Inc.(1987),102〜138ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.14,John Wiley&Sons,Inc.(1988),72〜100ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。適切なプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,643,789号明細書および4,369,157号明細書にも記載されている。成形プロセスでは、無線周波数識別タグを保持する接着剤被覆複合フィルム(剥離ライナを除く)は、インサート成形ステーション52によって生成された物体と融合する。成形プロセスの間、無線周波数識別タグを動かないように保持するために、真空によってまたは静電力によって、無線周波数識別タグをモールドに導入することができる。
【0048】
無線周波数識別タグと放射線硬化性接着剤との良好な接触を確実にするために無線周波数識別タグを熱成形部に搬送するため、柔らかいゴム製ローラ(例えば、繊細な材料のためのShore−A約50から約100、好ましくはShore−A約50から60の範囲の硬度)がステーション46で使用されることが好ましい。
【0049】
例えば容器などの成型品を用意するのに適した材料は、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体、スチレンアクリロニトリル共重合体などの熱可塑性材料、例えばポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの熱硬化性材料を含むが、これらに限定されない。
【0050】
動作
ここで図5を参照すると、接着剤被覆複合フィルム34が熱成形ステーション38に進入する前に、加熱ステーション36で接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるために接着剤被覆複合フィルム34が事前加熱される。接着剤被覆複合被覆フィルムが事前加熱された後、接着剤被覆複合フィルム34は熱成形工程に入る。接着剤被覆複合フィルム34が熱成形ステーション38に進入すると、真空熱成形、加圧熱成形(容積式)、またはこれらの組合せによって、熱成形工程が実行されることが可能である。熱成形プロセスが実行された後、巻き取りリール40によって剥離ライナ134が巻き取られる。剥離ライナ134はその後、無線周波数識別ラベル(タグ)が紫外線硬化性接着剤の層に取り付けられる前に除去されて紫外線硬化性接着剤の層を露出する。
【0051】
無線周波数識別タグを含むロールは接着剤複合被覆フィルムのロールとは別に提供されるか、または無線周波数識別ラベルを含むロールは、例えばAvery Dennison Corporation,Pasadena,CA、またはOwens−Illionis Inc.,Perrysburg,OHなどの供給元から購入することができる。無線周波数識別タグ用の保護フィルム166は、成形プロセスの間、無線周波数識別タグの断熱材としての役割を果たす必要がある。
【0052】
無線周波数識別タグ164および保護フィルム166は、放射線硬化性接着剤132の層を有するポリマ裏材130に取り付けられ、その結果得られるフィルム構造は4層、すなわちポリマ裏材130、放射線硬化性接着剤132、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む。無線周波数識別タグ164は最終的に、紫外線硬化性接着剤の部分的に硬化された層に埋め込まれることを留意すべきである。
【0053】
無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に搬送するためのステーション46は、無線周波数識別タグ164と放射線硬化性接着剤132の層との間の十分な接触を確実にするため、および無線周波数識別タグ164の損傷を防止するため、2つの柔らかいゴム製ローラ(Shore−A約50から約100の硬度)を有する。
【0054】
4層構造は、放射線硬化性接着剤を完全に硬化するために、放射線硬化箱48を横断する。放射線硬化プロセスは、特に放射線硬化性接着剤の層が薄い場合は、通常は数秒以内で実行される。
【0055】
切断ステーション50では、インサート成形工程で使用されるウェブの部分が、切断装置、一般的にはダイカット装置またはレーザ切断機によって、ウェブから切断される。図9Aは、切断ステーション50に進入する直前のウェブを示す。図9Bは、切断ステーション50から離れた直後のウェブを示す。ポリマ裏材130、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む切断アセンブリは、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルム34の残余部「RP」に緩く取り付けられ、使用できない。従って、ポリマ裏材130、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む切断アセンブリは、搬送ベルト54によって、インサート成形ステーション52に導入されることが好ましい。搬送ベルト54の代わりにロボットシステムを使用することもできる。ウェブ断片(scrape)は、成形ステップの前に廃棄ロールとして集められる。ウェブ断片は、接着剤被覆複合フィルム34の使用不可能な残余部「RP」である。硬化された放射線硬化性接着剤のため、切断ステーション50で発生する接着剤被覆複合フィルム34の使用不可能な残余部は容易に再利用することができない。インサート成形ステーション52で利用される成型機械のタイプによって、インサート成形プロセスの条件が異なる。例えば、350°Fから500°Fの温度範囲では、ポリエチレンを射出成形することができる。成形ステップの条件の重要な態様は、無線周波数識別タグ164用の保護フィルム166である。この保護フィルム166は、成形ステップの温度に耐えられなければならない。図10は、その接着層が無線周波数識別タグ164を保持している、接着剤被覆複合フィルム34の層を示す。同図において、剥離ライナは除去されているが、無線周波数識別タグおよび保護フィルム166は存在している。成形ステップでかけられる圧力も、容器を形成するために使用されるポリマ材の性質、および容器と成型機械の両方の設計に依存している。成形ステップ中にかかると推測される標準的な圧力は、約5,000psiから約15,000psiの範囲である。ウェブの速度は、成形の周期と同期する必要がある。成形ステップの最後に、モールド76の半モールド76a、76bを開くことによって、完成品がモールドから剥離される。完成品は、さらなる処理のために搬送されるか、または保存されてさらなる処理を待つ。
【0056】
本明細書に記載の方法は、従来技術と比較して多くの利益および利点を提供する。本発明の方法、すなわちインサート成形を組み込んだウェブプロセスによって、無線周波数識別タグを容器に取り付けることの利益は、費用の削減、無線周波数識別タグの偽造の危険性の削減、および無線周波数識別タグの外観の改善を含むが、これらに限定されない。特に、マイクロチップとアンテナを含むアセンブリは、容器自体を用意するために使用されるポリマ材によって保護されているので、無線周波数識別タグの剥離の可能性が減少する。従来の無線周波数識別タグは、損傷を受けやすく、改ざんもされやすい。本明細書に記載の方法は、成形プロセスによって容器を形成するステップと、成形プロセス中に容器に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを統合できるようにし、それによって、成形またはその他の手段によって容器が形成された後に、容器に無線周波数識別タグを取り付けるステップを排除する。
【0057】
本明細書に記載の方法は、無線周波数識別タグをマイクロウェルプレートに取り付けるために利用することもできる。無線周波数識別タグは、96以上のマイクロウェルを有するマイクロウェルプレートの一角に配置されることになる。本明細書で使用される「マイクロウェルプレート」という表現は、「マイクロタイタプレート」、「マイクロプレート」とも呼ばれ、小さな試験管として使用される複数の「井戸」を有する平板を意味する。
【0058】
接着剤被覆複合フィルム34、無線周波数識別タグ10、164、保護フィルム166、および容器16を用意するのに必要な材料の全ては、市販されており、当業者には知られている。インサート成形無線周波数識別タグ保持容器16を用意するのに必要な機材の全ては、市販されており、当業者には知られている。
【0059】
本発明の様々な変更および修正は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者にとって明らかとなり、本発明が本明細書に記載の例示的実施形態に不当に限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数識別タグを物品に取り付ける方法に関し、より具体的には、診断器機での使用に適した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療診断の分野では、容器の識別は一般的にバーコードラベルによって達成されている。バーコードラベルは、容器の表面への印刷または貼付を必要とする。バーコードラベルは読み取られるために遮るもののない光路を必要とし、これが容器とバーコードリーダの両方の設計を難しくしている。バーコードラベルは鮮明である必要があり、すなわち印刷品質が十分でなければならず、ラベルには湿気および低温での保管に起因する霜などの異物があってはならない。バーコードラベルには一般的に、限られたスペースしかなく、その結果バーコードラベルに書き込むことができる情報は非常に限定されてしまう。バーコードラベルは剥がして再利用することができるので、偽造問題にもつながる。バーコードラベルは、水分の結露または低温のため容器から剥離する可能性もある。
【0003】
医療診断の分野において、サプライチェーンの管理のための食品医薬品局(FDA)の規制に準拠するために、無線周波数識別タグおよび無線周波数識別タグを使用したデータ取得システムによる容器の識別を利用することができる。
【0004】
無線周波数識別タグは、アクティブ、セミパッシブ、およびパッシブ無線周波数識別タグに分類することができる。3つのタイプの無線周波数識別タグの主な違いは、電源の性質にある。パッシブ無線周波数識別タグはいかなる内蔵型電源も必要としない。パッシブ無線周波数識別タグは、マイクロチップおよびアンテナを含む。受信した無線周波数信号によってアンテナの中に誘導される微弱な電流が、マイクロチップに応答を送信させるのに十分な電力を供給する。図1は、マイクロチップおよびアンテナを有する代表的な無線周波数識別タグを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線周波数識別タグを利用するための最も重大な障害は、価格が高いことである。無線周波数識別タグに関連するマイクロチップの価格は、一般的な診断用製品の価格と比較して高い。マイクロチップは、大量生産しない限り高額である。しかも、無線周波数識別タグをはずして別の無線周波数識別タグを取り付けなおすことによって、偽造が可能である。無線周波数識別タグを容器に取り付けた結果、凹凸のある表面および粗く見える表面になるので、容器の外見も問題になる。さらに別の問題は、無線周波数識別タグの容器からの剥離である。最後に、アンテナ接点上のチップの配置に内在する難しさのため、無線周波数識別タグアセンブリの廃棄率は高い。
【0006】
米国特許第6,294,998号明細書は、均一外形を有する無線周波数識別タグを開示している。無線周波数識別回路およびアンテナの存在にもかかわらず、圧縮性マスク層またはカットアウトマスク層が均一外形を提供する。均一外形は、明瞭な重ね刷りを可能にし、無線周波数識別トランスポンダの視覚的検出を妨げる。この無線周波数識別タグは、容器からの剥離に対して非常に弱い。米国特許第6,429,831号明細書は、電気接続パッドを形成する第一導電材料、接続パッドを取り囲む誘電材料、および誘電材料上に蒸着され、接続パッドと電気的に接続されるアンテナを形成する第二導電材料を有する積層ラベルを開示している。膨張可能な材料の層が、接続パッドを取り囲む保護空洞を形成する。ICチップが保護空洞に収まり、アンテナに接続される。この無線周波数識別タグは、容器からの剥離に対して非常に弱い。米国特許第6,548,006号明細書は、少なくとも2つのモールド部を有するモールドと、ハンドリングシステムと所定のモールド部との間で物品を搬送するために、モールドが開放位置にあるときにモールド部の間に挿入されるようになっている、ハンドリングシステムとを含むプラスチック材料射出成形機械を開示している。装置は、摩耗しやすく頻繁な微調整を必要とする、多くの可動部品を有する。米国特許第6,957,777号明細書は、モールドで形成されたプラスチック製品に取り付けられ、柔らかい回路基板、保護層、および接着層を含む検出装置によって識別可能な、ラベルを開示している。柔らかい回路基板は、無線周波数識別装置(RFID)を備える外層を有する。保護層は透明で、RFIDを保護し、無線検出装置によって送信される信号によってRFIDが識別されるように、柔らかい回路基板の外面上に接着されている。接着層は、複合材料でできており、柔らかい回路基板の内面およびRFIDも保護するために、内層に接着されている。ラベルは射出成形プロセスでプラスチック製品に取り付けられ、検出装置によってラベルが取り付けられた物体を識別するために広く利用可能することができる。サブアセンブリをモールド内に配置するロボットハンドリングシステムの費用と並んで、3層サブアセンブリを用意する費用も高くなることが予想される。米国特許第7,176,796号明細書は、キャップ本体を含み、偽造防止および識別能力を備える封止キャップと、識別信号を発生する信号発信装置を備える識別チップと、破壊装置とを開示し、キャップ本体が信号発信装置と電気的に接続して比較的広い領域のアンテナとしての役割を果たし、キャップ取り外し後に破壊装置が発信能力を破壊し、その結果識別チップが取り外されて再利用されるのを防止することを特徴とする。無線周波数識別タグは、容器のキャップ上になければならない。米国特許出願公開第2006/0174470号明細書は、識別チップ、タグコイル、ハウジング、およびキャップを含む、貼り替え防止(transfer resistant)RFIDタグを開示している。識別チップは、タグコイルに2つの配線で電気的に接続されている。第一の量のボンディング化合物は、識別チップの表面積よりも僅かに広い表面に塗布される。第二の量のボンディング化合物は、ハウジングの端面積よりも僅かに広い表面に塗布される。ハウジングの一端が、第二の量のボンディング化合物に取り付けられる。次いで識別チップが第一の量のボンディング化合物に取り付けられる。タグコイルとハウジングのもう一方の端の上に、キャップが嵌められる。誰かがRFIDタグを1つの面から別の面へ移そうとすると、取り外し中に2つの配線または識別チップが破壊される。改ざんが発生すると、無線周波数識別タグに接続されている配線が破壊され、装置が使えなくなる。米国特許出願公開第2007/0098942号明細書は、ポリを展延可能にするために、ガラス熱温度を僅かに下回る温度まで加熱される、機械方向に連続的に移動しているポリシートを開示している。回路(例えば、RFIDチップ、EASチップ、トランスポンダ、IC)がポリシート上に配置され、好ましくは回路を損傷せずにポリに回路を押し込む耐熱性の柔らかい(例えばゴム製)ローラで、ポリシート内に埋め込まれる。回路との導電連絡のため、回路の接続点(例えば導電性バンプ)に合わせるために、導電片または線がポリシートの表面または内部に取り付けられてもよい。
【0007】
インモールド加飾は、従来技術において知られている。例えば、米国特許第4,643,789号明細書、4,650,533号明細書、2006/0188595号明細書、3,292,209号明細書、6,117,384号明細書参照。
【0008】
費用を削減し、無線周波数識別タグの偽造の危険性を削減し、無線周波数識別タグの外観を改善するような方法で、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、インサート成形プロセスまたはインモールド加飾プロセスによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける方法を提供する。このような方法は、例えば容器などの物体に無線周波数識別タグを取り付ける製造プロセスを簡素化するために利用することができる。
【0010】
成形プロセスは、例えば射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファ成形、および回転成形などの、従来の成形プロセスであってもよい。しかしながら、従来の成形プロセスは、成型品を形成する前に無線周波数識別タグをモールドの空洞に挿入することによって、修正される。修正された成形プロセスの結果、成型品のポリマ材によって封入された無線周波数識別タグを有する成型品ができる。
【0011】
一態様において、プロセスは:
(a)接着剤被覆複合フィルムのロールを提供するステップであって、接着剤被覆複合フィルムはポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面はポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナの層の1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(b)無線周波数識別タグを保持するために、熱成形によって形成される部分を接着剤被覆複合フィルムから形成するステップと、
(c)熱成形部から剥離ライナの層を除去するステップと、
(d)複数の無線周波数識別タグを含むロールを提供するステップであって、各無線周波数識別タグの1つの主要面が保護フィルムの層の1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(e)熱成形部の放射線硬化性接着剤の層に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、
(f)ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、放射線硬化プロセスによって無線周波数識別タグを定着するステップと、
(g)ポリマ裏材、1つの無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、切断装置によってステップ(f)のアセンブリを切断するステップと、
(h)例えば容器などの物品をモールドで成形し、例えば容器などの成型品にモールドの中で無線周波数識別タグを取り付けるステップと、
(i)無線周波数識別タグが取り付けられる、例えば容器などの成型品をモールドから剥離するステップとを含む。
【0012】
上記のプロセスは、無線周波数識別タグを保持するために一部分を熱成形するステップと、熱成形部に塗布された放射線硬化性接着剤に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、放射線硬化ステップによって無線周波数識別タグを定着するステップと、切断装置によって無線周波数識別タグをウェブから切断するステップと、インサート成形ステップによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを利用する。
【0013】
本発明の方法、すなわちインサート成形ステップを組み込んだウェブプロセスによって、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付ける利点は、費用の削減、無線周波数識別タグ偽造の危険性の削減、および無線周波数識別タグの外観の改善を含むが、これらに限定されない。特に、マイクロチップとアンテナを含むアセンブリは、例えば容器自体の物品自体を用意するために使用されるポリマ材によって保護されているので、無線周波数識別タグの剥離の可能性が減少する。従来の無線周波数識別タグは、損傷を受けやすく、改ざんもされやすい。本明細書に記載の方法は、成形プロセスによって、例えば容器などの物品を形成するステップと、成形プロセス中に、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを統合できるようにし、それによって例えば容器などの物品が成形またはその他の手段によって形成された後に、例えば容器などの物品に無線周波数識別タグを取り付けるステップを排除する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】無線周波数識別タグの拡大上面図である。
【図2】無線周波数識別タグを保持する容器の斜視図である。
【図3】図2に示される容器の立面側面図である。
【図4】図2に示される容器の底面図である。
【図5】図2、図3、および図4に示される無線周波数識別タグを保持する容器を用意するのに適した装置を示す模式図である。
【図6】インサート射出成形によって図2、図3、および図4に示される無線周波数識別タグを保持する容器を形成するのに適した装置を示す模式図である。
【図7】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムを用意するのに適した装置を示す模式図である。
【図8】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムの層の立面側面を示す模式図である。
【図9A】切断ステーションに進入する直前のウェブを斜視的に示す模式図である。
【図9B】切断ステーションを離れた直後のウェブを斜視的に示す模式図である。
【図10】接着層が無線周波数識別タグを保持することが可能な接着剤被覆複合フィルムの層の立面側面を示す模式図である。剥離ライナは除去されているが、無線周波数識別タグおよび保護フィルムが追加されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される「無線周波数識別」またはRFIDという表現は、例えば生体標本の容器および生体サンプルを分析するための試薬の容器など、物体を自動的に識別するために無線波を使用する技術の総称である。最も一般的な識別方法は、物体を識別するシリアル番号、および、おそらく物体またはその内容物に関する他の情報をアンテナに取り付けられたマイクロチップに記憶させることである。マイクロチップおよびアンテナは、合わせて無線周波数識別トランスポンダまたは無線周波数識別タグと呼ばれる。アンテナは、マイクロチップが識別情報およびその他の情報を無線周波数識別リーダに送信できるようにする。無線周波数識別リーダは、無線周波数識別タグから反射して戻ってきた無線波をその後それを利用可能なコンピュータに送られることができるデジタル情報に変換する。
【0016】
本明細書で使用される「無線周波数識別システム」という表現は、アンテナを備えるマイクロチップで構成される無線周波数識別タグ、およびアンテナを備える無線周波数識別質問器または無線周波数識別リーダを含むシステムを意味する。無線周波数識別リーダは電磁波を発信する。タグアンテナは、これらの波を受信するように調整されている。パッシブ無線周波数識別タグは、リーダによって作られた場から電力を引き出し、それを使ってマイクロチップの回路に電力を供給する。次いでマイクロチップは、パッシブ無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダに送り返す波を変調し、そこで無線周波数識別リーダによって受信された波をデジタルデータに変換する。
【0017】
本明細書で使用される無線周波数識別タグのマイクロチップは、「読み書きマイクロチップ」、「読み出し専用マイクロチップ」、または「ライトワンス型マイクロチップ」であってもよい。読み書きマイクロチップの場合、無線周波数識別タグが無線周波数識別リーダの範囲内にあるとき、情報が無線周波数識別タグに追加されたり、または既存の情報が上書きされたりすることが可能である。読み書きマイクロチップは通常、上書きされることの出来ないシリアル番号を有する。無線周波数識別タグが取り付けられる製品に関する追加情報を保存するために、データの追加ブロックが使用されてもよい。これらの無線周波数識別タグは、データの上書きを防止するためにロックされることも、専有データの開示または患者のプライバシーを侵害するデータの開示を防止するために暗号化されることも、可能である。読み出し専用マイクロチップは、製造プロセスで保存された情報を有する。書き込まれた情報は決して変更することができない。ライトワンス型マイクロチップは、一旦書き込まれたシリアル番号を有し、その情報は後に上書きされることはできない。
【0018】
本明細書で使用される「アクティブ無線周波数識別タグ」という表現は、送信器、および自身の電源、一般的には電池を有する。電源は、マイクロチップの回路を動作させ、無線周波数識別リーダに信号をブロードキャストするために使用される。「パッシブ無線周波数識別タグ」には電池がない。その代わり、パッシブ無線周波数識別タグは無線周波数識別リーダから電力を引き出し、無線周波数識別リーダはタグのアンテナに電流を誘導する電磁波を発信する。「セミパッシブタグ」は、マイクロチップの回路を動作させるために電池を使用するが、無線周波数識別リーダから電力を引き出すことによって通信する。上記いずれのタイプの無線周波数識別タグも、本発明のシステムで使用することができる。
【0019】
本明細書で使用される「熱成形」という用語は、熱可塑性シートまたはフィルムの製造プロセスを意味する。シートまたはフィルムは、赤外線、天然ガス、またはその他のヒータの間で成形温度まで加熱される。次いで温度制御された片面モールドの上または中へ向かって引き伸ばされる。少量生産にはエポキシ、木材、および構造発泡体の加工が使用されることもあるが、鋳造または機械加工されたアルミニウムが最も一般的な成型材料である。シートは冷却されるまで成形面に対して保持される。形成された部分はその後、シートから切り取られる。切り取られた材料は通常再研磨され、未使用プラスチックと混合され、再処理されて使用可能なシートになる。
【0020】
本明細書で使用される「真空成形」という表現は、熱成形の簡略版を意味し、これによってプラスチックのシートが成形温度まで加熱され、片面モールドの上または中に向かって引き伸ばされ、成形面とシートとの間を真空にすることによってモールドに対して保持される。通常、モールドの設計には抜き勾配がなければならず、例えば少なくとも3°であり、そうでなければ形成されたプラスチックとモールドの剥離は非常に難しい。真空成形での使用に適した材料は、従来の熱可塑性プラスチックであり、最も一般的で容易なのはポリプロピレン、ポリエチレン、テレフタレート、およびポリスチレンである。
【0021】
本明細書で使用される「加圧成形」という表現は、シートを押してモールドの形状にする、圧力を加えることを除いて、真空成形と似たプロセスを意味する。加圧成形はより細かい造作をして、真空成形ではそれほど容易に造作できない織り目加工表面、アンダーカット、および鋭角を可能にするので、このプロセスは、主に様式および美的資質を要する部品に使用される。
【0022】
本明細書で使用される「ドレープ成形」という表現は、プラスチックのシートが加熱され、一般的には雄モールド上に引き伸ばされるプロセスを意味する。次に、モールドの形状に応じて、重力のみによって材料をモールドに引き寄せるか、または一般的には、シートをモールドに引き入れるために真空にするが、これは部品の内側をより細かく装飾する。
【0023】
本明細書で使用される「インサート成形」という表現は、永久機械ボンディングの方法を意味し、この方法は、基板をモールド内に配置し、挿入された基板の全てまたは一部を第二液または溶融プラスチックで被覆するステップを含む。高粘度ポリマ融解物の射出中に、挿入された基板が目的の位置から決してずれないように、注意する必要がある。本明細書で使用される「インモールド加飾」、「インモールドラベリング」などという表現は、物体がモールド内で形成されている間にプラスチック物体にラベル付けまたは加飾を施すプロセスを指す。このプロセスにおいて、ラベルまたはアップリケが開いたモールドの中に配置され、真空ポート、静電吸引、またはその他の適切な手段によって、所望の位置に保持される。モールドが閉じられ、溶融プラスチック樹脂はモールド内に押し出され、射出され、またはその他の同等の方法によって導入され、そこで物体の形状に適合する。高温のプラスチックはラベルを包み込み、成形物体の一部となる。
【0024】
本明細書で使用される「リール」という用語は、軸を中心に回転し、ロープ、テープ、またはその他の可撓性材料を巻き取るために使用される、シリンダ、スプール、またはフレームなどの装置を意味する。本明細書で使用される「ロール」という用語は、例えばテープのロールなど、円筒形に巻き上げられたものを意味する。本明細書で使用される「ローラ」という用語は、例えばローラスケートのローラのように、スポークのない小さな車輪を意味する。本明細書で使用される「埋め込む」という用語は、母材の中に封じ込めることを意味する。本明細書で使用される「定着する」という用語は、安定して変化しない形状にすることを意味する。本明細書で使用される「ダイカット装置」という表現は、シート、金属、ボール紙、またはその他の材料に成形穴を打ち抜くか、切断するか、または成形する部品を有する機械を意味する。「レーザ切断機」という表現は、材料を切断するためにレーザを使用する機械を意味する。レーザ切断は、コンピュータによって、高出力レーザの出力を切断する材料に向けることによってなされる。材料はその後、融解するか、燃焼するか、気化するか、またはガス噴射によって吹き飛ばされ、高品質表面仕上げのエッジを残す。本明細書で使用される「フィルム」という用語は、プラスチックなどの、薄く、一般的に可撓性の、シートを意味する。本明細書で使用される「接着剤被覆複合フィルム」という表現は、ポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面はポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナの層の1つの主要面と対面接触している、多層物品を意味する。本明細書で使用される「ウェブ」という用語は、製造のプロセスの、または様々な作業ステーションに供給される際のポリマ材または紙の連続した大型ロールを意味する。
【0025】
図1は、マイクロチップ12およびアンテナ14を有する無線周波数識別タグ10を示す。図2、図3、および図4は、無線周波数識別タグ10を取り付けることができる容器の様々な図を示す。容器16は、本体18、首20、および口22を含む。容器16は、閉鎖部(図示せず)を有することもできる。図4に示すように、無線周波数識別タグ10は、容器16の本体18の底24に取り付けられている。本明細書に記載の使用に適した容器は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,074,615号明細書および6,555,062号明細書に示されている。
【0026】
図5を参照すると、装置30は、接着剤被覆複合フィルム34のロールを保持するためのリール32と、熱成形ステップの前に接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるための加熱ステーション36と、成形装置の部品の形状と一致する部分「TP」を形成するための熱成形ステーション38と、剥離ライナを巻き取るための巻き取りリール40と、無線周波数識別タグのロール44を保持するためのリール42と、無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に送るステーション46と、放射線硬化性接着剤を少なくとも部分的に硬化させるための放射線硬化箱48と、熱成形ステーション38で用意された熱成形部「TP」に取り付けられた無線周波数識別タグを含むアセンブリを切断するための切断ステーション50と、所望のポリマ材をモールドに導入する前に無線周波数識別タグをモールドの中に配置するためのインサート成形ステーション52と、無線周波数識別タグおよび熱成形部「TP」を含む切断アセンブリをモールド内に搬送するための搬送ベルト54と、廃棄材をウェブから巻き取るためのリール56とを含む。装置30に沿った様々な位置で、ウェブの処理中に、例えば接着剤被覆複合フィルム34などのウェブの支持を提供する必要に応じて、ピンチローラ60、62の対が配置されている。また、ウェブの処理中に、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルム34の向きを変更する必要に応じて、ローラ64、66、58が配置されている。また、ウェブの処理中に、例えば接着剤被覆複合フィルムなどのウェブを誘導または位置合わせするために、誘導および/またはアライメントシステム(図示せず)を採用することができる。さらに、ウェブの処理中に、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルムの向きを変更するために、追加ローラ(図示せず)を採用することができる。装置30の上記の部品の全ては市販されており、ポリマ材からの容器成形の当業者には知られている。
【0027】
加熱ステーション36の特定の性質は、重要ではない。本明細書での使用に適した加熱ステーションの代表例は、ハロゲン加熱、赤外線加熱、触媒加熱、ガス加熱、または伝導加熱を採用することができる加熱ステーションを含むが、これに限定されない。熱成形ステーション38の特定の性質は、重要ではない。本明細書での使用に適した熱成形ステーションの代表例は、真空成形、加圧成形、またはドレープ成形を採用することができる熱成形ステーションを含むが、これに限定されない。熱成形部が最終的な容器製品の部品となることは、留意すべきである。再び図5を参照すると、熱成形ステーション38としての使用に適した装置は当該技術分野において知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.16,John Wiley&Sons,Inc.(1989),807〜832ページに記載されている。熱成形ステップの前に接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるための加熱ステーション36は、好ましくは赤外線ヒータを含む。本明細書での使用に好適な熱成形プロセスは、真空成形、加圧成形、およびドレープ成形を含む。熱成形ステーション38の機能は、完成品の所望の形状と一致するような方法で熱成形部「TP」を形成することである。
【0028】
放射線硬化箱48は、放射線硬化性接着剤を硬化させるのに適した紫外線のいずれかの光源を利用できることが好ましい。例えば、参照により本明細書に組み込まれるRadiation Curing:Science and Technology,S.Peter Pappas編、Plenum Press(New York:1992)333〜398ページ参照。資本コストが低く、市場で広く入手できるため、紫外線放射が好ましい。本明細書での使用に適した紫外線放射源の代表例は、高輝度紫外線ランプ、キセノンランプを含む。その他のタイプの放射も使用することができる。紫外線放射以外の放射タイプの例は、電子ビーム放射を含むが、これに限定されない。放射線硬化箱48は、例えばいずれもDymax Corporation,Torrington CTから市販されている、DYMAX5000 UV Curing Flood Lamp System、DYMAX UV Light Curing Conveyor Systemsなど、市販の紫外線放射硬化ステーションであってもよい。いずれも参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月19日発行のDYMAX(R)CorporationカタログLIT220および2007年3月8日発行のDYMAX(R)CorporationカタログLIT012B参照。
【0029】
切断ステーション50は、個々の無線周波数識別タグをウェブから切断するための自動切断装置を含む。切断ステーション50の切断機構の速度は、成形プロセスの速度と同期している。切断ステーション50は、ウェブ処理を取り扱うことができる従来のダイカットステーションであってもよい。ダイの形状は、モールドおよび所望の完成品の形状に応じて、四角形(正方形を含む)、円形、楕円形などであってもよい。自動化ダイカット装置は、当業者には知られている。本明細書での使用に適したダイカット装置の代表例は、フラットベッドダイカット装置およびロータリダイカット装置を含む。本明細書に記載の方法での使用に適したダイカット装置は、Brady Corporation,Milwaukee Wisconsinから市販されている。ダイカット装置の代わりにレーザ切断機を使用することもできる。あるいは、切断操作をバッチ処理として、成形操作で利用できるように、無線周波数識別タグをロールで供給するのではなくマガジンで保存するようにしてもよい。
【0030】
インサート成形ステーション52は、射出成形、加圧成形、トランスファ成形、反応射出成形、押し出しブロー成型、射出ブロー成型などの成形プロセスを採用することができる。射出成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,John Wiley&Sons,Inc.(1987),102〜138ページに記載されている。加圧成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページに記載されている。トランスファ成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページに記載されている。反応射出成形は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.14,John Wiley&Sons,Inc.(1988),72〜100ページに記載されている。押し出しブロー成型は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。射出ブロー成型は、参照により本明細書に組み込まれる、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。挿入ステップは、無線周波数識別タグを保持する挿入された熱成形部「TP」を安定させるために、真空または静電力を必要とする可能性がある。搬送ベルト54は、無線周波数識別タグおよび熱成形部「TP」を含むダイカットアセンブリをモールドの中に移動させる一手段に過ぎない。搬送ベルト54の代替として、上記ダイカットアセンブリをモールドに移動させるために、ロボットシステムを使用することができる。
【0031】
図6は、インサート成形ステーション52において実行可能なインサート成形プロセスでの使用に適合可能な成型機械を示す。射出成型機械70は、射出部72および型締部74の2つの基本部分を含む。異なる射出成形機械は、射出部および型締部の両方が異なる。射出成形機械の名前は、一般的には使用される射出部のタイプに基づいている。以下の説明は、参照により本明細書に組み込まれる、インターネット:<URL:http://plastics.inwiki.org/Injection_molding_machine>から取得されたInjection Molding Machine(オンライン)(2007年12月13日取得)を出典とする。
【0032】
射出部72は、ポリマまたは樹脂を融解し、ポリマまたは樹脂融解物をモールド76の中に射出する。モールド76は、第一半モールド76aおよび第二半モールド76bを含む。モールド76は、ラム送りでもネジ送りでもよい。射出ラムは、溶融材料をモールド76の半モールド76a、76bの空洞に押し込むために、溶融したポリマまたは樹脂材料に圧力を印加するラムまたはネジである。往復ネジは、最も一般的なタイプの射出ラムである。本明細書に記載の設計は、ポリマまたは樹脂を融解および射出するのに、同じバレルを使用する。供給ホッパ78は、往復ネジ80に供給される成形材料「M」の供給物を保持する容器である。供給ホッパ78はバレル82の上に位置し、供給スロート78aが供給ホッパ78とバレル82とを接続している。代替装置(図示せず)は、ポリマまたは樹脂を可塑化および射出するために、個別のバレルを使用する。この代替装置は、ネジ式事前可塑化機械、または二段階機械と呼ばれる。この代替装置では、第一段階でポリマまたは樹脂ペレットが供給ホッパからバレルに供給され、そこでポリマまたは樹脂を押し出してポリマまたは樹脂を融解するためにネジを使用する。第一段階のこのバレルは第二段階でバレルを供給し、後者のバレルは溶融ポリマまたは樹脂をモールド内に射出するためにプランジャを使用する。旧式の機械は、ポリマまたは樹脂を融解および射出するために、1つのプランジャ駆動バレルを使用していた。これらの旧式機械は、プランジャ式射出成形機械と称される。バレル82は、供給ホッパ78からネジを通じて送られるポリマまたは樹脂を融解する主要部品であり、ポリマまたは樹脂を適温まで加熱できるような構造になっている。バンドヒータ84は、5カ所で温度を制御することができるが、これはバレル82の外側に取り付けられている。融解したポリマまたは樹脂は、バレルヘッド、遮断ノズル、およびワンタッチノズル86を通過してモールド76に供給される。軸受け箱92の中に配置されている油圧モータ90はギア94でネジ80を回転させ、融解したポリマまたは樹脂はネジ80の先端で測定される。ポリマまたは樹脂の特性あるいは製品のタイプに従って、適切な速度および圧力でポリマまたは樹脂を射出するのに必要な力を供給する射出シリンダには、多くのタイプがある。図6に示されるモデルは、二重シリンダタイプを採用している。射出シリンダ88は、シリンダ本体96、ピストン98、およびピストン加圧部100を含む。射出シリンダ88は、空気または油圧エネルギー源102の補助を受けて作動する。
【0033】
型締部74は、モールド76の半モールド76a、76bを結合させ、モールド76の半モールド76a、76bを自動的に開閉し、モールド76から完成部品を取り出す。型締部74の機構は、例えば機械式、油圧式、または油圧機械式など、いくつかの設計とすることができる。射出モールドには、主に2つのタイプがある:コールドランナ(2枚板および3枚板設計)とホットランナ−より一般的なランナレスモールド−である。射出プラテン104、106は、モールド76の半モールド76a、76bが取り付けられる、成形機械の剛板である。通常、2つのプラテン104、106が使用され、1つのプラテン104は固定され、もう1つのプラテン106は可動であって、モールド76を開閉するために油圧シリンダ108によって油圧で作動可能である。プラテン104、106は、モールド76の半モールド76a、76bを実装する位置を提供する。プラテン104、106は、締め具(図示せず)を使用してモールド76の半モールド76a、76bを実装することができるネジ穴(図示せず)を含む。型締シリンダ110は、空気または油圧エネルギー源112の補助を受けて型締を達成する装置である。型締シリンダ110は、円筒形本体114、ピストン116、およびピストン加圧部118を有する。2つのタイロッド120a、120bは、固定プラテン104と可動プラテン106との間に配置されている。2つのタイロッド120c、120dは、可動プラテン106と型締シリンダ110の支持体122との間に配置されている。
【0034】
搬送ベルト54の目的は、個別の無線周波数識別タグを含む切断アセンブリをインサート成形ステーション52のモールド空洞に移動させることである。個別の無線周波数識別タグを含む切断アセンブリをインサート成形ステーション52の適切な位置に導入するために、アライメントシステム(図示せず)を使用することができる。
【0035】
ここで図8を参照すると、接着剤被覆複合フィルム34のロールは、2つの主要面を有するポリマ裏材130を含む。ポリマ裏材130の1つの主要面には、2つの主要面を有する放射線硬化性接着剤132の層がある。剥離ライナ134の層が、放射線硬化性接着剤132の層の1つの主要面を覆っている。従って、放射線硬化性接着剤132の層は、ポリマ裏材130の1つの主要面と剥離ライナ134の層の1つの主要面との間に位置し、それによって放射線硬化性接着剤132の層の1つの主要面はポリマ裏材130の1つの主要面と接触し、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面は剥離ライナ134の層の1つの主要面と接触している。剥離ライナ134の機能は、接着剤被覆複合フィルム34がロール状になっているときに固着を防止することである。接着剤被覆複合フィルム34は、適切な放射線硬化性接着剤およびポリマ裏材用の適切な材料を選択することに注意して、当業者によって製造され得る。
【0036】
放射線硬化性接着剤132の層を保持するポリマ裏材130に適した材料は、例えばナイロン6およびナイロン66、ポリビニリデンフルオライド、および2つ以上の下記ポリマ材を含む共有押し出しまたは積層フィルムなど、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドを含むが、これらに限定されない。ポリマ裏材の厚みは、通常は約0.05mmから約0.20mmの範囲であって、好ましくは約0.10mmから0.15mmの範囲である。ポリプロピレンは、Exxon Mobile CorporationからExxonMobil PP9852E1の製品記号で、またはBasell PolyolefinsからPro−fax HL783Hの製品記号で市販されている。ポリエチレンテレフタレートは、DuPont Teijin FilmsからMylar(R)814およびMylar(R)813の商品名で市販されている。ポリスチレンは、The Dow Chemical CompanyからTrycite(TM)フィルムの商品名で市販されている。ナイロンは、Honeywell International Inc.からHoneywell Capran(R)526の商品名で市販されている。ポリカーボネートは、Bayer Material Scienece LLCから、Makrofol(R)DE1−1の商品名で市販されている。上記のポリマに適した代用品であるポリクロロトリフルオロエチレンは、Honeywell International Inc.から、Aclar(R)の商品名で市販されている。ポリマ裏材は、接着剤の層を少なくとも部分的に硬化させるために十分な放射エネルギーが接着剤の層に到達できるように、紫外線放射に対して透明でなければならない。ポリマ裏材は成形プロセス中にモールド壁に接触するがモールド壁の温度は通常60℃未満なので、高温に対する抵抗は重要ではない。
【0037】
放射線硬化性接着剤132は好ましくは、例えば紫外線硬化性アクリル酸系接着剤または紫外線硬化性エポキシ接着剤などの紫外線硬化性接着剤である。紫外線硬化性接着剤の粘度は、約10,000から約100,000cp、好ましくは約20,000から約50,000cpの範囲とすることができる。これらの範囲は、接着剤被覆複合フィルム34のロールからの接着剤の浸出を防止するために選択されている。あるいは、放射線硬化性接着剤は、硬化に熱および紫外線放射を利用する、二重硬化システムであってもよい。本発明での使用に適した市販の放射線硬化性接着剤は、Master Bond Inc.,Hackensack,NJから市販されているMaster Bond UV10TKまたはMaster Bond UV21、Dymax Corporation,Torrington CTから市販されている、DYMAX1191−M医療用プラスチック接着剤またはDYMAX3069プラスチック接着剤を含むが、これらに限定されない。本発明での使用に適した市販されている二重硬化の放射線硬化性接着剤は、Master Bond Inc.,Hackensack,NJから市販されているMaster Bond UV15−7DC(二重硬化)を含むが、これに限定されない。紫外線硬化性接着剤の被覆厚は、約10g/m2から約60g/m2の範囲とすることができる。
【0038】
本明細書に記載の方法の接着剤被覆複合フィルム34の剥離ライナ134に適した材料は、一般的に以下のいずれかのライナ材料の被覆として塗布されるシリコーンを含む:クラフト紙、クレー紙、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン。ライナは、2つ以上の上記ライナ材料を含む共有押し出しまたは積層フィルムでできていてもよい。エンボス形状の上記のライナ材料は、本明細書での使用に適した剥離ライナを用意するのにも適している。本明細書に記載のプロセス向けに好ましい材料は、低コストのため、シリコーンで被覆されたクラフト紙である。
【0039】
熱可塑性フィルムでできた剥離ライナの厚みは、約0.01mmから約0.15mmの範囲とすることができ、好ましくは約0.07mmから約0.12mmの範囲とすることができる。紙製の剥離ライナの厚みは、基本重量約50lbから約120lb、好ましくは約60lbから約90lbの範囲とすることができる。本明細書に記載のプロセスでの使用に適した市販の剥離ライナは、Adhesives Research,Inc.,Glen Rock,PAから入手可能な70lbポリマ被覆クラフト剥離紙、または3M,St.Paul,MNから入手可能な3M(TM)83lb紙製医療用剥離ライナ1361である。
【0040】
図7は、接着剤被覆複合フィルム34のロールを用意するのに適した装置を示す。装置140は、ポリマ裏材130のロールを保持するためのリール142と、ポリマ裏材130の1つの主要面上に放射線硬化性接着剤132の層を被覆するための被覆ステーション144と、放射線硬化性接着剤132の層を部分的に硬化させるための加熱ステーション146と、剥離ライナ134のロールを保持するためのリール148と、接着剤被覆複合フィルム34のロールを巻き取るための巻き取りリール150とを含む。ポリマ裏材130の層および放射線硬化性接着剤132の層を含むアセンブリに剥離ライナ134の層を積層するために、一対のピンチローラ152、154が配置されてもよい。接着剤被覆複合フィルム34を巻き取りリール150に誘導するために、別のローラ156が使用されてもよい。
【0041】
接着剤被覆複合フィルム34のロールを用意するためには、2層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤132の層がポリマ裏材130の1つの主要面上に被覆される。放射線硬化性接着剤132の層は、搬送ロール被覆プロセスによってポリマ裏材の主要面に付着させることができる。搬送ロール被覆プロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、インターネット:<URL:http://www.schaeferco.com/about_rollcoaters.html>から取得されたABOUT ROLL COATERS(オンライン)(2007年12月13日取得)に記載されている。放射線硬化性接着剤は、紫外線放射によって硬化される能力があることが好ましい。紫外線硬化性接着剤は、二重作用硬化システムを有することができ、または高粘度紫外線硬化性接着剤とすることができる。紫外線硬化性接着剤は、通常は赤外線ヒータによって、熱で部分的に硬化され、後に紫外線放射によって完全に硬化されることが可能である。
【0042】
放射線硬化性接着剤132の層を損傷および固着(すなわち付着)から保護するために、剥離ライナ134の層が放射線硬化性接着剤132の1つの主要面上に付着される。図8に示されるように、接着剤被覆複合フィルム34は、ポリマ裏材130、放射線硬化性接着剤132の層、および剥離ライナ134の層を含む、3層構造である。接着剤被覆複合フィルム34は、次の処理領域、すなわち図5に示される処理領域に搬送されることができ、連続操作をなすために次の処理領域に連結されることができる。
【0043】
無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に搬送するためのステーション46で、無線周波数識別タグは熱成形部「TP」に取り付けられる。ステーション46は、保護フィルム166の層に貼り付けられる無線周波数識別タグ164のロール44、および無線周波数識別タグ164と保護フィルム166の層とのアセンブリを熱成形部「TP」上の放射線硬化性接着剤132の層に積層するための一対のピンチローラ168、170を含む。
【0044】
無線周波数識別タグ用の保護フィルム166の層に適した材料は、ポリイミド、液晶性ポリマ(LCP)、ポリフェニルスルファイド(PPS)を含むが、これらに限定されない。無線周波数識別タグ用の保護ベースフィルムとしての使用に適した市販の材料は、E.I duPont Nemours and Companyから市販されている、Kapton(R)PSTポリイミド(13または25μm厚)、Rogers Corporation,Rogers CTから市販されている、Vectra(R)A−950液晶性ポリマ(50μm厚)、Toray Resin Company,Troy MIから市販されているTorelina(R)ポリフェニルスルファイドフィルム(12または25μm厚)を含む。無線周波数識別タグ用保護フィルムは、最高250℃までの温度に耐えられることが好ましい。
【0045】
本明細書での使用に適した無線周波数識別タグは、Avery Dennison Corporation,Pasadena,CAから市販されている。製品識別番号は、AD−811およびAD−812 RFIDインレーを含む。これらの無線周波数識別タグは、パッシブ無線周波数識別タグである。サイズはおよそ1インチ×1インチである。これらの無線周波数識別タグのパラメータは以下の通りである:
AD−811(最適周波数帯域ETSI(865から868MHz))
AD−812(最適周波数帯域FCC(902から928MHz))
プロトコル:ISO/IEC18000−6CおよびEPCクラス1Gen2
【0046】
無線周波数識別タグの形状は重要ではないが、無線周波数識別タグおよび接着剤被覆複合フィルム(剥離ライナを除く)を含むアセンブリは、切断機によって切断しやすいことが好ましい。従って、無線周波数識別タグは、正方形を含む四角形、円形、楕円形であることが好ましい。
【0047】
成形工程は、例えば押し出しブロー成型、射出ブロー成型、射出成形、反応射出成形、加圧成形、トランスファ成形など、従来の成形工程であってもよい。これらのプロセスは、いずれも既に参照により本明細書に組み込まれている、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,John Wiley&Sons,Inc.(1987),102〜138ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,John Wiley&Sons,Inc.(1986),79〜108ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.14,John Wiley&Sons,Inc.(1988),72〜100ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.2,John Wiley&Sons,Inc.(1985),447〜478ページに記載されている。適切なプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,643,789号明細書および4,369,157号明細書にも記載されている。成形プロセスでは、無線周波数識別タグを保持する接着剤被覆複合フィルム(剥離ライナを除く)は、インサート成形ステーション52によって生成された物体と融合する。成形プロセスの間、無線周波数識別タグを動かないように保持するために、真空によってまたは静電力によって、無線周波数識別タグをモールドに導入することができる。
【0048】
無線周波数識別タグと放射線硬化性接着剤との良好な接触を確実にするために無線周波数識別タグを熱成形部に搬送するため、柔らかいゴム製ローラ(例えば、繊細な材料のためのShore−A約50から約100、好ましくはShore−A約50から60の範囲の硬度)がステーション46で使用されることが好ましい。
【0049】
例えば容器などの成型品を用意するのに適した材料は、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体、スチレンアクリロニトリル共重合体などの熱可塑性材料、例えばポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの熱硬化性材料を含むが、これらに限定されない。
【0050】
動作
ここで図5を参照すると、接着剤被覆複合フィルム34が熱成形ステーション38に進入する前に、加熱ステーション36で接着剤被覆複合フィルム34を軟化させるために接着剤被覆複合フィルム34が事前加熱される。接着剤被覆複合被覆フィルムが事前加熱された後、接着剤被覆複合フィルム34は熱成形工程に入る。接着剤被覆複合フィルム34が熱成形ステーション38に進入すると、真空熱成形、加圧熱成形(容積式)、またはこれらの組合せによって、熱成形工程が実行されることが可能である。熱成形プロセスが実行された後、巻き取りリール40によって剥離ライナ134が巻き取られる。剥離ライナ134はその後、無線周波数識別ラベル(タグ)が紫外線硬化性接着剤の層に取り付けられる前に除去されて紫外線硬化性接着剤の層を露出する。
【0051】
無線周波数識別タグを含むロールは接着剤複合被覆フィルムのロールとは別に提供されるか、または無線周波数識別ラベルを含むロールは、例えばAvery Dennison Corporation,Pasadena,CA、またはOwens−Illionis Inc.,Perrysburg,OHなどの供給元から購入することができる。無線周波数識別タグ用の保護フィルム166は、成形プロセスの間、無線周波数識別タグの断熱材としての役割を果たす必要がある。
【0052】
無線周波数識別タグ164および保護フィルム166は、放射線硬化性接着剤132の層を有するポリマ裏材130に取り付けられ、その結果得られるフィルム構造は4層、すなわちポリマ裏材130、放射線硬化性接着剤132、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む。無線周波数識別タグ164は最終的に、紫外線硬化性接着剤の部分的に硬化された層に埋め込まれることを留意すべきである。
【0053】
無線周波数識別タグを熱成形部「TP」に搬送するためのステーション46は、無線周波数識別タグ164と放射線硬化性接着剤132の層との間の十分な接触を確実にするため、および無線周波数識別タグ164の損傷を防止するため、2つの柔らかいゴム製ローラ(Shore−A約50から約100の硬度)を有する。
【0054】
4層構造は、放射線硬化性接着剤を完全に硬化するために、放射線硬化箱48を横断する。放射線硬化プロセスは、特に放射線硬化性接着剤の層が薄い場合は、通常は数秒以内で実行される。
【0055】
切断ステーション50では、インサート成形工程で使用されるウェブの部分が、切断装置、一般的にはダイカット装置またはレーザ切断機によって、ウェブから切断される。図9Aは、切断ステーション50に進入する直前のウェブを示す。図9Bは、切断ステーション50から離れた直後のウェブを示す。ポリマ裏材130、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む切断アセンブリは、ウェブ、すなわち接着剤被覆複合フィルム34の残余部「RP」に緩く取り付けられ、使用できない。従って、ポリマ裏材130、無線周波数識別タグ164、および保護フィルム166を含む切断アセンブリは、搬送ベルト54によって、インサート成形ステーション52に導入されることが好ましい。搬送ベルト54の代わりにロボットシステムを使用することもできる。ウェブ断片(scrape)は、成形ステップの前に廃棄ロールとして集められる。ウェブ断片は、接着剤被覆複合フィルム34の使用不可能な残余部「RP」である。硬化された放射線硬化性接着剤のため、切断ステーション50で発生する接着剤被覆複合フィルム34の使用不可能な残余部は容易に再利用することができない。インサート成形ステーション52で利用される成型機械のタイプによって、インサート成形プロセスの条件が異なる。例えば、350°Fから500°Fの温度範囲では、ポリエチレンを射出成形することができる。成形ステップの条件の重要な態様は、無線周波数識別タグ164用の保護フィルム166である。この保護フィルム166は、成形ステップの温度に耐えられなければならない。図10は、その接着層が無線周波数識別タグ164を保持している、接着剤被覆複合フィルム34の層を示す。同図において、剥離ライナは除去されているが、無線周波数識別タグおよび保護フィルム166は存在している。成形ステップでかけられる圧力も、容器を形成するために使用されるポリマ材の性質、および容器と成型機械の両方の設計に依存している。成形ステップ中にかかると推測される標準的な圧力は、約5,000psiから約15,000psiの範囲である。ウェブの速度は、成形の周期と同期する必要がある。成形ステップの最後に、モールド76の半モールド76a、76bを開くことによって、完成品がモールドから剥離される。完成品は、さらなる処理のために搬送されるか、または保存されてさらなる処理を待つ。
【0056】
本明細書に記載の方法は、従来技術と比較して多くの利益および利点を提供する。本発明の方法、すなわちインサート成形を組み込んだウェブプロセスによって、無線周波数識別タグを容器に取り付けることの利益は、費用の削減、無線周波数識別タグの偽造の危険性の削減、および無線周波数識別タグの外観の改善を含むが、これらに限定されない。特に、マイクロチップとアンテナを含むアセンブリは、容器自体を用意するために使用されるポリマ材によって保護されているので、無線周波数識別タグの剥離の可能性が減少する。従来の無線周波数識別タグは、損傷を受けやすく、改ざんもされやすい。本明細書に記載の方法は、成形プロセスによって容器を形成するステップと、成形プロセス中に容器に無線周波数識別タグを取り付けるステップとを統合できるようにし、それによって、成形またはその他の手段によって容器が形成された後に、容器に無線周波数識別タグを取り付けるステップを排除する。
【0057】
本明細書に記載の方法は、無線周波数識別タグをマイクロウェルプレートに取り付けるために利用することもできる。無線周波数識別タグは、96以上のマイクロウェルを有するマイクロウェルプレートの一角に配置されることになる。本明細書で使用される「マイクロウェルプレート」という表現は、「マイクロタイタプレート」、「マイクロプレート」とも呼ばれ、小さな試験管として使用される複数の「井戸」を有する平板を意味する。
【0058】
接着剤被覆複合フィルム34、無線周波数識別タグ10、164、保護フィルム166、および容器16を用意するのに必要な材料の全ては、市販されており、当業者には知られている。インサート成形無線周波数識別タグ保持容器16を用意するのに必要な機材の全ては、市販されており、当業者には知られている。
【0059】
本発明の様々な変更および修正は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者にとって明らかとなり、本発明が本明細書に記載の例示的実施形態に不当に限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを自動診断分析器で使用するための容器に取り付ける方法であって、プロセスが、
(a)接着剤被覆複合フィルムのロールを提供するステップであって、接着剤被覆複合フィルムがポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面がポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面が剥離ライナの1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(b)無線周波数識別タグを保持するために、熱成形によって形成される部分を接着剤被覆複合フィルムから形成するステップと、
(c)熱成形部から剥離ライナの層を除去するステップと、
(d)複数の無線周波数識別タグを含むロールを提供するステップであって、無線周波数識別タグが保護フィルムの層と対面接触している、ステップと、
(e)熱成形部の放射線硬化性接着剤に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、
(f)ポリマ裏材の層、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、放射線硬化プロセスによって無線周波数識別タグを定着するステップと、
(g)ポリマ裏材、1つの無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、切断装置によってステップ(f)のアセンブリを切断するステップと、
(h)物品をモールドで成形し、成型容器にモールドの中で無線周波数識別タグを取り付けるステップと、
(i)無線周波数識別タグが取り付けられる成型品をモールドから剥離するステップとを含む、方法。
【請求項2】
物品が容器である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器がマイクロウェルプレートである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
成形ステップでインサート成形を採用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成形ステップで射出成形を採用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
接着剤被覆複合フィルムがステップ(b)に入る前に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無線周波数識別タグがロールの形状で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
放射線硬化性接着剤が紫外線放射によって硬化可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
接着剤被覆複合フィルムが、
(a)ポリマ裏材を提供するステップと、
(b)二層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤の層をポリマ裏材の1つの主要面に被覆するステップと、
(c)剥離ライナの層を放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面上に付着させるステップとを含む方法によって用意される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
搬送ロール被覆によって2層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤の層がポリマ裏材の1つの主要面上に被覆される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリが、切断ステーションからモールドへ、搬送ベルトによって搬送される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリが、切断ステーションからモールドへ、ロボット機構によって搬送される、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
RFIDタグを自動診断分析器で使用するための容器に取り付ける方法であって、プロセスが、
(a)接着剤被覆複合フィルムのロールを提供するステップであって、接着剤被覆複合フィルムがポリマ裏材、剥離ライナの層、およびポリマ裏材と剥離ライナの層との間の放射線硬化性接着剤の層を含み、放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面がポリマ裏材の1つの主要面と対面接触しており、放射線硬化性接着剤の層のもう1つの主要面が剥離ライナの1つの主要面と対面接触している、ステップと、
(b)無線周波数識別タグを保持するために、熱成形によって形成される部分を接着剤被覆複合フィルムから形成するステップと、
(c)熱成形部から剥離ライナの層を除去するステップと、
(d)複数の無線周波数識別タグを含むロールを提供するステップであって、無線周波数識別タグが保護フィルムの層と対面接触している、ステップと、
(e)熱成形部の放射線硬化性接着剤に無線周波数識別タグを少なくとも部分的に埋め込むステップと、
(f)ポリマ裏材の層、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、放射線硬化プロセスによって無線周波数識別タグを定着するステップと、
(g)ポリマ裏材、1つの無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリを形成するために、切断装置によってステップ(f)のアセンブリを切断するステップと、
(h)物品をモールドで成形し、成型容器にモールドの中で無線周波数識別タグを取り付けるステップと、
(i)無線周波数識別タグが取り付けられる成型品をモールドから剥離するステップとを含む、方法。
【請求項2】
物品が容器である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器がマイクロウェルプレートである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
成形ステップでインサート成形を採用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成形ステップで射出成形を採用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
接着剤被覆複合フィルムがステップ(b)に入る前に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無線周波数識別タグがロールの形状で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
放射線硬化性接着剤が紫外線放射によって硬化可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
接着剤被覆複合フィルムが、
(a)ポリマ裏材を提供するステップと、
(b)二層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤の層をポリマ裏材の1つの主要面に被覆するステップと、
(c)剥離ライナの層を放射線硬化性接着剤の層の1つの主要面上に付着させるステップとを含む方法によって用意される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
搬送ロール被覆によって2層複合フィルムを形成するために、放射線硬化性接着剤の層がポリマ裏材の1つの主要面上に被覆される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリが、切断ステーションからモールドへ、搬送ベルトによって搬送される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリマ裏材、無線周波数識別タグ、および保護フィルムの層を含むアセンブリが、切断ステーションからモールドへ、ロボット機構によって搬送される、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公表番号】特表2011−518681(P2011−518681A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539641(P2010−539641)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086526
【国際公開番号】WO2009/085646
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086526
【国際公開番号】WO2009/085646
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
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