説明

無線周波数電力配電システム

動的負荷(260)に電力を配電するシステムおよび方法を提供する。このシステムは、DC電力を供給し、実質的に一定の電力開ループ応答を有する電源(210)と、DC電力をRF電力に変換する電力増幅器(220)と、電圧、電流およびRF電力と関連のある電圧ベクトルおよび電流ベクトル間の位相角度を測定するセンサ(240)と、電力増幅器(220)のインピーダンスを、動的負荷(260)の少なくとも実質的に整合したインピーダンスに変更する電子制御可能なインピーダンス整合システム(250)と、電子制御可能なインピーダンス整合システムを制御するコントローラ(252)とを含む。更に、このシステムは、電力増幅器によって配電される電力を決定するセンサ較正測定モジュールと、動的負荷に配電される電力を決定する電子整合システム較正モジュールと、電子制御可能なインピーダンス整合システムにおいて消散した電力を計算する電力消散モジュールとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] RF電力を動的負荷に供給するための種々の手法が存在する。RF発電機は、通例、周波数が約400kHzおよび約200MHzの間の電力を動的負荷に供給する。科学、産業、および医療用とにおいて用いられる周波数は、約2MHz、13.56MHz、および27MHzであることもある。
【背景技術】
【0002】
[0002] 図1Aに示すように、RF電力を動的負荷(即ち、プラズマ負荷140)に供給する1つのシステム100は、50Ω送信線130によって接続されている、固定周波数RF発生器110および二軸同調可能整合ネットワーク120を含む。同調可能整合ネットワーク120は、直列電動真空可変キャパシタ122およびインダクタ124、ならびに分路電動真空可変キャパシタ126とを含む。直列および分路容量を決定するために用いられるアルゴリズムは、通例大きさ(magnitude)および位相検出器150を用いて行われるインピーダンス測定に基づく。独立した電力制御は、RF発生器110における電力測定値に基づく。電力制御ループ160およびインピーダンス制御ループ162は独立している。
【0003】
[0003] 図1Bに示すように、RF電力を動的負荷に供給する別のシステム100’は、RF発生器110によって給電され50Ω送信線130によって接続されている固定エレメント整合ネットワーク120’を含む。固定エレメント整合ネットワーク120’は、直列キャパシタ122およびインダクタ124、ならびに分路キャパシタ126を含む。RF発生器110の周波数は、一定の範囲(例えば、13.56MHz±5%)に同調させることができる。RF発生器110の周波数コマンドは、電圧定在波比率(VSWR:voltage standing wave ratio)の値に基づく。独立電力ループおよびVSWR(インピーダンス)制御ループ160’は、RF発生器110の出力における測定値に基づく。
【0004】
[0004] 図1Cに示すように、RF電力を動的負荷に供給する別のシステム100”は、統合RF発生器−インピーダンス整合ネットワーク120”を含む。RF発生器−インピーダンス整合ネットワーク120”は、直列のキャパシタ122およびインダクタ124、ならびに複数の分路キャパシタ126a...126nを含む。分路キャパシタ126a...126nは、スイッチング回路127a...127nに結合されている。スイッチング回路127a〜127nは、キャパシタ126を接地に対して結合および切断する。システム100”の電力制御および周波数制御部160”は、同時に導通されない。
【0005】
[0005] 図1Dに示すように、RF電力を動的負荷に供給する別のシステム100’”は、一入力多出力分電器(splitter)132を利用する。このシステムは、RF配電システム130、分電器132、および複数の動的負荷140a、140b...140nを含む。動的負荷を全体的に140で示す。RF配電システム130は、電力pを分電器132に出力する。分電器132は、同じ周波数および位相を有する電力を動的負荷140の1つ又は複数に供給する。各負荷(140a...140n)に配電される電力は、全RF発生器出力電力pの端数となり(例えば、p/a1に等しい電力を負荷#1 140に供給する)、個々の負荷のいずれに供給する最大利用可能電力も低減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] これらの先行技術の技法および方法には欠点がある。送信線を通じて接続されることになる少なくとも2つの別個のモジュール、1)RF発生器/増幅器、および2)インピーダンス整合ネットワークを必要とするために、通例、先行技術の技法および方法に付随するコストは高くなる。更に、各モジュールは、RF電圧/電流センサまたは大きさ/位相検出器を必要とする。
【0007】
[0007] サブ−45nm製造(sub-45nm manufacturing)の出現により、プラズマ処理ツールは積極的なプラズマ処理の目的を満たすように迫られることになった。第1に、過度に短いプロセス・ステップが原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)に求められる。これらの短いプロセス・ステップは、反応物およびプラズマの素早い安定化を必要とする。第2に、急速交互堆積およびエッチング・ステップが、CDの目的を満たすように求められる。急速交互堆積およびエッチング・ステップは、陰電性が高いガスを混合することが多いが、これらのガスはプラズマのインピーダンスを劇的に変化させる。第3に、マルチステップ・レシピ・チェーン(multi-step recipe chain)においてプロセス条件を最適化するには、広範囲の電力設定値内における動作が必要となる。この広範囲の電力設定のために、1つの発電機が広い電力帯域、例えば、5から2000Wにおいて動作することが必要となる可能性がある。第4に、イオン衝撃エネルギを制御するために、ウエア・バイアス電圧の制御は、外部フィードバックおよびバイアスRF電源の制御を必要とする。第5に、パルス状電力出力の使用によって、多数の潜在的な利点を満たすことができる。これらの利点には、エッチング選択性の改善、エッチング速度および均一性の改善、堆積速度および均一性の改善、粒子発生の低減、ならびにアーチ発生を防止するまたは側壁損傷を低減するためのウェハ荷電の制御が含まれる。以上に述べた要件を考えると、次世代のRF電源はプロセスの安定性および再現性を確保できることが必須となる。
【0008】
[0008] プラズマ・インピーダンスは、プラズマに配電する電力の関数である。更に、RF発生器によって配電される電力は、発電機から「見た」インピーダンスの関数である。その結果、配電される電力と負荷インピーダンスとの間に明らかな円形相互依存性(circular interdependence)が存在し、相互結合した多入力多出力(MIMO)システムが生ずる。先行技術のシステムでは、RF発生器制御ループおよびインピーダンス整合制御ループは独立しており、したがって電力制御ループとおよびインピーダンス整合制御ループとの間における相互結合を補償することができない。このため、劣った閉ループ性能となる。
【0009】
[0009] 加えて、先行技術のRF増幅器は、通例、純粋にアナログの制御システムまたは純粋にディジタルの制御システムのいずれかを用いて調整(regulate)される。純粋にアナログの制御システムは、当該システム内に非線形性やドリフトの要因となる構成素子が存在すると性能が著しく低下する。一方、純粋にディジタルな制御システムは、位相マージンが不十分なのが通例である。このように、十分な位相マージン、高利得、および高帯域幅を同時に達成することは困難である。
【0010】
[0010] いずれの被制御システムであってもその動的応答は、最も遅い機能モジュール(センサ、アクチュエータ、または制御システム・パラメータ)と同じ速さに過ぎない。先行技術のシステムでは、最も遅い機能モジュールは通例DC電源である。具体的に、RF電力増幅器の入力に供給されるDC電力は、大抵の場合、高周波を濾波するために用いられる大きな電解質キャパシタを含む。このようなフィルタ・ネットワークを用いることの不利な面は、制御更新率に関係なく、動的応答(例えば、電力コマンドのステップ変化に対する応答)が遅いことである。したがって、このシステムはプラズマの不安定性を十分補償することができない。
【0011】
[0011] モータによって駆動される真空キャパシタを用いるシステムでは、応答時間は100ミリ秒単位である。対象のプラズマ過渡現象(突然で急激なインピーダンス変化)が数百マイクロ秒の間に発生するという事実のために、真空キャパシタは、プラズマ過渡現象に起因する負荷変化に整合させるためには用いることはできない。
【0012】
[0012] 先行技術において用いられるネットワーク整合制御アルゴリズムは、測定インピーダンスの実成分および虚成分を拠り所にしている。インピーダンス測定に基づく整合制御には、内在的な欠点がある。例えば、インピーダンスの実成分を補正または修正するために分路容量を変化させると、インピーダンスの虚成分に望ましくない変化が生ずる。同様に、インピーダンスの虚成分を補正または修正するために直列容量または周波数を変化させると、インピーダンスの実成分に望ましくない変化が生ずる。制御変数ベクトル(インピーダンスの実成分および虚成分によって定式化される)および制御変数ベクトル(分路および直列容量または分路容量および周波数によって定式化される)を関係付ける行列は、非対角行列である。インピーダンス測定に基づく制御アルゴリズムは、したがって、有効ではない。同様に、インピーダンスの大きさおよび位相の測定を用いることによって定式化したインピーダンスに基づく制御アルゴリズムも有効ではない。
【0013】
[0013] 先行技術のシステムに対する較正方法は、電子整合ネットワークの入力において、RFインピーダンス分析器またはVIプローブを較正する。これらの較正方法は、電子整合ネットワークにおける電力損失が、電子整合ネットワークの全ての状態および動作周波数において一定であることを想定している。しかしながら、電子整合ネットワークの損失は、システムの動作全体にも大きく寄与する。
【0014】
[0014] 加えて、先行技術のシステムの多数の負荷を駆動する方法では、電力が高い程、整合ネットワークの熱および電圧/電流処理容量(capacities)に制約が加わる。何故なら、特定の負荷に配電される電力は、RF発生器の電力定格、および分電器の比率によって制限されるからである。つまり、各負荷に配電される電力の独立制御は、分電器の比率が固定であるために、不可能である。
【0015】
[0015] したがって、動的プラズマ負荷に供給される電力、およびそれに付随する損失を制御する方法およびシステムの改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[0016] 動的負荷に電力を配電するシステムを提供する。このシステムは、DC電力を供給し、実質的に一定の電力開ループ応答を有する電源と、DC電力をRF電力に変換する電力増幅器と、電圧、電流およびRF電力と関連のある電圧ベクトルおよび電流ベクトル間の位相角度を測定するセンサと、電力増幅器のインピーダンスを、動的負荷の少なくとも実質的に整合したインピーダンスに変更する電子制御可能なインピーダンス整合システムと、電子制御可能なインピーダンス整合システムを制御するコントローラとを含む。更に、このシステムは、電力増幅器によって配電される電力を決定するセンサ較正測定モジュールと、動的負荷に配電される電力を決定する電子整合システム較正モジュールと、電子制御可能なインピーダンス整合システムにおいて消散した電力を計算する電力消散モジュールとを含む。
【0017】
[0017] 一実施形態では、電子制御可能なインピーダンス整合システムは、インダクタと、このインダクタと直列のキャパシタと、動的負荷と並列な複数の切換キャパシタ(switched capacitor)とを含むことができる。インダクタは、多重タップ型インダクタ、または可変型インダクタとすることができる。複数の切換キャパシタの各々は、スイッチおよび追加のキャパシタと直列にすることができる。別の実施形態では、電子制御可能なインピーダンス整合システムは、キャパシタと、動的負荷と並列な複数の切換キャパシタとを含むことができ、複数のキャパシタの各々は、スイッチおよび追加のキャパシタと直列である。更に別の実施形態では、電子制御可能なインピーダンス整合システムは、電力増幅器と動的負荷との間のインピーダンス整合の周波数を制御することができる。
【0018】
[0018] 一実施形態では、コントローラは、電力増幅器と動的負荷との間のインピーダンスと関連のあるコンダクタンスおよびサセプタンスの同時制御のために、電子制御可能なインピーダンス整合システムを制御することができる。別の実施形態では、コントローラは、RF電力周波数と、RF電力の大きさと、電力増幅器と動的負荷との間のインピーダンスとを同時に制御することができる。更に別の実施形態では、コントローラは、不安定な動的負荷を安定化する設定点にコンダクタンスおよびサセプタンスを調整するために、電子制御可能なインピーダンス整合システムを制御することができる。
【0019】
[0019] 電子制御可能なインピーダンス整合システムにおいて消散される電力は、電力増幅器によって配電される電力と、動的負荷に配電される電力との差となる。動的負荷に配電される電力は、抵抗性負荷に配電される電力と、負荷シミュレータ内部で消散される電力との和となる。
【0020】
[0020] センサ較正測定モジュールは、センサを抵抗性負荷に合わせて較正する。この抵抗性負荷は50Ωである。電子整合モジュールは、電子制御可能なインピーダンス整合システムの出力を負荷シミュレータに向けて較正する。負荷シミュレータは、逆の電子制御可能なインピーダンス整合システムとすることができる。電子整合システム較正モジュールは、抵抗性負荷に配電される電力を決定する電力計較正モジュールと、負荷シミュレータ内部で消散される電力を決定する負荷シミュレータ較正モジュールとを含むことができる。抵抗性負荷は、50Ωとすることができる。無線周波数電力配電システムは、先行技術のシステムに対して、少なくとも次の利点を提供する。本システムは、高速(たとえば、一実施形態では50kHzを超える)ディジタル多入力多出力(MIMO)制御を用いて、電力設定点調整、インピーダンス整合、および負荷外乱軽減を強化することができる。本システムは、プラズマ負荷プロパティにおける過渡的変化がある中で、および高速プラズマ安定化を伴う条件の下で動作することができる。本システムは、システムの軌道中における過渡現象に対してロバストなRF電力配電システムを提供することができる。本システムは、高い電力ステップアップ比を備えることができ、この高い電力ステップアップ比は100である(例えば、15W対1500W)。本システムは、統合発電システムの出力に接続されている負荷に配電される電力を測定することができる。本システムは、種々の被制御変数の状態/値と関連のある電力損失の変動とは独立した、電力の調整を行うことができる。本システムは、プラズマ負荷のレシピに基づく較正の必要性を解消することができる。
【0021】
[0021] 電力を負荷に配電する混成システムを提供する。このシステムは、電力変換システムと、電力変換システムに結合され、出力電力の安定性を実質的に維持するために利得−帯域幅および位相マージンを設ける外部ループと、電力変換システムに結合され、電力変換システムにおける非線形性を補償する内部ループとを含む。
【0022】
[0022] 一実施形態では、外部ループはアナログ制御ループとすることができる。内部ループはディジタル制御ループとすることができる。別の実施形態では、アナログ制御ループは、アナログ制御部と、出力電力を調整する出力コンディショニング・ブロックとを含む。
【0023】
[0023] 一実施形態では、ディジタル制御ループは、ディジタル電流設定点を決定するために、電力変換器において取り込んだアナログ測定値をディジタル測定値に変換するアナログ/ディジタル変換器と、電力幅変調信号を決定するために、ディジタル電流設定点を出力するディジタル制御部と、出力電力を調整する電力幅変調信号を決定するために、ディジタル電流設定点をアナログ電流設定点に変換するディジタル/アナログ変換器と含む。別の実施形態では、アナログ制御ループは、アナログ電流設定点と電力変換システムにおいて取り込んだアナログ測定値とに基づいて、出力電力を調整するために電力幅変調信号を出力する。
【0024】
[0024] 一実施形態では、電力変換システムは、DC源と、RF電力増幅器とを含む。RF電力増幅器において取り込まれたRF電力測定値は、出力電力を調整するパルス幅変調信号を決定するために、アナログ/ディジタル変換器によってディジタル化されて、ディジタルRF電力測定値を生成することができる。ディジタル制御部は、出力電力を調整するパルス幅変調信号を決定するために、ディジタル電流設定点を出力する。ディジタル電流設定点は、出力電力を調整するパルス幅変調信号を決定するために、アナログ電流設定点に変換することができる。アナログ制御ループは、出力電力を調整するために、アナログ電流設定点と、DC源において取り込んだアナログ電流設定点測定値とに基づいて、電力幅変調信号を出力する。
【0025】
[0025] 電力を負荷に配電するディジタルおよびアナログ混成方法を提供する。この方法は、出力電力の安定性を実質的に維持するために、利得−帯域幅および位相マージンを設けるステップと、出力電力における非線形性を補償するステップとを含む。
【0026】
[0026] 一実施形態では、この方法は、配電されたRF電力信号を測定するステップと、測定した配電RF電力をアナログ信号からディジタル配電RF電力信号に変換するステップと、ディジタル配信RF電力信号およびRF電力設定点から、ディジタル電流設定点を決定するステップとを含む。別の実施形態では、この方法は、ディジタル電流設定点をディジタル信号からアナログ電流設定点信号に変換するステップと、電源においてDC電流を測定するステップと、アナログ電流設定点信号およびDC電流からデューティ・サイクル・コマンドを決定するステップとを含む。 別の実施形態では、この方法は、デューティ・サイクル・コマンドからパルス幅変調信号を決定するステップと、パルス幅変調信号によって、電源を調整するステップとを含む。
【0027】
[0027] 同期電力を配電するシステムを提供する。このシステムは、最大電力を有し、第1動的負荷に電力を配電するマスタ電力システムと、マスタ電力システムの最大電力に等しい最大電力を有し、マスタ電力システムによって供給される位相に等しい位相を有する電力を、第2動的負荷に配電するスレーブ電力システムとを含む。
【0028】
[0028] 一実施形態では、マスタ電力システムは、電力を供給するDC源と、実質的に一定の位相を有する電力を供給するために、位相補償を有するRF電力増幅器と、RF電力増幅器の出力の位相を監視するVIプローブと、RF電力増幅器および負荷の位相を整合する電子整合システムとを含む。別の実施形態では、マスタ電力システムが負荷に配電する出力は、VIプローブの出力に依存する。更に別の実施形態では、位相補償を有するRF電力増幅器は、任意の位相ずれを補償するために、位相コマンドをRF電力増幅器に供給する位相補償回路と、出力電力の位相を検出する位相検出器とを含む。
【0029】
[0029] 一実施形態では、スレーブ電力システムは、電力を供給するDC源と、実質的に一定の位相を有する電力を供給するために、位相補償を有するRF電力増幅器と、RF電力増幅器の出力の位相を監視するVIプローブと、RF電力増幅器および負荷の位相を整合する電子整合システムとを含む。別の実施形態では、位相補償を有するRF電力増幅器は、任意の位相ずれを補償するために、位相コマンドをRF電力増幅器に供給する位相補償回路と、出力電力の位相を検出する位相検出器とを含む。別の実施形態では、マスタ電力システムは、スレーブ電力システムとは位相が180度ずれることができる。更に別の実施形態では、マスタ電力システムは、マスタ電力システムの振幅および位相に等しい振幅および位相を有する電力を2つ以上の負荷に配電するために、2つ以上のスレーブ電力システムを制御する。
【0030】
[0030] 同期電力を配電する方法を提供する。この方法は、電力および位相を第1負荷に配電するステップと、第1負荷に配電した電力および位相と実質的に等しい電力および位相を第2負荷に配電するステップとを含む。
【0031】
[0031] 一実施形態では、この方法は、第1負荷への出力の位相における任意の位相ずれを補償するステップと、第1負荷への出力の位相を実質的に維持するステップとを含む。別の実施形態では、この方法は、第2負荷への出力の位相における任意の位相ずれを補償するステップと、第2負荷への出力の位相を実質的に維持するステップとを含む。別の実施形態では、この方法は、第1負荷の振幅および位相に等しい振幅および位相を有する電力を、1つ又は複数の負荷に配電するステップを含む。
【0032】
[0032] 電力を負荷に配電するディジタルおよびアナログ混成システムを提供する。このシステムは、出力電力の安定性を実質的に維持するために、利得−帯域幅および位相マージンを設ける手段と、負荷における非線形性を補償する手段とを含む。
【0033】
[0033] 同期電力を配電するシステムを提供する。このシステムは、電力を第1動的負荷に配電する手段と、第1動的負荷の位相に等しい位相を有する電力を第2動的負荷に配電する手段とを含む。
【0034】
[0034] 動的プラズマ負荷に電力を配電する方法を提供する。この方法は、プラズマを発生する反応性ガスの切換を判断するステップと、切り換えた反応性ガスによってプラズマ負荷を維持するために必要な出力電力の変化を計算するステップと、切り換えた反応ガスによってプラズマ負荷を維持するために必要な電力に等しい電力を供給するステップと、プラズマにおける反応性ガスの変化よりも速く、プラズマ負荷に電力を供給するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
[0035] 本発明の以上のおよびその他の目的、特徴、ならびに利点は、添付図面に示されている、本発明の好ましい実施形態についての以下に続く更に特定的な説明から明白であろう。図面は、必ずしも同じ拡縮率で描かれている訳ではなく、代わりに、本発明の原理を示す場合には強調が加えられている。
【図1A】図1Aは、先行技術による二軸同調可能整合ネットワークを有するRF電力配電システムの図である。
【図1B】図1Bは、先行技術による固定整合ネットワークを有するRF電力配電システムの図である。
【図1C】図1Cは、先行技術による統合RF発生器−インピーダンス整合ネットワークを有するRF電力配電システムの図である。
【図1D】図1Dは、先行技術による一入力多出力分電器を有するRF電力配電システムの図である。
【図2】図2は、オン−チェンバRF電力配電システムのモジュールに基づく図である。
【図3】図3は、プラズマ安定性のグラフである。
【図4】図4は、図2の高速DCバスの一実施形態である。
【図5】図5は、図2のRFインピーダンス分析器またはVIプローブの一実施形態である。
【図6】図6は、図2の電子整合ネットワークの一実施形態である。
【図7】図7は、図2のDSP補償ボードのモジュールに基づく図の一実施形態である。
【図8】図8は、オン−チェンバRF電力配電システムの較正のブロック図である。
【図9A】図9Aは、電力メータを50Ω熱量計電力基準に較正する一実施形態である。
【図9B】図9Bは、負荷シミュレータをDC電力基準に較正する一実施形態である。
【図9C】図9Cは、RFインピーダンス分析器を50Ω負荷に合わせて較正する一実施形態である。
【図9D】図9Dは、負荷シミュレータに配電される電力を較正する一実施形態である。
【図11】図11は、マスタ−スレーブRF電力配電システムの一実施形態である。
【図12】図12は、位相補償を有するマスタ−スレーブRF電力配電システムの一実施形態である。
【図12A】図12Aは、位相補償を揺するマスタ−スレーブRF電力増幅器の一実施形態である。
【図13A】図13Aは、同相構成とした位相補償を有するマスタ−スレーブRF電力配電システムの一実施形態である。
【図13B】図13Bは、位相外れ構成とした位相補償を有するマスタ−スレーブRF電力配電システムの一実施形態である。
【図14】図14は、電力変換器用アナログ−ディジタル混成制御ループの一実施形態である。
【図15】図15は、オン・チェンバRF電力配電システムのアナログ−ディジタル混成制御ループの一実施形態である。
【図16】図16は、補償ネットワークの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0059] 概して言うと、動的負荷用途(例えば、誘導性および/または容量性プラズマ負荷)のための統合無線周波数(RF)電力配電システムを提供する。図2は、統合無線周波数(RF)電力配電システム200の図である。統合システム200の代表的機能モジュールには、第1DCバス210、RF電力増幅器(「PA」)220、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)補償ボード230、RFインピーダンス分析器またはVIプローブ240、および電子整合ネットワーク250が含まれる。システム200は、プラズマ負荷260に結合されている。尚、統合システム200は、広範囲の抵抗性負荷および無効負荷に合わせて実現できることは、当業者には言うまでもないであろう。
【0037】
[0060] 概して言うと、高速DCバス210はDC電力を電力増幅器220に配電する。電力増幅器220は、高速DCバス210からのDC電力を、ある周波数のRF電力に変換する。電子整合システム250は、分路キャパシタ(図示せず)を切り換えて、電力増幅器220とプラズマ負荷260との間でインピーダンスを整合し、電力増幅器220からプラズマ負荷260に安定した最大電力の転送をし易くする。DSP補償ボード230は、高速バス・コントローラ212およびRFインピーダンス分析器240から受け取った測定値に基づいて、システム200の動作を制御する。RFインピーダンス分析器240は、RMS電圧、RMS電流、およびRF電圧および電流ベクトル間の位相角度を測定する。これらの測定値に基づいて、DSP補償ボード230によって、関連のあるRFパラメータを計算する。これらのパラメータには、インピーダンス・ベクトルzバー、アドミタンス・ベクトルyバー、配電電力Pdel、および電圧定在波率(「VSWR」)が含まれるが、これらに限定されるのではない。DSP補償ボードの典型的な動作は、高速バス・コントローラ212を通じた電力設定点、電力増幅器ドライバ222を通じたRF電力周波数設定点、および電子整合コントローラ252を通じたスイッチング周波数を含む。
【0038】
[0061] 一態様では、システム200は同時電力およびインピーダンス調整を遂行する。独立したサセプタンス調整によって、コンダクタンスのコンダクタンス設定点からの偏差のみに基づいて、周波数制御アルゴリズムの実装が可能になる。その結果、双方の制御ループを同時にそして高速に動作させることができ、その結果ロバスト性が向上する。更に、低圧における陰電性プラズマについて周知の不安定性(例えば、図3に示すように5mT、300WにおけるSF6)は、高速DCバス210の動作と関連付けて任意のコンダクタンスおよびサセプタンス設定点を設定することにより安定化することができる。
【0039】
[0062] 加えて、プラズマ・レシピの使用の結果、プラズマ負荷260が変動する可能性がある。プラズマ・レシピは、レシピ・ステップにしたがったプラズマ・ガスの遷移を必要とする。ガス遷移の間、プラズマを発生させる反応種の物理的転換(physical change over)が10ミリ秒単位の時間尺度で発生する。システム200は、プラズマ負荷260が変化するよりも少なくとも5倍速く、プラズマ負荷260への電力出力を調節することができる。実施形態によっては、プラズマ負荷260が変化するよりも10倍速く、システム200がプラズマ負荷260への電力出力を調節できる場合もある。電力出力の調節は、1から2ミリ秒以内に行うことができる。
【0040】
[0063] 図4は、部分的共振インバータ電源型高速DCバス210の図である。高速DCバス210は、それに伴う一定電力開ループ応答によって、プロセスの安定性を与える。高速DCバス210は、負荷空間全体においてFET利用度を高め、その結果、同じPA220(図2)を用いた場合、より多くの電力が負荷に配電されることになる。高速DCバス210は、高速応答速度を有するため、より多くの電力をプラズマに配電することが可能になるので、PA220上のFETが安全モードで動作することを確保するためにバス電圧を低下させる柔軟性を許容しつつも、プラズマが消失することはない。高速DCバス210には、他の形式のトポロジを用いることもできる。例えば、2004年9月22日に出願された同時係属中の一部係属米国特許出願第10/947,397号を参照のこと。各出願の教示は、ここで引用されたことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
【0041】
[0064] 一実施形態では、高速DCバスは、部分共振インバータ210とすることができる。この部分共振インバータ210は、1対のスイッチ(MOSFET)302a、302b、インダクタ(L)306、キャパシタ(C)308、ならびに4つのダイオード310a、310b、310c、および310dを含む。動作において、部分共振インバータ300は、入力電圧を方形波または他の既知の種類のDC波形に変換する。方形波は、インダクタ306およびキャパシタ308を通過させられる。これらの組み合わせはLCフィルタを形成する。更に、方形波は、ダイオード310c、310dによってクランプされ、変圧整流器304によって結合および整流され、そして濾波されて所望のDC電圧(電力設定点)が得られる。DC電力設定点は、DSP補償ボード230(図2)から供給される。所望のインピーダンス設定点は、そのベクトル逆(vector inverse)(アドミタンスと呼ぶ)に関して指定することができ、同時に、コンダクタンスの任意コンダクタンス設定点への調整およびサセプタンスの任意サセプタンス設定点への調整が行われる。部分共振インバータ300(DC−DCコンバータ)の出力は、RF電力発生/増幅器220のDC入力に接続されている。
【0042】
[0065] 動作において、キャパシタ308は周期的に入力レール電圧(+Vin)に充電されそして放電され、その間キャパシタ電流はプラズマ負荷260(図2)を通過する。各充電または放電サイクルにおいて、抵抗性負荷に蓄えられるエネルギは、負荷抵抗とは関係なく、CVin/2に等しい。つまり、電力はFSW×CVin/2に等しく、ここで、FSWはスイッチング周波数であり、Vinは入力電圧である。インダクタ306は、キャパシタ308が有限時間内に最大まで充電されそして放電することを確保する。部分共振インバータ210設計の利点の1つは、Vまたは/およびFSWのいずれかを変化させることによって、出力電圧を制御できることである。
【0043】
[0066] 図5は、RFインピーダンス分析器またはVIプローブ240の一実施形態の図である。VIプローブ240は、DC電源242、分析ボード・アセンブリ244、およびプローブ・ヘッド・アセンブリ246を含む。分析ボード・アセンブリ244は、プローブ・ヘッド・アセンブリ246から低レベルRF信号を受け取る。プローブ・ヘッド・アセンブリ246は、2つの電圧出力、即ち、1)プローブ・ヘッド・アセンブリ246に存在する時間可変電界の電圧表現(電圧信号)、および2)プローブ・ヘッド・アセンブリ246内に存在する時間可変磁界の電圧表現(電流信号)を供給する。分析ボード・アセンブリ244は、プローブ・ヘッド・アセンブリ246のこれら2つの電圧出力を受け取り、処理して、RFパラメータをDSP補償ボード230(図2)に出力する。MKS Instruments, Inc.のVI-Probe-4100およびVI-Probe-350は、この目的に用いることができる分析器の例である。
【0044】
[0067] 図6は、電子整合ネットワーク250の一実施形態の図である。一実施形態では、電子整合250は、負荷260と直列のインダクタンス254(例えば、多数のタップ点を有するコンパクト・インダクタ)、固定または可変直列パディング・キャパシタ252、および1つ又は複数の上位キャパシタCtu(i)258a...258nを対応する下位キャパシタCtd(i)258a’...258n’に切り換える電界効果トランジスタ(「FET」)256a...256nを含む。下位キャパシタCtd(i)258a’...258n’は、接地に終端されている。実施形態によっては、電子整合250ネットワークは、負荷260と直列のインダクタンス254を含まない場合もある。他の種類の電子整合ネットワークを用いることもできる。例えば、米国特許第6,887,339号を参照のこと。その教示全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0045】
[0068] 図7は、DSP補償ボード230のモジュールに基づく図を示す。DSP補償ボード230は、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)の双方を内蔵し、共に統合システム200全体を制御する。DSP補償ボードは、アドミタンス補償モジュール232、周波数制御モジュール234、電子整合制御モジュール236、RF電力計算モジュール237、およびRF電力制御モジュール238を含む。通常では、DSP補償ボードはVPプローブ240からの出力を受け取る。アドミタンス計算モジュール232は、VIプローブ出力を用いて、システム200のアドミタンスを計算する。周波数制御モジュール234は、このアドミタンスを用いて、電力増幅器220の周波数を変化させる。電子整合制御モジュール236は、アドミタンスを用いて、電子整合ネットワーク250のFET256をオンまたはオフに切り換える。RF電力計算モジュール237は、VIプローブ出力を用いて、システム200のRF電力を計算する。RF電力制御モジュール234は、RF電力計算を用いて、高速DCバス電力210から供給される電力を調整する。システム200の動作についての更に詳細な説明を以下に明記する。
【0046】
[0069] 電力調整目的(objective)およびアルゴリズムの一実施形態を以下に明記する。目的は、配電電力Pdelをユーザ定義設定点Pspに調整することである。円滑な遷移を確保するために、軌道発生器を用いる。一実施形態では、以下のようにして、一次軌道を発生する。
【0047】
【数1】

【0048】
ここで、τtは軌道時定数であり、Pは所望の電力軌道である。配電電力制御アルゴリズムは、高速バスに命令される電力の変化に関して、以下の関係で示される。
【0049】
【数2】

【0050】
ここで、kおよびkは、それぞれ、比例利得および積分利得である。
【0051】
[0070] アドミタンス調整目的:正規化したアドミタンス・ベクトルを次のように定義する。
【0052】
【数3】

【0053】
ここで、gは正規化したコンダクタンスであり、bは正規化したサセプタンスである。インピーダンス整合制御目的は、以下のように定式化される。g→gsp、およびb→bsp。ここで、gspおよびbspは、プラズマ安定性を向上させるために選択された任意の設定点である。先の目的は、インピーダンスが以下の関係にしたがってアドミタンスの逆数として定義されることに着目することによって、インピーダンスに関して解釈し直される。
【0054】
【数4】

【0055】
ここで、zは正規化したインピーダンス、rおよびxはそれぞれ抵抗およびリアクタンス、Z=R+jは、名目的RF増幅器特性インピーダンスを示す。これから、g→1およびb→0のとき、R→R0およびX→0が得られる。
【0056】
[0071] アドミタンス調整アルゴリズム:周波数制御ループは、コンダクタンス測定値を用いることによって、例えば、以下のようなPI制御アルゴリズムとして設計する。
【0057】
【数5】

【0058】
ここで、kpfおよびkifは、スカラー比例および積分制御利得である。分路容量制御ループは、コンダクタンス測定値を用いて、例えば、以下のようなPI制御アルゴリズムとして設計する。
【0059】
【数6】

【0060】
ここで、kpcおよびkicは、スカラー比例および積分制御利得である。
【0061】
[0072] 動作において、ここで図2、図3および図6を参照すると、ユーザがゼロでない設定点を規定すると、軌道発生器ならびに電力およびアドミタンス制御アルゴリズムが同時に活性化および実行する。VIプローブ240は、RF電圧およびRF電流に比例するアナログ信号を供給する。これらは、アナログ/ディジタル変換器によって同期してサンプリングされ、ミキサおよびCICフィルタ(図示せず)に送られ、最終的に較正行列を通過し、以下の関係で表されるRF電圧およびRF電流測定値が得られる。
【0062】
【数7】

【0063】
ここで、VバーおよびIバーは、それぞれ、瞬時RF電圧および電流のベクトル表現を示し、下付き文字rおよびiは、実成分および虚成分のスカラー値を示すために用いられている。
【0064】
[0073] 平均配電電力は、以下のように計算される。
【0065】
【数8】

【0066】
ここで、Re{}は、ベクトルの実成分を示し、上付きの*は、ベクトルの複素共役を示すために用いられている。
【0067】
[0074] アドミタンス・ベクトルYバーは、以下のように計算される。
【0068】
【数9】

【0069】
ここで、コンダクタンスGおよびサセプタンスBは、アドミタンスYバーの実成分および虚成分である。
【0070】
[0075] 正規化したコンダクタンスgおよび正規化したサセプタンスbは、以下のように計算される。
【0071】
【数10】

【0072】
ここで、ZはRF増幅器の特性インピーダンスを示す。Pdel、g、bの測定値は、それぞれ、Pcmd、fcmd、Ctcmdの制御アルゴリズムに送られる。
【0073】
[0076] 電子整合コントローラ252は、FET256(図6)を切り換えることによって、分路キャパシタ258を切り換えて電力増幅器220と動的負荷260との間でインピーダンスを整合する。移動する機械部品がないことは、信頼性向上に繋がる。一実施形態では、システム200のステップ応答は約1msよりも速い。これは、応答の速度が、機械的応答ではなく、電子回路によって統御されているからである。
【0074】
[0077] 周波数が変化すると、コンダクタンスおよびサセプタンスの双方が変化する。しかしながら、送信線ケーブルがない統合システムでは、分路容量が変化しても、変化するのはサセプタンスだけであり、コンダクタンス値には影響を及ぼさない。つまり、被制御可変ベクトル(アドミタンスの実成分および虚成分によって定式化される)および制御側可変ベクトル(分路および直列容量または分路および周波数によって定式化される)を関係付ける行列は三角行列となる。その結果、分路容量を変化させることによって、独立したサセプタンス調整が行われる。
【0075】
[0078] 独立したサセプタンス調整によって、コンダクタンスのコンダクタンス設定点からの偏差のみに基づく周波数制御アルゴリズムの実装が可能になる。その結果、コンダクタンスに基づく周波数制御ループおよびサセプタンスに基づく分路容量制御ループの双方を同時に、高速で動作させることが可能になり、その結果ロバスト性が向上する。
【0076】
[0079] 図8は、システム200の効率を高めるために、電子整合ネットワーク250(図2)において消散される電力(損失)を決定する方法のブロック図300である。ステップ1(310)において、電力メータ314(図9A)を50Ωの熱量計電力基準に較正して、50Ω負荷に配電する電力を決定する。ステップ2(320)において、負荷シミュレータ熱量計332(図9B)をDC電力基準に較正して、負荷シミュレータ342(図9D)の内部で消散される電力を決定する。ステップ3(330)において、VIプローブ240(図2)を50Ω負荷に合わせて較正して、電力増幅器220(図2)によって配電される電力を決定する。ステップ4(340)において、システム200の出力を負荷シミュレータ342向けに較正して、Z=R+jXに配電される電力を決定する。ステップ5(350)において、電子整合システムにおいて消散する電力を、電力増幅器220によって配電される電力と、Z=R+jXに配電される電力との差によって計算する。
【0077】
[0080] 図9Aは、電力計314を較正するステップ310の詳細な実施態様の図である。熱量計322は、VIプローブ240の出力に結合されており、RF電力が電力増幅器220から印加され、電力計314を較正する。熱量測定とは、熱損失の測定である。これは、熱量計(322)の中に50Ω負荷を熱的に絶縁して、周囲の熱損失を防止し、冷却水の流量および温度上昇を測定することによって実施する。電力計は、
【0078】
【数11】

【0079】
によって計算する、負荷内における電力消散に合わせて較正される。ここで、dm/dtは質量流速を示し、Cは水の比熱を示し、Tin、Toutは、それぞれ、入口温度および出口温度を示す。コンピュータ324は、流量および温度測定値を取り込んで、負荷における電力消散、および電力計の読み取り値に関する差(誤差)を計算する。次いで、コンピュータ324は、この誤差を補正値として電力計に適用して、較正を完了する。
【0080】
[0081] 図9Bは、負荷シミュレータ熱量計332を較正するステップ320の詳細な実施態様の図である。負荷シミュレータ熱量計332がDC電源334に結合されて、DC電力が印加され、負荷シミュレータ熱量計332を較正する。DC電源は、DC電力測定値を供給する。冷却システムの入口および出口における流量および温度測定値を用いて、コンピュータ324は負荷シミュレータ内において消散した電力を計算する。次いで、コンピュータ324は、DC電源によって報告された電力と、熱量測定を用いて計算した電力との間の誤差を、補正値として負荷シミュレータに適用して、較正を完了する。
【0081】
[0082] 図9Cは、RFインピーダンス分析器またはVIプローブ240を較正するステップ330の詳細な実施態様図である。概略的には、各統合RF発生システム200におけるVIプローブ240の較正は、以下のステップを含み、DSP補償ボード230によって測定されたVIプローブ電圧および電流を実際のRF線電圧および電流に関係付ける行列伝達関数を生成する。
【0082】
[0083] 最初に、短絡回路コネクタ312をVIプローブ240のRF線出力端子に結合し、RF電力を電力増幅器220から印加し、Zdspscを計算する。ここで、Zdspscは、短絡についてDSP補償ボード230によって測定されたVdsp/Idspの比率として定義される。第2に、開放回路コネクタ314をVIプローブ240のRF線出力端子に結合し、RF電力を電力増幅器220から印加し、Zdspocを計算する。ここで、Zdspocは、開放回路についてDSP補償ボード230によって測定されたVdsp/Idspの比率として定義される。第3に、50Ω負荷(Z)316をVIプローブ240の出力に結合し、RF電力を電力増幅器220から印加し、VおよびIを記録し、RF線電圧Vを計算する。ここで、V=√Pである。PLは、50Ω負荷316において電力計318によって測定された配電電力である。最後に、VIプローブ較正行列列伝達関数を以下の式によって計算する。
【0083】
【数12】

【0084】
[0084] 式10における数式は、VIプローブ測定信号を、VIプローブ240の出力におけるRF線電圧およびRF線電流に変換する。
【0085】
[0085] 図9Dは、システム200(図2)を較正するステップ340に詳細な実施態様図である。システム・レベルの較正を用いて、ネットワーク変数と一致する値の範囲における電子整合ネットワーク250での電力損失を定量化する。負荷シミュレータ342を、電子整合ネットワーク250の出力に結合する。通例、負荷シミュレータは、電子整合ネットワーク250に対して逆の電子整合ネットワークである。50Ω負荷を負荷シミュレータ342の出力に結合する。RF発生システム200のシステム・レベルの較正は、次のように行われる。最初に、ll刻みでL∈[Lsmin,Lsmax]において直列インダクタンスを調節する。第2に、pp刻みでPsp∈[Psmin,Psmax]Wにおいて電力設定点を変化させる。第3に、cc刻みでCtcmd∈[Ctcmdmin,Ctcmdmax]において分路容量設定点の値を変化させる。最後に、ff刻みでf∈[fmin,fmax]HzにおいてRF周波数値を変化させる。
【0086】
[0086] 前述の刻みの組み合わせ毎に、電子整合ネットワーク250の出力におけるインピーダンス不整合を表すように、負荷シミュレータ342を設定する。次に、RF電力を電力増幅器220から印加して、電力計314が終端負荷312の抵抗を測定する。終端負荷抵抗は、P50Ωで表され、負荷シミュレータ342の入力に変換される。シミュレートされる負荷は、Psysで示され、Psys=f50−to−sim(P50Ω、C、C)である。ここで、CおよびCは負荷シミュレータの直列容量および分路容量を表し、f50−to−simは表形式を表す。電子整合ネットワーク250において付随する損失は、PおよびP50Ω間の差によって計算される。
【0087】
[0087] 実施形態によっては、ll×pp×cc×ffの寸法を有する較正表を、Psys=fVI−to−sim(L,Psp,Ctcmd,f)として、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ・メモリ)に格納することができる。ここで、fVI−to−simは表形式を表す。高速リアル・タイム制御ループは、システム200の動作中に較正表全体を高速で検索する必要がある。不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ・メモリ)は、揮発性メモリ(例えば、ダイナミックRAM)よりも遅い傾向がある。高速の揮発性メモリを効果的に利用する場合、較正表(寸法ll×pp×cc×ff)の配列は、Ls、Psp、Ctcmd、およびfをどれくらい頻繁に変化させるかということに基づくことができる。具体的には、較正表をll個のメモリ・ブロックに区分することができ、各ブロックがpp個のメモリ・ページを含み、各メモリ・ページがcc×ff寸法の表を含む。Lを変化させるときに、新たなメモリ・ブロックを不揮発性メモリにロードすることができ、電力設定点を変更するときに、新たなメモリ・ページをロードすることができ、Ctcmdおよびfと関連のあるしかるべきメモリ・ページに対する点への較正は、リアル・タイムで実行することができる。
【0088】
[0088] 図11は、同期電力を1つ又は複数の負荷1140a、1140b...1140nに供給するRF電力配電システム1105の図である。負荷1140a、1140b...1140nを全体的に1140で示す。RF電力配電システム1105は、マスタRF電力配電システム1110、および1つ又は複数のスレーブRF電力配電システム1120a、1120b...1120nを含む。スレーブRF電力配電システム1120a、1120b...1120nを全体的に1120で示す。RF電力配電システム140(図1D)によって個々の各負荷に配電される総定格電力の端数(fraction)とは対照的に、RF電力配電システム1105は1つのRF電力配電システムの総定格電力を個々の各負荷1140に配電する。RF電力配電システム1105が総定格電力を個々の各負荷1140に配電する際、マスタRF電力配電システム1110を用いて第1負荷1140aに供給し、1つ又は複数のスレーブ電力配電システム1120を用いて1つ又は複数の追加の負荷1140に供給する。このために、マスタRF電力配電システム1110は、1つ又は複数のスレーブRF電力配電システム1120を、それ自体の周波数および位相φに等しい周波数fおよび位相φに設定する。これについては、以下で図12、図13A、および図13Bを参照して論ずることにする。
【0089】
[0089] 図12は、位相補償に対処しつつ、1つ又は複数の負荷1140に電力を供給するRF電力配電システム1105の一実施形態を示す。RF電力配電システム1105は、マスタRF電力配電システム1110、および1つ又は複数のスレーブRF電力配電システム1120を含む。マスタRF電力配電システム1110および各スレーブRF電力配電システム1120は、DC源1250、RF電力増幅器1210、VIプローブ1220、および電子整合システム1240を含む。DC源1250は、電力RF電力増幅器1210に供給する。VIプローブ1220は、DC源1250の設定点を調節し、電子整合システム1240の分路容量を調節する。電子整合システム1240は、RF電力増幅器1210と負荷1140との間でインピーダンスを整合させるように分路キャパシタ(図示せず)を切り換えて、RF電力増幅器1210から負荷1140への安定した最大電力転送をし易くする。
【0090】
[0090] RF電力増幅器1210は、DC源1250からのDC電力を、ある周波数のRF電力に変換する。RF電力増幅器1210は任意の位相ずれを混入させるので、RF電力増幅器1210の位相を調節して、1つ又は複数の負荷1140に配電される電力が同期していることを確保する必要がある。この任意の位相ずれが、RF電力増幅器1210の出力の位相を、命令された位相設定点に調整するのを妨げないことを保証するために、RF電力増幅器1210は位相補償を有する。位相補償については、以下で図12Aを参照して論ずることにする。命令された位相設定点は、例えば、直接ディジタル・シンセサイザ(DDS)1230によって駆動することができる。更に、RF増幅器が、周波数fおよび位相φのパルス列によって駆動される場合、RF増幅器の出力は周波数fを保持するが、Δφの位相ずれを混入させ、その結果総位相がφ+Δφとなる可能性がある。例えば、位相φ=0を有するパルス列、同相構成を有するが位相調節回路を有していないマスタRF電力配電システム1110、および1つのスレーブRF電力配電システム1120Aを想定する。配電される総電力は、以下の式で定義される。
【0091】
【数13】

【0092】
ここで、p(t)およびp(t)は、それぞれ、マスタRF電力配電システム1110およびスレーブ電力配電システム1120aによって配電される電力を示す。Pは、一定ピーク配電電力を示し、fは周波数を示す。マスタRF電力配電システム1110がΔφ=0の任意の位相ずれを混入させ、スレーブRF電力配電システム1120がΔφ=π=180゜の任意の位相ずれを混入させる場合、以下の式で示されるように、出力電力はゼロとなる。
【0093】
【数14】

【0094】
これから、Δφの値がゼロ以外であればいずれでも、出力電力を比例的に減少させることが分かる。
【0095】
[0091] 図12Aは、位相補償を含むマスタ−スレーブRF電力増幅器1210の詳細な実施形態を示す。マスタ−スレーブ電力増幅器1210は、位相補償回路1215、RF電力増幅器1225、および位相検出器1235を含む。位相検出器1235は、RF電力増幅器1225の位相を検出する。検出された位相は、位相補償回路1215に入力される。位相補償回路1215は、位相検出器1235によって検出された位相を、DSPボード(図示せず)から入力された位相設定点(φsp)と比較する。位相補償回路1215は、RF電力増幅器1225の位相を調節して、RF電力増幅器1225によって混入された任意の位相ずれ(Δφ)を補償する。
【0096】
[0092] 図13Aは、RF電力配電システム1105の同相構成の一実施形態を示す。RF電力配電システム1105は、マスタRF電力配電システム1110を含む。マスタRF電力配電システム1110は、スレーブRF電力配電システム1120の周波数を設定する。マスタRF電力配電システム1110およびスレーブRF電力配電システム1120の各々は、変圧器1330の一次側を駆動する。変圧器1330は、マスタRF電力配電システム1110およびスレーブ電力配電システム1120の同相構成に合わせて構成されている。同相構成について、マスタRF電力配電システム1110の任意の位相ずれがΔφ=0である場合、以下の式で示される総電力を得るためには、スレーブRF電力配電システム1120に望まれる任意の位相ずれはΔφ=0となる。
【0097】
【数15】

【0098】
[0093] 図13Bは、RF電力配電システム1105の位相外れ構成の一実施形態を示す。RF電力配電システム1105は、RF電力配電システム1105は、マスタRF電力配電システム1110を含む。マスタRF電力配電システム1110は、スレーブRF電力配電システム1120の周波数を設定する。マスタRF電力配電システム1110およびスレーブRF電力配電システム1120の各々は、変圧器1330の一次側を駆動する。変圧器1330は、マスタRF電力配電システム1110およびスレーブ電力配電システム1120の位相外れ構成に合わせて構成されている。位相外れ構成について、マスタRF電力配電システム1110の任意の位相ずれがΔφ=0である場合、次の総電力を得るためには、スレーブRF電力配電システム1120に望まれる任意の位相ずれはΔφ=π=180゜となる。
【0099】
【数16】

【0100】
[0094] 図14は、電力変換システム1400のためのアナログ−ディジタル混成制御ループの一実施形態である。電力変換システム1400は、電力変換器1405、アナログ制御ループ1415、およびディジタル制御ループ1430を含む。電力変換器1405は、高速DCバス210(図2)、高速バス・コントローラ212(図2)、PAゲート・ドライブ222(図2)、およびRF電力増幅器220(図2)を含む。ディジタル制御ループ1430は、アナログ/ディジタル変換器1410、ディジタル制御部1430、およびディジタル/アナログ変換器1425を含む。アナログ/ディジタル変換器1410は、電力変換器1405において測定されたアナログ測定値をディジタル化する。ディジタル化された測定値およびディジタル設定点は、ディジタル制御部1430に入力され、ディジタル制御部1430はディジタル電力変換器設定点を出力する。ディジタル電力変換器設定点は、ディジタル/アナログ変換器1425によってアナログ電力変換器設定点に変換される。アナログ電力変換器設定点は、アナログ制御ループに入力される。アナログ制御ループは、アナログ制御部1415および出力コンディショニング・ブロック1420を含む。アナログ制御部1415は、電力変換器1405からのアナログ測定値およびディジタル制御ループからのアナログ設定点を用いて、出力コンディショニング・ブロック1420に入力するアナログ出力を発生する。出力コンディショニング・ブロックは、電力変換器1405を調整するための出力を発生する。
【0101】
[0095] 図15は、図14を参照して先に説明したような、アナログ−ディジタル混成制御ループを含む、オン・チェンバRF電力配電システム1500の一実施形態である。オン・チェンバRF電力配電システム1500は、RF増幅器1505、高速バス1510、アナログ/ディジタル変換器1515、コントローラ1520、ディジタル/アナログ変換器1525、アナログ補償ネットワーク1530、および出力コンディショニング部1540を含む。RF増幅器1505は、RF電力をRF負荷1545(例えば、コイルによって駆動されるチェンバ内において誘導的に結合されているプラズマ)に配電する。RF増幅器1505への入力は、高速バス1510によって供給されるDC電力である。高速バス1510への入力は、アナログ−ディジタル混成制御ループによって発生するパルス幅変調(PWM)信号である。アナログ−ディジタル混成制御ループは、2つの制御ループ、即ち、ディジタル制御ループ1430およびアナログ制御ループ1415から成る。
【0102】
[0096] ディジタル制御ループが動作すると、アナログ/ディジタル変換器1515を用いて、RF増幅器1510によって配電される電力の測定値をディジタル配電電力値(Pdel)に変換する。ディジタル配電電力値(Pdel)は、コントローラ1540に入力される。コントローラ1540は、入力RF電力設定点(Psp)も有しており、これはユーザによってコントローラ1520に供給される。コントローラ1520は、電流設定点(Iref)を発生し、以下で更に論ずるアナログ制御ループに印加する。電流設定点(Iref)は、ディジタル配電電力値(Pdel)およびRF電力設定点(Psp)の関数であり、Iref=f(Psp,Pdel)となる。ここで、fは既知の関数である。その最も単純な形態では、fは、以下の式で示すように、比例−積分(PI)制御の形態をなす。
【0103】
【数17】

【0104】
ここで、kおよびkは、それぞれ、比例成分および積分成分の正スカラー利得である。実施形態によっては、fがモデルに基づく場合や、経験的に決定される場合もある。
【0105】
[0097] アナログ制御ループ1415は、DC電流測定値(Idc)および電流設定点(Iref)を入力とするアナログ補償ネットワーク1530を有する。アナログ補償ネットワーク1530は、Idcを用いて、デューティ・サイクル・コマンドVdutyを発生する。デューティ・サイクル・コマンドVdutyは、出力コンディショニング・ブロック1540への入力として用いられる。出力コンディショニング・ブロック1535は、高速バス1510に入力されたときに、RF増幅器1505への入力を調整するPWM信号を発生する。
【0106】
[0098] 実施形態によっては、コントローラ1545がディジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、および/またはマイクロコントローラであることも可能である。
【0107】
[0099] 図16は、補償ネットワーク1550の回路図である。補償ネットワーク1550は、平均電流制御技法に基づいている。この平均電流制御技法は、例えば、"Average Current Mode Control of Switching Power Supplies"(スイッチング電源の平均電流モード制御)U-140, Unitrode Application Note, Texas Instruments by Lloyd Dixonに記載されており、ここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。補償ネットワーク1550の抵抗器R1630およびR1620、ならびにキャパシタC1605およびC1615は、所望の極点およびゼロ点を満足する値に選択される。所望の極点およびゼロ点は、最大位相マージンおよび利得帯域幅の積が得られるように選択される。以下の伝達関数によって示されるように、ゼロはRに位置し、極は0およびR/(C+C)に位置する。
【0108】
【数18】

【0109】
ここで、sはラプラス変換を示す。加えて、出力コンディショニング・ブロック1540(図15)によって発生されるパルス幅変調信号は、R/Rの比率で決まるスイッチング周波数の利得を有する。
【0110】
以上、本発明についてその好ましい実施形態を参照しながら特定的に示し説明したが、添付する特許請求の範囲によって包括的に含まれる発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細には種々の変更が可能であることは、当業者には言うまでもないであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を負荷に配電するための混成システムであって、
電力変換システムと、
前記電力変換システムに結合され、出力電力の安定性を実質的に維持するために利得−帯域幅および位相マージンを設ける外部ループと、
前記電力変換システムに結合され、前記電力変換システムにおける非線形性を補償する内部ループと、
を備えている、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記外部ループはアナログ制御ループである、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、前記内部ループはディジタル制御ループである、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、前記アナログ制御ループは、アナログ制御部と、出力電力を調整する出力コンディショニング・ブロックとを含む、システム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムにおいて、前記ディジタル制御ループは、
ディジタル電流設定点を決定するために、前記電力変換器において取り込んだアナログ測定値をディジタル測定値に変換するアナログ/ディジタル変換器と、
電力幅変調信号を決定するために、前記ディジタル電流設定点を出力するディジタル制御部と、
出力電力を調整する前記電力幅変調信号を決定するために、前記ディジタル電流設定点をアナログ電流設定点に変換するディジタル/アナログ変換器と、
を含む、システム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムにおいて、前記アナログ制御ループは、前記アナログ電流設定点と前記電力変換システムにおいて取り込んだアナログ測定値とに基づいて、出力電力を調整するために前記電力幅変調信号を出力する、システム。
【請求項7】
請求項5記載のシステムにおいて、前記電力変換システムは、DC源と、RF電力増幅器とを含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、前記RF電力増幅器において取り込まれたRF電力測定値は、出力電力を調整するパルス幅変調信号を決定するために、前記アナログ/ディジタル変換器によってディジタル化されて、ディジタルRF電力測定値を生成する、システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、前記ディジタル制御部は、出力電力を調整する前記パルス幅変調信号を決定するために、ディジタル電流設定点を出力する、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、前記ディジタル電流設定点は、出力電力を調整する前記パルス幅変調信号を決定するために、アナログ電流設定点に変換される、システム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムにおいて、前記アナログ制御ループは、出力電力を調整するために、前記アナログ電流設定点と、前記DC源において取り込んだアナログ電流設定点測定値とに基づいて、前記電力幅変調信号を出力する、システム。
【請求項12】
電力を負荷に配電するディジタルおよびアナログ混成方法であって、
出力電力の安定性を実質的に維持するために、利得−帯域幅および位相マージンを設けるステップと、
前記出力電力における非線形性を補償するステップと、
を備えている、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、更に、
配電されたRF電力信号を測定するステップと、
前記測定した配電RF電力をアナログ信号からディジタル配電RF電力信号に変換するステップと、
前記ディジタル配信RF電力信号およびRF電力設定点から、ディジタル電流設定点を決定するステップと、
を備えている、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、更に、
前記ディジタル電流設定点をディジタル信号からアナログ電流設定点信号に変換するステップと、
電源においてDC電流を測定するステップと、
前記アナログ電流設定点信号および前記DC電流からデューティ・サイクル・コマンドを決定するステップと、
を備えている、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、更に、
前記デューティ・サイクル・コマンドからパルス幅変調信号を決定するステップと、
前記パルス幅変調信号によって、前記電源を調整するステップと、
を備えている、方法。
【請求項16】
同期電力を配電するシステムであって、
最大電力を有し、第1動的負荷に電力を配電するマスタ電力システムと、
前記マスタ電力システムの最大電力に等しい最大電力を有し、前記マスタ電力システムによって供給される位相に等しい位相を有する電力を、第2動的負荷に配電するスレーブ電力システムと、
を備えている、システム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、前記マスタ電力システムは、
電力を供給するDC源と、
実質的に一定の位相を有する電力を供給するために、位相補償を有するRF電力増幅器と、
前記RF電力増幅器の出力の位相を監視するVIプローブと、
前記RF電力増幅器および前記負荷の位相を整合する電子整合システムと、
を備えている、システム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、前記マスタ電力システムが前記負荷に配電する出力は、前記VIプローブの出力に依存する、システム。
【請求項19】
請求項16記載のシステムにおいて、前記位相補償を有するRF電力増幅器は、
任意の位相ずれを補償するために、位相コマンドをRF電力増幅器に供給する位相補償回路と、
前記出力電力の位相を検出する位相検出器と、
を含む、システム。
【請求項20】
請求項14記載のシステムにおいて、前記スレーブ電力システムは、
電力を供給するDC源と、
実質的に一定の位相を有する電力を供給するために、位相補償を有するRF電力増幅器と、
前記RF電力増幅器の出力の位相を監視するVIプローブと、
前記RF電力増幅器および前記負荷の位相を整合する電子整合システムと、
を含む、システム。
【請求項21】
請求項19記載のシステムにおいて、前記位相補償を有するRF電力増幅器は、
任意の位相ずれを補償するために、位相コマンドをRF電力増幅器に供給する位相補償回路と、
前記出力電力の位相を検出する位相検出器と、
を含む、システム。
【請求項22】
請求項14記載のシステムにおいて、前記マスタ電力システムは、前記スレーブ電力システムとは位相が180度ずれている、システム。
【請求項23】
請求項14記載のシステムにおいて、前記マスタ電力システムは、前記マスタ電力システムの振幅および位相に等しい振幅および位相を有する電力を2つ以上の負荷に配電するために、2つ以上のスレーブ電力システムを制御する、システム。
【請求項24】
同期電力を配電する方法であって、
電力および位相を第1負荷に配電するステップと、
前記第1負荷に配電した前記電力および位相と実質的に等しい電力および位相を第2負荷に配電するステップと、
を備えている、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法であって、
前記第1負荷への出力の位相における任意の位相ずれを補償するステップと、
前記第1負荷への出力の位相を実質的に維持するステップと、
を備えている、方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法であって、更に、
前記第2負荷への出力の位相における任意の位相ずれを補償するステップと、
前記第2負荷への出力の位相を実質的に維持するステップと、
を備えている、方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法であって、更に、前記第1負荷の振幅および位相に等しい振幅および位相を有する電力を、1つ又は複数の負荷に配電するステップを備えている、方法。
【請求項28】
電力を負荷に配電するディジタルおよびアナログ混成システムであって、
出力電力の安定性を実質的に維持するために、利得−帯域幅および位相マージンを設ける手段と、
前記負荷における非線形性を補償する手段と、
を備えている、システム。
【請求項29】
同期電力を配電するシステムであって、
電力を第1動的負荷に配電する手段と、
前記第1動的負荷の位相に等しい位相を有する電力を第2動的負荷に配電する手段と、
を備えている、システム。
【請求項30】
動的プラズマ負荷に電力を配電する方法であって、
プラズマを発生する反応性ガスの切換を判断するステップと、
前記切り換えた反応性ガスによってプラズマ負荷を維持するために必要な出力電力の変化を計算するステップと、
前記切り換えた反応ガスによって前記プラズマ負荷を維持するために必要な電力に等しい電力を供給するステップと、
前記プラズマにおける前記反応性ガスの変化よりも速く、前記プラズマ負荷に電力を供給するステップと、
を備えている、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−519115(P2011−519115A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544980(P2010−544980)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/087921
【国際公開番号】WO2009/099486
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】