説明

無線移動体通信システムにおける基地局の位置パラメータの決定のための移動局の使用方法

無線通信網において、基地局アンテナ位置及び時間オフセットは様々な条件の下で最も信頼できる移動局位置決定を得るために使用される他の情報と共に基地局暦データベースに記憶される。そのシステムは基地局アンテナ位置及び基地局タイミング・オフセットを決定するために移動局の位置決定及び地上距離測定情報を使用する。アンテナ場所データを維持し、且つ改良し、そして基地局アンテナの変更または移動について補正するために、基地局アンテナ位置は通常の移動局位置決定の間に決定される。基地局アンテナの移動の間にセル・セクタ同定の損失から迅速に回復すること、及び基地局からの距離測定に基づいて移動局位置決定の精度を、且つ全地球衛星受信器を有する移動局からの位置データの迅速な取得を保証することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願はここに引例により組込まれている2001年12月27出願の米国特許出願第60/343,748号の優先権を主張する。本出願はまた2002年3月12日出願の米国特許出願第10/097,041号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に移動体通信に関係し、特に移動体通信網における基地局の位置の決定に関係する。
【背景技術】
【0003】
移動通信網は網(ネットワーク)の移動端末の位置(position)を見付けるためにますます高度な能力を提供する過程にある。移動端末が米国における911呼出といった緊急サービスに対して呼出を行うとき、司法の法的要請は網担当者(a network operator)に移動端末場所を報告することを要求する。符号分割多元接続(CDMA)ディジタル・セルラ網において、位置選定能力は基地局からの無線信号到着の移動局測定時間から移動局(MS)の場所を計算する技術である高性能順方向回線三辺測量(Advanced Forward Link Trilateration:AFLT)によって提供することができる。さらに進んだ技術は混成位置選定で、移動局は全地球測位システム(GPS)を使用し、その位置はAFLTとGPS測定の両方に基づいて計算される。
【0004】
MS準拠及びMS援用の場合の両方に適用可能な、AFLT、GPS、及び混成受信器を使用するCDMA位置決定に関するメッセージ・プロトコル及びフォーマットは、ここに引例として組込まれているTIA/EIA規格書IS‐801‐1 2001:二重モード・スペクトル拡散システムの位置決定サービス規格‐付録において公表されている。各基地局はCDMAパイロット擬似乱数(PN)系列を送信する基地局アンテナのGPS基準時間修正を伝送すべきことをこの規格書の4〜43ページは明記している。
【0005】
別の位置選定技術はその測定が移動局ではなく網実体によって行われる。これらの網準拠の方法の例はサービス中の基地局によって実行されるRTD測定である。移動局によって行われる測定は計算された位置の有効性及び精度を高めるために網準拠の測定と組合せることができる。
【0006】
基地局時間オフセット、基地局アンテナ場所及びその他のパラメータの較正及び再較正に関するデータは所謂「基地局暦(base station almanac)」に記憶される。基地局暦データベースは最初のGPS疑似距離探索に取りかかるために初期位置推定を決定するための情報を提供する。基地局暦データベースは観測されたどの擬似乱数雑音系列(PN)がGPS可能なIS‐95CDMA網のどの物理セクタと同じであるかについて曖昧性を解決するための情報を提供する。基地局暦データベースは信号が発せられるセルの基地局セクタ・アンテナ位置を提供する。AFLTの距離測定はこれらのアンテナ位置に対して行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムにおいて、基地局は一般的に移動局位置の決定のための基準として使用される。基地局を基準として使用するために、基地局アンテナ位置は、基地局信号タイミング情報と同様に、精度よく識別されなければならない。基地局アンテナ位置及びタイミング情報は位置決定要素によって使用されるために基地局暦データベースに記録される。このアンテナ場所及びタイミング情報を得ることは面倒であり、高くつく。
【0008】
大抵、基地局アンテナは移動され、或いは基地局送受信器(トランシーバ)は修理され、もしくは取換えられ、基地局アンテナ位置またはタイミング情報に変化が生じる。例えば、二つの物理的基地局がその確認情報を交換するとき、大抵は基地局は論理的に動かすことができる。いずれの基地局も物理的に動かないのに、それらは(BSユーザーには)場所を交換したように思われる。
【0009】
そのような状況では、データベースが基地局からサービスを再開する前に更新されない限り、データベース中の対応する情報は誤った状態になる可能性がある。しばしば、アンテナの場所は探査によって、または地図から読取られた座標を参照して決定され、そしてそのアンテナの座標はデータベースに手入力され、人為的誤りの可能性がある。基地局タイミング情報もまた、特注ハードウェアがタイミング情報を測定するために使用され、タイミング・オフセットがデータベースに手入力される場合には、人為的誤りを免れない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの問題に対処するため、本発明はその基地局の位置パラメータを決定するために基地局と交信する移動局を使用する。例えば、移動局の位置が決定され、そして基地局の位置が移動局の位置及び基地局と移動局の間で伝送される信号から決定される。基地局の少なくとも一つの誤った基地局場所パラメータにもかかわらず、他の基地局の基地局場所パラメータから、或いは移動局が全地球衛星受信器を装備していれば移動局によって受信される全地球衛星信号から移動局の位置を正確に測定することが大抵は可能である。
【0011】
さらに、移動局の位置が基地局と通信している基地局の場所と関係なく決定されるときはいつでも、データベース中の基地局場所情報は普通の位置選定セッションで確認することができる。これは基地局と基地局との間で伝送される信号から基地局と移動局との間の距離を決定することによって行われる。この距離がデータベースにおける基地局場所情報と矛盾するとき、データベースは訂正された基地局場所情報を含むように修正される。このような方法で、誤った基地局情報を発見して、基地局の正しい場所が分かるようになる前に位置決定サービスについてその使用を中止することは可能である。
【0012】
一旦、十分な数の独立した距離が基地局と位置の分かった移動局の間で決定されれば、誤った基地局場所情報は自動的に訂正することができる。十分な数の独立した距離測定に関して、一つの移動局の位置と比較できるある確度で基地局場所を決定することは可能である。このような方法で、データベース中の基地局場所情報を自動的に維持して、改良することは可能である。基地局と移動局との間の通信プロトコルを変更しないで、通常の位置決定サービスを提供しながら、これは行うことができる。
【0013】
好ましい実施では、移動局の位置及びタイミング・オフセットは基地局の位置及びタイミング・オフセットとは無関係に決定される。移動局の位置及びタイミング・オフセットが全地球測位衛星或いは既知の位置及びタイミング・オフセットを有する基地局からのいくつかの品質信号から決定されるならば、移動局の位置及びタイミング・オフセットは大抵はほぼメートル及びナノ秒精度に非常に正確にすることが可能である。移動局と基地局との間の信号伝送の測定と共に、移動局について現在分かっているこの位置及びタイミング・オフセットは基地局の予定の場所に制約を与える。いくつかの異なる既知の場所から一以上の移動局からの基地局に対する多元測定の収集の後で、これらの測定は、一般に航行技術分野(例えばGPS及びAFLT)では知られているように、最小二乗、またはカルマン・フィルタといった従来の位置及び時間オフセット計算手続きに対する入力として使用される。この計算手続きは、多数の基地局の既知の位置及び既知の時間オフセットから移動局の位置及び時間オフセットを計算するための従来の計算手続きの使用とは対照的に、多数の移動局の既知の位置及び既知の時間オフセットを決定するために使用される。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は付随の図に関して次の詳細な記述を読むことにより明白になるであろう。
本発明は様々な修正及び代りの形態が可能であり、その特定の実施例は図面において一例として示されており、そして詳細に述べられるであろう。しかしながら、それは本発明の形態を特定の示された形態に制限することを意図するものではなく、逆に、本発明は付随の請求項によって定義されるように本発明の範囲内にある全ての修正、同等のもの、及び代替のものを網羅するものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は携帯電話ユニットを設置し、そして基地局を較正するためにGPSシステムを使用するCDMAセルラ電話網を示す。本発明はこの例を参照して示されるが、本発明がCDMA及びGPSの使用に限定されないことは認識すべきである。例えば、本発明は時分割多元接続(TDMA)セルラ電話網において実践されるし、本発明は位置選定を支援するためのあらゆる種類の全地球衛星システムを使用しないで使用されるであろう。
【0016】
一般的に、TDMAセルラ電話網といった、いずれかの種類の無線通信網によって本発明を実践するために、互換性がある場所サービスに関する仕様について適用できる業界規格を調べることは望ましい。例えば、TIA/EIA規格IS‐801‐1 2001、二重モード・スペクトラム拡散システムに関する位置決定サービス規格はAFLT及びGPSを使用するCDMA網に特に適応する。TIA/EIA規格ANSI‐136(衛星を介するシステム援用移動体位置選定)は米国におけるTDMAディジタルPCシステムに適応する。第三世代協同計画規格3GPP TS04.31及びTS25.331場所サービス(LCS)(OTDOAを使用するUE位置選定)は或るヨーロッパGSM無線電話網に適応する。
【0017】
図1は地球16の表面上の六角形アレイで決定位置に配置された5個のCDMA基地局11、12、13、14、15を示す。地球の上約11,000海里では、基地局11から15と見通し通信する少なくとも五つのGPS衛星17がある。基地局の電気通信範囲内に、いくつかの移動CDMA電話ユニット22があり、それは上で引用されたTIA規格文書中では移動局(MS)と呼ばれる。これらの移動局(MS)はAFLT移動局22のようなAFLTだけの移動局と、混成移動局23のような混成移動局を含む。
【0018】
CDMA網は基地局からの所謂パイロット無線信号の到着の時間を測定する移動局の周知のAFLT技術を使用してAFLT移動局22及び混成移動局23の位置を決定することが可能である。到着の時間は移動局の時間基準に関係するパイロット位相測定によって示される。近隣の基地局のそれぞれの対からのパイロット位相測定の差は移動局の時間基準におけるあらゆる時間オフセットの影響を取除くために計算される。大抵の場合、各々の差は移動局を特定の双曲線上に配置する。双曲線の交差は移動局の場所を提供する。
【0019】
CDMA網はまた周知のGPS技術を使用して混成移動局23の位置を見付けることが可能である。各CDMA基地局11〜15は、GPSシステム時間基準に参照されるCDMAシステム時間基準を提供するためGPS衛星17〜21の少なくとも一つのキャリア(搬送波)及び擬似乱数符号系列を受信するGPS受信器を有する。混成移動局がCDMA網との位置選定セッションに参加するとき、サービスする基地局は混成移動局にGPS取得データを送信する。混成移動局23は約10秒以下で各GPS衛星17〜21と移動局との間の疑似距離の測定値を得るためにGPS取得データを使用する。MS援用の解の場合は、混成移動局23は疑似距離測定値をサービスする基地局に送信する。さらに図3を参照して下記で示されるように、位置決定要素(PDE)は四以上の疑似距離測定値から混成移動局23の地理的場所を計算する。代りに、MS基準の解の場合には、移動局の地理的場所は移動局それ自身によって計算される。
【0020】
図2は図1のセルラ電話網における各基地局の機能ブロックを示す。基地局11はGPSシステム時間を参照する基地局時間基準32を提供するGPS受信器31を含む。GPS受信器31はGPSアンテナ39から信号を得る。基地局はまたCDMA網において移動局と通信するためにCDMA送受信器(トランシーバ)33を含む。CDMA送受信器33は基地局時間基準32からCDMAシステム時間を得る。CDMA送受信器33はCDMAアンテナ40を介して無線信号を送信し、且つ受信する。
【0021】
図3は図1のセルラ電話網の定置構成要素のブロック図である。移動通信交換センター(MSC)34は基地局11と銅線または光ファイバーといった、いくつかの電話回線35との間に音声信号及び遠隔通信データを相互連結する。移動通信位置選定センター(MPC)36は移動通信交換センター(MSC)34に接続されている。MPC36は位置選定アプリケーションを管理し、相互作業機能(IWF)37及びデータ網回線38によって場所データを外部のデータ網に相互連結する。位置決定要素(PDE)41は位置選定データを集めて、フォーマットする。PDE41は移動局に無線支援を行い、それは位置計算を行う。PDE41はMPC36及びMSC34に接続されている。PDE41は基地局暦データベース・サーバ43によって管理される基地局暦データベース44にアクセスする。PDE41及び基地局暦データベース・サーバ43は、例えば、従来のディジタル・コンピュータまたはワーク・ステーションを使用して実施される。基地局暦44は、さらに下記で述べられるように、基地局暦データベース・サーバ43のためにコンピュータのハード・ディスクに記憶される。
【0022】
基地局が設置されるか、もしくは変更されるとき、基地局時間基準(図2における32)は較正されなければならない。各基地局は、GPSアンテナ(図2における39)からGPS受信器(図2における31)へ、GPS受信器からCDMA送受信器(図2における33)へ、及びCDMA送受信器からCDMAアンテナ(図2における40)への伝搬遅延または位相変移における変動によりGPSシステム時間とCDMA信号の伝送の間でそれぞれの時間オフセットを持つことがある。従って、AFLT位置決定における距離の誤差及び混成位置決定における距離及びタイミングの誤差を低減するために、各基地局の設置が終了した後で、例えば、PDE(図3における41)により使用される基地局暦データベース(図3における44)に基地局に関する時間オフセットを記憶させることによって各基地局は較正されなければならない。さらに、基地局を再較正し、且つ次のあらゆるハードウェア変更に対してデータベースを更新することが望ましい。
【0023】
基地局を較正または再較正するために、GPS及びAFLT位置測定データは、混成局ユーザーが電話呼出を通常しているとき、或いは、現場サービス要員が選択された場所を巡回し、通常の位置選定セッションからそうで無ければ得られない位置測定データを得る目的で電話をかけるとき、通常の位置選定セッションの間に混成移動局から得られる。この方式で、PDE(図3における41)は内部で較正データを計算し、そして較正データを連続方式で基地局暦データベース(図3における44)に記憶する。さらに、あらゆる機密性(privacy)の懸念を軽減するために、混成移動局の作業者が無線電話呼出をかける、或いはそれに答える時のみ、通常の位置選定セッションが発生する。この場合には、CDMAシステムは作業者の知識及び承諾なしには作業者の位置を決定しない。
【0024】
基地局アンテナ位置情報はAFLTのみまたは混成モードにおける最初の概略場所決定と最終の場所決定の両者のAFLT測定の使用に関する性能結果にとって重要である。例えば、MSはパイロット位相測定データをPDEに提供する。PDEは最初の概略場所を確定するためにアンテナ位置情報について提供され、またはアンテナ位置情報から得られた値を使用する。このデータにおける大きな誤差の存在は次善の性能に寄与するであろう。最終の位置計算の間に、PDEはパイロット位相測定データを単独で(AFLTモード)、またはGPSデータと組合わせて(混成モード)使用するであろう。いずれの場合にも、アンテナ場所及び高度(高さ)は最良の精度を保証するために提供されなければならない。適当な既知の不確定性をもつ、貧弱な品質のアンテナ位置が使用されることがあるけれども、基地局アンテナ位置情報(緯度、経度、及び高度)は1メートル未満の誤差を持つWGS‐84における「探査等級」であることが望まれる。
【0025】
図4は基地局アンテナ61、62、63、及び64に関する各々のセル・セクタの受信区域(セクタA、セクタB、セクタC、及びセクタD)を示す。中継器65は基地局アンテナ64の受信区域を拡大する。多分位置決定処理の開始以前でも、移動局66がトラフィック・チャネルに入る直前、セクタ同定情報は記録される。それ以降のある時間、通信状態にある移動局66に関して、その移動局は場所位置決定を行い始める。移動局66は現在のPN番号に注目し、記録されたセクタ同定情報と共にIS‐801.1メッセージの中でそれをPDEに送信する。移動局66はセクタ同定情報が記録されたセクタと異なるセクタにハンド・オフされたことに注目を要す;例えば、移動局が破線表示で示された位置67に達するとき、移動局はセクタAからセクタBにハンド・オフしている。この場合、現在のPN番号及びセクタ同定情報は異なるセルに属する。セクタ同定情報はサービスしているセクタに属し、一方、PN番号は参照セクタに属する。また、PNは一つだけではなく、一般的にあらゆるセルラ網内で何度も繰返すことに注目を要す。
【0026】
また、参照セクタ及び恐らくは他のセクタを含めて、その時移動局によって見込まれるセクタ範囲測定はこの最初のIS‐801.1メッセージ中で送信される。これらはPN番号によってのみ同定可能であり、測定セクタとして知られている。参照セクタ、及びまだ見えていればサービス・セクタもまた測定セクタであることに注目を要す。-これらの範囲測定は局番(a prefix)として知られている、粗い位置を生成するために使用され、それはAFLT測定のみを使用し、一般的に後で行われる最終の位置決定ほどには正確ではない。
【0027】
局番の目的はさらに正確な最初の位置推定を生成することであり、それは参照セクタの知識のみを使用してなしうるよりも正確なGPS援用情報を可能にする。より正確なGPS援用情報はGPS精度及び成果を向上させ、処理時間を低減させる。局番は任意であり、何らかの理由でそれが利用可能でなければ、参照セクタに基づいて最初の位置推定が使用される。
【0028】
GPS援用情報が移動局に送信された後で、その移動局は、最終の位置決定として知られる、AFLT測定値の第二の集合とGPS測定値の集合を収集する。PN番号は一つだけではないので、PDEは予想されるどのPN番号がどの物理的セクタに属するかを決定しなければならない。同じPN番号を持つセクタは大抵お互いに8km離れた、またはより近い間隔にあり、PN曖昧性をしばしば与えるので、これは複雑な処理になることがある。この間隔はサービス・セクタから参照セクタを、及び参照セクタから測定セクタを決定するために使用される。閾値距離以内のセルだけが考慮される。閾値距離はBSAの最大アンテナ距離パラメータを一定基準にすることによって決定される。
【0029】
目標のPN及び周波数を持つセクタが見付からなければ、その照合は失敗する。同様に、目標のPN及び周波数を持つ一以上のセクタが見付かり、どのセクタが実際のセクタであるかをPDEが判定できなければ、その照合は失敗する。目標のPNを持つ一つのセクタが見付かれば、その照合は成功し、そのセクタは観測されたPNに属すると推定される。サービス・セクタから参照セクタを決定しようとしているとき、照合が失敗すれば、サービス・セクタは参照セクタであると推定される。参照セクタから測定セクタを決定しようとしているとき、照合が失敗すれば、その測定PNは使用できず、無視される。セクタ同定情報が全くBSAで見付からなければ、GPS位置決定はPDE環境設定ファイルまたはレジストリに記憶された初期設定時(default)の最初の位置推定情報を使用して試行される。
【0030】
網ID/システムID及び受信区域中心に基づいて最初の位置推定を行うことはまた可能である。受信区域中心は、例えば、基地局セクタ・アンテナの受信区域内にあると判定された移動局位置の平均である。この方法では、PDEはBSA内の全てのセクタを調べることによって各々の唯一の網ID及びシステムIDを持つ全てのセルの受信区域に関する位置及び不確定性を自動的に決定する。この情報はいくつかの目的に役立つ。さらに良好な最初の位置推定が利用可能でなければ、網ID/システムID位置及び不確定性が使用できる。これは、例えば、MSによって見られるセクタ同定情報がBSA中に見付けられないとき、起こるであろう。最初の位置推定はこの場合にはるかに高い不確定性を持つことになり、それはGPS精度及び成果を低減し、MS処理時間が長くなるであろうことに注目を要す。最終の決定位置を決定する全てのより良好な方法が利用可能でなければ、網ID/システムID位置及び不確定性が通報されるであろう。
【0031】
要するに、混成移動局からのGPS及びAFLT測定情報は疑似距離オフセット及び基地局時間基準を生成するために結合することができる。基地局較正について、基地局時間基準オフセットを提供することに加えて、例えば、様々なセル・セクタに関して、無線受信区域中の様々な物理的場所における疑似距離オフセットはセル・セクタの近傍にあるように決定された移動局の位置決定の修正のために集計され、使用することができる。例えば、距離修正は順方向回線較正値(FLC)として定量化される。特に、FLCは移動局によって送信されつつあるデータに関するタイムスタンプ(time stamp)と実際の伝送時間との間の調整差として定義される。
【0032】
FLCに寄与する成分は基地局GPS受信アンテナ、基地局伝送ハードウェア・タイミング・ストロボ入力に対するGPS受信器タイミング・ストロボ出力、及び基地局送信アンテナのケーブル遅延である。基地局暦データベース・サーバは混成移動局からのGPS及びAFLT位置測定データに基づいて基地局暦データベース中のFLCフィールドを自動的に調整する。セクタについてより正確なFLC値を使用することによって、距離測定は約0〜30パーセント向上させることができる。
【0033】
GPS疑似距離は非常に正確であるから、十分な数のGPS衛星が見られれば、最終の通報位置決定はGPSにほとんど全て基づくであろう。幸いにも、この場合には、セクタ・アンテナに対する距離推定はなお測定されて、PDE記録ファイルに保存される。このように、新しい較正FLC値を決定するのに必要な全情報は利用可能である。この情報は:古い「初期設定の(default)」または「平均の(average)」FLC値;GPS測定を用いて決定された決定位置、基地局暦データベースからのセクタ・アンテナ位置、及びAFLT技術によってパイロット位相測定を用いて決定された、各セル・セクタ・アンテナに対する測定距離推定値を含む。次の式は新しいFLC値へのこれらの入力に関係する:
新しいFLC=古いFLC−(固定位置からアンテナへの距離−測定距離推定値)
上の式は単位変換の定数を省略している。例えば、FLCがいわゆる疑似乱数Chip_x_8単位で測定されれば、新しいFLC値の式は:
FLCNEW=FLCOLD+残差/30.52
である、ここで
FLCNEW=Chip_x_8単位での新しい順方向回線較正値
FLCOLD=Chip_x_8単位でのPDE収集期間に使用された順方向回線較正値
残差=メートルでの特定のセクタ擬似距離測定についての残差(Residual)、それは地上調査情報が分からなければPDEから分かるものである
30.52=Chip_x_8単位当たりのメートル数。
【0034】
あらゆる決定位置誤差は新しいFLC値における誤差に変換されるから、FLCの調整の鍵は位置決定が高精度でなければならないことである。決定位置は、「水平推定位置誤差(Horizontal Estimated Position Error:HEPE)」品質尺度を使用して高信頼度で評価され、それは各場所位置決定の誤差のPDE自身の推定である。このように、ある閾値品質−50メートル以下のHEPE値を有するような−を満たす位置決定のみがこれらの計算のために使用されなければならない。
【0035】
パイロット測定は各位置決定によって電話器により聞こえる全てのセクタに対して計算される。環境に応じて、これは通常少なくとも僅か一握りのセクタであり、密集した都会の環境においては大抵は少なくとも20以上ある。このように、各位置決定は多くの距離推定値をもたらし、それらの全てがこの処理において使用可能である。
【0036】
見える各セクタのセクタ同定をPDEが解決できるように、最初の基地局暦データベースはこの処理に存在しなければならない。しかしながら、これらのセクタに関するFLC値の品質は重要ではない。FLCの「初期設定の」または「平均の」値は使用することができる。その鍵は電話器によって見えるセクタ同定が基地局暦データベースに存在することである。アンテナ位置は適度に正確であることが望まれるが、アンテナ位置はいつでも正確に分かる必要はない。アンテナ位置の理解が長期に亘って改善すれば、これはより大きな確度のアンテナ位置を得るために計算に入れることができ、順方向回線較正精度を改善するために使用することができる。さらに、基地局暦データベース・サーバはアンテナが動かされたかどうかを決定することができ、そしてこの場合には、正確であるが古くなったアンテナ場所は基地局暦データベースから取除き、更新された場所と置換えることができる。
【0037】
図5及び6は如何にPDEが移動局の位置選定を決定するためにプログラムできるかの例を示す。図5の第一のステップ81で、PDEはMSからPDEに最初に送信されたAFLT測定値に基づいて最初の位置推定を行う。ステップ82では、PDEは移動局によって見えるPNを基地局暦データベースに記録された特定のセル・セクタとの関連付けを試行する。MSにサービスしているセクタが一意的に同定できなければ、PDEはAFLT距離測定がどの基地局アンテナ塔に起源するかを決定することができないので、AFLTは実行できない。従って、MSにサービスしているセクタが一意的に同定できなければ、実行はステップ83から84に分岐する。他の場合は、実行はステップ83からステップ85に続く。
【0038】
ステップ84では、感度援用(SA)及び取得援用(AA)データは網IDまたはシステムID中心または初期設定位置に基づいて生成される。GPS取得及びGPS疑似距離測定においてMSを援助するために、SA/AAデータは(図6のステップ90で)MSに送信されるであろう。サービスしているセルが見付からなかったので、AFLTは実行できず、GPS精度及び結果は著しく損なわれる。実行はステップ84から図6のステップ90に続く。
【0039】
図5のステップ85において、PDEは参照セクタ及び全ての測定セクタを決定しようと試みる。測定PNが一つのセクタと一意的に関連づけできなければ、その距離測定値は使用されない。参照セルが一意的に決定できなければ、サービスしているセルがその代わりに使用される。次に、ステップ86において、PDEはAFLTにのみ基づいて「局番(pre-fix)」を計算する。そして、ステップ87において、ステップ86の「局番」計算が旨くいかなかったならば、実行はステップ89に分岐する。他の場合には、実行はステップ87からステップ88に続く。
【0040】
ステップ88において、SA/AAデータはセル・セクタ情報に基づいて生成される。実行はステップ88から図6のステップ90に続く。
図5のステップ89において、SA/AAデータは局番場所及び不確定性に基づいて生成される。最初の位置不確定性が小さければ小さいほど、AAデータは正確になり、MSにおける処理は速くなり、そして最終の位置決定精度及び結果は良好になる。実行はステップ89から図6のステップ90に続く。
【0041】
図6のステップ90において、SA/AAデータはMSに送信される。MSはGPS取得及びGPS疑似距離測定のためにSA/AAデータを使用する。MSは援用データにおいて示されたGPS衛星を探索し、そしてAFLT疑似距離を探索する第2ラウンドを実行する。ステップ91において、PDEはMSからGPS及びAFLT疑似距離を受信する。ステップ92において、PDEは再び全ての測定PNを同定しようと試みる。PNが一つのセクタによって一意的に同定できなければ、その距離測定値は使用されない。ステップ93において、PDEはGPS及びAFLT距離に基づいて最終の決定位置を生成する。
【0042】
ステップ94において、PDEは最終の位置を計算するためにいくつかの方法を並行して使用し、最小の位置誤差を達成する可能性が大きい方法が使用される。精度が他の方法よりはるかに優れているために、GPS位置決定が最初に試みられる。GPS位置決定が失敗すれば、PDEは他のいくつかの方法の中から選択され、最小の関連誤差推定値を持つ結果が使用される。これらの他の方法は:AFLTのみ;RTD測定(利用可能なところで)を使用してセクタ方向及び概略の距離を知ることによって決定された位置;移動局によって見えるセクタの知識、各セクタの位置及び方向を使用して決定された「混成セル・セクタ」位置決定;現在サービスしているセクタ受信区域中心位置決定(または現在サービスしているセクタを決定することができなかったならば、元のサービスしているセクタ);現在の網ID/システムID受信区域の中心位置;及び最後は、PDEの設定ファイルに記憶された初期設定位置を含む。
【0043】
セクタの周辺においてMS位置を訂正するため各セクタに関するFLCの使用は各セクタにおける、好ましくはセクタ受信区域内の様々な場所からの様々な移動局に対する多元距離推定値の蓄積及び統計的分析によって改善することができる。標本集合を集めることによって、集合の統計処理は使用すべき最適の新しいFLC値を決定するために適用することができる。このデータを平均し、各セクタ内の受信区域内の様々な場所の集合から集められたデータを使用して、より正確なFLC値をもたらすことが見出された。
【0044】
標本集合は混成移動局への、或いは混成移動局からの通常の電話呼出の間の普通の位置選定セッションから、及び/または巡回野外収集から集めることができる。集められたデータの品質追加のために、巡回野外収集は外部PCSアンテナ及び外部能動GPSアンテナと連結された混成移動電話器をそれぞれ装備した乗り物における現業技術要員によって行うことができる。多元CDMA周波数が使用される領域において、各セクタCDMA周波数順列は別々に較正されるので、データは各周波数に関して収集されなければならない。例えば、巡回方法を使用しているとき、多数の電話器は十分な周波数ダイバシティを保証するために使用されなければならない。
【0045】
本発明は特に基地局アンテナ場所情報を決定するための移動局の使用に関係する。これは移動局のより正確な位置決定を提供するためだけでなく、物理的に移動され、或いは基地局暦における誤ったアンテナ場所情報によって阻害された基地局から適切なセル受信区域を保証するために行うことができる。最悪の場合には、アンテナ場所の変更は電話器(即ち、無線移動局)によって観測された信号が基地局暦データベース中の情報に適切に関係しているセル・セクタ識別問題に帰着する。
【0046】
基地局暦データベース・サーバは電話器によって観測された同一性が基地局暦データベースにおいて見付けられない場合を発見し、長時間にわたってそのような出来事を追跡する。基地局暦データベース・サーバは網に追加される新しいセクタを確認し、そのような変化をシステム技術者に通知する。基地局暦データベース・サーバは、アンテナ場所、観測された同定、自動的に計算された較正及び不確定性パラメータ、及び初期設定値の決定を含む基地局暦データベース記入項目を生成する。基地局暦データベース・サーバはまた電話器によって観測され、またはセルの構成基盤によって通報された同定が網の変化または再構成によって変ってしまって、基地局暦データベースに最早適合しないセクタを確認する。基地局暦データベース・サーバは新しい同定を反映するために基地局暦データベースを自動的に変更する。
【0047】
地上距離測定について、アンテナ位置はPDEが参照セクタ及び測定セクタの同定を解決するのを助け、距離測定のもとになる場所である。アンテナ位置誤差は地上距離誤差に移行する。アンテナ位置はまた、「最初の位置推定値」を生成するのに不可欠であり、それはGPS援用情報を生成するために使用される。
【0048】
基地局暦データベース・サーバは測定位置と一致していない基地局暦データベース・セクタ・アンテナ位置を確認する。これは移動セル(COW及びCOLT)から、または基地局暦データベースにおけるタイプミスから起り得る。基地局暦データベース・サーバはそのような問題をシステム技術者に通知し、そのように構成されれば、基地局暦データベース・サーバは問題を自動的に決定するであろう。
【0049】
セクタ・アンテナ位置のあらゆる明白な変化を迅速に確認するために、無線通信システムの所定の使用の間に進行中の基準に基づいてセクタ・アンテナ位置を測定することが望まれる。これは逆セクタ・アンテナ位置調整の方法を使用して行うことができる。逆セクタ・アンテナ位置調整は移動局からのデータからセクタ・アンテナの場所を決定する方法である。
【0050】
いくつかの場合において、セル・セクタがそのセクタの信号の電話器測定に基づいて存在することが分かるが、セクタ・アンテナ場所は分からない。電話器位置が他の測定に基づいて決定することができれば、その電話器位置及びセクタ・アンテナまでの測定距離はセクタ・アンテナの場所を決定するために貴重な入力として役立てることができる。
【0051】
多くの場合では、電話器位置は未知のセクタの源を知らずに−例えば、良好なGPS位置決定、未知のセクタからの測定を使用しないAFLTまたは混成位置決定に基づいて決定することができる。これが多数回起これば、異なる位置から、これらの場所決定の各々は原点(電話器位置)及びこの未知のセクタのアンテナ位置までの距離の両方として役立つ。
【0052】
これらの位置及び距離は航法プロセッサ(a navigation processor)への入力として役立つことができ、例えば、GPS衛星位置及び距離がGPS受信器の位置を計算するために使用されるのと同様に、それ(航法プロセッサ)はセクタ・アンテナ位置を計算することができる。多くの方法が、最小二乗平均反復、及びカルマン・フィルタリングといった、この航法処理を行うことに利用可能であり、当業者にはよく理解されている。
【0053】
当業者はまたよく理解しているように、基準点はセクタ・アンテナまでの距離と比較して十分にはるかに離れていることが重要であり、したがってその構成はセクタ・アンテナ位置を正確に計算するのに適切である。その上、電話器位置からの各入力距離は、基準電話器位置における不確定性及び、例えば、考えられる過剰経路長信号遅延に基づく距離の推定不確定性の双方を結合する、それに関連する誤差推定値を有するであろう。これらの測定誤差推定値はセクタ・アンテナ位置の決定における誤差を推定するために航法処理アルゴリズムにおいて結合することができる。
【0054】
また、セクタ・アンテナまでの距離測定はセクタ送信器時間バイアスのためにかなり一定のバイアスを含む。この順方向回線較正はセクタ・アンテナ位置と同時に解決することができる。このように、時間バイアスと同様に、三次元セクタ・アンテナ位置はGPS受信器位置調整とある意味で類似の同じ演算で計算することができる。
【0055】
セクタ・アンテナの垂直の高さについて解くことは垂直の方向における限られた観測可能な構成のために時々難しいことが認められる。セクタ・アンテナの高さは電話器基準位置の平均高さより上の平均アンテナ高さ(例えば、10m)及び/または地形標高データベースへの照合に基づく地形標高に基づいて推定することができる。セクタ・アンテナの垂直の高さにおける誤差はこの方法によって幾分観測しにくいといえども、そのセクタが基地局暦データベースに結局加えられ、電話器位置選定のための基準場所として使用されるとき、これらの誤差が場所決定誤差にほとんど寄与しないことは幸運である。
【0056】
セクタ・アンテナ位置がこの方法によって合理的に決定されると、新しいセクタが基地局暦データベースに加えられ、続いて電話器位置選定のために使用されるか、または電話器によって見える未確認の信号が誤った同定情報を持つ基地局暦データベース中の入力項目に結合することができ、そしてこの同定情報は訂正することができる。
【0057】
図7から10を参照して、図1の無線通信網における逆セクタ・アンテナ位置決めの実施の例のフローチャートが示される。例えば、フローチャートは基地局暦44中の基地局場所パラメータの維持及び改善に関する図3の基地局暦データベース・サーバ43におけるプログラミング、及び移動局位置の決定及び基地局位置の計算に関する図3の位置決定要素41におけるプログラミングを表す。
【0058】
図7の最初のステップ101において、移動局は無線電話呼出をかけるか、または受信する。網と移動局との間の通信を確立する処理の間、図4を参照して上で述べられたように、網は移動局から信号を受信した基地局の指示から移動局と通信しているセル・セクタを決定しようと試みる。図7のステップ102において、指示された基地局が基地局暦中に見つけることができなければ、基地局のために新しいデータベース・レコードを造り、且つ基地局について「未知の位置」を記録するために実行はステップ103に分岐する。ステップ103の後で、実行はステップ104に続く。基地局が基地局暦において見付かれば、実行はまたステップ102からステップ104に続く。
【0059】
ステップ104において、その網は移動局と通信している基地局の位置から独立した移動局の位置(値及び誤差推定値)を決定する。例えば、移動局が全地球測位信号を受信するために全地球衛星受信器を持っていれば、移動局の位置は、例えば、GPSシステムを使用して基地局の位置に関係なく決定することができる。移動局が既知の位置を有する他の基地局の通信範囲にあれば、移動局の位置は、例えば、AFLTを使用して移動局とこれらの他の基地局間で伝送される信号から決定することができる。
【0060】
ステップ105において、基地局アンテナの高さが分からなければ、さらに図10を参照して下記で述べられるように、基地局アンテナの高さを推定するために実行はステップ106に分岐する。ステップ106の後で、実行はステップ107に続く。基地局アンテナの高さが分かれば、実行はまたステップ105からステップ107へ続く。
【0061】
ステップ107において、その網は、例えば、順方向回線較正に関して上で述べられた方式で、移動局と基地局の間で伝送される信号を使用して移動局と基地局間の疑似距離測定(値及び誤差推定値)を得る。ステップ108において、基地局位置が分からなければ、実行は図8のステップ111に続く。他の場合は、実行は図9のステップ121に分岐する。
【0062】
図8のステップ111において、基地局位置の決定に関して十分な測定値がなければ、実行はステップ101に戻る。例えば、既知の基地局アンテナ高さの場合について基地局の緯度及び経度を決定するために、三角測量のために間隔が離れた移動局位置から少なくとも二つの疑似距離測定がなければならない。基地局アンテナ高さが分からなければ、または疑似距離測定が基地局タイミング・オフセットに依存していれば、測定の追加が必要である。一旦、十分な数の測定値が得られると、実行はステップ111からステップ112へ続く。
【0063】
ステップ112において、その網は基地局位置(値及び誤差推定値)及び基地局タイミング・オフセット(値及び誤差推定値)を計算するために移動局位置(値及び誤差推定値)、移動局タイミング・オフセット(値及び誤差推定値)、及び疑似距離(値及び誤差推定値)を使用する。例えば、距離測定の不確定性はパイロット信号強度、PN系列の分解能、GPS距離測定における衛星高度、及び地上距離測定におけるマルチパスの可能性に依存する。距離測定の不確定性はまた、AFLT距離決定の場合の順方向回線較正タイミング・オフセットにおける不確定性、RTD距離測定の場合の逆方向回線較正における不確定性、及びAFLTまたはRTD距離測定の場合の基地局アンテナ位置及び地面標高の不確定性といった、潜在的場所サービス・パラメータの不確定性に依存する。例えば、不確定性は、標本集団があるときは統計に基づき、またはガウス分布を仮定して既知の分解能及び推定測定誤差に基づいて、標準偏差によって定量化される。
【0064】
計算手続きは、航法(例えば、GPS)の技術分野において一般に知られているように、従来の最小二乗プログラム、またはカルマン・フィルタを使用する。この計算手続きは、多数の基地局の既知の位置及び既知の時間オフセットから移動局の既知の位置及び既知の時間オフセットを計算する計算手続きの従来の使用と対照的に、多数の移動局の既知の位置及び既知の時間オフセットから基地局の既知の位置及び既知の時間オフセットを決定するために使用される。ステップ113において、基地局暦は基地局の位置が知られていることを示すために更新され、そして実行は図7のステップ101に戻る。
【0065】
図9の最初のステップ121において、その網は既知の位置から移動局と基地局との間の距離を計算し、その距離を疑似距離測定値と比較する。その距離が、距離及び疑似距離測定値の誤差推定値を考慮して、疑似距離測定値と矛盾していれば、基地局位置が誤っているという可能性を記録するために実行はステップ123に分岐する。いくつかのそのような矛盾が記録されれば、ステップ124において、誤差閾値に到達し、そして基地局位置が不明であることを記録するため、通信記録に誤差を記録するため、及び誤差をシステム技術者に通報するために、実行はステップ125に続く。基地局位置を決定するための移動局位置の値及び疑似測定値を恐らく使用するため、実行は図8のステップ125からステップ111に続く。誤差閾値に到達しなかったならば、実行はステップ124から図7のステップ101に戻る。
【0066】
ステップ122において、移動局と基地局との間の距離が疑似距離測定値と一致していれば、実行はステップ122からステップ126に続く。ステップ126において、移動局位置(値及び誤差推定値)、移動局タイミング・オフセット(値及び誤差推定値)、及び疑似距離測定(値及び誤差推定値)は基地局位置(値及び誤差推定値)及び基地局タイミング・オフセット(値及び誤差推定値)を改善するために使用される。ステップ126の後で、実行は図7のステップ101に戻る。
【0067】
図9のステップ126において基地局位置及び基地局タイミング・オフセットを改善する一つの方法は、基地局位置及び基地局タイミング・オフセットに関係がある測定の記録を記入し、記録の中の全ての測定値に基づいて基地局位置を再計算することである。測定の数が多くなるとき、計算時間及び記憶が過剰になるかもしれない。この点で、基地局位置及びタイミング・オフセットは幾つかの最新の測定のみを使用して計算することができる。さらに、基地局位置及びタイミング・オフセットの値を連続して改善するために、カルマン・フィルタのようなフィルタを使用することは可能である。簡単な例において、最新の測定は推定位置(P)を形成し、そして新しい位置(Pnew)は古い位置(Pold)と推定位置(P)の加重平均として計算され、次のようになる:
new=α(P)+(1−α)(Pold
ここで、αは1より小さい荷重要素である。荷重要素はそれぞれの測定の数及び古い値と推定値に寄与する測定の相対誤差(E)のそれぞれの平均に基づいて選択され、例えば、
α=(N/E)/(N/E+Nold/Eold
に従う。
【0068】
フィルタはまた古い値及び新しい推定値から基地局タイミング・オフセットを計算するために同様の方式で使用することができるが、この場合には長時間に亘ってタイミング・オフセットの変動を推定することが有利である。すなわち、基地局タイミング・オフセット(Toff)は時間(t)の一次関数;Toff=βt+Tとして模式化される。長時間に亘る一連の測定から、パラメータβ及びTは最小二乗法によって推定される。一連の測定の数が過剰になったとき、妥当な最新の測定の数が記録に保持され、βの推定値及びTの推定値を生成するために使用される。βの新しい値はβの推定値及びβの古い値から計算され、Tの新しい値はTの推定値及びTの古い値から計算される。
【0069】
図10は基地局アンテナの高さを推定するための手順のフローチャートを示す。第一のステップ131において、基地局アンテナ位置(緯度及び経度)が不明であれば、実行はステップ132に分岐する。ステップ132において、基地局位置における地形標高は基地局の通信範囲における移動局の標高の平均を計算することによって推定され、そして実行はステップ134に続く。ステップ121において、基地局位置が分かれば、実行はステップ133に続く。ステップ133において、地形標高データベースは基地局位置(既知または推定)における地形標高を得るためにアクセスされる。ステップ134において、基地局アンテナ高さは基地局位置の地形標高(既知または推定)以上の平均アンテナ高さ(例えば、10フィート)として推定され、そして実行は戻る。
【0070】
上記を考慮して、無線遠距離通信網が述べられてきた。基地局アンテナ位置及び基地局時間オフセットは、様々な条件の下で最も信頼できる移動局位置決定を得るために使用される他の情報と共に基地局暦データベースに記憶される。自動システムが基地局暦データベースを造り、更新し、そして維持するために提供される。一般に、自動システムはセルラ電話器によって取込まれた地上距離情報及び他の測定値に関連を与えるために移動局位置決定を使用する。そのシステムはまたセルの性能の理解を保持し、且つセル操作者及び顧客に性能のフィードバックを提供するために位置決定を使用する。自動システムは不完全な、または不正確な情報を検出し、自動位置決定を行い、且つ/またはシステム技術者に通知する。特に、そのシステムは基地局アンテナ位置及び基地局タイミング・オフセットを決定するため移動局の位置決定及び地形距離情報を使用する。従って、網ハードウェアの追加または通信プロトコルの変更なしで、場所データが不明のとき、基地局場所データを自動的に得ることが可能である。基地局アンテナ位置は、アンテナ場所データを維持し、改良し、そして基地局アンテナの変更または移動について訂正するために、通常の移動局位置決定の間に連続して決定することができる。この方式において、基地局アンテナの移転の間のセル・セクタ同一性の損失から迅速に回復し、そして基地局からの測距に基づく移動局位置決定の精度、及び全地球衛星受信器を持つ移動局からの位置データの迅速な取得を保証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】携帯電話ユニットを設置し、基地局を較正するためにGPSを使用するセルラ電話網を示す。
【図2】セルラ電話網における基地局のブロック図である。
【図3】基地局暦データベースにアクセスする位置決定要素を含む、図1のセルラ電話網の静止部品のブロック図である。
【図4】いくつかのセル・セクタを含むセル受信区域地図である。
【図5】位置決定要素がいかに移動局の位置を決定するかを示すフローチャートである。
【図6】位置決定要素がいかに移動局の位置を決定するかを示すフローチャートである。
【図7】基地局の位置及び時間オフセットがいくつかの移動局位置、移動局時間オフセット、及び基地局と移動局位置との間の疑似距離からいかに決定されるかを示すフローチャートである。
【図8】基地局の位置及び時間オフセットがいくつかの移動局位置、移動局時間オフセット、及び基地局と移動局位置との間の疑似距離からいかに決定されるかを示すフローチャートである。
【図9】基地局の位置及び時間オフセットがいくつかの移動局位置、移動局時間オフセット、及び基地局と移動局位置との間の疑似距離からいかに決定されるかを示すフローチャートである。
【図10】基地局アンテナの高さを推定する処理のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信網において、基地局の位置を決定する方法であって、
(a)基地局と通信している少なくとも一つの移動局の位置を決定すること、及び
(b)移動局の位置から、及び基地局と移動局との間で伝送される信号から基地局の位置を決定することを含む方法。
【請求項2】
移動局が全地球衛星受信器を有し、移動局の位置が移動局によって受信される全地球衛星からの信号から決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
移動局の位置が既知の位置を有する基地局から各移動局の高性能順方向回線三辺測量(Advanced Forward Link Trilateration:AFLT)によって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
基地局と移動局との間の距離を決定するため基地局と移動局との間で伝送される信号の経路遅延を測定すること、及び移動局の位置及び基地局と移動局との間の距離から基地局の位置を決定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
移動局が全地球衛星受信器を含む混成電話器であり、移動局の位置が移動局によって受信される全地球衛星からの信号から決定され、そして基地局の位置が高性能順方向回線三辺測量(AFLT)を使用して移動局の位置から決定される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
一つの移動局が異なる時間に異なる位置にあり、基地局場所の決定に一以上の測定を提供することができる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの移動局の時間バイアスを計算すること、及び基地局位置の計算においてその時間バイアスを使用することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
移動局の決定された位置から、移動局の時間バイアスから、及び基地局と移動局との間で伝送された信号から基地局送信器における時間バイアスを決定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
基地局の決定のために移動局の決定された位置において、及び移動局の時間バイアスにおいて誤差推定値を使用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
移動局の平均標高以上の平均アンテナ高さとして基地局のアンテナ高さを推定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
基地局の推定位置における標高に関する地形標高データベースの照合によって得られた標高以上の平均アンテナ高さとして基地局のアンテナ高さを推定することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
基地局暦(base station almanac)にはない基地局から基地局信号を受信する移動局に応答して実行される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
移動局の位置から決定された基地局アンテナの位置が基地局暦に含まれる基地局に関する位置を証明するために基地局暦に含まれる基地局に関する位置と比較される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
移動局との通信のための基地局、基地局暦、及び基地局と移動局との間で伝送される信号から移動局の位置を測定するための位置決定要素を有する無線通信網において、基地局暦中の基地局場所情報を維持する方法であって、
(a)移動局の位置が移動局の通信範囲における基地局の位置から独立した位置決定要素によって決定されるとき、基地局と移動局の間で伝送される信号から基地局と移動局との間の距離を決定すること、及び
(b)基地局暦中の基地局場所情報が誤っているか、比較的不正確であることを基地局と移動局との間の距離が示すとき、基地局に関する訂正された基地局場所情報を含めるため基地局暦を修正することを含む方法。
【請求項15】
移動局が基地局暦にはない基地局から基地局信号を受信するとき、基地局の位置は移動局の通信範囲内の基地局の位置から独立した位置決定要素によって決定される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
複数の移動局の位置及び基地局と複数の移動局との間で伝送される信号から基地局の位置を決定すること、及び基地局暦中に基地局の決定された位置を記憶することによって基地局暦を修正することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
(a)移動局との通信のための基地局、及び
(b)基地局と移動局との間で伝送される信号、及び基地局暦に記憶された情報に基づいて移動局の位置を決定するための少なくとも一つの位置決定要素を具備し、
無線通信網は移動局の位置から、及び基地局と移動局との間で伝送される信号から基地局の位置を決定するために、及び基地局暦中に基地局場所情報を維持するため基地局の決定された位置を使用するためにプログラムされる無線通信網。
【請求項18】
移動局が基地局から信号を受信し、且つその基地局が基地局暦にないことが見出されたとき、基地局の位置が決定される、請求項17記載の無線通信網。
【請求項19】
基地局暦中の基地局場所情報が基地局に関する誤った位置を示していることを基地局の決定された位置が示すとき、基地局暦が基地局の決定された位置によって更新される、請求項17記載の無線通信網。
【請求項20】
移動局は全地球衛星受信器を有し、位置決定要素は全地球衛星から移動局によって受信された信号から移動局の位置を決定する、請求項17記載の無線通信網。
【請求項21】
位置決定要素は既知の位置を有する基地局から各移動局の高性能順方向回線三辺測量(AFLT)によって移動局の位置を決定する、請求項17記載の無線通信網。
【請求項22】
位置決定要素は基地局と移動局との間の距離を決定するため基地局と移動局との間で伝送される信号の経路遅延を測定し、移動局の位置及び基地局と移動局との間の距離から基地局の位置を決定する、請求項17記載の無線通信網。
【請求項23】
位置決定要素は移動局の位置から、及び基地局と移動局との間で伝送される信号から基地局送信器における時間バイアスを計算する、請求項17記載の無線通信網。
【請求項24】
位置決定要素は移動局の平均標高以上の平均アンテナ高さとして基地局のアンテナ高さを推定する、請求項17記載の無線通信網。
【請求項25】
位置決定要素は基地局の推定位置における標高に関する地形標高データベースの照合によって得られた標高以上の平均アンテナ高さとしての基地局のアンテナ高さを推定する、請求項17記載の無線通信網。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2006−504284(P2006−504284A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−559167(P2003−559167)
【出願日】平成14年12月12日(2002.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2002/040053
【国際公開番号】WO2003/058985
【国際公開日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】