無線端末装置及びセンタ装置
【課題】 中継機能を持つ各無線端末からの監視データをセンタで集中管理する遠隔監視システムにおいて、電波状態の変動やシステム構成の変化に対応し、最適動作を可能とする仕組みをシステム上に備える。
【解決手段】 各端末はセンタ20との交信に複数のルートが利用可能(例えば端末Xは2ルート)である。各端末及びセンタは、経路の通信状態が検出でき、これをルート情報(経路の電界強度、ノイズレベル、経由する端末の段数等)として、センタへ通知、記憶部21で全体を管理する。センタ20は、ルート情報を基に最適ルートを決め、各端末に最適ルートを設定する。端末は監視データを送る度に最新のルート情報をセンタに通知する方法をとり、最適ルートを見直すようにすれば、電波状態の変動、システム構成の変化に対応してシステムにおける動作の最適化ができる。
【解決手段】 各端末はセンタ20との交信に複数のルートが利用可能(例えば端末Xは2ルート)である。各端末及びセンタは、経路の通信状態が検出でき、これをルート情報(経路の電界強度、ノイズレベル、経由する端末の段数等)として、センタへ通知、記憶部21で全体を管理する。センタ20は、ルート情報を基に最適ルートを決め、各端末に最適ルートを設定する。端末は監視データを送る度に最新のルート情報をセンタに通知する方法をとり、最適ルートを見直すようにすれば、電波状態の変動、システム構成の変化に対応してシステムにおける動作の最適化ができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等の遠隔監視システムを構成する無線端末装置及び該端末装置と監視データを集中管理するセンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遠隔監視システムとして知られている、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等のシステムでは、システム内の各監視装置(メータ)の検出データをそれぞれに設けた端末装置(子機)でセンタ装置(親機)に送信し、ここで監視データやシステムの集中管理を可能としている。
例えば、家庭用のガスや水道メータの検針では、設置されたメータの近傍に無線送受信装置を配置し、無線送受信装置側で取得した検針データを例えば電話回線網を経由してさらにセンタ装置に送信し、センタ側では、送信された検針データに基づき使用量に対する請求書を発行するなどの業務を行っている。
こうした遠隔検針(監視)システムに用いられる検針データ送信装置の1例を下記特許文献1で示す。
特許文献1記載の検針データ送信装置は、メータの検針データを読出し、無線送信する子機と、子機からの検針データを受信する親機とを有する。親機は、更に親機から携帯電話回線網等を通じて基地局への送信を行っている。また、この検針データ送信装置は、子機と親機間の通信試験を実環境で行うための手段を備えている。このテストは、子機と親機を実装位置に設置した状態で、試験電波を発信して、受信した電界強度が適正な範囲であるか、否かを確認することにより、両者間の通信動作の正否をチェック可能にしている。
【0003】
ところで、無線端末装置からセンタ装置(なお、センタ装置との間に親機や基地局等の中継機が入る場合には、これらの中継機でもよい)に監視データを送信する従来システムにおける無線端末装置とセンタ装置を接続する方法としては、直接に接続する場合の外、無線端末装置を中継機として機能させる接続方法がとられている。
図10は、従来システムの無線端末装置とセンタ装置の接続方法を説明する図である。
図10において、端末(単に「端末」と記す場合、「無線端末装置」を指す、以下同様)A110及び端末B120は、直接センタ(単に「センタ」と記す場合、「センタ装置」を指す、以下同様)200と通信可能な端末である。端末A110及び端末B120は、センタ200との間でそれぞれ電界強度m,nの交信が可能である。この電界強度は、例えば、設定時に端末からテスト信号として、基準電波をブロードキャストし、この信号をセンタで受信した時の測定値である。この測定値が通信可能な値として定められた所定値以上であれば、直接センタと交信できる端末として認識される。従って、図10に示す端末A110、端末B120それぞれの電界強度m,nは、上記した条件を満たす値を持つ。
端末C130も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ200との交信可能性をチェックするが、上記した条件を満たす電界強度が得られない。他方、端末A110との間では、電界強度oとなり、交信が可能であるという結果が得られる。そこで、端末A110を中継機として利用し、端末Aを経由して、端末C130のデータをセンタ200に送信することを可能にする。
【0004】
また、図10の従来システムにおいて、さらに端末を付加した例を図11に示す。
図11において、新たに端末X140が設置されると、設定時に端末X140も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ200や他の端末との交信が可能かをチェックするが、センタ200及び端末A110との間は、交信可能な電界強度が得られない(図11中の端末X140を中心に破線で示す部分円は、交信可能な電界強度が得られる範囲を示す)。他方、端末B120及び端末C130との間では、電界強度がそれぞれq,pとなり、交信可能な電界強度が得られる。
図11に示す例では、端末B120、端末C130のどちらもセンタ200へデータを送信するための中継機として利用可能であるが、どちらか1が通信ルートとして決められ、このルートに係わる各端末の記憶部に通信ルートが格納される。端末は、データを送信する際に、記憶部に格納された通信ルートに従って、データをセンタ200に送信する。
図11に示す例では、端末B120を経由する通信ルートは、電界強度q>pで端末C130より大きいので、この通信ルートが選ばれ、端末X140にこの通信ルートが設定される。
【0005】
【特許文献1】特開2004−341648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図11の従来システムにおいて、設定時にテスト信号をブロードキャストし、複数の通信ルートで通信が可能であることが分かっても、通信ルートとして設定されるのは、1のルートで、その後、通信状態が変わり、ルートを見直し、他のルートを設定する場合には、通信テストを含むルートの設定手順を改めて行う必要がある。従って、端末を実装位置に設置した後に、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化があっても、再設定の手順が実行されるまでの間、変化に対応することができない。このために、最適な通信ルートが選択されなかったり、特定の端末に中継が集中し、この端末の電池寿命が極端に短くなる、等の問題が生じ、最適な動作が確保できなくなってしまう。
なお、上記した特許文献1は、実装位置に子機を設置した時の子機と親機間の通信試験に関するもので、通信ルートの設定を意図したものではなく、上記した問題の解決手段を提案するものではない。
本発明は、従来の遠隔監視システムにおける上記した問題点に鑑み、これを解決するためになされたもので、その課題は、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化に対応して、最適な通信動作を可能とする仕組みをシステム上に備えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、無線端末装置同士の通信経路を少なくとも1通信ルートに含む複数の通信ルートを経由して、管理下にある無線端末装置とデータの送受信が可能なセンタ装置であって、前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報を無線端末装置から受取る手段と、受取った前記複数のルート情報を比較することにより、最適な通信ルートを判定するルート判定手段と、判定した最適な通信ルートを無線端末装置に設定するために、最適な通信ルートに係わるルート情報を送信する手段を備えたことを特徴とするセンタ装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたセンタ装置において、前記ルート判定手段は、通信信号の電界強度、通信信号のノイズレベル、経由する無線端末装置の段数及び無線端末装置の中継機としての利用度の少なくとも1つを条件に最適な通信ルートを判定する手段であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたセンタ装置とのデータの送受信が可能な無線端末装置であって、センタ装置への前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報をセンタ装置に通知するルート情報通知手段と、センタ装置から設定された通信ルートに従いデータをセンタ装置に送信する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載された無線端末装置において、他の無線端末装置との間における通信状態を測定し、得られた測定データを送信元に通知する手段を有し、前記ルート情報通知手段は、通信ルート上にある各無線端末装置から通知されてくる測定データを基に通信状態を表すルート情報を作成する手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載された無線端末装置において、前記ルート情報通知手段は、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、各無線端末装置が使用可能な通信ルートが複数あっても、これらのルート情報をセンタ装置で集中管理し、ルート情報をもとに最適ルートを判定し、各無線端末装置に設定し、設定に従ってデータ送信を行うようにしたことで、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化に対応が可能になり、最適な通信動作が得られる。
また、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することで、定常的に各端末からルート情報を取得し、取得したルート情報によって最適ルートを見直し、設定を更新することを可能にしたので、システムを最適な動作状態に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係わる遠隔監視システムを説明する。
本実施形態の遠隔監視システムは、例えば、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等の遠隔監視システムに適用し得るものである。
この遠隔監視システムは、センタ装置がシステム内の各監視装置(メータ)によって監視(検出)されたデータを集中的に管理する。このため、監視(検出)データは、センタ装置の管理下で、各監視装置(メータ)それぞれに設けた無線端末装置(子機)でセンタ装置(親機)に送信される。従って、各無線端末装置とセンタ装置(なお、センタ装置との間に親機や基地局等の中継機が入る場合には、これらの中継機でもよい)は双方向にデータ通信を可能とする方法で接続される。両者の間を接続する方法としては、直接に接続する場合の外、無線端末装置を中継機として機能させる接続方法がとられる。
【0010】
図1は、本実施形態のシステムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
図1において、端末(単に「端末」と記す場合、「無線端末装置」を指す、以下同様)A11及び端末B12は、直接センタ(単に「センタ」と記す場合、「センタ装置」を指す、以下同様)20と通信可能な端末である。端末A11及び端末B12は、センタ20との間でそれぞれ電界強度m,nの交信が可能である。この電界強度は、端末からテスト信号として、基準電波をブロードキャストし、この信号をセンタで受信した時の測定値である。この測定値が通信可能な値として定められた所定値以上であれば、直接センタと交信できる端末として認識される。従って、図1に示す端末A11、端末B12それぞれの電界強度m,nは、上記した条件を満たす値を持つ。
端末C13も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ20との交信可能性をチェックするが、上記した条件を満たす電界強度が得られない。他方、端末A11との間では、電界強度oとなり、この端末間の交信が可能であるという結果が得られる。そこで、端末C13は、端末A11を中継機として利用し、端末Aを経由して、データをセンタ20に送信可能とする。
【0011】
各端末とセンタ20を結ぶ通信ルートは、上記のように端末ごとに設定される。ただ、後記でより詳細に説明するように、通信ルートはセンタ20によって設定される。即ち、センタ20は、各端末の通信ルートにおける通信状態を示すルート情報を取得し、これをルート情報記憶部21で管理し、ルート情報に基づいて決定された通信ルートを各端末に設定する。
【0012】
通信ルートの設定について、より詳述すると、システムの基本構成(図1)で説明したように、各端末は、中継機として機能するものであるから、端末の配置等のシステム構成よっては、端末間通信が複数成立するので、1の端末からセンタ20への通信ルートとして、この複数ルートの利用が可能になる。
図2は、複数の通信ルートが存在し得るシステムの構成例と、動作を説明する図である。なお、同図に示す例は、先の基本構成(図1)に、端末X14が付加されている。
図2に示す配置で端末X14が設置されると、端末X14は、テスト信号をブロードキャストし、センタ20や他の端末と交信できるかをチェックするが、センタ20及び端末A11との間は、交信できる電界強度が得られない(図1中の端末X14を中心に破線で示す部分円は、交信可能な電界強度が得られる範囲を示す)。他方、端末B12及び端末C13との間では、電界強度がそれぞれq,pとなり、交信可能な電界強度が得られる。
従って、この例では、端末B12、端末C13のどちらも、センタ200へデータを送信するための中継機として利用可能である。そこで、センタ20は、2つの通信ルートの中、よりよい状態で通信ができるルートの選択を行う。
【0013】
このルートの選択を行うために、端末及びセンタは、経路における通信状態を検出する手段を備え、この検出結果より各ルートの通信状態を示すルート情報として、この情報を管理するセンタ20へ通知する(後記図4のシーケンス、参照)。
センタ20は、各端末11〜14からルート情報を受取り、受取った交信可能な全てのルートのルート情報を記憶部21に記憶し、管理する。ここに、ルート情報は、特定の発信端末からセンタ20までに経由する端末と経路の通信状態(電界強度、ノイズレベル、通信エラー等)を基本的な情報とする。ただ、センタ20は、さらに、各ルートにおいて中継する端末の段数、各端末の中継機としての利用度等を含む形でルート情報を把握し、これらのルート情報を各ルート毎に管理可能な形で記憶部21に格納する。
このように、センタ20は、1の端末からセンタ20への通信ルートとして、複数ルートの利用が可能になる場合に、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定し、決定に従いルート設定を行う機能を持つ。
【0014】
最適ルートの決定は、管理者によって行う方法とセンタ20の装置側で自動的に行う方法が採用できる。
管理者による方法を採る場合には、管理者とのインタフェースとして機能する操作部(図示せず)のディスプレイ画面等を通して、最適ルートの決定に必要な上記したルート情報を提示するようにし、また決定した最適ルートを操作部から入力できるようにする手段を用意する。
センタ20の装置側で自動で最適ルートを決定する場合には、予め決定するために用意した処理手段を用いる。最適ルートを決定するための方法としては、例えば、下記(1)〜(5)に示す基準の少なくとも1つを用いることができる。
(1) 経路の電界強度(強度が大きい方を優先)
(2) 経路のノイズレベル(ノイズレベルの低い方を優先)
(3) 端末の通信エラー又は誤り率のカウント値(エラー率の低い方を優先)
(4) 経由する端末の段数(段数の少ない方を優先)
(5) 経由する端末における中継機としての利用度(利用度の低い方を優先)
センタ20は、上記の基準に従い複数のルートから最適なルートを決定する処理を行う手段(後記図6の処理フロー、参照)を備えることにより、自動で最適ルートを決定する。
【0015】
図2に示す例では、端末B12への経路の電界強度は、端末C13への経路よりも大きい、即ち、電界強度q>pであり、かつ経由する端末の段数も1である(端末C13経由では、段数が2になる)から、端末X14に設定する適切なルートとして、端末B12を経由する通信ルートが、決定される。
センタ20は、最適ルートとして決定した通信ルートを端末X14に設定するために、図3に示すように、端末B12を経由して端末X14に送信する。なお、センタ20は、決定した最適ルートをセンタ内の記憶部に保存し、上記した端末へのルート設定動作に用いる外、センタ20のポーリング動作等に利用する。
センタ20から決定された最適ルートを受取る端末X14は、指示に従ってルート設定をするための記憶場所に最適ルートを格納する。
この後、端末X14は、センタ20からのポーリング着信に応答して、センタ20にデータを送信する際に、端末X14内の記憶場所に格納された最適ルートに従って、指定された中継端末にデータを発信する。
【0016】
ここで、上記した通信ルートの設定過程を動作シーケンスに従って説明する。
図4は、通信ルートの設定動作のシーケンス図を示す。なお、図4は、図2に示したシステム構成において、端末X14に最適通信ルートを設定するための動作シーケンスを示すものである。
まず、端末X14は、センタ20への通信ルート上の端末と経路の通信状態を示すルート情報を得るために、ルート検索を指示する電文をブロードキャストする(ステップS101)。
ブロードキャストされた電文を受けて、経路の通信状態を示す電界強度、ノイズレベル等の情報が端末X14に通知されてくる(電界強度は、端末X14で受信した各端末からの応答信号の時間差から、応答信号の最も早いものはテスト電文の電界強度が強く、遅れの度合い従って弱いことを表す)(ステップS102,S103)。即ち、ここでは、端末B12からは、「端末X→端末B→センタ」のルートにおける電界強度「q:n」が、また、端末C13からは、「端末X→端末C→端末A→センタ」のルートにおける電界強度「p:o:m」が送信されてくる。また、前記端末B12とC13以外の端末からの応答はそれらの応答信号よりも遅れたため無視される。
【0017】
次に、端末X14は、ルート検索により得たルート情報をセンタ20に通知する(図2参照)。このとき、センタ20への通信ルートは、デフォルト設定に従う。
この例では、端末B12を経由するルートがデフォルト設定されているので、端末X14は、端末B12にルート情報を発信する(ステップS104)。なお、通知するルート情報の内容は、端末X14がルート情報として取得した全ての情報(通信ルートの経路を全て特定し、各経路の通信状態を表すデータ)としてもよいが、情報の用途(後述の最適ルートの決定に適用)やデータ量を少なくすることを考えれば、経由する端末B、端末Cの2ルートの情報として、下記(1)、(2)のように、ルート名:電界強度:中継段数で表してもよい。
(1) 端末Bルート:電界強度q:n/中継1段
(2) 端末Cルート:電界強度p:o:m/中継2段
端末X14からルート情報を受取った端末B12は、中継機であるから、受取ったルート情報を中継して、センタ20に送信する(ステップS105)。
センタ20は、端末B12から受取ったルート情報を記憶部21に蓄積し、管理する(ステップS106)。
ここで管理するルート情報は、少なくとも、後記する最適ルートの決定に用いるに足りる情報とし、蓄積されるルート情報をテーブル等の形式で管理する。例えば、上記(1)、(2)の例では、ルート名:電界強度:中継段数をデータとして、テーブル管理する。また、端末がルート情報として取得した全ての情報が通知されてくる場合には、各ルート毎に管理するルート情報として、経路のノイズレベル、端末の通信エラー又は誤り率のカウント値、各ルート毎に管理するルート情報に各端末の中継機としての利用度(特定の端末に利用が偏ると、電池寿命が極端に短くなる)等を含めるようにしてもよい。
【0018】
次に、センタ20は、端末X14に設定する通信ルートとして、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定する(ステップS107)。
最適ルートの決定は、上記[0012]の項に記したように、管理者によって行う方法、或いはセンタ20の装置側で自動的に行う方法が採用可能である。
ここでは、自動で行う方法についての実施形態を示す。
以下に示す最適ルートを決定する方法は、電界強度と中継段数を組み合わせ、中継段数を電界強度に優先させる方法による。
ただ、この方法は、実施形態の1例を示すもので、ルートを決定するための基準として、上記[0012]の項に記した(1)〜(5)の少なくとも1つ、もしくはこれらを適宜の優先順位を付けて組み合わせ、決定する方法によっても実施することが可能である。
【0019】
図5は、電界強度と中継段数を基準に最適ルートを決定する本実施形態の処理フローを示す。図5の処理フローに従って、最適ルートを決定する手順を以下に説明する。
まず、テーブル管理されている蓄積ルート情報のチェックが完了したことが確認される(ステップS201)。開始時には、当然、未完了のルート情報があるので(ステップS201-NO)、蓄積ルート情報から1つのルート情報を取り出し(ステップS203)、これを処理対象とする。図2の例では、端末Bルートの端末Cルートどちらかが、処理対象として取り出される。
本実施形態で採用する最適ルートの決定方法は、中継段数を電界強度に優先させる、即ち、電界強度が低くても中継段数が少なければ、中継段数が少ない方を優先させる、という方法をとる。
従って、次の処理ステップでは、中継段数をまずチェックする。中継段数をチェックするステップは、0,1,2,・・・・,N段と、優先順位の高い方から順に行う。
また、各中継段数ごとに経路の電界強度を調べ、各中継段数で電界強度による順位を付ける。本実施形態では、電界強度が予め決めた所定値‘L’未満か、以上かにより順位を付ける。この結果は、中継段数順・電界強度順に処理対象のルート情報を登録する、図6に示す最適ルート候補テーブルに書込まれる。
【0020】
図5の処理フローでは、まず、中継段数が0であるか、否かをチェックし(ステップS204)、0段であれば、次のステップで、センタ20と直接交信するその端末(図2の例では、端末A11や端末B12のルートであり、端末X14のルートではない)の電界強度が所定値‘L’ 未満か、以上かをチェックする(ステップS205)。
ここで、電界強度が所定値‘L’ 未満であれば、最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数0におけるルート情報の最後にチェック対象のルート情報を登録する(ステップS206)。他方、電界強度が‘L’以上であれば、最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数0におけるルート情報の先頭にチェック対象のルート情報を登録する(ステップS207)。
【0021】
ステップS204で中継段数が0でなければ、次の中継段数1のチェックを行い、中継段数が1であれば、中継段数0におけると同様の電界強度のチェックを行う(ステップS209〜211)。ただし、ルート中の複数経路における電界強度情報があるので、1経路でも電界強度が所定値‘L’ 未満であれば、電界強度が所定値‘L’ 未満に対応する処理を行う(最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数1におけるルート情報の最後にチェック対象のルート情報を登録する)。図2の例では、端末Bルートに対して中継段数1のチェックが行われる。
チェック対象のルート情報は、蓄積ルート情報の管理テーブルから1つずつ取り出され、中継段数N(ステップS212)までの該当する中継段数において、上記した中継段数0,1と同様にチェックされる。図2の例では、端末Cルートに対して中継段数2のチェックが行われる。
【0022】
このようにして、蓄積ルート情報の全部に対するチェックが完了し、即ち、全ルート情報の最適ルート候補テーブル(図6)へ登録が済めば(ステップS201-YES)、最適ルートを決定することが可能になる。そこで、最適ルート候補テーブル(図6)の先頭に登録されたルート情報に示されるルートを最適ルートと決定し(ステップS202)、処理フローを終了する。
【0023】
センタ20は、上記のようにして、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定すると(ステップS107)、決定した最適ルートを端末X14の通信ルートとして設定する。
この設定は、最適ルートとして決定したルート情報を端末X14における、通信ルートを設定するデータを格納する記憶部の記憶場所へ書込むことによる。従って、センタ20は、端末X14の記憶場所への書込みを指示し、決定した最適ルート情報のデータ送信を行う。このとき、端末X14へのデータ送信は、上記した端末Xに対する最適ルートとして決定したルートを逆に、センタ20から端末B12を経由して端末X14へたどるルートを通す。
【0024】
即ち、センタ20は、端末B12を経由する端末X14へのルート指示して、端末B12に最適ルート情報を発信する(ステップS108)。また、センタ20から最適ルート情報を受取った端末B12は、中継機であるから、受取った最適ルート情報を中継して、端末X14に送信する(ステップS109)。
端末X14は、受取った最適ルート情報を指示に従い通信ルートを設定するデータを格納する記憶部の記憶場所へ書込むことにより、最適ルートの設定を済ませる。
【0025】
また、本実施形態に係わる遠隔監視システムは、システムを最適な動作状態に維持する機能を備えている。この機能は、センタ20によって、定常的に各端末からルート情報を取得し、取得したルート情報によって最適ルートを見直し、変更を必要とするルートがあれば、これまでの設定を更新することにより、最適化を図るものである。
このためには、各端末からルート情報を定常的に取得する仕組みを備えておく必要がある。例えば、端末は、適当なタイミングで先に示した経路の通信状態をチェックするテストを行い(例えば、通常の監視動作時における端末からの送信信号の電界強度を取得する)、このテストで新たに電界強度等を取得する手段や、常にノイズ受信状態をモニタすることや通信エラー、誤り率をカウントし、通信状態を示すデータとして取得する手段を備える。
【0026】
さらに、こうした手段によって取得したルート情報を監視動作によって検出した監視データに付加してセンタ20に送信する、といった方法を用いてセンタに通知することができる。この様にすれば、端末が監視動作を行い、センタ20に監視データを送信する度に、最新のルート情報を取得することが可能になり、また、電力消費の面でも有利な方法である。
【0027】
図7は、最適ルートの見直し、最適ルートの変更動作を説明する図である。なお、図4は、図2及び図3の動作で設定したルートを変更する例を示している。
図7に示す例は、経路周囲の環境の変化、或いは端末B12の特性の変化等といった様々な要因で、以前に端末B12への経路の電界強度qが、端末C13への経路よりも大きい、即ち、電界強度q>pであった状態から、電界強度rに悪化し、電界強度r<pとなった場合である。この場合、端末X14は、端末B12への経路の電界強度がrに変化したことを示すルート情報をセンタ20に送る。このルート情報を受取るセンタ20は、端末C13への経路を見直し、端末C13への経路を最適ルートと決定し、この決定に従って、端末X14に設定する最適ルートを変更、修正する。
【0028】
ここで、上記した最適ルートの設定を変更、修正する過程を動作シーケンスに従って説明する。
図8は、ルート情報の更新動作のシーケンス図を示す。なお、図8は、図7に示した、端末B12への経路の電界強度がrに悪化したケースにおけるシーケンスの1例を示すものである。
まず、端末X14は、端末B12への経路の電界強度がrに悪化したことを認識して、端末X側要因による警報発信として、センタ20への通報を行う(ステップS301)。この通報を行う時の通信ルートは、端末B12を中継するルートとする。
【0029】
端末X14からの通報を受取った端末B12は、中継機であるから、この通報を中継して、センタ20に送信する(ステップS302)。ただ、この通報は、端末X側要因による警報発信であるから、端末X14と端末B12間の経路の電界強度が、qからrに変化したことを示すルート情報を付与して通報する。
端末B12からの通報を受取るセンタ20は、警報発信として通報されてきたことを認識し、警報受信処理を行って、更新処理の対象となるルート情報として、「端末Bルート 電界強度(q→r):n」を取り出す(ステップS303)。
【0030】
次いで、センタ20は、先に記憶部21に蓄積された端末Xのルート情報「端末Bルート:電界強度q:n」(図4のS106、参照)を警報受信処理で取り出した更新処理対象のルート情報「端末Bルート 電界強度(q→r):n」によって、更新する(ステップS304)。
【0031】
図8のシーケンスによるルート情報の更新処理により、最適ルートを決定する条件が変わるので、最適ルートを見直し、決定される最適ルートに従い、結果端末X14に設定する最適ルートを書き換え、ルート変更をする。
図9は、ルート変更時の設定動作のシーケンス図を示す。なお、図9は、図8に示したシーケンスに継続して行われる動作シーケンスを示すものである。
【0032】
図9のシーケンスにおいて、更新処理されたルート情報(ステップS305)に基づいて、最適ルートの見直し、即ち、改めて最適ルートの決定処理を行い、決定される最適ルートが現在設定されているルートと異なる場合には、端末X14におけるルート設定の変更を行う。なお、図9に示す実施形態のシーケンスは、電界強度のq→rへの変化により、最適ルートの決定処理において、ルートの優先順位が逆転し、端末Cルートの順位が上になった場合で、ルート設定の変更が必要な場合である。
ただ、このルート設定を変更する際に行う、最適ルートの決定から端末X14へのルート設定までの処理過程(ステップS306〜ステップS308)は、基本的に図4の動作シーケンスにおけるステップS107〜ステップS109と変わりがない。従って、ここでは、説明を省く。
【0033】
端末X14に対するルート設定の変更が行われた後、端末X14からセンタ20への通信ルートは、変更後のルート(本実施形態においては、端末Cルートに変更)を経由して行われるが、実際に監視データを送信する前に、変更したルートを通して次の送信動作を行い、動作を確認することも可能である。
即ち、端末X14は、端末X側要因による警報発信として、センタ20へ「端末Cルートを通して発信を開始する」旨の通報を行う。この通報を行う時の通信ルートは、端末C13及び端末A11を中継するルートであるから、端末X14は、この通報を端末C13に発信する(ステップS310)。
【0034】
端末X14からの通報を受取った端末C13は、中継機であるから、この通報を端末A11に送信する(ステップS311)。さらに、端末C13からの通報を受取った端末A11は、中継機であるから、この通報をセンタ20に送信する(ステップS312)。
端末A11からの通報を受取るセンタ20は、警報発信として通報されてきたことを認識し、警報受信処理を行って、次回以降、端末X14からの受信処理の管理を可能にする(ステップS313)。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係わる遠隔監視システムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
【図2】複数の通信ルートが存在し得るシステムの構成例と、動作を説明する図である。
【図3】最適ルートとして決定した通信ルートを端末Xに設定する動作を説明する図である。
【図4】端末Xへの最適通信ルートの設定動作のシーケンス図を示す。
【図5】電界強度と中継段数を基準に最適ルートを決定する処理のフロー図を示す。
【図6】最適ルートの決定処理に用いる最適ルート候補テーブルを示す。
【図7】最適ルートの見直し、最適ルートを変更する動作を説明する図である。
【図8】ルート情報の更新動作のシーケンス図を示す。
【図9】ルート変更時の設定動作のシーケンス図を示す。
【図10】従来の遠隔監視システムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
【図11】複数の通信ルートが存在し得る従来システムの構成例と、動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
11,110・・・無線端末装置A、 12,120・・・無線端末装置B、
13,130・・・無線端末装置C、 14,140・・・無線端末装置X、
20,200・・・センタ装置、 21・・・記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等の遠隔監視システムを構成する無線端末装置及び該端末装置と監視データを集中管理するセンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遠隔監視システムとして知られている、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等のシステムでは、システム内の各監視装置(メータ)の検出データをそれぞれに設けた端末装置(子機)でセンタ装置(親機)に送信し、ここで監視データやシステムの集中管理を可能としている。
例えば、家庭用のガスや水道メータの検針では、設置されたメータの近傍に無線送受信装置を配置し、無線送受信装置側で取得した検針データを例えば電話回線網を経由してさらにセンタ装置に送信し、センタ側では、送信された検針データに基づき使用量に対する請求書を発行するなどの業務を行っている。
こうした遠隔検針(監視)システムに用いられる検針データ送信装置の1例を下記特許文献1で示す。
特許文献1記載の検針データ送信装置は、メータの検針データを読出し、無線送信する子機と、子機からの検針データを受信する親機とを有する。親機は、更に親機から携帯電話回線網等を通じて基地局への送信を行っている。また、この検針データ送信装置は、子機と親機間の通信試験を実環境で行うための手段を備えている。このテストは、子機と親機を実装位置に設置した状態で、試験電波を発信して、受信した電界強度が適正な範囲であるか、否かを確認することにより、両者間の通信動作の正否をチェック可能にしている。
【0003】
ところで、無線端末装置からセンタ装置(なお、センタ装置との間に親機や基地局等の中継機が入る場合には、これらの中継機でもよい)に監視データを送信する従来システムにおける無線端末装置とセンタ装置を接続する方法としては、直接に接続する場合の外、無線端末装置を中継機として機能させる接続方法がとられている。
図10は、従来システムの無線端末装置とセンタ装置の接続方法を説明する図である。
図10において、端末(単に「端末」と記す場合、「無線端末装置」を指す、以下同様)A110及び端末B120は、直接センタ(単に「センタ」と記す場合、「センタ装置」を指す、以下同様)200と通信可能な端末である。端末A110及び端末B120は、センタ200との間でそれぞれ電界強度m,nの交信が可能である。この電界強度は、例えば、設定時に端末からテスト信号として、基準電波をブロードキャストし、この信号をセンタで受信した時の測定値である。この測定値が通信可能な値として定められた所定値以上であれば、直接センタと交信できる端末として認識される。従って、図10に示す端末A110、端末B120それぞれの電界強度m,nは、上記した条件を満たす値を持つ。
端末C130も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ200との交信可能性をチェックするが、上記した条件を満たす電界強度が得られない。他方、端末A110との間では、電界強度oとなり、交信が可能であるという結果が得られる。そこで、端末A110を中継機として利用し、端末Aを経由して、端末C130のデータをセンタ200に送信することを可能にする。
【0004】
また、図10の従来システムにおいて、さらに端末を付加した例を図11に示す。
図11において、新たに端末X140が設置されると、設定時に端末X140も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ200や他の端末との交信が可能かをチェックするが、センタ200及び端末A110との間は、交信可能な電界強度が得られない(図11中の端末X140を中心に破線で示す部分円は、交信可能な電界強度が得られる範囲を示す)。他方、端末B120及び端末C130との間では、電界強度がそれぞれq,pとなり、交信可能な電界強度が得られる。
図11に示す例では、端末B120、端末C130のどちらもセンタ200へデータを送信するための中継機として利用可能であるが、どちらか1が通信ルートとして決められ、このルートに係わる各端末の記憶部に通信ルートが格納される。端末は、データを送信する際に、記憶部に格納された通信ルートに従って、データをセンタ200に送信する。
図11に示す例では、端末B120を経由する通信ルートは、電界強度q>pで端末C130より大きいので、この通信ルートが選ばれ、端末X140にこの通信ルートが設定される。
【0005】
【特許文献1】特開2004−341648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図11の従来システムにおいて、設定時にテスト信号をブロードキャストし、複数の通信ルートで通信が可能であることが分かっても、通信ルートとして設定されるのは、1のルートで、その後、通信状態が変わり、ルートを見直し、他のルートを設定する場合には、通信テストを含むルートの設定手順を改めて行う必要がある。従って、端末を実装位置に設置した後に、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化があっても、再設定の手順が実行されるまでの間、変化に対応することができない。このために、最適な通信ルートが選択されなかったり、特定の端末に中継が集中し、この端末の電池寿命が極端に短くなる、等の問題が生じ、最適な動作が確保できなくなってしまう。
なお、上記した特許文献1は、実装位置に子機を設置した時の子機と親機間の通信試験に関するもので、通信ルートの設定を意図したものではなく、上記した問題の解決手段を提案するものではない。
本発明は、従来の遠隔監視システムにおける上記した問題点に鑑み、これを解決するためになされたもので、その課題は、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化に対応して、最適な通信動作を可能とする仕組みをシステム上に備えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、無線端末装置同士の通信経路を少なくとも1通信ルートに含む複数の通信ルートを経由して、管理下にある無線端末装置とデータの送受信が可能なセンタ装置であって、前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報を無線端末装置から受取る手段と、受取った前記複数のルート情報を比較することにより、最適な通信ルートを判定するルート判定手段と、判定した最適な通信ルートを無線端末装置に設定するために、最適な通信ルートに係わるルート情報を送信する手段を備えたことを特徴とするセンタ装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたセンタ装置において、前記ルート判定手段は、通信信号の電界強度、通信信号のノイズレベル、経由する無線端末装置の段数及び無線端末装置の中継機としての利用度の少なくとも1つを条件に最適な通信ルートを判定する手段であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたセンタ装置とのデータの送受信が可能な無線端末装置であって、センタ装置への前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報をセンタ装置に通知するルート情報通知手段と、センタ装置から設定された通信ルートに従いデータをセンタ装置に送信する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載された無線端末装置において、他の無線端末装置との間における通信状態を測定し、得られた測定データを送信元に通知する手段を有し、前記ルート情報通知手段は、通信ルート上にある各無線端末装置から通知されてくる測定データを基に通信状態を表すルート情報を作成する手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載された無線端末装置において、前記ルート情報通知手段は、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、各無線端末装置が使用可能な通信ルートが複数あっても、これらのルート情報をセンタ装置で集中管理し、ルート情報をもとに最適ルートを判定し、各無線端末装置に設定し、設定に従ってデータ送信を行うようにしたことで、周囲環境の変化により起こり得る電波状態の変動、或いは、新たな端末の設置によるシステム構成の変化に対応が可能になり、最適な通信動作が得られる。
また、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することで、定常的に各端末からルート情報を取得し、取得したルート情報によって最適ルートを見直し、設定を更新することを可能にしたので、システムを最適な動作状態に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係わる遠隔監視システムを説明する。
本実施形態の遠隔監視システムは、例えば、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常の監視等の遠隔監視システムに適用し得るものである。
この遠隔監視システムは、センタ装置がシステム内の各監視装置(メータ)によって監視(検出)されたデータを集中的に管理する。このため、監視(検出)データは、センタ装置の管理下で、各監視装置(メータ)それぞれに設けた無線端末装置(子機)でセンタ装置(親機)に送信される。従って、各無線端末装置とセンタ装置(なお、センタ装置との間に親機や基地局等の中継機が入る場合には、これらの中継機でもよい)は双方向にデータ通信を可能とする方法で接続される。両者の間を接続する方法としては、直接に接続する場合の外、無線端末装置を中継機として機能させる接続方法がとられる。
【0010】
図1は、本実施形態のシステムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
図1において、端末(単に「端末」と記す場合、「無線端末装置」を指す、以下同様)A11及び端末B12は、直接センタ(単に「センタ」と記す場合、「センタ装置」を指す、以下同様)20と通信可能な端末である。端末A11及び端末B12は、センタ20との間でそれぞれ電界強度m,nの交信が可能である。この電界強度は、端末からテスト信号として、基準電波をブロードキャストし、この信号をセンタで受信した時の測定値である。この測定値が通信可能な値として定められた所定値以上であれば、直接センタと交信できる端末として認識される。従って、図1に示す端末A11、端末B12それぞれの電界強度m,nは、上記した条件を満たす値を持つ。
端末C13も、同様にテスト信号をブロードキャストし、センタ20との交信可能性をチェックするが、上記した条件を満たす電界強度が得られない。他方、端末A11との間では、電界強度oとなり、この端末間の交信が可能であるという結果が得られる。そこで、端末C13は、端末A11を中継機として利用し、端末Aを経由して、データをセンタ20に送信可能とする。
【0011】
各端末とセンタ20を結ぶ通信ルートは、上記のように端末ごとに設定される。ただ、後記でより詳細に説明するように、通信ルートはセンタ20によって設定される。即ち、センタ20は、各端末の通信ルートにおける通信状態を示すルート情報を取得し、これをルート情報記憶部21で管理し、ルート情報に基づいて決定された通信ルートを各端末に設定する。
【0012】
通信ルートの設定について、より詳述すると、システムの基本構成(図1)で説明したように、各端末は、中継機として機能するものであるから、端末の配置等のシステム構成よっては、端末間通信が複数成立するので、1の端末からセンタ20への通信ルートとして、この複数ルートの利用が可能になる。
図2は、複数の通信ルートが存在し得るシステムの構成例と、動作を説明する図である。なお、同図に示す例は、先の基本構成(図1)に、端末X14が付加されている。
図2に示す配置で端末X14が設置されると、端末X14は、テスト信号をブロードキャストし、センタ20や他の端末と交信できるかをチェックするが、センタ20及び端末A11との間は、交信できる電界強度が得られない(図1中の端末X14を中心に破線で示す部分円は、交信可能な電界強度が得られる範囲を示す)。他方、端末B12及び端末C13との間では、電界強度がそれぞれq,pとなり、交信可能な電界強度が得られる。
従って、この例では、端末B12、端末C13のどちらも、センタ200へデータを送信するための中継機として利用可能である。そこで、センタ20は、2つの通信ルートの中、よりよい状態で通信ができるルートの選択を行う。
【0013】
このルートの選択を行うために、端末及びセンタは、経路における通信状態を検出する手段を備え、この検出結果より各ルートの通信状態を示すルート情報として、この情報を管理するセンタ20へ通知する(後記図4のシーケンス、参照)。
センタ20は、各端末11〜14からルート情報を受取り、受取った交信可能な全てのルートのルート情報を記憶部21に記憶し、管理する。ここに、ルート情報は、特定の発信端末からセンタ20までに経由する端末と経路の通信状態(電界強度、ノイズレベル、通信エラー等)を基本的な情報とする。ただ、センタ20は、さらに、各ルートにおいて中継する端末の段数、各端末の中継機としての利用度等を含む形でルート情報を把握し、これらのルート情報を各ルート毎に管理可能な形で記憶部21に格納する。
このように、センタ20は、1の端末からセンタ20への通信ルートとして、複数ルートの利用が可能になる場合に、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定し、決定に従いルート設定を行う機能を持つ。
【0014】
最適ルートの決定は、管理者によって行う方法とセンタ20の装置側で自動的に行う方法が採用できる。
管理者による方法を採る場合には、管理者とのインタフェースとして機能する操作部(図示せず)のディスプレイ画面等を通して、最適ルートの決定に必要な上記したルート情報を提示するようにし、また決定した最適ルートを操作部から入力できるようにする手段を用意する。
センタ20の装置側で自動で最適ルートを決定する場合には、予め決定するために用意した処理手段を用いる。最適ルートを決定するための方法としては、例えば、下記(1)〜(5)に示す基準の少なくとも1つを用いることができる。
(1) 経路の電界強度(強度が大きい方を優先)
(2) 経路のノイズレベル(ノイズレベルの低い方を優先)
(3) 端末の通信エラー又は誤り率のカウント値(エラー率の低い方を優先)
(4) 経由する端末の段数(段数の少ない方を優先)
(5) 経由する端末における中継機としての利用度(利用度の低い方を優先)
センタ20は、上記の基準に従い複数のルートから最適なルートを決定する処理を行う手段(後記図6の処理フロー、参照)を備えることにより、自動で最適ルートを決定する。
【0015】
図2に示す例では、端末B12への経路の電界強度は、端末C13への経路よりも大きい、即ち、電界強度q>pであり、かつ経由する端末の段数も1である(端末C13経由では、段数が2になる)から、端末X14に設定する適切なルートとして、端末B12を経由する通信ルートが、決定される。
センタ20は、最適ルートとして決定した通信ルートを端末X14に設定するために、図3に示すように、端末B12を経由して端末X14に送信する。なお、センタ20は、決定した最適ルートをセンタ内の記憶部に保存し、上記した端末へのルート設定動作に用いる外、センタ20のポーリング動作等に利用する。
センタ20から決定された最適ルートを受取る端末X14は、指示に従ってルート設定をするための記憶場所に最適ルートを格納する。
この後、端末X14は、センタ20からのポーリング着信に応答して、センタ20にデータを送信する際に、端末X14内の記憶場所に格納された最適ルートに従って、指定された中継端末にデータを発信する。
【0016】
ここで、上記した通信ルートの設定過程を動作シーケンスに従って説明する。
図4は、通信ルートの設定動作のシーケンス図を示す。なお、図4は、図2に示したシステム構成において、端末X14に最適通信ルートを設定するための動作シーケンスを示すものである。
まず、端末X14は、センタ20への通信ルート上の端末と経路の通信状態を示すルート情報を得るために、ルート検索を指示する電文をブロードキャストする(ステップS101)。
ブロードキャストされた電文を受けて、経路の通信状態を示す電界強度、ノイズレベル等の情報が端末X14に通知されてくる(電界強度は、端末X14で受信した各端末からの応答信号の時間差から、応答信号の最も早いものはテスト電文の電界強度が強く、遅れの度合い従って弱いことを表す)(ステップS102,S103)。即ち、ここでは、端末B12からは、「端末X→端末B→センタ」のルートにおける電界強度「q:n」が、また、端末C13からは、「端末X→端末C→端末A→センタ」のルートにおける電界強度「p:o:m」が送信されてくる。また、前記端末B12とC13以外の端末からの応答はそれらの応答信号よりも遅れたため無視される。
【0017】
次に、端末X14は、ルート検索により得たルート情報をセンタ20に通知する(図2参照)。このとき、センタ20への通信ルートは、デフォルト設定に従う。
この例では、端末B12を経由するルートがデフォルト設定されているので、端末X14は、端末B12にルート情報を発信する(ステップS104)。なお、通知するルート情報の内容は、端末X14がルート情報として取得した全ての情報(通信ルートの経路を全て特定し、各経路の通信状態を表すデータ)としてもよいが、情報の用途(後述の最適ルートの決定に適用)やデータ量を少なくすることを考えれば、経由する端末B、端末Cの2ルートの情報として、下記(1)、(2)のように、ルート名:電界強度:中継段数で表してもよい。
(1) 端末Bルート:電界強度q:n/中継1段
(2) 端末Cルート:電界強度p:o:m/中継2段
端末X14からルート情報を受取った端末B12は、中継機であるから、受取ったルート情報を中継して、センタ20に送信する(ステップS105)。
センタ20は、端末B12から受取ったルート情報を記憶部21に蓄積し、管理する(ステップS106)。
ここで管理するルート情報は、少なくとも、後記する最適ルートの決定に用いるに足りる情報とし、蓄積されるルート情報をテーブル等の形式で管理する。例えば、上記(1)、(2)の例では、ルート名:電界強度:中継段数をデータとして、テーブル管理する。また、端末がルート情報として取得した全ての情報が通知されてくる場合には、各ルート毎に管理するルート情報として、経路のノイズレベル、端末の通信エラー又は誤り率のカウント値、各ルート毎に管理するルート情報に各端末の中継機としての利用度(特定の端末に利用が偏ると、電池寿命が極端に短くなる)等を含めるようにしてもよい。
【0018】
次に、センタ20は、端末X14に設定する通信ルートとして、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定する(ステップS107)。
最適ルートの決定は、上記[0012]の項に記したように、管理者によって行う方法、或いはセンタ20の装置側で自動的に行う方法が採用可能である。
ここでは、自動で行う方法についての実施形態を示す。
以下に示す最適ルートを決定する方法は、電界強度と中継段数を組み合わせ、中継段数を電界強度に優先させる方法による。
ただ、この方法は、実施形態の1例を示すもので、ルートを決定するための基準として、上記[0012]の項に記した(1)〜(5)の少なくとも1つ、もしくはこれらを適宜の優先順位を付けて組み合わせ、決定する方法によっても実施することが可能である。
【0019】
図5は、電界強度と中継段数を基準に最適ルートを決定する本実施形態の処理フローを示す。図5の処理フローに従って、最適ルートを決定する手順を以下に説明する。
まず、テーブル管理されている蓄積ルート情報のチェックが完了したことが確認される(ステップS201)。開始時には、当然、未完了のルート情報があるので(ステップS201-NO)、蓄積ルート情報から1つのルート情報を取り出し(ステップS203)、これを処理対象とする。図2の例では、端末Bルートの端末Cルートどちらかが、処理対象として取り出される。
本実施形態で採用する最適ルートの決定方法は、中継段数を電界強度に優先させる、即ち、電界強度が低くても中継段数が少なければ、中継段数が少ない方を優先させる、という方法をとる。
従って、次の処理ステップでは、中継段数をまずチェックする。中継段数をチェックするステップは、0,1,2,・・・・,N段と、優先順位の高い方から順に行う。
また、各中継段数ごとに経路の電界強度を調べ、各中継段数で電界強度による順位を付ける。本実施形態では、電界強度が予め決めた所定値‘L’未満か、以上かにより順位を付ける。この結果は、中継段数順・電界強度順に処理対象のルート情報を登録する、図6に示す最適ルート候補テーブルに書込まれる。
【0020】
図5の処理フローでは、まず、中継段数が0であるか、否かをチェックし(ステップS204)、0段であれば、次のステップで、センタ20と直接交信するその端末(図2の例では、端末A11や端末B12のルートであり、端末X14のルートではない)の電界強度が所定値‘L’ 未満か、以上かをチェックする(ステップS205)。
ここで、電界強度が所定値‘L’ 未満であれば、最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数0におけるルート情報の最後にチェック対象のルート情報を登録する(ステップS206)。他方、電界強度が‘L’以上であれば、最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数0におけるルート情報の先頭にチェック対象のルート情報を登録する(ステップS207)。
【0021】
ステップS204で中継段数が0でなければ、次の中継段数1のチェックを行い、中継段数が1であれば、中継段数0におけると同様の電界強度のチェックを行う(ステップS209〜211)。ただし、ルート中の複数経路における電界強度情報があるので、1経路でも電界強度が所定値‘L’ 未満であれば、電界強度が所定値‘L’ 未満に対応する処理を行う(最適ルート候補テーブル(図6)の中継段数1におけるルート情報の最後にチェック対象のルート情報を登録する)。図2の例では、端末Bルートに対して中継段数1のチェックが行われる。
チェック対象のルート情報は、蓄積ルート情報の管理テーブルから1つずつ取り出され、中継段数N(ステップS212)までの該当する中継段数において、上記した中継段数0,1と同様にチェックされる。図2の例では、端末Cルートに対して中継段数2のチェックが行われる。
【0022】
このようにして、蓄積ルート情報の全部に対するチェックが完了し、即ち、全ルート情報の最適ルート候補テーブル(図6)へ登録が済めば(ステップS201-YES)、最適ルートを決定することが可能になる。そこで、最適ルート候補テーブル(図6)の先頭に登録されたルート情報に示されるルートを最適ルートと決定し(ステップS202)、処理フローを終了する。
【0023】
センタ20は、上記のようにして、記憶部21で管理するルート情報に基づいて、最適ルートを決定すると(ステップS107)、決定した最適ルートを端末X14の通信ルートとして設定する。
この設定は、最適ルートとして決定したルート情報を端末X14における、通信ルートを設定するデータを格納する記憶部の記憶場所へ書込むことによる。従って、センタ20は、端末X14の記憶場所への書込みを指示し、決定した最適ルート情報のデータ送信を行う。このとき、端末X14へのデータ送信は、上記した端末Xに対する最適ルートとして決定したルートを逆に、センタ20から端末B12を経由して端末X14へたどるルートを通す。
【0024】
即ち、センタ20は、端末B12を経由する端末X14へのルート指示して、端末B12に最適ルート情報を発信する(ステップS108)。また、センタ20から最適ルート情報を受取った端末B12は、中継機であるから、受取った最適ルート情報を中継して、端末X14に送信する(ステップS109)。
端末X14は、受取った最適ルート情報を指示に従い通信ルートを設定するデータを格納する記憶部の記憶場所へ書込むことにより、最適ルートの設定を済ませる。
【0025】
また、本実施形態に係わる遠隔監視システムは、システムを最適な動作状態に維持する機能を備えている。この機能は、センタ20によって、定常的に各端末からルート情報を取得し、取得したルート情報によって最適ルートを見直し、変更を必要とするルートがあれば、これまでの設定を更新することにより、最適化を図るものである。
このためには、各端末からルート情報を定常的に取得する仕組みを備えておく必要がある。例えば、端末は、適当なタイミングで先に示した経路の通信状態をチェックするテストを行い(例えば、通常の監視動作時における端末からの送信信号の電界強度を取得する)、このテストで新たに電界強度等を取得する手段や、常にノイズ受信状態をモニタすることや通信エラー、誤り率をカウントし、通信状態を示すデータとして取得する手段を備える。
【0026】
さらに、こうした手段によって取得したルート情報を監視動作によって検出した監視データに付加してセンタ20に送信する、といった方法を用いてセンタに通知することができる。この様にすれば、端末が監視動作を行い、センタ20に監視データを送信する度に、最新のルート情報を取得することが可能になり、また、電力消費の面でも有利な方法である。
【0027】
図7は、最適ルートの見直し、最適ルートの変更動作を説明する図である。なお、図4は、図2及び図3の動作で設定したルートを変更する例を示している。
図7に示す例は、経路周囲の環境の変化、或いは端末B12の特性の変化等といった様々な要因で、以前に端末B12への経路の電界強度qが、端末C13への経路よりも大きい、即ち、電界強度q>pであった状態から、電界強度rに悪化し、電界強度r<pとなった場合である。この場合、端末X14は、端末B12への経路の電界強度がrに変化したことを示すルート情報をセンタ20に送る。このルート情報を受取るセンタ20は、端末C13への経路を見直し、端末C13への経路を最適ルートと決定し、この決定に従って、端末X14に設定する最適ルートを変更、修正する。
【0028】
ここで、上記した最適ルートの設定を変更、修正する過程を動作シーケンスに従って説明する。
図8は、ルート情報の更新動作のシーケンス図を示す。なお、図8は、図7に示した、端末B12への経路の電界強度がrに悪化したケースにおけるシーケンスの1例を示すものである。
まず、端末X14は、端末B12への経路の電界強度がrに悪化したことを認識して、端末X側要因による警報発信として、センタ20への通報を行う(ステップS301)。この通報を行う時の通信ルートは、端末B12を中継するルートとする。
【0029】
端末X14からの通報を受取った端末B12は、中継機であるから、この通報を中継して、センタ20に送信する(ステップS302)。ただ、この通報は、端末X側要因による警報発信であるから、端末X14と端末B12間の経路の電界強度が、qからrに変化したことを示すルート情報を付与して通報する。
端末B12からの通報を受取るセンタ20は、警報発信として通報されてきたことを認識し、警報受信処理を行って、更新処理の対象となるルート情報として、「端末Bルート 電界強度(q→r):n」を取り出す(ステップS303)。
【0030】
次いで、センタ20は、先に記憶部21に蓄積された端末Xのルート情報「端末Bルート:電界強度q:n」(図4のS106、参照)を警報受信処理で取り出した更新処理対象のルート情報「端末Bルート 電界強度(q→r):n」によって、更新する(ステップS304)。
【0031】
図8のシーケンスによるルート情報の更新処理により、最適ルートを決定する条件が変わるので、最適ルートを見直し、決定される最適ルートに従い、結果端末X14に設定する最適ルートを書き換え、ルート変更をする。
図9は、ルート変更時の設定動作のシーケンス図を示す。なお、図9は、図8に示したシーケンスに継続して行われる動作シーケンスを示すものである。
【0032】
図9のシーケンスにおいて、更新処理されたルート情報(ステップS305)に基づいて、最適ルートの見直し、即ち、改めて最適ルートの決定処理を行い、決定される最適ルートが現在設定されているルートと異なる場合には、端末X14におけるルート設定の変更を行う。なお、図9に示す実施形態のシーケンスは、電界強度のq→rへの変化により、最適ルートの決定処理において、ルートの優先順位が逆転し、端末Cルートの順位が上になった場合で、ルート設定の変更が必要な場合である。
ただ、このルート設定を変更する際に行う、最適ルートの決定から端末X14へのルート設定までの処理過程(ステップS306〜ステップS308)は、基本的に図4の動作シーケンスにおけるステップS107〜ステップS109と変わりがない。従って、ここでは、説明を省く。
【0033】
端末X14に対するルート設定の変更が行われた後、端末X14からセンタ20への通信ルートは、変更後のルート(本実施形態においては、端末Cルートに変更)を経由して行われるが、実際に監視データを送信する前に、変更したルートを通して次の送信動作を行い、動作を確認することも可能である。
即ち、端末X14は、端末X側要因による警報発信として、センタ20へ「端末Cルートを通して発信を開始する」旨の通報を行う。この通報を行う時の通信ルートは、端末C13及び端末A11を中継するルートであるから、端末X14は、この通報を端末C13に発信する(ステップS310)。
【0034】
端末X14からの通報を受取った端末C13は、中継機であるから、この通報を端末A11に送信する(ステップS311)。さらに、端末C13からの通報を受取った端末A11は、中継機であるから、この通報をセンタ20に送信する(ステップS312)。
端末A11からの通報を受取るセンタ20は、警報発信として通報されてきたことを認識し、警報受信処理を行って、次回以降、端末X14からの受信処理の管理を可能にする(ステップS313)。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係わる遠隔監視システムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
【図2】複数の通信ルートが存在し得るシステムの構成例と、動作を説明する図である。
【図3】最適ルートとして決定した通信ルートを端末Xに設定する動作を説明する図である。
【図4】端末Xへの最適通信ルートの設定動作のシーケンス図を示す。
【図5】電界強度と中継段数を基準に最適ルートを決定する処理のフロー図を示す。
【図6】最適ルートの決定処理に用いる最適ルート候補テーブルを示す。
【図7】最適ルートの見直し、最適ルートを変更する動作を説明する図である。
【図8】ルート情報の更新動作のシーケンス図を示す。
【図9】ルート変更時の設定動作のシーケンス図を示す。
【図10】従来の遠隔監視システムの基本構成を示し、動作を説明する図である。
【図11】複数の通信ルートが存在し得る従来システムの構成例と、動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
11,110・・・無線端末装置A、 12,120・・・無線端末装置B、
13,130・・・無線端末装置C、 14,140・・・無線端末装置X、
20,200・・・センタ装置、 21・・・記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末装置同士の通信経路を少なくとも1通信ルートに含む複数の通信ルートを経由して、管理下にある無線端末装置とデータの送受信が可能なセンタ装置であって、
前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報を無線端末装置から受取る手段と、
受取った前記複数のルート情報を比較することにより、最適な通信ルートを判定するルート判定手段と、
判定した最適な通信ルートを無線端末装置に設定するために、最適な通信ルートに係わるルート情報を送信する手段を備えたことを特徴とするセンタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたセンタ装置において、
前記ルート判定手段は、通信信号の電界強度、通信信号のノイズレベル、経由する無線端末装置の段数及び無線端末装置の中継機としての利用度の少なくとも1つを条件に最適な通信ルートを判定する手段であることを特徴とするセンタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたセンタ装置とのデータの送受信が可能な無線端末装置であって、
センタ装置への前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報をセンタ装置に通知するルート情報通知手段と、
センタ装置から設定された通信ルートに従いデータをセンタ装置に送信する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載された無線端末装置において、
他の無線端末装置との間における通信状態を測定し、得られた測定データを送信元に通知する手段を有し、
前記ルート情報通知手段は、通信ルート上にある各無線端末装置から通知されてくる測定データを基に通信状態を表すルート情報を作成する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された無線端末装置において、
前記ルート情報通知手段は、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することを特徴とする無線端末装置。
【請求項1】
無線端末装置同士の通信経路を少なくとも1通信ルートに含む複数の通信ルートを経由して、管理下にある無線端末装置とデータの送受信が可能なセンタ装置であって、
前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報を無線端末装置から受取る手段と、
受取った前記複数のルート情報を比較することにより、最適な通信ルートを判定するルート判定手段と、
判定した最適な通信ルートを無線端末装置に設定するために、最適な通信ルートに係わるルート情報を送信する手段を備えたことを特徴とするセンタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたセンタ装置において、
前記ルート判定手段は、通信信号の電界強度、通信信号のノイズレベル、経由する無線端末装置の段数及び無線端末装置の中継機としての利用度の少なくとも1つを条件に最適な通信ルートを判定する手段であることを特徴とするセンタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたセンタ装置とのデータの送受信が可能な無線端末装置であって、
センタ装置への前記複数の通信ルートにおける通信状態を表すルート情報をセンタ装置に通知するルート情報通知手段と、
センタ装置から設定された通信ルートに従いデータをセンタ装置に送信する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載された無線端末装置において、
他の無線端末装置との間における通信状態を測定し、得られた測定データを送信元に通知する手段を有し、
前記ルート情報通知手段は、通信ルート上にある各無線端末装置から通知されてくる測定データを基に通信状態を表すルート情報を作成する手段を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された無線端末装置において、
前記ルート情報通知手段は、センタ装置へデータを送信する度に、最新のルート情報を通知することを特徴とする無線端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−287468(P2006−287468A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102912(P2005−102912)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(505119003)株式会社ジェイエイ・エルピーガス情報センター (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(505119003)株式会社ジェイエイ・エルピーガス情報センター (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]