説明

無線装置およびその方法

【課題】無線システムのシステム容量を増大できる。
【解決手段】宛先が他の無線装置であって、受信状況に関する情報を要求するための要求信号を受信する手段120と、干渉量を計測する計測手段140と、干渉量を通知するための通知信号の送信に使用するサブキャリアを、干渉量に応じて選択する手段150と、要求信号を受信してから第1期間が経過した後に、要求信号を送信した無線装置へ、選択されたサブキャリアを用いて通知信号を送信する手段130とを備えることを特徴とする無線装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線システムのシステム容量を増大させるための技術として、SDMA(Space Division Multiple Access)方式がある。SDMA方式では、各無線装置は、通信に使用するビームパターンを選択する。このビームパターンの選択方法によっては、無線システムのシステム容量が増大しないことがあった。そこで、各無線装置が、無線システム全体を考慮したうえで、通信に使用するビームパターンを選択する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示される技術では、干渉を受けた無線装置は、その干渉を及ぼした無線装置に対して、干渉を抑制するためのフィードバックを行う。しかしながら、周りに干渉の影響を与える無線装置が複数存在する場合に、フィードバックに要する時間が長くなるという問題がある。また、干渉を受ける複数の無線装置からのフィードバックを考慮したビームパターン選択処理が煩雑となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−267281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであって、無線システムのシステム容量を増大できる無線装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る無線装置は、複数のサブキャリアを使用して通信を行う無線装置であって、宛先が他の無線装置であって、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号を受信する受信手段と、前記要求信号の受信電力を計測する計測手段と、前記計測された受信電力から、前記他の無線装置へ送信された前記要求信号による干渉について干渉情報を生成する生成手段と、前記干渉情報を通知するための通知信号の送信に使用するサブキャリアを、前記干渉情報に応じて、選択する選択手段と、前記要求信号を受信してから第1期間が経過した後に、前記要求信号を送信した無線装置へ、選択されたサブキャリアを用いて前記通知信号を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線システムのシステム容量を増大できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線システムを示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線装置Aの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線装置C、D、Eの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無線システムのシーケンス図。
【図5】干渉量の大きさに応じて各サブキャリアに割り当てられた通知信号を示す図。
【図6】ビームパターンに応じて各サブキャリアに割り当てられた通知信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線システムを示す図である。無線システムは、無線装置A〜Eを有する。以下では、無線装置Aが無線装置Bへデータを送信する場合を考える。
【0011】
図2は、無線装置Aの構成を示すブロック図である。
【0012】
無線装置Aは、アンテナ10と、受信部20と、送信部30と、解析部40と、記憶部50と、送信制御部60と、フレーム作成部70とを備える。
【0013】
受信部20は、他の無線装置からアンテナ10を介してフレームを受信する。
【0014】
送信部30は、他の無線装置へアンテナ10を介してフレームを送信する。
【0015】
解析部40は、受信部20で受信したフレームの内容を解析する。解析部40は、自無線装置から送信するフレームが宛先の無線端末にいかに受信されるか(受信状況)について解析する。解析部40は、自無線装置から送信するフレームが宛先の無線端末以外に及ぼす干渉について解析する。
【0016】
記憶部50は、解析部40によって解析された情報を記憶する。記憶部50は、自無線装置から送信するフレームが宛先の無線端末にいかに受信されるかに関する情報、例えば、宛先の無線装置におけるフレームの受信電力や、自無線装置と宛先の無線装置との間のチャネル情報、宛先の無線装置の受信能力などを記憶する。記憶部50は、自無線装置から送信するフレームが宛先の無線端末以外に及ぼす干渉に関する情報、例えば、フレームを送信したときの宛先の無線端末以外における受信電力や、フレームを送信する際に用いるビームパターン(指向性を有する電波)ごとに、フレームを送信したときの宛先の無線端末以外における受信電力を記憶する。
【0017】
送信制御部60は、記憶部50に記憶される情報を元に、フレームを送信する際に用いるビームパターンの選択を行う。
【0018】
フレーム作成部70は、上位層からの要求に応じてデータフレームを作成する。フレーム作成部70は、宛先の無線装置へどのようなビームパターンでフレームを送信するかを決定するために、宛先の無線装置における受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号を作成する。
【0019】
図3は、無線装置C〜Eの構成を示すブロック図である。
【0020】
無線装置C〜Eは、アンテナ110と、受信部120と、送信部130と、計測部140と、干渉通知部150とを有する。
【0021】
受信部120は、他の無線装置からアンテナ110を介してフレームを受信する。
【0022】
送信部130は、他の無線装置へアンテナ110を介してフレームを送信する。
【0023】
計測部140は、宛先が他の無線装置であって、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号の受信電力(干渉量)を計測する。計測部140は、宛先が他の無線装置である要求信号を送信する際に用いられたビームパターンごとに、要求信号を受信したときの受信電力(干渉量)を計測する。
【0024】
干渉通知部150は、計測部140によって計測された要求信号の受信電力を、要求信号の送信元である無線装置へ通知する。干渉通知部150は、計測部140によって計測された受信電力から、干渉情報を生成する。干渉情報とは、宛先が他の無線装置である要求信号を受信したときにおいて、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号の受信電力についての情報であって、要求信号を送信する際に用いられたビームパターンごとに定められる。干渉通知部150は、干渉情報を要求信号の送信元である無線装置へ通知するための通知信号を生成する。干渉通知部150は、通知信の送信に使用するサブキャリアを、干渉情報に応じて選択する。干渉通知部150は、要求信号の受信電力に応じて、また、要求信号が送信されたビームパターンに応じて、サブキャリアを選択する。
【0025】
図4は、無線装置Aが無線装置Bへデータを送信する際の動作を示すシーケンス図である。
【0026】
まず、無線装置Aの上位層から、データの送信要求が発生する(ステップS101)。
【0027】
次に、無線装置Aのフレーム作成部70は、データフレームの送信に用いるビームパターンを選択するための情報を取得するために、要求信号を作成する。要求信号とは、宛先の無線装置Bにおける受信状況に関するフィードバックを要求するための信号であればよく、例えばサウンディングフレームである。宛先の無線装置Bにおける受信状況とは、チャネル応答(チャネル行列)や、無線装置Aから送信した信号(要求信号を含む)の受信電力、無線装置Aからあるビームパターンを用いて送信した信号(要求信号を含む)の受信電力、キャパシティなどである。
【0028】
[要求期間]
次に、無線装置Aの送信制御部60は、送信部30を制御し、送信に用いるビームパターンを変えながら、無線装置Bへ、要求信号を連続して送信する。
【0029】
次に、要求信号の宛先である無線装置Bと、要求信号の宛先でない無線装置C、Eとは、無線装置Aからビームパターンごとに送信された要求信号を、受信する。無線装置Dは、無線装置Aからビームパターンごとに送信された要求信号を受信しなかったとする。なお、無線装置B〜Eは、無指向で待機している。
【0030】
[応答期間]
次に、無線装置Bは、無線装置Aからビームパターンごとに送信された要求信号の受信電力を計測する(ステップS102)。
【0031】
次に、無線装置Bは、ビームパターンごとに送信された要求信号のそれぞれの受信電力を記載した応答信号を、無線装置Aへ返信する。応答信号には、要求信号が送信されたビームパターンのうち要求信号の受信電力、チャネル応答、あるいはキャパシティが最大となったビームパターンを記載してもよい。応答信号には、要求信号が送信されたビームパターンのうち要求信号の受信電力チャネル応答、あるいはキャパシティが予め定めた閾値以上となったビームパターンを記載してもよい。応答信号には、要求信号が送信されたビームパターンのうち要求信号の受信電力、チャネル応答、あるいはキャパシティが予め定めた閾値以上となったビームパターンを受信電力の大きい順に並べたものを記載してもよい。
【0032】
[通知期間]
一方、無線装置C、Eの計測部140は、無線装置Aからビームパターンごとに送信された要求信号の受信電力(干渉量)を計測する(ステップS103)。
【0033】
次に、無線装置C、Eは、要求信号を受信してから所定期間が経過した後、無線装置Aが無線装置Bへ送信した要求信号によって生じた干渉に関する情報(以下、干渉情報と呼ぶ)を通知するための通知信号を、無線装置Aへ送信する。以下、無線装置C、Eが通知信号を送信する方法の詳細について説明する。
【0034】
無線装置C、Eの受信部120は要求信号を受信する。無線装置C、Eの計測部140は、無線装置Aから各ビームパターンで送信された要求信号の受信電力(干渉量)を計測する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、計測部140の計測結果を元に、干渉量を示す通知信号をビームパターンごとに作成する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、各通知信号によって示される干渉量の大小に応じて、当該通知信号を送信するために使用するサブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、送信部130を制御し、要求信号を受信してから所定期間が経過した後予め定められたタイミングで、ビームパターンごとに作成した通知信号を、選択したサブキャリアを用いて、無指向の電波で連続して送信する。同一のビームパターンに係る通知信号を送信するタイミングは、無線装置Cと無線装置Eとで同一である。
【0035】
以下に、無線装置C、Eの干渉通知部150がサブキャリアを選択する方法について説明する。図5(a)は、無線装置Cが選択したサブキャリアを示す図である。図5(b)は、無線装置Eが選択したサブキャリアを示す図である。図5(c)は、無線装置Aが受信する通知信号を示す図である。図5(a)、(b)、(c)では、実際に信号の送受信がなされているサブキャリアを実線で示し、信号の送受信がなされていないサブキャリアを破線で示す。
【0036】
無線装置C、Eの干渉通知部150は、無線装置Aからあるビームパターンで送信された要求信号の受信電力(干渉量)の大きさに応じて、通知信号の送信に用いるサブキャリアを選択する。
【0037】
無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第1閾値未満である場合には第1サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第1閾値以上であり第2閾値未満である場合には第2サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第2閾値以上であり第3閾値未満である場合には第3サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第3閾値以上であり第4閾値未満である場合には第4サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第4閾値以上であり第5閾値未満である場合には第5サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第5閾値以上であり第6閾値未満である場合には第6サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第6閾値以上であり第7閾値未満である場合には第7サブキャリアを選択する。無線装置C、Eの干渉通知部150は、干渉量が第7閾値以上である場合には第8サブキャリアを選択する。
【0038】
図5(a)に示すように、無線装置Cは、要求信号の受信電力(干渉量)が第2閾値以上であり第3閾値未満である場合には第3サブキャリアを選択する。図5(b)に示すように、無線装置Eは、要求信号の受信電力(干渉量)が第6閾値以上であり第7閾値未満である場合には第7サブキャリアを選択する。
【0039】
図5(c)に示すように、無線装置Aは、無線装置Cから送信された要求信号と、無線装置Eから送信された要求信号とをあわせて受信する。無線装置C、Eは、選択したサブキャリアをもちいて、所定の送信電力で、要求信号を送信する。無線装置Aと無線装置Cとの距離は短いため、無線装置Cから送信された要求信号の受信電力は大きい。一方、無線装置Aと無線装置Eとの距離は長いため、無線装置Eから送信された要求信号の受信電力は小さい。
【0040】
無線装置Aは、他の無線装置(ここでは、無線装置C、E)から送信された要求信号の各サブキャリアの受信電力から、周囲の端末の干渉量を把握することがきる。無線装置Aは、いずれの無線装置がどの程度の干渉を受けているのかを把握するのではなく、周囲の無線装置合計でどの程度の干渉を受けているのかを把握する。
【0041】
無線装置A〜Eの一連のやり取りは、図4で示すように、[要求期間]無線装置Aが各ビームパターンを用いて要求信号を無線装置Bへ送信する、[応答期間]無線装置Bが各ビームパターンに係る要求信号の受信電力が記載された応答信号を無線装置Aへ返信する、[通知期間]無線装置C、Eがビームパターンごとの干渉量を通知するための通知信号を無線装置Aへ送信する、となっている。
【0042】
しかし、[要求期間]無線装置Aが1つのビームパターンを用いて要求信号を無線装置Bへ送信する、[応答期間]無線装置Bが1つのビームパターンに係る要求信号の受信電力が記載された応答信号を無線装置Aへ返信する、[通知期間]無線装置C、Eが1つのビームパターンによる干渉量を通知するための通知信号を無線装置Aへ送信する、というルーチンをビームパターン数だけ繰り返しても良い。
【0043】
また、[要求期間]無線装置Aが1つのビームパターンを用いて要求信号を無線装置Bへ送信する、[応答期間]無線装置Bが1つのビームパターンに係る要求信号の受信電力が記載された応答信号を無線装置Aへ返信する、というルーチンをビームパターン数だけ繰り返し、[通知期間]無線装置C、Eがビームパターンごとの干渉量を通知するための通知信号を無線装置Aへ送信する、としても良い。
【0044】
[通信期間]
無線装置Aの受信部20は、無線装置Bから応答信号を受信し、無線装置C、Eから通知信号を受信する。無線装置Aの解析部40は、受信した信号から、無線装置Bにおける受信状況に関する情報や、無線装置C、Eに与える干渉に係る情報を解析する。無線装置Aの解析部40は、応答信号に記載された内容や、通知信号に記載された内容、通知信号がいずれのサブキャリアで送信されたか、通知信号の各サブキャリアにおける受信電力などを用いて解析する。無線装置Aの記憶部50は、解析部40によって解析された情報を記憶する。無線装置Aの送信制御部60は、記憶部50に記憶された情報を元に、データの送信に使用するビームパターンを選択する(ステップS104)。
【0045】
無線装置Aの送信制御部60は、要求信号の送信に使用したビームパターンの中で、無線装置Bにおける要求信号の受信電力が閾値以上であるビームパターンのうち、周囲の無線装置へ与える干渉量が最も少ないビームパターンを選択する。
【0046】
周囲の無線装置へ与える干渉量は、各サブキャリア1〜8の受信電力と、各サブキャリア1〜8に定められた重み付け値とを、それぞれ掛け合わせて、総和をとることによって求められる。例えば、図5(c)において、第1サブキャリアの重み付け値を最小の値とし、第8サブキャリアの重み付け値を最大の値として、サブキャリアの番号が大きくなるにつれて大きな重み付け値を設定する。これらの重み付け値と、各サブキャリアでの受信電力とを、それぞれ掛け合わせて、総和をとることによって干渉量を算出する。
【0047】
無線装置Aの送信制御部60は、要求信号の送信に使用したビームパターンの中で、周囲の無線装置へ与える干渉量が閾値以下であるビームパターンのうち、無線装置Bにおける要求信号の受信電力が最大であるビームパターンを選択しても良い。
【0048】
無線装置Aの送信制御部60は、要求信号の送信に使用したビームパターンの中で、無線装置Bにおける要求信号の受信電力が閾値以上であるビームパターンのうち、各サブキャリアの重み付け値を同一の値(例えば、“1”)とした干渉量の合計値が一番小さいビームパターンを選択しても良い。このように選択をすると、干渉を与える端末数を最小に出来るという利点がある。このとき、干渉量は、各サブキャリアの受信電力の総和から求められる。
【0049】
無線装置Aの送信制御部60は、上記選択方法に限らず、要求信号の送信に使用したビームパターンの中で、無線装置Bにおける要求信号の受信電力が所望の閾値以上であるビームパターンが1つしか存在しない場合、周囲の無線装置へ与える干渉量に関わらず、その1つのビームパターンを選択する。
【0050】
無線装置Aが要求信号を送信する際に用いるビームパターンによっては、周囲に存在する無線装置(例えば、無線装置D)が、要求信号をまったく受信しないことがある。この場合、無線装置Aが要求信号をビームパターンごとに送信するタイミング、及び各ビームパターンに対して通知信号を送信するタイミングを予め決めておけば、無線装置Dは、要求信号を受信しないときに何ら信号を送信しないことで、干渉量“0”を無線装置Aへ通知することと等価となる。
【0051】
このように、第1の実施形態に係る無線装置によれば、無線装置Aからの要求信号を受信してから予め定められたタイミングで、無線装置C、Eが干渉量に応じたサブキャリアによって干渉量を通知するための通知信号を送信することで、周囲に存在する無線装置へ与える干渉を低減させるようなビームパターンの選択を可能とする。そのため、無線システム全体のシステム容量(無線システム全体のスループットの合計)を向上させることができる。
【0052】
データの送信側である無線装置Aから送信された要求信号に対して、データの受信側である無線装置Bが応答信号を返信したあと、データの送受信に関わらない無線装置C、Eが同時に通知信号を送信することで、SDMAでデータを送信する無線装置Aの周囲に存在する無線装置の台数が増えた場合であっても、無線装置Aと、それら周囲に存在する無線装置との間で干渉に関する情報のやり取りを少なくすることができ、オーバーヘッドを減少させることができる。
【0053】
上記第1の実施形態では、無線装置C、Eの干渉通知部150は、無線装置Aから各ビームパターンで送信された要求信号の受信電力(干渉量)の大きさに応じて、通知信号の送信に用いるサブキャリアを選択するものとした。
【0054】
しかし、無線装置C、Eの干渉通知部150は、無線装置Aから要求信号が送信される際に用いられたビームパターンに応じて、通知信号の送信に用いるサブキャリアを選択することとしても良い。
【0055】
図6は、無線装置C、Eが送信する通知信号の一例を示す図である。なお、ここでは、無線装置Aは、8つのビームパターン(第1番〜第8番のビームパターン)によって、要求信号を送信したものとする。
【0056】
無線装置C、Eの干渉通知部150は、無線装置Aから第1番〜第8番のビームパターンで送信された要求信号の受信電力(干渉量)を通知するための通知信号を、第1〜第8サブキャリアによって無線装置Aへ送信する。
【0057】
無線装置C、Eは、無線装置Aから第1番〜第8番のビームパターンで送信された要求信号の受信電力(干渉量)の大きさに応じて、通知信号を送信する際の送信電力を決定する。
【0058】
なお、無線装置Aが要求信号を送信する際に用いる各ビームパターンと、無線装置C、Eが通知信号を送信するサブキャリアとの対応関係は、予め定められている。また、無線装置C、Eが受けた干渉量の大きさと、通知信号を送信する際の送信電力との関係も、予め定められている。無線装置C、Eは、干渉量が大きいほど、通知信号を送信する際の送信電力を大きくする。
【0059】
無線装置C、Eは、無線装置Aから各ビームパターンで送信された要求信号のうち、その受信電力が閾値以上である要求信号による干渉量のみを、無線装置Aへ送信しても良い。この場合、無線装置C、Eは、要求信号の受信電力が閾値未満であるビームパターンに対応するサブキャリアでは、通知信号を送信しない。
【0060】
上記第1の実施形態では、データの受信側である無線装置Bは、無指向で待機していた。
【0061】
しかし、無線装置Bは、指向性を持って待機しても良い。無線装置Bは、無線装置Aから送信された要求信号を、全ビームパターンで受信することで最適なビームパターンを選択できる。
【0062】
また、無線装置Bは、要求信号を送信することで、無線装置Aや、周知の無線装置C〜Eの干渉情報を取得し、これらの情報を元に最適なビームパターンを選択しても良い。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
A、B、C、D、E・・・無線装置
10、110・・・アンテナ
20、120・・・受信部
30、130・・・送信部
40・・・解析部
50・・・記憶部
60・・・送信制御部
70・・・フレーム作成部
140・・・計測部
150・・・干渉通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブキャリアを使用して通信を行う無線装置であって、
宛先が他の無線装置であって、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号を受信する受信手段と、
前記要求信号の受信電力を計測する計測手段と、
前記計測された受信電力から、前記他の無線装置へ送信された前記要求信号による干渉について干渉情報を生成する生成手段と、
前記干渉情報を通知するための通知信号の送信に使用するサブキャリアを、前記干渉情報に応じて、選択する選択手段と、
前記要求信号を受信してから第1期間が経過した後に、前記要求信号を送信した無線装置へ、選択されたサブキャリアを用いて前記通知信号を送信する送信手段とを備えることを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記無線装置が前記通知信号を送信する期間と、
前記要求信号の宛先でなく前記要求信号を受信した第1無線装置が前記通知信号を送信する期間とが、重複することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記無線装置が前記要求信号を受信してから前記通知信号を送信するまでの前記第1期間と、前記第1無線装置が前記要求信号を受信してから前記通知信号を送信するまでの1期間とが同一であることを特徴とする請求項2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記第1期間には、前記要求信号の送信に要する期間と、前記要求信号の宛先である無線装置が前記要求信号に応じてフィードバックを行うのに要する期間とが含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記要求信号の受信電力が閾値以上であれば第1サブキャリアを選択し、前記要求信号の受信電力が閾値未満であれば第2サブキャリアを選択することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項6】
前記受信手段は、第1ビームパターンによって送信された前記要求信号と、第2ビームパターンによって送信された前記要求信号とを受信し、
前記計測手段は、前記要求信号の受信電力をビームパターンごとに計測し、
前記干渉情報は、ビームパターンごとの前記要求信号の受信電力を示す情報であって、
前記選択手段は、前記第1ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力を通知するための第1通知信号の送信に使用する第1サブキャリアを選択するとともに、前記第2ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力を通知するための第2通知信号の送信に使用する第2サブキャリアを選択し、
前記送信手段は、前記第1サブキャリアを用いて前記第1通知信号を送信するとともに、前記第2サブキャリアを用いて前記第2通知信号を送信することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
前記送信手段は、
前記第1ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力が閾値未満である場合に前記第1通知信号を送信せず、前記第1ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力が閾値以上である場合に前記第1通知信号を送信し、
前記第2ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力が閾値未満である場合に前記第2通知信号を送信せず、前記第2ビームパターンによって送信された前記要求信号の受信電力が閾値以上である場合に前記第2通知信号を送信することを特徴とする請求項6に記載の無線装置。
【請求項8】
複数のサブキャリアを使用して通信を行う無線装置であって、
第1無線装置へ、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号をビームパターンを変えながら複数回送信する送信手段と、
前記第1無線装置からフィードバックを応答するための応答信号を受信する手段と、
前記第1無線装置以外の無線装置であって前記要求信号を受信した他の無線装置から、前記要求信号を送信することによって前記他の無線装置へ及ぼす干渉に関する情報を通知するための通知信号を複数のサブキャリアで受信する手段と、
前記通知信号のサブキャリアごとの受信電力、および前記応答信号に応じて、前記第1無線装置へデータを送信する際に用いるビームパターンを選択する選択手段とを備え、
前記送信手段は、前記選択手段によって選択されたビームパターンを用いて前記第1無線装置へデータを送信することを特徴とする無線装置。
【請求項9】
前記選択手段は、前記要求信号を送信する際に用いたビームパターンの中で、前記他の無線装置へ及ぼした干渉が閾値未満となったビームパターンのうち、前記応答信号で示される受信状況が最良の状態であるビームパターンを選択することを特徴とする請求項8に記載の無線装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記要求信号を送信する際に用いたビームパターンの中で、前記応答信号で示される受信状況が所定条件以上に良いビームパターンのうち、前記他の無線装置へ及ぼした干渉が最小のビームパターンを選択することを特徴とする請求項8に記載の無線装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記要求信号を送信する際に用いたビームパターンの中で、前記応答信号で示される受信状況が所定条件以上に良いビームパターンのうち、前記他の無線装置へ及ぼした干渉が最大のビームパターンを選択することを特徴とする請求項8に記載の無線装置。
【請求項12】
複数のサブキャリアを使用して通信を行う無線装置の通信方法であって、
宛先が他の無線装置であって、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号を受信し、
前記要求信号の受信電力を計測し、
前記計測された受信電力から、前記他の無線装置へ送信された前記要求信号による干渉について干渉情報を生成し、
前記干渉情報を通知するための通知信号の送信に使用するサブキャリアを、前記干渉情報に応じて、選択し、
前記要求信号を受信してから第1期間が経過した後に、前記要求信号を送信した無線装置へ、選択されたサブキャリアを用いて前記通知信号を送信することを特徴とする通信方法。
【請求項13】
複数のサブキャリアを使用して通信を行う無線装置の通信方法であって、
第1無線装置へ、受信状況に関するフィードバックを要求するための要求信号をビームパターンを変えながら複数回送信し、
前記第1無線装置からフィードバックを応答するための応答信号を受信し、
前記第1無線装置以外の無線装置であって前記要求信号を受信した他の無線装置から、前記要求信号を送信することによって前記他の無線装置へ及ぼす干渉に関する情報を通知するための通知信号を複数のサブキャリアで受信し、
前記通知信号のサブキャリアごとの受信電力、および前記応答信号に応じて、前記第1無線装置へデータを送信する際に用いるビームパターンを選択し、
選択されたビームパターンを用いて前記第1無線装置へデータを送信することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−171816(P2010−171816A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13510(P2009−13510)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】