説明

無線資産識別および位置特定

複数の基準位置タグと複数の資産識別タグとを含み、それぞれの基準位置タグと資産識別タグがタグの範囲を制御できる送受信機と、固有のタグ識別番号と、ネットワークに接続された複数の資産識別および位置特定探索ユニットを有し、それぞれの資産識別および位置特定探索ユニットが資産識別タグおよび基準位置タグからの信号の送信および受信またはそのいずれかを行う、資産識別および位置特定システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は資産の位置の特定に関する。特に本発明は、資産の上に置かれた、既知の位置にある他の無線タグと通信する無線タグから、データが収集される、資産の位置の特定に関する。
【背景技術】
【0002】
資産の位置に関する情報の欠如のため、施設内の資産の位置特定は面倒で時間の掛かる場合が多い。作業員が時間を資産の探索に使うことが必要なため生産性の損失が生じる。これらの資産が設備である場合、設備の利用時間と便益が減少する。これらの資産が仕掛品または完成品である場合、遅延が発生し、製品が顧客に遅れて出荷される結果となる。
【0003】
個々人が資産を探すことに由来する非効率を取り除くために、多くの組織は資産位置特定システムを設置しようとしてきた。資産位置特定システムは、資産の位置が継続的に実時間またはほぼ実時間で更新されるシステムである。これらのシステムは一般的に何らかの形で資産に固定または付されたしるしを含む。このようなしるしの1つが無線個体識別(RFID)タグである。これらのシステムは一般的に固定点受信機のネットワーク、あるいは質問機、を使用するが、これは連続的に送信しているタグからデータを受信するか、または一定間隔でタグに質問する。
【0004】
この型のシステムの1つの大きな問題は、このシステムを稼働させるのに必要なインフラストラクチャを実現するための費用である。施設が大規模な場合、システムを実現できないほどこの費用は高い。
【0005】
この型のシステムの第二の問題は、無線信号が金属性の環境においてマルチパスイベントを蒙ることである。送信する対象物と受信する対象物との間の距離が増加するにつれ、信号の信頼性が下がる結果となる。タグと受信機との距離を減らすためには、もっと多くの質問機を追加する必要があり、これはインフラストラクチャの費用を増加させる。
【0006】
より良い解の1つが基準位置タグ使用を導入することである。このようなシステムの1つがFrancis 他の特許文献1に開示されている。Francis他は資産と戦略的固定位置との両方にRFIDタグにおける使用を開示している。対象物を動かすためのフォークリフトは資産の特定と位置特定との両方を(資産上のRFIDタグを使って)記録する質問機を含む。固定位置と資産とからのRFIDタグを使用することにより、資産の位置をフォークリフトにあるデータベースに保存できる。
【0007】
Francis他のシステムの1つの問題は質問機がフォークリフトにあることである。このことは、資産をフォークリフトまたはそのような移動設備で動かさない場合に、システムの能力を制限する。
【0008】
別のシステムがHellerの特許文献2に開示されている。このシステムは対象物の位置を特定するために無線(RF)と赤外線(IR)とを送信するタグを使用する。この実施方法は位置を特定するためにタグとIR受信機との間に見通し通信を必要とし、これは多くの施設で実用的でない。
【0009】
他のシステムとしてKlowakの特許文献3がある。Klowakは位置特定タグと移動資産位置検索システムの使用とを開示している。このシステムはその識別情報を定期的に送信する位置特定タグを使用する。システム中の資産タグは識別された最後の位置特定タグを記録し、この識別情報を自身の識別情報と共に定期的に送信する。移動資産位置検索システムは、この送信の際に範囲内にいるとき、これらの定期的送信を受信する。このシステムの1つの問題は検索システムが移動することである。この装置がいつもその領域にいるとは限らないので、資産が移動されても位置情報が更新されるまで長時間経過する場合が多く発生し得る。さらに多くの環境が、位置データを定期的にまたは妥当な間隔で収集できるようなパターンで移動する移動装置を有しない。
【0010】
Klowakの第二の問題は、資産タグが位置特定タグとの最後の通信に基づいて位置を判定することである。位置特定タグからの距離を判定する、あるいは複数の位置特定タグからの情報を収集する手段がない。開放環境(open environment)では資産タグからの距離が異なる複数の位置特定タグが検出され得る。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,600,418号
【特許文献2】米国特許第6,154,139号
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0012480号
【発明の開示】
【0012】
本発明は、移動質問機を使用しない資産位置特定システムに比べてインフラストラクチャの費用を低減した資産位置特定システムを提供する。本発明はまた、位置特定タグと資産タグ情報が共に同じ受信機または質問機に送られるシステムに比べて、位置特定タグからのより正確な位置特定情報を提供する資産位置特定システムを提供する。
【0013】
本発明は無線タグからデータを収集するための方法を提供する。それぞれがデータの送信と受信ができ、それぞれが固有の識別コードにより識別できる複数の無線タグが提供される。無線タグの最初の1つがデータを送信し、無線タグの少なくとも1つの他のタグがデータを受信し、その固有の識別コードに関連する情報を含むさらなるデータを送信することにより応答する。最初の無線タグはこのさらなるデータを受信し、最初の無線タグの固有の識別コードに関連する情報と応答した無線タグのそれぞれの固有の識別コードに関連する情報とを含むなおさらなるデータを送信する。受信ユニットはこのなおさらなるデータを受信する。
【0014】
別の態様において、本発明はデータを送信および受信することができる、対象の無線タグの位置を特定するための方法を提供する。データを送受信でき、固有の識別コードにより識別できる少なくとも1つの他の無線タグが提供される。この対象の無線タグがデータを送信し、少なくとも1つの他の無線タグがこのデータを受信し、その固有の識別コードに関連する情報を含むさらなるデータを送信することにより応答する。この対象の無線タグはこのさらなるデータを受信し、少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれの固有の識別コードに関連する情報を含むなおさらなるデータを送信する。受信ユニットはこのなおさらなるデータを受信し、対象の無線タグの位置を判定するためにこのなおさらなるデータを処理する。
【0015】
さらに他の態様において、本発明は無線タグに対する位置追跡システムを提供する。このシステムはデータの送信と受信とができる無線タグを含む。これはまたその無線タグからデータを受信し、その無線タグにデータを送信できる少なくとも1つの他の無線タグを含み、少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれによりその無線タグに送信されるデータが少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれの識別情報に関連する情報、およびその無線タグと少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれとの間の信号強度に関連する情報を含む。このシステムはさらにその無線タグからデータを受信できる受信ユニットを含み、その無線タグから受信するデータがその無線タグにより少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれから受信されるデータに関連する情報を含む。また受信ユニットにより受信されるデータから無線タグの位置を計算するために処理手段がある。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は位置追跡システムのための無線タグを提供する。この無線タグは初期データを少なくとも1つの他の無線タグに送信するように動作可能であり、また蓄積したデータを受信ユニットに送信するように動作可能である送信機を含み、蓄積したデータが少なくとも1つの他の無線タグの識別情報に関連する情報、およびその無線タグと少なくとも1つの他の無線タグとの間の信号強度に関連する情報を含む。これはまた少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれからの応答データを受信するように動作可能である受信機を含み、この応答データが少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれの識別情報に関連する情報、およびその無線タグと少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれとの間の信号強度に関連する情報を含む。これはさらに送信機に初期データの送信を開始させる手段を含むコントローラと、少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれから受信機により受信した応答データを蓄積データに変換するための処理装置とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、図面を参照することにより、より理解されるであろう。
【0018】
まず図1を参照する。このシステム内には複数の基準位置タグ3がある。この基準位置タグ3は柱や壁など施設内の固定点に付加されたタグか、または位置が決まっている資産タグで今は基準位置タグとして作用するタグのいずれかである。またこのシステム内には1つまたは複数の質問機4があり、また資産1に付された1つまたは複数の資産タグ2がある。基準位置タグ3は環境内の既知の点に置かれている。これらは環境内の固定点または既知の位置の資産のいずれかに取り付けることができる。資産タグ2は時間により動くかもしれない資産1に付されている。資産タグ2の位置がシステム内で知られると、この資産タグ2は基準位置タグ3として機能することができる。質問機4は1つの固定点に恒久的に固定されてもよく、あるいは時間により移動する対象物に取り付けられてもよい。
【0019】
この例では、システム内の資産タグ2と基準位置タグ3とは位置特定通信手順を起動させるために加速度計を備えている。他の例では、この手順の起動は温度センサのようなセンサ、あるいは外部ソースからの無線通信を検出するセンサのようなセンサによる。この例では、資産1はこの領域に入り、この領域内に置かれている。資産タグ2上の加速度計は資産タグ2が完全に停止したことを検出し、位置特定通信手順を開始する。応答を要求する送信が資産タグ2の範囲内にある基準位置タグ3に対して行われる。この通信の距離または到達範囲は資産タグ2に設定された送信電力に基づいている。理想的には、それが領域内で停止する限り少なくとも3つの基準位置タグ3が資産タグ2の範囲内にあるように送信電力が設定される。好ましくは、資産タグ2により送信されるデータが資産タグ2の固有の識別コードを含む。このような固有の識別コードは番号であってもよい。別の例において、資産タグ2の別の特性に関する追加のデータが送信されてもよい。
【0020】
資産タグ2からの要求を検出した基準位置タグ3は応答を送信する。この応答送信は好ましくは同時に発生する複数の基準位置タグ3からの送信間の干渉を防止するために衝突防止アルゴリズムを使って行われる。基準位置タグ3が資産タグ2へ送信するデータは、メッセージを送信した資産タグ2の固有の識別コードと、資産タグ2から受信したメッセージの信号強度と、基準位置タグ3の固有の識別情報とを含むことができる。別の例において、同じようにさらなるデータが送信されることができる。このデータは電池電圧または温度のようなセンサの値、タイミングデータあるいは資産タグ2から受信した送信の信号品質データを含むことができる。
【0021】
資産タグ2は基準位置タグ3からの応答を受信したあと、蓄積データを質問機4に送信する。資産タグ2がタグから質問機への通信に使用する送信電力は、タグからタグへの通信に使用する電力レベルと異なってもよい。またタグから質問機への通信に使用する周波数はタグからタグへの通信に使用するものと異なってもよい。
【0022】
質問機4はそれからバックエンドシステムへデータを送信し、データはそこで適切な位置計算アルゴリズムを使って処理される。このような位置計算アルゴリズムの1つがLionel M. Ni、Yunhao Liu、Yiu Cho Lau およびAbhishek P. Patilにより開発されたLANDMARCアルゴリズムである。この位置計算アルゴリズムはすべての受信した情報を統合し、前記情報を使って資産タグの実際の位置を判定する。このアルゴリズムは資産タグ2の位置を判定するために少なくとも1つの他の基準位置タグ応答を必要とする。アルゴリズムの精度は受信した基準位置タグ応答の数に依存する。理想的には3つまたはそれより多い基準位置タグ応答があるとよい。いくつかの重み係数は、これらに限定されるものではないが、信号強度、リンク品質、報告された基準位置タグの数および位置またはそのいずれか、その他の報告された属性、および信号を受信した質問機の数および位置またはそのいずれかを含み、計算に使用される。
【0023】
このシステムの他の実施例において、資産タグ2と基準位置タグ3との間の通信が異なる経路に従ってもよい。たとえば、通信が資産タグ2から基準位置タグ3へ、それから基準位置タグ3から直接に質問機4への経路に従ってもよい。他の可能な実施例では、資産タグ2に基準位置タグ3と通信させ、基準位置タグ3から応答を受信させる。この通信手順を資産タグ2が結果データを質問機4に送信する前に数回繰り返す。
【0024】
ここで位置特定通信手順の典型的な通信経路を示す図2を参照する。この例において、資産タグ2がタグからタグへの通信用に設定された電力レベルと周波数で(5に示すように)メッセージを送信することにより位置特定通信手順を開始する。資産タグ2からのメッセージを検出したすべての基準位置タグ3は(7に示すように)タグからタグへの通信用に設定された送信電力レベルと周波数を使って応答を送信する。資産タグ2はそれから(12として示すように)データを質問機4に送信するが、このデータは好ましくは基準位置タグ10からの応答を含む。このようなタグから質問機への通信に使用される送信電力レベルと周波数はタグからタグへの通信に使用されるものと同じであっても異なってもよい。
【0025】
ここで図3を参照する。資産タグ2は、メッセージ(以後メッセージ#1と呼ぶ)を受信する基準位置タグ3からの応答を要求するメッセージを送信する。このメッセージは好ましくはこのメッセージを送る資産タグ2の固有の識別コードを含む。
【0026】
メッセージ#1を受信する基準位置タグ3は受け取ったメッセージの信号強度およびリンク品質指数またはそのいずれかを特定することができる。基準位置タグ3はそれからメッセージ(以後メッセージ#2と呼ぶ)を資産タグ2に返信する。この応答送信は好ましくは同時に発生する複数の基準位置タグ3からの送信間の干渉を防止するために衝突防止アルゴリズムを使って行われる。メッセージ#2はメッセージ#1送信の受信信号強度およびリンク品質指数またはそのいずれかを含むことができる。メッセージ#2は、好ましくはメッセージ#1を送信する資産タグ2の固有の識別コードを含む。さらにメッセージ#2は、センサデータ(温度、電池電圧あるいはその他のデータ)、カウンタのデータ(タイマ、送信数あるいはその他のカウンタ)あるいはユーザメモリの内容からのデータのような追加のデータを含むことができる。
【0027】
メッセージ#2を受信する資産タグはまた受信したメッセージの信号強度およびリンク品質指数またはそのいずれかを特定できる。システムの構成によっては、メッセージ#2を受信したがこのメッセージを開始したものではない資産タグはこのメッセージをそっくり捨ててもよい。メッセージ#2を保持する資産タグはそれからメッセージ(以後メッセージ#3と呼ぶ)を質問機4に送る。メッセージ#3はメッセージ#2を送ったすべての基準位置タグ3の識別コードを含むことができる。メッセージ#3はメッセージ#1の受信信号強度およびリンク品質指数またはそのいずれか、メッセージ#2の受信信号強度、リンク品質指数およびメッセージ#1を送った資産タグ2の識別コードまたはそのいずれかを含むことができる。さらにメッセージ#3はセンサデータ(温度、電池電圧あるいはその他のデータ)およびカウンタのデータ(タイマ、送信数、あるいはその他のカウンタ)またはそのいずれか、あるいはメッセージ#2に報告されている、またはメッセージ#2付加されたユーザメモリを含むことができる。
【0028】
質問機4はメッセージ#3を受信し、このメッセージの内容を1つまたはいくつかのインタフェースを介してバックエンドシステムに送信する。これらのインタフェ―スはシリアル、セルラー、イーサネット(登録商標)および802.11またはそのいずれかを含むことができる。その他の適切なインタフェ―スも使用することができる。好ましくは質問機4はメッセージ#1またはメッセージ#2に応答または反応しない。
【0029】
システムの他の実施例において、受信信号強度およびリンク品質指数指標またはそのいずれかは何時メッセージが受信されたかというタイミング情報で置き換えてもよい。これは時間遅延アルゴリズムを使って資産タグ2の位置を判定するために使用することができる。
【0030】
ここで無線タグの動作状態を示す図4を参照する。この実施例において、何時タグが静止し、何時動いたかを検出するために加速度計が使用されている。この例において、3つの動作状態がある。すなわち、移動状態13、停止状態14、および静止状態15である。タグが移動状態13のとき、このタグはその識別コードおよび送るように設定されたその他の情報を含むメッセージを定期的に送出する。このメッセージの周波数は可変であり、ユーザが設定できる。移動状態13から停止状態14への最初の遷移16はタグが移動を停止したことを検出するときに起こる。タグが停止状態14になるとき、タグはその前に規定されたように位置特定通信手順を実行する。まずパケットを一斉同報し、応答をリッスンする。すべての応答を受信すると、すべての応答を含む単一のメッセージを送信する。この位置特定通信手順はユーザが規定した期間繰り返す。
【0031】
停止状態14から静止状態15への第二の遷移18は、停止状態14に入ってからの時間がユーザが規定した停止状態14に対する時間を超過したとき発生する。このタグは静止状態15にあるとき、その識別コードおよび設定されたその他の状態情報を含むメッセージを定期的に送出することができる。このメッセージの周波数は可変で、ユーザが設定できる。このメッセージの周波数はタグが移動状態13にあるときに送られるメッセージの周波数と同じであっても異なってもよい。タグが再び移動を始めると、このタグは静止状態15から第三の遷移17を経由して移動状態13に変わる。
【0032】
このシステムの他の実施例において、待機状態から位置特定状態への遷移は外部ソースからタグに送られる命令による。この実施例において、2つの状態、すなわち待機状態と位置特定状態とだけがある。位置特定状態はタグが最初に命令を検出したとき入る状態である。これにより位置特定通信手順が開始される。位置特定状態に入ってからの時間がユーザが設定した時間を超過すると、タグは待機状態に入る。
【0033】
このシステムのさらに別の実施例において、トリガは閾値に対して温度変化を検出する温度センサである。この場合、3つの状態、すなわち閾値未満状態、位置特定状態、閾値超過状態、がある。以下の例は温度が所望の閾値より上がるときのイベントシーケンスを説明する。閾値未満状態から位置特定状態への遷移は温度が事前設定した閾値より上がると発生する。次いで位置特定通信手順が開始される。この位置特定通信手順はユーザが規定する期間自身で繰り返す。位置特定状態から閾値超過状態への遷移は閾値超過状態に入ってからの時間がユーザが規定する時間を超過したとき発生する。閾値超過状態から閾値未満状態への遷移は温度が事前設定した閾値より下がるとき発生する。
【0034】
ここで無線タグを示す図5を参照する。この無線タグはRFIDタグである。タグの機能部品は、通信ユニット19、処理装置20、加速度計21、電池22、およびアンテナ23である。またデータ記憶のためメモリを備えてもよい。通信ユニット19の場合、単一の送受信機であっても別々の受信機と送信機であってもよい。通信ユニット19は無線メッセージをタグと質問機4との間で送信および受信するのに使用され、また可変で、制御される範囲の送信ができてもよい。処理装置20はタグの動作、タイミング、および論理を制御するのに使用される。これはまた装置の節電機能を実現、制御することができる。ある実施例において、加速度計21は、温度、衝撃、湿度、大気圧、振動、他の物体の接近、時間、移動、あるいは無線周波信号を検出するセンサで置き換えてもよい。電池22は単一のまたは複数の電池である。電池22はまた装置に含まれる追加の回路を使用することによって自身を充電する手段を含んでもよい。アンテナ23は回路基板に直接印刷してもあるいはコネクタによって取り付けてもよい。さらに1つまたは複数の機能部品を含む単一チップを備えることもできる。
【0035】
タグは単一のまたは複数の無線周波数でメッセージを送受信するように構成する能力を持ってもよい。その1つの例は、タグからタグへの通信に使用される周波数とタグから質問機への通信に使用される周波数とが異なるように構成されたシステムである。タグはまた単一のまたは複数の電力レベルでメッセージを送受信するように構成する能力を持ってもよい。すべてのタグが、周波数、送信電力、受信感度、およびその他の設定に対して複数の独立した構成設定を持ってもよい。
【0036】
ここで質問機4を示す図6を参照する。質問機4はタグから受信したメッセージをバックエンドシステムに送信する。これは、データを解析しまた資産タグ2の位置を判定するための1つまたは複数のアルゴリズムを含むことができるバックエンドシステムに情報を中継する導管として動作する。質問機4の機能部品は、質問機通信ユニット24、処理装置25、アンテナ26、シリアルポート28、イーサネットポート27、および電源コネクタ29である。質問機通信ユニット24の場合、単一の送受信機であっても別々の受信機および送信機であってもよい。質問機通信ユニット24はタグと無線メッセージを送受信するのに使用される。処理装置25は質問機4の動作、タイミング、および論理の制御に使用される。アンテナ26は回路基板に直接印刷してもあるいはコネクタによって取り付けてもよい。イーサネットポート27はバックエンドシステムへのデータ送信の1つの可能な手段を提供する。他の実施例において、イーサネットポート27は無線能力のある部品に置き換えてもよい。無線能力の例には802.11、セルラー、またはVHF無線を含むがこれに限定されない。シリアルポート28はまたバックエンドシステムへのデータ送信に使用できる。電源コネクタ29は装置を動作させることができる電源への接続を提供する。別の実施例において、この電力はイーサネットサポートから電力を供給できるイーサネットポート27を使って受け取ることができる。さらに、1つまたは複数の機能部品を含む単一チップを備えることができる。複数の質問機4があっても良い。
【0037】
質問機4は固定位置または移動装置に設置できる。質問機4を固定位置に設置するとき、固定した恒久的な環境の一部に設置する。質問機4はまた、フォークリフト、カート、車両その他の移動装置のような、移動装置に設置できる。
【0038】
基準位置タグ3はシステム内の既知の空間にあるタグである。基準位置タグ3は恒久的に固定された、環境のインフラストラクチャの一部分に設置される。その例として、梁、柱、壁、床、ラック、または他の環境の構造の固定部分がある。これに代えて、環境内の既知の位置にある資産のタグはその位置が知られている限り基準位置タグとして作用することができる。基準位置タグ3を互いに等距離に置く必要はない。
【0039】
各システム内の資産は単一あるいは複数の資産タグ2を取り付けることができる。
【0040】
システム内のすべてのタグは、特別なイベントが発生した場合にタグが知ることができるようにセンサを備えることができる。この目的のために、近接センサ、タイマ、受信検出センサ、または温度センサのような、多くのさまざまな種類のセンサを使用できる。
【0041】
このシステムは発生する無線通信の量を減らすために上述のセンサを使用する。このセンサはタグが通信をいつ開始すべきかを判定するのに用いることができる。このシステムのある実施例において、タグがいつ移動または停止したかを検出するために移動センサが使用される。この実施例において、この位置特定通信手順はタグが停止したときのみ実行される。この位置特定通信手順は事前設定時間だけ継続し、そのあとタグはこの手順を停止する。
【0042】
1つの実施例は資産が製造中のトレーラであるシステムである。トレーラが移動すると、トレーラに取り付けられた資産タグはそれが移動していることを検出し、それからそれが停止したことを検出する。タグが停止、したがってトレーラが停止したことを検出すると、タグは位置特定通信手順を30秒間実行し、それからすべての無線通信を停止する。
【0043】
データ交換の損失となる信号衝突の発生を減らすために、タグの識別コードに直接関連する衝突防止アルゴリズムを使って通信信号を送信することができる。衝突防止アルゴリズムは2つあるいはそれより多い無線通信が同じ瞬間に発生することを制限することを意図している。タグにメッセージ送信が要求されると、数ミリ秒送信を遅らせる。この遅延時間はタグのシリアル番号の最後の2または3桁に等しい値としてよく、これはタグの固有の識別コードに反映されている。使用される桁数はシステムの実装に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による資産位置特定システムの実施例の概略図である。
【図2】位置特定通信手順の説明である。
【図3】位置特定通信におけるイベントの流れ図である。
【図4】タグの状態遷移図である。
【図5】タグのブロック図である。
【図6】質問機のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグからデータを収集する方法であって、
それぞれデータを送信および受信することができ、またそれぞれ固有の識別コードにより識別される複数の無線タグを提供するステップと、
前記無線タグの最初の1つがデータを送信するステップと、
前記無線タグの少なくとも1つの他のタグが、前記データを受信し、またその固有の識別コードに関連する情報を含むさらなるデータを送信することにより応答するステップと、
前記最初の無線タグがさらなるデータを受信するステップと、
前記最初の無線タグが前記最初の無線タグの固有の識別コードに関連する情報と前記応答する無線タグのそれぞれの固有の識別コードに関連する情報とを含むなおさらなるデータを送信するステップと、
受信ユニットが前記なおさらなるデータを受信するステップとからなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記最初の無線タグがデータを送信する前記ステップがトリガイベントにより開始される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記トリガイベントが、前記最初の無線タグが前記受信ユニットから信号を受信するか、タイマから信号を受信するか、前記最初の無線タグが静止状態から移動状態へ遷移するかの1つまたは複数のイベントである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記無線タグがRFIDタグである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記受信ユニットが質問機である、方法。
【請求項6】
データを送信および受信できる、対象の無線タグの位置を判定する方法であって、
データを送信および受信でき、また固有の識別コードにより識別される少なくとも1つの他の無線タグを提供するステップと、
前記対象の無線タグがデータを送信するステップと、
前記少なくとも1つの他の無線タグが、前記データを受信し、またその固有の識別コードに関連する情報を含むさらなるデータを送信することにより応答するステップと、
前記対象の無線タグが前記さらなるデータを受信するステップと、
前記対象の無線タグが前記少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれの固有の識別コードに関連する情報を含むなおさらなるデータを送信するステップと、
受信ユニットが前記なおさらなるデータを受信するステップと、
前記受信ユニットが前記対象の無線タグの位置を判定するためになおさらなるデータを処理するステップとからなる方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、データを送信する前記無線タグの前記ステップがトリガイベントにより開始される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記トリガイベントが、前記無線タグが前記受信ユニットから信号を受信するか、タイマから信号を受信するか、前記無線タグが移動状態から静止状態へ遷移するかの1つまたは複数のイベントである、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の無線タグが少なくとも3つの他の無線タグを含む、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、前記無線タグがRFIDタグである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記受信ユニットが質問機である、方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の無線タグがさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記少なくとも1つの他の無線タグにより受信される前記データの信号強度に関連する情報の送信を含む、方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の無線タグがさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記少なくとも1つの他の無線タグにより受信される前記データのリンク品質に関連する情報の送信を含む、方法。
【請求項14】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信するステップがさらに、前記対象の無線タグにより受信される前記さらなるデータの信号強度に関連する情報の送信を含む、方法。
【請求項15】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信するステップがさらに、前記対象の無線タグにより受信される前記さらなるデータのリンク品質に関連する情報の送信を含む、方法。
【請求項16】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信するステップがさらに、前記対象の無線タグによる前記データの送信と前記さらなるデータの受信との間の遅延時間に関連する情報の送信を含む、方法。
【請求項17】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがデータを送信する前記ステップがさらに、衝突防止プロトコルを使用して送信することを含む、方法。
【請求項18】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の無線タグがさらなるデータを送信するステップがさらに、衝突防止プロトコルを使用して送信することを含む、方法。
【請求項19】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信するステップがさらに、衝突防止プロトコルを使用して送信することを含む、方法。
【請求項20】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグが、可変で、制御される範囲の送信ができる送信機を含む、方法。
【請求項21】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも1つの他の無線タグが、可変で、制御される範囲の送信ができる送信機を含む、方法。
【請求項22】
請求項6に記載の方法であって、さらに前記対象の無線タグ上に置かれたセンサを使って前記対象の無線タグの1つまたは複数の属性を測定するステップを含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記属性が温度、大気圧、湿度、振動、衝撃、移動、他の物体の近接、および現在時間を含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記1つまたは複数の属性に関連する情報を送信することを含む、方法。
【請求項25】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記対象の無線タグがデータを送信するステップとは異なる周波数で送信することを含む、方法。
【請求項26】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記従属無線タグがデータを送信するステップとは異なる電力レベルで送信することを含む、方法。
【請求項27】
請求項6に記載の方法であって、前記対象の無線タグがなおさらなるデータを送信する前記ステップがさらに、前記対象の無線タグの識別情報に関連する情報を送信することを含む、方法。
【請求項28】
無線タグ用の位置追跡システムであって、
データを送信および受信できる無線タグと、
前記無線タグからデータを受信することができる少なくとも1つの他の無線タグであって、該少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれの識別情報に関連する情報、および前記無線タグと前記少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれとの間の信号強度に関連する情報を含むデータを、前記無線タグに送信できる少なくとも1つの他の無線タグと、
前記無線タグにより前記少なくとも1つの他の無線タグから受信されるデータに関連する情報を含むデータを、前記無線タグから受信できる受信ユニットと、
前記受信ユニットにより受信されるデータから前記無線タグの位置を計算するための処理手段と、を含むシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、前記受信ユニットにより前記無線タグから受信される前記データがさらに、前記無線タグの識別情報に関連する情報を含む、システム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムであって、前記無線タグがRFIDタグである、システム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、前記受信ユニットが質問機である、システム。
【請求項32】
請求項28に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの他の無線タグが少なくとも3つの他の無線タグを含む、システム。
【請求項33】
位置追跡システム用の無線タグであって、
初期データを少なくとも1つの他の無線タグに送信するように動作可能である送信機であって、前記少なくとも1つの他の無線タグの識別情報に関連する情報、および前記無線タグと前記少なくとも1つの他の無線タグとの間の信号強度に関連する情報を含む蓄積データを、受信ユニットに送信するように動作可能である送信機と、
前記少なくとも1つの他の無線タグの識別情報に関連する情報、および前記無線タグと前記少なくとも1つの他の無線タグとの間の信号強度に関連する情報とを含む応答データを、前記少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれから受信するように動作可能である受信機と、
前記送信機に前記初期データの送信を始めさせる手段と、前記受信機により前記少なくとも1つの他の無線タグのそれぞれから受信された前記応答データを前記蓄積データに変換する処理装置とを含むコントローラとを含む、無線タグ。
【請求項34】
請求項33に記載の無線タグであって、前記蓄積データがさらに、前記無線タグの識別情報に関連する情報を含む、無線タグ。
【請求項35】
請求項33に記載の無線タグであって、前記初期データの送信を前記送信機に始めさせる前記手段がトリガイベントに基づいて送信を始めるコンピュータ論理を含む、無線タグ。
【請求項36】
請求項35に記載の無線タグであって、前記トリガイベントが、タイマからの信号の受信および前記無線タグの移動状態から静止状態への遷移の1つまたは複数である、無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−531667(P2009−531667A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501788(P2009−501788)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000019
【国際公開番号】WO2007/106972
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508287367)アールファインド システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】