説明

無線送信器、無線中継器、無線通信システム

【課題】環境を検出し、その検出情報を電文としてセンサと、センサから送信される電文を一旦受信して送信する中継器と、センサ及び中継器から送信される電文を受信する受信器とを備えた無線通信システムにおいて、センサから繰り返し送信される電文がより確実に受信器に受信されるようにする。
【解決手段】センサ2は、センサ2の検出部8から出力される検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、該センサ2が繰り返し送信動作を実行する前に、該繰り返し送信動作の回数を示す送信回数情報と、繰り返し送信動作の送信時間間隔を示す送信時間間隔情報とを含んだ電文を1回送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の情報を所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、無線送信器からの送信情報を受信し中継送信を行う無線中継器と、無線送信器又は無線中継器から送信される情報を受信する無線受信器とを備えた無線通信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路技術の高度化によってセンサや無線回路が省電力化されたことにより、各種センサと無線回路とを組み合わせたワイヤレスセンサ(以下、単にセンサという)が実現され、このセンサを多数配置して、該センサによる検知情報を無線で収集する無線通信システムが広く知られている。図14に、従来の典型的なネットワークシステムの構成を示す。
【0003】
図14に示すように、無線通信システム100は、検出部102a〜105a、無線送信部102b〜105b及び電池102c〜105cを備えたセンサ102〜105と、無線受信部101a、制御部101b及びI/F101cを備えた受信器101とを有してなる。センサ102〜105の検出部102a〜105a及び無線送信部102b〜105bは、電池102c〜105cから電力の供給を受け、検出部102a〜105aの検出信号レベルが所定の閾値を超えると、無線送信部102b〜105bから検出値を含むセンサ情報を電波に変調して送信する。センサ102〜105からの電波を受信した受信器101は、無線受信部101aで電波を増幅復調してセンサ情報を抽出し、制御部101bで該センサ情報の蓄積や解析等を行い、I/F101cで外部システムにセンサ情報を送出する。
【0004】
このような無線通信システム100において、図15に示すように更に中継器106,107を備え、センサ(ここではセンサ102とする)から送信されるセンサ情報が各中継器106,107を順番に介して受信器101に受信されるものがあり、このような無線通信システム100におけるセンサ情報の伝送方式として図16に示すような方式が知られている。
【0005】
図16に示す伝送方式は、センサ102からセンサ情報が送信されると、該センサ情報が中継器106、中継器107の順番に中継された後、受信器101に受信される。また、センサ102が同一のセンサ情報を所定の送信時間間隔で所定回数繰り返し送信する。このように同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信するのは、外来ノイズがセンサ情報の送受信が妨害されることがあっても、いずれかのセンサ情報が受信器101まで伝送されることを期待したものである。すなわち、図16の矢印X1で示すように、センサ102から送信されたセンサ情報が中継器106に受信されなかったり、図16の矢印X2で示すように、中継器106から送信されたセンサ情報が中継器107に受信されなかったりした場合でも、図16の矢印X3や矢印X4で示すように、受信器101に伝送されたセンサ情報が他のタイミングで存在することを期待して、同一のセンサ情報を所定回数繰り返し送信している。
【0006】
受信器101は、センサ102から同一のセンサ情報が所定回数送信されたことを確認すると、これらのセンサ情報が、センサ102が検出対象を検出したことを示したものであると判断して、センサ情報を外部システムに送出する。
【0007】
なお、下記特許文献1には、送信したい一連の情報を所定ビット数の情報ブロックに分割し、同一情報ブロックを乗せたフレームを、複数回連続して送信する片方向通信システムにおいて、前記フレームに、同一情報ブロックのフレーム送信を何回繰り返し送信するかを示す連送回数を含める技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−160815公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図16に示す伝送方式にあっては、受信器101がセンサ102〜105から同一のセンサ情報が所定回数送信されたことを確認した場合に、これらのセンサ情報が、センサ102が検出対象を検出したことを示したものであると判断するため、受信した同一のセンサ情報が前記所定回数未満の場合には、各センサ情報が、センサ102が検出対象を検出したことを示したものであっても、センサ情報が受信器101に受信されなかったものとなる。したがって、外来ノイズによって中継器106,107にセンサ情報が受信されなかった場合であっても、該センサ情報ができる限り受信器101まで伝送されるように構成するのが好ましい。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、センサから繰り返し送信される各センサ情報がより確実に受信器に受信される無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、第1の情報を作成し、該第1の情報を所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、前記第1の情報の送信に先立ち、前記間隔及び回数に関する第2の情報を生成する第2情報作成部を備え、作成された前記第2の情報の送信を行うものである。
【0011】
この発明によれば、前記第1の情報の送信に先立ち、前記間隔及び回数に関する第2の情報を生成して送信するようにしたので、前記間隔及び回数を受信側の装置に知らせることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線送信器において、外部操作可能な操作スイッチ及び駆動用電源の接断を検知する検知部の一方を備え、前記第2情報作成部は、前記操作スイッチの操作及び前記検知部での電源の接続検知の一方が生じたときに前記第2の情報を作成するものである。
【0013】
この発明によれば、操作スイッチの操作及び前記検知部での電源の接続検知の一方が生じたときに前記第2の情報を作成するようにしたので、受信側の装置が前記第2の情報を受信すると該第2の情報に含まれる送信情報を記憶しておくように設定しておくことで、第2の情報を送信すべき回数が1回で済む。したがって、第1の情報を送信するたびに第2の情報を送信する必要がなくなり、その分、無線送信器と受信側の装置との通信時間を短縮化することができる。また、電源の接続検知が生じたときに第2の情報を作成する構成では、前記作スイッチの操作をし忘れて第2の情報を送信し損なうことがほとんど皆無となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の無線送信器において、環境情報を取得するセンサ部を備え、取得した環境情報を第1の情報とするものである。
【0015】
この発明によれば、環境情報が所定間隔で所定回数だけ送信される。したがって、環境情報が1回だけ送信される場合に比して、該環境情報を受信側の装置により確実に伝送することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、前記無線送信器から予め取得した第2の情報の前記間隔及び回数から予定される受信タイミングで前記第1の情報が受信されないとき、既に受信された第1の情報で補充する監視処理部を備えるものである。
【0017】
この発明によれば、無線送信器から予め取得した第2の情報の前記間隔及び回数から予定される受信タイミングで前記第1の情報が受信されないとき、既に受信された第1の情報で補充するようにしたので、外来ノイズによって無線中継器に情報が受信されなかった場合であっても、その情報ができる限り中継送信されるようにすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、前記第2の情報を受信しなかった場合、前記第1の情報を受信したときのみ該第1の情報の中継送信を行うものである。
【0019】
この発明によれば、前記第2の情報を受信しなかった場合、前記第1の情報を受信したときのみ該第1の情報が無線受信器に中継送信される。したがって、前記第2の情報を受信しなかった場合は前記第1の情報を受信しても中継送信を行わないようにする構成に比して、できる限り第1の情報を前記無線受信器に伝送することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、前記情報を受信すると、当該無線中継器に固有に割り当てられた送信順位を示す送信順位情報を前記受信した情報に含めて中継送信するとともに、受信した情報に含まれる送信順位情報が示す送信順位と、当該無線中継器に割り当てられた送信順位との差に応じた遅延時間を算出し、前記遅延時間に基づいて前記情報を中継送信するタイミングを決定し、そのタイミングで前記情報を中継送信するものである。
【0021】
この発明によれば、前記情報を受信すると、当該無線中継器に割り当てられた送信順位を示す送信順位情報を前記受信した情報に含めて無線送信するとともに、受信した情報に含まれる送信順位情報が示す送信順位と、当該無線中継器に割り当てられた送信順位との差に応じた遅延時間を算出し、前記遅延時間に基づいて前記情報を中継送信するタイミングを決定するようにしたので、同一の情報が複数の無線中継器により同時に受信された場合であっても、各無線中継器に割り当てられた送信順位にしたがって、各無線中継器から情報が中継送信される。したがって、複数の無線中継器から同時に同一の情報が送信されることで該情報が衝突し、無線受信器により情報が受信されなくなるという事態が発生するのを回避することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、第1の情報を作成し、該第1の情報を所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器と、前記無線送信器又は前記無線中継器から送信される情報を受信する無線受信器とを備えた無線通信システムであって、前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器であり、前記無線中継器は、請求項4ないし6のいずれかに記載の無線中継器である無線通信システムである。
【0023】
この発明によれば、無線通信システムにおいて、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明による作用が得られる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の無線通信システムにおいて、前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、前記情報は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、前記無線受信器は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記第1の情報を受信すると、この第1の情報に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するものである。
【0025】
この発明によれば、第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とを同一の信号で構成し、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、無線受信器は、前記第1の情報を受信すると、この第1の情報に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈するようにしたので、第1の情報中に、無線送信器の種類を示す情報や、検出値の表現形式を示す情報を記述する必要がなく、第1の情報に含める情報量をできるだけ少なくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、無線送信器から繰り返し送信される第1の情報がより確実に無線中継器や無線受信器に受信されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る無線通信システムの実施形態について説明する。図1は、本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【0028】
(第1の実施形態)
本発明に係る無線通信システム1は、例えば住宅や事務所等の建物に防犯、防災、設備の利便性向上等を目的として適用されるものであり、図1に示すように、センサ2(2a〜2h)、中継器3(3a,3b)及び受信器4を備えて構成されている。なお、図1は、無線通信システム1の設置対象の一例として、2階建ての建物とそれに隣接するガレージとを想定したものを示している。
【0029】
センサ2は、例えば赤外線を検出媒体として人体を検出する人体センサ2a〜2c,2f,防犯を目的として設置される防犯センサ2d,2e、防災を目的として設置される煙センサ2g,2h等が含まれる。
【0030】
人体センサ2a〜2cは、例えば人体の熱を検出し、該人体の有無に応じて例えば照明機器5や図略の空調機器の動作を制御するために設けられている。例えば、人体センサ2a〜2cにより人体が検出すると、受信器4は、照明機器5を点灯させたり空調機器を動作させたりし、人体が検出されなくなると、受信器4は、照明機器5を消灯させたり空調機器の動作をオフしたりする。なお、図1では、人体センサ2a〜2cが各階の屋内とガレージとに設置されている態様を示している。
【0031】
防犯センサ2d,2eは、磁気を利用した検出動作を行うマグネットセンサ、ジャイロを用いて構成される加速度センサ、静電容量型、渦電流或いは圧電素子を用いた振動センサ等であり、例えば屋内と屋外とを連通可能な窓6に設置され、不在時における窓の開閉動作や振動を検出する。なお、図1では、防犯センサ2d,2eが各階に設けられている窓6にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、防犯センサ2d,2eにより窓6の開閉動作や振動が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0032】
煙センサ2g,2hは、例えば天井に設置され、煙の存在を検出して防災(火災の発生により警報を発する)のために設けられたものである。図1では、煙センサが各階の天井にそれぞれ設置されている態様を示している。受信器4は、煙センサ2g,2hにより所定の濃度を超える煙の存在が検出された旨の通知を受けて、スピーカ7等から警報を出力させる。
【0033】
図2は、前記センサ2の電気的な構成を示すブロック図である。センサ2は、当該センサ2の種類に応じた検出媒体を用いて得られた環境の検出信号を制御部9に出力する検出部8(前記センサ部に相当)と、前記検出部8から出力される前記検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、その旨を示すセンサ情報を電文として無線送信部10に所定の送信周期で出力する制御部9と、制御部9から出力された電文を電波に変調し、該電波を送信アンテナ11を用いて中継器3又は受信器4に無線送信する無線送信部10とを備えて構成されている。以下、電文を中継器又は受信器4に所定の送信周期で無線送信する動作を、繰り返し送信動作という。なお、検出部8、制御部9及び無線送信部10は、前記電池12から供給される電力により動作する。
【0034】
制御部9は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。また、制御部9は、検出部8により取得された検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、例えば次に説明するような構成を有する電文を生成する電文生成部としての機能を有する。図3は、電文の構成例を示す図である。
【0035】
図3に示すように、電文13は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている。プリアンブル(PR)の領域は、ディジタル信号「1」,「0」の繰り返しで構成されるビット同期用パターンが書き込まれる領域である。中継器3及び受信器4は、受信中の電文13におけるプリアンブル(PR)の領域に書き込まれたビット同期用パターンに基づき、電文のビットレートに対して同期をとる。
【0036】
ユニークワード(UW)の領域には、予めセンサ2と中継器3又は受信器4との間で共通に定められた例えば8ビットや16ビット等の固定のビット列がユニークワードパターンとして格納される領域である。中継器3又は受信器4は、前記ユニークワードパターンを検出することで、電文の開始位置を特定することができる。
【0037】
識別情報(ID)の領域は、センサ2個別に固有の番号として付与されたIDが格納される領域である。中継器3は、識別情報(ID)の領域に書き込まれているIDによって、電文13の受信の是非を判断したりセンサ2を特定したりすることができる。データ(DATA)の領域は、検出した内容(検出値)を示す検出情報が書き込まれる領域である。誤り訂正符号(CRC)の領域は、識別情報(ID)の領域及びデータ(DATA)の領域におけるビットの誤りを検出するために用いられる領域である。
【0038】
図1に戻り、中継器3は、センサ2から送信される電文13を受信し、受信した電文13を受信器4に送信する中継機能を有する機器である。図1では、1階の屋内から2階の天井裏に設置された受信器4へは天井が、また、屋外から前記受信器4へは外壁がそれぞれ障害物となり、1階の屋内や屋外に設置されたセンサ2から出力される電波が受信器4に到達し難い又は到達しないため、1階の天井裏と屋外の適所にそれぞれ設置されている態様を示している。
【0039】
図4は、中継器3の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、中継器は、センサ2及び受信器4との間で電文の通信を行う無線通信部14と、前記無線通信部14で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部15と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部16とを備える。
【0040】
また、制御部16は、機能的に、センサの識別情報(ID)を記憶する記憶部17と、他の無線通信システム1との混信を防止するべく、無線通信部14で受信した電文13に含まれるIDと、前記記憶部15に記憶されているIDとを照合し、それらが一致するか否かを判断する照合部18と、照合部18により前記両IDが一致すると判断した場合にのみ受信した電文13を受け付けて、受信器4に送信する指示を前記無線通信部14に出力する送信制御部19とを有する。
【0041】
図1に戻り、受信器4は、センサ2又は中継器3から電波を受信し、該電波を増幅及び復調して情報を得て、該情報の蓄積や解析を行い、各種の処理を実行する機器である。図5は、受信器4の電気的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、受信器4は、センサ及び中継器との間で電文13の通信を行う無線通信部20と、前記無線通信部20で受信した電文13に含まれる各種情報を記憶する記憶部21と、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されたマイクロコンピュータからなる制御部22とを備える。
【0042】
また、制御部22は、機能的に、無線通信部20で受信した電波を増幅及び復調し、前その後の情報を解析して電文13の送信元や検出内容(検出値)を取得する情報解析部23と、前記情報解析部23による解析の結果に基づいて、各機器(前記照明機器5や空調機器或いはスピーカ7)の動作を指示する指示部24とを備える。指示部24は、例えば、人体センサ2a〜2cから人体を検出した旨の検出信号を受信したときには、通信線により当該受信器4に接続された照明機器5に点灯する指示を出力し、煙センサ2g,2hから煙を検出した旨の検出信号や、警戒状態下で防犯センサ2d,2eから異常を検出した旨の検出信号を受信すると、通信線により当該受信器4に接続されたスピーカ7に警報音を出力する指示を出力する。
【0043】
以上のような構成を有する無線通信システム1において、注目すべきは、センサ2の検出部8から出力される検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、該センサ2が繰り返し送信動作を実行する前に、該繰り返し送信動作の回数を示す情報(以下、送信回数情報という)と、繰り返し送信動作の送信時間間隔を示す情報(以下、送信時間間隔情報という)とを含んだ電文を1回送信する点である。以下、繰り返し送信動作で送信される電文を通常電文(前記第1の情報に相当)といい、また、該通常電文の繰り返し送信に先立って送信される、前記送信回数情報及び送信時間間隔情報を含む電文を特殊電文(前記第2の情報に相当)という。前記第1、第2の情報は、センサ2の制御部9により生成される。制御部9は、前記第2情報作成部を含む。
【0044】
図6は、センサ2による電文の送信動作と中継器及び受信器4の送受信動作とを示すタイムチャートである。特殊電文は、センサ2から送信される通常電文が中継器3を介して受信器4に到達される場合に特に有効なものとなるため、図6に示すセンサ2の例としては、例えば図1ではガレージに設置された人体センサ2fが好適である。なお、図6において、ハッチング入りの正方形は特殊電文を示し、数字入りの正方形は、一連の繰り返し送信動作で送受信される通常電文を示す。また、正方形内の数字「1」〜「4」は、一連の通常電文の繰り返し送信動作のうち第何回目の送信動作(又は第何番目に送信した通常電文)であるかを示し、「×」印は、外来ノイズにより妨害を受けて通常電文を送受信できなかったことを示す。
【0045】
外来ノイズが無く、センサ2、中継器3a,3b及び受信器4が正常に送受信動作を行えるとき、本無線通信システム1は、センサ2から通常電文が送信されると該通常電文が中継器3a、中継器3bの順に中継された後、受信器4に受信されるように構成されている。なお、前記送信時間間隔は、例えば、センサ2が送信した電文が中継器3を介して受信器4に正常に受信された場合に、センサ2から電文が送信されるタイミングから該電文が受信器4に受信されるタイミングまでの時間より長い時間に設定される。センサ2は、検出部8の検出信号の信号レベルが所定の閾値を超えると、前述したように一定の送信時間間隔で通常電文を送信する繰り返し送信動作を行う。
【0046】
本実施形態では、このような繰り返し送信動作を実行する前に、図6の矢印Aに示すように、センサ2は前述したような特殊電文を生成して送信する。中継器3aは、センサ2から前記特殊電文を受信すると、該特殊電文を中継器3bに該特殊電文を送信し、中継器3bは、中継器3aから前記特殊電文を受信して受信器4に該特殊電文を送信し、受信器4は、中継器3bから前記特殊電文を受信する。
【0047】
このように、繰り返し送信動作を実行する前に特殊電文を送信することで、特殊電文を受信した中継器3a,3bは、センサ2の繰り返し送信動作で送信される通常電文の受信タイミングとその送信回数とを、前記通常電文を受信する前の段階で予め知ることができる。したがって、中継器3a,3b及び受信器4は、通常電文の送受信が外来ノイズにより妨害を受けた場合に、特殊電文に含まれる送信回数情報及び送信時間間隔情報を用いて、本来受信するはずの通常電文を受信できなかったことを認識することができる。
【0048】
例えば図6の矢印Bに示すように、一連の通常電文の繰り返し送信動作のうち例えばセンサ2から中継器3aへの送信動作(ここでは第2回目の送信動作)が外来ノイズにより妨害を受けた場合、中継器3aは、一連の通常電文の繰り返し送信動作のうち第1回目の送信動作で受信した電文の受信タイミングと、予め受信した特殊電文に含まれる繰り返し送信動作の送信時間間隔とから、本来受信するはずの第2番目の通常電文を受信できなかったものと判断することができる。
【0049】
中継器3aは、このように判断すると、前記第1回目の送信動作で受信した通常電文に含まれる情報を記憶しているので、この情報に基づき、受信するはずであった第2番目の通常電文を生成し、この通常電文を中継器3bに送信する。この処理は、送信制御部19が実行する。送信制御部19は、前記監視処理部を含む。
【0050】
また、図6の矢印Cに示すように、中継器3aから中継器3bに送信されるべき通常電文(ここでは第3番目の通常電文)の送信動作が外来ノイズにより妨害を受けた場合、図6の矢印Bに示す場合と同様、中継器3bは、一連の繰り返し送信動作のうちそれ以前の送信動作(ここでは第2回目の送信動作)で受信した電文の受信タイミングと、予め受信した特殊電文に含まれる繰り返し送信動作の送信時間間隔とから、本来受信するはずの第3番目の通常電文を受信できなかったものと判断し、記憶している第2番目の通常電文に含まれる情報に基づいて、本来受信するはずの第3番目の通常電文を生成し、この通常電文を受信器4に送信する。
【0051】
これにより、中継器3a,3bは、外来ノイズにより妨害を受けたことで本来受信するはずの通常電文が受信できなかった場合であっても、通常電文の中継機能を果たすことができる。その結果、センサ2から送信された通常電文をできる限り受信器4まで到達させることができる。
【0052】
なお、繰り返し送信動作の送信回数及び送信時間間隔は、センサの種類や受信側の機器(中継器3及び受信器4)のアプリケーションに応じて最適値が異なる。例えば前記センサとして人体センサを想定し、人体を検知すると照明機器を点灯させるシステム(以下、照明制御システムという)を構築しようとしたとき、人体を検知してから速やかに(例えば0.1〜0.2秒以内)に照明機器が点灯しなければ違和感を与えることとなる。したがって、この場合には、繰り返し送信動作の送信時間間隔を短くする必要があるが、送信回数を増やすほど良いというものではない。
【0053】
一方、防犯や防災を目的とするシステム(以下、防犯システム及び防災システムという)を構築しようとした場合、センサ2により所定の周期で行われる検出動作のうち1回でも異常が検出されれば、多少の遅延は許容してでもその旨を確実に受信器に伝える必要があり、通信の信頼性を向上させるため繰り返し送信回数を多くする必要がある。
【0054】
このような背景に基づき、照明システムでは、送信回数を比較的少なくすると共に送信時間間隔を比較的短く設定する一方、防犯システムや防災システムでは、送信回数を比較的多くすると共に送信時間間隔を比較的長く設定することが望ましい。
【0055】
ところで、このような無線通信システム1においては、特殊電文の送信動作が外来ノイズにより妨害を受けることが考えられる。図7は、中継器3aはセンサ2から特殊電文を受信できたが、中継器3bは外来ノイズの妨害を受けて中継器3aからその特殊電文を受信できず、その結果、受信器4も特殊電文を受信できなかった場合を示した図である。
【0056】
この場合、図7に示すように、中継器3aは特殊電文を受信しているため、センサ2による繰り返し送信動作で送信される通常電文の受信タイミングとその送信回数とを、前記通常電文を受信する前の段階で予め知ることができる。したがって、図7の矢印Dに示すように、中継器3aは、一連の繰り返し送信動作によって受信するはずの通常電文を受信できなかったか否かを判断することができ、受信するはずの通常電文(ここでは、第2番目の通常電文)を受信できなかったと判断した場合には、それ以前に受信した通常電文(ここでは、第1回目の通常電文)に基づいて、今回受信するはずであった通常電文を生成し、該通常電文を中継器3bに送信する。
【0057】
一方、図7の矢印Eに示すように、中継器3bが中継器3aから特殊電文を受信できなかった場合、中継器3bは特殊電文を受信していないため、一連の繰り返し送信動作で送信される通常電文の受信タイミングとその送信回数とを予め知ることができない。したがって、図7の矢印Fに示すように、中継器3bは、中継器3aから通常電文を受信できなかった場合、該通常電文を受信器4に送信することができないので、図7の矢印G〜Gに示すように、中継器3aから通常電文を受信した場合にのみ中継動作を行う(通常電文を受信器4に送信する)。
【0058】
以上のように、センサ2が繰り返し送信動作を実行する前に、繰り返し送信動作の回数を示す送信回数情報と、一連の繰り返し送信動作における送信時間間隔を示す送信時間間隔情報とを含んだ特殊電文を1回送信するようにしたので、中継器3a,3bは、外来ノイズにより妨害を受けたことで本来受信するはずの通常電文が受信できなかった場合であっても、通常電文の中継機能を果たすことができる。その結果、センサ2から送信された通常電文をできる限り受信器4まで到達させることができる。
【0059】
本件は、前記各実施形態に代えて、或いは前記各実施形態に加えて次の変形形態も採用可能である。
【0060】
(1)図1では、屋外に設置された人体センサ2fの検出信号が外壁を透過する際に減衰して中継器3bまで到達できないことから中継器3aを設置し、人体センサ2fの検出信号をこの中継器3aで中継送信するようにしているが、外壁の素材やその厚さ、或いは人体センサ2fと中継器3bとの間の距離が比較的近いと、人体センサ2fの検出信号が中継器3aのみならず中継器3bにも到達することがある。この場合、中継器3a,3bは同時に中継送信を行う。そして、さらに中継器3aと受信器4との間の距離が比較的近いと、図8に示すように、受信器4には、中継器3aからの電文と中継器3bからの電文とが同時に到達することとなり、受信器4は、電文の復調処理を実行することができない。
【0061】
そこで、中継器3aと中継器3bとが同時に電文を送信しないように、中継器3a及び中継器3bに対して送信順を設定するとよい。以下、この点について具体的に説明する。
【0062】
まず、本実施形態では、当該無線通信システム1に設けられるセンサ2と全ての中継器3に対し、送信動作を行わせる優先順位(階層)を設定する。例えば、図1に示すように、人体センサ2fの検出信号を中継器3a,3bによって2段階で受信器4に送信することを想定する場合、送信動作を行わせる優先順位として1番から3番までを設定し、人体センサ2f及び中継器3a,3bを階層化する。この場合、例えば「0」,「1」,「2」の3つの階層を示す値(以下、階層値という)が設定され、人体センサの階層値を「0」、中継器3aの階層値を「1」、中継器3bの階層値を「2」とする。そして、このように設定した階層値を所定ビットの信号で表現する。ここでは、階層の数は3つであるから前記階層値「0」〜「2」を2ビットの信号で表現することができる。
【0063】
本実施形態のセンサ2及び中継器3a,3bは、自らに割り当てられた階層値を示す情報(以下、中継コード(RC)という)を予め保持しており、この中継コードを含めた通常電文を生成し送信する。なお、センサ2は、中継コードを制御部9(図2参照)内に格納されることで保持しており、中継器3a,3bは、例えば記憶部15(図4参照)に格納されることで保持している。図9は、中継コード(RC)を含む通常電文の構成を示す図である。図9の矢印Pで示すように、中継コード(RC)は、例えば識別情報(ID)の領域とデータ(DATA)の領域との間の領域(以下、中継コード領域という)に書き込まれる。
【0064】
センサ2は、通常電文を生成して無線送信する際、該通常電文の中継コード領域に、自らに割り当てられた中継コード(ここでは中継コード「0」)を記述した上で通常電文を送信する。中継器3aは、センサ2からその通常電文を受信すると、該通常電文の中継コード領域に書き込まれている中継コードを自らに割り当てられた中継コード(ここでは「0」から「1」)に書き換えた上で中継送信する。また、中継器3bは、センサ2から受信した通常電文の中継コードを自らに割り当てられた中継コード(ここでは「0」から「2」)に書き換えた上で中継送信する。
【0065】
次に、中継器3a,3bは、通常電文を受信してから次式(1)に基づいて算出される時間Tだけ経過した後に通常電文の送信動作を行う。
【0066】
時間T=(自らに割り当てられた中継コード(階層値)−受信した通常電文に含まれる中継コード(階層値)−1)×電文長…(1)
なお、電文長とは、当該電文を受信開始してから受信完了するまでの時間をいう。
【0067】
図10の矢印Hに示すように、人体センサ2fから送信された通常電文が中継器3aにのみ到達した場合には、中継器3aは、自らに割り当てられた中継コードが「1」であり、受信した通常電文に含まれる中継コードが「0」であるから、前記式(1)により、時間T=(1−0−1)×電文長=0となる。したがって、中継器3aは、通常電文を受信した直後に、該通常電文の中継コードを「1」に書き換えた上で中継器3bに送信する。
【0068】
また、中継器3bは、図10の矢印Hに示すように、中継器3aから送信された通常電文を受信した場合、自らの中継コードが「2」であり、受信した通常電文に含まれる中継コードが「1」であるから、前記式(1)により、時間T=(2−1−1)×電文長=0となる。したがって、中継器3bは、通常電文を受信した直後に、該通常電文の中継コードを「2」に書き換えた上で受信器4に中継送信する。
【0069】
一方、図10の矢印Iに示すように、人体センサ2fの通常電文が中継器3aにも中継器3bにも同時に到達した場合、中継器3aについては、人体センサ2fの通常電文が中継器3aにのみ到達した場合と同様に、通常電文を受信した直後に該通常電文の中継コードを「1」に書き換えた上で中継送信する。
【0070】
また、中継器3bにおいては、自らに割り当てられた中継コードが「2」であり、受信した通常電文に含まれる中継コードが「0」であるから、前記式(1)により、時間T=(2−0−1)×電文長=1×電文長となる。したがって、中継器3bは、人体センサ2fから通常電文を受信してから、1電文長tだけ待機した後に、中継コードを「2」に書き換えた通常電文を中継送信する。これにより、人体センサ2fの通常電文が中継器3aにも中継器3bにも同時に到達しても、中継器3aから送信される通常電文と、中継器3bから送信される通常電文とが受信器4で衝突するのを防止することができる。なお、中継器3aから中継送信された通常電文が中継器3bにより受信されることが考えられるが、中継器3bは、中継器3aから中継送信された通常電文は無視するように設定するとよい。
【0071】
人体センサ2fの通常電文が中継器3aに到達せずに中継器3bに到達した場合には、図10の矢印Jに示すように、中継器3aは、人体センサ2fから通常電文を受信しないので、通常電文の中継送信を行わず、中継器3bは、人体センサ2fの通常電文が中継器3a,3bに同時に到達した場合と同様、1電文長tだけ待機した後、中継コードを「2」に書き換えた上で受信器4に送信する。また、図10の矢印Kに示すように、人体センサ2fの通常電文が中継器3aにも中継器3bにも到達しない場合には、中継器3a,3bは通常電文の中継送信を行わない。なお、ここでは人体センサ2fを一例として挙げたが、これに限らず、通常電文を受信器4に届ける場合に中継器3を介する必要があるセンサ2全てが対象範囲となる。
【0072】
以上のように、センサ2及び中継器に対して送信動作を行わせる優先順位(階層)を設定し、通常電文を受信すると、該通常電文に含まれる前記優先順位を示す中継コードを、自らに割り当てられた中継コードに書き換えた上で送信することで、センサ2の通常電文が中継器3a,3bの一方又は両方に到達しても、電文の衝突を回避することができる。
【0073】
なお、ここでは、センサ2は、中継コードを制御部9内に予め格納されることで保持し、中継器3a,3bは、例えば記憶部15(図4参照)に予め格納されることで保持するようにしたが、これに限らず、センサ2及び中継器3a,3bに操作スイッチを備え、該操作スイッチの操作態様に応じた中継コードがセンサ2の制御部9内や中継器3a,3bの記憶部15に格納されるようにしてもよい。
【0074】
(2)前記第1の実施形態の構成では、センサ2は検出値が閾値を超えると特殊電文を生成して送信するため、該特殊電文の生成及び送信は、検出値が閾値を超えるたびに行われることとなるが、このような形態に限られず、例えば次のような態様で特殊電文が生成及び送信されるようにしてもよい。
【0075】
図11は、本実施形態のセンサ2’の構成を示す図である。図11に示すように、本実施形態のセンサ2’は、第1の実施形態におけるセンサ(図2に示すセンサ)の構成に加えて、センサ2’の設置作業者等により操作される操作スイッチSWを備えている。操作スイッチSWは、制御部9に接続された端子S1と、グランドに接続された端子S2と、端子S1,S2を電気的に接続したり遮断したりするための切片S3とを備えて構成されている。制御部9は、端子S1の電圧レベルを監視し、前記操作スイッチSWが操作されたことを検出すると(端子S1の電圧レベルがグランドレベルとなったことを検出すると)、前記特殊電文を生成し送信する。
【0076】
一方、中継器3は、センサ2’又は他の中継器から受信した前記特殊電文に含まれるセンサ2’の識別情報(ID)、送信回数情報及び送信時間間隔情報を記憶部15(図4参照)に格納し、受信器4は、センサ2’又は中継器3から受信した前記特殊電文に含まれるセンサの識別情報(ID)、送信回数情報及び送信時間間隔情報を記憶部21(図5参照)に格納する。
【0077】
そして、センサ2’の設置時に操作スイッチSWが操作されるようにすることで、センサ2’の設置時に送信回数情報と送信時間間隔情報とを中継器や受信器4に知らせることができる。そして、特に本実施形態では、センサ2’は、前記特殊電文を検出値が閾値を超えるたびに送信する必要がなく、特殊電文の送受信に要する時間を短縮化することができる。
【0078】
また、この形態に代えて、例えば、電池12がセンサ2に装着され、制御部9が電池12から電力供給を受けて起動したときに前記特殊電文を生成し送信するようにしてもよく、この場合も、主にセンサ2’の設置時に送信回数情報と送信時間間隔情報とを中継器や受信器4に知らせることができる。そして、この形態では、操作スイッチSWの操作が不要となり、前記操作スイッチSWの操作をし忘れて、センサ2の設置時に前記送信回数情報と送信時間間隔情報とを中継器や受信器4に知らせる作業を忘れる可能性がほとんど皆無となる。
【0079】
さらに、検出値が閾値を超えるたびに特殊電文を生成して送信する技術思想と、前記操作スイッチSWが操作されたとき又は電池12がセンサ2,2’に装着されたときに前記特殊電文を生成して送信する技術思想とを組み合わせることで、中継器3a,3bが、外来ノイズにより妨害を受けたことで、本来受信するはずの通常電文が受信できなかった場合であっても、センサ2,2’から送信された通常電文をより一層確実に受信器4まで到達させることができる。
【0080】
(3)電文は、プリアンブル(PR)、ユニークワード(UW)、識別情報(ID)、データ(DATA)及び誤り訂正符号(CRC)の各領域を備えて構成されている旨前述したが、図12に示すように、一般的に、本無線通信システム1のようなオブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式は、前記DATA領域が、Type領域と、Property領域と、Data領域とを備える。
【0081】
Type領域は、オブジェクト指向のセンサネットにおける電文のDATA領域に書き込む情報の表現形式と、従来から用いられている無線機器における情報の表現形式とを区別するための情報が書き込まれる領域である。Property領域は、センサの種別を示す情報が書き込まれる領域である。Data領域は、センサ2の検出値を示す情報が書き込まれる領域である。このような電文形式では、センサ2の種類が増えると、Property領域のビット数が多く必要となる。
【0082】
そこで、識別情報(ID)の一部又は全部の値に応じてDATA領域に書き込まれている情報の解釈を変えるようにするとよい。
【0083】
すなわち、例えば人体センサ2fの識別情報は先頭の1バイトが01hであり、煙センサ2gの識別情報は先頭の1バイトが02hであり、防犯センサ2dの識別情報は先頭の1バイトが03hであるとした場合、受信器4は、受信した電文に含まれる識別情報の先頭の1バイトが01hであれば、Data領域に書き込まれている情報は人体センサ2fの人体検出の有無を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが02hであれば、Data領域に書き込まれている情報は煙センサ2gの煙濃度を示す情報であると解釈し、先頭の1バイトが03hであれば、Data領域に書き込まれている情報は、防犯センサ2dの開閉の有無を示す情報であると解釈する。
【0084】
このように、識別情報に応じてData領域に書き込まれている情報を変えるため、検出値を示す検出値情報(Data領域に書き込まれる情報)として、異なる種類のセンサ間で同一のものを使用することができる。例えば、人体センサ2fが人体を検出したことを示す検出値情報と、防犯センサ2dが窓の開放を検出したことを示す検出値情報とを同一にすることができる。
【0085】
その結果、電文中のType領域やProperty領域が必要なくなり、図13に示すように、DATA領域をData領域のみで構成することができ、電文長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】各センサの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】電文の構成例を示す図である。
【図4】中継器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】受信器の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】センサによる電文の送信動作と中継器及び受信器の送受信動作とを示すタイムチャートである。
【図7】中継器3aはセンサから特殊電文を受信できたが、中継器3bは外来ノイズの妨害を受けて中継器3aからその特殊電文を受信できず、その結果、受信器も特殊電文を受信できなかった場合を示した図である。
【図8】受信器に中継器3aからの電文と中継器3bからの電文とが同時に到達した状態を示す図である。
【図9】中継コード(RC)を含む通常電文の構成を示す図である。
【図10】中継コードを含む通常電文を送受信を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の無線通信システムにおけるセンサの変形形態を示す図である。
【図12】オブジェクト指向のセンサネットで用いられる電文形式を示す図である。
【図13】本発明の無線通信システムにおける電文の変形形態を示す図である。
【図14】従来の無線通信システムの典型的な構成を示す図である。
【図15】中継器を含む場合の通信態様を示す図である。
【図16】中継器を含む場合のセンサ、中継器及び受信器の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 無線通信システム
2 センサ
3,3a,3b 中継器
4 受信器
5 照明機器
7 スピーカ
8 検出部
9,16,22 制御部
10 無線送信部
11 送信アンテナ
12 電池
13 電文
14,20 無線通信部
15,17,21 記憶部
18 照合部
19 送信制御部
23 情報解析部
24 指示部
S1,S2 端子
S3 切片
SW 操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を作成し、該第1の情報を所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器であって、前記第1の情報の送信に先立ち、前記間隔及び回数に関する第2の情報を生成する第2情報作成部を備え、作成された前記第2の情報の送信を行う無線送信器。
【請求項2】
外部操作可能な操作スイッチ及び駆動用電源の接断を検知する検知部の一方を備え、前記第2情報作成部は、前記操作スイッチの操作及び前記検知部での電源の接続検知の一方が生じたときに前記第2の情報を作成するものである請求項1に記載の無線送信器。
【請求項3】
環境情報を取得するセンサ部を備え、取得した環境情報を第1の情報とする請求項1または2に記載の無線送信器。
【請求項4】
所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、
前記無線送信器から予め取得した第2の情報の前記間隔及び回数から予定される受信タイミングで前記第1の情報が受信されないとき、既に受信された第1の情報で補充する監視処理部を備える無線中継器。
【請求項5】
所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、
前記第2の情報を受信しなかった場合、前記第1の情報を受信したときのみ該第1の情報の中継送信を行う無線中継器。
【請求項6】
所定個所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器と無線受信器との間に配置され、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器であって、
前記情報を受信すると、当該無線中継器に固有に割り当てられた送信順位を示す送信順位情報を前記受信した情報に含めて中継送信するとともに、
受信した情報に含まれる送信順位情報が示す送信順位と、当該無線中継器に割り当てられた送信順位との差に応じた遅延時間を算出し、前記遅延時間に基づいて前記情報を中継送信するタイミングを決定し、そのタイミングで前記情報を中継送信する無線中継器。
【請求項7】
第1の情報を作成し、該第1の情報を所定間隔で所定回数だけ繰り返す送信動作を行う無線送信器と、前記無線送信器からの送信情報を受信して中継送信を行う無線中継器と、前記無線送信器又は前記無線中継器から送信される情報を受信する無線受信器とを備えた無線通信システムであって、
前記無線送信器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信器であり、
前記無線中継器は、請求項4ないし6のいずれかに記載の無線中継器である無線通信システム。
【請求項8】
前記無線送信器は、環境情報を検出するセンサ部を備え、
前記情報は、無線送信器の種類を識別するための識別情報と前記環境情報に係る検出値を示す検出情報とを含み、
第1の無線送信器の検出値を示す検出情報と、前記第1の無線送信器と異なる種類の第2の無線送信器の検出値を示す検出情報とが同一の信号で構成されており、
前記無線受信器は、前記識別情報及び検出情報の組み合わせと前記無線送信器の検出内容との対応関係を予め記憶し、前記第1の情報を受信すると、この第1の情報に含まれる識別情報及び検出情報に基づき、前記無線送信器の検出内容を解釈する請求項7に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−236601(P2008−236601A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76220(P2007−76220)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】