無線通信システムにおける位相シフト基盤プレコーディングを用いてデータを伝送する方法及びそれを具現するための装置
多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数個の副搬送波を用いてデータを伝送する方法が公開される。特に、この方法は、移動局からフィードバック情報を受信するステップと、前記受信されたフィードバック情報を用いて、各アンテナによって送信されるべきユーザデータ上に独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うステップと、固定された量だけ前記ユーザデータの位相角を増加させるための位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップと、前記ユーザデータ上に前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を用いてプレコーディングを行うステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送方法に関し、より詳しくは、無線通信システムにおける位相シフト基盤プレコーディングを用いてデータを伝送する方法及びそれを具現するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、W−CDMAシステムにおいて、多重アンテナを用いて、ビーム形成、MIMO(Multi−Input Multi−Output)、また送信ダイバーシチ等の新たな技術を通じて、容量増大及び伝送速度の高速化、またリンクの信頼性を極大化するための研究が進行されている。特に、空間多重化を通じて高速伝送を追及するV−BLASTのようなMIMO技術が、3GPP(3rd Generation Partnership Project )標準化に反映されている。
【0003】
また、Release 99及びRelease 4で採用された2つのアンテナを用いた送信ダイバーシチが発展して、3つ以上のアンテナを用いたV−BLASTの進化形態であるPARC(Per Antenna Rate Control)や、多重ユーザを支援するために提案されたPU2RC(Per User Unitary Rate Control)のような新たなダイバーシチ技術も提案されている。
【0004】
図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【0005】
従来のV−BLASTの場合、チャンネル状態情報(Channel Quality Information:CQI)のフィードバック情報無しに、各伝送アンテナ毎に同一の変調と符号化を設定して伝送する。しかしながら、PARCは、図1A及び図1Bに示すように、ユーザ端末からMCS(Modulation Coding Set)及び/または伝送アンテナ集合(Transmit Antenna Subset:TAS)等のチャンネル状態情報をフィードバックされ、アンテナ別に伝送すべきユーザデータストリームを選択する。
【0006】
図1Aは、単一ユーザのためのPARCであるので、図示のように、3名のユーザデータストリームのいずれかを選択し、図1Bは、多重ユーザのためのPARCであるので、2つ以上のユーザデータストリームを選択するようになる。
【0007】
次いで、逆多重化され、バッファに入力された該当ユーザデータストリームに前記チャンネル情報に基づいて変調及び符号化を適用した後、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の多重化変調過程を経てそれぞれの伝送アンテナを介して送信する。
【0008】
すなわち、PARCにおける基地局は、ユーザ端末からフィードバックされた情報を用いて、システム伝送速度を最大にする形態のスケジューリングを行い、これにより、1つのユーザ端末または2つ以上のユーザ端末が、同時に、同一の周波数と時間資源を空間的に共有するようになる。PARCは、基地局がスケジューリングするユーザ端末の個数が多くなるほど、多重ユーザのダイバーシティ利得を大いに得ることができる。
【0009】
PARCは、フィードバック情報としてCQIのみを要求するため、フィードバックオーバーヘッドが少なく、オーバーヘッドが少ないので、フィードバック過程でのエラー発生率が相対的に少なく、単一ユーザのためのPARCと多重ユーザのためのPARCとの間に切り替えが容易であるという長所がある。しかしながら、多重ユーザのためのPARCの場合、ユーザ間の干渉により伝送効率に劣るという問題があった。
【0010】
図2は、多重ユーザのためのPU2RC構造を示すブロック図である。PU2RCは、多重ユーザにデータストリームを伝送するために、空間多重化を用いる。したがって、多重ユーザに伝送するために複数のデータストリームが選択される。前述のように、PU2RCは、多重ユーザの環境に焦点を合わせており、MIMOチャンネルの特異値分解(Singular Value Decomposition、SVD)に基づくユニタリ行列を用いてプレコーディングを行う。
【0011】
送信機でのユニタリ行列は、全てのユーザ端末から選択された単位基本ベクターの組合せであり、ここで、ベクターの総和がMで表される場合、前記単位基本ベクターはいずれも、1つまたは複数のユーザから選択されたものである。このような選択は、最高の容量獲得のための時空間多重ユーザ理論に基づいて行う。
【0012】
PU2RCは、多重ユーザ間に干渉を減らし、高い効率向上が得られる長所があるが、チャンネル状態情報以外に好適な行列インデックス情報までフィードバックされなければならないという点で、フィードバックオーバーヘッドが大きく、したがって、伝送中にエラーが生じる可能性が相対的に大きいという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、関連技術の限界及び短所によって発生する問題を解決するための無線通信システムにおいて、位相シフト基盤プレコーディングを用いてデータを伝送する方法及びそれを具現するための装置に関する。
【0014】
本発明は、多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数個の副搬送波を用いてデータを伝送する方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、複数個の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムにおける送信装置及び受信装置を提供することを他の目的とする。
【0016】
本発明の他の特徴、利点及び目的は、後述する説明でより詳細に説明される。これらの特徴、利点及び目的の一部分は、この技術の分野における通常の技術を有する者にとって、本発明を実施することにより明らかに理解され得る。本発明の他の目的及び他の利点は、添付図面のみならず、請求の範囲及び詳細な説明に記載されている構造から理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的によって、また、上述した目的及び利点を達成するために、ここに記載された本発明の一様相による、多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数の副搬送波を用いてデータを送信する方法は、移動局からフィードバック情報を受信するステップと、前記受信されたフィードバック情報を用いて、各アンテナによって送信されるべきユーザデータに独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うステップと、前記ユーザデータの位相角を固定された量だけ増加させるための位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップと、前記ユーザデータ上に前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を適用してプレコーディングを行うステップとを含む。
【0018】
本発明の他の様相による、複数の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムの送信装置及び受信装置で構成される送受信装置であって、前記送受信装置は、前記受信装置からのフィードバック情報を用いて、各アンテナに対するユーザデータ上に独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うようになっているチャンネルエンコーダー及び変調器と、位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっている第1のプレコーダーとして、前記第1のプレコーダーは、前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を用いて、前記ユーザデータ上にプレコーディングを行うようになっている、第1のプレコーダーとを備え、前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、各アンテナに対する前記ユーザデータの位相角を固定された値だけ増加させるステップに基づいて決定される。
【0019】
上述した大略の記載及び後述する本発明の詳細な説明は、全て例示のものであって、本発明の請求の範囲をより詳細に記述するためのものであることを理解しなければならない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、上述したPARCの長所をそのまま維持しながら、多重ユーザ間の干渉を最小化することができ、PU2RCの性能に遅れないながらも、フィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【図1B】図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【図2】図2は、多重ユーザのためのPU2RC構造を示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、実施例1による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。
【図3B】図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【図3C】図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【図4】図4は、位相シフト基盤プレコーディングを行うための送信機の主要構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、循環遅延によりチャンネルの大きさが変化した模様を示す図である。
【図6】図6は、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに、従来の空間多重化技法と循環遅延ダイバーシチが適用された場合を示す図である。
【図7】図7は、式10の位相シフト基盤プレコーディング行列を適用された多重アンテナシステムを示すブロック図である。
【図8】図8は、プレコーディング行列の特定の部分が選択された4つ送信アンテナを示すブロック図である。
【図9】図9は、実施例2による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。
【図10】図10は、コードブック基盤プレコーディングを支援する多重アンテナシステムの送受信過程を示す概念図である
【図11A】図11Aは、ITU PedAチャンネルにおいて、空間相関度が全くない場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【図11B】図11Bは、送受信機の空間相関度が70%である場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【図12A】図12Aは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示す図である。
【図12B】図12Bは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。可能な限り、明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同じ構成要素を示す。
以下の技術は、様々な通信システムに用いられ得る。通信システムは、音声、パケットデータ等のような様々な通信サービスを提供するために広く配置される。この技術は、ダウンリンクまたはアップリンクで用いられる。ダウンリンクは、基地局(base station;BS)から端末(mobile station;MS)への通信を意味し、アップリンクは、端末から基地局への通信を意味する。
【0023】
基地局は、一般に、端末と通信する固定局をいい、ノード−B、BTS(base transceiver system)、アクセスポイント等の他の用語で呼ばれてもよい。端末は、固定されまたは移動性を有してもよく、UE(user equipment)、UT(user terminal)、SS(subscriber station)、無線機器等の他の用語で呼ばれてもよい。
【0024】
本発明は、単一キャリアまたは多重キャリア通信システムに用いられる。多重キャリアシステムは、OFDMや他の多重キャリア変調技法を活用することができる。OFDMは、全体システムの帯域幅を直交性を有する多数の副搬送波に分割する。副搬送波は、サブバンド、トーン等と呼ばれてもよい。単一キャリアシステムは、SC−CDMA(single−carrier frequency division multiple access)、CDMA(code division multiple access)等の単一キャリア変調技法を活用することができる。
【0025】
一般に、通信システムは、送信機と受信機を含む。ここで、送信機と受信機は、送信機能と受信機能を全て行う送受信機と言える。但し、フィードバックに関する説明を明確にするために、一般のデータの伝送を担当する一方を送信機といい、送信機にフィードバックデータを伝送する他方を受信機という。
【0026】
ダウンリンクにおいて、送信機は、基地局の一部であってもよく、受信機は、端末の一部であってもよい。アップリンクにおいて、送信機は、端末の一部であってもよく、受信機は、基地局の一部であってもよい。基地局は、多数の受信機と多数の送信機を含めてもよい。端末は、多数の受信機と多数の送信機を含めてもよい。
【実施例1】
【0027】
本実施例では、多重ユーザ・多重アンテナシステムにおいて、各伝送アンテナに異なる変調と符号化を設定して、伝送効率を最大化し、一方、位相シフト基盤のプレコーティングを適用して、ユーザ間の干渉を最小化する方法、及びそれを具現する送受信装置を提案する。
【0028】
図3Aは、実施例1による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。図示のように、送信機100は、スケジューラ及びマルチプレクサー110、チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−N、プレコーダー130、直並列変換器140−1、…、140−Nt、変調器150−1、…、150−Ntを有する。
【0029】
一方、図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【0030】
図3Aにおいて、スケジューラ及びマルチプレクサー110は、ユーザ別に情報ビットが入力されると、伝送対象のユーザ端末をスケジューリングし、その中で実際に伝送すべきユーザを選択し、選択された情報ビットを多重化する。
【0031】
チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nは、前記多重化した情報ビットストリームを定められたコーディング方式によりエンコードし、符号化したデータを形成し、情報ビットストリームの符号化したデータを予め定められた変調方式により変調する。前記情報ビットは、テキスト、音声、映像またはその他のデータを含めてもよい。
【0032】
また、チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nは、情報ビットのそれぞれにCRC(cyclic redundancy check)のようなエラー検出ビットを追加し、エラー訂正のための余分のコードを追加することができる。エラー訂正コードは、ターボ符号、LDPC(low density parity check code)、及び畳み込み符号のいずれか一つであってもよく、これに限定されず、エラー訂正を行う他の符号がこれに該当し得る。
【0033】
チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nにより符号化したデータは、振幅と位相星座による位置を表現するシンボルでマッピングされる。変調方式には制限がなく、m−PSK(m−quadrature phase shift keying)またはm−QAM(m−quadrature amplitude modulation)であってもよい。例えば、m−PSKは、BPSK、QPSKまたは8−PSKであってもよい。m−QAMは、16−QAM、64−QAMまたは256−QAMであってもよい。
【0034】
プレコーダー130は、前記マッピングされたシンボルに、位相シフト基盤プレコーディングを行う。プレコーダー130の出力による一周期(または1つのタイムスロット)に伝送されるシンボルの集合を、伝送シンボルという。プレコーダー130で行われる位相シフト基盤プレコーディングは、後で詳述する。
【0035】
直並列変換器140−1、…、140−Ntは、プレコーディングされた伝送シンボルをそれぞれ並列化し、変調器150−1、…、150−Ntに入力する。
【0036】
変調器150−1、…、150−Ntは、並列化されて入力された各伝送シンボルを多重接続変調方式により変調する。多重接続変調方式については制限がなく、よく知られたCDMAのようなシングルキャリア変調方式やOFDMのような多重キャリア変調方式を採用することができる。
【0037】
以下では、多重キャリア変調技法としてOFDMを用いる2つアンテナシステム及び4つアンテナシステムを一例とする位相シフト基盤プレコーディング法を説明し、これを、Nt個の多重アンテナシステムに拡張するための一般化した位相シフト基盤プレコーディング行列の構成方法を説明する。
【0038】
位相シフト基盤プレコーディング法
図4は、位相シフト基盤プレコーディングを行うための送信機の主要構成を示すブロック図である。位相シフト基盤プレコーディング法は、伝送すべき全てのストリームを全体アンテナを介して伝送するが、それぞれ他の(または独立的な)位相のシーケンスを乗じて伝送することである。一般に、小さな循環遅延値を用いて、位相シーケンスを生成すると、受信機(例えば、移動局)からみるとき、チャンネルに周波数選択性が生じながら、周波数領域に応じてチャンネルの大きさが大きくまたは小さくなる。
【0039】
図5は、循環遅延によりチャンネルの大きさが変化した様子を示す図である。図示のように、送信機100は、相対的に小さな循環遅延値により振動する周波数帯域の中で周波数が大きくなり、チャンネル状態が良好となる部分にユーザ端末を割当て、周波数ダイバーシチを確保する。この際、各アンテナに対して一定に増加または減少する循環遅延値を適用するために、位相シフト基盤プレコーディング行列を用いる。位相シフトプレコーディング行列Pを一般化して表すと、式1の通りである。
【0040】
【数1】
ここで、
【0041】
【化1】
(i=1、…、Nt、j=1、…、R)は、副搬送波アンテナkにより決定される複合加重値を示し、Ntは、送信アンテナの個数、Rは、空間多重化率をそれぞれ示す。こごて、複合加重値は、アンテナに乗じられるOFDMシンボル及び該当副搬送波のインデックスにより異なる値を有してもよい。前記複合加重値は、チャンネル状況及びフィードバック情報の有無の少なくともいずれか一つにより決定され得る。
【0042】
一方、前記式1のプレコーディング行列Pは、多重アンテナシステムでのチャンネル容量の損失を減らすために、ユニタリ行列で設計されることが好ましい。ここで、ユニタリ行列構成のための条件を調べるために、多重アンテナシステムのチャンネル容量を数式で表すと、以下の通りである。
【0043】
【数2】
ここで、Hは、NrxNtの大きさの多重アンテナチャンネル行列であり、Nrは、受信アンテナの個数を示す。前記式2に位相シフト基盤プレコーディング行列Pを適用すると、式3の通りである。
【0044】
【数3】
式3に示すように、チャンネル容量に損失がないようにするために、PPHが単一行列とならなければならないので、位相シフト基盤プレコーディング行列Pは、式4のような条件を満たすユニタリ行列でなければならない。
【0045】
【数4】
位相シフト基盤プレコーディング行列Pがユニタリ行列となるためには、以下の2つの条件、すなわち、電力制限条件及び直交制限条件を同時に満たさなければならない。電力制限は、行列をなす各列の大きさが1となるようにし、直交制限は、行列の各列間に直交性を有するようにすることである。これらを数式で表すと、それぞれ式5及び式6の通りである。
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
前記式2乃至式6に関する論議は、ユニタリ行列に関するものである。次に、1つの実施例として、2×2位相シフト基盤プレコーディング行列の一般化した数式を提示し、前記2つの条件を満たすための数式を調べるようにする。
【0048】
式7は、2つの送信アンテナを有し、空間多重化率が2である位相シフト基盤プレコーディング行列の一般式を示している。
【0049】
【数7】
ここで、αi、βi(i=1、2)は、実数値を有し、θi(i=1、2、3、4)は、位相値を示し、kは、OFDM信号の副搬送波インデックスを示す。
【0050】
このようなプレコーディング行列(例えば、式7)をユニタリ行列で具現するためには、式8の電力制限条件と式9の直交制限条件を満たさなければならない。
【0051】
【数8】
【0052】
【数9】
ここで、 標識*は、共役複素数を示す。前記式7乃至式9を全て満足する2×2位相シフト基盤プレコーディング行列の一実施例は、式10の通りである。
【0053】
【数10】
ここで、θ2とθ3は、直交制限により式11のような関係を有する。
【0054】
【数11】
一方、プレコーディング行列は、送信機及び受信機のメモリにコードブックの形態で保存されてもよいが、前記コードブックは、有限個の異なるθ2値を通じて生成した様々なプレコーディング行列を含めて構成されてもよい。また、θ2値は、チャンネル状況とフィードバック情報の有無によって適宜設定されてもよく、フィードバック情報を用いる場合であれば、θ2を小さく設定し、フィードバックを用いない場合であれば、θ2を大きく設定することにより、高い周波数ダイバーシチ利得を得ることができる。
【0055】
一方、前記式7のような位相シフト基盤プレコーディング行列が生成されても、チャンネル状況によって、実際のアンテナ数に比べて空間多重化率(Rank; R)が小さく設定されなければならない場合が生じ得る。このような場合は、前記生成した位相シフト基盤プレコーディング行列の中で、現在の空間多重化率(小さくなった空間多重化率)に相応する個数の特定列を選択し、位相シフト基盤プレコーディング行列を新たに再構成することができる。すなわち、空間多重化率が変わる度に、該当システムに適用される新たなプレコーディング行列を生成するものではなく、最初に生成した位相シフト基盤プレコーディング行列をそのまま活用するが、該当プレコーディング行列の特定列を選択して、プレコーディング行列を再構成する。
【0056】
一例として、前記式10のプレコーディング行列は、2つの送信アンテナを有する多重アンテナシステムにおいて、空間多重化率が2である場合を想定しているが、何らかの理由で空間多重化率が1に低くなることが生じ得る。この場合、前記式10の行列中で特定列を選択してプレコーディングを行うことができるが、例えば、二番目の列を選択した場合の位相シフト基盤プレコーディング行列は、以下の式12のようであり、これは、従来の2つの送信アンテナの循環遅延ダイバーシチ技法と同一の形態となる。
【0057】
【数12】
ここでは、2つの送信アンテナを有するシステムを挙げているが、4つの送信アンテナを有するシステムにも拡張して適用することができる。すなわち、送信アンテナが4つである場合の位相シフト基盤プレコーディング行列を生成した後、変化する空間多重化率(例えば、2から1に変化)により特定列を選択してプレコーディングを行うことができる。
【0058】
一例として、図6は、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに、従来の空間多重化技法と循環遅延ダイバーシチが適用された場合を示し、図7は、このような多重アンテナシステムに式10の位相シフト基盤プレコーディング行列を適用した場合を示している。
【0059】
図6によると、第1のアンテナ(例えば、ANT#1)及び第3のアンテナ(例えば、ANT#3)には、第1のシーケンスS1及び第2のシーケンスS2が伝達され、第2のアンテナ(例えば、ANT#2)及び第4のアンテナ(例えば、ANT#4)には、所定の大きさで位相シフトされた第1のシーケンス
【0060】
【化2】
及び第2のシーケンス
【0061】
【化3】
が伝達される。したがって、全体としては空間多重化率が2となることが分かる。
【0062】
これに比べて、図7において、第1のアンテナ(例えば、ANT#1)には
【0063】
【化4】
が伝達され、第3のアンテナ(例えば、ANT#3)には
【0064】
【化5】
が伝達され、第2のアンテナ(例えば、ANT#2)には
【0065】
【化6】
が伝達され、第4のアンテナ(例えば、ANT#4)には
【0066】
【化7】
が伝達される。
【0067】
したがって、前記図6のシステムに比べて、プレコーディング法の長所を有すると共に、単一のプレコーディング行列を用いて、4つのアンテナに対して、循環遅延(または位相シフト)を行うことができるので、循環遅延ダイバーシチ技法による長所まで有することができる。
【0068】
上述した2つアンテナシステム及び4つアンテナシステムに対する空間多重化率別の位相シフト基盤プレコーディング行列をまとめると、以下の通りである。
【0069】
【表1】
ここで、θi(i=1、2、3、4)は、循環遅延値による位相角であり、kは、OFDMの副搬送波インデックスである。前記表2において、前記4つの場合のプレコーディング行列のそれぞれは、図8に示すように、4つの送信アンテナを有すると共に、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに対するプレコーディング行列の特定の部分を取って得られる。
【0070】
したがって、前記4つの場合に対するそれぞれのプレコーディング行列をコードブックに別途に備える必要がなく、送信機及び受信機のメモリ容量を節約することができる。また、上述した位相シフト基盤プレコーディング行列は、同一の原理により、アンテナ数がMであり、空間多重化率がN(N≦M)であるシステムについても拡張され得る。
【0071】
位相シフト基盤プレコーディング法を具現するための第1のプレコーダー
上述した位相シフト基盤プレコーディング法を具現するために、第1のプレコーダー130−1は、プレコーディング行列生成モジュール131−1、行列再構成モジュール133−1、及びプレコーディングモジュール134−1を含めてなる。
【0072】
プレコーディング行列生成モジュール131−1は、所定のプレコーディング行列において、一番目の副搬送波に対応する基準行を決定し、前記基準行を一定の単位で増加する位相角で位相シフトさせ、残りの行を決定する。本発明では、(送信アンテナの個数)×(空間多重化率)の大きさのユニタリ行列を用いてプレコーディングを行うが、前記ユニタリ行列は、各副搬送波のインデックス別に備えられ、一番目のインデックスに対するユニタリ行列を位相シフトさせ、残りのインデックスのユニタリ行列を求める。
【0073】
すなわち、プレコーディング行列生成モジュール131−1は、メモリ150に予め保存されたコードブックにおいて、任意の第1のプレコーディング行列を選択する。2番目のインデックスの副搬送波に対する第2のプレコーディング行列は、前記第1のプレコーディング行列に所定の大きさの位相シフトを加えて生成される。この際、シフトされる位相の大きさは、現在のチャンネル状況及び/または受信機からのフィードバック情報の有無によって多様に設定され得る。3番目のインデックスの副搬送波に対する第3のプレコーディング行列は、前記第2のプレコーディング行列に再度位相シフトを行って得られる。すなわち、前記第2のプレコーディング行列の生成過程は、第3のプレコーディング行列乃至最後の順番のプレコーディング行列の生成過程において繰り返して行われる。
【0074】
行列再構成モジュール133−1は、前記プレコーディング行列生成モジュール131で生成した各プレコーディング行列において、与えられた空間多重化率に相応する個数だけの列を選択し、それ以外の列は削除することにより、プレコーディング行列を再構成する。ここで、前記選択された列のみからなるプレコーディング行列を新たに生成することもできる。一方、前記プレコーディング行列において特定列を選択することは、任意の列が選択されるものであってもよく、予め定められた政策によって特定列が選択されるものであってもよい。
【0075】
プレコーディングモジュール134−1は、前記決定された各プレコーディング行列に、該当副搬送波に対するOFDMシンボルを代入してプレコーディングを行う。
【0076】
一般化した位相シフト基盤プレコーディング法
以上では、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である場合の位相シフト基盤プレコーディング行列が構成される過程を説明したが、本発明の位相シフト基盤プレコーディング法は、アンテナ数がNt(Ntは、2以上の自然数)であり、空間多重化率がR(Rは、1以上の自然数)であるシステムについて拡張され得る。これは、上述した内容と同一の方法で拡張されてもよく、以下の式13のような方法で一般化されてもよい。
【0077】
【数13】
ここで、=の右側の前半部行列は、位相シフトのためのユニタリ行列であり、後半部行列Uは、特定の目的のために用いられる行列であって、
【0078】
【化8】
を満足するユニタリ行列である。
【0079】
2つの伝送アンテナを有し、1ビットコードブックを用いる場合の位相シフト基盤プレコーディング行列の生成式の一例は、式14の通りである。
【0080】
【数14】
式14において、α値が定められると、β値は容易に定められるので、α値に対する情報を適切な2つの値で定めておき、これに対する情報をコードブックインデックスにフィードバックするように具現することができる。一例として、フィードバックが0であれば、αは0.2とし、フィードバックインデックスが1であれば、αは0.8とすることを、送受信機間に予め約束することができる。
【0081】
後半部行列の一例として、信号対雑音比(SNR)利得を得るための所定のプレコーディング行列Uが用いられ、特に、このようなプレコーディング行列としてウォルシュ符号が用いられる場合の位相シフト基盤プレコーディングPの生成式をみると、式15の通りである。
【0082】
【数15】
式15は、4つの送信アンテナと空間多重化率4を有するシステムを前提としており、ここで、前記後半部行列を適切に再構成することにより、特定の送信アンテナを選択し、または、空間多重化率を調節することができる。
【0083】
以下の式16は、送信アンテナが4つであるシステムにおいて、2つのアンテナを選択するために、前記後半部行列を再構成した様子を示している。
【0084】
【数16】
上述のように、空間多重化率は、時間及び/またはチャンネル状態を含む様々な要因により変わり得る。また、以下の表2は、時間またはチャンネルの状況等によって空間多重化率が変わる場合、該当多重化率に合わせて、前記後半部行列を再構成するための方法を示している。
【0085】
【表2】
この際、表2では、多重化率によって後半部行列の1番目列、1〜2番目列、1〜4番目列が選択された場合を示しているが、必ずしもこれに限るものではなく、多重化率が1である場合、1、2、3、4番目の列のいずれか一つが選ばれ、多重化率が2である場合、1〜2、2〜3、3〜4、4〜1番目の列のいずれか一つが選ばれてもよい。
【0086】
また、表2の行列の1つ以上の列は、空間領域資源を共有するために、他のユーザに割り当てられてもよい。
【0087】
また、前記後半部行列は、送信機及び受信機にコードブックの形態で備えられてもよい。この場合、送信機は、受信機からコードブックのインデックス情報をフィードバックされ、自身が備えているコードブックから、該当インデックスのユニタリ行列(後半部行列)を選択した後、前記式13を用いて、位相シフト基盤プレコーディング行列を構成する。
【0088】
一方、位相シフト基盤プレコーディングのための循環遅延値は、送受信機に予め定められた値であってもよく、受信機がフィードバックを通じて送信機に伝達した値であってもよい。また、空間多重化率Rもまた、送受信機に予め定められた値であってもよいが、受信機が周期的にチャンネル状態を把握し、空間多重化率を算出して、送信機にフィードバックすることもでき、受信機がフィードバックしたチャンネル情報を用いて、送信機が空間多重化率を算出及び変更してもよい。
【0089】
本発明の実施例に関するより詳細な内容は、ここに参照として含まれている、2006年10月2日に出願された韓国特許出願番号第2006−97216号、2007年4月16日に出願された韓国特許出願番号第2007−37008号と連関される。
【0090】
一般化した位相シフト基盤プレコーディング法を具現するための第1のプレコーダー
この場合の第1のプレコーダー130−2は、プレコーディング行列決定モジュール131−2、アンテナ選択モジュール132、行列再構成モジュール133−2、及びプレコーディングモジュール134−2を含めてなる。
【0091】
プレコーディング行列決定モジュール131−2は、式13のように、位相シフトのための第1の行列と、ユニタリ行列条件を満足する第2の行列とを乗じて、位相シフト基盤プレコーディング行列を決定する。
【0092】
アンテナ選択モジュール132は、前記第2の行列がN×N(Nは、2以上の整数)の大きさの行列であるというとき、式16のように、前記第2の行列のうち、特定のアンテナに対応するn×n(0<n<N)の大きさの部分行列を一つ以上選択し、前記選択された部分行列以外の成分を全て0にセットし、データ伝送に用いるべき特定のアンテナを選択する。
【0093】
行列再構成モジュール133−2は、表2におけるように、前記第2の行列において、所定の空間多重化率に相応する個数の列を選択し、前記選択された列のみからなるように、前記第2の行列を再構成する。
【0094】
以上では言及されていないが、本実施例の送信機を具現するために、各種の設定情報を保存するメモリ(図示せず)、フィードバック情報を受信するための受信回路(図示せず)、及び上述した各種の構成要素の全般的な制御のための制御器(図示せず)等を備えなければならないことは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0095】
すなわち、メモリには、位相シフト基盤プレコーディングのためのコードブックと、適応的チャンネルコーディング及び変調(Adaptive Channel Coding & Modulation;AMC)技法を支援するためのMCSルックアップテーブルが保存されてもよい。前記コードブックは、位相シフト基盤プレコーディング行列の項目と、各行列に対するインデックス項目を1つ以上含み、前記MCSルックアップテーブルは、入力された情報ビットに適用すべきコーディング率項目、変調方式及びこれらの項目とマッチングされるMCSレベルインデックス項目を1つ以上含む。
【0096】
受信回路は、受信機から伝送された信号をアンテナを介して受け取り、これをデジタル化して制御器に送る。受信回路に受信された信号から抽出された情報には、チャンネル品質情報(channel quality information;CQI)が含まれてもよい。CQIは、受信機が、送信機100に、チャンネル環境やコーディング方式、変調方式についてフィードバックする情報であり、具体的には、位相シフト基盤プレコーディング行列のインデックス情報、及び特定のコーディング率及び/または変調方式を指定するためのインデックス情報の少なくとも1つがこれに該当し得る。前記インデックス情報として、MCS(Modulation and Coding Scheme)レベルインデックスが用いられ得る。
【実施例2】
【0097】
本実施例は、実施例1にコードブック基盤プレコーディングをさらに適用して、伝送電力を効率的にスケジューリングすることにより、データの伝送信頼度及び伝送効率を高める方法及びこれを具現する送受信機を提案する。
【0098】
図9は、実施例2による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。実施例1におけるスケジューラ及びマルチプレクサー110、チャンネルエンコーダー及び変調器120−1、…、120−N、プレコーダー130、直並列変換器140−1、…、140−Nt、変調器150−1、…、150−Ntは、実施例2におけるスケジューラ及びマルチプレクサー210、チャンネルエンコーダー及び変調器220−1、…、220−N、プレコーダー240、直並列変換器250−1、…、250−Nt、変調器260−1、…、260−Ntと同様に適用されることができる。ただし、実施例2ではコードブック基盤プレコーダー230がさらに備えられる。
【0099】
本実施例のプレコーダー240が行うコードブック基盤プレコーディングは、実施例1のプレコーダー130が行う位相シフト基盤プレコーディング(これを第1のプレコーディングという)と区別するために、第2のプレコーディングという。第2のプレコーディングは、送受信機において既知のプレコーディング行列のインデックスを受信機からフィードバックされ、信号対雑音比(SNR)利得を得る方式である。
【0100】
図10は、コードブック基盤プレコーディングを支援する多重アンテナシステムの送受信過程を示す概念図である。図示のように、送信機及び受信機は、それぞれ有限なプレコーディング行列(P1〜PL)を備えており、受信機では、チャンネル情報を用いて、最適のプレコーディング行列インデックスIを送信機にフィードバックし、送信機のプレコーダー240は、フィードバックされたインデックスに該当するプレコーディング行列を伝送データ(X1〜XMt)に適用する。
【0101】
表3は、2つの伝送アンテナを備え、空間多重化率2を支援し、3ビットのフィードバック情報を用いる場合に適用できるコードブックの一例を示す。
【0102】
【表3】
実施例2のようにコードブック基盤プレコーディングと位相シフト基盤プレコーディングを同時に適用する場合、送信機は、受信機が好きなプレコーディングインデックス、チャンネル状態情報(CQI)、及びチャンネル状況が最もいい周波数帯域に対する情報を周期的にフィードバックされる。送信機は、このようなフィードバック情報に基づいて、同一のプレコーディングインデックスを用いながら、好きなデータストリームが相違した受信機(ユーザ端末)を同一の周波数と同一の時間帯でスケジューリングする。
【0103】
一方、実施例2のメモリ(図示せず)は、実施例1のメモリに比べて、プレコーディングのためのコードブックをさらに備えなければならない。また、実施例2の受信回路(図示せず)は、実施例1の受信回路よりも、前記コードブックにおいてプレコーディング行列を選択するためのコードブックインデックス情報をさらに受信しなければならない。
【0104】
上述した実施例1及び実施例2の送受信装置は、データ伝送過程において、インパルス雑音による損失を最小化するために、コードビットパーシングを通じたインターリービングを行うインターリーバ(図示せず)、プレコーディングされた伝送シンボルを時間領域の搬送波に乗せるための高速逆フーリエ変換器(IFFT)(図示せず)、伝送シンボルを高周波信号に変換するためのフィルタ(図示せず)、及びアナログ変換機(図示せず)等をさらに有してもよい。
【0105】
次に、本発明で提案した位相シフト基盤の多重ユーザ・多重アンテナ方法の性能を検証するために、表4の環境でシミュレーションを行った結果をみると、以下の通りである。
【0106】
【表4】
図11Aは、ITU PedAチャンネルにおいて、空間相関度が全くない場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果であり、図11Bは、送受信機の空間相関度が70%である場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【0107】
図11A及び図11Bに示すように、送受信機の空間相関度にかかわらず、本発明の伝送方法が、PARCよりも常時伝送率が高く出ることが分かる。また、送受信機の空間相関度が高くなることにより、性能差が大きくなることが分かる。すなわち、本発明によると、多重ユーザに対する干渉が大きく減らすので、全体的な伝送性能が高くなることである。
【0108】
図12A及び図12Bは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示すものである。
【0109】
図12Aに示すように、送受信機の空間相関度が全くない場合も、PARCと本発明との性能差は殆どなく、特に、図12Bに示すように、送受信機の空間相関度が70%に高くなることにより、本発明が、コードブック基盤プレコーディングによってSNR利得が得られるようになるので、伝送率が15%以上向上することが分かる。
【0110】
上述した本発明は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を外れない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、前述した実施例及び添付図面により限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送方法に関し、より詳しくは、無線通信システムにおける位相シフト基盤プレコーディングを用いてデータを伝送する方法及びそれを具現するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、W−CDMAシステムにおいて、多重アンテナを用いて、ビーム形成、MIMO(Multi−Input Multi−Output)、また送信ダイバーシチ等の新たな技術を通じて、容量増大及び伝送速度の高速化、またリンクの信頼性を極大化するための研究が進行されている。特に、空間多重化を通じて高速伝送を追及するV−BLASTのようなMIMO技術が、3GPP(3rd Generation Partnership Project )標準化に反映されている。
【0003】
また、Release 99及びRelease 4で採用された2つのアンテナを用いた送信ダイバーシチが発展して、3つ以上のアンテナを用いたV−BLASTの進化形態であるPARC(Per Antenna Rate Control)や、多重ユーザを支援するために提案されたPU2RC(Per User Unitary Rate Control)のような新たなダイバーシチ技術も提案されている。
【0004】
図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【0005】
従来のV−BLASTの場合、チャンネル状態情報(Channel Quality Information:CQI)のフィードバック情報無しに、各伝送アンテナ毎に同一の変調と符号化を設定して伝送する。しかしながら、PARCは、図1A及び図1Bに示すように、ユーザ端末からMCS(Modulation Coding Set)及び/または伝送アンテナ集合(Transmit Antenna Subset:TAS)等のチャンネル状態情報をフィードバックされ、アンテナ別に伝送すべきユーザデータストリームを選択する。
【0006】
図1Aは、単一ユーザのためのPARCであるので、図示のように、3名のユーザデータストリームのいずれかを選択し、図1Bは、多重ユーザのためのPARCであるので、2つ以上のユーザデータストリームを選択するようになる。
【0007】
次いで、逆多重化され、バッファに入力された該当ユーザデータストリームに前記チャンネル情報に基づいて変調及び符号化を適用した後、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の多重化変調過程を経てそれぞれの伝送アンテナを介して送信する。
【0008】
すなわち、PARCにおける基地局は、ユーザ端末からフィードバックされた情報を用いて、システム伝送速度を最大にする形態のスケジューリングを行い、これにより、1つのユーザ端末または2つ以上のユーザ端末が、同時に、同一の周波数と時間資源を空間的に共有するようになる。PARCは、基地局がスケジューリングするユーザ端末の個数が多くなるほど、多重ユーザのダイバーシティ利得を大いに得ることができる。
【0009】
PARCは、フィードバック情報としてCQIのみを要求するため、フィードバックオーバーヘッドが少なく、オーバーヘッドが少ないので、フィードバック過程でのエラー発生率が相対的に少なく、単一ユーザのためのPARCと多重ユーザのためのPARCとの間に切り替えが容易であるという長所がある。しかしながら、多重ユーザのためのPARCの場合、ユーザ間の干渉により伝送効率に劣るという問題があった。
【0010】
図2は、多重ユーザのためのPU2RC構造を示すブロック図である。PU2RCは、多重ユーザにデータストリームを伝送するために、空間多重化を用いる。したがって、多重ユーザに伝送するために複数のデータストリームが選択される。前述のように、PU2RCは、多重ユーザの環境に焦点を合わせており、MIMOチャンネルの特異値分解(Singular Value Decomposition、SVD)に基づくユニタリ行列を用いてプレコーディングを行う。
【0011】
送信機でのユニタリ行列は、全てのユーザ端末から選択された単位基本ベクターの組合せであり、ここで、ベクターの総和がMで表される場合、前記単位基本ベクターはいずれも、1つまたは複数のユーザから選択されたものである。このような選択は、最高の容量獲得のための時空間多重ユーザ理論に基づいて行う。
【0012】
PU2RCは、多重ユーザ間に干渉を減らし、高い効率向上が得られる長所があるが、チャンネル状態情報以外に好適な行列インデックス情報までフィードバックされなければならないという点で、フィードバックオーバーヘッドが大きく、したがって、伝送中にエラーが生じる可能性が相対的に大きいという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、関連技術の限界及び短所によって発生する問題を解決するための無線通信システムにおいて、位相シフト基盤プレコーディングを用いてデータを伝送する方法及びそれを具現するための装置に関する。
【0014】
本発明は、多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数個の副搬送波を用いてデータを伝送する方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、複数個の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムにおける送信装置及び受信装置を提供することを他の目的とする。
【0016】
本発明の他の特徴、利点及び目的は、後述する説明でより詳細に説明される。これらの特徴、利点及び目的の一部分は、この技術の分野における通常の技術を有する者にとって、本発明を実施することにより明らかに理解され得る。本発明の他の目的及び他の利点は、添付図面のみならず、請求の範囲及び詳細な説明に記載されている構造から理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的によって、また、上述した目的及び利点を達成するために、ここに記載された本発明の一様相による、多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数の副搬送波を用いてデータを送信する方法は、移動局からフィードバック情報を受信するステップと、前記受信されたフィードバック情報を用いて、各アンテナによって送信されるべきユーザデータに独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うステップと、前記ユーザデータの位相角を固定された量だけ増加させるための位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップと、前記ユーザデータ上に前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を適用してプレコーディングを行うステップとを含む。
【0018】
本発明の他の様相による、複数の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムの送信装置及び受信装置で構成される送受信装置であって、前記送受信装置は、前記受信装置からのフィードバック情報を用いて、各アンテナに対するユーザデータ上に独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うようになっているチャンネルエンコーダー及び変調器と、位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっている第1のプレコーダーとして、前記第1のプレコーダーは、前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を用いて、前記ユーザデータ上にプレコーディングを行うようになっている、第1のプレコーダーとを備え、前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、各アンテナに対する前記ユーザデータの位相角を固定された値だけ増加させるステップに基づいて決定される。
【0019】
上述した大略の記載及び後述する本発明の詳細な説明は、全て例示のものであって、本発明の請求の範囲をより詳細に記述するためのものであることを理解しなければならない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、上述したPARCの長所をそのまま維持しながら、多重ユーザ間の干渉を最小化することができ、PU2RCの性能に遅れないながらも、フィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【図1B】図1Aは、単一ユーザのためのPARC構造を示すブロック図であり、図1Bは、多重ユーザのためのPARC構造を示すブロック図である。
【図2】図2は、多重ユーザのためのPU2RC構造を示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、実施例1による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。
【図3B】図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【図3C】図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【図4】図4は、位相シフト基盤プレコーディングを行うための送信機の主要構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、循環遅延によりチャンネルの大きさが変化した模様を示す図である。
【図6】図6は、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに、従来の空間多重化技法と循環遅延ダイバーシチが適用された場合を示す図である。
【図7】図7は、式10の位相シフト基盤プレコーディング行列を適用された多重アンテナシステムを示すブロック図である。
【図8】図8は、プレコーディング行列の特定の部分が選択された4つ送信アンテナを示すブロック図である。
【図9】図9は、実施例2による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。
【図10】図10は、コードブック基盤プレコーディングを支援する多重アンテナシステムの送受信過程を示す概念図である
【図11A】図11Aは、ITU PedAチャンネルにおいて、空間相関度が全くない場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【図11B】図11Bは、送受信機の空間相関度が70%である場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【図12A】図12Aは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示す図である。
【図12B】図12Bは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。可能な限り、明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同じ構成要素を示す。
以下の技術は、様々な通信システムに用いられ得る。通信システムは、音声、パケットデータ等のような様々な通信サービスを提供するために広く配置される。この技術は、ダウンリンクまたはアップリンクで用いられる。ダウンリンクは、基地局(base station;BS)から端末(mobile station;MS)への通信を意味し、アップリンクは、端末から基地局への通信を意味する。
【0023】
基地局は、一般に、端末と通信する固定局をいい、ノード−B、BTS(base transceiver system)、アクセスポイント等の他の用語で呼ばれてもよい。端末は、固定されまたは移動性を有してもよく、UE(user equipment)、UT(user terminal)、SS(subscriber station)、無線機器等の他の用語で呼ばれてもよい。
【0024】
本発明は、単一キャリアまたは多重キャリア通信システムに用いられる。多重キャリアシステムは、OFDMや他の多重キャリア変調技法を活用することができる。OFDMは、全体システムの帯域幅を直交性を有する多数の副搬送波に分割する。副搬送波は、サブバンド、トーン等と呼ばれてもよい。単一キャリアシステムは、SC−CDMA(single−carrier frequency division multiple access)、CDMA(code division multiple access)等の単一キャリア変調技法を活用することができる。
【0025】
一般に、通信システムは、送信機と受信機を含む。ここで、送信機と受信機は、送信機能と受信機能を全て行う送受信機と言える。但し、フィードバックに関する説明を明確にするために、一般のデータの伝送を担当する一方を送信機といい、送信機にフィードバックデータを伝送する他方を受信機という。
【0026】
ダウンリンクにおいて、送信機は、基地局の一部であってもよく、受信機は、端末の一部であってもよい。アップリンクにおいて、送信機は、端末の一部であってもよく、受信機は、基地局の一部であってもよい。基地局は、多数の受信機と多数の送信機を含めてもよい。端末は、多数の受信機と多数の送信機を含めてもよい。
【実施例1】
【0027】
本実施例では、多重ユーザ・多重アンテナシステムにおいて、各伝送アンテナに異なる変調と符号化を設定して、伝送効率を最大化し、一方、位相シフト基盤のプレコーティングを適用して、ユーザ間の干渉を最小化する方法、及びそれを具現する送受信装置を提案する。
【0028】
図3Aは、実施例1による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。図示のように、送信機100は、スケジューラ及びマルチプレクサー110、チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−N、プレコーダー130、直並列変換器140−1、…、140−Nt、変調器150−1、…、150−Ntを有する。
【0029】
一方、図3B及び図3Cは、図3Aの送信機において、特に、プレコーダー130の構成を、実施例に従って詳細に示したブロック図である。
【0030】
図3Aにおいて、スケジューラ及びマルチプレクサー110は、ユーザ別に情報ビットが入力されると、伝送対象のユーザ端末をスケジューリングし、その中で実際に伝送すべきユーザを選択し、選択された情報ビットを多重化する。
【0031】
チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nは、前記多重化した情報ビットストリームを定められたコーディング方式によりエンコードし、符号化したデータを形成し、情報ビットストリームの符号化したデータを予め定められた変調方式により変調する。前記情報ビットは、テキスト、音声、映像またはその他のデータを含めてもよい。
【0032】
また、チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nは、情報ビットのそれぞれにCRC(cyclic redundancy check)のようなエラー検出ビットを追加し、エラー訂正のための余分のコードを追加することができる。エラー訂正コードは、ターボ符号、LDPC(low density parity check code)、及び畳み込み符号のいずれか一つであってもよく、これに限定されず、エラー訂正を行う他の符号がこれに該当し得る。
【0033】
チャンネルエンコーダ及び変調器120−1、…、120−Nにより符号化したデータは、振幅と位相星座による位置を表現するシンボルでマッピングされる。変調方式には制限がなく、m−PSK(m−quadrature phase shift keying)またはm−QAM(m−quadrature amplitude modulation)であってもよい。例えば、m−PSKは、BPSK、QPSKまたは8−PSKであってもよい。m−QAMは、16−QAM、64−QAMまたは256−QAMであってもよい。
【0034】
プレコーダー130は、前記マッピングされたシンボルに、位相シフト基盤プレコーディングを行う。プレコーダー130の出力による一周期(または1つのタイムスロット)に伝送されるシンボルの集合を、伝送シンボルという。プレコーダー130で行われる位相シフト基盤プレコーディングは、後で詳述する。
【0035】
直並列変換器140−1、…、140−Ntは、プレコーディングされた伝送シンボルをそれぞれ並列化し、変調器150−1、…、150−Ntに入力する。
【0036】
変調器150−1、…、150−Ntは、並列化されて入力された各伝送シンボルを多重接続変調方式により変調する。多重接続変調方式については制限がなく、よく知られたCDMAのようなシングルキャリア変調方式やOFDMのような多重キャリア変調方式を採用することができる。
【0037】
以下では、多重キャリア変調技法としてOFDMを用いる2つアンテナシステム及び4つアンテナシステムを一例とする位相シフト基盤プレコーディング法を説明し、これを、Nt個の多重アンテナシステムに拡張するための一般化した位相シフト基盤プレコーディング行列の構成方法を説明する。
【0038】
位相シフト基盤プレコーディング法
図4は、位相シフト基盤プレコーディングを行うための送信機の主要構成を示すブロック図である。位相シフト基盤プレコーディング法は、伝送すべき全てのストリームを全体アンテナを介して伝送するが、それぞれ他の(または独立的な)位相のシーケンスを乗じて伝送することである。一般に、小さな循環遅延値を用いて、位相シーケンスを生成すると、受信機(例えば、移動局)からみるとき、チャンネルに周波数選択性が生じながら、周波数領域に応じてチャンネルの大きさが大きくまたは小さくなる。
【0039】
図5は、循環遅延によりチャンネルの大きさが変化した様子を示す図である。図示のように、送信機100は、相対的に小さな循環遅延値により振動する周波数帯域の中で周波数が大きくなり、チャンネル状態が良好となる部分にユーザ端末を割当て、周波数ダイバーシチを確保する。この際、各アンテナに対して一定に増加または減少する循環遅延値を適用するために、位相シフト基盤プレコーディング行列を用いる。位相シフトプレコーディング行列Pを一般化して表すと、式1の通りである。
【0040】
【数1】
ここで、
【0041】
【化1】
(i=1、…、Nt、j=1、…、R)は、副搬送波アンテナkにより決定される複合加重値を示し、Ntは、送信アンテナの個数、Rは、空間多重化率をそれぞれ示す。こごて、複合加重値は、アンテナに乗じられるOFDMシンボル及び該当副搬送波のインデックスにより異なる値を有してもよい。前記複合加重値は、チャンネル状況及びフィードバック情報の有無の少なくともいずれか一つにより決定され得る。
【0042】
一方、前記式1のプレコーディング行列Pは、多重アンテナシステムでのチャンネル容量の損失を減らすために、ユニタリ行列で設計されることが好ましい。ここで、ユニタリ行列構成のための条件を調べるために、多重アンテナシステムのチャンネル容量を数式で表すと、以下の通りである。
【0043】
【数2】
ここで、Hは、NrxNtの大きさの多重アンテナチャンネル行列であり、Nrは、受信アンテナの個数を示す。前記式2に位相シフト基盤プレコーディング行列Pを適用すると、式3の通りである。
【0044】
【数3】
式3に示すように、チャンネル容量に損失がないようにするために、PPHが単一行列とならなければならないので、位相シフト基盤プレコーディング行列Pは、式4のような条件を満たすユニタリ行列でなければならない。
【0045】
【数4】
位相シフト基盤プレコーディング行列Pがユニタリ行列となるためには、以下の2つの条件、すなわち、電力制限条件及び直交制限条件を同時に満たさなければならない。電力制限は、行列をなす各列の大きさが1となるようにし、直交制限は、行列の各列間に直交性を有するようにすることである。これらを数式で表すと、それぞれ式5及び式6の通りである。
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
前記式2乃至式6に関する論議は、ユニタリ行列に関するものである。次に、1つの実施例として、2×2位相シフト基盤プレコーディング行列の一般化した数式を提示し、前記2つの条件を満たすための数式を調べるようにする。
【0048】
式7は、2つの送信アンテナを有し、空間多重化率が2である位相シフト基盤プレコーディング行列の一般式を示している。
【0049】
【数7】
ここで、αi、βi(i=1、2)は、実数値を有し、θi(i=1、2、3、4)は、位相値を示し、kは、OFDM信号の副搬送波インデックスを示す。
【0050】
このようなプレコーディング行列(例えば、式7)をユニタリ行列で具現するためには、式8の電力制限条件と式9の直交制限条件を満たさなければならない。
【0051】
【数8】
【0052】
【数9】
ここで、 標識*は、共役複素数を示す。前記式7乃至式9を全て満足する2×2位相シフト基盤プレコーディング行列の一実施例は、式10の通りである。
【0053】
【数10】
ここで、θ2とθ3は、直交制限により式11のような関係を有する。
【0054】
【数11】
一方、プレコーディング行列は、送信機及び受信機のメモリにコードブックの形態で保存されてもよいが、前記コードブックは、有限個の異なるθ2値を通じて生成した様々なプレコーディング行列を含めて構成されてもよい。また、θ2値は、チャンネル状況とフィードバック情報の有無によって適宜設定されてもよく、フィードバック情報を用いる場合であれば、θ2を小さく設定し、フィードバックを用いない場合であれば、θ2を大きく設定することにより、高い周波数ダイバーシチ利得を得ることができる。
【0055】
一方、前記式7のような位相シフト基盤プレコーディング行列が生成されても、チャンネル状況によって、実際のアンテナ数に比べて空間多重化率(Rank; R)が小さく設定されなければならない場合が生じ得る。このような場合は、前記生成した位相シフト基盤プレコーディング行列の中で、現在の空間多重化率(小さくなった空間多重化率)に相応する個数の特定列を選択し、位相シフト基盤プレコーディング行列を新たに再構成することができる。すなわち、空間多重化率が変わる度に、該当システムに適用される新たなプレコーディング行列を生成するものではなく、最初に生成した位相シフト基盤プレコーディング行列をそのまま活用するが、該当プレコーディング行列の特定列を選択して、プレコーディング行列を再構成する。
【0056】
一例として、前記式10のプレコーディング行列は、2つの送信アンテナを有する多重アンテナシステムにおいて、空間多重化率が2である場合を想定しているが、何らかの理由で空間多重化率が1に低くなることが生じ得る。この場合、前記式10の行列中で特定列を選択してプレコーディングを行うことができるが、例えば、二番目の列を選択した場合の位相シフト基盤プレコーディング行列は、以下の式12のようであり、これは、従来の2つの送信アンテナの循環遅延ダイバーシチ技法と同一の形態となる。
【0057】
【数12】
ここでは、2つの送信アンテナを有するシステムを挙げているが、4つの送信アンテナを有するシステムにも拡張して適用することができる。すなわち、送信アンテナが4つである場合の位相シフト基盤プレコーディング行列を生成した後、変化する空間多重化率(例えば、2から1に変化)により特定列を選択してプレコーディングを行うことができる。
【0058】
一例として、図6は、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに、従来の空間多重化技法と循環遅延ダイバーシチが適用された場合を示し、図7は、このような多重アンテナシステムに式10の位相シフト基盤プレコーディング行列を適用した場合を示している。
【0059】
図6によると、第1のアンテナ(例えば、ANT#1)及び第3のアンテナ(例えば、ANT#3)には、第1のシーケンスS1及び第2のシーケンスS2が伝達され、第2のアンテナ(例えば、ANT#2)及び第4のアンテナ(例えば、ANT#4)には、所定の大きさで位相シフトされた第1のシーケンス
【0060】
【化2】
及び第2のシーケンス
【0061】
【化3】
が伝達される。したがって、全体としては空間多重化率が2となることが分かる。
【0062】
これに比べて、図7において、第1のアンテナ(例えば、ANT#1)には
【0063】
【化4】
が伝達され、第3のアンテナ(例えば、ANT#3)には
【0064】
【化5】
が伝達され、第2のアンテナ(例えば、ANT#2)には
【0065】
【化6】
が伝達され、第4のアンテナ(例えば、ANT#4)には
【0066】
【化7】
が伝達される。
【0067】
したがって、前記図6のシステムに比べて、プレコーディング法の長所を有すると共に、単一のプレコーディング行列を用いて、4つのアンテナに対して、循環遅延(または位相シフト)を行うことができるので、循環遅延ダイバーシチ技法による長所まで有することができる。
【0068】
上述した2つアンテナシステム及び4つアンテナシステムに対する空間多重化率別の位相シフト基盤プレコーディング行列をまとめると、以下の通りである。
【0069】
【表1】
ここで、θi(i=1、2、3、4)は、循環遅延値による位相角であり、kは、OFDMの副搬送波インデックスである。前記表2において、前記4つの場合のプレコーディング行列のそれぞれは、図8に示すように、4つの送信アンテナを有すると共に、空間多重化率が2である多重アンテナシステムに対するプレコーディング行列の特定の部分を取って得られる。
【0070】
したがって、前記4つの場合に対するそれぞれのプレコーディング行列をコードブックに別途に備える必要がなく、送信機及び受信機のメモリ容量を節約することができる。また、上述した位相シフト基盤プレコーディング行列は、同一の原理により、アンテナ数がMであり、空間多重化率がN(N≦M)であるシステムについても拡張され得る。
【0071】
位相シフト基盤プレコーディング法を具現するための第1のプレコーダー
上述した位相シフト基盤プレコーディング法を具現するために、第1のプレコーダー130−1は、プレコーディング行列生成モジュール131−1、行列再構成モジュール133−1、及びプレコーディングモジュール134−1を含めてなる。
【0072】
プレコーディング行列生成モジュール131−1は、所定のプレコーディング行列において、一番目の副搬送波に対応する基準行を決定し、前記基準行を一定の単位で増加する位相角で位相シフトさせ、残りの行を決定する。本発明では、(送信アンテナの個数)×(空間多重化率)の大きさのユニタリ行列を用いてプレコーディングを行うが、前記ユニタリ行列は、各副搬送波のインデックス別に備えられ、一番目のインデックスに対するユニタリ行列を位相シフトさせ、残りのインデックスのユニタリ行列を求める。
【0073】
すなわち、プレコーディング行列生成モジュール131−1は、メモリ150に予め保存されたコードブックにおいて、任意の第1のプレコーディング行列を選択する。2番目のインデックスの副搬送波に対する第2のプレコーディング行列は、前記第1のプレコーディング行列に所定の大きさの位相シフトを加えて生成される。この際、シフトされる位相の大きさは、現在のチャンネル状況及び/または受信機からのフィードバック情報の有無によって多様に設定され得る。3番目のインデックスの副搬送波に対する第3のプレコーディング行列は、前記第2のプレコーディング行列に再度位相シフトを行って得られる。すなわち、前記第2のプレコーディング行列の生成過程は、第3のプレコーディング行列乃至最後の順番のプレコーディング行列の生成過程において繰り返して行われる。
【0074】
行列再構成モジュール133−1は、前記プレコーディング行列生成モジュール131で生成した各プレコーディング行列において、与えられた空間多重化率に相応する個数だけの列を選択し、それ以外の列は削除することにより、プレコーディング行列を再構成する。ここで、前記選択された列のみからなるプレコーディング行列を新たに生成することもできる。一方、前記プレコーディング行列において特定列を選択することは、任意の列が選択されるものであってもよく、予め定められた政策によって特定列が選択されるものであってもよい。
【0075】
プレコーディングモジュール134−1は、前記決定された各プレコーディング行列に、該当副搬送波に対するOFDMシンボルを代入してプレコーディングを行う。
【0076】
一般化した位相シフト基盤プレコーディング法
以上では、送信アンテナが4つであり、空間多重化率が2である場合の位相シフト基盤プレコーディング行列が構成される過程を説明したが、本発明の位相シフト基盤プレコーディング法は、アンテナ数がNt(Ntは、2以上の自然数)であり、空間多重化率がR(Rは、1以上の自然数)であるシステムについて拡張され得る。これは、上述した内容と同一の方法で拡張されてもよく、以下の式13のような方法で一般化されてもよい。
【0077】
【数13】
ここで、=の右側の前半部行列は、位相シフトのためのユニタリ行列であり、後半部行列Uは、特定の目的のために用いられる行列であって、
【0078】
【化8】
を満足するユニタリ行列である。
【0079】
2つの伝送アンテナを有し、1ビットコードブックを用いる場合の位相シフト基盤プレコーディング行列の生成式の一例は、式14の通りである。
【0080】
【数14】
式14において、α値が定められると、β値は容易に定められるので、α値に対する情報を適切な2つの値で定めておき、これに対する情報をコードブックインデックスにフィードバックするように具現することができる。一例として、フィードバックが0であれば、αは0.2とし、フィードバックインデックスが1であれば、αは0.8とすることを、送受信機間に予め約束することができる。
【0081】
後半部行列の一例として、信号対雑音比(SNR)利得を得るための所定のプレコーディング行列Uが用いられ、特に、このようなプレコーディング行列としてウォルシュ符号が用いられる場合の位相シフト基盤プレコーディングPの生成式をみると、式15の通りである。
【0082】
【数15】
式15は、4つの送信アンテナと空間多重化率4を有するシステムを前提としており、ここで、前記後半部行列を適切に再構成することにより、特定の送信アンテナを選択し、または、空間多重化率を調節することができる。
【0083】
以下の式16は、送信アンテナが4つであるシステムにおいて、2つのアンテナを選択するために、前記後半部行列を再構成した様子を示している。
【0084】
【数16】
上述のように、空間多重化率は、時間及び/またはチャンネル状態を含む様々な要因により変わり得る。また、以下の表2は、時間またはチャンネルの状況等によって空間多重化率が変わる場合、該当多重化率に合わせて、前記後半部行列を再構成するための方法を示している。
【0085】
【表2】
この際、表2では、多重化率によって後半部行列の1番目列、1〜2番目列、1〜4番目列が選択された場合を示しているが、必ずしもこれに限るものではなく、多重化率が1である場合、1、2、3、4番目の列のいずれか一つが選ばれ、多重化率が2である場合、1〜2、2〜3、3〜4、4〜1番目の列のいずれか一つが選ばれてもよい。
【0086】
また、表2の行列の1つ以上の列は、空間領域資源を共有するために、他のユーザに割り当てられてもよい。
【0087】
また、前記後半部行列は、送信機及び受信機にコードブックの形態で備えられてもよい。この場合、送信機は、受信機からコードブックのインデックス情報をフィードバックされ、自身が備えているコードブックから、該当インデックスのユニタリ行列(後半部行列)を選択した後、前記式13を用いて、位相シフト基盤プレコーディング行列を構成する。
【0088】
一方、位相シフト基盤プレコーディングのための循環遅延値は、送受信機に予め定められた値であってもよく、受信機がフィードバックを通じて送信機に伝達した値であってもよい。また、空間多重化率Rもまた、送受信機に予め定められた値であってもよいが、受信機が周期的にチャンネル状態を把握し、空間多重化率を算出して、送信機にフィードバックすることもでき、受信機がフィードバックしたチャンネル情報を用いて、送信機が空間多重化率を算出及び変更してもよい。
【0089】
本発明の実施例に関するより詳細な内容は、ここに参照として含まれている、2006年10月2日に出願された韓国特許出願番号第2006−97216号、2007年4月16日に出願された韓国特許出願番号第2007−37008号と連関される。
【0090】
一般化した位相シフト基盤プレコーディング法を具現するための第1のプレコーダー
この場合の第1のプレコーダー130−2は、プレコーディング行列決定モジュール131−2、アンテナ選択モジュール132、行列再構成モジュール133−2、及びプレコーディングモジュール134−2を含めてなる。
【0091】
プレコーディング行列決定モジュール131−2は、式13のように、位相シフトのための第1の行列と、ユニタリ行列条件を満足する第2の行列とを乗じて、位相シフト基盤プレコーディング行列を決定する。
【0092】
アンテナ選択モジュール132は、前記第2の行列がN×N(Nは、2以上の整数)の大きさの行列であるというとき、式16のように、前記第2の行列のうち、特定のアンテナに対応するn×n(0<n<N)の大きさの部分行列を一つ以上選択し、前記選択された部分行列以外の成分を全て0にセットし、データ伝送に用いるべき特定のアンテナを選択する。
【0093】
行列再構成モジュール133−2は、表2におけるように、前記第2の行列において、所定の空間多重化率に相応する個数の列を選択し、前記選択された列のみからなるように、前記第2の行列を再構成する。
【0094】
以上では言及されていないが、本実施例の送信機を具現するために、各種の設定情報を保存するメモリ(図示せず)、フィードバック情報を受信するための受信回路(図示せず)、及び上述した各種の構成要素の全般的な制御のための制御器(図示せず)等を備えなければならないことは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0095】
すなわち、メモリには、位相シフト基盤プレコーディングのためのコードブックと、適応的チャンネルコーディング及び変調(Adaptive Channel Coding & Modulation;AMC)技法を支援するためのMCSルックアップテーブルが保存されてもよい。前記コードブックは、位相シフト基盤プレコーディング行列の項目と、各行列に対するインデックス項目を1つ以上含み、前記MCSルックアップテーブルは、入力された情報ビットに適用すべきコーディング率項目、変調方式及びこれらの項目とマッチングされるMCSレベルインデックス項目を1つ以上含む。
【0096】
受信回路は、受信機から伝送された信号をアンテナを介して受け取り、これをデジタル化して制御器に送る。受信回路に受信された信号から抽出された情報には、チャンネル品質情報(channel quality information;CQI)が含まれてもよい。CQIは、受信機が、送信機100に、チャンネル環境やコーディング方式、変調方式についてフィードバックする情報であり、具体的には、位相シフト基盤プレコーディング行列のインデックス情報、及び特定のコーディング率及び/または変調方式を指定するためのインデックス情報の少なくとも1つがこれに該当し得る。前記インデックス情報として、MCS(Modulation and Coding Scheme)レベルインデックスが用いられ得る。
【実施例2】
【0097】
本実施例は、実施例1にコードブック基盤プレコーディングをさらに適用して、伝送電力を効率的にスケジューリングすることにより、データの伝送信頼度及び伝送効率を高める方法及びこれを具現する送受信機を提案する。
【0098】
図9は、実施例2による通信システムの送信機の構造を示すブロック図である。実施例1におけるスケジューラ及びマルチプレクサー110、チャンネルエンコーダー及び変調器120−1、…、120−N、プレコーダー130、直並列変換器140−1、…、140−Nt、変調器150−1、…、150−Ntは、実施例2におけるスケジューラ及びマルチプレクサー210、チャンネルエンコーダー及び変調器220−1、…、220−N、プレコーダー240、直並列変換器250−1、…、250−Nt、変調器260−1、…、260−Ntと同様に適用されることができる。ただし、実施例2ではコードブック基盤プレコーダー230がさらに備えられる。
【0099】
本実施例のプレコーダー240が行うコードブック基盤プレコーディングは、実施例1のプレコーダー130が行う位相シフト基盤プレコーディング(これを第1のプレコーディングという)と区別するために、第2のプレコーディングという。第2のプレコーディングは、送受信機において既知のプレコーディング行列のインデックスを受信機からフィードバックされ、信号対雑音比(SNR)利得を得る方式である。
【0100】
図10は、コードブック基盤プレコーディングを支援する多重アンテナシステムの送受信過程を示す概念図である。図示のように、送信機及び受信機は、それぞれ有限なプレコーディング行列(P1〜PL)を備えており、受信機では、チャンネル情報を用いて、最適のプレコーディング行列インデックスIを送信機にフィードバックし、送信機のプレコーダー240は、フィードバックされたインデックスに該当するプレコーディング行列を伝送データ(X1〜XMt)に適用する。
【0101】
表3は、2つの伝送アンテナを備え、空間多重化率2を支援し、3ビットのフィードバック情報を用いる場合に適用できるコードブックの一例を示す。
【0102】
【表3】
実施例2のようにコードブック基盤プレコーディングと位相シフト基盤プレコーディングを同時に適用する場合、送信機は、受信機が好きなプレコーディングインデックス、チャンネル状態情報(CQI)、及びチャンネル状況が最もいい周波数帯域に対する情報を周期的にフィードバックされる。送信機は、このようなフィードバック情報に基づいて、同一のプレコーディングインデックスを用いながら、好きなデータストリームが相違した受信機(ユーザ端末)を同一の周波数と同一の時間帯でスケジューリングする。
【0103】
一方、実施例2のメモリ(図示せず)は、実施例1のメモリに比べて、プレコーディングのためのコードブックをさらに備えなければならない。また、実施例2の受信回路(図示せず)は、実施例1の受信回路よりも、前記コードブックにおいてプレコーディング行列を選択するためのコードブックインデックス情報をさらに受信しなければならない。
【0104】
上述した実施例1及び実施例2の送受信装置は、データ伝送過程において、インパルス雑音による損失を最小化するために、コードビットパーシングを通じたインターリービングを行うインターリーバ(図示せず)、プレコーディングされた伝送シンボルを時間領域の搬送波に乗せるための高速逆フーリエ変換器(IFFT)(図示せず)、伝送シンボルを高周波信号に変換するためのフィルタ(図示せず)、及びアナログ変換機(図示せず)等をさらに有してもよい。
【0105】
次に、本発明で提案した位相シフト基盤の多重ユーザ・多重アンテナ方法の性能を検証するために、表4の環境でシミュレーションを行った結果をみると、以下の通りである。
【0106】
【表4】
図11Aは、ITU PedAチャンネルにおいて、空間相関度が全くない場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果であり、図11Bは、送受信機の空間相関度が70%である場合、従来のPARCと本発明が提案する方法とを比較した結果である。
【0107】
図11A及び図11Bに示すように、送受信機の空間相関度にかかわらず、本発明の伝送方法が、PARCよりも常時伝送率が高く出ることが分かる。また、送受信機の空間相関度が高くなることにより、性能差が大きくなることが分かる。すなわち、本発明によると、多重ユーザに対する干渉が大きく減らすので、全体的な伝送性能が高くなることである。
【0108】
図12A及び図12Bは、周波数選択性が高いTUチャンネルにおいて、従来のPARCと本発明の伝送方法とを比較した結果を示すものである。
【0109】
図12Aに示すように、送受信機の空間相関度が全くない場合も、PARCと本発明との性能差は殆どなく、特に、図12Bに示すように、送受信機の空間相関度が70%に高くなることにより、本発明が、コードブック基盤プレコーディングによってSNR利得が得られるようになるので、伝送率が15%以上向上することが分かる。
【0110】
上述した本発明は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を外れない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、前述した実施例及び添付図面により限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数の副搬送波を用いてデータを送信する方法であって、
移動局からフィードバック情報を受信するステップと、
前記受信されたフィードバック情報を用いて、各アンテナによって送信されるべきユーザデータに独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うステップと、
前記ユーザデータの位相角を固定された量だけ増加させるための位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップと、
前記ユーザデータ上に前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を適用してプレコーディングを行うステップとを含む、データ送信方法。
【請求項2】
前記位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップは、位相シフトのための第1の行列を用いるステップと、前記第1の行列をユニタリ行列に作るために、前記第1の行列に第2の行列を乗じるステップとを含む、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項3】
前記第1の行列は、列に沿って均等に増加する位相角を有する対角行列であり、前記第2の行列は、前記ユニタリ行列の条件を満足する位相シフト基盤プレコーディング行列である、請求項2に記載のデータ送信方法。
【請求項4】
前記第2の行列は、コードブックから選ばれ、前記コードブックは、相対的に低い空間多重化率を有する行列を含み、前記コードブックは、相対的に高い空間多重化率を有するまた他の行列の一部分である、請求項3に記載のデータ送信方法。
【請求項5】
空間多重化率に対応する特定個数の列を、前記第2の行列から選択するステップと、前記選択された列のみをもって、前記第2の行列を再構成するステップとをさらに含む、請求項3に記載のデータ送信方法。
【請求項6】
前記第1の行列と第2の行列を乗じた結果は、
【化9】
であり、
ここで、θiは、位相値を示し、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項4に記載のデータ送信方法。
【請求項7】
各送信アンテナに対して、スケジューリングチャンネル電力のためのコードブック基盤プレコーディングを行うステップをさらに含む、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項8】
位相シフト基盤プレコーディング行列は、
【化10】
であり、
ここで、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、
【化11】
は、(i=1、…、Nt、j=1、…、R)は、kにより決定される複合加重値を示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項9】
前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、ユニタリ行列に前記位相シフト基盤プレコーディングを適用することにより導出される、請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項10】
位相シフト基盤プレコーディング行列は、以下の二条件を満足する、請求項9に記載のデータ送信方法。
【化12】
【請求項11】
複数の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムの送信装置及び受信装置で構成される送受信装置であって、前記送受信装置は、
前記受信装置からのフィードバック情報を用いて、各アンテナに対するユーザデータ上に独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うようになっているチャンネルエンコーダー及び変調器と、
位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっている第1のプレコーダーとして、前記第1のプレコーダーは、前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を用いて、前記ユーザデータ上にプレコーディングを行うようになっている、第1のプレコーダーとを備え、
前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、各アンテナに対する前記ユーザデータの位相角を固定された値だけ増加させるステップに基づいて決定される、送受信装置。
【請求項12】
前記第1のプレコーダーは、前記空間多重化率に対応して複数個の列を選択するようになっており、また、前記選択された列のみを用いて、前記行列を再構成するようになっている行列再構成モジュールを有する、請求項11に記載の送受信装置。
【請求項13】
前記第1のプレコーダーは、第1の行列と第2行列を乗じることにより、前記位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっているプレコーディング行列決定モジュールを有し、前記第1の行列は、位相シフトと連関されており、前記第2の行列は、前記第1の行列をユニタリ行列に変換するステップと連関されている、請求項11に記載の送受信装置。
【請求項14】
前記第1の行列は、位相角が列に沿って固定された量だけ増加する対角行列であり、前記第2の行列は、ユニタリ行列のための条件を満足させる行列である、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項15】
前記第1の行列と第2の行列を乗じた結果は、
【化13】
であり、
ここで、θiは、位相値を示し、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項16】
空間多重化率に対応して、特定個数の列を前記第2の行列から選択するようになっており、また、前記選択された列のみをもって、前記第2の行列を再構成するようになっている行列再構成モジュールをさらに有する、請求項15に記載の送受信装置。
【請求項17】
各送信アンテナに対するスケジューリングチャンネル電力のためのコードブック基盤プレコーディングを行うようになっている第2のプレコーダーをさらに有する、請求項11に記載の送受信装置。
【請求項1】
多重アンテナ無線通信システムにおいて、複数の副搬送波を用いてデータを送信する方法であって、
移動局からフィードバック情報を受信するステップと、
前記受信されたフィードバック情報を用いて、各アンテナによって送信されるべきユーザデータに独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うステップと、
前記ユーザデータの位相角を固定された量だけ増加させるための位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップと、
前記ユーザデータ上に前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を適用してプレコーディングを行うステップとを含む、データ送信方法。
【請求項2】
前記位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するステップは、位相シフトのための第1の行列を用いるステップと、前記第1の行列をユニタリ行列に作るために、前記第1の行列に第2の行列を乗じるステップとを含む、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項3】
前記第1の行列は、列に沿って均等に増加する位相角を有する対角行列であり、前記第2の行列は、前記ユニタリ行列の条件を満足する位相シフト基盤プレコーディング行列である、請求項2に記載のデータ送信方法。
【請求項4】
前記第2の行列は、コードブックから選ばれ、前記コードブックは、相対的に低い空間多重化率を有する行列を含み、前記コードブックは、相対的に高い空間多重化率を有するまた他の行列の一部分である、請求項3に記載のデータ送信方法。
【請求項5】
空間多重化率に対応する特定個数の列を、前記第2の行列から選択するステップと、前記選択された列のみをもって、前記第2の行列を再構成するステップとをさらに含む、請求項3に記載のデータ送信方法。
【請求項6】
前記第1の行列と第2の行列を乗じた結果は、
【化9】
であり、
ここで、θiは、位相値を示し、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項4に記載のデータ送信方法。
【請求項7】
各送信アンテナに対して、スケジューリングチャンネル電力のためのコードブック基盤プレコーディングを行うステップをさらに含む、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項8】
位相シフト基盤プレコーディング行列は、
【化10】
であり、
ここで、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、
【化11】
は、(i=1、…、Nt、j=1、…、R)は、kにより決定される複合加重値を示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項9】
前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、ユニタリ行列に前記位相シフト基盤プレコーディングを適用することにより導出される、請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項10】
位相シフト基盤プレコーディング行列は、以下の二条件を満足する、請求項9に記載のデータ送信方法。
【化12】
【請求項11】
複数の副搬送波を用いる多重ユーザ・多重アンテナ通信システムの送信装置及び受信装置で構成される送受信装置であって、前記送受信装置は、
前記受信装置からのフィードバック情報を用いて、各アンテナに対するユーザデータ上に独立的にチャンネルエンコーディング及び変調を行うようになっているチャンネルエンコーダー及び変調器と、
位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっている第1のプレコーダーとして、前記第1のプレコーダーは、前記決定された位相シフト基盤プレコーディング行列を用いて、前記ユーザデータ上にプレコーディングを行うようになっている、第1のプレコーダーとを備え、
前記位相シフト基盤プレコーディング行列は、各アンテナに対する前記ユーザデータの位相角を固定された値だけ増加させるステップに基づいて決定される、送受信装置。
【請求項12】
前記第1のプレコーダーは、前記空間多重化率に対応して複数個の列を選択するようになっており、また、前記選択された列のみを用いて、前記行列を再構成するようになっている行列再構成モジュールを有する、請求項11に記載の送受信装置。
【請求項13】
前記第1のプレコーダーは、第1の行列と第2行列を乗じることにより、前記位相シフト基盤プレコーディング行列を決定するようになっているプレコーディング行列決定モジュールを有し、前記第1の行列は、位相シフトと連関されており、前記第2の行列は、前記第1の行列をユニタリ行列に変換するステップと連関されている、請求項11に記載の送受信装置。
【請求項14】
前記第1の行列は、位相角が列に沿って固定された量だけ増加する対角行列であり、前記第2の行列は、ユニタリ行列のための条件を満足させる行列である、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項15】
前記第1の行列と第2の行列を乗じた結果は、
【化13】
であり、
ここで、θiは、位相値を示し、kは、副搬送波のインデックスまたは資源のインデックスを示し、Ntは、送信アンテナまたは仮想アンテナの個数を示し、Rは、空間多重化率を示す、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項16】
空間多重化率に対応して、特定個数の列を前記第2の行列から選択するようになっており、また、前記選択された列のみをもって、前記第2の行列を再構成するようになっている行列再構成モジュールをさらに有する、請求項15に記載の送受信装置。
【請求項17】
各送信アンテナに対するスケジューリングチャンネル電力のためのコードブック基盤プレコーディングを行うようになっている第2のプレコーダーをさらに有する、請求項11に記載の送受信装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【公表番号】特表2010−503311(P2010−503311A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527307(P2009−527307)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004549
【国際公開番号】WO2008/035915
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004549
【国際公開番号】WO2008/035915
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】
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