説明

無線通信システムにおける円偏波アンテナ及びその製造方法

【課題】無線通信システムにおいて、スーパーストレートを用いて高利得の円偏波を発生する円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つ以上の接地基板上で所定地点に位置する少なくとも1つ以上の給電アンテナと、該給電アンテナの上部に前記接地基板から所定距離離隔して位置するスーパーストレートに複数の導電性構造体が所定方向に配列された単位アンテナとを備え、前記給電アンテナが線形偏波を放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナは円偏波を各々放射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、無線通信システムにおいて、スーパーストレート(superstrate)を用いて高利得の円偏波を発生する円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、信号送受信のために様々な形のアンテナが提案され、このようなアンテナのうち、パッチアンテナ(patch antenna)は、コンパクトなサイズだけでなく、軽くて製作工程が簡単であり、単価が低いという長所がある。しかし、このようなパッチアンテナは、帯域幅(bandwidth)を広げるのが難しく、結合損失(coupling loss)を多く生じさせるため、高周波帯域で使用するのが難しいという短所がある。
【0003】
また、無線通信システムにおいて、現在、主に使用されている円偏波アンテナは、パッチアンテナを用いて実現しており、それと共に、パッチアンテナを用いた円偏波アンテナの利得をさらに向上させるために様々な方法が提案されている。特に、このようなパッチアンテナを用いた円偏波アンテナの利得を向上させるための方案として、複数のパッチアンテナまたは複数の円偏波アンテナを配列して円偏波を発生するアンテナの配列数を増加させる方案がある。
【0004】
しかし、前述したアンテナの配列数を増加させる方案は、配列されたアンテナへのアンテナ給電によるエネルギー損失が、各々配列されたアンテナへの給電数に比例して増加し、そのため、アンテナの全体的な効率が低下するという問題がある。また、このような効率低下からアンテナに求められる適切な利得及び軸比(axial ratio)を得るためには、前記各々配列されたアンテナへの給電長さ、配列間隔などの細かい調整が必要であり、そのため、アンテナの複雑度が増加するだけでなく、アンテナの構造が複雑になり、アンテナの実現が難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、無線通信システムにおいて、高利得を有する円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、 無線通信システムにおいて、パッチアンテナを用いてアンテナの構造を単純化させつつ、高利得を有する円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提供することにある。
【0007】
さらに、本発明の目的は、無線通信システムにおいて、スーパーストレートを用いて少数の給電アンテナで高利得を有し、かつ、容易に設計できる円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提供することにある。
【0008】
さらにまた、本発明の目的は、無線通信システムにおいて、スーパーストレートとパッチアンテナとを用いてアンテナの複雑度を最小化しつつ、アンテナの実現が容易な高利得の円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記の目的を達成するための本発明の装置は、円偏波アンテナであって、少なくとも1つ以上の接地基板上で所定地点に位置する少なくとも1つ以上の給電アンテナと、該給電アンテナの上部に前記接地基板から所定距離離隔して位置するスーパーストレートに複数の導電性構造体が所定方向に配列された単位アンテナとを備え、前記給電アンテナが線形偏波を放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナは円偏波を各々放射する。
【0010】
また、上記の目的を達成するための本発明の方法は、円偏波アンテナの製造方法であって、接地基板から所定距離離隔して上部に位置した第1の誘電体基板上に複数の導電性構造体を所定方向に配列するステップと、前記接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記接地基板上の所定地点に給電アンテナを形成するステップとを含み、前記接地基板が、Y軸における長さがX軸における長さより長い形状を有すると、前記給電アンテナからy偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から右旋偏波が各々放射され、前記接地基板がY軸における長さがX軸における長さより短い形状を有すると、前記給電アンテナからx偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から左旋偏波が各々放射されることを特徴とする。
【0011】
上記した目的を達成するための本発明の他の方法は、円偏波アンテナの製造方法であって、接地基板上に第1の誘電体基板を形成するステップと、該第1の誘電体基板上の所定地点に給電アンテナを形成するステップと、該給電アンテナの上部に前記接地基板から所定距離離隔させて第2の誘電体基板を位置させるステップと、該第2の誘電体基板上に四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去された形状を有する複数の導電性構造体を所定方向に配列するステップと、前記複数の導電性構造体が配列された複数個の第2の誘電体基板を所定の位相差を有するように順次配列するステップとを含み、前記給電アンテナからx偏波が放射されると、前記複数の導電性構造体と、該複数の導電性構造体が配列された第2の誘電体基板と、前記順次配列された複数の第2の誘電体基板とから左旋偏波が各々放射され、前記給電アンテナからy偏波が放射されると、前記複数の導電性構造体と、該複数の導電性構造体が配列された第2の誘電体基板と、前記順次配列された複数の第2の誘電体基板とから右旋偏波が各々放射され、前記順次配列するステップが、前記x偏波または前記y偏波を放射する給電アンテナの上部に位置した複数個の第2の誘電体基板を0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有するように順次配列し、前記給電アンテナを形成するステップが、Y軸における長さとX軸における長さとが互いに異なる形状を有する前記第1の誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記第1の誘電体基板上の所定地点に前記x偏波または前記y偏波の給電アンテナを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、無線通信システムにおいて、スーパーストレートとパッチアンテナとを用いて少数の給電アンテナで高利得を有しつつ、アンテナの構造が単純化された円偏波アンテナ及び配列円偏波アンテナを容易に実現することができる。また、本発明は、印刷回路基板を用いて円偏波アンテナを容易に実現することができ、導電性構造体をアンテナの上部に位置させることにより、単純に1つの給電アンテナ(供給源)で円偏波アンテナを設計できるだけでなく、アンテナの効率と利得を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、給電アンテナから放射される線形偏波特性に応じて左旋偏波アンテナと、右旋偏波アンテナと、二重円偏波アンテナとを容易に実現することができる。そして、本発明は、高利得を取得するために、従来の円偏波配列アンテナより給電構造を単純化することにより、円偏波アンテナ設計の複雑度及びアンテナ供給電力の損失を最小化するだけでなく、アンテナの効率を極大化させることができる。
【0014】
さらに、本発明は、導電性構造体である複数のパッチをアンテナの上部に位置させることにより、単純に1つの給電アンテナ(供給源)で円偏波アンテナを生成することができ、アンテナの効率と利得を同時に向上させることができる。そして、本発明は、このように設計された高利得円偏波アンテナを順次配列することにより、アンテナの利得、軸比、及び3dB軸比帯域幅を改善させることができ、それにより、従来の高利得円偏波順次配列アンテナ技法を利用した場合より、給電構造を単純化してアンテナ設計の複雑度を最小化することができる。
【0015】
さらにまた、本発明は、アンテナ供給電力の損失を最小化できるので、アンテナの効率を改善させることができる。そして、従来の順次配列アンテナの場合、順次配列アンテナを構成する個別パッチアンテナの利得が約6dB程度であるため、24dBの高利得特性を得るためには、64個の個別アンテナで構成されなければならないが、本発明は、個別アンテナの利得が17.05dBを有するので、単に4個の単位アンテナを順次配列して22.61dBの高利得を実現することができ、軸比及び3dB軸比帯域幅を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの導電性構造体を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ上部構造を概略的に示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、二重円偏波を放射するための円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、二重円偏波を放射するための円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る円偏波アンテナのSパラメータを示したグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係る円偏波アンテナのSパラメータを示したグラフである。
【図9】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、Sパラメータによる円偏波アンテナの軸比を示したグラフである。
【図10】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの左旋偏波、右旋偏波利得、及び軸比を示したグラフである。
【図11】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの左旋偏波、右旋偏波利得、及び軸比を示したグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの二重円偏波利得及び軸比を示したグラフである。
【図13】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの二重円偏波利得及び軸比を示したグラフである。
【図14】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの製造過程を概略的に示した図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ構造を概略的に示した図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ配列構造を概略的に示した図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ配列構造を概略的に示した図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。
【図19】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。
【図20】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。
【図21】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。
【図22】本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの製造過程を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る好ましい実施形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。下記の説明では、本発明に係る動作を理解するのに必要な部分のみが説明され、それ以外の部分の説明は、本発明の要旨を逸脱しないように省略するということに留意すべきである。
【0018】
本発明は、無線通信システムにおいて、高利得の円偏波アンテナ及び該円偏波アンテナの製造方法を提案する。本発明の実施形態では、周期的に配列した導電性構造体である複数のパッチを接地面が含まれた給電アンテナの上部に貼り付けて円偏波アンテナを実現する。また、本発明の実施形態では、前記複数のパッチを接地面が含まれた給電アンテナの上部に貼り付けたアンテナ構造を順次配列して円偏波アンテナを実現する。ここで、前記円偏波アンテナは、前記導電性構造体である複数のパッチが円偏波を発生させ、前記導電性構造体を周期的に配列することにより、アンテナの利得を高め、周期的に配列した構造体によって円偏波アンテナが形成され、また、給電アンテナから放射される偏波によって左旋偏波(left−handed polarized wave)と、右旋偏波(right−handed polarized wave)と、二重円偏波とを実現し、前記配列された導電性構造体と給電アンテナとを順次配列してアンテナの利得、軸比、及び3dB軸比帯域幅を改善する。
【0019】
そして、本発明の実施形態では、スーパーストレートを用いた高利得円偏波配列アンテナを提案する。ここで、本発明の実施形態では、円偏波を発生させる複数の導電性構造体、すなわち、複数のパッチを任意の特定の形状及び間隔で配列して、接地面が含まれた給電アンテナの上部に位置させて高利得の円偏波アンテナを実現する。また、本発明の実施形態では、前記給電アンテナのスーパーストレートに配列された任意の導電性構造体が給電アンテナから発生する線形偏波の特性に応じて左旋偏波及び右旋偏波を放射し、さらには、給電アンテナによって左旋偏波と、右旋偏波と、二重円偏波とを放射する。
【0020】
ここで、本発明の実施形態では、1つの給電アンテナのみで円偏波を放射するので、アンテナ利得の向上のために、従来の配列アンテナ構造で表れる給電線路による損失を最小化する。それにより、本発明の実施形態では、円偏波アンテナの給電のための給電線路を単純化して全体的なアンテナの複雑度を最小化するだけでなく、容易に設計することができ、アンテナの効率を向上させる。そして、本発明の実施形態では、給電アンテナの線形偏波特性に応じて左旋偏波と、右旋偏波と、二重円偏波とを容易に実現し、前記給電アンテナでは、円偏波を発生させるために、単純な給電方式で線形偏波を発生させる。
【0021】
また、本発明の実施形態では、円偏波を発生させる導電性構造体で配列された上部構造体を給電アンテナの上部に位置させることにより、円偏波を発生させ、給電アンテナから発生する線形偏波、すなわち、x偏波及びy偏波の特性に応じて左旋偏波と、右旋偏波と、二重円偏波との特性を有する高利得の円偏波アンテナを提案する。ここで、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナは、印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board、以下、「PCB」と称する)を用いて容易に実現することができ、導電性構造体をアンテナの上部に位置させることにより、単純に1つの給電アンテナ(供給源)で円偏波アンテナを設計できるだけでなく、アンテナの効率と利得を向上させることができる。そして、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナは、給電アンテナから放射される線形偏波特性に応じて左旋偏波と、右旋偏波と、二重円偏波とを容易に放射することができ、高利得を取得するために、従来の円偏波配列アンテナより給電構造を単純化することにより、円偏波アンテナ設計の複雑度及びアンテナ供給電力の損失を最小化するだけでなく、アンテナの効率を極大化させることができる。
【0022】
また、本発明の実施形態では、前記給電アンテナから発生する線形偏波の特性に応じて左旋偏波及び右旋偏波を実現し、前記スーパーストレートを有する高利得円偏波アンテナに位相差を与えて順次配列することにより、アンテナの利得をさらに向上させるだけでなく、軸比及び軸比の3dB帯域幅を改善させる。それにより、本発明は、一般的なパッチアンテナを用いた配列アンテナ構造の円偏波アンテナから発生する給電線路の複雑性を単純化させ、給電線路によって発生する損失を減少させてアンテナの効率を向上させ、給電アンテナの順次配列の方向によって左旋偏波及び右旋偏波を実現する。
【0023】
ここで、本発明の実施形態に係るスーパーストレートを利用した高利得円偏波アンテナは、単純に任意の導電性構造体である複数のパッチで配列された構造体を接地面が含まれた給電アンテナの上部に位置させて円偏波を発生し、このとき、前記給電アンテナから発生する線形偏波、すなわち、x偏波及びy偏波の特性に応じて、導電性構造体が左旋偏波及び右旋偏波を発生してアンテナ利得を高める。前記アンテナ利得は、スーパーストレートの面積が増加するほど増加し、各々スーパーストレートを含む4個の円偏波アンテナを90゜の位相差で順次配列してアンテナ利得をさらに向上させ、アンテナの軸比及び3dB軸比帯域幅が改善される。このとき、スーパーストレートを含む4個の円偏波アンテナを順次配列する場合、円偏波アンテナの給電アンテナによって左旋偏波を有するアンテナは反時計方向に整列し、右旋偏波を有するアンテナは時計方向に整列する。すなわち、本発明は、4個の円偏波アンテナを反時計方向及び時計方向に90゜の位相差で順次配列し、それにより、アンテナ利得をさらに向上させ、かつ、アンテナ軸比と3dB軸比帯域幅を改善する。
【0024】
さらに、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナは、従来の一般的なパッチを用いた配列アンテナとは異なる配列によって各々の単位アンテナ利得をパッチアンテナより向上させ、それにより、少数の給電アンテナを用いて高利得の円偏波アンテナを取得する。例えば、一般的なパッチアンテナの利得は6dBであるため、24dBのアンテナ利得を取得するためには、少なくとも64個のパッチアンテナで配列しなければならない。しかし、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナは、単位アンテナの利得が17dBであるため、このような単位アンテナ4個を配列すれば、22.6dBの高いアンテナ利得を取得する。
【0025】
ここで、前記円偏波アンテナは、接地面が含まれた1つの給電アンテナと、線形偏波入射時、円偏波特性を形成する導電性構造体で配列された構造体を給電アンテナの上部に位置させた単位アンテナを備える。このような円偏波アンテナは、アンテナ利得及びアンテナ効率を同時に向上させ、給電アンテナの線形偏波、すなわち、x偏波及びy偏波に応じて左旋偏波及び右旋偏波を生成する。すなわち、前記円偏波アンテナは、導電性配列構造体をアンテナの上部に位置させることにより、単純に1つの給電アンテナ(供給源)で円偏波アンテナを製造することができ、アンテナの効率と利得を同時に向上させることができる。
【0026】
そして、前記円偏波アンテナは、このように設計された高利得円偏波アンテナを順次配列することにより、アンテナ利得、軸比、及び3dB軸比帯域幅を改善させることができ、それにより、従来の高利得円偏波順次配列アンテナ技法を利用した場合より給電構造を単純化してアンテナ設計の複雑度を最小化することができる。また、前記円偏波アンテナは、アンテナ供給電力の損失を最小化することができるので、アンテナの効率を改善させるだけでなく、前述したように、従来の順次配列アンテナの場合、順次配列アンテナを構成する個別パッチアンテナの利得が約6dB程度であるため、24dBの高利得特性を得るためには、64個の個別アンテナで構成されなければならないが、1つの給電によって円偏波を放射する個別アンテナで単位アンテナの利得が17.05dBを有するので、単に4個の単位アンテナを順次配列して22.61dBの高利得を実現することができ、軸比及び3dB軸比帯域幅を改善することができる。それでは、ここで、図1を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナをより具体的に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの導電性構造体を概略的に示した図である。ここで、図1は、本発明の実施形態によってアンテナ利得を向上させ、かつ、円偏波を実現する単位アンテナ構造体のスーパーストレートに形成される導電性構造体を示した図である。
【0028】
図1に示すように、前記導電性構造体は、所定の誘電体媒質εの誘電体基板110及び該誘電体基板110の上部に所定形状の導体板120を備える。ここで、前記導体板120は、円偏波アンテナの放射部になり、前記導体板120で向かい合う対角方向の対称角に相互平行に形成された円偏波誘発部130を備え、前記導電性構造体は、円偏波を放射する1つのパッチアンテナになり得る。
【0029】
前記円偏波誘発部130は、面取り(chamfering)によって四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去されて形成される。前記導体板120は、円偏波アンテナの動作周波数と、アンテナ利得と、偏波特性とに応じて様々な大きさ及び形状を有することができる。すなわち、前記導電性構造体は、線形偏波が給電される場合、前記円偏波誘発部130によって円偏波を放射する円偏波アンテナになる。それでは、ここで、図2を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの単位アンテナをより具体的に説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ上部構造を概略的に示した図である。ここで、図2は、本発明の実施形態によって図1に示した導電性構造体をスーパーストレートに配列して形成したスーパーストレート構造体を示した図である。
【0031】
図2に示すように、前記単位アンテナは、スーパーストレート210に図1に示すような導電性構造体220、すなわち、複数個のパッチが所定方向に配列されて形成される。ここで、前記スーパーストレート210は、図1に示すような誘電体基板110となり得るし、前記複数の導電性構造体220、すなわち、複数のパッチは、誘電体基板110であるスーパーストレート210に所定方向に配列される。
【0032】
また、前記単位アンテナは、アンテナ利得をさらに向上させるために、前記単位アンテナのスーパーストレート210のサイズを増加することができ、前記スーパーストレート210の形状は、長方形、正方形、円、楕円形、及び台形など、様々な形状になり得る。それでは、ここで、図3を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの単位アンテナ構造をより具体的に説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ構造を概略的に示した図である。
【0034】
図3に示すように、前記単位アンテナは、図2に示すような複数の導電性構造体320、すなわち、複数のパッチが配列されたスーパーストレート310と、該スーパーストレート310の下部に所定距離h離隔した接地基板350と、該接地基板350上に形成された誘電体基板340と、該誘電体基板340上に形成されて線形偏波を給電する給電アンテナ330とを備える。ここで、前記スーパーストレート310は、前述したように、図1に示した誘電体基板110になり得るし、前記複数の導電性構造体320は、誘電体基板110であるスーパーストレート310に所定方向に配列される。
【0035】
前記給電アンテナ330は、前記スーパーストレート310と離隔し、それにより、前記線形偏波を間接的に前記スーパーストレート310に給電する。すなわち、前記単位アンテナは、前記給電アンテナ330と前記スーパーストレート310との間に所定の空間が存在し、また、前記給電アンテナ330が給電によって1次放射し、前記1次放射による給電によって前記スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320、すなわち、複数のパッチが2次放射する。ここで、前記給電アンテナ330は線形偏波を放射し、前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は円偏波を放射する。そして、前記接地基板350上に形成された誘電体基板340は、空気を含む様々な比誘電率値を有する誘電体で形成され、前記給電アンテナ330は、単位アンテナの構造体内で上・中・下の位置に関係なく位置することができる。
【0036】
このように、前記単位アンテナは、1つの給電アンテナ330によって各々のパッチアンテナになる複数の導電性構造体320に間接給電をすることにより、給電構造を単純化してアンテナを容易に設計することができ、アンテナ供給電力の損失を最小化させてアンテナの効率を向上させることができる。すなわち、前記単位アンテナは、前記複数の導電性構造体320別に対応する複数の給電アンテナが不要であり、単に1つの給電アンテナ330で前記複数の導電性構造体320の全てに給電してアンテナの複雑度を顕著に減少させることができる。また、前記単位アンテナは、スーパーストレート310に複数の導電性構造体320が配列されることにより、アンテナの利得を高め、さらには、前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320が円偏波を放射するので、アンテナの利得をより一層高めることができる。それでは、ここで、図4A〜図6を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの給電アンテナをより具体的に説明する。
【0037】
図4A及び図4Bは、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。ここで、図4A及び図4Bは、本発明の実施形態によって単位アンテナの左旋偏波及び右旋偏波を生成するための給電アンテナの給電点を示した図である。
【0038】
図4A及び図4Bに示すように、前記円偏波アンテナは、給電点の位置によって2つの形態の給電、すなわち、第1の給電400及び第2の給電450を備える。前記第1の給電400は、接地基板上に形成された誘電体基板410上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点として給電アンテナ420が位置する。ここで、前記第1の給電400で誘電体基板410は、Y軸における長さがX軸における長さより大きく、それにより、第1の給電400は、y偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0039】
このように、第1の給電400によって給電アンテナ420がy偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、右旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、給電アンテナ420によってy偏波を1次放射し、前記1次放射されたy偏波の給電によって右旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第1の給電400によって給電アンテナ470がy偏波を発生させると、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0040】
前記第2の給電450は、接地基板上に形成された誘電体基板460上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点として給電アンテナ470が位置する。ここで、前記第2の給電450で誘電体基板460は、Y軸における長さがX軸における長さより短く、それにより、第2の給電450は、x偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0041】
このように、第2の給電450によって給電アンテナ470がx偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、左旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、給電アンテナ470によってx偏波を1次放射し、前記1次放射されたx偏波の給電によって左旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第2の給電450によって給電アンテナ470がx偏波を発生させると、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0042】
図5及び図6は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、二重円偏波を放射するための円偏波アンテナの給電アンテナ構造を概略的に示した図である。ここで、図5は、本発明の実施形態によって1つの単位アンテナに2つの給電アンテナが含まれて二重円偏波を放射する円偏波アンテナを示したものであり、図6は、本発明の実施形態によって2つの単位アンテナに2つの給電アンテナが含まれて二重円偏波を放射する円偏波アンテナを示したものである。
【0043】
図5に示すように、前記円偏波アンテナは、給電点の位置によって2つの給電アンテナ、すなわち、第1の給電アンテナ510及び第2の給電アンテナ520を備える。前記第1の給電アンテナ510は、前述した第1の給電400のように、接地基板上に形成された誘電体基板500上の中心地点からY軸方向に所定距離離隔した地点が給電点となるように位置する。それにより、前記第1の給電アンテナ510は、y偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0044】
このように、第1の給電アンテナ510がy偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、右旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、第1の給電アンテナ510によってy偏波を1次放射し、前記1次放射されたy偏波の給電によって右旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第1の給電アンテナ510がy偏波を発生させると、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0045】
前記第2の給電アンテナ520は、接地基板上に形成された誘電体基板500上の中心地点からX軸に所定距離離隔した地点が給電点となるように位置する。それにより、前記第2の給電アンテナ520は、x偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0046】
このように、第2の給電アンテナ520がx偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、左旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、第2の給電アンテナ520によってx偏波を1次放射し、前記1次放射されたx偏波の給電によって左旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第2の給電450によって給電アンテナ470がx偏波を発生させると、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0047】
したがって、前記円偏波アンテナは、第1の給電アンテナ510がy偏波を放射し、第2の給電アンテナ520がx偏波を放射することにより、スーパーストレート及び該スーパーストレートに配列された複数の導電性構造体を介して右旋偏波及び左旋偏波を同時に放射するようになり、その結果、二重円偏波を放射する。このように、前記円偏波アンテナは、2つの給電アンテナ510、520によって二重円偏波を放射しつつ、単純な構造で容易に実現され、また、高利得を取得することができる。
【0048】
図6に示すように、前記円偏波アンテナは、互いに異なる給電点、すなわち、第1の給電アンテナ660と第2の給電アンテナ670と、前記第1の給電アンテナ660に対応する第1の単位アンテナと、前記第2の給電アンテナ670に対応する第2の単位アンテナとを備える。ここで、前記第1の給電アンテナ660は、前述した第1の給電400のように、Y軸における長さがX軸における長さより長い誘電体基板650上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように位置する。それにより、前記第1の給電アンテナ660は、y偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0049】
このように、第1の給電アンテナ660がy偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、右旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、第1の給電アンテナ660によってy偏波を1次放射し、前記1次放射されたy偏波の給電によって右旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第1の給電アンテナ660がy偏波を発生させると、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0050】
前記第2の給電アンテナ670は、前述した第2の給電450のように、Y軸における長さがX軸における長さより短い誘電体基板600上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように位置する。それにより、前記第2の給電アンテナ670は、x偏波を発生させてスーパーストレートに放射する。
【0051】
このように、第2の給電アンテナ670がx偏波を放射すると、図3に示された前記スーパーストレート310及び該スーパーストレート310に配列された複数の導電性構造体320は、左旋偏波を生成して放射する。すなわち、前記単位アンテナは、第2の給電アンテナ670によってx偏波を1次放射し、前記1次放射されたx偏波の給電によって左旋偏波を放射し、それにより、前記単位アンテナは、第2の給電アンテナ670がx偏波を発生させると、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。
【0052】
したがって、前記円偏波アンテナは、第1の給電アンテナ660がy偏波を放射し、第2の給電アンテナ660がx偏波を放射することにより、スーパーストレート及び該スーパーストレートに配列された複数の導電性構造体を介して右旋偏波及び左旋偏波を同時に放射するようになり、その結果、二重円偏波を放射する。このように、前記円偏波アンテナは、2つの単位アンテナと2つの給電アンテナ660、670によって二重円偏波を放射しつつ、単純な構造で容易に実現され、また、高利得を取得することができる。それでは、ここで、図7及び図8を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナのS(scattering)パラメータをより具体的に説明する。
【0053】
図7及び図8は、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナのSパラメータを示したグラフである。ここで、図7は、本発明の実施形態によって円偏波アンテナに含まれた導電性構造体のSパラメータの大きさを周波数領域で示したグラフであり、図8は、前記Sパラメータの位相を周波数領域で示したグラフである。
【0054】
図7及び図8に示すように、第1のグラフ710、810は、第1のポートでx偏波を印加した場合、第1のポートでx偏波に変換されて通過された量の大きさと位相とを示す。そして、第2のグラフ720、820は、第1のポートでx偏波を印加した場合、第1のポートでy偏波に変換されて通過された量の大きさと位相とを示す。また、第3のグラフ730、830は、第1のポートでx偏波を印加した場合、第2のポートでx偏波に変換されて通過された量の大きさと位相とを示す。さらに、第4のグラフ840、840は、第1のポートでx偏波を印加した場合、第2のポートでy偏波に変換されて通過された量の大きさと位相とを示す。
【0055】
すなわち、図7及び図8に示すように、本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの導電性構造体は、x偏波またはy偏波のうち、1つの線形偏波のみ印加されても円偏波を放射する。また、前記円偏波アンテナは、前記導電性構造体のSパラメータの大きさ及び位相と、図3に示すように、接地基板350と前記導電性構造体が配列されたスーパーストレート310との間の距離h値とに応じて円偏波の特性、例えば、3dB軸比、帯域幅、及び軸比だけでなく、共振周波数とアンテナの利得が決定される。ここで、前記円偏波アンテナの軸比は、数式1及び数式2を用いて算出される。
【数1】

【数2】

【0056】
数式1及び数式2において、lは、図3に示すように、接地基板350と前記導電性構造体が配列されたスーパーストレート310との間の距離h値を意味し、λは、各ポートに印加される信号の波長を意味する。そして、R、T、R、Tは、前述した導電性構造体のSパラメータの大きさと位相とを含む第1のグラフないし第4のグラフ710、720、730、740、810、820、830、840の値を意味する。すなわち、前記R、T、R、Tは、x偏波及びy偏波が給電される場合、導電性構造体のSパラメータ値を意味する。
【0057】
それにより、数式1及び数式2において、+jの値を有すると、円偏波アンテナは左旋偏波を放射し、−jの値を有すると、右旋偏波を放射する。また、aの値が存在し、bの値が0である場合、円偏波アンテナは左旋偏波を放射し、aの値が0であり、bの値が存在する場合には、右旋偏波を放射する。ここで、前記a及びbの値は、給電アンテナの線形偏波の特性、例えば、x偏波及びy偏波に各々対応して決定される。
【0058】
言い替えれば、前記給電アンテナがx偏波を放射すると、aの値が存在し、bの値は0になり、それにより、円偏波アンテナは左旋偏波を放射する。そして、前記給電アンテナがy偏波を放射すると、aの値が0になり、bの値が存在し、それにより、円偏波アンテナは右旋偏波を放射する。それでは、ここで、図9を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナのSパラメータによる軸比についてより具体的に説明する。
【0059】
図9は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、Sパラメータによる円偏波アンテナの軸比を示したグラフである。ここで、図9は、本発明の実施形態によって図7及び図8に示したSパラメータ値と、図3に示すように、接地基板350と前記導電性構造体が配列されたスーパーストレート310との間の距離h値(h=29mm)とを数式1及び数式2に代入して算出した左旋偏波及び右旋偏波の理論的軸比値を周波数領域で示したものである。
【0060】
図9に示すように、前記円偏波アンテナは、前述したようにな給電アンテナから放射される線形偏波、すなわち、x偏波の場合には左旋偏波を放射し、y偏波の場合には右旋偏波を放射し、また、前記左旋偏波の軸比910及び右旋偏波の軸比920は、給電アンテナがx偏波及びy偏波を放射するときに生成された値である。ここで、前記円偏波アンテナは、スーパーストレートに配列された導電性構造体の構造や大きさを変更してSパラメータ値を調整することができ、このように調整されるSパラメータ値と、図3に示すように、接地基板350と前記導電性構造体が配列されたスーパーストレート310との間の距離h値とに応じて、前記円偏波アンテナの軸比及び共振周波数を調整することができる。それでは、ここで、図10〜図13を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの利得及び軸比をより具体的に説明する。
【0061】
図10及び図11は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの左旋偏波と、右旋偏波利得と、軸比とを示したグラフである。ここで、図10は、本発明の実施形態によって前記円偏波アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の実効利得(realized gain)を周波数領域で示したグラフであり、図11は、本発明の実施形態によって前記円偏波アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の軸比を周波数領域で示したグラフである。
【0062】
図10及び図11に示すように、前記円偏波アンテナから放射される右旋偏波の実効利得1010及び左旋偏波の実効利得1020は、中心周波数になり得る5.24GHzで17dB以上の値を有する。そして、前記円偏波アンテナから放射される右旋偏波の軸比1110及び左旋偏波の軸比1120は、中心周波数になり得る5.24GHzで0.5dB以下の値を有する。このように、給電アンテナのスーパーストレートに複数の導電性構造体が配列された円偏波アンテナは、放射される左旋偏波及び右旋偏波がアンテナの利得及び軸比を向上させることが分かる。
【0063】
図12及び図13は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの二重円偏波利得及び軸比を示したグラフである。ここで、図12は、本発明の実施形態によって前記円偏波アンテナから放射される二重円偏波の実効利得を周波数領域で示したグラフであり、図13は、本発明の実施形態によって前記円偏波アンテナから放射される二重円偏波の軸比を周波数領域で示したグラフである。
【0064】
図12及び図13に示すように、前記円偏波アンテナは、前述した図5及び図6において説明したように、y偏波を放射する第1の給電アンテナ及びx偏波を放射する第2の給電アンテナを用いて右旋偏波及び左旋偏波を有する二重円偏波を放射する。そして、前記円偏波アンテナから放射される二重円偏波のうち、右旋偏波の実効利得1210及び左旋偏波の実効利得1220は、中心周波数になり得る5.3GHzで16.5dB以上の値を有する。そして、前記円偏波アンテナから放射される二重円偏波のうち、右旋偏波の軸比1310及び左旋偏波の軸比1320は、中心周波数になり得る5.3GHzで1.5dB以下の値を有する。このように、給電アンテナのスーパーストレートに複数の導電性構造体が配列された円偏波アンテナは、放射される二重円偏波の左旋偏波及び右旋偏波がアンテナの利得及び軸比を向上させことが分かる。それでは、ここで、図14を参照して本発明の実施形態に係る円偏波アンテナの製造過程をより具体的に説明する。
【0065】
図14は、本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの製造過程を概略的に示した図である。
【0066】
図14に示すように、ステップ1410において、所定の誘電率を有する誘電体基板上に複数の導電性構造体、すなわち、複数のパッチを形成する。このとき、前記複数の導電性構造体は、所定方向に配列されて形成され、線形偏波が給電される場合、円偏波を発生して放射するように四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去されて形成される。ここで、前記複数の導電性構造体は、円偏波アンテナの動作周波数と、アンテナ利得と、偏波特性とに応じて様々な大きさ及び形状を有することができ、前記導電性構造体が配列される誘電体基板は、アンテナ利得をさらに向上させるために、より大きいサイズを有し、長方形、正方形、円、楕円形、及び台形など、様々な形状を有することができる。
【0067】
また、前記誘電体基板の下部にx偏波が放射されて給電されると、前記複数の導電性構造体及び前記誘電体基板は、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになり、前記誘電体基板の下部にy偏波が放射されて給電されると、前記複数の導電性構造体及び前記誘電体基板は、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。すなわち、前記複数の導電性構造体に各々対応する個別給電でない、少数の給電によって前記複数の導電性構造体及び誘電体基板が円偏波を放射することにより、実現される円偏波アンテナは構造が単純になり、また、給電される場合、前記誘電体基板のみならず、前記誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が円偏波を放射してアンテナ利得が向上する。
【0068】
次に、ステップ1420において、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体に給電する給電アンテナの位置及び個数を決定する。すなわち、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体の左旋偏波放射と、右旋偏波放射と、二重円偏波放射などを考慮して給電アンテナの位置及び個数を決定する。
【0069】
ここで、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が左旋偏波または右旋偏波を放射する場合、図4に示すように、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板をスーパーストレートとし、前記誘電体基板の下部に所定距離離隔した状態で、前記誘電体基板の下部の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となる1つの給電アンテナが形成されるように決定、すなわち、1つの誘電体基板上に1つの給電アンテナを形成して、第1の給電または第2の給電によってx偏波を放射するか、またはy偏波を放射するように決定する。前記1つの給電アンテナが形成される誘電体基板は、接地基板上に形成された誘電体基板であって、Y軸における長さがX軸における長さより短いか、または長い。
【0070】
また、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が二重円偏波を放射する場合、図5に示すように、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板をスーパーストレートとし、前記誘電体基板の下部に所定距離離隔した状態で、前記誘電体基板の下部の中心地点からY軸に所定距離離隔した地点が給電点となる第1の給電アンテナと、X軸に所定距離離隔した地点が給電点となる第2の給電アンテナとが形成されるように決定、すなわち、接地基板上に形成された1つの誘電体基板上に第1の給電アンテナ及び第2の給電アンテナを形成して、x偏波及びy偏波を放射するように決定する。
【0071】
ここで、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が二重円偏波を放射する場合、図6において説明したように、接地基板上に形成された2つの誘電体基板上に各々対応する第1の給電アンテナ及び第2の給電アンテナを形成して、x偏波及びy偏波を放射するように決定することができる。このとき、前記第1の給電アンテナは、Y軸における長さがX軸における長さより長い誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように決定され、前記第2の給電アンテナは、Y軸における長さがX軸における長さより短い誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように決定される。
【0072】
次に、ステップ1430において、前述したような給電アンテナの位置及び個数の決定によって、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板と所定の距離hの分だけ下部に離隔して位置する接地基板上の誘電体基板上に給電アンテナを形成する。すなわち、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が左旋偏波または右旋偏波を放射するように1つの給電アンテナに決定されれば、前記接地基板上に形成され、Y軸における長さがX軸における長さより短いか、または長い誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となる1つの給電アンテナを形成する。このとき、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は、前記給電アンテナのスーパーストレートとなる。
【0073】
ここで、前記誘電体基板のY軸における長さがX軸における長さより短ければ、前記給電アンテナはx偏波を放射し、前記放射されたx偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は左旋偏波を放射する。そして、前記誘電体基板のY軸における長さがX軸における長さより長ければ、前記給電アンテナはy偏波を放射し、前記放射されたy偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は右旋偏波を放射する。
【0074】
また、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が二重円偏波を放射するように、1つの誘電体基板上に2つの給電アンテナに決定されれば、前記接地基板上に形成された誘電体基板上の中心地点からY軸に所定距離離隔した地点が給電点となる第1の給電アンテナと、X軸に所定距離離隔した地点が給電点となる第2の給電アンテナとを形成する。このとき、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は、前記第1の給電アンテナ及び第2の給電アンテナのスーパーストレートとなる。
【0075】
ここで、前記第1の給電アンテナはy偏波を放射し、前記放射されたy偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は右旋偏波を放射する。そして、前記第2の給電アンテナはx偏波を放射し、前記放射されたx偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は左旋偏波を放射する。このように、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板が左旋偏波及び右旋偏波を放射することにより、二重円偏波が放射される。
【0076】
そして、前記誘電体基板及び該誘電体基板に配列された複数の導電性構造体が二重円偏波を放射するように、2つの誘電体基板上に各々対応する2つの給電アンテナに決定されれば、前記接地基板上に形成され、Y軸における長さがX軸における長さより長い誘電体基板上に第1の給電アンテナを形成し、Y軸における長さがX軸における長さより短い誘電体基板上に第2の給電アンテナを形成する。このとき、前記第1の給電アンテナ及び第2の給電アンテナは、誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となる位置に各々形成される。そして、前記複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は、前記第1の給電アンテナ及び第2の給電アンテナのスーパーストレートとなる。
【0077】
ここで、前記第1の給電アンテナはy偏波を放射し、前記放射されたy偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は右旋偏波を放射する。そして、前記第2の給電アンテナはx偏波を放射し、前記放射されたx偏波が給電されて、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板は左旋偏波を放射する。このように、前記複数の導電性構造体及び該複数の導電性構造体が配列された誘電体基板が左旋偏波及び右旋偏波を放射することにより、二重円偏波が放射される。
【0078】
次に、ステップ1440において、前記複数の導電性構造体が形成された誘電体基板と少なくとも1つ以上の給電アンテナが形成された少なくとも1つ以上の誘電体基板とを結合して、左旋偏波または右旋偏波を放射するか、または左旋偏波及び右旋偏波の二重円偏波を放射する円偏波アンテナを形成する。それでは、ここで、図15を参照して本発明の他の実施形態に係る円偏波アンテナの配列をより具体的に説明する。
【0079】
図15は、本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ構造を概略的に示した図である。ここで、図15は、本発明の他の実施形態によって単位アンテナのスーパーストレートを順次配列した円偏波アンテナの配列アンテナを示したものである。
【0080】
図15に示すように、前記円偏波アンテナの配列アンテナは、単位アンテナの配列方式によって2つの形の配列、すなわち、第1の配列と第2の配列とを有し、前記第1の配列については、図16を参照してより具体的に説明し、前記第2の配列については、図17を参照してより具体的に説明する。
【0081】
前記配列アンテナは、複数の導電性構造体1540、すなわち、複数のパッチが配列された第1の単位アンテナのスーパーストレート1530を基準として、複数の単位アンテナのスーパーストレート1510、1530、1550、1570を時計方向に0゜、90゜、180゜、270゜に回転して形成するか、または反時計方向に0゜、90゜、180゜、270゜に回転して形成する。ここで、複数の単位アンテナのスーパーストレート1510、1530、1550、1570には、複数の導電性構造体1520、1540、1560、1580が各々配列されている。
【0082】
このように、複数の単位アンテナのスーパーストレート1510、1530、1550、1570が時計方向または反時計方向に回転して形成された配列アンテナは、図15に示したように同じ形状を有し、このとき、時計方向または反時計方向に回転して形成された配列アンテナは、右旋偏波または左旋偏波を放射する。すなわち、前記配列アンテナは、単位アンテナに含まれた給電アンテナの給電、言い替えれば、第1の給電または第2の給電の順次配列によって左旋偏波を放射する円偏波アンテナになるか、または右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。それでは、ここで、図16及び図17を参照して本発明の他の実施形態に係る円偏波アンテナの配列アンテナをより具体的に説明する。
【0083】
図16及び図17は、本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ配列構造を概略的に示した図である。ここで、図16は、本発明の他の実施形態によって単位アンテナの第1の配列により形成された配列アンテナを示したものであり、図17は、本発明の他の実施形態によって単位アンテナの第2の配列により形成された配列アンテナを示したものである。
【0084】
図16に示すように、前記配列アンテナは、前記第2の給電450によってx偏波が給電され、左旋偏波を放射する4個の単位アンテナ1610、1630、1650、1670が、反時計方向または時計方向に回転して形成される。言い替えれば、前記第2の給電450によって左旋偏波を放射する第1の単位アンテナ1610を0゜、90゜、180゜、270゜に順次配列して左旋偏波を放射する第1の配列の配列アンテナを形成する。ここで、前記配列アンテナは、第1の単位アンテナ1610を基準として各々の単位アンテナ1610、1630、1650、1670が0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有する。
【0085】
前記配列アンテナは、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになり、各々の単位アンテナ1610、1630、1650、1670は、x偏波を放射する各々の給電アンテナ1620、1640、1660、1680の給電によって左旋偏波を放射する。それにより、配列アンテナを形成する各々の単位アンテナ1610、1630、1650、1670のスーパーストレートに配列された複数の導電性構造体が円偏波を放射し、前記各々の単位アンテナ1610、1630、1650、1670が円偏波を放射するだけでなく、配列アンテナも円偏波を放射する。その結果、前記配列アンテナは、少数の給電アンテナで高利得を有する単純な構造の円偏波アンテナになる。
【0086】
図17に示すように、前記配列アンテナは、前記第1の給電400によってy偏波が給電され、右旋偏波を放射する4個の単位アンテナ1710、1730、1750、1770が、反時計方向または時計方向に回転して形成される。言い替えれば、前記第1の給電400によって右旋偏波を放射する第1の単位アンテナ1710を0゜、90゜、180゜、270゜に順次配列して右旋偏波を放射する第2の配列の配列アンテナを形成する。ここで、前記配列アンテナは、第1の単位アンテナ1710を基準として各々の単位アンテナ1710、1730、1750、1770が0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有する。
【0087】
前記配列アンテナは、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになり、各々の単位アンテナ1710、1730、1750、1770は、y偏波を放射する各々の給電アンテナ1720、1740、1760、1780の給電によって右旋偏波を放射する。それにより、配列アンテナを形成する各々の単位アンテナ1710、1730、1750、1770のスーパーストレートに配列された複数の導電性構造体が円偏波を放射し、前記各々の単位アンテナ1710、1730、1750、1770が円偏波を放射するだけでなく、配列アンテナも円偏波を放射する。その結果、前記配列アンテナは、少数の給電アンテナで高利得を有する単純な構造の円偏波アンテナになる。それでは、ここで、図18〜図21を参照して本発明の実施形態によって順次配列で実現された円偏波アンテナの利得及び軸比をより具体的に説明する。
【0088】
図18及び図19は、本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの単位アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。ここで、図18は、本発明の他の実施形態によって前記単位アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の軸比を周波数領域で示したグラフであり、図19は、本発明の他の実施形態によって前記単位アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の実効利得を周波数領域で示したグラフである。
【0089】
図18及び図19に示すように、前記単位アンテナから放射される右旋偏波のアンテナ軸比1810及び左旋偏波のアンテナ軸比1820は、5.24GHzで0.5dBであり、3dB軸比帯域幅は2.4%を有する。そして、前記単位アンテナから放射される右旋偏波の実効利得1910及び左旋偏波の実効利得1920は、中心周波数である5.24GHzで17.05dBであり、3dB帯域幅は6.8%を有する。
【0090】
図20及び図21は、本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの配列アンテナ軸比及び利得を示したグラフである。ここで、図20は、本発明の他の実施形態によって前記配列アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の軸比を周波数領域で示したグラフであり、図21は、本発明の他の実施形態によって前記配列アンテナから放射される左旋偏波及び右旋偏波の実効利得を周波数領域で示したグラフである。
【0091】
図20及び図21に示すように、前記配列アンテナから放射される右旋偏波のアンテナ軸比2010及び左旋偏波のアンテナ軸比2020は、5.24GHzで0.005dBであり、3dB軸比帯域幅は、28%以上の値を有する。そして、前記配列アンテナから放射される右旋偏波の実効利得2110及び左旋偏波の実効利得2120は、5.1GHzで22.61dBであり、3dB帯域幅は5.7%を有する。
【0092】
このように、単位アンテナが順次配列された配列アンテナにおいて、アンテナの利得、軸比、及び3dB軸比帯域幅が向上する。すなわち、本発明の他の実施形態によって順次配列した円偏波アンテナは、従来の一般的なパッチを用いた配列アンテナとは異なる配列によって各々の単位アンテナ利得をパッチアンテナより向上させ、それにより、少数の給電アンテナを用いて高利得の円偏波アンテナを取得する。言い替えれば、一般的なパッチアンテナの利得は6dBであるため、24dBのアンテナ利得を取得するためには、少なくとも64個のパッチアンテナで配列しなければならないが、本発明の他の実施形態に係る円偏波アンテナは、単位アンテナの利得が17dBであるため、このような4個の単位アンテナを配列すれば、22.6dBの高いアンテナ利得を取得する。すなわち、本発明の他の実施形態に係る円偏波アンテナは、1つの給電アンテナによる給電によって円偏波を放射する個別アンテナ、すなわち、単位アンテナの利得が17.05dBを有するので、単に4個の単位アンテナを順次配列して22.61dBの高利得を有する配列アンテナを容易に実現することができる。それでは、ここで、図22を参照して本発明の他の実施形態に係る順次配列した円偏波アンテナの製造過程をより具体的に説明する。
【0093】
図22は、本発明の他の実施形態に係る無線通信システムにおいて、円偏波アンテナの製造過程を概略的に示した図である。
【0094】
図22に示すように、ステップ2210において、接地基板上に形成された誘電体基板に1つの給電アンテナを形成する。ここで、前記給電アンテナは、前記誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点として形成され、前記形成された地点、すなわち、給電点によって第1の給電400または第2の給電450が決定されて、前記給電アンテナは、x偏波を放射するか、またはy偏波を放射するようになる。
【0095】
次に、ステップ2220において、上面に誘電体基板及び給電アンテナが形成された接地基板から上部に所定距離h離隔して位置する誘電体基板をスーパーストレートとして、前記給電アンテナのスーパーストレートに複数の導電性構造体、すなわち、複数のパッチを形成する。このとき、前記複数の導電性構造体は、所定方向に配列されて形成され、線形偏波が給電される場合、円偏波を発生して放射するように四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去されて形成される。ここで、前記複数の導電性構造体は、円偏波アンテナの動作周波数と、アンテナ利得と、偏波特性とに応じて様々な大きさ及び形状を有することができ、前記スーパーストレートは、アンテナ利得をさらに向上させるために、より大きいサイズを有し、長方形、正方形、円、楕円形、及び台形など、様々な形状を有することができる。
【0096】
また、前記給電アンテナがx偏波を放射して、前記スーパーストレートに給電されると、前記複数の導電性構造体及び前記スーパーストレートは、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになり、前記給電アンテナがy偏波を放射して、前記スーパーストレートに給電されると、前記複数の導電性構造体及び前記スーパーストレートは、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。すなわち、1つの給電アンテナ及び前記複数の導電性構造体が形成された前記給電アンテナのスーパーストレートによって1つの単位アンテナが形成され、前記単位アンテナは円偏波アンテナになる。このとき、前記複数の導電性構造体は、1つの給電アンテナによって給電されることにより、アンテナの構造が単純になり、給電される場合、スーパーストレートだけでなく、前記スーパーストレートに配列された複数の導電性構造体が円偏波を放射してアンテナ利得が向上する。
【0097】
次いで、ステップ2230において、前述したように形成された複数個の単位アンテナを所定の位相差で、例えば、4個の単位アンテナを時計方向または反時計方向に0゜、90゜、180゜、270゜に回転、すなわち、1つの単位アンテナを基準として4個の単位アンテナを0゜、90゜、180゜、270゜に順次配列する。このように、複数の単位アンテナを位相差を有するように順次配列することにより、配列アンテナが形成され、配列された各単位アンテナに含まれた給電アンテナの給電により、前記配列アンテナは左旋偏波または右旋偏波を放射する。
【0098】
言い替えれば、x偏波を放射する給電アンテナが各々含まれた複数の単位アンテナを順次配列して形成された配列アンテナは、左旋偏波を放射する円偏波アンテナになり、y偏波を放射する給電アンテナが各々含まれた複数の単位アンテナを順次配列して形成された配列アンテナは、右旋偏波を放射する円偏波アンテナになる。ここで、x偏波が給電されると、配列アンテナ及び複数の単位アンテナのみならず、前記複数の単位アンテナに含まれた複数の導電性構造体が左旋偏波を放射し、y偏波が給電されると、配列アンテナ及び複数の単位アンテナのみならず、前記複数の単位アンテナに含まれた複数の導電性構造体が左旋偏波を放射する。また、少数の給電アンテナによって給電されることにより、アンテナの複雑度を最小化し、給電される場合、配列アンテナ及び該配列アンテナを形成する複数のスーパーストレートのみならず、前記複数のスーパーストレートに配列された複数の導電性構造体が円偏波を放射してアンテナ利得が向上する。
【0099】
一方、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内で様々な変形が可能であることはもちろんである。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なもの等によって決められなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける円偏波アンテナであって、
少なくとも1つ以上の接地基板上で所定地点に位置する少なくとも1つ以上の給電アンテナと、
該給電アンテナの上部に前記接地基板から所定距離離隔して位置するスーパーストレートに複数の導電性構造体が所定方向に配列された単位アンテナと、
を備え、
前記給電アンテナが線形偏波を放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナは円偏波を各々放射することを特徴とする円偏波アンテナ。
【請求項2】
前記給電アンテナがx偏波を放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナは左旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項3】
前記x偏波が、Y軸における長さがX軸における長さより短い形状を有する前記接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点とする給電アンテナから放射されることを特徴とする請求項2に記載の円偏波アンテナ。
【請求項4】
前記x偏波を放射する給電アンテナを含む前記複数個の単位アンテナが0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有するように順次配列された配列アンテナを備え、
前記複数個の単位アンテナ及び前記配列アンテナが、前記左旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項2に記載の円偏波アンテナ。
【請求項5】
前記給電アンテナがy偏波を放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナは右旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項6】
前記y偏波が、Y軸における長さがX軸における長さより長い形状を有する前記接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点とする給電アンテナから放射されることを特徴とする請求項5に記載の円偏波アンテナ。
【請求項7】
前記y偏波を放射する給電アンテナを含む前記複数個の単位アンテナが0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有するように順次配列された配列アンテナを備え、
前記複数個の単位アンテナ及び前記配列アンテナが、前記右旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項5に記載の円偏波アンテナ。
【請求項8】
前記少なくとも1つ以上の接地基板のうち、第1の接地基板上に形成された少なくとも2つ以上の給電アンテナがx偏波及びy偏波を各々放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナが、左旋偏波及び右旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項9】
前記y偏波が、前記第1の接地基板上の中心地点からY軸方向に所定距離離隔した地点を給電点とする第1の給電アンテナから放射され、
前記x偏波が、前記第1の接地基板上の中心地点からX軸方向に所定距離離隔した地点を給電点とする第2の給電アンテナから放射されることを特徴とする請求項8に記載の円偏波アンテナ。
【請求項10】
前記少なくとも1つ以上の接地基板のうち、第1の接地基板上に形成された第1の給電アンテナ及び第2の接地基板上に形成された第2の給電アンテナがx偏波及びy偏波を各々放射すれば、前記複数の導電性構造体及び前記単位アンテナが、左旋偏波及び右旋偏波を各々放射することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項11】
前記第1の接地基板が、Y軸における長さがX軸における長さより長い形状を有し、前記第1の給電アンテナが、前記第1の接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点として前記y偏波を放射することを特徴とする請求項10に記載の円偏波アンテナ。
【請求項12】
前記第2の接地基板が、Y軸における長さがX軸における長さより短い形状を有し、前記第2の給電アンテナが、前記第2の接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点を給電点として前記x偏波を放射することを特徴とする請求項10に記載の円偏波アンテナ。
【請求項13】
前記複数の導電性構造体が、四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去された形状を有することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項14】
前記複数の導電性構造体が、前記給電アンテナから前記線形偏波が間接給電され、前記間接給電された線形偏波に対応した互いに異なる円偏波を放射することを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項15】
前記複数の導電性構造体が、円偏波アンテナの動作周波数と、アンテナ利得と、偏波特性とに応じて大きさ及び形状が決定されることを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。
【請求項16】
無線通信システムにおける円偏波アンテナの製造方法であって、
接地基板から所定距離離隔して上部に位置した第1の誘電体基板上に複数の導電性構造体を所定方向に配列するステップと、
前記接地基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記接地基板上の所定地点に給電アンテナを形成するステップと、
を含み、
前記接地基板が、Y軸における長さがX軸における長さより長い形状を有すると、前記給電アンテナからy偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から右旋偏波が各々放射され、前記接地基板が、Y軸における長さがX軸における長さより短い形状を有すると、前記給電アンテナからx偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から左旋偏波が各々放射されることを特徴とする円偏波アンテナの製造方法。
【請求項17】
前記所定方向に配列するステップが、四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去された形状で前記複数の導電性構造体を形成することを特徴とする請求項16に記載の円偏波アンテナの製造方法。
【請求項18】
前記給電アンテナを形成するステップが、前記接地基板上の中心地点からY軸に所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記接地基板上の所定地点に第1の給電アンテナを形成し、前記接地基板上の中心地点からX軸に所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記接地基板上の所定地点に第2の給電アンテナを形成し、
前記第1の給電アンテナから前記y偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から前記右旋偏波が各々放射され、
前記第2の給電アンテナから前記x偏波が放射されて、前記誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から前記左旋偏波が各々放射されることを特徴とする請求項16に記載の円偏波アンテナの製造方法。
【請求項19】
前記給電アンテナを形成するステップが、前記接地基板上に位置し、Y軸における長さがX軸における長さより長い形状を有する第2の誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記第2の誘電体基板上の所定地点に第1の給電アンテナを形成し、前記接地基板上に位置し、Y軸における長さがX軸における長さより短い形状を有する第3の誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記第3の誘電体基板上の所定地点に第2の給電アンテナを形成し、
前記第1の給電アンテナから前記y偏波が放射されて、前記第1の誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から前記右旋偏波が各々放射され、
前記第2の給電アンテナから前記x偏波が放射されて、前記第1の誘電体基板及び前記複数の導電性構造体から前記左旋偏波が各々放射されることを特徴とする請求項16に記載の円偏波アンテナの製造方法。
【請求項20】
無線通信システムにおける円偏波アンテナの製造方法であって、
接地基板上に第1の誘電体基板を形成するステップと、
該第1の誘電体基板上の所定地点に給電アンテナを形成するステップと、
該給電アンテナの上部に前記接地基板から所定距離離隔させて第2の誘電体基板を位置させるステップと、
該第2の誘電体基板上に四角パッチで向かい合う対角方向の対称角が相互平行に除去された形状を有する複数の導電性構造体を所定方向に配列するステップと、
前記複数の導電性構造体が配列された複数個の第2の誘電体基板を所定の位相差を有するように順次配列するステップと、
を含み、
前記給電アンテナからx偏波が放射されると、前記複数の導電性構造体と、該複数の導電性構造体が配列された第2の誘電体基板と、前記順次配列された複数の第2の誘電体基板とから左旋偏波が各々放射され、前記給電アンテナからy偏波が放射されると、前記複数の導電性構造体と、該複数の導電性構造体が配列された第2の誘電体基板と、前記順次配列された複数の第2の誘電体基板とから右旋偏波が各々放射され、前記順次配列するステップが、前記x偏波または前記y偏波を放射する給電アンテナの上部に位置した複数個の第2の誘電体基板を0゜、90゜、180゜、270゜の位相差を有するように順次配列し、前記給電アンテナを形成するステップが、Y軸における長さとX軸における長さとが互いに異なる形状を有する前記第1の誘電体基板上の中心地点から所定距離離隔した地点が給電点となるように、前記第1の誘電体基板上の所定地点に前記x偏波または前記y偏波の給電アンテナを形成することを特徴とする円偏波アンテナの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−120240(P2011−120240A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265497(P2010−265497)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】