無線通信システム
【課題】車内2で要求されるマナーを満たした条件で携帯端末の機能を十分発揮する。
【解決手段】携帯端末8においては、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設け、この車内動作モード期間中に、車内情報配信装置3との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信可能とすることにより、車内2に乗り込んだ利用者7は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる。
【解決手段】携帯端末8においては、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設け、この車内動作モード期間中に、車内情報配信装置3との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信可能とすることにより、車内2に乗り込んだ利用者7は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関の車両内におけるマナーに十分に配慮した携帯端末が組込まれた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電車やバス等の公共交通機関の利用時には、一部の利用者における携帯電話の着信音や音声通話の行為が、周囲の乗客に迷惑となり、さらに、携帯電話用の電波(800MHz、1.5GHz)が心臓ペースメーカ等の医療器具を誤動作させるおそれがある。したがって、携帯電話の電源を切るか、もしくは、携帯電話から着信音を発しない状態であるマナーモード(サイレントモード)に切換えて通話を行わないことを、一般的な公共マナーとして周知徹底するように、車内アナウンス等で乗客に注意喚起がなされている。
【0003】
しかしながら、携帯電話の電源を切れば、携帯電話用の電波による通話、通信機能の他に、携帯端末としての種々の機能、例えば、電子情報受発信機能やアラーム機能等の各種機能が使用不能になる。
【0004】
また、電源を切らずに音声通話、着信音鳴動を禁止にするマナーモード(サイレントモード)に切換えていた場合においては携帯電話用の電波を送受信可能である。しかし、走行中の車内においては、携帯電話用の電波が微弱か圏外である場合が多発し、携帯電話の電波を送受信することによって利用できる各種機能の利用が著しく困難となるか、もしくは利用できない状態となり、利用者の利便性が損なわれることになる。
【0005】
例えば、インターネット等を活用したサービスとして列車運行情報提供サービスや乗換案内サービスがあり、利用者は乗降する駅情報をWebサイトに対して携帯電話を用いてアクセスすることにより、列車の到着時刻や乗換駅の情報を入手できる。また、利用者が列車に乗車して座席に着座し、下車駅に到着するまでに睡眠を取るような場合において、携帯端末が有するアラーム機能を活用できる。すなわち、利用者は乗り過ごし等を防止するため、前述のサービスとアラーム機能を組み合わせて、列車の到着時刻を確認した後に到着時刻の一定時間前にアラームが鳴るように計算して設定を行う。
【0006】
ただし、たとえ、電源投入時においても携帯電話自体が電波を受信できない状態においては、列車の到着時刻を確認できない。
【0007】
また、公共交通機関の利用者は、車両に乗り込んだ時に携帯電話をマナーモードに切換えるか、もしくは電源を切った場合においては、車両を下車したときに、マナーモードを解除するか、電源を再投入する必要がある。
【0008】
そうすると、上述した、マナーモードの設定・解除操作、及び電源の遮断・再投入操作は携帯電話の利用者にとっては、非常に煩わしいものとなる。このような理由があり、実際には、利用者の良心に任されているマナーモードの設定、電源遮断が実施されている割合が少ない。
【0009】
上記の問題を解決する方法として、特許文献1に、ICカードを活用し、出入管理システムと連動させて携帯電話のマナーモードの設定を制御する無線通信システムが提唱されている。
【特許文献1】特開2002−199457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の技術においては、携帯電話の電源を切ると情報通信ができずに情報サービスの利用ができなくなるだけでなく、目覚ましアラーム等の内蔵機能が一切利用できなくなり、仮に情報サービスの利用だけが停止されるマナーモードに切換わったとしても、利用者にとっては利便性が低下することになり、さらに携帯電話の電源復帰やマナーモードの解除は、利用者が忘れずに手動で行う必要があり、利用者がマナーモードの活用することを阻害する要因となっていた。
【0011】
また、例に挙げたような目覚まし機能の利用場面においては、利用者が乗換案内などのサービスで下車時刻を調べ、この調べた時刻を基に利用者が手動で設定する必要があり、利用者は携帯電話が備える個々の機能を利用者の判断で利用する必要があった。
【0012】
さらに、特許文献1においては、出入管理システムとの連動が前提であり、携帯電話に備わる複数の通信手段を切り替える概念はなく、利用者ごとの乗車状況に応じてマナーモードの切り替えを制御することは困難であった。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設けることにより、車内に乗り込んだ利用者は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明の無線通信システムにおいては、移動する車両内に配設された車内情報配信装置と、車両外に配設され車内情報配信装置に対して各種の情報を提供する車外情報提供装置と、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードと携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとを切換使用する携帯端末とを有する無線通信システムである。
【0015】
そして、携帯端末は、車内動作モードに設定された状態において、車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信を行い、当該車内情報配信装置から必要な情報を得て表示出力する。また、車内情報配信装置は、車外情報提供装置から提供された情報を携帯電話用の電波以外の電波で車内動作モードに設定された携帯端末へ送信する。
【0016】
このように構成された、無線通信システムに組込まれた携帯端末は、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードの他に、携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとが切換設定可能である。
【0017】
すなわち、車内動作モードにおいては、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる。そして、この車内動作モード時においては、携帯端末と車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うことが可能である。したがって、携帯端末の利用者は、他の乗客や医療機器を装着した乗客に何ら迷惑を掛けることなく車内情報配信装置を介して、必要な情報を得ることができる。
【0018】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、自己が車両外へ搬出されたことを、前記車内情報配信装置との間における前記携帯電話用の電波以外の電波による通信が途絶えたことで検出し、検出してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに自動復帰させる。
【0019】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者が車両を下車すると、携帯端末の動作モードが自動的に元の「通常動作モード」に復帰するので、車内動作モードの解除操作忘れを意識する必要がなく、利用者の操作負担が大幅に低減できる。したがって、結果として、車内マナーが向上する。
【0020】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、車両は予め定められた路線を予め定められたダイヤに従って運行される。また、車外情報提供装置は、車両の運行状態を監視管理する運行管理装置で構成され、車両の実際の運行状態を検出して、該当車両の車内情報配信装置へ供給する。車内情報配信装置は、車内動作モードに設定された携帯端末へ供給された運行状態を送信する。そして、携帯端末は、受信した運行状態を表示出力する。
【0021】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者は、自己が現在乗車している車両の現在の実際の運行状況を自己の携帯端末で確認できる。
【0022】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、車内動作モード時に操作入力された目的停車場を含む行先情報を車内情報配信装置へ送信する。車内情報配信装置は、行先情報を受信すると、この行先情報の目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示を作成して携帯端末へ返信する。そして、携帯端末は、乗車指示を受信すると、この乗車指示に含まれる予定到着時刻に基づいて定めた時刻に対するアラーム設定を行い、当該時刻に応じて表示及び振動で下車を喚起する。
【0023】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者は、車両に乗込むと、自己の携帯端末の動作モードを車内動作モードに切換えて、目的停車場を含む行先情報を操作入力すると、目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示が表示される。さらに、目的駅の予定到着時刻に基づいて定めた時刻が自動的にアラーム設定される。そして、当該時刻が到達すると、表示及び振動で下車が喚起されるので、利用者は、目的停車場まで安心して眠ることが可能である。
【0024】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、受信した運行状態が予定よりずれたときは、アラーム設定を修正する。
【0025】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、アラーム設定の時刻が到達してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させる。このような構成においても、利用者が車両を下車すると、携帯端末の動作モードが自動的に元の通常動作モードに復帰する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の無線通信システムに組込まれた各携帯端末においては、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設け、この車内動作モード期間中に、車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信可能とすることにより、車内に乗り込んだ利用者は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施施形態に係わる無線通信システムの概略構成を示す模式図である。この実施形態システムは例えば鉄道会社に設置されている。
【0029】
鉄道会社の中央情報管理装置1は、路線情報、列車ダイヤ情報を記憶し、必要に応じて、各車両2内に設けられた車内情報配信装置3に無線又は有線の送信経路4を介して送信する。さらに、車外情報提供装置としての鉄道会社の運行管理装置5は、各車両2が当該車両2に割当てられた路線を当該車両2に割当てられた列車ダイヤで運行されているかの実際の運行状況を監視し、運行情報を各車両2内に設けられた車内情報配信装置3に送信経路6を介して送信する。各車両2内に設けられた車内情報配信装置3は、車両2に乗車している利用者7が所持する携帯端末8と、ブルートゥース[Bluetooth(登録商標)]又は無線LANで通信する。なお、車両2に乗車していない利用者7が所持する携帯端末8は携帯事業者電波基地局9と携帯電話用の電波で通信が可能である。
【0030】
図2は、コンピュータで構成された中央情報管理装置1の概略構成を示すブロック図である。記憶部10内には、図3(a)に示す路線情報を記憶する路線情報メモリ11、図3(b)に示す各路線における各車両毎の列車ダイヤを記憶する列車ダイヤ情報メモリ12、図3(c)に示す利用者7が複数の路線を乗り継ぐ場合の乗換駅を記憶する乗換情報メモリ13が形成されている。
【0031】
更新部14は、ダイヤ改正、路線変更等が生じた場合には、操作部15からの指示、又は外部記憶読取部16で読取った外部指示データに基づいて、記憶部10の各メモリ11、12、13の内容を更新する。そして、更新後の内容を表示部17へ表示する。
【0032】
列車ダイヤ送信部18は、操作部15からの指示に基づいて、ダイヤ改正時に、列車ダイヤ情報メモリ12から各車両2に対して割当てられた路線の当該車両2に割当てられた図7に示す一つの列車ダイヤ45を抽出して、通信制御部19へ送出する。同様に、乗換情報送信部20は、操作部15からの指示に基づいて、運行路線が変更になった各車両2に対して、乗換情報メモリ13から関係する部分の乗換情報を抽出して、通信制御部19へ送出する。通信制御部19は指定された車両2の車内情報配信装置3に対して、無線LAN通信部21を介して、上述した列車ダイヤ及び乗換情報を送信する。
【0033】
有線LAN通信部22は信号線23で接続された運行管理装置5との間で各種の情報交換を実施する。
【0034】
図4は、コンピュータで構成された運行管理装置5の概略構成を示すブロック図である。図3(b)に示した各路線における各車両毎の列車ダイヤを記憶する列車ダイヤ情報メモリ12が設けられている。列車運行監視部24は、各車両2が当該車両2に割り当てられた路線を当該車両2に割当てられた列車ダイヤ45で運行されている運行状況(運行情報)を各車両2が駅に到着する毎に監視し、その運行情報を表示部26に表示すると共に、遅延判定部25へ送出する。
【0035】
遅延判定部25は、車両2が該当駅に列車ダイヤ45で指定された時刻に到着したかどうかでこの運行情報が正常か遅延かを判定する。正常な場合には正常運行情報作成部27が図5(a)に示す正常運行情報28を作成して、運行情報送信部33へ送出する。この正常運行情報28には、現在駅、停車状況、正常(遅延無し)が含まれる。一方、遅延の場合には遅延情報作成部29が、操作部30の指示に基づいて、図5(b)に示す遅延情報31を作成して、運行情報送信部33へ送出する。この遅延情報31には、現在駅、遅延時間、遅延理由が含まれる。さらに、この遅延情報31は遅延情報メモリ32に記憶される。
【0036】
なお、実際の各車両2の運行情報としては、上述した、正常運行情報28、及び遅延情報31の他に、列車が列車ダイヤで指定された時刻より、早く到達する早着情報が存在する。車両2が予定時刻より早く駅に到着した場合は、当該駅で出発時刻まで、時間調整を実施するのが一般的である。したがって、この実施形態装置においては、早く到達する早着情報に対する処理動作の説明を省略している。 通信制御部34は指定された車両2の車内情報配信装置3に対して、無線LAN通信部35を介して、運行情報送信部33から入力された上述した正常運行情報28又は遅延情報31の運行情報を送信する。
【0037】
有線LAN通信部36は信号線23で接続された中央情報管理装置1との間で各種の情報交換を実施する。
【0038】
図6は、各車両2内の例えば天井に設置されたコンピュータで構成された車内情報配信装置3の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
この車内情報配信装置3内には、車両2に乗車している各利用者7が所持する携帯端末8との間で無線で通信を行うためのブルートゥース(Bluetooth)通信部40、各携帯端末8及び中央情報管理装置1と運行管理装置5との間で無線で通信を行うための無線LAN通信部41、及び必要に応じて他の装置との間で有線による通信を行うための有線LAN通信部42が設けられている。そして、各通信部41、42、43は通信制御部43にて通信動作が制御される。
【0040】
列車ダイヤ受信部44は中央情報管理装置1から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた図7に示す列車ダイヤ45を受信すると、記憶部46内の列車ダイヤ情報メモリ47へ書込む。さらに、乗換情報受信部48は、中央情報管理装置1から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた路線における図3(c)に示す乗換情報を受信すると、記憶部46内の乗換情報メモリ49に書込む。
【0041】
また、運行情報受信部50は、運行管理装置5から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた路線における当該車両2における図5(a)、(b)に示す運行情報28、31を受信すると、当該運行情報が図5(a)に示す正常運行情報28の場合は、記憶部46の正常運行情報メモリ51へ書込み、当該運行情報が図5(b)に示す遅延情報31の場合は、記憶部46の遅延情報メモリ52へ書込む。さらに、入力された運行情報は、運行情報送信部53において、通信制御部43、ブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41を介して各携帯端末8へ送信する。
【0042】
行先情報入力部54は、この車両2に乗り込んだ利用者7が自己の携帯端末8に操作入力した、図10に示す目的駅、余裕時間、解除時間を含む行先情報55が、ブルートゥース(Bluetooth)通信部40又は無線LAN通信部41及び通信制御部43を介して入力されると、乗車指示作成部57へ送出する。乗車指示作成部57は、行先情報55に含まれる目的駅と余裕時間、解除時間を参照して図8に示す各乗車指示59、60を作成して、乗換指示送信部61へ送出する。
【0043】
具体的には、列車ダイヤ情報メモリ47、乗換情報メモリ49を参照して、目的駅が走行する路線内に存在しなくて、他の路線に存在する場合は、乗換情報作成部58の指示に基づいて、図8(a)に示すように。その目的駅が存在する他の路線に対する乗換駅を下車駅とし、その乗換駅の到着予定時刻、乗換路線名、乗車駅(現在駅)、次駅が含まれる乗車指示59を作成する。
【0044】
また、目的駅が走行する路線内に存在する場合は、図8(b)に示すように、その目的駅を下車駅とし、目的駅の到着予定時刻、乗車駅(現在駅)、次駅が含まれる乗車指示60を作成する。
【0045】
乗換指示送信部61は、作成された乗車指示59、60を通信制御部43、ブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41を介して、行先情報55の送信元の携帯端末8へ返信する。
【0046】
なお、表示部56及び操作部62及び外部記憶読取部63は、メンテナンスや各種設定時に使用される。
【0047】
図9は、各利用者7が所持する携帯端末8の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
この携帯端末8内には、外部の携帯事業者電波基地局9と携帯電話の電波(周波数800MHz、1.5GHz)で通信するための電波通信部64、車両2内の天井に取付けられている車内情報配信装置3との間で無線(周波数2.4GHz)で通信を行うためのブルートゥース(Bluetooth)通信部65、同じく車内情報配信装置3との間で無線(周波数2.4GHz、5GHz)で通信を行うための無線LAN通信部66が設けられている。そして、各通信部64、65、66は通信制御部88にて通信動作が制御される。
【0049】
動作モード切換部67は、利用者7の操作部68を介した設定指示、又はタイマ90からの解除指示に従って、この携帯端末8の動作モードを切換える。この携帯端末8は、携帯事業者電波基地局9と携帯電話用の周波数(800MHz、1.5GHz等)及び信号レベルの電波で通信を行う「通常動作モード」の他に、携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する「車内動作モード」とが切換設定可能である。
【0050】
すなわち、「車内動作モード」においては、例えば心臓ペースメーカ等の医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信の電波通信部64と、他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音のためのマイク・スピーカ69を停止する。そして、この「車内動作モード」時においては、医療機器に悪影響を与えない電波(周波数2.4GHz)を採用したブルートゥース(Bluetooth)通信部65を用いて車内情報配信装置3との間で通信を行う。同様に、医療機器に悪影響を与えない電波(2.4GHz、5GHz)を採用した無線LAN通信部66を用いて車内情報配信装置3との間で通信を行うことが可能である。
【0051】
そして、利用者7が駅で車両2内に乗り込んで、操作部68で動作モードを「通常動作モード」から「車内動作モード」に切換えると、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66にて、車内情報配信装置3に通信リンクの確立要求を送信して、この車内情報配信装置3との間に通信リンクが形成される。
【0052】
運行情報受信部70は、「車内動作モード」時に、車内情報配信装置3からブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して入力された正常運行情報28を記憶部71の運行情報メモリ72へ書込む。遅延情報受信部73は車内情報配信装置3から遅延情報31を受信すると設定変更部74へ送出する。
【0053】
行先情報作成部75は操作部68から、目的駅、余裕時間、解除時間が操作入力されると、図10に示す行先情報55を作成し、表示部76に表示するとともに、通信制御部88、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して車内情報配信装置3へ送信する。なお、動作モードを「通常動作モード」から「車内動作モード」に切換えてから所定の許容時間経過しても利用者が、目的駅、余裕時間、解除時間を操作入力しない場合は、予め記憶されている値を用いて行先情報55を作成する。
【0054】
乗車指示受信部89は、車内情報配信装置3からブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して図8(a)(b)に示す乗車指示59、60を受信すると、この乗車指示59、60を記憶部71の乗車指示メモリ77へ一時記憶する。さらに、乗車指示受信部89は、行先メッセージ作成部78及びタイマー設定部79へ乗車指示59、60を送信する。
【0055】
行先メッセージ作成部78は、乗車指示59、60を用いて、図11(a)に示す行き先メッセージ80を作成して表示部76に表示出力する。さらに、車両2の運転により車両2が各駅に到着する毎に車内情報配信装置3から入力される正常運行情報28に基づいて、車両2が該当駅に到着したころを図11(b)に示す目的駅までの各中間駅における途中案内メッセージ81を作成して表示部76に表示する。
【0056】
タイマー設定部79は、乗車指示59、60が入力すると、乗車指示59、60の下車駅の到着予定時刻の例えば2分前の時刻をアラーム時刻として、記憶部71内のアラームタイマ82に設定する。
【0057】
そして、アラームタイマ82が設定された時刻を計時しないうちに、図5に示す遅延情報31を受信すると、設定変更部74が、既にアラームタイマ82に設定したアラーム時刻を修正する。
【0058】
そして、アラームタイマ82が設定された時刻を計時すると、アラームメッセージ作成部83が図11(c)に示す目的駅、下車駅を示したアラームメッセージ84を作成して表示部76に表示出力するともに、振動部85を駆動して、利用者7に下車の喚起を促す。
【0059】
さらに、アラームタイマ82が設定された時刻を計時すると、タイマ90が起動して、例えば、利用者7が車両2を下車するための5分等の一定の猶予時間経過後に、動作モード切換部67を駆動する。動作モード切換部67は、この携帯端末8の動作モードを「車内動作モード」から、「通常動作モード」へ変更する。具体的には、ブルートゥース通信部65と無線LAN通信部66とを稼働停止する。その結果、この携帯端末8と車内情報配信装置3との間の通信リンクが強制遮断される。
【0060】
さらに、外部の携帯事業者電波基地局9と携帯電話の電波(周波数800MHz、1.5GHz)で通信するための電波通信部64の動作禁止を解除し、さらに、マイク・スピーカ69の動作禁止を解除して、携帯事業者電波基地局9を介して地上の他の利用者7の携帯端末8との間で、携帯電話用の電波を用いた音声通話が可能となる。
【0061】
なお、外部記憶読取部86は例えばICカード87から必要な情報を読取る。
【0062】
このように交際された無線通信システムにおける車内情報配信装置3の全体動作を図12の流れ図を用いて説明する。
【0063】
ステップS1にて、携帯端末8の「車内動作モード」設定に伴って、通信リンク接続要求が入力されると、携帯端末8に対してブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41で通信リンクを確立する(S2)。中央情報管理装置1から自己の車両2が走行する路線の自己に与えられた列車ダイヤ45を受信すると(S3)、記憶部46の列車ダイヤ情報メモリ47へ書き込む(S4)。
【0064】
そして、携帯端末8から行先情報55を受信すると(S5)、この行先情報55に含まれる目的駅を下車駅、又は目的駅が他の路線の場合は該当路線に乗り換えるために乗換え駅を下車駅とする図8(a)、(b)の乗車指示59,60を作成して(S6)、当該携帯端末8に返信する(S7)。
【0065】
そして、運行管理装置5から正常運行情報28が入力すると(S8)、正常運行情報メモリ51へ一時書込むと共に、各携帯端末8に送信する(S9)。また、運行管理装置5から遅延情報31が入力すると(S10)、遅延情報メモリ52へ一時書込むと共に、各携帯端末8に送信する(S11)。
【0066】
そして、携帯端末8から、「車内動作モード」解除に伴って、通信リンク切断要求が入力されると(S12)、携帯端末8に対してブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41での通信リンクを切断する(S13)。
【0067】
また、図13は、各利用者7が所持する携帯端末8における利用者7の操作及びその操作に対する携帯端末8の概略動作を示す流れ図である。利用者7が車両2に乗車し(ステップQ1)、自己の携帯端末8を操作して、動作モードを通常動作モードから車内動作モードに切換えると(Q2)、電波通信、音声通話、着信音を停止する(Q3)。さらに、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で車内情報配信装置3に対して通信リンクの確立要求を送出して、車内情報配信装置3との間で通信リンクの確立を行う(Q4)。
【0068】
利用者7が携帯端末8に図10に示す目的駅を示す行先情報55を入力すると(Q5)、この行先情報55を、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で車内情報配信装置3へ送信する(Q6)。車内情報配信装置3から図8に示す乗車指示59、60が入力すると(Q7)、図11(a)に示す行先メッセージ80を表示する(Q8)。そして、下車予定時刻をアラーム設定する(Q9)。
【0069】
そして、アラーム時刻が到来する前に、運行管理装置5から自己の車両2に対する運行情報が入力すると(Q10)、その運行情報が図5(a)に示す正常運行情報28の場合(Q11)、先の乗車指示59、60から下車までの残り時間を算出して(Q12)、図11(b)に示す目的駅までの中間駅における途中案内メッセージ81を表示する(Q13)。なお、運行情報が図5(b)に示す遅延情報31の場合(Q11)、下車駅の到着予定時刻及び到達にアラーム時刻を修正する(Q14)。そして、修正された下車駅の到着予定時刻に基づいて、残り時間の算出、及び途中案内メッセージ81の表示を行う。
【0070】
そして、アラーム時刻が到来すると(Q15)、下車駅到着の図11(c)に示すアラームメッセージ84を表示する(Q16)。そして、アラームの振動部85を駆動して、利用者7に下車を促す(Q17)。
【0071】
アラーム時刻から利用者7が車両2を下車するための5分等の一定の猶予時間経過後に(Q18)、自動的に、動作モードを「車内動作モード」から、「通常動作モード」へ変更する(Q19)。すなわち、ブルートゥース通信部65と無線LAN通信部66とを稼働停止する。その結果、この携帯端末8と車内情報配信装置3との間の通信リンクが強制遮断される(Q20)。そして、電波通信部64の動作を復帰させる(Q21)。
【0072】
このように、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設けているので、利用者7は、車内動作モードに切り換えたとしても、「通常動作モード」の機能に比較して大幅に機能低下することはないので、利用者7にとって、「車内動作モード」を、公共交通機関における、従来の「マナーモード(サイレントモード)」と「電源切断」との2段階切換に代わる、新たな1段の共通の「マナーモード」として受け入れやすい。その結果、車内における実施率も向上する。
【0073】
また、車両2を下車した利用者7は、特に動作モードを手動で元の「通常動作モード」に戻すことを忘れたとしても、自動的に元の「通常動作モード」に戻るので、他の利用者7が自己の携帯端末8に電話を掛けた特に接続不能のメッセージがでることはない。
【0074】
このように、下車すると、自己の携帯端末8を用いた、携帯事業者電波基地局9を介して地上の他の利用者7の携帯端末8との間で、携帯電話用の電波を用いた音声通話が可能となる。
【0075】
なお本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。利用者7が車両2を下車すると、利用者7が所持する携帯端末8は、車両2内に配設された車内情報配信装置3との間におけるブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で形成されていた通信リンクが維持できなくなり、車内情報配信装置3との通信が途絶える。この通信が途絶えてから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させることも可能である。
【0076】
このことは、利用者7が、アラーム設定した時刻の目的駅よりも、予定変更して、手前の駅で下車した場合においても、自動的に車内動作モードを通常動作モードに復帰する。
【0077】
さらに、アラーム時刻を目的駅の到着時刻ではなくて、一つ手前の駅の到着時刻とすることも可能である。
【0078】
さらに、この無線通信システムをバス会社の路線バスにも適用することが可能である。
【0079】
さらに、この発明の技術を応用することによって下記の特徴を発揮できる。
【0080】
現在、当該車両2の運行情報は車内放送や電光掲示板で案内されているが、ラッシュアワーなどの混雑時は、車内放送が聞こえにくい、電光掲示板が見られないなどの状況があり、Bluetoothなどを利用して情報配信を行うことができる。
【0081】
乗車券機能付き携帯端末であれば、乗車前の改札通過時に機能を有効にし、下車後の改札通過時に機能を解除する制御が可能である。
【0082】
車内情報配信装置3は、携帯端末8を所持した利用者7の車両2に対する乗車と下車のタイミングで当該携帯端末8の動作モードの設定状態を他サーバに送信することにより、グループウェアなどのプレゼンス機能と連動することが可能である。
【0083】
この無線通信システムを運営する公共交通機関は、利用者7に対する運行情報の提供手段が増えるだけでなく、運行情報に加えて企業広告などを配信することにより、広告収入が期待できる。
【0084】
また利用者7にとっても、車内2で行う車内情報配信装置3との間の通信は課金されないため、利用者7は携帯電話の通信費用を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態に係わる無線通信システムの概略構成を示す模式図
【図2】同実施形態の無線通信システムを構成する中央情報管理装置の概略構成を示すブロック図
【図3】同実施形態の中央情報管理装置における記憶部の記憶内容を示す図
【図4】同実施形態の無線通信システムを構成する運行管理装置の概略構成を示すブロック図
【図5】同実施形態の運行管理装置が作成する運行情報のフォーマット図
【図6】同実施形態の無線通信システムを構成する車内情報配信装置の概略構成を示すブロック図
【図7】同実施形態の車内情報配信装置における記憶部の記憶内容を示す図
【図8】同実施形態の車内情報配信装置が作成する乗車指示のフォーマット図
【図9】同実施形態の無線通信システムを構成する携帯端末の概略構成を示すブロック図
【図10】同実施形態の携帯端末が作成する行先情報のフォーマット図
【図11】同実施形態の携帯端末に表示されるメッセージを示す図
【図12】同実施形態の車内情報配信装置の動作を示す流れ図
【図13】同実施形態の携帯端末の動作を示す流れ図
【符号の説明】
【0086】
1…中央情報管理装置、2…車両、3…車内情報配信装置、5…運行管理装置、7…利用者、8…携帯端末、9…携帯事業者電波基地局、11…路線情報メモリ、12,47…列車ダイヤ情報メモリ、13…乗換情報メモリ、15,30,68…操作部、17,26,76…表示部、19,34,43,88…通信制御部、21,35,41,66…無線LAN通信部、22,36…有線LAN通信部、28…正常運行情報、31…遅延情報、32,52…遅延情報メモリ、40,65…ブルートゥース通信部、45…列車ダイヤ、55…行先情報、57…乗車指示作成部、59,60…乗車指示、64…電波通信部、67…動作モード切換部、74…設定変更部、75…行先情報作成部、79…タイマー設定部、78…行先メッセージ作成部、82…アラームタイマ、85…振動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関の車両内におけるマナーに十分に配慮した携帯端末が組込まれた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電車やバス等の公共交通機関の利用時には、一部の利用者における携帯電話の着信音や音声通話の行為が、周囲の乗客に迷惑となり、さらに、携帯電話用の電波(800MHz、1.5GHz)が心臓ペースメーカ等の医療器具を誤動作させるおそれがある。したがって、携帯電話の電源を切るか、もしくは、携帯電話から着信音を発しない状態であるマナーモード(サイレントモード)に切換えて通話を行わないことを、一般的な公共マナーとして周知徹底するように、車内アナウンス等で乗客に注意喚起がなされている。
【0003】
しかしながら、携帯電話の電源を切れば、携帯電話用の電波による通話、通信機能の他に、携帯端末としての種々の機能、例えば、電子情報受発信機能やアラーム機能等の各種機能が使用不能になる。
【0004】
また、電源を切らずに音声通話、着信音鳴動を禁止にするマナーモード(サイレントモード)に切換えていた場合においては携帯電話用の電波を送受信可能である。しかし、走行中の車内においては、携帯電話用の電波が微弱か圏外である場合が多発し、携帯電話の電波を送受信することによって利用できる各種機能の利用が著しく困難となるか、もしくは利用できない状態となり、利用者の利便性が損なわれることになる。
【0005】
例えば、インターネット等を活用したサービスとして列車運行情報提供サービスや乗換案内サービスがあり、利用者は乗降する駅情報をWebサイトに対して携帯電話を用いてアクセスすることにより、列車の到着時刻や乗換駅の情報を入手できる。また、利用者が列車に乗車して座席に着座し、下車駅に到着するまでに睡眠を取るような場合において、携帯端末が有するアラーム機能を活用できる。すなわち、利用者は乗り過ごし等を防止するため、前述のサービスとアラーム機能を組み合わせて、列車の到着時刻を確認した後に到着時刻の一定時間前にアラームが鳴るように計算して設定を行う。
【0006】
ただし、たとえ、電源投入時においても携帯電話自体が電波を受信できない状態においては、列車の到着時刻を確認できない。
【0007】
また、公共交通機関の利用者は、車両に乗り込んだ時に携帯電話をマナーモードに切換えるか、もしくは電源を切った場合においては、車両を下車したときに、マナーモードを解除するか、電源を再投入する必要がある。
【0008】
そうすると、上述した、マナーモードの設定・解除操作、及び電源の遮断・再投入操作は携帯電話の利用者にとっては、非常に煩わしいものとなる。このような理由があり、実際には、利用者の良心に任されているマナーモードの設定、電源遮断が実施されている割合が少ない。
【0009】
上記の問題を解決する方法として、特許文献1に、ICカードを活用し、出入管理システムと連動させて携帯電話のマナーモードの設定を制御する無線通信システムが提唱されている。
【特許文献1】特開2002−199457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の技術においては、携帯電話の電源を切ると情報通信ができずに情報サービスの利用ができなくなるだけでなく、目覚ましアラーム等の内蔵機能が一切利用できなくなり、仮に情報サービスの利用だけが停止されるマナーモードに切換わったとしても、利用者にとっては利便性が低下することになり、さらに携帯電話の電源復帰やマナーモードの解除は、利用者が忘れずに手動で行う必要があり、利用者がマナーモードの活用することを阻害する要因となっていた。
【0011】
また、例に挙げたような目覚まし機能の利用場面においては、利用者が乗換案内などのサービスで下車時刻を調べ、この調べた時刻を基に利用者が手動で設定する必要があり、利用者は携帯電話が備える個々の機能を利用者の判断で利用する必要があった。
【0012】
さらに、特許文献1においては、出入管理システムとの連動が前提であり、携帯電話に備わる複数の通信手段を切り替える概念はなく、利用者ごとの乗車状況に応じてマナーモードの切り替えを制御することは困難であった。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設けることにより、車内に乗り込んだ利用者は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明の無線通信システムにおいては、移動する車両内に配設された車内情報配信装置と、車両外に配設され車内情報配信装置に対して各種の情報を提供する車外情報提供装置と、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードと携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとを切換使用する携帯端末とを有する無線通信システムである。
【0015】
そして、携帯端末は、車内動作モードに設定された状態において、車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信を行い、当該車内情報配信装置から必要な情報を得て表示出力する。また、車内情報配信装置は、車外情報提供装置から提供された情報を携帯電話用の電波以外の電波で車内動作モードに設定された携帯端末へ送信する。
【0016】
このように構成された、無線通信システムに組込まれた携帯端末は、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードの他に、携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとが切換設定可能である。
【0017】
すなわち、車内動作モードにおいては、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる。そして、この車内動作モード時においては、携帯端末と車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うことが可能である。したがって、携帯端末の利用者は、他の乗客や医療機器を装着した乗客に何ら迷惑を掛けることなく車内情報配信装置を介して、必要な情報を得ることができる。
【0018】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、自己が車両外へ搬出されたことを、前記車内情報配信装置との間における前記携帯電話用の電波以外の電波による通信が途絶えたことで検出し、検出してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに自動復帰させる。
【0019】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者が車両を下車すると、携帯端末の動作モードが自動的に元の「通常動作モード」に復帰するので、車内動作モードの解除操作忘れを意識する必要がなく、利用者の操作負担が大幅に低減できる。したがって、結果として、車内マナーが向上する。
【0020】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、車両は予め定められた路線を予め定められたダイヤに従って運行される。また、車外情報提供装置は、車両の運行状態を監視管理する運行管理装置で構成され、車両の実際の運行状態を検出して、該当車両の車内情報配信装置へ供給する。車内情報配信装置は、車内動作モードに設定された携帯端末へ供給された運行状態を送信する。そして、携帯端末は、受信した運行状態を表示出力する。
【0021】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者は、自己が現在乗車している車両の現在の実際の運行状況を自己の携帯端末で確認できる。
【0022】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、車内動作モード時に操作入力された目的停車場を含む行先情報を車内情報配信装置へ送信する。車内情報配信装置は、行先情報を受信すると、この行先情報の目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示を作成して携帯端末へ返信する。そして、携帯端末は、乗車指示を受信すると、この乗車指示に含まれる予定到着時刻に基づいて定めた時刻に対するアラーム設定を行い、当該時刻に応じて表示及び振動で下車を喚起する。
【0023】
このように構成された無線通信システムにおいては、利用者は、車両に乗込むと、自己の携帯端末の動作モードを車内動作モードに切換えて、目的停車場を含む行先情報を操作入力すると、目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示が表示される。さらに、目的駅の予定到着時刻に基づいて定めた時刻が自動的にアラーム設定される。そして、当該時刻が到達すると、表示及び振動で下車が喚起されるので、利用者は、目的停車場まで安心して眠ることが可能である。
【0024】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、受信した運行状態が予定よりずれたときは、アラーム設定を修正する。
【0025】
また別の発明は、上述した発明の無線通信システムにおいて、携帯端末は、アラーム設定の時刻が到達してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させる。このような構成においても、利用者が車両を下車すると、携帯端末の動作モードが自動的に元の通常動作モードに復帰する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の無線通信システムに組込まれた各携帯端末においては、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与える電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設け、この車内動作モード期間中に、車内情報配信装置との間で携帯電話用の電波以外の電波で通信可能とすることにより、車内に乗り込んだ利用者は、自己が必要とする情報を自己の携帯端末で確認でき、さらに、必要に応じて、自己の携帯端末が有する種々の機能を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施施形態に係わる無線通信システムの概略構成を示す模式図である。この実施形態システムは例えば鉄道会社に設置されている。
【0029】
鉄道会社の中央情報管理装置1は、路線情報、列車ダイヤ情報を記憶し、必要に応じて、各車両2内に設けられた車内情報配信装置3に無線又は有線の送信経路4を介して送信する。さらに、車外情報提供装置としての鉄道会社の運行管理装置5は、各車両2が当該車両2に割当てられた路線を当該車両2に割当てられた列車ダイヤで運行されているかの実際の運行状況を監視し、運行情報を各車両2内に設けられた車内情報配信装置3に送信経路6を介して送信する。各車両2内に設けられた車内情報配信装置3は、車両2に乗車している利用者7が所持する携帯端末8と、ブルートゥース[Bluetooth(登録商標)]又は無線LANで通信する。なお、車両2に乗車していない利用者7が所持する携帯端末8は携帯事業者電波基地局9と携帯電話用の電波で通信が可能である。
【0030】
図2は、コンピュータで構成された中央情報管理装置1の概略構成を示すブロック図である。記憶部10内には、図3(a)に示す路線情報を記憶する路線情報メモリ11、図3(b)に示す各路線における各車両毎の列車ダイヤを記憶する列車ダイヤ情報メモリ12、図3(c)に示す利用者7が複数の路線を乗り継ぐ場合の乗換駅を記憶する乗換情報メモリ13が形成されている。
【0031】
更新部14は、ダイヤ改正、路線変更等が生じた場合には、操作部15からの指示、又は外部記憶読取部16で読取った外部指示データに基づいて、記憶部10の各メモリ11、12、13の内容を更新する。そして、更新後の内容を表示部17へ表示する。
【0032】
列車ダイヤ送信部18は、操作部15からの指示に基づいて、ダイヤ改正時に、列車ダイヤ情報メモリ12から各車両2に対して割当てられた路線の当該車両2に割当てられた図7に示す一つの列車ダイヤ45を抽出して、通信制御部19へ送出する。同様に、乗換情報送信部20は、操作部15からの指示に基づいて、運行路線が変更になった各車両2に対して、乗換情報メモリ13から関係する部分の乗換情報を抽出して、通信制御部19へ送出する。通信制御部19は指定された車両2の車内情報配信装置3に対して、無線LAN通信部21を介して、上述した列車ダイヤ及び乗換情報を送信する。
【0033】
有線LAN通信部22は信号線23で接続された運行管理装置5との間で各種の情報交換を実施する。
【0034】
図4は、コンピュータで構成された運行管理装置5の概略構成を示すブロック図である。図3(b)に示した各路線における各車両毎の列車ダイヤを記憶する列車ダイヤ情報メモリ12が設けられている。列車運行監視部24は、各車両2が当該車両2に割り当てられた路線を当該車両2に割当てられた列車ダイヤ45で運行されている運行状況(運行情報)を各車両2が駅に到着する毎に監視し、その運行情報を表示部26に表示すると共に、遅延判定部25へ送出する。
【0035】
遅延判定部25は、車両2が該当駅に列車ダイヤ45で指定された時刻に到着したかどうかでこの運行情報が正常か遅延かを判定する。正常な場合には正常運行情報作成部27が図5(a)に示す正常運行情報28を作成して、運行情報送信部33へ送出する。この正常運行情報28には、現在駅、停車状況、正常(遅延無し)が含まれる。一方、遅延の場合には遅延情報作成部29が、操作部30の指示に基づいて、図5(b)に示す遅延情報31を作成して、運行情報送信部33へ送出する。この遅延情報31には、現在駅、遅延時間、遅延理由が含まれる。さらに、この遅延情報31は遅延情報メモリ32に記憶される。
【0036】
なお、実際の各車両2の運行情報としては、上述した、正常運行情報28、及び遅延情報31の他に、列車が列車ダイヤで指定された時刻より、早く到達する早着情報が存在する。車両2が予定時刻より早く駅に到着した場合は、当該駅で出発時刻まで、時間調整を実施するのが一般的である。したがって、この実施形態装置においては、早く到達する早着情報に対する処理動作の説明を省略している。 通信制御部34は指定された車両2の車内情報配信装置3に対して、無線LAN通信部35を介して、運行情報送信部33から入力された上述した正常運行情報28又は遅延情報31の運行情報を送信する。
【0037】
有線LAN通信部36は信号線23で接続された中央情報管理装置1との間で各種の情報交換を実施する。
【0038】
図6は、各車両2内の例えば天井に設置されたコンピュータで構成された車内情報配信装置3の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
この車内情報配信装置3内には、車両2に乗車している各利用者7が所持する携帯端末8との間で無線で通信を行うためのブルートゥース(Bluetooth)通信部40、各携帯端末8及び中央情報管理装置1と運行管理装置5との間で無線で通信を行うための無線LAN通信部41、及び必要に応じて他の装置との間で有線による通信を行うための有線LAN通信部42が設けられている。そして、各通信部41、42、43は通信制御部43にて通信動作が制御される。
【0040】
列車ダイヤ受信部44は中央情報管理装置1から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた図7に示す列車ダイヤ45を受信すると、記憶部46内の列車ダイヤ情報メモリ47へ書込む。さらに、乗換情報受信部48は、中央情報管理装置1から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた路線における図3(c)に示す乗換情報を受信すると、記憶部46内の乗換情報メモリ49に書込む。
【0041】
また、運行情報受信部50は、運行管理装置5から無線LAN通信部41、通信制御部43を介して自己の車両2に割付けられた路線における当該車両2における図5(a)、(b)に示す運行情報28、31を受信すると、当該運行情報が図5(a)に示す正常運行情報28の場合は、記憶部46の正常運行情報メモリ51へ書込み、当該運行情報が図5(b)に示す遅延情報31の場合は、記憶部46の遅延情報メモリ52へ書込む。さらに、入力された運行情報は、運行情報送信部53において、通信制御部43、ブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41を介して各携帯端末8へ送信する。
【0042】
行先情報入力部54は、この車両2に乗り込んだ利用者7が自己の携帯端末8に操作入力した、図10に示す目的駅、余裕時間、解除時間を含む行先情報55が、ブルートゥース(Bluetooth)通信部40又は無線LAN通信部41及び通信制御部43を介して入力されると、乗車指示作成部57へ送出する。乗車指示作成部57は、行先情報55に含まれる目的駅と余裕時間、解除時間を参照して図8に示す各乗車指示59、60を作成して、乗換指示送信部61へ送出する。
【0043】
具体的には、列車ダイヤ情報メモリ47、乗換情報メモリ49を参照して、目的駅が走行する路線内に存在しなくて、他の路線に存在する場合は、乗換情報作成部58の指示に基づいて、図8(a)に示すように。その目的駅が存在する他の路線に対する乗換駅を下車駅とし、その乗換駅の到着予定時刻、乗換路線名、乗車駅(現在駅)、次駅が含まれる乗車指示59を作成する。
【0044】
また、目的駅が走行する路線内に存在する場合は、図8(b)に示すように、その目的駅を下車駅とし、目的駅の到着予定時刻、乗車駅(現在駅)、次駅が含まれる乗車指示60を作成する。
【0045】
乗換指示送信部61は、作成された乗車指示59、60を通信制御部43、ブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41を介して、行先情報55の送信元の携帯端末8へ返信する。
【0046】
なお、表示部56及び操作部62及び外部記憶読取部63は、メンテナンスや各種設定時に使用される。
【0047】
図9は、各利用者7が所持する携帯端末8の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
この携帯端末8内には、外部の携帯事業者電波基地局9と携帯電話の電波(周波数800MHz、1.5GHz)で通信するための電波通信部64、車両2内の天井に取付けられている車内情報配信装置3との間で無線(周波数2.4GHz)で通信を行うためのブルートゥース(Bluetooth)通信部65、同じく車内情報配信装置3との間で無線(周波数2.4GHz、5GHz)で通信を行うための無線LAN通信部66が設けられている。そして、各通信部64、65、66は通信制御部88にて通信動作が制御される。
【0049】
動作モード切換部67は、利用者7の操作部68を介した設定指示、又はタイマ90からの解除指示に従って、この携帯端末8の動作モードを切換える。この携帯端末8は、携帯事業者電波基地局9と携帯電話用の周波数(800MHz、1.5GHz等)及び信号レベルの電波で通信を行う「通常動作モード」の他に、携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する「車内動作モード」とが切換設定可能である。
【0050】
すなわち、「車内動作モード」においては、例えば心臓ペースメーカ等の医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信の電波通信部64と、他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音のためのマイク・スピーカ69を停止する。そして、この「車内動作モード」時においては、医療機器に悪影響を与えない電波(周波数2.4GHz)を採用したブルートゥース(Bluetooth)通信部65を用いて車内情報配信装置3との間で通信を行う。同様に、医療機器に悪影響を与えない電波(2.4GHz、5GHz)を採用した無線LAN通信部66を用いて車内情報配信装置3との間で通信を行うことが可能である。
【0051】
そして、利用者7が駅で車両2内に乗り込んで、操作部68で動作モードを「通常動作モード」から「車内動作モード」に切換えると、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66にて、車内情報配信装置3に通信リンクの確立要求を送信して、この車内情報配信装置3との間に通信リンクが形成される。
【0052】
運行情報受信部70は、「車内動作モード」時に、車内情報配信装置3からブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して入力された正常運行情報28を記憶部71の運行情報メモリ72へ書込む。遅延情報受信部73は車内情報配信装置3から遅延情報31を受信すると設定変更部74へ送出する。
【0053】
行先情報作成部75は操作部68から、目的駅、余裕時間、解除時間が操作入力されると、図10に示す行先情報55を作成し、表示部76に表示するとともに、通信制御部88、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して車内情報配信装置3へ送信する。なお、動作モードを「通常動作モード」から「車内動作モード」に切換えてから所定の許容時間経過しても利用者が、目的駅、余裕時間、解除時間を操作入力しない場合は、予め記憶されている値を用いて行先情報55を作成する。
【0054】
乗車指示受信部89は、車内情報配信装置3からブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66を介して図8(a)(b)に示す乗車指示59、60を受信すると、この乗車指示59、60を記憶部71の乗車指示メモリ77へ一時記憶する。さらに、乗車指示受信部89は、行先メッセージ作成部78及びタイマー設定部79へ乗車指示59、60を送信する。
【0055】
行先メッセージ作成部78は、乗車指示59、60を用いて、図11(a)に示す行き先メッセージ80を作成して表示部76に表示出力する。さらに、車両2の運転により車両2が各駅に到着する毎に車内情報配信装置3から入力される正常運行情報28に基づいて、車両2が該当駅に到着したころを図11(b)に示す目的駅までの各中間駅における途中案内メッセージ81を作成して表示部76に表示する。
【0056】
タイマー設定部79は、乗車指示59、60が入力すると、乗車指示59、60の下車駅の到着予定時刻の例えば2分前の時刻をアラーム時刻として、記憶部71内のアラームタイマ82に設定する。
【0057】
そして、アラームタイマ82が設定された時刻を計時しないうちに、図5に示す遅延情報31を受信すると、設定変更部74が、既にアラームタイマ82に設定したアラーム時刻を修正する。
【0058】
そして、アラームタイマ82が設定された時刻を計時すると、アラームメッセージ作成部83が図11(c)に示す目的駅、下車駅を示したアラームメッセージ84を作成して表示部76に表示出力するともに、振動部85を駆動して、利用者7に下車の喚起を促す。
【0059】
さらに、アラームタイマ82が設定された時刻を計時すると、タイマ90が起動して、例えば、利用者7が車両2を下車するための5分等の一定の猶予時間経過後に、動作モード切換部67を駆動する。動作モード切換部67は、この携帯端末8の動作モードを「車内動作モード」から、「通常動作モード」へ変更する。具体的には、ブルートゥース通信部65と無線LAN通信部66とを稼働停止する。その結果、この携帯端末8と車内情報配信装置3との間の通信リンクが強制遮断される。
【0060】
さらに、外部の携帯事業者電波基地局9と携帯電話の電波(周波数800MHz、1.5GHz)で通信するための電波通信部64の動作禁止を解除し、さらに、マイク・スピーカ69の動作禁止を解除して、携帯事業者電波基地局9を介して地上の他の利用者7の携帯端末8との間で、携帯電話用の電波を用いた音声通話が可能となる。
【0061】
なお、外部記憶読取部86は例えばICカード87から必要な情報を読取る。
【0062】
このように交際された無線通信システムにおける車内情報配信装置3の全体動作を図12の流れ図を用いて説明する。
【0063】
ステップS1にて、携帯端末8の「車内動作モード」設定に伴って、通信リンク接続要求が入力されると、携帯端末8に対してブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41で通信リンクを確立する(S2)。中央情報管理装置1から自己の車両2が走行する路線の自己に与えられた列車ダイヤ45を受信すると(S3)、記憶部46の列車ダイヤ情報メモリ47へ書き込む(S4)。
【0064】
そして、携帯端末8から行先情報55を受信すると(S5)、この行先情報55に含まれる目的駅を下車駅、又は目的駅が他の路線の場合は該当路線に乗り換えるために乗換え駅を下車駅とする図8(a)、(b)の乗車指示59,60を作成して(S6)、当該携帯端末8に返信する(S7)。
【0065】
そして、運行管理装置5から正常運行情報28が入力すると(S8)、正常運行情報メモリ51へ一時書込むと共に、各携帯端末8に送信する(S9)。また、運行管理装置5から遅延情報31が入力すると(S10)、遅延情報メモリ52へ一時書込むと共に、各携帯端末8に送信する(S11)。
【0066】
そして、携帯端末8から、「車内動作モード」解除に伴って、通信リンク切断要求が入力されると(S12)、携帯端末8に対してブルートゥース通信部40又は無線LAN通信部41での通信リンクを切断する(S13)。
【0067】
また、図13は、各利用者7が所持する携帯端末8における利用者7の操作及びその操作に対する携帯端末8の概略動作を示す流れ図である。利用者7が車両2に乗車し(ステップQ1)、自己の携帯端末8を操作して、動作モードを通常動作モードから車内動作モードに切換えると(Q2)、電波通信、音声通話、着信音を停止する(Q3)。さらに、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で車内情報配信装置3に対して通信リンクの確立要求を送出して、車内情報配信装置3との間で通信リンクの確立を行う(Q4)。
【0068】
利用者7が携帯端末8に図10に示す目的駅を示す行先情報55を入力すると(Q5)、この行先情報55を、ブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で車内情報配信装置3へ送信する(Q6)。車内情報配信装置3から図8に示す乗車指示59、60が入力すると(Q7)、図11(a)に示す行先メッセージ80を表示する(Q8)。そして、下車予定時刻をアラーム設定する(Q9)。
【0069】
そして、アラーム時刻が到来する前に、運行管理装置5から自己の車両2に対する運行情報が入力すると(Q10)、その運行情報が図5(a)に示す正常運行情報28の場合(Q11)、先の乗車指示59、60から下車までの残り時間を算出して(Q12)、図11(b)に示す目的駅までの中間駅における途中案内メッセージ81を表示する(Q13)。なお、運行情報が図5(b)に示す遅延情報31の場合(Q11)、下車駅の到着予定時刻及び到達にアラーム時刻を修正する(Q14)。そして、修正された下車駅の到着予定時刻に基づいて、残り時間の算出、及び途中案内メッセージ81の表示を行う。
【0070】
そして、アラーム時刻が到来すると(Q15)、下車駅到着の図11(c)に示すアラームメッセージ84を表示する(Q16)。そして、アラームの振動部85を駆動して、利用者7に下車を促す(Q17)。
【0071】
アラーム時刻から利用者7が車両2を下車するための5分等の一定の猶予時間経過後に(Q18)、自動的に、動作モードを「車内動作モード」から、「通常動作モード」へ変更する(Q19)。すなわち、ブルートゥース通信部65と無線LAN通信部66とを稼働停止する。その結果、この携帯端末8と車内情報配信装置3との間の通信リンクが強制遮断される(Q20)。そして、電波通信部64の動作を復帰させる(Q21)。
【0072】
このように、通常動作モードの他に、医療機器に悪影響を与えるおそれのある電波の送受信と他の乗客の迷惑となる音声通話、着信音との最低限の機能だけを停止させる新たな車内動作モードを設けているので、利用者7は、車内動作モードに切り換えたとしても、「通常動作モード」の機能に比較して大幅に機能低下することはないので、利用者7にとって、「車内動作モード」を、公共交通機関における、従来の「マナーモード(サイレントモード)」と「電源切断」との2段階切換に代わる、新たな1段の共通の「マナーモード」として受け入れやすい。その結果、車内における実施率も向上する。
【0073】
また、車両2を下車した利用者7は、特に動作モードを手動で元の「通常動作モード」に戻すことを忘れたとしても、自動的に元の「通常動作モード」に戻るので、他の利用者7が自己の携帯端末8に電話を掛けた特に接続不能のメッセージがでることはない。
【0074】
このように、下車すると、自己の携帯端末8を用いた、携帯事業者電波基地局9を介して地上の他の利用者7の携帯端末8との間で、携帯電話用の電波を用いた音声通話が可能となる。
【0075】
なお本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。利用者7が車両2を下車すると、利用者7が所持する携帯端末8は、車両2内に配設された車内情報配信装置3との間におけるブルートゥース通信部65又は無線LAN通信部66で形成されていた通信リンクが維持できなくなり、車内情報配信装置3との通信が途絶える。この通信が途絶えてから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させることも可能である。
【0076】
このことは、利用者7が、アラーム設定した時刻の目的駅よりも、予定変更して、手前の駅で下車した場合においても、自動的に車内動作モードを通常動作モードに復帰する。
【0077】
さらに、アラーム時刻を目的駅の到着時刻ではなくて、一つ手前の駅の到着時刻とすることも可能である。
【0078】
さらに、この無線通信システムをバス会社の路線バスにも適用することが可能である。
【0079】
さらに、この発明の技術を応用することによって下記の特徴を発揮できる。
【0080】
現在、当該車両2の運行情報は車内放送や電光掲示板で案内されているが、ラッシュアワーなどの混雑時は、車内放送が聞こえにくい、電光掲示板が見られないなどの状況があり、Bluetoothなどを利用して情報配信を行うことができる。
【0081】
乗車券機能付き携帯端末であれば、乗車前の改札通過時に機能を有効にし、下車後の改札通過時に機能を解除する制御が可能である。
【0082】
車内情報配信装置3は、携帯端末8を所持した利用者7の車両2に対する乗車と下車のタイミングで当該携帯端末8の動作モードの設定状態を他サーバに送信することにより、グループウェアなどのプレゼンス機能と連動することが可能である。
【0083】
この無線通信システムを運営する公共交通機関は、利用者7に対する運行情報の提供手段が増えるだけでなく、運行情報に加えて企業広告などを配信することにより、広告収入が期待できる。
【0084】
また利用者7にとっても、車内2で行う車内情報配信装置3との間の通信は課金されないため、利用者7は携帯電話の通信費用を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施形態に係わる無線通信システムの概略構成を示す模式図
【図2】同実施形態の無線通信システムを構成する中央情報管理装置の概略構成を示すブロック図
【図3】同実施形態の中央情報管理装置における記憶部の記憶内容を示す図
【図4】同実施形態の無線通信システムを構成する運行管理装置の概略構成を示すブロック図
【図5】同実施形態の運行管理装置が作成する運行情報のフォーマット図
【図6】同実施形態の無線通信システムを構成する車内情報配信装置の概略構成を示すブロック図
【図7】同実施形態の車内情報配信装置における記憶部の記憶内容を示す図
【図8】同実施形態の車内情報配信装置が作成する乗車指示のフォーマット図
【図9】同実施形態の無線通信システムを構成する携帯端末の概略構成を示すブロック図
【図10】同実施形態の携帯端末が作成する行先情報のフォーマット図
【図11】同実施形態の携帯端末に表示されるメッセージを示す図
【図12】同実施形態の車内情報配信装置の動作を示す流れ図
【図13】同実施形態の携帯端末の動作を示す流れ図
【符号の説明】
【0086】
1…中央情報管理装置、2…車両、3…車内情報配信装置、5…運行管理装置、7…利用者、8…携帯端末、9…携帯事業者電波基地局、11…路線情報メモリ、12,47…列車ダイヤ情報メモリ、13…乗換情報メモリ、15,30,68…操作部、17,26,76…表示部、19,34,43,88…通信制御部、21,35,41,66…無線LAN通信部、22,36…有線LAN通信部、28…正常運行情報、31…遅延情報、32,52…遅延情報メモリ、40,65…ブルートゥース通信部、45…列車ダイヤ、55…行先情報、57…乗車指示作成部、59,60…乗車指示、64…電波通信部、67…動作モード切換部、74…設定変更部、75…行先情報作成部、79…タイマー設定部、78…行先メッセージ作成部、82…アラームタイマ、85…振動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する車両内に配設された車内情報配信装置と、車両外に配設され前記車内情報配信装置に対して各種の情報を提供する車外情報提供装置と、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードと前記携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとを切換使用する携帯端末とを有する無線通信システムであって、
前記携帯端末は、前記車内動作モードに設定された状態において、前記車内情報配信装置との間で前記携帯電話用の電波以外の電波で通信を行い、当該車内情報配信装置から必要な情報を得て表示出力し、
前記車内情報配信装置は、前記車外情報提供装置から提供された情報を前記携帯電話用の電波以外の電波で車内動作モードに設定された携帯端末へ送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、自己が前記車両外へ搬出されたことを、前記車内情報配信装置との間における前記携帯電話用の電波以外の電波による通信が途絶えたことで検出し、検出してから所定時間後に、前記車内動作モードを通常動作モードに復帰させる
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記車両は予め定められた路線を予め定められたダイヤに従って運行され、
前記車外情報提供装置は、前記車両の運行状態を監視管理する運行管理装置で構成され、前記車両の実際の運行状態を検出して、該当車両の車内情報配信装置へ供給し、
前記車内情報配信装置は、前記車内動作モードに設定された携帯端末へ前記供給された運行状態を送信し、
前記携帯端末は、受信した運行状態を表示出力する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記車内動作モード時に操作入力された目的停車場を含む行先情報を前記車内情報配信装置へ送信し、
前記車内情報配信装置は、前記行先情報を受信すると、この行先情報の目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示を作成して前記携帯端末へ返信し、
前記携帯端末は、前記乗車指示を受信すると、この乗車指示に含まれる予定到着時刻に基づいて定めた時刻に対するアラーム設定を行い、当該時刻に応じて、表示及び振動で下車を喚起する
ことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、受信した運行状態が予定よりずれたときは、当該運行状態に応じて前記アラーム設定を修正することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記アラーム設定の時刻が到達してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させる
ことを特徴とする請求項4又は5記載の無線通信システム。
【請求項1】
移動する車両内に配設された車内情報配信装置と、車両外に配設され前記車内情報配信装置に対して各種の情報を提供する車外情報提供装置と、携帯電話の基地局と携帯電話用の周波数及び信号レベルの電波で通信を行う通常動作モードと前記携帯電話用の電波以外の電波で通信を行うとともに音声通話及び着信音鳴動を禁止する車内動作モードとを切換使用する携帯端末とを有する無線通信システムであって、
前記携帯端末は、前記車内動作モードに設定された状態において、前記車内情報配信装置との間で前記携帯電話用の電波以外の電波で通信を行い、当該車内情報配信装置から必要な情報を得て表示出力し、
前記車内情報配信装置は、前記車外情報提供装置から提供された情報を前記携帯電話用の電波以外の電波で車内動作モードに設定された携帯端末へ送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、自己が前記車両外へ搬出されたことを、前記車内情報配信装置との間における前記携帯電話用の電波以外の電波による通信が途絶えたことで検出し、検出してから所定時間後に、前記車内動作モードを通常動作モードに復帰させる
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記車両は予め定められた路線を予め定められたダイヤに従って運行され、
前記車外情報提供装置は、前記車両の運行状態を監視管理する運行管理装置で構成され、前記車両の実際の運行状態を検出して、該当車両の車内情報配信装置へ供給し、
前記車内情報配信装置は、前記車内動作モードに設定された携帯端末へ前記供給された運行状態を送信し、
前記携帯端末は、受信した運行状態を表示出力する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記車内動作モード時に操作入力された目的停車場を含む行先情報を前記車内情報配信装置へ送信し、
前記車内情報配信装置は、前記行先情報を受信すると、この行先情報の目的停車場の予定到着時刻を含む乗車指示を作成して前記携帯端末へ返信し、
前記携帯端末は、前記乗車指示を受信すると、この乗車指示に含まれる予定到着時刻に基づいて定めた時刻に対するアラーム設定を行い、当該時刻に応じて、表示及び振動で下車を喚起する
ことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、受信した運行状態が予定よりずれたときは、当該運行状態に応じて前記アラーム設定を修正することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記アラーム設定の時刻が到達してから所定時間後に、車内動作モードを通常動作モードに復帰させる
ことを特徴とする請求項4又は5記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−17491(P2009−17491A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180019(P2007−180019)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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