説明

無線通信システム

【課題】親機同期補足時の消費電力が小さく、無線干渉に強い無線通信システムを提供する。
【解決手段】時分割通信方式で通信する親機と子機であって、子機は、親機から送信される制御信号で通知される複数の制御データを受信し、親機との同期を確立する。制御信号を送信するSlotを複数の領域に分割し、各領域ごとに誤り検出符号を付けて制御データの送信を行ない、異なるフレームのSlotの同一領域で送信する制御データを変えるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに応用可能な無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周波数資源の有効活用を目的として、デジタルコードレス電話の周波数帯の一部が、無線ドアホンや無線センサ等の音声通信機器あるいはデータ通信機器の無線通信に使用可能となった。本周波数帯は、世界各国でデジタルコードレス電話の通信方式として広く普及しているDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)規格の無線通信方式をベースとした無線通信が認可され、本周波数帯を使用する無線通信装置では、DECT方式のデジタルコードレス電話用として市販されている安価な無線通信用のデバイスの使用が可能となった。又、周波数資源の有効活用とユーザーの利便性の観点からデジタルコードレス電話、無線ドアホン、無線センサ等の複合商品の開発が要望されている。
【0003】
DECT方式は、10ms周期の1フレームに24スロット(アップリンク用に12スロット、ダウンリンク用に12スロット)を含んで構成されるTDMA(時分割多元接続:Time Division Multiple Access)/TDD(時分割複信:Time Division Duplex)方式を採用している。
【0004】
図1はDECT方式のフレームおよびスロット構成を示す。図1に示すよう、DECT方式の無線通信は、無線通信を行なう各スロットにSlot:1、Slot:2というような番号をつけて通信するスロット位置の指定等の制御を行い、又、1つのフレームは、Slot:1からSlot:24までの24スロットで構成し、フレームごとにフレーム番号をつけて通信制御を行なっている。1スロットを制御チャネルとして割り当て、11スロットペアを通話チャネルとして割り当てている。DECT方式の制御チャネルで送信される制御信号は、ビット同期とスロットタイミングの同期を取るための同期信号と親機を識別するための親機ID、通信スロットの指定等に使用するためのスロット同期を取るためのスロット番号、秘匿制御等に用いられるフレーム番号の同期をとるためのフレーム番号、着信通知等を含んだ制御情報と受信されたデータの誤りの有無を判定するための誤り検出符号で構成される。
【0005】
DECT方式の制御チャネルで送信される制御情報は、親機識別情報である親機IDを通知するNTメッセージ、フレーム番号、親機機能、通信周波数、待ち受け周波数等のシステム情報を通知するとともにマルチフレーム制御の基準フレームとして使用されるQTメッセージ、呼出し情報、発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等のページング関連の情報を通知するPTメッセージ、通信チャネルの起動、ハンドオーバー等のMACレイヤで行われる無線制御関連の情報を通知するMTメッセージの4種類に分類される。そして、DECT方式のコードレス電話では、各フレームで毎回内容の情報を送るのではなく、16フレームを1周期とする単位を定め、一つの単位で一つの種類のメッセージ送ることにより制御情報を複数のフレームに分散して送っている。従属局である子機は、16フレームに1回、制御情報が送られる制御用スロットに合わせて受信動作をする間欠受信制御を行なっている。このように制御情報を種類毎に(NTメッセージ、QTメッセージ、PTメッセージ、MTメッセージ)分けて複数のフレームで送るマルチフレーム制御を行なっている。
【0006】
これら、TDMA方式の無線通信装置は、電池駆動の移動体通信やコードレス電話に利用されることから、低消費電力化のための技術が数多く開示されている。例えば、特許文献1では、スパーフレーム構成による制御チャネル制御を利用した間欠受信と間欠受信周期の可変制御によるバッテリーセイビング方式が開示されている。
【0007】
一方、火災報知機や窓の開閉監視装置等に用いられるセンサ装置は、設置の容易さから、電池で動作し、無線通信機能を持ったものが開発されており、低消費電力化のための技術が数多く開示されている。例えば、特許文献2では、センサ装置から無線通信必要と判断されたときのみ無線部に電源を供給し、通信を行なうことにより消費電力を抑える、又、送信間隔や回数を制御することにより無線通信の信頼性を向上する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−102900号公報
【特許文献2】特開2005−84803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
TDMA方式を用いた無線通信を応用してセンサ装置を構築した場合、待機状態すなわちセンサ装置からの無線通信が不要な状態で間欠受信制御によるバッテリーセイビングを行なった場合、待機状態で無線部の電源を停止する既存の無線センサに比べ、消費電力が大きくなるという課題を有していた。
【0010】
又、親機(制御局)を共通にして無線センサ装置と、音声通話や画像通信等を行なう無線ドアホン等とを構築しようとした場合、音声通話や画像通信等を行なう端末は電力源に余裕があるが、無線センサ装置は異常検知等の少ない情報を通知することを前提としているため、消費電力を極力少なくする必要がある。画像通信等を行なう端末は制御局から制御信号を常時受信しながら制御局との同期を維持することが出来るが、無線センサ装置が同様に制御局から制御信号を処理すると、消費電力が増え、電池を頻繁に交換する必要が生じる。したがって親機(制御局)を共通にして無線センサ装置と他の音声/画像通信等を行なう端末を共存させる場合、異なる無線通信方式での通信が必要となり、無線回路が複雑になるという課題を有していた。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、TDMA方式を用いた無線センサに応用可能な消費電力の小さく無線干渉による妨害に強い無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信装置は、時分割多重通信を行なう制御局と従属局で構成され、前記従属局は、前記制御局が送信する制御信号を受信し、制御信号の受信タイミングと制御信号で報知される制御データに基づいて制御局との時分割多重通信を行なう無線通信装置であって、前記制御局は、無線通信を行なう無線手段と、予め決められたフォーマットで送信データ列を構築するフレーム処理手段と、1つのスロットを複数の領域に分割しそれぞれの領域で前記従属局が通信を行なうために必要な情報を送信し、異なるスロットで同一の情報を送信する場合、前記同一の情報を送信するスロット内の領域を前回送信したスロット内での領域と異なる領域で送信するように制御する制御手段を備え、前記従属局は、無線通信を行なう無線手段と、受信データ列から同一スロット内で送られてくる複数の情報をそれぞれ独立して取り出すフレーム処理手段と、同一スロット内の複数の領域で送られてくる情報をもとに前記制御局との通信を行なうよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従属局は、制御局とのTDMAのための同期を高速、且つ、より確実に行なえるので、制御局の同期確立時の消費電力を低減でき、無線通信の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】DECT方式におけるフレーム、スロット構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置を示す図
【図3】図2に示す親機の構成を示すブロック図
【図4】図2に示す電話子機の構成を示すブロック図
【図5】図2に示すセンサ子機の構成を示すブロック図
【図6】図2に示す親機に電話子機のみが登録されている場合の制御信号のデータフォーマットを示す図
【図7】図2に示す親機にセンサ子機が登録されている場合の制御信号のデータフォーマットを示す図
【図8】図2に示す親機に電話子機のみが登録されている場合に送信される制御信号の種類と送信順序を示した図
【図9】図2に示す親機と電話子機が通信する場合に使用する信号のデータフォーマットを示す図
【図10】図2に示す電話子機が親機とフレーム、スロットの同期を確立する動作を示す図
【図11】図2に示す親機にセンサ子機が登録されている場合に送信される制御信号の種類と送信順序を示した図
【図12】図2に示すセンサ子機が親機とフレーム、スロットの同期を確立する動作を示す図
【図13】制御データ3、制御データ4、制御データ5が受信できなかった場合の図2に示すセンサ子機が親機とフレーム、スロットの同期を確立する動作を示す図
【図14】図2に示す親機とセンサ子機が通信する場合に使用する信号のデータフォーマットを示す図
【図15】図2に示すセンサ子機の窓の状態が変化し、親機との同期を確立し、親機にCLMSメッセージで窓の状態を通知する動作の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の第1の発明は、時分割多重通信を行なう制御局と従属局で構成され、従属局は、制御局が送信する制御信号を受信し、制御信号の受信タイミングと制御信号で報知される制御データに基づいて制御局との時分割多重通信を行なう無線通信装置であって、制御局は、無線通信を行なう無線手段と、予め決められたフォーマットで送信データ列を構築するフレーム処理手段と、1つのスロットを複数の領域に分割しそれぞれの領域で前記従属局が通信を行なうために必要な情報を送信し、異なるスロットで同一の情報を送信する場合、同一の情報を送信するスロット内の領域を前回送信したスロット内での領域と異なる領域で送信するように制御する制御手段を備え、従属局は、無線通信を行なう無線手段と、受信データ列から同一スロット内で送られてくる複数の情報をそれぞれ独立して取り出すフレーム処理手段と、同一スロット内の複数の領域で送られてくる情報をもとに制御局との通信を行なうよう制御する制御手段を備えたことを特徴とした無線通信装置である。
【0016】
第1の発明によれば、1つのスロットを複数の領域に分割しそれぞれの領域で従属局が制御局との同期を確立し、通信を開始するために必要な情報が送信され、同一の情報を異なるスロットで送信する場合、前回送信した領域以外の領域で送信するようにしたので、制御信号を受信するスロットの一部で連続的に受信エラーしても、複数のスロットで送信された情報を受信することにより通信を行なうために必要な情報をすべて受信できるようになり、制御局との同期確立の時間を短縮し、消費電力を低減でき、通信の信頼性を向上することがきる。特に、同一周期で動作する同じTDMA方式の無線機器が周辺で動作している場合、それぞれの機器は非同期で動作するため、機器の通信タイミングが時間と共に変化する。各々の送信タイミングは、徐々に接近し、何れ、一方のスロットの開始部分と他方のスロットの終了部分が重なり、重なり部分での受信エラーが発生することになる。スロットの開始部分は、ビット同期のパターンで構成される同期信号であるため、この部分に干渉が発生し、受信エラーが発生しても、スロット内で受信された他のデータが破棄されることはない。一方、スロットの終了部分は、誤り検出符号であり、この部分で受信エラーが発生した場合、受信エラーとなった誤り検出符号に対応する受信データ領域の受信データを破棄することになる。この現象によって、制御局が送信する制御信号の終了部分の誤り検出符号に無線干渉が発生している状態になった場合、制御局と従属局間の通信ができなくなるという重大な課題を引き起こすことになる。本発明では、このような場合であっても、スロット内を複数に分割して通信を開始するために必要な情報を送信しており、スロットの終了部分に連続的に受信エラーが発生しても、複数に分割された領域の最後の領域で送信された情報のみが破棄されるのみで、複数に分割された領域の最後の領域の受信ができない状態が継続していても、他の領域が受信できれば、制御局と従属局間の通信が可能であり、通信不良によるリトライによる消費電力の増加を低減すると共に通信の信頼性を向上させることができる。
【0017】
本願の第2の発明は、第1の発明において、制御局の制御手段が、制御信号で報知する制御データのうち予め決められた複数の特定のデータを複数のスロットの同一の領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0018】
第2の発明によれば、複数のスロットの同一の領域で複数の特定のデータを送信するようにしたので、1つのスロット内の特定の1つの領域のみが受信できる状態が継続できれば必要な情報のすべてを正しく取得できるので、受信エラーが発生する環境において、受信エラーによる通信障害の発生頻度を低減でき通信の信頼性を向上させることができる。
【0019】
本願の第3の発明は、第1の発明において、制御局の制御手段が、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0020】
第3の発明によれば、同一スロット内の複数の領域で同一のデータを送信するようにしたので、スロット内の一部の領域に受信エラーが発生しても、同一のデータを送信する同一スロット内の他の領域を正常に受信できれば、1つのスロットで受信が必要な情報を正しく取得できるので、受信エラーが発生する環境において通信に必要なすべてのデータを取得するまでの時間が短縮され消費電力の増加を低減させることができる。
【0021】
本願の第4の発明は、第3の発明において、制御局の制御手段が、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御する場合、同一のデータを隣接しない領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0022】
第4の発明によれば、同一スロット内で送信する同一の制御データを隣接しない領域で送信するようにしたので、スロット内の連続する領域に受信エラーが発生している場合に、同一スロット内で送信される同一データがすべて受信エラーが発生している領域に重なる確率を小さくすることができるので受信エラーが発生する環境において通信に必要なすべてのデータを取得するまでの時間が短縮され消費電力の増加を低減させることができる。
【0023】
本願の第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれかにおいて、従属局が、予め決められた状態を検知するセンサ手段と、無線手段とフレーム処理手段と制御手段への電源供給をオンオフする電源制御手段とを備え、予め決められた状態を検知した際に無線手段とフレーム処理手段と制御手段への電源を供給し前記制御局から送信される制御信号を受信し制御局との時分割多重通信の同期を確立しセンサ手段で検知された状態を制御局に通知することを特徴とした無線通信装置である。
【0024】
第5の発明によれば、センサ手段で予め決められた状態が検知されたときに無線手段とフレーム処理手段と制御手段に電源を供給し、無線通信を開始するようにしたので、通信が不要な待機時の消費電力を低減させることができる。
【0025】
本願の第6の発明は、第5の発明において、従属局のセンサ手段は制御手段から通知された状態を検知するように動作し、制御手段は、センサ手段で検知された状態を制御局に通知したのち、センサ手段で次に検知する状態をセンサ手段に通知し、無線手段とフレーム処理手段と制御手段への電源供給をオフするよう電源制御手段を制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0026】
第6の発明によれば、センサ手段で検知する状態を制御部より指定可能とし、制御部はセンサ手段で次に検知する状態を前記センサ手段に通知した後に電源オフするので、センサ機能の自由度を大きくすることができ、又、センサ手段で状態を検知するまでの消費電力を低減させることができる。
【0027】
本願の第7の発明は、時分割多重通信を行なう制御局と第1の従属局と第2の従属局で構成され、第1の従属局と第2の従属局は、制御局が送信する制御信号を受信し、制御信号の受信タイミングと制御信号で報知される制御データに基づいて制御局との時分割多重通信を行ない、第1の従属局は、制御局への送信が不要な期間は制御局の送信する制御信号を予め決められた周期で受信することにより制御局との時分割多重通信の同期を維持するように動作し、第2の従属局は、制御局への送信が不要な期間は制御局が送信する制御信号の受信を停止するように動作する無線通信装置であって、制御局は、無線通信を行なう無線手段と、予め決められたフォーマットで送信データ列を構築するフレーム処理手段と、1つのスロットを複数の領域に分割し、複数の領域の先頭の領域で第1の従属局が時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を送信し、複数の領域の先頭の領域を除く領域で第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な情報を送信し、異なるスロットで第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な同一の情報を送信する場合、同一の情報を送信するスロット内の領域を前回送信したスロット内での領域と異なる領域で送信するように制御する制御手段を備え、第2従属局は、無線通信を行なう無線手段と、受信データ列から同一スロット内で送られてくる複数の情報をそれぞれ独立して取り出すフレーム処理手段と、同一スロット内の複数の領域で送られてくる情報をもとに制御局との通信を行なうよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする無線通信装置である。
【0028】
第7の発明によれば、1つのスロットを複数の領域に分割し、複数の領域の先頭の領域で第1の従属局が時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を送信し、複数の領域の先頭の領域を除く領域で第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な情報を送信し、それぞれの領域で従属局が制御局との同期を確立し、通信を開始するために必要な情報が送信され、同一の情報を異なるスロットで送信する場合、前回送信した領域以外の領域で送信するようにしたので、第2の従属局は制御信号を受信するスロットの一部で連続的に受信エラーしても、複数のスロットで送信された情報を受信することにより通信を行なうために必要な情報をすべて受信できるようになり、制御局との同期確立の時間を短縮し、消費電力を低減でき、通信の信頼性を向上することがきる。特に、同一周期で動作する同じTDMA方式の無線機器が周辺で動作している場合、それぞれの機器は非同期で動作するため、機器の通信タイミングが時間と共に変化する。各々の送信タイミングは、徐々に接近し、何れ、一方のスロットの開始部分と他方のスロットの終了部分が重なり、重なり部分での受信エラーが発生することになる。スロットの開始部分は、ビット同期のパターンで構成される同期信号であるため、この部分に干渉が発生し、受信エラーが発生しても、スロット内で受信された他のデータが破棄されることはない。一方、スロットの終了部分は、誤り検出符号であり、この部分で受信エラーが発生した場合、受信エラーとなった誤り検出符号に対応する受信データ領域の受信データを破棄することになる。この現象によって、制御局が送信する制御信号の終了部分の誤り検出符号に無線干渉が発生している状態になった場合、制御局と従属局間の通信ができなくなるという重大な課題を引き起こすことになる。本発明では、このような場合であっても、スロット内を複数に分割して通信を開始するために必要な情報を送信しており、スロットの終了部分に連続的に受信エラーが発生しても、複数に分割された領域の最後の領域で送信された情報のみが破棄されるのみで、複数に分割された領域の最後の領域の受信ができない状態が継続していても、他の領域が受信できれば、制御局と従属局間の通信が可能であり、通信不良によるリトライによる消費電力の増加を低減すると共に通信の信頼性を向上させることができる。又、制御局は、1つのスロットで第1の従属局と第2の従属局の両方の時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を多重化して送信できるので、同期の取り方が異なる従属局を収容した無線通信装置の提供が可能になる。これは、例えば、第1の従属局をコードレス電話の子機、第2の従属局を無線センサとするような構成が可能となり、制御部の無線回路の簡略化による無線通信装置のコスト低減と周波数資源の有効活用が可能となる。
【0029】
本願の第8の発明は、第7の発明において、制御局は、複数の領域の先頭の領域で制御局を識別する情報を送信し、第2の従属局は、複数の領域の先頭の領域で送信される制御局を識別する情報をもとに受信した制御局を選択するように動作することを特徴とした無線通信装置である。
【0030】
第8の発明によれば、制御局が複数の領域の先頭の領域で制御局を識別する情報を送信し、第2の従属局がその情報を元に受信した制御局を選択するように動作するようにしたので、複数の制御局が受信される環境において第2の従属局が制御局との同期を開始する場合、自局の制御局を選択するための制御局選択のための受信期間が短縮され、消費電力が低減される。
【0031】
本願の第9の発明は、第7の発明、または、第8の発明において、制御局の制御手段が、制御信号で報知する第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な複数の特定のデータを複数のスロットの同一の領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0032】
第9の発明によれば、複数のスロットの同一の領域で複数の特定のデータを送信するようにしたので、1つのスロット内の特定の1つの領域のみが受信できる状態が継続できれば必要な情報のすべてを正しく取得できるので、受信エラーが発生する環境において、受信エラーによる通信障害の発生頻度を低減でき通信の信頼性を向上させることができる。
【0033】
本願の第10の発明は、第7の発明、または、第8の発明において、制御局の制御手段が、第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0034】
第10の発明によれば、同一スロット内の複数の領域で同一のデータを送信するようにしたので、スロット内の一部の領域に受信エラーが発生しても、同一のデータを送信する同一スロット内の他の領域を正常に受信できれば、1つのスロットで受信が必要な情報を正しく取得できるので、受信エラーが発生する環境において通信に必要なすべてのデータを取得するまでの時間が短縮され消費電力の増加を低減させることができる。
【0035】
本願の第11の発明は、第10の発明において、制御局の制御手段が、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御する場合、同一のデータを隣接しない領域で送信するように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0036】
第11の発明によれば、同一スロット内で送信する同一の制御データを隣接しない領域で送信するようにしたので、スロット内の連続する領域に受信エラーが発生している場合に、同一スロット内で送信される同一データがすべて受信エラーの発生している領域に重なる確率を小さくすることができるので受信エラーが発生する環境において通信に必要なすべてのデータを取得するまでの時間が短縮され消費電力の増加を低減させることができる。
【0037】
本願の第12の発明は、第7の発明から11の発明のいずれかにおいて、第2の従属局が、予め決められた状態を検知するセンサ手段と前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源供給をオンオフする電源制御手段とを備え、予め決められた状態を検知した際に前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源を供給し前記制御局から送信される制御信号を受信し制御局との時分割多重通信の同期を確立し前記センサ手段で検知された状態を制御局に通知することを特徴とした無線通信装置である。
【0038】
第12の発明によれば、センサ手段で予め決められた状態が検知されたときに無線手段とフレーム処理手段と制御手段に電源を供給し、無線通信を開始するようにしたので、通信が不要な待機時の消費電力を低減させることができる。
【0039】
本願の第13の発明は、第12の発明において、第2の従属局のセンサ手段が制御手段から通知された状態を検知するように動作し、制御手段が、センサ手段で検知された状態を制御局に通知したのち、センサ手段で次に検知する状態をセンサ手段に通知し、無線手段とフレーム処理手段と制御手段への電源供給をオフするよう電源制御手段を制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0040】
第13の発明によれば、センサ手段で検知する状態を制御部より指定可能とし、制御部はセンサ手段で次に検知する状態を前記センサ手段に通知した後に電源オフするので、センサ機能の自由度を大きくすることができ、又、センサ手段で状態を検知するまでの消費電力を低減させることができる。
【0041】
本願の第14の発明は、第12の発明、または、第13の発明において、制御局の制御手段が、第2の従属局より通知されたセンサ手段で検知された状態を、第1の従属局が時分割多重通信の同期を維持するために予め決められた周期で受信している制御信号の送信タイミングで送信される制御信号で報知し、第1の従属局に通知することを特徴とした無線通信装置である。
【0042】
第14の発明によれば、第2の従属局より通知されたセンサ手段で検知された状態を第1の従属局が時分割多重通信の同期を維持するために予め決められた周期で受信している制御信号の送信タイミングで送信される制御信号で報知するようにしたので、センサ手段で検知された状態を待機状態の第1の従属局に通知が可能となり、利便性が向上する。例えば、第1の従属局をコードレス電話の子機、第2の従属局を無線センサとするような構成の場合、容易な制御でコードレス電話の子機に無線センサの状態を通知させることが可能となる。
【0043】
本願の第15の発明は、第7の発明から14の発明のいずれかにおいて、制御局の制御手段が、第2の従属局が未登録の場合、1つのスロットを複数の領域に分割し、前記複数の領域の先頭の領域で第1の従属局が時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を送信し、複数の領域の先頭の領域を除く領域での送信を行なわないように制御することを特徴とした無線通信装置である。
【0044】
第15の発明によれば、第2の従属局が未登録の場合、複数の領域の先頭の領域を除く領域での送信を行なわないようにしたので、制御局での消費電力を削減でき、無駄な無線リソースの消費を抑えることができる。
【0045】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る無線通信装置を、コードレス電話機とドア開閉通知用の無線センサを例に、図面に基づいて説明する。
【0046】
図2は本発明の実施の形態1に係る無線通信装置を示す。図2において無線通信装置10は、電話回線網50と接続された1台の親機20と、3台の電話子機30(A〜C)と、窓の開閉検知等のセンサとしての機能を有するセンサ子機40(A〜C)を備えている。この親機20と電話子機30及びセンサ子機40とは、DECT方式で通信する。DECT方式とは、図1に示したように、10ms周期の1フレームに24スロット(アップリンク用に12スロット、ダウンリンク用に12スロット)を含んで構成されるTDMA/TDD方式で通信される。また、1フレームの中に最低1スロットの制御チャネルスロットが割り当てられている。この制御チャネルも通話チャネルも10msのフレーム周期で送受信される。また、各々の周波数/スロット位置は任意であり、周波数は、全5周波数が使用される。
【0047】
次に、親機20について図3に基づいて説明する。親機20は、DECT方式の無線通信を行う無線部201、制御データや音声データ等の送信データをTDMA通信のためのタイミングに合わせて送信し受信データからTDMA通信のタイミングに合わせてデータを取り出すフレーム処理部202、受信した音声データをアナログの音声信号に変換し、アナログの音声信号を送信用のデジタルの音声データに変換する音声処理部203を備えている。
【0048】
更に、親機20は、制御信号の最初の制御データ領域で送信する制御データの送信順序を管理する第1制御データマルチプレクス部210と、後続の制御データ領域で送信する制御データの送信順序を管理する第2制御データマルチプレクス部211を備えている。
【0049】
更に、親機20は、親機20の制御用のプログラムが入ったROM220と、プログラムを実行するためのRAM221を備えている。また親機20は、電源オフでも内容が消えず、特定の方法で内容を書き換え可能なEEPROM222、動作状態等を表示する表示部223、親機20への動作を指示する入力を行なう操作部224、親機20全体の制御を行なう制御部230を備えている。
【0050】
次に、電話子機30について図4に基づいて説明する。電話子機30は、DECT方式の無線通信を行う無線部301、制御データや音声データ等の送信データをTDMA通信のためのタイミングに合わせて送信し受信データからTDMA通信のタイミングに合わせてデータを取り出すフレーム処理部302、受信した音声データをアナログの音声信号に変換し、アナログの音声信号を送信用のデジタルの音声データに変換する音声処理部303を備えている。
【0051】
更に、電話子機30は、制御信号の最初の制御データ領域で送信する制御データの送信順序を管理する制御データマルチプレクス部310、制御用のプログラムが入ったROM320と、プログラムを実行するためのRAM321を備えている。また電源オフでも内容が消えず、特定の方法で内容を書き換え可能なEEPROM322、動作状態等を表示する表示部223、動作を指示する入力を行なう操作部324、電話子機30全体の制御を行なう制御部330を備えている。尚、電話子機30は、充電可能な電池で駆動されるが、電池や電池からの電力を供給するための機能ブロックについては省略している。
【0052】
次に、センサ子機40について図5に基づいて説明する。センサ子機40は、DECT方式の無線通信を行う無線部401と、制御データやセンサ検知等の送信データをTDMA通信のためのタイミングに合わせて親機20へ送信し、親機20から受信した受信データからTDMA通信のタイミングに合わせてデータを取り出すフレーム処理部402を備えている。更に、センサ子機40は、制御信号の最初の制御データ領域で送信する制御データの送信順序を管理する第1制御データマルチプレクス部410、後続の制御データ領域で送信する制御データの送信順序を管理する第2制御データマルチプレクス部411を備えている。
【0053】
更に、センサ子機40は、制御用のプログラムが入ったROM420と、プログラムを実行するためのRAM421、電源オフでも内容が消えず、特定の方法で内容を書き換え可能なEEPROM422、センサ子機40全体の制御を行なう制御部330を備えている。
【0054】
尚、センサ子機40について、以上で述べた、無線部401、フレーム処理部402、第1制御データマルチプレクス部410、第2制御データマルチプレクス部411、ROM420、RAM421、EEPROM422、制御部330で構成されるブロックを通信ブロック400と呼ぶことにする。
【0055】
又、センサ子機40は、通信ブロック400への電源供給のオンオフを行なうスイッチ440、電源制御の切替信号を生成する電源制御部441、電源オンのタイミングを計測するタイマ部442、窓の開閉を検知し電源オン信号を生成するセンサ部443、電池の電力によってセンサ子機40の各部に電力を供給する電源部444を備える。
【0056】
次に、実施の形態1の無線通信装置10の動作について、説明する。無線通信装置10がアイドル状態の場合、親機20は、図1に示す1フレーム(時間幅:10msec)の中のSlot:1からSlot:12までの制御局の送信用スロットの1つを制御チャネルとして使用し、10msec毎に制御信号の送信を行う。制御信号には呼び出しメッセージのような親機から各電話子機宛に送るべきメッセージが乗せられる。電話子機30はアイドル状態において、制御局が制御信号を送信するスロットにて受信動作を行ない、制御信号によって親機20から電話子機30宛に送られるメッセージを受信する。又、センサ子機40はアイドル状態では無線ブロック400への電源供給がオフされ、フレーム毎に制御信号を受信することは無い。但しセンサ部443はアイドル状態でも動作しており、窓の状態変化を検知すると、電源オン信号を生成する。
【0057】
図6は、親機20に電話子機30のみが登録されている場合の、親機20が、送信する制御信号のフォーマットを示している。又、図7は親機20にセンサ子機40が登録されている場合において、親機20が送信する制御信号のフォーマットを示している。図6及び図7において、同期信号は、ビットタイミングの同期のためのデータとスロット内のビット位置の同期のためのデータで構成される。制御データ1は、第1制御データマルチプレクス部210より出力される制御データであり、誤り検出符号1は、制御データ1の受信誤りを検出するための符号である。親機20に登録されている子機が電話子機30のみであってセンサ子機40が登録されていない場合は、1回の制御信号で送信するデータ量は一つの制御データ1で送信可能な量とし、1回の制御信号で足りない場合は複数回の制御信号を使って送信する。
【0058】
図7において、制御データ2、制御データ3、制御データ4、及び、制御データ5は、第2制御データマルチプレクス部211より出力される制御データであり、誤り検出符号2、誤り検出符号3、誤り検出符号4及び誤り検出符号5は、直前の制御データ2、制御データ3、制御データ4、及び、制御データ5それぞれの受信誤りを検出するための符号である。このように親機20にセンサ子機40が登録されている場合は、図6に示す制御データ1と誤り検出符号1に加えて、上記の制御データ2、制御データ3、制御データ4、制御データ5、およびそれぞれの誤り検出符号を連結したフォーマットを用い、これにより1回の制御信号で送信するデータ量を増やし、出来るだけ1回の制御信号で必要な情報全てを送れるようにする。
【0059】
尚、図6及び図7の制御データ1の領域は、当該Slotで送られるデータのフォーマット識別情報を送受信する領域を含んでいる。制御データ1で送られるフォーマット識別情報とは、例えば当該Slotのデータが、図6、図7、図9のどのフォーマットで構成されているか、または図7のフォーマットで送信している場合に以降の制御データ2、制御データ3、制御データ4、及び、制御データ5の領域にある情報がTDMA通信のための同期や親機の運用状態を示すものであるのか、またはアプリ間のメッセージ通信のためのメッセージ等であるのかを識別する情報である。
【0060】
図8は、親機20に電話子機30のみが登録されている場合に、親機20が図6で示すフォーマットで送信する制御信号の種類と送信順序を示した図である。ここでは、16フレームを1周期として、各種の制御信号を送信するマルチフレーム制御の例を示している。図8に示すよう、親機20は、フレーム番号が16の整数倍のフレームで呼出し情報、発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等のページング関連の情報を通知するPTメッセージ、フレーム番号が16の整数倍+8のフレームでフレーム番号、親機機能、通信周波数、待ち受け周波数等のシステム情報を通知するとともにマルチフレーム制御の基準フレームとして使用されるQTメッセージ、その他のフレーム番号のフレームで親機識別情報である親機IDを通知するNTメッセージを送信する。
【0061】
次に、親機20に電話子機30のみが登録されている場合に制御信号を送信するときの動作について図8および図3を参照しながら説明する。親機20の制御部230は、EEPROM222に登録された子機の情報を記憶している。すなわち親機20は、子機の登録を行なうと、子機を識別するための子機IDとその子機が電話子機30であるか、センサ子機40であるかを識別する子機種別識別情報を合わせて記憶する。制御部230は、登録されている子機が電話子機30のみであった場合、図8で示した制御信号を送信するよう、フレーム処理部202と無線部201を制御する。つまり、制御部230は、Slot:1からSlot:12の1つを制御信号の送信に使うよう選択し、又、予め決められた周波数から1つの周波数を選択し、選択したSlotと周波数で図6に示したフォーマットの制御信号の送信ができるよう無線部201の送信部を制御する(以下、親機20の制御部230が制御信号の送信用に選択したSlotを制御Slotと呼ぶ)。
【0062】
又、制御部230は、第1制御データマルチプレクス部210のNTメッセージバッファにバッファに自己の親機IDを書き込み、PTメッセージバッファには着信等のイベント発生に応じて呼出し情報、発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等の書き込みを行ない、QTメッセージバッファには、16フレーム毎にフレーム番号、親機機能、スロット番号や使用周波数や待ち受け周波数等のシステム情報を通知する制御信号を順に書き込むよう制御を行なう。
【0063】
第1制御データマルチプレクス部210は、フレーム番号が16の整数倍のときPTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202へ出力し、フレーム番号が16の整数倍+8のときQTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202に出力する。またフレーム番号がそれ以外の場合すなわちフレーム番号が16の整数倍で無く且つ16の整数倍+8でも無いときに、第1制御データマルチプレクス部210はNTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202に出力する。
【0064】
フレーム処理部202は、第1制御データマルチプレクス部210から出力されたデータと図6のフォーマットで構成されていることを示すフォーマット識別情報に従って、制御データ1の領域に送信するデータを埋め込んで送信データ列を生成し、さらに制御データ1の領域で送信するデータに応じた誤り検出符号1を生成し、制御Slotのタイミングに合わせて、図6のフォーマットに沿って同期信号、制御データ1、誤り検出符号1の順でデータ列を無線部201に出力する。
【0065】
次に、親機20の受信動作、および親機20と電話子機30との間の音声通信時のデータフォーマットついて説明する。図9は、親機20と電話子機30が音声通話を行なうときのデータフォーマットを示す。図9において、制御データ1の領域には、図9のフォーマットで構成されていることを示すフォーマット識別情報を送る領域と、音声通話起動のための制御メッセージを送る領域が設けられる。この制御メッセージの領域は、通信チャネルの起動のためのMTメッセージ、親機IDを通知するNTメッセージ、ネットワークレイヤ等の上位レイヤのネゴシエーションのメッセージを通知するCTメッセージの通信に使用する。誤り検出符号1は、制御データ1の受信誤りを検出するための誤り検出符号の領域である。
【0066】
図9に示すフォーマットの中の音声データは、例えば、アナログの音声信号をG.726方式で符号化した音声データの領域であり、誤り検出符号6は、音声データの領域の受信誤りを検出するための誤り検出符号の領域である。
【0067】
親機20は、図1に示すSlot:13からSlot:24までの12個のSlotの中の制御Slotから12Slot離れたSlotを除いた11個のSlotで、常時、電話子機30から図9のフォーマットで送信される通話起動要求の無線信号を受信するように動作する。(以下、通話起動要求の待ち受けを行なうSlotを待ち受けSlotと呼ぶ)。例えば制御信号を送るSlotがSlot:1である場合は、そこから12Slot離れたSlot:13を除いて、Slot:14からSlot:24までの11個のSlotで、電話子機30から送信されてくる無線信号を受信する。
【0068】
親機20の制御部230は、待ち受けSlotで受信を行なうために無線部201の受信部の受信周波数を制御する。待ち受けSlotにおける受信周波数は、フレーム毎に制御信号のQTメッセージのシステム情報で報知した使用周波数の周波数番号の小さいほうから順に変更する。尚、QTメッセージのシステム情報で報知する待ち受け周波数は、そのQTメッセージを送信したフレームの待ち受けSlotにおける受信周波数を通知するための情報である。
【0069】
無線部201で受信された受信データは、フレーム処理部202に出力される。フレーム処理部202は、各Slotの受信データより図6に示す制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、誤り検出符号1の領域で受信されたデータを用いて制御データ1の領域のデータが正しいデータであるか否かを判断し、正しいデータであれば、制御データ1の領域のデータを制御部230に通知するように動作する。
【0070】
次に、電話子機30が電源オン後にアイドル状態に遷移するまでの動作について説明する。電話子機30に電源が供給されると、自己の親機である親機20より送信される制御信号を検索する動作(以下、親機検索動作記す)を行なう。そして、親機20より送信される制御信号を検知すると、制御信号のQTメッセージで送信される各種の情報を収集し、これらの情報に基づいて親機とのフレーム、スロットの同期を取り通信可能な状態にするための動作(以下、フレーム・スロット同期動作と記す)を行なう。
【0071】
図10に、電話子機30が親機20とフレーム、スロットの同期を確立するための動作を示す。図10において、同期のための動作が開始されると、親機を見つけるための連続受信、すなわちオープンサーチが起動される。受信データの中から図6に示す同期信号を検出すると、後続の受信データより制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、自己の親機の親機IDを通知するNTメッセージが存在するか否かを判断することにより自己の親機から送信される制御信号を検出する。図10の例は、オープンサーチ起動後最初に受信されたメッセージがPTメッセージであった場合の例を示している。この場合、連続受信を停止し、10msec周期の受信に切替え、10msec後の後続の制御信号を受信する。この10msec後の受信時にNTメッセージを受信し、受信中の信号が自己の親機から送信された制御信号であることを認識すると、親機検索動作から、フレーム・スロット同期動作に移行する。
【0072】
フレーム・スロット同期動作では、10msec周期の受信を継続し、複数のQTメッセージで送信される各種の情報を収集し、必要な情報が揃うと親機との通信が可能なフレーム・スロット同期中の状態になる。その後、160msec周期で送信されるPTメッセージのタイミングに合わせて受信を行なうアイドル状態となる。
【0073】
次に、電話子機30が電源オン後にアイドル状態に遷移するまでの動作について、図4を参照しながら電話子機30の各部の動作について説明する。電源がオンされると制御部330が動作を開始する。制御部330は、所定の周波数で、連続受信動作をするよう無線部301を制御する。無線部301で受信された受信データは、フレーム処理部302に出力される。フレーム処理部302は、受信データより図6に示す同期信号を捜し、後続の制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、誤り検出符号1の領域で受信されたデータを用いて制御データ1の領域のデータが正しいデータであるか否かを判断し、正しいデータであれば、制御データ1の領域のデータを制御部330に通知するように動作する。
【0074】
電話子機30の制御部330は、制御データが通知されると、無線部301の連続受信を停止し10msec周期の受信に切替えるよう制御する。そして、EEPROM322に記憶されている自己の親機IDと受信データを比較し、受信した信号が自己の親機から送信されたデータであるか否かを判断し、親機検索動作からフレーム・スロット同期動作に移行するか否かを決定する。尚、受信したデータがNTメッセージ以外であった場合、制御部330はその後10msec周期の受信で受信されたデータをもとに受信した信号が自己の親機から送信されたデータであるか否かを判断する。
【0075】
そして、制御部330は、受信したデータが自己の親機から送信されたデータであった場合、10msec周期の受信を継続し、フレーム・スロット同期動作に移行する。受信したデータが自己の親機から送信されたデータでなかった場合、オープンサーチを再起動し、次の親機の検索を開始する。尚、オープンサーチの中で1つの周波数で一定時間、または、一定回数親機検索動作を行なったにもかかわらず、自己の親機の制御信号を受信できなかった場合、制御部330は、受信周波数を変更して連続受信動作をするよう無線部301を制御する。
【0076】
電話子機30の制御部330は、フレーム・スロット同期動作に移行した後、QTメッセージのフレーム番号、システム情報を受信することにより、親機20とのフレーム番号、スロット番号の同期を確立し、又、親機の待ち受けSlotの受信周波数の設定順序を認識する。そして制御部330は、制御信号で報知される必要な情報をすべて受信すると、160msec周期で受信を行なうアイドル状態へ移行する制御を開始する。すなわち、フレーム番号が16の倍数で送信されるPTメッセージのタイミングに合わせて無線部301の受信を起動するよう制御を切り替える。
【0077】
次に、親機20と電話子機30の通話の動作を外線着信のイベント発生時の動作を例に説明する。親機20の制御部230は、外線着信のイベントが発生すると、外線着信を通知するPTメッセージ(以下、外線着信メッセージと記す)を第1制御データマルチプレクス部210のPTメッセージバッファに書き込む。この外線着信メッセージは、フレーム番号が16の倍数のタイミングで無線部201に出力され、図6に示す制御データ1の領域に乗せられて制御信号として送信される。
【0078】
一方、電話子機30の無線部301は、アイドル状態でフレーム番号が16の倍数のタイミングで受信を行なっており、親機20から制御信号に乗せて送信された外線着信メッセージが無線部301で受信され、フレーム処理部202に出力される。そして、フレーム処理部202で図6に示す制御データ1の領域より外線着信メッセージが取り出され、制御部330に出力される。
【0079】
電話子機30の制御部330は、外線着信メッセージを受け取ると表示部323でリンガー音を鳴動させてユーザに外線着信を通知する制御を行なう。そして、操作部324でユーザによる着信応答の操作が行なわれると、制御部330は、待ち受けSlotの中からその後の通信で子機から送信するために使う1つのSlotを選択し、またその後の通信に使うための周波数「通信用周波数」を選択する。以下、子機から送信するために選択したSlotを「通信用子機送信Slot」(または、通信用親機受信Slot)と記す。さらに制御部330は、選択した通信用子機送信Slotから12Slot離れたSlotをその後の通信で子機にて受信に使うSlotとして選択する。以下、子機にて受信するために選択したSlotを「通信用子機受信Slot」(または、通信用親機送信Slot)と記す。
【0080】
そして制御部330は、これら通信用子機受信Slotおよび通信用子機送信Slotが干渉無く使えか否かを確認するために、これらSlotにて前記通信用周波数で受信するよう無線部301を設定し、通信用子機送信Slotと通信用子機受信Slotのキャリアセンスを行なう。
【0081】
当該Slotの妨害波の受信レベルがEEPROM322に記憶された閾値以下であった場合、電話子機30の制御部330は当該Slotが使用可能であると判断し、通信チャネルの起動のためのメッセージ(以下、無線リンク確立要求メッセージと記す)を送信する動作に移行する。すなわち、制御部330は、制御データマルチプレクス部310のMTメッセージバッファに無線リンク確立要求メッセージを書き込み、今回の通信用周波数に一致する周波数で親機20が待ち受けるSlotに合わせて、このSlotを使って前記通信用周波数で送信を行なうよう無線部301を制御する。尚、このとき、電話子機30と親機20の通信は前述の通り図9のフォーマットを使用する。フレーム処理部302は、無線リンク確立要求メッセージを含んだMTメッセージを図9に示すフォーマットの制御データ1の領域に乗せ、また音声処理部303から出力される音声データを音声データの領域に乗せ、さらにそれぞれの誤り検知符号を計算して誤り検出符号1の領域に乗せて無線部301へ出力し、無線部301はこれら含む無線信号を送信するよう動作する。
【0082】
電話子機30から送信された無線リンク確立要求メッセージを含んだ無線信号は、親機20の無線部201で受信され、フレーム処理部202に出力され、フレーム処理部202にて無線リンク確立要求メッセージが取り出されて、制御部230に通知される。
【0083】
親機20の制御部230は、無線リンク確立要求メッセージを受信すると、電話子機30から無線リンク確立要求メッセージを受信したSlot(通信用親機受信Slot)と、該当Slotより12Slot離れたSlot(通信用親機送信Slot)から成る上り/下りの2Slotを用いて、無線リンク確立要求メッセージを受信した周波数(通信用周波数)を使って当該子機との音声通信をする制御を開始する。
【0084】
すなわち音声通信の制御において、親機20の制御部230は、無線リンク確立要求メッセージを受信した以降のフレームで通信用周波数を用いて通信用親機送信Slotで送信を行ない、通信用親機受信Slotで受信を行なうよう無線部201を制御し、その時に第1制御データマルチプレクス部210の通信用親機送信Slotに対応したMTメッセージバッファに無線リンク確立応答メッセージを書き込む。この無線リンク確立応答メッセージは、通信用親機送信Slotのタイミングで送信されるようフレーム処理部202に出力され、フレーム処理部202は、無線リンク確立応答メッセージのMTメッセージを制御データ1の領域に乗せて送信し、音声処理部203から出力される音声データを音声データの領域に乗せて送信し、それぞれの誤り検知符号を計算して誤り検出符号の領域に乗せて送信するよう動作する。
【0085】
以上のようにして、電話子機30と親機20間の12Slot離れたSlotでの双方向の無線リンクが確立する。そして、電話子機30は、制御データマルチプレクス部310にネットワークレイヤの起動要求メッセージ(SETUP)のような上位レイヤーメッセージを制御データマルチプレクス部310のCTメッセージバッファに書き込み、親機20は、第1制御データマルチプレクス部210にネットワークレイヤの応答メッセージ(CONNECT)のような上位レイヤーメッセージを制御データマルチプレクス部310のCTメッセージバッファに書き込み、上記MTメッセージの送受信と同様に、CTメッセージを送受信し、上位レイヤのネゴシエーションを行い、呼接続を完了し、通話可能な状態に移行する。
【0086】
次に、親機20にセンサ子機40が登録されている場合の動作について説明する。図11は、親機20にセンサ子機40が登録されている場合に親機20が送信する制御信号の種類と送信順序を示した図である。この場合に親機20が送信する制御信号が図7で示すフォーマットが用いられ、フレームが更新されるに中に乗せられる情報が入れ替えられる。以下、フレーム内の情報の入れ替えについて詳細に説明する。
【0087】
親機20にセンサ子機40が登録されている場合、親機20は、電話子機30のみが登録されている場合の制御信号の送信データに加え、図7で示す制御データ2と誤り検出符号2、制御データ3と誤り検出符号3、制御データ4と誤り検出符号4、及び、制御データ5と誤り検出符号5の4つの制御データと誤り検出符号のペアを送信する。
【0088】
図11に示すように親機20は、制御データ1の領域では、フレーム番号が16の整数倍のフレームにおいて呼出し情報、および発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等のページング関連の情報を通知するPTメッセージを送信する。また制御データ1の領域では親機20は、フレーム番号が16の整数倍+8のフレームにおいてフレーム番号、親機機能、通信周波数、待ち受け周波数等のシステム情報を通知するとともにマルチフレーム制御の基準フレームとして使用されるQTメッセージを送信する。また制御データ1の領域では、その他のフレーム番号のフレームにおいて親機識別情報である親機IDを通知するNTメッセージを送信する。
【0089】
又、親機20は全フレームにおいて、この制御データ1の領域を使ってフォーマット識別情報を送信する。1台でもセンサ子機40が登録されている場合には、フォーマット識別情報によって当該制御信号のメッセージが図7の示すように制御データ1に加えて制御データ2、制御データ3、制御データ4、制御データ5、およびそれぞれの誤り検出符号を連結したフォーマットを用い、これらのデータ領域を使ってTDMA通信のための同期や親機の運用状態を通知する情報等の制御情報を送信していることを示す情報が登録されている全ての子機へ送信される。
【0090】
又、親機20は、制御データ2、制御データ3、制御データ4、及び、制御データ5の領域では、一つのフレーム内で制御チャネル情報と空きチャネル情報を重複してそれぞれ2回、同一データが同じフレーム内で連続しないように交互に送信する。また同一の制御データの領域ではフレーム番号が更新される毎に情報の順序を切り替えながら送信する。すなわち、フレーム番号が偶数のフレームでは、制御チャネル情報、空きチャネル情報、制御チャネル情報、空きチャネル情報の順で送信し、フレーム番号が奇数のフレームでは空きチャネル情報、制御チャネル情報、空きチャネル情報、制御チャネル情報の順で送信する。これにより、たとえ外乱等が発生しても、一つの制御データ領域だけが正常に受信可能であれば、その制御データ領域のデータを複数フレームで受信できれは制御チャネル情報と空きチャネル情報の両方のデータを取得できる。
【0091】
次に、親機20にセンサ子機40が登録されている場合に親機20が制御信号を送信する動作について図3を参照しながら各部の動作について説明する。親機20の制御部230は、EEPROM222に登録された子機の情報を記憶させる。すなわち親機20に子機の登録を行なうと、それが子機を識別するための子機IDとその子機が電話子機30であるか、センサ子機40であるかを識別する子機種別識別情報を合わせてEEPROM222に記憶させる。
【0092】
親機20の制御部230は、登録されている子機にセンサ子機40を含んでいた場合、図11で示した制御信号を送信するようフレーム処理部202と無線部201を制御する。つまり、制御部230はSlot:1からSlot:12の中から1つを選択し、又、予め決められた複数の周波数から1つの周波数を選択し、選択したSlotと周波数で図7に示したフォーマットの制御信号の送信ができるよう無線部201の送信部を制御する。
【0093】
又、制御部230は、第1制御データマルチプレクス部210のNTメッセージバッファにバッファに自己の親機IDを書き込み、PTメッセージバッファには着信等のイベント発生に応じて呼出し情報、発信者番号通知のための着信元の電話番号情報等の書き込みを行ない、QTメッセージバッファには、16フレーム毎にフレーム番号、親機機能、スロット番号や使用周波数や待ち受け周波数等のシステム情報を通知する制御信号を順に書き込むよう制御を行なう。これにより親機20の第1制御データマルチプレクス部210は、フレーム番号が16の整数倍のときPTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202へ出力し、フレーム番号が16の整数倍+8のときQTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202に出力する。またフレーム番号がそれ以外の場合すなわちフレーム番号が16の整数倍で無く且つ16の整数倍+8で無いときに、第1制御データマルチプレクス部210はNTメッセージバッファのデータをフレーム処理部202に出力する。
【0094】
又、制御部230は、第2制御データマルチプレクス部211に運用状況に沿って制御チャネル情報と空きチャネル情報を書き込むよう制御を行なう。これにより第2制御データマルチプレクス部211は、フレーム番号が偶数のフレームでは、制御データ2の送信タイミングに合わせて制御チャネル情報を、制御データ3の送信タイミングに合わせて空きチャネル情報を、制御データ4の送信タイミングに合わせて制御チャネル情報を、制御データ5の送信タイミングに合わせて空きチャネル情報をフレーム処理部202に出力する。また第2制御データマルチプレクス部211は、フレーム番号が奇数のフレームでは、制御データ2の送信タイミングに合わせて空きチャネル情報を、制御データ3の送信タイミングに合わせて制御チャネル情報を、制御データ4の送信タイミングに合わせて空きチャネル情報を、制御データ5の送信タイミングに合わせて制御チャネル情報をフレーム処理部202に出力する。
【0095】
フレーム処理部202は、制御データ2、制御データ3、制御データ4、及び、制御データ5の領域がTDMA通信のための同期や親機の運用状態を通知する情報等の制御情報で構成された図7に示すフォーマットで構成されていることを表すフォーマット識別情報と、第1制御データマルチプレクス部210から出力されたデータで制御データ1の領域で送信するデータ列を生成する。又、フレーム処理部202は、制御データ1の領域で送信するデータに応じた誤り検出符号1を生成し、第2制御データマルチプレクス部221から出力された制御データ2の送信タイミングに合わせて出力された制御データ2で送信するデータに応じた誤り検出符号2を生成し、第2制御データマルチプレクス部221から出力された制御データ3の送信タイミングに合わせて出力された制御データ3で送信するデータに応じた誤り検出符号3を生成し、第2制御データマルチプレクス部221から出力された制御データ4の送信タイミングに合わせて出力された制御データ4で送信するデータに応じた誤り検出符号4を生成し、第2制御データマルチプレクス部221から出力された制御データ5の送信タイミングに合わせて出力された制御データ5で送信するデータに応じた誤り検出符号5を生成する。
【0096】
その上でフレーム処理部202は、制御Slotのタイミングに合わせて、同期信号、制御データ1(フォーマット識別情報と第1制御データマルチプレクス部210から出力されたデータ)、誤り検出符号1、制御データ2(第2制御データマルチプレクス部211から出力されたデータ)、誤り検出符号2、制御データ3(第2制御データマルチプレクス部211から出力されたデータ)、誤り検出符号3、制御データ4(第2制御データマルチプレクス部211から出力されたデータ)、誤り検出符号4、制御データ5(第2制御データマルチプレクス部211から出力されたデータ)、誤り検出符号5の順でデータ列を無線部201へ出力する。そして、無線部201で所定の周波数の無線信号に変換され、制御信号として送信される。
【0097】
次に、センサ子機40が登録された場合の親機20の受信動作について説明する。先ず、センサ子機40と親機20間のメッセージ通信の方式について、説明する。センサ子機40と親機20間のメッセージ送信は、2つの方式が可能である。1つは、電話子機30と親機20の双方向通信時と同様に、図9で示すフォーマットのデータを用いて、双方向の無線リンクを確立し、ネットワークレイヤ等の上位レイヤのネゴシエーションを行い、センサの状態等を通知するアプリ層のメッセージ通信を行なう方式である(以下、この方式をコネクションメッセージ通信方式と呼ぶ)。センサ子機40と親機20間でコネクションメッセージ通信方式でアプリ層のメッセージの送受信を行なう場合、センサ子機40が親機20へ音声データを送ることはないので図9の音声データ領域は無視され、アプリ層のメッセージは、CTメッセージの1つとして、制御データ1の領域で送受信される。又、このようなコネクションメッセージ通信方式でアプリ層のメッセージの送受信を行なう場合、音声データ領域の送受信を停止して図6のフォーマットを利用して、同期信号、制御データ1、誤り検出符号1のみを送受信してCTメッセージの1つとしてアプリ層のメッセージの送受信を行なうことも可能である。
【0098】
センサ子機40と親機20間のメッセージ送信のもう1つの方式は、図7で示すフォーマットのデータを用いて、ネットワークレイヤ等の上位レイヤのネゴシエーション無しに、センサの状態等を通知するアプリ層のメッセージ通信を行なう方式である(以下、この方式をコネクションレスメッセージ通信方式と呼ぶ)。このようなコネクションレスメッセージ通信方式は、エラー等が無ければ1つのSlotのみによりデータの送信を完結させる。この場合、制御データ1の領域では、該当Slotが図7で示すフォーマットのデータを用いてアプリ間のメッセージ通信のためのメッセージ等を送信していることを示すフォーマット識別情報とNTメッセージによる親機識別符号を送信する。そして、子機識別符号、このメッセージがコネクションレスメッセージであることを示すメッセージ識別子、メッセージ本体等のデータ列をデータ2、制御データ3、制御データ4、制御データ5の領域に分割して送信する。
【0099】
次に、親機20が、センサ子機40からの通信を受信するSlotについて説明する。
親機20は、コネクションメッセージ通信方式とコネクションレスメッセージ通信方式の両方の通信を同時に待ち受けるため、Slot:13からSlot:24の12個すべてのSlotを常時受信状態にし、センサ子機40からの受信を行なう。このとき、制御Slotから12Slot離れたSlotは、制御信号の送信周波数に等しい周波数で受信を行う。又、その他の11個のSlotでは、QTメッセージのシステム情報で報知した待ち受けSlotにおける受信周波数制御に沿った受信周波数で受信を行い、センサ子機40と電話子機30からの通信の待ち受けを行なう。
【0100】
次に、図3を参照して親機20のSlot:13からSlot:24における各ブロック動作について説明する。親機20の制御部230は、制御Slotから12Slot離れたSlotは、制御信号の送信周波数に等しい周波数で受信を行い、その他のSlotでは、QTメッセージのシステム情報で報知した待ち受けSlotにおける受信周波数制御に沿った受信周波数で受信を行なうよう無線部201の受信部を制御する。無線部201で受信された受信データは、フレーム処理部202に出力される。
【0101】
フレーム処理部202は、各Slotの受信データより制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、誤り検出符号1の領域で受信されたデータを用いて制御データ1の領域のデータが正しいデータであるか否かを判断する。そして制御データ1の領域で送られたフォーマット識別情報により、受信信号が図7で示すフォーマットで構成されていることが示されている場合、誤り検出符号2の領域で受信されたデータを用いて制御データ2の領域のデータを、誤り検出符号3の領域で受信されたデータを用いて制御データ3の領域のデータを、誤り検出符号4の領域で受信されたデータを用いて制御データ4の領域のデータを、誤り検出符号5の領域で受信されたデータを用いて制御データ5の領域のデータを正しく受信されているかを判断し、正しく受信された制御領域のデータを制御部230に通知するように動作する。制御データ領域のデータを受け取った制御部230は、データを解析し、受信したデータに応じた制御を開始する。
【0102】
次に、図5を参照してセンサ子機40の動作について説明する。センサ子機40は、通常状態で、スイッチ440がオフ状態となり、通信ブロック400には、電源が供給されない状態になっている。この状態より、窓が閉じた状態から窓が開いた状態に、あるいは、窓が開いた状態から閉じた状態に変化すると、その変化をセンサ部443が検知し、センサ部443は、電源オン信号を電源制御部441に出力する。電源制御部441は、電源オン信号が入力されるとスイッチ440へオンにするための切替信号を出力する。これによりスイッチ440はオン状態へ切り替わり、スイッチ440を経由して通信ブロック400に電源が供給される。
【0103】
通信ブロック400に電源が供給されると制御部430が動作を開始し、ROM420に書き込まれているプログラムに沿った制御を開始する。即ち、制御部430は、センサ部443より窓の状態を読み込み、読み込んだ窓の状態を無線信号で親機20に通知する動作を行なう。
【0104】
次に、センサ子機40が窓の状態を親機20へ通知する動作について説明する。先ず、センサ子機40が親機20からの制御信号を受信して同期を確立するまでの動作を説明する。窓の状態を読み込んだ制御部430は親機検索動作を開始し、所定の周波数で、連続受信動作をするよう無線部401を制御する。無線部401で受信された受信データは、フレーム処理部402に出力される。それが親機20からの制御信号であるなら図7に示す同期信号、それに次いで制御データを含んでいるはずである。フレーム処理部402は、受信データより図7に示す同期信号を捜し、後続の制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、誤り検出符号1の領域で受信されたデータを用いて制御データ1の領域のデータが正しいデータであるか否かを判断し、正しいデータであれば、制御データ1の領域のデータを制御部430に通知するように動作する。
【0105】
制御部430は、制御データが通知されると、無線部401の連続受信を停止し、10msec周期で信号の受信を行う同期受信動作に切替えるよう制御する。受信した制御データが親機IDを通知するNTメッセージを含むものである場合、制御部430は、EEPROM422に記憶されている自己の親機IDと受信データを比較し、受信した信号が自己の親機から送信されたデータであるか否かを判断し、親機検索動作からフレーム・スロット同期動作に移行するか否かを決定する。尚、最初に受信したデータがNTメッセージ以外であった場合、制御部430はその後10msec周期の受信動作で受信されたデータをもとに受信した信号が自己の親機から送信されたデータであるか否かを判断する。
【0106】
そして、制御部430は、受信したデータが自己の親機から送信されたデータであった場合、10msec周期の受信を継続し、フレーム・スロット同期動作に移行する。また制御部430は、受信したデータが自己の親機から送信されたデータでなかった場合、オープンサーチを再起動し、次の親機の検索を開始する。尚、1つの周波数で一定時間、または、一定回数親機検索動作を行なったにもかかわらず、自己の親機の制御信号を受信できなかった場合、制御部430は、受信周波数を変更して連続受信動作をするよう無線部401を制御する。
【0107】
制御部430は、フレーム・スロット同期動作に移行すると、その後の制御データ1の領域に乗せられたQTメッセージのフレーム番号およびシステム情報を読み出し、これら情報に基づいて親機20とのフレーム番号およびスロット番号の同期を確立する動作を行い、また制御データ2、制御データ3、制御データ4又は制御データ5の領域で受信される制御チャネル情報および空きチャネル情報に基づいて、親機20とのフレーム番号、スロット番号の同期を確立する動作を平行して行なう。即ち、制御データ1の領域で自己の親機の親機IDを受信したSlotのデータに受信エラーが発生しなかった場合、該当Slotの制御データ2と制御データ3の領域で受信した制御チャネル情報と空きチャネル情報でフレーム番号、スロット番号の同期を確立する。
【0108】
尚、通信環境が悪く、1回のSlotで同期信号の全制御データが正常に受信できない場合、10msecおきに複数フレームで同期信号を受信することにより同期を確立できる場合がある。例えば最初の同期信号で制御データ1、制御データ2は正しく受信でき、制御データ3、制御データ4、制御データ5が正しく受信できない環境では、最初の同期信号の制御データ1の領域で自己の親機の親機IDおよび制御データ2の領域で制御チャネル情報または空きチャネル情報の一方を受信し、その次のフレームで受信したSlotの制御データ2の領域で制御チャネル情報または空きチャネル情報の他方を受信することで、フレーム番号およびスロット番号の同期を確立する。又、制御データ2、制御データ3、制御データ4、制御データ5が正しく受信できない環境では、電話子機30と同様に制御データ1の領域で、16フレームに1回の頻度で送られてくるQTメッセージより必要な情報を収集し、フレーム番号、スロット番号の同期を確立する。
【0109】
図12及び図13に親機検索動作からフレーム番号、スロット番号の同期を確立するまでの動作の例を示す。図12の例は、制御データ1の領域で自己の親機の親機IDを受信したSlotのデータに受信エラーが発生しなかった場合の例である。図13の例は、制御データ3、制御データ4、制御データ5が正しく受信できず、制御データ1の領域で自己の親機の親機IDを受信したSlotとその次のフレームで受信したSlotの制御データ2の領域の受信データをもとに同期を確立した例を示している。尚、制御データ2、制御データ3、制御データ4、制御データ5が正しく受信できず、制御データ1の領域で受信したデータのみで同期を確立する動作は、図10で示した電話子機30の同期確立の動作例におけるフレーム・スロット同期動作の完了までの動作と同様の動作となる。
【0110】
次に、センサ子機40の同期確立後の動作について説明する。同期が完了すると、センサ子機40の制御部430は各フレームで制御信号が受信できたSlotの受信を継続しながら、制御信号のSlotから12Slot離れたSlotにおいて制御信号を受信した周波数と同じ周波数で受信するよう無線部401を制御し、妨害波レベルの測定(即ち、キャリアセンス)を行う。センサ子機40はコネクションレスメッセージ通信方式で親機20へデータを送る場合、制御信号のSlotから12Slot離れたSlotでデータを送信する。以下、このSlotをアップリンクコネクションレスデータ送信Slotと呼ぶ。連続する2フレームでアップリンクコネクションレスデータ送信Slotの受信を行ない、アップリンクコネクションレスデータ送信Slotの妨害波レベルを測定し、妨害波レベルが規定値以下であった場合、コネクションレスメッセージ通信方式で窓の状態を親機20に通知する動作に移行する。
【0111】
次に、センサ子機40がコネクションレスメッセージ通信方式で窓の状態を親機20に通知する動作について説明する。センサ子機40の制御部430は、アップリンクコネクションレスデータ送信Slotを使って制御信号を受信した周波数と等しい周波数で窓の状態を通知するメッセージの送信を行なうように設定する。図14に、コネクションレスメッセージ通信方式でメッセージの通信を行なう場合の信号フォーマットを示す。コネクションレスメッセージ通信方式の信号は図7で示した制御信号のフォーマットに近い構成を持っており、制御データ1の後に他の制御データを連結している。図14では、メッセージ送信の領域をCLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4と記述している。誤り検出符号2は、CLMS1の誤りを検出するための符号、誤り検出符号3は、CLMS2の誤りを検出するための符号、誤り検出符号4は、CLMS3の誤りを検出するための符号、誤り検出符号5は、CLMS4の誤りを検出するための符号である。同期信号、制御データ1および誤り検出符号1は図7の制御信号のフォーマットと同じである。
【0112】
窓の状態通知するためのメッセージは、CLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4の領域に分割して送られる。コネクションメッセージ通信方式で窓の状態を通知するため、センサ子機40の制御部430は、第1制御データマルチプレクス部410のNTメッセージバッファに親機IDを設定し、第2制御データマルチプレクス部410のCLMS情報に子機識別符号、このメッセージがコネクションレスメッセージであることを示すメッセージ識別子、窓の状態を通知するメッセージで構成されたCLMSメッセージを設定する。第1制御データマルチプレクス部410は、NTメッセージバッファのデータをアップリンクコネクションレスデータ送信Slotの制御データ1の送信タイミングに合わせてフレーム処理部202に出力する。第2制御データマルチプレクス部411は、CLMSメッセージを分割し、アップリンクコネクションレスデータ送信SlotのCLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4の送信タイミングに合わせて分割したCLMSメッセージをフレーム処理部402に出力する。
【0113】
フレーム処理部402は、本データ列がCLMSメッセージを送るための図14に示すフォーマットで構成されていることを表すフォーマット識別情報と第1制御データマルチプレクス部410から出力されたデータで制御データ1の領域で送信するデータ列を生成し、又、制御データ1の領域で送信するデータに応じた誤り検出符号1を生成する。またフレーム処理部402は、第2制御データマルチプレクス部411から出力されたCLMS1の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS1で送信するデータに応じた誤り検出符号2を生成し、第2制御データマルチプレクス部411から出力されたCLMS2の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS2で送信するデータに応じた誤り検出符号3を生成し、第2制御データマルチプレクス部411から出力されたCLMS3の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS3で送信するデータに応じた誤り検出符号4を生成し、第2制御データマルチプレクス部411から出力されたCLMS4の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS4で送信するデータに応じた誤り検出符号5を生成する。
【0114】
そしてフレーム処理部402は、アップリンクコネクションレスデータ送信Slotのタイミングに合わせて、同期信号、制御データ1(フォーマット識別情報と第1制御データマルチプレクス部410から出力されたデータ)、誤り検出符号1、CLMS1、誤り検出符号2、CLMS2、誤り検出符号3、CLMS3、誤り検出符号4、CLMS4、誤り検出符号5の順でデータ列を無線部401に出力する。無線部401に出力されたデータ列は、アップリンクコネクションレスデータ送信Slotで制御信号の受信周波数に等しい周波数の無線信号に変換され、送信される。
【0115】
CLMSメッセージの送信を完了すると、次フレーム以降、センサ子機40の制御部430は制御信号を受信しているSlotのみが受信状態を継続するよう無線部430を制御する。そして送信先の親機20から窓状態の情報を含むCLMSメッセージを受信したことを示す受信応答を受信すると、窓状態の情報が正常に親機20へ届いたものと認識して電源オフ信号を電源制御部441に出力する。その際制御部430は、次に窓の状態が前回通知した状態から変化したときに電源オン信号を電源制御部441に出力するようセンサ部443の検知条件を設定し、その上で電源オフ信号を出力する。電源制御部441は、電源オフ信号が入力されると、スイッチ440がオフとなる切替信号を出力し、その切替信号に応じてスイッチ440は、通信ブロック400への電源が供給を遮断し、センサ子機30は通常状態に戻る。
【0116】
次に、親機20がセンサ子機40より、窓状態を通知するCLMSメッセージを受信する動作について説明する。センサ子機40から送信されたCLMSメッセージを含んだ無線信号は、親機20の無線部201で受信され、フレーム処理部202に出力される。フレーム処理部202は、この無線信号より制御データ1と誤り検出符号1の領域のデータ列を取り出し、誤り検出符号1の領域で受信されたデータを用いて制御データ1の領域のデータが正しいデータであるか否かを判断する。そして、フォーマット識別情報で、受信信号が図14で示すフォーマットで構成されていることが示されている場合、フレーム処理部202は、誤り検出符号2の領域で受信されたデータを用いてCLMS1の領域のデータを、誤り検出符号3の領域で受信されたデータを用いてCLMS2の領域のデータを、誤り検出符号4の領域で受信されたデータを用いてCLMS3の領域のデータを、誤り検出符号5の領域で受信されたデータを用いてCLMS4の領域のデータを正しく受信されているかを判断する。そして、フレーム処理部202は、CLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4の領域で受信されたデータがすべて正しく受信されていた場合、CLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4の領域で受信されたデータを結合し、1つのCLMSメッセージとして制御データ1の領域で受信されたデータと共に制御部230に通知するように動作する。
【0117】
制御データ1の領域の受信データとCLMSメッセージを受け取った制御部230は、制御データ1の領域で受信されたデータが自己のIDと同じ親機識別情報のNTメッセージであった場合、CLMSメッセージが自分宛であると判断し、CLMSメッセージで通知された情報に応じた動作を開始し、制御データ1の領域で受信されたデータが自己のIDと同じ親機識別情報のNTメッセージ以外であった場合、CLMSメッセージを破棄する。又、制御部230は、CLMSメッセージに含まれる子機識別符号より登録されたセンサ子機であるか否かを判断し、未登録の子機からのCLMSメッセージであれば、CLMSメッセージを破棄する。
【0118】
制御部230は、登録されたセンサ子機からの自己宛の窓の状態を通知するCLMSメッセージを受け取ると、対応したセンサ子機の窓の状態を表示部223に表示する。尚、窓の状態の表示は、LCDへの表示やリンガー等の音による表示であり、窓が開いたとき、警告音で通知するよう設定されていた場合、窓が開いたことが通知されると、リンガーを鳴動させ、窓が開いたことを周囲に通知し、操作部224からの指示でリンガーを停止するように動作させる。
【0119】
次に、親機20がセンサ子機40より窓の情報を含むCLMSメッセージを受信した際、親機20からセンサ子機40へ窓の情報を含むCLMSメッセージを正常に受信したことを示す受信応答を通知する動作について説明する。窓状態を通知するCLMSメッセージを受信したことを通知するメッセージ(以下、受信応答と記す)は、図14のフォーマットを用い、制御信号を送信しているSlotで制御信号と同じ周波数で子機に送信される。即ち、制御部230は、制御データ1の領域で親機識別符号を送信するフレームの制御Slotのタイミングに合わせ、第2制御データマルチプレクス部211のCLMS情報に送信先のセンサ子機40の子機識別符号、このメッセージがコネクションレスメッセージであることを示すメッセージ識別子、受信応答を通知するメッセージで構成されたCLMSメッセージを設定する。第2制御データマルチプレクス部211は、CLMSメッセージを分割し、制御信号のこれらCLMS1、CLMS2、CLMS3、CLMS4の送信タイミングに合わせて分割したCLMSメッセージをフレーム処理部402に出力する。
【0120】
フレーム処理部202は、本データ列がCLMSメッセージを送るための図14に示すフォーマットで構成されていることを表すフォーマット識別情報と第1制御データマルチプレクス部210から出力されたデータ(親機識別情報)を制御データ1の領域に乗せてデータ列を生成し、さらに制御データ1の領域で送信するデータに応じた誤り検出符号1を生成する。またフレーム処理部202は、第2制御データマルチプレクス部211から出力されたCLMS1の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS1で送信するデータに応じた誤り検出符号2を生成し、第2制御データマルチプレクス部211から出力されたCLMS2の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS2で送信するデータに応じた誤り検出符号3を生成し、第2制御データマルチプレクス部211から出力されたCLMS3の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS3で送信するデータに応じた誤り検出符号4を生成し、第2制御データマルチプレクス部211から出力されたCLMS4の送信タイミングに合わせて出力されたCLMS4で送信するデータに応じた誤り検出符号5を生成する。
【0121】
そしてフレーム処理部202は、制御Slotのタイミングに合わせて、同期信号、前述の制御データ1(フォーマット識別情報と第1制御データマルチプレクス部210から出力された親機識別情報)、誤り検出符号1、CLMS1、誤り検出符号2、CLMS2、誤り検出符号3、CLMS3、誤り検出符号4、CLMS4、誤り検出符号5の順でデータ列を無線部201に出力する。無線部401に出力されたデータ列は、制御Slotで制御信号用の周波数の無線信号に変換され、送信される。CLMSメッセージの送信を完了すると、制御部230は、次フレーム以降の制御Slotで、図11に示した制御信号を送信する状態に戻るよう制御を行なう。
【0122】
図15は、上述したセンサ子機40が窓の状態が変化したことを検出し、無線ブロック400に電源が供給され、Slot:1で制御信号を送信する親機20との同期を確立し、親機20にCLMSメッセージで窓の状態を通知し、無線ブロック400の電源が遮断されるまでの動作の例を示す。図15の例では、センサ子機40は、フレーム1以前のある時点で窓の状態が変化し、通信ブロック400に電源が供給され、同期のための動作が開始され、連続受信(オープンサーチ)が起動される。受信データの中から同期信号を検出すると、後続のデータにより親機識別情報等を取得して真に親機からの制御信号かどうかを確認し、登録された親機からの制御信号である場合に同期を確立する。図15の例ではフレーム2のSlot:1で親機の制御信号と同期が確立している。
【0123】
そしてセンサ子機40は、制御信号を受信したSlotからフレーム内に収容されるSlot数の半分のSlot数分の12Slot離れたSlot:13を、CLMSメッセージの送信を行なうSlotとして選定する。そしてフレーム2とフレーム3のSlot:13とで妨害波の有無を確認するキャリアセンスを行い、フレーム4のSlot:13で、窓の状態を通知するCLMSメッセージの送信を行なう。尚、センサ子機40は、CLMSメッセージの送信後、所定の時間内に受信応答を受信できなかった場合、予め決められた回数だけ、CLMSメッセージの送信を繰り返す。
【0124】
又、予め決められた回数のCLMSメッセージの送信でも親機からの受信応答が受信できなかった場合、このアップリンクコネクションレスデータ送信Slotの妨害波レベルが高い可能性があるので、以降は電話子機30と親機20の双方向通信時と同様に双方向の無線リンクを確立し、ネットワークレイヤ等の上位レイヤのネゴシエーションを行なうことにより、センサの状態を通知するアプリ層のメッセージ通信を行なうコネクションメッセージ通信方式で親機20に窓の状態を通知する。
【0125】
又、コネクションメッセージ通信方式を用いても親機20に窓の状態を通知することができなかった場合、制御部430は、予め決められた時間経過後に電源制御部441に電源オン信号を出力するようタイマ部442に時間情報を設定し、その上で電源オフ信号を電源制御部441に出力する。電源制御部441は電源オフ信号が入力されると、スイッチ440がオフとなる切替信号を出力し、スイッチ440は通信ブロック400への電源が供給を遮断し、センサ子機40は通常状態に戻る。センサ子機40のタイマ部442は電池によって常時駆動されており、前述の予め決められた時間が経過後、タイマ部442より電源オン信号が電源制御部441に出力され、無線ブロックに電源が供給され、制御部430は再度、窓の状態を親機20に通知する動作を開始する。
【0126】
次に、親機20が電話子機30へ、センサ子機40から送られた窓状態を含むCLMSメッセージを受信したことを通知する動作について説明する。親機20が電話子機30への通知は、外線着信メッセージの通知と同様に、制御Slotで送信される制御信号のPTメッセージを用いる。即ち、親機20の制御部230は、センサ子機40から窓状態を通知するCLMSメッセージを受信すると、センサ子機40の窓状態を通知する通知するPTメッセージ(以下、窓状態通知メッセージと記す)を第1制御データマルチプレクス部210のPTメッセージバッファに書き込む。この窓状態通知メッセージは、フレーム番号が16の倍数のタイミングで無線部201に出力され、送信される。
【0127】
一方、電話子機30は、アイドル状態でフレーム番号が16の倍数のタイミングで受信を行なっており、外線着信メッセージと同様に窓状態通知メッセージが無線部301で受信され、フレーム処理部202に出力される。そして、フレーム処理部202で図6に示す制御データ1の領域で受信されたデータ、すなわち、窓状態通知メッセージが取り出され、制御部330に出力される。制御部330は、窓状態通知メッセージを受け取るとリンガー音を鳴動させるなどして窓の情愛の変化を表示するよう表示部323を制御する。
【0128】
尚、窓状態通知メッセージは、PTメッセージとして制御信号の一部で送信しているため、受信応答の受信を待つセンサ子機40も受信することが可能である。センサ子機40は、受信応答を受信する前に窓状態通知メッセージを受信した場合、受信応答を受信した場合と同様に、通信ブロック400への電源が供給を遮断し、通常状態に戻るようにし御することも可能である。
【0129】
以上では、本発明の実施の形態としてコードレス電話機とドア開閉通知用のセンサを例に説明したが、本発明はこれに限らず、制御局に従属して動作する各種通報装置、非常ボタン、ナースコール、各種電気機器の動作状態や消費電力をモニタする装置(例えばスマートグリッドまたはエネルギーマネジメントシステム)など、各種イベントを無線通信によって制御局に通知するような装置に応用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、無線センサに応用可能な無線通信システムに有用であり、消費電力を小さくし、無線干渉による妨害に強い装置を実現できる。
【符号の説明】
【0131】
10 無線通信装置
20 親機
30 電話子機
40 センサ子機
201 無線部
202 フレーム処理部
203 音声処理部
210 第1制御データマルチプレクス部
211 第2制御データマルチプレクス部
220 ROM
221 RAM
222 EEPROM
223 表示部
224 操作部
230 制御部
301 無線部
302 フレーム処理部
303 音声処理部
310 制御データマルチプレクス部
320 ROM
321 RAM
322 EEPROM
323 表示部
324 操作部
330 制御部
400 通信ブロック
401 無線部
402 フレーム処理部
410 第1制御データマルチプレクス部
411 第2制御データマルチプレクス部
420 ROM
421 RAM
422 EEPROM
430 制御部
440 スイッチ
441 電源制御部
442 タイマ部
443 センサ部
444 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重通信を行なう制御局と従属局で構成され、前記従属局は、前記制御局が送信する制御信号を受信し、制御信号の受信タイミングと制御信号で報知される制御データに基づいて制御局との時分割多重通信を行なう無線通信システムであって、前記制御局は、無線通信を行なう無線手段と、予め決められたフォーマットで送信データ列を構築するフレーム処理手段と、1つのスロットを複数の領域に分割しそれぞれの領域で前記従属局が通信を行なうために必要な情報を送信し、異なるスロットで同一の情報を送信する場合、前記同一の情報を送信するスロット内の領域を前回送信したスロット内での領域と異なる領域で送信するように制御する制御手段を備え、
前記従属局は、無線通信を行なう無線手段と、受信データ列から同一スロット内で送られてくる複数の情報をそれぞれ独立して取り出すフレーム処理手段と、同一スロット内の複数の領域で送られてくる情報をもとに前記制御局との通信を行なうよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記制御局の制御手段は、制御信号で報知する制御データのうち予め決められた複数の特定のデータを複数のスロットの同一の領域で送信するように制御することを特徴とした請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御局の制御手段は、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御することを特徴とした請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記制御局の制御手段は、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御する場合、同一のデータを隣接しない領域で送信するように制御することを特徴とした請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記従属局は、予め決められた状態を検知するセンサ手段と前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源供給をオンオフする電源制御手段とを備え、予め決められた状態を検知した際に前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源を供給し前記制御局から送信される制御信号を受信し制御局との時分割多重通信の同期を確立し前記センサ手段で検知された状態を制御局に通知することを特徴とした請求項1から4のいずれかの項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記従属局のセンサ手段は制御手段から通知された状態を検知するように動作し、前記制御手段は、前記センサ手段で検知された状態を制御局に通知したのち、前記センサ手段で次に検知する状態を前記センサ手段に通知し、前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源供給をオフするよう電源制御手段を制御することを特徴とした請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
時分割多重通信を行なう制御局と第1の従属局と第2の従属局で構成され、前記第1の従属局と前記第2の従属局は、前記制御局が送信する制御信号を受信し、制御信号の受信タイミングと制御信号で報知される制御データに基づいて制御局との時分割多重通信を行ない、前記第1の従属局は、前記制御局への送信が不要な期間は前記制御局の送信する制御信号を予め決められた周期で受信することにより前記制御局との時分割多重通信の同期を維持するように動作し、前記第2の従属局は、前記制御局への送信が不要な期間は前記制御局が送信する制御信号の受信を停止するように動作する無線通信システムであって、
前記制御局は、無線通信を行なう無線手段と、予め決められたフォーマットで送信データ列を構築するフレーム処理手段と、1つのスロットを複数の領域に分割し、前記複数の領域の先頭の領域で前記第1の従属局が時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を送信し、前記複数の領域の先頭の領域を除く領域で前記第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な情報を送信し、
異なるスロットで前記第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な同一の情報を送信する場合、
前記同一の情報を送信するスロット内の領域を前回送信したスロット内での領域と異なる領域で送信するように制御する制御手段を備え、
前記第2従属局は、無線通信を行なう無線手段と、受信データ列から同一スロット内で送られてくる複数の情報をそれぞれ独立して取り出すフレーム処理手段と、同一スロット内の複数の領域で送られてくる情報をもとに前記制御局との通信を行なうよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
前記制御局は、前記複数の領域の先頭の領域で制御局を識別する情報を送信し、前記第2の従属局は、前記複数の領域の先頭の領域で送信される制御局を識別する情報をもとに受信した制御局を選択するように動作することを特徴とした請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記制御局の制御手段は、制御信号で報知する第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な複数の特定のデータを複数のスロットの同一の領域で送信するように制御することを特徴とした請求項7又は請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記制御局の制御手段は、第2の従属局が時分割多重通信の同期をとり制御局との通信を行なうために必要な同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御することを特徴とした請求項7又は請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記制御局の制御手段は、同一の制御データを同一のスロット内の複数の領域で送信するように制御する場合、同一のデータを隣接しない領域で送信するように制御することを特徴とした請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第2の従属局は、予め決められた状態を検知するセンサ手段と前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源供給をオンオフする電源制御手段とを備え、予め決められた状態を検知した際に前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源を供給し前記制御局から送信される制御信号を受信し制御局との時分割多重通信の同期を確立し前記センサ手段で検知された状態を制御局に通知することを特徴とした請求項7から11のいずれかの項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第2の従属局のセンサ手段は制御手段から通知された状態を検知するように動作し、前記制御手段は、前記センサ手段で検知された状態を制御局に通知したのち、前記センサ手段で次に検知する状態を前記センサ手段に通知し、前記無線手段と前記フレーム処理手段と前記制御手段への電源供給をオフするよう電源制御手段を制御することを特徴とした請求項12に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記制御局の制御手段は、前記第2の従属局より通知されたセンサ手段で検知された状態を、前記第1の従属局が時分割多重通信の同期を維持するために予め決められた周期で受信している制御信号の送信タイミングで送信される制御信号で報知し、前記第1の従属局に通知することを特徴とした請求項12又は請求項13に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記制御局の制御手段は、前記第2の従属局が未登録の場合、1つのスロットを複数の領域に分割し、前記複数の領域の先頭の領域で前記第1の従属局が時分割多重通信の同期をとり同期を維持するための情報を送信し、前記複数の領域の先頭の領域を除く領域での送信を行なわないように制御することを特徴とした請求項7から14のいずれかの項に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−98885(P2013−98885A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241902(P2011−241902)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】