説明

無線通信装置

【課題】再生音の音質劣化や通話品質の劣化等を招くことなく、異なる無線通信ネットワークへのハンドオーバが可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】第1無線通信ネットワーク15及び第2無線通信ネットワーク16に接続して無線通信を実行する無線通信部(31,32,34)と、リアルタイム通信系のアプリケーション(アプリ)の実行部33と、アプリのパケットのジッタを吸収するためのジッタバッファ47と、第1無線通信ネットワーク15における無線リンクの通信品質を取得する通信品質取得部35と、取得した通信品質に基づいて第1無線通信ネットワーク15から第2無線通信ネットワーク16へのハンドオーバを開始するハンドオーバ制御部36と、ハンドオーバが完了してから受信されるパケットの受信間隔が所定値以上になると、ジッタバッファ47のパケット蓄積量に基づいて、アプリの再生速度を制御する制御部33と、を備える。
これらの取得情報に基づいて、実行中のアプリケーションの再生速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる無線通信ネットワーク間でのハンドオーバが可能な無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IETF(Internet Engineering Task Force)では、ユビキタス環境の実現に向けて、例えば携帯電話ネットワークや無線LAN等、異なる複数の無線通信ネットワーク間でのハンドオーバを可能として、シームレスな移動を行うIPモビリティ技術が検討されている。このIPモビリティ技術における具体的なプロトコルとしては、通信端末個々の移動をサポートするモバイルIPv4およびモバイルIPv6(以下、これらを総称してモバイルIPと略称する)があり、ネットワーク単位での移動をサポートするNEMO(Network Mobility)がある。
【0003】
ところで、無線通信ネットワークを介して、VoIPなどのリアルタイム性を有するアプリケーション(以下、適宜、アプリと略称する)を実行する場合、無線通信経路の許容帯域は、フェージング等の伝搬環境に依存して変化し、その許容帯域の変化に応じて通信端末が受信するパケットの到着間隔も変化する。
【0004】
このため、一般には、通信端末にジッタバッファを設けて、受信したパケットを一旦、ジッタバッファに溜め込み、その後、アプリに応じた間隔でジッタバッファからパケットを読み出して再生することにより、パケットの揺らぎ、すなわち到着間隔のずれ(ジッタ)によるパケットの再生間隔のずれを吸収して、再生音質等の再生品質の低下を防止するようにしている。また、ジッタが大きく、ジッタバッファ内のパケットがなくなって無音等が発生してしまう場合や、短時間で大量にパケットを受信して、パケットがジッタバッファに入りきらない場合などは、再生速度を変えたり、受信したパケットを破棄したり、ジッタバッファのバッファサイズ(遅延時間)を変更したり、している。
【0005】
一方、通信端末が受信するパケットの下り絶対遅延時間、すなわち、相手通信端末から送信されたパケットが、無線通信ネットワークを介して受信されるまでに要する時間は、無線通信ネットワークに応じて異なる。このため、通信端末が移動する無線通信装置の場合で、異なる無線通信ネットワークにハンドオーバした際に、例えば、ハンドオーバ先の下り絶対遅延時間が、ハンドオーバ元の下り絶対遅延時間より短い場合には、受信パケットに追い越しが発生することになる。
【0006】
図8は、この場合のパケットの流れを示す図で、相手通信端末(CN)からのパケットの送信タイミングと、CNからのパケットを無線通信装置(MN)に転送するホームエージェント(HA)によるパケット転送タイミングと、MNのジッタバッファが受信するパケットの受信タイミングとを示している。なお、ここでは、ハンドオーバ元の無線通信ネットワークAおよびハンドオーバ先の無線通信ネットワークBの各々において、受信パケットに揺らぎ(到着間隔のずれ)はないものとして示している。
【0007】
MNによる無線通信ネットワークAから無線通信ネットワークBへのハンドオーバ処理では、ハンドオーバ先の無線通信ネットワークBを介してMNからHAにRegistration Request(NEMOでは、Binding Update)を送信して、HAにハンドオーバ先の気付けアドレス(care of address)を登録し、これによりHAから返信されるハンドオーバ完了情報であるRegistration Reply(NEMOでは、Binding Acknowledge)を受信して、ハンドオーバ元の無線通信ネットワークAとの接続を切断することにより、以後は、ハンドオーバ先の無線通信ネットワークBを介してパケットの送受信が行われる。
【0008】
この場合、図8に示すように、ハンドオーバ元の無線通信ネットワークAの下り絶対遅延時間TddnAよりも、ハンドオーバ先の無線通信ネットワークBの下り絶対遅延時間TddnBが一定値以上短いと、ハンドオーバ完了情報を受信した時点から、(TddnA−TddnB)の期間TABは、受信パケットに追い越しが発生する。したがって、この期間TABにおいては、図9(a)に示すように、ジッタバッファが単位時間当たりに受信するパケット数は、非常に多くなる。
【0009】
このような場合、例えば、図9(b)に示すように、ジッタバッファからのパケットの再生速度(読み出し間隔)を、アプリに応じた一定の速度とすると、ジッタバッファ内のパケット数は、図9(c)に示すように、無線通信ネットワークBにハンドオーバした時点から急激に上昇するため、追い越しによって、バッファサイズを超えて受信されるパケットは、再生されることなく破棄されて、バッファサイズに相当する一定のパケット数に落ち着くことになる。
【0010】
このため、破棄されたパケットの影響により、再生音の音質劣化を招くことになる。なお、ジッタバッファのバッファサイズが十分大きい場合には、パケットの破棄は発生せず、ハンドオーバ元およびハンドオーバ先からのパケットは予定のタイミングで再生することができるが、この場合には、ハンドオーバ元からのパケットを追い越して受信されたハンドオーバ先からのパケットは、ジッタバッファに滞留する時間が、ハンドオーバ元からのパケットよりも長くなるため、必要以上に遅延時間を長くしており、各無線通信ネットワークの遅延時間に合ったリアルタイム性を実現できていない。
【0011】
このようなハンドオーバ時の不具合を改善し得るものとして、例えば、パケットの受信状況を監視し、その監視結果に基づいてジッタバッファからのパケットの読み出し速度を制御するようにしたジッタバッファの制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
図10は、特許文献1に開示されたジッタバッファの制御方法によるジッタバッファの動作状態を示す図で、図10(a)〜(c)は、図9(a)〜(c)と同様に、ジッタバッファの単位時間当たりの受信パケット数、再生速度、ジッタバッファ内のパケット数を示している。
【0013】
図10においては、下り絶対遅延時間がTddnAの無線通信ネットワークAから、TddnAよりも短い下り絶対遅延時間TddnBの無線通信ネットワークBにハンドオーバした場合のように、それまでの受信間隔よりも短い期間でパケットが受信される場合には、受信間隔の短縮に従って、パケットの再生速度を高速とし、その後、ジッタバッファ内のパケット数に応じて、再生速度を通常の再生速度まで徐々に低下させるように制御している。
【0014】
【特許文献1】特開2006−238445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図10に示したジッタバッファの制御方法では、パケットの追い越し発生期間中に、パケットの再生速度を高速としており、特に、追い越し発生初期においては、再生速度を急激に高速に変化させている。このため、追い越し発生期間中において、ハンドオーバ元のパケットが受信されて再生された後、次のハンドオーバ元のパケットが受信しきれないうちに、ハンドオーバ先のパケットが受信されて再生され、その後に到着したハンドオーバ元のパケットが破棄される場合があり、これにより再生音の音質劣化を招くことが懸念される。
【0016】
したがって、以上の点に鑑みてなされた本発明の目的は、パケットロスによる再生音の音質劣化を招くことなく、また、無線通信ネットワーク毎に適したリアルタイム性を実現しながら、異なる無線通信ネットワークへのハンドオーバが可能な無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する請求項1に係る無線通信装置の発明は、
第1無線通信ネットワークおよび該第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続して無線通信を実行する無線通信部と、
該無線通信部を介してリアルタイム通信系のアプリケーションを実行する実行部と、
前記無線通信部を介して受信される、前記実行部が実行している前記アプリケーションのパケットを一時的に蓄積してジッタを吸収するためのジッタバッファと、
前記第1無線通信ネットワークにおける無線リンクの通信品質を取得する通信品質取得部と、
該通信品質取得部により取得した前記通信品質に基づいて、前記第1無線通信ネットワークから前記第2無線通信ネットワークへのハンドオーバを開始するハンドオーバ制御部と、
該ハンドオーバ制御部によるハンドオーバが完了してから、前記無線通信部を介して受信される前記アプリケーションのパケットの受信間隔が所定値以上になると、前記ジッタバッファのパケット蓄積量に基づいて、当該アプリケーションの再生速度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の無線通信装置において、
前記制御部は、前記ジッタバッファのパケット蓄積量が閾値以上の場合に、当該アプリケーションの再生速度を速くすることを特徴とするものである。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の無線通信装置において、
前記制御部は、当該アプリケーションを速く再生している際に、前記ジッタバッファのパケット蓄積量が前記閾値を下回ると、当該アプリケーションの再生速度を通常の速度に戻すことを特徴とするものである。
【0020】
請求項4に係る発明は、請求項1,2または3に記載の無線通信装置において、
前記ジッタバッファのバッファサイズを、当該アプリケーションのパケットの受信状況に応じて制御するアダプティブジッタ制御部、をさらに備え、
該アダプティブジッタ制御部は、前記ハンドオーバ制御部によるハンドオーバの完了を検出すると、前記ジッタバッファのバッファサイズの制御を停止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハンドオーバが完了した後、パケットの受信間隔が所定値以上になってから、ジッタバッファのパケット蓄積量に基づいて、アプリケーションの再生速度を制御するようにしたので、例えば、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワークの遅延時間が、ハンドオーバ元の第1無線通信ネットワークの遅延時間よりも短い場合には、ハンドオーバによるパケットの追い越しが終了して、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワークからのパケットのみが到来するようになってから、再生速度を通常速度よりも高速として、ジッタバッファに通常よりも多く蓄積されたパケットを読み出すことができる。したがって、パケットロスによる再生音の音質劣化やリアルタイム性の低下による通話品質の劣化等を招くことなく、第1無線通信ネットワークから第2無線通信ネットワークへのハンドオーバが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信装置が使用可能な通信ネットワークの概略構成を示す図である。図1において、移動ノードである無線通信装置11は、対向ノードである相手通信端末12との間で、リアルタイム通信系のアプリであるVoIPによる通話を行うものとする。無線通信装置11は、第1無線通信ネットワーク15と第2無線通信ネットワーク16との間で、ハンドオーバが可能となっている。第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16は、パケットネットワーク17を介して、インターネット18に結合されている。
【0024】
ここで、第1無線通信ネットワーク15は、例えばcdma2000 EV−DOの携帯電話ネットワークからなり、第2無線通信ネットワーク16は、例えば無線LANからなり、第2無線通信ネットワーク16の方が、第1無線通信ネットワーク15よりも、下り絶対遅延時間が短くなっている。なお、図1において、符号15aは、第1無線通信ネットワーク15の基地局を示し、符号16aは、第2無線通信ネットワーク16のアクセスポイントを示している。
【0025】
相手通信端末12は、例えば送受話器12aが接続され、ソフトフォンがインストールされたパーソナルコンピュータからなり、図示しないインターネットサービスプロバイダを介してインターネット18に接続されている。
【0026】
また、パケットネットワーク17およびインターネット18には、それぞれ通信を制御するSIP(Session Initiation Protocol)サーバ21および22が接続されている。さらに、インターネット18には、無線通信装置11宛の受信パケットを、無線通信装置11が接続されている無線通信ネットワークに転送するホームエージェント(HA)23が接続されている。
【0027】
図1に示す通信ネットワークにおいては、HA23に、無線通信装置11が本来属する無線通信ネットワークで用いるホームアドレスを登録するとともに、ハンドオーバ時に、ハンドオーバ先の無線通信ネットワーク16の気付けアドレス(care of address)を登録することにより、異なる無線通信ネットワーク間でのハンドオーバを可能としている。なお、このようなIPモビリティ技術については、上述したモバイルIPや、NEMOにおいて公知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施の形態では、説明の便宜上、無線通信装置11が本来属する無線通信ネットワークを第1無線通信ネットワーク15として、この第1無線通信ネットワーク15から第2無線通信ネットワーク16へハンドオーバするものとする。
【0029】
図2は、図1に示した本実施の形態に係る無線通信装置11の概略構成を示す機能ブロック図である。無線通信装置11は、第1無線通信ネットワーク15に対応する第1無線I/F(インターフェース)31と、第2無線通信ネットワーク16に対応する第2無線I/F32と、VoIPのアプリを実行する電話機能部33と、第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16への接続を制御する通信処理部34と、第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16の無線情報を取得する無線情報取得部35と、第1無線通信ネットワーク15と第2無線通信ネットワーク16との間のハンドオーバを制御するハンドオーバ制御部36と、を有する。
【0030】
通信処理部34は、第1無線I/F31および第2無線I/F32とともに無線通信を実行する無線通信部を構成するもので、電話機能部33と相手通信端末12との間で、第1無線通信ネットワーク15または第2無線通信ネットワーク16を介して通話を行うとともに、ハンドオーバ制御部36の制御のもとに、HA23と通信するように、第1無線I/F31または第2無線I/F32の接続を制御する。
【0031】
無線情報取得部35は、無線情報として、第1無線I/F31および第2無線I/F32から、それぞれ対応する第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16の通信品質を取得し、その取得した通信品質をハンドオーバ制御部36に供給する。ここで、通信品質は、例えば、無線状態を表すRSSI(Received Signal Strength Indicator)を取得する。したがって、本実施の形態では、無線情報取得部35が、無線リンクの通信品質を取得する通信品質取得部を構成している。
【0032】
ハンドオーバ制御部36は、無線情報取得部35からの通信品質に基づいて、ハンドオーバを予定するか否かの決定を含むハンドオーバ情報を生成し、そのハンドオーバ情報に基づいて第1無線通信ネットワーク15から第2無線通信ネットワーク16へのハンドオーバを制御する。
【0033】
図3は、図2に示した無線通信装置11の電話機能部33の概略構成を示す機能ブロック図である。電話機能部33は、例えばソフトフォンからなり、公知のソフトフォンの構成と同様に、ボタン入力部41、画面表示部42、マイク43、エンコーダ44、パケット送信部45、パケット受信部46、ジッタバッファ47、デコーダ48、スピーカ49、ジッタバッファ監視部50、ジッタバッファ制御部51、SIP制御部52、および全体の動作を制御する全体制御部53を有する。
【0034】
全体制御部53は、ボタン入力部41や画面表示部42を介して、ユーザの操作情報を取得し、その取得情報に基づいて全体の動作を制御する。また、SIP制御部52は、通話の開始や終了のSIPの手続きを制御する。通話中は、マイク43から取得した音声データを、エンコーダ44でエンコードし、そのエンコードしたデータを、パケット送信部45からパケットにいれて、通信処理部34を経て相手通信端末12へ送信する。
【0035】
また、通信処理部34を経てパケット受信部46で受信した相手通信端末12からのパケットは、ジッタバッファ47に一旦取り込んでから読み出し、その読み出したパケットは、デコーダ48でペイロード部分をデコードして、スピーカ49から再生音声として出力する。なお、ジッタバッファ47のパケットの受信状況や、ジッタバッファ47内のパケット数の状態は、ジッタバッファ監視部50で監視し、その監視結果に基づいて、ジッタバッファ制御部51により、ジッタバッファ47の動作を制御する。
【0036】
本実施の形態では、電話機能部33に、さらに、ハンドオーバ情報取得部55および再生速度計算部56を設けている。ハンドオーバ情報取得部55は、ハンドオーバ制御部36からのハンドオーバ情報を一定間隔毎に監視して、ハンドオーバの予定があるか否かの情報を取得する。ハンドオーバの予定があった場合には、ハンドオーバ情報取得部55は、さらに、ハンドオーバ制御部36から所要のハンドオーバ情報を取得して、その取得した所要のハンドオーバ情報を再生速度計算部56に供給する。
【0037】
再生速度計算部56は、ハンドオーバ情報取得部55から取得した所要のハンドオーバ情報に基づいて、ハンドオーバ先である第2無線通信ネットワーク16の下り絶対遅延時間とハンドオーバ元である第1無線通信ネットワーク15の下り絶対遅延時間との差を演算し、その差が所定値未満(例えば、<0)の場合には、その後、ハンドオーバ完了情報を受信してから、ジッタバッファ監視部50によるジッタバッファ47の監視結果に基づいて、ジッタバッファ制御部51によりジッタバッファ47のバッファサイズおよびジッタバッファ47からの受信パケットの再生速度を制御する。したがって、本実施の形態では、電話機能部33が、リアルタイム通信系のアプリケーションを実行する実行部、および当該アプリケーションの再生速度を制御する制御部を構成している。
【0038】
以下、本実施の形態に係る無線通信装置11の動作について説明する。
【0039】
本実施の形態では、ハンドオーバ制御部36において、第1無線I/F31および第2無線I/F32からそれぞれ取得した通信品質に基づいて、ハンドオーバの予定を決定する。例えば、第1無線通信ネットワーク15と無線リンクを形成して通話を行っている場合に、第1無線I/F31から取得した通信品質がハンドオーバ予定決定閾値よりも悪くなり、かつ第2無線I/F32の通信品質がハンドオーバ予定決定閾値以上となった場合には、ハンドオーバ制御部36において、第2無線通信ネットワーク16へのハンドオーバ予定を決定する、すなわちハンドオーバ準備の開始を決定する。なお、通話に使用していない第2無線通信ネットワーク16の通信品質は、例えば、アクセスポイント16aから送信される報知情報を受信して取得したり、または測定する。
【0040】
ハンドオーバ制御部36は、ハンドオーバ予定を決定した場合、現在使用中の無線通信ネットワーク(ここでは、第1無線通信ネットワーク15)におけるハンドオーバ元下り絶対遅延時間Tddn1、ハンドオーバ先の無線通信ネットワーク(ここでは、第2無線通信ネットワーク16)におけるハンドオーバ先下り絶対遅延時間Tddn2を取得し、これらの情報を所要のハンドオーバ情報として、ハンドオーバ予定有りを示す情報とともに、電話機能部33に供給する。
【0041】
次に、ハンドオーバ制御部36による、ハンドオーバ元下り絶対遅延時間Tddn1およびハンドオーバ先下り絶対遅延時間Tddn2の取得方法について説明する。なお、本実施の形態では、相手通信端末(CN)12とHA23との間のネットワークは切替わらないので、この間の絶対遅延時間は考慮しないものとする。
【0042】
ハンドオーバ元下り絶対遅延時間Tddn1およびハンドオーバ先下り絶対遅延時間Tddn2は、例えば、以下に説明する第1〜第4の絶対遅延時間取得方法のいずれかによって取得する。
【0043】
(a)第1の絶対遅延時間取得方法
ハンドオーバ制御部36においてハンドオーバの予定を決定したら、電話機能部33および/または通信処理部34を制御して、無線通信装置11と時間同期しているHA23に対して送信タイムスタンプを有する計測用パケットの送信を要求し、これにより、HA23から、第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16の双方に計測用パケットを送信させる。無線通信装置11は、HA23から送信された計測用パケットを、対応する第1無線I/F31および第2無線I/F32を介してそれぞれ受信し、その受信時刻と計測用パケットのタイムスタンプとから、対応するネットワークの下り絶対遅延時間Tddn1およびTddn2を計測する。なお、ハンドオーバ元の無線通信ネットワークの下り絶対遅延時間が、通話中の受信パケットから計測できる場合には、当該無線通信ネットワークへの計測用パケットの送出は省略することができる。
【0044】
(b)第2の絶対遅延時間取得方法
ハンドオーバ制御部36においてハンドオーバの予定を決定したら、電話機能部33および/または通信処理部34を制御して、無線通信装置11と時間同期しているHA23に対してその旨を通知し、これにより、上記第1の絶対遅延時間取得方法と同様に、HA23から、第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16の双方に計測用パケットを送信して、対応するネットワークの下り絶対遅延時間Tddn1およびTddn2を計測する。
【0045】
(c)第3の絶対遅延時間取得方法
ハンドオーバ制御部36においてハンドオーバの予定を決定したら、電話機能部33および/または通信処理部34を制御して、無線通信装置11から該無線通信装置11と時間同期しているHA23に対して、第1無線通信ネットワーク15および第2無線通信ネットワーク16の双方から、PINGやRTCP等の計測用パケットを送信し、その返信を受信して、対応するネットワークの下り絶対遅延時間Tddn1およびTddn2を計測する。
【0046】
(d)第4の絶対遅延時間取得方法
ハンドオーバ制御部36においてハンドオーバの予定を決定すると、IEEE802.21において検討されているハンドオーバ技術を利用して、各無線通信ネットワークの絶対遅延時間を取得する。その例示を以下に行う。
第1無線通信ネットワーク15の絶対遅延時間(Tddn1)の取得方法を以下に説明する。
無線通信装置11は、第1無線通信ネットワーク15の第1インフォメーションサーバに保持されている次の値を取得する。
・遅延時間を計測するために動作する計測用サーバ(例えば、インターネット18の基幹ネットワーク網に接続しているものとする)から第1無線通信ネットワーク15で接続している現在の基地局15aまでの片道遅延時間の標準値(Tn3)
・基地局15aとそこに繋がる端末間の上下の遅延時間の標準値(下り:Trdn3,上り:Trup3)
さらに、無線通信装置11は、PING等の計測用パケットをHA23に対して送信し、その返信を受信して、無線通信装置11とHA23との間の往復遅延時間Trt1を計測する。
そして、これらの値から第1無線通信ネットワーク15の絶対遅延時間Tddn1を、下記の(1)式に従って計算する。ただし、基地局15aとHA23との間の片道遅延時間が取得できないため、この片道遅延時間をTn3と、{Trt1-(Tn3+Trdn3+Tn3+Trup3)}/2との加算により近似値とする。
[数1]
Tddn1=Tn3+Trdn3+{Trt1-(Tn3+Trdn3+Tn3+Trup3)}/2 ・・・(1)
【0047】
次に、ハンドオーバ先である第2無線通信ネットワーク16の絶対遅延時間(Tddn2)の取得方法を以下に説明する。
無線通信装置11は、第1無線通信ネットワーク15の第1インフォメーションサーバを経由して、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16に接続されている第2インフォメーションサーバに保持されている次の値を取得する。なお、第2インフォメーションサーバへは、無線通信装置11または基地局15aで取得した無線通信装置11の位置情報を送信する。
・無線通信装置11が接続されると予想されるアクセスポイント16aと計測用サーバとの間の片道遅延時間の標準値(Tn4)
・アクセスポイント16aとそこに繋がる端末間の上下の遅延時間の標準値(下り:Trdn4,上り:Trup4)
そして、これらの値から第2無線通信ネットワーク16の絶対遅延時間Tddn2を、下記の(2)式に従って計算する。ただし、アクセスポイント16aとHA23との間の片道遅延時間が取得できないため、この片道遅延時間をTn4と、{Trt1-(Tn3+Trdn3+Tn3+Trup3)}/2との加算により近似値とする。
[数2]
Tddn2=Tn4+Trdn4+{Trt1-(Tn3+Trdn3+Tn3+Trup3)}/2 ・・・(2)
【0048】
以上のようにして、ハンドオーバ制御部36は、ハンドオーバ元下り絶対遅延時間Tddn1およびハンドオーバ先下り絶対遅延時間Tddn2を取得して、それらの取得情報を電話機能部33に供給する。
【0049】
また、ハンドオーバ制御部36は、ハンドオーバ予定を決定した場合、無線処理部34を制御して、第2無線I/F32を第2無線通信ネットワーク16に接続する。その後、ハンドオーバ制御部36は、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16を介してHA23にRegistration Request(NEMOでは、Binding Update)を送信して、HA23にハンドオーバ先の気付けアドレス(care of address)を登録する。その際、Registration RequestメッセージのRegistration Request Fieldの8ビットをセットし(NEMOでは、Multiple care of addressを使用し)、第1無線通信ネットワーク15でも第2無線通信ネットワーク16でも通信できるようにする。これによりHA23から返信されるハンドオーバ完了情報であるRegistration Reply(NEMOでは、Binding Acknowledge)を受信したら、ハンドオーバ元の第1無線通信ネットワーク15の気付けアドレスの登録を解除し、接続を切断して、以後は、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16を介してVoIPアプリを継続するように通信処理部34を制御するとともに、受信したハンドオーバ完了情報を電話機能部33に供給する。
【0050】
図4は、電話機能部33の要部の動作を示すシーケンス図である。また、図5は、同じく、電話機能部33の要部の動作を示すフローチャートである。ここでは、図5のフローチャートを参照して動作を説明する。
【0051】
電話機能部33は、先ず、ハンドオーバ情報取得部55において、ハンドオーバ制御部36からのハンドオーバ情報を一定間隔毎に監視する。その結果、ハンドオーバ予定有りの情報を取得した場合には、さらに、ハンドオーバ制御部36からの所要のハンドオーバ情報である、ハンドオーバ元下り絶対遅延時間Tddn1およびハンドオーバ先下り絶対遅延時間Tddn2を取得し(ステップS11)、これら取得した所要のハンドオーバ情報を再生速度計算部56に供給する。
【0052】
再生速度計算部56は、ハンドオーバ情報取得部55から取得した、第1無線通信ネットワーク15の下り絶対遅延時間(Tddn1)と第2無線通信ネットワーク16の下り絶対遅延時間(Tddn2)との差T2(T2= Tddn2- Tddn1)を算出し、その差T2が一定値未満(例えば、<0)か否かを判定する(ステップS12)。その結果、T2が一定値未満の場合には、再生速度計算部56は、ハンドオーバ制御部36からハンドオーバ情報取得部55を経由して送信される、ハンドオーバ完了情報であるRegistration Reply(NEMOでは、Binding Acknowledge)を待つ(ステップS13)。
【0053】
その後、再生速度計算部56は、ステップS13において、ハンドオーバ完了情報を受信したら、ジッタバッファ47のバッファサイズを適正なサイズに設定する。このため、先ず、ジッタバッファ47が、ジッタバッファ監視部50によるパケットの受信状況に応じてジッタバッファ制御部51によりバッファサイズが制御されるアダプティブジッタバッファ機能を有する場合には、ジッタバッファ制御部51に対して、アダプティブジッタバッファ機能をOFF(不作動)にするように指示する(ステップS14)。これにより、ハンドオーバ先からのパケットの追い越しによるハンドオーバ元からのパケットの破棄を防止する。したがって、この場合、ジッタバッファ制御部51は、アダプティブジッタ制御部として機能する。なお、ジッタバッファ47が、バッファサイズを動的に制御するアダプティブジッタバッファ機能を有しない場合には、ステップS14の処理は、省略する。
【0054】
次に、再生速度計算部56は、ジッタバッファ監視部50から、ジッタバッファ47内の現在のパケット蓄積量を取得する(ステップS15)。ここで、現在のパケット蓄積量は、ジッタバッファ47内に現在蓄積されている全てのパケットを、ハンドオーバ完了情報受信時点の再生速度で再生した場合に要する時間として示している。さらに、再生速度計算部56は、ジッタバッファ制御部51から、現在のジッタバッファ47のバッファサイズを取得する(ステップS16)。
【0055】
その後、再生速度計算部56は、ハンドオーバ元とハンドオーバ先との相互間の遅延時間差(ステップS12で算出した差T2の絶対値)と、ステップS15で取得した現在のパケット蓄積量との和が、ステップS16で取得したバッファサイズを超えるか否かを判定する(ステップS17)。
【0056】
その結果、バッファサイズが、(遅延時間差+現在のパケット蓄積量)に満たない場合には、ジッタバッファ制御部51を介して、ジッタバッファ47のバッファサイズを、(遅延時間差+現在のパケット蓄積量)以上に拡大するように制御する(ステップS18)。これにより、ハンドオーバによるパケットのオーバーランの発生、すなわち、到来パケットがジッタバッファ47に入りきらずに破棄されるのを防止する。
【0057】
その後、再生速度計算部56は、ジッタバッファ監視部50によるジッタバッファ47のパケット受信間隔を定期的に取得して(ステップS19)、パケット受信間隔の平均が、実行中のアプリに相当する所定値以上(VoIPの場合には、例えば20msec以上)か否かを判定する(ステップS20)。なお、ステップS17において、(遅延時間差+現在のパケット蓄積量)≦(バッファサイズ)の場合には、オーバーランは生じないので、バッファサイズは、ハンドオーバ時のバッファサイズのままとして、ステップS19に移行する。
【0058】
ステップS20による判定の結果、パケット受信間隔が所定値未満の場合には、ハンドオーバによるパケットの追い越しが生じている可能性があるので、ハンドオーバ完了情報を受信してから、上記のハンドオーバ元とハンドオーバ先との相互間の遅延時間差に、若干の時間α(例えば、数パケット分の受信時間)を加算した時間が経過したか否かを判定し(ステップS21)、経過していない場合には、ステップS20に戻る。
【0059】
一方、ステップS20による判定の結果、パケット受信間隔が所定値以上の場合や、ステップS21による判定の結果、ハンドオーバが完了してから(遅延時間差+α)が経過している場合には、ハンドオーバによるパケットの追い越しは生じないので、その後は、ジッタバッファ監視部50によるジッタバッファ47内のパケット蓄積量を定期的に取得して(ステップS22)、パケット蓄積量が標準量以上か否かを判定する(ステップS23)。ここで、パケット蓄積量の標準量は、実行中のアプリによるパケット送信間隔と、ハンドオーバ先の下りジッタとに基づいて予め設定して、再生速度計算部56に格納しておく。
【0060】
ステップS23での判定の結果、パケット蓄積量が標準量以上の場合には、アプリの再生速度を、それまでのアプリに応じた通常の再生速度から、通話品質を劣化させない程度の高速度(例えば、通常速度よりも15%速い速度)とする(ステップS24)。その後、ジッタバッファ47内のパケット蓄積量が標準量以下となったら(ステップS25)、通常の制御に戻してアプリの再生速度を通常速度とする(ステップS26)。したがって、ステップS26においては、ステップS14において、アダプティブジッタバッファ機能をOFFにした場合には、ジッタバッファ制御部51に対して、アダプティブジッタバッファ機能をON(作動)にするように指示する。
【0061】
これに対し、ステップS23での判定の結果、パケット蓄積量が標準量未満の場合には、アプリの再生速度を、それまでのアプリに応じた通常の再生速度から、通話品質を劣化させない程度の低速度(例えば、通常速度よりも15%遅い速度)とする(ステップS27)。その後、ジッタバッファ47内のパケット蓄積量が標準量以上となったら(ステップS28)、ステップS26に移行する。
【0062】
なお、ステップS12において、第1無線通信ネットワーク15の下り絶対遅延時間(Tddn1)と第2無線通信ネットワーク16の下り絶対遅延時間(Tddn2)との差T2(T2= Tddn2- Tddn1)が、一定値以上の場合には、第1無線通信ネットワーク15よりも下りの絶対遅延時間が大きい他の無線通信ネットワークへのハンドオーバとして、ステップS26に移行して通常の制御を行う。
【0063】
図6は、本実施の形態の無線通信装置11によるハンドオーバ時のパケットの流れと、ジッタバッファ47の動作とを対応して示す説明図である。図6において、CNは相手通信端末12に対応し、HAはホームエージェント23に対応し、MNは本実施の形態による無線通信装置11に対応している。なお、図6では、ハンドオーバ元の第1無線通信ネットワーク15およびハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16の各々において、受信パケットにジッタはないものとして示している。
【0064】
図7は、本実施の形態の無線通信装置11におけるジッタバッファ47の動作状態を示す図で、図7(a)は単位時間当たりの受信パケット数、図7(b)は再生速度、図7(c)はジッタバッファ47内のパケット数(パケット蓄積量)を示している。
【0065】
図6に示すように、ハンドオーバ元の第1無線通信ネットワーク15の下り絶対遅延時間Tddn1よりも、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16の下り絶対遅延時間Tddn2が一定値以上短いと、図8において説明したと同様に、ハンドオーバ完了情報であるRegistration Reply(NEMOでは、Binding Acknowledge)を受信した時点から、(Tddn1−Tddn2)の期間T12は、受信パケットに追い越しが発生する。したがって、この期間T12においては、図7(a)に示すように、ジッタバッファが単位時間当たりに受信するパケット数は、非常に多くなり、それに応じて、ジッタバッファ47内のパケット数も、図7(c)に示すように、上昇する。
【0066】
そこで、本実施の形態では、このようなハンドオーバの場合には、HA23からのハンドオーバ完了情報を受信したら、ジッタバッファ47がアダプティブジッタバッファ機能を有する場合には、その機能をOFFとして、バッファサイズを必要に応じて拡大することにより、到来パケットがジッタバッファ47に入りきらずに破棄されるのを防止して、ジッタバッファ47のパケットを通常速度でタイムスタンプ順に読み出して、アプリを通常の再生速度で再生する。
【0067】
その後、パケット受信間隔の平均が、実行中のアプリに相当する所定値以上となったら、もはや、ハンドオーバによるパケットの追い越しは発生していないものとして、ジッタバッファ47の再生速度(アプリの再生速度)を、図7(b)に示すように、例えば通常速度よりも+15%速い速度として、パケットをタイムスタンプ順に高速再生する。これにより、ジッタバッファ47のパケット数は、図7(c)に示すように、減少する。その後、ジッタバッファ47内のパケット蓄積量が標準量以下となったら、通常の制御に戻し、アダプティブジッタバッファ機能をOFFにした場合には、これをONにして、アプリを通常の再生速度で再生する。
【0068】
このように、本実施の形態では、第1無線通信ネットワーク15から第2無線通信ネットワーク16にハンドオーバする際、ハンドオーバ先の第2無線通信ネットワーク16の下り絶対遅延時間の方が、ハンドオーバ元の第1無線通信ネットワーク15の下り絶対遅延時間の方が短い場合に、パケットの追い越しが発生してもパケットを破棄することなくジッタバッファ47に蓄積するように、必要に応じてジッタバッファ47のバッファサイズを拡大し、パケットの追い越しが終了した後に、通常の再生速度よりも高速度で再生して、ジッタバッファ47内のパケット数が標準量以下となってから、通常の再生速度に戻すように、アプリの再生速度を制御するようにしたので、パケットロスによる再生音の音質劣化やリアルタイム性の低下による通話品質の劣化を防止でき、各無線通信ネットワークに適したリアルタイム性を実現しし、通信品質を向上することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、本発明は、VoIPのアプリを実行する場合に限らず、映像や音楽等のマルチメディアデータをストリーミング再生する場合のようなリアルタイム通信系のアプリを実行する場合にも有効に適用できる。この場合には、アプリの実行部を、電話機能部に代えて、同様のジッタバッファの制御機能を有するマルチメディア機能部で構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線通信装置が使用可能な通信ネットワークの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した無線通信装置の電話機能部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3に示した電話機能部の要部の動作を示すシーケンス図である。
【図5】図3に示した電話機能部の要部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態の無線通信装置によるハンドオーバ時のパケットの流れと、ジッタバッファの動作とを対応して示す説明図である。
【図7】本実施の形態の無線通信装置によるジッタバッファの動作状態を示す図である。
【図8】従来の無線通信装置によるハンドオーバ時のパケットの流れを説明するための図である。
【図9】従来の無線通信装置によるジッタバッファの動作状態の一例を示す図である。
【図10】従来の無線通信装置によるジッタバッファの動作状態の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
11 無線通信装置
12 相手通信端末
12a 送受話器
15 第1無線通信ネットワーク
15a 基地局
16 第2無線通信ネットワーク
16a アクセスポイント
17 パケットネットワーク
18 インターネット
21,22 SIPサーバ
23 ホームエージェント(HA)
31 第1無線I/F
32 第2無線I/F
33 電話機能部
34 通信処理部
35 無線情報取得部
36 ハンドオーバ制御部
47 ジッタバッファ
50 ジッタバッファ監視部
51 ジッタバッファ制御部
55 ハンドオーバ情報取得部
56 再生速度計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信ネットワークおよび該第1無線通信ネットワークと異なる第2無線通信ネットワークに接続して無線通信を実行する無線通信部と、
該無線通信部を介してリアルタイム通信系のアプリケーションを実行する実行部と、
前記無線通信部を介して受信される、前記実行部が実行している前記アプリケーションのパケットを一時的に蓄積してジッタを吸収するためのジッタバッファと、
前記第1無線通信ネットワークにおける無線リンクの通信品質を取得する通信品質取得部と、
該通信品質取得部により取得した前記通信品質に基づいて、前記第1無線通信ネットワークから前記第2無線通信ネットワークへのハンドオーバを開始するハンドオーバ制御部と、
該ハンドオーバ制御部によるハンドオーバが完了してから、前記無線通信部を介して受信される前記アプリケーションのパケットの受信間隔が所定値以上になると、前記ジッタバッファのパケット蓄積量に基づいて、当該アプリケーションの再生速度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ジッタバッファのパケット蓄積量が閾値以上の場合に、当該アプリケーションの再生速度を速くすることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、当該アプリケーションを速く再生している際に、前記ジッタバッファのパケット蓄積量が前記閾値を下回ると、当該アプリケーションの再生速度を通常の速度に戻すことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記ジッタバッファのバッファサイズを、当該アプリケーションのパケットの受信状況に応じて制御するアダプティブジッタ制御部、をさらに備え、
該アダプティブジッタ制御部は、前記ハンドオーバ制御部によるハンドオーバの完了を検出すると、前記ジッタバッファのバッファサイズの制御を停止することを特徴とする請求項1,2または3に記載の無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−159450(P2009−159450A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337139(P2007−337139)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】