無線配信システム
【課題】各無線子局間に障害物等が有っても、信頼性の高い無線配信システムを構築できる。
【解決手段】特定小電力無線を用いて、無線親局30と複数の無線中継局(例えば、無線中継警報局50−1〜50−3、及び無線中継専用局70−1〜70−3)が通信を行い、地震発生時等に表示灯・警報音による表示を行う。この際、無線親局30から同報送信されたデータを、各無線中継局がデータを受信すると共に、各無線中継局の通信エリア内にある他の無線中継局へ、データを同報中継するマルチ同報通信にて通信を行う。このマルチ同報通信によって、広い通信エリアでの同報通信が行えると共に、障害物があり電波の届き難い場所へも無線中継局を追加することによって簡単に送信することができ、しかも、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることもできる。
【解決手段】特定小電力無線を用いて、無線親局30と複数の無線中継局(例えば、無線中継警報局50−1〜50−3、及び無線中継専用局70−1〜70−3)が通信を行い、地震発生時等に表示灯・警報音による表示を行う。この際、無線親局30から同報送信されたデータを、各無線中継局がデータを受信すると共に、各無線中継局の通信エリア内にある他の無線中継局へ、データを同報中継するマルチ同報通信にて通信を行う。このマルチ同報通信によって、広い通信エリアでの同報通信が行えると共に、障害物があり電波の届き難い場所へも無線中継局を追加することによって簡単に送信することができ、しかも、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の速報配信(例えば、気象庁により配信される緊急地震速報等に基づく警報情報)を受信した際に、特定小電力無線(例えば、数mW〜数十mWで、通信距離が数百m程度と短い。)を用いて、遠隔で作業を行う作業者等の近傍に設置された複数の無線中継局へ同報通信を行い、警報表示(例えば、警告灯)及び警報アラーム(例えば、警報音)による警報を出力するための無線配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図23(a)〜(c)は、下記の特許文献1〜4等に記載された従来の無線通信方式を示す模式的な構成図である。
【0003】
【特許文献1】特開平5−292577号公報
【特許文献2】特開平6−315183号公報
【特許文献3】特開平8−98227号公報
【特許文献4】特開平9−252278号公報
【特許文献5】特開2006−292663号公報
【0004】
従来の無線通信方式において、親局から子局へ無線にてデータを送受信する方式としては、図23(a)に示す1:1方式や、図23(b)、(c)に示す1:N方式が知られている。
【0005】
図23(a)の1:1方式は、無線親局1と無線子局2との間で、無線にてデータを送受信する方式である。図23(b)の1:N方式は、無線親局1と複数の無線子局2−1〜2−Nとの間で、同一のチャンネル(周波数)を用いてデータを送受信する方式である。図23(c)の方式は、特許文献2〜4に記載されているように、無線親局1の電波到達範囲(通信エリア)内では、1:N方式により、無線親局1と複数の無線子局2−1〜2−Nとの間で、同一のチャンネルを用いてデータを送受信し、無線親局1の電波到達範囲外では、この無線親局1の電波到達範囲内に設けた無線中継局3を介して、1:N方式により、その無線中継局3と複数の無線子局4−1〜4−Nとの間で、異なるチャンネルを用いてデータの送受信をする。
【0006】
特許文献1に記載された無線通信方式では、例えば、図23(b)において、全ての無線子局2−1〜2−Nに中継機能を設け、複数の無線子局2−1〜2−N間においてもデータの送受信を行わせて、無線親局1と、このエリア外の無線子局(例えば、2−M)との間でも、他の無線子局2−1〜2−Nを介してデータの送受信が行えるようにしている。
【0007】
近年、地震等の速報配信(例えば、特許文献5に記載されているように、気象庁により緊急地震速報の配信)が行われている。
【0008】
図24は、例えば、建築現場等のようなフィールドを示す模式的な構成図である。
建築現場等のようなフィールドでは、例えば、主の仮設事務所10、従の仮設事務所11、及び、建築中ビル12等が設置されている。このようなフィールドにおいて、例えば、図23(c)に示す無線通信方式の特定小電力無線を適用して、緊急地震速報の無線配信システムを構築し、建築中ビル12中の作業者に対して、「地震がまもなく発生する」旨の警報を通知することが考えられる。
【0009】
この場合、例えば、主の仮設事務所1内に、緊急地震速報5を通信線6を介して受信する受信端末のパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)7と、この受信端末PC7の出力信号に基づき、特定小電力無線にて警報信号を発する無線親局1とが設けられる。主の仮設事務所10と建築中ビル12との距離が長い場合は、その建築中ビル12の近傍に設置された従の仮設事務所11内に、無線親局1からの警報信号を受信して転送する無線中継局3が設けられる。建築中ビル12内の各所には、複数の無線子局4−1〜4−Nが設置され、これらの無線小局4−1〜4−Nにより、無線中継局3から転送された警報信号を受信し、作業者に対して警報を通知し、避難を促す。なお、無線中継局3に代えて、特許文献1に記載された中継機能を有する無線子局を設けても良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の図24に示すように、特定小電力無線を適用した緊急地震速報の無線配信システムでは、次の(a)〜(d)のような課題があった。
【0011】
(a) 無線親局1の通信エリア外に無線子局4−1〜4−Nを設置できない。
(b) 無線親局1の通信エリア内であったとしても、障害物により、満足に送受信できない場合がある。
(c) 無線子局4−1〜4−Nを無線親局1から離れた通信エリア外の場所に設置する際には、高所に無線中継局3を介在させるが、周囲に障害物が無い場所を選定しなければならず、配設場所が限定される。
(d) 無線子局4−1〜4−Nの全てに情報を伝送することは、障害物が有る場合は、困難なことが少なくない。この対策として、仮に、特許文献1に記載された中継機能を各無線子局4−1〜4−Nに単に付加したとしても、これらの各無線子局4−1〜4−N間に障害物がある場合は、全てに情報を伝送することが難しい。
【0012】
従って、従来の特許文献1〜5等の技術を単に組み合わせてみても、未だ技術的に十分満足のゆく信頼性の高い無線配信システムを構築することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築するために、制御命令(コマンド)を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び/又は中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、前記無線親局からの前記警報信号、及び/又は前記中継局ステータス取得信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局とを有している。
【0014】
前記複数の無線中継警報局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する構成になっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築したので、各無線中継警報局は、無線親局又は上位の無線中継警報局から警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信する。無線親局又は上位の無線中継警報局から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、下位の無線中継警報局からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信する。これにより、仮に、障害物等が有ったとしても、安定した信頼性の高い無線配信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築するために、制御命令を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、前記無線親局からの前記警報信号、前記中継局ステータス取得信号又は他の制御信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局と、中継専用の無線中継専用局を有している。
【0017】
前記複数の無線中継警報局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する。
【0018】
前記無線中継専用局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある前記同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある前記同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する。
【実施例1】
【0019】
(緊急地震速報の無線配信システムの構成)
図2は、本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す概略の構成図である。
【0020】
この緊急地震速報の無線配信システムは、例えば、図24に示すような工事現場等(例えば、建築現場等)に設置され、受信端末PC20で解析された制御命令(例えば、地震情報のコマンド)により、マルチ同報通信を用いて、遠隔で作業を行う作業者に対して、地震発生を特定小電力無線にて配信するシステムである。受信端末PC20には、信号線29を介して無線親局30が接続されている。受信端末PC20と無線親局30とは、シリアル通信(例えば、インタフェース規格RS232C又はRS485)によりコマンドの送受信を行い、無線親局30にコマンドを送信することにより、特定小電力無線にて複数の無線中継局(例えば、無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)、及び無線中継専用局70(70−1,・・・))へデータの配信を行う。
【0021】
この際、無線親局30は、2種類の信号(例えば、警報信号と、中継局ステータス取得信号)を発信し、各無線中継警報局50は、3種類の信号(例えば、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの警報信号である信号と、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの中継局ステータス信号である信号と、下位から受けたことに伴って上位に発信するアンサ信号)を発信し、更に、各無線中継専用局50は、各無線中継警報局50と同様に、3種類(例えば、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの警報信号である信号と、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの中継局ステータス信号である信号と、下位から受けたことに伴って上位に発信するアンサ信号)を発信する機能をそれぞれ有している。
【0022】
この無線配信システムでは、特に、緊急地震速報の受信・解析結果に基づき、受信端末PC20からの命令により、各無線中継警報局50の警報表示(例えば、表示灯)、及び警報アラーム(例えば、警報音)を制御する構成になっている。
【0023】
図3は、図2中の受信端末PC20を示す概略の構成図である。
受信端末PC20は、例えば、無線システム管理プログラム21aを実行する制御部21、指定ポート番号でコネクタを持ったTCP(Transmission Control Protocol)サーバ22、シリアルインタフェース23、無線システムの各種設定を行う操作部24、及び無線の状態表示を行う表示部25等を備えている。受信端末PC20は、TCPサーバ22に接続されたリアルタイム地震防災システム19とインターネット上の通信プロトコルTCP/IP(Internet Protocol)で通信を行い、リアルタイム地震防災システム19からのコマンドを受け、シリアルインタフェース23及び信号線29を介して接続された無線親局30へシリアル通信にてコマンドの送受信を行い、無線の制御を行う。
【0024】
本無線配信システムは、受信端末PC20に格納された無線システム管理プログラム21aに従い、無線親局30が受信端末PC20からのコマンドを受け、各種動作を行う。無線親局30との通信には、例えばRS232Cシリアルインタフェースを使用するが、リアルタイム地震防災システム19とのインタフェースには、無線システム管理プログラム21aを通し、通信プロトコルTCP/IPにて通信を行う。又、無線システム管理プログラム21aは、各無線中継局(例えば、各無線中継警報局50、及び各無線中継専用局70)のステータスの表示、及び無線親局30のパラメータの設定等を行う。
【0025】
図4は、図2中の無線親局30の一例を示す概略の回路構成図である。
無線親局30は、受信端末PC20とシリアル通信によりコマンドの送受信を行い、受信端末PC20からコマンドを受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び中継局ステータス取得信号を同報配信する機能を有する端末であり、例えば、直流(以下「DC」という。)5Vを受電する電源部31と、受信端末PC20と信号線29により接続されたインタフェースコンバータ32と、操作スイッチ33とを有している。インタフェースコンバータ32及び操作スイッチ33には、無線親局全体をプログラム制御する制御部(例えば、超小型演算処理装置、以下「MPU」という。)34が接続されている。MPU34には、無線中継局ステータス表示部35、及び特定小電力無線部36が接続され、更に、この特定小電力無線部36に無線アンテナ37が接続されている。
【0026】
無線親局30は、受信端末PC20からのコマンドによって、無線中継局(例えば、各無線中継警報局50、及び各無線中継専用局70)へデータの送受信を行うものであり、受信端末PC20からのコマンドによってMPU34により制御できる機能は、例えば、各無線中継警報局50の表示灯の制御(点滅・消灯)、各無線中継警報局50の警報音の制御、及び、各無線中継警報局50のステータス情報の取得である。更に、無線親局30は、起動時、又は受信端末PC20からのリクエスト時に、無線親局30の置かれた各無線周波数チャンネルのフロアノイズレベルを測定し、使用するのに最適な無線周波数チャンネルを決定する機能も有している。
【0027】
図5(a)〜(c)は、図2中の無線親局30の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は背面図である。
【0028】
無線親局30は、筐体38を有し、この筐体38の正面に、無線中継局ステータス表示部35、及び、操作スイッチ33を構成する親局制御スイッチ部39が設けられ、その筐体38の平面(上面)に、この無線親局30と無線中継局間のデータを送受信するための特定小電力無線のアンテナ37が取り付けられている。筐体38の背面には、操作スイッチ33を構成する電源スイッチ40、RS232Cコネクタ41、RS485コネクタ42、及び交流(以下「AC」という。)アダプタコネクタ43が設けられている。
【0029】
電源スイッチ40は、無線親局30を使用する場合、このスイッチ40にて電源を入れる。RS232Cコネクタ41は、受信端末PC20とRS232Cを用いて通信する場合、このコネクタ41を使用する。RS485コネクタ42は、受信端末PC20とRS485を用いて通信する場合、このコネクタ42を使用する。無線親局30を受信端末PC20から離して使用したい場合(長距離伝送)、RS485を使用する。ACアダプタコネクタ43は、ACアダプタを接続するためのコネクタである。
【0030】
図6は、図5中の無線中継局ステータス表示部35を示す詳細図である。
無線中継局ステータス表示部35は、無線中継局ステータス状態の表示を行う部分であり、例えば、中継局(子局)1〜8までの各中継局(子局)のステータスの表示を行うための表示部35−1〜35−8により構成されている。各表示部35−1〜35−8には、表示灯(例えば、発光ダイオード、以下「LED」という。)により接続状態を表示する接続LED35a、バッテリ状態を表示するバッテリLED35b、使用状態を表示する使用LED35c、及び使用LED・使用切り替えスイッチ35dが設けられている。
【0031】
接続LED35aは、無線中継局との無線通信状態を表示する。接続LED35aの状態は、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線中継局との通信が行えない状態であることを示す。又、その無線中継局を使用しない場合にも消灯となる。
・赤色点灯: 無線中継局と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線中継局と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0032】
バッテリLED35bは、無線中継局のバッテリの状態を示す。バッテリLED35bの状態は、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線中継局が外部電源(AC100V)にて動作していることを示す。又、その無線中継局を使用しない場合にも消灯となる。
・緑色点灯: 無線中継局がバッテリで動作し、充電状態も良好であることを示す。
・赤色点灯: 無線中継局がバッテリで動作しているが、充電が少なくなってことを示す。
【0033】
使用LED・使用切り替えスイッチ35dにおいて、各無線中継局を使用する場合は、使用切り替えスイッチ35dを押すことによって、無線中継局の使用を指示する。使用中の場合は、使用LED35cが点灯する。又、使用状態(使用LED35cが点灯状態)で、再度使用切り替えスイッチ35dを押すことによって、不使用状態へ切り替えることができる。
【0034】
図7は、図5中の親局制御スイッチ部39を示す詳細図である。
親局制御スイッチ部39は、マニュアル(手動)にて無線配信を行うときに使用するものであり、接続確認スイッチ39a、設置モードスイッチ39b、訓練警報スイッチ39c、警報音出力切り替えスイッチ39d、及び警報停止スイッチ39eを有している。
【0035】
接続確認スイッチ39aは、このスイッチ39aを押すと、通常は定期的に取得しているステータス取得コマンドを、マニュアルにて送信することにより、無線中継局のステータス状態を確認することができる。取得が完了すると、ステータス表示部35の表示が変わる。
【0036】
設置モードスイッチ39bは、無線中継局を設置する際に、このスイッチ39bを押して設置モードにする。スイッチ39bが押されると、設置モードであることを示すため、スイッチ39bに付いているLEDが点灯する。設置が完了したら、再度スイッチ39bを押すことにより、設置モードを解除する。
【0037】
訓練警報スイッチ39c及び警告音出力切り替えスイッチ39dにおいて、訓練警報スイッチ39cを押すことにより、各中継警報局の警報を出力することができる。出力する警告の種類は、警告音出力切り替えスイッチ39dにより切り替えることができ、出力切り替えスイッチ39dを押すたびに、訓練警報スイッチ39cのLED状態が変化する。訓練警報スイッチ39cのLEDが消灯している場合は、表示灯による表示のみ出力する。訓練警報スイッチ39cのLEDが点灯している場合は、表示灯による表示と同時に、警告音も出力する。警報停止スイッチ39eは、各無線中継警報局50の警報を停止したい場合、このスイッチ39eを押す。
【0038】
図8に、図2中の無線親局30の仕様例の概略図を示す。
図9は、図2中の無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)の一例を示す概略の回路構成図である。
【0039】
上位及び下位の各無線中継警報局50は、無線親局30からの警報信号、中継局ステータス取得信号又は他の制御信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う端末である。特に、これらの各無線中継警報局50は、無線親局30又は上位の無線中継警報局から警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信し、無線親局30又は上位の無線中継警報局から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、更に、下位の無線中継警報局からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信する機能を有している。
【0040】
具体的には、これらの各無線中継警報局50は、無線親局30から送信された制御データを特定小電力無線で受信して表示灯の点滅制御、及び警告音の出力を行うと共に、受信したデータを次の無線中継局へ中継するための端末であり、例えば、AC100Vを受電する電源部51、この電源部51に接続されたバッテリ充電回路52、及びこのバッテリ充電回路52により充電されるバッテリ53、及び特定小電力無線を受信する無線アンテナ54を有している。無線アンテナ54には、特定小電力無線部55が接続され、この特定小電力無線部55に、無線中継警報局全体をプログラム制御する制御部(例えば、MPU)56が接続されている。
【0041】
MPU56には、操作スイッチ57、無線リンク表示灯(例えば、LED)58、及び警報灯点灯回路59が接続され、この警報灯点灯回路59により警報灯60が点灯制御される構成になっている。更に、MPU56には、音声出力部61が接続され、この音声出力部61に、警報音データ保存メモリ62、及びスピーカ駆動用増幅器(以下「アンプ」という。)63が接続され、このスピーカ駆動用アンプ63により駆動されるスピーカ64から警報音が出力される構成になっている。
【0042】
ここで、スピーカ64から出力される警報音は、警報音データ保存メモリ62内のデータを変更することにより、任意の警報音の出力が可能である。無線リンクLED58は、無線親局30と正常に通信が行われているか否かを確認するための無線通信状態確認用の表示灯である。無線中継警報局50は、通常はAC100Vで動作するが、AC100V接続時に、バッテリ充電回路52によって自動的に充電されるバッテリ53を内蔵しており、AC100Vが無い場合でも、例えば、10時間程度のバッテリ動作が可能である。又、各無線中継警報局50には、重複しない無線中継局番号を操作スイッチ57内の設定スイッチを用いて設定できる構成になっている。
【0043】
図10(a)〜(c)は、図2中の無線中継警報器50(50−1,50−2,・・・)の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は平面(上面)図である。
【0044】
各無線中継警報局50は、筐体65を有している。筐体65の平面(上面)には、無線親局30と無線中継警報局50間のデータを送受信するための特定小電力無線の無線アンテナ54と、操作スイッチ57中の中継局番号設定スイッチ57cと、無線親局30からの警報コマンドによって消灯・点滅を行う警報灯60と、中継局コントロール部66とが設けられ、これらが、筐体65の上面に取り付けられた枠状のガード67により保護されている。各無線中継局は、重複しない中継局番号を有するので、この中継局番号を中継局番号設定スイッチ57cにより設定する構成になっている。
【0045】
筐体65の正面には、無線親局30からの警報コマンドによって内蔵された警告音データ保存メモリ62内の音声データを出力するスピーカ64と、バッテリ動作の場合は使用しないが、外部電源を使用する場合にはAC100V電源を接続するためのACコネクタ68と、無線中継警報局50を使用する場合に電源を入れるための電源スイッチ69とが取り付けられている。
【0046】
図11は、図10中の中継局コントロール部66を示す詳細図である。
中継局コントロール部66は、マニュアルにて無線中継警報局50を操作する場合に使用するものであり、無線リンクLED58と、操作スイッチ57内の接続確認スイッチ57a及び警報停止スイッチ57bとを有している。
【0047】
無線リンクLED58は、無線親局30との無線通信状態を表示するものである。この無線リンクLED58の状態は、例えば、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線親局30との通信が行えない状態であることを示す。
・赤色点灯: 無線親局30と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線親局30と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0048】
接続確認スイッチ57aは、無線中継警報局50側から無線親局30へコマンドを送信し、無線親局30との通信を確認するためのスイッチである。通常は、設置の際、無線親局30側で「設置モード」にし、無線親局30からのコマンドを受信するので、無線親局30側で設置モードになっていない場合に使用する。
【0049】
警報停止スイッチ57bは、無線親局30からの警報出力命令によって出力された警報を強制的に停止するスイッチである。通常は、無線親局30側から停止コマンドが送られ、警報の出力が停止するが、何らかの原因で出力が停止しなかった場合に使用する。
【0050】
図12に、図2中の無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)の仕様例の概略図を示す。
【0051】
図13は、図2中の無線中継専用局70(70−1,・・・)の一例を示す概略の回路構成図である。
【0052】
各無線中継専用局70は、無線親局30又は上位の無線中継警報局50から警報信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信し、無線親局30又は上位の無線中継警報局50から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、更に、下位の無線中継警報局50からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信するための警報を出力しない無線中継専用の端末である。
【0053】
具体的には、これらの各無線中継専用局70は、例えば、AC100Vを受電する電源部71、この電源部71に接続されたバッテリ充電回路72、及びこのバッテリ充電回路72により充電されるバッテリ73、及び特定小電力無線を受信する無線アンテナ74を有している。無線アンテナ74には、特定小電力無線部75が接続され、この特定小電力無線部75に、無線中継専用局全体をプログラム制御する制御部(例えば、MPU)76が接続されている。MPU76には、操作スイッチ77、及び無線リンク表示灯(例えば、LED)78が接続されている。
【0054】
図14(a)〜(c)は、図2中の無線中継専用局70(70−1,・・・)の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は平面(上面)図である。
【0055】
各無線中継専用局70は、筐体79を有している。筐体79の平面(上面)には、無線親局30と無線中継専用局70間のデータを送受信するための特定小電力無線の無線アンテナ74と、中継局コントロール部80とが設けられている。筐体79の正面には、バッテリ動作の場合は使用しないが、外部電源を使用する場合にはAC100V電源を接続するためのACコネクタ81と、無線中専用局70を使用する場合に電源を入れるための電源スイッチ82とが取り付けられている。
【0056】
図15は、図14中の中継局コントロール部80を示す詳細図である。
中継局コントロール部80は、マニュアルにて無線中継専用局70を操作する場合に使用するものであり、無線リンクLED78と、操作スイッチ77内の接続確認スイッチ77a及び中継局番号設定スイッチ77bとを有している。
【0057】
無線リンクLED78は、無線親局30との無線通信状態を表示する。この無線リンクLED78の状態は、例えば、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線親局30との通信が行えない状態であることを示す。
・赤色点灯: 無線親局30と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線親局30と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0058】
(緊急地震速報の無線配信システムの機能)
本無線配信システムは、工事現場等での使用を目的としているので、工事現場等での環境・条件に適したシステムにするため、各環境・条件下での使用を考慮した次のような機能を有している。
【0059】
無線親局30、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70は、無線通信のための複数の周波数チャンネルを有すると共に、各無線親局30、各無線中継警報局50又は各無線中継専用局70は、フィールドにおける各周波数チャンネルのノイズレベルを確認するノイズ確認機能を有し、無線通信開始時においては、無線親局30が所定のノイズレベル(例えば、−127dBm以下)より小さな周波数チャンネルを選択するようにして無線通信を行う。
【0060】
又、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70は、それぞれ、少なくともノイズレベル、受信感度及びバッテリ充電状態の中継局ステータスを保有する。安定した通信が行える電波環境に子局を適切に配置することを目的として、設置時においては、無線親局30は、無線通信により各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70の中継局ステータスを確認することで、各無線中継警報局50及び無線中継専用局70の電波状態(例えば、ノイズレベルや受信感度等)を確認する機能を有している。更に、配置されている子局の生存状態及び通信状態の良否を確認することを目的として、通常運用時においては、無線親局30は、無線通信により各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70の中継局ステータスを所定の時間毎に自動的に取得して確認を行い、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70のそれぞれの中継局ステータスを管理している。
【0061】
具体的には、本無線配信システムは、例えば、以下の機能(1)〜(6)を有している。
【0062】
(1) 無線マルチ同報通信機能
図1は、本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す無線マルチ同報通信の模式図である。
【0063】
本無線配信システムは、特定小電力無線を用いて、無線親局30と無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)が通信を行い、地震発生時に表示灯・警告音による表示を行う。無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)は複数台設置され、無線親局30と通信を行うが、無線親局30から離れていたり、無線親局30との間に障害物90−1,90−2,90−3が存在する等すると、無線親局30と直接通信ができないことがある。そこで本無線配信システムでは、無線親局30から同報送信されたデータを、無線が到達する通信エリア91−1内の無線中継局(例えば、無線中継専用局70−1,70−2)がデータを受信すると共に、各無線中継局(例えば、無線中継専用局70−1,70−2)の通信エリア91−2,91−3内にある他の無線中継局へ(例えば、無線中継専用局70−1から無線中継警報局50−1へ、無線中継専用局70−2から無線中継専用局70−3へ、更に無線中継専用局70−3からこの通信エリア91−5,91−6内の無線中継警報局50−2,50−3へ)、タイミングをずらして順にデータを同報中継する「マルチ同報通信」にて通信を行う。このようなマルチ同報通信によって、広い通信エリア91−1〜91−6での同報通信が行えると共に、障害物90−1〜90−3が存在して電波の届き難い場所へも無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)を追加することによって簡単に送信することができ、又、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることも可能となる。
【0064】
図1の無線マルチ同報通信においては、各無線局は以下の中継経路で受信される。
・無線中継専用局70−1,70−2は、無線親局30から直接データを受信する。
・無線中継警報局50−1は、無線中継専用局70−1の中継データを受信する。
・無線中継専用局70−3は、無線中継専用局70−2の中継データを受信する。
・無線中継警報局50−2は、無線中継専用局70−3の中継データを受信する。
・無線中継警報局50−3は、無線中継専用局70−2の中継データを受信する。又、無線中継専用局70−2からのデータを受信できなかった場合は、無線中継専用局70−3からの中継データを受信することもでき、通信の二重化が図れている。
【0065】
(2) 無線配信システム通常動作時の機能
図4に示す無線親局30では、無線中継局の状況を確認するため、無線アンテナ37及び特定小電力無線部36を介してMPU34により、定期的にステータス情報を取得して無線中継局の状態を監視する。取得されるステータス情報は、例えば、以下のものである。
・無線中継局の受信レベル
・無線中継局のフロアノイズレベル
・無線中継局の中継経路情報
・電源状態(AC電源動作・バッテリ動作)
・バッテリ充電状況
【0066】
無線親局30では、無線中継局のステータス情報を受信すると、表示を更新し、現在の無線中継局の状態を無線中継局ステータス表示部35によりリアルタイムに表示する。又、同時に、図3に示す受信端末PC20において、無線システム管理プログラム21aにより、表示部25の画面上に、無線中継局のステータス情報をグラフィカルに表示することも可能である。更に、定期的に取得されるステータス情報に通信異常等が発生すると、上位側アプリケーションによって無線中継局の異常をメール等にて知らせることも可能である。
【0067】
図16は、図3の受信端末PC20の表示部25における表示画面の例を示す図である。
【0068】
(3) 地震警報通知時の機能
図3の受信端末PC20において緊急地震速報を受信・解析した結果、各無線中継警報局50で警報を出力する必要がある場合、図4の無線親局30では、受信端末PC20からのコマンドを受け、表示灯・警報音による警報出力コマンドを無線同報通信にて配信し、警報の出力を行う。警報の出力を止める場合は、受信端末PC20からの出力停止命令を受け、各無線中継警報局50へ警報停止コマンドを送信する。なんらかの原因で、無線中継警報局50の警報出力が止まらなかった場合、無線中継警報局50に付いている図11の警報停止スイッチ57bにて、マニュアルで停止することも可能である。警告音は図9の無線中継警報局50に内蔵されているメモリ62内のデータを書き換えることにより、任意の音声を出力することが可能である。
【0069】
(4) 無線中継局設置時の機能
工事現場等においては、作業の進み具合により緊急地震速報の警報を警告したい場所が変わる。そこで、無線中継局(例えば、図10の無線中継警報局50、及び図14の無線中継専用局70)では、簡単に任意の場所へ設置できるように、以下の機能を持つ。
・無線中継局の設置時には、無線親局30を図7の設置モードスイッチ39bによって「設置モード」にすることにより、数秒間隔で無線親局30からデータの送信が行われる。無線中継局は、データを受信すると、図11及び図15の無線リンクLED58,78を点灯させてデータの受信を知らせる。そこで、無線中継局を設置したい場所へ持って行く際、無線でのデータ通信が行えるか否かを確認しながら設置を行うことが可能である。
【0070】
更に、受信端末PC20における表示部25の表示画面において、無線中継警報局50での受信感度を表示することも可能であるので、設置場所の電波状態が良好なのか否かを判断することができ、確実に電波の届く通信エリア内に設置することができる。無線親局30から直接電波の届かない場所へ設置したい際は、間に無線中継専用局70を置くことにより、前述したマルチ同報通信で通信を行うことが可能である。
・図3の受信端末PC20内に設けられる無線システム管理プログラム21aでは、無線中継局のステータス情報を表示部25にリアルタイムで表示することができ、無線親局30の設置場所から無線中継局の設置状況を確認することが可能である。
・無線親局30が「設置モード」になっていない場合でも、無線中継局の図11及び図15の接続確認スイッチ57a,77aを押すことにより、無線通信の確認を行うことが可能である。
・状況により無線中継局の使用台数が変わるため、無線親局30では、図6の使用切り替えスイッチ35dにより、使用する無線中継局を簡単に変更することができる。これにより、使用している中継局全てにデータの送信が行われているか否かを図6の使用LED35c及び接続LED35aによりチェックすることが可能である。
・無線中継局は、図10及び図14に示すように、簡易的に持ち運べるよう軽量で持ち運びを考慮した形状を持つ。
・工事現場等での使用を考慮し、防塵・防水性能を持つ。
・無線中継局は通常AC100Vで動作するが、図9及び図13のバッテリ53,73を内蔵しているため、AC100Vがない場合でもバッテリ53,73にて動作可能である。バッテリ53,73の充電状態はステータス情報として送信されるので、バッテリ電圧の低下を無線親局30における図6のバッテリLED35bで確認することが可能である。
【0071】
(5) 使用するデータフォーマット
図1の無線配信システムで使用するデータフォーマットの形式としては、種々のものが使用可能である。
【0072】
例えば、同報信号である警報信号は、警報出力データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。同報信号である中継局ステータス取得信号は、警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。更に、アンサ信号は、警報信号に対応する警報状態データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式、又は、中継局ステータス取得信号に対応する警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。このように警報信号、中継局ステータス取得信号、及び、アンサ信号のデータフォーマット形式の内容を変えることにより、混信等を避けた信頼性の高い無線通信が可能になる。
【0073】
しかし、本実施例1では、これらのデータフォーマット形式に限定されず、例えば、図17に示すような簡易型のデータフォーマット形式を使用して通信機器の簡易化を図ることも可能である。
【0074】
図17(a)、(b)は、図1の無線配信システムで使用する簡易型のデータフォーマット形式の例を示す構成図である。
【0075】
無線通信で使用するような図17(a)に示すデータフォーマット100は、例えば、4バイトのヘッダデータ101と、4バイトの中継ステータスデータ102と、10バイトの中継経路データ103とからなる18バイトのデータである。4バイトのヘッダデータ101は、1バイトの送信データタイプ、1バイトのシーケンス番号、1バイトの中継局使用フラグ、及び1バイトの中継局受信レベルフラグにより構成されている。4バイトの中継局ステータスデータ102は、1バイトの中継局番号、1バイトの中継局タイプ、1バイトのバッテリ電圧、及び1バイトのAC電源使用フラグにより構成されている。10バイトの中継経路データ103は、1バイトの中継経路カウンタ、1バイトの最大中継数、及び8バイトの中継経路情報により構成されている。
【0076】
又、図17(b)に示すデータフォーマット100Aは、例えば、3バイトのヘッダデータ101と、5バイトの中継局ステータスデータ102と、1バイトの警報情報データ又は警報出力データ102aと、10バイトの中継経路データ103と、5バイトの予備データ104とからなる24バイトのデータである。3バイトのヘッダデータ101は、1バイトの送信データタイプ、1バイトのシーケンス番号、及び1バイトの中継局使用フラグにより構成されている。5バイトの中継局ステータスデータ102は、1バイトの中継局受信レベルフラグ、1バイトの中継局番号、1バイトの中継局タイプ、1バイトのバッテリ電圧、及び1バイトのAC電源使用フラグにより構成されている。10バイトの中継経路データ103は、1バイトの中継経路カウンタ、1バイトの最大中継数、及び8バイトの中継経路情報により構成されている。
【0077】
(6) 使用する無線周波数チャンネルの設定機能
無線で使用するチャンネルが、他のトランシーバ等の無線機と同一チャンネルの場合、特定小電力無線の制約上同時に送信を行うことができず、通信障害になってしまう。そこで、本無線配信システムでは、例えば、以下の機能にて使用するチャンネルを決定する。
【0078】
無線で使用できる40チャンネルを1〜10、11〜20、21〜30、31〜40と4つのグループに分ける。工事現場等で使用するトランシーバ等、他の無線機のチャンネルと本無線配信システムで使用するチャンネルのグループを、前記4グループの別々の範囲を使用するように指示する。
【0079】
無線親局30では、この無線親局30の設置場所で使用するのに最適な無線周波数チャンネルを決定するため、使用するグループ内の10チャンネルのフィールドのフロアノイズレベルを測定し、最もフロアノイズレベルの低い周波数チャンネルを使用する。ここで決定された周波数チャンネルがシステム全体で使用する周波数チャンネルとなる。
【0080】
(使用周波数チャンネルの決定方法)
本無線配信システムにおいて使用する周波数チャンネルは、例えば、以下の(A)、(B)の方法により決定される。
【0081】
(A) 無線親局30でのチャンネルサーチシーケンス
図18は、図4の無線親局30でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【0082】
図4の無線親局30では、起動時と、受信端末PC20からのリクエスト時とに、以下の図18のフローに従い、チャンネルサーチを行う。
【0083】
無線親局30のMPU34では、受信端末PC20内の無線システム管理プログラム21aに従い、チャンネルサーチを開始し(ステップS1)、使用するチャンネルグループを決定し(ステップS2)、グループ内の最初のチャンネルにセットし(ステップS3)、無線親局30が設置された場所の各無線周波数チャンネルのフロアノイズレベルを測定する(ステップS4)。
【0084】
測定結果を測定済みレベルと比較し(ステップS5)、ノイズレベルが大きいか否かを判定し(ステップS6)、測定済みのレベルより小さい時は、測定済みレベルと比較し(ステップS7)、使用チャンネルとしてセットし(ステップS8)、次のチャンネルにセットする(ステップS9)。ステップS6において、測定済みのレベルより大きい時には、ステップS9へ進む。
【0085】
全チャンネルをサーチしたか否かを判定し(ステップS10)、全チャンネルが未サーチの時には、ステップS4へ戻り、全チャンネルがサーチ済みの時には、チャンネルサーチを終了する(ステップS11)。これにより、使用するのに最適な無線周波数チャンネルが決定される。
【0086】
(B) 無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50及び図13の無線中継専用局70)のチャンネルサーチシーケンス
無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50及び図13の無線中継専用局70)では、無線親局30で決定されたチャンネルを使用して無線通信を行う。しかし、無線中継局では、起動時と、定時ステータスリクエストコマンドを受信してから、一定時間たっても定時ステータスリクエストを受信しない場合とに、チャンネルサーチを行う。
【0087】
図19は、無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【0088】
図9の無線中継警報局50のMPU56、及び図13の無線中継専用局70のMPU76では、チャンネルサーチを開始すると(ステップS20)、データを受信待ちし(ステップS21)、データが受信されたか否かを判定する(ステップS22)。データが受信されない場合は、一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS23)、経過していない時にはステップS21へ戻り、一定時間を経過している時には、次のチャネルにセットし(ステップS24)、ステップS21へ戻る。
【0089】
ステップS22において、データが受信された時には、使用するチャンネルとしてセットし(ステップS25)、チャンネルサーチを終了する(ステップS26)。
【0090】
(各無線局の送受信シーケンス)
図20は、各無線局(例えば、図4の無線親局30、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)の送受信シーケンスを示すフローである。
【0091】
図4の無線親局30のMPU34、図9の無線中継警報局50のMPU56、或いは、図13の無線中継専用局70のMPU76では、図20のフローに従って送受信を行う。
【0092】
受信を待機し(ステップS30)、データを受信すると(ステップS31)、受信済みのデータか否かを判定する(ステップS32)。受信済みのデータかどうかは、シーケンス番号を確認して決定する。
【0093】
未受信の場合は、自局のステータス情報をセットし(ステップS33)、中継経路情報をセットし(ステップS34)、リトライカウンタをセットした後(ステップS35)、送信待ち時間をセットする(ステップS36)。データの同時送信によるキャリアセンス失敗を防ぐため、送信待ち時間を設けて送信タイミングを変える。送信待ち時間は、各中継局の局番号等から決定される。送信待ち時間が経過したか否かを判定し(ステップS37)、経過した時には、キャリアセンスを行い(ステップS38)、送信可能か否かを判定する(ステップS39)。送信可能であれば、データを同報送信する(ステップS40)。
【0094】
ステップS32において、受信済みの場合は、自局が中継したデータ可否かを判定する(ステップS41)。受信済み、且つ自局が中継したデータと言うのは、自局が送信したデータに対する戻りの情報である。自局が中継したデータの時は、中継経路情報をセットし(ステップS42)、ステップS35へ進む。また、ステップS41において、自局が中継したデータでない場合は、データを廃棄する(ステップS43)。
【0095】
ステップS39において、送信不可の時には、リトライカウンタをデクリメント(減算)し(ステップS44)、カウンタがゼロか否かを判定し(ステップS45)、ゼロ以上の時にはステップS36へ戻り、カウンタがゼロの時はリトライアウトとなってデータを破棄する(ステップD43)。
【0096】
図21は、図2の無線配信システムの配置例を示す図である。
1つの親局30と、複数の無線中継局111〜115が配置されている。各無線中継局111〜115は、無線中継警報局50又は無線中継専用局70により構成されている。図21中の破線は、各無線局の無線到達範囲(通信エリア)を示している。
【0097】
図22は、図21の通信シーケンスの例を示す図である。
【0098】
無線親局30と無線中継局111〜114は、例えば、以下の手順(1)〜(17)により通信シーケンスが実行される。
【0099】
(1) 無線中継局111及び112は、無線親局30から直接データを受信する(ステップ1,2)。
【0100】
(2) 各無線中継局111〜114は、データの同時送信による通信エラー(キャリアセンスの失敗)を避けるために送信タイミングを変えている。そこで、送信タイミングの早い無線中継局111が先に自局のステータスデータを送信する。無線中継局111から送信されたデータは、無線親局30及び無線中継局112で受信されるが、無線中継局112は既にデータを受信しているので(ステップ2)、このデータを無視する。無線親局30で受信された無線中継局111からのデータは、無線中継局111のステータス情報となる(ステップ3)。
【0101】
(3) 無線中継局112では、送信待ち時間経過後、データの同報送信を行う(ステップ4)。このデータは、無線親局30、中継局111,113,115で受信される。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局112のステータス情報となる(ステップ5)。無線中継局111で受信されたデータは、既に受信済みのために破棄される。無線中継局113,115においては、未受信であるから有効な中継データとして処理される。
【0102】
(4) 無線中継局113,115では一定時間送信待ちされ(ステップ6)、送信タイミングの早い無線中継局113が送信を開始する(ステップ7)。
【0103】
(5) 無線中継局113から送信されたデータは、無線中継局112,114,115にて受信される。
【0104】
(6) 無線中継局115では既に受信済みのためにデータは破棄される(ステップ8)。
【0105】
(7) 無線中継局114においては、未受信であるから有効な中継データとして処理される(ステップ9)。
【0106】
(8) 無線中継局112は既に受信済みであるが、自局が中継したデータのため、データを送信するために送信待ちとなる(ステップ10)。これは、無線中継局113のステータス情報を無線親局30へ送信するためである。そのため、送信するデータとしては自局のステータス情報ではなく、無線中継局113のステータス情報をそのまま送信する。
【0107】
(9) 送信タイミングの早い無線中継局112がデータを送信する(ステップ11)。このデータは無線親局30、中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では既に受信済みのためにデータは破棄される。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局113のステータス情報となる(ステップ12)。
【0108】
(10) ステップ13において、無線中継局115がキャリアセンスを試みるが、無線中継局112が送信中のためにキャリアセンスが失敗し再び送信待ちとなる。
【0109】
(11) 送信タイミングの早い無線中継局114がデータを送信する(ステップ14)。このデータは無線中継局113で受信され、無線中継局113では自局が送信したデータであるから、無線中継局114のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ15)。
【0110】
(12) 無線中継局115が送信待ち時間を終えてデータを送信する(ステップ16)。送信されたデータは無線中継局112,113で受信され、無線中継局112は自局が送信したデータであるから、無線中継局115のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ17)。なお、無線中継局113は、無線中継局115から受信されたデータについては破棄する。
【0111】
(13) ステップ18において、無線中継局113がキャリアセンスを試みるが、無線中継局115が送信中のためにキャリアセンスが失敗して再び送信待ちとなる。
【0112】
(14) 送信タイミングの早い無線中継局112がデータを送信する(ステップ19)。送信されたデータは、無線親局30、中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局115のステータス情報となる(ステップ20)。
【0113】
(15) 無線中継局113がデータの送信を行う(ステップ21)。送信されたデータは、無線中継局112,114,115で受信されるが、無線中継局114,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線中継局112は自局が送信したデータであるから、無線中継局114のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ22)。
【0114】
(16) 送信待ち時間経過後、無線中継局112がデータを送信する(ステップ23)。
【0115】
(17) 送信されたデータは、無線親局30、無線中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局114のステータス情報となる(ステップ24)。
【0116】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、特定小電力無線を用いて、無線親局30と無線中継局111〜114が通信を行い、地震発生時に表示灯・警報音による表示を行う。この際、無線親局30から同報送信されたデータを、各無線中継局111〜114がデータを受信すると共に、各無線中継局111〜114の通信エリア内にある他の無線中継局へ、データを同報中継するマルチ同報通信にて通信を行う。このマルチ同報通信によって、広い通信エリアでの同報通信が行えると共に、障害物があり電波の届き難い場所へも無線中継局を追加することによって簡単に送信することができ、しかも、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることもできる。
【0117】
従って、本無線配信システムを用いれば、工事現場等の電波の届き難い場所(地下での作業、鉄筋の陰等)において、複数台の無線中継局111〜114を用いることにより、広範囲に亘る無線同報通信を行うことができる。そのため、工事現場等においては、地震発生時の揺れが事故に繋がる可能性が高いため、本無線配信システムを用いて作業者へ広範囲に地震発生を伝え、事故防止に役立つことができる。
【0118】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
(a) 緊急地震速報の無線配信システムについて説明したが、緊急地震速報以外の他の警報情報の無線配信にも適用できる。
(b) 受信端末PC20、無線親局30、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70は、図示以外の回路構成に変更したり、或いは、これらを用いた通信シーケンス等は、図示以外の他の通信手順に変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す無線マルチ同報通信の模式図である。
【図2】本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す概略の構成図である。
【図3】図2中の受信端末PC20を示す概略の構成図である。
【図4】図2中の無線親局30の一例を示す概略の回路構成図である。
【図5】図2中の無線親局30の一例を示す概略の概観図である。
【図6】図5中の無線中継局ステータス表示部35を示す詳細図である。
【図7】図5中の親局制御スイッチ部39を示す詳細図である。
【図8】図2中の無線親局30の仕様例の概略を示す図である。
【図9】図2中の無線中継警報局50の一例を示す概略の回路構成図である。
【図10】図2中の無線中継警報器50の一例を示す概略の概観図である。
【図11】図10中の中継局コントロール部66を示す詳細図である。
【図12】図2中の無線中継警報局50の仕様例の概略を示す図である。
【図13】図2中の無線中継専用局70の一例を示す概略の回路構成図である。
【図14】図2中の無線中継専用局70の一例を示す概略の概観図である。
【図15】図14中の中継局コントロール部80を示す詳細図である。
【図16】図3の受信端末PC20の表示部25における表示画面の例を示す図である。
【図17】図1の無線配信システムで使用する簡易型のデータフォーマット形式の例を示す構成図である。
【図18】図4の無線親局30でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【図19】無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【図20】各無線局(例えば、図4の無線親局30、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)の送受信シーケンスを示すフローである。
【図21】図2の無線配信システムの配置例を示す図である。
【図22】図21の通信シーケンスの例を示す図である。
【図23】従来の無線通信方式を示す模式的な構成図である。
【図24】建築現場等のようなフィールドを示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
【0120】
19 リアルタイム地震防災システム
20 受信端末PC
21a 無線システム管理プログラム
30 無線親局
34,56,76 MPU
36,55,75 特定小電力無線部
37,54,74 無線アンテナ
50,50−1〜50−8 無線中継警報局
70,70−1〜70−7 無線中継専用局
100,100A データフォーマット
111〜114 無線中継局
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の速報配信(例えば、気象庁により配信される緊急地震速報等に基づく警報情報)を受信した際に、特定小電力無線(例えば、数mW〜数十mWで、通信距離が数百m程度と短い。)を用いて、遠隔で作業を行う作業者等の近傍に設置された複数の無線中継局へ同報通信を行い、警報表示(例えば、警告灯)及び警報アラーム(例えば、警報音)による警報を出力するための無線配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図23(a)〜(c)は、下記の特許文献1〜4等に記載された従来の無線通信方式を示す模式的な構成図である。
【0003】
【特許文献1】特開平5−292577号公報
【特許文献2】特開平6−315183号公報
【特許文献3】特開平8−98227号公報
【特許文献4】特開平9−252278号公報
【特許文献5】特開2006−292663号公報
【0004】
従来の無線通信方式において、親局から子局へ無線にてデータを送受信する方式としては、図23(a)に示す1:1方式や、図23(b)、(c)に示す1:N方式が知られている。
【0005】
図23(a)の1:1方式は、無線親局1と無線子局2との間で、無線にてデータを送受信する方式である。図23(b)の1:N方式は、無線親局1と複数の無線子局2−1〜2−Nとの間で、同一のチャンネル(周波数)を用いてデータを送受信する方式である。図23(c)の方式は、特許文献2〜4に記載されているように、無線親局1の電波到達範囲(通信エリア)内では、1:N方式により、無線親局1と複数の無線子局2−1〜2−Nとの間で、同一のチャンネルを用いてデータを送受信し、無線親局1の電波到達範囲外では、この無線親局1の電波到達範囲内に設けた無線中継局3を介して、1:N方式により、その無線中継局3と複数の無線子局4−1〜4−Nとの間で、異なるチャンネルを用いてデータの送受信をする。
【0006】
特許文献1に記載された無線通信方式では、例えば、図23(b)において、全ての無線子局2−1〜2−Nに中継機能を設け、複数の無線子局2−1〜2−N間においてもデータの送受信を行わせて、無線親局1と、このエリア外の無線子局(例えば、2−M)との間でも、他の無線子局2−1〜2−Nを介してデータの送受信が行えるようにしている。
【0007】
近年、地震等の速報配信(例えば、特許文献5に記載されているように、気象庁により緊急地震速報の配信)が行われている。
【0008】
図24は、例えば、建築現場等のようなフィールドを示す模式的な構成図である。
建築現場等のようなフィールドでは、例えば、主の仮設事務所10、従の仮設事務所11、及び、建築中ビル12等が設置されている。このようなフィールドにおいて、例えば、図23(c)に示す無線通信方式の特定小電力無線を適用して、緊急地震速報の無線配信システムを構築し、建築中ビル12中の作業者に対して、「地震がまもなく発生する」旨の警報を通知することが考えられる。
【0009】
この場合、例えば、主の仮設事務所1内に、緊急地震速報5を通信線6を介して受信する受信端末のパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)7と、この受信端末PC7の出力信号に基づき、特定小電力無線にて警報信号を発する無線親局1とが設けられる。主の仮設事務所10と建築中ビル12との距離が長い場合は、その建築中ビル12の近傍に設置された従の仮設事務所11内に、無線親局1からの警報信号を受信して転送する無線中継局3が設けられる。建築中ビル12内の各所には、複数の無線子局4−1〜4−Nが設置され、これらの無線小局4−1〜4−Nにより、無線中継局3から転送された警報信号を受信し、作業者に対して警報を通知し、避難を促す。なお、無線中継局3に代えて、特許文献1に記載された中継機能を有する無線子局を設けても良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の図24に示すように、特定小電力無線を適用した緊急地震速報の無線配信システムでは、次の(a)〜(d)のような課題があった。
【0011】
(a) 無線親局1の通信エリア外に無線子局4−1〜4−Nを設置できない。
(b) 無線親局1の通信エリア内であったとしても、障害物により、満足に送受信できない場合がある。
(c) 無線子局4−1〜4−Nを無線親局1から離れた通信エリア外の場所に設置する際には、高所に無線中継局3を介在させるが、周囲に障害物が無い場所を選定しなければならず、配設場所が限定される。
(d) 無線子局4−1〜4−Nの全てに情報を伝送することは、障害物が有る場合は、困難なことが少なくない。この対策として、仮に、特許文献1に記載された中継機能を各無線子局4−1〜4−Nに単に付加したとしても、これらの各無線子局4−1〜4−N間に障害物がある場合は、全てに情報を伝送することが難しい。
【0012】
従って、従来の特許文献1〜5等の技術を単に組み合わせてみても、未だ技術的に十分満足のゆく信頼性の高い無線配信システムを構築することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築するために、制御命令(コマンド)を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び/又は中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、前記無線親局からの前記警報信号、及び/又は前記中継局ステータス取得信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局とを有している。
【0014】
前記複数の無線中継警報局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する構成になっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築したので、各無線中継警報局は、無線親局又は上位の無線中継警報局から警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信する。無線親局又は上位の無線中継警報局から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、下位の無線中継警報局からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信する。これにより、仮に、障害物等が有ったとしても、安定した信頼性の高い無線配信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
マルチ同報通信を用いて無線配信システムを構築するために、制御命令を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、前記無線親局からの前記警報信号、前記中継局ステータス取得信号又は他の制御信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局と、中継専用の無線中継専用局を有している。
【0017】
前記複数の無線中継警報局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する。
【0018】
前記無線中継専用局は、前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある前記同報信号を発信する。前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある前記同報信号を発信する。更に、前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する。
【実施例1】
【0019】
(緊急地震速報の無線配信システムの構成)
図2は、本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す概略の構成図である。
【0020】
この緊急地震速報の無線配信システムは、例えば、図24に示すような工事現場等(例えば、建築現場等)に設置され、受信端末PC20で解析された制御命令(例えば、地震情報のコマンド)により、マルチ同報通信を用いて、遠隔で作業を行う作業者に対して、地震発生を特定小電力無線にて配信するシステムである。受信端末PC20には、信号線29を介して無線親局30が接続されている。受信端末PC20と無線親局30とは、シリアル通信(例えば、インタフェース規格RS232C又はRS485)によりコマンドの送受信を行い、無線親局30にコマンドを送信することにより、特定小電力無線にて複数の無線中継局(例えば、無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)、及び無線中継専用局70(70−1,・・・))へデータの配信を行う。
【0021】
この際、無線親局30は、2種類の信号(例えば、警報信号と、中継局ステータス取得信号)を発信し、各無線中継警報局50は、3種類の信号(例えば、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの警報信号である信号と、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの中継局ステータス信号である信号と、下位から受けたことに伴って上位に発信するアンサ信号)を発信し、更に、各無線中継専用局50は、各無線中継警報局50と同様に、3種類(例えば、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの警報信号である信号と、上位向けのアンサ信号であると共に、下位向けの中継局ステータス信号である信号と、下位から受けたことに伴って上位に発信するアンサ信号)を発信する機能をそれぞれ有している。
【0022】
この無線配信システムでは、特に、緊急地震速報の受信・解析結果に基づき、受信端末PC20からの命令により、各無線中継警報局50の警報表示(例えば、表示灯)、及び警報アラーム(例えば、警報音)を制御する構成になっている。
【0023】
図3は、図2中の受信端末PC20を示す概略の構成図である。
受信端末PC20は、例えば、無線システム管理プログラム21aを実行する制御部21、指定ポート番号でコネクタを持ったTCP(Transmission Control Protocol)サーバ22、シリアルインタフェース23、無線システムの各種設定を行う操作部24、及び無線の状態表示を行う表示部25等を備えている。受信端末PC20は、TCPサーバ22に接続されたリアルタイム地震防災システム19とインターネット上の通信プロトコルTCP/IP(Internet Protocol)で通信を行い、リアルタイム地震防災システム19からのコマンドを受け、シリアルインタフェース23及び信号線29を介して接続された無線親局30へシリアル通信にてコマンドの送受信を行い、無線の制御を行う。
【0024】
本無線配信システムは、受信端末PC20に格納された無線システム管理プログラム21aに従い、無線親局30が受信端末PC20からのコマンドを受け、各種動作を行う。無線親局30との通信には、例えばRS232Cシリアルインタフェースを使用するが、リアルタイム地震防災システム19とのインタフェースには、無線システム管理プログラム21aを通し、通信プロトコルTCP/IPにて通信を行う。又、無線システム管理プログラム21aは、各無線中継局(例えば、各無線中継警報局50、及び各無線中継専用局70)のステータスの表示、及び無線親局30のパラメータの設定等を行う。
【0025】
図4は、図2中の無線親局30の一例を示す概略の回路構成図である。
無線親局30は、受信端末PC20とシリアル通信によりコマンドの送受信を行い、受信端末PC20からコマンドを受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び中継局ステータス取得信号を同報配信する機能を有する端末であり、例えば、直流(以下「DC」という。)5Vを受電する電源部31と、受信端末PC20と信号線29により接続されたインタフェースコンバータ32と、操作スイッチ33とを有している。インタフェースコンバータ32及び操作スイッチ33には、無線親局全体をプログラム制御する制御部(例えば、超小型演算処理装置、以下「MPU」という。)34が接続されている。MPU34には、無線中継局ステータス表示部35、及び特定小電力無線部36が接続され、更に、この特定小電力無線部36に無線アンテナ37が接続されている。
【0026】
無線親局30は、受信端末PC20からのコマンドによって、無線中継局(例えば、各無線中継警報局50、及び各無線中継専用局70)へデータの送受信を行うものであり、受信端末PC20からのコマンドによってMPU34により制御できる機能は、例えば、各無線中継警報局50の表示灯の制御(点滅・消灯)、各無線中継警報局50の警報音の制御、及び、各無線中継警報局50のステータス情報の取得である。更に、無線親局30は、起動時、又は受信端末PC20からのリクエスト時に、無線親局30の置かれた各無線周波数チャンネルのフロアノイズレベルを測定し、使用するのに最適な無線周波数チャンネルを決定する機能も有している。
【0027】
図5(a)〜(c)は、図2中の無線親局30の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は背面図である。
【0028】
無線親局30は、筐体38を有し、この筐体38の正面に、無線中継局ステータス表示部35、及び、操作スイッチ33を構成する親局制御スイッチ部39が設けられ、その筐体38の平面(上面)に、この無線親局30と無線中継局間のデータを送受信するための特定小電力無線のアンテナ37が取り付けられている。筐体38の背面には、操作スイッチ33を構成する電源スイッチ40、RS232Cコネクタ41、RS485コネクタ42、及び交流(以下「AC」という。)アダプタコネクタ43が設けられている。
【0029】
電源スイッチ40は、無線親局30を使用する場合、このスイッチ40にて電源を入れる。RS232Cコネクタ41は、受信端末PC20とRS232Cを用いて通信する場合、このコネクタ41を使用する。RS485コネクタ42は、受信端末PC20とRS485を用いて通信する場合、このコネクタ42を使用する。無線親局30を受信端末PC20から離して使用したい場合(長距離伝送)、RS485を使用する。ACアダプタコネクタ43は、ACアダプタを接続するためのコネクタである。
【0030】
図6は、図5中の無線中継局ステータス表示部35を示す詳細図である。
無線中継局ステータス表示部35は、無線中継局ステータス状態の表示を行う部分であり、例えば、中継局(子局)1〜8までの各中継局(子局)のステータスの表示を行うための表示部35−1〜35−8により構成されている。各表示部35−1〜35−8には、表示灯(例えば、発光ダイオード、以下「LED」という。)により接続状態を表示する接続LED35a、バッテリ状態を表示するバッテリLED35b、使用状態を表示する使用LED35c、及び使用LED・使用切り替えスイッチ35dが設けられている。
【0031】
接続LED35aは、無線中継局との無線通信状態を表示する。接続LED35aの状態は、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線中継局との通信が行えない状態であることを示す。又、その無線中継局を使用しない場合にも消灯となる。
・赤色点灯: 無線中継局と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線中継局と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0032】
バッテリLED35bは、無線中継局のバッテリの状態を示す。バッテリLED35bの状態は、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線中継局が外部電源(AC100V)にて動作していることを示す。又、その無線中継局を使用しない場合にも消灯となる。
・緑色点灯: 無線中継局がバッテリで動作し、充電状態も良好であることを示す。
・赤色点灯: 無線中継局がバッテリで動作しているが、充電が少なくなってことを示す。
【0033】
使用LED・使用切り替えスイッチ35dにおいて、各無線中継局を使用する場合は、使用切り替えスイッチ35dを押すことによって、無線中継局の使用を指示する。使用中の場合は、使用LED35cが点灯する。又、使用状態(使用LED35cが点灯状態)で、再度使用切り替えスイッチ35dを押すことによって、不使用状態へ切り替えることができる。
【0034】
図7は、図5中の親局制御スイッチ部39を示す詳細図である。
親局制御スイッチ部39は、マニュアル(手動)にて無線配信を行うときに使用するものであり、接続確認スイッチ39a、設置モードスイッチ39b、訓練警報スイッチ39c、警報音出力切り替えスイッチ39d、及び警報停止スイッチ39eを有している。
【0035】
接続確認スイッチ39aは、このスイッチ39aを押すと、通常は定期的に取得しているステータス取得コマンドを、マニュアルにて送信することにより、無線中継局のステータス状態を確認することができる。取得が完了すると、ステータス表示部35の表示が変わる。
【0036】
設置モードスイッチ39bは、無線中継局を設置する際に、このスイッチ39bを押して設置モードにする。スイッチ39bが押されると、設置モードであることを示すため、スイッチ39bに付いているLEDが点灯する。設置が完了したら、再度スイッチ39bを押すことにより、設置モードを解除する。
【0037】
訓練警報スイッチ39c及び警告音出力切り替えスイッチ39dにおいて、訓練警報スイッチ39cを押すことにより、各中継警報局の警報を出力することができる。出力する警告の種類は、警告音出力切り替えスイッチ39dにより切り替えることができ、出力切り替えスイッチ39dを押すたびに、訓練警報スイッチ39cのLED状態が変化する。訓練警報スイッチ39cのLEDが消灯している場合は、表示灯による表示のみ出力する。訓練警報スイッチ39cのLEDが点灯している場合は、表示灯による表示と同時に、警告音も出力する。警報停止スイッチ39eは、各無線中継警報局50の警報を停止したい場合、このスイッチ39eを押す。
【0038】
図8に、図2中の無線親局30の仕様例の概略図を示す。
図9は、図2中の無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)の一例を示す概略の回路構成図である。
【0039】
上位及び下位の各無線中継警報局50は、無線親局30からの警報信号、中継局ステータス取得信号又は他の制御信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う端末である。特に、これらの各無線中継警報局50は、無線親局30又は上位の無線中継警報局から警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信し、無線親局30又は上位の無線中継警報局から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、更に、下位の無線中継警報局からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信する機能を有している。
【0040】
具体的には、これらの各無線中継警報局50は、無線親局30から送信された制御データを特定小電力無線で受信して表示灯の点滅制御、及び警告音の出力を行うと共に、受信したデータを次の無線中継局へ中継するための端末であり、例えば、AC100Vを受電する電源部51、この電源部51に接続されたバッテリ充電回路52、及びこのバッテリ充電回路52により充電されるバッテリ53、及び特定小電力無線を受信する無線アンテナ54を有している。無線アンテナ54には、特定小電力無線部55が接続され、この特定小電力無線部55に、無線中継警報局全体をプログラム制御する制御部(例えば、MPU)56が接続されている。
【0041】
MPU56には、操作スイッチ57、無線リンク表示灯(例えば、LED)58、及び警報灯点灯回路59が接続され、この警報灯点灯回路59により警報灯60が点灯制御される構成になっている。更に、MPU56には、音声出力部61が接続され、この音声出力部61に、警報音データ保存メモリ62、及びスピーカ駆動用増幅器(以下「アンプ」という。)63が接続され、このスピーカ駆動用アンプ63により駆動されるスピーカ64から警報音が出力される構成になっている。
【0042】
ここで、スピーカ64から出力される警報音は、警報音データ保存メモリ62内のデータを変更することにより、任意の警報音の出力が可能である。無線リンクLED58は、無線親局30と正常に通信が行われているか否かを確認するための無線通信状態確認用の表示灯である。無線中継警報局50は、通常はAC100Vで動作するが、AC100V接続時に、バッテリ充電回路52によって自動的に充電されるバッテリ53を内蔵しており、AC100Vが無い場合でも、例えば、10時間程度のバッテリ動作が可能である。又、各無線中継警報局50には、重複しない無線中継局番号を操作スイッチ57内の設定スイッチを用いて設定できる構成になっている。
【0043】
図10(a)〜(c)は、図2中の無線中継警報器50(50−1,50−2,・・・)の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は平面(上面)図である。
【0044】
各無線中継警報局50は、筐体65を有している。筐体65の平面(上面)には、無線親局30と無線中継警報局50間のデータを送受信するための特定小電力無線の無線アンテナ54と、操作スイッチ57中の中継局番号設定スイッチ57cと、無線親局30からの警報コマンドによって消灯・点滅を行う警報灯60と、中継局コントロール部66とが設けられ、これらが、筐体65の上面に取り付けられた枠状のガード67により保護されている。各無線中継局は、重複しない中継局番号を有するので、この中継局番号を中継局番号設定スイッチ57cにより設定する構成になっている。
【0045】
筐体65の正面には、無線親局30からの警報コマンドによって内蔵された警告音データ保存メモリ62内の音声データを出力するスピーカ64と、バッテリ動作の場合は使用しないが、外部電源を使用する場合にはAC100V電源を接続するためのACコネクタ68と、無線中継警報局50を使用する場合に電源を入れるための電源スイッチ69とが取り付けられている。
【0046】
図11は、図10中の中継局コントロール部66を示す詳細図である。
中継局コントロール部66は、マニュアルにて無線中継警報局50を操作する場合に使用するものであり、無線リンクLED58と、操作スイッチ57内の接続確認スイッチ57a及び警報停止スイッチ57bとを有している。
【0047】
無線リンクLED58は、無線親局30との無線通信状態を表示するものである。この無線リンクLED58の状態は、例えば、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線親局30との通信が行えない状態であることを示す。
・赤色点灯: 無線親局30と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線親局30と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0048】
接続確認スイッチ57aは、無線中継警報局50側から無線親局30へコマンドを送信し、無線親局30との通信を確認するためのスイッチである。通常は、設置の際、無線親局30側で「設置モード」にし、無線親局30からのコマンドを受信するので、無線親局30側で設置モードになっていない場合に使用する。
【0049】
警報停止スイッチ57bは、無線親局30からの警報出力命令によって出力された警報を強制的に停止するスイッチである。通常は、無線親局30側から停止コマンドが送られ、警報の出力が停止するが、何らかの原因で出力が停止しなかった場合に使用する。
【0050】
図12に、図2中の無線中継警報局50(50−1,50−2,・・・)の仕様例の概略図を示す。
【0051】
図13は、図2中の無線中継専用局70(70−1,・・・)の一例を示す概略の回路構成図である。
【0052】
各無線中継専用局70は、無線親局30又は上位の無線中継警報局50から警報信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの警報信号でもある同報信号を発信し、無線親局30又は上位の無線中継警報局50から中継局ステータス取得信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に下位の無線中継警報局向けの中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、更に、下位の無線中継警報局50からアンサ信号を受信した際には、無線親局向け又は上位の無線中継警報局向けに、受信したアンサ信号を発信するための警報を出力しない無線中継専用の端末である。
【0053】
具体的には、これらの各無線中継専用局70は、例えば、AC100Vを受電する電源部71、この電源部71に接続されたバッテリ充電回路72、及びこのバッテリ充電回路72により充電されるバッテリ73、及び特定小電力無線を受信する無線アンテナ74を有している。無線アンテナ74には、特定小電力無線部75が接続され、この特定小電力無線部75に、無線中継専用局全体をプログラム制御する制御部(例えば、MPU)76が接続されている。MPU76には、操作スイッチ77、及び無線リンク表示灯(例えば、LED)78が接続されている。
【0054】
図14(a)〜(c)は、図2中の無線中継専用局70(70−1,・・・)の一例を示す概略の概観図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、及び同図(c)は平面(上面)図である。
【0055】
各無線中継専用局70は、筐体79を有している。筐体79の平面(上面)には、無線親局30と無線中継専用局70間のデータを送受信するための特定小電力無線の無線アンテナ74と、中継局コントロール部80とが設けられている。筐体79の正面には、バッテリ動作の場合は使用しないが、外部電源を使用する場合にはAC100V電源を接続するためのACコネクタ81と、無線中専用局70を使用する場合に電源を入れるための電源スイッチ82とが取り付けられている。
【0056】
図15は、図14中の中継局コントロール部80を示す詳細図である。
中継局コントロール部80は、マニュアルにて無線中継専用局70を操作する場合に使用するものであり、無線リンクLED78と、操作スイッチ77内の接続確認スイッチ77a及び中継局番号設定スイッチ77bとを有している。
【0057】
無線リンクLED78は、無線親局30との無線通信状態を表示する。この無線リンクLED78の状態は、例えば、消灯・緑色点灯・赤色点灯の3つの状態を持ち、各状態によって以下の意味を持つ。
・消灯: 無線親局30との通信が行えない状態であることを示す。
・赤色点灯: 無線親局30と通信が行われたが、受信レベルが一定以下、又は受信レベルが測定されていない場合の状態を示す。
・緑色点灯: 無線親局30と通信が行われ、受信レベルが一定以上の状態を示す。
【0058】
(緊急地震速報の無線配信システムの機能)
本無線配信システムは、工事現場等での使用を目的としているので、工事現場等での環境・条件に適したシステムにするため、各環境・条件下での使用を考慮した次のような機能を有している。
【0059】
無線親局30、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70は、無線通信のための複数の周波数チャンネルを有すると共に、各無線親局30、各無線中継警報局50又は各無線中継専用局70は、フィールドにおける各周波数チャンネルのノイズレベルを確認するノイズ確認機能を有し、無線通信開始時においては、無線親局30が所定のノイズレベル(例えば、−127dBm以下)より小さな周波数チャンネルを選択するようにして無線通信を行う。
【0060】
又、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70は、それぞれ、少なくともノイズレベル、受信感度及びバッテリ充電状態の中継局ステータスを保有する。安定した通信が行える電波環境に子局を適切に配置することを目的として、設置時においては、無線親局30は、無線通信により各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70の中継局ステータスを確認することで、各無線中継警報局50及び無線中継専用局70の電波状態(例えば、ノイズレベルや受信感度等)を確認する機能を有している。更に、配置されている子局の生存状態及び通信状態の良否を確認することを目的として、通常運用時においては、無線親局30は、無線通信により各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70の中継局ステータスを所定の時間毎に自動的に取得して確認を行い、各無線中継警報局50及び各無線中継専用局70のそれぞれの中継局ステータスを管理している。
【0061】
具体的には、本無線配信システムは、例えば、以下の機能(1)〜(6)を有している。
【0062】
(1) 無線マルチ同報通信機能
図1は、本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す無線マルチ同報通信の模式図である。
【0063】
本無線配信システムは、特定小電力無線を用いて、無線親局30と無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)が通信を行い、地震発生時に表示灯・警告音による表示を行う。無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)は複数台設置され、無線親局30と通信を行うが、無線親局30から離れていたり、無線親局30との間に障害物90−1,90−2,90−3が存在する等すると、無線親局30と直接通信ができないことがある。そこで本無線配信システムでは、無線親局30から同報送信されたデータを、無線が到達する通信エリア91−1内の無線中継局(例えば、無線中継専用局70−1,70−2)がデータを受信すると共に、各無線中継局(例えば、無線中継専用局70−1,70−2)の通信エリア91−2,91−3内にある他の無線中継局へ(例えば、無線中継専用局70−1から無線中継警報局50−1へ、無線中継専用局70−2から無線中継専用局70−3へ、更に無線中継専用局70−3からこの通信エリア91−5,91−6内の無線中継警報局50−2,50−3へ)、タイミングをずらして順にデータを同報中継する「マルチ同報通信」にて通信を行う。このようなマルチ同報通信によって、広い通信エリア91−1〜91−6での同報通信が行えると共に、障害物90−1〜90−3が存在して電波の届き難い場所へも無線中継局(例えば、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70)を追加することによって簡単に送信することができ、又、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることも可能となる。
【0064】
図1の無線マルチ同報通信においては、各無線局は以下の中継経路で受信される。
・無線中継専用局70−1,70−2は、無線親局30から直接データを受信する。
・無線中継警報局50−1は、無線中継専用局70−1の中継データを受信する。
・無線中継専用局70−3は、無線中継専用局70−2の中継データを受信する。
・無線中継警報局50−2は、無線中継専用局70−3の中継データを受信する。
・無線中継警報局50−3は、無線中継専用局70−2の中継データを受信する。又、無線中継専用局70−2からのデータを受信できなかった場合は、無線中継専用局70−3からの中継データを受信することもでき、通信の二重化が図れている。
【0065】
(2) 無線配信システム通常動作時の機能
図4に示す無線親局30では、無線中継局の状況を確認するため、無線アンテナ37及び特定小電力無線部36を介してMPU34により、定期的にステータス情報を取得して無線中継局の状態を監視する。取得されるステータス情報は、例えば、以下のものである。
・無線中継局の受信レベル
・無線中継局のフロアノイズレベル
・無線中継局の中継経路情報
・電源状態(AC電源動作・バッテリ動作)
・バッテリ充電状況
【0066】
無線親局30では、無線中継局のステータス情報を受信すると、表示を更新し、現在の無線中継局の状態を無線中継局ステータス表示部35によりリアルタイムに表示する。又、同時に、図3に示す受信端末PC20において、無線システム管理プログラム21aにより、表示部25の画面上に、無線中継局のステータス情報をグラフィカルに表示することも可能である。更に、定期的に取得されるステータス情報に通信異常等が発生すると、上位側アプリケーションによって無線中継局の異常をメール等にて知らせることも可能である。
【0067】
図16は、図3の受信端末PC20の表示部25における表示画面の例を示す図である。
【0068】
(3) 地震警報通知時の機能
図3の受信端末PC20において緊急地震速報を受信・解析した結果、各無線中継警報局50で警報を出力する必要がある場合、図4の無線親局30では、受信端末PC20からのコマンドを受け、表示灯・警報音による警報出力コマンドを無線同報通信にて配信し、警報の出力を行う。警報の出力を止める場合は、受信端末PC20からの出力停止命令を受け、各無線中継警報局50へ警報停止コマンドを送信する。なんらかの原因で、無線中継警報局50の警報出力が止まらなかった場合、無線中継警報局50に付いている図11の警報停止スイッチ57bにて、マニュアルで停止することも可能である。警告音は図9の無線中継警報局50に内蔵されているメモリ62内のデータを書き換えることにより、任意の音声を出力することが可能である。
【0069】
(4) 無線中継局設置時の機能
工事現場等においては、作業の進み具合により緊急地震速報の警報を警告したい場所が変わる。そこで、無線中継局(例えば、図10の無線中継警報局50、及び図14の無線中継専用局70)では、簡単に任意の場所へ設置できるように、以下の機能を持つ。
・無線中継局の設置時には、無線親局30を図7の設置モードスイッチ39bによって「設置モード」にすることにより、数秒間隔で無線親局30からデータの送信が行われる。無線中継局は、データを受信すると、図11及び図15の無線リンクLED58,78を点灯させてデータの受信を知らせる。そこで、無線中継局を設置したい場所へ持って行く際、無線でのデータ通信が行えるか否かを確認しながら設置を行うことが可能である。
【0070】
更に、受信端末PC20における表示部25の表示画面において、無線中継警報局50での受信感度を表示することも可能であるので、設置場所の電波状態が良好なのか否かを判断することができ、確実に電波の届く通信エリア内に設置することができる。無線親局30から直接電波の届かない場所へ設置したい際は、間に無線中継専用局70を置くことにより、前述したマルチ同報通信で通信を行うことが可能である。
・図3の受信端末PC20内に設けられる無線システム管理プログラム21aでは、無線中継局のステータス情報を表示部25にリアルタイムで表示することができ、無線親局30の設置場所から無線中継局の設置状況を確認することが可能である。
・無線親局30が「設置モード」になっていない場合でも、無線中継局の図11及び図15の接続確認スイッチ57a,77aを押すことにより、無線通信の確認を行うことが可能である。
・状況により無線中継局の使用台数が変わるため、無線親局30では、図6の使用切り替えスイッチ35dにより、使用する無線中継局を簡単に変更することができる。これにより、使用している中継局全てにデータの送信が行われているか否かを図6の使用LED35c及び接続LED35aによりチェックすることが可能である。
・無線中継局は、図10及び図14に示すように、簡易的に持ち運べるよう軽量で持ち運びを考慮した形状を持つ。
・工事現場等での使用を考慮し、防塵・防水性能を持つ。
・無線中継局は通常AC100Vで動作するが、図9及び図13のバッテリ53,73を内蔵しているため、AC100Vがない場合でもバッテリ53,73にて動作可能である。バッテリ53,73の充電状態はステータス情報として送信されるので、バッテリ電圧の低下を無線親局30における図6のバッテリLED35bで確認することが可能である。
【0071】
(5) 使用するデータフォーマット
図1の無線配信システムで使用するデータフォーマットの形式としては、種々のものが使用可能である。
【0072】
例えば、同報信号である警報信号は、警報出力データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。同報信号である中継局ステータス取得信号は、警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。更に、アンサ信号は、警報信号に対応する警報状態データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式、又は、中継局ステータス取得信号に対応する警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式である。このように警報信号、中継局ステータス取得信号、及び、アンサ信号のデータフォーマット形式の内容を変えることにより、混信等を避けた信頼性の高い無線通信が可能になる。
【0073】
しかし、本実施例1では、これらのデータフォーマット形式に限定されず、例えば、図17に示すような簡易型のデータフォーマット形式を使用して通信機器の簡易化を図ることも可能である。
【0074】
図17(a)、(b)は、図1の無線配信システムで使用する簡易型のデータフォーマット形式の例を示す構成図である。
【0075】
無線通信で使用するような図17(a)に示すデータフォーマット100は、例えば、4バイトのヘッダデータ101と、4バイトの中継ステータスデータ102と、10バイトの中継経路データ103とからなる18バイトのデータである。4バイトのヘッダデータ101は、1バイトの送信データタイプ、1バイトのシーケンス番号、1バイトの中継局使用フラグ、及び1バイトの中継局受信レベルフラグにより構成されている。4バイトの中継局ステータスデータ102は、1バイトの中継局番号、1バイトの中継局タイプ、1バイトのバッテリ電圧、及び1バイトのAC電源使用フラグにより構成されている。10バイトの中継経路データ103は、1バイトの中継経路カウンタ、1バイトの最大中継数、及び8バイトの中継経路情報により構成されている。
【0076】
又、図17(b)に示すデータフォーマット100Aは、例えば、3バイトのヘッダデータ101と、5バイトの中継局ステータスデータ102と、1バイトの警報情報データ又は警報出力データ102aと、10バイトの中継経路データ103と、5バイトの予備データ104とからなる24バイトのデータである。3バイトのヘッダデータ101は、1バイトの送信データタイプ、1バイトのシーケンス番号、及び1バイトの中継局使用フラグにより構成されている。5バイトの中継局ステータスデータ102は、1バイトの中継局受信レベルフラグ、1バイトの中継局番号、1バイトの中継局タイプ、1バイトのバッテリ電圧、及び1バイトのAC電源使用フラグにより構成されている。10バイトの中継経路データ103は、1バイトの中継経路カウンタ、1バイトの最大中継数、及び8バイトの中継経路情報により構成されている。
【0077】
(6) 使用する無線周波数チャンネルの設定機能
無線で使用するチャンネルが、他のトランシーバ等の無線機と同一チャンネルの場合、特定小電力無線の制約上同時に送信を行うことができず、通信障害になってしまう。そこで、本無線配信システムでは、例えば、以下の機能にて使用するチャンネルを決定する。
【0078】
無線で使用できる40チャンネルを1〜10、11〜20、21〜30、31〜40と4つのグループに分ける。工事現場等で使用するトランシーバ等、他の無線機のチャンネルと本無線配信システムで使用するチャンネルのグループを、前記4グループの別々の範囲を使用するように指示する。
【0079】
無線親局30では、この無線親局30の設置場所で使用するのに最適な無線周波数チャンネルを決定するため、使用するグループ内の10チャンネルのフィールドのフロアノイズレベルを測定し、最もフロアノイズレベルの低い周波数チャンネルを使用する。ここで決定された周波数チャンネルがシステム全体で使用する周波数チャンネルとなる。
【0080】
(使用周波数チャンネルの決定方法)
本無線配信システムにおいて使用する周波数チャンネルは、例えば、以下の(A)、(B)の方法により決定される。
【0081】
(A) 無線親局30でのチャンネルサーチシーケンス
図18は、図4の無線親局30でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【0082】
図4の無線親局30では、起動時と、受信端末PC20からのリクエスト時とに、以下の図18のフローに従い、チャンネルサーチを行う。
【0083】
無線親局30のMPU34では、受信端末PC20内の無線システム管理プログラム21aに従い、チャンネルサーチを開始し(ステップS1)、使用するチャンネルグループを決定し(ステップS2)、グループ内の最初のチャンネルにセットし(ステップS3)、無線親局30が設置された場所の各無線周波数チャンネルのフロアノイズレベルを測定する(ステップS4)。
【0084】
測定結果を測定済みレベルと比較し(ステップS5)、ノイズレベルが大きいか否かを判定し(ステップS6)、測定済みのレベルより小さい時は、測定済みレベルと比較し(ステップS7)、使用チャンネルとしてセットし(ステップS8)、次のチャンネルにセットする(ステップS9)。ステップS6において、測定済みのレベルより大きい時には、ステップS9へ進む。
【0085】
全チャンネルをサーチしたか否かを判定し(ステップS10)、全チャンネルが未サーチの時には、ステップS4へ戻り、全チャンネルがサーチ済みの時には、チャンネルサーチを終了する(ステップS11)。これにより、使用するのに最適な無線周波数チャンネルが決定される。
【0086】
(B) 無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50及び図13の無線中継専用局70)のチャンネルサーチシーケンス
無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50及び図13の無線中継専用局70)では、無線親局30で決定されたチャンネルを使用して無線通信を行う。しかし、無線中継局では、起動時と、定時ステータスリクエストコマンドを受信してから、一定時間たっても定時ステータスリクエストを受信しない場合とに、チャンネルサーチを行う。
【0087】
図19は、無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【0088】
図9の無線中継警報局50のMPU56、及び図13の無線中継専用局70のMPU76では、チャンネルサーチを開始すると(ステップS20)、データを受信待ちし(ステップS21)、データが受信されたか否かを判定する(ステップS22)。データが受信されない場合は、一定時間が経過したか否かを判定し(ステップS23)、経過していない時にはステップS21へ戻り、一定時間を経過している時には、次のチャネルにセットし(ステップS24)、ステップS21へ戻る。
【0089】
ステップS22において、データが受信された時には、使用するチャンネルとしてセットし(ステップS25)、チャンネルサーチを終了する(ステップS26)。
【0090】
(各無線局の送受信シーケンス)
図20は、各無線局(例えば、図4の無線親局30、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)の送受信シーケンスを示すフローである。
【0091】
図4の無線親局30のMPU34、図9の無線中継警報局50のMPU56、或いは、図13の無線中継専用局70のMPU76では、図20のフローに従って送受信を行う。
【0092】
受信を待機し(ステップS30)、データを受信すると(ステップS31)、受信済みのデータか否かを判定する(ステップS32)。受信済みのデータかどうかは、シーケンス番号を確認して決定する。
【0093】
未受信の場合は、自局のステータス情報をセットし(ステップS33)、中継経路情報をセットし(ステップS34)、リトライカウンタをセットした後(ステップS35)、送信待ち時間をセットする(ステップS36)。データの同時送信によるキャリアセンス失敗を防ぐため、送信待ち時間を設けて送信タイミングを変える。送信待ち時間は、各中継局の局番号等から決定される。送信待ち時間が経過したか否かを判定し(ステップS37)、経過した時には、キャリアセンスを行い(ステップS38)、送信可能か否かを判定する(ステップS39)。送信可能であれば、データを同報送信する(ステップS40)。
【0094】
ステップS32において、受信済みの場合は、自局が中継したデータ可否かを判定する(ステップS41)。受信済み、且つ自局が中継したデータと言うのは、自局が送信したデータに対する戻りの情報である。自局が中継したデータの時は、中継経路情報をセットし(ステップS42)、ステップS35へ進む。また、ステップS41において、自局が中継したデータでない場合は、データを廃棄する(ステップS43)。
【0095】
ステップS39において、送信不可の時には、リトライカウンタをデクリメント(減算)し(ステップS44)、カウンタがゼロか否かを判定し(ステップS45)、ゼロ以上の時にはステップS36へ戻り、カウンタがゼロの時はリトライアウトとなってデータを破棄する(ステップD43)。
【0096】
図21は、図2の無線配信システムの配置例を示す図である。
1つの親局30と、複数の無線中継局111〜115が配置されている。各無線中継局111〜115は、無線中継警報局50又は無線中継専用局70により構成されている。図21中の破線は、各無線局の無線到達範囲(通信エリア)を示している。
【0097】
図22は、図21の通信シーケンスの例を示す図である。
【0098】
無線親局30と無線中継局111〜114は、例えば、以下の手順(1)〜(17)により通信シーケンスが実行される。
【0099】
(1) 無線中継局111及び112は、無線親局30から直接データを受信する(ステップ1,2)。
【0100】
(2) 各無線中継局111〜114は、データの同時送信による通信エラー(キャリアセンスの失敗)を避けるために送信タイミングを変えている。そこで、送信タイミングの早い無線中継局111が先に自局のステータスデータを送信する。無線中継局111から送信されたデータは、無線親局30及び無線中継局112で受信されるが、無線中継局112は既にデータを受信しているので(ステップ2)、このデータを無視する。無線親局30で受信された無線中継局111からのデータは、無線中継局111のステータス情報となる(ステップ3)。
【0101】
(3) 無線中継局112では、送信待ち時間経過後、データの同報送信を行う(ステップ4)。このデータは、無線親局30、中継局111,113,115で受信される。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局112のステータス情報となる(ステップ5)。無線中継局111で受信されたデータは、既に受信済みのために破棄される。無線中継局113,115においては、未受信であるから有効な中継データとして処理される。
【0102】
(4) 無線中継局113,115では一定時間送信待ちされ(ステップ6)、送信タイミングの早い無線中継局113が送信を開始する(ステップ7)。
【0103】
(5) 無線中継局113から送信されたデータは、無線中継局112,114,115にて受信される。
【0104】
(6) 無線中継局115では既に受信済みのためにデータは破棄される(ステップ8)。
【0105】
(7) 無線中継局114においては、未受信であるから有効な中継データとして処理される(ステップ9)。
【0106】
(8) 無線中継局112は既に受信済みであるが、自局が中継したデータのため、データを送信するために送信待ちとなる(ステップ10)。これは、無線中継局113のステータス情報を無線親局30へ送信するためである。そのため、送信するデータとしては自局のステータス情報ではなく、無線中継局113のステータス情報をそのまま送信する。
【0107】
(9) 送信タイミングの早い無線中継局112がデータを送信する(ステップ11)。このデータは無線親局30、中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では既に受信済みのためにデータは破棄される。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局113のステータス情報となる(ステップ12)。
【0108】
(10) ステップ13において、無線中継局115がキャリアセンスを試みるが、無線中継局112が送信中のためにキャリアセンスが失敗し再び送信待ちとなる。
【0109】
(11) 送信タイミングの早い無線中継局114がデータを送信する(ステップ14)。このデータは無線中継局113で受信され、無線中継局113では自局が送信したデータであるから、無線中継局114のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ15)。
【0110】
(12) 無線中継局115が送信待ち時間を終えてデータを送信する(ステップ16)。送信されたデータは無線中継局112,113で受信され、無線中継局112は自局が送信したデータであるから、無線中継局115のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ17)。なお、無線中継局113は、無線中継局115から受信されたデータについては破棄する。
【0111】
(13) ステップ18において、無線中継局113がキャリアセンスを試みるが、無線中継局115が送信中のためにキャリアセンスが失敗して再び送信待ちとなる。
【0112】
(14) 送信タイミングの早い無線中継局112がデータを送信する(ステップ19)。送信されたデータは、無線親局30、中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局115のステータス情報となる(ステップ20)。
【0113】
(15) 無線中継局113がデータの送信を行う(ステップ21)。送信されたデータは、無線中継局112,114,115で受信されるが、無線中継局114,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線中継局112は自局が送信したデータであるから、無線中継局114のステータス情報を無線親局30へ送信するために送信待ちとなる(ステップ22)。
【0114】
(16) 送信待ち時間経過後、無線中継局112がデータを送信する(ステップ23)。
【0115】
(17) 送信されたデータは、無線親局30、無線中継局111,113,115で受信されるが、無線中継局111,113,115では、既に受信済みで自局が中継したデータでもないので、このデータを破棄する。無線親局30で受信されたデータは、無線中継局114のステータス情報となる(ステップ24)。
【0116】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、特定小電力無線を用いて、無線親局30と無線中継局111〜114が通信を行い、地震発生時に表示灯・警報音による表示を行う。この際、無線親局30から同報送信されたデータを、各無線中継局111〜114がデータを受信すると共に、各無線中継局111〜114の通信エリア内にある他の無線中継局へ、データを同報中継するマルチ同報通信にて通信を行う。このマルチ同報通信によって、広い通信エリアでの同報通信が行えると共に、障害物があり電波の届き難い場所へも無線中継局を追加することによって簡単に送信することができ、しかも、無線経路の多重化を行うことができるため、通信の冗長性を持たせることもできる。
【0117】
従って、本無線配信システムを用いれば、工事現場等の電波の届き難い場所(地下での作業、鉄筋の陰等)において、複数台の無線中継局111〜114を用いることにより、広範囲に亘る無線同報通信を行うことができる。そのため、工事現場等においては、地震発生時の揺れが事故に繋がる可能性が高いため、本無線配信システムを用いて作業者へ広範囲に地震発生を伝え、事故防止に役立つことができる。
【0118】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
(a) 緊急地震速報の無線配信システムについて説明したが、緊急地震速報以外の他の警報情報の無線配信にも適用できる。
(b) 受信端末PC20、無線親局30、無線中継警報局50、及び無線中継専用局70は、図示以外の回路構成に変更したり、或いは、これらを用いた通信シーケンス等は、図示以外の他の通信手順に変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す無線マルチ同報通信の模式図である。
【図2】本発明の実施例1における緊急地震速報の無線配信システムを示す概略の構成図である。
【図3】図2中の受信端末PC20を示す概略の構成図である。
【図4】図2中の無線親局30の一例を示す概略の回路構成図である。
【図5】図2中の無線親局30の一例を示す概略の概観図である。
【図6】図5中の無線中継局ステータス表示部35を示す詳細図である。
【図7】図5中の親局制御スイッチ部39を示す詳細図である。
【図8】図2中の無線親局30の仕様例の概略を示す図である。
【図9】図2中の無線中継警報局50の一例を示す概略の回路構成図である。
【図10】図2中の無線中継警報器50の一例を示す概略の概観図である。
【図11】図10中の中継局コントロール部66を示す詳細図である。
【図12】図2中の無線中継警報局50の仕様例の概略を示す図である。
【図13】図2中の無線中継専用局70の一例を示す概略の回路構成図である。
【図14】図2中の無線中継専用局70の一例を示す概略の概観図である。
【図15】図14中の中継局コントロール部80を示す詳細図である。
【図16】図3の受信端末PC20の表示部25における表示画面の例を示す図である。
【図17】図1の無線配信システムで使用する簡易型のデータフォーマット形式の例を示す構成図である。
【図18】図4の無線親局30でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【図19】無線中継局(例えば、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)でチャンネルを決定するためのチャンネルサーチシーケンスを示すフローである。
【図20】各無線局(例えば、図4の無線親局30、図9の無線中継警報局50、及び図13の無線中継専用局70)の送受信シーケンスを示すフローである。
【図21】図2の無線配信システムの配置例を示す図である。
【図22】図21の通信シーケンスの例を示す図である。
【図23】従来の無線通信方式を示す模式的な構成図である。
【図24】建築現場等のようなフィールドを示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
【0120】
19 リアルタイム地震防災システム
20 受信端末PC
21a 無線システム管理プログラム
30 無線親局
34,56,76 MPU
36,55,75 特定小電力無線部
37,54,74 無線アンテナ
50,50−1〜50−8 無線中継警報局
70,70−1〜70−7 無線中継専用局
100,100A データフォーマット
111〜114 無線中継局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御命令を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び/又は中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、
前記無線親局からの前記警報信号、及び/又は前記中継局ステータス取得信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局とを有し、
前記複数の無線中継警報局は、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信し、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、
前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信することを特徴とする無線配信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線配信システムは、更に、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある前記同報信号を発信し、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある前記同報信号を発信し、
前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する中継専用の無線中継専用局を有することを特徴とする無線配信システム。
【請求項3】
同報信号である前記警報信号は、警報出力データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であり、
同報信号である前記中継局ステータス取得信号は、警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であり、
前記アンサ信号は、前記警報信号に対応する警報状態データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式、又は、前記中継局ステータス取得信号に対応する警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線配信システム。
【請求項4】
前記無線親局、前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局は、無線通信のための複数の周波数チャンネルを有すると共に、前記無線親局、前記無線中継警報局又は前記無線中継専用局は、フィールドにおける前記各周波数チャンネルのノイズレベルを確認するノイズ確認機能を有し、
無線通信開始時においては、前記無線親局が所定のノイズレベルより小さな周波数チャンネルを選択するようにして前記無線通信を行うことを特徴とする請求項2又は3記載の無線配信システム。
【請求項5】
前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局は、それぞれ、少なくともノイズレベル、受信感度及びバッテリ充電状態の中継局ステータスを保有し、
設置時においては、前記無線親局は、無線通信により前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の前記中継局ステータスを確認することで前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の電波状態を確認する機能を有し、
通常運用時においては、前記無線親局は、無線通信により前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の中継局ステータスを所定の時間毎に自動的に取得して確認を行い、前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局のそれぞれの前記中継局ステータスを管理することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【請求項6】
前記無線親局、前記無線中継警報局、又は前記無線中継専用局は、商用電源にて駆動し、更に、搭載したバッテリを前記商用電源にて充電することにより前記バッテリにても駆動することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【請求項7】
前記警報情報は、緊急地震速報に基づいた警報情報であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【請求項1】
制御命令を受信すると、特定小電力無線にて警報信号及び/又は中継局ステータス取得信号を同報配信する無線親局と、
前記無線親局からの前記警報信号、及び/又は前記中継局ステータス取得信号を特定小電力無線にて受信して警報動作を行う上位及び下位の複数の無線中継警報局とを有し、
前記複数の無線中継警報局は、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、自局の警報表示及び警報アラームを行い、更に、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある同報信号を発信し、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けのアンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある同報信号を発信し、
前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信することを特徴とする無線配信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線配信システムは、更に、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記警報信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記警報信号でもある前記同報信号を発信し、
前記無線親局又は前記上位の無線中継警報局から前記中継局ステータス取得信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けの前記アンサ信号であると共に前記下位の無線中継警報局向けの前記中継局ステータス取得信号でもある前記同報信号を発信し、
前記下位の無線中継警報局から前記アンサ信号を受信した際には、前記無線親局向け又は前記上位の無線中継警報局向けに、受信した前記アンサ信号を発信する中継専用の無線中継専用局を有することを特徴とする無線配信システム。
【請求項3】
同報信号である前記警報信号は、警報出力データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であり、
同報信号である前記中継局ステータス取得信号は、警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であり、
前記アンサ信号は、前記警報信号に対応する警報状態データ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式、又は、前記中継局ステータス取得信号に対応する警報状態データ、中継局ステータスデータ及び中継経路データを有するデータフォーマット形式であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線配信システム。
【請求項4】
前記無線親局、前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局は、無線通信のための複数の周波数チャンネルを有すると共に、前記無線親局、前記無線中継警報局又は前記無線中継専用局は、フィールドにおける前記各周波数チャンネルのノイズレベルを確認するノイズ確認機能を有し、
無線通信開始時においては、前記無線親局が所定のノイズレベルより小さな周波数チャンネルを選択するようにして前記無線通信を行うことを特徴とする請求項2又は3記載の無線配信システム。
【請求項5】
前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局は、それぞれ、少なくともノイズレベル、受信感度及びバッテリ充電状態の中継局ステータスを保有し、
設置時においては、前記無線親局は、無線通信により前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の前記中継局ステータスを確認することで前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の電波状態を確認する機能を有し、
通常運用時においては、前記無線親局は、無線通信により前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局の中継局ステータスを所定の時間毎に自動的に取得して確認を行い、前記無線中継警報局及び前記無線中継専用局のそれぞれの前記中継局ステータスを管理することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【請求項6】
前記無線親局、前記無線中継警報局、又は前記無線中継専用局は、商用電源にて駆動し、更に、搭載したバッテリを前記商用電源にて充電することにより前記バッテリにても駆動することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【請求項7】
前記警報情報は、緊急地震速報に基づいた警報情報であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無線配信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−199131(P2008−199131A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29735(P2007−29735)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000130835)株式会社サンコーシヤ (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000130835)株式会社サンコーシヤ (64)
【Fターム(参考)】
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