説明

煙検出装置

【課題】煙の特性を考慮して、2つ以上の検出手法を備えることで、煙検出の精度を高める。
【解決手段】カメラで撮影される画像を画像処理することにより撮影された範囲内での煙の発生を検出する際に、撮影された範囲内に、所定の検出領域を設定する検出領域設定手段を設け、該検出領域内における、煙検出判定要素の2つ以上を演算する演算手段を設けて、該検出領域内の煙の発生を検出し、煙検出判定要素は、透過率、収束輝度値、周波数スペクトル、平均輝度の平均値、平均輝度の分散からなり、演算手段は、検出領域の透過率を演算する透過率演算手段;検出領域の収束輝度値を演算する収束輝度値演算手段;検出領域の輝度の平均及び分散を演算する輝度平均分散演算手段;検出領域の平均輝度の時系列データを周波数分析して周波数スペクトルを求める平均輝度周波数分析手段;のいずれか2つ以上を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラが撮像する画像を画像処理することにより煙の発生を検出する煙検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低輝度の固定した発煙源があること、発煙源上方に低輝度の面積変化がありその重心がゆらめいていること、及び発煙源上方の低輝度の面積が時間とともに成長していることを条件として、可視カメラからの可視画像の差分画像で形、面積の変化があり発生場所に同一性がある場合、発煙として検出する装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−245757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災時に発生する煙において、火種となる火災源から生じる煙は、非常に短時間でたくさん生成され、動き(流れ)が大きく早い(以下、このような煙を流動煙という)。一方、火災源から離れた場所において、徐々に煙が拡散して広がる場合もあり、この場合の煙(以下、緩慢煙という)は、動きが非常に遅く時間単位における変化が乏しい。
【0005】
また、火災によって生じる煙には、油火災の場合は、色が黒色の黒煙であるのに対し、木材や紙が火種となる普通火災では、色が白色の白煙である。このように、煙といっても、その発生要因や場所によって、色や動きは異なり、一つの検出プログラムからでは、効率よく煙を検出することは難しいという問題がある。また、単純な差分処理や、輝度の低下による減光率だけでは、照明の変化や、人体などの障害物も検出してしまい煙と区別して検出することができないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、煙の特性を考慮して、2つ以上の検出手法を備えることで、煙検出の精度を高めることを目的とする煙検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる煙検出装置は、カメラで撮影される画像を画像処理することにより撮影された範囲内での煙の発生を検出する煙検出装置において、撮影された範囲内に、所定の検出領域を設定する検出領域設定手段を設け、該検出領域内における、煙検出判定要素の2つ以上を演算する演算手段を設けて、該検出領域内の煙の発生を検出し、前記煙検出判定要素は、透過率、収束輝度値、周波数スペクトル、平均輝度の平均値、平均輝度の分散からなり、前記演算手段は、前記検出領域の透過率を演算する透過率演算手段;前記検出領域の収束輝度値を演算する収束輝度値演算手段;前記検出領域の輝度の平均及び分散を演算する輝度平均分散演算手段;前記検出領域の平均輝度の時系列データを周波数分析して周波数スペクトルを求める平均輝度周波数分析手段;のいずれか2つ以上を備えていることを特徴とするものである。
また、この発明に係わる煙検出装置は、カメラで撮影される画像を画像処理することにより撮影された範囲内での煙の発生を検出する煙検出装置において、撮影された範囲内に、所定の検出領域を設定する検出領域設定手段を設け、該検出領域内における、煙検出判定要素の2つ以上を演算する演算手段を設けて、該検出領域内の煙の発生を検出し、前記演算手段は、動きが早い流動煙を検出する流動煙検出手段と、動きが遅い緩慢煙を検出する緩慢煙検出手段とを備え、前記流動煙と前記緩慢煙を別々に判別することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係わる煙検出装置は、煙を検出するにあたって、検出領域内における、煙検出要素としての透過率、収束輝度値、周波数スペクトル、平均輝度の平均値、平均輝度の分散を演算して、それらの演算値を少なくとも2つ以上使用して、検出領域内に煙があるかどうかを検出するので、煙検出の精度を高めることができる。また、煙に似た挙動を示す人工光源や移動物を、誤って煙と認識することを防止できる。
また、演算手段は、動きが早い流動煙を検出する流動煙検出手段と、動きが遅い緩慢煙を検出する緩慢煙検出手段とを備えているので、煙が早く動く場合も、煙の動きが遅い場合も、煙を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明における煙検出の原理を説明する図である。
【図2】この発明における煙検出の原理を説明する図である。
【図3】この発明における煙検出の原理を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる火災検出装置の構成図である。
【図5】実施の形態1に係わる煙検出装置に確保される各種記憶部である。
【図6】実施の形態1に係わる煙検出装置の機能ブロック図である。
【図7】実施の形態1に係わる流動煙検出手段の機能ブロック図である。
【図8】実施の形態1に係わる計測線の説明図である。
【図9】動き検出画素を含む検出領域の計測線上の画素の輝度に関する周波数スペクトルを示すグラフである。
【図10】動き検出画素を含む検出領域の計測線上に動き検出画素が出現する頻度の経時変化を示すグラフである。
【図11】実施の形態1に係わる緩慢煙検出手段の機能ブロック図である。
【図12】緩慢煙が入った検出領域の輝度平均の時系列データを周波数分析して得られた周波数スペクトルのグラフである。
【図13】実施の形態1に係わる火災検出手順を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態1に係わる基準画像更新手順を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態1に係わる画像記憶手順を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態1に係わる煙検出手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態1に係わる流動煙検出手順の前半を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態1に係わる流動煙検出手順の後半を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態1に係わる緩慢煙検出手順の前半を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態1に係わる緩慢煙検出手順の後半を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態1に係わる火災判別手順を示すフローチャートである。
【図22】実施の形態1に係わる火災判別の仕方を説明する図面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
A:煙検出の原理について
まず、本実施の形態の煙検出装置を説明するまえに、どのような原理に基づいて画像から煙を検出するかについて図1〜図3を用いて説明する。図1において、図1(a)、図1(b)は、監視カメラで撮影した原画像を示し、図1(a)は煙のない状態、図1(b)は、検出領域に煙が入った状態を示している。また、図2(a)、図2(b)は、横軸が輝度、縦軸が画素数で示される検出領域内における輝度分布を示しており、それぞれ、図1(a)、図1(b)に対応した図面となっている。また、図3において、図3(a)、図3(b)は、検出領域W1の微分処理の結果を示しており、それぞれ図1(a)、図1(b)に対応した図面となっている。
【0011】
ここで検出領域とは、図1(a)、図1(b)で示した監視領域である室内において、窓ガラスの周辺を矩形で囲んだ領域W1をさし、室内において、煙の発生を監視する領域(エリア)である。図2(a)において、室内に煙がない状態においては、輝度は高い値から低い値まで、広い範囲にわたって、その画素が分布していることがわかる。各画素の輝度値を足し算して、全画素数で割った値である輝度値の平均(平均輝度値)を求めると、当然、その平均値からのずれである分散は大きな値を示すことになる。
【0012】
これに対して、図1(b)の検出領域内に煙が入ると、その領域は、視界がぼやけた感じになってくる。このことを図2(b)の輝度の分布図でみると、煙のない状態に比べ、輝度のとりうる範囲は、狭くなってくる。ここでも同様に、輝度の平均値を求め、分散を演算すると、平均値とのずれ(分散)は小さくなることがわかる。このような煙の流入に伴い、輝度の分布範囲が狭くなることは、黒煙、白煙どちらの場合でも言えることであるが、黒煙の場合は、輝度値が低下する方向にシフトし、白煙の場合は、輝度値が上昇する方向にシフトする。また、検出領域が完全に、煙で充満された状態になれば、輝度の分布範囲は、更に狭くなり、ほぼ特定の輝度値に収束するものと考えられる。
【0013】
また、窓ガラスを含んだ検出領域W1は、外の明るい部分と、室内の暗い部分は、輝度の差が大きく、微分処理(エッジ処理)を行うと、窓ガラス部分の輪郭に対応した、大きなエッジができる(図3(a)参照)。しかし、煙の入った状態において、微分処理を行っても、煙のない通常状態に比べ、輝度の差は大きくなく、エッジはあまりでない(図3(b)参照)。つまり、煙が発生する場合には、エッジ量が低下するものと考えられる。
更に、煙のゆらぎは、小さく、周波数分析を行うと、低周波帯域が高周波帯域よりも大きくなることが確認された。
【0014】
このような観点に基づき、本出願の発明者は、煙が発生すると、
(1)視界がぼやけ透過率又はコントラストが低下すること、
(2)輝度値がある値に収束すること、
(3)輝度分布の範囲が狭まり輝度の分散が小さくなること、
(4)輝度の平均値が、通常の煙のない状態から変化すること、
(5)検出領域において、エッジの総和量が低下すること、
(6)低周波帯域の強度が高周波帯域の強度よりも大きいこと、
を導きだした。これらを総合的に判断して煙の検出を可能なものとした。
【0015】
B:本発明の基本構成
実施の形態1.
図4は、この発明の実施の形態1に係わる火災検出装置の構成図である。この発明の実施の形態1に係わる火災検出装置は、図4に示すように、火災発生監視範囲を例えば1秒間に30枚の割合で撮影してフレーム毎の画像データを出力するカメラ2および画像データを処理して煙の発生を検出しそれに基づいて警報を発する煙検出装置3を備える。このカメラ2は、例えばCCDカメラまたはCMOSカメラから構成される。
【0016】
煙検出装置3は、中央演算装置(CPU)4、ROM5、RAM6、内蔵タイマ7、入出力インターフェース(I/O)8からなり、フレームグラバー9と外部記憶装置10とが内蔵されているコンピュータから構成されている。
フレームグラバー9は、カメラ2が出力した、NTSC方式の映像信号から、画像データを取得する。画像データは、例えば1ライン640画素、1フレーム480ラインからなり、画素は、256階調の輝度で表される。ROM5には、CPU4で行う処理演算の手順がプログラムとして記憶されており、CPU4はプログラムを読み出し、それに基づいて処理演算の手順を進める。
【0017】
図5は、この発明の実施の形態1に係わる煙検出装置3に確保されている各種記憶部である。煙検出装置3には、図5に示すように、流動煙画像に関する輝度データ(以下、流動煙画像データと称す)を記憶する流動煙画像記憶部11、緩慢煙画像に関する輝度データ(以下、緩慢煙画像データと称す)を記憶する緩慢煙画像記憶部12、基準画像に関する輝度データ(以下、基準画像データと称す)を記憶する基準画像記憶部13、差分画像に関する輝度データ(以下、差分画像データと称す)を記憶する差分画像記憶部14、基準画像の各検出領域に関する基準最大輝度、基準最小輝度、基準平均輝度および基準分散(以下、基準データと称す)を記憶する基準データ記憶部15、検出領域に関する情報を記憶する検出領域記憶部16、ヒストグラムの出現頻度の平均と分散を記憶するヒストグラム記憶部17、時系列的に検出領域の輝度の平均と分散を記憶する輝度平均分散記憶部18、火災検出手順の度に検出数を記憶する検出数記憶部19が記憶領域として設定されている。
【0018】
煙検出装置3の大まかな構成は、図6に示すように、基準画像データを更新し検出領域を設定する検出準備手段21、カメラ2から出力される画像データを流動煙画像記憶部11と緩慢煙画像記憶部12に記憶する画像記憶手段22、緩慢煙または流動煙を検出する煙検出手段23、緩慢煙または流動煙を検出したとき火災判別を行う火災判別手段24とから構成されている。
【0019】
ここで、まず、本実施の形態の画像処理方法について詳細に説明する前に、画像処理を行う前段階について説明する。この前段階に行う処理について、検出準備手段21が行う処理について説明する。検出準備手段21は、基準画像更新手段26、検出領域設定手段27を備えている。
煙検出装置3において、検出領域から異常発生領域となる煙発生領域を抽出する手段としては、画像間の差分処理を基本としている。特に、火源から近い場所で発生した、動きが早く面積変化も大きい流動煙の検出にあっては、フレーム間の差分処理を行う。
【0020】
基準画像は、例えば図1(a)のように、普段、何も異常が発生していない状態において撮影された画像であり、基準画像記憶部13に記憶されている。この基準画像は、常に、その画像を記憶しておくものではなく、公知技術の手段を用いて、逐次、更新されて、日照とかの細かな影響を排除するものである。
基準画像更新手段26は、少し説明すれば、タイマ7の時刻に基づいて、基準画像は定期的に更新する。所定時間が経過して、基準画像の更新時期が到来すると、流動煙画像記憶部11から最新画像データを読み出し基準画像データを更新するが、この際、元の基準画像と更新しようとする基準画像との相関をとって、変化がほとんどない場合にのみ、基準画像を更新するようにする。
【0021】
次に、検出領域設定手段27について説明する。検出領域設定手段27は、検出処理を開始する前に実行され、基準画像や最新の撮影画像において、画像のどの部分の領域を、検出領域として設定するかを決めるものである。画像全体を監視しようとすると、画像処理の演算量が膨大となって大変である。そこで本実施の形態では、画像において、複数の小領域、例えば縦64*横64の画素領域をまとめて検出領域とし、この領域を画像内に任意に設定する。このように、画像全体でなく、一部の領域を検出領域として取り扱うことにより、演算量を少なくすることができ、且つノイズの影響を小さくすることができる。検出領域の大きさは限定されないが、2のN乗の大きさにすると、周波数解析などを行う際に、都合がよい。また、2つ以上の検出領域を連結して、1つの検出領域として扱ってもよい。
【0022】
図1(a)において、検出領域が、W1、W2で示されている。ここで、W1は、窓ガラスを囲んだ矩形の領域であり、W2は、部屋の床側の隅を矩形で囲んだ領域である。ここで、検出領域Wは、画像のどの部分にも、その大きさ、形状を変えて設定することが可能であるが、望ましくは、検出対象となる煙が発生する場所であり、煙が検知しやすい場所に設定すべきである。
【0023】
検出領域は、検出感度を考慮して設定することが望ましく、輝度の変化の大きな領域を検出領域としている。これは、図1、図2の煙検出原理で説明したように、煙の流入に伴い、その領域は、輝度の分布範囲が狭くなる。即ち、何もない通常状態のときから、輝度分布が狭い領域では、煙が入っても、変化が乏しく、煙を検出しにくい。これに対し、窓ガラスの領域W1は、外光が入っており、部屋の隅のW2の領域に比べれば、輝度分布が広いので、煙が入ると、輝度の分布の変化が検出しやすい。検出領域設定手段27は、具体的には、初めの基準画像データを空間微分処理し空間微分値の大きな領域を検出領域として設定する。
【0024】
検出領域設定手段27は、初めの基準画像データのうち、輝度の飽和の影響を防止するため、所定の輝度以上を除外する。例えば、輝度が250以上である画素を除いて空間微分処理して空間微分値を求め、空間微分値の総和の最も大きな領域を1つの検出領域と設定する。具体的には、基準画像を領域、例えば縦64×横64、計4096画素からなる領域で全体に亘って走査して各領域の空間微分値の総和を求める。それから、最も空間微分値の総和の大きい領域を第1の検出領域と設定し、次に、第1の検出領域と重ならない領域のうち最も空間微分値の総和の大きい領域を第2の検出領域と設定する。この操作を繰り返して、所定の個数の検出領域を設定し、設定された検出領域の情報を検出領域記憶部16に記憶する。
【0025】
また、検出準備手段21は、基準データ演算手段28を備えている。基準データ演算手段28は、検出領域毎の基準最大輝度、基準最小輝度、基準平均輝度および基準分散を求めるもので、検出領域毎に基準画像データから基準最大輝度、基準最小輝度、基準平均輝度、基準分散を求めて基準データ記憶部15に記憶する。
【0026】
続いて、画像記憶手段22の構成について説明する。画像記憶手段22は、輝度補正手段31、流動煙画像記憶手段32、緩慢煙画像記憶手段33を備えている。
輝度補正手段は、カメラ2から入力された画像データを逆ガンマ補正して輝度を補正する。カメラ2から入力された画像データを逆ガンマ補正するのは、カメラ2が撮影し出力する画像データに、画像データをモニタに表示したとき人間の視感度に合うようにガンマ補正が施されているためである。そして、ガンマ補正が施された画像データをそのまま画像処理すると、処理結果にガンマ補正による歪みが含まれるので、輝度補正手段31により逆ガンマ補正を施して、実際の輝度に戻している。
【0027】
流動煙画像記憶手段32は、輝度補正された画像データを毎回、流動煙画像記憶部11に記憶する。この流動煙画像記憶手段32は、輝度補正手段31で輝度補正された画像データを流動煙画像記憶部11に例えば300フレーム分記憶し、さらに新しい画像を記憶するときは古い画像データから先に削除していくファーストインファーストアウト手順で流動煙画像データを更新する。
【0028】
緩慢煙画像記憶手段33は、予め定められた緩慢煙取込周期毎に輝度補正された画像データを緩慢煙画像記憶部12に記憶するものである。緩慢煙画像記憶手段33は、緩慢煙は動きがほとんどないので、輝度補正手段31で輝度補正された画像データを例えば3秒毎に抜き出し、例えば90フレーム分記憶するし、さらに新しい画像を記憶するときも古い画像データから先に削除していくファーストインファーストアウト手順で緩慢煙画像データを更新する。
緩慢煙は、流動煙に比べ、非常に遅く室内に広がっていく煙である。このため、例えば30msec毎に、差分処理などをしても、ほとんど変化領域がないことから、撮影している画像から3秒毎に、画像を抜き出して記憶するようにしている。これに対し、流動煙は、非常に動きが早いので、30msecで撮影する毎に、その画像を記憶するようにしている。
【0029】
次に、煙検出手段23の構成について説明する。煙検出手段23は、障害物検出手段35、流動煙検出手段36、緩慢煙検出手段37を備えている。障害物検出手段35は、流動煙画像データが新たに記憶されたとき、基準画像と差分処理して、検出領域毎に流動煙画像内に障害物の有無を検出するものである。
障害物検出手段35は、差分手段を有し、基準画像データと流動煙画像記憶部11の最新画像データを読み出して、検出領域毎に、この2つの画像データの輝度の差分、あるいは画像データ間の相互相関係数を算出し、差分が所定の閾値以上のとき、あるいは相関値が閾値以下のとき、その画素を動きが検出された画素として判断する。なお、変化のあった検出画素を含む検出領域に対しては、縮退膨張処理を施してノイズを除去した差分画像データを作成し差分画像記憶部14に記憶する。
【0030】
例えば、監視領域内に人が通過する場合、当然、基準画像との差分処理を行えば、検出領域内に人が障害物として検出される。単純に、差分処理しただけでは、輝度値の変化した領域(画素)が人であるのか煙であるのかはわからない。このため後述する様々な処理を行うが、撮影した入力画像と基準画像を差分処理した段階で、何らかの変化領域がある場合、それは少なくとも緩慢煙ではないことは明らかである。緩慢煙は、動きが遅く、差分を行うフレーム間において、長い時間が経過していないと、変化する領域が現れないからである。従って、障害物検出手段35により、障害物が検出された場合には、以下の緩慢煙検出手段37による煙検出は行わない。
【0031】
流動煙検出手段36は、画像処理によって、流動煙の発生の有無を検出するものである。緩慢煙検出手段37は、障害物検出手段35で、障害物が検出されず、且つ新たな緩慢煙画像データが記憶されたとき、画像処理により緩慢煙の発生の有無を検出する。
【0032】
C:流動煙検出手段の構成(一次判定)
流動煙検出手段36は、図7に示すように、10の手段から構成されている。まず、はじめに、一次判定手段となる5つの各手段、動き検出画像作成手段42、平均輝度・分散演算手段43、領域占有比率演算手段44、微分値総和比率演算手段45、一次判定手段46について説明する。この一次判定手段46は、各演算手段43〜45で演算された値と所定値とを比較して、検出領域における煙の発生を判定するものである。
【0033】
動き検出画像作成手段42は、流動煙画像記憶部11に記憶された撮影画像において、フレーム間の差分処理を行って、検出領域内における動き検出画素を抽出する。そして、その動き画素だけに関する動き検出画像データを作成して、差分画像記憶部14に記憶する。なお、フレーム間の差分処理は、時間軸において、数フレーム、例えば5〜8フレーム(150〜240msec)程度、離れたフレーム間で差分処理を行い、例えば64枚の動き検出画像を作成する。
【0034】
平均輝度・分散演算手段43は、64枚の動き検出画像データから、動きのある画素の時間方向の輝度の平均および分散を演算して求め、そして、平均輝度と分散それぞれの移動平均を求める。これらの移動平均は、基準画像の平均輝度と基準画像の分散と比較され、一次判定手段46によって判定される。一次判定手段46は、検出領域毎に、画像の平均輝度の移動平均が所定の範囲内にあるかを判定する。検出領域に煙が流入すれば、輝度値が変動することから、当然、平均輝度も変動する。これを移動平均として扱うことで、このようにして、平均輝度の変動がわかり、検出領域に入った物体が煙であるかの判断の目安になる。
また、一次判定手段46は、検出領域毎に、画像の輝度の分散の移動平均から、基準画像の分散よりも減少しているか否かを判定する。この分散も平均輝度と同じように、検出領域に煙が流入すれば、その値が変動(減少)する。これを移動平均として扱うことで、分散の変動がわかり、検出領域に入った物体が煙であるかの判断の目安になる。
【0035】
また、領域占有比率演算手段44は、検出領域全体の画素に対する動き検出画素が占める占有比率を求める。即ち、検出領域を構成する縦64*横64の矩形の画素領域において、差分処理によって、動いた画素、つまり、輝度が変化した画素がどの程度、その矩形領域内を個数的に占めているのかを演算して、その占有比率を求める。そして、占有比率は、一次判定手段46によって、判定される。一次判定手段46は、検出領域毎に、検出領域内にある動き検出画素が占める占有比率が所定の占有比率以上、例えば10%以上であるか否かを判定する。ここで、占有比率が、少なくとも10%以上であると判定されれば、その検出領域には、何らかの物体が生じたものと判断できる。
【0036】
微分値総和比率演算手段45は、基準画像における当該領域、つまり動きの検出された領域の空間微分値の総和と最近画像の当該領域の空間微分値の総和を求めて、基準画像の当該領域の空間微分値の総和と最近画像の当該領域の空間微分値の総和の比率を演算して求める。この比率は、一次判定手段46によって判定される。一次判定手段46は、検出領域毎に空間微分値の総和の比率が所定の比率以上、例えば5%以上変動しているか否かを判定する。検出領域に煙が流入すれば、空間微分値(エッジ)の量は、基準時からは、減ることから、空間微分値の比率をみることで、検出領域に入った物体が煙であるかの判断の目安になる。
【0037】
一次判定手段46は、動き検出画素が占める占有比率が所定の占有比率以上、且つ空間微分値の総和の比率が所定の比率以上、且つ平均輝度の移動平均が所定の比率以上変動しており、且つ分散の移動平均が所定の比率以上減少しているとき、流動煙が発生している可能性があると判別する。流動煙は、流れが見えるという特徴を有しているので、検出領域内の動き検出画素の占有比率を判定することにより動くものを検出することができる。しかし、検出されたものには移動物体全般を含むことになる。
【0038】
基準画像の空間微分値の総和と流動煙の入り込んだ画像の空間微分値の総和との比率は、流動煙が検出領域に入り込むと、空間微分値が低下し、その総和も低下するので、比率が減少することを検出することにより流動煙を検出することができる。
この一次判定手段46だけの判定により、検出領域内に煙があるかどうかを判定しても良いが、この一次判定手段46は、基本的に輝度変化に基づく情報だけで判定しているので、監視領域内の照明がオンオフされるような輝度変化を、煙として誤検出する可能性がある。そこで、周波数分析などのより高度な画像処理をさらに行うことで、二次判定として煙検出の精度を高めていく。
【0039】
D:流動煙検出手段の構成(二次判定)
流動煙検出手段36は、二次判定用の手段として、計測線設定手段51、周波数分析手段52、周波数判定手段53を有する。計測線設定手段51は、フレーム間の差分処理を行って、動き画素のあった検出領域に対して、計測線を設定する手段である。ここで計測線の設定の仕方の一例について、図8を用いて説明する。図8(a)はマトリックス状に配置された複数の検出領域に動き画素が検出されたときの原画像データである。図8(b)は、図8(a)の原画像と基準画像との差分画像データである。図8(c)は、図8(b)の差分画像データから設定された計測線を図示したものである。
この原画像の中央には、検出領域を構成する矩形領域が、縦方向に2つ、横方向に3つ設けてある。なお、検出領域は、この図8(a)では接して配置しているが、それぞれの矩形領域に隙間を設けて配置してもよい。この図8(a)では、左下側の検出領域の下方にある火種から煙りが発生し、右上方向に流れているのを観察することができる。ここで、図8(b)において、煙で黒く示される領域は、フレーム間差分の処理によって、抽出された動きのある画素である。一番簡単な計測線は、これら動き画素を含んでいる検出領域において、矩形の中心を通る、水平線または垂直線を引いて、その線を計測線とすることである。ただ、この方法では、必ずしも、計測線上に、沢山の動き画素が含まれるというわけではない。この計測線は、以下のようにして、線上にたくさんの動き画素が含まれるように線の引き方を設定することが好ましく、この計測線は、検出対象となる煙の流れの動きを示す線となる。
【0040】
簡易的な計測線の引き方を、この図を用いて説明する。今、動き画素を含んでいる検出領域に対して、その検出領域を縦横2つづつ計4つの矩形で分割する。この際、4つの矩形において、動き画素の個数をカウントし、動き画素をより多く含んでいる矩形2個を取り出す。そして、動き画素の多い2つの矩形(小領域)の中心同士を結ぶように直線を引き、計測線とする。例えば図8(b)の検出領域Cにおいて、4つの矩形で動き画素の多く矩形は、右上と左下の2つであるから、これらの中心を結ぶように線を引くと、右斜め上がりの斜めの計測線が引かれることになる。結果、最終的に図8(c)のように、検出領域内に計測線が設定されることになる。この計測線を引く意味は、動き画素全てを対象に周波数分析を行うと、演算量が多くなるので、検出領域内において、計測線上にある有効な画素だけを選ぶことで、画素の数を減らして、演算量を減らすことが目的である。
【0041】
計測線の引き方は、他にも多数あり、次のような方法もある。計測線設定手段51は、動き検出画素を含む検出領域毎に、流動煙画像記憶部11から最新画像データと数回前の流動煙画像記憶手順において記憶された数フレーム前の画像データを読み出し、それぞれに対して2次元FFT処理し、数フレーム前の画像データの2次元FFT処理により得られた複素数の共役複素数を求め、最新画像データの2次元FFT処理により得られた複素数と数フレーム前の画像データに係わる共役複素数の積を求める。さらに、計測線設定手段51は、この積を逆FFT処理して相互相関係数分布を示す画像を求め、その画像内の中心に位置する画素から一番輝度の大きい画素までを結ぶ線を求め、移動ベクトルとして記憶する。さらに、計測線設定手段51は、移動ベクトルから当該検出領域に関する直近の複数回の計測線設定の際に記憶された移動ベクトルを読み出し、それらの移動ベクトルの平均のベクトルを計測線として設定するようにしてもよい。またこの際、計測線は、移動ベクトルの法線としてもよい。
【0042】
次に、周波数分析手段52について説明する。周波数分析手段52は、検出領域毎に計測線上の画素に関して最新の画像データと過去に遡る複数の画像データを使用して輝度の時系列データを抽出して、周波数分析を行い、画素個分の周波数スペクトルを算出し、それらの平均の周波数スペクトルを算出する。また、周波数判定手段53は、周波数スペクトルの強度が所定の強度以下または所定の低周波数帯の強度の積分値が高周波数帯の強度の積分値より大きいか否かを判定する。
つまり、計測線上の画素の輝度の画素毎の周波数分析を行って周波数スペクトルを求め、さらに、それらの平均スペクトルを求め、流動煙が入り込んだときの平均輝度のピークが、例えば図9に示すように、0Hzを超えて2Hz以下の周波数帯に出現することを検出する。このような周波数解析を、二次判定として行うことにより、人工光源の光量の周期的変動などを検出対象から除外することができる。
【0043】
流動煙検出手段36は、更に、二次判定用手段として、ヒストグラム作成手段54、平均・分散演算手段55、二次判定手段56を備えている。ヒストグラム作成手段54は、検出領域毎に計測線上の画素に関して最新の画像データと過去に遡る複数の画像データとの間の解析で、動きが検出された画素の数を時系列ヒストグラムとして作成する。また、平均・分散演算手段55は、時系列ヒストグラムから動き検出画素数の平均および分散を求める。
そして、二次判定手段56が、画素数の平均値に対する分散(分散/平均値)が所定の閾値以下か否かを判定する。また二次判定手段56は、周波数スペクトルの強度が所定の低周波帯の全体に対する比率が所定の比率以上、且つ画素の平均輝度および分散が所定の範囲内の場合、流動煙が発生したと判別する。
流動煙が検出領域に入ったとき計測線上の動き検出画素の出現頻度の時系列的な変動について図10を用いて説明する。例えば、図8(c)の検出領域Fにおいて、検出領域自体の大きさは、縦64*横64であるから、ここでは、計測線の長さは64であり、その計測線上に含まれる最大の画素数は64となる。ここで、図8(b)の差分画像の対応する検出領域Fを見ると、必ずしも、計測線上の全てに動き画素があるとは言えないことがわかる。
ヒストグラム作成手段54は、この計測線上にある動き画素の個数をカウントし、例えば、図10(a)に示すように、時間t1の所に、その個数を縦軸方向にプロットする。このようにして、横軸方向の別の時間t2,t3・・における個数もプロットしていき、ヒストグラムを完成させる。このようなヒストグラムを完成させた場合、検出領域で検出されたものが煙である場合、動き画素の出現頻度の時系列的な変動は大きな値をとることはない。これに対して、図10(b)に示すような出現頻度の時系列的な変動が大きい挙動を示す場合には、検出されたものは、目まぐるしく変化する回転灯などと考えられ、このような人工光源の周期的光量変動を検出対象から分離することができる。
【0044】
E:緩慢煙検出手段の構成
緩慢煙検出手段37は、図11に示すように、輝度平均分散演算手段61、判定手段62を備えている。緩慢煙の特徴は、煙の濃度が薄く、煙の動きを捉えることができにくいことである。
輝度平均分散演算手段61は、緩慢煙の画像を取り込む周期(3秒)毎に、検出領域毎に、検出領域全体の平均輝度および分散を演算して求める。この演算された平均輝度及び分散は、判定手段62によって判定される。つまり、判定手段62は、検出領域毎に、平均輝度と基準平均輝度の比が所定の範囲内にあるか否かを判定する。また、検出領域毎に、分散が基準画像の分散に対して所定の範囲の割合内にあるか否かを判定する。
【0045】
また、緩慢煙検出手段37は、平均輝度周波数分析手段64を備えている。平均輝度周波数分析手段64は、緩慢煙の画像を取り込む周期毎に、検出領域毎に、当該検出領域の最新の画像データの平均輝度と、先だって所定の複数、流動煙画像記憶部11に記憶された、例えば63個の画像データの平均輝度を算出し、64個の平均輝度を周波数分析して平均輝度周波数スペクトルを作成する。そして、判定手段62は、平均輝度周波数スペクトルの強度が所定の強度以下か否かを判断する。また、判定手段62は、平均輝度周波数スペクトルを複数の周波数帯に分け、低周波数帯の強度の積分値ほど大きいか否かを判定する。
検出領域の輝度の平均の時系列データに関する周波数スペクトルは、緩慢煙の緩慢な動きに伴い図12(a)に示すように強度が所定の閾値以下であったり、周波数に関して2つの周波数(2Hz、8Hz)を用いて、低、中、高の3つの周波数帯に分けた場合、図12(b)に示すように、周波数の小さな低周波数帯ほど強度の積分値が大きくなる。これに対し人工光源では、中又は高の周波数帯が大きく、この周波数の特性を検出することにより、人工光源の周期的な変動と緩慢煙とを識別することができる。
【0046】
また、緩慢煙検出手段37は、透過率演算手段67と、収束輝度値演算手段68を備えている。透過率演算手段67は、緩慢煙の画像を取り込む周期毎に、検出領域毎に、透過率を式(1)に従って演算する。また、収束輝度値演算手段68は、緩慢煙の画像を取り込む周期毎に、検出領域毎に、収束輝度値を式(2)に従って演算する。そして判定手段62は、演算された透過率が所定値以下であるか否かを判定する。また判定手段62は、演算された収束輝度値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
透過率=(最新画像の最大輝度値−最新画像の最小輝度値)/(基準画像の最大輝度値−基準画像の最小輝度値)・・・(1)
収束輝度値={最新画像の最大輝度値−(基準画像の最大輝度値×透過率)/(基準画像の最大輝度値−基準画像の最小輝度値)・・・(2)
【0047】
式(1)で表される透過率は、緩慢煙が検出領域に入ると、小さくなる。これは、緩慢煙が入ったときの最大輝度と最小輝度の差が緩慢煙が入る前の最大輝度と最小輝度の差より小さくなるからである。しかし、透過率の減少は照明が暗くなったときにも起こる場合がある。
式(2)で表される収束輝度値は、極めて黒い黒煙以外の緩慢煙が検出領域に入ると、緩慢煙が入る前の収束輝度に対して増減するが、所定の閾値以下には減少しない。一方、照明が暗くなったときには、所定の閾値以下に減少する。この特性を利用すると白色に近い緩慢煙と照明が暗くなったことを、識別することができる。
【0048】
緩慢煙検出手段37の判定手段62において、平均輝度と基準画像の平均輝度の比が所定の範囲内にあり、且つ分散が基準画像の分散に対して所定の範囲の割合内にあり、且つ平均輝度周波数スペクトルの強度が所定の強度以下または低周波帯の強度の積分値が大きい場合に緩慢煙の発生の可能性が高いとして判別する、
または、平均輝度周波数スペクトルの強度が所定の強度以下または低周波帯の強度の積分値ほど大きい、且つ透過率が所定の閾値以下且つ収束輝度値が所定の閾値以上の場合に、緩慢煙の発生の可能性が高いとして判別する。
ここで、警告判定手段72は、平均輝度周波数スペクトルの強度が所定の強度以下または低周波帯の強度の積分値ほど大きい、且つ透過率が所定の範囲以内且つ収束輝度値が所定の閾値未満の場合に、警告を発する。警告を発するのは、収束輝度値が所定値未満であることから、煙として、黒煙の可能性があるためである。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態では、煙の流れの早い流動煙と、煙の流れが遅い緩慢煙とについて別々に判別し、そして、それぞれ複数の煙検出用の演算手段を備えた。特に、緩慢煙の煙検出判定要素は、透過率、収束輝度値、周波数スペクトル、平均輝度の平均値、平均輝度の分散からなり、流動煙の煙検出判定要素は、周波数スペクトル、平均輝度の移動平均値、平均輝度の移動分散、動き検出画素の占有比率、空間微分値総和の比率、ヒストグラムの分散/平均値からなる。
これら演算手段は、全てを使用して、全ての演算手段が判定手段の条件を満足したときに、検出領域内に煙が発生したものと判別することが、一番、精度良く煙検出が可能となる。しかし、これら、演算手段は、適宜2つ以上、組み合わせて使用するだけもで、単一の演算処理に比べ、十分に煙検出の精度を高めることができ、人工光源の光量の変化や移動物体などを誤って煙と認識することを防止できる。
【0050】
再び、図6に戻って、火災判別手段24は、流動煙検出手段36により流動煙の発生と判別された検出領域の数と緩慢煙検出手段37により緩慢煙の発生と判別された検出領域の数を、検出数記憶部19に記憶している。そして、火災判別手段24は、検出数記憶部19から過去の検出領域の数を時系列データとして読み出し、一定期間の検出数が所定の上限値以上を所定の回数連続し、画像内において、煙有りと判定された検出領域の密度が所定値以上になったとき、火災と判別する。
【0051】
次に、火災検出装置で行われる火災検出手順について図13から図21を参照して説明する。火災検出手順が始まると、図13に示すように、基準画像更新手順(S101)が実行され、次に画像記憶手順(S102)、煙検出手順(S103)、火災判別手順(S104)が順次実行されて1回の火災検出手順が終わり、火災検出手順が繰り返し実行される。
まず、基準画像更新手順について図14に示すフローチャートを参照して説明する。
基準画像更新手順を開始すると、ステップS201で、基準画像更新時期が到来したか否かを判断し、到来していないとき基準画像更新手順を終了し、到来しているときステップS202に進む。
ステップS202では、流動煙画像記憶部11から最新の画像データを読み出し、画像相関を計算し侵入物がないことを確認した後、その最新の画像データを基準画像データとして基準画像記憶部13に記憶されている基準画像データを書き換える。
なお、一番始めに、検出領域を設定するときだけは、このステップS202の後に、基準画像記憶部12から基準画像データを読み出し、その基準画像データを空間微分処理して画素毎の空間微分値を求める。
ステップS203で、設定された検出領域の基準最大輝度、基準最小輝度、基準平均輝度および基準分散を求め、基準データ記憶部15に記憶して基準画像更新手順を終了する。
【0052】
次に、画像記憶手順について図15のフローチャートを参照して説明する。
画像記憶手順を開始すると、ステップS301で、カメラ2から画像データが入力されたか否かを判断し、入力されていないときステップS301を繰り返し、入力されているときステップS302に進む。
ステップS302で、入力されている画像データを最新画像データとし、最新画像データを逆ガンマ補正することにより輝度補正する。
ステップS303で、緩慢煙画像取込時期が到来しているか否かを判断し、到来しているときステップS304に進み、到来していないときステップS306に進む。
ステップS304で、輝度補正された最新画像データを緩慢煙画像記憶部12にFIFOで記憶する(この手順を緩慢煙画像記憶手順と称する)。
ステップS305で、緩慢煙フラグに1を設定する。
ステップS306で、輝度補正された最新画像データを流動煙画像記憶部11にFIFOで記憶して画像記憶手順を終了する(この手順を流動煙画像記憶手順と称する)。
【0053】
次に、煙検出手順について図16のフローチャートを参照して説明する。
煙検出手順を開始すると、判定の結果を残す各種フラグ類の設定を0にする。
ステップS401で、検出領域記憶部16に記憶されている検出領域の情報に基づいて、まだ煙検出の処理を行っていない検出領域を1つ指定する。
ステップS402で、基準画像記憶部13から基準画像データを読み出し、流動煙画像記憶部11から最新画像データと、画素毎に、基準画像データと、その最新画像データの差分処理を行い、差分が所定の閾値以上の画素を求める。
ステップS403で、差分が所定の閾値以上の画素に対して縮退膨張処理を行ってノイズを除去して動き検出画素を確定し、差分画像データとして差分画像記憶部14に記憶する(この手順を差分画像記憶手順と称する)。ここで行われるノイズ処理は、差分処理によって生じた小さな画素のかたまりを排除し、ある程度、画素同士が連結した領域だけを差分画像に残すものである。
【0054】
ステップS404で、流動煙検出手順を実行してステップS405に進む。
ステップS405で、緩慢煙フラグに1が設定されているか否かを判断する。緩慢煙フラグに1が設定されているときステップS406に進み、緩慢煙フラグに0が設定されているときステップS408に進む。
ステップS406で、障害物検出手段により障害物の検出を行い、画像内に、障害物が検出されない場合にのみ、ステップS407に進み、それ以外は、ステップS408に進む。
ステップS407で、緩慢煙検出手順を実行してステップS408に進む。
ステップS408で、全ての検出領域が指定されたか否かを判断し、指定されていないときステップS401に戻り、指定されているときステップS409に進む。つまり、画像には、煙を検出すべき検出領域が複数設定されているので、これら検出領域に対して、一つづづ順次、煙検出手順による煙検出を行うようにしてある。そして、複数個の検出領域に対して、全て煙検出の手順が行われたら、ステップS409で、緩慢煙フラグに0を設定して煙検出手順を終了する。
【0055】
次に、流動煙検出手順を図17、図18のフローチャートを参照して説明する。
流動煙検出手順を開始すると、ステップS501で、流動煙画像記憶部11から検出領域の最新画像データおよび直近の複数回の流動煙画像記憶手順の度に記憶された画像データを読み出し、動き検出画素に対応する最新画像データおよび直近の複数回の流動煙画像記憶手順で記憶された画像データの輝度の平均および分散を算出する。
ステップS502で、輝度の平均および分散から、平均輝度の移動平均と分散の移動平均を算出する。
ステップS503で、差分画像記憶部14から検出領域の差分画像データを読み出し、動き検出画素が検出領域全体の画素に占める占有比率を算出する。
ステップS504で、基準画像記憶部13から検出領域の基準画像データと流動煙画像記憶部11から最新画像データを読み出し、それぞれを空間微分処理して空間微分値を求め、検出領域全体の空間微分値の総和をそれぞれ求め、その総和の比率を算出する。
【0056】
ステップS505で、動き検出画素が占める占有比率が所定の比率以上のとき占有フラグに1を設定する。
ステップS506で、空間微分値の総和の比率が所定の閾値以上に変動しているとき微分値フラグに1を設定する。
ステップS507で、平均輝度の移動平均が基準画像の平均輝度に対して所定の割合の範囲で変動しているとき平均フラグに1を設定する。
ステップS508で、分散の移動平均が基準画像の分散に対して所定の割合の範囲内で減少しているとき分散フラグに1を設定する。
ステップS509で、占有フラグ、微分値フラグ、平均フラグ、分散フラグの全てに1が設定されているか否かを判断し、全てに1が設定されているときステップS510に進み、少なくとも1つに0が設定されているとき流動煙検出手順を終了する。
【0057】
ステップS510で、検出領域の計測線を設定する。
ステップS511で、流動煙画像記憶部11から検出領域の最新画像データおよび検出領域の直近の複数回の流動煙画像記憶手順の度に記憶された画像データを読み出し、計測線上の画素毎に輝度に関して周波数分析して周波数スペクトルを算出し、全ての画素に対する周波数スペクトルの平均を算出する。
ステップS512で、周波数スペクトルから不要な部分のスペクトルを除外して周波数スペクトルを修正する。
ステップS513で、所定の周波数以下の周波数帯の強度の積分値がその周波数を超える周波数帯の強度の積分値を超えるか否かを判断し、所定の周波数以下の周波数帯の強度の積分値がその周波数を超える周波数帯の強度の積分値を超えるときステップS514に進み、それ以外のときには流動煙検出手順を終了する。ここでは、単に、低周波と高周波の比を見るよりも、詳細に、周波数帯を3分割にして、それぞれの帯域に積分値を見るようにしてもよい。
【0058】
ステップS514で、差分画像記憶部14から検出領域の最新画像の差分画像データおよび検出領域の直近の複数回の差分画像記憶手順の度に記憶された差分画像データを読み出し、各差分画像データの計測線上の動き検出画素の数を度数とするヒストグラムを作成する。
ステップS515で、ヒストグラムの度数の平均値と度数の分散を算出し、その比率(分散/平均値)を演算して、ヒストグラム記憶部17に記憶する。
ステップS516で、度数平均と度数分散の比率が所定の範囲内にあるか否かを判断し、その比率が所定の範囲内にあるときステップS517に進み、それ以外のときは、流動煙検出手順を終了する。
ステップS517では、その検出領域には、流動煙が発生していると判別して、流動煙検出レジスタをインクリメントして流動煙検出手順を終了する。
【0059】
次に、緩慢煙検出手順について図19、図20のフローチャートを参照して説明する。ステップS601で、緩慢煙画像記憶部12から最新画像データを読み出し、輝度の平均および分散を算出し、輝度平均分散記憶部18に記憶する。
ステップS602で、輝度平均分散記憶部18から最近のデータを含み直近の複数回の緩慢煙検出手順の度に記憶された輝度の平均および分散を読み出し、平均輝度の移動平均および分散の移動平均を算出する。
ステップS603で、平均輝度の移動平均が、基準画像の平均輝度に対して所定の範囲内で変動しているとき平均フラグに1を設定する。
ステップS604で、分散の移動平均が、基準画像の分散に対して所定の範囲内で減少しているとき分散フラグに1を設定する。
【0060】
ステップS605で、流動煙画像記憶部11から検出領域の最新画像データを含み直近の複数回の流動煙記憶手順の度に記憶された画像データを読み出し、それぞれの輝度の平均を算出し、平均輝度に関する時系列データの周波数分析をして周波数スペクトルを生成する。
ステップS606で、周波数スペクトルから不要な部分のスペクトルを除外して周波数スペクトルを修正する。
ステップS607で、周波数スペクトルを2つの周波数2Hzと周波数8Hzにより3つの周波数帯のスペクトルに分割し、各周波数帯の強度を積分した値が低周波数帯ほど大きいとき、周波数フラグに1を設定する。
【0061】
ステップS608で、検出領域において、最新画像データから最大輝度値および、最小輝度値を求め、基準データ記憶部15から基準画像の最大輝度値および基準画像の最小輝度値を読み出し、透過率を式(1)に従って演算する。また、収束輝度値を式(2)に従って演算する。
ステップS609で、透過率が所定値以下であるとき透過率フラグに1を設定する。
ステップS610で、収束輝度値が所定の閾値以上であるとき収束輝度フラグに1を設定する。
ステップS611で、平均フラグ、分散フラグおよび周波数フラグに1が設定されているか、または周波数フラグ、透過率フラグおよび収束輝度フラグに1が設定されているか判断し、平均フラグ、分散フラグおよび周波数フラグに1が設定されている、または周波数フラグ、透過率フラグおよび収束輝度フラグに1が設定されている場合ステップS612に進み、それ以外の場合ステップS613に進む。
ステップS612で、緩慢煙の発生の可能性があるとして緩慢煙検出レジスタをインクリメントして緩慢煙検出手順を終了する。
ステップS613で、周波数フラグおよび透過率フラグに1が設定されているか否かを判断し、周波数フラグおよび透過率フラグに1が設定されている場合、ステップS614に進み、それ以外の場合、緩慢煙検出手順を終了する。
ステップS614で、警告信号を発して、黒煙の発生の可能性があることを警報して、緩慢煙検出手順を終了する。
【0062】
次に、火災判別手順について図21のフローチャートを参照して説明する。
火災判別手順が開始されると、ステップS701で、流動煙検出レジスタに、設定された数(流動煙ありと判断された検出領域の数)および緩慢煙検出レジスタに設定された数(緩慢煙ありと判断された検出領域の数)を読み出し、それぞれを流動煙検出数と緩慢煙検出数として検出数記憶部19に記憶する。
ステップS702で、最新の流動煙検出数または最新の緩慢煙検出数が所定の閾値(個数)以上であるか否かを判断し、少なくとも一方が所定の閾値以上のときステップS703に進み、両方が所定の閾値未満のとき火災判別手順を終了する。
ステップS703で、検出数記憶部19に直近の複数回の火災判別手順の度に記憶された流動煙検出数および緩慢煙検出数を読み出す。
ステップS704で、所定の閾値以上の最新の流動煙検出数または最新の緩慢煙検出数に関する直近の所定の回数の火災判別手順で記憶された値が連続して所定の閾値以上であるか否かを判断し、連続して所定の閾値以上であるときステップS705に進み、それ以外のとき火災判別手順を終了する。
このように火災か否かの判別は、ある時点における、煙ありと判別された検出領域の数が所定値以上であって、空間的に見て、煙があると判別でき、更に、煙ありと判別された検出領域の数が、連続する時間において、所定回数以上あって、時間的に見ても、煙があると判別できる時、つまり所定期間内における煙ありの検出領域の数が高いときに、火災発生と判別する。
ステップS705で、火災が発生したと判別して警報を発して火災判別手順を終了する。
【0063】
以上の図21のフローチャートにおいては、煙を検出した検出領域の個数が、連続して閾値以上の場合であって、かつ、そのような状態が所定回数、連続したときに、画像内に煙があって火災と判別するようにしたが、火災判別の仕方については、次のように行ってもよい。この火災判別の仕方は、特に連続性を条件としないものであり、時空間での密度を判別条件とするものである。
図22において、画像内には、複数、ここでは、便宜上、A〜Iまでの9つの検出領域が複数設定されているものとする。この図においては、時間t0〜t5において、カメラで撮影される室内に煙が充満していく様子を示している。
煙検出装置における火災判別の閾値は、例えば、6/9と設定されている。この「9」は検出領域の数を示し、「6」は、その検出領域のうち、煙検出手段において煙が検出され、煙有りと判断された検出領域の数を表す。
【0064】
今、時間t2において、検出領域Eのみが煙ありと判別されている。ここで、火災判別するにあたって、3フレーム分の煙有りと判別された検出領域の個数の合計値を利用する。つまり、t0〜t2の3フレーム分の煙有りの検出領域の合計値であるから、「2」となる。この「2」は、閾値の6より小さいので、火災と判別されない。
順次、同じように計算すると、t3では「5」、t4では「5」、t6では「6」(=3+1+2)となる。即ち、このような煙の発生の場合には、t6において、火災が判別されることになる。
この火災判別の方法は、ある時間での煙有りの検出領域の個数、そして所定時間内における煙有りの検出領域の個数を考慮していることになり、言い換えれば、画像内における煙有りの検出領域の密度(時間的空間的密度)が、所定値を越えた時に、煙の発生をとらえるものである。煙の場合、常に、その大きさ(領域)は変動しているので、例えば、時間t1で検出領域Hで煙有りと判断されても、時間t2では、煙が検出領域Eに移動して、検出領域Hからなくなるということがある。また、煙は、時間が経過すれば、必ず、空間的に広がって、検出される領域の個数は増加する傾向にあるから、このような判別方法は、煙検出にあたって、有効な判別の仕方と考えられる。
【0065】
なお、この時間的空間的密度の観点で、判別する手法は、この最後の火災判別だけでなく、煙検出手段で使用される各ステップ、例えば、透過率や平均値と閾値との判断に使用するようにしてもよい。例えば、単に透過率が所定値より下回った時に、フラグを設定するのではなく、複数個、例えば4回分の検出データにおいて、3回以上、所定値以下を検出したとき、即ち、継続した減少が見られる場合に、はじめてフラグを設定するようにしてもよい。
【0066】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる火災検出装置は、実施の形態1に係わる火災検出装置と検出領域設定手段が異なり、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。実施の形態2に係わる検出領域設定手段は、更新した基準画像データを領域で全画像に亘り走査して、各領域のコントラストを算出し、コントラストの最も大きな領域を第1の検出領域と設定し、さらに第1の検出領域に重ならずにコントラストの大きな領域を第2の検出領域と設定し、これを所定の数の検出領域が設定するまで繰り返す。
【0067】
画像データには、輝度の変化の小さいコントラストの小さい領域と輝度の変化の大きなコントラストの大きな領域が含まれている。しかし、煙が発生したときは、コントラストが小さくなるように変化する傾向があるので、輝度の変化の小さいコントラストの小さい領域より輝度の変化の大きいコントラストの大きい領域を検出領域とすることが、煙の検出が行いやすく効果的である。
【0068】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係わる火災検出装置は、実施の形態1に係わる火災検出装置と微分値総和比率演算手段が異なり、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。実施の形態3に係わる微分値総和比率演算手段は、基準画像の当該検出領域の空間微分値と最近画像の当該検出領域の空間微分値との比を画素毎に求め、その比を検出領域全体に亘って積分して当該検出領域に対する空間微分値の総和の比率を求める。
【0069】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わる火災検出装置は、実施の形態1に係わる火災検出装置と計測線設定手段が異なり、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。実施の形態4に係わる計測線設定手段は、検出領域毎に動き検出画素を重み1、動きが検出されない画素を重み0として領域の重心を求め、同様に隣接する領域の重心を求め、重心間を結ぶ直線に一番近い領域の中心を通る水平、垂直または対角方向の線分を計測線として設定する。
【0070】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係わる火災検出装置は、実施の形態1に係わる火災検出装置と火災判別手段が異なり、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態5に係わる火災判別手段は、流動煙検出手段36により流動煙の発生と判別された検出領域の数と緩慢煙検出手段37により緩慢煙の発生と判別された検出領域の数を検出数記憶部19に記憶し、検出数記憶部19から過去の検出領域に関する検出数を時系列データとして読み出し、検出数に関する回帰直線を求め、回帰直線の傾きが所定の傾きを超えて大きいとき火災と判別する。
【0071】
なお、上述の実施の形態においては、煙検出装置は、火災時に発生する煙を検出するものとして説明したが、煙は、例えば煙突や配管やプラント機器又は電子機器などから発生する煙を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
2 カメラ、3 煙検出装置、4 中央演算装置(CPU)、5 ROM、6 RAM、7 内蔵タイマ、8 入出力インターフェース(I/O)、9 フレームグラバー、10 外部記憶装置、11 流動煙画像記憶部、12 緩慢煙画像記憶部、13 基準画像記憶部、14 差分画像記憶部、15 基準データ記憶部、16 検出領域記憶部、17 ヒストグラム記憶部、18 輝度平均分散記憶部、19 検出数記憶部、21 検出準備手段、22 画像記憶手段、23 煙検出手段、24 火災判別手段、26 基準画像更新手段、27 検出領域設定手段、28 基準データ演算手段、31 輝度補正手段、32 流動煙画像記憶手段、33 緩慢煙画像記憶手段、35 動き検出手段、36 流動煙検出手段、37 緩慢煙検出手段、42 動き検出画像作成手段、43 平均輝度・分散演算手段、44 領域占有比率演算手段、45 微分値総和比率演算手段、46 一次判定手段、51 計測線設定手段、52 周波数分析手段、53 周波数判定手段、54 ヒストグラム作成手段、55 平均・分散演算手段、56 画素変動判定手段、61 輝度平均分散演算手段、62 判定手段、64 平均輝度周波数分析手段、67 透過率演算手段、68 収束輝度値演算手段、72 警告判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影される画像を画像処理することにより撮影された範囲内での煙の発生を検出する煙検出装置において、
撮影された範囲内に、所定の検出領域を設定する検出領域設定手段を設け、
該検出領域内における、煙検出判定要素の2つ以上を演算する演算手段を設けて、該検出領域内の煙の発生を検出し、
前記煙検出判定要素は、透過率、収束輝度値、周波数スペクトル、平均輝度の平均値、平均輝度の分散からなり、
前記演算手段は、前記検出領域の透過率を演算する透過率演算手段;前記検出領域の収束輝度値を演算する収束輝度値演算手段; 前記検出領域の輝度の平均及び分散を演算する輝度平均分散演算手段;前記検出領域の平均輝度の時系列データを周波数分析して周波数スペクトルを求める平均輝度周波数分析手段;の
いずれか2つ以上を備えている
ことを特徴とする煙検出装置。
【請求項2】
透過率が所定の閾値以下、且つ前記収束輝度値が所定の閾値以上、且つ上記周波数スペクトルの強度が所定の強度以下または上記周波数スペクトルの強度の積分値が低周波数帯ほど大きいとき煙が発生したと判別することを特徴とする請求項1記載の煙検出装置。
【請求項3】
カメラで撮影される画像を画像処理することにより撮影された範囲内での煙の発生を検出する煙検出装置において、
撮影された範囲内に、所定の検出領域を設定する検出領域設定手段を設け、
該検出領域内における、煙検出判定要素の2つ以上を演算する演算手段を設けて、該検出領域内の煙の発生を検出し、
前記演算手段は、動きが早い流動煙を検出する流動煙検出手段と、動きが遅い緩慢煙を検出する緩慢煙検出手段とを備え、前記流動煙と前記緩慢煙を別々に判別する
ことを特徴とする煙検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−238280(P2011−238280A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161880(P2011−161880)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2006−222557(P2006−222557)の分割
【原出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】