照合システム
【課題】簡易な設備を導入するのみで防犯上の効果を発揮し得る照合システムを提供する。
【解決手段】管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、生体情報取得手段25によって照合基準者10、及び照合対象者24の生体情報を取得し、これらを照合基準者10が装着するIC装置2に対して送信する。IC装置2は、転送された照合基準者10の生体情報と、予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データとが一致するか否かの照合、及び、転送された照合対象者24の生体情報と、予め登録されている対応者生体情報データの何れかとが一致するか否かの照合を行い、この照合結果をICリーダライタ3aに転送する。これにより照合結果が表示手段7上に表示される。
【解決手段】管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、生体情報取得手段25によって照合基準者10、及び照合対象者24の生体情報を取得し、これらを照合基準者10が装着するIC装置2に対して送信する。IC装置2は、転送された照合基準者10の生体情報と、予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データとが一致するか否かの照合、及び、転送された照合対象者24の生体情報と、予め登録されている対応者生体情報データの何れかとが一致するか否かの照合を行い、この照合結果をICリーダライタ3aに転送する。これにより照合結果が表示手段7上に表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照合システムに関し、特に、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年共働き世帯が増えるに連れ、託児所等の児童を預かる施設に児童を預ける世帯が増えている。児童の受け入れ体制を強化するため、児童を預かる施設において延長保育、休日保育などの時間外保育を行うなど保育時間の拡大を図っている。しかしながら、時間外保育には、定時保育士以外の臨時保育士を割り当てることも多いのが現状であり、この結果、施設の職員が児童を迎えに来た保護者や児童の祖父、祖母などの親族を識別できないことも散見される。かかる状況下においては、第三者による誘拐事故等を誘発する恐れがあり、このような問題を解決するために従来より種々の照合システムが提供されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、託児所等において入室の際、児童と保護者等の同伴者の写真を撮影し、退室時に迎えに来た同伴者と児童を自動で照合するシステムが記載されている。以下、図13及び図14を参照して、当該システムの概要を説明する。
【0004】
図13及び図14は、特許文献1の照合システムを託児所において実施した場合の概念図である。まず、図13(a)に示すように、託児所に預けられている児童104とその児童104を迎えに来る母親103を、託児所100内に設置された認証用カメラ101において撮影する(ステップ#91)。そして、この撮影された写真を端末サーバ102に転送した後(ステップ#92)、図13(b)に示すように母親103の写真103pを児童104の写真104pに対応させた状態で端末サーバ102に登録する(ステップ#93)。この端末サーバ102には、託児所で預かっている全ての児童について、各児童夫々を迎えに来る人を対応させて写真(少なくとも顔が写っていることが必要)が記録される構成である。例えば、端末102内では、図13(b)のように児童毎に固有のIDが付されており、各ID毎に迎えに来る人の写真と児童の写真とがデータベース形式(102d)で記録されるものとすることができる。
【0005】
このように構成される状況下で、児童104をある人108が迎えに来た場合、託児所100において当該システムを用いて認証を行う手続について図14を参照して説明する。
【0006】
尚、この児童104を迎えに来たある人108(以下、「照合対象者」と称する)が児童104の母親であるとすれば、敢えて照合システムを利用しなくても託児所100の職員によって認識可能であることが通常であるが、上述したように臨時の職員が託児所100において勤務している場合も想定されることから、以下では、託児所100の職員が一見して照合対象者108が児童104の母親103であると気付かなかった場合、或いは気付いた場合であっても正しく照合システムを利用するように予め定められている場合を前提に説明を行う。
【0007】
まず、児童104を照合対象者108を認証用カメラ101で撮影する(ステップ#93)と共に、迎えに来た人108の目的の児童である児童104についても認証用カメラ101で撮影する(ステップ#94)。そして、この撮影された画像が端末サーバ102に転送され(ステップ#95)、端末サーバ102内において認証処理が施される(ステップ#96)。即ち、まず、ステップ#94において撮影された児童104の写真104p’と一致する写真104pをデータベース102dから検索し、この写真104pの児童(即ち児童104)に対応付けられている人の写真103pと、ステップ#94において撮影された照合対象者108の写真108pとが同一人物であるか否かの照合を行う。同一人物である場合、照合対象者108が児童104の母親103と同一人物であると判断され、同一人物でない場合、端末サーバ102から警報機105に対して警報出力指示が与えられ、警報機105が作動する。
【0008】
又、特許文献2には、託児所等において、児童に取り付けられた発信機、託児所内にいる児童を管理する検知器、及び端末サーバが備えられ、児童を迎えに来る保護者等の同伴者に児童と関連付けられたIDカードを持参してもらい、このIDカードによって同伴者を認証するシステムが記載されている。以下、図15を参照して当該システムの概要を説明する。
【0009】
図15は特許文献2の照合システムを託児所において実施した場合の概念図である。図15(a)に示すように、児童104には発信機111が装着されており、児童104の母親(保護者)103には、児童104に対応したIDが付されたIDカード112が付与又は貸与される。尚、発信機は各児童毎に保持するものとし、各発信機には夫々固有のIDが付されており、児童が保持する発信機のIDに対応したIDカードが児童の保護者に付与又は貸与されるものとする。又、託児所100aには端末サーバ102が備えられており、当該端末サーバ102において発信機IDとIDカードのカードIDとの関連付けが行われ(ステップ#97)、関連付けられた内容がデータベース110として記録される。
【0010】
このように構成される状況下で、児童104を照合対象者108が迎えに来た場合、託児所100aにおいて当該システムを用いて認証を行う手続について説明する。尚、図15(b)に示されるように、託児所100a内には、IDカード内の情報を取得可能なカードリーダ114と、発信機を有する児童の託児所100aからの退出を検知して、その旨の信号を端末サーバ102に送信する児童探知機113が備えられている。
【0011】
まず、照合対象者108は、託児所100a内に備えられたカードリーダ114に自己のIDカード112を読み込ませる(ステップ#98)。カードリーダ114は、IDカード112より読み取った情報を端末サーバ102に送信し(ステップ#99)、端末サーバ102上にてIDカード112のカードIDに該当する人が迎えに来ている旨を一時的に記録する。
【0012】
このとき、児童104が託児所100aから退出すると、児童探知機113がその旨を検知して(ステップ#100)、発信機111の発信機ID(「0001」とする)に対応する児童が託児所100aから退出した旨を端末サーバ102に送信する(ステップ#101)。端末サーバ102は、児童探知機113からの信号を受信すると、児童探知機113によって検知された発信機の発信機ID0001と、予め当該端末サーバ102上に記録されている、迎えに来ている保護者のカードIDとを照合し(ステップ#102)、一致するIDがあれば保護者同伴で児童が退出した旨を認識することができる。又、逆に一致するIDがなければ、児童が単独で、或いは保護者以外の誰かと託児所100aを退出した旨を認識することができる。
【0013】
【特許文献1】特開平11−175633号公報
【特許文献2】特開2004−118362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の特許文献1及び2の何れのシステムにおいても、児童が保護者以外の他の人と共に退出することを未然に防止する効果が期待できる。
【0015】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、託児所側に端末サーバ、認証用カメラ、及び警報機等が、特許文献2のシステムでは、児童数分の発信機、各児童毎に保護者数分のIDカード、及び児童探知機等が夫々必要となるため、必要な機材や部品が多くなり、大掛かりなシステムを構築する必要があると共に、そのシステムを管理する必要があり、託児所側に大きな負担が強いられるという問題がある。又、システムが大掛かりになるため、導入コスト或いは維持コストが増大し、この結果、防犯上の観点からは導入を検討していてもコストの問題で当該システムの導入に踏み切れない託児所が依然として存在する可能性があり、これらのシステムは託児所等の防犯対策用システムとして浸透しにくい要素を内包しているという課題を有する。
【0016】
本発明は上記の問題点に鑑み、簡易な設備を導入するのみで防犯上の効果を発揮し得る照合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムであって、所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記IC装置内の前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者を特定可能な撮像データ及び一又は複数の前記対応者夫々を特定可能な撮像データが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行うことで、当該ICチップに記録されている前記照合基準者の撮像データ及び前記対応者の撮像データを読み出して当該ICリーダライタ上に表示し、前記照合基準者と前記ICリーダライタ上に表示された前記照合基準者の撮像データとの視覚的照合、及び前記照合対象者と前記ICリーダライタ上に表示された前記対応者の撮像データとの視覚的照合を可能に構成されることを第1の特徴とする。
【0018】
本発明に係る照合システムの上記第1の特徴構成によれば、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、ICリーダライタによって照合基準者によって携行されているIC装置内のICチップに記録された情報を読み出すことで、照合基準者、及び照合基準者に予め対応付けられている対応者を特定可能な撮像データが表示される。従って、当該施設の管理者は、この表示内容を確認して、まずIC装置が本人によって携行されているか否かを照合基準者の撮像データとIC装置が装着されている本人の顔とを比較して確認した上で、対応者の撮像データと照合対象者の顔とを比較して照合対象者が対応者として予め登録されている人であるか否かを確認することができるため、万一照合対象者が対応者として登録されていない場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため、照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。尚、本システムによれば、ICリーダライタとICチップが内蔵されたIC装置があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。従って、防犯対策を検討している施設に対して本システムが導入される蓋然性は高く、防犯対策用システムとして各施設に対して浸透し易いというメリットがある。
【0019】
特に、表示手段を備え携帯可能な構成ICリーダライタを利用することで、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外でも施設の管理者によって容易に照合手続を行うことができるため、保護者に一旦託児所内に入ってもらう等の負担を強いる必要がない。
【0020】
ここで、上記IC装置としては、例えばICチップが内蔵された名札によって構成することができる。この場合、本発明に係る照合システムを託児所に導入する場合、託児所に預けられる児童にこのICチップが内蔵された名札を取り付けておくことで、児童が不審者によって連れ去られることを未然に防止することができる。尚、システムを運用するためには、託児所にて預けられる児童に対してこのICチップが内蔵された名札を装着させるだけで良く、児童の保護者に対して殆ど負担が課されない。
【0021】
又、本発明に係る照合システムは、上記第1の特徴構成に加えて、前記ICリーダライタが撮像手段を備えており、前記対応者が新たに追加される場合には、当該ICリーダライタによって撮像された当該対応者の撮像データを前記照合基準者の前記IC装置内の前記ICチップに追記可能に構成されることを第2の特徴とする。
【0022】
本発明に係る照合システムの上記第2の特徴構成によれば、新たに対応者を追加する場合においても照合する際に要する装置以外の装置を必要としない。従って、例えば対応者として登録されていない第1照合対象者と登録されている第2照合対象者が照合基準者を迎えに来たような場合、施設の管理者は、第2照合対象者が対応者であることを確認した上で、その場で第1照合対象者についても登録を行うことができるため、照合手続と登録手続を例えば施設の入り口等の屋外で同時に行うことができ、利便性が高い。
【0023】
又、本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、所定の情報を記録可能であると共に所定の認証処理手段を備え、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者の特有の情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、入力された前記第1及び第2個人情報を前記ICチップに送信し、前記ICチップが、前記第1個人情報と当該ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と当該ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、照合結果を前記ICリーダライタに送信して、前記ICリーダライタ上に表示可能に構成することを第3の特徴とする。
【0024】
本発明に係る照合システムの上記第3の特徴構成によれば、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、照合基準者に携行されるIC装置に内蔵されるICチップと携帯型のICリーダライタとで情報の送受信が行われることで、容易に照合対象者の照合を行うことができる。即ち、まず照合対象者の照合を行う際に、まずICリーダライタによって照合基準者の個人情報(第1個人情報)及び照合対象者の個人情報(第2個人情報)を取得した後、これらを照合基準者が携行しているIC装置に内蔵されるICチップに送信する。ICチップには、予め取得された照合基準者特有の個人情報(照合基準者個人情報)と対応者の個人情報(対応者個人情報)が記録されているため、ICチップ内において送信された第1個人情報と照合基準者個人情報とを比較照合することで当該ICチップが正しく本人に装着されたものであるかを確認した後、送信された第2個人情報と対応者個人情報とを比較照合することで第2個人情報を有する照合対象者が対応者として予め登録された人であるかどうかの確認を行うことができる。そしてICチップ上において行われた当該照合の結果がICリーダライタ上に送信される。
【0025】
従って、本発明システムが導入される施設の管理者は、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外において、照合基準者たる児童及び照合対象者たる保護者に対して、夫々ICリーダライタに対して個人情報の入力を求めることで、照合がICチップ上において自動的に行われた後、ICリーダライタ上にはその照合結果が表示されるため、システムが導入される施設の管理者は、このICリーダライタ上に表示される照合結果を参照して、万一照合が失敗した場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0026】
又、本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段及び所定の認証処理手段を備え、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者の特有の個人情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の個人情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、前記第1個人情報と前記ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と前記ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、当該照合結果を出力可能に構成されることを第4の特徴とする。
【0027】
本発明に係る照合システムの上記第4の特徴構成によれば、上記第3の特徴構成と同様、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、照合基準者に携行されるIC装置に内蔵されるICチップと携帯型のICリーダライタとで情報の送受信が行われることで、容易に照合対象者の照合を行うことができる。即ち、照合対象者の照合を行う際に、まずICリーダライタによって照合基準者の個人情報(第1個人情報)及び照合対象者の個人情報(第2個人情報)を取得した後、照合基準者が携行しているIC装置に内蔵されているICチップと通信することで、当該チップ内に記録されている照合基準者特有の個人情報(照合基準者個人情報)と対応者の個人情報(対応者個人情報)を取得する。そして、ICリーダライタ内において、第1個人情報とICチップから送信された照合基準者個人情報とを比較照合することで当該ICチップが正しく本人に装着されたものであるかを確認した後、第2個人情報とICチップから送信された対応者個人情報とを比較照合することで第2個人情報を有する照合対象者が対応者として予め登録された人であるかどうかの確認を行うことができる。そして当該照合結果がICリーダライタ上の表示手段に表示される。
【0028】
従って、本発明システムが導入される施設の管理者は、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外において、照合基準者たる児童及び照合対象者たる保護者に対して、夫々ICリーダライタに対して個人情報の入力を求めることで、照合がICリーダライタ上において自動的に行われた後、表示手段上にその照合結果が表示されるため、このICリーダライタ上に表示される照合結果を参照して、万一照合が失敗した場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0029】
又、本発明に係る照合システムは、上記第3又は第4の特徴構成に加えて、前記ICチップには、前記照合基準者個人情報として前記照合基準者の生体情報が、前記対応者個人情報として一又は複数の前記対応者夫々の生体情報が記録されており、前記ICリーダライタが、生体情報の取得を可能に構成されており、前記第1個人情報、並びに前記第2情報が、夫々前記ICリーダライタによって取得された前記照合基準者の生体情報、並びに前記照合対象者の生体情報であることを第5の特徴とする。
【0030】
本発明に係る照合システムの上記第5の特徴構成によれば、照合基準者或いは照合対象者がICリーダライタに各個人情報を入力する際、例えば生体情報が指紋情報である場合にはICリーダライタ上に指を載置し、静脈情報である場合には腕や指をICリーダライタ上に近接させる等の処理を行うのみで良いため、例えば所定の記号や数字の羅列を入力させる場合と比較した場合、個人情報入力の際に要求される負担を大きく軽減することができる。
【0031】
又、本発明に係る照合システムは、上記第5の特徴構成に加えて、前記対応者が新たに追加される場合には、前記ICリーダライタによって取得された新たな前記対応者の生体情報を前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップに対して追記可能に構成されることを第6の特徴とする。
【0032】
本発明に係る照合システムの上記第6の特徴構成によれば、照合基準者を迎えに来る人を新たに登録する場合においても、ICリーダライタ上で、この新たに迎えに来る人を新たな対応者として個人情報を取得した後、当該取得した個人情報を対応者個人情報として照合基準者のICチップに対して送信して記録することで、当該新たな人がICチップ上にて対応者として登録され、これ以後は通常の照合処理によって正しく照合することができるようになる。即ち、簡易な処理・手続によって新たな対応者をその場で逐次追記することができ、利便性が高い。
【発明の効果】
【0033】
本発明の構成によれば、簡易な設備を導入するのみで防犯上の効果を発揮し得る照合システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下において、本発明に係る照合システム(以下、適宜「本発明システム」と称する)の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
[第1実施形態]
以下において、本発明システムの第1実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)について、図1〜図7の各図を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明システムが想定する施設1の概念的な構成図である。施設1は、例えば託児所のような場所である。施設1内には、一又は複数の児童10が存在しており、当該施設内にはICリーダライタ3が設けられている。又、児童10は、名札2を付けており、この名札2は、後述するようにICリーダライタ3との間で通信が可能なICチップが内蔵されている。
【0037】
図2は、名札2の概略構成を示す模式図である。図2では、児童10として甲田乙男(こうだおつお)君の名札を例に挙げて記載している。この名札2は、ICリーダライタ3と通信が可能なICチップ4が内蔵されており、一種のIC装置を形成している(以下、名札2を適宜「IC装置2」と称する)。このICチップ4は、所定の情報を記録可能なメモリを内蔵しており、ICリーダライタ3によって当該情報の読み出し、又は書き込みが可能に構成される。
【0038】
図3は、ICリーダライタ3の概略構成を示す模式図である。図3(a)がICリーダライタ3の表面を、図3(b)が裏面を示している。
【0039】
ICリーダライタ3は、被写体を撮像することができる撮像手段5、ICチップ4との間で通信を行うための通信用コイル6、及び情報が表示される液晶ディスプレイ等の表示手段7を備えて構成される。即ち、ICリーダライタ3としては、例えばデジタルカメラ機能を搭載したリーダライタ装置であるものとして良い。この場合、撮像手段5によって撮影された被写体が表示手段7上に表示され、視覚的に確認可能に構成される(撮像データを表示手段7上に表示させるための画像再生用ソフトウェア等を内蔵しているものとする)。
【0040】
本発明システムは、児童(以下、「照合基準者」と称する)10に対して予め一又は複数の人(以下、「対応者」と称する)が対応付けられている状態の下で、ある人(以下、「照合対象者」と称する)が前記対応者に該当するかどうかを照合するシステムである。即ち、本発明システムは、対応者を登録する登録処理と、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理の2処理で構成される。
【0041】
図4は、上記2処理の内、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図5は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。以下、図4及び図5を参照して本実施形態における対応者の登録処理方法について説明を行う。尚、以下の説明文中のステップ#1〜ステップ#5に係る各ステップは図5のフローチャート上の各ステップに対応する。
【0042】
まず、ICリーダライタ3の撮像手段(以下、単に「撮像手段」と記載する)5によって照合基準者10を撮影する(ステップ#1)。そして、この撮影された照合基準者10の撮像データを、照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#2)。
【0043】
次に、撮像手段5によって対応者20を撮影し(ステップ#3)、この撮像データを照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#4)。更に登録すべき対応者が存在する場合には(ステップ#5においてYes)、引き続き対応者20の撮影、及び撮像データのICチップ4に対する送信を行い、登録すべき対応者がなくなれば(ステップ#5においてNo)、登録処理を終了する。
【0044】
上記ステップ#1〜ステップ#5の各ステップが完了すると、照合基準者10のICチップ4には、照合基準者10自身の撮像データ10d、及び現時点における全ての対応者の撮像データ20dが記録されることとなる。図4では、対応者として、照合基準者10の父21、母22、及び祖母23を想定しており、この場合、対応者の撮像データとして父の撮像データ21d、母の撮像データ22d、及び祖母の撮像データ23dが夫々登録されている。尚、撮像データとしては、人物を特定できる程度の撮像態様である必要があり、被写体としては少なくとも顔を含む構成であることが好ましい。
【0045】
尚、ステップ#1〜ステップ#5の各ステップが完了した後、改めて新たな対応者を登録する場合には、別途、当該対応者に対し、ステップ#3〜ステップ#5の各ステップに係る処理を施せば良い。
【0046】
このような登録処理が施された状態の下、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理方法について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図7は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。尚、以下の説明文中のステップ#6〜ステップ#9に係る各ステップは図7のフローチャート上の各ステップに対応する。尚、以下では、施設1の管理者30(例えば託児所の保育士等)が照合処理を行うことを想定して説明を行う。
【0047】
管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、まずICリーダライタ3によって照合基準者10のIC装置2のICチップ4と通信を行って、ICチップ4に記録されている情報を読み出す(ステップ#6)。これにより、ICリーダライタ3の表示手段7(以下、単に「表示手段7」と略称する)上には、照合基準者10の撮像データ10d、及び予め登録されている対応者20の撮像データ20dが表示されることとなる。管理者30は、当該表示手段7上に表示された内容を確認し(ステップ#7)、まず、照合基準者10の撮像データ10dと、IC装置2を装着している照合基準者10本人とが一致することを確認する(ステップ#8)。そして、IC装置2を装着しているのが、正しい照合基準者10であることが確認できると(ステップ#8においてYes)、次に、表示手段7上に表示されている対応者の撮像データ20dの内の一人と照合対象者24が一致するかどうかの確認を行う(ステップ#9)。そして、照合対象者24が、表示手段7上に表示されている対応者の撮像データ20dの一人と一致した場合(ステップ#9においてYes)、照合が成功したと判断され、管理者30は照合対象者24に対して安心して照合基準者10を連れさせることができる。
【0048】
尚、照合基準者10の撮像データ10dと照合基準者10本人が不一致の場合(ステップ#8においてNo)、或いは、対応者の撮像データ20dの内の一人と照合対象者24とが不一致の場合(ステップ#9においてNo)、照合は失敗したことを意味する。このとき、前者の場合は、IC装置2が正しい照合基準者10によって装着されていなかったことを意味しており、例えば照合基準者10に対して管理者30がその旨を詰問する等の策を講じることができる。又、後者の場合は、照合基準者10に対する対応者として照合対象者24が現時点では登録されていないことを意味しており、照合対象者24に対して、その旨を詰問する等の策を講じることができる。特に後者の場合、照合対象者24が不審者である可能性もあるため、照合基準者10をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0049】
このように、本システムによれば、ICリーダライタ3とICチップ4が内蔵されたIC装置2があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。従って、防犯対策を検討している施設に対して本システムが導入される蓋然性は高く、防犯対策用システムとして各施設に対して浸透し易いというメリットがある。特に、ICリーダライタ3に撮像手段5と表示手段7を備え、携帯可能な構成とすることで、例えば保護者(照合対象者24)が児童(照合基準者10)を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外でも施設の管理者によって容易に照合手続を行うことができるため、保護者に一旦託児所内に入ってもらう等の負担を強いる必要がない。
【0050】
[第2実施形態]
以下において、本発明システムの第2実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)について図8〜図12の各図を参照して説明する。
【0051】
本実施形態は、第1実施形態と比較して、ICリーダライタの構成、ICチップ4内に記録される情報、及びIC装置2の内部構成が異なるのみであり、他は第1実施形態と同一である。以下では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行う。
【0052】
図8は、本実施形態におけるICリーダライタ3aの概略構成を示す模式図である。本実施形態におけるICリーダライタ3aは、第1実施形態におけるICリーダライタ3と比較して、生体情報取得手段25を備える点が異なる。尚、第1実施形態における撮像手段5は、本実施形態においては必ずしも必要な構成要素ではない。
【0053】
生体情報取得手段25は、対象者の生体情報を取得してICリーダライタ3a内部の記憶手段に記録する機能を有する。以下では、生体情報取得手段25が指紋情報を取得する機能を有するものとして説明を行うが、指紋情報に限られるものではなく、静脈情報等その他の生体情報を取得する機能を有する構成であっても構わない。
【0054】
図9は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図10は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。以下、図9及び図10を参照して本実施形態における登録処理方法について説明を行う。尚、以下の説明文中のステップ#11〜ステップ#15に係る各ステップは図10のフローチャート上の各ステップに対応する。又、本実施形態では、照合基準者10に装着されるIC装置2が、後述する所定の認証手段を内部に備える構成であるとする。この認証手段は、計算処理によって実行されるソフトウェアで実装された機能的手段であるとして良い。
【0055】
まず、ICリーダライタ3aの生体情報取得手段(以下、単に「生体情報取得手段」と記載する)25によって照合基準者10の生体情報を取得する(ステップ#11)。そして、この取得した照合基準者10の生体情報を、照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#12)。
【0056】
次に、生体情報取得手段25によって対応者の生体情報を取得し(ステップ#13)、この生体情報を照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#14)。更に登録すべき対応者が存在する場合には(ステップ#15においてYes)、引き続き対応者20の生体情報の取得、及び当該取得された生体情報のICチップ4に対する送信を行い、登録すべき対応者がなくなれば(ステップ#15においてNo)、登録処理を終了する。
【0057】
上記ステップ#11〜ステップ#15の各ステップが完了すると、照合基準者10のICチップ4には、照合基準者10自身の生体情報データ10da、及び現時点における全ての対応者の生体情報データ20daが記録される。図9では、図4と同様に、対応者として、照合基準者10の父21、母22、及び祖母23を想定しており、この場合、対応者の撮像データとして父の生体情報データ21da、母の生体情報データ22da、及び祖母の生体情報データ23daが夫々登録されている。
【0058】
尚、ステップ#11〜ステップ#15の各ステップが完了した後、改めて新たな対応者を登録する場合には、別途、当該対応者に対し、ステップ#13〜ステップ#15の各ステップに係る処理を施せば良い。
【0059】
このような登録処理が施された状態の下、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図12は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。尚、以下の説明文中のステップ#15〜ステップ#20に係る各ステップは図12のフローチャート上の各ステップに対応する。尚、以下では、第1実施形態と同様、施設1の管理者30(例えば託児所の保育士等)が照合処理を行うことを想定して説明を行う。
【0060】
管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、まず生体情報取得手段25によって照合基準者10の生体情報を取得する(ステップ#15)。次に、生体情報取得手段25によって照合対象者24の生体情報を取得する(ステップ#16)。そして、ステップ#15及びステップ#16で取得した生体情報を照合基準者10のICチップ4に対して転送する(ステップ#17)。尚、ステップ#15とステップ#16の順序は逆であっても良く、又、照合基準者と照合対象者の生体情報が取得される都度逐次ICチップ4に対して転送されるものとしても良い。
【0061】
次に、IC装置2は、転送された照合基準者10の生体情報と、予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが一致するか否かの認証を行い(ステップ#18a)、一致する場合(ステップ#18aにおいてYes)には、更に転送された照合対象者24の生体情報と、予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが一致するか否かの検証を行う(ステップ#18b)。この結果、照合対象者24の生体情報と、対応者生体情報データ20daの何れかとが一致した場合には(ステップ#18bにおいてYes)、照合が成功した旨をICリーダライタ3aに対して転送し(ステップ#19a)、その旨が表示手段7上に表示される(ステップ#20)。例えば、図11の画面例7bのように、表示手段7上に認証が成功した旨が表示され、管理者30は当該表示内容を確認することで、照合対象者24に対して安心して照合基準者10を連れさせることができる。
【0062】
一方、照合基準者10の生体情報と予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが不一致の場合(ステップ#18aにおいてNo)、或いは、照合対象者24の生体情報と予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが不一致の場合(ステップ#18bにおいてNo)、IC装置2は、照合が失敗した旨をICリーダライタ3aに対して転送し(ステップ#19b)、その旨が表示手段7上に表示される(ステップ#20)。管理者30は当該表示内容を確認することで、照合が失敗した旨を認識することができる。
【0063】
このとき、照合基準者10の生体情報と予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが不一致の場合には、表示手段7上に「IC装置2が正しい照合基準者10によって装着されていない可能性がある」旨を表示させ、照合対象者24の生体情報と予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが不一致の場合には、表示手段7上に、「照合基準者10に対する対応者として照合対象者24が現時点では登録されていない」旨を表示させる構成とすることで、管理者は照合が失敗した理由を知ることができ、これに応じた対応策を講じることができる。即ち、前者の場合には、例えば照合基準者10に対して管理者30がその旨を詰問する等の策を講じることができ、後者の場合は、照合対象者24に対して、その旨を詰問する等の策を講じることができる。特に後者の場合、照合対象者24が不審者である可能性もあるため、照合基準者10をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0064】
このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様、ICリーダライタ3aとICチップ4が内蔵されたIC装置2があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。又、本実施形態では、照合処理がIC装置2上で自動的に実行されるため、照合対象者24を実際に目視により確認する必要がある第1実施形態と比較して、更に安全性が担保される。
【0065】
尚、本実施形態において、ICリーダライタ3aが更に撮像手段を有し、IC装置2内に予め撮像データが記録されている場合には、照合結果と併せて確認のために照合基準者並びに対応者の撮像データが表示される構成としても良い。
【0066】
又、上述の実施形態では、IC装置2上で照合処理を行った後、照合結果をICリーダライタ3aに対して転送するものとしたが、ICリーダライタ3aが認証手段を有する場合には、IC装置2上ではなくICリーダライタ3a上で照合処理が行われる構成としても良い。
【0067】
この場合、ステップ#15及びステップ#16で照合基準者10及び照合対象者24の生体情報を夫々取得した後、この情報をICリーダライタ3a内のメモリに一時的に記録し、次に照合基準者10のICチップ4からIC装置2内部に記録されている照合基準者生体情報データ10da、及び対応者生体情報データ20daをICリーダライタ3aが読み出し、この読み出された両データと、メモリに一時的に記録している照合基準者10及び照合対象者24の生体情報とを用いてステップ#18a及びステップ#18bに対応する照合処理を行う。そして、照合結果が表示手段7上に表示される構成である。このように構成される場合にも、IC装置2上で照合が行われる場合と同様の効果を有することができる。
【0068】
尚、上述の各実施形態において、ICリーダライタ3(3a)上の表示手段7に表示される内容、或いは内部のメモリに一時的に記録される情報は、一定時間が経過すると自動的に消去される構成であることが個人情報保護の観点からは好ましい。
【0069】
又、上述の各実施形態では、IC装置2内にはICチップ4が備えられているものとしたが、このICチップという表現は例示であり、ICタグ、RFID等同様の機能を有する他の表現形式を全て包含する記載である。又、IC装置2の例として名札を取り挙げたが、この態様も一例であり、照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着又は装着されることで携行可能な態様であればどのような構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る照合システムが想定する施設の概念的な構成図
【図2】名札の概略構成を示す模式図
【図3】本発明に係る照合システムの第1実施形態におけるICリーダライタの概略構成を示す模式図
【図4】本発明に係る照合システムの第1実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図
【図5】本発明に係る照合システムの第1実施形態における対応者の登録処理手順を示すフローチャート
【図6】本発明に係る照合システムの第1実施形態における照合対象者の照合処理方法を模式的に図示した概念図
【図7】本発明に係る照合システムの第1実施形態における照合対象者の照合処理手順を示すフローチャート
【図8】本発明に係る照合システムの第2実施形態におけるICリーダライタの概略構成を示す模式図
【図9】本発明に係る照合システムの第2実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図
【図10】本発明に係る照合システムの第2実施形態における対応者の登録処理手順を示すフローチャート
【図11】本発明に係る照合システムの第2実施形態における照合対象者の照合処理方法を模式的に図示した概念図
【図12】本発明に係る照合システムの第2実施形態における照合対象者の照合処理手順を示すフローチャート
【図13】従来の照合システムの一実施例を示す概念図(1)
【図14】従来の照合システムの一実施例を示す概念図(2)
【図15】従来の照合システムの別の一実施例を示す概念図
【符号の説明】
【0071】
1: 施設(託児所等)
2: 名札(IC装置)
3、3a: ICリーダライタ
4: ICチップ
5: 撮像手段
6: 通信用コイル
7: 表示手段
10: 児童(照合基準者)
10d: 児童(照合基準者)の撮像データ
10da: 児童(照合基準者)の撮像データ
20: 対応者
20d: 対応者の撮像データ
20da: 対応者の生体情報データ
21: 父(対応者)
21d: 父(対応者)の撮像データ
21da: 父(対応者)の撮像データ
22: 母(対応者)
22d: 母(対応者)の撮像データ
22da: 母(対応者)の撮像データ
23: 祖母(対応者)
23d: 祖母(対応者)の撮像データ
23da: 祖母(対応者)の撮像データ
24: 照合対象者
25: 生体情報取得手段
30: 管理者
100: 託児所
100a: 託児所
101: 認証用カメラ
102: 端末サーバ
102d: データベース
103: 母親
103p: 登録されている母親の写真
104: 児童
104p: 登録されている児童の写真
104p’: 認証時に撮影された児童の写真
105: 警報機
108: 照合対象者
108p: 照合対象者の写真
110: データベース
111: 発信機
112: IDカード
113: 児童探知機
114: カードリーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は照合システムに関し、特に、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年共働き世帯が増えるに連れ、託児所等の児童を預かる施設に児童を預ける世帯が増えている。児童の受け入れ体制を強化するため、児童を預かる施設において延長保育、休日保育などの時間外保育を行うなど保育時間の拡大を図っている。しかしながら、時間外保育には、定時保育士以外の臨時保育士を割り当てることも多いのが現状であり、この結果、施設の職員が児童を迎えに来た保護者や児童の祖父、祖母などの親族を識別できないことも散見される。かかる状況下においては、第三者による誘拐事故等を誘発する恐れがあり、このような問題を解決するために従来より種々の照合システムが提供されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、託児所等において入室の際、児童と保護者等の同伴者の写真を撮影し、退室時に迎えに来た同伴者と児童を自動で照合するシステムが記載されている。以下、図13及び図14を参照して、当該システムの概要を説明する。
【0004】
図13及び図14は、特許文献1の照合システムを託児所において実施した場合の概念図である。まず、図13(a)に示すように、託児所に預けられている児童104とその児童104を迎えに来る母親103を、託児所100内に設置された認証用カメラ101において撮影する(ステップ#91)。そして、この撮影された写真を端末サーバ102に転送した後(ステップ#92)、図13(b)に示すように母親103の写真103pを児童104の写真104pに対応させた状態で端末サーバ102に登録する(ステップ#93)。この端末サーバ102には、託児所で預かっている全ての児童について、各児童夫々を迎えに来る人を対応させて写真(少なくとも顔が写っていることが必要)が記録される構成である。例えば、端末102内では、図13(b)のように児童毎に固有のIDが付されており、各ID毎に迎えに来る人の写真と児童の写真とがデータベース形式(102d)で記録されるものとすることができる。
【0005】
このように構成される状況下で、児童104をある人108が迎えに来た場合、託児所100において当該システムを用いて認証を行う手続について図14を参照して説明する。
【0006】
尚、この児童104を迎えに来たある人108(以下、「照合対象者」と称する)が児童104の母親であるとすれば、敢えて照合システムを利用しなくても託児所100の職員によって認識可能であることが通常であるが、上述したように臨時の職員が託児所100において勤務している場合も想定されることから、以下では、託児所100の職員が一見して照合対象者108が児童104の母親103であると気付かなかった場合、或いは気付いた場合であっても正しく照合システムを利用するように予め定められている場合を前提に説明を行う。
【0007】
まず、児童104を照合対象者108を認証用カメラ101で撮影する(ステップ#93)と共に、迎えに来た人108の目的の児童である児童104についても認証用カメラ101で撮影する(ステップ#94)。そして、この撮影された画像が端末サーバ102に転送され(ステップ#95)、端末サーバ102内において認証処理が施される(ステップ#96)。即ち、まず、ステップ#94において撮影された児童104の写真104p’と一致する写真104pをデータベース102dから検索し、この写真104pの児童(即ち児童104)に対応付けられている人の写真103pと、ステップ#94において撮影された照合対象者108の写真108pとが同一人物であるか否かの照合を行う。同一人物である場合、照合対象者108が児童104の母親103と同一人物であると判断され、同一人物でない場合、端末サーバ102から警報機105に対して警報出力指示が与えられ、警報機105が作動する。
【0008】
又、特許文献2には、託児所等において、児童に取り付けられた発信機、託児所内にいる児童を管理する検知器、及び端末サーバが備えられ、児童を迎えに来る保護者等の同伴者に児童と関連付けられたIDカードを持参してもらい、このIDカードによって同伴者を認証するシステムが記載されている。以下、図15を参照して当該システムの概要を説明する。
【0009】
図15は特許文献2の照合システムを託児所において実施した場合の概念図である。図15(a)に示すように、児童104には発信機111が装着されており、児童104の母親(保護者)103には、児童104に対応したIDが付されたIDカード112が付与又は貸与される。尚、発信機は各児童毎に保持するものとし、各発信機には夫々固有のIDが付されており、児童が保持する発信機のIDに対応したIDカードが児童の保護者に付与又は貸与されるものとする。又、託児所100aには端末サーバ102が備えられており、当該端末サーバ102において発信機IDとIDカードのカードIDとの関連付けが行われ(ステップ#97)、関連付けられた内容がデータベース110として記録される。
【0010】
このように構成される状況下で、児童104を照合対象者108が迎えに来た場合、託児所100aにおいて当該システムを用いて認証を行う手続について説明する。尚、図15(b)に示されるように、託児所100a内には、IDカード内の情報を取得可能なカードリーダ114と、発信機を有する児童の託児所100aからの退出を検知して、その旨の信号を端末サーバ102に送信する児童探知機113が備えられている。
【0011】
まず、照合対象者108は、託児所100a内に備えられたカードリーダ114に自己のIDカード112を読み込ませる(ステップ#98)。カードリーダ114は、IDカード112より読み取った情報を端末サーバ102に送信し(ステップ#99)、端末サーバ102上にてIDカード112のカードIDに該当する人が迎えに来ている旨を一時的に記録する。
【0012】
このとき、児童104が託児所100aから退出すると、児童探知機113がその旨を検知して(ステップ#100)、発信機111の発信機ID(「0001」とする)に対応する児童が託児所100aから退出した旨を端末サーバ102に送信する(ステップ#101)。端末サーバ102は、児童探知機113からの信号を受信すると、児童探知機113によって検知された発信機の発信機ID0001と、予め当該端末サーバ102上に記録されている、迎えに来ている保護者のカードIDとを照合し(ステップ#102)、一致するIDがあれば保護者同伴で児童が退出した旨を認識することができる。又、逆に一致するIDがなければ、児童が単独で、或いは保護者以外の誰かと託児所100aを退出した旨を認識することができる。
【0013】
【特許文献1】特開平11−175633号公報
【特許文献2】特開2004−118362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の特許文献1及び2の何れのシステムにおいても、児童が保護者以外の他の人と共に退出することを未然に防止する効果が期待できる。
【0015】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、託児所側に端末サーバ、認証用カメラ、及び警報機等が、特許文献2のシステムでは、児童数分の発信機、各児童毎に保護者数分のIDカード、及び児童探知機等が夫々必要となるため、必要な機材や部品が多くなり、大掛かりなシステムを構築する必要があると共に、そのシステムを管理する必要があり、託児所側に大きな負担が強いられるという問題がある。又、システムが大掛かりになるため、導入コスト或いは維持コストが増大し、この結果、防犯上の観点からは導入を検討していてもコストの問題で当該システムの導入に踏み切れない託児所が依然として存在する可能性があり、これらのシステムは託児所等の防犯対策用システムとして浸透しにくい要素を内包しているという課題を有する。
【0016】
本発明は上記の問題点に鑑み、簡易な設備を導入するのみで防犯上の効果を発揮し得る照合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムであって、所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記IC装置内の前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者を特定可能な撮像データ及び一又は複数の前記対応者夫々を特定可能な撮像データが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行うことで、当該ICチップに記録されている前記照合基準者の撮像データ及び前記対応者の撮像データを読み出して当該ICリーダライタ上に表示し、前記照合基準者と前記ICリーダライタ上に表示された前記照合基準者の撮像データとの視覚的照合、及び前記照合対象者と前記ICリーダライタ上に表示された前記対応者の撮像データとの視覚的照合を可能に構成されることを第1の特徴とする。
【0018】
本発明に係る照合システムの上記第1の特徴構成によれば、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、ICリーダライタによって照合基準者によって携行されているIC装置内のICチップに記録された情報を読み出すことで、照合基準者、及び照合基準者に予め対応付けられている対応者を特定可能な撮像データが表示される。従って、当該施設の管理者は、この表示内容を確認して、まずIC装置が本人によって携行されているか否かを照合基準者の撮像データとIC装置が装着されている本人の顔とを比較して確認した上で、対応者の撮像データと照合対象者の顔とを比較して照合対象者が対応者として予め登録されている人であるか否かを確認することができるため、万一照合対象者が対応者として登録されていない場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため、照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。尚、本システムによれば、ICリーダライタとICチップが内蔵されたIC装置があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。従って、防犯対策を検討している施設に対して本システムが導入される蓋然性は高く、防犯対策用システムとして各施設に対して浸透し易いというメリットがある。
【0019】
特に、表示手段を備え携帯可能な構成ICリーダライタを利用することで、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外でも施設の管理者によって容易に照合手続を行うことができるため、保護者に一旦託児所内に入ってもらう等の負担を強いる必要がない。
【0020】
ここで、上記IC装置としては、例えばICチップが内蔵された名札によって構成することができる。この場合、本発明に係る照合システムを託児所に導入する場合、託児所に預けられる児童にこのICチップが内蔵された名札を取り付けておくことで、児童が不審者によって連れ去られることを未然に防止することができる。尚、システムを運用するためには、託児所にて預けられる児童に対してこのICチップが内蔵された名札を装着させるだけで良く、児童の保護者に対して殆ど負担が課されない。
【0021】
又、本発明に係る照合システムは、上記第1の特徴構成に加えて、前記ICリーダライタが撮像手段を備えており、前記対応者が新たに追加される場合には、当該ICリーダライタによって撮像された当該対応者の撮像データを前記照合基準者の前記IC装置内の前記ICチップに追記可能に構成されることを第2の特徴とする。
【0022】
本発明に係る照合システムの上記第2の特徴構成によれば、新たに対応者を追加する場合においても照合する際に要する装置以外の装置を必要としない。従って、例えば対応者として登録されていない第1照合対象者と登録されている第2照合対象者が照合基準者を迎えに来たような場合、施設の管理者は、第2照合対象者が対応者であることを確認した上で、その場で第1照合対象者についても登録を行うことができるため、照合手続と登録手続を例えば施設の入り口等の屋外で同時に行うことができ、利便性が高い。
【0023】
又、本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、所定の情報を記録可能であると共に所定の認証処理手段を備え、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者の特有の情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、入力された前記第1及び第2個人情報を前記ICチップに送信し、前記ICチップが、前記第1個人情報と当該ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と当該ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、照合結果を前記ICリーダライタに送信して、前記ICリーダライタ上に表示可能に構成することを第3の特徴とする。
【0024】
本発明に係る照合システムの上記第3の特徴構成によれば、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、照合基準者に携行されるIC装置に内蔵されるICチップと携帯型のICリーダライタとで情報の送受信が行われることで、容易に照合対象者の照合を行うことができる。即ち、まず照合対象者の照合を行う際に、まずICリーダライタによって照合基準者の個人情報(第1個人情報)及び照合対象者の個人情報(第2個人情報)を取得した後、これらを照合基準者が携行しているIC装置に内蔵されるICチップに送信する。ICチップには、予め取得された照合基準者特有の個人情報(照合基準者個人情報)と対応者の個人情報(対応者個人情報)が記録されているため、ICチップ内において送信された第1個人情報と照合基準者個人情報とを比較照合することで当該ICチップが正しく本人に装着されたものであるかを確認した後、送信された第2個人情報と対応者個人情報とを比較照合することで第2個人情報を有する照合対象者が対応者として予め登録された人であるかどうかの確認を行うことができる。そしてICチップ上において行われた当該照合の結果がICリーダライタ上に送信される。
【0025】
従って、本発明システムが導入される施設の管理者は、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外において、照合基準者たる児童及び照合対象者たる保護者に対して、夫々ICリーダライタに対して個人情報の入力を求めることで、照合がICチップ上において自動的に行われた後、ICリーダライタ上にはその照合結果が表示されるため、システムが導入される施設の管理者は、このICリーダライタ上に表示される照合結果を参照して、万一照合が失敗した場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0026】
又、本発明に係る照合システムは、一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、所定の情報を表示可能な表示手段及び所定の認証処理手段を備え、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、前記ICチップが、予め前記照合基準者の特有の個人情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の個人情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、前記ICリーダライタが、前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、前記第1個人情報と前記ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と前記ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、当該照合結果を出力可能に構成されることを第4の特徴とする。
【0027】
本発明に係る照合システムの上記第4の特徴構成によれば、上記第3の特徴構成と同様、システムが導入されている施設に対して一又は複数の照合対象者が照合基準者を迎えに来た場合、照合基準者に携行されるIC装置に内蔵されるICチップと携帯型のICリーダライタとで情報の送受信が行われることで、容易に照合対象者の照合を行うことができる。即ち、照合対象者の照合を行う際に、まずICリーダライタによって照合基準者の個人情報(第1個人情報)及び照合対象者の個人情報(第2個人情報)を取得した後、照合基準者が携行しているIC装置に内蔵されているICチップと通信することで、当該チップ内に記録されている照合基準者特有の個人情報(照合基準者個人情報)と対応者の個人情報(対応者個人情報)を取得する。そして、ICリーダライタ内において、第1個人情報とICチップから送信された照合基準者個人情報とを比較照合することで当該ICチップが正しく本人に装着されたものであるかを確認した後、第2個人情報とICチップから送信された対応者個人情報とを比較照合することで第2個人情報を有する照合対象者が対応者として予め登録された人であるかどうかの確認を行うことができる。そして当該照合結果がICリーダライタ上の表示手段に表示される。
【0028】
従って、本発明システムが導入される施設の管理者は、例えば保護者が児童を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外において、照合基準者たる児童及び照合対象者たる保護者に対して、夫々ICリーダライタに対して個人情報の入力を求めることで、照合がICリーダライタ上において自動的に行われた後、表示手段上にその照合結果が表示されるため、このICリーダライタ上に表示される照合結果を参照して、万一照合が失敗した場合には、照合対象者が不審者である可能性もあるため照合基準者をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0029】
又、本発明に係る照合システムは、上記第3又は第4の特徴構成に加えて、前記ICチップには、前記照合基準者個人情報として前記照合基準者の生体情報が、前記対応者個人情報として一又は複数の前記対応者夫々の生体情報が記録されており、前記ICリーダライタが、生体情報の取得を可能に構成されており、前記第1個人情報、並びに前記第2情報が、夫々前記ICリーダライタによって取得された前記照合基準者の生体情報、並びに前記照合対象者の生体情報であることを第5の特徴とする。
【0030】
本発明に係る照合システムの上記第5の特徴構成によれば、照合基準者或いは照合対象者がICリーダライタに各個人情報を入力する際、例えば生体情報が指紋情報である場合にはICリーダライタ上に指を載置し、静脈情報である場合には腕や指をICリーダライタ上に近接させる等の処理を行うのみで良いため、例えば所定の記号や数字の羅列を入力させる場合と比較した場合、個人情報入力の際に要求される負担を大きく軽減することができる。
【0031】
又、本発明に係る照合システムは、上記第5の特徴構成に加えて、前記対応者が新たに追加される場合には、前記ICリーダライタによって取得された新たな前記対応者の生体情報を前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップに対して追記可能に構成されることを第6の特徴とする。
【0032】
本発明に係る照合システムの上記第6の特徴構成によれば、照合基準者を迎えに来る人を新たに登録する場合においても、ICリーダライタ上で、この新たに迎えに来る人を新たな対応者として個人情報を取得した後、当該取得した個人情報を対応者個人情報として照合基準者のICチップに対して送信して記録することで、当該新たな人がICチップ上にて対応者として登録され、これ以後は通常の照合処理によって正しく照合することができるようになる。即ち、簡易な処理・手続によって新たな対応者をその場で逐次追記することができ、利便性が高い。
【発明の効果】
【0033】
本発明の構成によれば、簡易な設備を導入するのみで防犯上の効果を発揮し得る照合システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下において、本発明に係る照合システム(以下、適宜「本発明システム」と称する)の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
[第1実施形態]
以下において、本発明システムの第1実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)について、図1〜図7の各図を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明システムが想定する施設1の概念的な構成図である。施設1は、例えば託児所のような場所である。施設1内には、一又は複数の児童10が存在しており、当該施設内にはICリーダライタ3が設けられている。又、児童10は、名札2を付けており、この名札2は、後述するようにICリーダライタ3との間で通信が可能なICチップが内蔵されている。
【0037】
図2は、名札2の概略構成を示す模式図である。図2では、児童10として甲田乙男(こうだおつお)君の名札を例に挙げて記載している。この名札2は、ICリーダライタ3と通信が可能なICチップ4が内蔵されており、一種のIC装置を形成している(以下、名札2を適宜「IC装置2」と称する)。このICチップ4は、所定の情報を記録可能なメモリを内蔵しており、ICリーダライタ3によって当該情報の読み出し、又は書き込みが可能に構成される。
【0038】
図3は、ICリーダライタ3の概略構成を示す模式図である。図3(a)がICリーダライタ3の表面を、図3(b)が裏面を示している。
【0039】
ICリーダライタ3は、被写体を撮像することができる撮像手段5、ICチップ4との間で通信を行うための通信用コイル6、及び情報が表示される液晶ディスプレイ等の表示手段7を備えて構成される。即ち、ICリーダライタ3としては、例えばデジタルカメラ機能を搭載したリーダライタ装置であるものとして良い。この場合、撮像手段5によって撮影された被写体が表示手段7上に表示され、視覚的に確認可能に構成される(撮像データを表示手段7上に表示させるための画像再生用ソフトウェア等を内蔵しているものとする)。
【0040】
本発明システムは、児童(以下、「照合基準者」と称する)10に対して予め一又は複数の人(以下、「対応者」と称する)が対応付けられている状態の下で、ある人(以下、「照合対象者」と称する)が前記対応者に該当するかどうかを照合するシステムである。即ち、本発明システムは、対応者を登録する登録処理と、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理の2処理で構成される。
【0041】
図4は、上記2処理の内、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図5は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。以下、図4及び図5を参照して本実施形態における対応者の登録処理方法について説明を行う。尚、以下の説明文中のステップ#1〜ステップ#5に係る各ステップは図5のフローチャート上の各ステップに対応する。
【0042】
まず、ICリーダライタ3の撮像手段(以下、単に「撮像手段」と記載する)5によって照合基準者10を撮影する(ステップ#1)。そして、この撮影された照合基準者10の撮像データを、照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#2)。
【0043】
次に、撮像手段5によって対応者20を撮影し(ステップ#3)、この撮像データを照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#4)。更に登録すべき対応者が存在する場合には(ステップ#5においてYes)、引き続き対応者20の撮影、及び撮像データのICチップ4に対する送信を行い、登録すべき対応者がなくなれば(ステップ#5においてNo)、登録処理を終了する。
【0044】
上記ステップ#1〜ステップ#5の各ステップが完了すると、照合基準者10のICチップ4には、照合基準者10自身の撮像データ10d、及び現時点における全ての対応者の撮像データ20dが記録されることとなる。図4では、対応者として、照合基準者10の父21、母22、及び祖母23を想定しており、この場合、対応者の撮像データとして父の撮像データ21d、母の撮像データ22d、及び祖母の撮像データ23dが夫々登録されている。尚、撮像データとしては、人物を特定できる程度の撮像態様である必要があり、被写体としては少なくとも顔を含む構成であることが好ましい。
【0045】
尚、ステップ#1〜ステップ#5の各ステップが完了した後、改めて新たな対応者を登録する場合には、別途、当該対応者に対し、ステップ#3〜ステップ#5の各ステップに係る処理を施せば良い。
【0046】
このような登録処理が施された状態の下、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理方法について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図7は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。尚、以下の説明文中のステップ#6〜ステップ#9に係る各ステップは図7のフローチャート上の各ステップに対応する。尚、以下では、施設1の管理者30(例えば託児所の保育士等)が照合処理を行うことを想定して説明を行う。
【0047】
管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、まずICリーダライタ3によって照合基準者10のIC装置2のICチップ4と通信を行って、ICチップ4に記録されている情報を読み出す(ステップ#6)。これにより、ICリーダライタ3の表示手段7(以下、単に「表示手段7」と略称する)上には、照合基準者10の撮像データ10d、及び予め登録されている対応者20の撮像データ20dが表示されることとなる。管理者30は、当該表示手段7上に表示された内容を確認し(ステップ#7)、まず、照合基準者10の撮像データ10dと、IC装置2を装着している照合基準者10本人とが一致することを確認する(ステップ#8)。そして、IC装置2を装着しているのが、正しい照合基準者10であることが確認できると(ステップ#8においてYes)、次に、表示手段7上に表示されている対応者の撮像データ20dの内の一人と照合対象者24が一致するかどうかの確認を行う(ステップ#9)。そして、照合対象者24が、表示手段7上に表示されている対応者の撮像データ20dの一人と一致した場合(ステップ#9においてYes)、照合が成功したと判断され、管理者30は照合対象者24に対して安心して照合基準者10を連れさせることができる。
【0048】
尚、照合基準者10の撮像データ10dと照合基準者10本人が不一致の場合(ステップ#8においてNo)、或いは、対応者の撮像データ20dの内の一人と照合対象者24とが不一致の場合(ステップ#9においてNo)、照合は失敗したことを意味する。このとき、前者の場合は、IC装置2が正しい照合基準者10によって装着されていなかったことを意味しており、例えば照合基準者10に対して管理者30がその旨を詰問する等の策を講じることができる。又、後者の場合は、照合基準者10に対する対応者として照合対象者24が現時点では登録されていないことを意味しており、照合対象者24に対して、その旨を詰問する等の策を講じることができる。特に後者の場合、照合対象者24が不審者である可能性もあるため、照合基準者10をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0049】
このように、本システムによれば、ICリーダライタ3とICチップ4が内蔵されたIC装置2があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。従って、防犯対策を検討している施設に対して本システムが導入される蓋然性は高く、防犯対策用システムとして各施設に対して浸透し易いというメリットがある。特に、ICリーダライタ3に撮像手段5と表示手段7を備え、携帯可能な構成とすることで、例えば保護者(照合対象者24)が児童(照合基準者10)を託児所に迎えに来たような場合、この託児所の門や入り口等の屋外でも施設の管理者によって容易に照合手続を行うことができるため、保護者に一旦託児所内に入ってもらう等の負担を強いる必要がない。
【0050】
[第2実施形態]
以下において、本発明システムの第2実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)について図8〜図12の各図を参照して説明する。
【0051】
本実施形態は、第1実施形態と比較して、ICリーダライタの構成、ICチップ4内に記録される情報、及びIC装置2の内部構成が異なるのみであり、他は第1実施形態と同一である。以下では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行う。
【0052】
図8は、本実施形態におけるICリーダライタ3aの概略構成を示す模式図である。本実施形態におけるICリーダライタ3aは、第1実施形態におけるICリーダライタ3と比較して、生体情報取得手段25を備える点が異なる。尚、第1実施形態における撮像手段5は、本実施形態においては必ずしも必要な構成要素ではない。
【0053】
生体情報取得手段25は、対象者の生体情報を取得してICリーダライタ3a内部の記憶手段に記録する機能を有する。以下では、生体情報取得手段25が指紋情報を取得する機能を有するものとして説明を行うが、指紋情報に限られるものではなく、静脈情報等その他の生体情報を取得する機能を有する構成であっても構わない。
【0054】
図9は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図10は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。以下、図9及び図10を参照して本実施形態における登録処理方法について説明を行う。尚、以下の説明文中のステップ#11〜ステップ#15に係る各ステップは図10のフローチャート上の各ステップに対応する。又、本実施形態では、照合基準者10に装着されるIC装置2が、後述する所定の認証手段を内部に備える構成であるとする。この認証手段は、計算処理によって実行されるソフトウェアで実装された機能的手段であるとして良い。
【0055】
まず、ICリーダライタ3aの生体情報取得手段(以下、単に「生体情報取得手段」と記載する)25によって照合基準者10の生体情報を取得する(ステップ#11)。そして、この取得した照合基準者10の生体情報を、照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#12)。
【0056】
次に、生体情報取得手段25によって対応者の生体情報を取得し(ステップ#13)、この生体情報を照合基準者10のICチップ4に対して送信し、記録する(ステップ#14)。更に登録すべき対応者が存在する場合には(ステップ#15においてYes)、引き続き対応者20の生体情報の取得、及び当該取得された生体情報のICチップ4に対する送信を行い、登録すべき対応者がなくなれば(ステップ#15においてNo)、登録処理を終了する。
【0057】
上記ステップ#11〜ステップ#15の各ステップが完了すると、照合基準者10のICチップ4には、照合基準者10自身の生体情報データ10da、及び現時点における全ての対応者の生体情報データ20daが記録される。図9では、図4と同様に、対応者として、照合基準者10の父21、母22、及び祖母23を想定しており、この場合、対応者の撮像データとして父の生体情報データ21da、母の生体情報データ22da、及び祖母の生体情報データ23daが夫々登録されている。
【0058】
尚、ステップ#11〜ステップ#15の各ステップが完了した後、改めて新たな対応者を登録する場合には、別途、当該対応者に対し、ステップ#13〜ステップ#15の各ステップに係る処理を施せば良い。
【0059】
このような登録処理が施された状態の下、照合対象者が対応者に該当するか否かを判断する照合処理方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図であり、図12は、本実施形態における登録処理手順を示すフローチャートである。尚、以下の説明文中のステップ#15〜ステップ#20に係る各ステップは図12のフローチャート上の各ステップに対応する。尚、以下では、第1実施形態と同様、施設1の管理者30(例えば託児所の保育士等)が照合処理を行うことを想定して説明を行う。
【0060】
管理者30は、照合対象者24が照合基準者10の対応者であるか否かを判断するために、まず生体情報取得手段25によって照合基準者10の生体情報を取得する(ステップ#15)。次に、生体情報取得手段25によって照合対象者24の生体情報を取得する(ステップ#16)。そして、ステップ#15及びステップ#16で取得した生体情報を照合基準者10のICチップ4に対して転送する(ステップ#17)。尚、ステップ#15とステップ#16の順序は逆であっても良く、又、照合基準者と照合対象者の生体情報が取得される都度逐次ICチップ4に対して転送されるものとしても良い。
【0061】
次に、IC装置2は、転送された照合基準者10の生体情報と、予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが一致するか否かの認証を行い(ステップ#18a)、一致する場合(ステップ#18aにおいてYes)には、更に転送された照合対象者24の生体情報と、予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが一致するか否かの検証を行う(ステップ#18b)。この結果、照合対象者24の生体情報と、対応者生体情報データ20daの何れかとが一致した場合には(ステップ#18bにおいてYes)、照合が成功した旨をICリーダライタ3aに対して転送し(ステップ#19a)、その旨が表示手段7上に表示される(ステップ#20)。例えば、図11の画面例7bのように、表示手段7上に認証が成功した旨が表示され、管理者30は当該表示内容を確認することで、照合対象者24に対して安心して照合基準者10を連れさせることができる。
【0062】
一方、照合基準者10の生体情報と予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが不一致の場合(ステップ#18aにおいてNo)、或いは、照合対象者24の生体情報と予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが不一致の場合(ステップ#18bにおいてNo)、IC装置2は、照合が失敗した旨をICリーダライタ3aに対して転送し(ステップ#19b)、その旨が表示手段7上に表示される(ステップ#20)。管理者30は当該表示内容を確認することで、照合が失敗した旨を認識することができる。
【0063】
このとき、照合基準者10の生体情報と予めIC装置2内のメモリに登録されている照合基準者生体情報データ10daとが不一致の場合には、表示手段7上に「IC装置2が正しい照合基準者10によって装着されていない可能性がある」旨を表示させ、照合対象者24の生体情報と予め登録されている対応者生体情報データ20daの何れかとが不一致の場合には、表示手段7上に、「照合基準者10に対する対応者として照合対象者24が現時点では登録されていない」旨を表示させる構成とすることで、管理者は照合が失敗した理由を知ることができ、これに応じた対応策を講じることができる。即ち、前者の場合には、例えば照合基準者10に対して管理者30がその旨を詰問する等の策を講じることができ、後者の場合は、照合対象者24に対して、その旨を詰問する等の策を講じることができる。特に後者の場合、照合対象者24が不審者である可能性もあるため、照合基準者10をそのまま照合対象者と共に施設を退出させない措置を採ることで不審者による連れ去りを未然に防止する効果が期待できる。
【0064】
このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様、ICリーダライタ3aとICチップ4が内蔵されたIC装置2があれば認証処理が可能であるため、大掛かりな装置を必要とせず、システムを導入する施設の管理負担や経済的負担は大きく緩和される。又、本実施形態では、照合処理がIC装置2上で自動的に実行されるため、照合対象者24を実際に目視により確認する必要がある第1実施形態と比較して、更に安全性が担保される。
【0065】
尚、本実施形態において、ICリーダライタ3aが更に撮像手段を有し、IC装置2内に予め撮像データが記録されている場合には、照合結果と併せて確認のために照合基準者並びに対応者の撮像データが表示される構成としても良い。
【0066】
又、上述の実施形態では、IC装置2上で照合処理を行った後、照合結果をICリーダライタ3aに対して転送するものとしたが、ICリーダライタ3aが認証手段を有する場合には、IC装置2上ではなくICリーダライタ3a上で照合処理が行われる構成としても良い。
【0067】
この場合、ステップ#15及びステップ#16で照合基準者10及び照合対象者24の生体情報を夫々取得した後、この情報をICリーダライタ3a内のメモリに一時的に記録し、次に照合基準者10のICチップ4からIC装置2内部に記録されている照合基準者生体情報データ10da、及び対応者生体情報データ20daをICリーダライタ3aが読み出し、この読み出された両データと、メモリに一時的に記録している照合基準者10及び照合対象者24の生体情報とを用いてステップ#18a及びステップ#18bに対応する照合処理を行う。そして、照合結果が表示手段7上に表示される構成である。このように構成される場合にも、IC装置2上で照合が行われる場合と同様の効果を有することができる。
【0068】
尚、上述の各実施形態において、ICリーダライタ3(3a)上の表示手段7に表示される内容、或いは内部のメモリに一時的に記録される情報は、一定時間が経過すると自動的に消去される構成であることが個人情報保護の観点からは好ましい。
【0069】
又、上述の各実施形態では、IC装置2内にはICチップ4が備えられているものとしたが、このICチップという表現は例示であり、ICタグ、RFID等同様の機能を有する他の表現形式を全て包含する記載である。又、IC装置2の例として名札を取り挙げたが、この態様も一例であり、照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着又は装着されることで携行可能な態様であればどのような構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る照合システムが想定する施設の概念的な構成図
【図2】名札の概略構成を示す模式図
【図3】本発明に係る照合システムの第1実施形態におけるICリーダライタの概略構成を示す模式図
【図4】本発明に係る照合システムの第1実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図
【図5】本発明に係る照合システムの第1実施形態における対応者の登録処理手順を示すフローチャート
【図6】本発明に係る照合システムの第1実施形態における照合対象者の照合処理方法を模式的に図示した概念図
【図7】本発明に係る照合システムの第1実施形態における照合対象者の照合処理手順を示すフローチャート
【図8】本発明に係る照合システムの第2実施形態におけるICリーダライタの概略構成を示す模式図
【図9】本発明に係る照合システムの第2実施形態における対応者の登録処理方法を模式的に図示した概念図
【図10】本発明に係る照合システムの第2実施形態における対応者の登録処理手順を示すフローチャート
【図11】本発明に係る照合システムの第2実施形態における照合対象者の照合処理方法を模式的に図示した概念図
【図12】本発明に係る照合システムの第2実施形態における照合対象者の照合処理手順を示すフローチャート
【図13】従来の照合システムの一実施例を示す概念図(1)
【図14】従来の照合システムの一実施例を示す概念図(2)
【図15】従来の照合システムの別の一実施例を示す概念図
【符号の説明】
【0071】
1: 施設(託児所等)
2: 名札(IC装置)
3、3a: ICリーダライタ
4: ICチップ
5: 撮像手段
6: 通信用コイル
7: 表示手段
10: 児童(照合基準者)
10d: 児童(照合基準者)の撮像データ
10da: 児童(照合基準者)の撮像データ
20: 対応者
20d: 対応者の撮像データ
20da: 対応者の生体情報データ
21: 父(対応者)
21d: 父(対応者)の撮像データ
21da: 父(対応者)の撮像データ
22: 母(対応者)
22d: 母(対応者)の撮像データ
22da: 母(対応者)の撮像データ
23: 祖母(対応者)
23d: 祖母(対応者)の撮像データ
23da: 祖母(対応者)の撮像データ
24: 照合対象者
25: 生体情報取得手段
30: 管理者
100: 託児所
100a: 託児所
101: 認証用カメラ
102: 端末サーバ
102d: データベース
103: 母親
103p: 登録されている母親の写真
104: 児童
104p: 登録されている児童の写真
104p’: 認証時に撮影された児童の写真
105: 警報機
108: 照合対象者
108p: 照合対象者の写真
110: データベース
111: 発信機
112: IDカード
113: 児童探知機
114: カードリーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムであって、
所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記IC装置内の前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者を特定可能な撮像データ及び一又は複数の前記対応者夫々を特定可能な撮像データが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行うことで、当該ICチップに記録されている前記照合基準者の撮像データ及び前記対応者の撮像データを読み出して当該ICリーダライタ上に表示し、前記照合基準者と前記ICリーダライタ上に表示された前記照合基準者の撮像データとの視覚的照合、及び前記照合対象者と前記ICリーダライタ上に表示された前記対応者の撮像データとの視覚的照合を可能に構成されることを特徴とする照合システム。
【請求項2】
前記ICリーダライタが撮像手段を備えており、
前記対応者が新たに追加される場合には、当該ICリーダライタによって撮像された当該対応者の撮像データを前記照合基準者の前記IC装置内の前記ICチップに追記可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の照合システム。
【請求項3】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、
所定の情報を記録可能であると共に所定の認証処理手段を備え、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者の特有の情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、入力された前記第1及び第2個人情報を前記ICチップに送信し、
前記ICチップが、
前記第1個人情報と当該ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と当該ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、照合結果を前記ICリーダライタに送信して、前記ICリーダライタ上に表示可能に構成することを特徴とする照合システム。
【請求項4】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、
所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段及び所定の認証処理手段を備え、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者の特有の個人情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の個人情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、前記第1個人情報と前記ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と前記ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、当該照合結果を出力可能に構成されることを特徴とする照合システム。
【請求項5】
前記ICチップには、前記照合基準者個人情報として前記照合基準者の生体情報が、前記対応者個人情報として一又は複数の前記対応者夫々の生体情報が記録されており、
前記ICリーダライタが、生体情報の取得を可能に構成されており、
前記第1個人情報、並びに前記第2情報が、夫々前記ICリーダライタによって取得された前記照合基準者の生体情報、並びに前記照合対象者の生体情報であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の照合システム。
【請求項6】
前記対応者が新たに追加される場合には、前記ICリーダライタによって取得された新たな前記対応者の生体情報を前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップに対して追記可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の照合システム。
【請求項1】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合する照合システムであって、
所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記IC装置内の前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者を特定可能な撮像データ及び一又は複数の前記対応者夫々を特定可能な撮像データが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行うことで、当該ICチップに記録されている前記照合基準者の撮像データ及び前記対応者の撮像データを読み出して当該ICリーダライタ上に表示し、前記照合基準者と前記ICリーダライタ上に表示された前記照合基準者の撮像データとの視覚的照合、及び前記照合対象者と前記ICリーダライタ上に表示された前記対応者の撮像データとの視覚的照合を可能に構成されることを特徴とする照合システム。
【請求項2】
前記ICリーダライタが撮像手段を備えており、
前記対応者が新たに追加される場合には、当該ICリーダライタによって撮像された当該対応者の撮像データを前記照合基準者の前記IC装置内の前記ICチップに追記可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の照合システム。
【請求項3】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、
所定の情報を記録可能であると共に所定の認証処理手段を備え、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段を備えると共に、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者の特有の情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、入力された前記第1及び第2個人情報を前記ICチップに送信し、
前記ICチップが、
前記第1個人情報と当該ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と当該ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、照合結果を前記ICリーダライタに送信して、前記ICリーダライタ上に表示可能に構成することを特徴とする照合システム。
【請求項4】
一又は複数の照合対象者が、一の照合基準者に対して予め対応付けられている対応者に該当するか否かを照合を行う照合システムであって、
所定の情報を記録可能であって、前記照合基準者の個体、被服、又は所持品によって保持、接着、又は装着されることで前記照合基準者によって携行可能に構成されたICチップを内蔵するIC装置と、
所定の情報を表示可能な表示手段及び所定の認証処理手段を備え、前記ICチップと通信することで当該ICチップに記録されている情報の読み出し及び当該ICチップに対する情報の書き込みが可能であると共に、所定の個人情報の入力を受付可能な携帯型のICリーダライタと、を備えてなり、
前記ICチップが、
予め前記照合基準者の特有の個人情報である照合基準者個人情報と、一又は複数の前記対応者夫々の特有の個人情報である対応者個人情報とが前記ICリーダライタによって書き込まれており、
前記ICリーダライタが、
前記照合基準者に関する個人情報である第1個人情報、及び前記照合対象者に関する個人情報である第2個人情報が、夫々入力されると、前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップとの間で通信を行って、前記第1個人情報と前記ICチップに記録されている前記照合基準者個人情報との照合をし、合致した場合には前記第2個人情報と前記ICチップに記録されている前記対応者個人情報との照合をし、当該照合結果を出力可能に構成されることを特徴とする照合システム。
【請求項5】
前記ICチップには、前記照合基準者個人情報として前記照合基準者の生体情報が、前記対応者個人情報として一又は複数の前記対応者夫々の生体情報が記録されており、
前記ICリーダライタが、生体情報の取得を可能に構成されており、
前記第1個人情報、並びに前記第2情報が、夫々前記ICリーダライタによって取得された前記照合基準者の生体情報、並びに前記照合対象者の生体情報であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の照合システム。
【請求項6】
前記対応者が新たに追加される場合には、前記ICリーダライタによって取得された新たな前記対応者の生体情報を前記照合基準者によって携行される前記IC装置内の前記ICチップに対して追記可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の照合システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−108129(P2008−108129A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291426(P2006−291426)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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