説明

照明システム

【課題】ディスプレーまたはスクリーンの背景照明のためのシステムにおいて、簡易に製造できて、照明密度の経時的低下に対して、より修復し易いバックライトシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのカバーガラス付き照明体110およびその上に配置された透明素子130を持ち、該素子の少なくとも1つの面に、少なくとも部分的には平面状に蛍光層120が付与されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、特に照明システムに、なかでもディスプレーまたはスクリーン等々の背景照明のためのいわゆるバックライトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(平面)ディスプレーまたはスクリーン用のバックライトシステムでは、主要部は単一または複数の光生成、光放出ユニットおよび反射器で構成されている。
【0003】
背景照明またはいわゆるバックライト用の光生成、光放出ユニットとしては、通例、グロー放電ランプ、特に蛍光灯または蛍光管が用いられる。水銀グロー放電管もしばしばその対象になる。この種の光源、特に水銀放電の場合では、蛍光層によって可視光に変換されるUV光線、特に波長254nmのUV光線が発生する。
【0004】
従来技術では、蛍光層はカバーガラスの内面、すなわち、ランプ内部に配置される。これは、例えば20以上のランプが使用される大型ディスプレーの場合では、蛍光層は各ランプ管の内面に設置されて焼き付けされねばならないという欠点がある。さらに、蛍光層は「エージング」の支配下に置かれるので、ディスプレーの照明密度が低下して一定時間経過した後には、個々のランプを、あるいはその上バックライトユニット一式を取り換えねばならない。もう1つの欠点として、水銀灯、特にHg低圧放電灯の場合では、ランプに含まれる水銀が蛍光層と反応して、それにより蛍光層のエネルギーが低下し、ひいてはランプの照明特性に変化が生じるということがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は現状技術のこれら欠点を回避することである。特に、簡易に製造できて、照明密度の経時的低下に対してはより修復のし易いバックライトシステムを提供しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明に基づくシステムによって、つまり、ディスプレーまたはスクリーンの特に背景照明用としての、カバーガラスの付いた少なくとも1つの照明体を持つ、特にバックライトシステムによって解決される。それには、蛍光層が設けられているが、それはカバー材、特に照明体のカバーガラスの内部に、または内部の一部に取り付けられているのではない。その蛍光材は、実施形態の第1の可能性として、カバー材の外側に取り付けられる。第2の実施形態としては、バックライトシステムに照明体のほか、照明体の光線が当る透明素子を備え、当素子の少なくとも1つの面に、少なくとも部分的には平面状に蛍光層を設けることができる。透明素子には、照明体の光線が当る平面上で、少なくとも部分的には平面状に蛍光層を設けるのが特に好ましい。当該平面としては、例えば、照明体の直ぐ隣の面、すなわち、透明素子の下面がその対象になり得る。しかし別な場所でも可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明素子は、本発明の枠内では特別には限定されていない。これは、好ましくは、照明体の光線が当る面上に、単一または複数の層を有している。なお、その層はガラスおよび/またはポリマー材から選択可能である。そのようにして、素子は、例えば単一の、または複数重なり合ったガラス層および/またはポリマー層を持つことができる。ここで云う「層」とは、定義付けされた厚さおよび長さを持つ屈撓性、または不屈撓性の層、箔またはプレートのことで、例えばガラスプレートまたは合成物質箔である。種々様々な層の数および大きさは、選択されたバックライトシステムおよびその使用目的に依存する。本発明では、透明素子の形態も特別には限定されておらず、バックライトシステムの用途如何によって、それぞれに適合した形態、例えば平坦、湾曲、波形あるいは縁の曲った形態など任意の形態が対象になり得て、しかも対称形、非対称形のいずれでも可能である。透明素子としては、その下面に蛍光層の設けられた表示素子またはその一部を用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の非常に好ましい実施形態の1つでは、透明素子はその下面、すなわち、照明体のほうに向いた面に、特にアルカリを含まない平面ガラスから選択された少なくとも1つの平面ガラスの層を有していることである。その典型例は、Schott(株)の対応ガラスが挙げられる。
【0009】
本発明で云う「透明」とは、透過率が、好ましくは>80%、特に>85%、より好ましくは>90%、さらに好ましくは>95%、最も好ましくは>99%のことである。
【0010】
本発明によれば、透明素子の少なくとも1つの面に、少なくとも部分的に平面状の蛍光層が付与される。本発明では、この蛍光層は特別に限定はされない。使用される蛍光層は当業者間では公知である。公知の蛍光素材はいずれも使用できる。以下に典型例を挙げておく。
【表1】

【0011】
蛍光層は、部分的に、または完全に平坦に形成することができる。蛍光層は完全な平面状に付与されるのが特に好ましい。
【0012】
透明素子上での蛍光層の形成は、当業者間で公知のいかなる方法でも実施できる。蛍光層の形成は、例えば、蛍光染料溶液のスプレー、回転コーティング、ナイフコーティング(ドクターコーティング)、ローラコーティング、浸漬法など公知のコーティング法によって、または蛍光箔の付着による方法あるいはスクリーン捺染法によって行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態の1つでは、透明素子の面と蛍光層との間に偏光箔または偏光板が配置される。これは平坦な偏光子であって、面全体に亘ってほぼ完全な直線偏光を生み出すのに用いられる。このような偏光箔または偏光板は、例えば、ヘラパタイトまたは電気石などの二色性結晶で構成することができる。あるいは、例えば、内部に染料を沈着させた二色性のポリビニルアルコール延伸箔から形成することもできる。
【0014】
偏光箔または偏光板と蛍光層との間に、さらに、ガラス、それも特に極薄ガラスから選択された別な層を設けるのが特に好ましい。それは非常に薄いガラス板であって、例えば厚さがmmからμm単位に到るまでの、例えば厚さ80μm〜0.7mmの微小片である。極薄ガラス、例えばSchott DESAG社の極薄ガラスの追加設置は、偏光箔または偏光板と蛍光層との相互作用の防止に役立てることができる。
【0015】
透明素子は、照明体のカバーおよび/または保護材として機能するように形態およびサイズを決定することができる。
【0016】
本発明に基づき使用される、いわゆるバックライト形式の照明体としては、例えば、特にグロー放電灯から選択された放電灯、発光灯、蛍光灯、低圧灯、なかでも高UV透過率の放電灯など、この目的用として当業者間で公知の照明体であればいずれも適用することができるが、好ましくは小型形態のもの、特に好ましくは小型低圧放電灯である。照明体の電極位置は外部、または内部のいずれかに選択することができるが、これは選択された配置に依存する。
【0017】
この種のバックライト灯は、例えば、引抜加工管状ガラスから製造することができる。照明体は、好ましくは、完全なまでに透明で、カバーガラス形態を取る中央部と、金属または合金導線の取付によって然るべき接続箇所を設けることのできる2つの末端とに分割することができる。金属または金属導線は焼戻し過程でカバーガラスと熔かし合わせることが可能である。金属または合金導線は電極ブッシングおよび/または電極である。この電極ブッシングとしては、タングステン系またはモリブデン系金属またはコバール合金が好ましい。カバーガラスの線熱膨張(CTE)が、電極ブッシングの線膨張(CTE)と十分に一致しているので、ブッシングの領域では応力は全く発生しないか、あるいは定義付けおよび照準設定された応力しか発生しない。
【0018】
バックライト灯として特に好ましいのはEEFL(external electrode fluorescent lamp=外部電極蛍光灯)である。照明装置としてこの種のEEFLは電極ブッシングがない。電極なしのEEFLバックライトの場合、結合は電場によって行われるからである。本発明に基づくこの形態のバックライト装置としては、例えば電極なしのグロー放電ランプがある。すなわち、ブッシングはなくて、ただ、外側の、つまり外側に位置する電極があるだけである。
【0019】
しかし、原則としては、内部接触子の構成も可能である。この場合、プラズマ発光は内部電極を通じて行うことができる。この種の発光はテクノロジーとして1つの選択肢である。そのようなシステムはCCFLシステム(cold−cathode fluorescent lamp=冷陰極蛍光灯)と言われる。
【0020】
本発明では、照明体の構造および配置には特別な制限はない。本発明による場合、小型化されたバックライト用発光装置の使用が好ましい。
【0021】
本発明に基づくバックライトシステムは、通例、例えば平面状、アーチ状の、あるいは屈曲反復形状の反射性基板または支持板、支持箔など殆ど任意の形態を持つ反射器を有している。反射器の上方には単一または複数の照明体が配置されている。照明体は、単一または複数として、それぞれが特に小型化された、例えば互いに平行に配置できるものを使用するのが好ましい。反射器は、目的に適うように、単一または複数の照明体が入る複数の窪みを持つことができる。1窪みにつき、それぞれ1照明体が入るのが好ましい。
【0022】
照明体のガラスは、本発明の枠内では特別な制限はない。バックライトシステムにおける照明体のカバーガラスには、硼珪酸塩ベースのガラスを使用するのが特に好ましい。硼珪酸塩ガラスは、主成分としてSiOおよびBを、その他成分として、例えばLiO、NaO、KO、CaO、MgO、SrOおよびBaOなどの酸化アルカリおよび/または酸化アルカリ土類を含んでいる。詳細については、その公開内容全体が本明細書に反映されているDE 20 2005 004 487 U1が参考になる。
【0023】
カバーガラスとしては、透過率が、波長領域約254nmにおいて、例えば20%より大きく、好ましくは50%より大きく、特に好ましくは70%より大きくのものを優先する。
【0024】
本発明の好ましい実施形態の1つでは、照明体のカバーガラスとして、UVブロッキング作用のないガラス組成物が使用される。すなわち、UVブロッキング性のイオンまたはその酸化物は、ガラス組成物中で完全に消去させることが、あるいは最小限の含有量に調整することが可能である。そのような例としては、CeO、Fe、TiOがある。
【0025】
これは、使用されるカバーガラス中のUVブロッキング性イオンまたはその酸化物の含有量を以下のように、すなわち、
TiO<0.1重量%、
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
CeO<0.1重量%、好ましくは<0.05重量%
とすることによって達成される。
【0026】
非常に好ましい例では、照明体のカバーガラスは、380nmまでのUV領域では専ら発光作用だけを示し、380〜800nmの可視領域光線については透過阻止する。この用途には、可視領域での透過を抑えるガラス組成物を選択することができる。したがって、可視波長領域での吸収を達成させるためには、ガラスにCo2+および/またはNi2+が含まれていれば好ましい。例えば、CoOが0.2〜10重量%の範囲、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%および/またはNiOが0.2〜15重量%の範囲、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%含まれているようなガラス組成物が優先される。
【0027】
本発明に基づくカバーガラスの組成成分は、好ましくは、下記の範囲内とする。
SiO 55〜85重量%、好ましくは63〜75重量%、特に好ましくは65〜74重量%、
>0〜35重量%、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは14〜19重量%、
Al 0〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、
LiO 0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、
NaO 0〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、
O 0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜25重量%、好ましくは1〜15重量%、
MgO 0〜8重量%、好ましくは1〜5重量%、
CaO 0〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは2〜10重量%、
SrO 0〜5重量%、好ましくは1〜2重量%、
BaO 0〜45重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜5重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 0〜45重量%、特に0〜20重量%、さらに好ましくは0〜15重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜3重量%、
MoO 0〜3重量%、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0028】
可視波長領域での高いブロッキングには、EEFL灯のカバーガラスにオプションとして下記成分を含ませる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
【0029】
本発明の照明体は、特に好ましくは、下記組成物のカバーガラスを含んでいる。
SiO 55〜79重量%、好ましくは60〜75重量%、特に好ましくは65〜70重量%、
3〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、特に好ましくは14〜19重量%、
Al 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
LiO 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
NaO 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
O 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0.5〜16重量%、好ましくは1〜12重量%、
MgO 0〜2重量%、
CaO 0〜3重量%、
SrO 0〜3重量%、
BaO 0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜3重量%、
ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜3重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、特に0〜10重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜3重量%、
MoO 0〜3重量%、
この場合、熔融物は酸化条件下で生成される。
【0030】
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0031】
波長≧380nmの可視光に対し高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
このガラス組成物は、0.01〜1重量%のAsを含んでいるのが好ましい。
【0032】
ガラスと電極ブッシングとの熔融がなされず、外部設置電極を持つ照明体、すなわちEEFLに対しても、前記のガラス組成物を同様に使用することができる。この種のガラスは、例えば下記の組成物を有している。
SiO 60〜75重量%、好ましくは65〜70重量%、
>25〜35重量%、好ましくは30〜35重量%、
Al 0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%、
LiO 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
NaO 0〜20重量%、好ましくは0〜14重量%、特に好ましくは5〜10重量%、
O 0〜20重量%、好ましくは0〜14重量%、特に好ましくは5〜10重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜25重量%、好ましくは0〜14重
量%、特に好ましくは5〜10重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、好ましくは0〜14重量%、特に好ましくは0〜10重量%、
SrO 0〜5重量%、
BaO 0〜45重量%、好ましくは0〜14重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 0〜45重量%、好ましくは0〜14重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜8重量%、
ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜14重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜3重量%、
ZrO 0〜5重量%、
MnO 0〜1重量%、
Nd 0〜1重量%、
WO 0〜2重量%、
Bi 0〜5重量%、
MoO 0〜5重量%、
As 0〜1重量%、
Sb 0〜1重量%、
SO2− 0〜2重量%、
Cl 0〜2重量%、
0〜2重量%、
その場合、
ΣPbO+As+Sb 0〜10重量%、
ΣPdO+PtO+PtO+PtO+RhO+Rh+IrO+Ir 0〜0.1重量%、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0033】
可視波長領域≧380nmでの高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
【0034】
既述のとおり、例えばチタンまたは鉄などUVブロッキング性イオンの含有量が低いため、UV領域では非常に透明なガラスが達成される。
【0035】
本発明の非常に好ましい実施形態の1つでは、当該ガラスは、特に、外部配置電極を持つグロー放電灯を想定して形成されている。できる限り出力損失Plossを少なくして、それにより、外部配置電極を持つグロー放電灯の作用効率を高くするに際し、損失角tanδと誘電率ε’の商をできる限り小さくするのが非常に有利であることが確認された。閉鎖型ガラス管の正面に配置された平面状電極を持つ簡易幾何学構造の場合では、出力損失は次式により近似的に表わすことができる。
【数1】

【0036】
式中の記号は次の意味である。
ω 角周波数
tanδ 損失角
ε’ 誘電率
d コンデンサの厚さ(ここでは、ガラスの厚さ)
A 電極面積
I 電流強度
【0037】
上記理由より、EEFLに対する使用では、商tanδ/ε’は<5×10−4でなければならず、好ましくは<4×10−4、より好ましくは<3×10−4、さらに好ましくは<2.5×10−4、特に好ましくは<1.5×10−4、最も好ましくは<1×10−4とする。
【0038】
したがって、商tanδ/ε’を5×10−4未満の領域に設定することによりガラス特性に対して照準どおり影響を与え、それによって総出力損失を所期どおり最小限にすることができる。商tanδ/ε’を本発明に従いできる限り小さく設定するために、ガラスマトリックスに例えば酸化物形態の高偏光性素子を組み込み、ガラス組成を調整する。この種の酸化物形態の高偏光性素子は、Ba、Cs、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Pb、Bi、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuの酸化物グループから選択することができる。
【0039】
上記より、EEFL放電灯に用いるガラスは次の組成物を有しているのが好ましい。
SiO 55〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、特に好ましくは70〜80重量%、
>0〜35重量%、好ましくは>0〜10重量%、特に好ましくは>0〜5重量%、
Al 0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜15重量%、
LiO<1.0重量%、
NaO<3.0重量%、
O<5.0重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO<5.0重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、
SrO 0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、
BaO 0〜80重量%、好ましくは0〜44重量%、より好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜8重量%、但し、>0.5〜10重量%が多用される。
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜80重量%、好ましくは0〜44重量%、より好ましくは0〜20重量%、
MoO 0〜3重量%、
ZnO 0〜15重量%、好ましくは0〜5重量%、
PbO 0〜70重量%、好ましくは0〜44重量%、より好ましくは0〜20重量%、
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 15〜80重量%、好ましくは15〜44重量%、
但し、酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuは含有量0〜80重量%、好ましくは0〜29重量%とする。
気泡除去剤は通常濃度とする。
【0040】
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0041】
さらに、波長≧380nmの可視領域で高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%、
このガラスは、不可避の不純物は別として、アルカリ不含であるのが好ましい。
【0042】
EEFL灯のカバーガラスとしての使用では、非常に好ましい実施形態として次の組成も可能である。
SiO 0〜85重量%、好ましくは0〜70重量%、
>0〜35重量%、好ましくは>0〜10重量%、特に好ましくは>0〜5重量%、
Al 0〜20重量%、
LiO<0.5重量%、
NaO<0.5重量%、
O<0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO<1.0重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、
SrO 0〜20重量%、
BaO 15〜60重量%、好ましくは20〜35重量%、より好ましくは25〜30重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 15〜70重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは25〜35重量%、
MoO 0〜3重量%、
ZnO 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、
PbO 0〜70重量%、好ましくは0〜60重量%、より好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは25〜35重量%
その場合、
ΣAl+B+BaO+CsO+PbO+Bi 15〜80重量%、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは35〜45重量%、特に好ましくは25〜35重量%とする。
気泡除去剤は通常濃度とする。
【0043】
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0044】
さらに、波長≧380nmの可視領域で高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
このガラスも同様に、不可避の不純物は別として、アルカリ不含であるのが好ましい。
【0045】
ガラスは、既述のように、すなわち、0〜85重量%という非常に広いSiO枠の中で55〜85重量%のSiO成分を有しているのが好ましい。B成分は、それに対応して適合化される。ガラス組成は、自明の通り、それぞれ成分調整によりトータル100%に設定される。
【0046】
下記は、EEFL灯に使用されるガラス組成物のまた別な好ましい成分例である。
SiO 35〜65重量%、好ましくは40〜64重量%、より好ましくは45〜55重量%、特に好ましくは45〜58重量%、
0〜15重量%、好ましくは0〜12重量%、特に好ましくは1〜8重量%、
Al 0〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは8〜14重量%、
LiO 0〜0.5重量%、
NaO 0〜0.5重量%、
O 0〜0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜1重量%、
MgO 0〜6重量%、
CaO 0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、
SrO 0〜8重量%、
BaO 1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%、
ZrO 0〜1重量%、
WO 0〜2重量%、
Bi 0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%、
MoO 0〜5重量%、
ZnO 0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%、
PbO 0〜70重量%、好ましくは0〜64重量%、より好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは25〜35重量%
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 8〜65重量%、好ましくは8〜64重量%、より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%とする。
【0047】
但し、酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuは含有量0〜80重量%、好ましくは0〜64重量%、より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%とする。
気泡除去剤は通常濃度とする。
【0048】
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0049】
また、波長≧380nmの可視領域で高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
【0050】
さらに、前記のガラス組成物と同様、少なくとも一種類の高偏光性酸化物を比較的多量に含んでいるため、商tanδ/ε’が同じく<5×10−4で、特にEEFL灯での使用に有用な、下記組成物を持つ別なガラスも存在する。
SiO 50〜65重量%、好ましくは55〜60重量%、
0〜15重量%、好ましくは1〜12重量%、より好ましくは2〜10重量%、
Al 1〜17重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは5〜14重量%、
LiO 0〜0.5重量%、
NaO 0〜0.5重量%、
O 0〜0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜1重量%、
MgO 0〜5重量%、
CaO 0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、
SrO 0〜5重量%、
BaO 20〜49重量%、好ましくは20〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは20〜39重量%、
ZrO 0〜1重量%、
WO 0〜2重量%、
Bi 0〜29重量%、好ましくは0〜19重量%、特に好ましくは0〜10重量%、
MoO 0〜5重量%、
ZnO 0〜3重量%、
PbO 0〜29重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは10〜20重量%
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 21〜50重量%、好ましくは15〜30重量%とする。
【0051】
但し、酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuは含有量0〜29重量%、好ましくは0〜18重量%とする。
気泡除去剤は通常濃度とする。
【0052】
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0053】
さらに、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
【0054】
以上のほか、使用照明体とは関係なく、次のガラス組成物も好ましい。
SiO 63〜72重量%、好ましくは65〜70重量%、
15〜22重量%、好ましくは18〜20重量%、
Al 0〜3重量%、
LiO 0〜5重量%、
NaO 0〜5重量%、
O 0〜5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0.5〜8重量%、
MgO 0〜3重量%、
CaO 0〜5重量%、
SrO 0〜3重量%、
BaO 0〜30重量%、好ましくは0〜22重量%、より好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%、場合により特に
BaO 0〜3重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 0〜30重量%、好ましくは0〜22重量%、より好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは5〜12重量%、場合により特に0〜5重量%、
ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜22重量%、より好ましくは2〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%、場合により特に
ZnO 0〜3重量%、
ZrO 0〜5重量%、
MnO 0〜1.0重量%、
Nd 0〜1.0重量%、
WO 0〜2重量%、
Bi 0〜5重量%、
MoO 0〜5重量%、
As 0〜1重量%、
Sb 0〜1重量%、
SO(2−) 0〜2重量%、
Cl 0〜2重量%、
0〜2重量%、
その場合、
ΣPbO+As+Sb+Cl 0.005〜10重量%、
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0055】
さらに、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
【0056】
また別な好ましい組成物として下記の成分を含むものがある。
SiO 67〜74重量%、好ましくは68〜72重量%、
5〜10重量%、好ましくは7〜10重量%、
Al 3〜10重量%、好ましくは5〜8重量%、
LiO 0〜4重量%、
NaO 0〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜7重量%、
O 0〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜7重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0.5〜10.5重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜7重量%、
MgO 0〜2重量%、
CaO 0〜3重量%、
SrO 0〜3重量%、
BaO 0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜3重量%、
ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜24.5重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜3重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 0〜30重量%、好ましくは0〜24.5重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜6重量%、
ZrO 0〜3重量%、
但し、UV領域での高率透過には、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%とする。
【0057】
また、波長≧380nmの可視領域で高いブロッキング効果を得るため、オプションとして下記成分を含有させる。
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%。
【0058】
特に上記の硼珪酸塩ガラスは、グロー放電管および特に小型化された蛍光灯での使用に適している。それも、特に照明用として、なかでも、例えば携帯電話やコンピュータモニタのディスプレーおよびLCDスクリーンなど電子表示装置の背景照明用として適しており、液晶表示器(LCD)の製造に、および背面照明表示器(「非自己放出型」または非自己照明型ディスプレー)の光源として使用される。
【0059】
この用途にはこの種ランプは非常に小さなサイズのものが使用され、それに応じてランプ用ガラスは極薄タイプしか用いられない。カバーガラスは、例えば管状のものが使用可能であるが、管状カバーガラスの直径は、好ましくは<1.0cm、特に好ましくは<0.8cm、さらに好ましくは<0.7cm、最も好ましくは<0.5cmとする。管状カバーガラスの壁厚は<1mm、特に<0.7mmとする。これに代わる実施形態として、照明体のカバーガラスを厚さ<1cmの平面ガラスにすることもできる。好ましくて優先されるディスプレーおよびスクリーンは、ラップトップ、特に平面バックライト装置に使用される、いわゆる平面ディスプレーである。本発明に基づくバックライトシステムは、例えばLCD−TFTなど、特に非自己照明型ディスプレー(「ノンセルフ・エミッター」ディスプレー)には適していない。
【0060】
以下では、本発明を添付図に基づきより詳しく説明する。図は次のとおりである。
【0061】
図1は、本発明に基づくバックライトシステムの好ましい実施形態例を示す模式図である。
【0062】
そこには、例えばEEFLまたはCCFLなど、反射器100の窪み100a内に配置された個々の小型放電灯110が示されている。放電灯110は互いに平行に設置されていて、いずれも同サイズである。但し、これはモデル例を示しただけである。もちろん、別な配置およびサイズも可能である。特にUV光を反射する反射器も、別なバックライトシステムでは全く別な幾何学構造を持たせることもできる。示された図では、反射器100に当った光、特にUV光は表示面130のほうへ反射する。本例では反射器100に反射層105が取り付けられていて、それが、放電灯110から素子130の方向へ放出される光、特にUV光を均等に反射または散乱させ、ディスプレーの均一照明をもたらしている。反射器を、例えば、特にUV光を反射する金属層を持つ反射器として形成することにより、ディスプレーの照明力を明白に引き上げることが可能である。それが可能なのは、反射器が、後方に放射される放電灯110の光を収集、集束し、透明度の均一な素子の方向へ反射または散乱させる一種の集光器として作用するからである。透明素子130は、本発明による場合、例えば、ポリカーボネートまたはメタクリレート(PMMA)など任意のポリマーで構成することができる。それに代わり、当素子にガラス成分、特に平面ガラス、好ましくはアルカリ不含の平面ガラスを含ませることもできる。本例では、単一または複数の照明体の光線が当る面に透明素子130の下面としての蛍光層120が設置されている。これは、任意の蛍光性素材で構成するか、あるいは例えば蛍光染料などの蛍光素材を含ませることができる。透明素子130のこの蛍光層は、照明体から放射された、例えば<380nm、特に<300nmのUV光を可視光に変換させる。蛍光層での変換によって生成される可視光は、波長380nm〜800nmの範囲にあるのが好ましい。
【0063】
蛍光層120と透明素子130との間に、好ましくも偏光箔を挿入することができる。
【0064】
好ましくはポリマーで構成される偏光箔は、例えばWO 00/66507に記述されている極薄ガラスの追加装着下で設置することができ、それによって、偏光箔のポリマーが蛍光層120の蛍光染料と直接接触するのが防止される。
【0065】
好ましい実施形態の1つでは、放電灯は、ランプ、すなわち照明体が実質上波長<380nmの光だけを、好ましくは波長領域200nm〜380nm、より好ましくは250nm〜320nmのUV光だけを放出するように構成されている。実質上これは、ランプの光出力の好ましくは75%超、特に80%超、より好ましくは85%超、なかでも90%超、特に好ましくは95%超、最も好ましくは97%超がこのスペクトル領域、すなわち200nm〜380nmの範囲で放出されることを意味している。低圧水銀灯の場合では主要放出領域は254nmである。
【0066】
ランプから放出される光線が外部の層に到達できるように、ランプのカバーガラス、例えば管状カバーガラスとしては、200〜380nmの範囲では高い透過率を示し、可視波長領域、すなわち波長380nm超、特に450nm超の光線については、例えば吸収または反射により実質上ブロックするガラスが好ましい。可視波長領域において高い吸収を達成するために、カバーガラスには、好ましくはCo2+および/またはNi2+を含ませる。蛍光層が内部コーティングされた現状技術に基づくランプの場合、状況は全く異なっている。この場合では、カバーガラスは、本発明の場合とは異なり、可視波長領域で高い透過率を示し、UV光を実質上ブロックするように構成されている。UVの透過率が高く、可視波長領域ではブロックするカバーガラスのガラス組成については、明細書の導入部に記載されている。
【0067】
カバーガラスは、波長領域450nm〜800nmでは20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは8%未満、最も好ましくは5%未満の透過率を示すものとする。さらに、カバーガラスは、波長領域250〜380nmでは透過率80%超、好ましくは85%超、特に好ましくは90%超、最も好ましくは95%超になるように形成されている。
【0068】
本発明は、下記のように多様な長所を有している。
【0069】
本発明により、蛍光層が単一または複数の照明体の外部に、例えばその外側面または追加設置された透明素子の下面に配置されているバックライトシステムが提供される。それによって、蛍光層が照明体内部の素材により退化することが阻止され、その限りでは、システムの長時間稼動において放射蛍光スペクトル領域のズレが防止される。
【0070】
もう1つの長所は、蛍光を照明体の内部でなくてその外部に、すなわち、照明体を取り巻くガラスの外側面、あるいはまた外部に配置されている透明素子に蛍光層として付与するところに見出される。それにより、労力を要する内部コーティングを回避することができる。
【0071】
平坦な基盤ガラスに蛍光層をコーティングする本発明の実施形態では、平坦な基盤ガラスに蛍光層、例えば蛍光染料を含むポリマー層をコーティングすることができるので、非常に有利である。コーティング方法としては、例えば浸漬法が使用の対象になる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に基づくバックライトシステムの好ましい実施形態例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁および該内壁以外に付与された蛍光層を持つカバーガラスの付いた少なくとも1つの照明体を有する、特にディスプレーおよび/またはスクリーンの背景照明に使用される特にバックライトシステムなどのシステム。
【請求項2】
少なくとも1つのカバーガラス付き照明体を有する、特にディスプレーおよび/またはスクリーンの背景照明に使用される特にバックライトシステムなどのシステムであって、前記蛍光層の全部または一部分が前記カバーガラスの外壁に設置されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのカバーガラス付き照明体および該照明体の光線が衝突する透明素子を有し、該素子の少なくとも1つの面に少なくとも部分的には平面状に蛍光層が付与されている、特にディスプレーおよび/またはスクリーンの背景照明に使用される特にバックライトシステムなどのシステム。
【請求項4】
前記照明体の光線が衝突する前記透明素子の面に、少なくとも部分的には平面状に蛍光層が付与されていることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記透明素子が単一または複数の層を有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記の層がガラスおよび/またはポリマー材から選択されたものであることを特徴とする請求項3から5の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項7】
1つの層がプレートまたは箔であることを特徴とする、請求項3から6の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの層が平面ガラス、特にアルカリ不含の平面ガラスから選択されたものであることを特徴とする、請求項3から7の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項9】
照明体からの特にUV光を反射する反射器が設置されていることを特徴とする、請求項3から8の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記透明素子と前記蛍光層との間に偏光箔または偏光板が配置されていることを特徴とする、請求項3から9の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項11】
偏光箔または偏光板と蛍光層との間に、ガラス、好ましくは極薄ガラスから選択された別な層が設けられていることを特徴とする、請求項3から10の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記透明素子が前記照明体のカバーおよび/または保護材の役割をなしていることを特徴とする、請求項3から11の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記透明素子が平面体および/または湾曲体の形態を持つことを特徴とする、請求項3から12の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記の単一または複数の照明体がグロー放電灯、発光灯、蛍光灯、低圧灯から選択されたもの、特に、高いUV透過率を持ち、好ましくは小型形態の放電灯、より好ましくは小型化された低圧放電灯であることを特徴とする、請求項1から13の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記カバーガラスの透過率が、好ましくは、450nm〜800nmの範囲で10%未満であることを特徴とする、請求項1から12の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記カバーガラスの透過率が250nm〜380nmの範囲では80%超であることを特徴とする、請求項1から15の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記カバーガラスがTiOを<0.1重量%の量で、およびFeを<0.02重量%の量で含んでいることを特徴とする、請求項1〜16の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記カバーガラスがTiOを<0.1重量%の量で、およびFeを<0.01重量%、より好ましくは<0.005重量%、特に好ましくは<0.001重量%の量で含んでいることを特徴とする、前記請求項1から17の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記カバーガラスがCoOを0.2〜10重量%の量で、および/またはNiOを0.2〜15重量%の量で含んでいることを特徴とする、前記請求項1から18の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記カバーガラスがCoOを0.2〜3重量%、特に0.2〜2重量%の量で、および/またはNiOを0.2〜10重量%、特に0.2〜5重量%の量で含んでいることを特徴とする、前記請求項1から19の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記カバーガラスが下記の組成群、すなわち、
SiO 55〜85重量%、
>0〜35重量%、
Al 0〜10重量%、
LiO 0〜10重量%、
NaO 0〜20重量%、
O 0〜20重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜25重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、
SrO 0〜5重量%、
BaO 0〜30重量%、特に0〜5重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 0〜30重量%、特に0〜20重量%、より好ましくは>0.5〜10重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜3重量%、
MoO3 0〜3重量%、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
さらに、オプションとして
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
を含む組成群のうちの1組成を含むことを特徴とする、前記請求項1から20の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記カバーガラスが下記の組成、すなわち、
SiO 0〜85重量%、
>0〜35重量%、
Al 0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、
LiO <1.0重量%、
NaO <3.0重量%、
O <5.0重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO <5.0重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、
SrO 0〜20重量%、
BaO 0〜80重量%、特に0〜60重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜80重量%、
MoO 0〜3重量%、
ZnO 0〜15重量%、
PbO 0〜70重量%、
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 15〜80重量%、
および酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuの成分0〜80重量%、
通常濃度の気泡除去剤、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
また、オプションとして
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
を含むことを特徴とする、前記請求項1から20の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記ガラスが下記の組成、すなわち、
SiO 0〜85重量%、好ましくは0〜70重量%、
>0〜35重量%、
Al 0〜20重量%、
LiO<0.5重量%、
NaO<0.5重量%、
O<0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO<1.0重量%、
MgO 0〜8重量%、
CaO 0〜20重量%、
SrO 0〜20重量%、
BaO 15〜60重量%、特に20〜35重量%、
但し、
ΣMgO+CaO+SrO+BaO 15〜70重量%、特に20〜40重量%、
ZrO 0〜3重量%、
WO 0〜3重量%、
Bi 0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%、
MoO 0〜3重量%、
ZnO 0〜10重量%、
PbO 0〜70重量%、
その場合、
ΣAl+B+CsO+BaO+PbO+Bi 15〜80重量%、好ましくは0〜70重量%、
通常濃度の気泡除去剤、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
また、オプションとして
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
を含むことを特徴とする、前記請求項1から20の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記カバーガラスが下記の組成、すなわち、
SiO 35〜64重量%、好ましくは35〜64重量%、
0〜15重量%、
Al 0〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、
LiO 0〜0.5重量%、
NaO 0〜0.5重量%、
O 0〜0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜1重量%、
MgO 0〜6重量%、
CaO 0〜15重量%、
SrO 0〜8重量%、
BaO 1〜20重量%、特に1〜10重量%、
ZrO 0〜1重量%、
WO 0〜2量%、
Bi 0〜20重量%、
MoO 0〜5重量%、
ZnO 0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%、
PbO 0〜70重量%、好ましくは0〜64重量%、
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 8〜65重量%、好ましくは8〜64重量%、
および酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuの成分0〜80重量%、好ましくは0〜64重量%、
通常濃度の気泡除去剤、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
また、オプションとして
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
を含むことを特徴とする、前記請求項1から20の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記カバーガラスが下記の組成、すなわち、
SiO 50〜65重量%、
0〜15重量%、
Al 1〜17重量%、
LiO 0〜0.5重量%、
NaO 0〜0.5重量%、
O 0〜0.5重量%、
但し、
ΣLiO+NaO+KO 0〜1重量%、
MgO 0〜5重量%、
CaO 0〜15重量%、
SrO 0〜5重量%、
BaO 20〜49重量%、特に20〜40重量%、
ZrO 0〜1重量%、
WO 0〜2重量%、
Bi 0〜29重量%、
MoO 0〜5重量%、
ZnO 0〜3重量%、
PbO 0〜29重量%、特に10〜20重量%、
但し、
ΣAl+B+BaO+PbO+Bi 21〜50重量%、
および酸化物形態のHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび/またはLuの成分0〜29重量%、
通常濃度の気泡除去剤、
但し、
TiO<0.1重量%、および
Fe<0.02重量%、好ましくは<0.01重量%、特に好ましくは<0.005重量%、最も好ましくは<0.001重量%、
また、オプションとして
CoO 0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%
および/または
NiO 0.2〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%
を含むことを特徴とする、前記請求項1から20の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記ガラス組成物、特に前記透明素子のガラス組成物または前記透明素子の一層のアルカリ含有量が1.0重量%未満であることを特徴とする、請求項1から27の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記の単一または複数の照明体がEEFLまたはCCFLから選択されていることを特徴とする、前記請求項1から26の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記カバーガラスが管状であって、その直径が<1.0cmおよび/または壁厚が<1mmであることを特徴とする、前記請求項1から27の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記照明体の前記カバーガラスが厚さ<1cmの平面ガラスを含むことを特徴とする、前記請求項1から28の少なくとも一項に記載のシステム。
【請求項30】
蛍光性(部分)層が前記照明体の外壁および/または透明素子に付与され、これが続いて、少なくとも1つの照明体および反射器と共にバックライトシステムを構成していることを特徴とする、前記請求項1から29の少なくとも一項に記載のシステムの製造。
【請求項31】
前記の蛍光性(部分)層が下記方法、すなわち
少なくとも1種類の蛍光性化合物を含む溶液のスプレー、
少なくとも1種類の蛍光性化合物を含む溶液の塗布、
前記透明素子への蛍光箔の装着
のうちの1方法によって付与されることを特徴とする、請求項30に記載のシステムの製造。
【請求項32】
前記請求項1から29の一項に記載のシステムのLCD表示器、コンピュータモニタ、電話ディスプレーへの、およびあらゆる種類のディスプレー、特に非自己照明型ディスプレーへの使用。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−147167(P2008−147167A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269961(P2007−269961)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】