説明

照明付キーパネル

【課題】 キートップ表面からムラなく光を放出可能なキーパネルを提供する。
【解決手段】 携帯電話機1のキー入力部7を構成するキーパネル10は、メンブレンスイッチ12を形成した基板11に弾性物質からなる保持シート13を組み合わせている。保持シート13のキーストローク部16にキートップ15a、15b、15c、15dが接着される。又、補強パネル14と保持シート13は一体形成され、補強パネル14と保持シート13には光拡散剤が混入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に携帯電話機に用いられる照明付キーパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のキーパネルは、暗がりでもキートップを視認することができるようにするため、照明付となっている。キーパネルを照明付とすることについてはこれまでにも種々の提案がなされており、特許文献1もその一例である。特許文献1に記載されたキーパネルは、半透明のシリコンゴムよりなるキーパネルに複数のキーを一体形成し、このキーパネルの裏面側には4個のキーの交差部に発光ダイオードを配置し、1個の発光ダイオードで4個のキーを裏面より照明している。
【特許文献1】実開平7−30425号公報([0013]−[0017]、図3−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の照明付キーパネルは、キーの裏側を発光ダイオードの光で照らすものであるため、光を届かせるための空間がキーの裏側に必要となる。このためキーパネルの厚味が増し、キーパネル及びこれを組み込む機器の薄型化を妨げる他、キーを押したとき、キーは少しの間空間を移動してからメンブレンスイッチをたたくことになり、キータッチが良好とは言い難かった。
【0004】
又、特許文献1記載の技術では、発光素子からの光は単に半透明のシリコンゴムからなるキーパネルを介して外方へ送出される為、キーパネルから送出される光にムラが生じ、決して美しい外観ではなかった。可能であるならば、キーパネル全体から光がムラなく送出されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の照明付キーパネルは、発光素子を備えキー接点が設けられたプリント基板と、ゴムラバーと、キートップを保持する補強パネルと、キートップと、を順に積層した構造であり、前記補強パネルに光拡散剤を混入したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の照明付きキーパネルは、発光素子を備えキー接点が設けられたプリント基板と、ゴムラバーと、キートップを保持する補強パネルと、キートップと、を順に積層した構造であり、前記ゴムラバーに光拡散剤を混入したことを特徴とする。
請求項3記載の照明付きキーパネルは、請求項1又は2に記載の照明付きキーパネルであり、前記ゴムラバーと前記補強パネルは一体的にインサート成型されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、補強パネルや保持シートに光拡散剤を入れることにより、キートップの表面からムラのない光を放出することが可能であり、キーの美的外観を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図1−7に基づき説明する。図1は携帯電話機の斜視図、図2は携帯電話機のキーパネルの正面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図3のC部拡大図、図5は図2のB−B断面図、図6は図5のD部拡大図、図7はキーパネル構成要素の分解斜視図である。
【0009】
携帯電話機1のケースはクラムシェルタイプ、すなわち二つ折り形状であって、表示部ケース2と操作部ケース3をヒンジ部4で連結した構造を備える。
【0010】
表示部ケース2の内面側、すなわち二つ折りにしたとき内側になる面には、液晶表示パネルにより構成される主表示部5と、内蔵された受話ユニットの音を出す聴話孔6が設けられている。操作部ケース3の内面側には、テンキーや各種のファンクションキーを配置したキー入力部7と、内蔵された送話ユニットに音声を届かせる通話孔8が設けられている。
【0011】
キー入力部7の主要構成要素であるキーパネル10の構造を図2以下に示す。キーパネル10を構成するのは図7の部品群である。部品群の中で、組立のベースとなるのは基板11であり、これには複数のメンブレンスイッチ12が形成されている。メンブレンスイッチ12は各キーに対応する箇所に配置されており、操作部ケース3の側面に設けられるキーに対応するものも存在する。
【0012】
基板10の上には保持シート13と補強パネル14が配置される。保持シート13は弾性に富むシリコンゴムで形成され、補強パネル14は透明な合成樹脂で形成される。保持シート13と補強パネル14とは、保持シート13の下に補強パネル14が埋設される形で、見方を変えれば補強パネル14の上に保持シート13が被さる形で、一体的にインサート成型される。補強パネル14はキーパネル10のテンキー部を補強するものである。
【0013】
又、前記補強パネル14には光拡散剤を入れることが好ましい。これにより、発光ダイオード19から放射される光を拡散し、キートップ15aにまんべんなく光を放射することが可能である。更に、保持シート13にも光拡散剤を入れることにより、キートップ15aにまんべんなく光を放射することが可能である。即ち、補強パネル14や保持シート13に光拡散剤を入れることにより、キートップ15aの表面からムラのない光を放出することが可能である。
【0014】
保持シート13にはキートップが接着される。キートップには、テンキー用の計15個のキートップ15aと、ファンクションキー用の計4個のキートップ15bと、ジョグキー用のリング状のキートップ15cと、ジョグキーの中心の決定キー用のキートップ15dがあり、キートップ15d以外のキートップは光透過性合成樹脂などの光透過物質で形成される。
【0015】
キートップ15a、15b、15c、15dを支持するのは保持シート13に形成されたキーストローク部である。図4にはキートップ15aとそれを支える台座状のキーストローク部16が示されている。キートップ15b、15c、15dについてもそれぞれに適合する形状のキーストローク部が用意される。キーストローク部は、それぞれの支えるキートップに圧力が加わったとき、保持シート13自身の有する弾力によってたわみ、所定のキーストロークを生み出す。
【0016】
図4に見られるように、キーストローク部16の裏面にはメンブレンスイッチ12に対向する突起17が形成されている。補強パネル14には突起17をメンブレンスイッチ12に対面させるための貫通孔18が形成されている。
【0017】
キートップに圧力が加わり、キーストローク部16がたわむと、突起17がメンブレンスイッチ12を押す。キートップに加わる圧力が解除されるとキーストローク部16は弾性で原状復帰し、メンブレンスイッチ12は押されなくなる。突起17は常時メンブレンスイッチ12に接触しており、キートップが押されると直ちにメンブレンスイッチ12を押し始める。
【0018】
暗がりでもキートップを視認できるようにするため、キートップ15a、15b、15cに対しては照明が用意される。照明の光源は基板11の表面に装着された発光ダイオード19である。携帯電話機1は外部の明るさを感知するセンサを備えており、外部の明るさが設定値に達しないときに電源ONにすると発光ダイオード19を発光させる。発光ダイオード19は、ファンクションキーを構成するキートップ15bに対してはその裏面を直接照射するように配置されているが、テンキーを構成するキートップ15aとジョグキーを構成するキートップ15cに対してはそのように配置されてはいない。すなわちキートップ15a、15cに組み合わせられる発光ダイオード19は、導光体を通じ、キートップ側縁よりキートップ内に光を照射する。以下その仕組みについて説明する。
【0019】
キートップ15aは15個のものが5行3列の形に配列される。5行3列の中には、隣接する4個のキートップ15aが一組となって田の字をなす組み合わせが計8組生まれる。この8組にの各々につき、田の字の中心で集合したキートップ15aの角を隅切りして、菱形の空間20を形成する。この菱形の空間20の中に、やや小さめの菱形をなす導光体21を配置する。導光体21は補強パネル14の一部分として補強パネル14に一体形成されている。図6に見られるように導光体21は内部が空洞となったドーム形状を有しており、その空洞の中に1個の発光ダイオード19が配置されている。
【0020】
導光体21の中の発光ダイオード19が発光すると、その光は導光体21の四方の側面から外に出て、その側面に対面するキートップ15aの隅切り面よりキートップ15a内を照射する。すなわちキートップ15aには側縁から発光ダイオード19の放つ光が入射し、これによりキートップ15aは照明される。なお、どのキートップ15aも同量の光を受けるという訳ではなく、1個の発光ダイオード19からしか光が入らないキートップ15aもあれば、2個の発光ダイオード19から光を受けるキートップ15aもあり、4個の発光ダイオード19から光を受けるキートップ15aもある。
【0021】
キートップ15cに対してもその側縁より光を入射させるが、ここで光を伝える役割を担うのは補強パネル14とは別体の導光体22(図2参照)である。導光体22はキートップ15cを挟むように1対配置され、離れた場所に置かれた発光ダイオード19の光をキートップ15cに送り込む。
【0022】
キートップ15a、15cには成分として光拡散材を含ませるのが望ましい。光拡散材を樹脂中に均一に分散させておけば、キートップ15a、15cはどの部分もむらなく光り、視認性が高まる。光拡散材を含ませないのであれば、光入射面以外の側面に光反射塗料を塗って遮光層を形成し、外へ出ようとする光をキートップ内に反射させてキートップの輝度を高めるといった工夫をするのが望ましい。
【0023】
導光体21、22に光拡散材を含ませてもよい。これにより、キートップ15a、15cの側縁に向かう光の割合を多くして、照明状態を改善することができる。
【0024】
導光体21、22の頂面に光反射塗料を塗って遮光層を形成してもよい。これにより、導光体21、22に入った光がキートップ15a、15cに向かわず無為に空中に放出されるという無駄をなくし、キートップを一層明るく照明することができる。
【0025】
導光体21は計8個あるが、全て補強パネル14に一体成型されているため、部品点数が増えない。そして、補強パネル14と一体化された保持シート13にキートップ15aが接着固定されるため、導光体21とキートップ15aとの位置も正確に定まり、位置が乱れて外観を損なうことがない。
【0026】
本実施形態では、田の字配置の4個のキートップ15aを一組とし、その中心に導光体21を配置したが、導光体21の配置態様はこれに限定される訳ではない。キートップ15aを2個ずつで一組とし、これに対し1個の導光体21を設けるという構成も可能である。
【0027】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は携帯電話機などに用いられる照明付キーパネルに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】携帯電話機の斜視図
【図2】携帯電話機のキーパネルの正面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】図3のC部拡大図
【図5】図2のB−B断面図
【図6】図5のD部拡大図
【図7】キーパネル構成要素の分解斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 携帯電話機
10 キーパネル
11 基板
12 メンブレンスイッチ
13 保持シート
14 補強パネル
15a、15b、15c、15d キートップ
16 キーストローク部
19 発光ダイオード(光源)
21、22 導光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を備えキー接点が設けられたプリント基板と、ゴムラバーと、キートップを保持する補強パネルと、キートップと、を順に積層した構造であり、
前記補強パネルに光拡散剤を混入したことを特徴とする照明付きキーパネル。
【請求項2】
発光素子を備えキー接点が設けられたプリント基板と、ゴムラバーと、キートップを保持する補強パネルと、キートップと、を順に積層した構造であり、
前記ゴムラバーに光拡散剤を混入したことを特徴とする照明付きキーパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明付きキーパネルであり、前記ゴムラバーと前記補強パネルは一体的にインサート成型されていることを特徴とする照明付きキーパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−73301(P2007−73301A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257890(P2005−257890)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】