説明

照明装置、投影型表示装置、直視型表示装置

【課題】小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することの可能な照明装置ならびにそれを備えた投影型表示装置および直視型表示装置を提供する。
【解決手段】第1のフライアイレンズの各セルによって第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、第1の指向角変換素子と、第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第1の微小振動素子の形状が設定されている。さらに、各光源像が、第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、レーザダイオード(LD)などの固体発光素子を用いた照明装置、ならびにそれを備えた投影型表示装置および直視型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスだけでなく、家庭でも、スクリーンに映像を投影するプロジェクタが広く利用されている。プロジェクタは、光源からの光をライトバルブで変調することにより画像光を生成し、スクリーンに投射して表示を行うものである。最近では、手のひらサイズの超小型プロジェクタや、超小型プロジェクタ内蔵の携帯電話機などが普及し始めている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−134324号公報
【特許文献2】特開昭55−65940号公報
【特許文献3】特開平6−208089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロジェクタに用いられる光源としては、高輝度の放電ランプが主流である。しかし、放電ランプでは、サイズが比較的大きく、消費電力も大きいことから、放電ランプに代わる光源として、近年では、発光ダイオード(LED)や、レーザダイオード(LD)、有機EL(OLED)などの固体発光素子が注目されている。これらの固体発光素子は、サイズや消費電力だけでなく、高信頼性という点でも、放電ランプよりも有利である。
【0005】
プロジェクタの光源としてレーザダイオードを用いた場合には、レーザ光がコヒーレントであるために、スクリーン上においてスペックルが表示画像に重畳される。スペックルは人間の眼には強度のランダムノイズとして認識され、表示画質の低下につながる。
【0006】
そこで、特許文献2では、スペックルの発生を低減するために、スクリーンを微小振動させることが提案されている。一般に、人間の眼および脳は、約20〜50ms内の画像のちらつきは判別できない。つまり、その時間内の画像は眼の中で積分され、平均化される。したがって、この時間内に、スクリーン上において独立のスペックルパターンを多数重量させることにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能である。しかし、この手法では、スクリーンを微小振動させる必要があるので、装置構成が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献3では、拡散素子を機械的に回転させることにより、スペックルパターンの位置をスクリーン上で高速に変位させ、スペックルノイズが人の眼に検知されないようにすることが提案されている。しかし、この手法では、拡散素子を用いて光を拡散させているので、光の利用効率が低下してしまうという問題があった。
【0008】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することの可能な照明装置を提供することにある。また、第2の目的は、そのような照明装置を用いた投影型表示装置および直視型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の照明装置は、単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第1の固体発光素子を含む第1の光源を備えている。この照明装置は、また、第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータとを備えている。この照明装置は、さらに、第1の光源と第1の指向角変換素子との間、または第1の指向角変換素子とインテグレータとの間に、照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子を備えている。ここで、第1の固体発光素子は、レーザダイオードを含んでいる。インテグレータは、第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとにより構成されている。第1のフライアイレンズの各セルによって第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、第1の指向角変換素子と、第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第1の微小振動素子の形状が設定されている。さらに、各光源像が、第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が設定されている。
【0010】
本技術の投射型表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系とを備えたものである。この投射型表示装置に搭載された照明光学系は、上記の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0011】
本技術の直視型表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、投影光学系から投射された画像光を映し出す透過型スクリーンとを備えたものである。この直視型表示装置に搭載された照明光学系は、上記の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0012】
本技術の照明装置、投射型表示装置および直視型表示装置では、インテグレータを透過した光が照明する範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子が、第1の光源とインテグレータとの間に設けられている。これにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能となる。また、本技術では、第1のフライアイレンズの各セルによって第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、第1の指向角変換素子と、第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第1の微小振動素子の形状が設定されている。さらに、上記の各光源像が、第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が設定されている。これにより、第2のフライアイレンズに入射した光が効率良く照明範囲にまで到達する。なお、第1の微小振動素子は照明範囲における照明状態を時間的に変化させることができる程度に振動するだけなので、第1の微小振動素子が照明装置の小型化を阻害することはない。
【0013】
本技術において、第1の固体発光素子が、所定の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなっていてもよい。この場合に、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が以下の関係式を満たすことが好ましい。
h+d≦hFEL2
h:光源像のサイズ
d:第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量
FEL2:第2のフライアイレンズの1セルのサイズ
【0014】
本技術において、第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有していてもよい。この場合には、以下の式に示したように、その縦横比を考慮して、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が設定されていることが好ましい。
x+dx≦hFEL2x
y+dy≦hFEL2y
x:光源像の第1の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの長手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
y:光源像の、第1の方向と直交する第2の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの短手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
FEL2x:第2のフライアイレンズの1セルの第1の方向のサイズ
FEL2y:第2のフライアイレンズの1セルの第2の方向のサイズ
x:第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第1の方向の成分(dx≧0、ただしdy=0のときはdx>0)
y:第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第2の方向の成分(dy≧0、ただしdx=0のときはdy>0)
【0015】
また、本技術において、単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第2の固体発光素子を含む第2の光源がさらに設けられていてもよい。この場合に、第2の光源側から入射した光の指向角を変換する第2の指向角変換素子と、第1および第2の指向角変換素子を透過した光を合成し、その合成光をインテグレータに向けて出力する光路合成素子とがさらに設けられていてもよい。このとき、第1の微小振動素子は、光路合成素子とインテグレータとの間に配置されていることが好ましい。
【0016】
また、本技術において、第2の光源、第2の指向角変換素子および光路合成素子が設けられている場合に、第2の光源と第2の指向角変換素子との間、または第2の指向角変換素子と光路合成素子との間に、照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第2の微小振動素子が設けられていてもよい。この場合に、第1の微小振動素子は、第1の光源と第1の指向角変換素子との間、または第1の指向角変換素子と光路合成素子との間に配置されていることが好ましい。さらに、第1のフライアイレンズの各セルによって第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、第2の指向角変換素子と、第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第2の微小振動素子の形状が設定されていることが好ましい。加えて、各光源像が、第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第2の微小振動素子の形状と、第2の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量が設定されていることが好ましい。
【0017】
また、本技術において、第1の指向角変換素子の焦点距離ならびに第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、第1の指向角変換素子の縦横の焦点距離の比と、第2のフライアイレンズの各セルの縦横比の逆数とが、互いに等しくなっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本技術の照明装置、投射型表示装置および直視型表示装置によれば、第1の微小振動素子を第1の光源の光路上に設けるとともに、第1の微小振動素子を振動させた状態でも、各光源像が複数のセルにまたがって形成されることがないようにしたので、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することができる。
【0019】
また、本技術の照明装置、投射型表示装置および直視型表示装置において、第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量を設定するようにした場合には、光利用効率をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本技術の第1の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図2】図1のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図3】図1の光源の上面構成および断面構成の一例を示す図である。
【図4】図1の光源の上面構成および断面構成の他の例を示す図である。
【図5】図1の光源の上面構成および断面構成のその他の例を示す図である。
【図6】図1の光源の発光スポットの一例を示す図である。
【図7】図1のフライアイレンズの概略構成を表す図である。
【図8】図1の照明範囲のサイズについて説明するための模式図である。
【図9】図1のプロジェクタにおいて、後段のフライアイレンズに現れる光源像の一例を表す模式図である。
【図10】図1の微小振動素子の断面構成の一例を示す図である。
【図11】図1のプロジェクタの構成の一変形例を示す図である。
【図12】図1のプロジェクタの構成の他の変形例を示す図である。
【図13】本技術の第2の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図14】図13のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図15】図13のプロジェクタの構成の一変形例を示す図である。
【図16】図13のプロジェクタの構成の他の変形例を示す図である。
【図17】本技術の第3の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図18】図17のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図19】図17のプロジェクタの構成の一変形例を示す図である。
【図20】本技術の第4の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図21】図20の偏光分離素子の断面構成の一例を示す図である。
【図22】図20の位相差板アレイの上面構成の一例を示す図である。
【図23】図20のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図24】図20のプロジェクタにおいて、後段のフライアイレンズに現れる光源像の一例を表す模式図である。
【図25】図20のプロジェクタの構成の他の変形例を示す図である。
【図26】第1ないし第3の実施の形態の実施例における設計値を示す図である。
【図27】第4の実施の形態の実施例における設計値を示す図である。
【図28】(A)図1の光源の一変形例の断面構成の一例を示す図である。(B)図28(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図29】(A)図28(A)の光源の断面構成の他の例を示す図である。(B)図29(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図30】(A)図28(A)の光源の断面構成のその他の例を示す図である。(B)図30(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図31】(A)図28の光源をXY平面で90度回転させたときの断面構成の一例を示す図である。(B)図31(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図32】(A)図29の光源をXY平面で90度回転させたときの断面構成の一例を示す図である。(B)図32(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図33】(A)図30の光源をXY平面で90度回転させたときの断面構成の一例を示す図である。(B)図33(A)の光源に含まれる固体発光素子を光射出面側から見たときの図である。
【図34】上記各実施の形態およびそれらの変形例に係る照明光学系を用いたリアプロジェクション表示装置の概略構成を表す図である。
【図35】一変形例に係る微小振動素子に含まれるパワー素子の一例を示す平面図および断面図である。
【図36】図35(B)のパワー素子の拡大図である。
【図37】図36(B)のパワー素子をインテグレータと共に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(図1〜図12)
各光源の光をカップリングレンズで平行光化したのちに合成する例
2.第2の実施の形態(図13〜図16)
各光源の光を合成した後にカップリングレンズで平行光化する例
3.第3の実施の形態(図17〜図19)
単一のパッケージから各波長帯の光を射出させ、光路の合成を不要とした例
4.第4の実施の形態(図20〜図25)
偏光分離素子および位相差板アレイを設けた例
5.実施例(図26、図27)
6.変形例(図28〜図37)
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1(A),(B)は、本技術の第1の実施の形態に係るプロジェクタ1の概略構成を表すものである。なお、プロジェクタ1が本技術の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図1(A)はプロジェクタ1を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図1(B)はプロジェクタ1を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。図2(A),(B)は、図1のプロジェクタ1内の光路の一例を表すものである。図2(A)は、プロジェクタ1を上から(y軸方向から)見たときの光路の一例を表し、図2(B)はプロジェクタ1を横から(x軸方向から)見たときの光路の一例を表す。
【0023】
典型的には、y軸は垂直方向を向き、x軸は水平方向を向いているが、その逆に、y軸が水平方向を向き、x軸が垂直方向を向いていてもよい。なお、以下では、便宜的に、y軸は垂直方向を向き、x軸は水平方向を向いているものとして説明するものとする。また、以下において、「横方向」とはx軸方向を指しており、「縦方向」とはy軸方向を指しているものとする。
【0024】
プロジェクタ1は、例えば、照明光学系1A、空間変調素子60および投影光学系70を備えたものである。空間変調素子60は、入力された映像信号に基づいて照明光学系1Aからの光を変調することにより画像光を生成するものである。投影光学系70は、空間変調素子60で生成された画像光を反射型のスクリーン2に投射するものである。なお、照明光学系1Aが本技術の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0025】
照明光学系1Aは、空間変調素子60の照明範囲60A(被照射面)を照射する光束を供給するものである。なお、必要に応じて、照明光学系1Aの光が通過する領域上に、何らかの光学素子が設けられていてもよい。例えば、照明光学系1Aの光が通過する領域上に、照明光学系1Aからの光のうち可視光以外の光を減光するフィルタなどが設けられていてもよい。
【0026】
照明光学系1Aは、例えば、図1(A),(B)に示したように、光源10A,10B,10Cと、カップリングレンズ20A,20B,20Cと、光路合成素子30と、インテグレータ40と、コンデンサレンズ50と、微小振動素子100とを有している。なお、光源10Aが本技術の「第1の光源」の一具体例に相当し、光源10Bまたは光源10Cが本技術の「第2の光源」の一具体例に相当する。カップリングレンズ20Aが本技術の「第1の指向角変換素子」の一具体例に相当し、カップリングレンズ20Bまたはカップリングレンズ20Cが本技術の「第2の指向角変換素子」の一具体例に相当する。微小振動素子100が本技術の「第1の微小振動素子」の一具体例に相当する。
【0027】
光路合成素子30は、光源10A,10B,10Cからの光を合成するものであり、例えば、2つのダイクロイックミラー30A,30Bからなる。インテグレータ40は、照明範囲60Aにおける光の照度分布を均一化するものであり、例えば、一対のフライアイレンズ40A、40Bからなる。光源10Aの光軸上には、カップリングレンズ20Aと、光路合成素子30と、インテグレータ40と、コンデンサレンズ50とが光源10A側からこの順に配列されている。光源10Bの光軸は、光源10Aの光軸とダイクロイックミラー30Aにおいて直交しており、光源10Bの光軸上には、カップリングレンズ20Bおよびダイクロイックミラー30Aが光源10B側からこの順に配列されている。光源10Cの光軸は、光源10Aの光軸とダイクロイックミラー30Bにおいて直交しており、光源10Cの光軸上には、カップリングレンズ20Cおよびダイクロイックミラー30Bが光源10C側からこの順に配列されている。
【0028】
なお、図1(A),(B)では、プロジェクタ1の各構成要素(光源10B,10C、カップリングレンズ20B,20Cを除く)がz軸と平行な線分上に配列されている場合が例示されているが、プロジェクタ1の各構成要素の一部がz軸と非平行な線分上に配列されていてもよい。例えば、図示しないが、照明光学系1A全体を図1(A),(B)の状態から90°回転させて照明光学系1Aの光軸がz軸と直交する方向を向くように照明光学系1Aがレイアウトされていてもよい。ただし、このようにした場合には、照明光学系1Aから出力された光を空間変調素子60に導く光学素子(例えばミラー)を設けることが必要である。また、例えば、光源10A、カップリングレンズ20Aおよび光路合成素子30を図1(A),(B)の状態から90°回転させて、これらの光軸をz軸と直交する方向を向くように光源10A、カップリングレンズ20Aおよび光路合成素子30がレイアウトされていてもよい。ただし、このようにした場合にも、光路合成素子30から出力された光をインテグレータ40に導く光学素子(例えばミラー)を設けることが必要である。
【0029】
光源10A,10B,10Cは、それぞれ、例えば、図3(A),(B)〜図5(A),(B)に示したように、固体発光素子11と、固体発光素子11を支持するとともに覆うパッケージ12とを有している。固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。固体発光素子11は、例えば、図3(A),(B)に示したように、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、例えば、図4(A),(B)、図5(A),(B)に示したように、同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、図4(A),(B)に示したように、横方向に一列に配置されていたり、例えば、図5(A),(B)に示したように、横方向および縦方向に格子状に配置されていたりする。固体発光素子11に含まれるチップ11Aの数は、光源10A,10B,10Cごとに異なっていてもよいし、全ての光源10A,10B,10Cで互いに等しくなっていてもよい。
【0030】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、例えば、図3(A)に示したように、単一のチップ11Aのサイズ(WV1×WH1)に等しい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズは、例えば、図4(A),図5(A)に示したように、全てのチップ11Aをひとまとまりとしたときのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図4(A)の例では、WV1×2WH1となる。また、複数のチップ11Aが、横方向および縦方向に格子状に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図5(A)の例では、2WV1×2WH1となる。
【0031】
チップ11Aは、発光ダイオード(LED)、有機EL発光素子(OLED)、またはレーザダイオード(LD)からなる。LEDおよびOLEDは無偏光の光であって、かつインコヒーレントな光を射出するものである。一方のLDは偏光光であって、かつコヒーレントな光(またはほぼコヒーレントな光)を射出するものである。
【0032】
固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合に、光源10A,10B,10Cのそれぞれに含まれるチップ11Aが全て、LDであってもよい。また、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合に、光源10A,10B,10Cのうち少なくとも1つの光源に含まれるチップ11AがLDであり、それ以外のチップ11AがLEDやOLEDであってもよい。
【0033】
固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合に、固体発光素子11に含まれる各チップ11Aは、例えば、互いに同一の波長帯の光を発するようになっていてもよいし、互いに異なる波長帯の光を発するようになっていてもよい。各光源10A,10B,10Cに含まれるチップ11Aは、例えば、光源10A,10B,10Cごとに互いに異なる波長帯の光を発するようになっている。光源10Aに含まれるチップ11Aは、例えば、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するものである。光源10Bに含まれるチップ11Aは、例えば、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するものである。光源10Cに含まれるチップ11Aは、例えば、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するものである。なお、光源10Aに含まれるチップ11Aが、青色光以外の光(緑色光または赤色光)を発するものであってもよい。また、光源10Bに含まれるチップ11Aが、緑色光以外の光(青色光または赤色光)を発するものであってもよい。また、光源10Cに含まれるチップ11Aが、赤色光以外の光(緑色光または青色光)を発するものであってもよい。
【0034】
チップ11Aは、例えば、図3(A),(B)〜図6(A)〜(C)に示したように、チップ11Aサイズ(WV×WH)よりも小さなサイズ(PV1×PH1)の発光スポット11Bを有している。発光スポット11Bは、チップ11Aに電流を注入してチップ11Aを駆動したときにチップ11Aから光が発せられる領域(光射出領域)に相当する。チップ11AがLEDまたはOLEDである場合には、発光スポット11Bは非点状(面状)となるが、チップ11AがLDである場合には、発光スポット11BはLEDまたはOLEDの発光スポット11Bよりも小さな点状である。
【0035】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図6(A)に示したように1つである。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図6(B),(C)に示したようにチップ11Aの数と等しい。ここで、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、発光スポット11Bのサイズ(PV1×PH1)に等しい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図6(B)の例では、PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。また、複数のチップ11Aが、横方向および縦方向に格子状に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図6(C)の例では、2PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。
【0036】
カップリングレンズ20Aは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Aから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Aから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Aは、光源10Aから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。カップリングレンズ20Bは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Bから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Bから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Bは、光源10Bから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。カップリングレンズ20Cは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Cから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Cから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Cは、光源10Cから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。つまり、カップリングレンズ20A,20B,20Cは、光源10A,10B,10Cごとに(パッケージごとに)1つずつ配置されている。なお、カップリングレンズ20A,20B,20Cは、それぞれ、単一のレンズによって構成されていてもよいし、複数のレンズによって構成されていてもよい。
【0037】
ダイクロイックミラー30A,30Bは、波長選択性を持つ1枚のミラーを含むものである。なお、上記のミラーは、例えば、多層の干渉膜を蒸着して構成されたものである。ダイクロイックミラー30Aは、例えば、図2(A),(B)に示したように、ミラーの裏面側から入射した光(光源10A側から入射した光)をミラーの表面側に透過させるとともに、ミラーの表面側から入射した光(光源10B側から入射した光)をミラーで反射するようになっている。一方、ダイクロイックミラー30Bは、図2(A),(B)に示したように、ミラーの裏面側から入射した光(ダイクロイックミラー30A側から入射した光源10A,10Bの光)をミラーの表面側に透過させるとともに、ミラーの表面側から入射した光(光源10C側から入射した光)をミラーで反射するようになっている。従って、光路合成素子30は、光源10A,10B,10Cから発せられた個々の光束を単一の光束に合成するようになっている。
【0038】
フライアイレンズ40A、40Bは、それぞれ、所定の配列状態(ここでは、縦×横=4×3のマトリクス状)に配置された複数のレンズ(セル)によって構成されたものである。フライアイレンズ40Bに含まれる複数のセル42は、フライアイレンズ40Aのセル41ごとに1つずつ対向して配置されている。フライアイレンズ40Aは、フライアイレンズ40Bの焦点位置(または略焦点位置)に配置されており、フライアイレンズ40Bは、フライアイレンズ40Aの焦点位置(または略焦点位置)に配置されている。従って、インテグレータ40は、フライアイレンズ40Aで分割形成された光束がフライアイレンズ40Bの像側のレンズ面近傍に焦点を結び、ここに2次光源面(光源像)を形成するようになっている。この2次光源面は投影光学系70の入射瞳と共役な面の位置に位置している。ただし、この2次光源面は、必ずしも厳密に投影光学系70の入射瞳と共役な面の位置に位置している必要はなく、設計上の許容範囲内に位置していればよい。フライアイレンズ40A、40Bは、一体に形成されたものであってもよい。
【0039】
一般に光源10A,10B,10Cから射出された光束は、その進行方向に垂直な面において不均一な強度分布をもっている。そのため、これら光束をそのまま照明範囲60A(被照射面)に導くと、照明範囲60Aでの照度分布が不均一になるが、上記のように光源10A,10B,10Cから射出された光束をインテグレータ40によって複数の光束に分割してそれぞれを照明範囲60Aに重畳的に導くようにすれば、照明範囲60A上の照度分布を均一にすることができる。
【0040】
コンデンサレンズ50は、インテグレータ40により形成された多光源からの光束を集光して照明範囲60Aを重畳的に照明するものである。空間変調素子60は、光源10,10B,10Cの各波長成分に対応した色画像信号に基づいて、照明光学系1Aからの光束を2次元的に変調し、これにより画像光を生成するものである。空間変調素子60は、例えば、図2(A),(B)に示したように、透過型の素子であり、例えば、透過型の液晶パネルによって構成されている。なお、図示しないが、空間変調素子60が反射型の素子、例えば、反射型の液晶パネルもしくはデジタルマイクロミラーデバイスによって構成されていてもよい。ただし、その場合には、空間変調素子60で反射された光が投影光学系70に入射するようになっていることが必要である。
【0041】
微小振動素子100は、例えば、図1(A),(B)に示したように、光路合成素子30とインテグレータ40との間に配置されている。微小振動素子100は、照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させるものであり、例えば、図10に示したように、光学素子110と、光学素子110を微小振動させる駆動部120とを有している。光学素子110は、光源10A,10B,10C側から発せられた光が通過する領域に配置されている。駆動部120は、光路とは異なる箇所に配置されている。
【0042】
光学素子110は、例えば、光射出側に傾斜面A1〜Anを有するプリズムアレイを含んで構成されている。プリズムアレイは、光源10A,10B,10C側から発せられた光を傾斜面A1〜Anごとに微小な光束L1〜Lnに分割するものである。
【0043】
駆動部120は、光学素子110とインテグレータ40との相対位置を変位させるものである。駆動部120は、例えば、プリズムアレイの傾斜面A1〜Anの配列方向(図10の上下方向)に振動させることにより、光学素子110とインテグレータ40との相対位置を変位させるようになっている。これにより、インテグレータ40の入射面内において、光束L1〜Lnの入射位置が変化するので、照明領域60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる。なお、微小振動素子100による光束の走査は、連続周期的であってもよいし、離散的繰り返しであってもよい。いずれの場合であっても、照明領域60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる。また、光学素子110の傾斜面A1〜Anは、光束L1〜Lnのフライアイレンズ40Aへの入射角がフライアイレンズ40Aの許容角以内となるように構成されていることが好ましい。また、駆動部120は、光束L1〜Lnのフライアイレンズ40Aへの入射角がフライアイレンズ40Aの許容角以内となるように、微小振動素子100を振動させるようになっていることが好ましい。許容角とは、フライアイレンズ40B近傍に形成される各光源像がフライアイレンズ40Bに含まれる複数のセル42にまたがって形成されることのない、フライアイレンズ40Aへの入射角の最大値を指す。なお、許容角より大きな入射角で入射した光はフライアイレンズ40Aを透過しても照明範囲60Aを照明できないか、または、非常に低い効率でしか照明範囲60Aを照明できない。駆動部120は、小型化の容易な構成となっており、例えば、コイルおよび永久磁石(例えば、ネオジム(Nd)や鉄(Fe)、ホウ素(ボロン;B)等の材料からなる永久磁石)等を含んで構成されている。
【0044】
次に、本実施の形態のプロジェクタ1の特徴部分について説明する。
【0045】
(特徴部分その1)
本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離と、フライアイレンズ40A、40Bの焦点距離と、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、各光源像Sが、フライアイレンズ40Bの複数のセル42にまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像Sが変位する量が設定されている。
【0046】
これを式で表すと、以下のようになる。
1+d1=P1×(fFEL/fCL1)+d1≦hFEL2…(1)
2+d2=P2×(fFEL/fCL2)+d2≦hFEL2…(2)
3+d3=P3×(fFEL/fCL3)+d3≦hFEL2…(3)
1:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)のサイズ
2:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)のサイズ
3:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)のサイズ
1:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
2:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
3:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
FEL:フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離
CL1:カップリングレンズ20Aの焦点距離
CL2:カップリングレンズ20Bの焦点距離
CL3:カップリングレンズ20Cの焦点距離
FEL2:フライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズ
1:微小振動素子100の振動振幅により光源像S1が変位する量
2:微小振動素子100の振動振幅により光源像S2が変位する量
3:微小振動素子100の振動振幅により光源像S3が変位する量
【0047】
なお、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しく、光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しい。光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。また、カップリングレンズ20Aが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL1は、各レンズの合成焦点距離とする。同様に、カップリングレンズ20Bが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL2は、各レンズの合成焦点距離とする。カップリングレンズ20Cが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL3は、各レンズの合成焦点距離とする。
【0048】
上記の式(1)〜(3)とおおよそ等価な式として、以下の式(4)〜(6)を挙げることができる。式(4)〜(6)は、固体発光素子11の光射出領域のサイズが固体発光素子11のサイズと概ね等しい場合に特に有益である。
1+d1=W1×(fFEL/fCL1)+d1≦hFEL2…(4)
2+d2=W2×(fFEL/fCL2)+d2≦hFEL2…(5)
3+d3=W3×(fFEL/fCL3)+d3≦hFEL2…(6)
1:光源10Aに含まれる固体発光素子11のサイズ
2:光源10Bに含まれる固体発光素子11のサイズ
3:光源10Cに含まれる固体発光素子11のサイズ
【0049】
なお、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、Wは、そのチップ11Aのサイズに等しい。また、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、Wは、全てのチップ11Aを単一のチップとしてみたときの、そのチップのサイズに等しい。
【0050】
ところで、本実施の形態において、例えば、図7(A),(B)に示したように、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42が1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離と、フライアイレンズ40A、40Bの焦点距離とが以下の6つの関係式を満たしていることが好ましい。このとき、微小振動素子100は、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42の長手方向および短手方向のうち少なくとも長手方向に振幅成分を有する振動をするようになっていることが好ましい。さらに、カップリングレンズ20A,20B,20Cの縦横の焦点距離の比(fCL1H/fCL1V,fCL2H/fCL2V,fCL3H/fCL3V)(アナモフィック比)と、フライアイレンズ40Bの各セル42のサイズの縦横比の逆数(hFEL2V/hFEL2H)とを互いに等しくし、照明光学系1Aをアナモフィック光学系とすることがより好ましい。例えば、フライアイレンズ40Bの各セル42が第1の方向(例えば横方向)に長い形状となっている場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cとして、焦点距離fCL1V,fCL2V,fCL3Vが焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3Hよりも長いものを用いる。以下の式(7)〜(12)を模式的に表すと、図9(A)〜(C)のようになる。ここで、図9(A)は、微小振動素子100の振動により光源像S(光源像S1,S2,S3)が第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向に振動している様子を表したものである。図9(B)は、微小振動素子100の振動により光源像S(光源像S1,S2,S3)が第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向に振動している様子を表したものである。図9(C)は、微小振動素子100の振動により光源像S(光源像S1,S2,S3)が第1の方向および第2の方向を含む面内で振動している様子を表したものである。
1H+d1H=P1H×(fFELH/fCL1H)+d1H≦hFEL2H…(7)
2H+d2H=P2H×(fFELH/fCL2H)+d2H≦hFEL2H…(8)
3H+d3H=P3H×(fFELH/fCL3H)+d3H≦hFEL2H…(9)
1V+d1V=P1V×(fFELV/fCL1V)+d1V≦hFEL2V…(10)
2V+d2V=P2V×(fFELV/fCL2V)+d2V≦hFEL2V…(11)
3V+d3V=P3V×(fFELV/fCL3V)+d3V≦hFEL2V…(12)
1H:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
2H:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
3H:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
1V:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
2V:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
3V:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
1H:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
2H:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
3H:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
1V:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
2V:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
3V:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
FELH:フライアイレンズ40A,40Bの第1の方向の焦点距離
FELV:フライアイレンズ40A,40Bの第2の方向の焦点距離
CL1H:カップリングレンズ20Aの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL2H:カップリングレンズ20Bの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL3H:カップリングレンズ20Cの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL1V:カップリングレンズ20Aの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL2V:カップリングレンズ20Bの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL3V:カップリングレンズ20Cの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
FEL2H:フライアイレンズ40Bの1つのセル42の第1の方向のサイズ
FEL2V:フライアイレンズ40Bの1つのセル42の第2の方向のサイズ
1H:微小振動素子100の振動振幅により光源像S1が変位する量のうち、第1の方向またはそれに対応する方向の成分(d1H≧0、ただしd1V=0のときはd1H>0)
2H:微小振動素子100の振動振幅により光源像S2が変位する量のうち、第1の方向またはそれに対応する方向の成分(d2H≧0、ただしd2V=0のときはd2H>0)
3H:微小振動素子100の振動振幅により光源像S3が変位する量のうち、第1の方向またはそれに対応する方向の成分(d3H≧0、ただしd3V=0のときはd3H>0)
1V:微小振動素子100の振動振幅により光源像S1が変位する量のうち、第2の方向またはそれに対応する方向の成分(d1V≧0、ただしd1H=0のときはd1V>0)
2V:微小振動素子100の振動振幅により光源像S2が変位する量のうち、第2の方向またはそれに対応する方向の成分(d2V≧0、ただしd2H=0のときはd2V>0)
3V:微小振動素子100の振動振幅により光源像S3が変位する量のうち、第2の方向またはそれに対応する方向の成分(d3V≧0、ただしd3H=0のときはd3V>0)
【0051】
ここで、「第1の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸上に配置されている場合には第1の方向を指している。また、「第1の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸から外れた光路上に配置されている場合には、光源10A,10B,10Cからインテグレータ40までの光路上に配置された光学素子のレイアウトの関係から第1の方向に対応する方向を指している。
【0052】
また、「第2の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸上に配置されている場合には第2の方向を指している。また、「第2の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸から外れた光路上に配置されている場合には、光源10A,10B,10Cからインテグレータ40までの光路上に配置された光学素子のレイアウトの関係から第2の方向に対応する方向を指している。
【0053】
なお、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。また、光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。一方、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。また、光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。
【0054】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42が1以外の縦横比を有している場合には、フライアイレンズ40Aの各セル41のサイズの縦横比と、照明範囲60Aの縦横比とが以下の関係式を満たしていることが好ましい。ここで、照明範囲60Aの縦横比H/V(図8)は、空間変調素子60の解像度と相関を有しており、例えば、空間変調素子60の解像度がVGA(640×480)である場合には640/480となっており、例えば、空間変調素子60の解像度がWVGA(800×480)である場合には800/480となっている。
FEL1H/hFEL1V=H/V…(13)
FEL1H:フライアイレンズ40Aの1セルの第1の方向のサイズ
FEL1V:フライアイレンズ40Aの1セルの第2の方向のサイズ
H:照明範囲60Aの第1の方向のサイズ
V:照明範囲60Aの第2の方向のサイズ
【0055】
(特徴部分その2)
また、本実施の形態では、カップリングレンズ20A,20B,20Cに入射する光のビームサイズが20A,20B,20Cのサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離および開口数が設定されている。これを式で表すと、以下のようになる。
φCL1=2×fCL1×NA1≦hCL1…(14)
φCL2=2×fCL2×NA2≦hCL2…(15)
φCL3=2×fCL3×NA3≦hCL3…(16)
φCL1:カップリングレンズ20Aに入射する光のビームサイズ
φCL2:カップリングレンズ20Bに入射する光のビームサイズ
φCL3:カップリングレンズ20Cに入射する光のビームサイズ
NA1:カップリングレンズ20Aの開口数
NA2:カップリングレンズ20Bの開口数
NA3:カップリングレンズ20Cの開口数
CL1:カップリングレンズ20Aのサイズ
CL2:カップリングレンズ20Bのサイズ
CL3:カップリングレンズ20Cのサイズ
【0056】
ところで、本実施の形態において、カップリングレンズ20A,20B,20Cが1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離および開口数が以下の2つの関係式を満たしていることが好ましい。
φCL1H=2×fCL1H×NA1H≦hCL1H…(17)
φCL2H=2×fCL2H×NA2H≦hCL2H…(18)
φCL3H=2×fCL3H×NA3H≦hCL3H…(19)
φCL1V=2×fCL1V×NA1V≦hCL1V…(20)
φCL2V=2×fCL2V×NA2V≦hCL2V…(21)
φCL3V=2×fCL3V×NA3V≦hCL3V…(22)
φCL1H:カップリングレンズ20Aに入射する光の、第3の方向(カップリングレンズ20Aの短手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
φCL2H:カップリングレンズ20Bに入射する光の、第5の方向(カップリングレンズ20Bの短手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
φCL3H:カップリングレンズ20Cに入射する光の、第7の方向(カップリングレンズ20Cの短手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
φCL1V:カップリングレンズ20Aに入射する光の、第3の方向と直交する第4の方向(カップリングレンズ20Aの長手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
φCL2V:カップリングレンズ20Bに入射する光の、第5の方向と直交する第6の方向(カップリングレンズ20Bの長手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
φCL3V:カップリングレンズ20Cに入射する光の、第7の方向と直交する第8の方向(カップリングレンズ20Cの長手方向またはそれに対応する方向)のビームサイズ
NA1H:カップリングレンズ20Aの、第3の方向の開口数
NA2H:カップリングレンズ20Bの、第5の方向の開口数
NA3H:カップリングレンズ20Cの、第7の方向の開口数
NA1V:カップリングレンズ20Aの、第4の方向の開口数
NA2V:カップリングレンズ20Bの、第6の方向の開口数
NA3V:カップリングレンズ20Cの、第8の方向の開口数
CL1H:カップリングレンズ20Aの、第3の方向のサイズ
CL2H:カップリングレンズ20Bの、第5の方向のサイズ
CL3H:カップリングレンズ20Cの、第7の方向のサイズ
CL1V:カップリングレンズ20Aの、第4の方向のサイズ
CL2V:カップリングレンズ20Bの、第6の方向のサイズ
CL3V:カップリングレンズ20Cの、第8の方向のサイズ
【0057】
なお、第3の方向が、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。第4の方向が、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。第5の方向が、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。第6の方向が、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。第7の方向が、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。第8の方向が、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向であることが好ましい。
【0058】
[作用・効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタ1の作用・効果について説明する。本実施の形態では、インテグレータ40を透過した光が照明する照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させる微小振動素子100が、光路合成素子30とインテグレータ40との間に設けられている。これにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能となる。また、本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1,fCL2,fCL3と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELと、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、各光源像Sが、フライアイレンズ40Bの複数のセル42にまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像Sが変位する量が設定されている。これにより、フライアイレンズ40Bに入射した光が効率良く照明範囲60Aにまで到達する。なお、微小振動素子100は照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる程度に振動するだけなので、微小振動素子100が照明光学系1Aの小型化を阻害することはない。以上のことから、本実施の形態では、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することができる。
【0059】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vと、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELH,fFELVとを設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。また、本実施の形態において、カップリングレンズ20A,20B,20Cが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vおよび開口数NA1H,NA2H,NA3H,NA1V,NA2V,NA3Vを設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。また、本実施の形態において、光源10A,10B,10Cの指向角がそれぞれ異なる場合に、それぞれの指向角を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vおよび開口数NA1H,NA2H,NA3H,NA1V,NA2V,NA3Vをそれぞれ設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。
【0060】
上記実施の形態において、LDからなるチップ11Aが光源10Aだけに含まれており、それ以外の光源(光源10B,10C)には含まれていない場合には、例えば、図11に示したように、微小振動素子100が光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間に設けられていてもよい。また、例えば、図12に示したように、微小振動素子100がカップリングレンズ20Aと光路合成素子30との間に設けられていてもよい。また、上記実施の形態において、LDからなるチップ11Aが光源10A,10Bだけに含まれており、それ以外の光源(光源10C)には含まれていない場合には、図示しないが、微小振動素子100が光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間に設けられるとともに、光源10Bとカップリングレンズ20Bとの間に設けられていてもよい。このとき、光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間に設けられた微小振動素子100が本技術の「第1の微小振動素子」の一具体例に相当し、光源10Bとカップリングレンズ20Bとの間に設けられた微小振動素子100が本技術の「第2の微小振動素子」の一具体例に相当する。また、上記実施の形態において、LDからなるチップ11Aが光源10A,10B,10Cの全てに含まれている場合に、図示しないが、微小振動素子100が、光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間、光源10Bとカップリングレンズ20Bとの間、さらに光源10Cとカップリングレンズ20Cとの間に設けられていてもよい。このとき、光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間に設けられた微小振動素子100が本技術の「第1の微小振動素子」の一具体例に相当する。また、光源10Bとカップリングレンズ20Bとの間に設けられた微小振動素子100、または光源10Cとカップリングレンズ20Cとの間に設けられた微小振動素子100が本技術の「第2の微小振動素子」の一具体例に相当する。なお、本技術の「第2の微小振動素子」の一具体例に相当する微小振動素子100の構成は、光源10Aとカップリングレンズ20Aとの間に設けられた微小振動素子100の構成と同様である。
【0061】
<2.第2の実施の形態>
[構成]
図13(A),(B)は、本技術の第2の実施の形態に係るプロジェクタ3の概略構成を表すものである。なお、プロジェクタ3が本技術の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図13(A)はプロジェクタ3を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図13(B)はプロジェクタ3を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。図14(A),(B)は、図13のプロジェクタ3内の光路の一例を表すものである。図14(A)は、プロジェクタ3を上から(y軸方向から)見たときの光路の一例を表し、図14(B)はプロジェクタ3を横から(x軸方向から)見たときの光路の一例を表す。
【0062】
プロジェクタ3は、照明光学系3Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。
【0063】
照明光学系3Aでは、照明光学系1Aのカップリングレンズ20A,20B,20Cと、ダイクロイックミラー30A,30Bとが省略され、その代わりに、カップリングレンズ20Dと、ダイクロイックミラー30Cとが設けられている。ダイクロイックミラー30Cは、光源10A,10B,10Cのそれぞれの光軸が互いに交差する箇所に配置されている。カップリングレンズ20Dは、ダイクロイックミラー30Cの光射出側に配置されており、ダイクロイックミラー30Cとインテグレータ40との間に配置されている。微小振動素子100は、カップリングレンズ20Dとインテグレータ40との間に配置されている。
【0064】
ダイクロイックミラー30Cは、波長選択性を持つ2枚のミラーを含むものである。なお、上記のミラーは、例えば、多層の干渉膜を蒸着して構成されたものである。2枚のミラーは互いに直交して配置されており、ミラーの表面がダイクロイックミラー30Cの光射出側を向くように配置されている。ダイクロイックミラー30Cは、例えば、図14(A)に示したように、一方のミラー(以下、便宜的にミラーAと称する)の裏面側から入射した光(光源10A,10B側から入射した光)をミラーAの表面側に透過させるとともに、ミラーAの表面側から入射した光(光源10C側から入射した光)をミラーAで反射するようになっている。また、ダイクロイックミラー30Cは、例えば、図14(A)に示したように、他方のミラー(以下、便宜的にミラーBと称する)の裏面側から入射した光(光源10A,10C側から入射した光)をミラーBの表面側に透過させるとともに、ミラーBの表面側から入射した光(光源10B側から入射した光)をミラーBで反射するようになっている。従って、光路合成素子30は、光源10A,10B,10Cから発せられた個々の光束を単一の光束に合成するようになっている。
【0065】
カップリングレンズ20Dは、例えば、図14(A),(B)に示したように、ダイクロイックミラー30C側から入射してきた光を略平行光化するものであり、ダイクロイックミラー30C側から入射してきた光の指向角を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。
【0066】
[作用・効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタ3の作用・効果について説明する。本実施の形態では、インテグレータ40を透過した光が照明する照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させる微小振動素子100が、カップリングレンズ20Dとインテグレータ40との間に設けられている。これにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能となる。また、本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELと、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、各光源像Sが、フライアイレンズ40Bの複数のセル42にまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像Sが変位する量が設定されている。これにより、フライアイレンズ40Bに入射した光が効率良く照明範囲60Aにまで到達する。なお、微小振動素子100は照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる程度に振動するだけなので、微小振動素子100が照明光学系3Aの小型化を阻害することはない。以上のことから、本実施の形態では、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することができる。
【0067】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vと、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELH,fFELVとを設定するようにした場合には、照明光学系3Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。また、本実施の形態において、カップリングレンズ20Dが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vおよび開口数NA4H,NA4Vを設定するようにした場合には、照明光学系3Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態のfCL1,fCL2,fCL3が、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4となる。同様に、第1の実施の形態のfCL1H,fCL2H,fCL3Hが、カップリングレンズ20Dの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離fCL4Hとなる。第1の実施の形態のfCL1V,fCL2V,fCL3Vが、カップリングレンズ20Dの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離fCL4Vとなる。第1の実施の形態のφCL1,φCL2,φCL3が、カップリングレンズ20Dに入射する光のビームサイズφCL4となる。第1の実施の形態のNA1,NA2,NA3,が、カップリングレンズ20Dの開口数NA4となる。第1の実施の形態のhCL1,hCL2,hCL3が、カップリングレンズ20DのサイズhCL4となる。第1の実施の形態のφCL1H,φCL2H,φCL3Hが、カップリングレンズ20Dに入射する光の、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向のビームサイズφCL4Hとなる。第1の実施の形態のφCL1V,φCL2V,φCL3Vが、カップリングレンズ20Dに入射する光の、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向のビームサイズφCL4Vとなる。第1の実施の形態のNA1H,NA2H,NA3Hが、カップリングレンズ20Dの、第1の方向またはそれに対応する方向の開口数NA4Hとなる。第1の実施の形態のNA1V,NA2V,NA3Vが、カップリングレンズ20Dの、第2の方向またはそれに対応する方向の開口数NA4Vとなる。第1の実施の形態のhCL1H,hCL2H,hCL3Hが、カップリングレンズ20Dの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズhCL4Hとなる。第1の実施の形態のhCL1V,hCL2V,hCL3Vが、カップリングレンズ20Dの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズhCL4Vとなる。なお、これらの読み替えは、以降の各実施の形態においても同様に行われる。
【0069】
上記第2の実施の形態において、微小振動素子100が、例えば、図15に示したように、光路合成素子30(ダイクロイックミラー30C)とカップリングレンズ20Dとの間に設けられていてもよい。
【0070】
また、上記第2の実施の形態において、LDからなるチップ11Aが光源10Aだけに含まれており、それ以外の光源(光源10B,10C)には含まれていない場合には、例えば、図16に示したように、微小振動素子100が光源10Aと光路合成素子30(ダイクロイックミラー30C)との間に設けられていてもよい。
【0071】
<3.第3の実施の形態>
[構成]
図17(A),(B)は、本技術の第3の実施の形態に係るプロジェクタ4の概略構成を表すものである。なお、プロジェクタ4が本技術の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図17(A)はプロジェクタ4を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図17(B)はプロジェクタ4を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。図18(A),(B)は、図17のプロジェクタ4内の光路の一例を表すものである。図18(A)は、プロジェクタ4を上から(y軸方向から)見たときの光路の一例を表し、図18(B)はプロジェクタ4を横から(x軸方向から)見たときの光路の一例を表す。
【0072】
プロジェクタ4は、照明光学系4Aを備えている点で、照明光学系3Aを備えたプロジェクタ3の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ3との相違点について主に説明、プロジェクタ3との共通点についての説明を適宜省略するものとする。
【0073】
照明光学系4Aでは、照明光学系3Aの光源10A,10B,10Cと、ダイクロイックミラー30Cとが省略され、その代わりに、光源10Dが設けられている。光源10Dは、カップリングレンズ20Dの光軸上に配置されており、照明光学系4Aは、光源10Dから発せられた光が直接、カップリングレンズ20Dに入射するように構成されている。微小振動素子100は、光源10Dとカップリングレンズ20Dとの間に配置されている。
【0074】
光源10Dは、例えば、固体発光素子11と、固体発光素子11を支持するとともに覆うパッケージ12とを有している。光源10Dに含まれる固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。光源10Dに含まれる固体発光素子11は、例えば、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、例えば、同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。光源10Dに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、横方向に一列に配置されていたり、例えば、横方向および縦方向に格子状に配置されていたりする。
【0075】
チップ11Aは、発光ダイオード(LED)、有機EL発光素子(OLED)、またはレーザダイオード(LD)からなる。光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、光源10Dに含まれるチップ11Aが全て、LDであってもよい。光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、一部のチップ11AがLDであり、他のチップ11AがLEDやOLEDであってもよい。
【0076】
光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、光源10Dに含まれるチップ11Aが全て、互いに等しい波長帯の光を発するようになっていてもよいし、互いに異なる波長帯の光を発するようになっていてもよい。光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、全てのチップ11Aが、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するもので構成されていてもよいし、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するもので構成されていてもよいし、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するもので構成されていてもよい。また、光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、光源10Dに含まれる複数のチップ11Aが、例えば、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するものと、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するものと、例えば、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するものとで構成されていてもよい。
【0077】
[作用・効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタ4の作用・効果について説明する。本実施の形態では、インテグレータ40を透過した光が照明する照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させる微小振動素子100が、光源10Dとカップリングレンズ20Dとの間に設けられている。これにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能となる。また、本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELと、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、各光源像Sが、フライアイレンズ40Bの複数のセル42にまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像Sが変位する量が設定されている。これにより、フライアイレンズ40Bに入射した光が効率良く照明範囲60Aにまで到達する。なお、微小振動素子100は照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる程度に振動するだけなので、微小振動素子100が照明光学系4Aの小型化を阻害することはない。以上のことから、本実施の形態では、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することができる。
【0078】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vと、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELH,fFELVとを設定するようにした場合には、照明光学系4Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。また、本実施の形態において、カップリングレンズ20Dが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vおよび開口数NA4H,NA4Vを設定するようにした場合には、照明光学系4Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。
【0079】
上記第3の実施の形態において、微小振動素子100が、例えば、図19に示したように、カップリングレンズ20Dとインテグレータ40との間に設けられていてもよい。
【0080】
<4.第4の実施の形態>
[構成]
図20(A),(B)は、本技術の第4の実施の形態に係るプロジェクタ5の概略構成を表すものである。なお、プロジェクタ5が本技術の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図20(A)はプロジェクタ5を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図20(B)はプロジェクタ5を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0081】
プロジェクタ5は、照明光学系5Aを備えている点で、照明光学系4Aを備えたプロジェクタ4の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ4との相違点について主に説明、プロジェクタ4との共通点についての説明を適宜省略するものとする。
【0082】
照明光学系5Aでは、照明光学系4Aの光源10Dおよびカップリングレンズ20Dの光軸がインテグレータ40の光軸と交差する方向に傾けられている。光源10Dおよびカップリングレンズ20Dの光軸は、図20(A)に示したように、横方向に傾いていることが好ましい。なお、光源10Dおよびカップリングレンズ20Dの光軸が、図示しないが、縦方向に傾いていてもよいし、傾いていない構成となっていてもよい。
【0083】
照明光学系5Aは、さらに、偏光分離素子80と、位相差板アレイ90とを備えている。偏光分離素子80は、カップリングレンズ20Dとインテグレータ40との間に設けられており、位相差板アレイ90は、インテグレータ40とコンデンサレンズ50(または照明範囲60A)との間に設けられている。本実施の形態では、フライアイレンズ40Bは、フライアイレンズ40Aの焦点位置の手前に配置されており、位相差板アレイ90が、フライアイレンズ40Aの焦点位置(または略焦点位置)に配置されている。なお、微小振動素子100は、光源10Dとカップリングレンズ20Dとの間に配置されている。
【0084】
偏光分離素子80は、入射する光の偏光に対して異方性を有する光学素子であり、カップリングレンズ20D側から入射する光を、S偏光成分とP偏光成分との進行方向が異なるように分離(例えば回折)するものである。偏光の分離方向は、横方向となっていることが好ましいが、縦方向となっていてもよい。偏光分離素子80は、例えば、図21(A),(B)に示したように、一方の表面に、ブレーズ状またはステップ状の複数の帯状の凸部が並列配置された凹凸形状を有する偏光回折素子であることが好ましい。なお、偏光分離素子80は、図示しないが、バイナリ型の偏光回折素子であってもよい。なお、図21において、n0は、偏光分離素子80の屈折率であり、n1は、偏光分離素子80の光出射側の表面に接する領域の屈折率である。PAは、偏光分離素子80の凸部のピッチであり、θは、偏光分離素子80の光出射側の表面から出射される光の回折角である。λは入射光の波長である。
【0085】
偏光分離素子80は、例えば、カップリングレンズ20D側から入射した光に含まれるS偏光成分の光を、入射角と射出角とが互いに等しく(またはほぼ等しく)なるように透過させるようになっている。さらに、偏光分離素子80は、例えば、カップリングレンズ20D側から入射した光に含まれるP偏光成分の光を、入射角と射出角とが互いに異なるように回折透過させるようになっている。なお、偏光分離素子80は、上記の例とは逆に、例えば、カップリングレンズ20D側から入射した光に含まれるP偏光成分の光を、入射角と射出角とが互いに等しく(またはほぼ等しく)なるように透過させるようになっていてもよい。この場合に、偏光分離素子80は、さらに、例えば、カップリングレンズ20D側から入射した光に含まれるS偏光成分の光を、入射角と射出角とが互いに異なるように回折透過させるようになっていてもよい。偏光分離素子80から射出されたS偏光の進行方向と、偏光分離素子80から射出されたP偏光の進行方向とは、偏光分離素子80の法線(光軸)との関係で互いに反対方向を向いており、偏光分離素子80の法線(光軸)との関係で互いに線対称となる方向を向いていることが好ましい。
【0086】
位相差板アレイ90は、例えば、図22に示したように、位相差の互いに異なる第1領域90Aおよび第2領域90Bを有している。第1領域90Aは、偏光分離素子80で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のいずれか一方の偏光成分が入射する位置に配置されており、第1領域90Aへの入射光を、偏光方向を維持したまま透過するようになっている。一方、第2領域90Bは、偏光分離素子80で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のうち第1領域90Aに入射する偏光成分とは異なる偏光成分が入射する位置に配置されており、第2領域90Bへの入射光を、第1領域90Aに入射する光の偏光と等しい偏光の光に変換するようになっている。第1領域90Aおよび第2領域90Bは、ともに、偏光分離素子80における分離(回折)方向と直交する方向に延在する帯状の形状となっており、かつ偏光分離素子80における分離(回折)方向と平行な方向に交互に配置されている。ここで、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、第1領域90Aおよび第2領域90Bはともに、フライアイレンズ40A,40Bの長手方向と垂直な方向に延在していることが好ましい。
【0087】
互いに隣り合う第1領域90Aおよび第2領域90Bの合計の幅Λarrayは、例えば、フライアイレンズ40Bの1つのセル42の幅と等しくなっている。第1領域90Aおよび第2領域90Bが、例えば、図22に示したように、横方向に配列されている場合には、幅Λarrayは、例えば、セル42の横方向の幅(hFEL2H)と等しくなっている。第1領域90Aおよび第2領域90Bが、図示しないが、縦方向に配列されている場合には、幅Λarrayは、例えば、セル42の縦方向の幅(hFEL2V)と等しくなっている。第1領域90Aの幅hAWP1と、第2領域90Bの幅hAWP2とは、例えば、互いに等しくなっている。
【0088】
ところで、本実施の形態では、例えば、図23(A)〜(C)に示したように、偏光分離素子80には、カップリングレンズ20D側からの光が斜め方向から入射するようになっている。なお、図23(A)は、偏光分離素子80に入射した光のうちS偏光成分またはP偏光成分の光路だけを模式的に表したものであり、図23(B)は、偏光分離素子80に入射した光のうち図23(A)に示した偏光成分とは異なる偏光成分の光路だけを模式的に表したものである。図23(C)は、偏光成分によらず光路が共通となっている様子を模式的に表したものである。
【0089】
例えば、偏光分離素子80には、位相差板アレイ90内の配列方向と平行な方向(例えば横方向)に光軸が傾いた光が偏光分離素子80に入射するようになっている。そのため、例えば、図23(A),(B)に示したように、偏光分離素子80に入射した光のうち一方の偏光成分の光が、入射光の光軸と平行な方向に射出され、偏光分離素子80に入射した光のうち他方の偏光成分の光が、入射光の光軸と交差する方向に射出される。このとき、入射光の光軸と平行な方向に射出された光の光軸と、入射光の光軸と交差する方向に射出された光の光軸との二等分線が、偏光分離素子80の法線(z軸)と平行(またはほぼ平行)となっていることが好ましい。
【0090】
入射光の光軸と平行な方向に射出された光は、インテグレータ40で複数の微小光束となり、例えば、図23(A)に示したように、位相差板アレイ90の第1領域90Aに入射するようになっている。また、入射光の光軸と交差する方向に射出された光は、例えば、図23(B)に示したように、インテグレータ40で複数の微小光束となり、例えば、位相差板アレイ90の第2領域90Bに入射するようになっている。なお、図示しないが、入射光の光軸と平行な方向に射出された光が、位相差板アレイ90の第2領域90Bに入射するとともに、入射光の光軸と交差する方向に射出された光が、位相差板アレイ90の第1領域90Aに入射するようになっていてもよい。いずれにしても、位相差板アレイ90からは、P偏光およびS偏光のいずれか一方の偏光光が主として射出されるようになっている。
【0091】
入射光の光軸と平行な方向に射出された光は、フライアイレンズ40Aで微小光束に分割され、分割された各光束が位相差板アレイ90の第1領域90Aの近傍に焦点を結び、ここに2次光源面(光源像SA)を形成する(図24参照)。同様に、入射光の光軸と交差する方向に射出された光は、フライアイレンズ40Aで微小光束に分割され、分割された各光束が位相差板アレイ90の第2領域90Bの近傍に焦点を結び、ここに2次光源面(光源像SB)を形成する(図24参照)。
【0092】
本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によって位相差板アレイ90に形成される各光源像SA、各光源像SBのサイズが第1領域90A、第2領域90Bの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELと、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、光源像SAおよび光源像SBが、第1領域90A、第2領域90Bにまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像SA,SBが変位する量が設定されている。
【0093】
微小振動素子100は、第1領域90A,第2領域90Bの長手方向および短手方向のうち少なくとも一方の方向に振幅成分を有する振動をするようになっている。微小振動素子100による光束の走査の方向は、例えば、位相差板アレイ90の配列方向(つまり、第1領域90A,第2領域90Bの短手方向)またはその方向と対応する方向となっている。微小振動素子100による光束の走査の方向は、位相差板アレイ90の配列方向と直交する方向(つまり、第1領域90A,第2領域90Bの長手方向)またはその方向と対応する方向であってもよい。
【0094】
ここで、微小振動素子100による光束の走査の方向が、位相差板アレイ90の配列方向またはその方向と対応する方向となっている場合には、光源像SA,SBの変位量が以下の式(23),(24)を満たしていることが好ましい。式(23),(24)を模式的に表すと図24のようになる。ここで、図24は、微小振動素子100の振動により光源像SA,SBが第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向に振動している様子を表したものである。
H1+dH1=P4H×(fFEL/fCL4H)+dH1≦hAWP1…(23)
H2+dH2=P4H×(fFEL/fCL4H)+dH2≦hAWP2…(24)
H1:光源像SAの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
H2:光源像SBの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
4H:光源10Dに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL4H:カップリングレンズ20Dの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
AWP1:第1領域90Aの配列方向のサイズ
AWP2:第2領域90Bの配列方向のサイズ
H1:微小振動素子100の振動振幅により光源像SAが変位する量
H2:微小振動素子100の振動振幅により光源像SBが変位する量
【0095】
なお、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P4Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P4Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。また、カップリングレンズ20Dが、複数のレンズによって構成されている場合には、fCL4Hは、各レンズの、第1の方向またはそれに対応する方向の合成焦点距離とする。
【0096】
上記の式(23),(24)とおおよそ等価な式として、以下の式(25),(26)を挙げることができる。式(25),(26)は、固体発光素子11の光射出領域のサイズが固体発光素子11のサイズと概ね等しい場合に特に有益である。
H1+dH1=W4H×(fFEL/fCL4H)+dH1≦hAWP1…(25)
H2+dH2=W4H×(fFEL/fCL4H)+dH2≦hAWP2…(26)
4H:光源10Dに含まれる固体発光素子11の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
【0097】
なお、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、W4Hは、そのチップ11Aのサイズに等しい。また、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、W4Hは、全てのチップ11Aを単一のチップとしてみたときの、そのチップのサイズに等しい。
【0098】
[作用・効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタ5の作用・効果について説明する。本実施の形態では、インテグレータ40を透過した光が照明する照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させる微小振動素子100が、光源10Dとカップリングレンズ20Dとの間に設けられている。これにより、スペックルを人間の眼の中で気にならない程度に平均化することが可能となる。また、本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によって位相差板アレイ90に形成される各光源像SA、各光源像SBのサイズが第1領域90A、第2領域90Bの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELと、微小振動素子100の形状が設定されている。さらに、光源像SAおよび光源像SBが、第1領域90A、第2領域90Bにまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像SA,SBが変位する量が設定されている。これにより、位相差板アレイ90に入射した光が効率良く照明範囲60Aにまで到達する。なお、微小振動素子100は照明範囲60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる程度に振動するだけなので、微小振動素子100が照明光学系5Aの小型化を阻害することはない。以上のことから、本実施の形態では、小型化および光の利用効率向上を図りつつ、スペックルの発生を低減することができる。
【0099】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vと、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELH,fFELVとを設定するようにした場合には、照明光学系5Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。また、本実施の形態において、カップリングレンズ20Dが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20Dの焦点距離fCL4H,fCL4Vおよび開口数NA4H,NA4Vを設定するようにした場合には、照明光学系5Aにおける光利用効率をさらに改善することができる。
【0100】
また、本実施の形態では、偏光分離素子80をインテグレータ40の手前に配置し、位相差板アレイ90をインテグレータ40の後ろに配置した上で、カップリングレンズ20Dからの光を偏光分離素子80に斜めに入射させるようにした。これにより、空間変調素子60の光入射側などに偏光板が用いられている場合に、光源10Dから射出された光を、上記の偏光板の透過軸と平行な偏光成分を主として含む偏光光に変換することができる。その結果、空間変調素子60の光入射側などに設けられた偏光板で生じる光のロスを小さくすることができるので、プロジェクタ5全体の光利用効率を大幅に改善することができる。
【0101】
上記第4の実施の形態において、微小振動素子100が、例えば、図25に示したように、カップリングレンズ20Dとインテグレータ40との間に設けられていてもよい。
【0102】
<5.実施例>
次に、上記各実施の形態のプロジェクタ1,3,4,5に用いられる照明光学系1A,3A,4A,5Aの実施例について説明する。図26は、第1ないし第3の実施の形態の実施例の設計値を表したものであり、図27は、第4の実施の形態の実施例の設計値を表したものである。図中の実施例1〜3は、照明光学系1A,3A,4Aに共通の設計値であり、図中の実施例4は、照明光学系5Aの設計値である。図26の一番下に記載の「条件式」とは、上述の式(7)〜(12)においてP1H,P2H,P3H,P1V,P2V,P3VをW1H,W2H,W3H,W1V,W2V,W3Vに置き換えたものと、上述の式(17)〜(22)とを以下の式(27)〜(29),(31)〜(33)にまとめたものに、設計値を代入することにより得られたものである。図27の「条件式」も同様の方法で以下の式(30),(34)にまとめたものに、設計値を代入することにより得られたものである。なお、図26、図27では、fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL4Hを便宜的にfCLHと記載し、fCL1V,fCL2V,fCL3V,fCL4Vを便宜的にfCLVと記載した。また、図26、図27では、開口数NA1H,NA2H,NA3H,NA4Hを便宜的にNAHと記載し、開口数NA1V,NA2V,NA3V,NA4Vを便宜的にNAVと記載した。
(w1H/hFEL2H)×fFELH≦fCL1H≦hCL1H/(2×NA1H)…(27)
(w2H/hFEL2H)×fFELH≦fCL2H≦hCL2H/(2×NA2H)…(28)
(w3H/hFEL2H)×fFELH≦fCL3H≦hCL3H/(2×NA3H)…(29)
(w4H/hFEL2H)×fFELH≦fCL4H≦hCL4H/(2×NA4H)…(30)
(w1V/hFEL2V)×fFELV≦fCL1V≦hCL1V/(2×NA1V)…(31)
(w2V/hFEL2V)×fFELV≦fCL2V≦hCL2V/(2×NA2V)…(32)
(w3V/hFEL2V)×fFELV≦fCL3V≦hCL3V/(2×NA3V)…(33)
(w4V/hFEL2V)×fFELV≦fCL4V≦hCL4V/(2×NA4V)…(34)
【0103】
図26、図27から、いずれの設計値においても、式(27)〜(34)を満たす焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL4H,fCL1V,fCL2V,fCL3V,fCL4Vに設定することができることがわかる。
【0104】
<6.変形例>
以上、複数の実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0105】
(変形例1)
例えば、上記実施の形態では、図3(A),(B)〜図6(A),(B)に示したように、チップ11Aが上面発光型の素子となっている場合が例示されていたが、端面発光型の素子であってもよい。その場合には、光源10A,10B,10C,10Dは、それぞれ、例えば、図28(A),(B)〜図33(A),(B)に示したように、ステム13とキャップ14とによって囲まれた内部空間に、1または複数の端面発光型のチップ11Aからなる固体発光素子11が収容されたキャンタイプの形態となっている。
【0106】
ステム13は、キャップ14とともに光源10A,10B,10C,10Dのパッケージを構成するものであり、例えば、サブマウント15を支持する支持基板13Aと、支持基板13Aの裏面に配置された外枠基板13Bと、複数の接続端子13Cとを有している。サブマウント15は導電性および放熱性を有する材料からなる。支持基板13Aおよび外枠基板13Bは、それぞれ、導電性および放熱性を有する基材に、1または複数の絶縁性のスルーホールと、1または複数の導電性のスルーホールとが形成されたものである。支持基板13Aおよび外枠基板13Bは、例えば、円板形状となっており、双方の中心軸(図示せず)が互いに重なり合うように積層されている。外枠基板13Bの直径は、支持基板13Aの直径よりも大きくなっている。外枠基板13Bの外縁は、外枠基板13Bの中心軸を法線とする面内において外枠基板13Bの中心軸から放射方向に張り出した環状のフランジとなっている。フランジは、製造過程においてキャップ14を支持基板13Aに嵌合させるときの基準位置を規定する役割を有している。複数の接続端子13Cは、少なくとも支持基板13Aを貫通している。複数の接続端子13Cのうち少なくとも1つの端子を除いた端子(以下、便宜的に「端子α」とする。)は、個々のチップ11Aの電極(図示せず)に1つずつ電気的に接続されている。端子αは、例えば、外枠基板13B側に長く突出しており、かつ支持基板13A側に短く突出している。また、複数の接続端子13Cのうち上記の端子α以外の端子(以下、便宜的に「端子β」とする。)は、全てのチップ11Aの他の電極(図示せず)に電気的に接続されている。端子βは、例えば、外枠基板13B側に長く突出しており、端子βの支持基板13A側の端縁は、例えば、支持基板13A内に埋め込まれている。各接続端子13Cのうち外枠基板13B側に長く突出している部分が、例えば基板などに嵌め込まれる部分に相当する。一方、複数の接続端子13Cのうち支持基板13A側に短く突出している部分が、ワイヤ16を介して個々のチップ11Aと1つずつ電気的に接続される部分に相当する。複数の接続端子13Cのうち支持基板13A内に埋め込まれている部分が、例えば、支持基板13Aおよびサブマウント15を介して全てのチップ11Aと電気的に接続される部分に相当する。端子αは、支持基板13Aおよび外枠基板13Bに設けられた絶縁性のスルーホールによって支持されており、そのスルーホールによって支持基板13Aおよび外枠基板13Bから絶縁分離されている。さらに、個々の端子αは、上記の絶縁部材によって互いに絶縁分離されている。一方、端子βは、支持基板13Aおよび外枠基板13Bに設けられた導電性のスルーホールによって支持されており、そのスルーホールと電気的に接続されている。
【0107】
キャップ14は、固体発光素子11を封止するものである。キャップ14は、例えば、上端および下端に開口が設けられた筒部14Aを有している。筒部14Aの下端が、例えば、支持基板13Aの側面に接しており、筒部14Aの内部空間に、固体発光素子11が位置している。キャップ14は、筒部14Aの上端側の開口を塞ぐようにして配置された光透過窓14Bを有している。光透過窓14Bは、固体発光素子11の光射出面と対向する位置に配置されており、固体発光素子11から出力された光を透過する機能を有している。
【0108】
本変形例において、固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。固体発光素子11は、例えば、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、同一の波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよいし、互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、図28(A),(B)、図29(A),(B)に示したように、横方向に一列に配置されていたり、例えば、図31(A),(B)、図32(A),(B)に示したように、縦方向に一列に配置されていたりする。固体発光素子11に含まれるチップ11Aの数は、光源10A,10B,10C,10Dごとに異なっていてもよいし、全ての光源10A,10B,10C,10Dで互いに等しくなっていてもよい。
【0109】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、例えば、図30(B)、図33(B)に示したように、単一のチップ11Aのサイズ(WV1×WH1)に等しい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズは、例えば、図28(B),図29(B),図31(B),図32(B)に示したように、全てのチップ11Aをひとまとまりとしたときのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図28(B)の例では、WV1×3WH1より大きく、図29(B)の例では、WV1×2WH1より大きい。また、複数のチップ11Aが縦方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図31(B)の例では、3WV1×WH1より大きく、図32(B)の例では、2WV1×WH1より大きい。
【0110】
チップ11Aは、例えば、レーザダイオード(LD)からなる。光源10A,10B,10C,10Dのそれぞれに含まれるチップ11Aが全て、LDによって構成されていてもよい。また、光源10A,10B,10C,10Dのうち少なくとも1つの光源に含まれるチップ11Aが、LDによって構成され、それ以外のチップ11Aが、LEDまたはOLEDによって構成されていてもよい。
【0111】
チップ11Aは、例えば、図28(A),(B)〜図33(A),(B)に示したように、チップ11Aサイズ(WV×WH)よりも小さなサイズ(PV1×PH1)の発光スポット11Bを有している。発光スポット11Bは、チップ11Aに電流を注入してチップ11Aを駆動したときにチップ11Aから光が発せられる領域(光射出領域)に相当する。チップ11AがLDからなる場合には、発光スポット11BはLEDまたはOLEDの発光スポットよりも小さな点状となっている。
【0112】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図30(B)、図33(B)に示したように1つである。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図28(B),図29(B),図31(B)、図32(B)に示したようにチップ11Aの数と等しい。ここで、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、発光スポット11Bのサイズ(PV1×PH1)に等しい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図28(B)の例では、PV1×3PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。同様に、図29(B)の例では、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。また、複数のチップ11Aが縦方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図31(B)の例では、3PV1×PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。同様に、図32(B)の例では、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、2PV1×PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。
【0113】
(変形例2)
また、上記実施の形態およびその変形例では、照明光学系1A,3A,4A,5Aが、平行光をフライアイレンズ40Aに入射させる無限光学系を含んで構成されていたが、収束光(または発散光)をフライアイレンズ40Aに入射させる有限光学系を含んで構成されていてもよい。この場合には、上記実施の形態およびその変形例において、カップリングレンズ20A〜20Dの代わりに、光源10A〜10Dから発せられた光を収束するか、または発散する機能を有する指向角変換素子を配置すればよい。ただし、この場合には、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、上記の指向角変換素子と、フライアイレンズ40A,40Bとからなる光学系の光学倍率、および微小振動素子100の形状が設定されていることが好ましい。この場合、光源像Sのサイズは、以下の式を満たしていることが好ましい。
h=P×m
h:光源像Sのサイズ
P:光源10A〜10Dに含まれる固体発光素子11の発光スポット11Bのサイズ
m:上記の指向角変換素子と、フライアイレンズ40A,40Bとからなる光学系の光学倍率
さらに、各光源像Sが、フライアイレンズ40Bの複数のセル42にまたがって形成されることがないように、微小振動素子100の振動振幅により光源像Sが変位する量が設定されていることが好ましい。
【0114】
また、本変形例においても、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42が1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、照明光学系1A,3A,4A,5Aが、アナモフィック光学系となっていることが好ましい。
【0115】
(変形例3)
また、上記実施の形態およびその変形例では、本技術を、投射型表示装置に適用した場合について説明されていたが、他の表示装置に適用することももちろん可能である。例えば、図34に示したように、本技術を、リアプロジェクション表示装置6に適用することが可能である。リアプロジェクション表示装置6は、図34に示したように、照明光学系1A,3A,4A,5Aを含むプロジェクタ1,3,4,5と、プロジェクタ1,3,4,5(投影光学系70)から投射された画像光を映し出す透過型スクリーン7とを備えている。このように、リアプロジェクション表示装置6の照明光学系として、照明光学系1A,3A,4A,5Aを用いることにより、光利用効率を改善することができる。
【0116】
(変形例4)
また、上記実施の形態およびその変形例では、微小振動素子100は、光学素子110と、光学素子110を微小振動させる駆動部120とを有していたが、それらの代わりに、例えば、入射光の一部を収束させると共に入射光の一部を発散させるパワー素子と、そのパワー素子を微小振動させる駆動部とを有していてもよい。
【0117】
本変形例において、駆動部は、パワー素子とインテグレータ40との相対位置を変位させるものである。駆動部は、例えば、パワー素子の面内の一の方向に振動させることにより、パワー素子とインテグレータ40との相対位置を変位させるようになっている。これにより、インテグレータ40の入射面内において、収束光の入射位置と、発散光の入射位置が変化するので、照明領域60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる。なお、駆動部による光束の走査は、連続周期的であってもよいし、離散的繰り返しであってもよい。いずれの場合であっても、照明領域60Aにおける照明状態を時間的に変化させることができる。駆動部は、パワー素子から出射された光のフライアイレンズ40Aへの入射角がフライアイレンズ40Aの許容角以内となるように、パワー素子を制御することが好ましい。
【0118】
図35(A)は、上記パワー素子の一例を表す平面構成図である。図35(B)は、図35(A)のA−A矢視方向の断面構成図である。図36は、図35(B)において一点鎖線で囲んだ部分の拡大図であり、図37は、図36のパワー素子をインテグレータ40と共に表す断面構成図である。
【0119】
図35(A)に記載のパワー素子200は、凸シリンダー面210(第1光学面)と凹シリンダー面220(第2光学面)が交互に配列された凹凸面200Aをインテグレータ40側に有しており、さらに、平坦面200Bをインテグレータ40とは反対側に有している。凸シリンダー面210および凹シリンダー面220は、横方向と45度の角度で交差する方向に延在しており、さらに、これらの延在方向と直交する方向に交互に配列されている。凸シリンダー面210は、曲率半径R(+)の凸状曲面であり、平坦面200B側から入射した光を収束光束に変換するようになっている。凹シリンダー面220は、曲率半径R(−)の凹状曲面であり、平坦面200B側から入射した光を発散光束に変換するようになっている。凸シリンダー面210の曲率半径R(+)は、凹シリンダー面220の曲率半径R(−)よりも大きくなっている。さらに、凸シリンダー面210の幅P(+)(配列方向の幅)は、凹シリンダー面220の幅P(−)(配列方向の幅)よりも広くなっている。
【0120】
ここで、図37中のF(+)は、凸シリンダー面210の焦点距離である。また、F(−)は、凹シリンダー面220の焦点距離である。θ(+)は、収束光束を構成する光線の進行方向と、インテグレータ40の光軸とのなす角度の最大値である。θ(−)は、発散光束を構成する光線の進行方向と、インテグレータ40の光軸とのなす角度の最大値である。LPは、凸シリンダー面210収束光束幅と、凹シリンダー面220の発散光束幅が互いに等しくなる箇所を含む面と、パワー素子200との距離である。Pは、凸シリンダー面210収束光束幅と、凹シリンダー面220の発散光束幅が互いに等しくなる箇所における両光束の幅である。Lは、パワー素子200とインテグレータ40との距離であり、具体的には、各凸シリンダー面210の頂部を含む面と、フライアイレンズ40Aの各セル41の頂部を含む面との距離である。なお、パワー素子200の各パラメータの値の一例を以下の表1に示す。
【表1】

【0121】
(変形例5)
また、上記実施の形態およびその変形例では、微小振動素子100は、光学素子110と、光学素子110を微小振動させる駆動部120とを有していたが、それらの代わりに、回折効果を利用した回折分岐素子と、回折分岐素子を微小振動させる駆動部とを有していてもよい。回折分岐素子は、入射光を回折させることにより複数の回折次数の光束に分岐して、各々異なる角度で射出させるものである。ただし、回折分岐素子は、当該回折分岐素子から出射された光のフライアイレンズ40Aへの入射角が、フライアイレンズ40Aの許容角以内となるように構成されていることが好ましい。また、駆動部は、回折分岐素子から出射された光のフライアイレンズ40Aへの入射角がフライアイレンズ40Aの許容角以内となるように、回折分岐素子を振動させることが好ましい。
【0122】
(変形例6)
また、上記実施の形態およびその変形例では、微小振動素子100は、光学素子110と、光学素子110を微小振動させる駆動部120とを有していたが、それらの代わりに、拡散板と、拡散板を微小振動させる駆動部とを有していてもよい。ただし、拡散板は、当該拡散板から出射された光のフライアイレンズ40Aへの入射角が、フライアイレンズ40Aの許容角以内となるように構成されていることが好ましい。また、駆動部は、拡散板から出射された光のフライアイレンズ40Aへの入射角がフライアイレンズ40Aの許容角以内となるように、拡散板を振動させることが好ましい。
【0123】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第1の固体発光素子を含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記第1の固体発光素子は、レーザダイオードを含み、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第1の微小振動素子の形状が設定され、
各光源像が、前記第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が設定されている
照明装置。
(2)
前記第1の固体発光素子は、所定の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、
前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が以下の関係式を満たす
(1)に記載の照明装置。
h+d≦hFEL2
h:前記光源像のサイズ
d:前記第1の微小振動素子の振動により光源像が変位する量
FEL2:前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズ
(3)
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有しており、
前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が以下の関係式を満たす
(2)に記載の照明装置。
x+dx≦hFEL2x
y+dy≦hFEL2y
x:前記光源像の第1の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの長手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
y:前記光源像の、第1の方向と直交する第2の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの短手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
FEL2x:前記第2のフライアイレンズの1セルの第1の方向のサイズ
FEL2y:前記第2のフライアイレンズの1セルの第2の方向のサイズ
x:前記第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第1の方向の成分(dx≧0、ただしdy=0のときはdx>0)
y:前記第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第2の方向の成分(dy≧0、ただしdx=0のときはdy>0)
(4)
単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第2の固体発光素子を含む第2の光源と、
前記第2の光源側から入射した光の指向角を変換する第2の指向角変換素子と、
前記第1および第2の指向角変換素子を透過した光を合成し、その合成光を前記インテグレータに向けて出力する光路合成素子と
をさらに備え、
前記第2の固体発光素子は、レーザダイオードを含み、
前記第1の微小振動素子は、前記光路合成素子と前記インテグレータとの間に配置されている
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の照明装置。
(5)
前記第1の微小振動素子が、前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記光路合成素子との間に配置され、
当該照明装置は、前記第2の光源と前記第2の指向角変換素子との間、または前記第2の指向角変換素子と前記光路合成素子との間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第2の微小振動素子をさらに備え、
各光源像が、前記第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、前記第2の微小振動素子の形状と、前記第2の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が設定されている
(4)に記載の照明装置。
(6)
前記第1の指向角変換素子の焦点距離が1以外の縦横比を有し、
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有し、
前記第1の指向角変換素子の縦横の焦点距離の比と、前記第2のフライアイレンズの各セルの縦横比の逆数とが、互いに等しくなっている
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の照明装置。
(7)
前記第1のフライアイレンズは、前記第2のフライアイレンズの略焦点位置に配置されており、
前記第2のフライアイレンズは、前記第1のフライアイレンズの略焦点位置に配置されている
(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の照明装置。
(8)
前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に設けられた偏光分離素子と、
前記インテグレータと前記照明範囲との間に設けられた位相差板アレイと
を備え、
前記第1の微小振動素子は、前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記偏光分離素子との間に配置されており、
前記偏光分離素子は、前記第1の指向角変換素子側から入射する光を、S偏光成分とP偏光成分との進行方向が異なるように分離し、
前記位相差板アレイは、位相差の互いに異なる第1領域および第2領域を有し、
前記第1領域は、前記偏光分離素子で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のいずれか一方の偏光成分が入射する位置に配置されており、当該第1領域への入射光を、偏光方向を維持したまま透過し、
前記第2領域は、前記偏光分離素子で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のうち前記第1領域に入射する偏光成分とは異なる偏光成分が入射する位置に配置されており、当該第2領域への入射光を、前記第1領域に入射する光の偏光と等しい偏光の光に変換する
(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の照明装置。
(9)
前記第1領域および前記第2領域はともに、前記偏光分離素子における分離方向と直交する方向に延在する帯状の形状となっており、かつ前記偏光分離素子における分離方向と平行な方向に交互に配置されている
(8)に記載の照明装置。
(10)
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有し、
前記第1領域および前記第2領域はともに、前記第1および第2のフライアイレンズの長手方向と垂直な方向に延在する帯状の形状となっている
(8)に記載の照明装置。
(11)
前記位相差板アレイは、前記第1のフライアイレンズの略焦点位置に配置されており、
前記第2のフライアイレンズは、前記第1のフライアイレンズの焦点位置よりも手前に配置されている
(8)に記載の照明装置。
(12)
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、
を備え、
前記照明光学系は、
レーザダイオードを含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率と、前記第1の微小振動素子の形状と、前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量とが設定されている
投射型表示装置。
(13)
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、
前記投影光学系から投射された画像光を映し出す透過型スクリーンと
を備え、
前記照明光学系は、
レーザダイオードを含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率と、前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量とが設定されている
直視型表示装置。
【符号の説明】
【0124】
1,3,4,5…プロジェクタ、1A,3A,4A,5A…照明光学系、2…スクリーン、6…リアプロジェクション表示装置、7…透過型スクリーン、10A,10B,10C、10D…光源、11…固体発光素子、11A…チップ、11B…発光スポット、12…パッケージ、13…ステム、13A…支持基板、13B…外枠基板、13C…接続端子、14…キャップ、14A…筒部、14B…光透過部、15…サブマウント、16…ワイヤ、20A,20B,20C,20D…カップリングレンズ、30…光路合成素子、30A,30B,30C…ダイクロイックミラー、40…インテグレータ、40A,40B…フライアイレンズ、41,42…セル、50…コンデンサレンズ、60…空間変調素子、60A…照明範囲、70…投影光学系、80…偏光分離素子、90…位相差板アレイ、90A…第1領域、90B…第2領域、100…微小振動素子、200…パワー素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第1の固体発光素子を含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記第1の固体発光素子は、レーザダイオードを含み、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率、および第1の微小振動素子の形状が設定され、
各光源像が、前記第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が設定されている
照明装置。
【請求項2】
前記第1の固体発光素子は、所定の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、
前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が以下の関係式を満たす
請求項1に記載の照明装置。
h+d≦hFEL2
h:前記光源像のサイズ
d:前記第1の微小振動素子の振動により光源像が変位する量
FEL2:前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズ
【請求項3】
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有しており、
前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が以下の関係式を満たす
請求項2に記載の照明装置。
x+dx≦hFEL2x
y+dy≦hFEL2y
x:前記光源像の第1の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの長手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
y:前記光源像の、第1の方向と直交する第2の方向(前記第1および第2のフライアイレンズの各セルの短手方向またはそれに対応する方向)のサイズ
FEL2x:前記第2のフライアイレンズの1セルの第1の方向のサイズ
FEL2y:前記第2のフライアイレンズの1セルの第2の方向のサイズ
x:前記第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第1の方向の成分(dx≧0、ただしdy=0のときはdx>0)
y:前記第1の微小振動素子の振動振幅により光源像が変位する量のうち、第2の方向の成分(dy≧0、ただしdx=0のときはdy>0)
【請求項4】
単一もしくは複数の発光スポットからなる光射出領域から光を発する第2の固体発光素子を含む第2の光源と、
前記第2の光源側から入射した光の指向角を変換する第2の指向角変換素子と、
前記第1および第2の指向角変換素子を透過した光を合成し、その合成光を前記インテグレータに向けて出力する光路合成素子と
をさらに備え、
前記第2の固体発光素子は、レーザダイオードを含み、
前記第1の微小振動素子は、前記光路合成素子と前記インテグレータとの間に配置されている
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の微小振動素子が、前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記光路合成素子との間に配置され、
当該照明装置は、前記第2の光源と前記第2の指向角変換素子との間、または前記第2の指向角変換素子と前記光路合成素子との間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第2の微小振動素子をさらに備え、
各光源像が、前記第2のフライアイレンズの複数のセルにまたがって形成されることがないように、前記第2の微小振動素子の形状と、前記第2の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量が設定されている
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の指向角変換素子の焦点距離が1以外の縦横比を有し、
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有し、
前記第1の指向角変換素子の縦横の焦点距離の比と、前記第2のフライアイレンズの各セルの縦横比の逆数とが、互いに等しくなっている
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1のフライアイレンズは、前記第2のフライアイレンズの略焦点位置に配置されており、
前記第2のフライアイレンズは、前記第1のフライアイレンズの略焦点位置に配置されている
請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に設けられた偏光分離素子と、
前記インテグレータと前記照明範囲との間に設けられた位相差板アレイと
を備え、
前記第1の微小振動素子は、前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記偏光分離素子との間に配置されており、
前記偏光分離素子は、前記第1の指向角変換素子側から入射する光を、S偏光成分とP偏光成分との進行方向が異なるように分離し、
前記位相差板アレイは、位相差の互いに異なる第1領域および第2領域を有し、
前記第1領域は、前記偏光分離素子で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のいずれか一方の偏光成分が入射する位置に配置されており、当該第1領域への入射光を、偏光方向を維持したまま透過し、
前記第2領域は、前記偏光分離素子で分離されたS偏光成分およびP偏光成分のうち前記第1領域に入射する偏光成分とは異なる偏光成分が入射する位置に配置されており、当該第2領域への入射光を、前記第1領域に入射する光の偏光と等しい偏光の光に変換する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1領域および前記第2領域はともに、前記偏光分離素子における分離方向と直交する方向に延在する帯状の形状となっており、かつ前記偏光分離素子における分離方向と平行な方向に交互に配置されている
請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1および第2のフライアイレンズの各セルが1以外の縦横比を有し、
前記第1領域および前記第2領域はともに、前記第1および第2のフライアイレンズの長手方向と垂直な方向に延在する帯状の形状となっている
請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記位相差板アレイは、前記第1のフライアイレンズの略焦点位置に配置されており、
前記第2のフライアイレンズは、前記第1のフライアイレンズの焦点位置よりも手前に配置されている
請求項8に記載の照明装置。
【請求項12】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、
を備え、
前記照明光学系は、
レーザダイオードを含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率と、前記第1の微小振動素子の形状と、前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量とが設定されている
投射型表示装置。
【請求項13】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、
前記投影光学系から投射された画像光を映し出す透過型スクリーンと
を備え、
前記照明光学系は、
レーザダイオードを含む第1の光源と、
前記第1の光源側から入射した光の指向角を変換する第1の指向角変換素子と、
前記第1の指向角変換素子を透過した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータと、
前記第1の光源と前記第1の指向角変換素子との間、または前記第1の指向角変換素子と前記インテグレータとの間に配置され、かつ前記照明範囲における照明状態を時間的に変化させる第1の微小振動素子と
を備え、
前記インテグレータは、前記第1の指向角変換素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、
前記第1のフライアイレンズの各セルによって前記第2のフライアイレンズに形成される各光源像のサイズが前記第2のフライアイレンズの1セルのサイズを超えない大きさとなるように、前記第1の指向角変換素子と、前記第1および第2のフライアイレンズとからなる光学系の光学倍率と、前記第1の微小振動素子の形状と、前記第1の微小振動素子の振動振幅により前記光源像が変位する量とが設定されている
直視型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−212099(P2012−212099A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258665(P2011−258665)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】