説明

照明装置および液晶表示装置

【課題】コストの増大を抑え、動画表示時の残像を低減して表示品位(特に動画の表示品位)を向上させることができる液晶表示装置、それに用いる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置は、両端部に電極を形成した蛍光管を複数有し、前記蛍光管の両端の電極に互いに逆位相の駆動波形を送出して前記複数の蛍光管を点灯させる駆動回路と、前記複数の蛍光管のそれぞれを順次点灯するために切り替えるスイッチング手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画表示に好適な液晶表示装置、及びそれに用いられる照明装置、並びに上記液晶表示装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、卓上型ワードプロセッサーやノートPC(パーソナルコンピュータ)などの表示装置として、薄型化を図れる液晶表示装置が用いられてきた。近年、卓上型ワードプロセッサーやノートPCにおいても、その処理能力の向上に伴って、映画やテレビの動画も表示できるようになってきた。
【0003】
しかしながら、従来の液晶表示装置においては、動画を表示すると、液晶の特性上、十分な応答性が得られず、尾引きなどの残像や像のにじみなどのぼやけた画像となり、動画表示での表示品位の低下が問題となる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、照明部が走査方向に複数の発光領域を有し、これら複数の発光領域を液晶表示装置の垂直同期信号に同期させて、順次発光させている。すなわち、各発光体が表示部の走査直後に点灯し、あらかじめ定めた時間後に消灯するように形成する事により、良好な表示品位を得られるとしている。
【0005】
上記照明部は、表示部の背面のバックライト部内に、走査方向に向かって走査線に平行に並べた冷陰極管等が配置され、それぞれが所定の本数の走査線に対応する液晶を照明するような構成になっている。
【特許文献1】特開平1−082019号公報(公開日1989年3月28日)
【特許文献2】特開平11−202285号公報(公開日1999年7月30日)
【特許文献3】特開平11−202286号公報(公開日1999年7月30日)
【非特許文献1】信学技法EID2001-84、ディスプレイの時間応答と動画の高画質(栗田泰一郎)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような照明部を用いて画像を表示した場合、以下のような問題がある。
【0007】
すなわち、上記のような構成で動画表示時の残像等を抑制して表示品位を向上させるためには、各発光領域を十分短い時間幅で照明する必要がある。これは、動画像の動きボケを生じる原因が、液晶の応答時間だけではなく、ホールド型表示である液晶表示特有の表示特性(参考:非特許文献1)に起因したもので、よりインパルス的な(短い時間幅の)照明光源の点灯により、動画質改善効果を向上できるからである。
【0008】
しかし、より短い時間幅で従来の冷陰極管を用いる場合、液晶表示装置の画面輝度(時間平均輝度)が減少し、暗い画面となり、テレビとしての表示特性を損なう。
【0009】
表示画面に対する監視者の快適な視認を満足する十分な画面輝度を確保するには、蛍光管個々の輝度を増大させる、又は蛍光管本数を増大させることが必要になる。
【0010】
従来の冷陰極蛍光管において管面輝度と寿命(信頼性)とは相反する(トレードオフ)関係にある。これは、以下の理由による。冷陰極蛍光管は、内部に電極を持ち、高電界により励起放電された希ガス成分のガス粒子イオンが陰極電極に衝突し、その際、陰極電極から2次電子を放出し、この2次電子が希ガス粒子に次々と衝突しながら希ガスを電離させる事により、プラズマガス放電状態を持続させる。すなわち、内部に存在する電極は、絶えずプラズマガス粒子の爆撃(ボンバードメント)に晒されている。
【0011】
蛍光管の寿命(信頼性)要因の第1要因は、この内部に存在する電極(金属)のスパッタリング(金属飛散)である。一般に発光素子は、注入するエネルギー(蛍光管の場合は入力電力)を増大させれば、発光エネルギー(輝度或いは光度)は増大する。
【0012】
しかるに、冷陰極蛍光管では、電力増加とともに、プラズマ放電が強くなり、プラズマガス粒子の電極への衝突が増大し、信頼性が著しく低下する。
【0013】
又、冷陰極蛍光管においては、蛍光管本数増量とともにインバータ駆動回路の増大を招く。それは、以下の理由による。冷陰極蛍光管は負性特性を有しており、放電時の管電流の安定化を図る為に、インバータ駆動回路にバラストコンデンサーを有する。このバラストコンデンサーの後段に冷陰極蛍光管を多数本配置する場合、インバータ駆動回路出力端子と蛍光管電圧入力端子との間の距離が異なると寄生容量による漏れ電流などの影響で個々の蛍光管への注入電流量がバラツキ、個々の蛍光管の輝度バラツキを生じることから、等距離でしかもなるべく短く結線するなどの制約がある。
【0014】
それゆえ、現状の冷陰極蛍光管は、1インバータ(1トランス出力)−1蛍光管、又は1インバータ(2トランス出力)−2蛍光管の構成が主流である。すなわち、インバータ駆動回路は、蛍光管本数分或いは蛍光管本数の半分の個数を必要とする。
【0015】
したがって、従来の冷陰極蛍光管を用いた構成では、短い時間幅で点灯し、十分な画面輝度を確保すべく蛍光管本数を増大させた場合、インバータ駆動回路も比例して増大し、大幅なコストの増大を招くという問題がある。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、照明装置の信頼性を損ねることなく、又照明装置のコストの増大を抑え、動画表示時の残像を低減して表示品位(特に動画の表示品位)を向上させることができる液晶表示装置、それに用いる照明装置、及び照明装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明にかかる照明装置は、両端部に電極を形成した蛍光管を複数有し、前記蛍光管の両端の電極に互いに逆位相の駆動波形を送出して前記複数の蛍光管を点灯させる駆動回路と、前記複数の蛍光管のそれぞれを順次点灯するために切り替えるスイッチング手段とを具備することを特徴としている。
【0018】
本発明にかかる照明装置は、両端部に電極を形成した蛍光管を複数有し、前記蛍光管の両端の電極のうち、一方に正電位駆動波形を送出したときに他方に負電位駆動波形が送出されることで前記蛍光管を点灯させる駆動回路と、前記複数の蛍光管のそれぞれを順次点灯するために切り替えるスイッチング手段とを具備することを特徴としている。
【0019】
本発明の照明装置において、前記各蛍光管は、垂直同期信号に同期して、順次点灯されてもよい。
【0020】
本発明の照明装置において、前記複数の蛍光管のそれぞれに対する両端部の電極への駆動電圧は互いに逆位相の正弦波或いは矩形波であってもよい。
【0021】
本発明の照明装置において、前記電極は前記蛍光管の両端部の外側に形成された金属電極であってもよい。
【0022】
本発明の照明装置において、前記電極は前記蛍光管の両端部の外側に密着形成され、蛍光管が容量結合を付加された構造を有していてもよい。
【0023】
本発明の照明装置は、前記金属電極にAg、Cu及びAlのうちいずれかの金属が用いられてもよい。
【0024】
本発明にかかる液晶表示装置は、上記のいずれかの照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、前記液晶パネルと前記蛍光管との間には拡散板が配置されていることを特徴としている。
【0025】
本発明にかかる液晶表示装置は、上記のいずれかの照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、前記液晶パネルと前記蛍光管との間には集光シートが配置されていることを特徴としている。
【0026】
本発明にかかる液晶表示装置は、上記のいずれかの照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、前記蛍光管の間を仕切る仕切り板を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の照明装置を構成する蛍光管として内部に電極を有しない、すなわち蛍光管の外部に電極を有する外部電極蛍光管を用いることにより、信頼性を損ねずに蛍光管を高輝度化し、短い時間幅で点灯させても十分な画面輝度を確保できる照明装置を構成することができ、この照明装置を用い、液晶表示素子の表示画素の表示タイミングと連動して、順次、点灯し、消灯させることにより、動画応答性の良好な液晶表示装置を実現できるという効果を奏する。
【0028】
又、本発明の照明装置を構成する外部電極蛍光管を駆動するインバータ駆動回路は1個でも可能であり、インバータ駆動回路数の増加を抑制できる。すなわち蛍光管本数を増量させてもインバータ駆動回路のコスト増大を回避できて、蛍光管のコスト増大のみに抑制される。
【0029】
したがって、インバータ駆動回路コストの増大なしに蛍光管本数を増量することにより、短い時間幅で点灯させても十分な画面輝度を確保できる照明装置を構成することができ、この照明装置を用い、液晶表示素子の表示画素の表示タイミングと連動して順次点灯及び消灯させることにより、動画応答性の良好な液晶表示装置を低コストで実現できるという効果を奏する。
【0030】
又、本発明の別の形態による照明装置を構成する外部電極蛍光管として、長手方向の外部側面に帯状金属電極を配置した直方体形状の平面型面発光蛍光放電灯を用いることにより、拡散板などの拡散機構を省くことができるので光漏れの影響を軽減でき、部材削減によるコスト低減が実現できる効果を奏することができる。
【0031】
又、互いに隣り合う各平面型面発光蛍光放電灯間の帯状電極を共通化、すなわち、同一なものを兼用することにより、高耐圧スイッチング素子の出力端子数を半減することができ、この照明装置を用い、液晶表示素子の表示画素の表示タイミングと連動して順次点灯及び消灯させることにより、動画応答性の良好な液晶表示装置を低コストで実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の液晶表示装置、およびそれに用いる照明装置、並びにその駆動方法の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、例えば640×480ドットのTFT(薄膜トランジスタ)を有するアクティブマトリクス方式のものである。
【0033】
液晶パネル(表示部)3内には、走査されながら印加される映像信号(画像データ)に基づくソース信号及びゲート信号に応じて光の透過状態を変調する液晶層が設けられている。液晶層としては、例えば薄いツイストネマティク(TN)液晶層やOCB液晶層又は強誘電性液晶層などを用いてもよい。
【0034】
液晶パネル3には、液晶パネル3内の走査線をゲート信号により駆動するゲートドライバ4と画素データ信号線をソース信号により駆動するソースドライバ5とが設けられている。液晶表示装置1には、映像信号が入力される液晶パネル制御回路2が、上記映像信号に基づく駆動信号を出力するように設けられている。
【0035】
液晶パネル制御回路2から映像信号に基づく駆動信号がゲートドライバ4及びソースドライバ5を介して液晶パネル3に供給され、上記液晶表示素子に駆動信号が印加されるようになっている。すなわち、画素には、対応する走査線に走査パルスが印加されるタイミングで、対応する信号線に駆動信号のデータ信号電圧が印加される。
【0036】
又、照明装置11は、液晶パネル3の表示面を照明するバックライト部12を備えている。このバックライト部12は、液晶パネル3の垂直走査方向に沿って互いに等間隔に、かつ平行に、それぞれn本並ぶ外部電極蛍光管13で構成されている。
【0037】
照明装置11は、これら外部電極蛍光管13に対しては、その点灯(発光)を制御する機構として、インバータ駆動回路(駆動制御回路)14、高耐圧スイッチング回路(高耐圧スイッチング素子、スイッチング制御回路)15、シフトレジスタ16及び分周用のカウンタ17を有している。
【0038】
上記照明装置11においては、カウンタ17によって走査シフトクロックを分周し、シフトレジスタ16により垂直同期信号に同期して分周された信号をインバータ駆動回路14及び高耐圧スイッチング回路15に与え、インバータ駆動回路14が出力する蛍光管駆動電圧を高耐圧スイッチング回路15により、SA1−SB1の駆動対→SA2−SB2の駆動対→・・・→SAn−SBnの駆動対と切り替える(スイッチング)ことにより、各外部電極蛍光管13(L1〜Ln)を所定の周期で1本ずつ順次点灯し、続いて、順次消灯させる。
【0039】
ここで照明装置11の蛍光管である各蛍光管13と液晶表示素子の表示素子グループとの関係について簡単に説明しておく。蛍光管13の本数をNとし、走査線の本数すなわち走査方向の画素数をMとすると、n本目の蛍光管13が、{(n-1)・(M/N)+1}本目〜{n・(M/N)}本目の走査線に対する画素を照明する。具体的な1例としては、640(水平)×480(垂直)の解像度の表示素子を6本の蛍光管にて照明する場合は、1本の蛍光管は80本の走査線に対応する。
【0040】
すなわち、走査線の1本目〜80本目に対する画素を1本目の蛍光管13が照明し、81本目〜160本目に対する画素を2本目の蛍光管13が照明する。以下同様にして、最後の6本目の蛍光管は、401本目〜480本目の走査線に対する画素を照明する。
【0041】
なお、蛍光管13の本数は、高速動画における尾引き現象などの表示品位低下が効果的に軽減できる程度の本数であればよく、特に限定されない。
【0042】
照明する画素領域を制限する構成は、実際の液晶表示装置のモジュール構成を基に説明する。図2に走査方向の縦断面図を示す。外部電極蛍光管13の間を均等に仕切る反射仕切り板22を設け、外部電極蛍光管13と液晶パネル3との間には、拡散板23、拡散シート24、集光シート25などが配置されている。反射仕切り板22により、照明領域が等間隔に仕切られ、所定の表示領域に整合するように実装される。
【0043】
ここで走査時期の同じ液晶表示素子を表示素子群とする。すなわち、この例では、1つの表示素子群は、1本の走査線に対応する640個の液晶表示素子からなる。この表示素子群が、走査時期の早い順に、かつ、一つのグループには少なくとも一つの表示素子群が属するように表示素子グループにグループ分けされている。すなわち、この例としては、走査時期の早い順に隣接した80本の走査線に対応する640×80個の液晶表示素子ごとに、一つの表示素子グループが構成されている。
【0044】
次に、画像表示と照明装置11の点灯タイミングの関係について簡単に説明する。図3に、照明装置11の駆動回路系(図1のシフトレジスタ16)が受け取る垂直同期信号と外部電極蛍光管13の1本目から6本目までの点灯状態のタイミングの様子を模式的に示す。この図3のように垂直同期信号に同期し、各蛍光管13が順次点灯・消灯される。
【0045】
点灯状態の時間をta、消灯状態の時間をtb、1フレーム時間をfとすると、ta+tb=fの関係にある。tdは消灯タイミング(点灯タイミング)の位相シフト量を表し、n本の蛍光管の場合は、td=f/nの関係となり、本実施の形態の場合、6本であるので、td=f/6である。図4に示す関係から、点灯状態の時間taが短いほど動画応答性能は向上する。実験では、4分の1デューティ点灯(ta=f/4)よりも6分の1デューティ点灯(ta=f/6)の方が、高速動画表示での尾引きなどの表示品位の低下現象が低減されることを確認した。
【0046】
この実験の際、点灯時間がf/4からf/6になることに伴い、照明光量が2/3となることを補う為に、外部電極蛍光管の高信頼性を活用して個々の蛍光管13の輝度を1.5倍に高めて(駆動電圧を高めて)使用した。なお、消費電力に関しては、瞬時的な輝度を高めたことにより、瞬時的な電力は高いが、点灯時間が短くなっており、積分した時間平均の電力量は、4分の1デューティ点灯と6分の1デューティ点灯とでは差はなく、消費電力量は変わらない。
【0047】
ここで、本発明の一実施の形態で用いた外部電極蛍光管に関してより詳細に説明する。図5(a)および図5(c)に本発明で用いた外部電極蛍光管13の簡単な構造図面を示す。又、図5(b)および図5(d)に比較用として従来液晶用バックライトとして用いられている冷陰極蛍光管の簡単な構造図面を示す。
【0048】
従来の冷陰極蛍光管は蛍光管内部に電極53を具備し、ハーネスケーブル54を介して外部の電力供給線と結線される。それに対して、外部電極蛍光管13は、蛍光管内部に電極を具備しない。本発明で用いた外部電極蛍光管13では、蛍光管の両端部の管外壁にリング状に金属電極52を密着形成した。この電極材料としては、AgやCu及びAlなどの抵抗の低い金属を用いることが好ましい。
【0049】
本実施の形態では、加工形成の容易なAg電極を用いた。蛍光管内部の放電ガス組成・ガス圧力は、従来の冷陰極蛍光管と同様のAr(5%)/Ne(95%)、8kPaとした。短い時間幅での順次点灯での使用を考慮し、残光特性のなるべく短く、しかも赤・緑・青の3波長の残光特性が揃った蛍光体を選定した。
【0050】
本発明の照明装置に用いた外部電極蛍光管13は、従来の冷陰極蛍光管のような内部電極53を具備していないので、放電ガスによる電極損傷(金属電極のスパッタリング)を全く受けない。
【0051】
又、従来の冷陰極蛍光管では、内部電極への通電のためにハーネスケーブルをガラス管端から貫通させ、ハーネスとガラス壁を溶着(シール)しているが、駆動時の金属とガラスとの熱膨張による応力により、このシール部からのスローリーク(微小なガス漏れ)が発生し、ガス組成変化による信頼性の低下がある。
【0052】
しかし、本発明の照明装置に係る外部電極蛍光管13は、このような金属線の貫通部分がないので、更に信頼性が高い。本実施の形態では、この高信頼性を活かして、1.5倍の輝度で点灯させ、高速動画表示において動画応答性の良好な、しかも十分な画面輝度を有する液晶表示装置を実現した。
【0053】
ここで本発明の一実施の形態で用いた外部電極蛍光管13の駆動に関してより詳細に説明する。外部電極蛍光管は図5に示す通り、蛍光管壁の外側に金属電極を有し、ガラス管(誘電体)を介して放電中はガラス内壁に蓄積電荷による仮想電極が形成され、これらの構成により容量結合すなわち蛍光管みずからコンデンサを身にまとった(付加された)構造を形成している。
【0054】
前述したように、この容量結合により、1個のインバータでの多数本並列点灯が可能となる。しかし、このコンデンサ分の電圧分配により、通常の冷陰極蛍光管よりも高い駆動電圧を要する。したがって、片側単一電圧駆動では、スイッチング回路の耐圧が厳しい。
【0055】
したがって、外部電極蛍光管13の駆動では、その両側となる各電極52に対し、互いに逆位相の正弦波或いは矩形波にて電圧印加することにより、高耐圧スイッチング回路15にかかる電圧が管駆動電圧の半分の電圧となるような駆動方法を採用した。
【0056】
この駆動方法により、前述の図3にて模式的に示した垂直同期信号と蛍光管点灯タイミングとの関係は、蛍光管に印加される駆動電圧波形で示すと図6のようになる。
【0057】
インバータ駆動回路14から逆位相の正弦波が蛍光管13の左側に位置する高耐圧スイッチング回路15Aと蛍光管13の右側に位置する高耐圧スイッチング回路15Bに出力され、シフトレジスタ16より送られてきたシフトクロック・同期分周信号に基づき、各高耐圧スイッチング回路15が管駆動波形の出力タイミングを制御し、外部電極蛍光管13の1本目の左側電極に正電位駆動波形を送出した時に、同時に右側電極に負電位駆動波形が送出され、順次、所定のタイミングで2本目・3本目・・・の両端の電極に逆位相の駆動波形対を送出して外部電極蛍光管13を順次点灯・消灯させる。
【0058】
次に、本発明の第二の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態で用いる外部電極蛍光管の形状は、図7に示すように、長手方向の外部側面に帯状金属電極62をそれぞれ配置した直方体形状であり、平面型の面発光蛍光放電灯と称する物である。
【0059】
上記面発光蛍光放電灯においては、上側面電極62と下側面電極間62との間で短辺方向に面放電させることにより、面発光が得られる。この図7に示した平面型の面発光放電灯を用い、図8に示すようにタイル状に近接並置し、更に、互いに隣接する奇数番目と偶数番目の帯状金属電極62を共通化する。すなわち、1番目の下側面電極と2番目の上側面電極とを同一の帯状金属電極B1にし、2番目の下側面電極と3番目の上側面電極とを同一の帯状金属電極A2にする。以下同様にして奇数番目の下側面電極と偶数番目の上側面電極、偶数番目の下側面電極とその次の奇数番目の上側面電極とを同一にする。
【0060】
更に、奇数番目の上側面電極(偶数番目の下側面電極)を,一方の側(図8では、左側)の駆動回路端子である高耐圧スイッチング回路15Aへ接続し、偶数番目の上側面電極(奇数番目の下側面電極)を他方の側(図8では右側)の駆動回路端子である高耐圧スイッチング回路15Bへ接続するように結線する。
【0061】
図9に示すように、奇数番目の上側面電極をA1・A3・・・、偶数番目の上側面電極をB1・B2・・・とすると、1番目の面発光蛍光放電灯を点灯させる場合は、A1−B2電極間に放電させ、2番目の面発光蛍光放電灯を点灯させる場合は、B2−A3電極間に放電させる。
【0062】
上記電極配置を施した上記平面型面発光蛍光放電灯を用いて前述の図3のタイミングで蛍光管を順次点灯する駆動法について図9を用いて説明する。
【0063】
インバータ駆動回路14から逆位相の正弦波が蛍光管13の左側に位置する高耐圧スイッチング回路15Aと蛍光管13の右側に位置する高耐圧スイッチング回路15Bに出力され、シフトレジスタ16より送られてきたシフトクロック・同期分周信号に基づき、高耐圧スイッチング回路が管駆動波形の出力タイミングを制御し、平面型面発光の蛍光放電灯91の1本目(L1)の上側面電極(A1)に正電位駆動波形を送出した時に、同時に同電位逆位相の駆動波形を下側面電極(B2)に印加する。順次、図3のタイミングで2本目(L2)が点灯するタイミングでは、B2電極とA3電極にそれぞれ同電位逆位相の駆動波形を印加し、3本目(L3)が点灯するタイミングでは、A3電極とB4電極にそれぞれ同電位逆位相の駆動波形を印加する。
【0064】
このようにして、平面型面発光の蛍光放電灯91の上側面電極及び下側面電極に図3の点灯タイミングで逆位相の駆動波形対を印加することにより、平面型面発光の蛍光放電灯91を順次点灯・消灯させる。
【0065】
この電極構成によると、2n本の平面型面発光蛍光放電灯を順次点灯駆動させる為の駆動端子数はA端子が(n+1)個、B端子がn個の合計(2n+1)個となる。一方、1本の蛍光管の両端に外部電極を配置する蛍光管の構成の場合は、駆動端子数は蛍光管数の2倍を要するので、2n本の蛍光管に対しては、順次点灯させる為の駆動端子数は4n個となる。
【0066】
したがって、本実施の形態で示した電極構成により、順次点灯駆動用の高耐圧スイッチング回路15の出力端子数を半減させることが可能となり、照明装置の駆動回路系の更なる低コスト化が実現できた。
【0067】
照明装置の蛍光管である面発光蛍光放電灯と液晶表示素子の表示素子グループとの関係については、前述の実施の形態1での説明と同様であるので説明を省略する。
【0068】
ここで、本実施の形態で示した上記照明装置を用いた液晶表示装置のモジュール構成を以下に説明する。図10に走査方向の縦断面図を示す。平面型の各面発光蛍光放電灯91の間に均等に帯状電極92が配置され、面発光蛍光放電灯91と液晶パネル3との間には、拡散シート24、集光シート25などがそれぞれ配置されている。
【0069】
帯状電極92は、平面型面発光の蛍光放電灯91への通電のみならず、反射仕切り板の作用も兼ね備えており、照明領域が等間隔に仕切られ、表示領域を制限する。更に、平面型の面発光蛍光放電灯91は、面光源であるので拡散板は不要となった。
【0070】
上記課題を解決するため、本発明の照明装置は、内部プラズマを形成し、励起するための電界を形成する各電極を外部にそれぞれ有する複数の蛍光管と、上記電界を形成するための電力を生成するインバータ駆動回路と、インバータ駆動回路から各電極への電力の供給を断接して各蛍光管の発光をそれぞれ制御するための高耐圧スイッチング素子とを具備することを特徴としている。
【0071】
上記構成によれば、照明装置を構成する蛍光管として、蛍光管の外部に電極を有する外部電極蛍光管を用いており、外部電極蛍光管は、内部に電極を有しないのでプラズマガス粒子による電極損傷を受けることがなく、従来の内部に電極を有する冷陰極蛍光管と比べて、より大きな電力注入状態、すなわち高輝度発光状態で使用した場合でも高い信頼性を維持できる。
【0072】
又、外部電極蛍光管の電極構造は、蛍光管外部の金属電極と蛍光管のガラス壁(誘電体)と蛍光管内壁の仮想電極との間で容量結合を形成する。外部電極へ印加された駆動電圧は、この容量結合を介して蛍光管内部の仮想電極に蓄積電荷を誘起させ、この電荷により形成される蛍光管両端の電位差により、蛍光管内部の希ガス放電を発生させ、内部プラズマを形成して、励起できる。
【0073】
従来の冷陰極蛍光管は、電極が放電空間に露出した状態であり、実電流が電極に流入するので、実電流の変動影響(寄生容量による漏れ電流など)を受け易い。しかし、外部電極蛍光管は、電極が放電空間に露出していないため、実電流が電極に流入せず、容量結合部に蓄積する電荷による電位差により放電をする。すなわち、容量結合がいわゆるバッファー(緩衝)の役目を果たし、冷陰極蛍光管のような実電流変動の影響が軽減される。
【0074】
このことにより、従来の、内部に電極を有する冷陰極蛍光管では困難である1個のインバータでの多数本(3本以上)の蛍光管の並列点灯駆動が、外部電極蛍光管では可能となる。
【0075】
したがって、外部電極蛍光管は、蛍光管(ランプ)本数を増大させても蛍光管を駆動するインバータ駆動回路を、従来と比べて少なく、例えば1個にでき、インバータ駆動回路数の増加を回避できる。すなわち、蛍光管本数を増量させてもインバータ駆動回路のコスト増大は軽減され、蛍光管のコスト増大のみに抑制される。
【0076】
以上の通り、外部電極蛍光管を用いることにより、信頼性を損ねずに蛍光管を高輝度化し、又、インバータ駆動回路コストの増大なしに蛍光管本数を増量することにより、短い時間幅で点灯させても十分な画面輝度を確保できる照明装置を構成することができ、この照明装置を用い、高耐圧スイッチング素子により、液晶表示素子の表示画素の表示タイミングと連動して、順次、点灯し、消灯させることにより、動画応答性の良好な液晶表示装置を実現できる。
【0077】
又、本発明の別の形態による照明装置を構成する外部電極蛍光管として、長手方向の外部側面に帯状金属電極をそれぞれ配置した直方体形状の平面型の面発光蛍光放電灯を用いてもよい。
【0078】
上記面発光蛍光放電灯では、上記面発光蛍光放電灯を挟む各外部側面電極間で短辺方向に面放電させることにより、面発光を得る。更に、互いに隣り合う各面発光蛍光放電灯間に挟まれた、帯状の外部側面電極を上記両者間で共通化する。すなわち、上記面発光蛍光放電灯における、奇数番目の下側面電極と偶数番目の上側面電極とを同一ものにする。上記の上側面とは、液晶表示装置の垂直同期方向に対して、上流側を示し、上記の下側面とは上記垂直同期方向に対して、下流側を示す。
【0079】
この電極配置の利点は、高耐圧スイッチング素子における出力端子数を低減できることである。すなわち、奇数番目の上側面電極をA1・A3・・・、偶数番目の上側面電極をB1・B2・・・とすると、1番目の面発光蛍光放電灯を点灯させる場合は、A1-B2電極間に放電させ、2番目の面発光蛍光放電灯を点灯させる場合は、B2-A3電極間に放電させる。
【0080】
したがって、2n本の面発光蛍光放電灯を順次点灯駆動させる為の駆動端子数はA端子が(n+1)個、B端子がn個の合計(2n+1)個となる。
【0081】
1本の蛍光管の両端に外部電極をそれぞれ配置する蛍光管の構成の場合は、駆動端子数は蛍光管数の2倍を要するので、2n本の蛍光管に対しては、順次点灯させる為の駆動端子数は4n個となる。
【0082】
したがって、上記のとおり、奇数番目の面発光蛍光放電灯に隣接する偶数番目の面発光蛍光放電灯の帯状電極を共通化することにより、順次点灯駆動用の高耐圧スイッチング素子の出力端子数を、約半減させることが可能となり、照明装置の駆動回路系の更なる低コスト化が実現できる。
【0083】
又、前述の細長い円柱形状の蛍光管は、線状光源のために照明装置の面輝度ムラを生じる。この面輝度ムラを緩和すべく、拡散板・複数の光学シートなどで照明装置が構成されている。この照明装置内での反射・拡散により連動して表示させるべき表示画素以外の表示画素グループへ、点灯した蛍光管の光が漏洩する。この光の漏れ(不要な照射)を回避し、連動する表示画素のみを照射するよう照明装置内の反射板に仕切りを設けなければならない。
【0084】
上記のとおり、長手方向の側面に帯状金属電極をそれぞれ配置したタイル状の面発光蛍光放電灯を用いることにより、側面の帯状金属電極が光の仕切り板の役割を有する。又、面光源であるので拡散板などの拡散機構を省くことができるので光漏れの影響を軽減でき、更に部材削減によるコスト低減が実現できる。
【0085】
以上の通り構成を示した長手方向に帯状電極を有した外部電極面発光蛍光放電灯を用いることにより、スイッチング素子の出力端子数を半減し、更に拡散板などの部材点数を削減した低コストで、更に光漏れの少ない照明装置を構成することができ、この照明装置を用い、高耐圧スイッチング素子により、液晶表示素子の表示画素の表示タイミングと連動して、順次、点灯し消灯させることにより、動画応答性の良好な液晶表示装置を実現できる。
【0086】
上記照明装置では、前記インバータ駆動回路は、蛍光管の各電極への駆動電力がそれぞれ、互いに逆位相の正弦波或いは矩形波とする駆動制御回路を有していてもよい。上記構成により、後段の高耐圧スイッチング回路への入力電圧が照明光源の駆動電圧の約1/2と低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係わる液晶表示装置およびそれに用いる照明装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】上記液晶表示装置の一構成例を示す断面図である。
【図3】上記液晶表示装置における、垂直同期信号と蛍光管点灯状態との間のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】一般的な液晶表示装置における、液晶の応答特性と蛍光管点灯状態による動画応答性能を説明する模式図である。
【図5】図5(a)および図5(c)は、本発明の一実施の形態で用いた外部電極蛍光管の構造図であり、図5(b)および図5(d)は、従来例の冷陰極管の構造図である。
【図6】本発明の液晶表示装置における、インバータ駆動回路からの出力波形と垂直同期信号及び高耐圧スイッチング回路からの出力駆動波形とのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】本発明に係わる液晶表示装置およびそれに用いる照明装置の他の構成例で用いた平面型面発光蛍光放電灯であり、(a)は正面図、(b)は上記(a)のA−A’矢視断面図である。
【図8】上記の複数の平面型面発光蛍光放電灯と該隣接放電灯間で共有する側面電極の配置を示す構成図である。
【図9】本発明に係わる液晶表示装置およびそれに用いる照明装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図10】上記液晶表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 液晶表示装置 2 液晶パネル制御回路
3 液晶パネル 4 ゲートドライバ
5 ソースドライバ 11 照明装置
12 バックライト部 13 外部電極蛍光管
14 インバータ駆動回路 15 高耐圧スイッチング回路
16 シフトレジスタ 17 カウンタ
21 反射板 22 反射仕切り板
23 拡散板 24 拡散シート
25 集光シート
51 蛍光管壁 52 外部電極
53 内部電極 54 ハーネスケーブル
91 平面型面発光蛍光放電灯 92 側面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に電極を形成した蛍光管を複数有し、
前記蛍光管の両端の電極に互いに逆位相の駆動波形を送出して前記複数の蛍光管を点灯させる駆動回路と、
前記複数の蛍光管のそれぞれを順次点灯するために切り替えるスイッチング手段とを具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
両端部に電極を形成した蛍光管を複数有し、
前記蛍光管の両端の電極のうち、一方に正電位駆動波形を送出したときに他方に負電位駆動波形が送出されることで前記蛍光管を点灯させる駆動回路と、
前記複数の蛍光管のそれぞれを順次点灯するために切り替えるスイッチング手段とを具備することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記各蛍光管は、垂直同期信号に同期して、順次点灯されることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の蛍光管のそれぞれに対する両端部の電極への駆動電圧は互いに逆位相の正弦波或いは矩形波であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記電極は前記蛍光管の両端部の外側に形成された金属電極であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記電極は前記蛍光管の両端部の外側に密着形成され、蛍光管が容量結合を付加された構造を有することを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記金属電極にAg、Cu及びAlのうちいずれかの金属が用いられることを特徴とする請求項5又は6に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、
前記液晶パネルと前記蛍光管との間には拡散板が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、
前記液晶パネルと前記蛍光管との間には集光シートが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載の照明装置と液晶パネルとを備えた液晶表示装置であって、
前記蛍光管の間を仕切る仕切り板を設けたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−153234(P2008−153234A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36686(P2008−36686)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【分割の表示】特願2002−359832(P2002−359832)の分割
【原出願日】平成14年12月11日(2002.12.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】