説明

照明装置及びその発光方法、並びに撮影装置

【課題】発光色を容易に可変とする。
【解決手段】デジタルカメラ11には、カメラボディ12前面に配置された透明な発光窓16に保護されたLED15が設けられている。LED15は、青色光を発するチップと、チップのpn接合部を被覆する黄色蛍光体からなるチップカバーとから構成される。チップに電圧差が生じることでpn接合部に電流が流れ、青色光を発する。駆動電流の増加とともにその発光強度も増加する。青色光は、黄色蛍光体からなるチップカバーを透過することで青色とは異なる色として発光窓16から放射される。その発光色は、その発光強度に応じた青色と黄色の比率の変化により可変となる。CPUに接続されたEEPROMには、駆動電流と発光色を数値的に示す発光色温度との関係のテーブルが予め記憶されており、CPUに接続されたLED制御回路は、そのテーブルに従ってLED15の発光状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光色を可変とする照明装置及びその発光方法、並びにそれを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀塩カメラやデジタルカメラなどの撮影装置の多くは、夜間撮影や逆光撮影が行えるようにストロボ装置を備えている。従来のストロボ装置としては、メインコンデンサに充電された電力をキセノン(Xe)管に放電させるものが一般的である。しかしながら、このキセノン管を用いたストロボ装置では、メインコンデンサへの充電に待ち時間があり連続撮影が難しい、数ミリ秒程度の瞬間発光しかできず低速シャッタの撮影に適さない、メインコンデンサのサイズは小さくなくカメラボディのコンパクト化に限度がある、発光する光が昼光に近い分光特性を有するので撮影画像が不適切な色となる、などといった問題があった。
【0003】
一方、最近では、発光ダイオード(LED,light emitting diode)の高輝度化に伴い、LEDを用いたストロボ装置もある(例えば、特許文献1〜4参照)。LEDを用いたストロボ装置であればメインコンデンサを不要とし、連続撮影が可能であり、そしてカメラボディのコンパクト化にもなる。また、連続発光が可能であり、低速シャッタの撮影も可能である。
【0004】
さらに、特許文献1,2記載のストロボ装置のように3色のLEDを用いて発光色を可変とすることで、撮影条件に合わせた色で発光させることができ適切な色の撮影画像を得ることができる。
【特許文献1】特開2002−116581号公報
【特許文献2】特開2006−139297号公報
【特許文献3】特開2005−121872号公報
【特許文献4】特開2006−108970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LEDは品質のバラツキが大きいため、特許文献1,2記載のストロボ装置のように3色のLEDを制御することは容易ではなく、精度良く製造するにはコスト面に問題がある。
【0006】
また、特許文献3記載のストロボ装置は、LEDの品質のバラツキを抑える構成であるが、発光色を可変とするものではない。さらに、特許文献4記載のストロボ装置は、発光量を可変とする構成であるが、発光色を可変とするものではない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、発光色を容易に可変とする照明装置及びその発光方法、並びにそれを備えた撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の照明装置は、駆動電流の大小により発光強度が増減する第1色の光を発するLEDチップ、及びLEDチップを被覆してその発光強度の増減に応じて発光色を変化させる第2色のチップカバーからなる発光ダイオードと、発光ダイオードの駆動電流の大きさと発光ダイオードの発光色との相関関係を示すテーブルが予め記憶されたメモリと、テーブルに基づいて駆動電流の大きさを制御して発光ダイオードの発光色を可変とする発光制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、発光ダイオードの駆動電流はパルス電流であり、発光制御回路は、駆動電流の大きさを固定することにより発光ダイオードの発光色を一定に保った上で駆動電流のデューティを制御して発光ダイオードの所定時間当たりの発光量を可変とすることが好ましい。
【0010】
また、発光ダイオードは複数であり、発光制御回路は、発光ダイオード総数の駆動電流の大きさを固定することにより発光ダイオード総数の発光強度を一定に保った上で発光させる個数を制御することで一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とし、発光ダイオードの発光色を可変とすることが好ましい。
【0011】
また、発光ダイオードは、その温度と発光色との間に相関関係を有し、発光ダイオードの温度を測定する温度計を備え、メモリには、発光ダイオードの温度毎のテーブルが予め記憶され、発光制御回路は、発光ダイオードの温度に応じた制御をすることが好ましい。
【0012】
また、発光制御回路は、発光ダイオードが発光により所定の温度を超えた場合、発光させる発光ダイオードを切り替えることが好ましい。
【0013】
また、発光ダイオードの温度を制御する温度制御手段を備えたことが好ましい。
【0014】
また、メモリには、個々の発光ダイオード毎のテーブルが予め記憶され、発光制御回路は、各テーブルに基づいて個々の発光ダイオードを制御することが好ましい。
【0015】
本発明の撮影装置は、周囲の色温度を検出する色温度検出手段と、上記照明装置とを備え、発光制御回路は、周囲の色温度に基づいて発光ダイオードの発光色を決定すること特徴とする。
【0016】
なお、発光ダイオードによる本撮影前のプレ発光に基づいて本撮影時の適正露光量を決定する露光量決定手段を備え、露光条件を可変として適正露光量を得ることが好ましい。露光条件としては、ISO感度、シャッタスピード、絞り値などが挙げられる。
【0017】
本発明の発光方法は、駆動電流の大小により発光強度が増減する第1色の光を発するLEDチップ、及びLEDチップを被覆してその発光強度の増減に応じて発光色を変化させる第2色のチップカバーからなる発光ダイオードを備えた照明装置の発光方法であって、駆動電流の大きさと発光色との相関関係に基づいて駆動電流の大きさを制御して発光色を可変とすることを特徴とする。
【0018】
なお、発光ダイオードの駆動電流はパルス電流であり、駆動電流の大きさを固定することにより発光色を一定に保った上で駆動電流のデューティを制御して発光ダイオードの所定時間当たりの発光量を可変とすることが好ましい。
【0019】
また、発光ダイオードは複数であり、発光ダイオード総数の駆動電流の大きさを固定することにより発光ダイオード総数の発光強度を一定に保った上で発光させる個数を制御することで一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とし、発光色を可変とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の照明装置によれば、第1色の光を発するLEDチップ、及びそれを被覆してその発光強度の増減に応じて発光色を変化させる第2色のチップカバーからなる発光ダイオードと、駆動電流の大きさと発光色との相関関係を示すテーブルが予め記憶されたメモリと、そのテーブルに基づいて駆動電流の大きさを制御して発光色を可変とする発光制御回路とを備えており、容易に発光色を可変とすることができる。
【0021】
また、発光制御回路は、駆動電流の大きさを固定することにより発光ダイオードの発光色を一定に保った上で駆動電流のデューティ制御をするので、発光ダイオードの所定時間当たりの発光量を可変とすることができる。
【0022】
また、発光ダイオードは複数であり、発光制御回路は、発光ダイオード総数の駆動電流の大きさを固定した上で発光させる個数を制御することで一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とするので、発光ダイオード総数の発光強度を一定に保った上で発光ダイオード発光色を可変とすることができる。
【0023】
また、発光ダイオードの温度を測定する温度計を備え、メモリには、発光ダイオードの温度毎のテーブルが予め記憶され、発光制御回路は、発光ダイオードの温度に応じた制御をするので、温度に影響を受けることなく発光ダイオードを発光させることができる。
【0024】
また、発光制御回路は、発光ダイオードが発光により所定の温度を超えた場合、発光させる発光ダイオードを切り替えるので、発光ダイオードが過熱することはなく、温度に影響を受けることなく発光ダイオードを発光させることができる。
【0025】
また、発光ダイオードの温度を制御する温度制御手段を備えているので、発光により温度変化することなく発光ダイオードを安定した色で発光させることができる。逆に、駆動電流の大きさを一定とした上で発光ダイオードの温度を外部から制御することで、発光色を可変とすることができる。
【0026】
また、メモリには、個々の発光ダイオード毎のテーブルが予め記憶され、発光制御回路は、各テーブルに基づいて個々の発光ダイオードを制御するので、発光ダイオード個々の品質のバラツキに影響を受けることなく安定した色で発光させることができる。
【0027】
本発明の撮影装置によれば、周囲の色温度を検出する色温度検出手段と、上記照明装置とを備え、発光制御回路は、周囲の色温度に基づいて発光ダイオードの発光色を決定するので、周囲の色温度に基づいた色で発光ダイオードを発光させることで適切な色の撮影画像を得ることができる。
【0028】
なお、発光ダイオードによる本撮影前のプレ発光に基づいて本撮影時の適正露光量を決定する露光量決定手段を備え、ISO感度、シャッタスピード、絞り値などの露光条件を可変とするので、発光量に影響を受けることなく適正露光量を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明のデジタルカメラ11について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、デジタルカメラ11のカメラボディ12前面には、撮影レンズ13が組み込まれたレンズ鏡筒14、撮影に同期して発光する発光ダイオード(LED)15を保護する透明な発光窓16、及びカメラボディ12周囲の色温度を検出する色温度センサ17が設けられている。
【0030】
カメラボディ12の上面には、デジタルカメラ11の電源状態を切り替える電源スイッチ18、シャッタレリーズ操作に用いられるシャッタボタン19、及びモードの切替え時に操作されるモード切替えスイッチ20が設けられている。シャッタボタン19は、2段階の押しボタンとなっており、一定ストローク押圧(半押し)されると、自動焦点調整(AF)や自動露出調整(AE)などの各種撮影準備処理が実行される。この半押しされた状態から更に一定ストローク押圧(全押し)されると、デジタルカメラ11に撮影実行の指示を出し、撮影準備処理が施された1画面分の撮像信号が画像データに変換される。モード切替えスイッチ20は、操作されることで静止画撮影を実行する静止画撮影モードと撮影した画像を再生表示する再生モードとを切り替える。
【0031】
レンズ鏡筒14は沈胴式になっており、デジタルカメラ11が電源OFF状態にある際に、カメラボディ12の前面に設けられた鏡筒収納部21内に収納され、電源ONとともにカメラボディ12の前面から突出して、広角端で停止する。
【0032】
図2に示すように、カメラボディ12の背面には、液晶表示ディスプレー(LCD)22、及び操作部23が設けられている。LCD22には、撮影した画像や撮影待機時のいわゆるスルー画像、及び各種のメニュー画面などが表示される。操作部23は、ズーム操作ボタン24、メニューボタン25、十字キー26、及びサブボタン27から構成される。
【0033】
ズーム操作ボタン24は、撮影レンズ13を広角側若しくは望遠側に変倍する際に操作される。メニューボタン25は、LCD22にメニュー画面を表示させる際や選択内容を決定する際などに操作される。十字キー26は、メニュー画面内のカーソルを移動させる際などに操作される。サブボタン27は、種々の選択や設定の際に操作される。
【0034】
また、カメラボディ12の内側には、被写体に向けて光を照射する発光ユニット31が組み込まれており、その照射光は、発光窓16を透過して被写体に照射される。図3(A)及び図3(B)に示すように、発光ユニット31は、LED15、固定板32、ペルチェ素子33、放熱板34、及び温度センサ35から構成される。
【0035】
固定板32は、LED15をカメラボディ12内に固定する取付け部材であり、一方の面にペルチェ素子33が敷き詰められ、さらに円板形状の放熱板34が設けられている。そして放熱板34の表面には、16個のLED15が4×4の正方格子状に配置されている。各LED15は、LED制御回路81(図7参照)によって発光状態が制御される。詳しくは後述するが、発光状態には、発光するLED15の個数、発光色温度、瞬間的な光の強さを示す発光強度、所定時間当たりの光の分量を示す発光量などが挙げられる。なお、LED15の個数は、16個に限定されるものではない。
【0036】
図4に示すように、LED15は、プラス側のチップ41と、マイナス側のチップ42と、チップ(LEDチップ)41,42のpn接合部41a,42aを被覆するチップカバー43とから構成される。チップカバー43は、例えばYAG系の黄色(第2色)蛍光体からなる。なお、ここでいう黄色の蛍光体からなるチップカバー43とは、pn接合部41a,42aを黄色の蛍光体で覆うものであれば良く、透明材料からなるチップカバーの表面が黄色の蛍光体で覆われている場合を含む。
【0037】
LED15は、プラス側のチップ41とマイナス側のチップ42との間に電圧差が生じることでpn接合部41a,42aに電流が流れ、青色(第1色)の光を発する。電流の増加とともにその発光強度も増加する。その青色光は、黄色の蛍光体からなるチップカバー43を透過することで青色とは異なる色として放射される。つまり、LED15から放射される光の色は、その発光強度に応じた青色と黄色との比率の変化により可変となる。
【0038】
ところで、LED15は発光する際に発熱するが、その熱は放熱板34を介してペルチェ素子33に伝わる。ペルチェ素子33は、周知のように直流電流の投入により一方の面すなわち吸熱面の熱を他方の面に移動させることで、吸熱面側を冷却することができるものであり、放熱板34から伝わる熱を固定板32へと排出することでLED15の過熱を防止する。
【0039】
また、各LED15には、温度センサ35が設けられており、温度センサ35で測定される温度に応じて発光状態が制御されている。LED15の温度が最大許容温度に達した場合、発光するLED15は切り替わる。温度センサ35としては、周知のサーミスタなどを用いれば良い。以下説明の都合上、各LED15はそれぞれ、左上から右へ順に15a〜15d、一段下についても左から右へ順に15e〜15h、以下同様に15i〜15l,15m〜15pとも表示する。
【0040】
例えば、4個のLED15が発光する場合、先ず、図5(A)に示すようにLED15a,15d,15m,15pが発光する。発光に伴う発熱によりLED15a,15d,15m,15pの温度は図6(A)に示すように上昇する。その温度が最大許容温度に達すると、図5(B)に示すように発光するLEDは15c,15e,15l,15nに切り替わる。発光に伴う発熱によりLED15c,15e,15l,15nの温度は図6(B)に示すように上昇する。一方で発光を止めたLED15a,15d,15m,15pの温度は図6(A)に示すように下降を開始する。
【0041】
LED15c,15e,15l,15nの温度が最大許容温度に達すると、図5(C)に示すように発光するLEDは15b,15h,15i,15oに切り替わる。発光に伴う発熱によりLED15b,15h,15i,15oの温度は図6(C)に示すように上昇する。一方で発光を止めたLED15c,15e,15l,15nの温度は図6(B)に示すように下降を開始する。
【0042】
LED15b,15h,15i,15oの温度が最大許容温度に達すると、図5(D)に示すように発光するLEDは15f,15g,15j,15kに切り替わる。発光に伴う発熱によりLED15f,15g,15j,15kの温度は図6(D)に示すように上昇する。一方で発光を止めたLED15b,15h,15i,15oの温度は図6(C)に示すように下降を開始する。
【0043】
LED15f,15g,15j,15kの温度が最大許容温度に達すると、図5(A)に示すように発光するLEDは再度15a,15d,15m,15pに切り替わる。発光に伴う発熱によりLED15a,15d,15m,15pの温度は図6(A)に示すように再度上昇する。一方で発光を止めたLED15f,15g,15j,15kの温度は図6(D)に示すように下降を開始する。このように、最大許容温度に達する都度、発光するLED15は順次切り替わり、LED15の温度は最大許容温度を超えないようになっている。なお、複数のLED15が互いの温度に影響されることを防止するため、上記例のように、互いに間隔を置いたLED15を同時に発光させるように制御することが好まれる。
【0044】
図7に示すように、カメラボディ12(図1参照)内には、ズームレンズ51、絞り52、フォーカスレンズ53、及びCCDイメージセンサ54が設けられている。ズームレンズ51は、変倍用レンズモータ55の駆動によって変倍する。絞り52は、アイリスモータ56の駆動によって口径を変える。フォーカスレンズ53は、合焦用レンズモータ57の駆動によってピントを調整する。これらモータ55〜57は、CPU61に接続されたモータドライバ62を介して駆動が制御される。なお、上述した撮影レンズ13(図1参照)は、ズームレンズ51、絞り52、及びフォーカスレンズ53によって構成される。
【0045】
CCDイメージセンサ54は、撮影レンズ13により結像する被写体像を撮像する。CCDイメージセンサ54には、CPU61によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)63が接続され、このTG63から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0046】
CCDイメージセンサ54から得られる撮像信号は、CDS(相関二重サンプリング回路)64、AMP(増幅器)65に入力される。CDS64は、CCDイメージセンサ54の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR,G,Bの画像データを出力し、AMP65は、画像データを増幅する。増幅された画像データは、A/D変換器66でデジタル信号に変換される。
【0047】
画像入力コントローラ67は、データバス68を介してCPU61に接続され、CPU61の制御命令に応じてCCDイメージセンサ54、CDS64、AMP65、及びA/D変換器66を制御する。A/D変換器66から出力される画像データは、所定間隔毎に出力され、SDRAM69に一時的に格納される。SDRAM69は、作業用メモリである。
【0048】
画像信号処理回路70は、SDRAM69から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス(WB)補正、γ補正などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM69に格納する。YC変換処理回路71は、画像信号処理回路70で各種処理の施された画像データをSDRAM69から読み出して、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換する。
【0049】
VRAM62は、LCD22にスルー画像を出力するためのメモリであり、画像信号処理回路70、YC変換処理回路71を経た画像データが格納される。このVRAM72には、画像データの書込みと読出しとを並行して行えるように、2フレーム分のメモリが確保されている。VRAM72に格納された画像データは、LCDドライバ73でアナログのコンポジット信号に変換され、LCD22にスルー画像として表示される。
【0050】
圧縮伸長処理回路74は、YC変換処理回路71でYC変換された画像データに対して、所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)で画像圧縮を施す。圧縮された画像データは、メディアコントローラ75を経由して記録媒体であるメモリカード76に記録される。再生モードのときには、メモリカード76から画像データが圧縮伸長処理回路74に読み出され、圧縮伸長処理回路74で伸長処理が施された後にLCD22に記録画像が表示される。
【0051】
CPU61には、上述した電源スイッチ18、シャッタボタン19、及び操作部23の他に、EEPROM77が接続されている。EEPROM77には、各種制御用プログラムや設定情報などが記録されている。CPU61は、これらの情報をEEPROM77からSDRAM69に読み出して、各種処理を実行する。
【0052】
データバス68には、ズームレンズ51の合焦位置が適切か否かを検出するAF検出回路78と、CCDイメージセンサ54の電子シャッタのシャッタ速度、撮影感度、及び絞り52の絞り値といった露光条件が撮影に適切か否かを検出するAE検出回路79と、ホワイトバランス補正が撮影に適切か否かを検出するAWB検出回路80とが接続されている。
【0053】
各検出回路78〜80は、データバス68を介してCPU61に検出結果を逐次送信する。CPU61は、各検出回路78〜80から送信される検出結果に基づいて、ズームレンズ51、絞り52、フォーカスレンズ53、CCDイメージセンサ54などの動作を個別に制御する。
【0054】
AF検出回路78は、コントラスト検出方式によりフォーカス制御を行う。先ず、画像の合焦状態を評価するために予め設定された1つ又は複数の合焦評価領域(AFエリア)に基づいて画像成分を抽出し、コントラスト値を求める。そして、このコントラスト値に基づいて被写体までの撮影距離を算出し、フォーカスレンズ53の合焦位置を決定する。なお、静止画撮影モードでは、シャッタボタン19が半押しされると、フォーカス制御が行われる。
【0055】
AE・AWB検出回路79,80は、所定間隔毎にVRAM72に格納された画像データの輝度情報に基づいて適正な露光値、及びホワイトバランスの補正量を算出し、これらの情報をCPU61に送る。CPU61は、得られる情報に基づいて電子シャッタ、絞り52、及び画像処理の制御を連続的に行う。
【0056】
データバス68には、上記各検出回路78〜80の他、カメラボディ12周囲の色温度を検出する色温度センサ17と、LED15の温度を測定する温度センサ35と、LED15の発光状態を制御するLED制御回路81とが接続されている。各センサ17,35は、データバス68を介してCPU61に検出結果や測定結果を逐次送信する。CPU68は、各センサ17,35から送信される検出結果又は測定結果に基づいて、各種制御をする。なお、色温度センサ17には、周知のフォトセンサなどを用いれば良く、ここでは詳しい説明は省略する。
【0057】
LED制御回路81は、LED15の発光状態を制御して撮影に同期して発光させる。具体的には、複数のLED15に投入するトータルとしての駆動電流の大きさを固定した上で発光させる個数を制御することでLED15一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とする。駆動電流の大きさ[mA]と、発光色を数値的に示す発光色温度[K]との関係は、表1のテーブルに示すように、例えば1000[mA]のとき7500[K]、750[mA]のとき7000[K]、500[mA]のとき6500[K]、350[mA]のとき5900[K]、250[mA]のとき550[K]となる。ここでは、各駆動電流[mA]の間隔を100[mA]〜250[mA]としたが、例えばその間隔を10[mA]毎であったり、さらに細かくしたりしても良い。
【0058】
なお、駆動電流の大きさ[mA]と発光色温度[K]との関係は個々のLED15によって異なり、またその関係は、一つのLED15においてもその温度状態により異なる。温度状態により異なるのは、光の波長がシフトすること、駆動電流に対する電圧値[V]が変化すること、黄色蛍光体からなるチップカバー43の光の透過率が変化することなどが理由として挙げられる。EEPROM77には、個々のLED15毎であってその温度状態毎に、駆動電流の大きさ[mA]と発光色温度[K]との関係を示すテーブルが予め記憶されており、LED制御回路81は、そのテーブルに従ってLED15の発光状態を制御する。
【0059】
【表1】

【0060】
上記制御により、複数のLED15トータルとして発光強度を一定としながら、LED15の発光色を可変とすることができる。例えば、複数のLED15に投入するトータルとしての駆動電流の大きさを4000[mA]に固定することで発光強度を一定に保った上で発光させる個数を制御した場合、次のようになる。
【0061】
図8(A)に示すように16個のLED15を発光させると、LED15一つ当たりに投入される駆動電流の大きさは250(=4000/16)[mA]であり、LED15の発光色温度は5500[K]となる。また、図8(B)に示すように12個のLED15を発光させると、LED15一つ当たりに投入される駆動電流の大きさは凡そ350(≒4000/12)[mA]であり、LED15の発光色温度は5900[K]となる(表1参照)。同様に、図8(C)に示すように8個のLED15を発光させると、LED15一つ当たりに投入される駆動電流の大きさは500(=4000/8)[mA]であり、LED15の発光色温度は6500[K]となる。また、図8(D)に示すように4個のLED15を発光させると、LED15一つ当たりに投入される駆動電流の大きさは1000(=4000/4)[mA]であり、LED15の発光色温度は7500[K]となる。
【0062】
また、LED制御回路81は、上述したように、各LED15の温度を考慮して、発光させるLED15を順次切り替える制御もしている(図5(A)、図5(B)、図5(C)、及び図5(D)参照)。
【0063】
以下、本発明のデジタルカメラ11(図1及び図2参照)の作用について図面を参照しながら説明する。デジタルカメラ11により撮影される場合、先ず、電源スイッチ18が操作され、電源がONに設定される。電源がONに設定されることで、LCD22にはスルー画像が表示され、ユーザはスルー画像を見ながら構図を決定することができる。
【0064】
図9に示すように、シャッタボタン19が半押しされることで、AF,AEなどの各種撮影準備処理が実行される。撮影準備処理には、撮影時におけるLED15の発光色などを決定する露光条件決定処理が含まれる。露光条件決定処理では、先ず、温度センサ17によりカメラボディ12周囲の色温度を検出する。そして、任意条件の下でLED15をプレ発光させながら再度温度センサ17によりカメラボディ12周囲の色温度を検出する。プレ発光前及びプレ発光時におけるカメラボディ12周囲の色温度を比較して本撮影時の発光色及び露光量を決定する。
【0065】
そのままシャッタボタン19が全押しされることで、撮影準備処理で決定された条件の下LED15の発光とともに撮影が実行される。なお、露光量は、LED15の発光量のみならず、ISO感度、シャッタスピード、絞り値などによって調整される。
【0066】
なお、上記実施形態において、LED15の発光状態の制御方法として、複数のLED15に投入するトータルとしての駆動電流の大きさを固定した上で発光させる個数を制御して、LED15一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とする場合を例に説明したが、これに限定されるのではない。LED15の駆動電流がパルス電流である場合には、例えば、各LED15に投入する駆動電流の大きさを固定することにより発光強度を一定に保った上でそのデューティを制御して、LED15の時間当たりの発光量を可変としても良い。これにより、LED15の発光色を一定としながら、LED15の時間当たりの発光量を可変とすることができる。
【0067】
例えば、図10(A)に示すように一回あたりの発光スパンを0.4[s]としてその半分の0.2[s]を投入時間とすることで、常時駆動電流が投入される場合(基準発光量)の50%の発光量とすることができる。そうした上で、図10(B)に示すように発光スパンを0.4[s]と固定した上で投入時間を半分の0.1[s]とすることで、基準発光量25%の発光量とすることができる。なお、駆動電流のデューティの制御方法は、発光スパンを固定した上で駆動電流の投入時間を変化させる場合に限定されず、投入時間を固定した上で発光スパンを変化させても良い。図10(C)に示すように投入時間を0.2[s]と固定した上で発光スパンを2倍の0.8[s]とすることで、基準発光量の25%の発光量とすることもできる。なお、図10(A)、図10(B)、及び図10(C)において、面積が発光量と比例している。
【0068】
また、LED制御回路81は、LED15に投入する駆動電流の大きさに応じてそのデューティを制御することで、LED15の発光量を一定とした上でLED15の発光色を可変とするができる。具体的には、駆動電流の大きさを半分にした場合、そのデューティを2倍にすることで、発光量を一定としたまま発光色を変化させることができる。例えば、図11(A)に示すように1000[mA]の駆動電流が12.5%のデューティで投入されていたとする。ここで、図11(B)に示すように駆動電流の大きさを半分の500[mA]にするとともにそのデューティを2倍の25%にすることで、発光量を一定に保ったまま発光色を変化させることができる。さらに、図11(C)に示すように駆動電流の大きさを半分の250[mA]にするとともにそのデューティを2倍の50%にすることで、発光量を一定に保ったまま発光色を変化させることができる。なお、図11(A)、図11(B)、及び図11(C)において、面積が発光量と比例している。
【0069】
また、LED15の発光状態の制御方法として、LED15に投入する駆動電流の大きさを固定した上でLED15の温度を外部から制御して、LED15の発光色を可変としても良い。この場合、LED15の温度制御手段として冷却用のペルチェ素子33に併せて加熱用の発熱体などを設けることで実現される。
【0070】
また、上記実施形態において、互いに間隔を置いたLED15を同時に発光させる場合(図5(A)、図5(B)、図5(C)、及び図5(D)参照)を例に説明したが、これに限定されず、個々の品質のバラツキを考慮した組み合わせのLED15を同時に発光させても良い。これにより、組み合わせ毎のバラツキ量を小さくすることが可能となる。
【0071】
例えば、所定の大きさの駆動電流を投入したときに生じる各LED15の電圧値[V]のバラツキを考慮して、電圧値[V]の合計が近くなる組み合わせ毎に発光させる制御方法が挙げられる。各LED15に対して500[mA]の大きさの駆動電流を投入した場合の電圧値[V]の値は、表2に示すように、例えばLED15a,15b,15c,15eは3.5[V]、LED15d,15f,15g,15iは3.6[V]、LED15h,15j,15k,15lは3.7[V]、15m,15n,15o,15pは3.8[V]であるとする。
【0072】
【表2】

【0073】
このとき、図12(A)に示すLED15b,15f,15h,15oの組み合わせは合計電圧が14.6(=3.5+3.6+3.7+3.8)[V]である。また、図12(B)に示すLED15c,15i,15k,15pの組み合わせは合計電圧が14.6(=3.5+3.6+3.7+3.8)[V]である。同様に、図12(C)に示すLED15e,15g,15l,15mの組み合わせは合計電圧が14.6(=3.5+3.6+3.7+3.8)[V]であり、図12(D)に示すLED15a,15d,15j,15nの組み合わせは合計電圧が14.6(=3.5+3.6+3.7+3.8)[V]である。これらの組み合わせ毎にLED15順次切り替えて発光させることで、個々の品質にバラツキがある場合でも、ムラのない発光状態とすることができる。
【0074】
また、上記実施形態において、発光ユニット31は、カメラボディ12に組み込まれている場合を例に説明したが、これに限定されず、カメラボディに着脱自在に取り付けられるのでも良い。また、発光ユニット31は、デジタルカメラ11に用いられる場合に限定されず、ビデオカメラその他の光学機器に用いられても良く、さらには、照明装置単体として用いられても良い。
【0075】
また、上記実施形態において、LED15は、青色光を発するチップ41,42と黄色の蛍光体からなるチップカバー43とから構成される場合を例に説明したが、この色の組み合わせに限定されるのではなく、種々の組み合わせであって良い。例えば、青色光を発するチップと緑色や赤色の蛍光体からなるチップカバーとの組み合わせや、緑色光を発するチップと青色や赤色の蛍光体からなるチップカバーとの組み合わせなどが挙げられる。
【0076】
さらに、同一色のLEDのみを構成に含む場合に限定されず、例えば、青色光を発するチップと黄色の蛍光体からなるチップカバーとのLED、緑色光を発するチップと赤色の蛍光体からなるチップカバーとのLED、赤色光を発するチップと青色の蛍光体からなるチップカバーとのLEDなど複数種の組み合わせであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】デジタルカメラの外観斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面図である。
【図3】発光部の側面図及び正面図である。
【図4】LEDの断面図である。
【図5】発光状態を説明するLEDの正面図である。
【図6】LEDの温度の時刻歴を示す図である。
【図7】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】発光状態を説明するLEDの正面図である。
【図9】デジタルカメラの作用を説明するフローチャートである。
【図10】LEDに投入される駆動電流の時刻歴を示す図である。
【図11】LEDに投入される駆動電流の時刻歴を示す図である。
【図12】発光状態を説明するLEDの正面図である。
【符号の説明】
【0078】
11 デジタルカメラ
15 発光ダイオード(LED)
33 ペルチェ素子
35 温度センサ(温度計)
41,42 チップ(LEDチップ)
43 チップカバー
79 AE検出回路
80 AWB検出回路
81 LED制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流の大小により発光強度が増減する第1色の光を発するLEDチップ、及び前記LEDチップを被覆してその発光強度の増減に応じて発光色を変化させる第2色のチップカバーからなる発光ダイオードと、
前記発光ダイオードの駆動電流の大きさと前記発光ダイオードの発光色との相関関係を示すテーブルが予め記憶されたメモリと、
前記テーブルに基づいて駆動電流の大きさを制御して前記発光ダイオードの発光色を可変とする発光制御回路と、
を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光ダイオードの駆動電流はパルス電流であり、
前記発光制御回路は、駆動電流の大きさを固定することにより前記発光ダイオードの発光色を一定に保った上で駆動電流のデューティを制御して前記発光ダイオードの所定時間当たりの発光量を可変とすることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードは複数である請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光制御回路は、前記発光ダイオード総数の駆動電流の大きさを固定することにより前記発光ダイオード総数の発光強度を一定に保った上で発光させる個数を制御することで一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とし、前記発光ダイオードの発光色を可変とすることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードは、その温度と発光色との間に相関関係を有し、
前記発光ダイオードの温度を測定する温度計を備え、
前記メモリには、前記発光ダイオードの温度毎の前記テーブルが予め記憶され、
前記発光制御回路は、前記発光ダイオードの温度に応じた制御をすることを特徴とする請求項3又は4記載の照明装置。
【請求項6】
前記発光制御回路は、前記発光ダイオードが発光により所定の温度を超えた場合、発光させる前記発光ダイオードを切り替えることを特徴とする請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光ダイオードの温度を制御する温度制御手段を備えたことを特徴とする請求項5又は6記載の照明装置。
【請求項8】
前記メモリには、個々の発光ダイオード毎の前記テーブルが予め記憶され、
前記発光制御回路は、各テーブルに基づいて個々の発光ダイオードを制御することを特徴とする請求項3乃至7何れか記載の照明装置。
【請求項9】
周囲の色温度を検出する色温度検出手段と、請求項1乃至8何れか記載の照明装置とを備え、
前記発光制御回路は、周囲の色温度に基づいて前記発光ダイオードの発光色を決定すること特徴とする撮影装置。
【請求項10】
前記発光ダイオードによる本撮影前のプレ発光に基づいて本撮影時の適正露光量を決定する露光量決定手段を備え、
露光条件を可変として適正露光量を得ることを特徴とする請求項9記載の撮影装置。
【請求項11】
前記露光条件は、ISO感度である請求項10記載の撮影装置。
【請求項12】
前記露光条件は、シャッタスピードである請求項10記載の撮影装置。
【請求項13】
前記露光条件は、絞り値である請求項10記載の撮影装置。
【請求項14】
駆動電流の大小により発光強度が増減する第1色の光を発するLEDチップ、及び前記LEDチップを被覆してその発光強度の増減に応じて発光色を変化させる第2色のチップカバーからなる発光ダイオードを備えた照明装置の発光方法において、
駆動電流の大きさと発光色との相関関係に基づいて駆動電流の大きさを制御して発光色を可変とすることを特徴とする照明装置の発光方法。
【請求項15】
前記発光ダイオードの駆動電流はパルス電流であり、
駆動電流の大きさを固定することにより発光色を一定に保った上で駆動電流のデューティを制御して前記発光ダイオードの所定時間当たりの発光量を可変とすることを特徴とする請求項14記載の照明装置の発光方法。
【請求項16】
前記発光ダイオードは複数であり、
前記発光ダイオード総数の駆動電流の大きさを固定することにより前記発光ダイオード総数の発光強度を一定に保った上で発光させる個数を制御することで一つ当たりの駆動電流の大きさを可変とし、発光色を可変とすることを特徴とする請求項14又は15記載の照明装置の発光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−235423(P2008−235423A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70268(P2007−70268)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】