説明

照明装置

【課題】発光素子に供給すべき電流が反射体にリークするのを抑制する。
【解決手段】表面および裏面を有し配線が形成された基板20と、基板20の表面側において配線と接続され、配線を介した給電によって発光する発光素子を備えた発光装置60と、内壁面33aおよび外壁面33bを有し、内壁面33aによって一端から他端に貫通する開口が形成された筒状の形状を備え、基板20の表面側において開口の一端側が発光装置60の周囲に位置するように配置され、発光装置60から出力される光に対する透過性を有する基材33と、基材33の外壁面33bに積層され、発光装置60から出力される光に対する反射性を有する反射層34とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電球や蛍光灯に代えて、発光ダイオード等の発光素子を用いた照明装置が実用化されるようになってきている。この種の照明装置では、通常、基板上に発光素子が取り付けられ、基板の発光素子の取り付け面側において発光素子の周囲を囲うように、発光素子から出射される光を反射させるための反射部材が設けられる。
【0003】
公報記載の従来技術として、基板及び反射部材を金属板で構成するとともに、リフレクタを基板に接触配置するようにしたものが存在する(特許文献1参照)。
また、他の公報記載の従来技術として、基板上の発光素子と対向する内側に傾斜部が形成された樹脂と、この傾斜部と接するように設けられたメッキ仕上げによる反射面とによって反射部材を構成し、この反射部材を基板に接触配置するようにしたものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−202612号公報
【特許文献2】特開2000−215716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発光ダイオード等の発光素子を発光させるためには、発光素子に電流を供給することが必要となる。ここで、発光素子の近傍において発光素子と金属からなる反射体とを対向配置した場合には、発光素子に供給すべき電流が反射体にリークするおそれがある。
【0006】
本発明は、発光素子に供給すべき電流が反射体にリークするのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が適用される照明装置は、配線が形成された基板と、基板の配線と接続され、配線を介した給電によって発光する発光素子と、発光素子から出力される光に対する反射性を有する反射体と、反射体よりも発光素子に近い側に配置されるとともに反射体と一体化して設けられ、発光素子から出力される光に対する透過性を有する透過部材とを含んでいる。
【0008】
このような照明装置において、透過部材が基板のうち発光素子が取り付けられる側の面に接触して配置されることを特徴とすることができる。
また、配線が基板のうち発光素子が取り付けられる表面の裏面に形成され、配線に接続されるとともに基板の表面および裏面に貫通形成される貫通導体部と、基板の表面に形成され、貫通導体部および発光素子に接続される表面電極とをさらに備えることを特徴とすることができる。
さらに、透過部材が絶縁性を有する樹脂にて構成され、反射体が導電性を有する金属にて構成されることを特徴とすることができる。
【0009】
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される照明装置は、配線が形成された基板と、基板の配線と接続され、配線を介した給電によって発光する発光素子と、内壁面および外壁面を有し、内壁面によって一端から他端に貫通する開口が形成された筒状の形状を備え、開口の一端側が発光素子の周囲に位置するように配置され、発光素子から出力される光に対する透過性を有する透過部材と、透過部材の外壁面に積層され、発光素子から出力される光に対する反射性を有する反射体とを含んでいる。
【0010】
このような照明装置において、透過部材の一端側が基板のうち発光素子が取り付けられる側の面に接触して配置されることを特徴とすることができる。
また、透過部材における一端側の厚みが他端側の厚みよりも大きいことを特徴とすることができる。
さらに、透過部材の外壁面における一端側の径が他端側の径よりも小さいことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発光素子に供給すべき電流が反射体にリークするのを抑制することができる。すなわち、本発明では、発光素子から出力される光に対する反射性を有する反射体と一体化して設けられた透過部材(光透過性を有し且つ絶縁性を有する樹脂)を、反射体よりも発光素子に近い側に配置することにより、発光素子に供給すべき電流が反射体にリークするのを抑制することができ、極めて高い信頼性の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における照明装置の構成の一例を説明するための図である。
【図2】反射部材の構成の一例を説明するための図である。
【図3】発光ユニットを構成する基板の構成の一例を説明するための図である。
【図4】発光ユニットを構成する発光装置の構成の一例を説明するための図である。
【図5】照明装置における発光ユニット(基板、発光装置)および反射部材の相対的な位置関係を説明するための拡大断面図の一例を示す図である。
【図6】照明装置における発光ユニット(基板、発光装置)および反射部材の相対的な位置関係を説明するための拡大断面図の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される照明装置10の構成の一例を説明するための図である。ここで、図1(a)は照明装置10を被照射側からみた正面図であり、図1(b)は図1(a)のIB−IB断面図である。ただし、図1(a)においては、後述する拡散レンズ部材14の記載を省略している。
【0014】
この照明装置10は、矩形状の底部および底部の各端部から正面側に向かう壁部を有することにより、正面側に向かって開口する筐体11と、この筐体11の凹部内側に配置され、正面側に向かって光を出射する発光ユニット12と、この発光ユニット12よりも正面側且つ筐体11の凹部内側に配置され、発光ユニット12から出射される光の一部を正面側に向かって反射させる反射部材13と、反射部材13よりも正面側に設けられ、発光ユニット12から出射された光を拡散させることにより均一化して外部に出射させる拡散レンズ部材14とを備えている。ここで、拡散レンズ部材14は矩形状の外形を有しており、その端部が筐体11の正面側に突出する壁部の端部にはまり込むことで、発光ユニット12および反射部材13を内側に収容するようになっている。また、反射部材13は図示しないねじ等の部材によって発光装置11に固定されており、発光ユニット12は図示しないねじ等の部材によって筐体11に固定されている。なお、筐体11内には、必要に応じて、発光ユニット12に給電を行うための電源装置を内蔵させるようにしてもかまわない。
【0015】
これらのうち、発光ユニット12は、配線が形成された基板20と、基板20の正面側(以下の説明では表面と呼ぶ)に取り付けられる複数の発光装置60とを備えている。なお、本実施の形態では、基板20の表面に、基板20の短手方向に2列且つ長手方向に5列の合計10個の発光装置60が取り付けられている。
【0016】
また、反射部材13は矩形状の外形を有しており、この反射部材13には、正面側からみて反射部材13の背後に配置される発光ユニット12の各発光装置60を露出させるための10個の円形状の開口が形成されている。
【0017】
図2は、反射部材13の構成の一例を説明するための図である。ここで、図2(a)は反射部材13を図1に示す正面側からみた正面図であり、図2(b)は図2(a)のIIB−IIB断面図であり、図2(c)は反射部材13を図1に示す発光ユニット12側からみた背面図である。
【0018】
反射部材13は、背面側から正面側に向かって拡開する形状を有する10個のリフレクタ部31と、平坦な形状を有しこれら10個のリフレクタ部31のそれぞれの正面側の端部に接続される平坦部32とを一体化した構造を有している。ここで、各リフレクタ部31は、それぞれが円形の開口形状を有しており、その背面側すなわち一端側の直径である下端部直径Dbは6mmに、また、その正面側すなわち他端側の直径である上端部直径Dtは10mmに、それぞれ設定されている。そして、各リフレクタ部31は、下端部側ほど直径の減少度合いが大きくなることにより、湾曲した断面形状を有している。
【0019】
また、反射部材13は、図1に示す発光装置60から出射される光に対して光透過性を有し且つ絶縁性を有する樹脂(以下の説明では透明樹脂と呼ぶ)で構成された透過部材の一例としての基材33と、この基材33の一方の面に積層され、図1に示す発光装置60から出射される光に対して光反射性を有する金属で構成された反射体の一例としての反射層34とを有している。そして、本実施の形態では、反射部材13が図1に示す照明装置10に取り付けられた際に、基材33が正面側に、また、反射層34が裏面側に、それぞれ向くようになっている。ここで、基材33を構成する透明樹脂としては、例えばPC(ポリカーボネート)、PMMA(メタクリル樹脂)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いることができる。そして基材33に用いる透明樹脂は、例えば1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有していることが好ましい。また、反射層34を構成する金属としては、例えばアルミニウムを用いることができる。そして、本実施の形態では、基材33の厚さが例えば1mmに、反射層34の厚さが例えば0.05mmに、それぞれ設定されている。
【0020】
このような構成を採用することにより、各リフレクタ部31では、開口の内側に基材33の内壁面33aが露出した状態で配置され、開口からより遠い側となる基材33の外壁面33bの外側に反射層34が貼り付いた状態で位置するようになっている。
【0021】
また、このような構成を採用することにより、各リフレクタ部31の下端部では、背面側に基材33の断面が露出した状態となっている。したがって、図2(c)に示すように反射部材13を背面側からみたときに、10個の円形状の開口の周囲に基材33が円形状に露出し、その外側に反射層34が位置するようになっている。そして、本実施の形態では、図1に示す照明装置10を構成した際に、反射部材13に設けられた各リフレクタ部31の下端部が、基板20の表面側と接するようになっている。
【0022】
図3は、発光ユニット12を構成する基板20の構成の一例を説明するための図である。ここで、図3(a)は基板20を図1に示す正面側すなわち発光装置60が取り付けられる表面側からみた正面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIB−IIIB断面図であり、図3(c)は基板20を裏面側からみた背面図である。
【0023】
基板20は、例えばガラス布基材エポキシ樹脂をベースとした所謂ガラエポ基板からなる基部21と、基部21の表面側に形成され、図1に示す各発光装置60が取り付けられた際に電気的に接続される複数の表面電極22と、基部21の裏面側に形成され、図示しない電源装置と電気的に接続される複数の裏面電極23と、基部21の裏面側に形成される複数の配線層24と、基部21を貫通して形成され、基部21の裏面側に形成された各配線層24と表面側に形成された表面電極22とを電気的に接続する貫通導体部の一例としての金属バンプ25とを備えている。また、基板20は、基部21の表面側において、複数の表面電極22が形成されない部位を覆うレジスト層26をさらに備えている。なお、金属バンプ25に代えて、金属スルーホールを設けるようにしてもよい。
【0024】
本実施の形態では、基板20の表面側に、それぞれ2つずつ隣り合って配置される表面電極22が、合計で10箇所に設けられている。そして、それぞれに対して図1に示す発光装置60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63(後述する図4参照)がはんだ付けされる。これにより、2つの裏面電極23を、複数の配線層24、複数の金属バンプ25、複数の表面電極22および複数の発光装置60を介して直列接続する回路が構成されるようになっている。
【0025】
図4は、本実施の形態が適用される発光装置60の構成の一例を説明するための図である。ここで、図4(a)は発光装置60の上面図を、図4(b)は図4(a)のIVB−IVB断面図を、それぞれ示している。
【0026】
この発光装置60は、上部側に凹部61aが形成された容器61と、容器61と一体化したリードフレームからなるアノード用リード部62およびカソード用リード部63と、凹部61a内に取り付けられた発光素子64と、凹部61aを覆うように設けられた封止部65とを備えている。なお、図4(a)においては、封止部65の記載を省略している。そして、この発光装置60の大きさは、図4(a)に示す横方向長さWが3.5mm、縦方向長さHが2.8mmとなっており、図4(b)に示す高さDが1.6mmとなっている。
【0027】
容器61は、アノード用リード部62およびカソード用リード部63を含む金属リード部に、白色顔料が含有された熱可塑性樹脂(以下の説明では白色樹脂と呼ぶ)を射出成型することによって形成されている。
【0028】
この容器61を構成する白色樹脂は、例えば可視光の光反射率が85%以上となるように白色顔料の含有率、粒径等を調整した樹脂材料を用いることが好ましい。そして、白色顔料としては、チタニア(酸化チタン)を微粒子化したものを用いることが好ましい。チタニアは、他の白色顔料に比べて屈折率が高く、また、光吸収率が低いので、本実施形態の容器61に好適に用いることができる。他の白色顔料、例えば酸化アルミニウム、酸化亜鉛等も使用することができる。
【0029】
また、容器61は、アノード用リード部62とカソード用リード部63との間の絶縁にも用いられる。このため、容器61は、例えば1015Ω・cm以上の体積抵抗率を有していることが好ましい。
【0030】
さらに、製造工程でハンダリフローなどの温度がかかる工程が複数あるので、容器61を構成する樹脂は、耐熱性を十分考慮した上で公知の材質を選定することが好ましい。ここで、容器61の基材となる樹脂としては、ポリアミド、液晶ポリマー等を用いることができ、例えばジェネスタ(クラレ)やアモデル(Solvay Advanced Polymers)等を好適に使用することができる。
【0031】
また、容器61に設けられる凹部61aは、円形状を有する底面70と、底面70の周縁から容器61の上部側に向けて拡開するように立ち上がる壁面80とを備えている。ここで、底面70は、凹部61aに露出するアノード用リード部62およびカソード用リード部63と、アノード用リード部62とカソード用リード部63との間の隙間に露出する容器61の白色樹脂とによって構成されている。一方、壁面80は、容器61を構成する白色樹脂によって構成されている。
【0032】
アノード用リード部62およびカソード用リード部63は、それぞれの一部が容器61内に挟まれて保持されるとともに、他の一部が容器61の外部に露出されており、発光素子64に電流を供給するための端子となっている。表面実装を前提とするときは、図4に示すように、アノード用リード部62およびカソード用リード部63をそれぞれ容器61の裏側に折り曲げて容器61の底部にその先端を配設することが望ましい。なお、本実施の形態では、容器61の裏側に配置されたアノード用リード部62およびカソード用リード部63の各先端部が、発光ユニット12を構成する際に図3に示す基板20の表面側に設けられた各表面電極22にはんだ付けされる。
【0033】
また、アノード用リード部62およびカソード用リード部63すなわちリードフレームは、0.1〜0.5mm程度の厚みをもつ金属板であり、加工性、熱伝導性に優れた金属として例えば鉄/銅合金をベースとし、その上にめっき層としてアルミ、ニッケル、チタン、金、銀などを数μm積層して構成されている。ここで、発光素子64からの光の取り出し効率を向上させるためには、可視領域において光の吸収が少ない銀を、金属板にメッキしたものを用いることが好ましい。なお、アノード用リード部62およびカソード用リード部63は、1枚の金属板を打ち抜いて作製されている。このため、アノード用リード部62およびカソード用リード部63の各面は、ほぼ同じ高さに位置している。また、アノード用リード部62およびカソード用リード部63は、両者が直接接触しないように容器61にて保持されている。
【0034】
本実施の形態において、発光素子64は、凹部61aの底面70に露出するカソード用リード部63上に、シリコン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド剤で接着され、固定されている。なお、発光素子64とカソード用リード部63とを、共晶接合や超音波接合等によって接合させるようにしてもかまわない。この発光素子64はアノード側に形成されたp型電極(図示せず)およびカソード側に形成されたn型電極(図示せず)を有しており、p型電極がアノード用リード部62に、n型電極がカソード用リード部63に、それぞれボンディングワイヤを介して接続されている。
【0035】
この発光素子64の発光層は、InGaN(窒化インジウムガリウム)を含む構成を有しており、例えば430nm以上500nm以下の波長領域に主発光ピークを有する青色光を出射するようになっている。なお、「InGaN」とは、各元素組成比が任意の相対比率を含む総称である。
【0036】
封止部65は、発光素子64が発する光を吸収してより長波長の光を発する蛍光体(以下、蛍光体粉体ともいう)65aと、蛍光体粉体65aを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂65bとを有している。この例において、蛍光体粉体65aは、発光素子64が発する青色光を吸収して緑色光を発する緑色蛍光体と、発光素子64が発する青色光を吸収して赤色光を発する赤色蛍光体とを含んでいる。
【0037】
この発光装置60においては、発光素子64が発する青色光と、蛍光体粉体65aに含まれる緑色蛍光体が発する緑色光と、同じく蛍光体粉体65aに含まれる赤色蛍光体が発する赤色光とによって、青、緑、赤の3原色が揃う。このため、封止部65の上部に形成される出射面65cからは、白色光が出射されるようになっている。
【0038】
なお、この例では、蛍光体粉体65aとして、上述した緑色蛍光体と赤色蛍光体とを組み合わせたものを用いることで白色光の出力を実現しているが、白色光の出力を実現するための蛍光体粉体65aの構成はこれに限られない。すなわち、蛍光体粉体65aとして、例えば発光素子64が発する青色光を吸収して黄色光を発光する黄色蛍光体を使用することもできる。
【0039】
一方、封止部65を構成する透明樹脂65bは、可視領域の波長において光透過率が高く、また屈折率が高い透明樹脂を用いることが好ましい。また、封止部65の表面側は平坦面、窪み面又は凸部面から選ばれる。封止部65を構成する樹脂としては、耐熱性、耐候性、及び機械的強度が高い特性を満たす樹脂であって、例えばエポキシ樹脂やシリコン樹脂を用いることができる。
【0040】
では、図1乃至図4を参照しつつ、本実施の形態における照明装置10の動作について説明する。
基板20に設けられた2つの裏面電極23の間に、各発光装置60を構成する発光素子64においてアノードからカソードに向かう方向の電流を供給することにより、各発光装置60において発光素子64が青色光を出力する。各発光装置60において、発光素子64から出力された青色光は封止部65内を進行し、直接あるいは底面70や壁面80で反射した後に出射面65cから外部に出射される。この間、封止部65内において、青色光の一部は蛍光体粉体65aによって緑色光および赤色光に変換され、変換された緑色光および赤色光は、直接あるいは底面70や壁面80で反射した後、青色光とともに出射面65cから外部に出射される。したがって、出射面65cからは、青色光、緑色光および赤色光を含む白色光が出射されることになる。
【0041】
次に、各発光装置60から出射された白色光は、直接あるいは反射部材13に設けられたリフレクタ部31で反射した後、拡散レンズ部材14に向かう。これらのうち、拡散レンズ部材14に入射した白色光は、拡散レンズ部材14にて拡散され、拡散レンズ部材14の出射面から外部の空間あるいは対象物に向けて出力される。
一方、拡散レンズ部材14に向かう光の一部は、拡散レンズ部材14の入射面で反射し、照明装置10の内側に戻ってくる。このような反射光は、反射部材13に設けられたリフレクタ部31あるいは平坦部32等で再び反射した後、拡散レンズ部材14に向かい、拡散レンズ部材14に入射した後、拡散レンズ部材14の出射面から外部に出力される。
【0042】
この間、反射部材13では、発光装置60から出射された光の一部が、直接あるいは間接的に入射し且つ反射する。このとき、反射部材13では、発光装置60からの白色光が透明な基材33の内壁面33a側より入射し、入射した白色光が基材33の外壁面33bを介して反射層34で反射した後、基材33の外壁面33bおよび内壁面33aを介して外側に出射することを繰り返すことになる。
【0043】
図5は、図1に示す照明装置10における発光ユニット12(基板20、発光装置60)および反射部材13の相対的な位置関係を説明するための拡大断面図の一例を示す図である。
【0044】
本実施の形態では、照明装置10を構成する発光ユニット12において、基板20の表面側に取り付けられる発光装置60のアノード用リード部62およびカソード用リード部63の一部が外部に露出した状態となっている。したがって、発光装置60を発光させる際には、これらアノード用リード部62およびカソード用リード部63に電流が流れる。
【0045】
また、本実施の形態では、照明装置10を構成する反射部材13において、透明樹脂からなる基材33に金属で構成された反射層34を積層形成している。金属からなる反射層34は、導電性を有している。
【0046】
ここで、反射部材13のリフレクタ部31において、基材33の内壁面33a側に反射層34を形成した場合を仮定する。この場合において、発光装置60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との最短距離は、アノード用リード部62およびカソード用リード部63と基材33の内壁面33aとの距離である第1の距離L1となる。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、反射部材13のリフレクタ部31において、基材33の外壁面33bに反射層34を形成している。したがって、発光装置60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との最短距離は、アノード用リード部62およびカソード用リード部63と基材33の外壁面33bとの距離である第2の距離L2となる。当然のことながら、第2の距離L2は、第1の距離L1よりも基材33の厚さ分だけ大きい。
【0048】
ここで、反射層34は、上述したように金属(本実施の形態ではアルミニウム)で構成されているため、導電性を有している。このため、発光装置60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34とを近づけて配置した場合、これらの間で電流のリークが生じる懸念がある。
【0049】
これに対し、本実施の形態では、絶縁性を有する基材33の外壁面33b側に反射層34を形成しているため、基材33の内壁面33a側に反射層34を形成した場合と比較して、アノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との距離を大きく確保することが可能となり、上述したリークの発生を抑制することができる。
【0050】
また、このようにリフレクタ部31の構成に工夫を施すことによってアノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との距離を大きく確保できることから、基板20に対して反射部材13に設けられたリフレクタ部31の下端部側を基板20に接触して配置したとしても、リークは発生しにくくなる。これにより、照明装置10の厚みの増加を抑制することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態では、基板20を所謂裏面配線にて構成しているため、基板20と反射部材13に設けられたリフレクタ部31の下端部側を基板20に接触配置した場合においても、アノード用リード部62およびカソード用リード部63以外の導電層と反射層34との間でのリークの発生を抑制することができる。
【0052】
さらにまた、本実施の形態では、反射部材13の平坦部32においても基材33の外壁面33bに反射層34を形成しているため、拡散レンズ部材14の入射面で反射した光を再反射させることができ、照明装置10からの光取り出し効率の向上および照明装置10から出射される光の分布むらを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、反射部材13のリフレクタ部31における基材33の厚みを一様なものとしていたが、これに限られない。
図6は、図1に示す照明装置10における発光ユニット12(基板20、発光装置60)および反射部材13の相対的な位置関係を説明するための拡大断面図の他の一例を示す図である。
【0054】
この例では、反射部材13のリフレクタ部31における基材33の厚みに関し、上端部側に比べて下端部側を大きくしている。より具体的に説明すると、リフレクタ部31における基材33の内壁面33aの断面形状は図5に示したものと同じであるが、外壁面33bの断面形状はより曲線が緩やかなものとなっている。
このような構成を採用することで、発光装置60に設けられたアノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との最短距離となる第2の距離L2を、図5に示したものよりもさらに大きくすることができる。したがって、アノード用リード部62およびカソード用リード部63と反射層34との間でのリークの発生を、さらに抑制することが可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態では、基板20上に、発光素子64を具備させた所謂パッケージ型の発光装置60を搭載する例について説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば基板20上に発光素子64を直に搭載する所謂チップオンボード(COB)であってもよい。
また、本実施の形態では、1枚の基板20上に複数の発光装置60を搭載する例について説明を行ったが、これに限られるものではなく、1枚の基板20上に1個の発光装置60を搭載する場合についても、同様に適用できる。
さらに、本実施の形態では、リフレクタ部31を構成する基材33の内壁面33aによって開口を設けていたが、これに限られるものではなく、開口が形成される部位を基材33と同じ透明樹脂によって埋めるようにしてもかまわない。
【符号の説明】
【0056】
10…照明装置、11…筐体、12…発光ユニット、13…反射部材、14…拡散レンズ部材、20…基板、21…基部、22…表面電極、23…裏面電極、24…配線層、25…金属バンプ、26…レジスト層、31…リフレクタ部、32…平坦部、33…基材、33a…内壁面、33b…外壁面、34…反射層、60…発光装置、61…容器、62…アノード用リード部、63…カソード用リード部、64…発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が形成された基板と、
前記基板の前記配線と接続され、当該配線を介した給電によって発光する発光素子と、
前記発光素子から出力される光に対する反射性を有する反射体と、
前記反射体よりも前記発光素子に近い側に配置されるとともに当該反射体と一体化して設けられ、前記発光素子から出力される光に対する透過性を有する透過部材と
を含む照明装置。
【請求項2】
前記透過部材が前記基板のうち前記発光素子が取り付けられる側の面に接触して配置されることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記配線が前記基板のうち前記発光素子が取り付けられる表面の裏面に形成され、
前記配線に接続されるとともに前記基板の前記表面および前記裏面に貫通形成される貫通導体部と、
前記基板の前記表面に形成され、前記貫通導体部および前記発光素子に接続される表面電極と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記透過部材が絶縁性を有する樹脂にて構成され、
前記反射体が導電性を有する金属にて構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
配線が形成された基板と、
前記基板の前記配線と接続され、当該配線を介した給電によって発光する発光素子と、
内壁面および外壁面を有し、当該内壁面によって一端から他端に貫通する開口が形成された筒状の形状を備え、当該開口の当該一端側が前記発光素子の周囲に位置するように配置され、当該発光素子から出力される光に対する透過性を有する透過部材と、
前記透過部材の前記外壁面に積層され、前記発光素子から出力される光に対する反射性を有する反射体と
を含む照明装置。
【請求項6】
前記透過部材の前記一端側が前記基板のうち前記発光素子が取り付けられる側の面に接触して配置されることを特徴とする請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記透過部材における前記一端側の厚みが前記他端側の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項5または6記載の照明装置。
【請求項8】
前記透過部材の前記外壁面における前記一端側の径が前記他端側の径よりも小さいことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−218847(P2010−218847A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63445(P2009−63445)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】