説明

照明装置

【課題】高輝度、大出力の平面発光単一型の光源であり、それを用いて近距離、遠距離に到達する配光性を制御できるLED照明装置を提供しようとするものである。
【解決手段】本照明装置は、金属基板と、回路基板と、前記金属基板の表面に直接接合されるベアチップ状態の複数の発光素子と、前記金属基板の表面上に密着する封止枠であると共に前記回路基板の全部又は一部と配線接続された複数の発光素子との周囲を囲む封止枠と、前記封止枠内部において、前記発光素子と接触しつつ前記発光素子を封止する封止材と、を備え、前記封止材は、蛍光剤を含むことができる透明材もしくは半透明材であると共にその上面は、平面形状を有し、前記発光素子の発する光を平面単一発光に変換して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の半導体発光素子を複数配列して光源とした平面発光モジュールおよび配光性を制御した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−124528号公報(特許文献1)に、「「以上の理由から、多数のLEDベアチップ22を高密度で実装したLED照明装置を実用化するには、従来以上に高い放熱性を実現し、ベアチップ温度を低く抑えなければならない。また、LEDベアチップ22から発する光をできる限り無駄なく照明光として使用できるように、光の利用効率を高くする必要もある。(段落番号0013)」問題点を解決するために、「「好ましい実施形態では、前記基板のうち前記LEDが実装されている基板面の一端側に給電電極が形成されており、前記基板において前記LEDが実装されている光出射領域の中心位置が前記基板の中心位置からずれている。(段落番号0025)」「好ましい実施形態では、前記基板のうち前記LEDが実装されていない基板裏面と熱的に接触し、前記基板裏面から熱を受け取る熱伝導部材(段落番号0026)」を備えている「カード型LED照明光源と電気的に接続される点灯回路とを備えている。(段落番号0022)」LED照明光源およびLED照明装置を提供する。」また「好ましい実施形態において、前記複数のLEDベアチップの少なくとも一部は、フリップチップボンディングにより、前記金属ベース基板の配線パターンに接続されている。(段落番号0045)」「カード型LED照明光源は、各々が素子基板上に発光部を有する複数のLEDベアチップが放熱基板上に設けられているカード型LED照明光源であって、前記LEDベアチップは、前記発光部と前記放熱基板との距離が前記素子基板と前記放熱基板との距離よりも小さくなるようにして前記放熱基板上に設けられ、前記LEDベアチップの前記素子基板の光出射表面は、辺縁部が中央部に比べて低背になるような傾斜面状を形成している。(段落番号0048)」という記載がある。
【0003】
特開2000−306418号公報(特許文献2)に、「マザーユニットと、このユニットに着脱自在のLEDユニットからなるLED光源装置において、前記マザーユニットは、窓を挟んで対向配置したコネクタの対を備え、前記LEDユニットは、回路基板の一方の面にLEDランプ及び前記一対のコネクタと対応する一対のコネクタを備え、前記マザーユニット側のコネクタにLEDユニット側のコネクタを装着することにより、前記LEDユニットが前記マザーユニットに電気的に接続されると同時に、LEDユニットが前記マザーユニットに保持される構成としたことを特徴とするLED光源装置。(請求項1)」という記載がある。
【0004】
特開2001−52504号公報(特許文献3)に、「従来の白熱電球と同様の口金2に設けられた基板2aに光源となる複数の発光ダイオードLEDを配列したうえ、口金2と各発光ダイオードLED間を電気的に接続した発光部1と、口金2が螺入された場合に口金2と電気的に導通される電球用ソケット3と、100ボルトの交流電源4から電圧の供給を受けて複数の発光ダイオードLEDに直流電圧を出力する電源部5とを示した電気回路図である。(段落番号0011)」、また「直管11の各ピン12が二つの蛍光灯用ソケット13に装着された状態で、電源部5に交流電源4からの100ボルト電圧が供給されると、電源部5は直流電圧を出力するため、その直流電圧は二つの蛍光灯用ソケット13及び各ピン12を介して前記各発光ダイオードLEDに印加される。これにより、各発光ダイオードLEDが発光し、周囲を照明する。このように、既設の蛍光灯用ソケット13に直管11の各ピン12を装着することで、各発光ダイオードLEDを発光させることができる。(段落番号0018)」という記載がある。
【0005】
特開2009−139483号公報(特許文献4)に、「本発明では、自動焦点調節の補助のための照明光(以下補助光)は被写体距離が大きくなった場合、被写体に対し大きく拡がることがないように設計可能である。また、被写体上に投射された補助光の配光パターンは、被写体距離が一定以上のフラウンホーファ領域では、距離が大きく変動しても常にボケない。(段落番号0019)」との効果を唱っているが、「半導体レーザの代わりに高輝度のLEDを用いることも、空間コヒーレンスが低下するため投射する回折光の配光分布の鮮鋭さは低下するが可能である。(段落番号0034)」という記載がある。
【0006】
特開2011−54320号公報(特許文献5)に、「「これら図2,図3で示すように照明装置1は、例えば映画やテレビドラマ等の屋外撮影用のロケーション用スポットライト等として好適な照明装置であり、例えばほぼ円筒状の装置本体2を有する。(段落番号0019)」である「ダブルエンド形のメタルハライドランプ6、光学手段としての反射鏡7、このメタルハライドランプ6に所要のランプ電力を給電する一対のソケット8,9、この一対のソケット8,9を支持するソケット支持装置10を具備している。(段落番号0021)」、「一対の電極を封入したガラスバルブ、このバルブの軸方向両端に配設されて一対の電極に電気的に接続された一対の口金を有する発光管と;
前記一対の口金に対してそれぞれ電気的に持続されて口金を固定する給電部を有する一対のソケットと;
これら一対のソケットをそれぞれ支持する一対のソケット支持部およびこれら一対のソケット支持部の一方を固定し、その他方を前記バルブ軸方向に平行な方向に可動可能に取り付ける支持台を有するソケット支持装置と;
前記一対のソケットの電気接触部に電気的に接続されて発光管を点灯させる点灯装置と;
これら点灯装置、一対のソケット、ソケット支持装置および発光管を収容する装置本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。(請求項1)」」という記載がある。
【0007】
特開2003−86006号公報(特許文献6)に、「「複数個のLEDと;前記LEDを点灯制御する点灯装置と;を具備し、前記LEDは前記点灯装置と略同一面内であって前記点灯装置の周囲に配置されているLED照明装置(請求項1)」であって、「前記LEDはリング状に間欠的に配列され、前記配光制御部材には前記LEDの配列方向に沿って狭角配光部と広角配光部とが交互に形成され、前記配光制御部材は前記狭角配光部が前記LEDに対向する位置と前記広角配光部が前記LEDに対向する位置とへ回動切替自在に設けられているLED照明装置。(請求項5)」」という記載がある。
【0008】
特開2011−66307号公報(特許文献7)に、「「光学素子を用いて配光制御性を確保しつつ、被照射面での光の照度むらを低減することが可能な発光装置を提供することにある。(段落番号0012)」とし、「複数個の発光素子を備えた光源部と、該光源部の少なくとも一部を内部に配置し、内面が前記光源部からの光を外部に反射する反射面を回転面とする光学素子と、を有する発光装置であって、前記光学素子の前記内部における光源部は、前記回転面の回転軸に沿って長手方向が配される多角形状の柱状体と、該柱状体を囲み、該柱状体の側面に配置された前記発光素子が発光する光の少なくとも一部を吸収して波長変換した光を発する光変換部材とを有することを特徴とする。(段落番号0013)」という発光装置の記載がある。
【0009】
【特許文献1】 特開2003−124528号公報
【特許文献2】 特開2000−306418号公報
【特許文献3】 特開2001−52504号公報
【特許文献4】 特開2009−139483号公報
【特許文献5】 特開2011−54320号公報
【特許文献6】 特開2003−86006号公報
【特許文献7】 特開2011−66307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献6は高輝度、大出力とするために、複数のLEDを用いているが、個々のLEDから発光する光分布が不均一であって明暗を生じ、配光性も制御できないという欠点がある。
【0011】
また、特許文献4は、配光性を制御しているが、カメラ等の小出力で近距離の配光性しか制御できないなどの問題がある。
特許文献7では、大出力、配光制御性を確保しつつ、被照射面での光の照度むらを低減することが可能な発光装置を提供しているが、「配線基板6の中央部に立設した多角形状の柱状体3と、柱状体3の各側面3aそれぞれ配置され各別に複数個のLEDチップ1が実装された複数枚の実装基板5と、柱状体3の長手方向に沿って柱状体3の外周を覆うように配置される円筒形状の光変換部材4とを備えている。(段落番号0042)」という複雑な構造を有し、放熱性、メンテナス、コストなどの問題がある。
【0012】
スタディアム用の投光装置等、ロケーション用スポットライト等、体育館等の大空間用の照明に用いることができる大出力、高輝度照明装置として、特許文献5などのメタルハライドランプや水銀灯がもちいられているが、複雑な構造であり、破損し易く、大電力を消費するという課題がある。
【0013】
本発明は、高輝度、大出力の平面発光単一型の光源であり、それを用いて近距離、遠距離に到達する配光性を制御できるLED照明装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明者は、鋭意研究の結果、ベアチップ状態の複数の発光素子を熱伝導性の高い金属等の基板に直接に接合、接着することにより、発光素子からの放熱を金属等の基板に及び封止枠に伝熱し、ヒートシンクや放熱フィンを介して排熱されることで、これを点光源とするレンズ系による配光性を制御することにより発明を完成し、上記課題を解決した。すなわち、
【0015】
本発明は、複数の大出力発光素子を金属基板・封止枠、等に接合する光源とレンズ系とで構成とし、ヒートシンクや放熱フィンを介して排熱されることで、発光素子を高密度に集積しても、蓄熱が抑制され、効率よく、持続的に発光することができ、また、封止材に蛍光体を分散することで蛍光体の粒子が光源となり、あたかも封止枠内が単一光源のように作用することで、平面発光単一型光源とみなし、これを点光源とするレンズ系による配光性を制御することにより、高い伝熱性と熱輸送及び平面発光の光源を配光制御するという作用機構によって、照度むらのない、近距離、遠距離の配光性を制御した、高輝度、大出力の新規なLED照明装置を実現したものである。
【0016】
本発明の照明装置は、
金属基板と、
回路基板と、
前記金属基板の表面に直接接合されるベアチップ状態の複数の発光素子と、
前記金属基板の表面上に密着する封止枠であると共に前記回路基板の全部又は一部と配線接続された複数の発光素子との周囲を囲む封止枠と、
前記封止枠内部において、前記発光素子と接触しつつ前記発光素子を封止する封止材と、
を備え、
前記封止材は、蛍光体を含むことができる透明材もしくは半透明材であると共にその上面は、平面形状を有し、
前記発光素子の発する光を平面単一発光に変換して行うものである。
【0017】
また、前記金属基板が、熱伝導率(W/m*K)が100〜10,00の範囲である金属、合金、半導体化合物、炭素のそれぞれを板状にしたものから選ばれた少なくとも一つのものを含む。とくに、前記金属基板が、真鍮、窒化アルミニウム、ガリウムナイトライド、アルミニウム、金、銀、銅、石炭、グラアァイト、ダイヤモンド、グラフィンから選ばれた少なくとも一つのものが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置は、
前記封止材の上層に積層される熱伝導性フィルムを更に備え、
前記発光素子の発する光を平面単一発光として行なうものである。
更に前記熱伝導性フィルムが、熱伝導性のある網目状のものとの複合したもの及び/又は金属蒸着したものも含まれる。
【0019】
本発明の照明装置は、
前記封止材の上部に設置されるレンズ板を更に備え、
前記発光素子の発する光を平行光、拡散および集光の少なくとも一つを行なうものである。
【0020】
本発明の照明装置は、
前記金属基板の裏面に密着、密接又は接着させるヒートシンク及び/又は放熱フィンを更に備えるものである。
【0021】
本発明の照明装置は、
前記金属基板の上面方向30〜200mmを移動させることができるレンズ系機構を更に備えていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の照明装置は、
照明装置を包み囲むフードを更に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の照明装置は、 ベアチップ状態の複数の発光素子を熱伝導性の高い金属等の基板に直接に接合、接着することにより、発光素子からの放熱を金属等の基板に及び封止枠に伝熱し、ヒートシンクや放熱フィンを介して排熱されることで、発光素子を高密度に集積することができるので、小型照明機器はもとより、スタディアム用の投光装置等、ロケーション用スポットライト等、体育館等の大空間用の大型で、大出力で、高輝度の照明装置とすることができる。
また、蓄熱が抑制され、発光素子集積部の温度上昇が抑制されるので、長時間の照明によっても照度の低下を起こさない。
【0024】
発光素子を高密度に集積することができること、封止材に蛍光体を分散することで蛍光体の粒子が光源となり、あたかも封止枠内が単一光源のように作用することにより、あたかも封止枠内が単一に平面発光した光源となり、照度ムラが殆ど生じなく、被照射体を優しく見ることができる。
また、平面発光単一型光源とみなし、これを点光源とするレンズ系による配光性を制御することにより、近距離、遠距離の照度分布を制御できるので、自動車道路や街灯などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 本発明照明器具実施形態の光源部断面図である。
【図2】 本発明照明器具実施形態の光源部上面図である。
【図3】 本発明照明器具実施形態の光源モジュール部図面である。
【図4】 本発明照明器具実施形態3における照明器具側面図である。
【図5】 光源モジュールの配光特性例である。
【図6】 本発明照明器具実施形態3の照明器具の配光特性例である。
【図7】 本発明照明器具実施形態4における照明器具側面図である。
【図8】 本発明照明器具実施形態4の照明器具の配光特性例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の照明装置に関する実施するための形態について記載する。
以下、ベアチップ状態の発光素子をLEDベアチップといい、一般に市販されている封止材で封止されている発光素子をLED素子という。
【実施の形態1】
【0027】
本発明の照明装置の光源部分を構成する概念図を図1に示す。
LEDベアチップ12と金属基板10と、回路基板16と、封止枠22と、封止材の層20から構成されている。金属基板10上に、LEDベアチップ12を複数個直接接合する。金属基板10は熱伝導率の高い材料が好ましく、例えば銅基板やアルミニューム基板を用いる。より詳しくは、熱伝導率(W/m*K)が100〜10,00の範囲である金属、合金、半導体化合物、炭素のそれぞれを板状にしたものから選ばれた少なくとも一つのものを含む。とくに、前記金属基板が、真鍮、窒化アルミニウム、ガリウムナイトライド、アルミニウム、金、銀、銅、石炭、グラアァイト、ダイヤモンド、グラフィンから選ばれた少なくとも一つのものが好ましい。
【0028】
LEDベアチップの実装は、従来は例えばシリコーン系の樹脂を用いるが、通常シリコーン系樹脂の熱伝導率は1w/m・K程度であり、排熱上の問題を有していた。
本実施例では熱伝導率の高いAu薄膜14をチップの実装面および対応する金属基板表面上に形成し、チップボンダーにより金属接合し、固定する。
金属基板10上のチップ実装領域外には、LEDベアチップ12に電圧を供給するための回路線を有する回路基板16を固定し、回路基板上の電極パッドおよびチップ上の電極パッド間をAuワイヤ線18によりワイヤボンディングを行う。
【0029】
ワイヤボンディング後チップ実装領域にシリコーン系封止樹脂に蛍光体を添加した封止材を用いて、LEDベアチップ12と接触しつつ、覆うように充填し、この後、例えば150℃程度でキュアさせて蛍光体を分散させた封止材の層20を形成する。封止材の層20はLEDベアチップ12の表面と略平行になるように形成することにより、優れた平面発光する光源を実現することができた。更に、熱伝導性フィルムを封止材の層20の上層に積層する。熱伝導性フィルムは、プラスチックフィルムに金属を蒸着したもの、あるいは熱伝導性のある網目状のものとの複合したものを用いるとことも好ましい。
さらに、封止材の層20の上部及び/又は熱伝導性フィルムの上部にレンズ板を設置すると、レンズの性質により平行光、拡散および集光させることができる。
【0030】
封止枠22は封止材の層20を形成する領域を規定するために配置する。また、封止枠22はLEDベアチップ12からの発光および蛍光体で波長変換された発光を反射させ、光の出射方向に有効に光を取り出すための機能を兼備することができる。
封止枠22と金属基板10および回路基板16との位置関係を図2に従って説明する。図2の形態では、封止枠22の一部は回路基板16と接するが、その一部は金属基板10と密着する構造とした。勿論、封止枠22の全体が金属基板10と密着するように、回路基板16を包含するように配置することも可能である。実施の形態1によれば、チップ実装面に形成したAu等の金属薄膜と、対応した金属基板10上に形成したAu等の金属薄膜との金属接合層14により、LEDベアチップからの発熱が、例えば銅製の金属基板10に有効に熱拡散され、金属基板10により放熱される。更に金属製封止枠22の少なくともその一部が金属基板10に密着していることにより、封止枠22は放熱器としても有効に機能する。
【実施の形態2】
【0031】
実施の形態2は、実施の形態1の構成に排熱部24を追加したものである。
排熱部24は金属基板10のLEDベアチップ12実装と反対の面に連結され、例えばAlに黒色アルマイト処理したものを使用した。金属基板10と排熱部24との連結は例えば真鍮の金属ネジ26を使用し、金属ネジ穴部にAg等の金属紛体を充填する事により熱伝導性を向上させた。また連結部に熱伝導性を有する熱拡散樹脂シートあるいはシリコーンオイルコンパウンド(図示せず)を使用した。更に金属基板10に取り付け金具28を連結することにより、取付け金具28も放熱性向上に寄与するため、有効であった。例えば、消費電力1Wタイプのチップを120個実装し、発光部全体に120W投入した際の金属基板10の裏面温度、排熱部24の表面温度共に70℃以下であり、実用上問題ない温度であることを確認した。
【実施の形態3】
【0032】
実施の形態3は、実施の形態2にレンズ30とレンズ30を固定するための支柱32を追加したものである。光度(カンデラcd)の測定は、横河電機社製の照度計を用い、光源から1m地点で照度(lx)を測定した。したがって、この光度は光源から1m地点で測定した照度(lx)と一致する。
レンズ30を具備しない場合、図5に示すように完全拡散面光源と同等の配光特性を示した。均一で広角の照度分布が得られる。これは平面発光していることを示している。近距離照射が必要な場合に適している。
本実施例では遠距離照射を実現するための一形態を示す。レンズ30として例えば焦点距離130mm、レンズ直径185mmのフレネルレンズを使用した場合の配光特性を図6に示す。また封止枠に囲まれた発光部領域は略50mm×50mmである。図6の横軸は光源の光軸上に対する水平角度を示す。
縦軸には水平角度に対する光度を示している。
レンズ30がない場合には図5で説明した通り、完全拡散面光源と同等な広角の照度分布となるが、レンズ30を構成することにより、図6のレンズ付きの如き照度分布を実現することができる。
【0033】
実際にこの構成で作成した照明器具を高さ8mの天井から吊り下げ、床面を照射したところ直下では100lx以上の照度を得ることができた。
図6に示した照度分布は一例であり、レンズ30の取付け高さ(光源からの高さともいう。)やレンズ直径によって、用途に応じた所望の照度分布を実現することができる。
【実施の形態4】
【0034】
実施の形態4は、実施の形態3の照明装置にフード34を取り付けたものである。この照明装置を例えば吊り下げ用取付け金具38により天井に吊り下げる。フード34は光源からの出射光の配光を制御すると共に、金属基板10に密着させる取付け金具28と一体化させることにより、高い放熱効果を得ることができた。この結果、フード34で覆う、かかる構造においても実施例2の場合と同等以下の温度分布を実現することが可能となり、コンパクトで、製品デザイン的にも好適な形態を実現することができた。
更にフード34の他の効果としてレンズ30との組合せにおいて、様々な配光特性を提供することができる。図8には、フード34とレンズ30とを組合せた場合の配光特性を示す。レンズ30としては、焦点距離130mm、レンズ直径185mmのフレネルレンズを使用した。図8において、レンズ30の取付け高さを高くするほど、出射光のビームは狭角となる。少なくともレンズ30の焦点距離高さまでは単調にビーム角が狭角となることを確認した。
【0035】
また出射光の横方向の広がりに関しては、フード34の傾斜角とレンズ30の取付け高さにより制御することができる。またレンズ30の焦点距離を変えることにより、所望のビーム角を得るための取付け高さを変えることができるため、照明設計の自由度は格別に高くなった。本願により得られる一つの効果としては、レンズ30の光源からの距離を規定する支柱32の高さを変えることにより、一枚のレンズにより容易に様々な配光特性、照度分布を実現できることにある。
【符号の説明】
【0036】
10 金属基板
12 LEDベアチップ
14 Au薄膜
16 回路基板
18 Auワイヤ線
20 封止材の層
22 封止枠
24 排熱部
26 金属ネジ
28 取付け金具
30 レンズ
32 支柱
34 フード
38 吊り下げ用取付け金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板と、
回路基板と、
前記金属基板の表面に直接接合されるベアチップ状態の複数の発光素子と、
前記金属基板の表面上に密着する封止枠であると共に前記回路基板の全部又は一部と配線接続された複数の発光素子との周囲を囲む封止枠と、
前記封止枠内部において、前記発光素子と接触しつつ前記発光素子を封止する封止材と、
を備え、
前記封止材は、蛍光体を含むことができる透明材もしくは半透明材であると共にその上面は、平面形状を有し、
前記発光素子の発する光を平面発光に変換して行う照明装置。
【請求項2】
前記金属基板が、熱伝導率(W/m*K)が100〜10,00の範囲である金属、合金、半導体化合物、炭素のそれぞれを板状にしたものから選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記金属基板が、真鍮、窒化アルミニウム、ガリウムナイトライド、アルミニウム、金、銀、銅、石炭、グラアァイト、ダイヤモンド、グラフィンから選ばれた少なくとも一つのものである請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記封止材の上層に積層される熱伝導性フィルムを更に備え、
前記発光素子の発する光を平面発光として行なう請求項1から請求項3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記熱伝導性フィルムが、熱伝導性のある網目状のものとの複合したもの及び/又は金属蒸着したものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記封止材の上部に設置されるレンズ板を更に備え、
前記発光素子の発する光を平行光、拡散および集光の少なくとも一つを行なう、請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記金属基板の裏面に密着、密接又は接着させるヒートシンク及び/又は放熱フィンを更に備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記金属基板の上面方向30〜200mmを移動させることができるレンズ系機構を更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
前請求項8の照明装置を包み囲むフードを更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26207(P2013−26207A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174361(P2011−174361)
【出願日】平成23年7月24日(2011.7.24)
【出願人】(502089671)交和電気産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】