説明

熱および化学線で硬化性の粉末スラリー、その製法およびその使用

(A)化学線で活性化可能である炭素−炭素−二重結合を有さず、分子中に統計学的平均において少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも1個のイオン形成基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを少なくとも1種含有するバインダー少なくとも1種、(B)ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート少なくとも1種、(C)イソシアネート反応性官能基を有さず、統計学的平均においてピラゾールでまたは少なくとも1種の置換されたピラゾールでブロックされたイソシアネート基少なくとも1個および化学線で活性化可能な少なくとも2個の炭素−炭素−二重結合を分子中に有するオレフィン系不飽和成分少なくとも1種を含有する、固体および/または高粘性の、貯蔵−および適用条件下に寸法安定性の粒子を含有する熱および化学線で硬化性の粉末スラリー;その製法およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の熱および化学線で硬化性の粉末スラリーに関する。更に、本発明は熱および化学線で硬化性の粉末スラリーの製法に関する。
【0002】
更に、本発明は新規熱および化学線で硬化性の粉末スラリーの、被覆材料、接着剤およびシーリングコンパウンドとしての使用に関する。
【0003】
特に本発明は、新規の熱および化学線で硬化性の粉末スラリーの、車両の塗装、車両の補修塗装、コイル塗装、コンテナ塗装を含む工業的塗装、および電子工学部品の塗装または含浸、および家具、窓、ドアおよび建築物の内部領域および外部領域の塗装の分野における、クリアコート、単層または多層の色付与および/または効果付与被覆および組合せ効果層の製造のための、クリア塗料としておよび色付与および/または効果付与被覆材料としての使用に関する。
【0004】
化学線とは、ここでは以下の電磁線、例えば近赤外線、可視光線、UV−線またはエックス線であり、特にUV−線および電子線のような粒子線であると理解される。
【0005】
熱および化学線による組合せ硬化は当業者によりデュアルキュアとも呼ばれている。従って、これ以降、記載される新規粉末スラリー、被覆材料、接着剤およびシーリングコンパウンドは、デュアルキュア粉末スラリー、デュアルキュア被覆材料、デュアルキュア接着剤およびデュアルキュアシーリングコンパウンドを意味する。
【0006】
これ以降、組合せ効果層とは色付与および/または効果付与被覆において少なくとも2つの機能を満たすコートであると理解される。この種の機能は、特に防蝕、接着促進、機械的エネルギーの吸収および色付与および/または効果付与である。特に組合せ効果層は機械的エネルギーの吸収並びに色付与および/または効果付与を同時に提供する:従って、これはプライマーサーフェイサーコートまたはストーンチップ保護プライマーコートおよびベースコートの機能を満たす。更に、組合せ効果層は防蝕作用および/または接着促進作用を有しているのが有利である(Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1988, p49,および51“Automobillacke”参照)。
【0007】
(A)化学線で活性化可能である炭素−炭素−二重結合を有さず、分子中に統計学的平均において少なくとも1つのイソシアネート反応性官能基および少なくとも1つのイオン形成基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含有するバインダー1種、
(B)ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート少なくとも1種、および
(C)イソシアネート反応性官能基を有さず、かつ分子中に統計学的平均において化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合を4より多く有する、オレフィン系不飽和成分少なくとも1種
を含有する、固体および/または高粘性の、貯蔵−および適用条件下に寸法安定性の粒子を含有する熱および化学線で硬化性の粉末スラリーはドイツ特許出願DE1015605A1から公知である。
【0008】
成分(C)としては、特にドイツ特許出願DE10041635A1から公知の、ブロックトイソシアネート基を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することができる。これは遊離イソシアネート基を含有するウレタン(メタ)アクリレート(これは例えばヨーロッパ特許出願EP0928800A1、第3頁第18〜51行および第4頁第41〜55行から公知である)を慣用の公知ブロッキング剤と反応させることにより製造可能である。遊離イソシアネート基を有するウレタン(メタ)アクリレートを製造するためには、EP0928800A1により、特に反応生成物がなおヒドロキシ基を有しているようなモル比での、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応生成物を使用することもできる。
【0009】
しかしながら、イソシアネート基を有さないか、かつ/またはブロックされたイソシアネート基を有する成分(C)を使用するのが有利である。
【0010】
公知のデュアルキュア粉末スラリーは簡単に製造可能であり、優れた適用挙動を示す。これは被覆、接着層およびシール、特に被覆、例えばクリアコート、単層または多層の色付与および/または効果付与被覆および組合せ効果層を提供し、これは非常に良好な適用特性プロフィールを示す。これは、複雑に成形された三次元的な基体上または基体中に、特に連続的な作業において、最適ではない、特に陰の領域の化学線での完全でない照射においても、非常に良好な適用特性プロフィール(特にこれは耐引掻性および耐化学薬品性に該当する)を有し、こうして化学線での硬化を装置的にも、計量および制御技術においても容易にし、かつ工程時間を短縮することができる。
【0011】
その使用のために、特に車両の大量塗装への使用のために、増大する市場の要求を満たすために、公知デュアルキュア粉末スラリーは常に発展を続けなければならない。特にその安定性は上昇しなければならず、これから製造された被覆、特にクリアコートは光沢、曇り、湿潤、均展性、表面品質、例えば小割れ、クレーター、亀裂または微細な気泡のような表面欠陥の不存在、耐候性、耐化学薬品性、凝縮水耐性、接着力、硬度、可撓性、耐引掻性およびストーンチップ安定性に関して、従来達成された利点を損失することなく、常に改善される必要がある。
【0012】
本発明の課題は、簡単に製造可能であり、かつ貯蔵安定である、新規デュアルキュア粉末スラリーを提供することである。このスラリーから製造された新規被覆、特に新規クリアコートは、従来達成された利点を損失することなく、光沢、曇り、湿潤、均展性、表面品質、例えば小割れ、クレーター、亀裂または微細な気泡のような表面欠陥の不存在、耐候性、耐化学薬品性、凝縮水耐性、接着力、硬度、可撓性、耐引掻性およびストーンチップ安定性に関して、非常に良好で、バランスのとれた特性プロフィールを有するべきである。
【0013】
こうして、
(A)化学線で活性化可能である炭素−炭素−二重結合を有さず、分子中に統計学的平均において少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも1個のイオン形成基を含有する(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有するバインダー少なくとも1種、
(B)ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート少なくとも1種、および
(C)少なくとも1種のポリイソシアネートとピラゾールおよび/または少なくとも1種の置換ピラゾールと、並びにイソシアネート反応性官能基および化学線で活性化可能な少なくとも2個の炭素−炭素−二重結合を含有する化合物少なくとも1種とを反応させることにより製造可能である、イソシアネート反応性官能基を有さず、かつ統計学的平均においてピラゾールでまたは少なくとも1種の置換されたピラゾールでブロックトされたイソシアネート基少なくとも1個および化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合少なくとも2個を分子中に有するオレフィン系不飽和成分少なくとも1種
を含有する、固体および/または高粘性の、貯蔵−および適用条件下に寸法安定性の粒子を含有する、新規の熱および化学線で硬化性の粉末スラリーが見出された。
【0014】
本発明の課題が新規デュアルキュア粉末スラリーを用いて解決することができることは、従来技術水準から意外なことであり、当業者にとって予想することのできないことであった。
【0015】
特に、新規デュアルキュア粉末スラリーが簡単に製造可能であり、かつ貯蔵安定性であったことは驚くべきことであった。これから製造された新規被覆、特に新規クリアコートは、公知デュアルキュア粉末スラリーにより達せられた利点を損失することなく、光沢、曇り、湿潤、均展性、表面品質、例えば小割れ、クレーター、亀裂または微細な気泡のような表面欠陥の不存在、耐候性、耐化学薬品性、凝縮水耐性、接着力、硬度、可撓性、耐引掻性およびストーンチップ安定性に関して、非常に良好で、バランスのとれた特性プロフィールを示した。
【0016】
特に新規デュアルキュア粉末スラリーの種々異なる適用分野への広い適用性は意外であった。こうして、このスラリーは非常に良好な適用技術的特性を有する接着層およびシールを製造するための接着剤およびシーリングコンパウンドとしても使用することができた。
【0017】
新規デュアルキュア粉末スラリーは固体および/または高粘性の、貯蔵および適用条件下に寸法安定な粒子を含有する。
【0018】
本発明の範囲において“高粘性”とは、粉末スラリーの、慣用かつ公知の貯蔵条件および適用条件下に、粒子が実質的に固体粒子のように挙動することを意味する。
【0019】
更に、粒子は寸法安定性である。本発明の範囲において、“寸法安定性”とは、慣用かつ公知の、粉末スラリーの貯蔵条件および使用条件下に、粒子が凝集せず、かつより小さな粒子に分解することもなく、剪断力の影響下にも実質的にその本来の形状を保持することを意味する。
【0020】
新規デュアルキュア粉末スラリーは、有利には有機溶剤を含有しない。このことは、本発明の範囲において、該スラリーが<10質量%、有利には<5質量%、特に有利には<1質量%の揮発性溶剤の残留含量を有することを意味する。本発明によれば、残留含量がガスクロマトグラフィー検出限界未満にある場合に殊に有利である。
【0021】
固体粒子の平均粒度は、有利に0.8〜20μm、特に有利には3〜15μmである。平均粒度とはレザー回折法により調べた50%中央値であると理解される、すなわち粒子の50%が粒径≦中央値および粒子の50%が粒径≧中央値を有すると理解される。
【0022】
このような平均粒度を有する粒子を有する新規デュアルキュア粉末スラリーは、より良好な適用挙動を示し、かつ適用した>30μmの層厚、この層厚は現在自動車産業において自動車の最終塗装において実施されている、において小割れ(Kockern)への傾向およびマッドクラッキングへの傾向は、あったとしても非常に僅かである。
【0023】
粒度の上限は、焼付けの際にこの粒子がその大きさのためにもはや完全には溶けることができず、こうしてフィルム均展性にマイナスの影響が出る場合である。しかしながら、外観に大きな要求をしない場合には、上限はもっと高くてよい。粒度30μmを越えると、高感度の適用装置のスプレーノズルおよび搬送装置の閉塞を勘案しなければならないので、上限としては30μmが有意義であると考慮される。
【0024】
有利に、粒子が、全体で平均酸価またはアミン数3〜56gKOH/g固体(0.05〜1.0meq/g固体のMEQ−酸または−アミン)、有利に28(MEQ−酸または−アミン:0.5)まで、および特に17(MEQ−酸または−アミン:0.3)までに相当するイオン形成基の含量を有する場合に、付加的な外からの乳化剤なしにも、前記の有利な粒度が得られる。
【0025】
イオン形成基が完全にまたは主に、すなわち50モル%より多く、特に70モル%より多く後記のバインダー(A)中に存在するのが有利である。
【0026】
この種の遊離基は硬化した塗料中に残留し、周囲の物質および化学薬品に対する安定性を減少させることがあるので、一般にそのような基の低い含量が所望される。他方、そのような基の含量は、所望の安定性を達成するために十分に高い必要がある。
【0027】
イオン形成基は中和剤により100%にまたは<100%に部分中和される。中和剤の量は、新規デュアルキュア粉末スラリーのMEQ−値が1meq/g固体未満、有利に0.5meq/g固体未満および特に0.3meq/g固体未満に存在するように選択される。中和剤の量が少なくともMEQ−値0.05meq/g固体に相当する場合が、有利である。
【0028】
アニオン形成基としては、酸基、例えばカルボン酸−、スルホン酸−またはホスホン酸基を挙げることができる。こうして中和剤としては塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、アンモニアまたはアミンを使用する。アルカリ金属イオンは焼付けの際に揮発性ではなく、その有機物質との非相容性により塗膜を混濁させ、光沢損失に導くことがあるので、アルカリ金属水酸化物は制限された量でのみ使用可能である。従って、アンモニアまたはアミンが有利である。アミンの場合、水溶性の第3アミンが有利である。例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはアミノメチルプロパノールアミン(AMP)を挙げることができる。
【0029】
カチオン形成性基としては第1、第2または第3アミンを考慮することができる。従って、中和剤としては、特に低分子有機酸、例えば蟻酸、酢酸または乳酸を使用する。
【0030】
デュアルキュア被覆材料、デュアルキュア接着剤またはデュアルキュアシーリングコンパウンドとしての新規デュアルキュア粉末スラリーの有利な使用のためには、酸基がイオン形成基として有利である、それというのもこれから製造した被覆、接着層、シールは一般にカチオン基を有する粒子をベースとする新規デュアルキュア粉末スラリーから製造された被覆、接着層およびシールより黄変に対して改善された耐性を有するためである。
【0031】
しかしながら、カチオンに変換可能な基、例えばアミノ基を有するカチオン性粒子は、使用分野がその典型的な副次的な特性、例えばその黄変への傾向を克服する限りにおいては、原則的に同様に使用可能である。
【0032】
新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子の第1の主要な成分は少なくとも1種の、特に1種のバインダー(A)であり、これは化学線で活性化可能である炭素−炭素−二重結合を有さない。本発明の範囲において“炭素−炭素−二重結合を有さない”とは、該当するバインダー(A)がそのような二重結合を全く有さないか、または技術上に起因する二重結合の痕跡量を有しているに過ぎないことを意味する。
【0033】
バインダー(A)は統計学的平均において、少なくとも1、有利に少なくとも2、特に有利に少なくとも3、および殊に有利に少なくとも4個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも1、有利に少なくとも2、および特に少なくとも3個のイオン形成性基を分子中に有する、少なくとも1種の、特に1種の(メタ)アクリレートコポリマー(A)を含有するか、またはこれからなる。
【0034】
好適なイソシアネート反応性基の例は、チオール−、ヒドロキシ−および第1および第2アミノ基であり、特にヒドロキシ基である。
【0035】
好適なイオン形成性基の例は前記のものである。
【0036】
有利に、(メタ)アクリレートコポリマー(A)はガラス転移温度Tg、−40〜+80℃、有利に−20〜+50℃、特に有利に0〜+30℃および殊に有利に+5〜+25℃を示す。
【0037】
(メタ)アクリレートコポリマー(A)のヒドロキシ基に関する含量は、広い範囲で変化させることができる。下方限界は、(メタ)アクリレートコポリマー(A)中に少なくとも1つのヒドロキシ基を有していなければならないという条件から生じる。ヒドロキシル価は50〜300、有利に80〜250、特に有利に100〜220、殊に有利に100〜200、更に有利には100〜180および非常に有利には100〜160mgKOH/gを示す。
【0038】
(メタ)アクリレートコポリマー(A)は有利に酸価3〜70、有利に3〜65、特に有利に5〜60、殊に有利に7〜55および非常に有利に10〜50mgKOH/gを示す。
【0039】
(メタ)アクリレートコポリマー(A)は少なくとも2種、有利に少なくとも3種および特に有利に少なくとも4種の異なるオレフィン系不飽和モノマー(a)のラジカル共重合により製造される。
【0040】
モノマー(a)の1種は、イソシアネート反応性官能基により(メタ)アクリレートコポリマー(A)中に導入されるオレフィン系不飽和モノマー(a1)である。その他のモノマー(a)の少なくとも1種は、実質的にオレフィン系不飽和モノマー(a2)であり、これはイソシアネート反応性官能基を有さない。このモノマー(a2)は反応性官能基を有さないかまたは反応性基を有していてよく、この基は他の相補性の反応性官能基、但しイソシアネート基を除く、と熱架橋反応することができる。
【0041】
好適なオレフィン系不飽和モノマー(a1)の例は、
− α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸の、ヒドロキシルアルキル基が20個以下の炭素原子を有するヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチル−、2−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキシブチル−、4−ヒドロキシブチルアクリレート、−メタクリレートまたは−エタクリレート、;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノール−またはメチルプロパンジオールモノアクリレート、−モノメタクリレート、−モノエタクリレートまたは−モノクロトネート;または環式エステルからの反応生成物、例えばε−カプロラクトンおよびそのヒドロキシアルキルエステル;
− オレフィン系不飽和アルコール、例えばアリルアルコール;
− ポリオールのアリルエーテル、例えばトリメチロールプロパンモノアリルエーテルまたはペンタエリトリットモノ−、−ジ−または−トリアリルエーテル。より高度に官能化されたモノマー(a1)は一般に副次的な量でのみ使用される。本発明の範囲においてより高度に官能化されたモノマーの副次的な量とは、(メタ)アクリレートコポリマー(A)の架橋またはゲル化に導かない量であると理解される、そうでなければ、(メタ)アクリレートコポリマー(A)は架橋したマイクロゲル粒子の形で存在するであろう;
− α,β−オレフィン系カルボン酸と、分子中に炭素原子を5〜18個有する、α−位で分枝したモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物。アクリル−またはメタクリル酸と第3α−炭素原子を有するカルボン酸のグリシジルエステルとの反応を重合反応の前、間または後に実施することができる。成分(a1)としてアクリル−またはメタクリル酸とバーサチック(Versatic)(R)−酸グリシジルエステルとの反応生成物を使用するのが有利である。このグリシジルエステルは商標Cardura(R)E10として市販されている。更に、補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 Stuttgart、 New York、 1998、 605および606頁を示す;
− アリルアミンおよびクロチルアミン;
− α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル、例えばアミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレートまたはN−メチルアミノエチルアクリレート;
− アミノアルキルエステルの、α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸のおよびα,β−不飽和カルボン酸アミドのホルムアルデヒド付加物、例えばN−メチロール−およびN,N−ジメチロール−アミノエチルアクリレート、−アミノエチルメタクリレート、−アクリルアミドおよび−メタクリルアミド;並びに
− ヒドロキシ官能性シランとエピクロロヒドリンとの反応および引き続く中間生成物とα,β−オレフィン系不飽和カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸、またはそのヒドロキシアルキルエステルとの反応により製造可能なアクリルオキシシラン基およびヒドロキシ基を含有するオレフィン系不飽和モノマー
である。
【0042】
これらのモノマー(a1)の中で、アクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、特に2−ヒドロキシエチル−、2−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキシブチル−、4−ヒドロキシブチルエステルが有利であり、従って、特に優先的に使用される。
【0043】
好適なオレフィン系不飽和モノマー(a2)の例は、
− α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸−モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステルおよびフタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、並びにビニル安息香酸(全ての異性体)およびα−メチルビニル安息香酸(全ての異性体)、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸;
− α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸、−ホスホン酸および−スルホン酸のアルキル−およびシクロアルキルエステル、例えばアルキル基中に炭素原子20個までを有する(メタ)アクリル酸−、クロトン酸−、エタクリル酸−、ビニルホスホン酸−またはビニルスルホン酸アルキルエステルまたは−シクロアルキルエステル、特にメチル−、エチル−、プロピル−、n−ブチル−、sec−ブチル−、t−ブチル−、ヘキシル−、エチルヘキシル−、ステアリル−およびラウリルアクリレート、−メタクリレート、−クロトネート、エタクリレートまたは−ビニルホスホネートまたはビニルスルホネート;脂環式の(メタ)アクリル酸−、クロトン酸−、エタクリル酸−、ビニルホスホン酸−またはビニルスルホン酸エステル、特にシクロヘキシル−、イソボルニル−、ジシクロペンタジエニル−、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−メタノール−またはt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、−クロトネート、−エタクリレート、−ビニルホスホネートまたはビニルスルホネート。これらは副次的な量のより高度に官能化された(メタ)アクリル酸−、クロトン酸−またはエタクリル酸アルキル−または−シクロアルキルエステル、例えばエチレングリコール−、プロピレングリコール−、ジエチレングリコール−、ジプロピレングリコール−、ブチレングリコール−、ペンタン−1,5−ジオール−、ヘキサン−1,6−ジオール−、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノール−またはシクロヘキサン−1,2−、−1,3−または1,4−ジオール−ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;またはペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート並びに類似のエタクリレートまたはクロトネートを含有することができる。この際、本発明の範囲においては、高度に官能化されたモノマー(a2)の副次的な量とは、(メタ)アクリレートコポリマー(A)の架橋またはゲル化に導かない量であると理解される、そうでなければ、(メタ)アクリレートコポリマー(A)は架橋したマイクロゲル粒子の形で存在するであろう;
− アルコールのアリルエーテル、例えばアリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテルまたはアリル−n−ブチルエーテル、またはポリオールのアリルエーテル、例えばエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテルまたはペンタエリトリットテトラアリルエーテル。高度に官能化されたアリルアルコールルーテル(a2)に関しては、前記の言及した内容が目的にかなっている;
− オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテ−1−エン、ペンテ−1−エン、ヘキセ−1−エン、シクロヘキセン、シクロペンテン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエン;
− α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸のアミド、例えば(メタ)アクリル酸アミド、N−メチル−、N,N−ジメチル−、N−エチル−、N,N−ジエチル−、N−プロピル−、N,N−ジプロピル−、N−ブチル−、N,N−ジブチル−および/またはN,N−シクロヘキシル−メチル(メタ)アクリル酸アミド;
− エポキシ基を有するモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および/またはイタコン酸のグリシジルエステル;
− ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、α−アルキルスチレン、特にα−メチルスチレンおよびビニルトルエン、およびジフェニルエチレンまたはスチルベン;
− ニトリル、例えばアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル;
− ビニル化合物、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、ジクロロビニリデン、ジフルオロビニリデン;N−ビニルピロリドン;ビニルエーテル、例えばエチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルおよび/またはビニルシクロヘキシルエーテル;ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルピバレート、商標名VeoVa(R)としてDeutsche Shell Chemie 社から市販されているバーサチック(R)酸のビニルエステル(補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 Stuttgart、 New York、 1998、 598頁並びに605および606頁を示す)および/または2−メチル−2−エチルヘプタン酸のビニルエステル;および
− 数平均分子量M1000〜40000、有利に2000〜20000、特に有利に2500〜10000、殊に3000〜7000で、かつエチレン性不飽和二重結合を1分子中に平均して0.5〜2.5個、有利に0.5〜1.5個有するポリシロキサンマクロモノマー、例えばDE3807571A1の第5〜7頁、DE3706095A1の第3〜7欄、EP0358153B1の第3〜6頁、US−4,754,014A1の第5〜9欄、DE4421823A1または国際特許出願WO92/22615の第12頁第18行〜第18頁第10行目に記載されるポリシロキサンマクロモノマー
である。
【0044】
一般に、モノマー(a1)および(a2)を、(メタ)アクリレートコポリマー(A)の特性プロフィールが実質的に前記の(メタ)アクリレートモノマー(a1)および(a2)から決定されるように選択する、その際他のモノマー群から由来するモノマー(a1)および/または(a2)がこの特性プロフィールを有利な方法で広範囲にかつ目的を達成できるように変化させる。この際モノマー(a)を前記ガラス転移温度Tg並びにヒドロキシル価および酸価が生じるように選択する。
【0045】
モノマー(a)の選択は、当業者には以下のフォックス(Fox)の式(これを用いてポリアクリレート樹脂のガラス転移温度を近似的に計算することができる)を用いて実施することができる:
【0046】
【化1】

Tg=(メタ)アクリレートコポリマーのガラス転移温度
Wn=n−番目のモノマーの質量部
Tgn=n−番目のモノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度
x=種々異なるモノマーの数
【0047】
方法的には、共重合は特別な特徴を有さず、ラジカル開始剤の存在下に溶液または塊状でラジカル共重合のために通常適用される方法および装置を用いて行う。
【0048】
使用可能なラジカル開始剤の例としては、以下のものが挙げられる:ジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシドまたはジクミルペルオキシド;ヒドロペルオキシド、例えばクモールヒドロペルオキシドまたはt−ブチルヒドロペルオキシド;ペルエステル、例えばt−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペル−3,5,5−トリメチル−ヘキサノエートまたはt−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート;ペルオキソジカーボネート;カリウム−、ナトリウム−またはアンモニウムペルオキソジスルフェート;アゾ開始剤、例えばアゾジニトリル、例えばアゾビスイソブチロニトリル;C−C開裂性の開始剤、例えばベンズピナコールシリルエーテル;または非酸化性開始剤と過酸化水素との組み合わせ。前記の開始剤の組合せも使用することができる。好適な開始剤のその他の例は、ドイツ特許出願DE19628142A1、第3頁第49行〜第4頁第6行に記載されている。
【0049】
こうして、モノマー(a)を、有機溶剤中でまたは塊状で前記ラジカル開始剤を用いて反応温度で、有利にはその都度使用したモノマー(a)の最も低い分解温度未満の反応温度で共重合する。
【0050】
有機溶剤の例は、“Paints、 Coatings and Solvents”、 Dieter Stoye und Werner Freitag(編集者)、 Wiley-VCH、第2版 1998、327〜349頁、に記載されている。
【0051】
モノマーの供給より僅かに前、一般に約1〜15分前に、開始剤供給で開始するのが有利である。更に、開始剤の供給をモノマーの供給と同じ時点で開始し、モノマーの供給が終了した約30分後に終了する方法が有利である。開始剤を時間単位あたり一定の量で供給するのが有利である。開始剤供給の終了後、反応混合物を使用した全モノマー(a)が実質的に完全に変換するまで(一般に1〜6時間)重合温度に保持する。“実質的に完全に変換する”とは使用したモノマーの有利に100質量%が変換していることを意味するが、反応混合物の質量に対して最高で約0.5質量%までの僅かな残留モノマー含量が変換せずに残留していることも可能である。
【0052】
共重合のための反応器としては、慣用で、公知の撹拌槽、撹拌槽カスケード、管型反応器、ループ型反応器またはテイラー反応器を挙げることができるが、これらは例えば特許明細書DE1071241B1、特許出願EP0498583A1またはDE19828742A1中に、またはK. Kataokaの論文、刊行物、Chemical Engineering Science、 第50巻、 第9号、1995、 1409〜1416頁に記載されている。
【0053】
分子量分布に関しては、(メタ)アクリレートコポリマー(A)は全く制限されない。しかしながら、分子量分布Mw/Mnが、ポリスチレンを標準として使用してゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、≦4、有利に≦2、および特に≦1.5並びに個々の場合には≦1.3となるように実施するのが有利である。
【0054】
新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子の前記バインダー(A)に関する含量は、個々の場合の必要性により広く変化させることができる。ここではバインダー(A)の熱架橋に関する官能性、すなわちバインダー混合物(A)中に含有されるイソシアネート反応基の数が重要である。当業者にはその一般的な専門的知識により、場合により簡単な調査試験によりその含量を容易に知ることができる。新規デュアルキュア粉末スラリーの固体に対してこの含量は、10〜80、有利に15〜75、特に有利に20〜70、殊に有利には25〜65および更に有利には30〜60質量%である。
【0055】
“固体”とは、これ以降、前記の成分(A)並びに後記の成分(B)および(C)並びに場合により(D)の合計であると理解され、これは新規デュアルキュア粉末スラリーの適用および硬化の後に、該当する被覆、接着剤またはシールを形成する。
【0056】
新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子は、その他に少なくとも1種のブロックトおよび/または部分ブロックト、特に少なくとも1種のブロックトポリイソシアネート(B)を含有する。以降、部分ブロックトポリイソシアネート(B)とは、その遊離イソシアネート基が後に記載のブロッキング剤で100モル%までブロックされていないと理解される。
【0057】
ブロックトポリイソシアネート(B)としては、全てのブロックトポリイソシアネートを使用することができ、例えばドイツ特許出願DE19617086A1、DE19631269A1またはDE19914896A1、またはヨーロッパ特許出願EP0004571A1またはEP0582051A1中に、または米国特許US4444954A中に記載されている。
【0058】
三次元的なポリマー網状構造の構成部または構成要素としてそのガラス転移温度Tgを低下させる、少なくとも1種の軟質の、可撓性にするセグメントを分子中に有する、ブロックトおよび/または部分ブロックト、特にブロックトポリイソシアネート(B)を使用するのが有利である。
【0059】
軟質の、可撓性にするセグメントは二価の有機基である。
【0060】
好適な、軟質の可撓性にする、二価の有機基の例は、置換または非置換,有利には非置換、直鎖または分枝鎖、有利には直鎖の、炭素原子4〜30、有利に5〜20および特に6個を有するアルカンジイル基であり、これは炭素鎖の中に環式基を有していてよい。
【0061】
好適な直鎖アルカンジイル基の例は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ウンデカン−1,11−ジイル、ドデカン−1,12−ジイル、トリデカン−1,13−ジイル、テトラデカン−1,14−ジイル、ペンタデカン−1,15−ジイル、ヘキサデカン−1,16−ジイル、ヘプタデカン−1,17−ジイル、オクタデカン−1,18−ジイル、ノナデカン−1,19−ジイル、エイコサン−1,20−ジイルであり、有利にはテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイルであり、特に有利にはヘキサメチレンである。
【0062】
炭素鎖中に環式基を有する、好適なアルカンジイル基の例は2−ヘプチル−1−ペンチル−シクロヘキサン−3,4−ビス(ノニ−9−イル)、シクロヘキサン−1,2−、−1,4−または−1,3−ビス(メチル)、シクロヘキサン−1,2−、1,4−または−1,3−ビス(エチ−2−イル)、シクロヘキサン−1,3−ビス(プロピ−3−イル)またはシクロヘキサン−1,2−、1,4−または1,3−ビス(ブチ−4−イル)である。
【0063】
好適な二価の有機基のその他の例は、式−(−CO−(CHR−CH−O−)−の繰り返しポリエステル部分を有する二価のポリエステル基からである。この際、記号mは有利に4〜6を表し、置換基R=水素、アルキル−、シクロアルキル−またはアルコキシ−基である。いずれの置換基も炭素原子を12個より多く有さない。
【0064】
好適な二価の有機基のその他の例は二価の直鎖ポリエーテル基であり、これは有利に数平均分子量400〜5000であり、特に400〜3000である。好適なポリエーテル基は一般式−(−O−(CHR−)O−を有し、この際置換基R=水素または場合により置換されていてよい低級アルキル基であり、記号o=2〜6、有利に3〜4であり、記号p=2〜100、有利に5〜50である。特に好適な例としてはポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコールおよびポリ(オキシブチレン)グリコールから誘導された、直鎖または分枝鎖ポリエーテル基を挙げることができる。
【0065】
更に、例えばシリコーンゴム中に存在するような直鎖の二価のシロキサン基、水素化ポリブタジエン−またはポリイソプレン基、ランダムまたは交互ブタジエン−イソプレン−コポリマー基またはブテジエン−イソプレン−グラフトコポリマー基、これらは更にスチレンを組み込み重合していてよい、並びにエチレン−プロピレン−ジエン基を挙げることができる。
【0066】
置換基としては実質的に不活性である、すなわち新規デュアルキュア粉末スラリーの成分と反応しない全ての有機官能基を挙げることができる。
【0067】
好適な不活性な有機基の例はアルキル基、特にメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基またはアルコキシ基である。
【0068】
前記の二価の有機基の中でも、炭素鎖中に環式基を有さないアルカンジイル基が有利であり、従って優先的に使用される。
【0069】
ブロックトまたは部分ブロックトポリイソシアネート(B)中に、前記の軟質の、可撓性にする二価の有機基の1種類のみが存在してよい。しかしながら少なくとも2種の異なる二価の有機基を使用することもできる。
【0070】
ブロックトまたは部分ブロックトポリイソシアネート(B)を製造するために好適である好適なポリイソシアネートの例は、非環式脂肪族ジイソシアネートであり、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、または炭素鎖中に環式基を有する非環式脂肪族ジイソシアネート、例えばダイマー脂肪酸から誘導されたジイソシアネート、例えばこれは商標名DDI1410としてHenkel社から市販されており、特許明細書WO97/49745およびWO97/49747中に記載されている、特に2−ヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアナトノニル)−1−ペンチル−シクロヘキサンまたは1,2−、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは1,2−、1,4−または1,3−ビス(2−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−イソシアナトプロピ−1−イル)シクロヘキサンまたは1,2−、1,4−または1,3−ビス(4−イソシアナトブチ−1−イル)シクロヘキサンである。本発明の範囲においては、後者のものはその環式基にもかかわらず、その両方のアルキル基にのみ結合するイソシアネート基のために、非環式脂肪族ジイソシアネート基に数えられる。
【0071】
これらの非環式脂肪族ジイソシアネートの中でも、その炭素鎖中に環式基を有さないものが特に有利である。この中でもヘキサメチレンジイソシアネートが非常に有利であり、従って特に優先的に使用される。
【0072】
ブロックトポリイソシアネート(B)を製造するために好適である好適なポリイソシアネートのその他の例は、前記ジイソシアネートの、特にヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマーであり、これはイソシアヌレート−、尿素−、ウレタン−、ビウレット−、ウレトジオン−、イミノオキサジアジンジオン、カルボジイミド−および/またはアロファネート基を含有する。好適な製法の例は、特許出願および特許明細書CA2163591A、US4419513A、US4454317A、EP0646608A、US4801657A、EP0183976A1、DE4015155A1、EP0303150A1、EP0496208A1、EP0524500A1、EP0566037A1、US5258482A1、US5290902A1、EP0649806A1、DE4229183A1、DE10005228A1またはEP0531820A1から公知である。
【0073】
更に、ドイツ特許出願DE19828935A1中に記載されているような高粘性のポリイソシアネート、またはヨーロッパ特許出願EP0922720A1、EP1013690A1およびEP1029879A1に記載されている尿素形成および/またはブロック形成により表面を不活性化したポリイソシアネート粒子を挙げることができる。
【0074】
更に、ドイツ特許出願DE19609617A1中に記載されている、ジオキサン、ジオキソランおよびオキサゾリジンを含有するイソシアネート反応性官能基を有し、更に遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネートの付加生成物もポリイソシアネートとして挙げることができる。
【0075】
ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート(B)を製造するために好適なブロッキング剤の例は、米国特許明細書US4444954AまたはUS5972189Aから公知であるブロッキング剤であり、例えば
i)フェノール類、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、この酸のエステルまたは2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;
ii)ラクタム類、例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムまたはβ−プロピオラクタム;
iii)アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール、2−(−ヒドロキシエトキシ)フェノール、2−(ヒドロキシプロポキシ)フェノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−シクロヘキシルジメタノールまたはアセトシアンヒドリン;
iv)メルカプタン類、例えばブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノールまたはエチルチオフェノール;
v)酸アミド類、例えばアセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミドまたはベンズアミド;
vi)イミド類、例えばスクシンイミド、フタルイミドまたはマレイミド;
vii)アミン類、例えばジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンまたはブチルフェニルアミン;
viii)イミダゾール類、例えばイミダゾールまたは2−エチルイミダゾール;
ix)尿素類、例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素または1,3−ジフェニル尿素;
x)カルバメート類、例えばN−フェニルカルバミド酸フェニルエステルまたは2−オキサゾリドン;
xi)イミン類、例えばエチレンイミン;
xii)オキシム類、例えばアセトンオキシム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジイソブチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムまたはクロロヘキサノンオキシム;
xiii)亜硫酸の塩、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム;
xiv)ヒドロキサム酸エステル、例えばベンジルメタクリロヒドロキサメート(BMH)またはアリルメタクリロヒドオキサメート;または
xv)置換したピラゾール、ケトオキシム、イミダゾールまたはトリアゾール;並びに
xvi)これらのブロッキング剤の混合物、特にジメチルピラゾールおよびトリアゾール、ジメチルピラゾールおよびスクシンイミドまたはブチルジグリコールおよびトリメチロールプロパン
である。
【0076】
新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子のブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート(B)の含量は、広い範囲で変化させることができ、特にバインダー混合物(A)の熱硬化に関する官能度、すなわちここに含有されるイソシアネート反応性官能基の数により決まる。従って、個々の場合に関しては当業者はその一般的な専門的知識により、場合により簡単な調査試験によりその最適な含量を容易に知ることができる。ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート(B)の含量は、その都度新規デュアルキュア粉末スラリーの固体に対して、10〜70、有利に10〜65、特に有利に10〜60、殊に有利には10〜50質量%であるのが有利である。
【0077】
更に、新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子は、少なくとも1種の特に、1種のオレフィン系不飽和成分(C)を含有する。
【0078】
オレフィン系不飽和成分(C)はイソシアネート反応性官能基を場合により存在する技術上に起因する痕跡量まで不含である。これは統計学的平均において少なくとも2個、有利には少なくとも3個の、化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合を分子中に有する。
【0079】
炭素−炭素−二重結合は化学線での活性化により、該当するオレフィン系不飽和基の二量体化、オリゴマー化または重合に作用する。
【0080】
好適な炭素−炭素−二重結合は、例えば(メタ)アクリロイル−、エタクリロイル−、クロトネート−、シンナメート−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはエテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニルエステル基中に存在する。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基、特にアクリロイル基が特に有利であり、従って本発明において特に優先的に使用される。
【0081】
更に、オレフィン系不飽和成分(C)は、ピラゾールおよび/または少なくとも1種の置換、特に1種の置換のピラゾール、有利にジアルキルピラゾール、より有利にジメチルピラゾールおよび特に3,5−ジメチルピラゾールでブロックされたイソシアネート基を統計学的平均において少なくとも1個、有利に少なくとも2個含有する。
【0082】
更に、この成分は統計学的平均において、分子中に前記の化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合を少なくとも2個、有利に少なくとも3個有する。
【0083】
更に、これは少なくとも1個の親水性基を有してよい。例えば好適な親水性基の例は、前記の潜在性イオン基、特にアニオン形成性酸基である。
【0084】
これは前記ポリイソシアネートの少なくとも1種、特に1種と、ピラゾールおよび/または少なくとも1種の、特に1種の置換ピラゾール、有利にはジアルキルピラゾール、より有利にはジメチルピラゾールおよび殊に3,5−ジメチルピラゾール、並びに分子中に1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも2個の、特に少なくとも3個の前記の化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合を含有する、少なくとも1種の化合物とを反応させることにより製造可能である。
【0085】
1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも2個の化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合を含有する好適な化合物の例は、前記モノマー(a1)、トリメチロールプロパン−ジ(メタ)アクリレート、グリセリン−ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリトリットペンタ(メタ)アクリレートである。
【0086】
ブロッキング剤対化合物のモル比は、生じた成分(C)が必要数のブロックトイソシアネート基およびオレフィン系不飽和炭素−炭素−二重結合を有する基を含有するように選択する。
【0087】
場合により、更に、このポリイソシアネートを、少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基、特にヒドロキシ基および少なくとも1個、特に1個の前記の親水性基、有利に酸基、特にカルボキシル基を有する化合物少なくとも1種と反応させることができる。この種の好適な化合物の例は、ヒドロキシ酢酸およびジメチロールプロピオン酸である。
【0088】
ポリイソシアネートとブロッキング剤および化合物並びに場合により親水性基を有する化合物との反応を、生じた成分(C)中に遊離イソシアネート基がもはや検出不可能であるまでの期間実施する。
【0089】
新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子のオレフィン系不飽和成分(C)に関する含量は、広い範囲で変化させることができ、個々の場合の要求により、特に新規デュアルキュア粉末スラリーから製造される本発明による被覆、接着層およびシールにおいて調節されるべき、架橋密度により決まる。有利には新規デュアルキュア粉末スラリーの固体に対して、5〜60、有利に5〜55、特に5〜50質量%の含量が有利である。
【0090】
新規デュアルキュア粉末スラリーは、更に少なくとも1種の添加物(D)を含有することができる。
【0091】
こうして、新規デュアルキュア粉末スラリーは着色および/または充填および/または染色されていてよい。
【0092】
第1の有利な実施態様においては、新規着色デュアルキュア粉末スラリーの粒子は、少なくとも1種の顔料および/または少なくとも1種の充填物質(D)を含有する;すなわち、使用した顔料および/または充填物質(D)の全量は粒子中に存在する。
【0093】
第2の有利な実施態様においては、新規着色デュアルキュア粉末スラリーは顔料不含の粒子と少なくとも1種の粉末状顔料(D)および/または少なくとも1種の粉末状充填物質(D)を含有する;すなわち全ての顔料は分離した固体相として存在する。粒度に関しては、前記内容が目的にかなっている。
【0094】
第3の有利な実施態様においては、新規着色デュアルキュア粉末スラリーは粒子を含有し、この粒子は使用した顔料および/または充填物質(D)の一部を含有し、これに対して顔料および/または充填物質(D)の他の部分は分離した固体相として存在する。この際、粒子中に存在する割合が主量であってよい、すなわち使用した顔料および/または充填物質(D)の50%より多くが粒子中に存在してよい。しかしながら、50%より少量が粒子中に存在していてもよい。粒度に関しては前記の内容がここでも目的にかなっている。
【0095】
新規着色デュアルキュア粉末スラリーのどのような変法が利点を与えるかは、特に顔料および/または充填物質(D)の性質により並びにその都度の新規着色デュアルキュア粉末スラリーを製造する方法により決まる。多くの場合、第1の有利な実施態様が特に有利であるので、この態様が優先的に実施される。
【0096】
好適な顔料(D)は色−および/または効果を付与する導電性の、磁気を遮断し、かつ/または蛍光性の顔料または金属粉末である。顔料(D)は有機または無機の性質を有する。
【0097】
適当な効果顔料の例は、金属片顔料、例えば商業的に慣用のアルミニウムブロンズ、DE3636183号A1によるクロメート化されたアルミニウムブロンズ、および商業的に慣用の特殊鋼ブロンズ並びに非金属性の効果顔料、例えば真珠光沢顔料もしくは干渉顔料、酸化鉄をベースとするローズないし赤褐色の色調を有する小片状効果顔料または液晶効果顔料である。補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 1998、 P 176、 “Effektpigmente”およびp 380および381 “Metalloxid-Glimmer Pigmente”〜“Metallpigmente”および特許出願および特許DE3636156Al号、DE371446Al号、DE3719804Al号、DE3930601Al号、EP006831A1号、EP0264843A1号、EP0265820A1号、EP0283852A1号、EP0293746A1号、EP0417567A1号、US4828826A号またはUS5244649A号を示す。
【0098】
適当な無機の色付与する顔料(D)のための例は、白色顔料、例えば二酸化チタン、亜鉛ホワイト、硫化亜鉛またはリトポン;黒色顔料、例えばカーボンブラック、鉄−マンガンブラックまたはスピネルブラック;カラー顔料、例えば酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーンまたはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーまたはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットまたはコバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット、酸化鉄レッド、スルホセレン化カドミウム、モリブデンレッドまたはウルトラマリンレッド;酸化鉄ブラウン、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相またはクロムオレンジ;または酸化鉄イエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエローまたはバナジン酸ビスマスである。
【0099】
適当な有機の色付与する顔料(D)の例は、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料またはアニリンブラックである。
【0100】
補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 1998、 180および181頁、"Eisenblau-Pigmente"から"Eisenoxidschwarz"、 451〜453頁"Pigmente"から"Pigmentvolumenkonzentration"、 563頁"Thioindigo-Pigmente"、567頁 "Titandioxid-Pigmente"、400および467頁、"Natuerlich vorkommende Pigmente"、459頁 "Polycyclische Pigmente"、52頁、"Azomethin-Pigmente"、 "Azopigmente"および379頁、 "Metallkomplex-Pigmente"を挙げる。
【0101】
蛍光性顔料(D)のための例は(デイライト顔料)に対してビス(アゾメチン)顔料である。
【0102】
適当な電導性顔料(D)のための例は二酸化チタン/酸化スズ顔料である。
【0103】
磁気を遮断する顔料(D)のための例は酸化鉄または二酸化クロムをベースとする顔料である。
【0104】
適当な金属粉末(D)のための例は、金属および金属合金、例えばアルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズまたは真鍮からの粉末である。
【0105】
適当な有機および無機の充填物質(D)の例は白亜、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸塩、例えばタルク、雲母またはカオリン、ケイ酸、酸化物、例えば水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムまたは有機充填物質、例えばプラスチック粉末、特にポリアミドまたはポリアクリルニトリルからのプラスチック粉末である。補足的にRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 1998、 250頁以降、 "Fuellstoffe"を挙げる。
【0106】
小片状の無機の充填物質(D)、例えばタルクまたは雲母および非小片状の無機の充填物質、例えば白亜、ドロマイト、硫酸カルシウム、または硫酸バリウムの混合物を使用することが有利である。それというのもそれによって粘度および流動挙動が非常に良好に調整できるからである。
【0107】
適当な透明な充填物質(D)の例は二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムをベースとする充填物質であり、特にこれらをベースとするナノ粒子である。この透明な充填物質は着色されていない本発明による被覆材料、例えばクリア塗料中に存在してもよい。
【0108】
本発明により使用すべき着色デュアルキュア粉末スラリーの顔料および/または充填物質(D)の割合は、非常に広い範囲で変化してよく、個々の場合の要求により、特にその都度使用する顔料および/または充填物質(D)の調節すべき効果および/または遮蔽性により決められる。新規着色デュアルキュア粉末スラリーの固体含量に対して、それぞれ0.5〜80、有利に0.8〜75、特に有利に1.0〜70、特に有利に1.2〜65および特に1.3〜60質量%の含量が有利である。
【0109】
新規デュアルキュア粉末スラリーは顔料および/または充填物質(D)に加えて、またはこれに代えて分子分散された染料(D)を含有してよい。
【0110】
この際、分子分散された染料(D)は、新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子中または連続相、すなわち水性相中に存在してよい。
【0111】
しかしながらこの染料は粒子中にも連続相中にも存在してよい。この場合に粒子中に存在する割合は主要量である、すなわち使用される有機染料(D)の50%より大きい。しかしながら50%未満が粒子中に存在してもよい。有機染料(D)の相間での分配は相中の有機染料(D)の溶解度から得られる熱力学的平衡に相当する。しかしながら分配は熱力学的平衡から遠く離れていてもよい。
【0112】
新規デュアルキュア粉末スラリー中に前記の意味において溶解性である全ての有機染料(D)が適当である。退色しない有機染料がより適当である。新規デュアルキュア粉末スラリーから製造される被覆、接着層およびシールからのマイグレーションの傾向が少ないかまたは存在しない、退色しない有機染料(D)が特により適当である。マイグレーション傾向は当業者にその一般的な専門知識をもとに評価でき、かつ/または簡単な方向付けする予備的な試験を用いて、例えば色調試験の範囲において調査することができる。
【0113】
新規デュアルキュア粉末スラリー中の分子分散的に分散された有機染料(D)の含量は、極めて広範に変化してよく、かつ第一に調節されるべき色および色調並びに場合により存在する顔料および/または充填物質(D)の量より決まる。
【0114】
その物理化学的特性およびその効果により、着色、充填かつ/または染色した、および着色、充填かつ/または染色していない新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子および/または連続相中に存在していてよい添加物質(D)は、
− 付加的な架橋剤、例えばアミノプラスト樹脂、これは例えばRompp Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、 1998、 29頁、 “Aminoharze”、Johan Bielemanによる書籍"Lackadditive"、 Wiley-VCH、 Weinheim、 New York、 1998、 242頁以降、書籍"Paints、 Coatings and Solvents"、 second completely revised edition、 Edit. D. StoyeおよびW. Freitag、 Wiley-VCH、 Weinheim、 New York、1998、 80頁以降、特許文献US4710542号A1またはEP0245700号A1並びにB. Singh等による刊行物 "Carbamylmethylated Melamines、 Novel Crosslinkers for the Coatings Industry"、 in Advanced Organic Coatings Science and Technology Series、 1991、 Band 13、 193〜207頁に記載されるアミノプラスト樹脂;例えば特許文献DE19652813号A1に記載されるカルボキシル基含有の化合物または樹脂、例えば特許文献EP0299420号A1、DE2214650号B1、DE2749576号B1、US4091048号A1またはUS3781379号A1に記載されるエポキシ基含有の化合物または樹脂;ブロックトポリイソシアネート(B)とは異なるブロックトポリイソシアネートおよび/またはトリス(アルコキシカルボニルアミノ)−トリアジン、例えばこれは特許文献US4939213号A、US5084541号A、US5288865号AまたはEP0604992号Aから公知である、
− その他の放射線硬化性の、オレフィン不飽和成分(C)とは異なる成分、例えば(メタ)アクリル官能性(メタ)アクリルコポリマー、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、種々のウレタンアクリレート、アミノアクリレート、メラミンアクリレート、珪素アクリレートおよび相応するメタクリレート;
− 付加的に、本発明により使用すべき(メタ)アクリレートコポリマー(A)とは異なる慣用で公知のバインダー、例えばオリゴマーおよびポリマーの、熱硬化性で、線状および/または分枝状および/または塊状、櫛形および/またはランダムに構成されたポリ(メタ)アクリレートまたはアクリレートコポリマー、特に特許明細書DE19736535A1に記載されている;ポリエステル;これは特許明細書DE4009858A1またはDE4437535A1に記載されている、アルキド、アクリル化ポリエステル;ポリラクトン;ポリカーボネート;ポリエーテル;エポキシ樹脂−アミン付加物;(メタ)アクリレートジオール;部分的に鹸化したポリビニルエステル;ポリウレタンおよびアクリル化ポリウレタン、特に特許出願EP0521928A1、EP0522420A1、EP0522419A1、EP0730613A1またはDE4437535A1中に記載されている;またはポリ尿素;
− 塗料に典型的な添加物、例えば熱硬化性反応性希釈剤(ドイツ特許出願DE19809643A1、DE19840605A1またはDE19805421A1参照)、UV吸収剤、光保護剤、ラジカル捕捉剤、熱反応性のラジカル開始剤、光開始剤、架橋のための触媒、脱気剤、スリップ添加剤、重合禁止剤、消泡剤、乳化剤、湿潤剤、定着剤、均展剤、皮膜形成助剤、レオロジー助剤、例えばイオン性および/または非イオン性増粘剤;または難燃剤;好適な塗料添加物のその他の例は、Johan Bielemanによる教書“Lackadditive”Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998に記載されている。
【0115】
新規デュアルキュア粉末スラリーは連続相中に有利に非イオン性およびイオン性増粘剤(D)を含有する。これにより、比較的大きな固体および/または高粘性粒子の沈降への傾向に有効に対応する。
【0116】
非イオン性増粘剤(D)の例は、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリビニルアルコールである。
【0117】
いわゆる、非イオン性会合増粘剤(Assoziativ-Verdicker)(D)は同様に市場で多様の選択可能に提供される。一般に、この増粘剤は、水溶性ポリエーテルジオール、脂肪族ジイソシアネートおよび親有機性基を有するモノ官能性ヒドロキシル化化合物の反応生成物である水希釈可能なポリウレタンからなる。
【0118】
イオン性増粘剤(D)は同様に市販されている。これは通常アニオン基を有し、かつ特に部分的にまたは完全に中和されていてよい酸基を有する特別なポリアクリレート樹脂をベースとする。
【0119】
好適な増粘剤(D)の例は、Johan Bielemanによる教書“Lackadditive”Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998,p31-65、またはドイツ特許出願DE19908018A1、第12頁第44行〜第14頁第65行、DE19841842A1またはDE19835296A1から公知である。
【0120】
新規デュアルキュア粉末スラリーは前記の両方の増粘剤系(D)を含有することができる。添加すべき増粘剤の量およびイオン増粘剤対非イオン増粘剤の比は本発明によるスラリーの所望の粘度により決まり、更にこの粘度は必要とされる沈降安定性およびスプレー適用の特別な要求により決まる。従って、増粘剤の量および増粘剤系の相互の割合は簡単な考慮および場合により前実験により知ることができる。
【0121】
剪断速度1000s−1において50〜1500mPasおよび剪断速度10s−1で150〜8000mPas並びに剪断速度1s−1で180〜12000mPasの粘度範囲を調節するのが有利である。
【0122】
“擬似塑性(strukturviskos)”として公知の粘度挙動は、一方では噴霧適用の要求を、かつ他方では貯蔵および沈降安定性に関する要求も計算に入れた状態を述べている:動的な状態、例えば新規デュアルキュア粉末スラリーの塗装装置の環状導管中でのポンプ搬送における、および噴霧における状態において、新規デュアルキュア粉末スラリーは、良好な加工性を達成するために低い粘度状態を取る。これに対して、剪断応力のない場合には粘度は上昇し、被覆すべき、接着すべきおよび/またはシーリングすべき基体上に適用した後に存在するデュアルキュア粉末被覆材料、−接着剤または−シーリングコンパウンドは、垂直な面での流下(“Laeferbildung”)の傾向が低下する。同様にして、不動の状態、例えば貯蔵においては、高い粘度は固体および/または高粘性の粒子の沈降を大部分阻止するか、または貯蔵の際に非常に弱く沈降する新規デュアルキュア粉末スラリーの再分散が達せられるように導く。
【0123】
前記の添加物(D)の使用可能性に関しては、この添加物が新規デュアルキュア粉末スラリーの粒子のガラス転移温度Tgまたは膜形成最低温度(MFT)(Lexikon Lacke und Druckfarben、 Georg Thieme Verlag、Stuttgart, New York、1998、 391頁、“Mindestfilmbildetemperatur”参照)を、粒子が凝集するほど低下させないことが重要である。
【0124】
新規デュアルキュア粉末スラリーの固体含量は非常に広い範囲で変化させることができる。この含量がそれぞれ新規デュアルキュア粉末スラリーに対して10〜80、有利に12〜75、特に有利に14〜70、殊に有利に16〜65および更に有利には18〜60質量%であるのが優れている。
【0125】
前記成分からなる新規デュアルキュア粉末スラリーの製造は方法的には特別な特徴はなく、実質的に特許出願DE19540977A1、DE19518392A1、DE19617086A1、DE−A−19613547、DE19618657A1、DE19652813A1、DE19617086A1、DE−A−19814471、DE19841842A1またはDE19841408A1中に詳細に記載されているように実施する、但し本発明の範囲においては更に顔料および/または充填物質(D)を一緒に処理することができる。
【0126】
製造の第1の有利な変法は、例えば、BASF Lacke+Farben AG社のProdukt-Information“Pulverlacke”, 1990またはBASF Coatings AG社の会社文書“Pulverlacke、Pulverlacke fuer industrielle Anwendungen”, 2000年1月におけるように、均質化および分散化により、例えば押出機またはスクリューニーダーにより、および粉砕することにより製造される着色粉末塗料から出発する。この粉末塗料の製造後に、これを更に粉砕し、かつ場合により分級し、かつ篩い分けすることにより分散のために準備する。
【0127】
引き続き、粉末塗料から湿式粉砕法によりまたは乾式粉砕した粉末塗料を混入撹拌することにより、水性粉末塗料分散液を製造することができる。湿式粉砕法が特に有利である。引き続き、この新規デュアルキュア粉末スラリーをその適用前に濾過する。
【0128】
本発明において、新規デュアルキュア粉末スラリーをドイツ特許出願DE19908018A1、第15頁第37頁〜65頁またはドイツ特許出願DE19908013A1、第4欄、第22〜40行および第12欄、第38行〜第13欄、第23行に記載されている二次分散法を用いて製造することが有利である。
【0129】
デュアルキュア粉末スラリーの粒子を湿潤状態で更に機械的に粉砕することができ、このことを湿式粉砕と呼称する。この際、粉砕される材料の温度は70、有利に60および特に有利に50℃を上回らない条件を適用するのが有利である。粉砕工程の間比エネルギー供給は、10〜1000、有利に15〜750および特に20〜500Wh/gを有する。
【0130】
湿式粉砕のためには、高いまたは低い剪断場を形成する、種々の異なる装置を適用することができる。
【0131】
低い剪断場を形成する好適な装置の例は、慣用で公知の撹拌槽、スロットホモジナイザー、マイクロフリューダイザーまたはディソルバーである。
【0132】
高い剪断場を形成する好適な装置の例は、慣用で公知の撹拌ミルまたはインラインディソルバーである。
【0133】
高い剪断場を形成する装置を使用するのが特に有利である。その中でも、撹拌ミルが本発明においては特に有利であり、従って特に優先的に使用される。
【0134】
湿式粉砕法においては、新規デュアルキュア粉末スラリーを好適な装置、例えばポンプを用いて、前記の装置中に供給し、所望の粒度が達せられるまでこの中を循環させる。
【0135】
エネルギーの観点から、粉砕すべき新規デュアルキュア粉末スラリーはその中に含有される前記増粘剤(D)の1部のみ、有利に5〜90、より有利には10〜80および特に有利には20〜70質量%を含有するのが特に有利である。有利な方法のこの変法を適用する限りにおいては、増粘剤(D)の残りの量は湿式粉砕の後に添加するべきである。
【0136】
新規デュアルキュア粉末スラリーの事前の架橋またはその他の損傷を回避するために、新規デュアルキュア粉末スラリーの製造を化学線の遮断下に実施するのが有利である。
【0137】
新規デュアルキュア粉末スラリーはデュアルキュア被覆材料、−接着剤および−シーリングコンパウンドとして、またはその製造のために著しく好適である。
【0138】
新規デュアルキュア被覆材料は単層または複層の、色付与および/または効果付与する電導性の、磁気を遮断する、または蛍光性の被覆、例えばサーフェイサー塗装、ベースコート、ソリッドカラートップコートまたは組み合わせ効果層の製造のために、または単層または複層のクリアコートの製造のために極めて適当である。
【0139】
新規デュアルキュア接着剤は接着層の製造のために優れており、かつ本発明によるデュアルキュアシーリングコンパウンドはシールの製造のために優れている。
【0140】
新規デュアルキュア被覆材料を単層または複層のクリアコートの製造のためのクリア塗料として使用する場合により特に有利である。新規デュアルキュアクリアコートをウェット−イン−ウェット法による色付与および/または効果付与する複層塗装の製造のために使用し、その場合にベース塗料、特に水系ベース塗料を基体の表面上に適用し、次いで得られたベース塗料層を、それらを硬化させることなく乾燥させ、かつクリヤー塗料層で積層する。引き続き両者の層を一緒に硬化させる。
【0141】
方法上、新規デュアルキュア被覆材料、−接着剤およびシーリングコンパウンドの適用は特別な特徴を有さず、全ての慣用の適用法、例えば噴霧、ブレード塗布、塗沫、注入塗布、浸漬塗布、含浸塗布またはローラ塗布によって実施してよい。有利には、本発明によるデュアルキュア被覆材料においては、噴霧適用法、例えば圧縮空気噴霧、エアレス噴霧、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)を、場合により高温噴霧適用、例えばホットエアー高温噴霧と組み合わせて適用する。またここでは、新規デュアル粉末スラリーの事前の架橋を回避するために化学線の排除下に作業することが推奨される。
【0142】
基体としては、その表面が化学線および熱の一緒の使用によって、その上に存在するデュアルキュア層の硬化の際に損傷されない全てのものが該当する。有利には基体は、金属、プラスチック、木材、セラミック、石材、テキスタイル、繊維複合体、皮革、ガラス、ガラス繊維、ガラスウールおよび石綿、無機建材および樹脂複合建材、例えば石膏板およびセメント板または屋根瓦並びに前記の材料の複合材料からなる。
【0143】
従って、新規デュアルキュア被覆材料、−接着剤および−シーリングコンパウンドは、車両の大量塗装および車両の補修塗装の分野において適用するために好適であるだけでなく、建築物の内部領域および外部領域の、およびドア、窓および家具の塗装、接着およびシーリングのため、コイル塗装、コンテナ塗装を含む工業的塗装、電子工学部品の含浸および/または塗装のため、並びに家庭用製品、ボイラーおよびラジエータを含む白物家電品の塗装のためにも考慮される。工業的塗装の範囲においては、これは個人用または工業的に使用するための全ての部品および製品、例えば家庭電化製品、小さな金属製品、例えばナットおよびボルト、ハブキャップ、ホイールリム、パッケージングまたは電機部品、例えばモータ巻線または変圧器巻線(電気巻線製品)を塗装、接着またはシーリングするために好適である。
【0144】
電導性の基体の場合には、通常および公知のように電着塗料から製造されるプライマーを使用してよい。このためには、アノード電着塗料もカソード電着塗料も、しかしながら特にカソード電着塗料が該当する。官能化されていないおよび/または非極性のプラスチック表面の場合に、被覆の前に公知のように、例えばプラズマまたは火炎により前処理してよいか、またはハイドロプライマーを施してよい。
【0145】
また適用された本発明のデュアルキュア粉末スラリーの熱硬化は、方法上の特別な特徴を有さず、慣用かつ公知の熱的方法、例えば強制通風炉における加熱またはIR灯での照射により実施される。
【0146】
化学線による硬化のためには、照射源、例えば405nmまでの照射ウィンドウを開くために、場合により鉛でドーピングされている水銀高圧−または−低圧ランプまたは電子線源が該当する。化学線での硬化のための適当な方法および装置の更なる例は、ドイツ国特許出願DE19818735号A1の第10欄第31行〜第12欄第22行に記載されている。IST社の連続UV−装置を使用することが有利である。
【0147】
得られた被覆、特に本発明による単層または複層の、色付与および/または効果付与する塗装およびクリアコートは容易に製造でき、かつ優れた光学的特性および非常に高い耐光性、耐化学薬品性、耐水性および耐候性を有する。特にこれらは混濁および不均一性を有さない。更に、これらは硬質で、可撓性および耐引掻性である。これらはベースコートとクリアコートとの間の非常に優れた中間層接着および良好〜非常に良好な自動車大量補修塗装を示す。公知のように、自動車大量補修塗装とは、塗装の完成した自動車ボディをもう一度初期大量生産塗装(OEM)を用いて塗装する。
【0148】
この接着層は種々の基体を長期間互いに強固に結合し、かつこれらは極度の温度および/または温度変動においても高い化学的および機械的安定性を有する。
【0149】
同様にシールは基体を長期間シールし、その際、これらのシールは極度の温度および/または温度変動においても、激しい化学薬品の作用と組み合わされても高い化学的および物理的安定性を有する。
【0150】
しかしながら、新規デュアルキュア粉末スラリーおよび新規デュアルキュア−被覆材料、−接着剤および−シーリングコンパウンドの特別な利点は、これらが複雑に構成された三次元基体、例えばボディ、ラジエータまたは電気巻き線物の影領域において、最適な、特に完全な化学線による影領域の照射なくしても、それらの適用技術的特性プロフィールが影領域外の被覆、接着層およびシールに少なくとも匹敵する被覆、接着層およびシールを提供することである。それにより影領域に存在する被覆、接着層およびシールは、機械的および/または化学的な作用によってもはや容易に損傷されない。
【0151】
従って、前記に挙げた技術分野において慣用に使用される下塗りされたまたは下塗りされていない、少なくとも1種の新規被覆で被覆された、少なくとも1種の新規接着層で接着されたおよび/または少なくとも1種の新規シールでシールされている基体は、特に有利な適用技術的特性プロフィールにおいて特に長い使用期間を有し、これは該基体を経済的に特に魅力的なものにする。
【0152】

製造例1
親水性成分(C)の製造
加熱器、撹拌機、内部温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器にDesmodur(R)N3300(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート含有ポリイソシアネート;DIN EN ISO11909によるイソシアネート含量:21%;23℃でのDIN EN ISO3219/A.3による粘度:3090mPas;Bayer AG)420.4質量部、メチルエチルケトン190質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.8質量部およびジブチルジスズラウレート0.003質量部を予め装入し、かつ撹拌下に60℃に加熱した。この温度において、3,5−ジメチルピラゾール105.7質量部を45分以内で少量宛添加した。添加の終了後、ジメチロールプロピオン酸21.7質量部を60℃で供給した。イソシアネート含量4.3質量%になるまで(14時間)、生じた反応混合物を更に60℃で撹拌した。引き続き、空気(1 l/h)の導入下にペンタエリトリットトリアクリレート212.2質量部を3時間かけて配量供給した。更に、これにジブチルジスズジラウレート0.003質量部を添加した。更に、60℃で12時間後に、反応混合物のイソシアネート含量は2.5質量%であった。更に、ペンタエリトリットトリアクリレート218質量部を配量供給した。更に3時間後に、イソシアネート含量は0.1質量%であった。生じた親水性成分(C)の溶液を更にメチルエチルケトンを用いて、固体含量74.2質量%に調節した。粘度は23℃で1760mPasであった。
【0153】
製造例2
成分(C)の製造
製造例1に類似に、Desmodur(R)N3300 415.3質量部、メチルエチルケトン190質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.8質量部およびジブチルスズジラウレート0.003質量部を予め装入し、かつ撹拌下に60℃に加熱した。この温度において、45分間かけて、3,5−ジメチルピラゾール135質量部を少量宛添加した。反応混合物のイソシアネート含量が4質量%になるまで(2.5時間)60℃で撹拌した。引き続き、空気(1 l/h)の導入下にペンタエリトリットトリアクリレート209.7質量部を1時間かけて配量供給した。60℃で更に9時間後に、反応混合物のイソシアネート含量は2.4質量%であった。更に、ジブチルスズジラウレート0.003質量部および、更なるペンタエリトリットトリアクリレート244質量部を配量供給した。更に16時間後に、反応混合物のイソシアネート含量は0.8質量%であった。引き続き、3,5−ジメチルピラゾール20質量部を添加した。更に3時間後にイソシアネート含量は0.1質量%であった。生じた成分(C)の溶液は固体含量61.7質量%を示した。粘度は23℃で4330mPasであった。
【0154】
製造例3
ブロックトポリイソシアネート(B)の製造
好適な撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた実験室反応容器中にDesmodur(R)N3300 1068質量部およびメチルエチルケトン380質量部を予め装入し、ゆっくりと40℃に加熱した。引き続き、2,5−ジメチルピラゾール全部で532質量部を反応混合物の温度が80℃より高くならないように少量宛供給した。この反応混合物を、遊離イソシアネートがもはや検出できなくなるまで、80℃で保持し、引き続き冷却した。ブロックトポリイソシアネート(B)の生じた溶液は固体含量80質量%を示した。
【0155】
例1および2
新規デュアルキュア粉末スラリー1および2の製造
高速撹拌機を備える、好適なガラス製撹拌容器中に、メタクリレートコポリマー(A)の溶液(固体含量:メチルエチルケトン中57.6質量%;酸価:32.4mgKOH/g固体樹脂;ヒドロキシル価:150mgKOH/g固体樹脂;OH−当量:374g/モル;ガラス転移温度:12.7℃)173.61質量部、製造例3のブロックトポリイソシアネート(B)の溶液80.55質量部、ジメチルエタノールアミン2.85質量部および例1のためには製造例1の成分(C)62.5質量部および例2のためには製造例2の成分(C)62.5質量部を秤量添加し、相互に強力に撹拌した。生じた混合物にIrgacure(R)184(Ciba Specialty Chemicals社の市販の光開始剤)およびLucirin(R)TPO(BASF AG社の市販の光開始剤)5:1の質量比からなる光開始剤2質量部、市販のUV−吸収剤(Tinuvin(R)400)1.63質量部および市販の可逆性ラジカル捕捉剤(HALS; Tinuvin(R)123)1.63質量部を添加し、同様に十分に混合した。
【0156】
この有機相に脱イオン水を、デュアルキュア粉末スラリー1および2の所望の固体含量36〜37質量%に相当する量で、ゆっくりと撹拌下に添加する。水の添加が完全に終了した後に、生じた分散液を1μmCuno(R)−圧力フィルターを介して濾過した。引き続き、メチルエチルケトンを真空下に最高35℃で真空下に留去した。
【0157】
デュアルキュア粉末スラリー1および2に市販の均展剤(Bayer AG社のBaysilone(R)Al 3468)0.31質量部並びに市販の増粘剤(Rohm & Haas社のAcrysol (R) RM-8W)6.1質量部を添加することにより、これを完成させた。最後に、これを1μmCuno(R)−圧力フィルターを介して濾過した。
【0158】
デュアルキュア粉末スラリー1および2は固体含量36.2質量%を示し、貯蔵安定でかつ容易に適用可能であった。
【0159】
例3および4
デュアルキュア粉末スラリー1および2を用いて色付与複層塗装の製造
例3においては例1のデュアルキュア粉末スラリーを使用した。例4においては例2のデュアルキュア粉末スラリーを使用した。
【0160】
例1および2のデュアルキュア粉末スラリーを、黒色水性ベース塗料で予め塗装したスチールパネルに、重力式吹付けガンを用いて空気式に適用した。適用した層の湿潤時層厚を、硬化したクリアコートが乾燥時層厚30μmを有するように選択した。23℃で5分間のフラッシュオフ時間の後、適用した層をデュアルキュア条件下に硬化した。
【0161】
熱硬化のためにはBinder社およびHeraeus社の強制通風炉を使用した。記載した温度は、循環空気に関する。
【0162】
照射硬化はIST社の連続UV装置を用いて実施した。照射は大気下に実施した。線量は市販の線量計で硬化の直前に測定し、かつ場合によりベルトの速度を変化させることにより変えた。照射源は中圧水銀灯であった。
【0163】
デュアルキュア硬化においては次の条件を適用した:
− 乾燥:室温で10分間、60℃で5分間、150℃で15分間;UV−硬化:線量1.5J/cm;熱硬化:150℃で15分間。
【0164】
次の表は実施したテストおよびその際に得られた結果に関する一覧を示している。この表は例3および4の新規クリアコートが非常に良好でかつバランスの良いプロフィールを示すという事実を明らかにしている。
【0165】
【表1】

【0166】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)化学線で活性化可能である炭素−炭素−二重結合を有さず、分子中に統計学的平均において少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基および少なくとも1個のイオン形成基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを少なくとも1種含有するバインダー少なくとも1種、
(B)ブロックトおよび/または部分ブロックトポリイソシアネート少なくとも1種、
(C)ポリイソシアネート少なくとも1種とピラゾールおよび/または少なくとも1種の置換ピラゾールと、並びにイソシアネート反応性官能基および化学線で活性化可能な少なくとも2個の炭素−炭素−二重結合を含有する化合物少なくとも1種とを反応させることにより製造可能である、イソシアネート反応性官能基を有さず、統計学的平均においてピラゾールでまたは少なくとも1種の置換されたピラゾールでブロックされたイソシアネート基少なくとも1個および化学線で活性化可能な炭素−炭素−二重結合少なくとも2個を分子中に有するオレフィン系不飽和成分少なくとも1種
を含有する、固体および/または高粘性の、貯蔵−および適用条件下に寸法安定性の粒子を含有する熱および化学線で硬化性の粉末スラリー。
【請求項2】
バインダー(A)がガラス転移温度+5〜+25℃を有する、請求項1記載の粉末スラリー。
【請求項3】
イソシアネート反応性基がヒドロキシ基、チオール基並びに第1および第2アミノ基からなる群から選択されている、請求項1または2記載の粉末スラリー。
【請求項4】
イソシアネート反応性基がヒドロキシ基である、請求項1から3までのいずれか1項記載の粉末スラリー。
【請求項5】
置換ピラゾールがジアルキルピラゾールである、請求項1から4までのいずれか1項記載の粉末スラリー。
【請求項6】
ジアルキルピラゾールが3,5−ジメチルピラゾールである、請求項5記載の粉末スラリー。
【請求項7】
成分(C)が親水性基を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の粉末スラリー。
【請求項8】
炭素−炭素−二重結合が(メタ)アクリロイル−、エタクリロイル−、クロトネート−、シンナメート−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニル基;エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニルエーテル基またはエテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプレニル−、イソプロペニル−、アリル−またはブテニルエステル基中に存在する、請求項1から7までのいずれか1項記載の粉末スラリー。
【請求項9】
炭素−炭素−二重結合が(メタ)アクリロイル基中に存在する、請求項8項記載の粉末スラリー。
【請求項10】
被覆材料、接着剤またはシーリングコンパウンドとしての、請求項1から9までのいずれか1項記載の粉末スラリーの使用。
【請求項11】
被覆材料が、クリア塗料としておよび/またはクリアコート、単層および多層の色付与および/または効果付与、導電性、磁気遮断性および/または蛍光性の被覆および組合せ効果層を製造するための色付与および/または効果付与被覆材料として使用されることを特徴とする、請求項10記載の使用。
【請求項12】
被覆材料、接着剤またはシーリングコンパウンドを、車両の大量塗装、車両の補修塗装、建築物の内部領域および外部領域の塗装、家具、窓またはドアの塗装、およびコイル塗装、コンテナ塗装を含む工業的塗装、電子工学部品の含浸または塗装、および家庭用製品、ボイラーおよびラジエータを含む白物家電品の塗装の分野に使用することを特徴とする、請求項10または11記載の使用。
【請求項13】
二次分散法を用いて、請求項1から9までのいずれか1項記載の熱および化学線硬化性粉末スラリーを製造する方法において、次の工程:
(I)成分(A)、(B)および(C)並びに場合により(D)を含有する有機溶剤を乳化し、これにより水中油型のエマルジョンを得て、
(II)1種または複数種の有機溶剤を除去し、かつ
(III)除去した溶剤の体積を部分的にまたは完全に水で置き換えて、これにより粉末スラリーを得る、
を特徴とする、粉末スラリーの製法。

【公表番号】特表2007−510763(P2007−510763A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536102(P2006−536102)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052813
【国際公開番号】WO2005/040244
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】