熱交換器及びそれを搭載した空気調和機
【課題】サイドフロー方式のパラレルフロー熱交換器において、下側の最外側フィンから凝縮水をできるだけ速やかに排水できる構造を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、間隔を置いて平行に配置された2本のヘッダパイプ2、3と、ヘッダパイプ2、3の間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路5をヘッダパイプ2、3の内部に連通させた偏平チューブ4と、各偏平チューブ4の偏平面に取り付けられる複数のフィン6と、複数のフィン6の中で最も外側に位置するフィン6aU、6aDの外側に取り付けられるサイドシート10U、10Dを備える。熱交換器1の下部に位置するサイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成される。ノッチ11は、各々、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備える。
【解決手段】熱交換器1は、間隔を置いて平行に配置された2本のヘッダパイプ2、3と、ヘッダパイプ2、3の間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路5をヘッダパイプ2、3の内部に連通させた偏平チューブ4と、各偏平チューブ4の偏平面に取り付けられる複数のフィン6と、複数のフィン6の中で最も外側に位置するフィン6aU、6aDの外側に取り付けられるサイドシート10U、10Dを備える。熱交換器1の下部に位置するサイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成される。ノッチ11は、各々、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器及びそれを搭載した空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のヘッダパイプの間に複数の偏平チューブを配置して偏平チューブ内部の複数の冷媒通路をヘッダパイプの内部に連通させるとともに、偏平チューブ間にコルゲートフィン等のフィンを配置したパラレルフロー型の熱交換器は、カーエアコンや建物用空気調和機の室外側ユニットなどに広く利用されている。
【0003】
パラレルフロー型熱交換器では、コルゲートフィンの設置箇所を偏平チューブ同士の間に限ることもあれば、複数の偏平チューブの中で最も外側に位置する偏平チューブの、外側に向いた面にもコルゲートフィンを取り付けることもある。後者の例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0004】
特許文献1記載の熱交換器は、偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、最外側の偏平チューブの外側に向いた偏平面にもコルゲートフィンが取り付けられており、この最外側のコルゲートフィンの外側にはフィン保護用のサイドプレートが配置されている。
【0005】
特許文献2記載の熱交換器も偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、最外側の偏平チューブの外側に向いた偏平面にコルゲートフィンが取り付けられ、この最外側のコルゲートフィンの外側に、偏平チューブとコルゲートフィンを交互に積層して構成したコア部を補強するためのサイドプレートが配置されている。
【0006】
特許文献3記載の熱交換器も偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、両端におけるコルゲートフィンの外部にサイドシートがロウ付けされている。
【0007】
熱交換器を蒸発器として用いた場合、低温となった熱交換器表面に大気中の水分が凝結して凝縮水が発生する。サイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器では、偏平チューブやコルゲートフィンの表面に凝縮水が溜まると空気流通路の面積が水によって狭められてしまい、熱交換性能が低下する。このためパラレルフロー型熱交換器では、発生した凝縮水が内部に滞らないよう、速やかに排水する必要がある。
【0008】
凝縮水は、気温が低いと熱交換器の表面で霜と化す。霜が氷にまで進むこともある。本明細書では、そのような霜や氷が溶けた水、いわゆる除霜水も含めた意味で「凝縮水」の語を用いるものとする。
【0009】
上記特許文献記載のもののように、最外側フィンの外側にサイドシートを備えたパラレルフロー型熱交換器を、ヘッダパイプを垂直に配置し、偏平チューブを水平に配置するという、いわゆるサイドフロー方式で使用すると、下側のサイドシートにより凝縮水が保持されるという問題が発生する。この問題に対処するための工夫が特許文献4、5に開示されている。
【0010】
特許文献4記載の熱交換器では、下部に位置する最外側コルゲートフィンは、下から見たとき、少なくとも一部が露出部となっている。この最外側コルゲートフィンの外側に位置するサイドプレートの幅を狭くすることにより、露出部を出現させる。
【0011】
特許文献5記載の熱交換器では、底面板としてのサイドプレートに、凝縮水の水抜き孔を設ける。水抜き孔は、下側サイドプレートにその機械的強度を低下させない程度の大きさと個数のものが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−79788号公報
【特許文献2】特開2006−64194号公報
【特許文献3】特開2007−139376号公報
【特許文献4】特開2010−249388号公報
【特許文献5】特開昭61−223465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、サイドフロー方式のパラレルフロー熱交換器において、下側の最外側フィンから凝縮水をできるだけ速やかに排水できる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブと、前記複数の偏平チューブの偏平面に取り付けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの中で最も外側に位置するフィンの外側に取り付けられるサイドシートを備えたサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器において、熱交換器下部に位置する前記サイドシートには、当該熱交換器において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備える。
【0015】
上記構成の熱交換器において、前記ノッチは、前記サイドシートの縁よりも奥に180°未満の角を有する形状であることが好ましい。
【0016】
上記構成の熱交換器において、前記ノッチは、前記サイドシートの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることが好ましい。
【0017】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートの凝縮水が結集する側とは反対側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることが好ましい。
【0018】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートの凝縮水が結集する側に形成されたノッチ、またはその反対側に形成されたノッチが、前記サイドシートの奥行きの半分を超す奥行きを有することが好ましい。
【0019】
上記構成の熱交換器において、凝縮水が結集する側に形成されたノッチとその反対側に形成されたノッチとが、互い違いに配置されていることが好ましい。
【0020】
上記構成の熱交換器において、当該熱交換器は一部が湾曲部となるように曲げ加工されうるものであり、前記曲げ加工を受ける前記サイドシートの一部には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリットが切り込み形成されることが好ましい。
【0021】
上記構成の熱交換器において、曲げ加工後に凹となる縁には前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅のノッチが互いに間隔を置いて複数形成されることが好ましい。
【0022】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートには、前記ノッチ以外の箇所に、互いに間隔を置いて複数の貫通孔が形成されることが好ましい。
【0023】
上記構成の熱交換器において、前記貫通孔は、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を有するように形成されていることが好ましい。
【0024】
上記構成の熱交換器において、奥行き方向において、前記サイドシートの方が前記フィンよりも幅が狭くなっており、凝縮水が結集する側とその反対側において、前記フィンが前記サイドシートの外側に露出していることが好ましい。
【0025】
また本発明は、上記構成の熱交換器を室外機または室内機に搭載した空気調和機であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、熱交換器下部に位置する最外側フィンで凝縮水が発生、または上方で発生した凝縮水が熱交換器下部まで流下したとしても、速やかに滴下、すなわち排水される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の正面図である。
【図2】図1の熱交換器の斜視図である。
【図3】図1の熱交換器の下面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図1の熱交換器の部分斜視図である。
【図6】フィンの間隔ピッチとノッチの幅の関係の説明図である。
【図7】フィンの間隔ピッチと貫通孔の幅の関係の説明図である。
【図8】ノッチの形状について説明する第1の図である。
【図9】ノッチの形状について説明する第2の図である。
【図10】ノッチの形状について説明する第3の図である。
【図11】ノッチの形状について説明する第4の図である。
【図12】ノッチの形状について説明する第5の図である。
【図13】ノッチの形状について説明する第6の図である。
【図14】貫通孔の形状について説明する第1の図である。
【図15】貫通孔の形状について説明する第2の図である。
【図16】貫通孔の形状について説明する第3の図である。
【図17】熱交換器の湾曲部におけるノッチ形成手法について説明する図である。
【図18】サイドシートの変形態様について説明する図である。
【図19】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の室外機の概略断面図である。
【図20】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の概略構成図で、暖房運転時の状態を示すものである。
【図21】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の概略構成図で、冷房運転時の状態を示すものである。
【図22】サイドフロー方式パラレルフロー型熱交換器の基本構造を説明する垂直断面図である。
【図23】図22のA−A線の箇所で切断した垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
サイドフロー方式のパラレルフロー型の熱交換器の基本構造を図22、23に示す。図22、23では紙面上側が垂直方向の上側、紙面下側が垂直方向の下側となる。熱交換器1は、2本の垂直なヘッダパイプ2、3を水平方向に間隔を置いて平行に配置し、ヘッダパイプ2、3の間に複数本の水平な偏平チューブ4を垂直方向に所定ピッチで配置している。偏平チューブ4は金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路5が形成されている。偏平チューブ4は長手方向である押出成型方向を水平にする形で配置されるので、冷媒通路5の冷媒流通方向も水平になる。冷媒通路5は断面形状及び断面面積の等しいものが図22の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ4の垂直断面は、図23に示すようにハーモニカ状を呈している。各冷媒通路5はヘッダパイプ2、3の内部に連通する。偏平チューブ4の偏平面にはフィン6が取り付けられる。フィン6として、ここではコルゲートフィンを用いているが、プレートフィンでも構わない。なお、実際に機器に搭載する段階では、パラレルフロー型熱交換器1は設計の要請に従って様々な角度に据え付けられるものであり、厳密な「垂直」「水平」が当てはまらなくなるケースが多いことは言うまでもない。
【0030】
ヘッダパイプ2と3、偏平チューブ4、及びフィン6はいずれもアルミニウム等熱伝導の良い金属からなり、偏平チューブ4はヘッダパイプ2、3に対し、フィン6は偏平チューブ4に対し、それぞれロウ付けまたは溶着で固定される。
【0031】
偏平チューブ4同士の間に配置されるフィン6は上下両端が上下の偏平チューブ4の偏平面に固定される。複数のものが上下に並んだ偏平チューブ4の中で、最も外側(最上位または最下位)に位置する偏平チューブ4の、外側に向いた偏平面に配置されるフィンは、上下一方の端のみがチューブの偏平面に固定されることになる。このフィンを最外側フィンと呼ぶことにする。熱交換器1の上部に位置する最外側フィンには6aUの符号を付し、熱交換器1の下部に位置する最外側フィンには6aDの符号を付す。
【0032】
最外側フィン6aUの外側にはサイドシート10Uが配置され、最外側フィン6aDの外側にはサイドシート10Dが配置される。サイドシート10U、10Dはアルミニウム等の金属板からなり、最外側フィン6aU、6aDに対しロウ付けまたは溶着で固定される。
【0033】
熱交換器1はサイドフロー方式であり、冷媒出入口7、8はヘッダパイプ3の側にのみ設けられている。ヘッダパイプ3の内部には上下方向に間隔を置いて2枚の仕切板9a、9cが設けられており、ヘッダパイプ2の内部には仕切板9a、9cの中間の高さのところに仕切板9bが設けられている。
【0034】
熱交換器1を蒸発器として使用する場合、冷媒は図22に実線矢印で示すように下側の冷媒出入口7から流入する。冷媒出入口7から入った冷媒は、仕切板9aでせき止められて偏平チューブ4経由でヘッダパイプ2に向かう。この冷媒の流れが左向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ2に入った冷媒は仕切板9bでせき止められて別の偏平チューブ4経由でヘッダパイプ3に向かう。この冷媒の流れが右向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ3に入った冷媒は仕切板9cでせき止められてさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ2に向かう。この冷媒の流れが左向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ2に入った冷媒は折り返してさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ3に向かう。この冷媒の流れが右向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ3に入った冷媒は冷媒出入口8から流出する。このように、冷媒はジグザグの経路を辿って下から上に流れる。ここでは仕切板の数が3の場合を示したが、これは一例であり、仕切板の数と、その結果としてもたらされる冷媒流れの折り返し回数は、必要に応じ任意の数を設定することができる。
【0035】
熱交換器1を凝縮器として使用する場合は、冷媒の流れが逆になる。すなわち冷媒は図22に点線矢印で示すように冷媒出入口8からヘッダパイプ3に入り、仕切板9cでせき止められて偏平チューブ4経由でヘッダパイプ2に向かい、ヘッダパイプ2では仕切板9bでせき止められて別の偏平チューブ4経由でヘッダパイプ3に向かい、ヘッダパイプ3では仕切板9aでせき止められてさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ2に向かい、ヘッダパイプ2で折り返してさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ3に向かい、冷媒出入口7から点線矢印のように流出するという、ジグザグの経路を辿って上から下に流れる。
【0036】
熱交換器1の構成は上記に限定されない。ヘッダパイプ2、3の両方に冷媒出入口を設ける構成も可能であるし、ヘッダパイプ2、3の内部に仕切板を設けない構成も可能である。
【0037】
本発明の実施形態である熱交換器1の構造を図1から図5までの図に示す。図22、23に示した基本構造と共通する構成要素には図22、23で用いた符号をそのまま付し、説明は省略する。
【0038】
熱交換器1を蒸発器として用いた場合、低温となった熱交換器1の表面に大気中の水分が凝結して凝縮水が発生する。「凝縮水」の意味は前述の通りである。熱交換器1のようなパラレルフロー型熱交換器では、偏平チューブやフィンの表面に凝縮水が溜まると空気流通路の断面積が水によって狭められてしまい、熱交換性能が低下する。加えて、熱交換器1はサイドフロー方式であるところから、上部の偏平チューブ4やフィン6で発生した凝縮水が次々に下の段に流下し、最外側フィン6aDは最も凝縮水の滞留が生じやすい箇所となる。
【0039】
滞留した凝縮水は、熱交換器1の空気流通路の面積を狭めて通風を阻害し、熱交換性能を低下させる。また、熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、外気温が氷点下になると凝縮水が凍結して熱交換器1の破損を招くことがある。このため、熱交換器1に生じた凝縮水はできるだけ速やかに排水する必要がある。
【0040】
本発明では、上記問題に対処するため、熱交換器1の下部に位置するサイドシート10Dを次のように構成した。すなわちサイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成されている。
【0041】
熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合は、熱交換器1の風上側が凝縮水の結集側となる。これは次の理由による。室外機においては、熱交換器1を傾けることなく、ほぼ垂直に立てて設置している。熱交換器1を蒸発器として使用した場合(例えば暖房運転時がこれに該当する)、風下側よりも風上側で熱交換が盛んに行われ、そこに凝縮水が溜まる。そのため、風上側が凝縮水の結集側ということになるのである。
【0042】
熱交換器1は、空気調和機の室外機に搭載するものとして設計されており、図2、3、5に示す通り、途中に1箇所の湾曲部1aがあり、平面形状が略L字形状となっている。湾曲部1aが凸をなす側が室外機における風上側となる。従って、図3、4では図の下側が凝縮水の結集側となり、サイドシート10Dにはこちら側の縁にノッチ11が形成されている。
【0043】
個々のノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有し、またサイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることが好ましい。実施形態では、その条件を満たす形状としてV字形が選択されている。ノッチ11は、図6に示す通り、最も幅の広い箇所ではフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅W1を備えている。
【0044】
ノッチ11は、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であるところから、そのエッジに触れた凝縮水は、図8の矢印に示すように、ノッチ11の奥へと誘導され、ノッチ11の一番奥で合流して水滴を形成する。水滴はすぐに大きくなり、滴下、すなわち排水される。ノッチ11はフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備えているから、凝縮水が集まって大きな水滴となるまでの時間が短く、効率良く凝縮水の排水を行うことができる。
【0045】
本発明におけるノッチ11の形状はV字形に限定されない。図9から図12に例示する様々な形状、またはそれ以外の形状が可能である。
【0046】
図9に示すノッチ11は半円形またはU字形となっている。このノッチ11は奥に角を有する訳ではないが、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件を満たす。
【0047】
図10に示すノッチ11は台形である。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、180°未満であって90°超の角、すなわち鈍角の角11aを2箇所に有するという形で満たす。また、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件も満たす。
【0048】
図11に示すノッチ11は倒立したM字形である。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、90°未満の角、すなわち鋭角の角11bを2箇所に有するという形で満たす。また、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件も満たす。
【0049】
図12に示すノッチ11は倒立した台形であり、サイドシート10Dの縁に設けられた入口は幅が狭く、奥に進むほど幅が広くなっている。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、90°未満の角、すなわち鋭角の角11bを2箇所に有するという形で満たす。
【0050】
図8から図12のいずれの形状のノッチ11においても、ノッチ11のエッジに触れた凝縮水はノッチ11の奥へ誘導され、一番奥で合流して大きな水滴を形成し、滴下する。
【0051】
サイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側とは反対側の縁にも、互いに間隔を置いて複数のノッチ12が形成されている。すなわち、サイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されている。図3、4では図の上側が凝縮水の結集側する側とは反対側ということになる。熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、凝縮水の結集する側とは反対の側は、熱交換器1の風下側となる。ノッチ12も、ノッチ11と同様、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備え、またサイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状となっている。
【0052】
図1から図5に示す実施形態では、ノッチ11とノッチ12は同じ形状(V字形)、同じ大きさとされているが、必ずしもそうである必要はない。ノッチ12がノッチ11と異なる形状(図9から図12に例示する形状、あるいはそれ以外の形状)であってもよく、ノッチ11とノッチ12で幅が異なっていてもよい。
【0053】
このように、熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、熱交換器1において凝縮水が結集する側(風上側)とは反対側(風下側)の縁にもノッチ12を形成したことにより、サイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されることになる。これにより、サイドシート10Dの凝縮水排水能力はさらに高まり、最外側フィン6aDの凝縮水を速やかに排水することができる。
【0054】
本実施形態では、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁と、その反対側の縁にノッチが形成されている構成、言い換えればサイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されている構成を採用したが、凝縮水が結集する側の縁にのみノッチが形成されている構成であってもよい。
【0055】
ノッチ11、12をもっと大きくして、それぞれの奥行きがサイドシート10Dの奥行きの半分を超す大きさとしてもよい。そのようにしたサイドシート10Dは図13に示す形状を備えることとなり、最外側フィン6aDから凝縮水を速やかに排水する。
【0056】
図13において、ノッチ11、12は1個ずつ互い違いに配置されているが、この構成は限定的なものではない。2個のノッチ11に対してノッチ12が1個などといった構成であってもよい。
【0057】
サイドシート10Dには、ノッチ11、12以外の箇所に貫通孔13が形成されている。実施形態では、ノッチ11とノッチ12の間の位置に複数の貫通孔13が互いに間隔を置いて形成されている。貫通孔13は偏平チューブ4の長さ方向に長軸を一致させた長円(トラック円)形状であり、図7に示す通り、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅W2を備えている。
【0058】
貫通孔13の存在により、最外側フィン6aDに溜まった凝縮水は一層良く排水されることになる。
【0059】
貫通孔13の形状は長円形に限定されない。図14に示す楕円形等、様々な形状を選択することができる。
【0060】
角のない長円形や楕円形ばかりが貫通孔13の形状として好ましい訳ではない。180°未満の角を有する形状も貫通孔13として好ましい形状である。
【0061】
例えば、図15に示す矩形であれば、直角の角を四隅に有することになる。図16に示す菱形であれば、対角線上の2箇所に180°未満であって90°超の角、すなわち鈍角の角を有し、前記対角線と直角をなす対角線上の2箇所に90°未満の角、すなわち鋭角の角を有することになる。
【0062】
上記のように180°未満の角を有する形状の貫通孔13では、凝縮水が角の方に誘導されて合流し、大きな水滴を形成して滴下する。このため凝縮水が速やかに排水される。
【0063】
貫通孔13は、必ずしもフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅である必要はない。しかしながら、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅とすることにより、多量の凝縮水を凝集させ、排水をスピードアップすることができる。
【0064】
図18に示すサイドシート10Dは、貫通孔13は形成されているが、ノッチ11、12は形成されていない。このようなサイドシート10Dであっても、最外側フィン6aDからの凝縮水の排水を促進する機能を備える。
【0065】
最外側フィン6aDの奥行き方向、すなわち通風方向の幅と、同じ方向におけるサイドシート10Dの幅を比較した場合、サイドシート10Dの方が幅狭とされている。このため、図2から図5に示す通り、凝縮水が結集する側とその反対側において、最外側フィン6aDがサイドシート10Dの外側に露出する。このように露出部が存在することにより、露出部が排水口となって、最外側フィン6aDから凝縮水が速やかに排水される。なおサイドシート10Uは、最外側フィン6aUより幅狭である必要はない。例えば、同じ幅であってもよい。
【0066】
前述の通り、熱交換器1には途中に1箇所の湾曲部1aがあり、平面形状が略L字形状となっている。湾曲部1aは、直線状の偏平チューブ4で熱交換器1を形成した後、曲げ加工を施すことにより形成されるが、その曲げ加工をノッチ11の形成にも役立てることができる。
【0067】
図17の下部の矩形の囲みの中に示すように、サイドシート10Dの中で、曲げ加工を受ける一部の箇所には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリット14が切り込み形成されている。スリット14は、曲げ加工されると、図17の上側の図に示すようにV字形に開き、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅のノッチ11となる。このため、ノッチ11を簡単に形成することができる。
【0068】
サイドシート10Dには、曲げ加工後に凹となる側の縁にノッチ12が形成されている。曲げ加工されるとノッチ12は開き角度が狭くなるが、その状態でも曲げ加工を受けない箇所のノッチ12と開き角度が同等になるように、すなわちフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備えることとなるように、曲げ加工前のV字の角度を広く設定しておく。
【0069】
上記熱交換器1は、セパレート型空気調和機の室外機または室内機に搭載することができる。図19は室外機への搭載例を示す。
【0070】
図19の室外機20は平面形状略矩形の板金製筐体20aを備え、筐体20aの長辺側を正面20F及び背面20Bとし、短辺側を左側面20L及び右側面20Rとしている。正面20Fには排気口21が形成され、背面20Bには背面吸気口22が形成され、左側面20Lには側面吸気口23が形成される。排気口21は複数の水平なスリット状開口の集合からなり、背面吸気口22と側面吸気口23は格子状の開口からなる。正面20F、背面20B、左側面20L、右側面20Rの4面の板金部材に図示しない天板と底板が加わって六面体形状の筐体20aが形成される。
【0071】
筐体20aの内部には、背面吸気口22及び側面吸気口23のすぐ内側に熱平面形状L字形の熱交換器1が配置される。熱交換器1と室外空気との間で強制的に熱交換を行わせるため、熱交換器1と排気口21の間に送風機24が配置される。送風機24は電動機24aにプロペラファン24bを組み合わせたものである。送風効率向上のため、筐体20aの正面20Fの内面にはプロペラファン24bを囲むベルマウス25が取り付けられる。筐体20aの右側面20Rの内側の空間は背面吸気口22から排気口21へと流れる空気流から隔壁26で隔離されており、ここに圧縮機27が収容されている。
【0072】
室外機20の熱交換器1に凝縮水が発生すると、空気流通路の面積が凝縮水で狭められることにより熱交換性能が低下するだけでなく、氷点下の外気温が継続する寒冷地であったりした場合には、凝縮水が凍結して熱交換器1の破損を招くこともある。そのため室外機20では、熱交換器1からの凝縮水の排水が重要な課題となる。
【0073】
前述した理由により、室外機20では、熱交換器1の風上側が凝縮水の結集側となる。風上側で結露した凝縮水は、風下側にあまり流れることなく、そのまま風上側の熱交換器1下部に達する。外気温が低い場合は、凝縮水は霜として熱交換器1に付着する。霜の量が増えれば除霜運転を余儀なくされるが、除霜運転中、送風機24は停止しているので、霜が溶けた水は風の影響を受けることなく専ら重力で下に流れて溜まる。このことから、熱交換器1の下部のサイドシート10Dを本発明の構成とすることにより、凝縮水を速やかに排水して、凝縮水の滞留がもたらす弊害を低減することができる。
【0074】
すなわち、最外側フィン6aDの外側に取り付けられるサイドシート10Dの凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成される。このノッチ11は、各々、フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備える。これらの構成により、熱交換器1の下部に位置する最外側フィン6aDで凝縮水が発生、または上方で発生した凝縮水が最外側フィン6aDまで流下したとして、凝縮水はノッチ11の奥に引き込まれて凝集し、速やかに滴下、すなわち排水されることになる。このため、熱交換器1の下部に位置する最外側フィン6aDのところに凝縮水が滞留して通風性が損なわれ、熱交換性能が低下するといった事態を回避できる。
【0075】
図20、21には、セパレート型空気調和機の室内機に熱交換器1を搭載した例を示す。図20、21に示されるセパレート型空気調和機の室外機は圧縮機、四方弁、膨張弁、室外側熱交換器、室外側送風機などを含み、室内機は室内側熱交換器、室内側送風機などを含む。室外側熱交換器は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。室内側熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0076】
図20には冷凍サイクルとしてヒートポンプサイクルを用いるセパレート型空気調和機の基本的構成が示されている。ヒートポンプサイクル101は、圧縮機102、四方弁103、室外側の熱交換器104、減圧膨張装置105、及び室内側の熱交換器106をループ状に接続したものである。圧縮機102、四方弁103、熱交換器104、及び減圧膨張装置105は室外機110の筐体に収容され、熱交換器106は室内機120の筐体に収容される。熱交換器104には室外側の送風機107が組み合わせられ、熱交換器106には室内側の送風機108が組み合わせられる。送風機107は吹出気流形成用のプロペラファン107aを含み、送風機108は吹出気流形成用のクロスフローファン108aを含む。クロスフローファン108aは熱交換器106の下に軸線を水平にして配置される。
【0077】
本発明に係る熱交換器1は、室内機の熱交換器106の構成要素として用いることができる。熱交換器106は、3個の熱交換器106A、106B、106Cを送風機108を覆う屋根のように組み合わせたものであり、熱交換器106A、106B、106Cのいずれかまたは全てを熱交換器1とすることができる。
【0078】
図20は暖房運転時の状態を示す。この時は、圧縮機102から吐出された高温高圧の冷媒は室内側の熱交換器106に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器106を出た冷媒は減圧膨張装置105から室外側の熱交換器104に入ってそこで膨張し、室外空気から熱を取り込んだ後、圧縮機102に戻る。室内側の送風機108によって生成された気流が熱交換器106からの放熱を促進し、室外側の送風機107によって生成された気流が熱交換器104の吸熱を促進する。
【0079】
図21は冷房運転時あるいは除霜運転時の状態を示す。この時は四方弁103が切り換えられて暖房運転時と冷媒の流れが逆になる。すなわち、圧縮機102から吐出された高温高圧の冷媒は室外側の熱交換器104に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器104を出た冷媒は減圧膨張装置105から室内側の熱交換器106に入ってそこで膨張し、室内空気から熱を取り込んだ後、圧縮機102に戻る。室外側の送風機107によって生成された気流が熱交換器104からの放熱を促進し、室内側の送風機108によって生成された気流が熱交換器106の吸熱を促進する。
【0080】
本発明に係る熱交換器1を室内機の熱交換器106の構成要素として用いた場合、熱交換器1の風下側であり、熱交換器1の姿勢によっては下面側でもある面が凝縮水の結集側となる。本発明に係る熱交換器1を用いれば、凝縮水が発生したとしてもそれを速やかに排水することができ、凝縮水がクロスフローファン108aに滴下して水とびが生じるといった現象を低減することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明はサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 熱交換器
2、3 ヘッダパイプ
4 偏平チューブ
5 冷媒通路
6 フィン
6aU、6aD 最外側フィン
10U、10D サイドシート
11、12 ノッチ
13 貫通孔
20 室外機
110 室外機
120 室内機
【技術分野】
【0001】
本発明はサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器及びそれを搭載した空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のヘッダパイプの間に複数の偏平チューブを配置して偏平チューブ内部の複数の冷媒通路をヘッダパイプの内部に連通させるとともに、偏平チューブ間にコルゲートフィン等のフィンを配置したパラレルフロー型の熱交換器は、カーエアコンや建物用空気調和機の室外側ユニットなどに広く利用されている。
【0003】
パラレルフロー型熱交換器では、コルゲートフィンの設置箇所を偏平チューブ同士の間に限ることもあれば、複数の偏平チューブの中で最も外側に位置する偏平チューブの、外側に向いた面にもコルゲートフィンを取り付けることもある。後者の例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0004】
特許文献1記載の熱交換器は、偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、最外側の偏平チューブの外側に向いた偏平面にもコルゲートフィンが取り付けられており、この最外側のコルゲートフィンの外側にはフィン保護用のサイドプレートが配置されている。
【0005】
特許文献2記載の熱交換器も偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、最外側の偏平チューブの外側に向いた偏平面にコルゲートフィンが取り付けられ、この最外側のコルゲートフィンの外側に、偏平チューブとコルゲートフィンを交互に積層して構成したコア部を補強するためのサイドプレートが配置されている。
【0006】
特許文献3記載の熱交換器も偏平チューブを水平にしたパラレルフロー型熱交換器であって、両端におけるコルゲートフィンの外部にサイドシートがロウ付けされている。
【0007】
熱交換器を蒸発器として用いた場合、低温となった熱交換器表面に大気中の水分が凝結して凝縮水が発生する。サイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器では、偏平チューブやコルゲートフィンの表面に凝縮水が溜まると空気流通路の面積が水によって狭められてしまい、熱交換性能が低下する。このためパラレルフロー型熱交換器では、発生した凝縮水が内部に滞らないよう、速やかに排水する必要がある。
【0008】
凝縮水は、気温が低いと熱交換器の表面で霜と化す。霜が氷にまで進むこともある。本明細書では、そのような霜や氷が溶けた水、いわゆる除霜水も含めた意味で「凝縮水」の語を用いるものとする。
【0009】
上記特許文献記載のもののように、最外側フィンの外側にサイドシートを備えたパラレルフロー型熱交換器を、ヘッダパイプを垂直に配置し、偏平チューブを水平に配置するという、いわゆるサイドフロー方式で使用すると、下側のサイドシートにより凝縮水が保持されるという問題が発生する。この問題に対処するための工夫が特許文献4、5に開示されている。
【0010】
特許文献4記載の熱交換器では、下部に位置する最外側コルゲートフィンは、下から見たとき、少なくとも一部が露出部となっている。この最外側コルゲートフィンの外側に位置するサイドプレートの幅を狭くすることにより、露出部を出現させる。
【0011】
特許文献5記載の熱交換器では、底面板としてのサイドプレートに、凝縮水の水抜き孔を設ける。水抜き孔は、下側サイドプレートにその機械的強度を低下させない程度の大きさと個数のものが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−79788号公報
【特許文献2】特開2006−64194号公報
【特許文献3】特開2007−139376号公報
【特許文献4】特開2010−249388号公報
【特許文献5】特開昭61−223465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、サイドフロー方式のパラレルフロー熱交換器において、下側の最外側フィンから凝縮水をできるだけ速やかに排水できる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブと、前記複数の偏平チューブの偏平面に取り付けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの中で最も外側に位置するフィンの外側に取り付けられるサイドシートを備えたサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器において、熱交換器下部に位置する前記サイドシートには、当該熱交換器において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備える。
【0015】
上記構成の熱交換器において、前記ノッチは、前記サイドシートの縁よりも奥に180°未満の角を有する形状であることが好ましい。
【0016】
上記構成の熱交換器において、前記ノッチは、前記サイドシートの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることが好ましい。
【0017】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートの凝縮水が結集する側とは反対側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることが好ましい。
【0018】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートの凝縮水が結集する側に形成されたノッチ、またはその反対側に形成されたノッチが、前記サイドシートの奥行きの半分を超す奥行きを有することが好ましい。
【0019】
上記構成の熱交換器において、凝縮水が結集する側に形成されたノッチとその反対側に形成されたノッチとが、互い違いに配置されていることが好ましい。
【0020】
上記構成の熱交換器において、当該熱交換器は一部が湾曲部となるように曲げ加工されうるものであり、前記曲げ加工を受ける前記サイドシートの一部には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリットが切り込み形成されることが好ましい。
【0021】
上記構成の熱交換器において、曲げ加工後に凹となる縁には前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅のノッチが互いに間隔を置いて複数形成されることが好ましい。
【0022】
上記構成の熱交換器において、前記サイドシートには、前記ノッチ以外の箇所に、互いに間隔を置いて複数の貫通孔が形成されることが好ましい。
【0023】
上記構成の熱交換器において、前記貫通孔は、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を有するように形成されていることが好ましい。
【0024】
上記構成の熱交換器において、奥行き方向において、前記サイドシートの方が前記フィンよりも幅が狭くなっており、凝縮水が結集する側とその反対側において、前記フィンが前記サイドシートの外側に露出していることが好ましい。
【0025】
また本発明は、上記構成の熱交換器を室外機または室内機に搭載した空気調和機であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、熱交換器下部に位置する最外側フィンで凝縮水が発生、または上方で発生した凝縮水が熱交換器下部まで流下したとしても、速やかに滴下、すなわち排水される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の正面図である。
【図2】図1の熱交換器の斜視図である。
【図3】図1の熱交換器の下面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図1の熱交換器の部分斜視図である。
【図6】フィンの間隔ピッチとノッチの幅の関係の説明図である。
【図7】フィンの間隔ピッチと貫通孔の幅の関係の説明図である。
【図8】ノッチの形状について説明する第1の図である。
【図9】ノッチの形状について説明する第2の図である。
【図10】ノッチの形状について説明する第3の図である。
【図11】ノッチの形状について説明する第4の図である。
【図12】ノッチの形状について説明する第5の図である。
【図13】ノッチの形状について説明する第6の図である。
【図14】貫通孔の形状について説明する第1の図である。
【図15】貫通孔の形状について説明する第2の図である。
【図16】貫通孔の形状について説明する第3の図である。
【図17】熱交換器の湾曲部におけるノッチ形成手法について説明する図である。
【図18】サイドシートの変形態様について説明する図である。
【図19】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の室外機の概略断面図である。
【図20】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の概略構成図で、暖房運転時の状態を示すものである。
【図21】本発明に係る熱交換器を搭載した空気調和機の概略構成図で、冷房運転時の状態を示すものである。
【図22】サイドフロー方式パラレルフロー型熱交換器の基本構造を説明する垂直断面図である。
【図23】図22のA−A線の箇所で切断した垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
サイドフロー方式のパラレルフロー型の熱交換器の基本構造を図22、23に示す。図22、23では紙面上側が垂直方向の上側、紙面下側が垂直方向の下側となる。熱交換器1は、2本の垂直なヘッダパイプ2、3を水平方向に間隔を置いて平行に配置し、ヘッダパイプ2、3の間に複数本の水平な偏平チューブ4を垂直方向に所定ピッチで配置している。偏平チューブ4は金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路5が形成されている。偏平チューブ4は長手方向である押出成型方向を水平にする形で配置されるので、冷媒通路5の冷媒流通方向も水平になる。冷媒通路5は断面形状及び断面面積の等しいものが図22の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ4の垂直断面は、図23に示すようにハーモニカ状を呈している。各冷媒通路5はヘッダパイプ2、3の内部に連通する。偏平チューブ4の偏平面にはフィン6が取り付けられる。フィン6として、ここではコルゲートフィンを用いているが、プレートフィンでも構わない。なお、実際に機器に搭載する段階では、パラレルフロー型熱交換器1は設計の要請に従って様々な角度に据え付けられるものであり、厳密な「垂直」「水平」が当てはまらなくなるケースが多いことは言うまでもない。
【0030】
ヘッダパイプ2と3、偏平チューブ4、及びフィン6はいずれもアルミニウム等熱伝導の良い金属からなり、偏平チューブ4はヘッダパイプ2、3に対し、フィン6は偏平チューブ4に対し、それぞれロウ付けまたは溶着で固定される。
【0031】
偏平チューブ4同士の間に配置されるフィン6は上下両端が上下の偏平チューブ4の偏平面に固定される。複数のものが上下に並んだ偏平チューブ4の中で、最も外側(最上位または最下位)に位置する偏平チューブ4の、外側に向いた偏平面に配置されるフィンは、上下一方の端のみがチューブの偏平面に固定されることになる。このフィンを最外側フィンと呼ぶことにする。熱交換器1の上部に位置する最外側フィンには6aUの符号を付し、熱交換器1の下部に位置する最外側フィンには6aDの符号を付す。
【0032】
最外側フィン6aUの外側にはサイドシート10Uが配置され、最外側フィン6aDの外側にはサイドシート10Dが配置される。サイドシート10U、10Dはアルミニウム等の金属板からなり、最外側フィン6aU、6aDに対しロウ付けまたは溶着で固定される。
【0033】
熱交換器1はサイドフロー方式であり、冷媒出入口7、8はヘッダパイプ3の側にのみ設けられている。ヘッダパイプ3の内部には上下方向に間隔を置いて2枚の仕切板9a、9cが設けられており、ヘッダパイプ2の内部には仕切板9a、9cの中間の高さのところに仕切板9bが設けられている。
【0034】
熱交換器1を蒸発器として使用する場合、冷媒は図22に実線矢印で示すように下側の冷媒出入口7から流入する。冷媒出入口7から入った冷媒は、仕切板9aでせき止められて偏平チューブ4経由でヘッダパイプ2に向かう。この冷媒の流れが左向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ2に入った冷媒は仕切板9bでせき止められて別の偏平チューブ4経由でヘッダパイプ3に向かう。この冷媒の流れが右向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ3に入った冷媒は仕切板9cでせき止められてさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ2に向かう。この冷媒の流れが左向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ2に入った冷媒は折り返してさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ3に向かう。この冷媒の流れが右向きのブロック矢印で表現されている。ヘッダパイプ3に入った冷媒は冷媒出入口8から流出する。このように、冷媒はジグザグの経路を辿って下から上に流れる。ここでは仕切板の数が3の場合を示したが、これは一例であり、仕切板の数と、その結果としてもたらされる冷媒流れの折り返し回数は、必要に応じ任意の数を設定することができる。
【0035】
熱交換器1を凝縮器として使用する場合は、冷媒の流れが逆になる。すなわち冷媒は図22に点線矢印で示すように冷媒出入口8からヘッダパイプ3に入り、仕切板9cでせき止められて偏平チューブ4経由でヘッダパイプ2に向かい、ヘッダパイプ2では仕切板9bでせき止められて別の偏平チューブ4経由でヘッダパイプ3に向かい、ヘッダパイプ3では仕切板9aでせき止められてさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ2に向かい、ヘッダパイプ2で折り返してさらに別の偏平チューブ4経由で再びヘッダパイプ3に向かい、冷媒出入口7から点線矢印のように流出するという、ジグザグの経路を辿って上から下に流れる。
【0036】
熱交換器1の構成は上記に限定されない。ヘッダパイプ2、3の両方に冷媒出入口を設ける構成も可能であるし、ヘッダパイプ2、3の内部に仕切板を設けない構成も可能である。
【0037】
本発明の実施形態である熱交換器1の構造を図1から図5までの図に示す。図22、23に示した基本構造と共通する構成要素には図22、23で用いた符号をそのまま付し、説明は省略する。
【0038】
熱交換器1を蒸発器として用いた場合、低温となった熱交換器1の表面に大気中の水分が凝結して凝縮水が発生する。「凝縮水」の意味は前述の通りである。熱交換器1のようなパラレルフロー型熱交換器では、偏平チューブやフィンの表面に凝縮水が溜まると空気流通路の断面積が水によって狭められてしまい、熱交換性能が低下する。加えて、熱交換器1はサイドフロー方式であるところから、上部の偏平チューブ4やフィン6で発生した凝縮水が次々に下の段に流下し、最外側フィン6aDは最も凝縮水の滞留が生じやすい箇所となる。
【0039】
滞留した凝縮水は、熱交換器1の空気流通路の面積を狭めて通風を阻害し、熱交換性能を低下させる。また、熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、外気温が氷点下になると凝縮水が凍結して熱交換器1の破損を招くことがある。このため、熱交換器1に生じた凝縮水はできるだけ速やかに排水する必要がある。
【0040】
本発明では、上記問題に対処するため、熱交換器1の下部に位置するサイドシート10Dを次のように構成した。すなわちサイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成されている。
【0041】
熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合は、熱交換器1の風上側が凝縮水の結集側となる。これは次の理由による。室外機においては、熱交換器1を傾けることなく、ほぼ垂直に立てて設置している。熱交換器1を蒸発器として使用した場合(例えば暖房運転時がこれに該当する)、風下側よりも風上側で熱交換が盛んに行われ、そこに凝縮水が溜まる。そのため、風上側が凝縮水の結集側ということになるのである。
【0042】
熱交換器1は、空気調和機の室外機に搭載するものとして設計されており、図2、3、5に示す通り、途中に1箇所の湾曲部1aがあり、平面形状が略L字形状となっている。湾曲部1aが凸をなす側が室外機における風上側となる。従って、図3、4では図の下側が凝縮水の結集側となり、サイドシート10Dにはこちら側の縁にノッチ11が形成されている。
【0043】
個々のノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有し、またサイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることが好ましい。実施形態では、その条件を満たす形状としてV字形が選択されている。ノッチ11は、図6に示す通り、最も幅の広い箇所ではフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅W1を備えている。
【0044】
ノッチ11は、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であるところから、そのエッジに触れた凝縮水は、図8の矢印に示すように、ノッチ11の奥へと誘導され、ノッチ11の一番奥で合流して水滴を形成する。水滴はすぐに大きくなり、滴下、すなわち排水される。ノッチ11はフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備えているから、凝縮水が集まって大きな水滴となるまでの時間が短く、効率良く凝縮水の排水を行うことができる。
【0045】
本発明におけるノッチ11の形状はV字形に限定されない。図9から図12に例示する様々な形状、またはそれ以外の形状が可能である。
【0046】
図9に示すノッチ11は半円形またはU字形となっている。このノッチ11は奥に角を有する訳ではないが、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件を満たす。
【0047】
図10に示すノッチ11は台形である。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、180°未満であって90°超の角、すなわち鈍角の角11aを2箇所に有するという形で満たす。また、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件も満たす。
【0048】
図11に示すノッチ11は倒立したM字形である。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、90°未満の角、すなわち鋭角の角11bを2箇所に有するという形で満たす。また、サイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなるという条件も満たす。
【0049】
図12に示すノッチ11は倒立した台形であり、サイドシート10Dの縁に設けられた入口は幅が狭く、奥に進むほど幅が広くなっている。このノッチ11は、サイドシート10Dの縁よりも奥に180°未満の角を有するという条件を、90°未満の角、すなわち鋭角の角11bを2箇所に有するという形で満たす。
【0050】
図8から図12のいずれの形状のノッチ11においても、ノッチ11のエッジに触れた凝縮水はノッチ11の奥へ誘導され、一番奥で合流して大きな水滴を形成し、滴下する。
【0051】
サイドシート10Dには、熱交換器1において凝縮水が結集する側とは反対側の縁にも、互いに間隔を置いて複数のノッチ12が形成されている。すなわち、サイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されている。図3、4では図の上側が凝縮水の結集側する側とは反対側ということになる。熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、凝縮水の結集する側とは反対の側は、熱交換器1の風下側となる。ノッチ12も、ノッチ11と同様、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備え、またサイドシート10Dの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状となっている。
【0052】
図1から図5に示す実施形態では、ノッチ11とノッチ12は同じ形状(V字形)、同じ大きさとされているが、必ずしもそうである必要はない。ノッチ12がノッチ11と異なる形状(図9から図12に例示する形状、あるいはそれ以外の形状)であってもよく、ノッチ11とノッチ12で幅が異なっていてもよい。
【0053】
このように、熱交換器1を空気調和機の室外機に搭載した場合、熱交換器1において凝縮水が結集する側(風上側)とは反対側(風下側)の縁にもノッチ12を形成したことにより、サイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されることになる。これにより、サイドシート10Dの凝縮水排水能力はさらに高まり、最外側フィン6aDの凝縮水を速やかに排水することができる。
【0054】
本実施形態では、熱交換器1において凝縮水が結集する側の縁と、その反対側の縁にノッチが形成されている構成、言い換えればサイドシート10Dの両側の縁にノッチが形成されている構成を採用したが、凝縮水が結集する側の縁にのみノッチが形成されている構成であってもよい。
【0055】
ノッチ11、12をもっと大きくして、それぞれの奥行きがサイドシート10Dの奥行きの半分を超す大きさとしてもよい。そのようにしたサイドシート10Dは図13に示す形状を備えることとなり、最外側フィン6aDから凝縮水を速やかに排水する。
【0056】
図13において、ノッチ11、12は1個ずつ互い違いに配置されているが、この構成は限定的なものではない。2個のノッチ11に対してノッチ12が1個などといった構成であってもよい。
【0057】
サイドシート10Dには、ノッチ11、12以外の箇所に貫通孔13が形成されている。実施形態では、ノッチ11とノッチ12の間の位置に複数の貫通孔13が互いに間隔を置いて形成されている。貫通孔13は偏平チューブ4の長さ方向に長軸を一致させた長円(トラック円)形状であり、図7に示す通り、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅W2を備えている。
【0058】
貫通孔13の存在により、最外側フィン6aDに溜まった凝縮水は一層良く排水されることになる。
【0059】
貫通孔13の形状は長円形に限定されない。図14に示す楕円形等、様々な形状を選択することができる。
【0060】
角のない長円形や楕円形ばかりが貫通孔13の形状として好ましい訳ではない。180°未満の角を有する形状も貫通孔13として好ましい形状である。
【0061】
例えば、図15に示す矩形であれば、直角の角を四隅に有することになる。図16に示す菱形であれば、対角線上の2箇所に180°未満であって90°超の角、すなわち鈍角の角を有し、前記対角線と直角をなす対角線上の2箇所に90°未満の角、すなわち鋭角の角を有することになる。
【0062】
上記のように180°未満の角を有する形状の貫通孔13では、凝縮水が角の方に誘導されて合流し、大きな水滴を形成して滴下する。このため凝縮水が速やかに排水される。
【0063】
貫通孔13は、必ずしもフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅である必要はない。しかしながら、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅とすることにより、多量の凝縮水を凝集させ、排水をスピードアップすることができる。
【0064】
図18に示すサイドシート10Dは、貫通孔13は形成されているが、ノッチ11、12は形成されていない。このようなサイドシート10Dであっても、最外側フィン6aDからの凝縮水の排水を促進する機能を備える。
【0065】
最外側フィン6aDの奥行き方向、すなわち通風方向の幅と、同じ方向におけるサイドシート10Dの幅を比較した場合、サイドシート10Dの方が幅狭とされている。このため、図2から図5に示す通り、凝縮水が結集する側とその反対側において、最外側フィン6aDがサイドシート10Dの外側に露出する。このように露出部が存在することにより、露出部が排水口となって、最外側フィン6aDから凝縮水が速やかに排水される。なおサイドシート10Uは、最外側フィン6aUより幅狭である必要はない。例えば、同じ幅であってもよい。
【0066】
前述の通り、熱交換器1には途中に1箇所の湾曲部1aがあり、平面形状が略L字形状となっている。湾曲部1aは、直線状の偏平チューブ4で熱交換器1を形成した後、曲げ加工を施すことにより形成されるが、その曲げ加工をノッチ11の形成にも役立てることができる。
【0067】
図17の下部の矩形の囲みの中に示すように、サイドシート10Dの中で、曲げ加工を受ける一部の箇所には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリット14が切り込み形成されている。スリット14は、曲げ加工されると、図17の上側の図に示すようにV字形に開き、フィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅のノッチ11となる。このため、ノッチ11を簡単に形成することができる。
【0068】
サイドシート10Dには、曲げ加工後に凹となる側の縁にノッチ12が形成されている。曲げ加工されるとノッチ12は開き角度が狭くなるが、その状態でも曲げ加工を受けない箇所のノッチ12と開き角度が同等になるように、すなわちフィン6の間隔ピッチPを複数ピッチ分カバーする幅を備えることとなるように、曲げ加工前のV字の角度を広く設定しておく。
【0069】
上記熱交換器1は、セパレート型空気調和機の室外機または室内機に搭載することができる。図19は室外機への搭載例を示す。
【0070】
図19の室外機20は平面形状略矩形の板金製筐体20aを備え、筐体20aの長辺側を正面20F及び背面20Bとし、短辺側を左側面20L及び右側面20Rとしている。正面20Fには排気口21が形成され、背面20Bには背面吸気口22が形成され、左側面20Lには側面吸気口23が形成される。排気口21は複数の水平なスリット状開口の集合からなり、背面吸気口22と側面吸気口23は格子状の開口からなる。正面20F、背面20B、左側面20L、右側面20Rの4面の板金部材に図示しない天板と底板が加わって六面体形状の筐体20aが形成される。
【0071】
筐体20aの内部には、背面吸気口22及び側面吸気口23のすぐ内側に熱平面形状L字形の熱交換器1が配置される。熱交換器1と室外空気との間で強制的に熱交換を行わせるため、熱交換器1と排気口21の間に送風機24が配置される。送風機24は電動機24aにプロペラファン24bを組み合わせたものである。送風効率向上のため、筐体20aの正面20Fの内面にはプロペラファン24bを囲むベルマウス25が取り付けられる。筐体20aの右側面20Rの内側の空間は背面吸気口22から排気口21へと流れる空気流から隔壁26で隔離されており、ここに圧縮機27が収容されている。
【0072】
室外機20の熱交換器1に凝縮水が発生すると、空気流通路の面積が凝縮水で狭められることにより熱交換性能が低下するだけでなく、氷点下の外気温が継続する寒冷地であったりした場合には、凝縮水が凍結して熱交換器1の破損を招くこともある。そのため室外機20では、熱交換器1からの凝縮水の排水が重要な課題となる。
【0073】
前述した理由により、室外機20では、熱交換器1の風上側が凝縮水の結集側となる。風上側で結露した凝縮水は、風下側にあまり流れることなく、そのまま風上側の熱交換器1下部に達する。外気温が低い場合は、凝縮水は霜として熱交換器1に付着する。霜の量が増えれば除霜運転を余儀なくされるが、除霜運転中、送風機24は停止しているので、霜が溶けた水は風の影響を受けることなく専ら重力で下に流れて溜まる。このことから、熱交換器1の下部のサイドシート10Dを本発明の構成とすることにより、凝縮水を速やかに排水して、凝縮水の滞留がもたらす弊害を低減することができる。
【0074】
すなわち、最外側フィン6aDの外側に取り付けられるサイドシート10Dの凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチ11が形成される。このノッチ11は、各々、フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備える。これらの構成により、熱交換器1の下部に位置する最外側フィン6aDで凝縮水が発生、または上方で発生した凝縮水が最外側フィン6aDまで流下したとして、凝縮水はノッチ11の奥に引き込まれて凝集し、速やかに滴下、すなわち排水されることになる。このため、熱交換器1の下部に位置する最外側フィン6aDのところに凝縮水が滞留して通風性が損なわれ、熱交換性能が低下するといった事態を回避できる。
【0075】
図20、21には、セパレート型空気調和機の室内機に熱交換器1を搭載した例を示す。図20、21に示されるセパレート型空気調和機の室外機は圧縮機、四方弁、膨張弁、室外側熱交換器、室外側送風機などを含み、室内機は室内側熱交換器、室内側送風機などを含む。室外側熱交換器は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。室内側熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0076】
図20には冷凍サイクルとしてヒートポンプサイクルを用いるセパレート型空気調和機の基本的構成が示されている。ヒートポンプサイクル101は、圧縮機102、四方弁103、室外側の熱交換器104、減圧膨張装置105、及び室内側の熱交換器106をループ状に接続したものである。圧縮機102、四方弁103、熱交換器104、及び減圧膨張装置105は室外機110の筐体に収容され、熱交換器106は室内機120の筐体に収容される。熱交換器104には室外側の送風機107が組み合わせられ、熱交換器106には室内側の送風機108が組み合わせられる。送風機107は吹出気流形成用のプロペラファン107aを含み、送風機108は吹出気流形成用のクロスフローファン108aを含む。クロスフローファン108aは熱交換器106の下に軸線を水平にして配置される。
【0077】
本発明に係る熱交換器1は、室内機の熱交換器106の構成要素として用いることができる。熱交換器106は、3個の熱交換器106A、106B、106Cを送風機108を覆う屋根のように組み合わせたものであり、熱交換器106A、106B、106Cのいずれかまたは全てを熱交換器1とすることができる。
【0078】
図20は暖房運転時の状態を示す。この時は、圧縮機102から吐出された高温高圧の冷媒は室内側の熱交換器106に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器106を出た冷媒は減圧膨張装置105から室外側の熱交換器104に入ってそこで膨張し、室外空気から熱を取り込んだ後、圧縮機102に戻る。室内側の送風機108によって生成された気流が熱交換器106からの放熱を促進し、室外側の送風機107によって生成された気流が熱交換器104の吸熱を促進する。
【0079】
図21は冷房運転時あるいは除霜運転時の状態を示す。この時は四方弁103が切り換えられて暖房運転時と冷媒の流れが逆になる。すなわち、圧縮機102から吐出された高温高圧の冷媒は室外側の熱交換器104に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器104を出た冷媒は減圧膨張装置105から室内側の熱交換器106に入ってそこで膨張し、室内空気から熱を取り込んだ後、圧縮機102に戻る。室外側の送風機107によって生成された気流が熱交換器104からの放熱を促進し、室内側の送風機108によって生成された気流が熱交換器106の吸熱を促進する。
【0080】
本発明に係る熱交換器1を室内機の熱交換器106の構成要素として用いた場合、熱交換器1の風下側であり、熱交換器1の姿勢によっては下面側でもある面が凝縮水の結集側となる。本発明に係る熱交換器1を用いれば、凝縮水が発生したとしてもそれを速やかに排水することができ、凝縮水がクロスフローファン108aに滴下して水とびが生じるといった現象を低減することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明はサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 熱交換器
2、3 ヘッダパイプ
4 偏平チューブ
5 冷媒通路
6 フィン
6aU、6aD 最外側フィン
10U、10D サイドシート
11、12 ノッチ
13 貫通孔
20 室外機
110 室外機
120 室内機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブと、前記複数の偏平チューブの偏平面に取り付けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの中で最も外側に位置するフィンの外側に取り付けられるサイドシートを備えたサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器において、
熱交換器下部に位置する前記サイドシートには、当該熱交換器において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ノッチは、前記サイドシートの縁よりも奥に180°未満の角を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記ノッチは、前記サイドシートの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることを
特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記サイドシートの凝縮水が結集する側とは反対側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記サイドシートの凝縮水が結集する側に形成されたノッチ、またはその反対側に形成されたノッチが、前記サイドシートの奥行きの半分を超す奥行きを有することを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
凝縮水が結集する側に形成されたノッチとその反対側に形成されたノッチとが、互い違いに配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の熱交換器。
【請求項7】
当該熱交換器は一部が湾曲部となるように曲げ加工されうるものであり、前記曲げ加工を受ける前記サイドシートの一部には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリットが切り込み形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
曲げ加工後に凹となる縁には前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅のノッチが互いに間隔を置いて複数形成されることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記サイドシートには、前記ノッチ以外の箇所に、互いに間隔を置いて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記貫通孔は、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を有するように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
奥行き方向において、前記サイドシートの方が前記フィンよりも幅が狭くなっており、凝縮水が結集する側とその反対側において、前記フィンが前記サイドシートの外側に露出していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の熱交換器を室外機または室内機に搭載したことを特徴とする空気調和機。
【請求項1】
間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブと、前記複数の偏平チューブの偏平面に取り付けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの中で最も外側に位置するフィンの外側に取り付けられるサイドシートを備えたサイドフロー方式のパラレルフロー型熱交換器において、
熱交換器下部に位置する前記サイドシートには、当該熱交換器において凝縮水が結集する側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ノッチは、前記サイドシートの縁よりも奥に180°未満の角を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記ノッチは、前記サイドシートの縁から奥に進むほど幅が狭くなる形状であることを
特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記サイドシートの凝縮水が結集する側とは反対側の縁に、互いに間隔を置いて複数のノッチが形成され、前記ノッチは、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を備えることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記サイドシートの凝縮水が結集する側に形成されたノッチ、またはその反対側に形成されたノッチが、前記サイドシートの奥行きの半分を超す奥行きを有することを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
凝縮水が結集する側に形成されたノッチとその反対側に形成されたノッチとが、互い違いに配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の熱交換器。
【請求項7】
当該熱交換器は一部が湾曲部となるように曲げ加工されうるものであり、前記曲げ加工を受ける前記サイドシートの一部には、曲げ加工後に凸となる縁に互いに間隔を置いて複数のスリットが切り込み形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
曲げ加工後に凹となる縁には前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅のノッチが互いに間隔を置いて複数形成されることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記サイドシートには、前記ノッチ以外の箇所に、互いに間隔を置いて複数の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記貫通孔は、各々、前記フィンの間隔ピッチを複数ピッチ分カバーする幅を有するように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
奥行き方向において、前記サイドシートの方が前記フィンよりも幅が狭くなっており、凝縮水が結集する側とその反対側において、前記フィンが前記サイドシートの外側に露出していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の熱交換器を室外機または室内機に搭載したことを特徴とする空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−132644(P2012−132644A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286627(P2010−286627)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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